説明

製函装置

【課題】 製函するときにブランク検査を行う製函装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 給紙部13及び給紙部13により給紙されるブランク4を製函部3まで搬送する搬送部2を備えた製函装置1であって、搬送部2から供給されるブランク4の片面又は両面を撮像する撮像手段5と、撮像手段5によって撮像された被検査画像と検査対象のブランク4のマスタ画像とを比較する比較手段15と、比較手段15による比較値が予め設定された許容値以上のときには当該許容値以上の箇所を欠陥箇所として検出する欠陥検出手段16とからなるブランク検査部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、製函部に搬送されるブランクを検査する製函装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製函される印刷物の良否検査としては、印刷機に検査装置を備えさせ、印刷物が印刷機から排出されるときには、良品の印刷物と不良品印刷物とを区分けして排出している。
しかしながら、良品となった印刷物は、木枠による切断及び筋付けの工程においてキズの発生、汚れの付着、切断屑の付着、切断位置のズレ等が発生するため、切断した後のブランクの検査が必要とされていた。特に、食品を入れる函(箱)では、切断屑等の異物が混入することを避けなければならなかった。さらに、医薬品等に用いられる函では、異物混入だけでなく、感染原因となる血を連想させる赤色の印刷不良や赤色の付着があるブランクを不良品として排除することが強く求められている。
【0003】
そこで、木枠によって切断及び筋付けされた多数のブランクを供給部に積層し、供給部から一枚ずつ搬送手段に搬送し、搬送手段に備えられた搬送ベルト上に搬送されたブランクを検査手段によって検査し、良品のブランクと不良品のブランクとに区分けするブランク検査装置によってブランクの良否検査を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
その後、ブランク検査装置による検査結果が良品と判定されたブランクのみを製函装置の供給部に積層し、ブランクを一枚ずつ取り出し、製函部に供給し、折りぐせ付け、糊付け、糊接着、底部の折込等を行ってブランクを製函している。
【特許文献1】特開平9−315613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ブランクの検査には、このブランクを検査するためのブランクの供給装置や搬送装置が必要となり、これら装置のコストが必要となるだけでなく、ブランク検査装置を設置するスペースも必要となり、作業スペースを有効的に使用することも困難となり、ブランク検査装置による間接的な費用も必要となっていた。
【0006】
さらに、ブランクの検査が終了した後に、製函装置に当該検査済みのブランクを供給するまでの作業中に、キズ、汚れ、異物等が付く可能性も少なからずあった。加えて、製函装置の供給部からブランクを一枚ずつ取り出すときに、ブランクにキズが発生することもあった。
【0007】
一方、ブランクの検査を行わずに、製函された状態での検査のみを行うことも可能であるが、製函された後の函の内面側を検査することは困難であるだけでなく、糊付けされた付近や折り込まれた部分に赤色の汚れがあったときには、この赤色の汚れを検出することはさらに困難であり、ブランクの状態でしか検出することができない検査もあり、ブランクの状態での検査を省略することは現実的ではなかった。
【0008】
本願発明は、係る問題に鑑み、製函するときにブランク検査を行う製函装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明に係る製函装置は、前述の課題解決のために、給紙部及び給紙部により給紙されるブランクを製函部まで搬送する搬送部を備えた製函装置であって、前記搬送部から供給されるブランクの片面又は両面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された被検査画像と、検査対象のブランクのマスタ画像とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較値が予め設定された許容値以上のときには、当該許容値以上の箇所を欠陥箇所として検出する欠陥検出手段とからなるブランク検査部を設けたことを特徴とする。
