説明

複合トレイ分解/組立ユニット、複合トレイ洗浄装置、および複合トレイ分解/組立方法

【課題】複数の部材で構成される複合トレイを洗浄する複合トレイ洗浄装置を低コストで実現する複合トレイ分解/組立ユニットを提供する。
【解決手段】本発明は、載置面を有するトレイ部材61と仕切部材62とを少なくとも含む複合トレイ60を分解洗浄するための複合トレイ洗浄装置1に用いられる複合トレイ分解/組立ユニットに関する。複合トレイ分解/組立ユニットは、搬送面11に載置された複合トレイ60を所定の搬送方向Aに搬送するコンベア10によって搬送される複合トレイ60を、トレイ部材61と仕切部材62とに分解する分解装置20と、分解装置20によって分解されたトレイ部材61および仕切部材62を洗浄する洗浄装置30によって洗浄された仕切部材62を、トレイ部材61の載置面側に取り付けて、複合トレイ60を組み立てる組立装置とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部材で構成される複合トレイの分解および組立を行う複合トレイ分解/組立ユニットに関するものであり、より詳細には、使用済みの複合トレイを搬送しながら分解、洗浄および組立を行う複合トレイ洗浄装置に用いられる複合トレイ分解/組立ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工業的にプリン等を製造する方法として、容器に充填された卵成分を含む原料液を焼成、或いは蒸して加熱凝固させる方法が知られている。具体的には、卵成分およびその他の原料を卵成分の熱凝固温度以下で混合溶解して原料液を調製し、当該原料液を容器に充填して、オーブンまたは蒸煮器を用いて加熱凝固させることでプリン等を製造している。
【0003】
上述したようなプリン等の製造ラインでは、原料液を貯溜するための容器をトレイ上に複数載置して所定の位置に固定し、コンベアで搬送しながら充填装置を用いて容器に原料液を充填する。その後、原料液が充填された容器をトレイに載置したまま、焼成、或いは蒸して加熱凝固させることが一般的である。
【0004】
このため、プリン等の製造ラインでは、通常、複数の容器を載置する平板状のトレイ部材と、当該容器を所定の位置に固定する仕切部材とを備えたツーピース構造の金属製複合トレイが用いられる。ここで、使用後の複合トレイには、加熱された原材料が塊状または膜状の付着物として付着しており、当該付着物を洗浄・除去する必要がある。特に、衛生面の観点からは、使用するごとに複合トレイを洗浄して付着物を除去することが好ましい。このため、使用後の複合トレイをより効率的に洗浄する技術の開発が望まれている。
【0005】
このような技術に関連して、例えば、特許文献1および特許文献2には、飲食店などで使用される把手部が形成された平板状の単一の部材から構成されるワンピース構造のトレイを自動で洗浄するトレイ自動洗浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−275920号公報(2001年1月9日公開)
【特許文献2】実用新案登録第3064906号公報(1999年10月6日登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように、通常、プリン等の製造ラインなどではツーピース構造の複合トレイが用いられるため、従来のようなワンピース構造のトレイを洗浄するためのトレイ自動洗浄装置を適用した場合、十分な洗浄効果を得ることができないという課題を有している。すなわち、ツーピース構造の複合トレイの場合、十分な洗浄効果を得るためには、複合トレイを分解して、トレイ部材と仕切部材とを個別に洗浄する必要がある。
【0008】
このため、ツーピース構造の複合トレイを分解した後、トレイ部材と仕切部材とを別々の洗浄装置を用いて洗浄することが考えられる。しかしながら、この場合、複合トレイを分解し、洗浄後に組み立てる作業が別途必要となり、作業効率が低下する。また、トレイ部材および仕切部材ごとに洗浄装置が必要となるため、設備コストが増大してしまう。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数の部材で構成される複合トレイを、効率的に洗浄可能な複合トレイ洗浄装置を低コストに実現するための複合トレイ分解/組立ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットは、上記課題を解決するために、外縁に側壁が形成された載置面を有するトレイ部材と、上記載置面側に取り付けられ、所定の載置物を保持する保持部材とを少なくとも含む複合トレイを分解洗浄するための複合トレイ分解/組立ユニットであって、上記複合トレイを載置する搬送面を有し、当該搬送面に載置された上記複合トレイを所定の搬送方向に搬送する搬送手段によって搬送される上記複合トレイを、上記トレイ部材と上記保持部材とに分解して、上記搬送面に載置する分解手段と、上記分解手段によって分解された上記トレイ部材および上記保持部材を、上記搬送面に載置した状態で洗浄する洗浄手段によって洗浄された上記保持部材を、上記トレイ部材の上記載置面側に取り付けて、上記複合トレイを組み立てる組立手段とを備えることを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る複合トレイ分解/組立方法は、上記課題を解決するために、外縁に側壁が形成された載置面を有するトレイ部材と、上記載置面側に取り付けられ、所定の載置物を保持する保持部材とを少なくとも含む複合トレイを分解洗浄するための複合トレイ分解/組立方法であって、上記複合トレイを載置する搬送面を有し、当該搬送面に載置された上記複合トレイを所定の搬送方向に搬送する搬送手段によって搬送される上記複合トレイを、上記トレイ部材と上記保持部材とに分解して、上記搬送面に載置する分解ステップと、上記分解ステップにて分解された上記トレイ部材および上記保持部材を、上記搬送面に載置した状態で洗浄する洗浄手段によって洗浄された上記保持部材を、上記トレイ部材の上記載置面側に取り付けて、上記複合トレイを組み立てる組立ステップとを有することを特徴としている。
【0012】
上記発明によれば、搬送手段の搬送面に載置されて所定の搬送方向に搬送される複合トレイを、分解手段によってトレイ部材と保持部材とに分解する。そして、分解手段によって分解されたトレイ部材および保持部材を搬送面に載置した状態で洗浄した後、組立手段によってトレイ部材の載置面側に保持部材を取り付けることにより、複合トレイを組み立てる構成である。
【0013】
