説明

複写管理装置及びプログラム

【課題】複写対象となる原稿に変更が加えられた場合に、複写装置による原稿の複写を制限する。
【解決手段】複写管理装置2は、原稿に原稿IDを示すバーコードが付加された複写用原稿を作成する際に、複写用原稿のイメージデータと複写用原稿の複写が許諾される条件である複写許諾条件のデータとからハッシュ値を算出し、原稿IDに関連付けてハッシュ値と複写許諾条件とを複写条件DB21に記録しておく。複写装置5で原稿の複写が開始されると、複写管理装置2は、複写対象原稿のバーコードから読み取った原稿IDに基づき、複写条件DB21から複写許諾条件及びハッシュ値を読み出す。そして、複写対象原稿のイメージデータと読み出した複写許諾条件とからハッシュ値を再算出し、再算出したハッシュ値と読み出したハッシュ値とを比較して原稿の変更を検出する。原稿に変更が加えられている場合には、不正な複写として複写を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報セキュリティ技術に関し、特に、不正な複写による情報の流出を防ぐための複写管理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機メーカーでは、不正コピーにより情報が不正に流出するのを防止、抑制するために、コピー時に、利用者の識別情報を記憶するICカード等を読み取り、コピーを誰が何枚行ったかというログを残す仕組みを備えた複写機を商品化している。
【0003】
また、この他にも、不正コピーを抑止するために、複写機において、原稿に複写の許可や禁止を示す所定の表示等が存在するか否かを判別し、その表示等の有無によりコピーを制限するようにしたものもある(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0004】
さらに、複写機において、コピー時に利用者の識別情報(ID)の入力を求め、利用者にコピーを行う資格が有るか否かを判別し、資格有りと判別された場合にコピーを認めるようにしたものもある(例えば、特許文献4,5,6参照)
【0005】
また、コピーを制限するか否かを判別するために、コピーに際して、暗号の入力を求めるものや(例えば、特許文献7参照)、複写物の配布先の識別情報(ID)の入力を求めるものもある(例えば、特許文献8参照)。
また、原稿の複製可能な印刷数を管理することにより、コピーを制限するようにしたものもある(例えば、特許文献9参照)。
【0006】
さらには、複写機とネットワーク接続されている管理装置に、紙幣等の記録禁止対象の画像を記憶させておき、この記録禁止対象画像とコピーされる原稿の画像とを照合することにより、コピーを制限するようにしたものもある(例えば、特許文献10参照)。
【0007】
また、プリンタと印刷内容のデータを記憶しているサーバとをインターネットを介して接続し、プリンタに用紙がセットされると、セットされた用紙が所定の様式であるか否かをサーバ側で判別し、所定の様式である場合にプリンタに印刷内容のデータ送信し、プリンタで受信した印刷内容を用紙に印刷するようにして、印刷を制限するようにしたものもある(例えば、特許文献11参照)。
【特許文献1】特開平4−343570号公報
【特許文献2】特開平8−65438号公報
【特許文献3】特開平10−164296号公報
【特許文献4】特開平5−316373号公報
【特許文献5】特開平6−70150号公報
【特許文献6】特開平7−115537号公報
【特許文献7】特開平3−120561号公報
【特許文献8】特開平7−49645号公報
【特許文献9】特開2004−216863号公報
【特許文献10】特開平7−131638号公報
【特許文献11】特開2001−297162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの技術によれば、不正コピーを防止するために、例えば、コピー対象となる原稿に予めコピーの許可や禁止を示す所定の表示を印刷しておいた上で、コピー時にそれらの表示を読み取り、コピーを許可する表示を読み取った場合はコピーを実行し、コピーを禁止する表示を読み取った場合はコピーを実行しないようにするものが考えられる。
【0009】
しかしながら、このような方法で不正コピーを防止する場合には、例えば、原稿が改竄されて、コピーの禁止を示す表示がコピーの許可を示す表示に不正に変更されてしまったような場合には、不正にコピーが行われ、不正な情報流出を防ぐことができない。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、複写対象となる原稿に変更が加えられた場合に、複写装置による原稿の複写を制限することが可能な複写管理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る複写管理装置は、
原稿を識別するための原稿識別情報が付加されている複写用原稿のイメージデータを取得する複写用原稿イメージ取得手段と、
複写装置における前記複写用原稿の複写を許諾するか否かを判別するための条件である複写条件情報を取得する複写条件取得手段と、
前記複写用原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータと、前記複写条件取得手段が取得した複写条件情報とに基づき、所定のハッシュ関数を用いてハッシュ値を算出する複写用原稿ハッシュ値算出手段と、
前記複写用原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記複写条件取得手段が取得した複写条件情報とを、前記原稿識別情報に関連付けて記憶する情報記憶手段と、
前記複写装置において複写用原稿の複写が行われるときに、複写対象の複写用原稿である複写対象原稿のイメージデータを取得する複写対象原稿イメージ取得手段と、
前記情報記憶手段から、前記複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて記憶されている複写条件情報を読み出す複写条件読出手段と、
前記複写対象原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータと、前記複写条件読出手段が読み出した複写条件情報とに基づき、前記所定のハッシュ関数を用いてハッシュ値を算出する複写対象原稿ハッシュ値算出手段と、
前記情報記憶手段から、前記複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて記憶されているハッシュ値を読み出すハッシュ値読出手段と、
前記複写対象原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記ハッシュ値読出手段が読み出したハッシュ値と、が一致するか否かを判別するハッシュ値判別手段と、
前記複写装置における前記複写対象原稿の複写が、前記複写条件読出手段が読み出した複写条件情報を満たすか否かを判別する複写条件判別手段と、
前記ハッシュ値判別手段によりハッシュ値が一致すると判別され、かつ、前記複写条件判別手段により複写条件情報を満たすと判別されたときに、前記複写装置における前記複写対象原稿の複写を許可するための信号を出力し、前記ハッシュ値判別手段によりハッシュ値が一致しないと判別されたとき、又は、前記複写条件判別手段により複写条件情報を満たさないと判別されたときに、前記複写装置における前記複写対象原稿の複写を禁止するための信号を出力する制御信号出力手段と、
を備える。
【0012】
前記複写用原稿イメージ取得手段は、
原稿のイメージデータを取得する原稿イメージ取得手段と、
前記原稿を識別するための原稿識別情報を生成する識別情報生成手段と、
前記識別情報生成手段が生成した原稿識別情報を有するバーコードのイメージデータを作成するバーコードイメージ作成手段と、
前記原稿イメージ取得手段が取得した原稿のイメージデータに、前記バーコードイメージ作成手段が作成したバーコードのイメージデータを合成して、複写用原稿のイメージデータを取得するイメージ合成手段と、を有し、
前記情報記憶手段は、前記識別情報生成手段が生成した原稿識別情報に関連付けて、前記複写用原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記複写条件取得手段が取得した複写条件情報とを記憶し、
前記複写対象原稿イメージ取得手段は、前記イメージ合成手段が取得した複写用原稿のイメージデータが印刷されることによりバーコードが印刷された複写対象原稿のイメージデータを取得し、
前記複写条件読出手段は、前記複写対象原稿に印刷されているバーコードから原稿識別情報を取得し、該取得した原稿識別情報に関連付けて記憶されている複写条件情報を、前記情報記憶手段から読み出し、
前記ハッシュ値読出手段は、前記複写対象原稿に印刷されているバーコードから原稿識別情報を取得し、該取得した原稿識別情報に関連付けて記憶されているハッシュ値を、前記情報記憶手段から読み出す、
ようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の第2の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
原稿を識別するための原稿識別情報が付加されている複写用原稿のイメージデータを取得する複写用原稿イメージ取得手段、
複写装置における前記複写用原稿の複写を許諾するか否かを判別するための条件である複写条件情報を取得する複写条件取得手段、
前記複写用原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータと、前記複写条件取得手段が取得した複写条件情報とに基づき、所定のハッシュ関数を用いてハッシュ値を算出する複写用原稿ハッシュ値算出手段、
前記複写用原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記複写条件取得手段が取得した複写条件情報とを、前記原稿識別情報に関連付けて記憶部に記録する情報記録手段、