したがって、給紙部から給紙されたブランクを製函部に搬送するまでに検査を行うので、製函される直前のブランク検査が初めて可能となる。また、撮像手段によって撮像されたブランクを製函部に搬送するので、再度給紙工程を必要とせず、給紙部のスライダを通過する際のキズの発生を防ぐことが可能である。
【0010】
前記搬送部が給紙部からブランクを取り出す取り出しベルト又はローラ群を備え、当該取り出しベルト又はローラ群の上方にブランク上面側を撮像する撮像手段を設けてもよい。
【0011】
前記搬送部が前記ブランク上面を吸着する吸着ベルト又はローラ群を備え、当該吸着ベルト又はローラ群の下方にブランク下面側を撮像する撮像手段を設けてもよい。
【0012】
前記搬送部が給紙部からブランクを取り出すローラ群を備え、前記ローラ群の下方にローラ間の隙間からブランク下面側を撮像する撮像手段を設けてもよい。
【0013】
前記搬送部が給紙部からブランクを取り出す取り出しベルトと取り出しベルトから渡されたブランクを搬送する搬送ベルトを備え、これら取り出しベルト及び搬送ベルトの間の隙間を通過するブランクの片面または両面を撮像する撮像手段を備えてもよい。
【0014】
前記ブランク検査部を、給紙部及び搬送部とともにユニット化してもよい。
【0015】
前記撮像手段を前記製函部内に設け、前記製函部内を搬送されるブランクの片面又は両面を撮像してもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上にしてなる本願発明に係る製函装置は、給紙部から製函部まで搬送されるブランクを検査した後に製函処理が行われるので、ブランクの検査を行うことができる製函装置を得ることができる。つまり、従来のようなブランクの検査のみを行うブランク検査装置が必要としなくなり、ブランク検査装置のコストやスペースも必要なくなる。特に、従来ではブランク検査時の搬送工程と製函時の搬送工程との2つの搬送工程があったが、本願発明ではこの搬送工程を1つに纏めることができるので、搬送工程に必要な機材の統一化によるコスト削減、機材統一による設置スペースの省略化、搬送工程の統一による作業時間の省略化等のメリットを得ることができる。つまり、ブランク検査装置による直接的、間接的なコストを削減することが可能となる。
また、給紙部のスライダを通過した後のブランクを検査するので、スライダを通過した際に生じるブランクのキズを検出することができ、より精度の高い検査を行うことができる。
【0017】
取り出しベルト又はローラ群によって搬送されるブランクの上面を撮像するので、給紙部から取り出されたブランクの上面を検査することができる。
【0018】
吸着ベルト又は吸着ローラ群によって吸着されたブランクの下面を撮像するので、給紙部から取り出されたブランクの下面を検査することができる。また、ブランクの上面を吸着保持して搬送するので、ブランクのズレやこれによる検査精度の低下を回避することができる。
【0019】
ブランクを取り出すローラ群の下方に撮像手段を設けローラ間の隙間からブランクの両面又は片面を撮像し、検査することができる。特に、透明又は半透明のブランクの場合には、背景板又は照明手段により背景を均一化させることができ、背景の影響をなくすことができ、精度の高い検査を行うことができる。
【0020】
ブランク検査部を給紙部及び搬送部とともにユニット化しているので、既存の製函装置に当該ユニットを接続することができる。したがって、低コストで既存の製函装置をブランク検査機能を備えた製函装置とすることができる。つまり、高額な製函装置を買い換えることなく検査機能を備えた製函装置にできる。
【0021】
製函部に撮像手段に備え、製函部内を搬送されるブランクの片面又は両面を撮像するので、製函中に生じたキズ等を検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本願発明に係る製函装置を図面に基づいて説明する。
図1は、既存の製函装置18に、ブランク検査部と給紙部13と搬送部2と共にユニット化した検査ユニット17を配設した製函装置1の概略図である。
図中1は製函装置、2は搬送部、4はブランク、5は撮像手段、6は照明手段、7は取り出しベルト、8は吸着ベルト、9は搬送ベルト、10は区分手段、11はスライダ、12は集積部、13は給紙部、17は検査ユニット、18は既存の製函装置、26は既存の製函装置に備えられたスライダをそれぞれ示している。
前記検査ユニット17と既存の製函装置18とは、図示しない連結手段によって連結され、製函装置として稼働中は一体化されている。
【0023】
