説明

製函・梱包装置

【課題】折りたたまれた段ボールシートを筒状に製函し、梱包対象物に被せる一連の動作を機械的に行うことにより、梱包作業効率を上げることが可能な製函・梱包装置を実現する。
【解決手段】収容された段ボールシートを取り出し、組み立て、梱包対象物に被せる製函・梱包装置であって、段ボールシートを取り出し保持する保持部23と、第1アーム261と、前記第1アームの途中に回転軸により枢設された第2アーム262よりなる連結アーム26とを具備し、前記第1アームは、一端が前記保持部と連結され、他端が回転用レール32上を移動可能な機構を有し、前記第2アームは、一端が前記第1アームと連結され、他端が駆動レール31上を移動可能な機構を有し、前記駆動レールは、直線状であり、前記回転用レールは、直線状の部分及び屈曲した部分を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折りたたまれた段ボールシートを製函し、梱包対象物に被せる一連の動作を行う製函・梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用のテレビ受像機は、映像ソースの高品質化に伴い、大画面による臨場感のある映像が楽しめる大型テレビの需要が増えている。また、ライフスタイルの変化により、食料のまとめ買いや、食材をまとめて調理して冷凍庫で保存するなど、家庭用大型冷蔵庫の需要も増加している。このような家電製品に代表される大型機器は、輸送時における破損などを防止するために緩衝材などをかませてから、段ボールなどの梱包箱に入れ、梱包される。
【0003】
たとえば、特許文献1には、上下に分割された段ボールなどにより構成された梱包体を重ね合わせて梱包する包装箱が開示されている。また、特許文献2には、底部に緩衝材を設けた段ボールなどのパッキングケースの中にテレビを収納し、梱包する梱包装置が開示されている。さらに、特許文献3には、カートンを供給ホッパから取り出して、カートンが製品グループ上に施用される位置まで移動される間に、これを開き、移送段階の終了時にカートンを施用する装置が開示されている。図9は、特許文献3に示されたカートン施用装置900の全体斜視図である。アプリケーターヘッド組立体901は、オーバーヘッドカートン供給ホッパ902の中の最下カートンを引き出し、カートン施用位置まで移送させるカートン移送ユニットと、カートンを直立させるカートン操作装置を含み、カートンが逆転姿勢で施用位置にくるように、カートン移送中にカートン移送ユニットとカートン操作装置を一緒に枢転させることにより、クレート903内の製品グループに施用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−331167号公報(平成16年11月25日公開)
【特許文献2】特開平11−79247号公報(平成11年3月23日公開)
【特許文献3】特開昭63−248622号公報(昭和63年10月14日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された梱包箱を用いて梱包する場合、大型の機器の上から段ボールを被せる作業は、重い段ボールを取り扱うため、人手に頼ると、かなりの困難が伴う。また、特許文献2に記載されているように、底部に緩衝材を設けた段ボールの中に、上部からテレビなどを収納する場合、大型テレビなどを持ち上げ、箱の中に収納するのは、大型な機器になるほど、重量もかさむため、持ち上げ、箱内に収納するのが難しい。更に、上記特許文献1、2のいずれの場合においても、折りたたまれた段ボールシートを人手により運搬し、組み立てるのは、段ボールが大型であればあるほど、取り扱いにくく作業性が低下する。
【0006】
一方、特許文献3に記載された装置を用いて製品を梱包する場合、機構全体が固定されていないので、自然停止するまでに時間がかかる。また、揺動作用を利用しているので、箱の重量が変わるとタイミングを合わせるのが難しく、大きな箱の場合は、レール部分の長さが長くなり、バランスを調整する必要がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な機構で、折りたたまれた段ボールシートを製函し、梱包対象物に被せる一連の動作を機械的に行うことを可能にし、梱包作業効率を上げることができる製函・梱包装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る製函・梱包装置は、収容された段ボールシートを取り出し、組み立て、梱包対象物に被せる製函・梱包装置であって、段ボールシートを取り出し保持する保持部と、
