説明

製紙スラッジの処理方法および処理装置

【課題】製紙スラッジの焼成灰Qを再利用して段ボール等に用いられる板紙を製造するのに適切な粒径の粒子をより効率的に分離する。
【解決手段】製紙スラッジを焼成した焼成灰Qを、上部内壁に開口した排出孔11Dに対向して仕切り壁11Eが設けられた分離水槽11内において、仕切り壁11Eの排出孔11Dとは反対側に供給して大粒子と小粒子と中粒子とに分離し、このうち中粒子を抜き出して粉砕した後に、粒径の大きな粉砕大粒子と粒径の小さな粉砕小粒子とに分級し、粉砕大粒子は分離水槽11内の仕切り壁11Eの排出孔11Dとは反対側に、粉砕小粒子は仕切り壁11Eの排出孔11D側に供給し、この粉砕小粒子と仕切り壁11Eの排出孔11D側に浮上した小粒子とを排出孔11Dから排出して板紙の原料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙工程において発生する製紙スラッジを、段ボール等に用いられる板紙の原料の一部として再利用するための製紙スラッジの処理方法および処理装置に開するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は廃棄物として処理されていた製紙スラッジを、このように再利用して処理する方法および装置としては、例えば特許文献1〜5に、製紙スラッジをロータリーキルンや流動炉等によって焼成した焼成灰を白色顔料や填料として製紙原料に混合して白色度の高い紙を製造することが提案されている。また、特許文献6には、このような製紙スラッジの焼成灰を破砕して分級し、板紙の製造に用いるパルプ原料に嵩密度を上げるためにやはり填料として混合したり、抄紙した複数の紙の間に塗工して積層したりすることが提案されている。
【特許文献1】特開2001−11337号公報
【特許文献2】特開2001−26727号公報
【特許文献3】特開2002−167523号公報
【特許文献4】特開2004−176208号公報
【特許文献5】特許第3729453号公報
【特許文献6】特開2006−328572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このうち特許文献1〜5に記載のように製紙スラッジの焼成灰を白色顔料や填料として用いる場合には、その焼成物に一定以上の白色度やより微細な粒径分布が要求されるため、焼成の際の温度等の管理が煩雑となったり、ボールミルのような高価な機器によって焼成物をより細かく粉砕しなければならなくなったりして、製紙工程で発生した製紙スラッジの多くを再利用するのは困難となったり、高コストとなったりするおそれがある。
【0004】
一方、特許文献6に記載のように上記焼成物を段ボール等に用いられる板紙に添加したり、多層の紙の間に塗工したりする場合には、焼成物に必要以上の白色度が求められることがなく、また粒径の分布も比較的大きな範囲でよい。しかしながら、このように焼成灰を段ボール等の板紙の填料として再利用する場合でも、この特許文献6に記載されているように適切な粒径の範囲があり、特に所定の平均粒径よりも大きいと、抄紙された板紙に穴が空いたり強度が低下したりして、段ボール等の板紙として用いるには不適合なものとなる。従って、工業上実用的により多くの製紙スラッジを再利用するには、製紙スラッジを焼成した焼成灰からこのような適切な粒径の粒子を効率よく分離して板紙の原料と混合する必要がある。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、多くの製紙スラッジの焼成灰を再利用して段ボール等に用いられる板紙を製造するに際し、このような板紙に添加するのに適切な粒径の粒子をより効率的に分離することが可能な製紙スラッジの処理方法、および該処理方法に用いる処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の製紙スラッジの処理方法は、製紙スラッジを焼成した焼成灰を、上部内壁に排出孔が開口するとともにこの排出孔に対向して仕切り壁が設けられた分離水槽内において、この仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給して、粒径が大きくて上記分離水槽底部に沈降する大粒子と、粒径が小さくて上記分離水槽上部に浮上する小粒子と、これら大粒子と小粒子との間の粒径で上記分離水槽中部に浮遊する中粒子とに分離し、このうち上記中粒子を上記分離水槽から抜き出して粉砕した後に、粒径の大きな粉砕大粒子と粒径の小さな粉砕小粒子とに分級し、上記粉砕大粒子は上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給する一方、上記粉砕小粒子は上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔側に供給し、この粉砕小粒子と上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔側に浮上した上記小粒子とを該排出孔から排出して板紙の原料とすることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の製紙スラッジの処理装置は、製紙スラッジを焼成する焼成手段と、上部内壁に排出孔が開口するとともにこの排出孔に対向して仕切り壁が設けられ、上記焼成手段により焼成された焼成灰が上記仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