本願発明に係る製函装置1は、図1に示すように、給紙部13に積層された複数のブランク4,…,4が、取り出しベルト7によって最下部に位置するブランク4が一枚ずつ取り出される。取り出されたブランク4は取り出しベルト7上を搬送されているときに、その上面を撮像手段5aによって撮像される。そして、ブランク4が吸着ベルト8まで搬送されると吸着ベルト8によってその上面が吸着され、ブランク4の下面側を撮像手段5bによって撮像され、搬送ベルト9に搬送される。そして搬送ベルト9によって一枚ずつ搬送されたブランク4は、既存の製函装置18によって、折りぐせ付け、糊付け、糊接着、底部の折込等を行うとともに、区分手段10によって良品と不良品とを区分けさせ、集積部12まで搬送される。
【0024】
前記検査ユニット17には、ブランク検査部、給紙部13及び搬送部2とを備えている。また、製函部3としての既存の製函装置18は、検査ユニット17から一枚ずつ搬送されたブランク4を搬送しながら製函し、良品と不良品とを区分する。
なお、前記搬送ベルト9は、既存の製函装置18に備えられている給紙部の取り出しベルトである。つまり、検査ユニット17から一枚ずつブランク4が搬送されるので、既存の製函装置18に備えられた給紙部のスライダ26等を使用する必要性が無く、既存の製函装置18の給紙部の取り出しベルト9を搬送用のベルトとして使用する。なお、検査ユニット17から搬送されるブランク4を既存の製函装置18の搬送部に搬送してもよい。
【0025】
図1に示すように、ブランク4の上面は、取り出しベルト7の上方に設けられた撮像手段5aによって撮像される。また、撮像手段5aの撮影領域を照明する照明手段6aも取り出しベルト7の上方に設けられている。
【0026】
前記取り出しベルト7の上方に設けられる撮像手段5aは、給紙部13のスライダ11と、ブランク4の上方に配設される搬送手段(図1では吸着ベルト8)との間の領域を上面側の撮像領域とし、この撮像領域を単又は複数の照明手段6によって照明されたブランク4の上面を撮像しているが、ブランク4の上方に配設された搬送ベルト(図示しない)と搬送ベルト(図示しない)との隙間を撮像領域とすることもできる。しかし、図1に示すように、スライダ11と吸着ベルト8(搬送ベルト)との間の領域を撮像領域とすることによりスライダ11を通過した直後のブランク4の上面を撮像することができるので、スライダ11との接触によって生じるキズを検出できるだけでなく、検査ユニット17の搬送路長を短くすることも可能となる。
なお、図1では取り出しベルト7のほぼ真上に撮像手段5aを配設しているが、例えば、搬送路方向斜め上方からブランク4の上面を撮像してもよい。
【0027】
また、図1に示すように、ブランク4の下面は、ブランク4上面を吸着する吸着ベルト8の下方に設けられる撮像手段5bによって撮像される。また、撮像手段5bの撮影領域を照明する照明手段6bも吸着ベルト8の下方に設けられる。
【0028】
前記吸着ベルト8の下方に設けられる撮像手段5bは、ブランクの下面に接して搬送する搬送手段(図1では取り出しベルト7)と搬送手段(図1では搬送ベルト9)との間の領域を撮像領域とし、この撮像領域を単又は複数の照明手段6によって照明されたブランク4の下面を撮像している。なお、図1では取り出しベルト7と搬送ベルト9との隙間を撮像領域としているがこれに限定するものでは無く、ブランク4の下面に接して搬送する搬送手段と搬送手段との隙間を撮像領域とすることもできる。
なお、図1では取り出しベルト7のほぼ真下に撮像手段5bを配設しているが、例えば、搬送路方向斜め下方からブランク4の下面を撮像してもよい。
【0029】
前記撮像手段5は、ブランクの幅方向に所定間隔をおいた単又は複数のCCDラインセンサ等の撮像カメラが設けられている。ブランク4の下方に配設される撮像手段5は、図8,9に示すように、撮像カメラ51と反射板52とを備え、撮像カメラ51のほぼ水平方向に延びた光軸を反射板52によって斜め上方に光軸の方向を変えている。このように、反射板により撮影カメラ51の光軸の向きを変えることにより、例えば搬送手段と床面との距離が短い搬送部2であっても、撮像カメラ51と撮像領域間の光学的距離を得ることができ、撮像カメラ51の撮像領域を広くすることが可能となる。
【0030】
撮像手段5によって画像が撮像されると、ブランク検査部27は、図5に示すように、前記撮像手段5から出力される多階調画像データと、マスタ画像記憶手段14に記憶されているマスタ画像との濃度レベルを比較手段15が比較し、濃度レベルの差が予め設定された許容値以上のときには、欠陥検出手段16が当該許容値以上の領域を欠陥箇所として検出し、欠陥箇所を有する不良品は製函部3に備えられた区分手段10に制御信号を送信し、当該制御信号を受信した区分手段10によって良品と区分けされたブランク4は集積部12に集積される。
