説明

製袋包装装置

【課題】包材内の不活性ガス充填率の低下を抑止する。
【解決手段】製袋包装装置は、上部に開口部124を有し、帯状フィルムFを筒状にするフォーマ120と、該筒状フィルムFmcを連続的に搬送する搬送部と、筒状フィルムFmcを該包材の搬送方向に交差する方向(X方向)に密閉するシール部とを備えている。そして、この製袋包装装置は、シール部により下端が密閉された筒状フィルムFmc内へ不活性ガスを供給するガス供給部170を備え、当該ガス供給部170による不活性ガスの吹出方向は、水平方向または水平方向より上側である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被包装体である物品が食品である場合には、その腐敗や変質を防止するために、当該物品が投入された包材内の空気を窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスに置換した上で包材を密閉することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、袋状包材内における酸素の残存状態を検出する残存酸素検出手段と、該検出手段による検出結果に基づき、ガス供給手段による不活性ガス供給時の流量を制御する流量制御手段とを設けた製袋包装機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−332012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、不活性ガスを包材内に封入する製袋包装機の一例として、フォーマの下部において包材内から不活性ガスを吸引すると共に、その吸引した不活性ガスをフォーマの上部付近から下方に向けて吹き出す製袋包装機が知られている。この製袋包装機では、フォーマの上部から下方に吹き出された不活性ガスが包材内に導入された後、当該包材内の不活性ガスが吸引されてフォーマの上部に戻される。このとき、フォーマの上部から被包装体が落下すると、被包装体の周囲の空気が当該被包装体に伴って落下し、包材内に投入される。そうすると、当該被包装体の周囲の空気が包材内に投入されることにより、包材内の不活性ガスの充填率が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、包材内の不活性ガス充填率の低下を抑止することが可能な製袋包装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る製袋包装装置は、上部に開口部を有し、帯状の包材を筒状にするフォーマと、該筒状の包材を連続的に搬送する搬送部と、筒状の包材を該包材の搬送方向に交差する方向に密閉するシール部とを備えた製袋包装装置であって、フォーマの上部に不活性ガスを供給するガス供給部を備え、ガス供給部による不活性ガスの吹出方向は、水平方向または水平方向より上側である。
【0008】
上記構成によれば、フォーマの開口部付近の気体を不活性ガスに置換することができる。これにより、被包装体である物品が不活性ガスと共に筒状の包材内に投入されるので、筒状の包材内の不活性ガス充填率が下がるのを抑制することができる。
また、不活性ガスの密度が空気の密度より小さい場合、不活性ガスがフォーマの上側に上昇する。これにより、フォーマの上部に配置され、被包装体が貯留されるシュート内の気体を不活性ガスに置換することができる。このシュートは、外部から仕切られた空間を形成しているので、不活性ガスの上昇によって、当該シュート内の気体は、不活性ガスに置換される。これにより、シュート内の被包装体が周囲の気体を伴って落下しても、その周囲の気体が不活性ガスに置換されているので、筒状の包材内の不活性ガス充填率が下がるのを抑制することができる。
不活性ガスの密度と空気の密度との差が非常に小さい場合、不活性ガスをフォーマの上部において水平方向に吹き出すことにより、フォーマの上部空間において不活性ガスの層を形成することができる。このため、被包装体がシュートから落下する際に、当該不活性ガスの層を通過することによって、被包装体の落下に伴って下降する気体が不活性ガスに置換される。その結果、筒状の包材内の不活性ガス充填率が下がるのを抑制することができる。
【0009】
製袋包装装置において、フォーマの下部に下端が密閉された筒状の包材内の不活性ガスを吸気する吸気口が設けられる。
【0010】
上記構成によれば、下端が密閉された筒状の包材内から気体を吸気することによって、当該筒状の包材内の圧力が低下する。これにより、低圧の筒状の包材内へ流れる下降気流が形成されるので、物品の落下速度が上昇する。その結果、筒状の包材への物品の充填速度が上昇し、製袋作業の高速化が実現可能となる。
【0011】
