説明

製袋包装機

【課題】製袋される袋の自立性を高める。
【解決手段】製袋包装機は、フィルム14の折り重ね部であるヒダが底面の周囲に形成されている包装袋34、を製造する製袋包装機であって、角筒状のフィルム14の内側に配される角シリンダー6と、エンドシールバー18と、エッジシーラー28,29と、エンドシールバー18やエッジシーラー28,29を制御するコントローラとを備える。エンドシールバー18は、角シリンダー6の下方において、角筒状のフィルム14を横シールして、包装袋34の底面の略中央に横シール部を形成する。エッジシーラー28,29は、角シリンダー6の下部の周りにあるフィルム14の一部に対して、外側から押し当たり、さらに下方に移動することで、包装袋34の底面の周囲にヒダを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、角底のガゼット袋を製造する製袋包装機が存在している。例えば、特許文献1(特開2006−75987号公報)には、角底袋を作る縦型製袋充填包装装置が示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ガゼット袋は、自立した状態での陳列も可能であるが、軟包装の材料(フィルム)を用いる場合には、生産時の形状が店頭での展示までの間に型くずれしてしまうこともある。この場合、袋の自立性が失われてしまう。
【0004】
本発明の課題は、製袋される袋の自立性を高めることができる製袋包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る製袋包装機は、フィルムの折り重ね部であるヒダが底面の周囲に形成されている包装袋、を製造する製袋包装機である。この製袋包装機は、角シリンダーと、横シール機構と、ヒダ形成部材と、制御部とを備える。角シリンダーは、角筒状のフィルムの内側に配される。横シール機構は、角シリンダーの下方において、角筒状のフィルムを横シールして、包装袋の底面の略中央に横シール部を形成する。ヒダ形成部材は、角シリンダーの下部の周りにある包装フィルムの一部に対して、外側から押し当たり、さらに下方に移動することで、包装袋の底面の周囲にヒダを形成する。制御部は、横シール機構やヒダ形成部材の動きをコントロールする。
【0006】
ここでは、角筒状のフィルムが横シールされることによって、袋の上部および下部が封止される。そして、角シリンダーの周りの包装フィルムにヒダ形成部材が押し当たって下方にヒダ形成部材が移動することで、袋の底面の周囲部分にヒダが形成される。これにより、袋の底面の周囲に、フィルムが重なった状態のヒダが存在するようになって、製造された包装袋の自立性が高まる。
【0007】
なお、第1発明に係る製袋包装機は、新規の製袋包装機であってもよいし、既存のガゼット袋の生産用の包装機に上述のヒダ形成部材などを追加したものであってもよい。
【0008】
第2発明に係る製袋包装機は、第1発明の製袋包装機であって、ヒダ形成部材が包装フィルムを介して押し当たる角シリンダーの下部は、その上方の角シリンダーの本体部よりも内側に入り込んだ形状となっている。
【0009】
ここでは、角シリンダーの本体部の外周面に沿っているフィルムが、ヒダ形成部材が角シリンダーの下部に押し当たることで、角シリンダーの中心に向かって(内側に)寄せられ、ヒダ形成部材の下方において折り返された状態になる。ここで、ヒダ形成部材が下方に移動すると、折り返された状態のフィルムに圧力が作用し、袋の底面の周囲においてヒダが形成されるようになる。したがって、ここでは、ヒダとなるフィルムの部位に対して別のフィルム折り返し機構を配備する必要がなくなる。
【0010】
第3発明に係る製袋包装機は、第1又は第2発明の製袋包装機であって、角筒状のフィルムを下方に送るフィルム搬送機構をさらに備える。そして、制御部は、ヒダ形成部材を下方に移動させるとき或いはその直前に、フィルム搬送機構によって角筒状のフィルムを下方に送らせる。
【0011】
ここでは、ヒダ形成部材が下方に移動するとき或いはその直前に、角筒状のフィルムが下方に送られるため、ヒダ形成部材とフィルムとの間で大きな摩擦力が生じてフィルムが損傷することが抑制される。また、包装袋の底面の周囲に形成されるヒダを所定の適正な幅を持つものとすることができる。
【0012】
第4発明に係る製袋包装機は、第1〜第3発明のいずれかの製袋包装機であって、ヒダ形成部材は、ヒーターを有し、ヒダの折り重ね形状を形成するとともに、ヒダの折り重ねられたフィルムを熱シールする。
【0013】
