複合ケーブル
【課題】曲げが加わる場所などへ敷設される場合であっても、光ファイバの曲げによる伝送損失の発生を防ぎ、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるのに好適な複合ケーブルを提供する。
【解決手段】導体上に絶縁被覆を有する絶縁心線2aを複数本撚り合わせてなる撚線2と、複数本の光ファイバ3aを並列に配置させたテープ状光ファイバ3とが、一括被覆部材5によって一括被覆されている複合ケーブル1において、前記一括被覆部材5は、該一括被覆部材の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面と前記テープ状光ファイバとの間に、空隙部4が設けられていることを特徴とする複合ケーブル1。
【解決手段】導体上に絶縁被覆を有する絶縁心線2aを複数本撚り合わせてなる撚線2と、複数本の光ファイバ3aを並列に配置させたテープ状光ファイバ3とが、一括被覆部材5によって一括被覆されている複合ケーブル1において、前記一括被覆部材5は、該一括被覆部材の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面と前記テープ状光ファイバとの間に、空隙部4が設けられていることを特徴とする複合ケーブル1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のメタル線と光ファイバとを有する複合ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータや液晶ディスプレイなどの機器間において、例えば写真や動画などといった映像信号を劣化させずに大容量、高速度で伝送させるために、デジタル信号にて伝送することが行われている。
【0003】
このような機器間には、例えば、導体の周囲に絶縁被覆が施されてなり、電源供給や制御信号の伝送などに用いられる絶縁心線(メタル線)と、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるための光ファイバとを複数有し、これら複数のメタル線、光ファイバの周囲を被覆部材にて一括被覆した複合ケーブルが用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−310197号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複合ケーブルにおいて、光ファイバはその特性上、外部からの側圧によって光ファイバが曲げなどの影響を受けた場合、曲げによる伝送損失が発生してしまうが、例えば、機器接続部へ複合ケーブルを接続する場合や、曲げが加わる場所へ複合ケーブルを敷設する場合に、複合ケーブルへ曲げが加わることによって伝送損失が発生してしまうため、機器間においてデジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させることができなくなるおそれがある。特に、局所的な側圧が複合ケーブル内の光ファイバへ作用する場合、曲げによる伝送損失の増加が顕著になり、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させることができなくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、曲げが加わる場所などへ敷設される場合であっても、光ファイバの曲げによる伝送損失の発生を防ぎ、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるのに好適な複合ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、導体上に絶縁被覆を有する絶縁心線を複数本撚り合わせてなる撚線と、複数本の光ファイバを並列に配置させたテープ状光ファイバとが、一括被覆部材によって一括被覆されている複合ケーブルにおいて、前記一括被覆部材は、該一括被覆部材の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面と前記テープ状光ファイバとの間に、空隙部が設けられていることを特徴とする複合ケーブルを提供する。
【0008】
前記空隙部は、前記テープ状光ファイバを内包するように該テープ状光ファイバの周囲に形成されていてもよい。
【0009】
前記空隙部は、該空隙部の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面から前記一括被覆部材の厚さ方向に位置する側面までの距離が、前記撚線の表面から前記一括被覆部材の厚さ方向に位置する側面までの最短の距離よりも短くなるように設けられていてもよい。
【0010】
前記空隙部は、略長方形の矩形断面を有していてもよい。
【0011】
前記空隙部は、該空隙部の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面が湾曲している断面を有していてもよい。
【0012】
前記一括被覆部材の幅方向に並列に配置された前記撚線と前記テープ状光ファイバとの外側に、前記一括被覆部材の収縮、膨張を抑止させる抑止体が設けられていてもよい。
【0013】
前記抑止体と前記一括被覆部材との間に、前記抑止体を前記一括被覆部材に密着させる被覆部材が設けられていてもよい。
【0014】
前記空隙部は、該空隙部の内部に緩衝材が設けられていてもよい。
【0015】
前記一括被覆部材は、該一括被覆部材の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面に、凹状の溝からなる凹部が形成されていてもよい。
【0016】
前記凹部は、該凹部の底面が前記テープ状光ファイバに臨む位置に形成されていてもよい。
【0017】
前記撚線および前記テープ状光ファイバは、複数配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、曲げが加わる場所などへ敷設される場合であっても、光ファイバの曲げによる伝送損失の発生を防ぎ、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるのに好適な複合ケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの断面図である。
【図2】(a)は、図1の複合ケーブルの一側面の全体に側圧が加わったときの状態を示す図であり、(b)は、図1の複合ケーブルの一側面に局所的な側圧が加わったときの状態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
[第1の実施の形態]
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの断面図である。
【0022】
図1において、本発明に係る複合ケーブル1は、導体上に絶縁被覆を有する絶縁心線(メタル線)2aを複数本(図1では7本)撚り合わせてなる撚線2と、石英部材などからなる複数本(図1では4本)の光ファイバ3aを平行(並列)に配置させたテープ状光ファイバ3とが、一括被覆部材5によって一括被覆されて構成される。また、撚線2とテープ状光ファイバ3とは、光ファイバ3aを並列させた方向(図1で断面視左右方向)に沿って平行(並列)に配設される。なお、撚線2は、例えば電源供給や制御信号の伝送などに用いられ、テープ状光ファイバ3は、例えばデジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるために用いられる。また、撚線2には、必要に応じて接地線(アース線)を含んでいてもよい。
【0023】
そして、本実施の形態においては、図1に示すように、複合ケーブル1を構成するテープ状光ファイバ3の周辺の一括被覆部材5に、空隙部4が形成されている。例えば、図1に示すように、一括被覆部材5には、一括被覆部材5の厚さ方向(図1で断面視上下方向)に位置して対向する一対の側面のいずれか一方の側面とテープ状光ファイバ3との間に、少なくとも1つ以上(図1では2つ)の空隙部4が形成されている。