給されて、この焼成灰を、粒径が大きくて底部に沈降する大粒子と、粒径が小さくて上部に浮上する小粒子と、これら大粒子と小粒子との間の粒径で中部に浮遊する中粒子とに分離する分離水槽と、このうち上記中粒子を上記分離水槽から抜き出して粉砕する粉砕手段と、この粉砕手段によって粉砕された上記中粒子を粒径の大きな粉砕大粒子と粒径の小さな粉砕小粒子とに分級して、上記粉砕大粒子は上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給する一方、上記粉砕小粒子は上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔側に供給する分級手段と、この粉砕小粒子と上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔側に浮上した上記小粒子とを該排出孔から排出して板紙の原料とする排出手段とを備えること特徴とする。
【0008】
このように構成された製紙スラッジの処理方法および処理装置において、分離水槽内に供給された製紙スラッジの焼成灰は、板紙の原料と混合したりすることによりその一部として再利用するのに適した粒径の小さな小粒子が分離水槽上部に浮上して上記仕切り壁の下から排出孔が開口した側へと流入する一方、混合するのに適さない粒径の大きな大粒子は分離水槽底部に沈降するため、かかる大粒子が排出孔から排出されることはない。そして、これら大粒子と小粒子との間の粒径の中粒子は分離水槽中部を浮遊しているところから抜き出されて粉砕された後に分級され、そのうちでも粒径の小さな粉砕小粒子は分離水槽内の仕切り壁の排出孔側に供給されて上記小粒子とともに排出孔から排出され、板紙の原料として再利用される。
【0009】
一方、こうして分級されたうち粒径の大きな粉砕大粒子は、分離水槽内の仕切り壁を挟んで排出孔とは反対側に戻されて分離水槽中部を浮遊し、さらに上記中粒子とともに抜き出されて粉砕され、粉砕小粒子と粉砕大粒子としてそれぞれ再び分離水槽の仕切り壁を挟んで排出孔側とその反対側とに供給される。従って、こうして焼成灰の粒子を粉砕、分級して分離水槽に循環させることにより、再利用するのに適した粒径の比較的小さな小粒子や粉砕小粒子を効率的に分離して板紙原料とすることができ、また残りのうち中粒子や粉砕大粒子も粉砕されてその一部が粉砕小粒子として分離水槽から排出されるので、より多くの製紙スラッジを再利用することが可能となる。
【0010】
また、このような製紙スラッジの処理装置において、上記焼成手段に、該焼成手段から排出された排ガスから焼成灰を捕集して、上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給する捕集手段を備えるなどして、上記処理方法において、製紙スラッジを焼成した際の排ガスから捕集された焼成灰を、上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給することにより、こうして排ガスから捕集された焼成灰の小粒子をも、板紙原料の一部として効率的に再利用することができる。
【0011】
ここで、このような捕集手段において捕集された排ガス中の焼成灰の小粒子は、例えば空気輸送装置などによって圧送されて上記分離水槽に供給されてもよいが、上記処理装置においては、この捕集手段に、回収水を保持して上記排ガスから捕集された焼成灰が供給される回収水槽と、この回収水槽の焼成灰が分散した上記回収水を上記分離水槽に供給する回収水供給手段とを備えて、上記処理方法においては、排ガスから捕集された焼成灰を回収水が保持された回収水槽に供給して、この焼成灰が分散した上記回収水を上記分離水槽に供給することにより、この捕集手段によって捕集した焼成灰を飛散させたりすることなく効率的に分離水槽に供給して再利用することが可能となる。
【0012】
また、特にこのような場合、上記処理装置にあっては、それぞれに上記回収水槽と回収水供給手段とを備えた複数段の上記捕集手段を備えて、少なくともこのうち一つの捕集手段の上記回収水供給手段は他の一つの捕集手段の上記回収水槽に接続するとともに、この他の一つの捕集手段の上記回収水供給手段は上記分離水槽に接続し、上記処理方法にあっては、上記製紙スラッジを焼成した際の排ガス中の焼成灰を、それぞれ上記回収水槽を備えた複数段の上記捕集手段によって捕集するとともに、このうち少なくとも一つの捕集手段の上記回収水を他の一つの捕集手段の上記回収水槽に供給し、この他の一つの捕集手段の上記回収水を上記分離水槽に供給することにより、後段の捕集手段ほど分散した焼成灰の小粒子が増大して分離水槽に供給されるので、一層効率的な製紙スラッジ焼成灰の再利用を図ることができる。
【0013】
一方、上記処理装置における焼成手段を、横置きされた軸線回りに回転するロータリーキルンとして、上記製紙スラッジが供給される一端側から他端側に向けて順に乾燥部、熱分解・ガス化部、および焼成部を形成するとともに、これら乾燥部、熱分解・ガス化部、および焼成部のそれぞれに上記製紙スラッジに独立して燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給手段を備えて、上記処理方法においては、上記製紙スラッジを、この横置きされた軸線回りに回転するロータリーキルンの一端側から供給して他端側に送り出しつつ、乾燥工程、熱分解・ガス化工程、および焼成工程を経て焼成するとともに、これら乾燥工程、熱分解・ガス化工程、および焼成工程のそれぞれにおいて上記製紙スラッジに独立して燃焼用空気を供給することにより、乾燥部における乾燥工程、熱分解・ガス化部における熱分解・ガス化工程、および焼成部における焼成工程のそれぞれにおいて炉内温度を独立して制御することが可能となり、板紙原料の一部として再利用するのにより適した嵩密度、粒度、白色度を有する焼成灰を生成することが可能となる。