製袋包装装置において、ガス供給部は、吸気口から吸気された気体を、不活性ガスとしてフォーマの上部に再供給する。
【0012】
上記構成によれば、筒状の包材内から吸気された不活性ガスが、フォーマの上部に供給されて、当該フォーマの上部の気体が不活性ガスに置換される。これにより、フォーマの上部から被包装体が当該不活性ガスと共に降下する。これにより、被包装体が空気と共に筒状の包材内に導入される場合に比べて、不活性ガス充填率が低下するのを抑制することができる。
また、筒状の包材内から吸気された不活性ガスを再び筒状の包材内に導入できるので、不活性ガスの再利用を図ることができる。その結果、不活性ガスの使用量の低減を図ることができる。
【0013】
製袋包装装置において、フォーマの下部に下端が密閉された筒状の包材内へ不活性ガスを供給する供給口が設けられており、供給口が、吸気口より下方に設けられる。
【0014】
上記構成によれば、空気より密度が小さい不活性ガスの供給口を、吸気口より下方に設けることにより、筒状の包材内に充填された不活性ガスが直ちに吸気口から吸い出されてしまうのを抑制することができる。これにより、筒状の包材内の不活性ガス充填率が低下するのを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る製袋包装装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した製袋包装装置のフォーマおよびその周辺部分の詳細を示した斜視図である。
【図3】図1に示した製袋包装装置のフォーマおよびその周辺部分の詳細を示した(a)模式正面図、(b)模式平面図である。
【図4】図1に示した製袋包装装置のチューブの内部構造を示した断面図である。
【図5】図1に示した製袋包装装置の制御ブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る製袋包装装置のフォーマおよびその周辺部分の詳細を示した模式正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る製袋包装装置のフォーマおよびその周辺部分の詳細を示した模式正面図である。
【図8】本発明の第1変形例および第2変形例に係るチューブの内部構造を示した断面図である。
【図9】本発明の第3変形例に係る製袋包装装置のフォーマおよびその周辺部分の詳細を示した模式正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
[製袋包装装置の全体構成]
本実施形態に係る製袋包装装置100は、図1および図2に示すように、帯状のフィルムFを袋状に成形しながら該フィルム内に物品を投入して密閉することによって製品Cを連続して生成する製袋包装装置である。この製袋包装装置100は、例えば、ポテトチップス等の食品(以下、被包装体Bとする)を所定重量ずつフィルムにて包装する製袋包装装置であって、当該フィルム内には、腐食や酸化を防止するために、窒素ガスおよびアルゴンガス等の不活性ガス(ここでは、不活性ガスの一例として、窒素ガスを用いる。)が封入される。製袋包装装置100は、主として、フィルムFを供給するフィルム供給部110と、帯状で送られてくるフィルムFを筒状に成形するフォーマ120と、筒状となったフィルムFmcを下方に搬送するプルダウンベルト機構130と、筒状フィルムFmcの重ね合わせ部分を縦にシールする縦シール機構140と、筒状フィルムFmcを横にシールする横シール機構150と、被包装体Bが充填された袋状の製品Cを下流側に排出する排出シュート160と、筒状フィルムFmc内から気体を吸気する吸気部170(図3参照)と、筒状フィルムFmc内に窒素ガスを供給するガス噴出部180(図3参照)と、製袋包装装置100の各アクチュエータを制御する制御部190(図5参照)と、を備えている。
【0017】
この製袋包装装置100の上方には、図1に示すように、組合せ計量装置101が設けられている。この組合せ計量装置101は、複数のホッパにおいて所定重量ずつ被包装体Bを計量した後、これらの計量値が所定の合計重量になるように組み合わせて順次排出する。合計重量となった被包装体Bは、図2に示すように、組合せ計量装置101のシュート102を通って、下方に配置されるフォーマ120の開口部124に投下される。
【0018】
[フィルム供給部]
フィルム供給部110は、図1に示すように、フォーマ120に帯状のフィルムFを供給するために設けられている。このフィルム供給部110には、フィルムFが巻き付けられたロール(図示せず)がセットされており、そのロールからフィルムFが繰り出される。なお、フィルムFは、合成樹脂等の熱溶融性のフィルムである。
【0019】
[フォーマ]
