説明

製品梱包装置および方法

【課題】 製品梱包装置において、製品を梱包した梱包袋の外観品質をより高める。
【解決手段】 製品挿入手段40により、一端10Kに開口15を有し他端10Jが閉じられている、開口15が開いた箱形状をなすガセット袋10の上記開口15を通して製品をガセット袋10の底面側部分11に挿入した後、張力付与手段60により、ガセット袋10の開口側部分12の前後面壁10Fbに対して一端10Kと他端10Jとを結ぶ縦方向の張力を与えつつ、開口閉じ手段50によりガセット袋10の開口側部分12を前後方向(図中矢印Y方向)に押し潰してこの開口側部分12を平板状に折り畳んで開口15を閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製品梱包装置および方法に関し、詳しくは、一端に開口を有し他端が閉じられた梱包袋を用いて製品を梱包する製品梱包装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、梱包袋の開口を通してこの梱包袋内に製品を挿入した後、上記開口を閉じて製品を梱包する梱包装置が知られている。このような梱包装置としては、水平方向に向けた開口を通して梱包袋内に製品を挿入するときにこの開口の縁が製品と接触しないように上記開口の拡がりを保持するもの(特許文献1参照)、あるいは、上に向けた開口を通して梱包袋内に製品を挿入した後、この梱包袋の開口の縁部に折り目を入れて開口を閉じるもの(特許文献2参照)等が知られている。
【特許文献1】特開平8−31052号公報
【特許文献2】特開平8−217002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、梱包袋を用いて製品を梱包する装置には従来より様々な工夫が施されているが、従来の製品梱包装置においては、梱包袋内への製品の挿入中に梱包袋の側面と製品とが接触したり、あるいは梱包袋の開口を閉じるときにこの梱包袋の側面にたるみが生じたりして製品を梱包したときに梱包袋に皺が生じ、上記製品を梱包した梱包袋の外観が損なわれるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製品を梱包した梱包袋の外観品質をより高めることができる製品梱包装置および方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の製品梱包装置は、一端に開口を有し他端に底面を有している、前記開口が開いた箱形状をなす梱包袋のこの開口を通して、製品を前記梱包袋の底面側部分に挿入する製品挿入手段と、梱包袋の開口側部分を前後方向に押し潰すことにより開口側部分を平板状に折り畳んで前記開口を閉じる開口閉じ手段とを備えた製品梱包装置であって、開口を閉じる際に、前記開口側部分の前後面に対して前記一端と他端とを結ぶ縦方向の張力を与える張力付与手段を備えたことを特徴とするものである。
【0006】
前記開口側部分とは、梱包袋中の開口が存在する側の部分を意味するものである。
【0007】
前記底面側部分とは、梱包袋中の底面が存在する側の部分であって、梱包袋中の上記開口側部分とは反対側の部分を意味するものである。
【0008】
前記前後方向とは、箱形状をなす梱包袋の底面から立ち上げた特定の側面に対して直交する方向を意味するものであり、上記特定の側面と上記前後方向においてこの特定の側面に対向する側面とが前記前後面となる。
【0009】
前記張力付与手段は、前記箱形状をなす梱包袋の前後面の開口の縁部を狭持する狭持部を有し、該狭持部が、前記梱包袋の開口側部分の前後方向への押し潰しに伴う前記開口縁部の移動に抗して前記張力を生ぜしめつつこの開口縁部が前記狭持部からすり抜けるように前記開口縁部を狭持するものとすることができる。
【0010】
前記製品梱包装置は、前記箱形状をなす梱包袋を開口を下に向けて保持する袋保持手段を備え、製品挿入手段を、前記開口が下を向くように保持された梱包袋に対して、前記開口の下方に位置させた製品を上方向に相対的に移送するものとすることができる。
【0011】
前記下方は、鉛直方向の下方、すなわち重力に引かれる方向を意味するものである。
【0012】