【0014】
また、上記粉砕手段としては、パイプラインホモミキサーに代表される粉砕ポンプや、ローラミル、ビーズミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル、カッター式ミル、およびセラミックスボール等の媒体攪拌式粉砕機などのような粉砕機を採用するのが望ましい。このような粉砕ポンプまたは粉砕機によれば、分離水槽の中粒子を抜き出して粉砕するとともにポンプによって上記分級手段に圧送することができるので、効率的である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の製紙スラッジの処理方法および処理装置によれば、製紙スラッジの焼成灰から、段ボール等に用いられる板紙の原料として好適な粒径の粒子を効率的に分離することができ、これによって工業上実用的により多くの製紙スラッジを再利用して処理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1および図2に基づいて本発明の製紙スラッジの処理装置の第1の実施形態を説明するとともに、これに合わせて本発明の製紙スラッジの処理方法の一実施形態についても説明する。図1において符号1で示すのは、本実施形態における焼成手段としてのロータリーキルンであり、このロータリーキルン1では、横置きされた軸線回りに回転する円筒状のキルン本体2の一端側(図1において左側)から被処理物である製紙スラッジPがスクリューコンベア等の供給機3により供給されて、他端側(図1において右側)に送り出されるうちに、このキルン本体2の一端側に設けられた図示されない熱風発生炉から吹き込まれた熱風により加熱されて焼成され、他端側の排出部2AからCa、Al、およびSiO等の無機物を主とする焼成灰Qとして排出される。なお、このロータリーキリン1に供給する披処理物については、製紙スラッジPだけではなく、パルパー、スクリーン粕および活性汚泥や余剰汚泥についてもこれと混合して焼成するようにしてもよい。
【0017】
ここで、このキルン本体1の外周には、炉内に燃焼用空気を吹き込む3つのブロア4A〜4Cが、その炉内への燃焼用空気の吹き込み口を上記軸線の方向に間隔をあけるようにして一端側から他端側に順に配設されていて、これらのブロア4A〜4Cはそれぞれの燃焼用空気の吹き込みによる供給量が互いに独立して制御可能とされている。そして、こうして互いに独立した供給量で燃焼用空気が供給されることにより、炉内には一端側から他端側に向けて順に、供給された製紙スラッジPを乾燥する乾燥工程を行う乾燥部1Aと、この乾燥した製紙スラッジPを還元燃焼させて熱分解・ガス化する熱分解・ガス化工程を行う熱分解・ガス化部1Bと、こうして熱分解・ガス化した製紙スラッジPを焼成して上記焼成灰Qを生成する焼成工程を行う焼成部1Cとが形成される。
【0018】
ここで、本実施形態の処理方法では、上記乾燥工程、熱分解・ガス化工程、焼成工程の順に燃焼用空気の供給量が多くなるようにされており、これにより炉内温度は、乾燥部1Aでは200〜400℃の範囲とされ、熱分解・ガス化部1Bでは400〜800℃の範囲とされ、焼成部1Cでは800〜1000℃の範囲とされるように制御させられている。また、特にこの焼成部1Cにおいては、このような温度で炉内の気体が2秒以上滞留した後に、排出部2Aから排ガスRとして排出されるようになされており、こうして排出させられた排ガスRは、図示されない廃熱ボイラやスクラバー等を経て、図2に示す本実施形態の捕集手段としてのバグフィルタ5に給送されるようになされている。
【0019】
一方、ロータリーキルン1の上記排出部2Aは、図2に示すように冷却水が満たされた冷却水槽6内に気密に連結されており、焼成灰Qはこの冷却水槽6で冷却された後、冷却水を含んだままのスラリー状で該冷却水槽6内に敷設された傾斜コンベア7によって上方に搬送され、ロータリー式の解砕機8によって粗破砕されて水平コンベア9上に供給される。そして、この水平コンベア9上で焼成灰Qはさらに水分が付与されるとともに磁選機10によって鉄類が除去され、分離水槽11内に落下させられて供給される。
【0020】
この分離水槽11は、上部が縦方向に延びる中心線を有する円筒状で、中部から底部にかけてはこの円筒と同軸で底部側に向かうに従い漸次縮径する円錐状とされたものであり、上部の開口部は蓋体11Aにより覆われるとともに、この蓋体11Aには上記中心線上の位置に攪拌機11Bが設けられている。また、分離水槽11の底部下端にはバルブを有する排出管11Cが設けられている。
【0021】
さらに、この分離水槽11の上記上部の内壁には、この分離水槽11内に保持される分離水Sの水位と略等しい高さの位置に排出孔11Dが設けられるとともに、この排出孔11Dが設けられた内壁部分には該内壁と間隔をあけるようにして排出孔11Dと対向する仕切り壁11Eが、この排出孔11Dを取り囲んで縦方向に延びるように設けられている。ここで、この仕切り壁11Eと内壁との下側の開口部は分離水槽11の上部の略下端縁の位置にあって分離水S中に開放されるとともに、上側の開口部は上記蓋体11Aの直下にあって、排出孔11Dや分離水Sの水位よりも高い位置に開放されている。