前記複写装置において複写用原稿の複写が行われるときに、複写対象の複写用原稿である複写対象原稿のイメージデータを取得する複写対象原稿イメージ取得手段、
前記記憶部から、前記複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて記録されている複写条件情報を読み出す複写条件読出手段、
前記複写対象原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータと、前記複写条件読出手段が読み出した複写条件情報とに基づき、前記所定のハッシュ関数を用いてハッシュ値を算出する複写対象原稿ハッシュ値算出手段、
前記記憶部から、前記複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて記録されているハッシュ値を読み出すハッシュ値読出手段、
前記複写対象原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記ハッシュ値読出手段が読み出したハッシュ値と、が一致するか否かを判別するハッシュ値判別手段、
前記複写装置における前記複写対象原稿の複写が、前記複写条件読出手段が読み出した複写条件情報を満たすか否かを判別する複写条件判別手段、
前記ハッシュ値判別手段によりハッシュ値が一致すると判別され、かつ、前記複写条件判別手段により複写条件情報を満たすと判別されたときに、前記複写装置における前記複写対象原稿の複写を許可するための信号を出力し、前記ハッシュ値判別手段によりハッシュ値が一致しないと判別されたとき、又は、前記複写条件判別手段により複写条件情報を満たさないと判別されたときに、前記複写装置における前記複写対象原稿の複写を禁止するための信号を出力する制御信号出力手段、
として機能させる。
【0014】
また、本発明の第3の観点に係る複写管理装置は、
原稿識別情報を付加した複写用原稿が作成されるときに、該複写用原稿のイメージ情報を、前記原稿識別情報に関連付けて記憶するイメージ情報記憶手段と、
複写装置において複写用原稿の複写が行われるときに、複写対象の複写用原稿である複写対象原稿のイメージ情報と、該複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて前記イメージ情報記憶手段に記憶されているイメージ情報と、に基づいて、複写用原稿が変更されているか否かを判別する変更判別手段と、
前記変更判別手段により複写用原稿が変更されていると判別されたときに、前記複写装置における前記複写対象原稿の複写を禁止するための信号を出力する信号出力手段と、
を備える。
【0015】
前記イメージ情報は、イメージデータから算出されるハッシュ値であり、
前記イメージ情報記憶手段は、
前記複写用原稿のイメージデータを取得する複写用原稿イメージ取得手段と、
前記複写用原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータに、所定のハッシュ関数を適用して、ハッシュ値を算出する複写用原稿ハッシュ値算出手段と、
前記複写用原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値を、前記原稿識別情報に関連付けて記憶するハッシュ値記憶手段と、を有し、
前記変更判別手段は、
前記複写対象原稿のイメージデータを取得する複写対象原稿イメージ取得手段と、
前記複写対象原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータに、前記所定のハッシュ関数を適用して、ハッシュ値を算出する複写対象原稿ハッシュ値算出手段と、
前記複写対象原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて前記ハッシュ値記憶手段に記憶されているハッシュ値と、に基づいて、複写用原稿が変更されているか否かを判別するハッシュ値判別手段と、を有する、
ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複写対象となる原稿に変更が加えられた場合に、複写装置による原稿の複写を制限することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る複写管理システムの構成例を示すブロック図である。
本実施の形態に係る複写管理システムは、図示するように、複写用原稿作成申請装置1と、複写管理装置2と、ログ蓄積装置3と、印刷装置4と、複写装置5と、を備え、それぞれが通信ネットワーク6を介して互いに接続されている。そして、複写管理装置2は、複写条件データベース(DB)21を備え、ログ蓄積装置3は、ログデータベース(DB)31を備える。
【0018】
複写用原稿作成申請装置1は、不正な複写が防止される機能を備えた原稿である複写用原稿の作成をユーザが申請するための装置である。
【0019】
複写管理装置2は、複写装置5において原稿の不正な複写が行われないように管理する装置である。
そのために、複写管理装置2は、まず、複写用原稿作成申請装置1からの申請に基づき、印刷装置4で複写用原稿を印刷するために複写用原稿のイメージデータ(複写用原稿イメージ)を作成するとともに、不正な複写を防止するための判断に必要となる情報を複写条件データベース21に記録しておく。
さらに、複写管理装置2は、作成された複写用原稿が複写装置5で複写される際には、複写条件データベース21に記録されている情報に基づき不正な複写か否かを判断し、不正な複写を防止するための処理を行う。
【0020】
ログ蓄積装置3は、複写用原稿毎に印刷装置4での印刷状況や複写装置5での複写状況を記録するためのログデータベース31を備える装置である。また、ログ蓄積装置3は、複写管理装置2で複写用原稿イメージが作成されると、その複写用原稿イメージもログデータベース31に記録する。
【0021】
印刷装置4は、複写用原稿作成申請装置1からの申請に基づき複写管理装置2で作成されてログ蓄積装置3に記録されている複写用原稿イメージを印刷して、複写用原稿を作成する装置である。
【0022】
複写装置5は、印刷装置4で作成された複写用原稿を複写する装置である。さらに、複写装置5は、複写管理装置2における不正な複写か否かの判断結果に基づき複写動作を行う。
【0023】
以上のような構成の複写管理システムは、大きく分けて、複写用原稿の作成動作と複写動作との2つの動作を行う。
そして、複写管理装置2は、複写用原稿の作成動作時には複写用原稿作成装置として機能し、複写動作時には複写可否判断装置として機能する。
【0024】
複写用原稿の作成にあたっては、まず、複写用原稿作成申請装置1において、申請者が、不正な複写を防止したい原稿(印刷物)と、その原稿の複写が不正なものとならない条件である複写許諾条件と、を指示する。
複写許諾条件としては、その原稿を複写できる者を示す複写資格者情報、その原稿を複写できる数を示す複写可能枚数情報、その原稿を複写できる期間を示す複写有効期間情報が指示される。なお、複写許諾条件はこれに限られるものではなく、他の条件を指示するようにしてもよい。
【0025】
複写管理装置2は、複写用原稿作成申請装置1からの指示に基づき、原稿を識別するための原稿識別情報を生成し、生成した原稿識別情報に関連付けて複写許諾条件を複写条件データベース21に記録するとともに、生成した原稿識別情報を示すバーコード等を原稿に付加した複写用原稿イメージを作成する。
さらに、複写管理装置2は、後に改竄等により変更された複写対象物の複写を不正な複写として防止するために、作成した複写用原稿イメージに基づくハッシュ情報等をアンマッチ防止情報として原稿識別情報に関連付けて複写条件データベース21に登録しておく。
【0026】
ログ蓄積装置3は、複写管理装置2が作成した複写用原稿イメージをログデータベース31に記録し、印刷装置4はログ蓄積装置3のログデータベース31に記録されている複写用原稿イメージを印刷して複写用原稿を作成する。さらに、ログ蓄積装置3は、印刷装置4における印刷状況のログをログデータベース31に残す。
【0027】
複写用原稿の複写にあたっては、複写装置5において、例えば、利用者が、利用者の識別情報である利用者IDを記憶するICカード等の利用者カード(IDカード)を挿入した上で、バーコード等の原稿識別情報が印刷されている印刷物である複写用原稿を複写しようとすると、複写装置5は、複写対象の複写用原稿と利用者IDとを読み取り、通信ネットワーク6を経由して複写管理装置2に複写の可否の照会をかける。
【0028】
複写管理装置2は、複写対象の複写用原稿から原稿識別情報を読み取り、読み取った原稿識別情報に関連付けて複写条件データベース21に記録されている不正な複写を防止するための判断情報である複写許諾条件、アンマッチ防止情報等を読み出す。そして、これらの情報に基づいて、複写の可否を判断する。つまり、原稿識別情報をキーとして複写条件データベース21を検索し、複写可否の判断に必要な情報を取得して判断を行う。
さらに、複写管理装置2は、複写否と判断した場合には、複写を禁止する旨の情報を複写装置5に通知し、複写装置5における複写自体を禁止する。
【0029】
この複写可否判断において、複写装置5で読み取られた利用者IDは、複写許諾条件の複写資格者情報と照合され、照合の結果、利用者に複写資格がない場合には不正な複写としてその複写が禁止される。また、複写許諾条件の複写可能枚数を満たしているか否かは、ログ蓄積装置3のログデータベース31に複写ログとして記録されている過去の累積複写枚数から判断され、累積複写枚数が複写可能枚数以上である場合に複写が禁止される。また、複写許諾条件の複写有効期間を満たしているか否かは複写時の日時に基づき判断され、複写有効期間外である場合には複写が禁止される。
【0030】
