複合導波路
【課題】モードサイズを有意に増加し、実質的に単一モードのコアによって広モード域ファイバーとなるファイバー構造を提供する。
【解決手段】螺旋結合コア(HCC)ファイバー20は、広モード域の中心コア22と、螺旋側面コア24とを含む。中心コアはほぼ直線状であり、螺旋側面コアは螺旋結合コア(HCC)ファイバーの周縁部の周りに螺旋状に巻かれている。中心コアの全ての高次モードは大きな損失を有し、一方中心コアの基本モードは無視できる損失を有する。中心コアの高次モードは螺旋側面コアと効率よく結合する。螺旋側面コアを伝搬するモードに対して大きな損失を与え、中心コアの結合された高次モードに大きな損失を与える。したがって、螺旋結合コア(HCC)ファイバーの中心コアは実質的に単一モードである。
【解決手段】螺旋結合コア(HCC)ファイバー20は、広モード域の中心コア22と、螺旋側面コア24とを含む。中心コアはほぼ直線状であり、螺旋側面コアは螺旋結合コア(HCC)ファイバーの周縁部の周りに螺旋状に巻かれている。中心コアの全ての高次モードは大きな損失を有し、一方中心コアの基本モードは無視できる損失を有する。中心コアの高次モードは螺旋側面コアと効率よく結合する。螺旋側面コアを伝搬するモードに対して大きな損失を与え、中心コアの結合された高次モードに大きな損失を与える。したがって、螺旋結合コア(HCC)ファイバーの中心コアは実質的に単一モードである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願に対するクロス−リファレンス〕
本出願は、2004年7月14日に出願された米国仮特許出願60/587,988号の優先権を主張し、上記米国仮特許出願は、その全体が、参照することによって本出願に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載された本発明の実施の形態は、大まかに言って、光導波路に関し、より詳しく言うと、光ファイバーに関する。
【背景技術】
【0003】
ファイバーレーザーシステムは、高輝度半導体ダイオードポンプの発達、および、広モード域ファイバー(large-mode area fibers)の出現、に起因して、出力電力を急速に増加させてきた。広モード域ファイバーは、ファイバーコアでの非線形相互作用の悪い効果を減らし、ファイバーの光学的損傷の受けやすさを減らし、そして、二重クラッドファイバーのクラッドの寸法をより大きくして、高出力を達成することを容易にしている。
【0004】
その結果、ファイバーレーザーは、現在までのところ、通常の固体レーザーで利用可能な出力よりも二桁程度大きい、回折が制限された出力、を供給できる、最も強力な固体レーザー技術となっている。ファイバーレーザー技術の向上は、ファイバーレーザーの実用的な性質に起因して、さらにより重要である。もちろん、ファイバーレーザーは、モノリシックで、コンパクト、かつ、非常に効率の良いレーザーの技術的なプラットフォームを提供し、ファイバーレーザーは、電子装置を製造するのと同様の、そして、通常のオープンキャビティレーザー(気体レーザー)で典型的に必要とされる複雑で熟練した技を必要とする組み立てとは非常に異なる、方法で生産できる。したがって、現在用いられている通常の固体レーザーの大多数を、非常により小型で、信頼性が高く、効率が良く、廉価な、ファイバーレーザーで、置き換える可能性があり、したがって、レーザーの用途の大多数を大きく発展させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、広モード域(large-mode-area)(LMA)ファイバーの使用を可能にする3つの技術、すなわち、(i)多モードコアを単一モードで励起する方法、(ii)適切に巻かれたファイバーで分散モードフィルタリングを行う方法、および、(iii)フォトニック結晶広モードファイバーを用いる方法、が存在する。これらの3つの技術は、技術(i)および技術(ii)の両方が、多モードコアファイバーを使用するのに対して、技術(iii)が単一モードコアファイバーを用いる点でまったく異なるにもかかわらず、許容可能な最大のモードサイズがほぼ同じように制限されている。
【0006】
しかし、モードサイズを増加(scaling)する現在の方法は、多くの重要な実用上の側面によって非常に限定されている。第一に、モードサイズは制限されていて、したがって、電力およびエネルギーの増加をさらに制限している。第二に、大きなコアのファイバーの使用は、コアの多モードの性質によって制限されている。第三に、ファイバーを直接接続(スプライス)することはできず、通常の融合された単一モードの装置は不可能である。したがって、ファイバーレーザー技術がさらに実用上発展することが、妨げられていて、その理由は、ファイバーレーザーの製造が、単一モードのテレコムスタイルの装置と比較して、非常により複雑なためである。
【0007】