このように、上記発明は、分解手段によって分解されたトレイ部材および保持部材を搬送手段の搬送面に並べて載置し、それぞれを洗浄する構成である。このため、上記発明によれば、トレイ部材および保持部材ごとに洗浄装置を用いる必要がないので、設備コストを低減することができる。
【0014】
また、上記発明は、複合トレイの分解、洗浄および組立までを自動で行う構成である。このため、上記発明によれば、複合トレイを分解し、洗浄後に組み立てるという作業が不要となるので、作業効率を向上させることができる。
【0015】
したがって、上記発明によれば、複数の部材で構成される複合トレイを、効率的に洗浄可能な複合トレイ洗浄装置を低コストで実現するための複合トレイ分解/組立ユニットを提供することができる。
【0016】
また、本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットでは、上記分解手段は、分解した上記トレイ部材および上記保持部材を、交互に上記搬送面に載置することが好ましい。
【0017】
上記発明によれば、分解手段は、複合トレイごとに、分解したトレイ部材および保持部材を、交互に搬送面に載置する構成である。
【0018】
これにより、各複合トレイに含まれるトレイ部材および保持部材の組み合わせを維持したまま分解して、搬送することができる。したがって、トレイ部材と保持部材とが適切な関係で分解され、洗浄手段に送り込まれているか否かを確認する人員を削減することができ、低コストな製造ラインを実現することができる。
【0019】
また、本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットでは、上記組立手段は、交互に搬送される上記トレイ部材および上記保持部材ごとに、順次、上記複合トレイを組み立てることが好ましい。
【0020】
上記発明によれば、組立手段は、交互に搬送されるトレイ部材および保持部材ごとに、順次、複合トレイを組み立てる構成である。
【0021】
これにより、各複合トレイに含まれるトレイ部材および保持部材の組み合わせを、洗浄前後において一致させることが可能となる。したがって、トレイ部材と保持部材とが適切な関係で組み立てられているか否かを確認する人員を削減することができ、低コストな製造ラインを実現することができる。
【0022】
また、本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットでは、上記分解手段または上記組立手段は、上記保持部材に形成された開口部に掛止するフック部材を備え、上記フック部材は、上記保持部材に応じて交換可能であることが好ましい。
【0023】
上記発明によれば、保持部材に応じてフック部材は交換可能な構成であるため、フック部材を交換するのみで、異なる形状の保持部材を掛止することが可能である。
【0024】
これにより、多様な複合トレイの分解/組立に適用可能な複合トレイ分解/組立ユニットを実現することができる。
【0025】
また、本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットでは、上記分解手段は、上記トレイ部材に対して、上記搬送方向の上流側または下流側に上記保持部材を載置することが好ましい。
【0026】
上記発明によれば、分解手段は、トレイ部材に対して、搬送方向の上流側または下流側に取り外した保持部材を載置する構成である。このため、分解手段によって分解されたトレイ部材および保持部材は、搬送方向に沿って搬送面に載置されるので、トレイ部材および保持部材が搬送手段において載置される方向と、搬送方向とを一致させることができる。
【0027】
これにより、搬送手段の搬送面の幅は、トレイ部材と保持部材の幅だけ確保すればよいこととなり、不必要に幅の広い搬送手段を用いる必要はない。したがって、装置の小型化、および製造コストの低減を実現することができる。
【0028】
本発明に係る複合トレイ洗浄装置は、上記課題を解決するために、上記複合トレイ分解/組立ユニットと、上記搬送手段と、上記洗浄手段とを備えることを特徴としている。
【0029】
上記発明によれば、複数の部材で構成される複合トレイを、効率的に洗浄可能な複合トレイ洗浄装置を低コストで実現することができる。
【0030】
また、本発明に係る複合トレイ洗浄装置では、上記洗浄手段は、上記トレイ部材および上記保持部材を超音波によって洗浄する超音波洗浄部と、上記超音波洗浄部によって洗浄された上記トレイ部材および上記保持部材に付着した付着物を洗い流す噴水部とを備えることが好ましい。
【0031】
上記発明によれば、洗浄手段は、超音波洗浄部において、トレイ部材および上記保持部材を超音波によって洗浄した後、噴水部においてトレイ部材および保持部材に付着した付着物を洗い流す構成である。
【0032】
これにより、トレイ部材および保持部材に付着した付着物を効果的に洗浄・除去することが可能となるため、十分な洗浄効果を得ることができる。
【0033】
また、本発明に係る複合トレイ洗浄装置では、上記超音波洗浄部は、上記トレイ部材および上記保持部材を洗浄するための洗浄液を貯溜する洗浄槽を備えるとともに、上記噴水部から噴出された洗浄液を、上記洗浄槽に貯溜することが好ましい。
【0034】
上記発明によれば、超音波洗浄部は、噴水部から噴出された洗浄液を、洗浄槽に貯溜する構成である。このため、噴水部から噴水された洗浄液を、超音波洗浄にも流用することができる。
【0035】
これにより、洗浄手段で使用される洗浄液の量を低減することができるため、複合トレイの洗浄に要するコストを削減することができる。また、洗浄槽に対して洗浄液を供給するための手段を噴水部以外に別途設ける必要がなく、洗浄手段の構成を簡素なものとし、洗浄手段の小型化を実現することもできる。
【0036】
また、本発明に係る複合トレイ洗浄装置では、複合トレイに載置される載置物は、所定の内容物を貯溜するための容器であり、上記搬送手段の下流側の端部は、当該載置された容器に上記内容物を充填する充填ラインと連結されることが好ましい。
【0037】
上記発明によれば、搬送手段の下流側の端部は、載置された当該容器に内容物を充填する充填ラインに連結される構成である。このため、複合トレイ洗浄装置を、製造ラインに組み込むことができる。
【0038】
これにより、洗浄後の複合トレイは、直ちに製造ラインに搬送されるため、製造効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットは、外縁に側壁が形成された載置面を有するトレイ部材と、上記載置面側に取り付けられ、所定の載置物を保持する保持部材とを少なくとも含む複合トレイを分解洗浄するための複合トレイ分解/組立ユニットであって、上記複合トレイを載置する搬送面を有し、当該搬送面に載置された上記複合トレイを所定の搬送方向に搬送する搬送手段によって搬送される上記複合トレイを、上記トレイ部材と上記保持部材とに分解して、上記搬送面に載置する分解手段と、上記分解手段によって分解された上記トレイ部材および上記保持部材を、上記搬送面に載置した状態で洗浄する洗浄手段によって洗浄された上記保持部材を、上記トレイ部材の上記載置面側に取り付けて、上記複合トレイを組み立てる組立手段とを備えている。