このように複写有効期間等の複写許諾条件を判断することにより、原稿のライフサイクル管理が可能となる。
さらに、アンマッチ防止情報に基づき、複写装置5で読み取られた複写用原稿が作成時から変更されているかが判断され、変更されている場合には不正な複写としてその複製が禁止される。
【0031】
複写装置5は、複写管理装置2で複写が禁止された場合には、読み取った原稿の複写の実行を行わず、複写が許可された場合に複写を実行する。
ログ蓄積装置3は、複写にあたって累積複写枚数等の複写状況のログをとり、ログデータベース31に記録する。
【0032】
本実施の形態によれば、複写用原稿の作成段階で、原稿に対して原稿識別情報を付加印刷する。そして、複写段階で、付加情報である原稿識別情報を読み取り、原稿識別情報毎に予め記憶されている情報に基づき不正な複写であるか否かを判別し、不正な複写の場合に複写を禁止する。このため、原稿単位で複写を管理することが可能となる。
また、原稿識別情報により、原稿と複写許諾条件とアンマッチ防止情報とを自動的に関連付けて、自動的に不正な複写であるか否かを判断するため、人間の判断によらない複写管理が可能となる。
【0033】
次に、本実施の形態に係る複写管理システムが備える各装置の構成を説明する。
図2は、上述した複写管理システムにおける複写用原稿作成申請装置1の構成例を示すブロック図である。
複写用原稿作成申請装置1は、図示するように、入力部11と、出力部12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15と、を備え、各部はバス16を介して互いに接続されている。
【0034】
入力部11は、複写用原稿の作成を申請する者(申請者)により、複写用原稿の作成に必要な情報や、複写用原稿作成申請装置1を操作するための情報等が入力されるものであり、イメージスキャナ、キーボード、マウス、カードリーダ等を備える。
【0035】
具体的には、例えば、申請者は、入力部11としてのイメージスキャナ(図示せず)に不正な複写を防止したい原稿をセットしてイメージデータへの変換を行い、原稿のイメージデータを入力する。
また、申請者は、入力部11としてのキーボード(図示せず)やマウス(図示せず)を用いて、複写資格者の識別情報である複写資格者ID、複写可能枚数、複写有効期間等の複写許諾条件を入力する。
【0036】
また、申請者は、入力部11としてのカードリーダ(図示せず)に、自己の識別情報を記憶するIDカードを読み取らせて、申請者の識別情報である申請者IDを入力する。なお、申請者IDは、後に申請者が自己の申請に基づく複写用原稿を印刷装置4から取得するために利用される。
【0037】
出力部12は、様々な情報を出力するものであり、ディスプレイ等の表示装置を備える。具体的には、例えば、出力部12は、申請者が複写用原稿の作成申請に必要な情報を入力するための申請画面等を表示する。
【0038】
通信部13は、通信ネットワーク6を介して、複写管理装置2と通信を行うものであり、通信インタフェース等を備える。
記憶部14は、様々な情報やプログラム等を記憶するものであり、ハードディスク等の補助記憶装置を備える。
【0039】
制御部15は、データの演算処理を行うとともに、バス16を介して入力部11、出力部12、通信部13、記憶部14等を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)151、ROM(Read Only Memory)152、RAM(Random Access Memory)153等を備える。制御部15における演算処理及び制御処理は、具体的には、CPU151が、RAM153を作業領域として使用して各種データを一時的に記憶させながら、ROM152に記憶されている制御プログラムを実行することにより行われる。
【0040】
そして、制御部15が、ROM152や記憶部14に記憶されているプログラムに従って上記各部を制御することにより、複写用原稿作成申請装置1における複写用原稿の作成申請処理等が行われる。
【0041】
図3は、上述した複写管理システムにおける複写管理装置2の構成例を示すブロック図である。なお、既に説明した構成と同じ機能を有する部分については、同じ符号を付す。
複写管理装置2は、図示するように、通信部22と、計時部23と、記憶部24と、制御部25と、を備え、各部はバス26を介して互いに接続されている。
【0042】
通信部22は、通信ネットワーク6を介して、複写用原稿作成申請装置1、ログ蓄積装置3、及び複写装置5と通信を行うものであり、通信インタフェース等を備える。
【0043】
計時部23は、日付や時刻を刻むものであり、時計回路等を備える。具体的には、例えば、計時部23で取得される日時は、複写用原稿の複写時に、複写許諾条件の1つである複写有効期間条件を満たしているか否かを判別するために利用される。
【0044】
記憶部24は、様々な情報やプログラム等を記憶するものであり、ハードディスク等の補助記憶装置を備える。また、複写条件データベース21は、この記憶部24に備えられている。
【0045】
制御部25は、データの演算処理を行うとともに、バス26を介して通信部22、計時部23、記憶部24等を制御するものであり、CPU251、ROM252、RAM253等を備える。
【0046】
そして、制御部25が、ROM252や記憶部24に記憶されているプログラムに従って上記各部を制御することにより、複写管理装置2において、複写用原稿の作成時の複写用原稿イメージの作成処理、複写用原稿の複写時の複写可否の判断処理等が行われる。
【0047】
図4は、上述した複写管理システムにおけるログ蓄積装置3の構成例を示すブロック図である。なお、既に説明した構成と同じ機能を有する部分については、同じ符号を付す。
ログ蓄積装置3は、図示するように、通信部32と、記憶部33と、制御部34と、を備え、各部はバス35を介して互いに接続されている。
【0048】
通信部32は、通信ネットワーク6を介して、複写管理装置2及び印刷装置4と通信を行うものであり、通信インタフェース等を備える。
【0049】
記憶部33は、様々な情報やプログラム等を記憶するものであり、ハードディスク等の補助記憶装置を備える。また、ログデータベース31は、この記憶部33に備えられている。
【0050】
制御部34は、データの演算処理を行うとともに、バス35を介して通信部32、記憶部33等を制御するものであり、CPU341、ROM342、RAM343等を備える。
【0051】
そして、制御部34が、ROM342や記憶部33に記憶されているプログラムに従って上記各部を制御することにより、ログ蓄積装置3におけるログ蓄積処理等が行われる。
【0052】
図5は、上述した複写管理システムにおける印刷装置4の構成例を示すブロック図である。
印刷装置4は、図示するように、入力部41と、通信部42と、計時部43と、印刷部44と、排紙部45と、記憶部46と、制御部47と、を備え、各部はバス48を介して互いに接続されている。
【0053】
入力部41は、印刷装置4の操作者により、操作情報等の様々な情報が入力されるものであり、カードリーダ、操作ボタン等を備える。具体的には、例えば、複写用原稿作成申請装置1での申請者が、入力部41としてのカードリーダ(図示せず)に、自己のIDカードを読み取らせて、申請者IDを入力する。
【0054】
通信部42は、通信ネットワーク6を介して、ログ蓄積装置3と通信を行うものであり、通信インタフェース等を備える。
【0055】
計時部43は、日付や時刻を刻むものであり、時計回路等を備える。具体的には、例えば、計時部43で取得される日時は、印刷装置4において複写用原稿の印刷が行われたときの日時をログとして残すために利用される。
【0056】
印刷部44は、通信部42がログ蓄積装置3から受信する複写用原稿のイメージデータを用紙に印刷するものであり、印字機構等を備える。
排紙部45は、印刷部44で印刷された複写用原稿を印刷装置4の外部に排出するものであり、排紙口等を備える。
【0057】
記憶部46は、様々な情報やプログラム等を記憶するものであり、ハードディスク等の補助記憶装置を備える。具体的には、例えば、記憶部46は、印刷装置4を他の印刷装置と識別するための情報である印刷装置IDを記憶する。
【0058】
制御部47は、データの演算処理を行うとともに、バス48を介して入力部41、通信部42、計時部43、印刷部44、排紙部45、記憶部46等を制御するものであり、CPU471、ROM472、RAM473等を備える。
【0059】
そして、制御部47が、ROM472や記憶部46に記憶されているプログラムに従って上記各部を制御することにより、印刷装置4における印刷処理等が行われる。
【0060】
図6は、上述した複写管理システムにおける複写装置5の構成例を示すブロック図である。
複写装置5は、図示するように、入力部51と、通信部52と、原稿載置部53と、原稿読取部54と、転写部55と、排紙部56と、記憶部57と、制御部58と、を備え、各部はバス59を介して互いに接続されている。
【0061】
入力部51は、複写を行う複写装置5の利用者により、操作情報等の様々な情報が入力されるものであり、カードリーダ、操作ボタン等を備える。具体的には、例えば、利用者は、原稿の複写を行うに際し、入力部51としてのカードリーダ(図示せず)に、自己のIDカードを読み取らせて、利用者IDを入力する。
【0062】
通信部52は、通信ネットワーク6を介して、複写管理装置2と通信を行うものであり、通信インタフェース等を備える。
原稿載置部53は、複写対象となる原稿が載置されるものであり、原稿載置台等を備える。
【0063】
原稿読取部54は、原稿載置部53にセットされた原稿を読み取り、イメージデータに変換するものであり、イメージスキャナ等を備える。
転写部55は、原稿読取部54で変換された原稿のイメージデータを用紙に転写するものであり、転写機構等を備える。
【0064】