したがって、モードサイズを有意に増加し、実質的に単一モードのコアによって広モード域ファイバーを提供する、ファイバー構造が必要とされている。好ましくは、そのようなファイバーの構造は、標準的な単一モードファイバーの接続方法を使用できるようにもする。さらに、そのようなファイバーの構造は好ましくは、インデックスガイド(index-guiding)ファイバー、およびフォトニック結晶ファイバーに適用可能であろう。さらに、ファイバーの構造は、好ましくは、広モードフィールドの直径に対する曲げ効果に対して敏感ではない。これによって、ファイバーのモード特性が巻き方ではなく構造によって決定されるようにできる。最後に、そのようなファイバーの構造は、好ましくは、複雑なモードフィルタリングおよび励起方法を必要とせず、ファイバーが受動フィルターおよび増幅フィルターの両方で用いられてよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複合導波路が開示される。複合導波路は、中心コアと、中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、かつ中心コアに光学的近傍に配置された少なくとも一つの側面コアと、を有する。中心コアは、広モード域用に構成されていてよく、複合導波路は、インデックスガイド(index-guiding)ファイバーまたはフォトニック結晶ファイバーとして構成されていてよい。別の実施の形態では、中心コアは、一次モードを導くように構成されていてよい。中心コアは、直線状でもあってよい。側面コアは、側面コアと中心コアのモードとの効率の良い選択的な結合を提供するように構成されていてよい。側面コアと中心コアとの結合は、中心コアの予め決められた高次モードのみが実質的に側面コアと結合されるように、構成されていてよい。側面コアは、側面コアに沿って伝播するモードに対して大きな損失を提供するようにさらに構成されていてよい。中心コアのモードフィールドと側面コアのモードフィールドは、少なくとも部分的に重なり合っていてよい。
【0009】
代わりに、複合導波路は、中心コアと、中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、中心コアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの側面コアと、中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、中心コアの長手方向に沿って方位角的に変化する向きで中心コアに応力を加える、少なくとも一つの応力フィラメントと、を含んでいてよい。
【0010】
別の実施の形態では、複合導波路は、中心コアと、中心コアの周りに螺旋状に巻かれた少なくとも一つの側面コアと、中心コアと光学的に連絡する、側面コアの第1のエッジと、複合導波路の外径のほぼ近くに配置された、側面コアの外側部分と、を含んでいてよい。外側部分は、少なくとも一つの構造欠陥を含み、その構造欠陥は、複合導波路のモード損失を促進する。構造欠陥は、キャピラリースタック(capillary stacking)、ドーパント、または、ドーパントの吸収、によって、構成されていてよい。
【0011】
さらに、複合導波路は、一次モードを導く手段と、一次モードを導く手段の周りに螺旋状に配置された、高次モードを導く手段と、を含んでいてよい。さらに、高次モードを導く手段は、高次モードの損失を増加する手段を含んでいてよい。
【0012】
複合導波路の製造方法は、中心コアと少なくとも一つのオフセンターの側面コアとを含むファイバープリフォームを線引きする過程と、複合導波路が線引きされるときにファイバープリフォームを回転させる過程と、を含んでいてよい。中心コアは、広モード域用に構成されていてよく、ファイバー線引き炉は、ファイバープリフォームを回転させるために回転させられてよい。それに代わって、複合導波路は、インデックスガイドファイバーまたはフォトニック結晶ファイバーとして構成されていてよい。回転速度は、実質的に一定であってよい。オフセンターの側面コアの螺旋周期は、回転速度および/またはファイバープリフォームの線引き速度によって決定されてよい。回転の向きは、周期的に反転されていてよい。回転速度は、オフセンター側面コアの可変の螺旋周期を提供するように変えられてよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、モードサイズを有意に増加し、実質的に単一モードのコアによって広モード域ファイバーを提供する、ファイバー構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】第1の実施の形態に基づく複合導波路の斜視図である。
【図1B】図1の複合導波路の断面図である。
【図2】図1の複合導波路の基本モード(LP01)および高次モード(LP11)の断面および3次元分布図である。
【図3A】図1の複合導波路の30μmの寸法の中心コアに対する正確な位相整合モードおよび擬似位相整合モードの間の差を示すグラフの図である。