前記製品梱包装置は、開口閉じ手段によって平板状に折り畳まれた開口側部分の前記他端の側を口折チャックでクランプし、該口折チャックで前記開口側部分をしごきながらこの口折チャックを他端の側から一端の側に移動させた後、この口折チャックを回転させて開口側部分を折り返す口折手段を備えたものとすることができる。
【0013】
本発明の製品梱包方法は、一端に開口を有し他端に底面を有している、前記開口が開いた箱形状をなす梱包袋の該開口を通して、製品を前記梱包袋の底面側部分に挿入し、前記梱包袋の開口側部分を前後方向に押し潰すことによりこの開口側部分を平板状に折り畳んで前記開口を閉じる製品梱包方法であって、前記開口を閉じる際に、前記開口側部分の前後面に対して前記一端と他端とを結ぶ縦方向の張力を与えることを特徴とするものである。
【0014】
前記縦方向の張力を与えるときに、前記梱包袋の開口側部分の前後方向への押し潰しに伴う前記開口の縁部の移動に抗して前記張力を生ぜしめつつ該開口縁部が前記狭持部からすり抜けるようにこの開口縁部を狭持するようにしてもよい。
【0015】
前記製品を前記梱包袋の底面側部分へ挿入する際に、前記開口が下を向くように前記梱包袋を保持し、この梱包袋に対して、前記開口の下方に位置させた前記製品を上方向に相対的に移送するようにしてもよい。
【0016】
前記平板状に折り畳まれた開口側部分の前記他端の側を口折チャックでクランプし、該口折チャックで前記開口側部分をしごきながらこの口折チャックを前記他端の側から一端の側に移動させた後、該口折チャックを回転させて前記開口側部分を折り返すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の製品梱包装置および方法によれば、開口を閉じる際に、開口側部分の前後面に対して一端と他端とを結ぶ縦方向の張力を与えるようにしたので、上記張力により開口側部分の前後面に生じた皺を延ばすことができ、上記皺を延ばしつつ開口側部分を押し潰してこの開口側部分を平板状に折り畳むことができるので、梱包袋の開口側部分に皺が生じないように製品を梱包することができる。これにより、製品を梱包した梱包袋の外観品質をより高めることができる。
【0018】
また、縦方向の張力を与えるときに、梱包袋の開口側部分の前後方向への押し潰しに伴う上記開口の縁部の移動に抗して上記張力を生ぜしめつつこの開口縁部が上記狭持部からすり抜けるようにこの開口縁部を狭持するようにすれば、より確実に上記張力を発生させることができ、製品を梱包した梱包袋の外観品質をより確実に高めることができる。
【0019】
また、製品を梱包袋の底面側部分へ挿入する際に、開口が下を向くように梱包袋を保持し、この梱包袋に対して、上記開口の下方に位置させた製品を上方向に相対的に移送するようにすれば、梱包袋における皺の発生を抑制することができ、製品を梱包した梱包袋の外観品質をより高めることができる。すなわち、例えば、開口を水平方向に向けた梱包袋や、開口を上に向けた梱包袋に製品を挿入するときには、製品を保持してこの製品を梱包袋内に挿入する際に、製品と梱包袋の側面との間に製品保持部を通すスペースを確保する必要がある。これに対して、開口を下に向けた梱包袋に製品を挿入するときには、例えば、製品よりサイズの小さな台座の上にこの製品を載置したまま梱包袋内に上記製品を挿入することができるので、この製品を梱包袋内に挿入する際に、製品と梱包袋の側面との間に上記製品以外のものを通すスペースを確保する必要がなく、製品を梱包袋内に挿入する際のこの挿入方向と直交する方向への上記製品の変動の許容量を大きくすることができ、製品あるいは製品保持部と梱包袋の側面との接触を抑制することができるので、上記梱包袋における皺の発生を抑制することができる。
【0020】
また、平板状に折り畳まれた開口側部分の上記他端の側を口折チャックでクランプし、上記口折チャックで前記開口側部分をしごきながらこの口折チャックを他端の側から一端の側に移動させた後、この口折チャックを回転させて開口側部分を折り返すようにすれば、口折チャックで開口側部分の皺を延ばしてからこの開口側部分の折り返しを実施することができるので、製品の梱包時に梱包袋に生じる皺の発生をさらに抑えることができ、製品を梱包した梱包袋の外観品質をさらに高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態の製品梱包方法を実施する製品梱包装置の概略構成を示す斜視図であり、図中の記号(a)から(f)は製品を梱包する工程の順番を示している。図2は梱包袋である箱形状をなすガセット袋を開口が下を向くように示す斜視図、図3はガセット袋成形工程における各部の動作を示す斜視図で上記図1(c)を拡大して示したものである。図4はガセット袋の保持工程、開口縁部の狭持工程、製品挿入工程における各部の動作を示す斜視図で上記図1(d)を拡大して示したものである。図5は製品把持工程、張力付与を伴う袋閉じ工程における各部の動作を示す斜視図で上記図1(e)を拡大して示したものである。図6は口折工程、口折部テーピング工程における各部の動作を示す斜視図で上記図1(f)を拡大して示したものである。