【0024】
なお、上記「幅方向」とは、複合ケーブルの断面において、任意の部材の断面の長手方向のことであり、「厚さ方向」とは、複合ケーブルの断面において、任意の部材の断面の短手方向のことであり、例えば、「一括被覆部材の幅方向」とは、複合ケーブルの断面における一括被覆部材の長手方向のことである。
(空隙部)
【0025】
第1の実施の形態では、空隙部4が矩形断面(図1では、略長方形)を有しており、その幅(図1で断面視左右方向)は、図1に示すテープ状光ファイバ3の幅よりも大きいことが好ましい。また、空隙部4の厚さ方向に位置して対向する一対の側面4a、4bのうちの少なくとも一方の側面は、その側面から一括被覆部材5の厚さ方向に位置して対向する一対の側面のいずれか一方の側面までの距離が、撚線2の表面から一括被覆部材5の厚さ方向に位置して対向する一対の側面のいずれか一方の側面までの最短の距離よりも短くなる位置に設けられていることが好ましい。
【0026】
例えば、図1に示すように、空隙部4の厚さ方向に位置して対向する一対の側面のうち、一括被覆部材5の厚さ方向に位置して対向する一対の側面のうちの一方の側面5aに近い側の側面4aは、その側面4aから一括被覆部材5の側面5aまでの距離L1が、撚線2の表面である外縁部2bから一括被覆部材5の側面5aまで最短の距離Lよりも短くなる(L1<L)位置に設けられているように空隙部4が形成される。
【0027】
このとき、空隙部4の厚さ方向に位置して対向する一対の側面のうち、一括被覆部材5の側面5aに遠い側の側面4bは、その側面4bから一括被覆部材5の側面5aまでの距離L2が、図1に示すように距離Lよりも長くなる(L2>L)位置に設けられていてもよく、あるいは距離L2が距離Lよりも短くなる(L2<L)位置に設けられていてもよい。
【0028】
このような空隙部4が一括被覆部材5の内部に形成されていることにより、局所的な側圧が加わる場合や曲げが加わる場所などへ敷設される場合であっても、外部からの側圧によってテープ状光ファイバ3を構成する光ファイバ3aが曲げなどの影響を受けて、曲げによる伝送損失が発生してしまうのを防止することができる。
(抑止体)
【0029】
また、本実施の形態に係る複合ケーブル1には、撚線2とテープ状光ファイバ3を結ぶ軸線上、すなわち撚線2とテープ状光ファイバ3との並列方向(図1で断面視左右方向)上であって、撚線2および/またはテープ状光ファイバ3よりも外側の一括被覆部材5の内部に、金属線からなり一括被覆部材5の収縮、膨張を抑止するための抑止体6が設けられている。この抑止体6の周囲には、該抑止体6の一括被覆部材5に対する密着力を付与するための被覆部材7が設けられている。図1においては、一括被覆部材5の幅方向にわたり抑止体6が撚線2よりも外側の位置と、テープ状光ファイバ3よりも外側の位置にそれぞれ1本ずつ設けた構成としたものであるが、これに限定されるものではなく、抑止体6の本数、位置等は適宜選択が可能である。
【0030】
抑止体7とは、一括被覆部材5の線膨張係数が他の部材の線膨張係数よりも大きいため、使用環境の温度が変化した場合に一括被覆部材5が収縮(特に低温時に収縮する)、あるいは膨張することを抑止するためのものである。
【0031】
複合ケーブル1を構成するメタル線2a、光ファイバ3a、一括被覆部材5の線膨張係数は、光ファイバ3a(石英):0.4〜0.55×10−6/℃、メタル線2a(銅):16.5×10−6/℃、一括被覆部材5(PE):100〜200×10−6/℃であり、特に、光ファイバ3aの線膨張係数は、一括被覆部材5の数百分の1以下になる。このため、特に低温時では、一括被覆部材5の収縮の度合いが他の部材よりも大きくなるため、光ファイバ3aへ曲げ歪みが発生したり、一括被覆部材5の端面から光ファイバ3aが突きだして、光ファイバ3aが機器との接続部に設けられた固定部材から外れてしまう可能性がある。とりわけ、一括被覆部材5が収縮することによって光ファイバ3aへ曲げが印加した場合には、光ファイバ3aへ曲げ歪みが発生して、光ファイバ3aの断線や、伝送損失が発生することに起因する信号劣化の発生などが問題となる。
【0032】
ここで、本実施の形態における抑止体6は金属線から構成され、該抑止体6の周囲には被覆部材7が形成されている。抑止体6と被覆部材7とは、一括被覆部材5が温度変化により収縮、或いは膨張する際に、複合ケーブル1の長手方向(光ファイバ3aの長手方向)に発生する力よりも強い接着力を持つ接着手段により接着される。そして、被覆部材7は、一括被覆部材5と同じ材料から構成されており、周知の方法を用いて一括被覆部材5を押出被覆する際に、一括被覆部材5の熱により被覆部材7は一括被覆部材5に溶着する。これにより、抑止体6は、被覆部材7を介して一括被覆部材5と強固に接合される。
【0033】
金属線から構成された抑止体6の線膨張係数は、10〜30×10−6/℃と、PE等の材料で構成された一括被覆部材5の線膨張係数100〜200×10−6/℃と比較して著しく小さい。従って、複合ケーブル1の使用環境温度が変化し、特に低温環境時に一括被覆部材5が収縮しようとしても、抑止体6が被覆部材7を介して一括被覆部材5と強固に接合しているため、一括被覆部材5が抑止体6の収縮量を超えて収縮しなくなり、一括被覆部材5が収縮することによって光ファイバ3aへ曲げが加わるのを抑止することができる。
【0034】
石英から構成される光ファイバ3aの線膨張係数は0.4〜0.55×10−6/℃であり、100〜200×10−6/℃である一括被覆部材5の線膨張係数と光ファイバ3aの線膨張係数との差よりも、10〜30×10−6/℃である金属線から構成された抑止体6の線膨張係数と光ファイバ3aの線膨張係数との差の方が小さい。よって、一括被覆部材5の使用環境温度の変化に基づく収縮、膨張が、金属線から構成された抑止体6の収縮量、或いは膨張量に抑えられることによって、一括被覆部材5の収縮、膨張に起因する光ファイバ3aへの曲げ歪みの発生、あるいは一括被覆部材5の端面から光ファイバ3aが突きだして光ファイバ3aが機器との接続部に設けられた固定部材から外れてしまうなどの問題を防ぐことができる。とりわけ、光ファイバ3aへの曲げ歪の発生を防ぐことにより、該曲げ歪に起因する機械的歪みが引き起こす光ファイバ3aの断線、あるいはマクロベンドによる伝送損失に起因する信号劣化などの問題を回避することが可能となるものである。
【0035】
このように、本発明の実施の形態においては、撚線2とテープ状光ファイバ3との並列方向(図1で断面視左右方向)上であって、撚線2および/またはテープ状光ファイバ3よりも外側の一括被覆部材5の内部に、金属線からなり一括被覆部材5の収縮、膨張を抑止するための抑止体6が設けられていても良い。この抑止体6の周囲には、該抑止体6の一括被覆部材5に対する密着力を付与するための被覆部材7が設けられていても良く、また、抑止体6は、その表面が粗面加工された金属線からなることであっても良い。
【0036】
図2は、図1の複合ケーブル1に側圧が加わったときの状態を示す図であり、図2(a)は、図1の複合ケーブル1の一側面の全体に側圧が加わったときの状態を示す図であり、図2(b)は、図1の複合ケーブル1の一側面に局所的な側圧が加わったときの状態を示す図である。
【0037】
図2(a)において、曲げが加わる場所などへ敷設される際に複合ケーブル1の一側面(一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面)の全体に側圧が作用した場合、一括被覆部材5の一側面に作用した側圧は、この一括被覆部材5を介して複合ケーブル1の内部に作用する。
【0038】
