説明

複合ポリマー繊維

複合ポリマー繊維が、ポリマー充填剤材料と、充填剤材料内に配置された複数のポリマー散乱繊維とを含む。充填剤材料および散乱繊維の少なくとも一方が、複屈折性材料から形成される。充填剤材料および散乱繊維の屈折率は、複合ポリマー繊維に第1の偏光状態で入射する光について実質的に整合させ、直交偏光状態で入射する光について整合させないことができる。散乱繊維は、複合繊維内にフォトニック結晶を形成するように配列することができる。複合繊維は、押出すことができ、ヤーン、織物などに形成することができる。充填剤材料が可溶性である場合、それをヤーンまたは織物から洗浄することができ、次に、散乱繊維に、その後硬化される樹脂を浸透させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー繊維に関し、特に、フォトニック結晶として形成された「海島(island in the sea)」ポリマー繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトニック結晶デバイスが、さまざまな構成における光を制御する可能性をもたらす。たとえば、フォトニック結晶繊維が、一連の長手方向の穴が、繊維に沿って伝播する光に閉じ込めを与える特定のパターンで配列されたガラス繊維を構成することによって、形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、フォトニック結晶デバイスは、まだ、市場にそれほど浸透していない。これの理由の1つは、フォトニック結晶繊維を製造する際の困難であり、これは、これらのデバイスを高価にする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、ポリマー充填剤材料と、充填剤材料内に配置された複数のポリマー散乱繊維とを含む複合ポリマー繊維に関する。散乱繊維は、複合ポリマー繊維の長手方向の軸に実質的に平行な長手方向の軸を有する。充填剤材料および散乱繊維の少なくとも一方が、複屈折性材料から形成され、充填剤材料および散乱繊維の屈折率は、複合ポリマー繊維に第1の偏光状態で入射する光について実質的に整合し、第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態で入射する光について実質的に整合しない。
【0005】
本発明の別の実施形態は、ポリマーマトリックスと、ポリマーマトリックス内に配置された複数のポリマー複合繊維とを含む光学体に関する。ポリマー複合繊維の少なくとも1つが、第1のポリマー材料の複数の散乱繊維を、第1のポリマー材料と異なる第2のポリマー材料の充填剤内に含む。ポリマー複合繊維は、ポリマーマトリックス内に実質的に平行に配列され、ポリマーマトリックス、第1のポリマー材料、および第2のポリマー材料の少なくとも1つが、複屈折性である。
【0006】
本発明の別の実施形態は、光学体を製造する方法に関する。この方法は、複合繊維を押出す工程であって、各複合繊維が、第2のポリマーから製造された充填剤内に分散された、第1のポリマーから製造された複数の散乱繊維を含み、第2のポリマーが可溶性である工程を含む。第1のポリマーを、第1のポリマーが複屈折性になるように配向する。配向された複合繊維を含むヤーンを形成し、次に、溶媒で洗浄して、第2のポリマーを除去する。ヤーンのアレイを形成し、ヤーンのアレイは好ましい配向を有する。ヤーンのアレイに樹脂を染み込ませ、樹脂を固める。
【0007】
本発明の別の実施形態は、光学体を製造する方法であって、複合繊維を押出す工程であって、各複合繊維が、第1のポリマーから製造された複数の散乱繊維を含む工程を含む方法に関する。散乱繊維は、第2のポリマーから製造された充填剤内に分散される。第1および第2のポリマーの少なくとも1つが配向可能である。複合繊維を、ともに配列し、溶融して、溶融光学体を形成する。
【0008】
本発明の上記概要は、本発明の各々の例示された実施形態またはあらゆる実装形態を説明することは意図されていない。次の図および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0009】
本発明は、添付の図面とともに、本発明のさまざまな実施形態の次の詳細な説明を考慮して、より完全に理解することができる。
【0010】
本発明は、さまざまな変更例および代替形態が可能であるが、その特定のものが、図面に例として示されており、詳細に説明される。しかし、本発明を、説明される特定の実施形態に限定することは意図されていないことが理解されるべきである。それどころか、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨および範囲内である変更例、均等物、および代替例をすべて包含することが意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、光学システムに適用でき、特に、偏光を制御し使用するシステムに適用できる。本発明は、主としてポリマー材料から製造されたデバイス内にフォトニック結晶構造を組入れることができる製品に関する。ポリマーの使用は、繊維を形成する、「海島」構造と呼ばれることがある、1つの特定のタイプのポリマー材料の「島」の、別のタイプのポリマー材料の「海」との配列を可能にする。さらに、ポリマーの使用は、形状および島の位置が綿密に制御される「海島」繊維の共押出を可能にする。「海島」繊維のそのような制御は、二次元フォトニック結晶構造の比較的安価な製造を可能にする。さらに、ポリマー材料の少なくとも1つが複屈折性である場合、繊維は入射光の偏光に敏感になる。多数の二次元フォトニック結晶構造を、ともに配列し、たとえば、マットで配列するかフィルム内に封入し、横断方向に照明することができ、入射光が、各繊維の回旋状(convoluted)挙動である大面積フォトニック結晶効果を生じる。
【0012】
本発明の繊維を使用するデバイスを、繊維の軸に沿ってではなく、横断方向に照明することができ、これは、フォトニック結晶デバイスと関連してしばしば考えられる制限の緩和をもたらすことができる。たとえば、フォトニック結晶繊維が、光を長手方向に案内するために使用される場合、繊維は、低損失光学材料から製造しなければならず、そうでなければ、光学処理量は低い。一方、フォトニック結晶繊維が横断方向に照明される場合、より高い損失の材料を使用することができ、というのは、経路長が比較的短いからである。
【0013】
多くの用途において、実質的な屈折率比、たとえば、1.0から2.6の比が、二次元フォトニックバンドギャップ効果を示すために必要とされる。しかし、波長範囲および入射角範囲が、より制限される場合、屈折率比の要件は、より厳しくなく、より小さい屈折率差を用いることができる。しかし、複屈折性ポリマー材料の使用は、屈折率コントラストが、1つの選択された偏光状態について、著しくより高いことを可能にし、たとえば、屈折率差は0.01〜0.4の範囲内であることができる。したがって、波長および入射角の比較的広い範囲にわたって、一方の偏光状態について、他方の偏光状態に著しく影響を及ぼすことなく、光学効果を見ることができる。
【0014】
本明細書で使用されるように、「正反射(specular reflection)」および「正反射(specular reflectance)」という用語は、反射角が入射角に等しい、本体からの光線の反射を指し、角度は、本体の表面に対する法線に対して測定される。換言すれば、光が特定の角度分布で本体に入射するとき、反射光は実質的に同じ角度分布を有する。「拡散反射(diffuse reflection)」または「拡散反射(diffuse reflectance)」という用語は、反射光のいくらかの角度が入射角に等しくない、光線の反射を指す。したがって、光が特定の角度分布で本体に入射するとき、反射光の角度分布は入射光の角度分布と異なる。「全反射(total reflectance)」または「全反射(total reflection)」という用語は、正反射および拡散の、すべての光の組合された反射を指す。
【0015】
同様に、「正透過(specular transmission)」および「正透過(specular transmittance)」という用語は、透過光の角度分布が入射光の角度分布と実質的に同じである、本体を通る光の透過に関して、本明細書で使用される。「拡散透過(diffuse transmission)」および「拡散透過(diffuse transmittance)」という用語は、透過光が、入射光の角度分布と異なる角度分布を有する、本体を通る光の透過を説明するために使用される。「全透過(total transmission)」または「全透過(total transmittance)」という用語は、正および拡散の、すべての光の組合された透過を指す。
【0016】
本発明の例示的な実施形態による光学素子100を通る破断図が、図1に概略的に示されている。光学素子100は、連続相とも呼ばれるポリマーマトリックス102を含む。ポリマーマトリックスは、光学的に等方性または光学的に複屈折性であることができる。たとえば、ポリマーマトリックスは、一軸または二軸複屈折性であることができ、ポリマーの屈折率が、1つの方向に沿って異なり、2つの直交する方向において同様であることができる(一軸)か、3つの直交する方向すべてにおいて異なることができる(二軸)ことを意味する。複合ポリマー繊維104がマトリックス102内に配置される。複合ポリマー繊維104は、少なくとも2つの材料を含む。
【0017】
ポリマー繊維104は、示されているように1つの繊維として、または多くの他の配列で、マトリックス102内に組織化することができる。いくつかの例示的な配列としては、ヤーン、ポリマーマトリックス内に1つの方向に配列されたトウ(繊維またはヤーンの)、織物、不織布、チョップドファイバー、チョップドファイバーマット(ランダムなまたは整ったフォーマットを有する)、またはこれらのフォーマットの組合せが挙げられる。チョップドファイバーマットまたは不織布は、繊維のランダムな配列を有するのではなく、不織布またはチョップドファイバーマット内の繊維のいくらかの整列をもたらすために、延伸するか、応力を加えるか、配向することができる。
【0018】
右手デカルト座標が図1に採用されており、繊維104はx軸にほぼ平行に位置決めされている。次の説明は、また、繊維の長手方向の軸がx軸に平行であることを想定するが、そのような指定が任意であり、あくまで本発明の説明を助けるためになされることが理解されるであろう。
【0019】
複合繊維200の1つの例示的な実施形態が、図2Aに断面で示されている。複合繊維200は、充填剤204内に含まれたいくつかの散乱繊維202を含む。いくつかの実施形態において、散乱繊維202または充填剤204の少なくとも一方が複屈折性である。たとえば、いくつかの例示的な実施形態において、散乱繊維202の少なくともいくつかが複屈折性材料から形成され、充填剤材料204は非複屈折性である。他の例示的な実施形態において、散乱繊維202は非複屈折性であり、充填剤材料204は複屈折性である。他の実施形態において、散乱繊維202および充填剤204の両方が複屈折性である。これらの異なる変更例において、散乱繊維202の材料と充填剤材料204との間の各界面は、複屈折性材料と別の材料との間の界面であり、すなわち、複屈折性界面であり、選択された偏光状態の光の優先的な反射および/または散乱に寄与することができる。これらの異なる実施形態の各々において、複合繊維が埋込まれたポリマーマトリックスは、光学的に等方性または複屈折性であることができる。
【0020】
いくつかの他の実施形態において、複合繊維200は、等方性充填剤材料204とともに等方性散乱繊維202から製造することができる。複合繊維200が埋込まれたマトリックスは、複屈折性であることができる。
【0021】
散乱繊維材料の、x、y、およびz方向の屈折率は、n1x、n1y、およびn1zと呼ぶことができ、充填剤材料の、x、y、およびz方向の屈折率は、n2x、n2y、およびn2zと呼ぶことができる。材料が等方性である場合、x、y、およびz屈折率は、すべて実質的に整合する。材料が複屈折性である場合、x、y、およびz屈折率の少なくとも1つが、他のものと異なる。一軸材料において、屈折率の2つが実質的に整合し、第3は異なる。二軸材料において、3つの屈折率がすべて異なる。