【0040】
また、本発明に係る複合トレイ分解/組立方法は、外縁に側壁が形成された載置面を有するトレイ部材と、上記載置面側に取り付けられ、所定の載置物を保持する保持部材とを少なくとも含む複合トレイを分解洗浄するための複合トレイ分解/組立方法であって、上記複合トレイを載置する搬送面を有し、当該搬送面に載置された上記複合トレイを所定の搬送方向に搬送する搬送手段によって搬送される上記複合トレイを、上記トレイ部材と上記保持部材とに分解して、上記搬送面に載置する分解ステップと、上記分解ステップにて分解された上記トレイ部材および上記保持部材を、上記搬送面に載置した状態で洗浄する洗浄手段によって洗浄された上記保持部材を、上記トレイ部材の上記載置面側に取り付けて、上記複合トレイを組み立てる組立ステップとを有している。
【0041】
それゆえ、複数の部材で構成される複合トレイを、効率的に洗浄可能な複合トレイ洗浄装置を低コストで実現するための複合トレイ分解/組立ユニットを提供するができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットを備えるトレイ洗浄装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】図1に示されるトレイ洗浄装置が洗浄する、複数の部材で構成される複合トレイの構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示される分解装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】図1に示される組立装置の概略構成を示す断面図である。
【図5】図1に示される複合トレイ洗浄装置を用いた複合トレイ洗浄方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図5に示されるS2における処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図5に示されるS5における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットの一実施形態について、図1から図7に基づいて説明すると、以下のとおりである。本実施形態では、本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットを備えた複合トレイ洗浄装置について説明する。
〔複合トレイ洗浄装置の構成〕
図1は、本実施形態に係る複合トレイ洗浄装置1の全体構成を示す断面図であり、図2は、図1に示される複合トレイ洗浄装置1が洗浄する、複数の部材で構成される複合トレイ60の構成を示す斜視図である。
【0044】
図2に示される複合トレイ60は、所定の内容物を貯溜するための容器(載置物)を複数載置して、当該容器を所定の位置に固定するものである。容器に貯溜される内容物としては、例えば、プリンなどの飲食物の原料液、または医薬品など各種のものがあり、液体または固体を問わない。
【0045】
図2に示されるように、複合トレイ60は、トレイ部材61および仕切部材(保持部材)62から構成されている。なお、図2では、工業的なプリンの製造ラインで使用されるツーピース構造の複合トレイ60を例示的に示している。
【0046】
トレイ部材61は、外縁に側壁64が形成された載置面63を有する筐体部材であり、載置面63に複数の容器を載置するものである。載置面63には、複数の貫通孔63aがマトリクス状に形成されており、これにより、後述する洗浄装置30における洗浄効果を向上させることができる。なお、本実施形態では、トレイ部材61の載置面63の形状を四角形としているが、本発明はこれに限定されない。載置面63の形状は、円形、または四角形以外の多角形など、載置物の種類に応じて適宜変更可能である。
【0047】
仕切部材62は、トレイ部材61の載置面63側に取り付けられて、載置面63に載置された容器を所定の位置に保持するものである。仕切部材62は、載置面63と略平行に設けられ、側壁64の内面に当接する保持板65を有している。保持板65には、複数の開口部65aが形成されており、開口部65aの内周面で載置面63に載置された容器の側面を保持する構成である。このため、開口部65aの形状は、保持する容器の形状、および数に応じて適宜選択される。
【0048】
また、トレイ部材61の載置面63と対向する保持板65の面には、対向する2つの辺に沿って支持部材66が設けられている。保持板65は、支持部材66によってトレイ部材61の側壁64の高さに、載置面63と略平行に支持される。
【0049】
図1に示される複合トレイ洗浄装置1は、上述したような複数の部材で構成された複合トレイ60を、所定の搬送方向に搬送しながら分解、洗浄および組立を行うものである。
【0050】
図1に示されるように、本実施形態に係る複合トレイ洗浄装置1は、コンベア(搬送手段)10、分解装置(分解手段)20、洗浄装置(洗浄手段)30、乾燥装置40、および組立装置(組立手段)50を備えている。図中の矢印Aは、コンベア10が複合トレイ60を搬送する所定の搬送方向(以下、搬送方向Aと称する)を示している。複合トレイ洗浄装置1では、搬送方向Aの上流から下流の方向に向かって、分解装置20、洗浄装置30、乾燥装置40、および組立装置50の順で配置されている。
【0051】
コンベア10は、複合トレイ60を載置する搬送面11を有し、搬送面11に載置された複合トレイ60を搬送方向Aに搬送するものである。コンベア10の構成は、特に限定されず、ベルトコンベア、チェーンコンベアなどを好適に用いることができる。
【0052】
分解装置20は、コンベア10によって搬送される複合トレイ60を、トレイ部材61と仕切部材62とに分解して、搬送面11に載置するものである。分解装置20は、掛止した仕切部材62を垂直方向に移動させる分解ユニット21を備えている。分解ユニット21は、コンベア10によって搬送された複合トレイ60から仕切部材62を取り外し、取り外した仕切部材62を搬送面11に載置することによって、複合トレイ60をトレイ部材61と仕切部材62とに分解する。なお、分解装置20の詳細については後述する。
【0053】