【0022】
図示の製品梱包装置は、製品100を梱包袋であるガセット袋10で梱包するものであり、一端10Kに開口15を有し他端10Jに閉じられている底面壁を有するガセット袋10を、上記開口15が開いた箱形状をなすように成形する成形手段20と、開口15が開いた箱形状をなすガセット袋10を保持する袋保持手段30と、袋保持手段30に保持されたガセット袋10の開口15を通して製品100をこのガセット袋10の底面側部分11に挿入する製品挿入手段40と、ガセット袋10の開口側部分12を、前後方向(図中矢印Y方向)に押し潰すことにより開口側部分12を平板状に折り畳んで上記開口15を閉じる開口閉じ手段50と、開口15を閉じる際に、開口側部分12の前後面壁10Fbに対して一端10Kと他端10Jとを結ぶ方向(縦方向)の張力を与える張力付与手段60とを備えている。
【0023】
なお、上記前後面壁10Fbは、箱形状をなすガセット袋10の底面壁10Bから立ち上げた互いに対向する2つの側面壁であり、ここでは、ガセット袋10の底面壁10Bから立ち上げた側面壁のうちの折り目が付いていない方の壁面である(図2参照)。
【0024】
上記ガセット袋10は、上記前後方向の壁面である前後面壁10Fbには折り目が無く、左右方向(図中矢印X方向)の壁面である左右面壁10Lrのそれぞれには谷折りの折り目が一端10Kから他端10Jに向かう方向に付けられている。このガセット袋10は上記箱形状に成形される前は上記左右面壁の折り目に沿って折り畳まれて平板形状を成している。なお、上記前後面壁10Fbは、前面壁10Fと後面壁10Bとからなり、左右面壁10Lrは、左面壁10Lと右面壁10Rとからなるものである。また、このガセット袋は、紙、不織布、あるいは樹脂等の材料からなるものとすることができる。
【0025】
成形手段20は、図1および図3に示すように、ガセット袋10を前後方向から吸引する多数の吸引部21と、ガセット袋10の底面壁10Bを形成するために他端10Jの側から(図中矢印Z方向の上方から)ガセット袋10に接近する底面成形板22と、ガゼット袋10の開口15を通ってこのガゼット袋10の内部に入り、ガセット袋10が箱形状をなすようにこのガセット袋10を押し広げる成形ローラ23とを備えている。
【0026】
袋保持手段30は、図1および図4に示すように、開口15が開いた箱形状をなすガセット袋10を開口15を下に向けて保持するものであり、ガセット袋10の開口15の縁部である開口縁部15Fの前後面壁10Fbにおける内側にそれぞれ挿入され、箱形状のガセット袋10の位置およびその開口15の開口状態を保持する一対の開口保持板31A、31B(まとめて、開口保持板31ともいう)を有するものである。なお、上記一対の開口保持板31は、後述する狭持部61の一部を兼用するものである。
【0027】
製品挿入手段40は、図1および図4に示すように、袋保持手段30により開口15が下方を向くように保持されたガセット袋10に対して、台座41上に載置した開口15の下方に位置させた製品100を上方に移送し、ガセット袋10の底面側部分11に製品100を挿入するものである。なお、この製品挿入手段は、袋保持手段30により保持されたガセット袋10を、そのまま袋保持手段30とともに下方に移送して、製品100がガセット袋10の底面側部分11に挿入されるようにするものであってもよい。
【0028】
なお、台座41の水平面への投影サイズは製品の水平面への投影サイズより小さいので、上記台座41に載置された製品100を上方から見たときには、台座41は製品100に隠れて見えない。
【0029】