ここでは、ヒダ形成部材にヒーターを配備しているため、ヒダとなる折り重ねられたフィルムに対してヒダ形成部材から圧力および熱を加えることができ、他の発熱部材を用いることなくヒダを熱シールによって形成することができる。
【0014】
第5発明に係る製袋包装機は、第1〜第4発明のいずれかの製袋包装機であって、プレート部材をさらに備えている。プレート部材は、ヒダ形成部材によるヒダの形成時に、ヒダ形成部材の下方に位置する。そして、ヒダ形成部材とプレート部材とは、ヒダの形成時に、折り重なるフィルムを挟み込むことでヒダを形成する。
【0015】
ここでは、プレート部材を備えているため、ヒダの形成時に横シール機構の部材などがヒダ形成部材の真下に位置していなくても、ヒダとなる折り重なったフィルムを上下から挟み込むことができる。
【0016】
第6発明に係る製袋包装機は、第5発明の製袋包装機であって、横シール機構は横シール部材を有しており、プレート部材は可動の部材である。そして、制御部は、横シール部材およびプレート部材を角シリンダーの下方空間に入り込ませ、横シール機構の横シール部材による横シール部の形成後も角シリンダーの下方空間にプレート部材を位置させ(残留させ)、ヒダ形成部材をプレート部材に対して押し下げることでヒダを形成させる。
【0017】
ここでは、ヒダ形成部材の押し下げの際にプレート部材が角シリンダーの下方空間に残っているため、いち早く横シール部材が角シリンダーの下方空間から退避していても、ヒダを確実に形成することができる。
【0018】
第7発明に係る製袋包装機は、第6発明の製袋包装機であって、制御部は、横シール機構の横シール部材による横シール部の形成後、プレート部材を動かして横シール部を倒す。
【0019】
ここでは、横シール部が鉛直方向に延びていても、プレート部材が横シール部を倒すため、横シール部が包装袋の底面に沿った姿勢となり、袋の底が更に自立性に富んだ状態となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、製袋された包装袋の底面の周囲に、フィルムが重なった状態のヒダが存在するようになり、包装袋の自立性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る製袋包装機の主要部の概略斜視図。
【図2】製袋包装機の主要部の正面図。
【図3】製袋包装機の主要部の側面図。
【図4】図2のB−B断面図。
【図5】図2のC−C断面図。
【図6】製袋包装機の制御ブロック図。
【図7】エンドシールバーおよびエッジシーラー近傍の正面図。
【図8】エンドシールバーおよびエッジシーラー近傍の側面図。
【図9】エンドシールバーおよびエッジシーラー近傍の平面図。
【図10】袋底面を形成する動作を示す第1の平面図。
【図11】袋底面を形成する動作を示す第1の側面図。
【図12】袋底面を形成する動作を示す第2の平面図。
【図13】袋底面を形成する動作を示す第2の側面図。
【図14】袋底面を形成する動作を示す第3の平面図。
【図15】袋底面を形成する動作を示す第3の側面図。
【図16】袋底面冷却プレートおよびその上に載る袋底面の平面図。
【図17】袋底面冷却プレートおよびその上に載る袋底面の正面図。
【図18】袋底面冷却プレートおよびその上に載る袋底面の側面図。
【図19】(A)袋底面を形成する動作を示す第4の側面図。(B)袋底面を形成する動作を示す第5の側面図。
【図20】(A)角シリンダーおよびコーナープレートの正面図。(B)角シリンダーおよびコーナープレートの側面図。(C)角シリンダーおよびコーナープレートの平面図。
【図21】前後面エッジシーラーの詳細断面図。
【図22】製袋後の袋底面の冷却および搬送コンベアによる搬送を示す図。
【図23】従来のヘム付きガセット袋の製袋包装機の概略斜視図。
【図24】従来のヘム付きガセット袋の製袋包装機の正面図。
【図25】図24のA−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る製袋包装機を、図1に示す。この製袋包装機1で製造される、商品が封入された包装袋34は、販売店の店頭において陳列・展示される。包装袋34は、店頭で陳列・展示する際に自立するように、底面(底部)が略平面となるように製造される。
【0023】
<製袋包装機の構成>