排紙部56は、転写部55で転写された用紙(複写物)を複写装置5の外部に排出するものであり、排紙口等を備える。
記憶部57は、様々な情報やプログラム等を記憶するものであり、ハードディスク等の補助記憶装置を備える。
【0065】
制御部58は、データの演算処理を行うとともに、バス59を介して入力部51、通信部52、原稿載置部53、原稿読取部54、転写部55、排紙部56、記憶部57等を制御するものであり、CPU581、ROM582、RAM583等を備える。
【0066】
そして、制御部58が、ROM582や記憶部57に記憶されているプログラムに従って上記各部を制御することにより、複写装置5において、複写管理装置2での判断結果に応じた原稿の複写処理等が行われる。
【0067】
次に、本実施の形態に係る複写管理システムにおける複写用原稿の作成動作と、複写用原稿の複写動作とを具体的に説明する。
まず、複写用原稿の作成動作について説明する。
【0068】
図7は、複写用原稿の作成動作に関する複写管理システムの機能構成例を示すブロック図であり、特に、複写用原稿作成申請装置1、複写管理装置2、及びログ蓄積装置3における機能構成例を示すブロック図である。
なお、図7に示す複写用原稿作成申請装置1、複写管理装置2、ログ蓄積装置3の各構成要素は、図2、図3、図4に示すそれぞれの装置の制御部15,25,34が、同じく図2、図3、図4に示すそれぞれの装置の各部を制御することにより、実現することができる。
なお、既に説明した構成と同じ機能を有する部分については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0069】
複写用原稿作成申請装置1の原稿イメージ入力部101は、複写用原稿の元となる原稿のイメージデータである原稿イメージの入力を受け付ける。
具体的には、例えば、原稿イメージ入力部101は、図2の入力部11により実現され、不正な複写が防止される機能を備えた複写用原稿の作成を申請する者(申請者)は、不正な複写を防止したい原稿をイメージスキャナ等を用いてイメージデータに変換して、原稿イメージを入力する。
【0070】
複写許諾条件入力部102は、原稿イメージ入力部101へ入力される原稿に適用される複写許諾条件情報の入力を受け付ける。
具体的には、例えば、複写許諾条件入力部102は、図2の入力部11により実現され、申請者は、複写資格者情報、複写可能枚数情報、複写有効期間情報等の複写許諾条件情報をキーボード等を用いて入力する。
【0071】
申請者ID入力部103は、複写用原稿の作成を申請する申請者の申請者IDの入力を受け付ける。
具体的には、例えば、申請者ID入力部103は、図2の入力部11により実現され、申請者は、自己のIDカードをカードリーダ等に読み取らせて、申請者IDを入力する。
【0072】
申請情報送信部104は、原稿イメージ入力部101、複写許諾条件入力部102、及び申請者ID入力部103に入力された原稿イメージ、複写許諾条件情報、及び申請者IDを、申請情報として、複写管理装置2に送信する。
具体的には、例えば、申請情報送信部104は、図2の制御部15が入力部11及び通信部13を制御することにより実現され、入力部11において申請情報の送信が指示されると、原稿イメージ入力部101、複写許諾条件入力部102、及び申請者ID入力部103に入力された情報を受け取り、通信部13を介して複写管理装置2に送信する。
【0073】
複写管理装置2の申請情報受信部201は、複写用原稿作成申請装置1の申請情報送信部104から、申請情報である原稿イメージ、複写許諾条件情報、及び申請者IDを受信する。
【0074】
原稿ID生成部202は、申請情報受信部201が申請情報を受信すると、原稿識別情報として原稿IDを生成する。
具体的には、例えば、原稿ID生成部202は、申請情報受信部201が申請情報を受信すると、新たな原稿IDを採番して、原稿IDを生成する。
【0075】
バーコードイメージ作成部203は、原稿ID生成部202が生成した原稿IDに基づき、その原稿IDの情報を有するバーコードのイメージデータ(バーコードイメージ)を作成する。
具体的には、例えば、バーコードイメージ作成部203は、原稿IDのデータをコード化して2次元バーコードを作成する。
【0076】
複写用原稿イメージ作成部204は、申請情報受信部201が受信した原稿イメージに、バーコードイメージ作成部203が作成したバーコードイメージを合成し、バーコード付きの原稿である複写用原稿のイメージデータ(複写用原稿イメージ)を作成する。
これにより、原稿IDで原稿を特定することができる複写用原稿のイメージデータを作成することができる。
【0077】
ハッシュ値算出部205は、複写用原稿イメージ作成部204が作成した複写用原稿イメージのデータに、申請情報受信部201が受信した複写許諾条件情報のデータをつなげ、つなげたデータに所定のハッシュ関数を適用して、ハッシュ値を算出する。
【0078】
複写条件テーブル作成部206は、原稿ID生成部202が生成した原稿IDと、ハッシュ値算出部205が算出したハッシュ値と、申請情報受信部201が受信した複写許諾条件情報と、に基づき複写条件テーブルを作成し、複写条件データベース21に格納する。
【0079】
ここで、複写条件テーブル作成部206が作成する複写条件テーブルについて説明する。
図8は、複写条件データベース21に格納される複写条件テーブルのデータ構成例を示す図である。
【0080】
図示するように、複写条件テーブルは、原稿ID生成部202が生成した原稿IDと、ハッシュ値算出部205が算出したハッシュ値と、申請情報受信部201が受信した複写許諾条件情報とを記憶する。
換言すれば、複写条件テーブルは、原稿ID毎に作成され、原稿IDに関連付けて、その原稿IDで特定される原稿に関する複写許諾条件情報とアンマッチ防止情報であるハッシュ値とを記憶する。
【0081】
また、複写条件テーブルは、複写許諾条件情報として、複写資格者情報、複写可能枚数情報、複写有効期間情報を記憶する。
複写資格者情報は、原稿IDで特定される原稿を複写装置5で複写する資格を有する者(複写資格者)を示す情報であり、例えば、複写資格者の識別情報である複写資格者IDにより特定される。なお、複写資格者を氏名等により特定してもよい。
【0082】
複写可能枚数情報は、原稿IDで特定される原稿を複写装置5で複写できる累積枚数を示す情報である。
複写有効期間情報は、原稿IDで特定される原稿を複写装置5で複写できる期間を示す情報ある。
【0083】
図7に戻り、複写用原稿情報送信部207は、申請情報受信部201が受信した申請者IDと、原稿ID生成部202が生成した原稿IDと、複写用原稿イメージ作成部204が作成した複写用原稿イメージと、を複写用原稿情報としてログ蓄積装置3に送信する。
【0084】
ログ蓄積装置3の複写用原稿情報受信部301は、複写管理装置2の複写用原稿情報送信部207から複写用原稿情報を受信する。
ログテーブル作成部302は、複写用原稿情報受信部301が受信した複写用原稿情報に基づきログテーブルを作成し、ログデータベース31に格納する。
【0085】
ここで、ログテーブルについて説明する。
図9は、ログデータベース31に格納されるログテーブルのデータ構成例を示す図である。
ログテーブルは、原稿ID毎に作成され、図示するように、原稿IDに関連付けて、その原稿IDで特定される原稿に関する複写用原稿イメージ、申請者ID、印刷日時、印刷装置ID、累積複写枚数の各情報を記憶する。
【0086】
なお、図9に示すログテーブルにはすべての属性に対して値が記録されているが、ログテーブル作成部302がログテーブルを作成する段階では、複写用原稿情報受信部301が受信した原稿ID、複写用原稿イメージ、及び申請者IDのみが記録され、印刷日時及び印刷装置IDは記録されない。また、累積複写枚数は「0枚」と記録される。さらに、複写用原稿イメージのデータは、ログデータベース31においてログテーブル外に保存され、ログテーブルには、複写用原稿イメージの情報として、その保存場所のアドレス情報が記録される。
【0087】
ログテーブルにおける印刷日時及び印刷装置IDは、印刷装置4において複写用原稿の印刷が行われたときに記録される情報である。なお、印刷日時は印刷装置で複写用原稿が印刷された日時であり、印刷装置IDは複写用原稿が印刷された印刷装置の識別情報である。
また、累積複写枚数は、複写装置5で複写された複写用原稿の累積枚数を示す情報であり、複写用原稿の複写時に複写が許可されたときに更新される。
【0088】
図10は、複写用原稿の作成動作に関する複写管理システムの機能構成例を示すブロック図であり、特に、ログ蓄積装置3及び印刷装置4における機能構成例を示すブロック図である。
なお、図10に示すログ蓄積装置3、印刷装置4の各構成要素は、図4、図5に示すそれぞれの装置の制御部34,47が、同じく図4、図5に示すそれぞれの装置の各部を制御することにより、実現することができる。
なお、既に説明した構成と同じ機能を有する部分については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0089】
印刷装置4の申請者ID入力部401は、申請者IDの入力を受け付ける。
具体的には、例えば、申請者ID入力部401は、図5の入力部41により実現され、複写用原稿作成申請装置1の申請者ID入力部103(図7)に申請者IDを入力した申請者は、申請により作成された複写用原稿を印刷装置4から取得するために、自己のIDカードをカードリーダ等に読み取らせて、申請者IDを入力する。
【0090】
申請者ID送信部402は、申請者ID入力部401に入力された申請者IDをログ蓄積装置3に送信する。
ログ蓄積装置3の申請者ID受信部303は、印刷装置4の申請者ID送信部402から申請者IDを受信する。
【0091】