撚線2の部分においては、側圧が一括被覆部材5の側圧が作用した側面5aに臨む撚線2の表面、すなわち一括被覆部材5の側圧が作用した側面5aからの距離が最も短い部分に位置する撚線2の表面である外縁部2b周辺に加わることになる。このとき、側圧が作用した一括被覆部材5の側面5aから撚線2の外縁部2bまでの領域において、該側圧の作用により一括被覆部材5が圧縮、変形するなどの影響が生じ得るが、この外縁部2bにおいて作用した側圧に対する反作用の力が発生するため、側圧の作用による圧縮、変形などの影響を外縁部2bで抑制することができ、かつ外縁部2bよりも内部(複合ケーブル1の中心)に側圧が加わるのを防ぐことができる。
【0039】
また、テープ状光ファイバ3の部分においては、図2(a)に示すように、テープ状光ファイバ3の光ファイバ3aの厚さ方向(図2(a)で断面視上下方向)に設けられた空隙部4の側面4aに側圧が作用する。このとき、空隙部4が少なくとも空隙部4の撚線2の外縁部2bよりも一括被覆部材5の表面側に突き出している領域、すなわち図2(a)の斜線部で表わした領域において弾性変形することによって、空隙部4に作用した側圧が吸収される。このため、側圧による圧縮、変形の影響が空隙部4よりも内部の位置まで及ぶのを抑制することができ、テープ状光ファイバ3まで側圧による影響が及ぼされることを防止することができる。
【0040】
したがって、曲げが加わる場所などへ敷設される際に一括被覆部材5の一側面の全体に側圧が加わった場合であっても、光ファイバ3aの曲げによる伝送損失の発生を防ぐことができ、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるのに好適な複合ケーブルを提供することができる。
【0041】
図2(b)に示すように図1の複合ケーブル1の一側面(一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面)に局所的な側圧が加わった場合、テープ状光ファイバ3の厚さ方向(図2(b)で断面視上下方向)に設けられた空隙部4の側面4aに側圧が作用する。すなわち、図2(b)において、複合ケーブル1に局所的な側圧が、特にテープ状光ファイバ3が存在する位置の一括被覆部材5の側面5aに作用している場合、テープ状光ファイバ3から一括被覆部材5の側面5aまでの間には空隙部4が形成されているため、当該位置に作用した局所的な側圧は空隙部4に作用する。該空隙部4に作用した局所的な側圧は、図2(b)に示すように、一括被覆部材5が有する弾性によって図2(a)で説明した場合と同様に空隙部4が弾性変形することで側圧が該空隙部4全体に拡散され、該空隙部4において吸収される。このため、局所的な側圧による圧縮、変形の影響がテープ状光ファイバ3まで及ぼされることを防止することができる。
【0042】
したがって、図2(b)に示すように、図1の複合ケーブル1の一側面(一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面)に局所的な側圧が加わった場合であっても、一括被覆部材5の内部に形成されている空隙部4により、局所的な側圧によってテープ状光ファイバ3を構成する光ファイバ3aが曲げなどの影響を受けて、曲げによる伝送損失が発生してしまうのを防止することができ、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるのに好適な複合ケーブルを提供することができる。
【0043】
図3、及び図4は、本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【0044】
図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブル1では、一括被覆部材5の内部に形成される空隙部4は略長方形の矩形断面を持つ構成であったが、図3あるいは図4に示すように、一括被覆部材5の側面5a(図3、図4で断面視上下方向の側面)に臨む空隙部4の側面(空隙部4の厚さ方向に位置する側面)が曲線状、半円形状、あるいは半楕円形状などの形状に湾曲している断面を有する空隙部34、44であってもよい。
【0045】
図3に示すように、空隙部34の断面が、一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面に臨む面を一括被覆部材5の側面5aに向かって張り出す(湾曲する)ような曲線状とすることにより、特に複合ケーブル31に局所的な側圧が作用した場合、この局所的な側圧が拡散、吸収される作用をより効果的に得ることができるため、局所的な側圧による影響を受けにくくする効果がより効果的に得られる。また、図4に示すように、空隙部44の断面が、一括被覆部材5の側面5aに臨む面を一括被覆部材5の側面5aに向かって張り出す半円形状、あるいは半楕円形状とすることによっても、図3に示す複合ケーブル31と同様の効果が期待できる。
[第2の実施の形態]
【0046】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの断面図である。
【0047】
図5に示す複合ケーブル51は、一括被覆部材5の内部に形成される空隙部の構成のみが図1に示す第1の実施の形態と異なっていることから、図1に示す本発明の第1の実施の形態と共通する部分の説明は省略し、異なっている部分のみ図5に基づいて説明する。
【0048】
図5に示す複合ケーブル51において、空隙部54は、略長方形の矩形断面を有し、テープ状光ファイバ3を内包してテープ状光ファイバ3の周囲に形成されている。
図5においては、空隙部54は、一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面5aと該側面5aに臨む空隙部54の側面54aとの間の距離が、撚線2の表面である外縁部2bから一括被覆部材5の側面5aまでの最短の距離よりも長くなるように設けられているが、図1のように、一括被覆部材5の側面5aに臨む空隙部54の側面54aは、その側面54aから一括被覆部材5の側面5aまでの距離が、撚線2の表面である外縁部2bから一括被覆部材5の側面5aまで最短の距離よりも短くなる位置に設けられているように空隙部4が形成されていてもよい。
【0049】
本実施の形態においては、図5に示すような空隙部54を有することにより、図2に示したような複合ケーブル1において、外部から一括被覆部材5の厚さ方向に位置する一側面の全体あるいは局所的に側圧が加わった場合の光ファイバ3aへの影響を防ぐ、すなわち光ファイバ3aの曲げによる伝送損失の発生を防ぐことができるという作用効果のみならず、テープ状光ファイバ3の周囲に空隙部54が形成されているため、特に複合ケーブル51が機器接続部へ取付けされる場合やケーブル敷設の際に曲げられた場合であっても、光ファイバ3aの伸びを緩和することができ、曲げ損失の増加を抑制することができるという効果が得られる。
【0050】
図6及び図7は、図5に示す複合ケーブル51の変形例を示す断面図である。
【0051】
図5に示す本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブル51おいては、テープ状光ファイバ3を内包してテープ状光ファイバ3の周囲に形成される空隙部54が略長方形の矩形断面を持つ構成であったが、例えば図6あるいは図7に示すように、一括被覆部材5の厚さ方向(図6、図7で断面視上下方向)に位置する側面5aに臨む面(空隙部54の厚さ方向に位置する側面)が曲線状、半円状、あるいは半楕円形状などの形状に湾曲している断面を有する空隙部64、74であってもよい。
【0052】
図6に示すように、空隙部64の断面が、一括被覆部材5の側面5aに臨む面を一括被覆部材5の側面に向かって張り出す(湾曲する)ような曲線状とすることにより、特に複合ケーブル61に局所的な側圧が作用した場合、この局所的な側圧が拡散、吸収される作用をより効果的に得ることができるため、局所的な側圧による影響を受けにくくする効果がより効果的に得られる。また、図7に示すように、空隙部74の断面が、一括被覆部材5の側面5aに臨む面を一括被覆部材5の側面5aに向かって張り出す半円形状、あるいは半楕円形状とすることによっても、図6に示す複合ケーブル61と同様の効果が期待できる。