製袋包装機は、図1に示すように、巻包装フィルム8を保持および回転駆動する機構、そこから繰り出されるフィルム14を搬送するためのガイドローラ9,10、シート状のフィルム14を角筒状に変形させるためのフォーマ4および角シリンダー6、角筒状となったフィルム14の重ね合わせ部分を縦にシールするセンターシールバー15、角筒状のフィルム14の四隅の角部それぞれにヘムを形成するためのヘムガイド16およびヘムヒーター17、角筒状のフィルム14を下方に送るフィルム送りベルト機構23、角筒状のフィルム14を横にシールすることで包装袋34の上下端を熱シール(封止)する横シール機構180(図8参照)、包装袋34の底面を形成するための側面側三角ガイド24、底折りプレート26,27およびエッジシーラー28,29、上端が横シールされた後の包装袋34の底面を冷やして袋形状を整える袋底面冷却プレート32および押さえプレート30,31、などから構成されている。
【0024】
製袋包装機で間欠的に製造されガセット袋となった包装袋34は、図1及び図22に示すように、搬送コンベア35によって検査工程などの次工程に運ばれていくことになる。
【0025】
(フォーマに運ばれるまでの構成および動作)
巻包装フィルム8から繰り出されたシート状のフィルム14は、ガイドローラ9,10に掛けられて張力調整を受けながら搬送される。この搬送時に、フィルム14は、レジマーク11を検出するレジマーク検出器12やフィルム蛇行を検知するフィルム蛇行検出器13を通過していく。フィルム14の両端をフィルム蛇行検出器13で監視し、フォーマ4等によってフィルム14を角筒状に形成する際に両端が適正な位置にくるようにしている。
【0026】
なお、フィルム14は、合成樹脂フィルムを数種組合せてラミネートした軟包装材である。
【0027】
(角シリンダーおよびフォーマの詳細構成)
角シリンダー6は、角筒形状の部材であり、上部のホッパー3と一体化されている。ホッパー3には、製袋包装機の上方に配備される組み合わせ計量装置などから、計量され所定量となったポテトチップスなどの商品が投入される。商品は、角筒状となったフィルム14の内部に導入される。角シリンダー6は、図7や図8に示すように、四面それぞれが鉛直方向に延びる本体部6a、四面それぞれが本体部6aよりも内側に寄った位置で鉛直方向に延びる下部6c、および両者6a,6cを鉛直面に対して傾斜した面で結ぶ傾斜部6bから成っており、上下に開口している。
【0028】
本体部6aよりも小さな長方形断面となっている角シリンダー6の下部6cは、断面視の各辺が、後述するエッジシーラー28,29により形成される袋の底面14bのヒダ14bbの幅寸法の分だけ本体部6aの断面視の各辺よりも中央側(内側)に寄っている。
【0029】
また、角シリンダー6の下部6cの左右には、コーナープレート7が装着される。コーナープレート7は、図20に示すように、角シリンダー6の傾斜部6b及び下部6cの外面に対応する形状である。コーナープレート7は、角シリンダー6の下部6cの4つの側面の直交部から外側に延びるコーナー部を含んでおり、バネ鋼から成る薄板部材である。4つのコーナープレート部の外端は、平面視において、本体部6aの4つの頂点と同じ場所に位置する。
【0030】
フォーマ4は、角シリンダー6の本体部6aの上部を取り囲むように配置されている。このフォーマ4の形状は、送られてきたシート状のフィルム14がフォーマ4と角シリンダー6との間を通るときに角筒状に成形されるような形状となっている。
【0031】
(センターシールバーの詳細構成)
センターシールバー15は、角シリンダー6に巻かれた状態となったフィルム14の重なり部分(フィルム14の両側部の重なり部分)を、一定の加圧力で左右から挟み込みながら加熱し、縦にシールする(図4や図7〜図10参照)。センターシールバー15により縦にシールされた部分は、縦シール部14a(図7参照)となる。
【0032】
(フィルム送りベルト機構の詳細構成)
角シリンダー6の背面側に配置されるフィルム送りベルト機構23は、角シリンダー6に巻き付いたフィルム14を吸着して下方に搬送するために設けられており、駆動ローラ、従動ローラ、吸着機能を有する無端ベルトなどから構成されている。なお、本実施形態に係る製袋包装機では、バッチ式に製袋が為されるため、フィルム送りベルト機構23による角筒状のフィルム14の搬送も間欠的に行われる。駆動ローラは、サーボモータで駆動され、送り精度は良好である。
【0033】
(ヘムガイドおよびヘムヒーターの詳細構成)
角シリンダー6の本体部6aの四隅の角部の近傍それぞれに、図4に示すようにヘムヒーター17が配備されている。図1〜図3に示すように、4つのヘムヒーター17の高さ位置は、概ねセンターシールバー15と一致する。
【0034】
また、ヘムヒーター17の上方には、図1及び図2に示すヘムガイド16が配置されている。角シリンダー6を取り囲むフォーマ4によって角筒状になったフィルム14は、各角部がヘムガイド16に導かれ、ヘムヒーター17のある高さ位置まで下降してきたときに、図4に示すように四隅において折り返された形状となる。これらの折り返し部分は、各ヘムヒーター17によってヒートシールされ、ヘム14c(図5参照)となる。ヘムヒーター17によるヒートシールは、フィルム送りベルト機構23が一時停止しているときに行われる。