洗浄装置30は、分解装置20によって分解されたトレイ部材61および仕切部材62を、搬送面11に載置された状態で洗浄するものである。本実施形態では、洗浄装置30は、搬送方向Aに搬送されるトレイ部材61および仕切部材62を、超音波を用いて洗浄する。このため、洗浄装置30は、所定の周波数(例えば、15kHz以上、400kHz以下)の超音波を発生する超音波発生器34を備える超音波洗浄部31、および超音波洗浄部31を通過したトレイ部材61および仕切部材62に対して噴水するシャワー部(噴水部)32を備えている。
【0054】
超音波洗浄部31は、超音波を用いてトレイ部材61および仕切部材62の表面に付着した付着物を溶解して除去するものである。超音波洗浄部31は、水または有機溶媒などの洗浄液Wで満たされた洗浄槽33、および洗浄槽33内に取り付けられた超音波発生器34を備えている。洗浄槽33には、搬送面11に載置されたトレイ部材61および仕切部材62が洗浄液Wに浸漬した状態で搬送方向Aに搬送されるように、コンベア10が洗浄液Wの液面下に配設されている。
【0055】
超音波発生器34は、搬送面11と対向する位置に取り付けられている。本実施形態では、超音波発生器34と、トレイ部材61および仕切部材62との間隔が約20mmになるように、超音波発生器34が搬送面11の上方に取り付けられている。これにより、超音波発生器34は、搬送方向Aに向かって搬送されるトレイ部材61および仕切部材62に対して、上方から超音波を照射することができるため、洗浄効果を向上させることができる。
【0056】
なお、超音波発生器34が発生する超音波は、溶解・除去する付着物の成分などに応じて適宜最適な周波数が選択される。例えば、付着物が焼成されたプリンの原料液である場合、超音波発生器34から周波数26kHzの超音波が発生されるように制御することが好ましい。これにより、トレイ部材61および仕切部材62に付着した付着物を効果的に溶解・除去することができる。
【0057】
シャワー部32は、超音波洗浄部31の下流側に配置されており、超音波洗浄後のトレイ部材61および仕切部材62に対して水(洗浄液)を噴出して、表面に残留した付着物を洗い流すものである。シャワー部32は、トレイ部材61および仕切部材62に対して所定の水圧で水を噴出するためのシャワーノズル35を少なくとも1つ備えている。ここで、超音波洗浄部31で除去しきれなかった付着物は、溶解された状態でトレイ部材61および仕切部材62の表面に残留している。このため、シャワーノズル35によって、トレイ部材61および仕切部材62に対して水を噴出することにより、付着物を洗い流して、効果的に除去することができる。
【0058】
また、洗浄装置30は、洗浄槽33内の洗浄液Wが所定の量を越えたとき、洗浄液Wの上澄みを排水するための図示しないオーバーフロー排水部を備えている。洗浄液Wの上澄みには、除去された付着物などが異物として浮遊しているため、オーバーフロー排水部によって洗浄液Wの上澄みを排水することにより、洗浄液Wを効率的に浄化することができる。これにより、超音波洗浄部31における洗浄効果を長期に亘って維持することができるため、洗浄液Wの入れ替えなど、超音波洗浄部31のメンテナンス性を向上させることができる。
【0059】
なお、洗浄装置30では、シャワーノズル35からトレイ部材61および仕切部材62に対して噴出された水が洗浄槽33に流入するように設計されている。これにより、シャワーノズル35から噴出された水を、洗浄槽33への補給水として流用することができるため、装置内で使用される水の量を低減することができる。また、洗浄槽33に対して水などの洗浄液Wを供給するための手段をシャワーノズル35以外に別途設ける必要がないため、洗浄装置30の構成を簡素なものとして、洗浄装置30の小型化を実現することができる。
【0060】
このように、本実施形態に係る洗浄装置30によれば、トレイ部材61および仕切部材62に付着した付着物を効果的に洗浄・除去することが可能であるため、十分な洗浄効果を得ることができる。
【0061】
乾燥装置40は、洗浄装置30によって洗浄されたトレイ部材61および仕切部材62を乾燥させるものである。乾燥装置40は、トレイ部材61および仕切部材62に対して所定の風圧でエアを噴射するエアブロー部41を少なくとも1つ備えている。エアブロー部41によって、トレイ部材61および仕切部材62に対してエアを噴射することにより、表面に付着した水滴を短時間で除去することができる。
【0062】
組立装置50は、搬送面11に載置された仕切部材62を、トレイ部材61の載置面63側に取り付けて、複合トレイ60を組み立てるものである。組立装置50は、掛止した仕切部材62を垂直方向および水平方向(搬送方向Aと平行な方向)に移動させる組立ユニット51を備えている。組立ユニット51は、コンベア10によって搬送された仕切部材62を吊持して、トレイ部材61の載置面63側に取り付けることにより、複合トレイ60を組み立てる。なお、組立装置50の詳細については後述する。
〔複合トレイ分解/組立ユニットの構成〕
次に、分解装置20および組立装置50の詳細について、図3および図4を参照して説明する。なお、分解装置20および組立装置50は、複合トレイ分解/組立ユニットを構成するものである。
【0063】
まず、分解装置20の詳細について、図3を参照して説明する。図3は、図1に示される分解装置20の概略構成を示す断面図である。図3に示されるように、分解装置20は、仕切部材62を吊持して垂直方向に移動可能に構成された分解ユニット21と、搬入ストッパ29Aと、分解位置ストッパ29Bとを備えている。なお、分解装置20が備える各部は、図示しない分解装置制御部によって、それぞれの動作が連動して制御されている。
【0064】
分解ユニット21は、分解装置20内部の所定の分解位置P1に搬送された複合トレイ60から仕切部材62を吊持して取り外し、仕切部材62を搬送面11に載置するものである。分解ユニット21は、一端が支持部23を介してフレーム22に固定されており、分解位置P1の上方に配置されている。分解ユニット21は、仕切部材62を掛止する仕切掛止部24、および仕切掛止部24を垂直方向に移動させる垂直移動機構25を備えている。
【0065】
仕切掛止部24は、仕切部材62に当接して掛止する1組のフック26と、フック26をそれぞれ水平方向に移動させてフック26の間隔を制御する1組のフック間隔制御部27と、およびフック間隔制御部27が固定されたベース28とを備えている。
【0066】
フック26は、仕切部材62と当接する側の端部である下端部に掛止部位26aが形成された断面略L字形状の部材である。フック26は、掛止部位26aが形成されていない側の面を互いに対向させて、水平方向(搬送方向A)に対向するようにそれぞれがフック間隔制御部27のシャフト27aの端部に取り付けられている。