【0022】
各複合繊維200内に、散乱繊維202と充填剤204との間に、多数の界面がある。散乱繊維202と充填剤204との間の界面を形成する材料の少なくとも1つが複屈折性である場合、界面は複屈折性界面であると呼ぶことができる。たとえば、散乱繊維202および充填剤204が、界面屈折率において、それらのxおよびy屈折率を示し、n1x≠n1y、すなわち、散乱繊維材料が複屈折性である場合、界面は複屈折性である。
【0023】
複合繊維104は、図1にx軸として示された軸に略平行に配置される。x軸に平行に偏光された光の、複合繊維104内の複屈折性界面における屈折率差n1x−n2xは、y軸に平行に偏光された光の屈折率差n1y−n2yと異なることができる。したがって、1つの偏光状態について、複合繊維104内の複屈折性界面における屈折率差は比較的小さい。いくつかの例示的な場合において、屈折率差は、約0.05未満であることができるか、0.03未満、0.02未満、または0.01未満であることができる。この状態は、実質的に屈折率が整合したと考えられる。この偏光方向がx軸に平行である場合、x偏光が、本体100を通過し、反射または散乱がほとんどまたはまったくない。換言すれば、x偏光は、本体100を高度に透過される。
【0024】
一方、複合繊維104内の複屈折性界面における屈折率差は、直交偏光状態の光について、比較的高いことができる。いくつかの例示的な例において、屈折率差は、少なくとも約0.05であることができ、より大きい、たとえば0.1、または0.15であることができるか、0.2であることができる。この偏光方向がy軸に平行である場合、y偏光が、複屈折性界面において反射される。したがって、y偏光は本体100によって反射される。複合繊維104内の複屈折性界面が、互いに実質的に平行である場合、反射は本質的に正反射であることができる。一方、複合繊維104内の複屈折性界面が、互いに実質的に平行でない場合、反射は実質的に拡散であることができる。複屈折性界面のいくつかが平行であることができ、他の界面が非平行であることができ、これは、正成分および拡散成分の両方を含む反射光をもたらすことができる。また、複屈折性界面が湾曲しているか比較的小さいことができ、これは、拡散散乱をもたらすことができる。
【0025】
すぐ上で説明された例示的な実施形態は、y方向の比較的大きい屈折率差を伴うx方向の屈折率整合に関するが、他の例示的な実施形態が、x方向の比較的大きい屈折率差を伴うy方向の屈折率整合を含む。
【0026】
ポリマーマトリックス102は、実質的に光学的に等方性であることができ、たとえば、0.05未満、好ましくは0.01未満の複屈折n3x−n3yを有することができ、ここで、xおよびy方向の屈折率は、それぞれ、n3xおよびn3yである。他の実施形態において、ポリマーマトリックスは複屈折性であることができる。したがって、いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスと複合繊維材料のいずれかまたは両方との間の屈折率差は、異なる偏光について異なることができる。たとえば、x屈折率差n1x−n3xは、y屈折率差n1y−n3yと異なることができる。いくつかの実施形態において、これらの屈折率差の1つが、他方の屈折率差の少なくとも2倍も大きいことができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、屈折率差、複屈折性界面の広さおよび形状、ならびに散乱繊維の相対位置は、入射偏光の1つの、他方の偏光より大きい拡散散乱をもたらすことができる。そのような散乱は、主として後方散乱(拡散反射)前方散乱(拡散透過)または後方散乱および前方散乱の両方の組合せであることができる。
【0028】
ポリマーマトリックスおよび/または繊維での使用のための適切な材料としては、光波長の所望の範囲にわたって透明である熱可塑性および熱硬化性ポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態において、ポリマーが水に不溶性であることが特に有用である。さらに、適切なポリマー材料が、アモルファスまたは半結晶性であることができ、ホモポリマー、コポリマー、またはそれらのブレンドを含むことができる。ポリマー材料例としては、ポリ(カーボネート)(PC);シンジオタクチックおよびイソタクチックポリ(スチレン)(PS);C1−C8アルキルスチレン;ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびPMMAコポリマーを含む、アルキル、芳香族、および脂肪族環含有(メタ)アクリレート;エトキシ化およびプロポキシ化(メタ)アクリレート;多官能性(メタ)アクリレート;アクリレート化エポキシ;エポキシ;ならびに他のエチレン不飽和材料;環状オレフィンおよび環状オレフィンコポリマー;アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS);スチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN);エポキシ;ポリ(ビニルシクロヘキサン);PMMA/ポリ(フッ化ビニル)ブレンド;ポリ(フェニレンオキシド)合金;スチレンブロックコポリマー;ポリイミド;ポリスルホン;ポリ(塩化ビニル);ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリウレタン;不飽和ポリエステル;低複屈折ポリエチレンを含むポリ(エチレン);ポリ(プロピレン)(PP);ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)などのポリ(アルカンテレフタレート);ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)などのポリ(アルカンナフタレート);ポリアミド;イオノマー;酢酸ビニル/ポリエチレンコポリマー;セルロースアセテート;セルロースアセテートブチレート;フルオロポリマー;ポリ(スチレン)−ポリ(エチレン)コポリマー;ポリ(カーボネート)/脂肪族PETブレンド、ならびにポリオレフィンPETおよびPENを含むPETおよびPENコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。(メタ)アクリレートという用語は、対応するメタクリレート化合物またはアクリレート化合物であると定義する。シンジオタクチックPSを除いて、これらのポリマーは、光学的に等方性の形態で使用することができる。
【0029】
これらのポリマーのいくつかが、配向されると、複屈折性になることができる。特に、PET、PEN、およびそれらのコポリマー、ならびに液晶ポリマーが、配向されると、比較的大きい複屈折値を明示する。ポリマーを、押出および延伸を含む異なる方法を用いて配向することができる。延伸は、ポリマーを配向するための特に有用な方法であり、というのは、それは、高配向度を可能にし、温度および延伸比などの、いくつかの容易に制御可能な外部パラメータによって制御することができるからである。配向されたおよび配向されていない、いくつかの例示的なポリマーの屈折率が、下記表Iに提供される。
【0030】
【表1】

【0031】
PCTGおよびPETG(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)は、たとえば、テネシー州キングズポートのイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Co.,Kingsport,TN)からイースター(Eastar)(登録商標)ブランド名で入手可能なコポリエステルのタイプである。THVは、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)からブランド名ダイニオン(Dyneon)(登録商標)で入手可能な、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンのポリマーである。PS/PMMAコポリマーは、所望の屈折率値を達成するために、コポリマー中の成分モノマーの比を変化させることによって屈折率を「調整する」ことができるコポリマーの例である。「S.R.」と標記された列は延伸比を含む。1の延伸比が、材料が、延伸されていない、したがって配向されていないことを意味する。6の延伸比が、サンプルが、その元の長さの6倍に延伸されたことを意味する。正しい温度条件下で延伸される場合、ポリマー分子は配向され、材料は複屈折性になる。しかし、分子を配向することなく、材料をそのガラス温度Tgより高い温度で延伸することが可能である。「T」と標記された列は、サンプルが延伸された温度を示す。延伸されたサンプルは、シートとして延伸された。nx、ny、およびnzと標記された列は、材料の屈折率に言及する。nyおよびnzについて表に値が記載されていない場合、nyおよびnzの値はnxと同じである。
【0032】
繊維を延伸するときの屈折率の挙動は、シートを延伸する場合の結果と同様であるが必ずしも同じでない結果を与えることが予期される。ポリマー繊維を、所望の屈折率値を生じさせる任意の所望の値に延伸することができる。たとえば、いくつかのポリマー繊維が、少なくとも3の延伸比を生じさせるように延伸することができ、少なくとも6であることができる。いくつかの実施形態において、ポリマー繊維を、さらに、たとえば20までの延伸比に、またはさらに延伸することができる。
【0033】
複屈折を達成するための延伸のための適切な温度が、ケルビンで表現されたポリマー融点の約80%である。複屈折を、また、押出およびフィルム形成プロセスの間に生じるポリマー溶融物の流れによって誘起される応力によって誘起することができる。複屈折を、また、フィルム物品内の繊維などの隣接した表面との整列によって生じさせることができる。複屈折は正または負であることができる。正の複屈折は、直線偏光の電界軸の方向が、ポリマーの配向または整列表面に平行である場合に最高屈折率になる場合と定義する。負の複屈折は、直線偏光の電界軸の方向が、ポリマーの配向または整列表面に平行である場合に最低屈折率になる場合と定義する。正の複屈折性のポリマーの例としては、PENおよびPETが挙げられる。負の複屈折性のポリマーの例としては、シンジオタクチックポリスチレンが挙げられる。
【0034】
所望の特性を光学素子に与えるために、マトリックス102および/または複合繊維104に、さまざまな添加剤を提供することができる。たとえば、添加剤は、次のもの、すなわち、耐候剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、分散剤、潤滑剤、帯電防止剤、顔料または染料、造核剤、難燃剤、および発泡剤の1つ以上を含むことができる。ポリマーの屈折率を変更するか、材料の強度を増加させるための他の添加剤を提供することができる。そのような添加剤としては、たとえば、ポリマービーズもしくはポリマー粒子およびポリマーナノ粒子などの有機添加剤、または、ガラス、セラミック、もしくは金属酸化物ナノ粒子、または、粉砕物、粉末、ビーズ、フレーク、繊維、もしくは微粒子ガラス、セラミック、もしくはガラスセラミックなどの無機添加剤を挙げることができる。これらの添加剤の表面に、ポリマーに結合するための結合剤を提供することができる。たとえば、シランカップリング剤をガラス添加剤とともに使用して、ガラス添加剤をポリマーに結合することができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、マトリックス102または充填剤204が、不溶性、または少なくとも耐溶媒性であることが好ましいであろう。耐溶媒性である適切な材料の例としては、ポリプロピレン、PET、およびPENが挙げられる。他の実施形態において、マトリックス102または充填剤204が有機溶媒に可溶性であることが好ましいであろう。たとえば、ポリスチレンから形成されたマトリックス102または充填剤204が、アセトンなどの有機溶媒に可溶性である。他の実施形態において、マトリックスが水溶性であることが好ましいであろう。たとえば、ポリ酢酸ビニルから形成されたマトリックス102または充填剤204が、水に可溶性である。
【0036】