【0053】
図8は、図5に示す複合ケーブル51の変形例を示す断面図である。
【0054】
図8に示す複合ケーブル81は、図5に示す複合ケーブル51において、一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面5aに、凹状の溝からなる凹部8が形成されたものである。凹部8は、一括被覆部材5の側面5aの少なくとも一方に形成されていることが好ましい。
【0055】
また、凹部8は、その底面が一括被覆部材5の側面5aにおける空隙部54の厚さ方向に位置する側面54aに臨む位置、すなわちテープ状光ファイバ3に臨む位置に形成されることが好ましい。
【0056】
このように、凹部8が一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面に形成されていることにより、複合ケーブル81の外観を目視しただけでテープ状光ファイバ3の位置を特定することができる。また、複合ケーブル81において、一括被覆部材5の側面5aに厚さ方向(図8で断面視上下方向)から側圧が作用した場合に、該側圧によって光ファイバ3aが曲げなどの影響を受けて、曲げによる伝送損失が発生してしまうのを防止することができ、空隙部54の作用との相乗効果により、側圧に起因する伝送損失の増加をより効果的に抑制することが可能となる。
【0057】
なお、図8に示す複合ケーブル81においては、略長方形の矩形断面を有する空隙部54と凹部8とを組み合わせたが、これに限られるものではなく、例えば図6、図7に示す複合ケーブル61、71における一括被覆部材5の側面5aの少なくとも一方に、凹部8を形成したものであってもよい。
【0058】
図9は、図8に示す複合ケーブル81の変形例を示す断面図である。
【0059】
図9に示す複合ケーブル91は、図8に示す複合ケーブル81において、撚線2とテープ状光ファイバ3とをそれぞれ複数配置させたものである。撚線2、及びテープ状光ファイバ3の配置については、例えば図9に示すように、2つのテープ状光ファイバ3を一括被覆部材5の幅方向に並列に配置させ、さらにこれと同様に配置させた2つのテープ状光ファイバ3を一括被覆部材5の厚さ方向に積層させてなるテープ状光ファイバ群と、2つの撚線2を一括被覆部材5の幅方向に並列させて配置させてなる撚線群とを、一括被覆部材5の幅方向に並列させたものが挙げられるが、これに限定されるものではなく、敷設される場所、用途等に応じて撚線2、及びテープ状光ファイバ3の本数、配置位置等は適宜変更することができる。
【0060】
また、図9に示す複合ケーブル91では、図8に示すような一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面5aに凹部8が形成されているが、例えば、図5に示す複合ケーブル51のような凹部8が形成されていない構成であってもよい。
【0061】
なお、ここでは図8に示すような第2の実施の形態に係る複合ケーブルにおいて、撚線2とテープ状光ファイバ3とをそれぞれ複数配置させたが、例えば、図1〜図4に示すような第1の実施の形態に係る複合ケーブルにおいても、撚線2とテープ状光ファイバ3とをそれぞれ複数配置させることもできる。
【0062】
このように、本発明の各実施の形態においては、テープ状光ファイバ3と撚線2をそれぞれ複数配置する構成をとることも可能である。
【0063】
図10、図11は、図8に示す複合ケーブル81の変形例を示す断面図である。
【0064】
図10に示す複合ケーブル101は、図8に示す複合ケーブル81において、空隙部54の内部にケブラーなどからなる緩衝材9を備えたものである。
【0065】
空隙部54の内部に緩衝材9が備えられることにより、図2で示したような複合ケーブル101の外部からの局所的な側圧を含む側圧によって光ファイバ3aに曲げが加わってしまうのを防止することができるという作用効果に加えて、特に複合ケーブル101の機器接続部への取付けや、ケーブル敷設の際に複合ケーブル101に曲げが加わっても、緩衝材9により光ファイバ3aに作用する応力が緩和されるため、曲げ損失の増加をより効果的に抑制することができる。なお、緩衝材9としてはケブラーに限定されることなく、同等の作用効果を奏する材料を適宜選択することが出来る。
【0066】
また、図11に示すように、空隙部54の内部にケブラーなどからなる緩衝材9を備えた複合ケーブル101において、撚線2とテープ状光ファイバ3とをそれぞれ複数配置させた構造の複合ケーブル111としてもよい。
【0067】
なお、図10、11に示す複合ケーブル101、111では、一括被覆部材5の側面5aに凹部8が形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図5に示す複合ケーブル51のように凹部8が形成されていなくてもよい。
【0068】
また、ここでは図8に示すような第2の実施の形態に係る複合ケーブルにおける空隙部の内部に緩衝材を備えた構成としたが、例えば、図1〜図4に示すような第1の実施の形態に係る複合ケーブルにおいても、空隙部の内部にケブラーなどからなる緩衝材を備えたものであってもよい。
【0069】
以上、本発明の各実施の形態を説明したが、上記に記載した各実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0070】
1…複合ケーブル、2…撚線、2a…絶縁心線、3…テープ状光ファイバ、3a…光ファイバ、4…空隙部、5…一括被覆部材、6…抑止体、7…被覆部材、8…凹部、9…緩衝材
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のメタル線と光ファイバとを有する複合ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータや液晶ディスプレイなどの機器間において、例えば写真や動画などといった映像信号を劣化させずに大容量、高速度で伝送させるために、デジタル信号にて伝送することが行われている。
【0003】
このような機器間には、例えば、導体の周囲に絶縁被覆が施されてなり、電源供給や制御信号の伝送などに用いられる絶縁心線(メタル線)と、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるための光ファイバとを複数有し、これら複数のメタル線、光ファイバの周囲を被覆部材にて一括被覆した複合ケーブルが用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−310197号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複合ケーブルにおいて、光ファイバはその特性上、外部からの側圧によって光ファイバが曲げなどの影響を受けた場合、曲げによる伝送損失が発生してしまうが、例えば、機器接続部へ複合ケーブルを接続する場合や、曲げが加わる場所へ複合ケーブルを敷設する場合に、複合ケーブルへ曲げが加わることによって伝送損失が発生してしまうため、機器間においてデジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させることができなくなるおそれがある。特に、局所的な側圧が複合ケーブル内の光ファイバへ作用する場合、曲げによる伝送損失の増加が顕著になり、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させることができなくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、曲げが加わる場所などへ敷設される場合であっても、光ファイバの曲げによる伝送損失の発生を防ぎ、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるのに好適な複合ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、導体上に絶縁被覆を有する絶縁心線を複数本撚り合わせてなる撚線と、複数本の光ファイバを並列に配置させたテープ状光ファイバとが、一括被覆部材によって一括被覆されている複合ケーブルにおいて、前記一括被覆部材は、該一括被覆部材の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面と前記テープ状光ファイバとの間に、空隙部が設けられていることを特徴とする複合ケーブルを提供する。