【図3B】図1の複合導波路の60μmの寸法の中心コアに対する正確な位相整合モードおよび擬似位相整合モードの間の差を示すグラフの図である。
【図4】複合導波路の別の実施の形態の断面図である。
【図5】図4の複合導波路の入力での、およびある程度の伝播距離の後の横モードスペクトルのグラフの図である。
【図6】(A)〜(D)は、図4の複合導波路を伝播した後のビーム分布のグラフの図である。
【図7】図4の複合導波路の螺旋周期の関数としてのさまざまなモードに対するモード損失を示すグラフの図である。
【図8】図4の複合導波路と等価な寸法の真に単一モードのファイバーでの電力推移を比較したグラフの図である。
【図9A】複合導波路のさらに別の実施の形態を示す図である。
【図9B】複合導波路のさらに別の実施の形態を示す図である。
【図9C】複合導波路のさらに別の実施の形態を示す図である。
【図9D】複合導波路のさらに別の実施の形態を示す図である。
【図10A】中心コアの寸法が増加した、図1の複合導波路に対する側面コアおよび中心コアのモードLP01およびLP11の間のモード結合を示す図である。
【図10B】中心コアの寸法が増加した、図1の複合導波路に対する側面コアおよび中心コアのモードLP01およびLP11の間のモード結合を示す図である。
【図10C】中心コアの寸法が増加した、図1の複合導波路に対する側面コアおよび中心コアのモードLP01およびLP11の間のモード結合を示す図である。
【図11A】図1の複合導波路と共に用いるためのリングタイプのファイバーコアの形状の断面図である。
【図11B】図11Aのリングタイプのファイバーコアに対するインデックス分布の図である。
【図12】図1の複合導波路にファイバーの長手方向に沿って方位角的に変化する向きで応力を加える応力フィラメントを示す図である。
【図13A】図1の複合導波路の製造方法の実施の形態を示す図である。
【図13B】図1の複合導波路の製造方法の実施の形態を示す図である。
【図13C】図1の複合導波路の製造方法の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の特徴および発明性のある態様は、以下の記載がその簡単な説明である図面と共に、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を読むことで、より明らかになるはずである。
【0016】
こんどは、図面を参照すると、例示的な実施の形態が詳しく示されている。図面は実施の形態を示しているが、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、いくつかの特徴部が、実施の形態の革新的な態様をより良好に図示し説明するために、強調されていることがある。さらに、本明細書に記載された実施の形態は、網羅的であることも、本発明を図面に描かれ以下の詳細な説明に記載された正確な形状および構成に制限または限定することも、意図されていない。
【0017】
こんどは、図1を参照すると、螺旋結合コア(HCC)ファイバー20が示されている。HCCファイバー20は、広モード域の中心コア22と、螺旋側面コア24と、を含んでいる。中心コア22は、ほぼ直線状であり、螺旋側面コア24は、HCCファイバー20の周縁部の周りに螺旋状に巻かれている。中心コア22は、z方向のモードの伝播を導き、螺旋側面コア24は、中心コア22の周りの螺旋経路を伝播するモードを支持する。螺旋側面コア24は、中心コア22と光学的近傍に配置されているので、HCCファイバー20は、複合導波路である。隣接したコア22,24の光学的フィールドは、部分的に重なり合っていて、したがって、相互に作用する。
【0018】
構造によって、中心コア22の全ての高次モードは大きな損失を有し、一方、中心コア22の基本モードは無視できる損失を有する。中心コア22および螺旋側面コア24の複合構造は、中心コア22の高次モードと螺旋側面コア24との間の効率がよく非常に選択的な結合を提供する。さらに、複合構造は、螺旋側面コイル24を伝播するモードに対して大きな損失を与え、中心コア22の結合された高次モードに大きな損失を分与する。したがって、HCCファイバー20の中心コア22は、実質的に単一モードである。
【0019】
中心コア22と螺旋側面コア24との光学的な近さは、隣接するコア22,24のモードフィールドが重なり合うように、決定されている。光学的な近さを提供するために、隣接するコア22,24は、間隔「D」だけ隔てられていて、間隔「D」は、その光学的な波長で隣接するコア22,24のモードフィールドが有意のモードフィールドの重なり合いを有する光学的な波長の長さのスケールに匹敵する。中心コア22および螺旋側面コア24は、モード対称性によって結合されている。換言すれば、隣接するコア22,24は、異なるモードの方位角的形状と半径方向の形状との間の差によって結合されるように、構成されていてよい。
【0020】