フォーマ120は、図2および図3に示すように、帯状で送られてくるフィルムFを筒状に成形すると共に、筒状フィルムFmcの内部に被包装体Bを導入するために設けられている。このフォーマ120は、帯状フィルムFを筒状フィルムFmcに成形するセーラ121と、当該筒状フィルムFmcを外周に巻き付けて垂下するためのチューブ122とを有している。
【0020】
セーラ121は、図2および図3に示すように、チューブ122に連続して設けられている。このセーラ121の形状は、フィルム供給部110から送られてきた帯状のフィルムFが、セーラ121とチューブ122との間を通過する際に、筒状に形成されるような形状となっている。
【0021】
チューブ122は、図2および図3に示すように、円筒形状であって、上端および下端には、それぞれ開口部124および125が設けられている。このチューブ122の上端に設けられる開口部124には、組合せ計量装置101で所定重量に計量された被包装体Bが投入される。そして、当該開口部124から投入された被包装体Bは、円筒形状のチューブ122の内部を通って、チューブ122の下端に設けられる開口部125から投下されて、筒状フィルムFmc内に充填される。また、チューブ122の下端には、筒状フィルムFmcの内部に挿入されて、被包装体Bを当該筒状フィルムFmc内に導入するためのガイド123が設けられている。
そして、本実施形態では、図4に示すように、チューブ122内部には、被包装体Bが通過する通路L1、筒状フィルムFmcから吸気した気体(窒素ガス)が通過する流路L2、および、筒状フィルムFmc内に供給される窒素ガスが通過する流路L3、が形成されている。
【0022】
[プルダウンベルト機構]
プルダウンベルト機構130は、図2に示すように、チューブ122の外周に巻き付いた筒状フィルムFmcを吸着して下方に搬送する機構であり、チューブ122を挟んで2つ設けられている。このプルダウンベルト機構130は、主として、駆動ローラ131、従動ローラ132、および、吸着機能を有するベルト133とを有している。
【0023】
[縦シール機構]
縦シール機構140は、図2に示すように、チューブ122に巻き付いた筒状フィルムFmcの重なり部分を縦方向(矢印Z方向)にシールする機構である。なお、ここでの「縦方向」とは、筒状フィルムFmcの搬送方向に沿った方向であり、本実施形態では、垂直方向(矢印Z方向)である。この縦シール機構140は、チューブ122の側方に設けられている。
【0024】
[横シール機構]
横シール機構150は、図2および図3に示すように、チューブ122の下方において、筒状フィルムFmcを横方向(X方向)にシールする機構である。なお、ここでの「横方向」とは、筒状フィルムFmcの搬送方向に交差する方向であり、本実施形態では、水平方向(矢印X方向)である。この横シール機構150は、フォーマ120、プルダウンベルト機構130および縦シール機構140の下方に配置される。横シール機構150は、筒状フィルムFmcを挟持する一対のシールジョー151および152を有している。これらのシールジョー151および152は、フィルムFmcの連続的な搬送を阻害しないように、略D字のような軌跡で対称的に移動し、筒状フィルムFmcを横方向にシールする際に押し付け合わされる。
また、横シール機構150には、図示しないカッターが内蔵されている。このカッターは、シールジョー151および152によりシールされた部分のセンター位置において、後続の(上方の)筒状フィルムFmcと切り離す。
【0025】
[排出シュート]
排出シュート160は、図1に示すように、横シール機構150の下方に設けられており、上記した横シール機構150のカッターにより切り離された製品Cを、後工程の搬送装置(例えば、ベルトコンベア)(図示せず)に導くために設けられている。この排出シュート160は、金属板等で形成された斜面であり、重力を利用して製品Cを搬送装置(図示せず)へと導く。
【0026】
[吸気部]
吸気部(ガス供給部)170は、下端を密閉した筒状フィルムFmc内から気体を吸気するために設けられている。図3に示すように、吸気部170は、筒状フィルムFmc内から吸気した窒素ガスをフォーマ120の上部に再供給する。吸気部170は、ブロワ171と、チューブ122の内側に設けられる吸気ダクト172と、循環ダクト173とを有している。この吸気ダクト172は、図4に示すように、チューブ122の内側に平板を取り付けることによって形成されており、上下方向(矢印Z方向)に沿って延びている。ブロワ171は、後述する制御部190から送信される制御信号に基づいて駆動し、筒状フィルムFmc内から気体を吸気する。また、循環ダクト173は、吸気ダクト172に連通して接続されており、その一端は吸気ダクト172の上端に接続され、且つ、他端はチューブ122の開口部124に接続されている。