【0008】
前記空隙部は、前記テープ状光ファイバを内包するように該テープ状光ファイバの周囲に形成されていてもよい。
【0009】
前記空隙部は、該空隙部の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面から前記一括被覆部材の厚さ方向に位置する側面までの距離が、前記撚線の表面から前記一括被覆部材の厚さ方向に位置する側面までの最短の距離よりも短くなるように設けられていてもよい。
【0010】
前記空隙部は、略長方形の矩形断面を有していてもよい。
【0011】
前記空隙部は、該空隙部の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面が湾曲している断面を有していてもよい。
【0012】
前記一括被覆部材の幅方向に並列に配置された前記撚線と前記テープ状光ファイバとの外側に、前記一括被覆部材の収縮、膨張を抑止させる抑止体が設けられていてもよい。
【0013】
前記抑止体と前記一括被覆部材との間に、前記抑止体を前記一括被覆部材に密着させる被覆部材が設けられていてもよい。
【0014】
前記空隙部は、該空隙部の内部に緩衝材が設けられていてもよい。
【0015】
前記一括被覆部材は、該一括被覆部材の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面に、凹状の溝からなる凹部が形成されていてもよい。
【0016】
前記凹部は、該凹部の底面が前記テープ状光ファイバに臨む位置に形成されていてもよい。
【0017】
前記撚線および前記テープ状光ファイバは、複数配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、曲げが加わる場所などへ敷設される場合であっても、光ファイバの曲げによる伝送損失の発生を防ぎ、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるのに好適な複合ケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの断面図である。
【図2】(a)は、図1の複合ケーブルの一側面の全体に側圧が加わったときの状態を示す図であり、(b)は、図1の複合ケーブルの一側面に局所的な側圧が加わったときの状態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
[第1の実施の形態]
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの断面図である。
【0022】
図1において、本発明に係る複合ケーブル1は、導体上に絶縁被覆を有する絶縁心線(メタル線)2aを複数本(図1では7本)撚り合わせてなる撚線2と、石英部材などからなる複数本(図1では4本)の光ファイバ3aを平行(並列)に配置させたテープ状光ファイバ3とが、一括被覆部材5によって一括被覆されて構成される。また、撚線2とテープ状光ファイバ3とは、光ファイバ3aを並列させた方向(図1で断面視左右方向)に沿って平行(並列)に配設される。なお、撚線2は、例えば電源供給や制御信号の伝送などに用いられ、テープ状光ファイバ3は、例えばデジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるために用いられる。また、撚線2には、必要に応じて接地線(アース線)を含んでいてもよい。
【0023】
そして、本実施の形態においては、図1に示すように、複合ケーブル1を構成するテープ状光ファイバ3の周辺の一括被覆部材5に、空隙部4が形成されている。例えば、図1に示すように、一括被覆部材5には、一括被覆部材5の厚さ方向(図1で断面視上下方向)に位置して対向する一対の側面のいずれか一方の側面とテープ状光ファイバ3との間に、少なくとも1つ以上(図1では2つ)の空隙部4が形成されている。
【0024】
なお、上記「幅方向」とは、複合ケーブルの断面において、任意の部材の断面の長手方向のことであり、「厚さ方向」とは、複合ケーブルの断面において、任意の部材の断面の短手方向のことであり、例えば、「一括被覆部材の幅方向」とは、複合ケーブルの断面における一括被覆部材の長手方向のことである。
(空隙部)
【0025】
第1の実施の形態では、空隙部4が矩形断面(図1では、略長方形)を有しており、その幅(図1で断面視左右方向)は、図1に示すテープ状光ファイバ3の幅よりも大きいことが好ましい。また、空隙部4の厚さ方向に位置して対向する一対の側面4a、4bのうちの少なくとも一方の側面は、その側面から一括被覆部材5の厚さ方向に位置して対向する一対の側面のいずれか一方の側面までの距離が、撚線2の表面から一括被覆部材5の厚さ方向に位置して対向する一対の側面のいずれか一方の側面までの最短の距離よりも短くなる位置に設けられていることが好ましい。
【0026】
例えば、図1に示すように、空隙部4の厚さ方向に位置して対向する一対の側面のうち、一括被覆部材5の厚さ方向に位置して対向する一対の側面のうちの一方の側面5aに近い側の側面4aは、その側面4aから一括被覆部材5の側面5aまでの距離L1が、撚線2の表面である外縁部2bから一括被覆部材5の側面5aまで最短の距離Lよりも短くなる(L1<L)位置に設けられているように空隙部4が形成される。
【0027】
このとき、空隙部4の厚さ方向に位置して対向する一対の側面のうち、一括被覆部材5の側面5aに遠い側の側面4bは、その側面4bから一括被覆部材5の側面5aまでの距離L2が、図1に示すように距離Lよりも長くなる(L2>L)位置に設けられていてもよく、あるいは距離L2が距離Lよりも短くなる(L2<L)位置に設けられていてもよい。
【0028】
このような空隙部4が一括被覆部材5の内部に形成されていることにより、局所的な側圧が加わる場合や曲げが加わる場所などへ敷設される場合であっても、外部からの側圧によってテープ状光ファイバ3を構成する光ファイバ3aが曲げなどの影響を受けて、曲げによる伝送損失が発生してしまうのを防止することができる。
(抑止体)
【0029】
また、本実施の形態に係る複合ケーブル1には、撚線2とテープ状光ファイバ3を結ぶ軸線上、すなわち撚線2とテープ状光ファイバ3との並列方向(図1で断面視左右方向)上であって、撚線2および/またはテープ状光ファイバ3よりも外側の一括被覆部材5の内部に、金属線からなり一括被覆部材5の収縮、膨張を抑止するための抑止体6が設けられている。この抑止体6の周囲には、該抑止体6の一括被覆部材5に対する密着力を付与するための被覆部材7が設けられている。図1においては、一括被覆部材5の幅方向にわたり抑止体6が撚線2よりも外側の位置と、テープ状光ファイバ3よりも外側の位置にそれぞれ1本ずつ設けた構成としたものであるが、これに限定されるものではなく、抑止体6の本数、位置等は適宜選択が可能である。
【0030】
抑止体7とは、一括被覆部材5の線膨張係数が他の部材の線膨張係数よりも大きいため、使用環境の温度が変化した場合に一括被覆部材5が収縮(特に低温時に収縮する)、あるいは膨張することを抑止するためのものである。
【0031】