【0067】
フック間隔制御部27は、シャフト27aの端部に取り付けられたフック26を互いに離間する方向、または互いに接合する方向に移動させて、フック26の間隔を制御するものである。フック間隔制御部27は、例えば、油圧式または空気圧式のアクチュエーターなどから構成することができ、各フック間隔制御部27を連動して制御することによって、フック26の間隔を任意の幅に変化させることができる。
【0068】
ベース28は、フック間隔制御部27を固定する板状部材である。ベース28は、搬送面11と対向する側の面(下面)において1組のフック間隔制御部27を垂下しており、反対側の面(上面)が垂直移動機構25に連結されている。
【0069】
垂直移動機構25は、垂下した仕切掛止部24を垂直方向に移動させるものであり、垂直移動機構25は、例えば、吊り下げ型の油圧式または空気圧式のアクチュエーターなどから構成することができる。垂直移動機構25は、垂直シャフト25aの下端部で仕切掛止部24を垂下しており、垂直移動機構25を制御することによって、仕切掛止部24を垂直方向に任意に移動させることができる。
【0070】
このような構成の分解ユニット21によれば、1組のフック26を仕切部材62に形成された開口部65aにそれぞれ掛止させることが可能である。これにより、仕切部材62を少なくとも2点で掛止することができるため、仕切部材62を水平に安定して吊持することができる。
【0071】
搬入ストッパ29Aは、複合トレイ60の搬入を制御するものである。具体的には、分解装置20の内部に複合トレイ60(仕切部材62)が存在する場合、搬入ストッパ29Aは後続の複合トレイ60が分解装置20の内部に搬入されないように、搬入口手前で複合トレイ60を停止させる。一方、分解装置20の内部に複合トレイ60(仕切部材62)が存在しない場合、搬入ストッパ29Aを解除することにより、後続の複合トレイ60を分解装置20の内部に搬入させるように制御されている。
【0072】
分解位置ストッパ29Bは、分解装置20の内部に搬送された複合トレイ60を、分解ユニット21の下方の分解位置P1に停止させるものである。具体的には、分解位置ストッパ29Bは、複合トレイ60の仕切部材62に形成された開口部65aに、フック26が挿入可能となる分解位置P1で複合トレイ60を停止させる。
【0073】
次に、組立装置50の詳細について、図4を参照して説明する。図4は、図1に示される組立装置50の概略構成を示す断面図である。図4に示されるように、組立装置50は、仕切部材62を吊持して垂直方向および水平方向に移動可能に構成された組立ユニット51と、搬入ストッパ59Aと、掛止位置ストッパ59Bと、組立位置ストッパ59Cとを備えている。なお、組立装置50が備える各部は、図示しない組立装置制御部によって、それぞれの動作が連動して制御されている。
【0074】
組立ユニット51は、組立装置50内部の所定の掛止位置P2に搬送された仕切部材62を吊持して、掛止位置P2に対して搬送方向Aの下流側にある所定の組立位置P3に載置されたトレイ部材61の載置面63側に取り付けるものである。組立ユニット51は、支持部53a・53bを介してフレーム52に固定され、搬送面11の上方に配置されている。
【0075】
組立ユニット51は、仕切部材62を掛止する仕切掛止部24、および仕切掛止部24を垂直方向および水平方向に移動させる垂直/水平移動機構55を備えている。なお、組立ユニット51が備える仕切掛止部24は、分解ユニット21が備える仕切掛止部24と同一の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0076】
垂直/水平移動機構55は、垂下した仕切掛止部24を垂直方向および水平方向に移動させるものである。垂直/水平移動機構55は、垂直シャフト55aの下端部で仕切掛止部24を垂下しており、垂直/水平移動機構55を制御することによって、仕切掛止部24を垂直方向に任意に移動させることができる。また、垂直/水平移動機構55は、搬送方向Aに沿って延在する水平シャフト55bを有しており、垂直/水平移動機構55を制御することによって、仕切掛止部24を水平方向に移動させることができる。これにより、掛止位置P2の上方から組立位置P3の上方まで、仕切掛止部24によって吊持した仕切部材62を移動させることができる。
【0077】
搬入ストッパ59Aは、複合トレイ60の搬入を制御するものである。具体的には、組立装置50の内部に複合トレイ60が存在する場合、搬入ストッパ59Aは後続のトレイ部材61および仕切部材62のペアが組立装置50の内部に搬入されないように、搬入口手前でトレイ部材61を停止させる。一方、組立装置50の内部に複合トレイ60が存在しない場合、搬入ストッパ59Aを解除することにより、後続のトレイ部材61および仕切部材62のペアを組立装置50の内部に搬入させるように制御されている。
【0078】
掛止位置ストッパ59Bは、組立装置50の内部に搬送された仕切部材62を、組立ユニット51の下方の掛止位置P2に停止させるものである。具体的には、掛止位置ストッパ59Bは、搬送面11に載置された仕切部材62に形成された開口部65aに、フック26が挿入可能となる掛止位置P2で複合トレイ60を停止させる。
【0079】
組立位置ストッパ59Cは、組立装置50の内部に搬送されたトレイ部材61を、組立位置P3で停止させるものである。具体的には、組立位置ストッパ59Cは、トレイ部材61の載置面63側に仕切部材62が載置されるまで組立位置P3で複合トレイ60を停止させる。
〔複合トレイ洗浄装置の処理〕
次に、本実施形態に係る複合トレイ洗浄装置1を用いた複合トレイ洗浄方法について、図5から図7を参照して説明する。
【0080】
図5は、本実施形態に係る複合トレイ洗浄装置1を用いた複合トレイ洗浄方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0081】
本実施形態に係る複合トレイ洗浄方法では、まず、洗浄する複合トレイ60をコンベア10の搬送面11に載置して、搬送方向Aに搬送する(S1)。このとき、載置面63と反対側の面を搬送面11に当接させた状態、すなわち、載置面63を上方に向けた状態で複合トレイ60を搬送面11に載置する。
【0082】
そして、複合トレイ60を分解装置20に搬入し、複合トレイ60をトレイ部材61と仕切部材62とに分解する(S2)。本実施形態では、分解ユニット21は、複合トレイ60から仕切部材62を吊持して取り外し、取り外した仕切部材62を搬送面11に載置することによって、複合トレイ60をトレイ部材61と仕切部材62とに分解する。なお、S2における処理の詳細については後述する。