なお、ブランク4の両面を検査するときには、前記マスタ画像記憶手段14に上面側と下面側の双方のマスタ画像データを記憶し、上面側と下面側のそれぞれのマスタ画像と被検査画像とを比較する。
【0031】
図1では、ブランク4の両面を検査するために2つの撮像手段5a,5bを用いて撮像をしているが、印刷ズレや切断ズレ等を検査するだけであれば、一方の撮像手段5のみでよい。
例えば、製函されたときの外面側にパッケージデザインが、内面側に説明書等がそれぞれ印刷されているときには、2つの撮像手段5a,5bとによってブランク4の上面側と下面側の双方を撮像し、ブランク4の両面を検査する。
また、製函されたときの外面側にパッケージデザインが印刷され、内面側に印刷がされていないときなどには、外面側のみを検査する。このようなときには、当該外面側を撮像する撮像手段5b(又は5a)のみを配設し、外面側のみを撮像してブランク4の検査を行う。当然のことながら、ブランク4の上面側と下面側のそれぞれに撮像手段5a,5bを配設し、検査対象の外面側の撮像手段5b(又は5a)のみを撮像してもよい。
さらに、飲料用の紙パックのように内部に食品を入れる箱の場合には、内面側の異物の混入を防ぐために内面側のみを検査することがある。このようなときには、当該内面側を撮像する撮像手段5a(又は5b)のみを配設し、内面側のみを撮像してブランク4の検査を行う。当然のことながらブランク4の上面側と下面側のそれぞれに撮像手段5a,5bを配設し、検査対象の内面側の撮像手段5a(又は5b)のみを撮像してもよい。
【0032】
前記照明手段6は、1つの光源であってもよいが、図8に示すように、3つの光源61,61,61によって多方向からブランク4の被検査面を照明することにより、エンボス加工されたブランクのエンボス部分に影が生じ無いようにして精度の高い検査を行う。また、ブランク4に金属箔等がある場合にも、多様な方向から撮像領域を照明するので、金属箔やコート紙等の光沢のあるブランクの検査を行うことができる。なお、図示されていない照明用反射板を光源61に備えさせ、被検査面に照射する光量を増大させる。
【0033】
また、前記照明手段6を、図9に示すように、ブランク4の幅方向側面から見た断面形状が楕円形の一部を欠く形状をなす反射鏡62と、当該楕円形の一方の焦点63aに設けられる内部光源64とから構成してもよい。また、当該楕円形の反射鏡62のブランク4側の焦点63bをブランク4の検査面上、又は当該検査面の上方もしくは下方に所定距離離間して位置するように配置する。また、楕円形の反射鏡62には、ブランク4の幅方向に沿ってスリット65が備えられ、当該スリット65を通して撮像可能となっている。つまり、光源64が1つであっても、楕円形の反射鏡62によって撮像領域を多様な方向から照明するので、金属箔やコート紙等の光沢のあるブランクやエンボス加工されたブランクの検査を行うことができる。
【0034】
前記吸着ベルト8は、多孔帯ベルトの上面側に吸引ボックス(図示しない)を設け、当該吸引ボックスからエアを吸引することにより、ブランク4を多孔帯ベルトに吸着保持させて搬送する。この吸着ベルト8はブランク4の上面側を吸着した状態で搬送ベルト9まで搬送するので、ブランク4のバタつきを抑えることができ、ブランク4の下面側を正確に撮像可能としている。
なお、吸着ベルト8の代わりに、吸着ローラ(図示しない)を用いてブランク4を搬送し、ブランク4のバタつきを抑え、当該ブランク4の下面側を正確に撮像可能としている。例えば、搬送方向に回転駆動される複数のローラを配設し、各ローラの前後の隙間からエアを吸引することにより吸着ローラが構成される。
【0035】
前記吸着ベルト8によって搬送されたブランク4は、既存の製函装置18に一枚ずつ搬送され、製函及び良品と不良品とに区分される。
【0036】
このように、検査ユニット17が既存の製函装置18の給紙部又は搬送部にブランク4を一枚ずつ搬送し、ブランクの片面又は両面を検査したブランク4を既存の製函装置18が製函するので、1つの製函装置1でブランク検査工程と製函工程を行うことができる。さらに、既存の製函装置18に検査ユニット17を配設することによって、既存の製函装置18をブランク検査が可能な製函装置とすることができる。つまり、高額な製函装置を買い換えることなく、検査機能が無い製函装置を検査機能を備えた製函装置とすることができる。さらに、従来はブランク検査装置と製函装置との2つの装置によって、ブランクの検査工程と製函工程とを行っているが、1つの製函装置で検査工程と製函工程とを行うことができる。つまり、1つに纏めることにより、給紙部13、搬送部2、区分手段10を検査工程及び製函工程で共用することができ、これらの機材に必要なコストを削減することができるだけでなく、設置スペースも少なくすることができる。