【0035】
(横シール機構の詳細構成)
角シリンダー6の左右両側方に配置される一対のエンドシールバー18を有する横シール機構180は、角筒状のフィルム14を横に熱シールするときに、図11に示すようにフィルム14を挟んで一対のエンドシールバー18が互いに押しつけ合わされる。一対のエンドシールバー18は、図3に示すように、一方がセンターシールバー15の下方に配置され、他方がフィルム送りベルト機構23の下方に配置されている。
【0036】
また、一方のエンドシールバー18には、カッター19が組み込まれている。カッター19は、フィルム14の横シール部の中央を切断し、横シール部を上下に切り離す(図13参照)。
【0037】
(包装袋34の底面を形成するための各部材の詳細構成)
側面側三角ガイド24は、角筒状のフィルム14に底面ができるように、左右からフィルム14に対して押し当たる部材である。この側面側三角ガイド24は、図1に示すように、下方に配置されている袋上側折込板25と一体になっており、エンドシールバー18がヒートシールを行う際に、フィルム14に押し当たってガゼット折込動作を行う。また、側面側三角ガイド24は、冷却用エアを吹き出す冷却部24a(図7参照)を備えている。
【0038】
二段底折りプレート26及び前側底折りプレート27は、エンドシールバー18の少し上に配置されており、エンドシールバー18がヒートシールを行った後、カッター19が横シール部を上下に切り離しているときに、フィルム14の底面14bとエンドシールバー18との間の隙間(高さ方向の隙間)に入り込む(図19(A)参照)。このとき、底折りプレート26,27は、エンドシールバー18の余熱を吸収して加熱される。図3に示すように、二段底折りプレート26はフィルム送りベルト機構23の下方に配置され、前側底折りプレート27はセンターシールバー15の下方に配置されている。また、底折りプレート26,27は、冷却用エアを吹き出す冷却部26a,27a(図8参照)を備えている。
【0039】
一対の前後面エッジシーラー28及び一対の左右面エッジシーラー29は、図5,図7及び図8に示すように、角シリンダー6の下部6cの4つの側面それぞれに対向するように配置されている。各エッジシーラー28,29は、概ね同様の構成であるため、前後面エッジシーラー28を例にとってその構成を説明する。前後面エッジシーラー28は、図21に示すように、主として、本体であるヒーターブロック28a、フィルム当接板28b、カートリッジヒーター28c、ヒートパイプ28d、温度センサ28eを備えている。バネ鋼から成るフィルム当接板28bは、ヒーターブロック28aの外面に装着され、フィルム14に当たる。このフィルム当接板28bの存在により、フィルム14がヒーターブロック28aに直接触れないようになっている。
【0040】
これらのエッジシーラー28,29は、図示しない駆動機構によって矩形移動できるように構成されており、後述するように、フィルム14の上から角シリンダー6の下部6cに押し当たったり、その後に下方に移動して二段底折りプレート26との間にフィルム14の折り返し部分を挟み込んでヒダを形成する(ヒダをヒートシールする)役割を担ったりしている。
【0041】
(カッターで後続のフィルムから切り離される袋の形を整える構成)
袋底面冷却プレート32は、図1,図7,図8及び図22に示すように、上部が横シールされている袋34の真下に移動してくることができる。このように配備されている袋底面冷却プレート32は、図17及び図18に示すように、上面に多数の空気吹出孔321aが形成されており、内部空間321bに空気を送るための空気取り込み部材322から外部の高圧空気などを取り込み、空気吹出孔321aから上方の袋34の底面14bに向けて冷却空気を吹き出す。袋底面冷却プレート32は、エンドシールバー18がフィルム14を横に熱シールする(横シールする)前に袋34の下方に入り込み、エンドシールバー18がフィルム14を横シールしているときに空気吹出孔321aから冷却空気を吹き出し、カッター19がフィルム14の横シール部の中央を切断しているときに袋34の下方空間から離脱する。袋底面冷却プレート32は、袋34のヒダ14bbを含む底面14bに残っている余熱を取り、底面14bをきれいに仕上げる役割を果たす。
【0042】