第1アームと、前記第1アームの途中に回転軸により枢設された第2アームよりなる連結アームとを具備し、前記第1アームは、一端が前記保持部と連結され、他端が回転用レール上を移動可能な機構を有し、前記第2アームは、一端が前記第1アームと連結され、他端が駆動レール上を移動可能な機構を有し、前記駆動レールは、直線状であり、前記回転用レールは、直線状の部分及び屈曲した部分を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記製函・梱包装置は、前記第1アームの他端が前記回転用レール上を移動し、かつ前記第2アームの他端が前記駆動レール上を移動することにより、前記段ボールシートが取り出され、成形され、前記回転軸を中心に回転され、梱包対象物に被せられることを特徴としてもよい。
【0010】
また、前記回転用レールは、製函動作部、回転動作部、箱被せ動作部を備えることを特徴としてもよい。
【0011】
また、前記回転用レールは前記駆動レールと略平行であって、前記駆動レールからの距離が異なる第1及び第2の平行部と、前記第1及び第2の平行部を繋ぐ傾斜部を有することを特徴としてもよい。
【0012】
また、前記保持部は、吸着によって前記段ボールシートを保持する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製函・梱包装置によれば、簡単な機構で、折りたたまれた段ボールシートを製函し、梱包対象物に被せる一連の動作を機械的に行うことを可能にし、梱包作業効率を上げることができる製函・梱包装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】製函・梱包装置を含む概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】実施の形態に係る製函・梱包装置の動作を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】実施の形態に係る製函・梱包装置の動作を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】実施の形態に係る製函・梱包装置の動作を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】実施の形態に係る製函・梱包装置の動作を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図6】実施の形態に係る製函・梱包装置の動作を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】実施の形態に係る製函・梱包装置の動作を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図8】実施の形態に係る製函・梱包装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】従来のカートン施用装置の主要機構を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について以下に説明する。本実施形態では、大型液晶テレビに空洞の角柱状に成形した段ボールを被せる動作に適用した例を示す。
【0016】
図1を用いて製函・梱包装置及びその周辺の構成を説明する。図1は概略図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。製函・梱包装置は、保管部10、移動部20、ガイドレール部30、被せ部40より構成される。保管部10は、例えば上部の天井近傍に設置され、被せ部40は、例えば下部のフロア面に設置され、ガイドレール部30は保管部10と被せ部40の間に、例えば壁面に沿って設置される。それぞれの位置関係、間隔については、被せ対象物41、段ボール14の大きさ、形状により適宜決定されればよい。
【0017】
保管部10は、シート状に折りたたまれた段ボール14を収納する段ボール収納部11、シート状の段ボール14を保持する段ボール支持板12、シート状の段ボール14を筒状に成形する段ボール成形ガイド13より構成される。
【0018】
移動部20は、筒状に成形された段ボール14の形状を保つ段ボール規制ガイド21、駆動レール31上を上から下に移動し、移動部20の移動をつかさどるモーターなどで構成された駆動部22、段ボール収納部11より段ボール14を取り出し、保持する保持部23、保持部23に連結され、収縮によって段ボール14を取り出すバネ24、筒状に成形された段ボール14の回転を制御する回転制御部25、駆動部22、保持部23、回転制御部25をつなぐ連結アーム26、連結アーム26の回転軸27とから構成される。
【0019】
連結アーム26は、例えば断面略L字型の第1アーム261、第1アーム261の途中に回転軸27により枢軸された第2アーム262より構成され、第1アームの一端が保持部23と連結され、他端が回転制御部25と連結され、第2アーム262において第1アーム261と回転軸27により枢軸されていない方の端部は、駆動部22と連結されている。
【0020】