【0083】
次に、S2にて分解したトレイ部材61および仕切部材62を洗浄装置30に搬入し、搬送面11に載置した状態で洗浄する(S3)。本実施形態では、超音波洗浄部31において、洗浄槽33内の洗浄液に浸漬させた状態でトレイ部材61および仕切部材62を搬送しながら、超音波発生器34によって超音波を上方から照射することにより、トレイ部材61および仕切部材62に付着した付着物を溶解・除去する。さらに、シャワー部32において、シャワーノズル35によってトレイ部材61および仕切部材62に対して所定の水圧で水を噴出することにより、表面に残留した付着物を洗い流して、効果的に除去する。
【0084】
次に、S3にて洗浄したトレイ部材61および仕切部材62を、乾燥装置40に搬入し、乾燥させる(S4)。本実施形態では、乾燥装置40において、エアブロー部41によって、トレイ部材61および仕切部材62に対して所定の風圧でエアを噴射することにより、表面に付着した水滴を短時間で除去する。
【0085】
次に、S4にて乾燥させたトレイ部材61および仕切部材62を、組立装置50に搬入して、複合トレイ60を組み立てる(S5)。本実施形態では、仕切部材62を吊持して、搬送方向Aの下流側に載置されたトレイ部材61の載置面63側に取り付けることにより、複合トレイ60を組み立てる。なお、S5における処理の詳細については後述する。
【0086】
次に、S2における処理の詳細について、図6を参照して説明する。図6は、図5に示されるS2における処理の流れを示すフローチャートである。図6に示されるように、S2は、S201からS213を有している。
【0087】
まず、分解装置20の各部を制御する分解装置制御部は、分解装置20の内部に複合トレイ60または仕切部材62が存在するか否かを判定する(S201)。例えば、分解装置制御部は、分解位置P1に存在する複合トレイ60または仕切部材62、或いは分解位置P1の上方に吊持された仕切部材62を光電センサなどによって検出することにより、分解装置20の内部に複合トレイ60または仕切部材62が存在するか否かを判定する。
【0088】
分解装置20の内部に複合トレイ60または仕切部材62が存在する場合(S201でYES)、分解装置制御部は、複合トレイ60または仕切部材62が次工程に搬送されるまでS201を実行する。一方、分解装置20の内部に複合トレイ60または仕切部材62が存在しない場合(S201でNO)、分解装置制御部は、搬入ストッパ29Aを解除して、複合トレイ60を搬入させる(S202)。
【0089】
次に、分解装置制御部は、所定の時間内に、複合トレイ60が分解位置P1に搬送されたか否かを判定する(S203)。例えば、分解装置制御部は、複合トレイ60が分解位置ストッパ29Bに接触したこと検出することにより、複合トレイ60が分解位置P1に搬送されたか否かを判定する。
【0090】
所定の時間内に、複合トレイ60が分解位置P1に搬送されない場合(S203でNO)、分解装置制御部は、分解装置20に動作エラーが発生したものと判断し、複合トレイ洗浄装置1を停止させる。そして、分解装置制御部は、分解装置20に動作エラーが発生したことをディスプレイなどに表示させてユーザに通知するエラー通知を行う。一方、所定の時間内に、複合トレイ60が分解位置P1に搬送された場合(S203でYES)、分解装置制御部は、分解ユニット21を制御して、フック26を降下させる(S204)。
【0091】
次に、分解装置制御部は、フック26が所定の位置まで降下したか否かを判定する(S205)。フック26が所定の位置まで降下しない場合(S205でNO)、分解装置制御部は、分解装置20に動作エラーが発生したものと判断する。すなわち、フック26が所定の位置まで降下しない場合は、フック26と複合トレイ60との位置ずれなどにより、仕切部材62の開口部65aにフック26が正常に挿入できないことが想定される。このため、分解装置制御部は、複合トレイ洗浄装置1を停止させて、エラー通知を行う。一方、フック26が所定の位置まで降下した場合(S205でYES)、分解装置制御部は、開口部65aにフック26が正常に挿入されたと判断し、分解ユニット21を制御して、フック26を互いに離間する方向に移動させ、仕切部材62の開口部65aにフック26を掛止する(S206)。
【0092】
次に、分解装置制御部は、フック26が仕切部材62に正常に掛止されたか否かを判定する(S207)。例えば、分解装置制御部は、開口部65aの幅に対応した所定の間隔までフック26が離間したかを検出することにより、フック26が仕切部材62に正常に掛止されたか否かを判定する。
【0093】
フック26が仕切部材62に正常に掛止されない場合(S207でNO)、分解装置制御部は、分解装置20に動作エラーが発生したものと判断し、複合トレイ洗浄装置1を停止させて、エラー通知を行う。一方、フック26が仕切部材62に正常に掛止された場合(S207でYES)、分解装置制御部は、分解ユニット21を制御して、フック26を上昇させ、仕切部材62をトレイ部材61から取り外す(S208)。
【0094】
次に、分解装置制御部は、分解位置ストッパ29Bを解除することにより、トレイ部材61を分解位置P1から次工程へ搬送させる(S209)。
【0095】
次に、分解装置制御部は、トレイ部材61の搬送が完了したか否かを判定する(S210)。例えば、分解装置制御部は、光電センサなどによって分解位置P1上のトレイ部材61を検出することにより、トレイ部材61の搬送が完了したか否かを判定する。
【0096】
トレイ部材61の搬送が完了していない場合(S210でNO)、分解装置制御部は、トレイ部材61の搬送が完了するまで、S210を実行する。一方、トレイ部材61の次工程への搬送が完了した場合(S210でYES)、分解装置制御部は、分解ユニット21を制御して、フック26を降下させる(S211)。
【0097】
次に、分解装置制御部は、フック26が所定の位置まで降下したか否かを判定する(S212)。フック26が所定の位置まで降下しない場合(S212でNO)、分解装置制御部は、分解装置20に動作エラーが発生したものと判断する。すなわち、フック26が所定の位置まで降下しない場合は、分解位置P1に何らかの障害物が存在することなどが想定される。このため、分解装置制御部は、複合トレイ洗浄装置1を停止させて、エラー通知を行う。一方、フック26が所定の位置まで降下した場合(S212でYES)、分解装置制御部は、分解ユニット21を制御して、フック26を互いに接合する方向に移動させ、仕切部材62を搬送面11(分解位置P1)に載置する(S213)。
【0098】