中心コア22および螺旋側面コア24すなわちHCCファイバー20の構成および結合が、図1から図9を参照して以下に詳しく説明される。通常は、2つの直線状の導波路の2つのモードの間の電力結合は、2つのモードの位相速度(または、等価的に、伝播定数β(1)およびβ(2))が、等しくなった(2つのモード間の正確な位相整合の)場合にのみ、起こる。螺旋側面コア24が中心コア22の周りに螺旋状に巻かれている場合、位相整合の条件は、側面コアのモード経路の螺旋性に起因して、変更されるようになり、螺旋性は、ファイバーの軸zに沿った側面コアでのモードの伝播を実質的に「遅らせる」。この場合、モード結合の位相整合条件は、β(1)+ΔβHelix_corr.=β(2)となり、ここで、β(1)およびβ(2)は、各々、螺旋コアモード伝播定数および中心コアモード伝播定数であり、螺旋性の補正は、
【0021】
【数1】
によって記述される。ここで、Rは螺旋の半径であり、Λは螺旋周期である。
【0022】
さらに位相整合機構を明らかにするために、中心コアモードの方位角構造を考慮しなければならない。図1に基づくHCCファイバー20に関連する円筒座標系(r,φ,z)では、中心コア22のモードは、半径のみの関数の成分と方位角のみの関数の成分との積:E(r,φ)=E(r)sin(lφ)として表される。ここで、整数lは特定の各モードの方位角次数を表している。これは、図2に示されている、基本モード(LP01)および高次モード(LP11)の2Dおよび3D形状によって示されている。螺旋側面コアの方位角位置は、周期ΛでHCCファイバー20に沿ってファイバーの軸zを中心にして回転しているので、l>0の中心コア22のモードに対しては、z軸に沿って伝播する中心コア22のモードと螺旋側面コア24のモードとの間で、各Λの後に獲得される、2πlの追加的な位相差が存在する。この位相差に起因して、螺旋性の補正の要因に追加的な項が存在するようになる。
【0023】
【数2】
【0024】
この項は、中心コア22のモードと螺旋側面コア24との間の擬似位相整合(QPM)として記述されてよい。中心コア22の基本モードは、l=0なので、方位角または半径方向の位相依存性は存在せず、擬似位相整合はない。例えば、中心コア22の基本モードLP01と、次のモードLP11の伝播定数が、恣意的に近い(非常に大きいコアサイズの場合に起こりえる)場合でさえ、擬似位相整合を適正に使用することによって、LP11のみが螺旋的に伝播するモードと強力に相互作用するようになり、したがって、LP11のみが損失的になる。半径方向の対称性の差(半径方向の位相依存性)による選択は、HCCファイバー20でも起こりえることが注意され、l=0での高次モードの抑制を可能にする。
【0025】
正確な位相整合のモード結合と擬似位相整合のモード結合との差が図3Aに明らかにされていて、図3Aは、結合モード理論を例示していて、中心コア22のLP01およびLP11から螺旋側面コア24の単一モードへのモード結合の結果が、螺旋周期の関数として示されている。HCCファイバー20の構造は、30μmおよび0.06開口数(NA)の中心コア22と、中心コア22から4μmだけ離れた(エッジからエッジまでの間隔)単一の8μmおよび0.07NAの螺旋側面コア24と、からなる。
【0026】
図示されているように、50パーセントの結合が、平均で全体の電力の半分がコア22,24の各々に存在するようにしている。位相整合したLP01モード30と擬似位相整合したLP11モード32,34との定性的な差は、LP01結合が単一の狭いピークを表しているのに対して、LP11結合が2つのピーク(第2のピークはLP01モードのピークよりとても広く、LP01モードのピークからかなり離れている)を表していることである。図3Bは、60μmの寸法の中心コア22に対する結合を示している。再び、LP11モード32,34に対する周期へのモード結合の依存性は、LP01モード30に対する周期への依存性とは非常に異なる。また、図3Aの30μmの中心コア22と比較された、60μmの中心コア22のファイバーに対するより狭い「ピーク」が注目される。そうなので、HCCファイバー20の寸法を増加することに関して、技術的なトレードオフが存在し、中心コア22の寸法の増加は、製造中のより厳しい許容誤差を必要とする。この共振特性が、全ての実用上の目的に対して十分に広く、以下に詳しく記載されるいくつかの用途に対して有益である、100nmから200nmのスペクトル帯域幅を許容する。
【0027】
HCCファイバー20’の別の実施の形態が、図4に示されていて、HCCファイバー20’は、中心コア22と、第1の螺旋コア40と、第2の螺旋コア42と、を含んでいる。第1の螺旋コア40は、中心コア22に沿って螺旋状に巻かれ、中心コア22の光学的近傍に配置されていて、R1は、中心コア22の中心軸から第1の螺旋コア40の中心軸までの距離を表し、D2は、第1の螺旋コア40の直径を表している。第2の螺旋コア42は、同様に中心コア22に沿って巻かれているが、第1の螺旋コア40の光学的近傍に配置されていて、R2は、中心コア22の中心軸から第2の螺旋コア42の中心軸までの距離を表し、D3は第2の螺旋コア42の直径を表している。