【0027】
吸気口174は、図3に示すように、下端が密閉された筒状フィルムFmc内の窒素ガスを吸気するために、フォーマ120の下部に設けられている。この吸気口174は、後述する供給口184より上側に設けられている。
【0028】
吹出口175は、図3に示すように、チューブ122の上部に窒素ガスを供給するために設けられている。この吹出口175は、フォーマ120の上部であって、チューブ122に接続されている。
【0029】
制御部190から送信される制御信号を受信したブロワ171の駆動によって、筒状フィルムFmc内の窒素ガスが、吸気ダクト172の吸気口174から吸気されて、吸気ダクト172および循環ダクト173を通過して、循環ダクト173の吹出口175からチューブ122の上部(開口部124)に吹き出される。この吸気部170による窒素ガスの吹き出し方向(D1方向)は、水平方向となっている。
【0030】
[ガス噴出部]
ガス噴出部180は、図3に示すように、下端が密閉した筒状フィルムFmcに窒素ガスを供給するために設けられている。このガス噴出部180は、ガス供給源181と、チューブ122の内側に設けられる供給ダクト182と、延長ダクト183とを有している。この供給ダクト182は、図4に示すように、チューブ122の内側に平板を取り付けることによって形成されている。ガス供給源181は、後述する制御部190から送信される制御信号に基づいて駆動し、筒状フィルムFmc内に窒素ガスを供給する。また、延長ダクト183は、供給ダクト182に連通して接続されており、その一端は供給ダクト182の下端に接続され、且つ、他端はシールジョー151および152の近傍に配置される。ガス供給源181の駆動によって、ガス供給源181から供給される窒素ガスは、供給ダクト182および延長ダクト183を通過して、延長ダクト183の供給口184から、筒状フィルムFmc内に供給される。
【0031】
供給口184は、フォーマ120の下部に配置され、下端が密閉された筒状フィルムFmc内へ窒素ガスを供給する。この供給口184は、上記した吸気口174より下方に設けられている。すなわち、窒素ガスの供給口184が、吸気口174より下方に配置されることにより、空気(密度:1.293kg/m)より密度が小さい窒素ガス(密度:1.251kg/m)を吸気口174より下方で吹き出すことが可能となる。これにより、供給口184から供給された窒素ガスが直ちに吸気口174から吸い込まれてしまうのを抑制することができる。
【0032】
[制御部]
制御部190は、図5に示すように、フィルム供給部110、プルダウンベルト機構130、縦シール機構140、横シール機構150、及び、操作スイッチ103等と通信可能に接続されており、各アクチュエータの動作を制御する。具体的には、制御部190は、プルダウンベルト機構130による筒状フィルムFmcの下方への送り速度に合わせて、横シール機構150のシールジョー151,152の旋回速度、シールジョー151,152の筒状フィルムFmcへの押し付け動作を制御する。また、制御部190は、操作スイッチ103の操作に係る信号に基づいて、製袋包装装置100の各アクチュエータの動作を制御する。
【0033】
また、制御部190は、ブロワ171およびガス供給源181と通信可能に接続されており、これらを制御することにより、下端が密閉された筒状フィルムFmc内に窒素ガスを供給したり、該筒状フィルムFmc内の気体を吸気したりする。
【0034】
[製袋包装装置の動作]
製袋包装装置の動作を、図2および図3を参照しながら説明する。
フィルム供給部110からフォーマ120に送られた帯状のフィルムFは、セーラ121からチューブ122に巻き付けられて筒状に成形され、そのままプルダウンベルト機構130によって下方に搬送される。そして、筒状フィルムFmcはチューブ122に巻き付いた状態において両端部が周面上で重ね合わせられた状態となり、その重ね合わせ部分が縦シール機構140によって縦方向にシールされる。
【0035】
縦方向にシールされて円筒形状となった筒状フィルムFmcは、チューブ122を抜けて横シール機構150へと下降する。そして、シールジョー151,152によって筒状フィルムFmcの下端が横方向にシールされる。
【0036】
一方、被包装体Bは、組合せ計量装置101からフォーマ120の開口部124に投入され、筒状フィルムFmcの移動と同時に、チューブ122の内部(通路L1(図4参照))を通って落下してくる。この際、窒素ガスが供給ダクト182の流路L3を通って筒状フィルムFmcの内部に供給される。
【0037】