光学素子のいくつかの実施形態における材料の屈折率は、x方向に、繊維の長さに沿って変わることができる。たとえば、素子は、均一な延伸を受けないことがあるが、いくつかの領域内で、他の領域内でより大きい程度に延伸することができる。したがって、配向可能な材料の配向度は、素子に沿って均一でなく、したがって、複屈折は、素子に沿って空間的に変わることができる。
【0037】
さらに、マトリックス内に繊維を組入れることは、光学素子の機械的特性を向上させることができる。特に、ポリエステルなどのいくつかのポリマー材料が、繊維の形態で、フィルムの形態でより強く、したがって、繊維を含む光学素子が、繊維を含まない、同様の寸法のものより強いことができる。さらに、マトリックス材料および繊維材料の機械的特性の差によって、機械的特性向上を素子に与えることができる。
【0038】
ポリマー材料の異なる組合せを、散乱繊維、充填剤材料、およびポリマーマトリックスのために使用することができる。一例において、散乱繊維および充填剤材料を、両方、等方性材料から形成することができる。散乱繊維の屈折率n1は、充填剤材料の屈折率より大きいかまたはより小さいことができる。別の例において、散乱繊維は等方性であることができ、充填剤材料は、複屈折性、たとえばn2x≠n2yであることができる。そのような場合、散乱繊維の屈折率の値n1は、n2xおよびn2yの両方より低い、n2xおよびn2yのいずれかとほぼ同じ、n2xとn2yとの間、またはn2xおよびn2yの両方より高いことができる。また、n2xの値は、n2yの値より大きいことができるか、n2xの値は、n2yの値より小さいことができる。
【0039】
別の例において、充填剤材料は等方性であることができ、散乱繊維は、複屈折性、たとえばn1x≠n1yであることができる。そのような場合、充填剤材料の屈折率の値n2は、n1xおよびn1yの両方より低い、n1xおよびn1yのいずれかとほぼ同じ、n1xとn1yとの間、またはn1xおよびn1yの両方より高いことができる。また、n1xの値は、n1yの値より大きいことができるか、n1xの値は、n1yの値より小さいことができる。別の例において、充填剤材料および散乱繊維の両方が、複屈折性、たとえば、n1x≠n1yおよびn2x≠n2yであることができる。そのような場合、充填剤材料の屈折率の値n2xおよびn2yは、各々、n1xおよびn1yの両方より低い、n1xおよびn1yのいずれかとほぼ同じ、n1xとn1yとの間、またはn1xおよびn1yの両方より高いことができる。さらに、n1xの値は、n1yの値より大きいかまたはより小さいことができ、n2xの値は、n2yの値より大きいかまたはより小さいことができる。
【0040】
複合繊維は、多くの異なる方法で構成することができる。たとえば、複合繊維は、異なる断面形状を呈することができる。図2Aにおいて、複合繊維200は円形断面形状を有する。図2Bおよび図2Cの複合繊維210および220の他の例示的な実施形態は、それぞれ、楕円形および正方形断面形状を有する。他の断面形状、たとえば、規則的なおよび不規則な多角形形状、または湾曲した辺および直線の辺を組合せる断面形状を使用することができ、本発明を、図に示されたそれらの断面形状に限定することは意図されていない。
【0041】
複合繊維の直径または他の断面寸法は、少なくとも、2つ以上の散乱繊維を含むのに十分大きい。複合繊維の直径または他の断面寸法の上限はないが、繊維の製造性についての実際的な限界があるであろう。
【0042】
複合繊維に、任意に、外層206を設けることができる。外層206は、たとえば、複合繊維と複合繊維が埋込まれたポリマーマトリックスとの間の接着に影響を及ぼすために使用することができる。いくつかの実施形態において、外層206は、複合繊維とポリマーマトリックスとの間の接着を増加させる材料、たとえば、ポリエステル樹脂コーティング、シランコーティング、または、ポリマーマトリックスとポリマー繊維との間の接着を増加させるために使用される他のプライマーから形成することができる。他の実施形態において、外層206は、ポリマー繊維と周囲のポリマーマトリックスとの間の接着を低減する材料、たとえば、フルオロカーボン材料、シリコーン材料などから製造することができる。いくつかの実施形態において、外層206は、たとえば、充填剤204とポリマーマトリックスとの間のいくらかの屈折率整合をもたらすことによって、反射防止機能を提供するために使用することができる。
【0043】
散乱繊維202の位置は、たとえば、図2A〜2Cの例示的な実施形態に概略的に示されているように、複合繊維内でランダムであることができる。散乱繊維の他の配列を使用することができる。たとえば、散乱繊維202を、たとえば二次元フォトニック結晶構造として、複合繊維230内に規則的に配列することができる。図2Dに示された繊維230の例示的な実施形態は、y方向の隣接した散乱繊維202の間の分離距離dyが、z方向の分離距離dzと同じである二次元アレイで配列された散乱繊維202を示す。そのような複合繊維230に横方向に入射する光が、yおよびz方向に沿って入射する光の同様のスペクトル特徴を示す。
【0044】
図2Eに示された複合繊維240の例示的な実施形態において、散乱繊維202は、y方向の分離距離dyがz方向の分離dzと異なる二次元アレイで配列される。そのような複合繊維240に横方向に入射する光が、yおよびz方向に沿って入射する光の異なるスペクトル特徴を示す。特に、より大きいz分離は、最大反射の波長を、z方向に沿って入射する光について、y方向に沿って入射する光についてより長くする傾向がある。
【0045】
図2Dおよび図2Eの散乱繊維202は、矩形格子パターンにあり、これは、図2Dの正方形格子パターンを含むことが理解される。隣接した散乱繊維202の間の間隔は、たとえば、50nm〜500nmの範囲内であることができる。
【0046】
散乱繊維202の他の規則的な配列が可能である。たとえば、図2Fに断面で概略的に示された複合繊維250において、散乱繊維202は、y方向に沿って行にあり、隣接した行の繊維はy方向に互いにずれている。この特定の実施形態において、隣接した行の間のずれは、散乱繊維202が、正方形または矩形パターンではなく、六角形パターンで配列されるようなものである。透過および反射などのスペクトル特徴は、異なる方向に複合繊維250に横方向に入射する光について比較的均一である。
【0047】
図2Fの配列の変更例が、図2Gの複合繊維255について概略的に示されており、最も近い隣り合う散乱繊維202の間の分離は、一方の方向において、他方より大きく、この特定の場合、z方向において、y方向においてより大きい。スペクトル特徴は、複合繊維255に横方向に入射する光について、複合繊維250についてより均一でない。たとえば、z方向のより大きい間隔は、反射および透過スペクトルのスペクトル特徴を、より長い波長にシフトする傾向がある。
【0048】
他の例示的な実施形態において、散乱繊維202は他のパターンを形成することができる。たとえば、散乱繊維を、規則的なアレイ内の、いくつかの、しかしすべてではない位置を充填するように配列することができる。さらに、空間または間隙を、隣接した散乱繊維または散乱繊維のグループの間に導入することができる。そのようなグループまたは空間および間隙のサイズおよび分布は、特に望ましいスペクトル特徴を生じさせるように選択することができる。たとえば、散乱繊維のいくつかの配列が、特定の波長範囲内の光について、二次元フォトニック結晶として作用することができ、これは、スペクトル選択的な反射および/または透過をもたらすことができる。二次元フォトニック結晶構造は、色シフト効果を示すことができ、反射および/または透過スペクトルは、光が複合繊維に入射する角度に依存する。複合繊維のさまざまな領域のサイズ、分布、および屈折率を制御することによって、色シフト特性を制御することができる。さらに、複合繊維が、入射角の関数としての色シフト特性のさらなる制御を可能にする。たとえば、色シフトを、入射光の極角と非常に異なる方法で、入射光の方位角に依存するようにすることができる。
【0049】
先のフォトニック結晶繊維(PCF)の研究は、光を繊維に沿って案内するための、たとえばガラス繊維などの繊維のコアを囲む、長手方向の穴などの散乱部位の周期的な配列の使用に集中している。繊維コア内の光の閉じ込めは、繊維内の穴の特定の配列から生じるフォトニックバンドギャップによる。繊維内の穴の配列の非対称が、繊維が、偏光依存導波特性を示すことを可能にする。しかし、これらの偏光依存特性が、繊維に使用される材料の複屈折によって生じないことに留意することが重要である。
【0050】
本明細書に開示されたタイプの複合繊維、および複合繊維から形成することができる光学素子のタイプは、そのようなPCF研究に使用されるガラス繊維と著しく異なる。第1に、複合繊維は散乱繊維を含み、ガラスPCFは散乱部位としての穴を有する。さらに、いくつかの実施形態において、複合繊維の材料は少なくとも1つの複屈折性材料を含み、先のPCFは等方性材料のみを含有する。
【0051】
また、いくつかの実施形態において、複合繊維の断面にわたる散乱繊維の密度は、比較的均一であることができ、散乱繊維は、実質的に複合繊維の断面全体にわたって位置決めされる。散乱繊維の総断面積は、複合繊維の断面積の約1%〜95%、好ましくは10%〜90%、より好ましくは10%〜50%を構成することができる。充填比は、複合繊維にわたって均一である必要はない。しかし、先のPCFの散乱部位は、典型的には、繊維の中心コアの周りに集中され、コアを囲む大きい面積が散乱部位がない。したがって、散乱部位の断面積は、先のPCFの総断面積の小さい割合を占める。
【0052】
複合繊維内の散乱繊維の特定の配列は、複合繊維を使用する光学素子の反射および透過に対する特定のスペクトル応答を提供するように、既知の方法を用いて選択することができる。
【0053】
可能な散乱繊維配列の網羅的でない選択を示す複合繊維の付加的な例示的な実施形態をここで説明する。図2Hに概略的に示された複合繊維260の例示的な実施形態において、いくつかの散乱繊維202が、繊維260の中心の周りの領域内に規則的に配列されるが、繊維260の中心部分は散乱繊維がない。図2Iに概略的に示された複合繊維265の別の例において、散乱繊維202は同心リング206で配列される。散乱繊維202のサイズ、ならびに間隙および/または同心リングのサイズは、透過および/または反射などの特定の光学特性のために選択することができる。図2Iに示された例において、散乱繊維は、六角形格子によって設定された位置に配置されるように示されている。これは、必要な条件ではなく、散乱繊維202は、たとえば図2Jに概略的に示されているように、半径方向に同心のパターンで形成することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、散乱繊維202は、すべて、同じサイズである必要はない。たとえば、図2Jおよび図2Kに示された複合繊維270および275の実施形態について示されているように、複合繊維は、異なる断面サイズの散乱繊維を含むことができる。これらの特定の実施形態において、散乱繊維202aは断面が比較的より大きく、散乱繊維202bは断面が比較的より小さい。散乱繊維202は、少なくとも2つの異なるサイズのグループに分かれることができ、実際には、すべて、異なるサイズであることができる。さらに、たとえば図2Iに示されているように、散乱繊維202を複合繊維の中心に配置することができるか、複合繊維の中心に散乱繊維202がないことができ、たとえば、散乱繊維202aは、図2Jの複合繊維270の中心を囲んで位置決めされるが、複合繊維270の中心に位置決めされない。実際には、散乱繊維202の寸法は、1つの値であるのではなく、ある範囲内に入ることができる。
【0055】
上で説明されたように、複合繊維は、形状が円形である必要はなく、非円形断面を有することができる。図示において、図3Aおよび図3Bは、それぞれ正方形パターンおよび六角形パターンで散乱繊維202を含む非円形複合繊維300、310を示す。非円形繊維は、その散乱繊維202が、規則的な格子パターン上のポイントに位置決めされることができるが、格子パターンのすべての位置が散乱繊維202と関連する必要はない。たとえば、図3Cに概略的に示された非円形複合繊維320は、六角形格子上に位置決めされた散乱繊維202を含むが、いくつかの間隙312が繊維間に存在することができる。散乱繊維202のこの特定の配列において対称軸がない。