一対の袋左右面押さえプレート30及び一対の袋前後面押さえプレート31は、袋底面冷却プレート32が下方に入り込んだ状態の袋34を前後左右から面で押さえるプレート群である。これらの押さえプレート30,31は、エンドシールバー18がフィルム14を横に熱シールし袋底面冷却プレート32が袋34の底面14bに冷却空気を吹き出しているときに、袋34の4つの側面に接触して袋34を押さえる。また、押さえプレート30,31は、横シールが終わってカッター19がフィルム14の横シール部の中央を切断すると、袋34から離れる。これらの押さえプレート30,31によって、袋34の胴部の4つの面が意図した形状に仕上がる。
【0043】
<製袋包装機の主要動作>
次に、上述の各部の動きをまとめる形で、図5,図7〜図15,図19,図22を参照しながら製袋包装機の主要な動作を説明する。なお、各動作は、図6に示すコントローラ50からの指令によって行われる。
【0044】
フィルム送りベルト機構23が一時停止しているときに、ヘムヒーター17が作動して熱シールによりヘムを形成するとともに、一体化されている側面側三角ガイド24及び袋上側折込板25が内側に移動してガゼット折込動作が行われる。また、センターシールバー15による縦シール部14aの形成(縦シール)やエンドシールバー18による横シール部の形成(横シール)が行われる。この横シール部の形成により、製品投入済みの包装袋34の上部と、それに続く包装袋34の底面(底部)14bの中央部分とが、同時に形成される。その後、横シール部の中央を切断し、横シール部を、包装袋34の上部と、それに続く包装袋34の底面(底部)14bの中央部分とに分断させる。これにより上方の袋と切り離された製袋包装済みの包装袋34は、図22に示すように搬送コンベア35に着地する。
【0045】
なお、横シール部の形成やカッターによる横シール部の切断のタイミングで、横シール機構の下方に位置する袋34に対し、図22に示すように袋底面冷却プレート32や押さえプレート30,31による形状整え動作が行われるが、この動作については既に上述しているため説明を省略する。
【0046】
また、フィルム14は、予め包装フィルム14に印刷されているレジマーク11をレジマーク検出器12で検出し、所定の長さだけ間欠送りをすることで、横シールが所定の位置で行われるようになっている。また、センターシールバー15による縦シール時にずれが生じないように、フィルム蛇行検出器13でフィルム14の両端の位置を検出し、フィルム送りベルト機構23の送り角度を調整しながらフィルム14を送ることで、蛇行を排除している。
【0047】
そして、本発明に係るヒダの形成に鑑み、フィルム送りベルト機構23は、包装袋34の長さ分だけ一度に間欠送りをするのではなく、二段階に分けて包装袋34の長さ分のフィルム送りを行っている。これについて、エッジシーラー28,29、底折りプレート26,27、エンドシールバー18などの動きを交えて以下に説明する。
【0048】
エンドシールバー18による横シール動作が始まる前は、図5,図7及び図8に示すように、エッジシーラー28,29、底折りプレート26,27、エンドシールバー18、側面側三角ガイド24及び袋上側折込板25は、それぞれ鉛直に垂れ下がっている角筒状のフィルム14から離れた位置で待機している。
【0049】
エンドシールバー18による横シール動作が始まると、図9〜図11に示すように、エンドシールバー18がフィルム14の横シール部になる部位を左右から挟み込み、フィルム14の重なり部分に熱及び圧力を加える。このとき、エッジシーラー28,29は、図19(A)の左半分に示すように、未だフィルム14から離れた待機位置に居る。一方、上述のように、横シール時に、側面側三角ガイド24及び袋上側折込板25はガゼット折込動作を行い、センターシールバー15は縦シール動作を行う(図10及び図11の黒塗りの矢印を参照)。さらに、横シール動作時には、フィルム送りベルト機構23が、フィルム14の二次送り(数ミリの程度)を行う。この二次送りは、次のエッジシール(ヒダ形成)動作のために行われる動作で、フィルム14を少し弛ませて、横シールされた部分の上方のフィルム14が、その底面14b(図19(A)参照)の周囲において折り返されるようにすることが目的である。なお、図19(A)では、この横シール動作を「動作1」と表示している。
【0050】
エンドシールバー18による横シール動作が終わると、図12,図13及び図19(A)の右半分に示すように、カッター19が横シール部の中央を切断し、底折りプレート26,27が内側に移動してきてエンドシールバー18の上方を覆い、エッジシーラー28,29がフィルム14の上から角シリンダー6の傾斜部6b及び下部6cに押し当たる(図19(A)の白抜きの矢印1B参照)。二段底折りプレート26は、二段階で移動を行うが、ここでは第一段の移動を行って角シリンダー6の中央付近まで移動してくる。