筒状フィルムFmcに被包装体Bと窒素ガスとが充填されると、シールジョー151,152によって筒状フィルムFmcの上端が横方向にシールされる。これにより、筒状フィルムFmcが袋状に形成される。このとき、シールジョー151,152に内蔵されているカッターによる切断処理が行われる。これにより、後続の筒状フィルムFmcから製品Cとして切り離される。以降、上記の動作が繰り返され、連続して製袋が行われる。分離された製品Cは、排出シュート160を滑り落ちて搬送装置(図示せず)で搬送され、後工程のチェッカーなどの装置へと運ばれていく。
【0038】
<本実施形態における効果>
上記実施形態では、フォーマ120の上部に水平方向に窒素ガスを吹き出す吹出口175を設けることによって、フォーマ120の開口部124付近の気体を窒素ガスに置換することができる。これにより、被包装体Bが窒素ガスと共に筒状フィルムFmc内に投入されるので、筒状フィルムFmc内の窒素ガス充填率が下がるのを抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、窒素ガスの密度(密度:1.251kg/m)が空気の密度(密度:1.293kg/m)より僅かに小さいので、窒素ガスがフォーマ120の上側に上昇する。これにより、フォーマ120の上部に配置され、被包装体Bが貯留されるシュート102内の気体を窒素ガスに置換することができる。このシュート102は、外部から仕切られた空間を形成しているので、窒素ガスの上昇によって、当該シュート102内の気体は、窒素ガスに置換される。これにより、シュート102内の被包装体Bが周囲の気体を伴って落下しても、その周囲の気体が窒素ガスに置換されているので、筒状フィルムFmc内の窒素ガス充填率が下がるのを抑制することができる。
【0040】
上記したように窒素ガスの密度は、空気の密度より僅かに小さいものの、それらの密度の差は非常に小さい。従って、本実施形態では、窒素ガスをフォーマ120の上部において水平方向に吹き出すことにより、フォーマ120の上部空間において窒素ガスの層を形成することができる。このため、被包装体Bがシュート102から落下する際に、当該窒素ガスの層を通過することによって、被包装体Bの落下に伴って下降する気体が窒素ガスに置換される。その結果、筒状フィルムFmc内の窒素ガス充填率が下がるのを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、下端が密閉された筒状フィルムFmc内から窒素ガスを吸気することによって、当該筒状フィルムFmc内の圧力が低下する。これにより、低圧の筒状フィルムFmc内へ流れる下降気流が形成されるので、物品の落下速度が上昇する。その結果、筒状フィルムFmcへの物品の充填速度が上昇し、製袋作業の高速化が実現可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、筒状フィルムFmc内から吸気された窒素ガスが、フォーマ120の上部に供給されて、当該フォーマ120の上部の気体が窒素ガスに置換される。すなわち、筒状フィルムFmc内から吸気された窒素ガスを再び筒状フィルムFmc内に導入できるので、窒素ガスの再利用を図ることができる。その結果、窒素ガスの使用量の低減を図ることができる。
【0043】
また、本実施形態では、空気より密度が小さい窒素ガスの供給口184を、吸気口174より下方に設けることにより、筒状フィルムFmc内に充填された窒素ガスが直ちに吸気口174から吸い出されてしまうのを抑制することができる。これにより、筒状フィルムFmc内の窒素ガス充填率が低下するのを抑止することができる。
【0044】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、製袋包装装置100が「製袋包装装置」に相当し、帯状のフィルムFが「帯状の包材」に相当し、フォーマ120が「フォーマ」に相当し、筒状フィルムFmcが「筒状の包材」に相当し、開口部124が「開口部」に相当し、プルダウンベルト機構130が「搬送部」に相当し、横シール機構150が「シール部」に相当し、吸気部170が「ガス供給部」に相当し、吹出口175が「吹出口」に相当し、吸気口174が「吸気口」に相当し、供給口184が「供給口」に相当する。
【0045】
(第2実施形態)
この第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なる循環ダクトを有する製袋包装装置について説明を行う。なお、第2実施形態の製袋包装装置は、吸気部170a以外は、第1実施形態の製袋包装装置100と同様の構成であるので、この第2実施形態では、吸気部170a以外の構成については、第1実施形態と同一符号を付し、その説明を適宜割愛する。
【0046】
[吸気部]