【0056】
非円形複合繊維330、340の他の例示的な実施形態が、図3Dおよび図3Eに概略的に示されている。これらの例示的な非円形複合繊維330、340は、断面が正方形であり、異なる例示的なパターンで配列された散乱繊維202を含む。複合繊維330内の散乱繊維202は六角形格子パターン上に配列され、複合繊維340内の散乱繊維202は正方形格子パターンで配列される。各場合において、散乱繊維202の配列内の間隙がある。
【0057】
本発明の範囲は、複合繊維内の散乱繊維のすべての配列を包含することが意図される。いくつかの例示的な配列において、散乱繊維の相対位置、散乱繊維のサイズ、および散乱繊維と充填剤材料との間の屈折率の差を、所望のスペクトル選択的な特性を複合繊維に与えるように設定することができる。そのようなスペクトル選択的な特性の例としては、反射および透過が挙げられるが、これらに限定されない。複合繊維のいくつかの実施形態において、散乱繊維の断面位置は、入射光の非干渉性散乱をもたらすことができる。他の実施形態において、散乱繊維の位置は、フォトニック結晶特性を生じさせる散乱光の干渉性効果をもたらすことができる。複合繊維内の散乱繊維の平均密度は、大きい範囲を包含することができ、たとえば、散乱繊維によって占められる複合繊維の断面積の割合は、上で説明された範囲内、すなわち1%から95%、好ましくは10%から90%、より好ましくは10%から50%であることができるが、散乱繊維密度は、また、これらの範囲の外側になることができる。
【0058】
散乱繊維202のサイズは、散乱に著しい影響を及ぼすことができる。散乱効果のプロットとして、規格化されスケール変更された光学的厚さ(NSOT)が、散乱繊維の平均半径の関数として、図4に示されている。NSOTは次の式によって与えられ、
NSOT=τ(1−g)/(tf)
式中、τは、光学厚さであり、tkに等しく、kは、単位体積あたりの消光断面積(消光に対する平均自由行程の逆数)であり、tは、拡散体の厚さであり、fは、拡散体の体積分率であり、gは、非対称パラメータである。gの値は、純粋前方散乱の場合+1であり、純粋後方散乱の場合−1であり、均等前方および後方散乱の場合ゼロである。プロットを生じさせるために使用された計算は、入射光の真空波長が550nmであることを想定した。
【0059】
図からわかるように、散乱効果は、約150nmの半径においてピークに達し、約50nm〜1000nmの半径範囲にわたって、最大の約半分の値を有する。散乱繊維は任意の所望の断面寸法を有することができるが、断面寸法は、約550nmの波長を中心とする光について、約50nmから約2000nmの範囲内、より好ましくは約100nmから約1000nmの範囲内であることができる。断面寸法は、散乱繊維がほぼ円形断面を有する場合、直径であり、非円形繊維断面の場合、散乱繊維幅とみなすことができる。入射光の波長が、スペクトルの可視領域の外側に、たとえば紫外または赤外領域内にある用途のために、複合繊維が使用されている場合、散乱繊維のサイズは異なることができる。一般に、散乱繊維の断面寸法の好ましい範囲が、約λ/10から約4λであり、ここで、λは光の真空波長である。光がある範囲の波長内に存在する場合、λの値は、波長範囲の中心値とみなすことができるが、複合繊維に、また、ある範囲の寸法を有する散乱繊維を設けることができる。
【0060】
散乱繊維が小さすぎる、たとえば、複合繊維内の光の波長の約30分の1未満、または真空中の550nmにおける光について約0.012μm未満である場合、および、散乱繊維の密度が十分に高い、たとえば、複合繊維体積の約60%〜80%の範囲内である場合、光学素子は、任意の所与の軸に沿った散乱繊維および充填剤の屈折率にある程度存在する有効屈折率を有する媒体として機能する。そのような場合、光がほとんど散乱されない。散乱繊維の断面サイズが、光波長より著しく大きく、たとえば、波長の少なくとも3倍以上になると、散乱効率は非常に低くなり、真珠光沢効果が生じることがある。
【0061】
散乱繊維の断面寸法は、光学材料の所望の用途に依存して変わることができる。したがって、たとえば、散乱繊維の寸法は、特定の用途における対象となる光の波長に依存して変わることができ、異なる寸法が、可視光、紫外光、および赤外光を散乱または透過するために必要とされる。しかし、一般に、散乱繊維の寸法は、およそ、材料中の対象となる波長範囲内の光の最も小さい波長の約30分の1より大きくなければならない。
【0062】
所望の寸法範囲の上側において、散乱繊維の平均寸法は、好ましくは、材料中の対象となる波長範囲にわたる光の波長の2倍以下、好ましくは所望の波長の0.5未満である。
【0063】
複合繊維内の散乱繊維の密度は、生じる散乱の量に影響を及ぼす。散乱繊維間の中心間の間隔が、約λ/10から約2λであることが有用であることができ、ここで、λは、入射光の中心または平均真空波長である。
【0064】
散乱繊維は、断面が円形であることができるが、円形である必要はなく、他の断面形状を有することができる。図3Fに断面で概略的に示された例示的な複合繊維350において、散乱繊維352は正方形断面を有する。断面の他の形状、たとえば、三角形、矩形、もしくは六角形などの、規則的なおよび不規則な多角形形状、または湾曲した辺および直線の辺を組合せる断面形状を使用することができ、本発明を、図に示されたそれらの断面形状を有する散乱繊維に限定することは意図されていない。
【0065】
中心間の繊維間隔が不均一である場合、非円形断面を有する散乱繊維の使用が有用であり、というのは、それは、散乱繊維が、複合繊維の断面積のより大きい割合を充填することを可能にするからである。たとえば、散乱繊維が矩形格子上に配列され、中心間の間隔が、y方向においてz方向の2倍も大きい場合、散乱繊維は、散乱繊維がy方向においてz方向より2倍も長い楕円形断面を有する場合、散乱繊維が円形であった場合より大きい複合繊維断面を充填する。
【0066】
非円形断面を有する散乱繊維のいくつかの付加的な例示的な配列が、図3G〜3Iに概略的に示されている。非円形散乱繊維は、それらの断面形状がランダムな方向に配列された状態で配列することができる。他の実施形態において、散乱繊維の断面を、互いに対して整列させることができる。たとえば、図3Gにおいて、複合繊維360は、楕円形断面を有する散乱繊維362が埋込まれた充填剤204で形成される。この特定の実施形態において、散乱繊維362は、それらの断面楕円の長軸がy軸と平行な状態で整列される。
【0067】
散乱繊維の断面形状は、押出ダイの形状の結果であることができるか、押出後の光学素子の後処理の結果であることができる。
【0068】
散乱繊維は、それらの断面がすべて整列した状態で配列する必要はないが、異なる散乱繊維が、複合繊維内の異なる整列を有することができる。図3Hに概略的に示された複合繊維370の例示的な実施形態において、散乱繊維372は楕円形断面を有し、いくつかの繊維372aが、それらの長軸がz軸に平行な状態で配列され、他の繊維372bが、それらの短軸がz軸に平行な状態で配列される。散乱繊維372の約半分が各方向に整列される。また、繊維372aおよび372bの集団は、複合繊維370の断面内で規則的に配列される。繊維372aおよび372bの集団を、また、複合繊維370の断面内で不規則に配列することができることが理解されるであろう。
【0069】
示された実施形態の他の変更例が可能である。たとえば、すべての散乱繊維が、同じ断面形状、サイズ、または整列を有する必要はない。さらに、散乱繊維は、複合繊維内のパターンを形成するように断面整列させることができる。そのような複合繊維380の1つの特定の例が、図3Iに概略的に示されている。充填剤204は、2つの異なる断面形状を有する散乱繊維、楕円形繊維382および円形繊維384が埋込まれる。示された実施形態において、楕円形繊維382は、それらの楕円形断面の短軸が最も近い円形繊維384の方に向けられるように整列される。散乱繊維の他のパターンを使用することができる。
【0070】
散乱繊維は、複合繊維内に撚られない状態であることができ、散乱繊維の面が、散乱繊維の長さに沿って、複合繊維の1つの面の方に配向される。他の例示的な実施形態において、散乱繊維を複合繊維内で撚ることができ、散乱繊維の長さに沿って異なるポイントにおいて、散乱繊維の面が、複合繊維の異なる面の方に配向される。
【0071】
屈折率不整合が、複合繊維内の偏光依存散乱を促進するために依拠する主な要因であるが、複合繊維の断面形状も、散乱に影響を及ぼすことができる。たとえば、散乱繊維が、断面が楕円形である場合、楕円形断面形状は、後方散乱光および前方散乱光の両方の非対称拡散に寄与することができる。この影響は、屈折率不整合による散乱量を増加させる場合も減少させる場合もある。
【0072】
さらに、散乱繊維が、その長さに沿って断面寸法が均一であることができるか、断面寸法は、散乱繊維の長さに沿って異なるポイントについて異なることができる。そのような変化の例が、図3J〜3Mに概略的に示されており、これらは、x−y平面内の、複合繊維を通る縦断面図を示す。図3Jに示された実施形態において、複合繊維400は、マトリックス402内に埋込まれた散乱繊維404を含む。この特定の実施形態において、散乱繊維404は、断面寸法が比較的小さい領域406と、断面寸法が比較的大きい領域408とを有する。そのような領域406、408は、たとえば、複合繊維400が共押出しされている間、散乱繊維ポリマー上の圧力を一時的に低減するか増加させることによって生じさせることができる。
【0073】
図3Kに概略的に示された別の実施形態において、複合繊維410は、マトリックス412内の散乱繊維414を含み、散乱繊維414の断面幅は、いくつかの領域416内でゼロに低減される。これは、共押出の間の、散乱繊維ポリマーの圧力のより大きい低減によって達成することができる。
【0074】
すべての散乱繊維が、同じように断面寸法が変わる必要はない。たとえば、図3Lおよび図3Mは、それぞれ、図3Jおよび図3Kの断面と同様の断面を示すが、いくつかの散乱繊維404a、414aが均一な断面寸法を有し、他の散乱繊維404b、414bが断面寸法が変わることができる。いくつかの散乱繊維404b、414bのそのような変化を、たとえば、散乱繊維ポリマーのための共押出フィードブロックへの2つの入力を有することによって達成することができる。入力の1つが一定の圧力を受けて、一定の断面の散乱繊維404a、414aを製造し、他方の入力が圧力の変化を受けて、さまざまな断面の散乱繊維404b、414bを製造する。
【0075】
いくつかの実施形態において、散乱繊維は、コアおよびシェル構造を有することができる。シェルおよびコア構造で形成された散乱繊維502を有する複合繊維500の例示的な実施形態が、図5に概略的に示されている。この実施形態において、複合繊維500は外層506を有し、散乱繊維502は充填剤504内に埋込まれる。散乱繊維502は、コア510を囲むシェル層508で形成される。シェル層508およびコア510は、同じまたは異なる材料から製造される。シェル層508およびコア510は、ポリマー材料から、たとえば、上で説明されたようなポリマー材料から形成することができる。コア510は、中空であることができるか、固体、液体、または気体であることができ、有機または無機であることができる適切な媒体によって占めることができる。コア510の断面形状は、散乱繊維502の長さに沿って均一であることができるか、散乱繊維502の長さに沿って変わることができる。コア510に使用される媒体の屈折率は、複屈折性界面における所望の反射度または散乱度を達成するように、シェル508との複屈折性界面における屈折率差を考慮して選択することができる。適切な等方性ポリマー材料および複屈折性ポリマー材料を上で説明した。いくつかの実施形態において、シェル/コア散乱繊維502は、シェル508またはコア510が複屈折性材料から形成されて、形成することができるか、シェル508およびコア510の両方を複屈折性材料から形成することができる。他の実施形態において、シェル508およびコア510の両方を等方性材料から形成することができる。
【0076】