ガイドレール部30は、駆動レール31と回転用レール32より構成され、駆動レール31は、例えば床に対して垂直に設置され、駆動部22がこの上を移動する。回転用レール32は、例えば駆動レールと平行な第1の平行部321、第2の平行部322、これら2つの平行部を繋ぐ傾斜部323より構成され、回転用レール32上を回転制御部25が移動することで、製函動作、回転動作、箱被せ動作を行うことができる。この場合、第1の平行部321が製函動作部、傾斜部323が回転動作部、第2の平行部322が箱被せ動作部となる。回転用レール32の形状はこれに限られるものではなく、直線状の部分と屈曲した部分を有すればよく、駆動部22の昇降速度、保持部23が段ボール14を保持可能な許容できる回転速度(角速度)もしくは回転加速度(角加速度)により適宜決定されればよい。
【0021】
被せ部40は、被せ対象物41である大型液晶テレビの下部分を梱包する段ボール底箱42、段ボール底箱42の四方を囲むように配された段ボール被せガイド43、段ボール箱を移動させるコンベア44、コンベア44の上面に配されたローラ45、段ボール被せガイド43を昇降させる昇降部46より構成される。
【0022】
次に、図1〜図7及び本装置の動作を示すフローチャートである図8を用いて、本発明の一実施形態に係る製函・梱包装置の動作を説明する。図8におけるSは、動作の各ステップを表す。
【0023】
まず、図1に示すように、保持部23は、段ボール収納部11に収納されたシート状の段ボール14のうち、最下部の段ボール14を吸着パッドを用いて吸着し保持する(ステップS81)。保持部23は本実施形態では吸着パッドを用いているが、例えば両側面の切断面にピンを挿入して機械的に保持するなど段ボールシートを確実に保持できるものであれば、これ以外のものでも構わない。また、保持部23の形状、大きさ、数についても、段ボールシートの仕様に応じて適宜設定されればよい。
【0024】
次に、図2に示すように、段ボール支持板12が後方に退避し、最下部の段ボールシートの支持が解かれ、保持部23に保持された状態で下方部分に開放される(ステップS82)。この時点では、段ボールシートはまだ筒状に開かれていない。
【0025】
次に、図3に示すように、駆動部22が駆動レール31上を下降し、駆動部22と連結された第2アーム262、第2アームと回転軸に27により連結された第1アーム261、第1アーム261で連結された移動部20が下降する(ステップS83)。ここで、第1アーム261の他端にある回転制御部25は、回転用レール32の第1の平行部321上を下降する。このとき、シート状の段ボール14は、段ボール成形ガイド13に接触し、下降に伴って筒状に成形されていく。さらに、段ボール成形ガイド13の下部分と突き当たっている段ボール規制ガイド21は、バネ24の収縮により段ボール吸着面側に引き寄せられながら、形成された段ボール14が内部に収まりやすい位置に移動する。
【0026】
次に、図4に示すように、筒状に成形された段ボール14が、段ボール規制ガイド21に収まり、駆動部22は駆動レール31上を、回転制御部25回転レール32上を更に下降する(ステップS84)。
【0027】
次に、図5に示すように、駆動部22は駆動レール31上を更に進み、回転制御部25は、回転用レール32の傾斜部323に到達し、そのまま傾斜部323を斜め下方向に進む(ステップS85)。ここで、回転制御部25は、回転軸27からのアーム径(回転軸27から回転制御部25までの距離)が一定であって、傾斜部323による規制の制約下で動く。これにより、移動部20が側面から見て時計の針方向に回転する。この回転により、段ボール規制ガイド21に収まった成形された段ボールが90度回転し、直立した状態となる。駆動部22が移動すると、回転軸27は駆動部22と第2アーム262により連結されているので、相対的に移動する。移動部20の回転位置は、回転制御部25によって決められる。回転制御部25は、回転用レール32によって規制されている。したがって、駆動部22が下降して、回転制御部25が回転用レール32の傾斜部323に到達すると、回転制御部25は回転軸27を中心として図5(b)の時計回り方向に回転しながら下降する。駆動部22が下降するに従い、第1アーム261の回転制御部と連結した方のアーム部分は、傾斜部323と略平行にレール部分に沿うような、あるいはレール部分に収まるような状態になる。
【0028】
次に、図6に示すように、駆動部22は継続して下降し、それに伴い、回転制御部25が回転用レール32の第2の平行部322に到達し、そのまま下降する。また、移動部20は最初の状態から90度回転した状態でそのまま下降していく(ステップS86)。
【0029】