【0037】
図1では搬送手段として取り出しベルト7、吸着ベルト8、搬送ベルト9等のベルトによってブランク4を搬送しているが、図2及び図3に示すように搬送ローラ群25,…,25を設けてブランク4を搬送してもよい。前記搬送ローラ群25は、ブランク4の幅方向(搬送方向に対して垂直方向)に複数のローラが配設されている。ブランク4の下面側を撮像する撮像手段5d,5fは、前記ローラ群25の下方に設けられ、ローラ群25,25の前後の隙間を撮像領域として、この撮像領域を通過するブランク4を撮像する。
また、図2及び図3に示すように、ブランク4の上面側を撮像するときには、給紙部13のスライダ11と搬送ベルト28との隙間を撮像領域とし、当該撮像領域を撮像するための撮像手段5c,5eをブランク4の上面側に配設する。
【0038】
また、図2及び図3に示しているように、搬送路にはブランク4の上面側と下面側にガイド29,30が配設されている。ブランク4は給紙部から毎秒20枚程度で供給され、ブランク4は高速で搬送路上を搬送されるので、ガイド29,30によって搬送時のバタつきを抑えている。なお、図1、図4〜6、図8〜10では、前記ガイド29,30を図示していないだけである。当然のことながら、ガイド29、30は、撮像手段5によるブランク4の撮像領域以外に配設され、撮像手段5による撮像の邪魔にならないように配設している。
【0039】
ブランク4の両面を撮像するときには、図2に示すように、上面側の撮像手段5cの光軸と下面側の撮像手段5dの光軸とが異なるように撮像手段5c,5dを配設してもよいし、図3に示すように、上面側の撮像手段5eの光軸と下面側の撮像手段5fの光軸とが重なるように撮像手段5e,5fを配設してもよい。
図2に示すように、上面側の撮像手段5c及び下面側の撮像手段5dの光軸が重ならないようにすると、搬送路上の撮影領域が上面側と下面側とで異なるので、前記ガイドの一方のみを開放すればよいので、ブランク4のバタつきを抑えることができるというメリットがある。一方、搬送路上に2つの検査領域を設けているため搬送路を長くしなければならない。しかしながら、図2に示すように、ローラ群25,25の隙間にスライダ11を配置させたときには、スライダ11の下方に撮像手段5dを配設することが可能となり、ブランク検査部、給紙部及び搬送部とをユニット化したときに、当該ブランク検査ユニットの搬送路方向を短くすることができ、製函装置を小型化することができる。
一方、図3に示すように、上面側の撮像手段5e及び下面側の撮像手段5fの光軸が重なるようにすると、搬送路上の撮影領域が上面側と下面側とで重なるので、検査のために必要とされる搬送路の長さを短くすることができ、検査ユニット17(製函装置1)の搬送路方向の長さを、短くすることができる。
【0040】
また、図4及び図5に示すように、取り出しベルト7と、当該取り出しベルト7から渡されるブランク4を搬送する搬送手段22との間の隙間を通過するブランクを撮像してもよい。
【0041】
図4に示すように、ブランク4の両面を撮像手段5g,5hで撮像するときには、前記取り出しベルト7と前記搬送手段22との隙間と、取り出しベルト7の上部に配設された搬送手段20と前記搬送手段22の上部に配設された搬送手段21との隙間とが、上下方向に連なるように搬送手段7,20,21,22を配設する。
ブランク4の上方に備えられた撮像手段5gは、搬送手段20と搬送手段21との隙間を通過するブランク4の上面を撮像する。また、ブランク4の下方に備えられた撮像手段5hは、取り出しベルト7と搬送手段22との隙間を通過するブランク4の下面を撮像する。
図4に示すように、上方側の撮像手段5gの光軸と下方側の照明手段6hの光軸とが重なるように、かつ、下方側の撮像手段5hの光軸と上方側の照明手段6gの光軸とが重なるように配設したときには、紙のような不透明な材質のブランクだけでなく、透明又は半透明の材質のブランクの検査を行うことができる。つまり、図1〜3で示したブランク検査部で透明又は半透明なブランク4の検査をするときには、ブランク4を透過した背景も撮像するために、正確な検査が行うことができなかった。そこで、上述のように、撮像手段5g,5h、照明手段6g,6hとを配設することにより、ブランク4の上面を検査するときには、ブランク4の上面を照明手段6gが照明すると共に、照明手段6hからの照明光がブランク4を透過して撮像手段5gに入射するので、照明手段6hからの照明によりブランク4の背景が照明光により均一になりブランク4の背景の影響を無くし、当該透明又は半透明のブランク4の上面を検査することができる。また、ブランク4の下面の検査も上面の検査と同様に、照明手段6hがブランク4の下面を照明すると共に、照明手段6gからの照明光がブランク4を透過して撮像手段5hに入射するので、照明手段6gからの照明によりブランク4の背景が照明光により均一になりブランク4の背景の影響をなくし、当該透明又は半透明なブランク4の下面を検査することができる。