開口閉じ手段50は、図1および図5に示すように、ガセット袋10の開口15の内側に挿入された上記一対の開口保持板31と干渉しないように、このガセット袋10の前後方向(図中矢印Y方向)から互いに接近してガセット袋10の開口側部分12を押し潰す一対の袋閉じ板51A、51B(まとめて、袋閉じ板51ともいう)と、左右方向から見たときにY字形状をなす上記左右方向に延びる平板からなる一対の折り目板52を有する。
【0030】
上記一対の折り目板52は、ガセット袋10に予め付けられている他端10Jから一端10Kの方向(上下方向である図中矢印Z方向)に延びる谷折りされた折り目に沿ってガゼット袋10の左右面壁10Lrの開口側部分12を左右方向(図中矢印X方向)の両側から内側に押し込むとともに、上記左右面壁10Lrの開口側部分12における他端10Jの側にV字形状の折り目を新たに付ける。上記Y字形状をなす一対の折り目板52によってマチが形成される。
【0031】
張力付与手段60は、図1、図4および図5に示すように、箱形状をなすガセット袋10の前後面壁Fbの開口縁部15Fのそれぞれを狭持する狭持部61A、61B(まとめて狭持部61ともいう)を有し、この狭持部61が、ガセット袋10の前後方向への開口側部分12の押し潰しに伴う開口縁部15Fの移動に抗して上記張力Hを生ぜしめつつ開口縁部15Fが上記狭持部61からすり抜けるようにこの開口縁部15Fを狭持する。
【0032】
狭持部61Aは、上記開口保持板31Aと、この開口保持板31Aとの間に上記開口縁部15Fを狭持する押え板62Aとで構成され、狭持部61Bは、上記開口保持板31Bと、この開口保持板31Bとの間に上記開口縁部15Fを狭持する押え板62Bとで構成されている。なお、上記押え板62A、62Bをまとめて押え板62ともいう。
【0033】
上記製品梱包装置は、図1、および図6に示すように、開口閉じ手段50により、押し潰され平板状に折り畳まれたガセット袋10の開口側部分12の他端10Jの側を口折チャック71でクランプして、口折チャック71で開口側部分12をしごきながらこの口折チャック71を他端10Jの側から一端10Kの側に移動させ、その後、口折チャック71を回転させて開口側部分12を折り返してガセット袋10内に製品100を密封する口折手段70を備えている。
【0034】
なお、上記成形手段20、袋保持手段30、製品挿入手段40、開口閉じ手段50、張力付与手段60、および口折手段70それぞれの駆動機構は省略しているが、これらの駆動機構としては従来より知られているものを用いることができ、例えば、スライド機構としてはレール上に移動台を移動させるボール・レールシステム、あるいはエアスライドシステム等を採用することができ、回転機構としてはボールベアリング、空気軸受等を採用することができ、駆動力伝達機構としては、カム機構、リンク機構、ラック・ピニオン機構、ボールネジ・ボールブッシュ機構、エアスライド機構、あるいはピストン・シリンダ機構等を採用することができる。また、駆動原としては、モータ、油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ等を採用することができる。
【0035】
また、上記製品梱包装置の全体の動作および各動作の同期等はコントローラ(図示は省略)によって制御される。
【0036】
次に、上記実施の形態の製品梱包装置の作用について製品を梱包する工程の順に説明する。
【0037】
<ガセット袋供給工程>
図1の(a)、(b)に示すように、ストッカー81に載置された平板状に畳まれたガセット袋10は、閉じられている他端10Jが供給用把持部82によって把持されて、この他端10Jが上を向く姿勢で搬送され、次の工程であるガセット袋成形工程に投入される。
【0038】
<ガセット袋成形工程>
図3に示すように、平板状に畳まれたガセット袋10の前後面壁10Fbを構成する前面壁10Fと後面壁10Bが、多数の吸引部21によってそれぞれ吸引され前面壁10Fと後面壁10Bとの間隔が拡大し開口15を広げる。つづいて、他端10Jの側から(図中矢印Z方向の上方側から)下方に向けて底面成形板22が接近しガセット袋10の他端10Jの側が潰されて底面壁10Bの概略形状が成形される。その後、前後方向に回転軸を有する一対の成形ローラ23が開口15を通してガセット袋10の内部に挿入される。一対の成形ローラ23は、ガセット袋10の底面壁10Bを底面成形板22とこの成形ローラ23との間に挟んでこの底面壁10Bを押圧しながら、底面壁10Bの中央から左右方向にそれぞれ移動し底面壁10Bを平面状に成形する。