最後に、図7に示すように、段ボール14が段ボール被せガイド43に沿って下降し、段ボール14が段ボール底箱42に被せられる(ステップS87)。段ボール被せガイド43は、例えばステンレスなど、弾力性のある素材で形成されており、筒型に形成された段ボール14を段ボール底箱42に被せる際の衝撃を和らげ、確実に被せることができるように誘導する。また、段ボール14が段ボール底箱42に被せ終わると、昇降部46が下降し、段ボール被せガイド43はローラ45の隙間からコンベア44内部に収まり、ローラ45上に段ボール14及び段ボール底箱42で梱包された大型液晶テレビが載置された状態となる。この後、ローラ45により梱包された大型液晶テレビは移動し、再び昇降部46が上昇するとともに、段ボール被せガイド43もローラ45の隙間から上昇する。
【0030】
本実施形態では、連結アーム26の形状を回転制御部25、駆動部22、吸着部2、回転制御部25をつなぐ断面略逆Fの字型としたが、これに限られるものではなく、連結アーム26が、製函・梱包装置を構成する他の部品との物理的干渉の問題がなければ、例えば曲線状の形状のものでも構わない。また、駆動レール31は、本実施形態では1本としたが、複数であっても構わない。さらに、回転用レール32についても、本実施形態では2本としたが、これに限られるものではなく、形状についても、物理的に干渉せず、段ボール14を確実に回転できる形状であればどのような形状でも構わない。
【0031】
以上のような流れにより、シート状の段ボール14は、筒状に組み立てられ、被せ対象物に被せられる。駆動部22が駆動レール31上を移動し、また、回転制御部25が回転用レール32上を移動することによって、移動部20における製函、回転、被せの一連の作業がスムーズにまた、正確になされることができる。さらにガイドレール部30が壁面などに固定されているため、移動部20の回転によるモーメントの影響を受けにくく、また被せ作業の位置ずれも起こりにくくなる。
【0032】
また、段ボールシートをあらかじめ大量に段ボール収納部11にセットしておくことで、製函、回転、被せの一連の作業を繰り返し連続的に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、家電製品をはじめとする、あらゆる製品の梱包ラインにおいて幅広く適用可能であり、特に大型製品の梱包に有効である。
【符号の説明】
【0034】
10 保管部
11 段ボール収納部
12 段ボール支持板
13 段ボール成形ガイド
14 段ボール
20 移動部
21 段ボール規制ガイド
22 駆動部
23 保持部
24 バネ
25 回転制御部
26 連結アーム
27 回転軸
30 ガイドレール部
31 駆動レール
32 回転用レール
40 被せ部
41 被せ対象物
42 段ボール底箱
43 段ボール被せガイド
44 コンベア
45 ローラ
46 昇降部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容された段ボールシートを取り出し、組み立て、梱包対象物に被せる製函・梱包装置であって、
段ボールシートを取り出し保持する保持部と、
第1アームと、前記第1アームの途中に回転軸により枢設された第2アームよりなる連結アームとを具備し、
前記第1アームは、一端が前記保持部と連結され、他端が回転用レール上を移動可能な機構を有し、
前記第2アームは、一端が前記第1アームと連結され、他端が駆動レール上を移動可能な機構を有し、
前記駆動レールは、直線状であり、
前記回転用レールは、直線状の部分及び屈曲した部分を有することを特徴とする製函・梱包装置。
【請求項2】
前記製函・梱包装置は、前記第1アームの他端が前記回転用レール上を移動し、かつ前記第2アームの他端が前記駆動レール上を移動することにより、前記段ボールシートが取り出され、成形され、前記回転軸を中心に回転され、梱包対象物に被せられることを特徴とする請求項1記載の製函・梱包装置。
【請求項3】
前記回転用レールは、製函動作部、回転動作部、箱被せ動作部を備えることを特徴とする請求項1または2記載の製函・梱包装置。
【請求項4】
前記回転用レールは前記駆動レールと略平行であって、前記駆動レールからの距離が異なる第1及び第2の平行部と、
前記第1及び第2の平行部を繋ぐ傾斜部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の製函・梱包装置。
【請求項5】
前記保持部は、吸着によって前記段ボールシートを保持することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の製函・梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−246009(P2012−246009A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119061(P2011−119061)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】