【0022】
そして、上記焼成灰Qは、蓋体11Aの中央部近傍において攪拌機11Bを避けた位置から、この仕切り壁11Eによって仕切られた分離水槽11上部の上記排出孔11Dとは反対側の分離水S中に供給される。また、本実施形態では、上記捕集手段としてのバグフィルタ5に、給送された排ガスR中から捕集された焼成灰Qを収容するホッパー5Aが備えられており、このホッパー5Aもロータリーバルブ5Bを介して分離水槽11に接続されていて、収容した焼成灰Qが分離水槽11の上部から仕切り壁11Eの排出孔11Dとは反対側に供給可能とされている。
【0023】
このように分離水槽11内に供給された焼成灰Qは、上記攪拌機11Bによって攪拌されつつ分離水S中に分散し、その粒子の大きさに応じて作用する浮力により、粒径の大きな大粒子は分離水槽11内の底部に沈降して上記排出管11Cから適宜排出される一方、逆に粒径の小さな小粒子は分離水槽11内上部の分離水S中に浮上して浮遊し、この小粒子の一部は上記仕切り壁11Eと内壁との下側の開口部からこの仕切り壁11Eと排出孔11Dが開口した側の内壁との間に流入する。さらに、これら大粒子と小粒子との間の粒径の中粒子は分離水槽11内の中部に浮遊することになる。なお、これらの粒子の平均粒径は、例えば大粒子が300〜2000μm、中粒子が100〜300μm、小粒子が10〜100μm程度の範囲とされる。
【0024】
さらに、分離水槽11内の中部には抜き出し管11Fが挿入されており、この抜き出し管11Fの先端は上記中心線上で下向きに開口させられているとともに、後端は本実施形態における粉砕手段としての粉砕ポンプ12に接続されている。この粉砕ポンプ12は、内部に収容されたスクリューを回転させることにより、抜き出し管11Fから分離水槽11内の中部に浮遊する焼成灰Qの中粒子を分離水Sごと吸引して抜き出し、この中粒子をより小さな粒径へと粉砕するとともに分離水Sとともに加圧して排出するものであり、好ましくは、タービン羽根とステーターによる2段破砕方式で、回転はインバーター制御による変速運転とされ、密閉方式はダブルメカニカルシールとされた、パイプラインホモミキサー型式のものが採用される。そして、こうして粉砕されて排出された粉砕粒子は、必要に応じて一部がバルブ11Gを介して分離水槽11の仕切り壁11Eを挟んで上記排出孔11Dとは反対側に戻される。
【0025】
一方、この粉砕粒子の残りあるいは全部は、本実施形態における分級手段としての振動篩13に送られて、そのうちでも十分に粉砕されなかった比較的粒径の大きな粉砕大粒子と、これよりも粒径の小さな粉砕小粒子とに分級される。すなわち、この振動篩13は、内部に所定の目開き量の傾斜した篩13Aが配置された容器13Bが振動モータ等の加振手段13Cによって振動可能とされたものであって、上部から上記粉砕粒子が供給されたこの容器13Bに振動を加えることにより、上記目開き量よりも大きな粒径の粉砕大粒子は篩13A上に残り傾斜に沿って移動して回収される一方、この目開き量より小さな粒径の粉砕小粒子は篩13A下に落ちて、この篩13A下に配置されたさらに目開き量の極小さい篩13D上を移動し、回収される。
【0026】
そして、こうして回収された粉砕小粒子は、上記分離水槽11の上部のうち仕切り壁11Eによって仕切られた排出孔11D側に蓋体11Aを通して供給される一方、粉砕中粒子はこの排出孔11Dとは反対側にやはり蓋体11Aを通して供給される。なお、この粉砕小粒子の平均粒径は分離水槽11内で上部に浮上する小粒子と同程度の例えば10〜100μm程度とされ、中粒子を粉砕したうちでもこれより粒径の大きなものが粉砕大粒子として回収される。
【0027】
さらに、このように仕切り壁11Eの排出孔11D側に供給された粉砕小粒子と、上述のように仕切り壁11E下側の開口部からこの仕切り壁11Eの排出孔11D側に流入した上記小粒子とは、この排出孔11Dから排出されて攪拌機14Aを備えた調整槽14に供給され、さらに水分含有量が調整されたスラリーTとしてスラリーポンプ15により板紙の製造工程に供給され、この板紙の原料と混合されて抄紙されるなどして、板紙原料の一部とされる,一方、仕切り壁11Eの排出孔11Dとは反対側に供給された粉砕大粒子は分離水槽11中部に浮遊し、上記中粒子とともに再び抜き出し管11Fから抜き出されて粉砕ポンプ12により粉砕され、振動篩13によって分級される。
【0028】
このように、上記構成の製紙スラッジPの処理装置、および該処理装置による上記構成の処理方法においては、焼成手段としてのロータリーキルン1から排出されて分離水槽11に供給された製紙スラッジPの焼成灰Qのうち、粒径の小さな小粒子と、中粒子が粉砕、分級された粉砕小粒子とが排出孔11Dから排出されて板紙の原料の一部として再利用される。従って、焼成灰Qのうちの大粒子は勿論、中粒子やこれを粉砕したうちでも粒径の大きな粉砕大粒子がそのまま板紙原料と混合されたりするようなことがなく、すなわち上述のような適正な粒径の範囲よりも大きな粒子が混合されるのを防ぐことができるので、このような粒子によって板紙に穴が空いたり強度が低下したりすることもない。
【0029】