このようにして、S2において、複合トレイ60を、トレイ部材61と仕切部材62とに分解することができる。また、本実施形態のように、仕切部材62を、トレイ部材61に対して搬送方向Aの上流側に載置することにより、搬送面11の幅を狭く構成することができるため、コンベア10の小型化、および製造コストの低減を実現することができる。
【0099】
次に、S5での処理の詳細について、図7を参照して説明する。図7は、図5に示されるS5の処理の流れを示すフローチャートである。図7に示されるように、S5は、S501からS515を有している。
【0100】
まず、組立装置50の各部を制御する組立装置制御部は、組立装置50の内部に複合トレイ60が存在するか否かを判定する(S501)。例えば、組立装置制御部は、組立位置P3に存在する複合トレイ60を光電センサなどによって検出することにより、組立装置50の内部に複合トレイ60が存在するか否かを判定する。
【0101】
組立装置50の内部に複合トレイ60が存在する場合(S501でYES)、組立装置制御部は、複合トレイ60が搬出されるまでS501を実行する。一方、組立装置50の内部に複合トレイ60が存在しない場合(S501でNO)、組立装置制御部は、搬入ストッパ59Aを解除して、先行するトレイ部材61、およびトレイ部材61から所定の距離をおいて搬送される仕切部材62を搬入させる(S502)。
【0102】
次に、組立装置制御部は、所定の時間内に、トレイ部材61が組立位置P3に搬送されたか否かを判定する(S503)。例えば、組立装置制御部は、トレイ部材61が組立位置ストッパ59Cに接触したことを検出することにより、トレイ部材61が組立位置P3に搬送されたか否かを判定する。
【0103】
所定の時間内に、トレイ部材61が組立位置P3に搬送されない場合(S503でNO)、組立装置制御部は、組立装置50に動作エラーが発生したものと判断し、複合トレイ洗浄装置1を停止させて、エラー通知を行う。一方、所定の時間内に、トレイ部材61が組立位置P3に搬送された場合(S503でYES)、組立装置制御部は、掛止位置ストッパ59Bを上昇させる(S504)。
【0104】
次に、組立装置制御部は、所定の時間内に、仕切部材62が掛止位置P2に搬送されたか否かを判定する(S505)。例えば、組立装置制御部は、仕切部材62が掛止位置ストッパ59Bに接触したことを検出することにより、仕切部材62が掛止位置P2に搬送されたか否かを判定する。
【0105】
所定の時間内に、仕切部材62が掛止位置P2に搬送されない場合(S505でNO)、組立装置制御部は、組立装置50に動作エラーが発生したものと判断し、複合トレイ洗浄装置1を停止させて、エラー通知を行う。一方、所定の時間内に、仕切部材62が掛止位置P2に搬送された場合(S505でYES)、組立装置制御部は、組立ユニット51を制御して、フック26を降下させる(S506)。
【0106】
次に、組立装置制御部は、フック26が所定の位置まで降下したか否かを判定する(S507)。フック26が所定の位置まで降下しない場合(S507でNO)、組立制御部は、組立装置50に動作エラーが発生したものと判断する。すなわち、フック26が所定の位置まで降下しない場合は、フック26と仕切部材62との位置ずれなどにより、仕切部材62の開口部65aに、フック26が正常に挿入できないことが想定される。このため、組立装置制御部は、複合トレイ洗浄装置1を停止させて、エラー通知を行う。一方、フック26が所定の位置まで降下した場合(S507でYES)、組立装置制御部は、開口部65aにフック26が正常に挿入されたと判断し、組立ユニット51を制御して、フック26を互いに離間する方向に移動させ、仕切部材62の開口部65aにフック26を掛止する(S508)。
【0107】
次に、組立装置制御部は、フック26が仕切部材62に正常に掛止されたか否かを判定する(S509)。例えば、組立装置制御部は、開口部65aの幅に対応した所定の間隔までフック26が離間したかを検出することにより、フック26が仕切部材62に正常に掛止されたか否かを判定する。
【0108】
フック26が仕切部材62に正常に掛止されない場合(S509でNO)、組立装置制御部は、組立装置50に動作エラーが発生したものと判断し、複合トレイ洗浄装置1を停止させて、エラー通知を行う。一方、フック26が仕切部材62に正常に掛止された場合(S509でYES)、組立装置制御部は、組立ユニット51を制御して、フック26を上昇させ、仕切部材62を搬送面11から吊持する(S510)。
【0109】
次に、組立装置制御部は、組立ユニット51を制御して、仕切部材62を掛止位置P2の上方から組立位置P3の上方まで水平移動させる(S511)。具体的には、組立ユニット51は、水平シャフト55bに沿って仕切掛止部24を移動させることにより、仕切部材62を組立位置P3の上方まで水平移動させる。
【0110】
次に、組立装置制御部は、組立ユニット51を制御して、フック26を降下させる(S512)。
【0111】
次に、組立装置制御部は、フック26が所定の位置まで降下したか否かを判定する(S513)。フック26が所定の位置まで降下しない場合(S513でNO)、組立装置制御部は、組立装置50に動作エラーが発生したものと判断し、複合トレイ洗浄装置1を停止させて、エラー通知を行う。一方、フック26が所定の位置まで降下した場合(S513でYES)、組立装置制御部は、組立ユニット51を制御して、フック26を互いに接合する方向に移動させ、仕切部材62をトレイ部材61の載置面63側に取り付けて、複合トレイ60を組み立てる(S514)。
【0112】
最後に、組立装置制御部は、組立位置ストッパ59Cを解除して(S515)、組み立てた複合トレイ60を搬出する。
【0113】
このように、S5において、仕切部材62を先行するトレイ部材61の載置面63側に取り付けることにより、複合トレイ60を組み立てることができる。
【0114】
なお、コンベア10の下流側の端部を、複合トレイ60に容器を載置して、容器にプリンなどの原材料を充填する充填ラインに連結することで、複合トレイ洗浄装置1を製造ラインに組み込むことが可能である。これにより、洗浄後の複合トレイ60は、直ちに製造ラインに運ばれて使用されるため、製造効率を向上させることができる。
【0115】
以上のように、本実施形態に係る複合トレイ洗浄装置1は、分解装置20によって分解されたトレイ部材61および仕切部材62をコンベア10の搬送面11に並べて載置し、それぞれを洗浄装置30で洗浄する構成である。このため、本実施形態に係る複合トレイ洗浄装置1によれば、トレイ部材61および仕切部材62ごとに洗浄装置を用いる必要がなく一度に洗浄することができるので、設備コストを低減することができる。
【0116】