シェル508は、たとえば、散乱繊維502と充填剤504との間の接着に影響を及ぼすために使用することができる。いくつかの実施形態において、シェル508は、散乱繊維502と充填剤504との間の接着を増加させる材料、たとえば、ポリエステル樹脂コーティング、シランコーティング、または、ポリマーマトリックスとポリマー繊維との間の接着を増加させるために使用される他のプライマーから形成することができる。他の実施形態において、シェル508は、散乱繊維502と充填剤504との間の接着を低減する材料、たとえば、フルオロカーボン材料、シリコーン材料などから製造することができる。いくつかの実施形態において、シェル508は、たとえば、コア510と充填剤504との間のいくらかの屈折率整合をもたらすことによって、反射防止機能を提供するために使用することができる。
【0077】
複合繊維は、ヤーン600として形成することができ、これの1つの例示的な実施形態が図6に概略的に示されている。ヤーン600は、配向された繊維602をともに撚ってヤーンを形成し、次に、繊維602間の空間を充填剤材料で充填することによって形成することができる。別の方法において、ヤーン600は、等方性繊維602をともに撚ることによって形成することができ、繊維は配向可能な材料から製造される。次に、たとえば、ヤーンを形成した後、延伸することによって、繊維を配向することができる。繊維602の材料が配向される前または後、充填剤材料を撚られた繊維602の間に付与することができる。他の例示的な実施形態において、繊維602は、非複屈折性材料から製造することができ、充填剤は配向可能な材料から形成される。ヤーン600は、配向可能な材料のみの繊維を含むことに限定されず、他の繊維、たとえば、等方性または複屈折性の他のポリマー材料の繊維;綿、絹、または麻などの天然繊維;およびガラス繊維またはガラスセラミック繊維などの無機繊維を含むことができる。
【0078】
ヤーン600は、ガラス材料、セラミック材料、および/またはガラスセラミック材料から構成された繊維または複数本の繊維を含むことができる。ガラスセラミック材料は、一般に、サイズが一般に1μmより小さい、非常に小さい結晶95〜98体積パーセントを含む。いくつかのガラスセラミック材料が、50nmの小さい結晶サイズを有し、それらを可視波長において効果的に透明にし、というのは、結晶サイズが可視光の波長よりずっと小さいからである。これらのガラスセラミックスは、また、ガラス状領域および結晶領域の屈折率の間の有効差をほとんどまたはまったく有さないことができ、それらを視覚的に透明にする。透明性に加えて、ガラスセラミック材料は、ガラスの破壊強度を超える破壊強度を有することができ、ゼロの、または値が負でさえある熱膨張係数を有することが知られている。対象となるガラスセラミックスは、Li2O−Al23−SiO2、CaO−Al23−SiO2、Li2O−MgO−ZnO−Al23−SiO2、Al23−SiO2、およびZnO−Al23−ZrO2−SiO2、Li2O−Al23−SiO2、およびMgO−Al23−SiO2を含むがこれらに限定されない組成物を有する。
【0079】
いくつかのセラミックスが、また、屈折率が適切に整合したマトリックスポリマー内に埋込まれた場合、透明に見えることができるほど十分に小さい結晶サイズを有する。ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)から入手可能なネクステル(Nextel)(登録商標)セラミック(Ceramic)繊維が、このタイプの材料の例であり、すでに、糸、ヤーン、および織マットとして入手可能である。適切なセラミック材料またはガラスセラミック材料が、ガラスの化学(Chemistry of Glasses)、第2版(エー・ポール(A.Paul)、(チャップマン・アンド・ホール(Chapman and Hall)、1990年)、およびセラミックス入門(Introduction to Ceramics)、第2版(ダブリュー・ディー・キンガリー(W.D.Kingery)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、1976年)に、さらに記載されている。
【0080】
ヤーン600は、ヤーン600の全長にわたって延在しない、一般にステープル繊維と呼ばれる複数本の繊維を含むことができる。いくつかの実施形態において、ヤーン600はポリマーマトリックス内に封入することができ、マトリックスは、ヤーン600を構成する繊維602の間の空間を充填する。他の実施形態において、ヤーン600は繊維602間に充填剤を有することができる。
【0081】
ヤーン600での使用のための適切な複屈折性ポリマー材料を上で説明した。
【0082】
他の実施形態において、2つ以上の複合繊維をともに撚って、ヤーンを形成することができる。
【0083】
本開示の複合繊維は、多くの異なる方法でポリマーマトリックス内に配列して、光学素子を形成することができる。たとえば、図1に示されているように、複合繊維104を、マトリックス102の断面積にわたってランダムに配列することができる。他の配列を使用することができる。たとえば、光学素子700の断面を示す図7Aに概略的に示された例示的な実施形態において、複合繊維704は、マトリックス702内に一次元アレイで配列され、隣接した複合繊維704の間の規則的な間隔がある。この実施形態のいくつかの変更例において、隣接した複合繊維704の間の間隔は、すべての繊維704について同じである必要はない。図は、光学素子700が、光源706からの光705によって横方向に照明されているのを概略的に示す。光のいくらか708aが素子700を透過され、光のいくらか708bが素子700によって拡散反射される。
【0084】
一般に、複合ポリマー繊維704の複屈折性界面は、細長く、複合繊維704に沿った方向に延在する。複合繊維を含む光学素子のいくつかの例示的な実施形態において、散乱繊維704はx軸に平行にあり、したがって、拡散反射光は、ほとんど、繊維に垂直な平面、y−z平面内に散乱され、x−z平面内の散乱がほとんどない。偏光依存散乱特徴を有する複合繊維を組入れる光学素子が、それら自体、偏光依存特徴を示すことができる。たとえば、光学素子は、1つの偏光状態の光を透過し、直交偏光状態の光を拡散反射する反射偏光子であることができる。
【0085】
図7Bに断面で概略的に示された光学素子の別の例示的な実施形態において、複合繊維714は、マトリックス712内に規則的な二次元アレイで配列される。示された実施形態において、y方向の隣接した複合繊維714の間の分離距離hyは、z方向の隣接した複合繊維714の間の分離距離hzと同じである。これは、事実である必要はなく、図7Cに概略的に示されているように、z方向の分離距離はy方向の分離距離と異なることができる。さらに、繊維714は、z軸に平行な行で整列させる必要はないが、たとえば図7Dに概略的に示されているように、隣接した行の間にずれがあることができ、六角形に詰められた繊維パターンを作る。繊維714の他の規則的なパターンを使用することができる。
【0086】
他の実施形態において、複合繊維間の間隔は、マトリックスの幅に沿って、すなわち、y方向に沿って、マトリックスの厚さを通って、すなわち、z方向に沿って変わることができるか、yおよびz方向の両方に沿って異なる位置について変化することができる。たとえば、図7Eに概略的に示された実施形態において、光学素子715が、マトリックス712内に埋込まれた複合繊維714を有する。この特定の実施形態において、隣接した複合繊維714の間の中心間の間隔は、図の中心における1つの領域内で、両側の隣り合っている領域に対して低減される。したがって、その領域の、充填率、すなわち、複合繊維714によって占められる断面積の割合は、増加される。充填率のそのような変化は、たとえば、光源716から素子715を透過された光の均一性を向上させるために、有用であることができる。これは、たとえば、素子715が、別々の光源によって照らされる直視スクリーンに含まれる場合、重要であることができる。そのようなデバイスにおいて、見る人に、均一な照明の画像を与えることが重要である。光源が均一な拡散体の後ろに配置される場合、拡散体を透過された光の輝度は、光源の上で最高である。図7Eに示された充填率の変化を使用して、光源716のすぐ上の拡散の量を増加させることができ、したがって、透過光の強度の不均一性を低減する。
【0087】
光学素子は、平坦な表面、たとえば、図1に示されているようなz軸に垂直な平坦な表面を有することができる。光学素子は、また、所望の光学効果を、光学素子を透過された、または光学素子によって反射された光に与えるように構造化された1つ以上の表面を含むことができる。たとえば、図7Fに概略的に示された1つの例示的な実施形態において、マトリックス722およびいくつかの複合繊維724で形成された素子720は、1つ以上の湾曲した表面726を有することができる。湾曲した表面726は、集束または非集束(defocusing)の屈折力を、表面726を透過された光に与える。示された実施形態において、光線728が、湾曲した屈折表面726によって集束された、素子720の透過軸に平行に偏光された光線の例を表す。この例において、湾曲した屈折表面726は、それを通って、素子720によって透過された光が素子720を出る、素子720の出力表面である。他の例示的な実施形態において、それを通って光が素子720に入る素子720の入口表面が、湾曲した表面を有することができる。入力表面または出力表面が、屈折力を、構造化表面を通過する光に与える、フレネルレンズ構造などの他の構造を含むことができる。
【0088】
構造化表面は、また、湾曲した領域に加えて、または湾曲した領域の代わりに、直線領域を含むことができる。たとえば、図7Gに概略的に示された別の例示的な実施形態において、複合繊維734を含むマトリックス732で形成された素子730に、輝度向上表面と呼ばれるプリズム構造化表面736を設けることができる。輝度向上表面は、一般に、ディスプレイパネルを照明する光の円錐角を低減し、したがって、見る人のための軸上輝度を増加させるために、たとえばバックライト液晶ディスプレイに使用される。図は、2つの軸外光線738および739の例を示す。光線738は、複合繊維734によって透過される偏光状態であり、また、構造化表面736によってz軸の方にそらされる。光線739は、複合繊維734によって拡散反射される偏光状態である。輝度向上表面は、示されているように、プリズム構造が、またx軸に平行である繊維734に平行であるように配列することができる。他の実施形態において、プリズム構造は、繊維の方向に対して、ある他の角度にあることができる。たとえば、プリズム構造は、繊維734に垂直なy軸に平行に、またはx軸とy軸との間のある角度にあるリブを形成することができる。
【0089】
構造化表面を、任意の適切な方法を用いて、マトリックス上に形成することができる。たとえば、マトリックスを、その表面が、工具表面がマトリックスの表面上に所望の形状を生じさせる微細複製工具などの工具の表面と接触する間、硬化させることができる。
【0090】
散乱繊維は、光学素子の異なる領域にわたって存在することができる。図7Gにおいて、複合繊維734は、構造化表面736によって形成された構造737内に配置されないが、素子730の主本体731内にのみ配置される。他の実施形態において、複合繊維734を異なって分配することができる。たとえば、図7Hに概略的に示された光学素子740において、複合繊維734は、素子740の主本体731、およびまた構造化表面736によって形成された構造737内の両方の中に配置される。図7Iに概略的に示された別の例において、複合繊維734は、素子750の構造737内にのみ配置され、素子750の主本体731内に配置されない。
【0091】
本発明の別の例示的な実施形態が図7Jに概略的に示されており、素子760はマトリックス762内のポリマー繊維764を有する。この特定の実施形態において、繊維764aのいくつかが、マトリックス762内に完全に埋込まれないが、マトリックス762の表面766を貫通する。
【0092】