なお、分離水槽11に供給された焼成灰Qのうち、上記小粒子よりもさらに粒径の小さい微小粒子は、これが小粒子や粉砕小粒子とともに板紙原料と混合されたりしても、その混合量が極端に多すぎなければ上述の板紙に穴が空いたり強度が低下したりするような問題が生じることは少ない。しかも、このような微小粒子は分離水槽11内の分離水Sの水面に浮遊することになるのに対し、本実施形態の処理装置では上記仕切り壁11Eの上側の開口部はこの分離水Sの水位よりも高い位置にあるので、このような微小粒子が仕切り壁11Eの排出孔11D側に流入するのを抑えることができる。
【0030】
また、中粒子を粉砕して分級した粒子においても、上記粉砕小粒子よりさらに粒径の小さい微小粒子は振動篩13の2段目の篩13D下にふるい落とされるので、これが分離水槽11に戻されるのも防ぐことができる。従って、本実施形態によれば、板紙の原料に混合するのに適した範囲の粒径の小粒子や粉砕小粒子のみを分離することができて、粒径が小さすぎる粒子が混合されることも防ぎ、一層確実な製紙スラッジPの再利用を図ることが可能となる。
【0031】
一方、振動篩13において粉砕小粒子と分級された粉砕大粒子は、分離水槽11に戻された後に抜き出し管11Fから抜き出されて粉砕ポンプ12により粉砕され、再び振動篩13において粉砕小粒子が分級されるので、このように焼成灰Qの粒子を循環させながら上述のような適当な粒径の小粒子を分離することによって、より多くの製紙スラッジPの焼成灰Qを再利用することが可能となり、廃棄物の減量を図ることができる。なお、分離水槽11底部の排出管11Cから排出した大粒子も、適宜粉砕するなどした後に分離水槽11に戻すようにしてもよい。
【0032】
しかも、この分離水槽11における小粒子の分離は、供給された焼成灰Qの粒子の粒径に応じた浮力の差によるものであって、大きな動力等を要することなく多量の焼成灰Qを効率的に分離することができる。従って、上記構成の処理方法および処理装置によれば、製紙スラッジPを段ボール等に用いられる板紙の填料などとして工業上実用的に十分に再利用して処理することが可能となる。
【0033】
また、本実施形態の処理方法および処理装置では、こうして焼成灰Qの粒子が分離水槽11において分離水Sにより分離されるのに加え、この製紙スラッジPの焼成灰Qがロータリーキルン1の排出部2Aから排出されると直ぐに冷却水槽6に供給されて冷却水により冷却され、以降の工程では水分を伴ったスラリーとして処理される。このため、コンベア7,9による搬送の際などにも乾燥した状態の焼成灰Qが飛散したりすることがなく、特に分離水槽11に供給された後はポンプ12,15による搬送が可能なので、ハンドリングが容易であるという利点も得られる。
【0034】
さらに、本実施形態では、このロータリーキルン1から排出される排ガスR中の焼成灰Qも、捕集手段としてのバグフィルタ5により捕集されてホッパー5Aから分離水槽11の仕切り壁11Eの排出孔11Dとは反対側に供給可能とされており、この排ガスR中の焼成灰Qからも適当な粒径の小粒子を分離して再利用を図ることができる。しかも、この排ガスR中の焼成灰Qも、バグフィルタ5で捕集された後はこうして分離水槽11に供給されるので、飛散を生じたりすることがない。
【0035】
一方、本実施形態においては、製紙スラッジPを焼成する焼成手段がロータリーキルン1であって、そのキルン本体2には3つのブロア4A〜4Cが燃焼用空気の供給量を互いに独立して制御可能に備えられており、これにより炉内には製紙スラッジPの乾燥工程を行う乾燥部1Aと、熱分解・ガス化工程を行う熱分解・ガス化部1Bと、焼成工程を行う焼成部1Cとが形成されるようになされている。従って、このように各工程で燃焼用空気を独立して供給することにより、乾燥部1A、熱分解・ガス化部1B、および焼成部1Cのそれぞれにおいて上述のような好適な炉内温度を維持することができ、これによって上記段ボール等の板紙として適した嵩密度、粒度、白色度、あるいは強度等を有する焼成灰Qを確実に生成することが可能となる。
【0036】
特に、本実施形態では、排ガスRが排出される排出部1A側の焼成部1Cにおいて炉内温度が800〜900℃の範囲とされるように制御させられており、炉内気体がこの焼成部1Cで2秒以上滞留した後に上記排ガスRとして排出されるので、乾燥工程から熱分解・ガス化工程でダイオキシン類が発生しても、これを確実に分解することができ、例えばロータリーキルン1の後段に2次燃焼炉等を備える必要がなくなる。また、このような温度範囲で焼成灰Qが十分に焼成されることにより、熱分解・ガス化工程で炭化した製紙スラッジの炭素分がそのまま残ることがなく、填料としての白色度が著しく損なわれるようなこともない。その一方で、焼成された焼成灰Qが結晶化を起こして必要以上に高硬度となるようなこともなく、ワイヤー摩耗度等が必要以上に高くなったりするのも防ぐことができる。
【0037】
なお、本実施形態ではこうしてロータリーキルン1のキルン本体2外周に3つのブロア4A〜4Cを設けて、乾燥部1A、熱分解・ガス化部IB、および焼成部1Cへの燃焼用空気の供給量を独立して制御しているが、例えばブロアは1つでも各部1A〜1Cに燃焼用空気を供給する供給路にそれぞれダンパを設けて供給量を制御したりしてもよい。
【0038】