複写用原稿イメージ読出部304は、申請者ID受信部303が受信した申請者IDを記憶しているログテーブルを、ログデータベース31から抽出し、抽出したログテーブルの中からさらに、印刷日時及び印刷装置IDが記録されていないログテーブルを抽出する。そして、このように抽出したログテーブルから原稿IDを読み出すとともに、複写用原稿イメージのアドレス情報に基づき、ログデータベース31から複写用原稿イメージを読み出す。
【0092】
複写用原稿イメージ送信部305は、複写用原稿イメージ読出部304が読み出した複写用原稿イメージを原稿IDと関連付けて印刷装置4に送信する。
印刷装置4の複写用原稿イメージ受信部403は、ログ蓄積装置3の複写用原稿イメージ送信部305から原稿IDと複写用原稿イメージとを受信する。
【0093】
複写用原稿印刷部404は、図5の制御部47が印刷部44を制御することにより実現され、複写用原稿イメージ受信部403が受信した複写用原稿イメージを用紙に印刷し、複写用原稿を作成する。
複写用原稿排出部405は、図5の制御部47が排紙部45を制御することにより実現され、複写用原稿印刷部404が作成した複写用原稿を印刷装置4の外部に排出する。
【0094】
図11は、印刷装置4で作成された複写用原稿の例を示す図である。
本実施の形態に係る複写管理システムを用いることにより、図示するような、原稿IDをコード化した2次元バーコードが印刷された複写用原稿が作成される。
なお、複写用原稿には、原稿IDを示す情報が印刷されればよく、2次元バーコードに限られず、1次元のバーコードでもよい。また、原稿IDのID番号をテキスト情報として印刷してもよい。
【0095】
図10に戻り、印刷ログ情報取得部406は、複写用原稿印刷部404が複写用原稿を印刷すると、印刷日時及び印刷装置IDを印刷ログ情報として取得する。
具体的には、例えば、印刷ログ情報取得部406は、印刷日時を図5の計時部43を利用して取得し、印刷装置IDを図5の記憶部46から読み出して取得する。
【0096】
印刷ログ情報送信部407は、印刷ログ情報取得部406が取得した印刷ログ情報と、複写用原稿イメージ受信部403が受信した原稿IDとをログ蓄積装置3に送信する。
ログ蓄積装置3の印刷ログ情報受信部306は、印刷装置4の印刷ログ情報送信部407から印刷ログ情報と原稿IDとを受信する。
【0097】
印刷ログ情報記録部307は、印刷ログ情報受信部306が受信した印刷ログ情報を原稿IDに関連付けてログデータベース31に記録する。
具体的には、例えば、印刷ログ情報記録部307は、受信した原稿IDを記憶しているログテーブルに、同じく受信した印刷ログ情報である印刷日時及び印刷装置IDを記録する。
【0098】
以上の複写用原稿の作成動作により、複数の原稿を識別するための原稿IDを原稿自体から読み取ることができる複写用原稿を作成することができる。
【0099】
次に、上述した複写用原稿の作成動作により作成された複写用原稿を複写装置5で複写する動作について説明する。
図12は、複写用原稿の複写動作に関する複写管理システムの機能構成例を示すブロック図であり、特に、複写管理装置2、ログ蓄積装置3、及び複写装置5における機能構成例を示すブロック図である。
なお、図12に示す複写管理装置2、ログ蓄積装置3、複写装置5の各構成要素は、図3、図4、図6に示すそれぞれの装置の制御部25,34,58が、同じく図3、図4、図6に示すそれぞれの装置の各部を制御することにより、実現することができる。
なお、既に説明した構成と同じ機能を有する部分については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0100】
複写装置5の利用者ID入力部501は、複写装置5を利用する者の利用者IDの入力を受け付ける。具体的には、例えば、利用者ID入力部501は、図6の入力部51により実現され、利用者は、自己のIDカードをカードリーダ等に読み取らせて、利用者IDを入力する。
【0101】
複写対象原稿イメージ取得部502は、利用者の操作に応じて、複写装置5において複写対象となっている複写用原稿(複写対象原稿)のイメージデータ(複写対象原稿イメージ)を取得する。
具体的には、例えば、複写対象原稿イメージ取得部502は、図6の原稿載置部53に複写対象原稿が載置された状態で、入力部51において利用者により複写の開始が指示されると、原稿読取部54が複写対象原稿を読み取ることにより、複写対象原稿イメージを取得する。
【0102】
複写対象原稿情報送信部503は、利用者ID入力部501に入力された利用者IDと、複写対象原稿イメージ取得部502が取得した複写対象原稿イメージとを、複写管理装置2に送信する。
【0103】
複写管理装置2の複写対象原稿情報受信部211は、複写装置5の複写対象原稿情報送信部503から、利用者ID及び複写対象原稿イメージを受信する。
原稿ID読取部212は、複写対象原稿情報受信部211が受信した複写対象原稿イメージ内のバーコードイメージから原稿IDを読み取る。
具体的には、例えば、原稿ID読取部212は、複写対象原稿イメージの中からバーコードイメージを抽出し、抽出したバーコードイメージをデコードして原稿IDを取得する。
【0104】
複写許諾条件読出部213は、複写条件データベース21から、原稿ID読取部212が読み取った原稿IDに関連付けて記憶されている複写許諾条件情報を読み出す。
具体的には、例えば、複写許諾条件読出部213は、原稿ID読取部212が読み取った原稿IDを記憶する複写条件テーブルを複写条件データベース21から抽出し、抽出した複写条件テーブルが記憶している複写許諾条件情報を読み出す。
【0105】
複写対象原稿ハッシュ値算出部214は、複写対象原稿情報受信部211が受信した複写対象原稿イメージのデータに、複写許諾条件読出部213が読み出した複写許諾条件情報のデータをつなげ、つなげたデータに、複写用原稿の作成時に使用したハッシュ関数(図7のハッシュ値算出部205がハッシュ値の算出に用いたハッシュ関数)を適用して、ハッシュ値を算出する。
【0106】
複写用原稿ハッシュ値読出部215は、複写条件データベース21から、原稿ID読取部212が読み取った原稿IDに関連付けて記憶されている複写用原稿イメージに基づくハッシュ値を読み出す。
具体的には、例えば、複写用原稿ハッシュ値読出部215は、原稿ID読取部212が読み取った原稿IDを記憶する複写条件テーブルを複写条件データベース21から抽出し、抽出した複写条件テーブルが記憶しているハッシュ値を読み出す。
【0107】
ハッシュ値比較部216は、複写対象原稿ハッシュ値算出部214が算出したハッシュ値と、複写用原稿ハッシュ値読出部215が読み出したハッシュ値とを比較し、一致するか否かを判別する。そして、例えば、一致した場合にはハッシュ値一致信号を出力し、一致しない場合にはハッシュ値不一致信号を出力する。
【0108】
ここで、複写対象原稿ハッシュ値算出部214が算出したハッシュ値は、複写用原稿の作成動作時に算出したハッシュ値(複写用原稿ハッシュ値読出部215が読み出したハッシュ値)を、同じデータに基づき再演算した値であるため、本来ならば一致すべきものである。しかし、例えば、複写用原稿に変更が加えられている場合には、ハッシュ値算出の元となる原稿イメージが異なるため、ハッシュ値は一致せず、複写用原稿の作成時と複写時とにおける原稿のアンマッチを検出することができる。
【0109】
また、アンマッチの検出にハッシュ値を用いるため、イメージデータや複写許諾条件データをそのまま比較するより、高速にアンマッチの検出を行うことができる。
【0110】
複写許諾条件判別部217は、複写装置5における複写が、複写許諾条件読出部213が読み出した複写許諾条件を満たしているか否かを判別する。そして、例えば、満たしている場合には条件適合信号を出力し、満たしていない場合には条件不適合信号を出力する。
【0111】
図13は、複写許諾条件判別部217における複写許諾条件の判別動作をより詳しく説明するためのブロック図である。
図示するように、複写許諾条件判別部217は、複写資格者判別部2171と、複写可能枚数判別部2172と、累積複写枚数要求信号送信部2173と、累積複写枚数受信部2174と、複写有効期間判別部2175と、条件適合判別部2176と、を有する。
【0112】
複写資格者判別部2171は、複写許諾条件のうち、複写資格者条件が満たされているか否かを判別する。具体的には、例えば、複写資格者判別部2171は、複写対象原稿情報受信部211が受信した利用者IDに一致するIDが、複写許諾条件読出部213が読み出した複写許諾条件情報の中の複写資格者情報に含まれているか否かを判別する。そして、複写資格者情報の中に利用者IDが含まれている場合には、利用者に複写資格があるとして、複写資格者条件が満たされていると判断する。一方、複写資格者情報の中に利用者IDが含まれていない場合には、複写資格者条件が満たされていないと判断する。
【0113】
複写可能枚数判別部2172は、複写許諾条件のうち、複写可能枚数条件が満たされているか否かを判別する。具体的には、例えば、複写可能枚数判別部2172は、複写許諾条件読出部213が読み出した複写許諾条件情報の中から複写可能枚数情報を取得すると、原稿ID読取部212が読み取った原稿IDを取得し、原稿IDにより特定される複写用原稿の累積複写枚数をログデータベース31から読み出すための累積複写枚数要求信号を生成する。
【0114】
累積複写枚数要求信号送信部2173は、複写可能枚数判別部2172が生成した累積複写枚数要求信号を原稿IDに関連付けてログ蓄積装置3に送信する。
ログ蓄積装置3の累積複写枚数要求信号受信部311は、複写管理装置2の累積複写枚数要求信号送信部2173から、累積複写枚数要求信号と原稿IDとを受信する。
【0115】
累積複写枚数読出部312は、累積複写枚数要求信号受信部311が累積複写枚数要求信号を受信すると、同じく受信した原稿IDを記憶しているログテーブルをログデータベース31から抽出し、抽出したログテーブルが記憶している累積複写枚数を読み出す。
【0116】