【0028】
図1の単一螺旋構造と比較すると、上記の図3Aおよび図3Bの結合モードは、螺旋誘起損失を含まず、そうなので、HCCファイバー20’のモード整合特異性の詳細を示している。擬似位相整合および螺旋側面コアでの損失の両方の効果を正確に予測することは、ビーム伝播数値シミュレーションによって行われてよい。ある具体的な構造に対する結果が、図5、表1、および、表2に関して、以下に詳しく記載される。例えば、中心コア22は、30μmの直径を有し、開口数0.06に対応するステップ状の形状のコア−クラッドの屈折率を有し、中心コア22自体が5つの導かれたモードを支持している。第1の螺旋コア40および第2の螺旋コア42は、2つの12μmの直径のコアからなり、互いに、エッジからエッジまでの間隔が2μmである。さらに、第1の螺旋コア40は、中心コア22から、エッジからエッジまでの間隔が2μmで、離れている。構造の細部が、以下の表1に示されていて、構造自体が図4に示されている。
【0029】
【表1】
【0030】
図5は、螺旋周期が8.1mmの、図4のHCCファイバー20’の入力での、および、HCCファイバー20’を約16cmおよび約65cm伝播した後の、横モードスペクトルを示している。入力での励起ビームは、5つの中心コア22のモードの全てが励起されるように、選択されている。中心コア22のモードのうち4つのモードは、各々が、全入力ビーム電力の12.5%を含み、1つのモード(LP02)は全入力電力の50%を含んでいる。線50は、5つのモードの入力スペクトルを表している。線52は、HCCファイバー20’を16.384cm伝播した後のモードスペクトルを表している。線54は、HCCファイバー20’を65.536cm伝播した後のモードスペクトルを表している。図示されているように、基本モード(LP01)は、無視できる(グラフのプロットのスケールでは観測できない)損失を伴って伝播し、一方、全ての高次モードは、高次モードの電力が数桁の振幅の減少を経験している。例えば、16cmを伝播した後は、全ての高次モードは、100倍以上抑制されている。65cm伝播した後は、全ての高次モードは、106倍抑制されている。8.1mmの螺旋周期に対する計算されたモード損失が、表2に示されている。
【0031】
【表2】
【0032】
計算されたモード損失が、図6にさらに示されていて、図6では、HCCファイバー20’構造を伝播した後のビーム形状が示されている。中心コア22を30cm伝播した後に、中心コア22の基本モードのみが残っている。
【0033】
図7は、螺旋周期の関数としてのHCCファイバー20’のさまざまなモードのモード損失が示されている。LP01モード55、LP11モード56、LP21モード57、LP02モード58、および、LP31モード59、が示されている。基本モードの損失が無視でき、そして、同時に、LP11モード56以上の全ての高次モードの損失が大きい、広い範囲の螺旋周期(7.5mmから10mm)が存在する。LP11モード56は、基本モードLP01モード55に最も近く、典型的には、最も抑制するのが難しいことが判明している。この図面から分かるように、LP11モード56は、2つの螺旋周期、8.1mmおよび10mmで、抑制されている。10mmの螺旋周期でのLP11モードの損失、〜約50dB/mは、8.1mmでの損失よりもかなり小さいが、依然として、全ての実用上の目的に対しては非常に大きい。さらに、10mmの螺旋周期でのLP01モード55の損失は、0.3dB/m未満である。図7に示された例は、HCCファイバー20,20’の構造が、有意な構造上の余裕を伴って設計されていて、それらの構造の実際の実施を容易にしていることを示している。
【0034】
高次モードでのそのような大きな損失が、LMAコアでのモード間散乱でさえもが大きく抑制されるようになるので、HCCファイバー20,20’を実質的に単一モードにしている、ことに注目することが重要である。図8は、HCCファイバー20,20’での電力推移(power-transients)、および、等価な寸法の真の単一モードファイバー(非常に低い、0.02NAおよび30μmコア)での電力推移、を比較して示している。真の単一モードファイバー(SMファイバー)での電力推移は、5cm以内で起きていて、HCCファイバー20,20’では、ファイバーの長さの10cm以内で起きていて、HCCファイバー20,20’が、真の単一モードファイバーと実質的に同様に振舞うことを示している。長さの短いHCCファイバー20,20’でさえもが、基本モードのみを伝達し、したがって、受動ファイバーのリード線が典型的には10cmから30cmまでの長さを超えてはならない、全てのモノリシック・ファイバーLMAファイバーレーザーシステムを大きく促進することを、意味している。