複合ケーブル1を構成するメタル線2a、光ファイバ3a、一括被覆部材5の線膨張係数は、光ファイバ3a(石英):0.4〜0.55×10−6/℃、メタル線2a(銅):16.5×10−6/℃、一括被覆部材5(PE):100〜200×10−6/℃であり、特に、光ファイバ3aの線膨張係数は、一括被覆部材5の数百分の1以下になる。このため、特に低温時では、一括被覆部材5の収縮の度合いが他の部材よりも大きくなるため、光ファイバ3aへ曲げ歪みが発生したり、一括被覆部材5の端面から光ファイバ3aが突きだして、光ファイバ3aが機器との接続部に設けられた固定部材から外れてしまう可能性がある。とりわけ、一括被覆部材5が収縮することによって光ファイバ3aへ曲げが印加した場合には、光ファイバ3aへ曲げ歪みが発生して、光ファイバ3aの断線や、伝送損失が発生することに起因する信号劣化の発生などが問題となる。
【0032】
ここで、本実施の形態における抑止体6は金属線から構成され、該抑止体6の周囲には被覆部材7が形成されている。抑止体6と被覆部材7とは、一括被覆部材5が温度変化により収縮、或いは膨張する際に、複合ケーブル1の長手方向(光ファイバ3aの長手方向)に発生する力よりも強い接着力を持つ接着手段により接着される。そして、被覆部材7は、一括被覆部材5と同じ材料から構成されており、周知の方法を用いて一括被覆部材5を押出被覆する際に、一括被覆部材5の熱により被覆部材7は一括被覆部材5に溶着する。これにより、抑止体6は、被覆部材7を介して一括被覆部材5と強固に接合される。
【0033】
金属線から構成された抑止体6の線膨張係数は、10〜30×10−6/℃と、PE等の材料で構成された一括被覆部材5の線膨張係数100〜200×10−6/℃と比較して著しく小さい。従って、複合ケーブル1の使用環境温度が変化し、特に低温環境時に一括被覆部材5が収縮しようとしても、抑止体6が被覆部材7を介して一括被覆部材5と強固に接合しているため、一括被覆部材5が抑止体6の収縮量を超えて収縮しなくなり、一括被覆部材5が収縮することによって光ファイバ3aへ曲げが加わるのを抑止することができる。
【0034】
石英から構成される光ファイバ3aの線膨張係数は0.4〜0.55×10−6/℃であり、100〜200×10−6/℃である一括被覆部材5の線膨張係数と光ファイバ3aの線膨張係数との差よりも、10〜30×10−6/℃である金属線から構成された抑止体6の線膨張係数と光ファイバ3aの線膨張係数との差の方が小さい。よって、一括被覆部材5の使用環境温度の変化に基づく収縮、膨張が、金属線から構成された抑止体6の収縮量、或いは膨張量に抑えられることによって、一括被覆部材5の収縮、膨張に起因する光ファイバ3aへの曲げ歪みの発生、あるいは一括被覆部材5の端面から光ファイバ3aが突きだして光ファイバ3aが機器との接続部に設けられた固定部材から外れてしまうなどの問題を防ぐことができる。とりわけ、光ファイバ3aへの曲げ歪の発生を防ぐことにより、該曲げ歪に起因する機械的歪みが引き起こす光ファイバ3aの断線、あるいはマクロベンドによる伝送損失に起因する信号劣化などの問題を回避することが可能となるものである。
【0035】
このように、本発明の実施の形態においては、撚線2とテープ状光ファイバ3との並列方向(図1で断面視左右方向)上であって、撚線2および/またはテープ状光ファイバ3よりも外側の一括被覆部材5の内部に、金属線からなり一括被覆部材5の収縮、膨張を抑止するための抑止体6が設けられていても良い。この抑止体6の周囲には、該抑止体6の一括被覆部材5に対する密着力を付与するための被覆部材7が設けられていても良く、また、抑止体6は、その表面が粗面加工された金属線からなることであっても良い。
【0036】
図2は、図1の複合ケーブル1に側圧が加わったときの状態を示す図であり、図2(a)は、図1の複合ケーブル1の一側面の全体に側圧が加わったときの状態を示す図であり、図2(b)は、図1の複合ケーブル1の一側面に局所的な側圧が加わったときの状態を示す図である。
【0037】
図2(a)において、曲げが加わる場所などへ敷設される際に複合ケーブル1の一側面(一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面)の全体に側圧が作用した場合、一括被覆部材5の一側面に作用した側圧は、この一括被覆部材5を介して複合ケーブル1の内部に作用する。
【0038】
撚線2の部分においては、側圧が一括被覆部材5の側圧が作用した側面5aに臨む撚線2の表面、すなわち一括被覆部材5の側圧が作用した側面5aからの距離が最も短い部分に位置する撚線2の表面である外縁部2b周辺に加わることになる。このとき、側圧が作用した一括被覆部材5の側面5aから撚線2の外縁部2bまでの領域において、該側圧の作用により一括被覆部材5が圧縮、変形するなどの影響が生じ得るが、この外縁部2bにおいて作用した側圧に対する反作用の力が発生するため、側圧の作用による圧縮、変形などの影響を外縁部2bで抑制することができ、かつ外縁部2bよりも内部(複合ケーブル1の中心)に側圧が加わるのを防ぐことができる。
【0039】
また、テープ状光ファイバ3の部分においては、図2(a)に示すように、テープ状光ファイバ3の光ファイバ3aの厚さ方向(図2(a)で断面視上下方向)に設けられた空隙部4の側面4aに側圧が作用する。このとき、空隙部4が少なくとも空隙部4の撚線2の外縁部2bよりも一括被覆部材5の表面側に突き出している領域、すなわち図2(a)の斜線部で表わした領域において弾性変形することによって、空隙部4に作用した側圧が吸収される。このため、側圧による圧縮、変形の影響が空隙部4よりも内部の位置まで及ぶのを抑制することができ、テープ状光ファイバ3まで側圧による影響が及ぼされることを防止することができる。
【0040】
したがって、曲げが加わる場所などへ敷設される際に一括被覆部材5の一側面の全体に側圧が加わった場合であっても、光ファイバ3aの曲げによる伝送損失の発生を防ぐことができ、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるのに好適な複合ケーブルを提供することができる。
【0041】
図2(b)に示すように図1の複合ケーブル1の一側面(一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面)に局所的な側圧が加わった場合、テープ状光ファイバ3の厚さ方向(図2(b)で断面視上下方向)に設けられた空隙部4の側面4aに側圧が作用する。すなわち、図2(b)において、複合ケーブル1に局所的な側圧が、特にテープ状光ファイバ3が存在する位置の一括被覆部材5の側面5aに作用している場合、テープ状光ファイバ3から一括被覆部材5の側面5aまでの間には空隙部4が形成されているため、当該位置に作用した局所的な側圧は空隙部4に作用する。該空隙部4に作用した局所的な側圧は、図2(b)に示すように、一括被覆部材5が有する弾性によって図2(a)で説明した場合と同様に空隙部4が弾性変形することで側圧が該空隙部4全体に拡散され、該空隙部4において吸収される。このため、局所的な側圧による圧縮、変形の影響がテープ状光ファイバ3まで及ぼされることを防止することができる。
【0042】
したがって、図2(b)に示すように、図1の複合ケーブル1の一側面(一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面)に局所的な側圧が加わった場合であっても、一括被覆部材5の内部に形成されている空隙部4により、局所的な側圧によってテープ状光ファイバ3を構成する光ファイバ3aが曲げなどの影響を受けて、曲げによる伝送損失が発生してしまうのを防止することができ、デジタル信号などの大容量の信号を高速度で伝送させるのに好適な複合ケーブルを提供することができる。
【0043】
図3、及び図4は、本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブルの変形例を示す断面図である。
【0044】