次に、図3は本発明の処理装置の第2の実施形態を示すものであり、図1および図2に示した第1の実施形態の処理装置と共通する部分については同一の符号を配して説明を簡略化する。すなわち、この第1の実施形態では、ロータリーキルン1から排出された排ガスR中の焼成灰Qを捕集する捕集手段としてバグフィルタ5しか図示されておらず、このバグフィルタ5で捕集した焼成灰Qがホッパー5Aからロータリーバルブ5Bを介して分離水槽11に供給されるように構成されていたのに対し、第2の実施形態では、ロータリーキルン1から順に、廃熱ボイラ21と、この廃熱ボイラ21との間に冷却器22を介してスクラバー23と、そしてバグフィルタ24との複数の捕集手段が備えられて排ガスRの処理設備が構成されている。
【0039】
ここで、この第2実施形態における捕集手段としてのこれら廃熱ボイラ21、スクラバー23、およびバグフィルタ24にはそれぞれ、回収水Uを保持して捕集した焼成灰Qが供給される回収水槽21A,23A,24Aと、各回収水槽21A,23A,24Aに接続されて、焼成灰Qが供給された回収水槽21A,23A,24A内の回収水Uを上記分離水槽11に向けて供給する回収水供給手段としての供給管21B,23B,24Bが備えられている。なお、各回収水槽21A,23A,24A内には、該回収水槽21A,23A,24A内に保持された回収水Uを攪拌する攪拌羽根21C,23C,24C等の攪拌手段が備えられている。
【0040】
このうち廃熱ボイラ21は、ロータリーキルン1から排出された高温の排ガスRによって図示されないボイラ水を加熱するものであり、その下部にはダブルダンバ21Dを介して上記回収水槽21Aが接続されている。そして、この回収水槽21Aから延びる上記供給管21Bは、給送ポンプ21Eを介して本実施形態では分離水槽11の上記仕切り壁11Eに対して排出孔11Dとは反対側に接続されていて、ダブルダンパ21Dから回収水槽21Aに供給されて分散した焼成灰Qの粒子を回収水Uごと、この分離水槽11の仕切り壁11Eに対して排出孔11Dとは反対側の部分に供給するようになされている。
【0041】
なお、図示の廃熱ボイラ21の下部には複数(2つ)のダブルダンパ21Dが横並びに配設されていて、図3において左側の一方のダブルダンパ21Dは直接回収水槽21Aの上部に連結されるとともに、図3において右側の他方のダブルダンパ21Dはこの回収水槽21Aの上部にシュート21Fを介して連結されるようになされており、このシュート21Fの上端部からは回収水Uが流下させられている。また、この回収水槽21A内の上下方向中央部には開孔があけられた仕切り板21Gが配設されていて、上記攪拌手段の攪拌羽根21Cはこの仕切り板21Gの下方に配設されるとともに、上記供給管21Bもこの仕切り板21Gより下方に接続されている。さらに、両ダブルダンパ21Dの下段には図示されない希釈ファンからパージエアVが供給されている。
【0042】
一方、スクラバー23の下端からは、捕集した焼成灰Qの供給管23Dが下向きに延びて、回収水槽23Aに保持された回収水U中に挿入されている。また、この回収水槽23Aにもその上部から回収水Uが供給される一方、この回収水槽23Aから分離水槽11に向けて焼成灰Qが分散した回収水Uを供給する供給管23Bは、その供給先が上記バグフィルタ24に備えられた回収水槽24Aとされている。
【0043】
本実施形態におけるバグフィルタ24内の下部には、捕集した焼成灰Qを搬送するスクリューフィーダ24Dが横置き配置されるとともに、このスクリューフィーダ24Dの搬送側端部には搬送された焼成灰Qを、ロータリーバルブ24Eを介してその直下の上記回収水槽24Aに供給する供給部24Fが設けられている。さらに、この回収水槽24Aから分離水槽11に向けて焼成灰Qが分散した回収水Uを供給する供給管24Bは、本実施形態では給送ポンプ24Gを介して、廃熱ボイラ21の上記他方のダブルダンパ21Dに連結されたシュート21Fの上端部に接続されている。
【0044】
なお、この供給管24Bは途中で分岐して上記スクラバー23の回収水槽23Aにも接続されており、該回収水槽24A内の回収水Uの一部がこの回収水槽23Aに返送可能とされている。また、廃熱ボイラ21の回収水槽21Aから分離水槽11に延びる供給管21Bも途中で分岐して、分離水槽11に向かう回収水Uの一部が上記冷却水槽6に供給可能とされている。さらに、この冷却水槽6に保持された冷却水も、その上澄み部分がポンプ6Aを介して分離水槽11に供給可能とされている。
【0045】
このような第2の実施形態において、ロータリーキルン1から焼成灰Qを伴って排出された高温の排ガスRは、廃熱ボイラ21においてボイラ水を加熱することにより熱回収されるとともに焼成灰Qが捕集された後、冷却器22により冷却され、次いで廃熱ボイラ21により捕集されなかった焼成灰Qがスクラバー23によってさらに捕集され、次いで大気Wが導入されることによりさらに冷却されてから、残存する焼成灰Qがバグフィルタ24によって集塵されて十分に除去された後に、誘引ファン25を介して大気W中に放出されて処理される。従って、排ガスRに含まれる焼成灰Qをも余すことなく確実に捕集して回収し、板紙の填料等として再利用することが可能となる。
【0046】
そして、これら廃熱ボイラ21、スクラバー23、およびバグフィルタ24において捕集された焼成灰Qは、それぞれに備えられた回収水槽21A,23A,24Aに供給されて回収水Uに分散させられ、この回収水Uごと最終的には分離水槽11に供給されるので、比較的小径で比重の小さな粒子となりがちなこの排ガスR中の焼成灰Qを周囲に飛散させたりすることがない。しかも、給送ポンプ21E,24Gによる効率的な分離水槽11への供給が可能であるので、一層円滑な製紙スラッジPの焼成灰Qの回収、再利用を促すことが可能となる。