【0035】
HCCファイバー20のさらに別の実施の形態が、図9Aから図9Dに示されている。図9Aから図9Dに示された別の実施の形態は、隣接するコア間の相互作用によって決まるカテゴリーに分類される。図9Aは、光学的な近さの相互作用が、半径方向で、そして、中心コア22と側面コア24’の間のみで、起こり、側面コア24’の間では起こらない、構造を示している。これらの別の実施の形態は、側面コア24’の個数、相対的な位置、および、寸法に関して、互いに異なっているが、側面コア24’のいずれもが相互に作用するほど十分には接近して配置されていない。図9Bは、光学的近さの相互作用が、中心コア22と側面コア24’との間で半径方向で起こり、さらに、半径方向の長さに沿った一つ以上の層(同心リングを形成する)に配列された隣接する側面コア24’との間でも起こる、構造を示している。図9Cは、中心コア22と側面コア24’との間の相互作用が半径方向で起こり、同時に、同心リングに沿って一列に配置された側面コア24’同士の間の相互作用が方位角方向に沿って起こる、構造を示している。図9Dは、隣接する側面コア24’同士の相互作用が半径方向および方位角方向に沿って起こる、構造の例を示している。
【0036】
図9Aから図9Dに示された別の実施の形態の上記の例は、本発明の考えられる構造の例示的な例を図示および記載するためにのみ提供された。これらの構造、ならびに、図1A、図1B、および、図4、に示された構造は、網羅的なものであることも、本発明をいずれかの記載された形態に限定することも、意図されていない。コアの相対的な位置、コアの個数、コアの寸法および形状、ならびに、コアの屈折率および屈折率の分布、に関する非常に多くのさまざまな他の選択肢が存在し、したがって、望ましい選択モード結合、および、選択モード損失、を得ることに関する全体的な性能を最適化するため、ならびに、そのようなファイバーの構造の多数のさまざまな別の設計目標を獲得するため、のさらに多くの自由度を許容することが、理解されるはずである。
【0037】
こんどは、図10Aから図10Cを参照すると、図10Aから図10Cは、実質的に単一モードの中心コア22の寸法の増加可能性(scalability)を示していて、50μm、70μm、および、90μmでNAが0.06の中心コア22と、8μm、NA=0.07で中心コア22とのエッジからエッジまでの間隔が4μmの単一の側面コア24と、の間の結合が、示されている。図10Aから図10Cは、側面コア24と、中心コア20のLP01(結合曲線のピーク70で示されている。)モードおよびLP11(ピーク72,74で示されている。)モードとの間のモード結合を示している。図10Aから図10Cは、結合共振相対位置および幅は、コアの寸法が増加しても有意に変化せず、結合強度のみが、中心コア22の寸法が増加すると、減少することを示している。LP01モードのピーク70およびLP11モードのピーク72が異なる値の螺旋周期で留まっている事実は、モード損失を選択的に維持するために重要であり、したがって、中心コア22の寸法の増加可能性に対して重要である。結合の大きさの減少は、特定のモードが抑制される割合に影響を及ぼすのみである。さらに、図10Aから図10Cで比較のために用いられたHCCファイバー20は、30μmより大きな中心コア22の寸法に対して最適化されていなかった。したがって、所与の中心コア22の寸法に対する螺旋側面構造の最適化は、中心コア22の寸法の増加に伴う結合強度のわずかな減少のみを提供するであろう。
【0038】
図10Aから図10Cの例を比較すると、中心コア22の寸法の増加にもかかわらず、選択的な結合および高次モードの効率の良い抑制が、維持されている。この現象は、非常に大きな実質的に単一モードのコアの寸法を可能にする。実質的に単一モードのコアの達成可能な最大の寸法に対する実用上の制約は、2つの主な要因、すなわち、第1の要因である、中心コア22でのモード間散乱、および、第2の要因である、HCCファイバー20の達成可能な製造許容誤差、であるだろう。中心コア22の寸法が増加すると、モード間散乱が増加し、高次モードへの散乱による基本モードの損失、および、それに続く、側面コア24の螺旋結合による電力損失、をついに導く。しかし、非常に大きな値の高次モードの抑制が、基本モードと高次モードとの間の結合強度を実質的に低減もする。
【0039】
HCCファイバー20の構造の上記の例はステップインデックス分布のファイバーに基づいているが、その他の別個のコア分布(グレーデッドインデックス、リングコア、Mコア、など)も可能である。さらに、いくつかの非ステップ分布の構造もHCCファイバー20の構造を実現するのに有益である。
【0040】
こんどは、図11Aおよび図11Bを参照すると、リングタイプのファイバーコアおよび関連するインデックス分布が図示されている。リングタイプのファイバーコアは、中心コア22または側面コア24で用いられてよい。しかし、ある実施の形態では、リングタイプの分布が側面コア24のみで望ましい高次モードの損失を提供するので、リングタイプのファイバー分布を側面コア24に対して用いることが少なくとも望ましい。