累積複写枚数送信部313は、累積複写枚数読出部312が読み出した累積複写枚数情報を複写管理装置2に送信する。
複写管理装置2の累積複写枚数受信部2174は、ログ蓄積装置3の累積複写枚数送信部313から累積複写枚数情報を受信する。
【0117】
複写可能枚数判別部2172は、累積複写枚数受信部2174が累積複写枚数を受信すると、その累積複写枚数と複写許諾条件読出部213が読み出した複写許諾条件情報の中の複写可能枚数とを比較し、累積複写枚数が複写可能枚数より少ない場合に、複写可能枚数条件を満たしていると判断する。一方、累積複写枚数が複写可能枚数以上の場合には、複写可能枚数条件が満たされていないと判断する。
【0118】
複写有効期間判別部2175は、複写許諾条件のうち、複写有効期間条件が満たされているか否かを判別する。具体的には、例えば、複写有効期間判別部2175は、図3に示す計時部23を制御部25が制御することにより現在の日時を取得し、取得した日時が複写許諾条件読出部213により読み出された複写許諾条件情報の中の複写有効期間内であるか否かを判別する。そして、現在が複写有効期間内である場合に、複写有効期間条件が満たされていると判断する。一方、現在が複写有効期間内でない場合には、複写有効期間条件は満たされていないと判断する。
【0119】
条件適合判別部2176は、複写資格者判別部2171、複写可能枚数判別部2172、複写有効期間判別部2175における各判別結果に基づいて、複写許諾条件が満たされているか否かを判別する。具体的には、例えば、条件適合判別部2176は、複写資格者条件、複写可能枚数条件、複写有効期間条件のすべての条件が満たされているか否かを判別し、すべての条件が満たされている場合に、条件適合信号を複写可否判別部218に出力する。一方、複写資格者条件、複写可能枚数条件、複写有効期間条件のうちのいずれか一つでも満たされていない場合には、条件不適合信号を複写可否判別部218に出力する。
【0120】
図12に戻り、複写可否判別部218は、ハッシュ値比較部216及び複写許諾条件判別部217での判別結果に基づき、複写装置5における複写対象原稿の複写動作を制御する制御信号を生成する。
【0121】
具体的には、例えば、複写可否判別部218は、ハッシュ値比較部216からハッシュ値一致信号が入力され、かつ、複写許諾条件判別部217から条件適合信号が入力された場合には、不正な複写でないとして、複写対象原稿の複写装置5での複写を許可する旨を示す複写許可信号を生成する。一方、複写可否判別部218は、ハッシュ値比較部216からハッシュ値不一致信号が入力された場合、又は、複写許諾条件判別部217から条件不適合信号が入力された場合には、不正な複写であるとして、複写装置5での複写を禁止する旨を示す複写禁止信号を生成する。
【0122】
複写制御信号送信部219は、複写可否判別部218が生成した制御信号を複写装置5に送信する。
複写ログ情報送信部220は、複写可否判別部218が生成した制御信号を、原稿ID読取部212が読み取った原稿IDと関連付けてログ蓄積装置3に送信する。
【0123】
ログ蓄積装置3の複写ログ情報受信部321は、複写管理装置2の複写ログ情報送信部220から制御信号及び原稿IDを受信する。
ログテーブル更新部322は、複写ログ情報受信部321が受信した制御信号に基づき、同じく受信した原稿IDを記憶しているログデータベース31内のログテーブルを更新する。具体的には、例えば、ログテーブル更新部322は、複写ログ情報受信部321が複写許可信号を受信すると、ログデータベース31にアクセスし、同じく受信した原稿IDを記憶しているログテーブル内の累積複写枚数を1加算して登録する。
このように更新されたログテーブル内の累積複写枚数情報は、次の複写時において、複写許諾条件の複写可能枚数条件を満たしているか否かを判別するときに、参照される。
【0124】
複写装置5の複写制御信号受信部504は、複写管理装置2の複写制御信号送信部219から制御信号を受信する。
複写動作制御部505は、複写制御信号受信部504が受信した制御信号が複写許可信号であるか複写禁止信号であるかを判別し、その判別結果に基づき、複写装置5における複写動作を制御する。具体的には、例えば、複写動作制御部505は、制御信号が複写許可信号であると判別した場合には、複写対象原稿複写部506に対して複写動作開始信号を出力し、制御信号が複写禁止信号であると判別した場合にはその出力を行わない。
【0125】
複写対象原稿複写部506は、複写動作制御部505からの指示に基づき、複写対象原稿の複写を行う。具体的には、例えば、複写対象原稿複写部506は、図6の制御部58が転写部55を制御することにより実現され、複写動作制御部505から複写動作開始信号が入力されると、複写対象原稿イメージ取得部502が取得した複写対象原稿イメージを用紙に転写することにより、複写対象原稿の複写物を作成する。
【0126】
複写物排出部507は、図6の制御部58が排紙部56を制御することにより実現され、複写対象原稿複写部506が作成した複写物を複写装置5の外部に排出する。
【0127】
本実施の形態によれば、イメージデータに基づいて複写用原稿の作成時に演算されたハッシュ値と、複写時に再演算されたハッシュ値とを比較することにより、複写用原稿が変更されたか否かを判別することができ、変更が加えられた場合に複写装置5による原稿の複写を制限することができる。例えば、複写許諾条件を満たしている複写用原稿のバーコードを切り取り、複写許諾条件を満たしていない複写用原稿のバーコードと差し替えることにより、複写用原稿を改竄して複写しようとした場合であっても、ハッシュ値の比較によりその改竄を検出することができ、不正な複写を防ぐことができる。そして、結果として、情報の不正流出を防ぐことができる。
【0128】
また、バーコード等の原稿識別情報が改竄されていない場合であっても、原稿の内容に変更された部分がある場合には、その変更を検出することができる。例えば、日付が記載されている複写用原稿を複写するに際して、日付が不正に改竄されている場合にはハッシュ値の比較によりその改竄を検出することができ、不正な複写を防ぐことができる。
【0129】
また、複写用原稿の作成後に、複写条件データベース21内の複写許諾条件が不正に改竄されたような場合であっても、ハッシュ値は複写許諾条件のデータにも基づき演算されるため、複写許諾条件の改竄をも検出することができ、不正な複写を防止することができる。
【0130】
以上説明したように、本実施の形態においては、原稿識別情報を付与した印刷物生成時には、原稿識別情報である原稿IDをコード化したバーコード等を印刷物に貼り付ける形で原稿イメージを生成し、バーコード貼り付け後の原稿イメージ(複写用原稿イメージ)と複写許諾条件情報とからハッシュ値を算出して、当該ハッシュ値を原稿IDに対応付けて複写許諾条件情報と共に複写管理装置2側で格納しておく。
【0131】
具体的には、複写管理装置2は、複写用原稿作成申請装置1からの申請に基づき、原稿に対応する原稿IDを発行して、当該原稿IDを現すバーコード等を発行する。そして、当該バーコードを原稿に貼り付けた原稿イメージを作成する。また、複写用原稿作成申請装置1における申請者からの複写許諾条件の指示に基づいて、複写許諾条件情報を原稿IDに対応付けて複写条件データベース21に格納する。さらに、バーコードを貼り付けた原稿イメージと複写許諾条件情報とからハッシュ値を算出して、原稿IDに対応付けて複写条件データベース21に格納する。
【0132】
また、本実施の形態においては、原稿識別情報が付与された印刷物を元にした複写物の生成時には、複写装置5においてバーコード付き印刷物の複写が要求されると、複写装置5からバーコード付きイメージ画像が複写管理装置2側に送信され、複写管理装置2側は、送信されてきたバーコード付きイメージ画像のバーコードより原稿IDを読み取って、当該原稿IDに対応付けて複写管理装置2内に予め格納された複写許諾条件情報とハッシュ値とを検索して抽出する。さらに、複写管理装置2は、今回送信されてきたバーコード付きの画像と上記抽出した複写許諾条件情報とから再度ハッシュ値を算出して、元々複写管理装置2側に格納されていた上記抽出したハッシュ値と比較する。比較の結果、ハッシュ値が一致し、さらに複写許諾条件が満たされている場合に、複写管理装置2は、複写装置5におけるバーコード付き印刷物の複写を許可する。
【0133】
具体的には、複写管理装置2は、複写装置5から送信されてきたバーコード等付きの原稿イメージから、原稿IDを読み取って、当該原稿IDに対応付けて記憶しているハッシュ値及び複写許諾条件情報を複写条件データベース21から抽出する。そして、複写装置5から送信されてきたバーコード等付きの原稿イメージと上記抽出した複写許諾条件情報とからハッシュ値を再演算する。そして、上記再演算したハッシュ値と複写条件データベース21に格納しておいた上記抽出したハッシュ値とを比較照合する。作成時と複写時とでの原稿のアンマッチを不正な複写として制限するために、ハッシュ値が一致しない場合には複写を禁止する。
【0134】
このように、本実施の形態においては、原稿IDを示すバーコード等付きの画像と複写許諾条件情報とに基づいて、予めハッシュ値を算出し、複写管理装置2に格納しておく。このため、原稿IDを示すバーコード等のみを切り取って、他の文書に貼り付けたとしても、ハッシュ値の再演算、照合の際に、複写管理装置2側に原稿IDに対応付けて予め格納されたハッシュ値との不整合を起こすので、不正な複写を防ぐことができる。
【0135】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能であり、上記実施の形態に限られるものではない。
例えば、上記実施の形態では、原稿のイメージデータと複写許諾条件のデータとをつなげたデータに、ハッシュ関数を適用してハッシュ値を演算し、複写用原稿の作成時と複写時とでハッシュ値を比較することにより原稿の変更を検出した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、複写用原稿の作成時と複写時との間の原稿の変更を検出できる演算方法であれば、例えば、データの比較に用いることができる他の関数を適用させて値を比較するようにしてもよい。