【0039】
なお、上記底面壁10Bの概略形状を成形する工程と、上記一対の成形ローラ23をガセット袋10の内部に挿入し、一対の成形ローラ23で底面壁10Bを平面状に成形する工程との実施順番を入れ替えるようにしてもよい。
【0040】
つづいて、一対の成形ローラ23はガセット袋10の左右面壁10Lrを押圧しながら下方に移動してこの左右面壁10Lr中の谷折りされた折り目を伸ばして左面壁10Lおよび右面壁10Rを平面状に成形する。上記成形手段20による成形の結果、ガゼット袋10が押し広げられて箱形状のガゼット袋10が成形される(図2参照)。その後、一対の成形ローラ23はガゼット袋10から離れる。
【0041】
<ガセット袋の保持工程>
図4に示すように、袋保持手段30は、上記ガセット袋成形工程により箱形状に成形されたガセット袋10の開口15の縁部である開口縁部15Fの上記前後面壁10Fbの内側に一対の開口保持板31A、31Bを挿入し、ガセット袋10の位置およびその開口15の開口状態を保持する。その後、次の工程に移行する。
【0042】
<開口縁部の狭持工程>
図4に示すように、張力付与手段60は、押え板62Aをガセット袋10の前面壁10Fの外側から、上記開口縁部15Fの内側に挿入された開口保持板31Aに向けて接近させ、この押え板62Aと開口保持板31Aとの間に開口縁部15Fを狭持するとともに、押え板62Bをガセット袋10の後面壁10Bの外側から、上記開口縁部15Fの内側に挿入された開口保持板31Bに向けて接近させ、この押え板62Bと開口保持板31Bとの間に開口縁部15Fを狭持する。
【0043】
その後、多数の吸引部21はガセット袋10の前後面壁10Fbの吸引を停止し、これらの吸引部21、および上記底面成形板22がガセット袋10から離れ、次の工程に移行する。
【0044】
<製品挿入工程>
図4に示すように、製品挿入手段40は、台座41上に載置した開口15の下方に位置させた製品100を上方に向けて移送し、開口15を通してガセット袋10の底面側部分11に製品100を挿入する。
【0045】
<製品把持工程>
図5に示すように、1対の把持部45が、ガセット袋10の外側から前後方向(図中矢印Y方向)に互いに接近して底面側部分11へ製品挿入手段40によって挿入された製品100をガセット袋10を介して把持する。その後、次の工程に移行する。
【0046】
<張力付与を伴う袋閉じ工程>
以下、張力付与を伴う袋閉じ工程を図5、および図7を参照して説明する。図7は張力付与を伴う袋閉じ工程における各部の動作を順に示す図であり、図7(a1)から(d1)はガセット袋の前面壁が手前となるように前後方向からこのガセット袋を見た図、図7(a2)から(d2)はガセット袋の右面壁が手前となるように左右方向からこのガセット袋を見た図である。
【0047】
図7(a1)、(a2)に示すように、開口閉じ手段50が、一対の袋閉じ板51A,51Bを、ガセット袋10の開口側部分12の前後方向(図中矢印Y方向)の両側から互いに接近させる(図7(a2)参照)。これとともに、開口閉じ手段50は、一対の折り目板52を、ガゼット袋10の開口側部分12を左右方向(図中矢印X方向)の両側から互いに接近させる(図7(a1)参照)。
【0048】
次に、図7(b1)、(b2)に示すように、互いに接近する一対の袋閉じ板51A,51Bが、ガセット袋10の前後面壁10Fbを前後方向(図中矢印Y方向)の両側から押し潰し始める(図7(b2)参照)。また、一対の折り目板52が、ガセット袋10の左右面壁10Lrの上記谷折りされた折り目を内側に押し込みはじめる(図7(b1)参照)。さらに、上記一対の袋閉じ板51による、ガセット袋10を押し潰しながらの接近に同期して、ガセット袋10の前面壁10Fにおける開口縁部15Fを狭持している開口保持板31Aおよび押え板62Aからなる狭持部61Aと、ガセット袋10の後面壁10Bにおける開口縁部15Fを狭持している開口保持板31Bおよび押え板62Bとからなら狭持部61Bとが開口縁部15Fを狭持したまま前後方向(図中矢印Y方向)に互いに接近する(図7(b2)参照)。
【0049】
次に、図7(c1)、(c2)に示すように、一対の袋閉じ板51A,51Bの間隔がさらに接近すると、この動作に同期して狭持部61A,61Bの互いの間隔もさらに接近する。そして、ガセット袋10の開口縁部15Fが、上記一対の袋閉じ板51による押し潰しに応じて上方に移動する(図7(c2)参照)。