【0047】
また、本実施形態では、このように焼成灰Qの捕集手段として、それぞれ回収水槽21A,23A,24Aを備えた廃熱ボイラ21、スクラバー23、およびバグフィルタ24の3つの捕集手段が設けられているものの、これらの回収水槽21A,23A,24Aから分離水槽11に向けて焼成灰Qが分散した回収水Uを供給する供給管21B,23B,24Bは、スクラバー23の供給管23Bがバグフィルタ24の回収水槽24Aに接続され、このバグフィルタ24の供給管24Bは廃熱ボイラ21の回収水槽21Aに接続され、この廃熱ボイラ21の供給管21Bが最終的に分離水槽11に接続されている。
【0048】
すなわち、一の捕集手段(スクラバー23)の供給管23Bは他の一の捕集手段(バグフィルタ24)の回収水槽24Aに接続されてその回収水Uが供給され、本実施形態ではこの他の一の捕集手段の供給管24Bがさらにその他の一の捕集手段(廃熱ボイラ21)の回収水槽21Aに接続されて、一の捕集手段と他の一の捕集手段とによって捕集された焼成灰Qがこのその他の一の捕集手段の回収水槽21Aに供給され、このその他の一の捕集手段の供給菅21Bが分離水槽11に接続されることにより、すべての捕集手段によって捕集された焼成灰Qが最終的に分離水槽11の排出孔11Dに対して仕切り壁11Eの反対側に供給されるようになされている。
【0049】
このため、本実施形態においては、供給管21B,23B,24Bをそれぞれ個別に分離水槽11に接続するのに比べて供給管21B,23B,24Bの総延長を短く抑えることができて経済的であるとともに、後段の捕集手段の回収水Uほど分散した焼成灰Qの粒子量を多くすることができて、より焼成灰Qの含有量の多い回収水Uを分離水槽11に供給することが可能となるので、さらに効率的な製紙スラッジPの焼成灰Qの再利用を図ることが可能となる。
【0050】
なお、上記第1の実施形態においては、上述のように捕集手段としてバグフィルタ5しか図示されていないが、焼成手段としてのロータリーキルン1からこのバグフィルタ5に至るまでの図示されていない廃熱ボイラやスクラバを捕集手段として捕集した焼成灰Qを分離水槽11に供給するようにしても、勿論構わない。この場合において、これらの捕集手段に回収水槽と回収水供給手段(供給管)とを備えて、焼成灰Qが分散した回収水Uを分離水槽11に供給するようにしたのが第2の実施形態であるが、このような回収水を保持した回収水槽を設けずに、捕集された焼成灰Qを、空気等による圧送管を通しての圧送やコンベア等による搬送などにより分離水槽11に供給してもよい。
【0051】
また、こうして圧送や搬送により回収焼成灰Qを分離水槽11に供給する場合においても、廃熱ボイラやスクラバ、バグフィルタ5などの複数の捕集手段における圧送管やコンベアを順次連結して最終的に分離水槽11に接続されるようにすれば、これら圧送管やコンベアの総延長を短縮できるとともに、多量の焼成灰Qの粒子をまとめて分離水槽11に供給することができて効率的である。すなわち、本発明の製紙スラッジの処理方法においては、製紙スラッジを焼成した際の排ガス中の焼成灰を、それぞれ複数段の捕集手段によって捕集するとともに、このうち少なくとも一つの捕集手段によって捕集された焼却灰を他の一つの捕集手段側に供給して、この他の一つの捕集手段により捕集された焼却灰とともに上記分離水槽に供給するようにしてもよく、また本発明の製紙スラッジの処理装置においては、それぞれに捕集した焼却灰を上記分離水槽側に供給する上記圧送管やコンベア等の供給手段を備えた複数段の捕集手段を備えて、少なくともこのうち一つの捕集手段の上記供給手段は他の一つの捕集手段の上記供給手段に接続されるとともに、この他の一つの捕集手段の上記供給手段が上記分離水槽に接続されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の製紙スラッジの処理装置の第1の実施形態を示す、ロータリーキルン1周辺の概略図である。
【図2】図1に示す実施形態の分離水槽11周辺の概略図である。
【図3】本発明の製紙スラッジの処理装置の第2の実施形態を示す、排ガスRの処理設備の概略図である。
【符号の説明】
【0053】
1 ロータリーキルン(焼成手段)
1A 乾燥部
1B 熱分解・ガス化部
1C 焼成部
4A〜4C ブロア
5,24 バグフィルタ(捕集手段)
11 分離水槽
11D 排出孔
11E 仕切り壁
11F 抜き出し管
12 粉砕ポンプ(粉砕手段)
13 振動篩(分級手段)
21 廃熱ボイラ(捕集手段)
23 スクラバー(捕集手段)
21A,23A,24A 回収水槽
21B,23B,24B 回収水Uの供給管(回収水供給手段)
P 製紙スラッジ
Q 焼成灰
R 排ガス
S 分離水
T スラリー
U 回収水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙スラッジを焼成した焼成灰を、上部内壁に排出孔が開口するとともにこの排出孔に対向して仕切り壁が設けられた分離水槽内において、この仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給して、
粒径が大きくて上記分離水槽底部に沈降する大粒子と、粒径が小さくて上記分離水槽上部に浮上する小粒子と、これら大粒子と小粒子との間の粒径で上記分離水槽中部に浮遊する中粒子とに分離し、
このうち上記中粒子を上記分離水槽から抜き出して粉砕した後に、粒径の大きな粉砕大粒子と粒径の小さな粉砕小粒子とに分級し、