偏光子素子における複合繊維の使用は、ポリマー繊維を含む反射偏光子(REFLECTIVE POLARIZERS CONTAINING POLYMER FIBERS)という名称、および代理人整理番号58959US002を有する、2005年2月28日に出願された共有米国特許出願第11/068,157号明細書にさらに記載されている。光学素子における散乱繊維の使用は、また、共連続相を有する複合ポリマー光学フィルム(COMPOSITE POLYMERIC OPTICAL FILMS WITH CO−CONTINUOUS PHASES)という名称、および代理人整理番号60401US002を有する、本明細書と同日に出願された米国特許出願第11/068,159号明細書に記載されている。
【0093】
いくつかの例示的な実施形態において、光学素子内に配置された複合繊維は、少なくとも、複屈折性材料、および別の材料、たとえば、実質的に非複屈折性の材料を含む、大量の異なるポリマー材料を含む。これらの異なる材料を、多くの異なる方法で、たとえば、規則的な交互の層で、または、他方の材料の「プール」内に配置された一方の材料の微細な繊維として、配列することができる。マトリックス材料は、より小さい複屈折を有するか複屈折を有さないことができるか、反対に複屈折性であることができる。たとえば、繊維内の複屈折性材料がnx>nyを有する場合、マトリックス材料はny>nxを有することができる。
【0094】
本発明による複合繊維を含む光学素子を製造するための1つの方法を、ここで、図8A〜8Dを参照して説明する。1つ以上の複合繊維802が、第1のポリマー層804上に置かれ(図8A)、第2のポリマー層806が、ポリマー繊維802の上にキャストされるか他の態様で形成される(図8B)。第1のポリマー層804および第2のポリマー層806は、同じポリマー材料であることができるか、異なる材料であることができる。
【0095】
繊維802は、個別に置くことができるか、ともに撚られていない繊維802の配列であるトウとして置くことができる。特に、トウは、実質的に平面内にあり、互いに実質的に平行である複合繊維802の層を形成することができる。繊維トウ906が、図9に概略的に示されている。ポリマー繊維802に支持を与えるために、および、ポリマー繊維802をそれらの隣のものに対して所望の間隔で保つために、交差部材908が存在することができる。たとえば、連続プロセスでポリマー繊維802が第1のポリマー層804の上に置かれる場合、交差部材908は存在する必要はない。
【0096】
繊維802は、また、第1の層804上に織物の一部として置くことができる。織物1006が図10に概略的に示されており、複合繊維802は経糸を形成し、交差繊維1008が緯糸を形成する。交差繊維1008は、有機または無機の、任意の適切な繊維材料から製造することができ、たとえば、等方性または複屈折性繊維などのポリマー繊維、または、綿、絹、および麻などの天然繊維であることができる。他の例示的な実施形態において、交差繊維1008は、ガラス繊維、たとえば、Eガラス、Sガラス繊維、または他のタイプのガラス繊維であることができる。光学素子内を通過する光に、低減された光学効果を及ぼすように、交差繊維1008の屈折率を周囲のポリマーマトリックスの屈折率に実質的に整合させることができる。さらに、経糸繊維のすべてが、複屈折性界面を含む複合繊維802である必要はない。たとえば、経糸繊維のいくつかが、また、等方性繊維であることができ、交差繊維と同じタイプの繊維から形成することができる。
【0097】
織物は、任意の適切な織りプロセスを用いて形成することができる。たとえば、織物は、示されているような平織物、綾織物、繻子織物、または任意の他の種類の織物であることができる。いくつかの例示的な実施形態において、複合繊維802は、たとえば、図11Aに部分断面で概略的に示されているように、織物内で比較的平坦である。この図が、複合繊維802が実質的にx方向に沿ってあるという慣行に従うことに留意されたい。いくつかの例示的な実施形態において、複合繊維802は、撚られることなく、織物内の1つの配向を維持する。
【0098】
他の実施形態において、複合繊維802は、織物内で平坦である必要はない。そのような織物1106の例示的な部分断面が、図11Bに概略的に示されている。この図の見方が、図11Aの見方と異なることに留意することが重要である。図11Aは交差繊維1008の側を示し、図11Bはポリマー繊維802の側を示す。座標軸は、先の図に用いられた慣行に従い、したがって、ポリマー繊維802は、一般に、x軸に平行な方向にある。しかし、複合繊維802が織物1106内で起伏するので、ポリマー繊維802の複屈折性界面は、すべて、x軸に厳密に平行にあるとは限らない。したがって、複合繊維802によって反射または散乱された光を、x−z平面内に異なる角度で散乱させることができる。図において、光1102が、繊維802にx軸に垂直な方向に入射し、光1102の一部が、光1102がポリマー繊維802に「下方傾斜」または「上方傾斜」で入射するかに依存して、正のx方向または負のx方向の成分を有する角度αによって反射される。したがって、ポリマー繊維802は、また、x−z平面内に反射光を拡散させることができる。x−z平面内の拡散反射光の円錐角は、織物内の複合繊維802の形状に依存し、繊維802の部分が、x方向に平行であることからそれることが大きいほど、x−z平面内の光の角度分布が大きい。
【0099】
光学素子は、バッチプロセスで、または連続プロセスで形成することができる。連続プロセスにおいて、好ましくは、ヤーン、トウ、または織物内の、繊維802は、第1のポリマー層804上に置かれ、次に、第2のポリマー層806を、繊維802の上に、連続的にキャストするか他の態様で形成することができる。第2のポリマー層806を、含浸工程で繊維802内に浸透させることができる。次に、第2の層806を、硬化させるか、硬化するようにすることができる。
【0100】
第1のポリマー層804は、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性タイプポリマーであることができる。第2のポリマー層806およびその後のポリマー層808も、熱可塑性または熱硬化性タイプポリマーであることができる。熱可塑性ポリマーを、熱および圧力、溶媒コーティングおよび乾燥、または現場重合を含むさまざまな方法によって、前のポリマー層804に付与し、繊維802内に浸透させることができる。熱硬化性タイプポリマーを、圧力、熱、化学線、および/または経過時間に曝すことによって、繊維802および前のポリマー層804および806上にコーティングし硬化させることができる。
【0101】
素子を製造するための代替方法において、特定の所望の光学特性、物理特性、または表面特性を有するポリマーフィルム804を、上に繊維802が置かれる基材として使用することができる。熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂または硬化性組成物を、第2のポリマーフィルム806として付与して、繊維802の1つまたは複数の層に浸透させることができ、次に、第2の基材808を付与して、繊維802および樹脂または硬化性組成物の第2のポリマーフィルム806の周りのサンドイッチタイプ構造を作ることができる。次に、硬化性樹脂を、硬化させるか、固めるか、反応させて、積層体を形成することができる。この場合、基材804、808を、熱可塑性、熱硬化性樹脂または硬化性組成物と同じ材料から製造することができるか、それを異なる材料から製造することができる。広範囲の感圧接着剤およびホットメルト接着剤を、第2の層806のための熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂または硬化性組成物の代わりに使用することができる。いくつかの実施形態において、第1の基材804および第2の基材808を、繊維802を含む熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂または硬化性組成物806に密接に結合することができる。他の実施形態において、第1の基材804および第2の基材808は取外し可能であることができる。
【0102】
必要に応じて、複合繊維802の付加的な層を、ポリマー材料のその後の層808とともに加えることができる。たとえば、図8Cおよび図8Dは、第2のポリマー層806の上の1組の複合繊維802の追加、および第3のポリマー層808の付与を示す。
【0103】
複屈折性繊維の1つの層より多くを有する光学素子を製造するための別の例示的な方法において、繊維の2つ以上の層を、第1のポリマー層の上に置くことができ、次に、ポリマー材料の第2の層を、1つの工程で、ポリマーマトリックスとして繊維の上にキャストすることができる。
【0104】
複合繊維を有する偏光子を製造する別の例示的な方法において、複合繊維がポリマーマトリックス内に埋込まれる前、複合繊維の充填剤を、たとえば、溶媒に溶解することによって、除去することができる。次に、ポリマーマトリックスを、複合繊維の散乱繊維の間の充填剤として使用することができる。この方法は、複合繊維が、ヤーン、トウ、または織物で提供される場合、特に有用であることができる。
【0105】
複合繊維を製造するための適切な方法が、複屈折性散乱繊維と、可溶性充填剤とを有する複合繊維を押出すことを含む。適切な水溶性充填剤としては、ポリビニルピロリジノン、セルロースアセテート、およびポリビニルアルコールが挙げられる。適切なポリビニルアルコールとしては、約70から95%の程度に加水分解されたポリ酢酸ビニルから製造されたものが挙げられる。
【0106】
散乱繊維は、アレイで押出し、押出されたアレイを加熱し、散乱繊維が延伸されて、所望の屈折率値をもたらす延伸比を与えるように適切な張力を加えることによって配向することができる。
【0107】
複合繊維を形成する、散乱繊維の配向されたアレイを、ヤーンに形成することができる。ヤーンは、任意に、また、他のタイプの繊維を組入れることができる。ヤーンは、好ましくは、繊維のトウを形成することによって、または、繊維を織ってファブリックを形成することによって、1つの方向に配向される。押出後、任意の製造段階で、ヤーンを洗浄することによって、可溶性ポリマー充填剤を除去することができる。
【0108】
洗浄された散乱繊維に、流体、好ましくは硬化性樹脂流体を浸透させることができる。任意の適切な技術を用いて、樹脂を固めることができ、たとえば、樹脂を熱および/または放射線硬化させて、ポリマー繊維を含むマトリックスを形成することができる。いくつかの例示的な実施形態において、樹脂は、マトリックスが平坦な表面を有するように硬化される。他の例示的な実施形態において、樹脂は、1つ以上の表面上に所望の構造を有するように硬化させることができる。たとえば、樹脂を、それが、微細複製工具の微細構造化表面と接触する表面を有する間、硬化させることができる。適切な微細構造化表面の例としては、機械加工金属表面、電鋳レプリカ、または成形ポリマーフィルムが挙げられる。マトリックス表面上に形成された適切な微細構造の例としては、線状プリズム構造、非線状プリズム構造、フレネル表面、マイクロレンズなどが挙げられる。
【0109】
複合繊維を使用する光学素子を形成するための別の方法を、ここで、図12Aおよび図12Bを参照して説明する。いくつかの別個の複合繊維1201が、図12Aに示されている。これらの繊維1201は、散乱繊維1202と、散乱繊維1202間の充填剤1204とを含む。示された実施形態において、複合繊維1201は、矩形断面を有し、かつ、対称がない特定の規則的な断面パターンで配列された散乱繊維1202を有する。複合繊維1201の他の形状、たとえば、円形、楕円形、矩形などを使用することができ、散乱繊維1202の他の断面配列を使用することができる。
【0110】
繊維1201は、ともに溶融されて、たとえば図12Bに概略的に示されているような、1つの本体1210を形成する。破線は、使用される繊維1201の間の境界が、溶融前にあったところを示す。繊維1201は、異なる方法を用いて、ともに溶融することができる。たとえば、繊維1201は、圧力および/または熱を加えることによって、ともに溶融することができる。熱が繊維1201に加えられるとき、繊維1201の温度は、繊維1201のポリマー材料の溶融温度に達する必要はないが、繊維1201が互いに接着することを可能にするのに十分に高い温度に達しさえすればよい。たとえば、温度は、充填剤1204のガラス温度Tgより高いが、繊維1201のポリマー成分の少なくとも1つの溶融温度より低い値に達することができる。別の方法において、繊維1201をともに接着する材料を、繊維1201にコーティングするか、繊維1201間の空間に浸透させることができる。そのような材料は、たとえば、アクリレートなどの硬化性樹脂であることができる。接着材料の屈折率が、複合繊維1201の充填剤材料の屈折率に近いことが好ましいであろう。別の方法において、複合繊維1201は、複合繊維1201の表面を粘着性にする溶媒で処理することができ、その結果、複合繊維1201は、圧力を加えることによって互いに接着する。