【0136】
また、原稿のイメージデータと複写許諾条件のデータとをつなぎ合わせる方法は、複写用の原稿の作成時のハッシュ値演算時と複写時のハッシュ値再演算時とで同じ方法であればよく、例えば、原稿のイメージデータに対して複写許諾条件のデータを前につなげても後につなげてもよい。
また、原稿のイメージデータに、複写許諾条件のデータに代えてまたは追加して、他のデータをつなげてハッシュ値を演算するようにしてもよく、例えば、複写管理装置2の識別情報等をつなげて演算するようにしてよもい。
【0137】
また、原稿のイメージ情報のみを比較することにより、原稿の変更を検出するようにしてもよい。例えば、複写用原稿の作成時と複写時とで原稿のイメージデータのみに基づき演算したハッシュ値を比較するようにしてもよく、また、原稿のイメージデータそのものを比較するようにしてもよい。これにより、複写許諾条件を判断せずに、原稿の改竄のみを判断して不正な複写を防止するようなシステムにおいても本発明を適用することができる。この場合には、例えば、図7のハッシュ値算出部205及び図12の複写対象原稿ハッシュ値算出部214がイメージデータのみに基づきハッシュ値を算出し、複写可否判別部218がハッシュ値の比較結果のみから複写の可否を判別するようにすればよい。
【0138】
また、上記実施の形態では、原稿に対する複写条件として、複写を許諾するための複写許諾条件を設定して判断するようにしているが、複写を制限や禁止するための情報を設定して複写条件を判断するようにしてもよい。
【0139】
また、上記実施の形態では、複写装置5において1枚ずつ複写を行う場合を例に説明したが、複写装置5において複数枚を同時に複写するようにしてもよい。その場合には、予定される複写枚数情報を複写装置5から複写管理装置2に送信するようにし、複写管理装置2において、累積複写枚数に予定複写枚数を加算した枚数が複写可能枚数以下となるか否かを判別することにより、複写許諾条件の複写可能枚数条件を満たしているか否かを判別すればよい。さらに、複写が許可された場合には、ログデータベース31の累積複写枚数に予定複写枚数を加算するようにすればよい。
【0140】
また、上記実施の形態では、複写管理装置2とログ蓄積装置3とを別々の装置としているが、例えば、一つの装置として、複写管理装置2がログデータベース31を備えるようにしてもよい。
【0141】
また、上記実施の形態では、複写用原稿作成申請装置1における元となる原稿のイメージデータの入力にイメージスキャナ等を用いる場合を例に説明したが、例えば、複写用原稿作成申請装置1において元となる原稿の文書データを取得し、文書データをソフトウェアによりイメージデータに変換して、原稿のイメージデータを入力するようにしてもよい。
【0142】
また、上記実施の形態では、利用者等のID情報をカードリーダ等により入力するようにしているが、キーボード等によりID番号を入力するようにしてもよい。
【0143】
また、上記実施の形態では、ログデータベース31に蓄積されるログ情報を、図9に示したログテーブルを用いて説明したが、ログ情報は図9に示したものに限られるものではなく、例えば、複写管理装置2における複写可否判断の結果、利用者ID、複写日時、複写装置ID等を記録するようにしてもよい。その場合には、ログ蓄積装置3が、複写管理装置2から複写可否判断の結果等を受信し、複写管理装置5から利用者ID、複写日時、複写装置ID等を受信するようにすればよい。
【0144】
また、その場合、複写管理装置2から複写装置5に直接、制御信号を送信せずに、複写管理装置2からの複写可否の判断結果をログデータベース31に記録したログ蓄積装置3が、複写可否の判断結果に基づく制御信号を複写装置5に送信するようにしてもよい。
【0145】
また、上記実施の形態では、複写許諾条件の複写資格者情報として個人のID情報等を設定しておく場合を例に説明したが、例えば、複写資格者情報をグループ等により設定するようにしてもよい。その場合には、例えば、複写管理装置2が、グループの構成員を特定するためのグループ構成員データベース等を備え、複写資格者条件を判別する際に、グループ構成員データベースにアクセスし、複写装置5の利用者が複写資格者として設定されているグループの構成員であるか否かを判別するようにすればよい。
【0146】
また、上記実施の形態では、図12の複写可否判別部218は、ハッシュ値比較部216と複写許諾条件判別部217との両方の判別が終了した後に、複写の可否を判別するようにしているが、例えば、ハッシュ値比較部216及び複写許諾条件判別部217のどちらか一方で先に不正な複写である旨の判別がなされた場合には、もう一方での判別を行わずに、複写を禁止するようにしてもよい。
【0147】
なお、本発明の実施の形態に係る複写管理システムを構成する複写用原稿作成申請装置1、複写管理装置2、ログ蓄積装置3は、専用のハードウェアに限られるものではなく、通常のコンピュータシステムによっても実現することができる。
例えば、上記実施の形態では、複写用原稿作成申請装置1、複写管理装置2、ログ蓄積装置3のそれぞれにおいて、各装置の動作プログラムが、メモリ等に予め記憶されているものとして説明した。しかし、上述の処理動作を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理動作を実行をする各装置を構成してもよい。
【0148】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するようにしてもよい。さらに、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
また、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロード等してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本実施の形態に係る複写管理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す複写用原稿作成申請装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示す複写管理装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図1に示すログ蓄積装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】図1に示す印刷装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】図1に示す複写装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】複写用原稿の作成動作に関する複写管理システムの機能構成例を示すブロック図である。
【図8】複写条件テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図9】ログテーブルのデータ構成例を示す図である。
【図10】複写用原稿の作成動作に関する複写管理システムの機能構成例を示すブロック図である。
【図11】複写用原稿の例を示す図である。
【図12】複写用原稿の複写動作に関する複写管理システムの機能構成例を示すブロック図である。
【図13】図12に示す複写許諾条件判別部における複写許諾条件の判別動作をより詳しく説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0150】
1 複写用原稿作成申請装置
2 複写管理装置
3 ログ蓄積装置
4 印刷装置
5 複写装置
6 通信ネットワーク
11,41,51 入力部
12 出力部
13,22,32,42,52 通信部
14,24,33,46,57 記憶部
15,25,34,47,58 制御部
16,26,35,48,59 バス
21 複写条件データベース
23,43 計時部
31 ログデータベース
44 印刷部
45,56 排紙部
53 原稿載置部
54 原稿読取部
55 転写部
101 原稿イメージ入力部
102 複写許諾条件入力部
103 申請者ID入力部
104 申請情報送信部
151,251,341,471,581 CPU
152,252,342,472,582 ROM
153,253,343,473,583 RAM
201 申請情報受信部
202 原稿ID生成部
203 バーコードイメージ作成部
204 複写用原稿イメージ作成部
205 ハッシュ値算出部
206 複写条件テーブル作成部
207 複写用原稿情報送信部
211 複写対象原稿情報受信部
212 原稿ID読取部
213 複写許諾条件読出部
214 複写対象原稿ハッシュ値算出部
215 複写用原稿ハッシュ値読出部
216 ハッシュ値比較部
217 複写許諾条件判別部
218 複写可否判別部
219 複写制御信号送信部
220 複写ログ情報送信部
301 複写用原稿情報受信部
302 ログテーブル作成部
303 申請者ID受信部
304 複写用原稿イメージ読出部
305 複写用原稿イメージ送信部
306 印刷ログ情報受信部
307 印刷ログ情報記録部
311 累積複写枚数要求信号受信部
312 累積複写枚数読出部
313 累積複写枚数送信部
321 複写ログ情報受信部
322 ログテーブル更新部
401 申請者ID入力部
402 申請者ID送信部
403 複写用原稿イメージ受信部
404 複写用原稿印刷部
405 複写用原稿排出部
406 印刷ログ情報取得部
407 印刷ログ情報送信部
501 利用者ID入力部
502 複写対象原稿イメージ取得部
503 複写対象原稿情報送信部
504 複写制御信号受信部