また、本実施形態に係る複合トレイ洗浄装置1は、複合トレイ60の分解、洗浄および組立までを一度に自動で行う構成である。このため、本実施形態に係る複合トレイ洗浄装置1によれば、複合トレイ60を分解し、洗浄後に組み立てるという作業が不要となるので、作業効率をさらに向上させることができる。
【0117】
さらに、本実施形態に係る複合トレイ洗浄装置1は、複合トレイ60ごとに分解して、各複合トレイ60を構成するトレイ部材61および仕切部材62を1組のペアとして搬送し、洗浄および組立までを行う構成である。このため、本実施形態に係る複合トレイ洗浄装置1によれば、各複合トレイ60を構成するトレイ部材61および仕切部材62の組み合わせを、洗浄前後において一致させることができる。これにより、使用年数などによる複合トレイ60の品質管理をまとめて容易に行うことができる。
【0118】
したがって、本実施形態によれば、複数の部材で構成される複合トレイ60を、効率的に洗浄可能な複合トレイ洗浄装置1を低コストで実現するための複合トレイ分解/組立ユニットを提供することができる。
【0119】
なお、本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットは、複数の部材で構成される複合トレイであれば種類を問わず適用可能である。また、ツーピース構造の複合トレイに限らず、3つ以上の部材から構成される複合トレイにも適用可能である。
【0120】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明に係る複合トレイ分解/組立ユニットは、複数の部材で構成される複合トレイを分解洗浄する装置に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 複合トレイ洗浄装置
10 コンベア(搬送手段)
11 搬送面
20 分解装置(分解手段)
21 分解ユニット
26 フック(フック部材)
30 洗浄装置(洗浄手段)
31 超音波洗浄部
32 シャワー部(噴水部)
33 洗浄槽
34 超音波発生器
40 乾燥装置
50 組立装置(組立手段)
51 組立ユニット
60 複合トレイ
61 トレイ部材
62 仕切部材(保持部材)
63 載置面
64 側壁
65a 開口部
A 搬送方向
W 洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外縁に側壁が形成された載置面を有するトレイ部材と、上記載置面側に取り付けられ、所定の載置物を保持する保持部材とを少なくとも含む複合トレイを分解洗浄するための複合トレイ分解/組立ユニットであって、
上記複合トレイを載置する搬送面を有し、当該搬送面に載置された上記複合トレイを所定の搬送方向に搬送する搬送手段によって搬送される上記複合トレイを、上記トレイ部材と上記保持部材とに分解して、上記搬送面に載置する分解手段と、
上記分解手段によって分解された上記トレイ部材および上記保持部材を、上記搬送面に載置した状態で洗浄する洗浄手段によって洗浄された上記保持部材を、上記トレイ部材の上記載置面側に取り付けて、上記複合トレイを組み立てる組立手段と、
を備えることを特徴とする複合トレイ分解/組立ユニット。
【請求項2】
上記分解手段は、分解した上記トレイ部材および上記保持部材を、交互に上記搬送面に載置することを特徴とする請求項1に記載の複合トレイ分解/組立ユニット。
【請求項3】
上記組立手段は、交互に搬送される上記トレイ部材および上記保持部材ごとに、順次、上記複合トレイを組み立てることを特徴とする請求項1または2に記載の複合トレイ分解/組立ユニット。
【請求項4】
上記分解手段または上記組立手段は、上記保持部材に形成された開口部に掛止するフック部材を備え、
上記フック部材は、上記保持部材に応じて交換可能であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の複合トレイ分解/組立ユニット。
【請求項5】
上記分解手段は、上記トレイ部材に対して、上記搬送方向の上流側または下流側に上記保持部材を載置することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の複合トレイ分解/組立ユニット。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の複合トレイ分解/組立ユニットと、上記搬送手段と、上記洗浄手段とを備えることを特徴とする複合トレイ洗浄装置。
【請求項7】
上記洗浄手段は、上記トレイ部材および上記保持部材を超音波によって洗浄する超音波洗浄部と、
上記超音波洗浄部によって洗浄された上記トレイ部材および上記保持部材に付着した付着物を洗い流す噴水部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の複合トレイ洗浄装置。
【請求項8】
上記超音波洗浄部は、上記トレイ部材および上記保持部材を洗浄するための洗浄液を貯溜する洗浄槽を備えるとともに、上記噴水部から噴出された洗浄液を、上記洗浄槽に貯溜することを特徴とする請求項7に記載の複合トレイ洗浄装置。
【請求項9】
上記載置物は、所定の内容物を貯溜するための容器であり、
上記搬送手段の下流側の端部は、上記載置面に上記容器を載置して、載置された当該容器に上記内容物を充填する充填ラインに連結されることを特徴とする請求項7または8に記載の複合トレイ洗浄装置。
【請求項10】
外縁に側壁が形成された載置面を有するトレイ部材と、上記載置面側に取り付けられ、所定の載置物を保持する保持部材とを少なくとも含む複合トレイを分解洗浄するための複合トレイ分解/組立方法であって、
上記複合トレイを載置する搬送面を有し、当該搬送面に載置された上記複合トレイを所定の搬送方向に搬送する搬送手段によって搬送される上記複合トレイを、上記トレイ部材と上記保持部材とに分解して、上記搬送面に載置する分解ステップと、
上記分解ステップにて分解された上記トレイ部材および上記保持部材を、上記搬送面に載置した状態で洗浄する洗浄手段によって洗浄された上記保持部材を、上記トレイ部材の上記載置面側に取り付けて、上記複合トレイを組み立てる組立ステップと、
を有することを特徴とする複合トレイ分解/組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−187521(P2012−187521A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53550(P2011−53550)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000178826)日本山村硝子株式会社 (140)
【Fターム(参考)】