【0050】
すなわち、一対の把持部45がガセット袋10の底面側部分11を介して製品100を把持しているので、ガセット袋10の前後面壁10Fbの底面側部分11の位置は固定されており、箱形状をなすガセット袋10の開口側部分12が一対の袋閉じ板51によって押し潰されるにしたがって開口縁部15Fが上方(一端10Kから他端10Jへ向かう方向)に引き上げられる。
【0051】
このとき、開口縁部15Fが上記狭持部61A,61Bそれぞれの狭持力に抗して一端10Kから他端10Jに向かって移動するので、前後面壁10Fbに一端10Kと他端10Jとを結ぶ方向の(縦方向の)張力Hが生じ(図7(c1)参照)、これにより前後面壁10Fbの皺が延びる。
【0052】
また、一対の折り目板52が、ガセット袋10の左右面壁10Lrを内側にさらに押し込むことにより上記左右面壁10Lrの開口側部分12における他端10Jの側にV字形状の折り目を新たに付く。したがって、上記左右面壁10Lrの開口側部分12にY字形状の折り目が付く(図7(c1)参照)。
【0053】
次に、図7(d1)、(d2)に示すように、一対の袋閉じ板51A,51Bの間隔がさらに接近して、ガセット袋10の開口側部分12が前後方向に完全に押し潰されて開口15が閉じる(図7(d2)参照)。一方、上記一対の袋閉じ板51による押し潰しに応じて上方(他端10Jの方向)に移動する開口縁部15Fは、狭持部61A、61Bの間からすり抜ける(図7(d2)参照)。
【0054】
また、一対の折り目板52は互いに離れる方向に移動し、ガセット袋10の左右面壁10Lrの折り目から抜け出る(図7(d1)参照)。
【0055】
そして、開口側部分12の前後面壁10Fbに皺が発生することなく、この開口側部分12が平板状に折り畳まれる。
【0056】
<口折工程>
次に、図6に示すように、口折手段70が、1対の口折チャック71を左右方向(図中矢印X方向)から互いに接近させて、平板状に折り畳まれたガセット袋10の開口側部分12の他端10Jの側をクランプし、この1対の口折チャック71で開口側部分12をしごきながらこの口折チャック71を他端10Jの側から一端10Kの側に向けて開口15の先端まで移動させる。つづいて、1対の口折チャック71を回転させて開口側部分12を折り返してガセット袋10内に製品100を密封する。その後、1対の口折チャック71は左右方向に互いに離れる方向に移動し開口側部分12から外れる。
【0057】
<口折部テーピング工程>
最後に、図6、および図1の(f)、(g)に示すように、折り返された開口側部分12が、テープ接着器85によって供給される接着テープ85Sで接着され固定されて製品100の梱包が終了する。
【0058】
上記のように、張力付与手段によって付与された張力により開口側部分の前後面壁の皺を延ばしつつ開口側部分を押し潰してこの開口側部分を平板状に折り畳むことができるので、梱包袋の開口側部分に皺が生じないように製品を梱包することができる。これにより、製品を梱包した梱包袋の外観品質をより高めることができる。
【0059】
上記実施の形態では、一対の折り目板52でガゼット袋10の左右面壁10Lrを両側から押し込む例を示したが、必ずしも上記折り目板52を備える必要はなく、この折り目板52を除いても上記と同様の皺を延ばす効果を得ることができる。
【0060】
また、開口は、下に向けて保持する場合に限らず、開口を横方向あるいは上方向に向けて保持した状態で製品を挿入し開口側部分を閉じる場合であっても上記と同様の皺を延ばす効果を得ることができる。
【0061】
張力付与手段は、必ずしも狭持部で開口縁部を狭持する方式に限らず、ガセット袋の開口側部分を前後方向に押し潰して平板状に折り畳む際に、この開口側部分に張力を付与することができればどのような方式を採用してもよい。
【0062】
なお、上記実施の形態においてはガセット袋を用いて製品を梱包する場合について説明したが、本発明の製品梱包装置はガセット袋以外の、例えばマチがついていない袋を用いての製品梱包にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態による製品梱包装置の概略構成を示す斜視図
【図2】箱形状をなすガセット袋を示す斜視図