上記粉砕大粒子は上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給する一方、上記粉砕小粒子は上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔側に供給し、
この粉砕小粒子と上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔側に浮上した上記小粒子とを該排出孔から排出して板紙の原料とすることを特徴とする製紙スラッジの処理方法。
【請求項2】
上記製紙スラッジを焼成した際の排ガスから捕集された焼成灰を、上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給することを特徴とする請求項1に記載の製紙スラッジの処理方法。
【請求項3】
上記排ガスから捕集された焼成灰を回収水が保持された回収水槽に供給して、この焼成灰が分散した上記回収水を上記分離水槽に供給することを特徴とする請求項2に記載の製紙スラッジの処理方法。
【請求項4】
上記製紙スラッジを焼成した際の排ガス中の焼成灰を、それぞれ上記回収水槽を備えた複数段の上記捕集手段によって捕集するとともに、このうち少なくとも一つの捕集手段の上記回収水を他の一つの捕集手段の上記回収水槽に供給し、この他の一つの捕集手段の上記回収水を上記分離水槽に供給することを特徴とする請求項3に記載の製紙スラッジの処理方法。
【請求項5】
上記製紙スラッジを、横置きされた軸線回りに回転するロータリーキルンの一端側から供給して他端側に送り出しつつ、乾燥工程、熱分解・ガス化工程、および焼成工程を経て焼成するとともに、これら乾燥工程、熱分解・ガス化工程、および焼成工程のそれぞれにおいて上記製紙スラッジに独立して燃焼用空気を供給することを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の製紙スラッジの処理方法。
【請求項6】
製紙スラッジを焼成する焼成手段と、
上部内壁に排出孔が開口するとともにこの排出孔に対向して仕切り壁が設けられ、上記焼成手段により焼成された焼成灰が上記仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給されて、この焼成灰を、粒径が大きくて底部に沈降する大粒子と、粒径が小さくて上部に浮上する小粒子と、これら大粒子と小粒子との間の粒径で中部に浮遊する中粒子とに分離する分離水槽と、
このうち上記中粒子を上記分離水槽から抜き出して粉砕する粉砕手段と、
この粉砕手段によって粉砕された上記中粒子を粒径の大きな粉砕大粒子と粒径の小さな粉砕小粒子とに分級して、上記粉砕大粒子は上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給する一方、上記粉砕小粒子は上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔側に供給する分級手段と、
この粉砕小粒子と上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔側に浮上した上記小粒子とを該排出孔から排出して板紙の原料とする排出手段とを備えること特徴とする製紙スラッジの処理装置。
【請求項7】
上記焼成手段には、該焼成手段から排出された排ガスから焼成灰を捕集して、上記分離水槽内において上記仕切り壁の上記排出孔とは反対側に供給する捕集手段が備えられていることを特徴とする請求項6に記載の製紙スラッジの処理装置。
【請求項8】
上記捕集手段には、回収水を保持して上記排ガスから捕集された焼成灰が供給される回収水槽と、この回収水槽の焼成灰が分散した上記回収水を上記分離水槽に供給する回収水供給手段とが備えられていることを特徴とする請求項7に記載の製紙スラッジの処理装置。
【請求項9】
それぞれに上記回収水槽と回収水供給手段とを備えた複数段の上記捕集手段を備え、少なくともこのうち一つの捕集手段の上記回収水供給手段は他の一つの捕集手段の上記回収水槽に接続されるとともに、この他の一つの捕集手段の上記回収水供給手段が上記分離水槽に接続されていることを特徴とする請求項8に記載の製紙スラッジの処理装置。
【請求項10】
上記粉砕手段が粉砕ポンプであることを特徴とする請求項6から請求項9のうちいずれか一項に記載の製紙スラッジの処理装置。
【請求項11】
上記焼成手段は、横置きされた軸線回りに回転するロータリーキルンであって、上記製紙スラッジが供給される一端側から他端側に向けて順に乾燥部、熱分解・ガス化部、および焼成部が形成されるとともに、これら乾燥部、熱分解・ガス化部、および焼成部のそれぞれには上記製紙スラッジに独立して燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給手段が備えられていることを特徴とする請求項6から請求項10のうちいずれか一項に記載の製紙スラッジの処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−131809(P2009−131809A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311355(P2007−311355)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】