説明

複合化された圧電基板の製造方法および複合化された圧電基板

【課題】圧電基板と絶縁体基板とが接着剤を介して貼り合わされた複合化された圧電基板の製造方法において、安価な絶縁体基板を用いたとしても熱処理後のソリの量が小さく、かつソリの大きさのバラツキが小さく安定している複合化された圧電基板の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、圧電基板と絶縁体基板のどちらか一方の主表面に接着剤を塗布する第1の工程と、前記接着剤を介して前記圧電基板と前記絶縁体基板とをお互いに貼り合わせる第2の工程と、前記貼り合わせた基板の温度を25±5℃となるように制御して、前記接着剤に紫外光を照射して該接着剤を硬化させる第3の工程と、前記貼り合わせた基板を所望の厚さまで研削する第4の工程と、該研削後の貼り合わせた基板を加熱して前記接着剤を完全に硬化させる第5の工程と、を具備することを特徴とする複合化された圧電基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合化された圧電基板(以下複合圧電基板とも表記)の製造方法に関するものであり、特に弾性表面波デバイス等に用いられる複合化された圧電基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の高周波通信において、周波数調整・選択用の部品として、例えば圧電基板上に弾性表面波を励起するための櫛形電極が形成された弾性表面波(Surface Acoustic Wave、SAW)デバイスが用いられる。
【0003】
これに用いられる圧電基板材料は、電気信号から機械的振動への変換効率(以下、電気機械結合係数と記す)が極めて大きいこと、また櫛形電極の電極間隔と弾性波の音速により決まるフィルタ等の中心周波数が温度により変動しないことが求められる(以下、周波数温度特性と記す)。
すなわち、大きな電気機械結合係数と小さな周波数温度係数を兼ね備えた圧電基板が有れば好ましい。こうした特性を実現する圧電基板の一例として、圧電基板と他の基板を接合した複合圧電基板がある。
【0004】
このような複合圧電基板の一例として、特許文献1にはタンタル酸リチウム基板とサファイア基板との接合界面に、0.3nm以上2.5nm以下の厚みのアモルファスの接合領域を備えていることを特徴とする接合基板が開示されている。
具体的には、特許文献1に記載の接合基板では、接合領域の厚みは1.5nm以上であり、150℃で1時間保持した後のソリの量が概ね200μm以下となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許公報3929983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、複合圧電基板に求められる重要な特性として、熱処理後の反り増加量が少ないことがある。
これは、SAWデバイスの製造工程においては熱処理を施すことが必要とされる場合があり、かかる熱処理後に基板に反りが生じると、その後のダイシング工程などで複合圧電基板をステージに吸着させることが困難となり、生産性が大幅に低下するためである。
【0007】
しかし、前述の特許文献1に記載の発明では、支持基板としてサファイア基板を用いている。サファイア基板は線熱膨張係数が小さいため、熱処理時のソリは小さい。しかし高価なため、安価な複合圧電基板とならず、これはこれで問題があった。
そして、近年、更にソリを低減させた安価な複合圧電基板が求められていた。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、圧電基板と絶縁体基板とが接着剤を介して貼り合わされた複合化された圧電基板の製造方法において、安価な絶縁体基板を用いたとしても熱処理後のソリの量が小さく、かつソリの大きさのバラツキが小さく安定している複合化された圧電基板の製造方法とその製造方法によって製造された複合化された圧電基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも、圧電基板と絶縁体基板のどちらか一方の主表面に接着剤を塗布する第1の工程と、前記接着剤を介して前記圧電基板と前記絶縁体基板とをお互いに貼り合わせる第2の工程と、前記貼り合わせた基板の温度を25±5℃となるように制御して、前記接着剤に紫外光を照射して該接着剤を硬化させる第3の工程と、前記貼り合わせた基板を所望の厚さまで研削する第4の工程と、該研削後の貼り合わせた基板を加熱して前記接着剤を完全に硬化させる第5の工程と、を具備することを特徴とする複合化された圧電基板の製造方法を提供する。