【0051】
次に、図14,図15及び図19(B)の左半分に示すように、一対のエンドシールバー18が互いに離れるように少しだけ後退し、カッター19が後退し、側面側三角ガイド24及び袋上側折込板25が後退し、センターシールバー15が開く。さらに、二段底折りプレート26が第二弾の移動(前進)を行い、反対に前側底折りプレート27は後退する(図19(B)参照)。このときに、横シール部のうちカッター19によって切り離された上の部分(図19(B)の横シール部14ba)が、二段底折りプレート26によって倒されて、袋の底面14bにくっついて一体となる。ここまでの動作を、図19(B)では「動作2」と表示している。そして、次に、4つのエッジシーラー28,29が下方に下がり、二段底折りプレート26及びその下のエンドシールバー18に押し当たる。このとき、角シリンダー6の下部6cの周りにおいて上下に折り重なった状態となっているフィルム14が、エッジシーラー28,29と二段底折りプレート26との間に挟まれて圧力を受け、またエッジシーラー28,29、二段底折りプレート26及びエンドシールバー18から熱が伝わり、ヒートシールされてヒダが形成される(図19(B)の白抜きの矢印2c参照)。なお、これらの一連の動作において、横シール機構180の下方では、袋底面冷却プレート32や押さえプレート30,31が袋34の底面14bや胴部の形状仕上げを終え、袋34から後退していく。
【0052】
エッジシーラー28,29などによるヒートシールが終わり、底面14bの周囲にヒダが形成されると、各部材は図5,図7及び図8に示すポジションに戻り、一連のサイクルが終了する。その後、再びフィルム送りベルト機構23がフィルム14の一次送りを行う。一次送りでは、袋の長さ分の寸法から、上述の二次送りで送る長さ分だけ差し引いた距離だけフィルム14が下方に送られる。
【0053】
<製袋包装機の主たる特徴>
従来の製袋包装機は、図23〜図25に示すような構造のものである。上述の本発明の実施形態の製袋包装機と類似機能を持つ部材から成るので、類似部材については上記実施形態と同様の符号を付けている。
【0054】
フィルム送りベルト機構21,22は、正面視で角シリンダー6の左右に設けられている。連続的に高速でフィルム14を送る方式、間欠的にフィルム14を送る方式、或いはこれに部品を追加、交換することでガゼットタイプ包装も行うことができる方式が存在する。ヘム付きガゼットタィプの包装袋33を整った形状とするためには、フィルム送りと、包装フィルムを角筒状にしてからヘムを付与する角シリンダー6各部分の加工精度とが重要である。このため、フィルム送りについては、左右のフィルム送りベルト機構21,22で、真空ポンプを使用する吸引式の送りベルトを、サーボモータ一によって同時同一に駆動する。
【0055】
また、フィルム送りベルト機構21,22が存在することもあり、ヘムヒーター17はその上方に位置している(図23及び図24参照)。
【0056】
この図23〜図25に示す従来の製袋包装機では、ガゼット折込動作を行う側面側三角ガイド24及び袋上側折込板25は存在するが、袋33の底面の周囲にヒダを形成するための部材は存在していない。
【0057】
このような従来の製袋包装機に対し、上述の本発明の実施形態に係る製袋包装機は、以下の(1)〜(6)に示すような特徴を有している。
【0058】
(1)
本実施形態に係る製袋包装機は、フィルム14の折り重ね部であるヒダ14bb(図16参照)が底面14bの周囲に形成されている包装袋、を製造する製袋包装機である。この製袋包装機では、図13に示すように、ヒダ形成部材であるエッジシーラー28,29が、角シリンダー6の下部6cの周りにあるフィルム14の一部に対して、外側から押し当たり、図15に示すように、さらに下方に移動することで、包装袋の底面14bの周囲にヒダ14bbを形成している。これにより、袋34の底面14bの周囲に、フィルム14が重なってヒートシールされた状態のヒダ14bbが存在するようになって、製造された包装袋34の自立性が高まる。
【0059】
(2)
上述の(1)のヒダ形成のための構成を簡易にするため、この製袋包装機では、エッジシーラー28,29がフィルム14を介して押し当たる角シリンダー6の下部6cの横断面形状を、その上方の本体部6aよりも内側に入り込んだものとしている。これにより、角シリンダー6の本体部6aの外周面に沿っているフィルム14が、エッジシーラー28,29が角シリンダー6の下部6cに押し当たることで、角シリンダー6の中心に向かって(内側に)寄せられ、エッジシーラー28,29の下方において折り返された状態になる。ここで、エッジシーラー28,29が下方に移動することで、折り返された状態のフィルム14に圧力及び熱が作用し、袋34の底面14bの周囲においてヒダ14bbが確実に形成されるようになっている。