なお、ブランク4の上面のみを検査するときには、上方側の撮像手段5gと上方側の照明手段6gと下方側の照明手段6hとを配設し、ブランク4の下面のみを検査するときには、下方側の撮像手段5hと下方側の照明手段6hと上方側の照明手段6gとを配設する。
【0042】
また、図5に示すように、透明又は半透明のブランク4の下面のみを検査するときには、搬送されるブランク4の上方に配設される搬送手段20と搬送手段21との間に背景板19を、ブランク4の下方に撮像手段5iと照明手段6iとをそれぞれ配設することにより背景の影響を背景板19により均一化し、透明又は半透明のブランク4の下面の検査を行う。なお、前記背景板19の表面は、ブランク4の地色及び印刷色とは異なった単一色かつ光沢が殆どないように構成する。
なお、ブランク4の上面のみを検査するときには、取り出しベルト7と搬送手段22との隙間でブランク4の下方側に背景板19を配設し、撮像手段5と照明手段6とをブランク4の上方に配設し、搬送手段20と搬送手段21との隙間を通過するブランク4の上面を撮像する。
また、背景板19を用いて透明又は半透明なブランク4の両面を検査するときには、図5に示したように、ブランク4の下面を検査した後に、上述したように上面を検査することにより両面検査を行うことができる。
【0043】
図1では既存の製函装置18に検査ユニット17を備えさせて、ブランクの検査を行う製函装置1としているが、図6に示すように、ブランク検査部、給紙部13、搬送部2、製函部3、集積部12とを一体化させた製函装置1とすることもできる。一体化することにより、搬送ベルト等を省略することもでき、搬送路長を短くすることもできる。
【0044】
さらに、図10に示すように、搬送ベルト24によって正常な位置関係で搬送されているブランク4aは、製函部3に搬送されると糊付領域23に糊付け及び貼り付け処理され製函されるが、正常な位置関係で搬送されていないブランク4bは、製函部3に搬送されると糊付領域23に糊付けが十分に行われないため、製函されるものの糊付け領域が小さいために強度不足になることがある。
そこで、前記比較手段15は、前記被検査画像又はマスタ画像のいずれか一方を搬送方向にのみ位置補正し、位置補正した画像と他方の画像とを比較することで、図7に示したようなブランク4の搬送時の位置ズレに基づく不良品も検出することができる。
【0045】
なお、上述の実施例では、撮像手段5と照明手段6とを搬送部2の上方や下方に備えさせ、搬送部に搬送されるブランクの上面や下面を撮像しているが、図11に示すように、製函部3内に撮像手段5j,5kと照明手段6j,6kとを備えさせ、製函されたブランク(カートン)を撮像してもよい。また、折りぐせのみが付けられた状態のブランクや糊接着された状態のような製函途中のブランク(カートン)を撮像し、ブランクの良否を判定してもよい。このように製函部3でブランク4を撮像するので、折りぐせを付ける工程等のように製函工程で発生したキズ等も検出することができる。
【0046】
図11で示すように製函部3で撮像するには、前記搬送ベルト9,31の上方に撮像手段5jと照明手段6jとを備え、製函機32と製函機33との隙間を搬送されるブランク4の上面を撮像する。又、搬送ベルト9,31の下方に撮像手段5kと照明手段6kとを備え、搬送ベルト9と搬送ベルト31の隙間を搬送されるブランク4の下面を撮像する。なお、図11では、ブランク4の上面と下面の双方を撮像し検査しているが、いずれか一方であってもよく、そのときには検査を行う面を撮像する撮像手段5と照明手段6とを備えさせればよい。
また、図1〜6に示すように搬送路の上方及び下方の一方もしくは双方に撮像手段5と照明手段6とを設けると共に、図11で示すように製函部3にも撮像手段5j,5kと照明手段6j,6kとを備えさせて、製函される直前のブランク4の良否検査と製函された直後のブランク4(カートン)の良否検査を1つの製函装置で行うこともできる。この場合には、給紙部から取り出されたブランクのキズを検出できるだけでなく、製函工程で発生したキズも検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】検査ユニットを既存の製函装置に備えた製函装置の説明図である。