【0010】
このように、紫外光を照射して接着剤を硬化させる際に、貼り合わせた基板の基板温度を25±5℃と制御することによって、用いた基板の材質によらず作製する複合化された圧電基板のソリの量を従来に比べて小さなものとすることができる。
【0011】
ここで、前記第3の工程において、紫外光を照射する際の前記貼り合わせた基板の温度変化を±1℃以内となるように制御することが好ましい。
このように、紫外光を照射する際の貼り合わせた基板の温度変化を±1℃以内となるように制御することによって、作製する複合化された圧電基板のソリの量を従来に比べてより確実に小さなものとすることができる。
【0012】
また、前記第5の工程において、前記加熱前に、研削によって生じた研削歪層を除去することが好ましい。
このように、研削によって発生する欠陥を多く含む研削歪層を、接着剤を完全硬化させるための加熱処理前に除去することによって、所望の厚さを有し、且つソリの量が小さく、更に高品質の複合化された圧電基板を製造することができる。
【0013】
そして、前記圧電基板を、LiTaO、LiNbOのいずれかからなるものとすることが好ましい。
このように、圧電基板を、LiTaO、LiNbOのいずれかからなるものとすることによって、電気機械結合係数が大きく、また複合化された圧電基板の効果により動作周波数の温度変動が抑制された安価な複合化された圧電基板を提供することができる。
【0014】
更に、前記第5の工程を、前記貼り合わせた基板を加熱チャンバーに導入し、前記接着剤を完全硬化させる際の前記チャンバー内の温度を80℃以上とし、かつ前記貼り合わせた基板の基板の温度ムラを±1℃となるように制御することが好ましい。
このように、接着剤を硬化させるための加熱チャンバーの温度を80℃以上とすることによって、接着剤を確実に完全に硬化させることができる。また、貼り合わせた基板の基板の温度ムラを±1℃となるように制御して加熱・硬化させることによって、接着剤の硬化を更に確実に行うことができ、安定した複合化された圧電基板を製造することができる。
【0015】
また、本発明では、本発明に記載の複合化された圧電基板の製造方法により製造された複合化された圧電基板であって、該基板温度が25±5℃の時のソリの値が100μm以下であることを特徴とする複合化された圧電基板を提供する。
【0016】
上述のように、本発明の複合化された圧電基板の製造方法によれば、従来に比べてソリの小さい複合化された圧電基板を得ることができるため、このような本発明の複合化された圧電基板によって製造された複合化された圧電基板は、基板温度が25±5℃の時のソリの値が100μm以下と非常に小さなものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の複合化された圧電基板の製造方法によれば、そのソリの量が小さな複合化された圧電基板を、安定して歩留りよく製造することができる。また、ソリの量の小さい安価な複合化された圧電基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の複合化された圧電基板の概略の一例を示した図である。
【図2】接着剤硬化のための紫外光照射時の、貼り合わせた基板の基板温度と複合化された圧電基板のソリの量の関係を示した図である。
【図3】接着剤硬化のための紫外光照射時の貼り合わせた基板の基板温度を一定とした時の、貼り合わせた基板の温度の変化量と、複合化された圧電基板のソリの量の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、圧電基板と絶縁体基板とが接着剤を介して貼り合わされた複合化された圧電基板の製造方法において、安価な絶縁体基板を用いたとしても熱処理後のソリの量が小さく、かつソリの大きさのバラツキが小さく安定している複合化された圧電基板の製造方法とその製造方法によって製造された複合化された圧電基板の開発が待たれていた。
【0020】
そこで、本発明者は、熱処理後にソリが大きくなる原因について鋭意検討を重ねた。
【0021】
その結果、圧電基板と絶縁体基板とを接着剤を介して貼り合わせて作製した複合化された圧電基板は、接着剤の硬化条件でソリの大きさが大きく変動してしまうことが判った。