吸気部(ガス供給部)170aは、図6に示すように、下端を密閉した筒状フィルムFmc内から気体を吸気するために設けられている。この吸気部170aは、筒状フィルムFmc内から吸気した窒素ガスをフォーマ120の上部に供給する。吸気部170aは、ブロワ171aと、チューブ122の内側に設けられる吸気ダクト172aと、循環ダクト173aとを有している。ブロワ171aおよび吸気ダクト172aは、第1実施形態のブロワ171および吸気ダクト172と同様であるので、その説明を省略する。
【0047】
循環ダクト173aは、図6に示すように、吸気ダクト172aに連通して接続されており、その一端は吸気ダクト172aの上端に接続され、且つ、他端はチューブ122の開口部124に接続されている。この循環ダクト173aは、吸気ダクト172aに接続され且つ水平方向(矢印X方向)に延びる第1ダクト176aと、第1ダクト176aに接続され且つ上下方向(矢印Z方向)に延びる第2ダクト177aと、第2ダクト177aに接続され且つ環状の第3ダクト178aと、第3ダクト178aに接続され且つ環状の第3ダクト178aから径方向内側に延びる複数の第4ダクト179aとを有している。これらの第4ダクト179aは、約90°間隔で4つ設けられている。
【0048】
吸気口174aは、下端が密閉された筒状フィルムFmc内の窒素ガスを吸気するために、フォーマ120の下部に設けられている。この吸気口174は、供給口184より上側に設けられている。
【0049】
4つの第4ダクト179aの各々に形成される4つの吹出口175aは、チューブ122の上部に窒素ガスを供給するために設けられている。これらの4つの吹出口175aは、それぞれ、フォーマ120の上部であって、チューブ122の開口部124に接続されている。
【0050】
ブロワ171aの駆動によって、筒状フィルムFmc内の窒素ガスは、吸気ダクト172aの吸気口174aから吸気されて、吸気ダクト172aを通過して、循環ダクト173aに導入される。循環ダクト173aにおいては、窒素ガスが、第1ダクト176aにおいて水平方向に進行して、第2ダクト177aにおいて垂直上方向に進行する。そして、第2ダクト177aを通過した窒素ガスは、環状の第3ダクト178aに導入される。これにより、窒素ガスが、チューブ122の開口部124の周囲を環状に進行する。そして、窒素ガスは、環状の第3ダクト178aから4つの第4ダクト179aを通過して、チューブ122の開口部124に向かって径方向内側方向に進行して、吹出口175aからチューブ122の上部(開口部124)に吹き出される。この吸気部170aによる窒素ガスの吹き出し方向(D2方向)は、水平方向となっている。
【0051】
<本実施形態における効果>
上記第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0052】
第2実施形態では、循環ダクト173aに環状の第3ダクト178aを設けると共に、その環状ダクト178aに約90°間隔で4つの第4ダクト179aを設けることによって、チューブ122の開口部124に種々の方向から均等に窒素ガスを供給することができる。これにより、チューブ122の上部の気体を確実に窒素ガスに置換することができる。
【0053】
(第3実施形態)
上記した第1および第2実施形態では、筒状フィルムFmc内から吸気した窒素ガスをチューブ122の開口部124に供給したが、この第3実施形態では、循環ダクト173bが組合せ計量装置101のシュート102に接続される。以下、詳細に説明する。なお、この第3実施形態では、ダクトの形状が異なること以外は、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、その説明を適宜割愛する。
【0054】
図7に示すように、第3実施形態に係る製袋包装装置の吸気部170bは、ブロワ171bと、吸気ダクト172bと、循環ダクト173bとを有している。循環ダクト173bの一端は、吸気ダクト172bに接続され、且つ、他端は、フォーマ120の上部に配置されるシュート102の上端に接続されている。これにより、筒状フィルムFmc内から吸気された気体は、吸気ダクト172bの吸気口174bから吸気されて、吸気ダクト172bおよび循環ダクト173bを通過した後、循環ダクト173bの吹出口175bからシュート102内に導入される。なお、筒状フィルムFmc内に供給される気体は、窒素ガスであるから、筒状フィルムFmc内から吸気された気体も、窒素ガスとなる。したがって、シュート102内には、循環ダクト173bを通過した窒素ガスが供給される。この吸気部170bによる窒素ガスの吹き出し方向(D3方向)は、水平方向となっている。
【0055】
<本実施形態における効果>
上記第3実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0056】