【0060】
(3)
上述の(1)のヒダ形成において、フィルム14の折り返しが確実に為されるように、この製袋包装機では、角筒状のフィルム14を下方に送るフィルム送りベルト機構23を備え、エッジシーラー28,29が下方に下がってヒダ形成を行う直前に、フィルム14を二次送りによってヒダ14bbの幅の分だけ下方に送っている。これにより、エッジシーラー28,29とフィルム14とがスライドすることなく、包装袋34の底面14bの周囲に形成されるヒダ14bbが所定の適正な幅を持つものとなっている。
【0061】
(4)
また、この製袋包装機では、エッジシーラー28,29がカートリッジヒーター28cを備えているため、折り重ねられたフィルム14が熱シールされることでヒダ14bbが形成されるようになっている。このため、ヒダ14bbは、下方の二段底折りプレート26及びエンドシールバー18からだけではなく、上方のエッジシーラー28,29からも熱を受けて、良好にヒートシールされている。
【0062】
(5)
さらに、この製袋包装機では、ヒダ14bbの形成前に、二段底折りプレート26がエッジシーラー28,29の下方に入り込んできて、横シール部14baが鉛直状態から水平状態へと倒される。これにより、底面14bが平らな状態に近づき、また、エンドシールバー18の熱を幾らか吸収した二段底折りプレート26が、横シール部14baを底面14bに付ける役割を果たすことになる。上記の実施形態では、ヒダ形成時にエッジシーラー28,29の下方空間にエンドシールバー18が存在しているが、その下方空間からエンドシールバー18が退避している場合にも、二段底折りプレート26が存在しているためヒダ形成は可能である。
【0063】
なお、二段底折りプレート26による横シール部14baの倒し方向は、図14及び図15から明らかなように、背貼側、すなわち、センターシールバー15により形成される縦シール部14a側である。これにより、袋34は、仮に店頭で陳列しているときにバランスを崩して倒れる事があっても、大抵は背貼側が下面になる形で倒れることになる。このため、自立していた袋34が店頭で倒れた場合にも、いわゆる表面が上になり、お店の顧客へのアピール性が保たれる。
【0064】
(6)
本実施形態の縦型包装機では、フィルム送りベルト機構23が、角シリンダー6の背面側に配置されている。そして、図1に示すように、センターシールバー15やフィルム送りベルト機構23と同じ高さ位置に、ヘムヒーター17を配備している。このため、図1と図23とを比較すると明らかなように、製袋包装機の高さが比較的低く抑えられている。すなわち、従来は角シリンダー6の左右に位置していた一対のフィルム送りベルト機構21,22(図23参照)を、角シリンダー6を挟んでセンターシールバー15と対向する背面側にフィルム送りベルト機構23が位置するような構造(図1参照)に変えたため、製袋包装機の高さ寸法が小さくなっている。
【0065】
<変形例>
(A)
上記実施形態では、二段底折りプレート26で横シール部14baを倒した後、互いに少し離反した状態のエンドシールバー18を動かさずにエッジシーラー28,29を下降させてヒダ形成を行わせているが、ヒダ形成時に一対のエンドシールバー18が互いに押し合っている状態に戻すことも考えられる。この場合、エッジシーラー28,29の下降によって二段底折りプレート26やエンドシールバー18が若干下向きに撓む現象が抑制され、これら(二段底折りプレート26,エンドシールバー18)の剛性が小さい場合にも強い圧力でヒダ形成を行うことが可能になる。
【0066】
但し、上記実施形態では、一対のエンドシールバー18が互いに少し離れていても十分な剛性を有しているため、この変形例の動作を行っていない。
【0067】
(B)
上記実施形態では、製袋包装機にヘムガイド16やヘムヒーター17を配備しているが、エッジシーラー28,29によってヒダ14bbを袋34の底面14bの周囲に形成するという本発明は、ヘム形成機能を持たない製袋包装機に対しても適用可能である。
【0068】
また、ヘムヒーター17は持たないがフィルム14の四隅に確かな折り癖を付けることができる製袋包装機に対しても、本発明は適用可能である。
【0069】
(C)
上記実施形態では明示していないが、特徴的構成である二段底折りプレート26、前側底折りプレート27、一対の前後面エッジシーラー28及び一対の左右面エッジシーラー29は、最初から製袋包装機に配備されていてもよいし、既存の製袋包装機(例えば、図23に示すような従来のガゼット袋用の製袋包装機)に追加で後付けしたものであってもよい。