そのため、接着剤の硬化条件を安定化させないと、出来上がった複合化された圧電基板のソリは大きなバラツキを持ったものとなってしまうばかりか、良好なソリを有するものが出来ないことも判った。
【0022】
そこで、ソリの大きさを小さくすることができ、またロット間でのバラツキの小さな複合化された圧電基板を歩留りよく製造するための接着剤硬化条件について鋭意検討を重ねた。
そして、本発明者は、紫外光を照射して接着剤を硬化させるときの貼り合わせた基板の基板温度及び温度変動について着目し、種々検討した。
【0023】
その結果、図2に示すように、接着剤を硬化させる紫外光照射の際の圧電基板と絶縁体基板が貼り合わされた基板の基板温度を25±5℃とすることが重要であることを発見し、本発明を完成させた。
【0024】
以下、本発明について図を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図1は、本発明の複合化された圧電基板の概略の一例を示した図である。
本発明の複合化された圧電基板10は、少なくとも、圧電基板11と絶縁体基板12が接着剤13を介して貼り合わされたものであって、かつ複合化された圧電基板10は、その基板温度が25±5℃の時のソリの値が100μm以下となっているものである。
【0025】
このように、基板温度が25±5℃の時のソリの値が100μm以下の複合化された圧電基板であれば、例えばSAWデバイスの製造工程等において、基板のソリによってハンドリングが困難となることを防止することができ、生産性が大幅に低下する問題を回避することができる。
【0026】
上記のような、本発明の複合化された圧電基板は、以下に示すような製造方法によって製造することができる。しかしもちろんこれに限定されるものではない。
【0027】
まず、少なくとも、圧電基板と絶縁体基板を準備する。
この準備する圧電基板と絶縁体基板は、所望の物性値を有するものを準備することができるが、圧電基板は、LiTaO、LiNbOのいずれかからなるものとすることができる。また、本発明では準備する絶縁体基板としては、必ずしもサファイア基板のような高価なものを用いらなくともソリを小さくすることができる。
圧電基板が、LiTaO、LiNbOのいずれかからなるものであれば、これらは電気機械結合係数が大きい結晶材料なので、周波数選択フィルタとしての帯域幅が広く、また挿入損失が小さく、更に動作周波数の温度変動が抑制されたSAWデバイスが製造可能な複合化された圧電基板を製造することができる。
また、これらの圧電結晶材料からなる圧電基板は、例えばチョクラルスキー法でこれらの単結晶棒を育成し、これを所望の厚さにスライスすることによって高品質なものが得られる。また、基板方位についても、36°回転Yカット、42°回転Yカット、48°回転Yカット等、圧電性結晶材料の種類やSAWデバイスの用途、所望特性等に応じて適宜選択することができる。
【0028】
そして第1の工程として、準備した圧電基板と絶縁体基板の少なくとも一方の主表面に、紫外線硬化型の接着剤を塗布する。
この紫外線硬化型の接着剤は、紫外線が照射されることで硬化するものであれば特に限定されないが、例えばエポキシメタクリレートを主成分とするものや、ジオキシ構造を持つエポキシ樹脂とすることができる。
またその塗布方法も一般的な方法を用いることができるが、例えばスピンコーティング等がある。
【0029】
その後、第2の工程として、先に塗布した接着剤を介して、圧電基板と絶縁体基板を貼り合わせて、貼り合わせた基板とする。
【0030】
そして、第3の工程として、先に貼り合わせた基板の基板温度を25±5℃となるように制御して、接着剤に紫外光を照射して硬化させる。
このように、紫外光照射時の貼り合わせた基板の基板温度を25±5℃となるように制御することによって、接着剤を常温で硬化させることができ、ソリの小さな複合化された圧電基板を歩留り良く製造することが可能となる。
【0031】
ここで、貼り合わせた基板に紫外光を照射させて接着剤を硬化させる際、貼り合わせた基板やその周辺の冷却を行わないと、基板温度は室温から50℃以上(照度が強い場合100℃程度までに)も上昇してしまう。このため、本発明のように基板温度を25±5℃にするためには、紫外光の照射の際に、貼り合わせた基板の周辺を冷却して基板温度が25±5℃となるように制御することが求められる。このように、例えば80℃以上といった高温で接着剤を硬化させると、室温に戻った時にソリが生じることが判った。
【0032】