図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る複合ケーブル1では、一括被覆部材5の内部に形成される空隙部4は略長方形の矩形断面を持つ構成であったが、図3あるいは図4に示すように、一括被覆部材5の側面5a(図3、図4で断面視上下方向の側面)に臨む空隙部4の側面(空隙部4の厚さ方向に位置する側面)が曲線状、半円形状、あるいは半楕円形状などの形状に湾曲している断面を有する空隙部34、44であってもよい。
【0045】
図3に示すように、空隙部34の断面が、一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面に臨む面を一括被覆部材5の側面5aに向かって張り出す(湾曲する)ような曲線状とすることにより、特に複合ケーブル31に局所的な側圧が作用した場合、この局所的な側圧が拡散、吸収される作用をより効果的に得ることができるため、局所的な側圧による影響を受けにくくする効果がより効果的に得られる。また、図4に示すように、空隙部44の断面が、一括被覆部材5の側面5aに臨む面を一括被覆部材5の側面5aに向かって張り出す半円形状、あるいは半楕円形状とすることによっても、図3に示す複合ケーブル31と同様の効果が期待できる。
[第2の実施の形態]
【0046】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブルの断面図である。
【0047】
図5に示す複合ケーブル51は、一括被覆部材5の内部に形成される空隙部の構成のみが図1に示す第1の実施の形態と異なっていることから、図1に示す本発明の第1の実施の形態と共通する部分の説明は省略し、異なっている部分のみ図5に基づいて説明する。
【0048】
図5に示す複合ケーブル51において、空隙部54は、略長方形の矩形断面を有し、テープ状光ファイバ3を内包してテープ状光ファイバ3の周囲に形成されている。
図5においては、空隙部54は、一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面5aと該側面5aに臨む空隙部54の側面54aとの間の距離が、撚線2の表面である外縁部2bから一括被覆部材5の側面5aまでの最短の距離よりも長くなるように設けられているが、図1のように、一括被覆部材5の側面5aに臨む空隙部54の側面54aは、その側面54aから一括被覆部材5の側面5aまでの距離が、撚線2の表面である外縁部2bから一括被覆部材5の側面5aまで最短の距離よりも短くなる位置に設けられているように空隙部4が形成されていてもよい。
【0049】
本実施の形態においては、図5に示すような空隙部54を有することにより、図2に示したような複合ケーブル1において、外部から一括被覆部材5の厚さ方向に位置する一側面の全体あるいは局所的に側圧が加わった場合の光ファイバ3aへの影響を防ぐ、すなわち光ファイバ3aの曲げによる伝送損失の発生を防ぐことができるという作用効果のみならず、テープ状光ファイバ3の周囲に空隙部54が形成されているため、特に複合ケーブル51が機器接続部へ取付けされる場合やケーブル敷設の際に曲げられた場合であっても、光ファイバ3aの伸びを緩和することができ、曲げ損失の増加を抑制することができるという効果が得られる。
【0050】
図6及び図7は、図5に示す複合ケーブル51の変形例を示す断面図である。
【0051】
図5に示す本発明の第2の実施の形態に係る複合ケーブル51おいては、テープ状光ファイバ3を内包してテープ状光ファイバ3の周囲に形成される空隙部54が略長方形の矩形断面を持つ構成であったが、例えば図6あるいは図7に示すように、一括被覆部材5の厚さ方向(図6、図7で断面視上下方向)に位置する側面5aに臨む面(空隙部54の厚さ方向に位置する側面)が曲線状、半円状、あるいは半楕円形状などの形状に湾曲している断面を有する空隙部64、74であってもよい。
【0052】
図6に示すように、空隙部64の断面が、一括被覆部材5の側面5aに臨む面を一括被覆部材5の側面に向かって張り出す(湾曲する)ような曲線状とすることにより、特に複合ケーブル61に局所的な側圧が作用した場合、この局所的な側圧が拡散、吸収される作用をより効果的に得ることができるため、局所的な側圧による影響を受けにくくする効果がより効果的に得られる。また、図7に示すように、空隙部74の断面が、一括被覆部材5の側面5aに臨む面を一括被覆部材5の側面5aに向かって張り出す半円形状、あるいは半楕円形状とすることによっても、図6に示す複合ケーブル61と同様の効果が期待できる。
【0053】
図8は、図5に示す複合ケーブル51の変形例を示す断面図である。
【0054】
図8に示す複合ケーブル81は、図5に示す複合ケーブル51において、一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面5aに、凹状の溝からなる凹部8が形成されたものである。凹部8は、一括被覆部材5の側面5aの少なくとも一方に形成されていることが好ましい。
【0055】
また、凹部8は、その底面が一括被覆部材5の側面5aにおける空隙部54の厚さ方向に位置する側面54aに臨む位置、すなわちテープ状光ファイバ3に臨む位置に形成されることが好ましい。
【0056】
このように、凹部8が一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面に形成されていることにより、複合ケーブル81の外観を目視しただけでテープ状光ファイバ3の位置を特定することができる。また、複合ケーブル81において、一括被覆部材5の側面5aに厚さ方向(図8で断面視上下方向)から側圧が作用した場合に、該側圧によって光ファイバ3aが曲げなどの影響を受けて、曲げによる伝送損失が発生してしまうのを防止することができ、空隙部54の作用との相乗効果により、側圧に起因する伝送損失の増加をより効果的に抑制することが可能となる。
【0057】
なお、図8に示す複合ケーブル81においては、略長方形の矩形断面を有する空隙部54と凹部8とを組み合わせたが、これに限られるものではなく、例えば図6、図7に示す複合ケーブル61、71における一括被覆部材5の側面5aの少なくとも一方に、凹部8を形成したものであってもよい。
【0058】
図9は、図8に示す複合ケーブル81の変形例を示す断面図である。
【0059】
図9に示す複合ケーブル91は、図8に示す複合ケーブル81において、撚線2とテープ状光ファイバ3とをそれぞれ複数配置させたものである。撚線2、及びテープ状光ファイバ3の配置については、例えば図9に示すように、2つのテープ状光ファイバ3を一括被覆部材5の幅方向に並列に配置させ、さらにこれと同様に配置させた2つのテープ状光ファイバ3を一括被覆部材5の厚さ方向に積層させてなるテープ状光ファイバ群と、2つの撚線2を一括被覆部材5の幅方向に並列させて配置させてなる撚線群とを、一括被覆部材5の幅方向に並列させたものが挙げられるが、これに限定されるものではなく、敷設される場所、用途等に応じて撚線2、及びテープ状光ファイバ3の本数、配置位置等は適宜変更することができる。
【0060】
また、図9に示す複合ケーブル91では、図8に示すような一括被覆部材5の厚さ方向に位置する側面5aに凹部8が形成されているが、例えば、図5に示す複合ケーブル51のような凹部8が形成されていない構成であってもよい。
【0061】
なお、ここでは図8に示すような第2の実施の形態に係る複合ケーブルにおいて、撚線2とテープ状光ファイバ3とをそれぞれ複数配置させたが、例えば、図1〜図4に示すような第1の実施の形態に係る複合ケーブルにおいても、撚線2とテープ状光ファイバ3とをそれぞれ複数配置させることもできる。
【0062】
このように、本発明の各実施の形態においては、テープ状光ファイバ3と撚線2をそれぞれ複数配置する構成をとることも可能である。
【0063】
図10、図11は、図8に示す複合ケーブル81の変形例を示す断面図である。
【0064】
図10に示す複合ケーブル101は、図8に示す複合ケーブル81において、空隙部54の内部にケブラーなどからなる緩衝材9を備えたものである。