上記第3実施形態では、フォーマ120の上流側にあるシュート102において、被包装体Bと共に降下する気体が窒素ガスに置換される。これにより、筒状フィルムFmc内の窒素ガス充填率が下がるのを抑止することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0058】
例えば、上記第1実施形態では、図4に示すように、チューブ122内に吸気ダクト172と供給ダクト182とを1つずつ設ける例について説明したが、本発明はこれに限らず、図8(a)に示した第1変形例に示すように、チューブ122dの内部に4つのダクト172dを設けても良いし、図8(b)に示した第2変形例に示すように、チューブ122eの内部に3つのダクト172eを設けても良い。第1変形例に係るダクト172dは、全てが吸気ダクトであっても良いし、1つが吸気ダクトで且つ残りの3つが供給ダクトであっても良いし、2つが吸気ダクトで且つ残りの2つが供給ダクトであっても良いし、3つが吸気ダクトで且つ残りの1つが供給ダクトであっても良い。同様に、第2変形例に係るダクト172eは、全てが吸気ダクトであっても良いし、1つが吸気ダクトで且つ残りの2つが供給ダクトであっても良いし、2つが吸気ダクトで且つ残りの1つが供給ダクトであっても良い。また、第1変形例および第2変形例では、吸気ダクトと供給ダクトとの位置関係は、限定されない。つまり、吸気ダクトが隣接して配置されても良いし、対向して配置されても良い。また、供給ダクトが隣接して配置されても良いし、対向して配置されても良い。
【0059】
上記した吸気ダクトおよび/または排気ダクトが複数存在する場合には、複数の吸気ダクトから筒状フィルム内の気体を順次吸気しても良いし、複数の排気ダクトから筒状フィルム内に順次気体を排気しても良い。また、複数の吸気ダクトから同時に筒状フィルム内の気体を吸気しても良いし、複数の排気ダクトから同時に筒状フィルム内に気体を排気しても良い。
【0060】
また、上記第1実施形態に係る吹出口175、第2実施形態に係る吹出口175a、および、第3実施形態に係る吹出口175bは、いずれも窒素ガスを水平方向に吹き出していたが、本発明はこれに限らず、フォーマの上部への窒素ガスの吹き出し方向が水平方向より上側であっても良い。例えば、図9の第3変形例に示されるように、吸気部170dは、ブロワ171dと、吸気ダクト172dと、を備えている。そして、吸気ダクト172dの下端には、筒状フィルムFmc内の窒素ガスを吸気する吸気口174dが設けられ、吸気ダクト172dの上端には、チューブ122の上部に窒素ガスを供給する吹出口175dが設けられている。この吸気部170dによる窒素ガスの吹き出し方向(D4方向)は、垂直上方向となっている。
【符号の説明】
【0061】
100 製袋包装装置
120 フォーマ
124 開口部
130 プルダウンベルト機構
150 横シール機構
170,170a,170b,170d 吸気部
174,174a,174b,174d 吸気口
175,175a,175b,175d 吹出口
180 ガス噴出部
184 供給口
D1,D2,D3,D4 吹出方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を有し、帯状の包材を筒状にするフォーマと、該筒状の包材を連続的に搬送する搬送部と、前記筒状の包材を該包材の搬送方向に交差する方向に密閉するシール部とを備えた製袋包装装置であって、
前記フォーマの上部に不活性ガスを供給するガス供給部を備え、
前記ガス供給部による不活性ガスの吹出方向は、水平方向または水平方向より上側であることを特徴とする、製袋包装装置。
【請求項2】
前記フォーマの下部に前記下端が密閉された筒状の包材内の不活性ガスを吸気する吸気口が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の製袋包装装置。
【請求項3】
前記ガス供給部は、前記吸気口から吸気された気体を、前記不活性ガスとして前記フォーマの上部に再供給することを特徴とする、請求項2に記載の製袋包装装置。
【請求項4】
前記フォーマの下部に前記下端が密閉された筒状の包材内へ不活性ガスを供給する供給口が設けられており、
前記供給口が、前記吸気口より下方に設けられることを特徴とする、請求項2または3に記載の製袋包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−62111(P2012−62111A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209986(P2010−209986)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】