【0070】
(D)
上記実施形態では、エッジシーラー28,29を下方に移動させる直前にフィルム14の二次送りを行っているが、エッジシーラー28,29を下方に移動させると同時にフィルム14の二次送りを送るような制御としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
6 角シリンダー
6a 角シリンダーの本体部
6c 角シリンダーの下部
14 フィルム
14b 袋の底面
14ba 袋の底面の横シール部
14bb 袋の底面のヒダ
18 エンドシールバー(横シール部材)
23 フィルム送りベルト機構(フィルム搬送機構)
24 側面側三角ガイド
25 袋上側折込板
26 二段底折りプレート(プレート部材)
28 前後面エッジシーラー(ヒダ形成部材)
28c カートリッジヒーター(ヒーター)
29 左右面エッジシーラー(ヒダ形成部材)
34 包装袋
50 コントローラ(制御部)
180 横シール機構
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2006−75987号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム(14)の折り重ね部であるヒダ(14bb)が底面(14b)の周囲に形成されている包装袋、を製造する製袋包装機であって、
角筒状のフィルムの内側に配される、角シリンダー(6)と、
前記角シリンダーの下方において、前記角筒状のフィルムを横シールして、前記包装袋の底面の略中央に横シール部(14ba)を形成する、横シール機構(180)と、
前記角シリンダーの下部(6c)の周りにある前記包装フィルムの一部に対して、外側から押し当たり、下方に移動することで、前記包装袋の底面の周囲に前記ヒダを形成する、ヒダ形成部材(28,29)と、
前記横シール機構や前記ヒダ形成部材の動きをコントロールする、制御部(50)と、
を備えた製袋包装機。
【請求項2】
前記ヒダ形成部材(28,29)が前記包装フィルム(14)を介して押し当たる前記角シリンダー(6)の下部(6c)は、その上方の前記角シリンダーの本体部(6a)よりも内側に入り込んだ形状となっている、
請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記角筒状のフィルム(14)を下方に送るフィルム搬送機構(23)
をさらに備え、
前記制御部(50)は、前記ヒダ形成部材(28,29)を下方に移動させるとき或いはその直前に、前記フィルム搬送機構によって前記角筒状のフィルムを下方に送らせる、
請求項1又は2に記載の製袋包装機。
【請求項4】
前記ヒダ形成部材(28,29)は、ヒーター(28c)を有し、前記ヒダ(14bb)の折り重ね形状を形成するとともに、前記ヒダの折り重ねられたフィルムを熱シールする、
請求項1から3のいずれかに記載の製袋包装機。
【請求項5】
前記ヒダ形成部材(28,29)による前記ヒダ(14bb)の形成時に、前記ヒダ形成部材の下方に位置する、プレート部材(26)
をさらに備え、
前記ヒダ形成部材と前記プレート部材とは、前記ヒダの形成時に、折り重なる前記フィルムを挟み込むことで前記ヒダを形成する、
請求項1から4のいずれかに記載の製袋包装機。
【請求項6】
前記横シール機構(180)は、横シール部材(18)を有し、
前記プレート部材(26)は、可動の部材であり、
前記制御部(50)は、前記横シール部材および前記プレート部材を前記角シリンダー(6)の下方空間に入り込ませ、前記横シール機構の前記横シール部材による前記横シール部(14ba)の形成後も前記角シリンダーの下方空間に前記プレート部材を位置させ、前記ヒダ形成部材(28,29)を前記プレート部材に対して押し下げることで前記ヒダ(14bb)を形成させる、
請求項5に記載の製袋包装機。
【請求項7】
前記制御部(50)は、前記横シール機構の前記横シール部材(18)による前記横シール部(14ba)の形成後、前記プレート部材(26)を動かして前記横シール部を倒す、
請求項6に記載の製袋包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−16548(P2011−16548A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162151(P2009−162151)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(304024913)
【Fターム(参考)】