【図2】搬送手段にローラ群を用い、撮像手段の光軸が重ならないように配設した製函装置の説明図である。
【図3】搬送手段にローラ群を用い、撮像手段の光軸が重なるように配設した製函装置の説明図である。
【図4】取り出しベルトと搬送ベルトの隙間を検査領域とした製函装置の説明図である。
【図5】取り出しベルトと搬送ベルトの隙間に背景板を備えた製函装置の説明図である。
【図6】ブランク検査部、給紙部、搬送部、製函部、集積部とを一体化させた製函装置の説明図である。
【図7】ブランク検査部のブロック図である。
【図8】照明手段として複数の光源を用いたときの説明図である。
【図9】照明手段として楕円形の反射鏡を用いたときの説明図である。
【図10】搬送ベルトを搬送されているブランクの説明図である。
【図11】製函部に撮像手段を備えた製函装置の説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 製函装置
2 搬送部
3 製函部
4 ブランク
5 撮像手段
6 照明手段
7 取り出しベルト
8 吸着ベルト
9 搬送ベルト
10 区分手段
11 スライダ
12 集積部
13 給紙部
14 マスタ画像記憶手段
15 比較手段
16 欠陥検出手段
17 検査ユニット
18 既存の製函装置
19 背景板
20 搬送手段
21 搬送手段
22 搬送ベルト
23 糊付領域
24 搬送ベルト
25 搬送ローラ群
26 スライダ
27 ブランク検査部
28 搬送ベルト
29 ガイド
30 ガイド
31 搬送ベルト
32 製函機
33 製函機
51 撮像カメラ
52 反射板
61 光源
62 反射鏡
63 焦点
64 内部光源
65 スリット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙部及び給紙部により給紙されるブランクを製函部まで搬送する搬送部を備えた製函装置であって、
前記搬送部から供給されるブランクの片面又は両面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された被検査画像と、検査対象のブランクのマスタ画像とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較値が予め設定された許容値以上のときには、当該許容値以上の箇所を欠陥箇所として検出する欠陥検出手段とからなるブランク検査部を設けたことを特徴とする製函装置。
【請求項2】
前記搬送部が給紙部からブランクを取り出す取り出しベルト又はローラ群を備え、当該取り出しベルト又はローラ群の上方にブランク上面側を撮像する撮像手段を設けてなる請求項1記載の製函装置。
【請求項3】
前記搬送部が前記ブランク上面を吸着する吸着ベルト又はローラ群を備え、当該吸着ベルト又はローラ群の下方にブランク下面側を撮像する撮像手段を設けた請求項1又は2に記載の製函装置。
【請求項4】
前記搬送部が給紙部からブランクを取り出すローラ群を備え、前記ローラ群の下方にローラ間の隙間からブランク下面側を撮像する撮像手段を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の製函装置。
【請求項5】
前記搬送部が給紙部からブランクを取り出す取り出しベルトと取り出しベルトから渡されたブランクを搬送する搬送ベルトを備え、これら取り出しベルト及び搬送ベルトの間の隙間を通過するブランクの片面または両面を撮像する撮像手段を備えてなる請求項1〜4のいずれかに記載の製函装置。
【請求項6】
前記ブランク検査部を、給紙部及び搬送部とともにユニット化してなる請求項1〜5のいずれかに記載の製函装置。
【請求項7】
前記撮像手段を前記製函部内に設け、前記製函部内を搬送されるブランクの片面又は両面を撮像してなる請求項1〜6記載の製函装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−127029(P2008−127029A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311869(P2006−311869)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000109200)ダックエンジニアリング株式会社 (13)
【Fターム(参考)】