【0041】
HCCファイバー20の発想の共振の性質に起因して、最適化が、中心コア22の螺旋側面コア24への結合強度を最大化するため、その結合の共振幅(コアのNAおよび/または螺旋周期の関数としての)を広げるため、および、螺旋側面コア24の損失を最大化するために、非常に望ましい。そのような最適化は、より広い範囲の製造時の許容誤差、および、実用上達成可能な高次モードのより大きな損失、を提供する。最適化を実施することの主な利点の一つは、クラッド内へのモード浸透深さ(モードテール(modal tail))を増加することである。隣接するコアのモードのより長いテールは、3つの最適化パラメータの全ての改良を確実にし、(i)別々のコアの間でのより強いモードの重なり合いが、より強いコア間の結合、および、より広い共振、の両方を導くこと、(ii)より長いモードテールが、螺旋に巻かれたコアからのより大きな放射損失を一般的に導くこと、を提供する。
【0042】
図11Aおよび図11Bは、リングタイプのファイバーコアの分布を用いることが、モードテールを増加する様子を示している。クラッドへのモードの浸透は、ある種の構造パラメータ(内径R1および外径R2、ならびに、クラッドに関連する屈折率の差Δn1,Δn2)に対して、一桁以上の振幅だけ増加されられてよい。しかし、図11Aの具体的な構造は、HCC構造を最適化するための、その他の可能な屈折率分布のうちの単に一つの例である。
【0043】
表3は、リングコアの構造パラメータ(図11Aおよび図11Bに示された)の最適化が側面コア24でのモード損失を大きく増加する様子を示している。表3は、様々なパラメータの値に対する、コアの曲率半径Rc=5mmで計算されたモード損失αlossを示している。パラメータの選択は、リングコアのモードの実質的な屈折率Δneffがほぼ等しくなるように、されていて、これは、中心コアおよび側面コアの結合条件が、各側面コア24,24’,40,42の構造に対して等しいことを意味する。表3の第1行は、基準としての標準的なステップインデックスコアファイバーに対応する。最後の列の損失の値に示されているように、各リングの構造に対する損失は、同じ実効屈折率値を有するステップインデックスの分布のモードと比較して、数桁の振幅だけ増加している。
【0044】
【表3】
【0045】
螺旋側面コア24は、湾曲したファイバーコアからのモード放射に起因して、中心LMAコア22から結合されたモードに大きな損失を加えるように機能してよい。大まかに言って、コアの曲率は、螺旋周期の減少と共に増加し、側面コア24とHCCファイバー20の軸との間の距離(オフ軸距離)の増加と共に増加する。HCCファイバー20の設計時に、螺旋周期および側面コア24のパラメータは、中心コア22からの高次モードの効率の良い結合、および、側面コア24の損失、の両方が同時に確実になるように、提供される。その螺旋周期の範囲内で大きな螺旋側面コアでの損失が起こる螺旋周期の範囲を広くすることが有益である。構造的な欠陥を螺旋側面コアの外側に導入するために、ある方法が用いられてよく、したがって、この側面コアからの追加的なモード損失が促進される。例えば、構造的な欠陥の導入は、ミクロ構造ファイバーで達成されてよい。そのようなミクロ構造ファイバーは、一般的に、キャピラリースタック法(capillary stacking techniques)を用いて、製造される。それに代わって、側面コア24は、ドーパントを用いて処理されて、所望の信号波長での大きな損失が提供される。
【0046】
こんどは、ファイバーの複屈折について考えると、HHCファイバー20は、既存の大きい複屈折のファイバー構造に匹敵する。図12は、ファイバーの長手方向に沿って方位角的に向きが変わる応力をコアに加える応力フィラメントを示している。応力が加えられたHCCファイバー96は、中心コア90と、側面コア92と、応力フィラメント94と、を含んでいる。応力フィラメント94は、螺旋HCCファイバー96の長手方向に沿って方位角的に向きが変化する応力を中心コア90に加え、それによって、ファイバー中に円偏光複屈折を生み出す。この幾何学的形状は、「螺旋」ファイバーとも呼ばれ、HCCファイバー20の発想と完全に適合している。さらに、HCCファイバー20を螺旋ファイバーの技術と結合して、単一偏光LMAファイバーを導くことが可能である。
【0047】
螺旋ファイバー技術を用いると、右旋円偏光モードまたは左旋円偏光モードが、螺旋HCCファイバー96の固有モードである。したがって、発射された円偏光の状態は、伝播方向に沿って不変量である。さらに、ファイバーが、円偏光光(右旋円偏光または左旋円偏光)で励起されている場合には、ファイバーに沿って伝播する光は、ファイバーの全長に沿った、その円偏光光になり、その円偏光光のみになる。実際の用途では、螺旋HCCファイバー96セグメントの接続は、通常の方法を用いる。一連のセグメントの螺旋応力フィラメントは、接続部で連続的である必要は無く、その理由は、これらの螺旋応力フィラメントのオフセットが、接続部での伝播する光の位相シフトを結果としてもたらすが、伝播する光の円偏光の状態を変えないからである。さらに、螺旋HCCファイバー96は、伝えられる固有モードの円偏光を乱すことなく比較的小さな曲率半径の曲げに耐える。