図2に示すように、硬化させる際の基板の温度が25±5℃の範囲外であると、製造終了時に室温に戻った際に複合化された圧電基板のソリが大きくなってしまう。このため、紫外光照射時には、貼り合わせた基板の温度を25±5℃の間に入るように制御する必要がある。
ここで、図2は、紫外光照射時の貼り合わせた基板の基板温度と、複合化された圧電基板のソリの量との関係を示した図である。そして図2では、紫外光照射中の基板の温度変化が0.5℃以内となるように制御した。また、図2において、複合化された圧電基板のソリの方向は、+方向は圧電基板側に凹(絶縁体基板側に凸)となる場合で、−(マイナス)方向は絶縁体基板側に凹(圧電基板側に凸)となる場合のことである。
【0033】
また、この第3の工程において、紫外光を照射する際の貼り合わせた基板の温度変化を±1℃以内となるように制御することができる。
図3に示すように、紫外光照射時の基板の温度変化を1℃以下に抑えることによって、基板のソリの量を更に小さなものとすることができることが判った。ここで図3は、紫外光照射中の貼り合わせた基板の基板温度の変化量と、複合化された圧電基板のソリの量の関係(照射開始時の基板温度を25℃一定とした)を示した図である。
このように、紫外光照射時の貼り合わせた基板の温度変化を1℃以下に抑制することによって、更にソリの値の小さな複合化された圧電基板を安定して製造することができる。
【0034】
その後、第4の工程として、貼り合わせた基板の主に圧電基板側を所望の厚さまで研削する。この工程は通常の工程通りの行うことができる。
【0035】
そして、第5の工程として、研削後の貼り合わせた基板を加熱して、接着剤を完全に硬化させる。これによって、複合化された圧電基板を製造することができる。
【0036】
ここで、この完全硬化用の加熱の前に、研削によって生じた研削歪層を除去することができる。
この研削歪層の除去は、例えばポリッシング等によって行うことができる。
このように、欠陥が多く存在する研削歪層を加熱前に除去することによって、良好な結晶性の圧電基板からなる複合化された圧電基板を得ることができる。またこの研削歪層の除去をポリッシング等で行うことによって、貼り合わせた基板の圧電基板を所望の厚さに高精度に加工することができ、高平坦性かつ所望の厚さの複合化された圧電基板を効率よく製造することができる。
【0037】
また、この第5の工程を、貼り合わせた基板を加熱チャンバーに導入して、接着剤を完全硬化させる際のチャンバー内の温度を80℃以上とし、かつ貼り合わせた基板の基板の温度ムラを±1℃となるように制御することができる。
これによって、接着剤を安定して確実に完全硬化させることができる。そして加熱の際の貼り合わせた基板の温度ムラを±1℃とすることによって、接着剤を更に安定してムラなく完全硬化させることができ、ソリの量が更に小さい複合化された圧電基板を製造することができる。
【0038】
以上のような本発明の複合化された圧電基板の製造方法によって、ソリの量が従来より小さく、そしてソリの量が安定した複合化された圧電基板を歩留りよく製造することができる。また、この時必ずしも高価な絶縁体基盤を用いらなくともソリの抑制が可能となる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
直径4インチ(100mm)で厚さが215μm、貼り合わせ面とその反対側の面のそれぞれの表面粗さRaが共に0.3μm、ヤング率が340GPa、抵抗率が1015Ωcmであるアルミナ基板を絶縁体基板として用意した。
また、圧電基板として、直径4インチ(100mm)の36°回転Yカットタンタル酸リチウム(LiTaO)基板を用意して、この圧電基板の厚さが160μmとなるよう両面粗研磨により表裏面の粗さが0.13μmとなるよう仕上げた。
【0040】
そして、このアルミナ基板にエポキシメタクリレートを主成分とする紫外線硬化接着剤をスピンコートによって貼り合わせ面上に均一に塗布した。
また、LiTaO基板の貼り合わせ面を洗浄し、前述の接着剤を同様に塗布し、アルミナ基板の接着剤塗布面とLiTaO基板の接着剤塗布面を貼り合わせた。
【0041】
次に、この貼り合わせた基板に、照度50mW/cmの紫外線を5分間照射し、接着剤を硬化させた。この時、貼り合わせた基板の基板温度が25℃、温度変化が±0.5℃となるように基板温度を制御して、紫外光を照射した。
このとき貼り合わせた基板面内で接着剤の層の厚さは一様に5μmだった。
【0042】