505 複写動作制御部
506 複写対象原稿複写部
507 複写物排出部
2171 複写資格者判別部
2172 複写可能枚数判別部
2173 累積複写枚数要求信号送信部
2174 累積複写枚数受信部
2175 複写有効期間判別部
2176 条件適合判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を識別するための原稿識別情報が付加されている複写用原稿のイメージデータを取得する複写用原稿イメージ取得手段と、
複写装置における前記複写用原稿の複写を許諾するか否かを判別するための条件である複写条件情報を取得する複写条件取得手段と、
前記複写用原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータと、前記複写条件取得手段が取得した複写条件情報とに基づき、所定のハッシュ関数を用いてハッシュ値を算出する複写用原稿ハッシュ値算出手段と、
前記複写用原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記複写条件取得手段が取得した複写条件情報とを、前記原稿識別情報に関連付けて記憶する情報記憶手段と、
前記複写装置において複写用原稿の複写が行われるときに、複写対象の複写用原稿である複写対象原稿のイメージデータを取得する複写対象原稿イメージ取得手段と、
前記情報記憶手段から、前記複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて記憶されている複写条件情報を読み出す複写条件読出手段と、
前記複写対象原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータと、前記複写条件読出手段が読み出した複写条件情報とに基づき、前記所定のハッシュ関数を用いてハッシュ値を算出する複写対象原稿ハッシュ値算出手段と、
前記情報記憶手段から、前記複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて記憶されているハッシュ値を読み出すハッシュ値読出手段と、
前記複写対象原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記ハッシュ値読出手段が読み出したハッシュ値と、が一致するか否かを判別するハッシュ値判別手段と、
前記複写装置における前記複写対象原稿の複写が、前記複写条件読出手段が読み出した複写条件情報を満たすか否かを判別する複写条件判別手段と、
前記ハッシュ値判別手段によりハッシュ値が一致すると判別され、かつ、前記複写条件判別手段により複写条件情報を満たすと判別されたときに、前記複写装置における前記複写対象原稿の複写を許可するための信号を出力し、前記ハッシュ値判別手段によりハッシュ値が一致しないと判別されたとき、又は、前記複写条件判別手段により複写条件情報を満たさないと判別されたときに、前記複写装置における前記複写対象原稿の複写を禁止するための信号を出力する制御信号出力手段と、
を備える複写管理装置。
【請求項2】
前記複写用原稿イメージ取得手段は、
原稿のイメージデータを取得する原稿イメージ取得手段と、
前記原稿を識別するための原稿識別情報を生成する識別情報生成手段と、
前記識別情報生成手段が生成した原稿識別情報を有するバーコードのイメージデータを作成するバーコードイメージ作成手段と、
前記原稿イメージ取得手段が取得した原稿のイメージデータに、前記バーコードイメージ作成手段が作成したバーコードのイメージデータを合成して、複写用原稿のイメージデータを取得するイメージ合成手段と、を有し、
前記情報記憶手段は、前記識別情報生成手段が生成した原稿識別情報に関連付けて、前記複写用原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記複写条件取得手段が取得した複写条件情報とを記憶し、
前記複写対象原稿イメージ取得手段は、前記イメージ合成手段が取得した複写用原稿のイメージデータが印刷されることによりバーコードが印刷された複写対象原稿のイメージデータを取得し、
前記複写条件読出手段は、前記複写対象原稿に印刷されているバーコードから原稿識別情報を取得し、該取得した原稿識別情報に関連付けて記憶されている複写条件情報を、前記情報記憶手段から読み出し、
前記ハッシュ値読出手段は、前記複写対象原稿に印刷されているバーコードから原稿識別情報を取得し、該取得した原稿識別情報に関連付けて記憶されているハッシュ値を、前記情報記憶手段から読み出す、
ことを特徴とする請求項1に記載の複写管理装置。
【請求項3】
コンピュータを、
原稿を識別するための原稿識別情報が付加されている複写用原稿のイメージデータを取得する複写用原稿イメージ取得手段、
複写装置における前記複写用原稿の複写を許諾するか否かを判別するための条件である複写条件情報を取得する複写条件取得手段、
前記複写用原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータと、前記複写条件取得手段が取得した複写条件情報とに基づき、所定のハッシュ関数を用いてハッシュ値を算出する複写用原稿ハッシュ値算出手段、
前記複写用原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記複写条件取得手段が取得した複写条件情報とを、前記原稿識別情報に関連付けて記憶部に記録する情報記録手段、
前記複写装置において複写用原稿の複写が行われるときに、複写対象の複写用原稿である複写対象原稿のイメージデータを取得する複写対象原稿イメージ取得手段、
前記記憶部から、前記複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて記録されている複写条件情報を読み出す複写条件読出手段、
前記複写対象原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータと、前記複写条件読出手段が読み出した複写条件情報とに基づき、前記所定のハッシュ関数を用いてハッシュ値を算出する複写対象原稿ハッシュ値算出手段、
前記記憶部から、前記複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて記録されているハッシュ値を読み出すハッシュ値読出手段、
前記複写対象原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記ハッシュ値読出手段が読み出したハッシュ値と、が一致するか否かを判別するハッシュ値判別手段、
前記複写装置における前記複写対象原稿の複写が、前記複写条件読出手段が読み出した複写条件情報を満たすか否かを判別する複写条件判別手段、
前記ハッシュ値判別手段によりハッシュ値が一致すると判別され、かつ、前記複写条件判別手段により複写条件情報を満たすと判別されたときに、前記複写装置における前記複写対象原稿の複写を許可するための信号を出力し、前記ハッシュ値判別手段によりハッシュ値が一致しないと判別されたとき、又は、前記複写条件判別手段により複写条件情報を満たさないと判別されたときに、前記複写装置における前記複写対象原稿の複写を禁止するための信号を出力する制御信号出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項4】
原稿識別情報を付加した複写用原稿が作成されるときに、該複写用原稿のイメージ情報を、前記原稿識別情報に関連付けて記憶するイメージ情報記憶手段と、
複写装置において複写用原稿の複写が行われるときに、複写対象の複写用原稿である複写対象原稿のイメージ情報と、該複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて前記イメージ情報記憶手段に記憶されているイメージ情報と、に基づいて、複写用原稿が変更されているか否かを判別する変更判別手段と、
前記変更判別手段により複写用原稿が変更されていると判別されたときに、前記複写装置における前記複写対象原稿の複写を禁止するための信号を出力する信号出力手段と、
を備える複写管理装置。
【請求項5】
前記イメージ情報は、イメージデータから算出されるハッシュ値であり、
前記イメージ情報記憶手段は、
前記複写用原稿のイメージデータを取得する複写用原稿イメージ取得手段と、
前記複写用原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータに、所定のハッシュ関数を適用して、ハッシュ値を算出する複写用原稿ハッシュ値算出手段と、
前記複写用原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値を、前記原稿識別情報に関連付けて記憶するハッシュ値記憶手段と、を有し、
前記変更判別手段は、
前記複写対象原稿のイメージデータを取得する複写対象原稿イメージ取得手段と、
前記複写対象原稿イメージ取得手段が取得したイメージデータに、前記所定のハッシュ関数を適用して、ハッシュ値を算出する複写対象原稿ハッシュ値算出手段と、
前記複写対象原稿ハッシュ値算出手段が算出したハッシュ値と、前記複写対象原稿に付加されている原稿識別情報に関連付けて前記ハッシュ値記憶手段に記憶されているハッシュ値と、に基づいて、複写用原稿が変更されているか否かを判別するハッシュ値判別手段と、を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の複写管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−114619(P2007−114619A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307837(P2005−307837)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】