【図3】図1(c)を拡大したガセット袋成形工程における各部の動作を示す斜視図
【図4】図1(d)を拡大した開口縁部の狭持工程等における各部の動作を示す斜視図
【図5】図1(e)を拡大した張力付与を伴う袋閉じ工程等における各部の動作を示す斜視図
【図6】図1(f)を拡大した口折工程等における各部の動作を示す斜視図
【図7】張力付与を伴う袋閉じ工程における各部の動作を順に示す図
【符号の説明】
【0064】
10 ガセット袋
10Fb 前後面壁
11 底面側部分
12 開口側部分
10K 一端
10J 他端
15 開口
20 成形手段
30 袋保持手段
40 製品挿入手段
50 開口閉じ手段
60 張力付与手段
61 狭持部
100 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口を有し他端に底面を有している、前記開口が開いた箱形状をなす梱包袋の該開口を通して、製品を前記梱包袋の底面側部分に挿入する製品挿入手段と、
前記梱包袋の開口側部分を前後方向に押し潰すことにより該開口側部分を平板状に折り畳んで前記開口を閉じる開口閉じ手段とを備えた製品梱包装置であって、
前記開口を閉じる際に、前記開口側部分の前後面に対して前記一端と他端とを結ぶ縦方向の張力を与える張力付与手段を備えたことを特徴とする製品梱包装置。
【請求項2】
前記張力付与手段が、前記箱形状をなす梱包袋の前後面の前記開口の縁部を狭持する狭持部を有し、該狭持部が、前記梱包袋の開口側部分の前後方向への押し潰しに伴う前記開口縁部の移動に抗して前記張力を生ぜしめつつ該開口縁部が前記狭持部からすり抜けるようにこの開口縁部を狭持するものであることを特徴とする請求項1記載の製品梱包装置。
【請求項3】
前記箱形状をなす梱包袋を前記開口を下に向けて保持する袋保持手段を備え、前記製品挿入手段が、前記開口が下を向くように保持された梱包袋に対して、前記開口の下方に位置させた前記製品を上方向に相対的に移送するものであることを特徴とする請求項1または2記載の製品梱包装置。
【請求項4】
前記開口閉じ手段によって平板状に折り畳まれた開口側部分の前記他端の側を口折チャックでクランプし、該口折チャックで前記開口側部分をしごきながらこの口折チャックを前記他端の側から一端の側に移動させた後、該口折チャックを回転させて前記開口側部分を折り返す口折手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の製品梱包装置。
【請求項5】
一端に開口を有し他端に底面を有している、前記開口が開いた箱形状をなす梱包袋の該開口を通して、製品を前記梱包袋の底面側部分に挿入し、前記梱包袋の開口側部分を前後方向に押し潰すことにより該開口側部分を平板状に折り畳んで前記開口を閉じる製品梱包方法であって、
前記開口を閉じる際に、前記開口側部分の前後面に対して前記一端と他端とを結ぶ縦方向の張力を与えることを特徴とする製品梱包方法。
【請求項6】
前記縦方向の張力を与えるときに、前記梱包袋の開口側部分の前後方向への押し潰しに伴う前記開口の縁部の移動に抗して前記張力を生ぜしめつつ該開口縁部が前記狭持部からすり抜けるようにこの開口縁部を狭持することを特徴とする請求項5記載の製品梱包方法。
【請求項7】
前記製品を前記梱包袋の底面側部分へ挿入する際に、前記開口が下を向くように前記梱包袋を保持し、該梱包袋に対して、前記開口の下方に位置させた前記製品を上方向に相対的に移送することを特徴とする請求項5または6記載の製品梱包方法。
【請求項8】
前記平板状に折り畳まれた開口側部分の前記他端の側を口折チャックでクランプし、該口折チャックで前記開口側部分をしごきながらこの口折チャックを前記他端の側から一端の側に移動させた後、該口折チャックを回転させて前記開口側部分を折り返すことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項記載の製品梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−27690(P2006−27690A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210905(P2004−210905)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】