【0065】
空隙部54の内部に緩衝材9が備えられることにより、図2で示したような複合ケーブル101の外部からの局所的な側圧を含む側圧によって光ファイバ3aに曲げが加わってしまうのを防止することができるという作用効果に加えて、特に複合ケーブル101の機器接続部への取付けや、ケーブル敷設の際に複合ケーブル101に曲げが加わっても、緩衝材9により光ファイバ3aに作用する応力が緩和されるため、曲げ損失の増加をより効果的に抑制することができる。なお、緩衝材9としてはケブラーに限定されることなく、同等の作用効果を奏する材料を適宜選択することが出来る。
【0066】
また、図11に示すように、空隙部54の内部にケブラーなどからなる緩衝材9を備えた複合ケーブル101において、撚線2とテープ状光ファイバ3とをそれぞれ複数配置させた構造の複合ケーブル111としてもよい。
【0067】
なお、図10、11に示す複合ケーブル101、111では、一括被覆部材5の側面5aに凹部8が形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図5に示す複合ケーブル51のように凹部8が形成されていなくてもよい。
【0068】
また、ここでは図8に示すような第2の実施の形態に係る複合ケーブルにおける空隙部の内部に緩衝材を備えた構成としたが、例えば、図1〜図4に示すような第1の実施の形態に係る複合ケーブルにおいても、空隙部の内部にケブラーなどからなる緩衝材を備えたものであってもよい。
【0069】
以上、本発明の各実施の形態を説明したが、上記に記載した各実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0070】
1…複合ケーブル、2…撚線、2a…絶縁心線、3…テープ状光ファイバ、3a…光ファイバ、4…空隙部、5…一括被覆部材、6…抑止体、7…被覆部材、8…凹部、9…緩衝材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体上に絶縁被覆を有する絶縁心線を複数本撚り合わせてなる撚線と、複数本の光ファイバを並列に配置させたテープ状光ファイバとが、一括被覆部材によって一括被覆されている複合ケーブルにおいて、
前記一括被覆部材は、該一括被覆部材の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面と前記テープ状光ファイバとの間に、空隙部が設けられていることを特徴とする複合ケーブル。
【請求項2】
前記空隙部は、前記テープ状光ファイバを内包するように該テープ状光ファイバの周囲に形成されている請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項3】
前記空隙部は、該空隙部の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面から前記一括被覆部材の厚さ方向に位置する側面までの距離が、前記撚線の表面から前記一括被覆部材の厚さ方向に位置する側面までの最短の距離よりも短くなるように設けられている請求項1又は2に記載の複合ケーブル。
【請求項4】
前記空隙部は、略長方形の矩形断面を有する請求項1〜3のいずれかに記載の複合ケーブル。
【請求項5】
前記空隙部は、該空隙部の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面が湾曲している断面を有する請求項1〜3のいずれかに記載の複合ケーブル。
【請求項6】
前記一括被覆部材の幅方向に並列に配置された前記撚線と前記テープ状光ファイバとの外側に、前記一括被覆部材の収縮、膨張を抑止させる抑止体が設けられている請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項7】
前記抑止体と前記一括被覆部材との間に、前記抑止体を前記一括被覆部材に密着させる被覆部材が設けられている請求項6に記載の複合ケーブル。
【請求項8】
前記空隙部は、該空隙部の内部に緩衝材が設けられている請求項1〜5のいずれかに記載の複合ケーブル。
【請求項9】
前記一括被覆部材は、該一括被覆部材の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面に、凹状の溝からなる凹部が形成されている請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項10】
前記凹部は、該凹部の底面が前記テープ状光ファイバに臨む位置に形成されている請求項9に記載の複合ケーブル。
【請求項11】
前記撚線および前記テープ状光ファイバは、複数配置されている請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項1】
導体上に絶縁被覆を有する絶縁心線を複数本撚り合わせてなる撚線と、複数本の光ファイバを並列に配置させたテープ状光ファイバとが、一括被覆部材によって一括被覆されている複合ケーブルにおいて、
前記一括被覆部材は、該一括被覆部材の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面と前記テープ状光ファイバとの間に、空隙部が設けられていることを特徴とする複合ケーブル。
【請求項2】
前記空隙部は、前記テープ状光ファイバを内包するように該テープ状光ファイバの周囲に形成されている請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項3】
前記空隙部は、該空隙部の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面から前記一括被覆部材の厚さ方向に位置する側面までの距離が、前記撚線の表面から前記一括被覆部材の厚さ方向に位置する側面までの最短の距離よりも短くなるように設けられている請求項1又は2に記載の複合ケーブル。
【請求項4】
前記空隙部は、略長方形の矩形断面を有する請求項1〜3のいずれかに記載の複合ケーブル。
【請求項5】
前記空隙部は、該空隙部の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面が湾曲している断面を有する請求項1〜3のいずれかに記載の複合ケーブル。
【請求項6】
前記一括被覆部材の幅方向に並列に配置された前記撚線と前記テープ状光ファイバとの外側に、前記一括被覆部材の収縮、膨張を抑止させる抑止体が設けられている請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項7】
前記抑止体と前記一括被覆部材との間に、前記抑止体を前記一括被覆部材に密着させる被覆部材が設けられている請求項6に記載の複合ケーブル。
【請求項8】
前記空隙部は、該空隙部の内部に緩衝材が設けられている請求項1〜5のいずれかに記載の複合ケーブル。
【請求項9】
前記一括被覆部材は、該一括被覆部材の厚さ方向に位置して対向する一対の側面の少なくとも一方の側面に、凹状の溝からなる凹部が形成されている請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項10】
前記凹部は、該凹部の底面が前記テープ状光ファイバに臨む位置に形成されている請求項9に記載の複合ケーブル。
【請求項11】
前記撚線および前記テープ状光ファイバは、複数配置されている請求項1に記載の複合ケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−267567(P2010−267567A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119594(P2009−119594)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
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