そして、この貼り合わせた基板を面取り加工した後、圧電基板であるLiTaO基板の表面側を研削により120μm削り落とし、さらにポリッシュによりLiTaO基板の厚さが30μmになるようにした。
このようにして作製した貼り合わせた基板を、150℃に加熱したチャンバーに導入し、基板面内の温度ムラが±0.5℃となるように制御して加熱することで接着剤を完全に硬化させて、複合化された圧電基板を製造した。
【0043】
そして製造した複合化された圧電基板のソリの量を24.5℃で評価した結果、ソリの量は−30μmであった。
【0044】
(実施例2,3,4,5、比較例1,2)
実施例1において、紫外光照射時の基板温度を18℃(比較例1)、20℃(実施例2)、22℃(実施例3)、28℃(実施例4)、30℃(実施例5)、32℃(比較例2)とした以外は実施例1と同様の方法で複合化された圧電基板を製造し、同様にソリの量を評価した。
【0045】
その結果、実施例2の複合化された圧電基板のソリの量は165μm、実施例3は85μm、実施例4は−140μm、実施例5は−210μm、比較例1は270μm、比較例2は−300μmとなっていた。
すなわち、紫外光照射時の基板温度を20〜30℃(25±5℃)の範囲内に納めることによって、ハンドリングが困難とならない範囲である175〜−225μmのソリの量の複合化された圧電基板を製造することができ、特には±100μm以下にもできることが判った。
従来、アルミナ基板を用いて約80℃で紫外光照射が行われていた時にはソリの量が−400μm以上になっていたが、これと比較すると大幅な改善となった。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0047】
10…複合化された圧電基板、 11…圧電基板、 12…絶縁体基板、 13…接着剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、圧電基板と絶縁体基板のどちらか一方の主表面に接着剤を塗布する第1の工程と、
前記接着剤を介して前記圧電基板と前記絶縁体基板とをお互いに貼り合わせる第2の工程と、
前記貼り合わせた基板の温度を25±5℃となるように制御して、前記接着剤に紫外光を照射して該接着剤を硬化させる第3の工程と、
前記貼り合わせた基板を所望の厚さまで研削する第4の工程と、
該研削後の貼り合わせた基板を加熱して前記接着剤を完全に硬化させる第5の工程と、を具備することを特徴とする複合化された圧電基板の製造方法。
【請求項2】
前記第3の工程において、紫外光を照射する際の前記貼り合わせた基板の温度変化を±1℃以内となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の複合化された圧電基板の製造方法。
【請求項3】
前記第5の工程において、前記加熱前に、研削によって生じた研削歪層を除去することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合化された圧電基板の製造方法。
【請求項4】
前記圧電基板を、LiTaO、LiNbOのいずれかからなるものとすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の複合化された圧電基板の製造方法。
【請求項5】
前記第5の工程を、前記貼り合わせた基板を加熱チャンバーに導入し、前記接着剤を完全硬化させる際の前記チャンバー内の温度を80℃以上とし、かつ前記貼り合わせた基板の基板の温度ムラを±1℃となるように制御することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の複合化された圧電基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の複合化された圧電基板の製造方法により製造された複合化された圧電基板であって、該基板温度が25±5℃の時のソリの値が100μm以下であることを特徴とする複合化された圧電基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−251978(P2010−251978A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98228(P2009−98228)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】