【0111】
繊維1201は、溶融前、個別の繊維として配列することができ、それらは、溶融前、互いに平行に整列させることができる(示されているように)。いくつかの方法において、繊維1201は、溶融前、互いに平行に整列させる必要はない。他の方法において、繊維1201は、溶融前、ヤーン、トウ、または織物で提供することができる。個別のヤーン、トウ、または織物は、溶融前、互いに整列して配列してもしなくてもよい。複合繊維1201は、複屈折性ポリマーを配向するように、溶融前または後、延伸することができる。
【0112】
複合繊維を製造する1つの方法は、複合繊維を製造するために設計されたフィードブロックを使用して、多数の散乱繊維を共押出しすることである。そのような方法は、繊維科学技術ハンドブック:先端技術繊維パートD(Handbook of Fiber Science and Technology: High Technology Fibers Part D)、Vol.3;ルーイン(Lewin)およびプレストン(Preston)(編)、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、1996年、ISBN 0−8247−9470−2に、より詳細に記載されている。この引例に記載されたものを含む他の繊維構造および断面分布を使用することができる。複合繊維を、押出後、延伸して、複屈折性材料を配向することができる。押出は、たとえば、一般にエポキシで用いられるような、反応押出プロセスであることができる。他の方法において、モノマーを、押出し、次いで、押出後の硬化を行うことができる。
【0113】
いくつかのタイプの共押出フィードブロックが、ともに積重ねられたいくつかのプレートを含み、プレートは、一方または両方の側に設けられたチャネル、および/または、流体ポリマー材料がプレートの一方の側から他方の側に進むことを可能にするための開口を有する。チャネルおよび開口は、プレートがともに積重ねられると、内側の小数の入力ポートが、増加する多数のチャネルを介して、出力側に通じるように設計される。異なる出力開口は、フィードブロックの出力における共押出物(coextrudant)の断面が、所望のタイプの充填剤材料の「海」の中の所望のタイプの散乱繊維ポリマー材料の「島」を含むように配列される。複合繊維内の散乱繊維を押出すのに適したフィードブロックが、2005年2月28日に出願された米国特許出願第11/068,159号明細書、「共連続相を有する複合ポリマー光学フィルム(COMPOSITE POLYMERIC OPTICAL FILMS WITH CO−CONTINUOUS PHASES)」、代理人整理番号60401US002に、より詳細に記載されている。
【実施例】
【0114】
複合繊維を共押出しする例において、118のレーザ機械加工プレートと、11のエンドミル加工したプレートとを有するフィードブロックを組立てた。フィードブロックは、また、2つの入力ポートと、約1000の「島」出力ポートとを含んだ。フィードブロックは、実質的に等しいポリマー流を有する散乱繊維を得るように設計した。結果として生じる共押出物複合繊維の断面が、図13の写真に示されている。複合繊維は、テネシー州キングズポートのイーストマン・ケミカル・カンパニーによって供給された、PETGコポリエステル、イースター(登録商標)6763の充填剤「海」の中の、散乱繊維「島」としてのPEN(90%)/PET(10%)コポリマーを含んだ。押出された複合繊維は直径約200μmである。複合繊維は、延伸しなかったが、幾何学的形状を維持しながらの延伸で、約25μmの直径、すなわち、約87%の直径の低減に達することができる。そのような延伸において、散乱繊維間の間隔は約500nmであろう。散乱繊維の断面寸法は、2つの異なるポリマー材料の流量の比に依存する。
【0115】
ほぼ互いに平行にある何千ものそのような複合繊維を含むトウを形成することができる。これらのトウは、図12Aおよび図12Bを参照して説明されたように、高温、たとえば約150℃で、ともにプレスすることによって、ともに溶融して、溶融シートを形成することができる。
【0116】
本発明は、上述された特定の実施例に限定されるとみなされるべきではないが、むしろ、特許請求の範囲に適切に記載されたような本発明の態様をすべて包含するものと理解されるべきである。本発明が適用可能であろうさまざまな変更例、均等なプロセス、および多数の構造は、本明細書を検討すると、本発明が関連する技術における当業者には容易に明らかであろう。特許請求の範囲は、そのような変更例およびデバイスを包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明によるポリマー繊維を含む光学素子を概略的に示す。
【図2A】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図2B】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図2C】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図2D】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図2E】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図2F】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図2G】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図2H】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図2I】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図2J】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図2K】本発明の原理による複合繊維のさまざまな実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3A】本発明の原理による複合繊維のさまざまな付加的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3B】本発明の原理による複合繊維のさまざまな付加的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3C】本発明の原理による複合繊維のさまざまな付加的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3D】本発明の原理による複合繊維のさまざまな付加的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3E】本発明の原理による複合繊維のさまざまな付加的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3F】本発明の原理による複合繊維のさまざまな付加的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3G】本発明の原理による複合繊維のさまざまな付加的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3H】本発明の原理による複合繊維のさまざまな付加的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3I】本発明の原理による複合繊維のさまざまな付加的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3J】本発明の原理による、散乱繊維に沿った断面寸法の変化を示す、複合繊維のより多くの実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3K】本発明の原理による、散乱繊維に沿った断面寸法の変化を示す、複合繊維のより多くの実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3L】本発明の原理による、散乱繊維に沿った断面寸法の変化を示す、複合繊維のより多くの実施形態の断面図を概略的に示す。
【図3M】本発明の原理による、散乱繊維に沿った断面寸法の変化を示す、複合繊維のより多くの実施形態の断面図を概略的に示す。
【図4】散乱繊維半径の関数としての光散乱効率を示すグラフを示す。
【図5】本発明の原理による、コア/シェル構造を有する散乱繊維を含む複合繊維の実施形態を概略的に示す。
【図6】本発明の原理による複合繊維ヤーンの実施形態を概略的に示す。
【図7A】本発明の原理による複合繊維を含む光学素子の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図7B】本発明の原理による複合繊維を含む光学素子の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図7C】本発明の原理による複合繊維を含む光学素子の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図7D】本発明の原理による複合繊維を含む光学素子の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図7E】本発明の原理による複合繊維を含む光学素子の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図7F】本発明の原理による構造化表面を有する光学素子の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図7G】本発明の原理による構造化表面を有する光学素子の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図7H】本発明の原理による構造化表面を有する光学素子の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図7I】本発明の原理による構造化表面を有する光学素子の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図7J】本発明の原理による構造化表面を有する光学素子の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図8A】本発明の原理による複合繊維を含む光学素子を製造する方法の実施形態における工程を概略的に示す。
【図8B】本発明の原理による複合繊維を含む光学素子を製造する方法の実施形態における工程を概略的に示す。
【図8C】本発明の原理による複合繊維を含む光学素子を製造する方法の実施形態における工程を概略的に示す。
【図8D】本発明の原理による複合繊維を含む光学素子を製造する方法の実施形態における工程を概略的に示す。
【図9】本発明の原理による複合繊維光学素子を製造する方法の実施形態に使用することができる複合繊維トウを概略的に示す。
【図10】本発明の原理による複合繊維光学素子を製造する方法の実施形態に使用することができる複合繊維織物を概略的に示す。
【図11A】本発明の原理による複合繊維光学素子に使用することができる複合繊維織物の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図11B】本発明の原理による複合繊維光学素子に使用することができる複合繊維織物の実施形態の断面図を概略的に示す。
【図12A】本発明の原理による、多数の複合繊維を溶融して、溶融複合繊維光学素子を形成する際の工程の実施形態を概略的に示す。
【図12B】本発明の原理による、多数の複合繊維を溶融して、溶融複合繊維光学素子を形成する際の工程の実施形態を概略的に示す。
【図13】延伸前の共押出複合繊維の断面の写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ポリマー繊維であって、
ポリマー充填剤材料と、
前記充填剤材料内に配置された複数のポリマー散乱繊維であって、前記複合ポリマー繊維の長手方向の軸に実質的に平行な長手方向の軸を有する複数のポリマー散乱繊維とを含み、
前記充填剤材料および前記散乱繊維の少なくとも一方が、複屈折性材料から形成され、前記充填剤材料および前記散乱繊維の屈折率が、前記複合ポリマー繊維に第1の偏光状態で入射する光について実質的に整合し、前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態で入射する光について実質的に整合しない、複合ポリマー繊維。
【請求項2】
前記繊維がほぼ円形の断面を有する、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項3】
前記繊維がほぼ非円形の断面を有する、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項4】
前記散乱繊維の少なくともいくつかが、ほぼ円形の断面を有する、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項5】
前記散乱繊維の少なくともいくつかが、ほぼ非円形の断面を有する、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項6】
前記散乱繊維の少なくともいくつかが、ともに撚られる、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項7】
前記散乱繊維の少なくともいくつかが、前記複合繊維の断面にわたって不規則に配列される、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項8】
前記散乱繊維の少なくともいくつかが、前記複合繊維の断面にわたって規則的に配列される、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項9】
前記散乱繊維の少なくともいくつかが、前記複合繊維の断面にわたって、規則的な格子パターンの位置に配列され、前記規則的な格子パターンの少なくとも1つの位置が、散乱繊維を有さない、請求項8に記載の複合繊維。
【請求項10】
前記散乱繊維の少なくともいくつかが、散乱繊維の配列が、前記複合繊維に対して横方向から入射する光に、スペクトル選択的な特性を与えるように、前記複合繊維内に配列される、請求項8に記載の複合繊維。
【請求項11】
それぞれの散乱繊維を囲むカバー層をさらに含む、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項12】
前記散乱繊維が散乱繊維材料から形成され、前記カバー層が、前記充填剤材料および前記散乱繊維材料の1つから形成される、請求項11に記載の複合繊維。
【請求項13】
前記散乱繊維の少なくとも1つが、コアを囲むシェルを含み、前記シェルおよび前記コアが、異なる材料から形成される、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項14】
前記散乱繊維の少なくとも1つが、第2のポリマー材料の連続相内の、第1のポリマー材料の分散相を含む、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項15】
ポリマーマトリックスと、
前記ポリマーマトリックス内に配置された複数のポリマー複合繊維であって、前記ポリマー複合繊維の少なくとも1つが、第1のポリマー材料の複数の散乱繊維を、前記第1のポリマー材料と異なる第2のポリマー材料の充填剤内に含み、前記ポリマー複合繊維が、前記ポリマーマトリックス内に実質的に平行に配列され、前記ポリマーマトリックス、前記第1のポリマー材料、および前記第2のポリマー材料の少なくとも1つが、複屈折性である、複数のポリマー複合繊維とを含む光学体。
【請求項16】
前記第1および第2のポリマー材料の少なくとも1つが複屈折性である、請求項15に記載の光学体。
【請求項17】
前記ポリマーマトリックスが、前記第1のポリマー材料および前記第2のポリマー材料の1つを含む、請求項15に記載の光学体。
【請求項18】
前記ポリマーマトリックスが、前記第1および第2のポリマー材料と異なるマトリックス材料を含む、請求項15に記載の光学体。
【請求項19】
前記散乱繊維の少なくとも1つが、連続相内の分散相を含む、分散相散乱繊維を含む、請求項15に記載の光学体。
【請求項20】
前記複合繊維の少なくともいくつかが、ヤーンを形成するように、ともに撚られる、請求項15に記載の光学体。
【請求項21】
前記ポリマーマトリックス内に配置された繊維織物であって、前記複数のポリマー複合繊維を含む繊維織物をさらに含む、請求項15に記載の光学体。
【請求項22】
前記複数のポリマー繊維が、前記繊維織物の経糸および緯糸の1つを含む、請求項21に記載の光学体。
【請求項23】
前記繊維織物の経糸および緯糸の他方が、光学的に等方性のポリマー繊維、光学的に等方性の天然繊維、ガラス繊維、ガラスセラミック繊維、およびセラミック繊維の少なくとも1つを含む、請求項22に記載の光学体。
【請求項24】
前記繊維織物の経糸および緯糸の他方が、前記ポリマーマトリックスの屈折率と実質的に同様の屈折率を有する等方性繊維を含む、請求項22に記載の光学体。
【請求項25】
前記繊維織物の経糸および緯糸の他方が、前記ポリマーマトリックスの屈折率と実質的に異なる屈折率を有する等方性繊維を含む、請求項22に記載の光学体。
【請求項26】
前記繊維織物内の前記ポリマー繊維が、実質的に直線である、請求項21に記載の光学体。
【請求項27】
前記複数の複合繊維の複合繊維が、前記ポリマーマトリックスの断面においてランダムなパターンで配列される、請求項15に記載の光学体。
【請求項28】
前記複数の複合繊維の複合繊維が、前記ポリマーマトリックスの断面において規則的なパターンで配列される、請求項15に記載の光学体。
【請求項29】
前記ポリマーマトリックスが、前記複数のポリマー繊維を含む層として形成され、前記層が、実質的に平坦かつ平行な表面を有する、請求項15に記載の光学体。
【請求項30】
前記ポリマーマトリックスが、少なくとも1つの構造化表面を有する層として形成される、請求項15に記載の光学体。
【請求項31】
前記少なくとも1つの構造化表面が、屈折力を、前記光学体を透過された光に与える、請求項30に記載の光学体。
【請求項32】
前記少なくとも1つの構造化表面が、プリズム構造のアレイを含む、請求項30に記載の光学体。
【請求項33】
前記複合繊維の少なくとも1つが、前記マトリックスおよび前記散乱繊維を囲むカバー層を含む、請求項15に記載の光学体。
【請求項34】
光学体を製造する方法であって、
複合繊維を押出す工程であって、各複合繊維が、第2のポリマーから製造された充填剤内に分散された、第1のポリマーから製造された複数の散乱繊維を含み、前記第2のポリマーが可溶性である工程と、
前記第1のポリマーを、前記第1のポリマーが複屈折性になるように配向する工程と、
前記配向された複合繊維を含むヤーンを形成する工程と、
前記ヤーンを溶媒で洗浄して、前記第2のポリマーを除去する工程と、
ヤーンのアレイを形成する工程であって、前記ヤーンのアレイが好ましい配向を有する工程と、
前記ヤーンのアレイに樹脂を染み込ませる工程と、
前記樹脂を固める工程とを含む方法。
【請求項35】
前記ヤーンを形成する前、前記第1のポリマーを配向する工程をさらに含む、請求項34に記載の光学体を製造するための方法。
【請求項36】
前記ヤーンを形成した後、前記第1のポリマーを配向する工程をさらに含む、請求項34に記載の光学体を製造するための方法。
【請求項37】
前記ヤーンのアレイを形成する工程が、前記ヤーンを織る工程を含む、請求項34に記載の光学体を製造するための方法。
【請求項38】
前記ヤーンのアレイを形成する工程が、一軸配向された、ヤーンのトウを形成する工程を含む、請求項34に記載の光学体を製造するための方法。
【請求項39】
前記樹脂を固める工程が、前記樹脂を硬化させる工程を含む、請求項34に記載の光学体を製造するための方法。
【請求項40】
前記樹脂を硬化させる工程が、前記樹脂を光硬化させる工程を含む、請求項39に記載の光学体を製造するための方法。
【請求項41】
前記樹脂を硬化させる工程が、前記樹脂を熱硬化させる工程を含む、請求項39に記載の光学体を製造するための方法。
【請求項42】
前記樹脂を硬化させる工程が、前記樹脂が微細複製工具の表面と接触する間、前記樹脂を硬化させる工程を含む、請求項39に記載の光学体を製造するための方法。
【請求項43】
前記微細複製工具を使用して、前記光学体上に構造化表面を形成する工程をさらに含む、請求項42に記載の光学体を製造するための方法。
【請求項44】
光学体を製造する方法であって、
複合繊維を押出す工程であって、各複合繊維が、第2のポリマーから製造された充填剤内に分散された、第1のポリマーから製造された複数の散乱繊維を含み、前記第1および第2のポリマーの少なくとも1つが配向可能である工程と、
前記複合繊維をともに配列する工程と、
前記複合繊維を融合して、溶融光学体を形成する工程とを含む方法。
【請求項45】
前記複合繊維を融合する工程が、圧力および熱の少なくとも1つを前記複合繊維に加える工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記複合繊維を融合する工程が、圧力および熱の両方を前記複合繊維に加える工程を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記複数の複合繊維を融合する工程が、接着剤を使用して、前記複合繊維をともに結合する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記複数の複合繊維を融合する工程が、前記複数の複合繊維を溶媒で処理し、前記処理された複合繊維をともにプレスする工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
配向可能である、前記第1および第2のポリマーの少なくとも1つを配向するように、前記複合繊維をさらに延伸する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記複合繊維を融合する前、前記複合繊維を延伸する工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記複合繊維を融合した後、前記複合繊維を延伸する工程をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記複合繊維をともに配列する工程が、前記複合繊維を、互いに実質的に平行であるように配列する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記複合繊維をともに配列する工程が、前記複合繊維を少なくとも1つのトウに形成する工程を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記複合繊維をともに配列する工程が、前記複合繊維を少なくとも1つの繊維織物に形成する工程を含む、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図3M】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図7J】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−531865(P2008−531865A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558017(P2007−558017)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/003741
【国際公開番号】WO2006/093615
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】