【0048】
要約すると、HCCファイバー20の発想は、大きな円偏光複屈折ファイバーを実現するために、螺旋HCCファイバー96の複合導波路の設計に用いられてよい。さらに、大きな円偏光複屈折が、HCCファイバー20の中心のLMAコア22の基本モードLP01を、2つの直交する偏光モード(右旋円偏光(RCP)モードおよび左旋円偏光(LCP)モード)に分割するようにし、各モードは異なる位相速度で特徴付けられている。適切な側面コア24の螺旋周期を選択することによって、位相整合を得ることが可能であり、その結果、2つの偏光モードのうちの一つからの側面コア24への電力結合が可能になる。したがって、大きな損失が基本モードの偏光で誘起される。その結果、広モード域HCCファイバー20が構築され、そのファイバーは単一空間モードで単一の偏光のみを支持する(単一偏光ファイバー)。そのようなファイバーは、多数の重要な用途(例えば、コヒーレントなビームまたはスペクトルのビームの結合)で非常に望ましい。しかし、現在の単一偏光ファイバーは、非常に小さい寸法のコアでのみ利用可能である(典型的なLMAファイバーのモードサイズと比較して非常に小さいモードサイズ)。
【0049】
それに代わって、単一偏光HCCファイバーを、大きい複屈折の方法を用いずに(すなわち、上記の螺旋ファイバーを用いずに)、設計することも可能である。螺旋光学的経路の幾何学的形状に起因して、螺旋状に巻かれたコアは、円偏光複屈折を備えており、すなわち、異なる位相速度を備えた2つの垂直なモードの伝播(偏光状態を変えずに伝播する)に寄与する同じ空間的な螺旋コアのモードのLCP偏光およびRCP偏光を備える。さらに、同じ偏光のフィールドのみが相互に作用するので、LCP偏光された螺旋側面コアのモードのみがLCP偏光された中心コア22のモードと相互に作用し、そして、同様に、中心コア22および螺旋側面コア24,24’のRCPモードのみが相互に作用する。その結果、中心コアのモードと螺旋側面コアとの間のRCPおよびLCPの相互作用を位相整合させるための螺旋周期は異なり、高次モードの抑制に加えて円偏光された中心コアの基本モードの一つをも抑制できるようにするHCCファイバーの構造を選択できるようになる。
【0050】
HCCファイバー20のさらに別の用途には、4波混合(FWM)非線形相互作用を用いた波長変換がある。既存のファイバーレーザーは、ガラス基質中の希土類ドーパントを用いて、ドーパントの分光学的特性によって決まる波長での光学的利得を提供する。しかし、非常に限られたスペクトル範囲が、既存の希土類ドーパントがドープされたファイバーレーザーおよび増幅器によってカバーされる。したがって、任意の望ましい光学的波長までレーザーの動作を拡張することが非常に望ましい。
【0051】
原理的には、レーザーの動作の拡張は、4波混合(パラメトリック増幅)のような、光学ファイバーでの非線形相互作用を用いた非線形波長変換を用いることで、達成される。実施上の制約は、効率の良い波長変換が相互に作用する波の位相整合によってのみ達成されるということである。ファイバーのモードの伝播定数に関して、この位相整合の条件は、βsignal+βidler=2βpumpとして表現される。ここで、信号(signal)波、アイドラー(idler)波、および、ポンプ(pump)波、の光学的周波数は、エネルギー変換の関係、ωsignal+ωidler=2ωpumpに従わなければならない。位相整合の必要性に起因して、単一モードファイバーでの効率の良いFWMパラメトリック波長変換は、零分散波長の近くでのFWM相互作用を用いて、ファイバーの複屈折を用いて、または、偶然の位相整合条件の満足を利用して、これまで、スペクトル的に限定された範囲内で達成されてきただけである。
【0052】
しかし、中心コアのモードと螺旋側面コアとの間でのHCCファイバー20の電力交換は、擬似位相整合に起因して、すなわち、モード交換電力の位相速度が等しくないときに、起こることができる。例えば、中心コア22のLP01モードと螺旋側面コア24のLP11モードとの間の相互作用について考えることができる。このコア間の電力交換に起因して、LP01モードの位相速度は、結合されていないコアでの位相速度に比べて、増加するはずである。光学的フィールドが、「遅い」中心コアのLP01モードと「速い」螺旋側面コアのLP11モードとの間を循環しているので、実質的な位相速度は、これらの「遅い」位相速度と「速い」位相速度との間の値を獲得するはずである。結果的な位相速度の正確な値は、コア22,24の間の結合の程度によって決定されてよい。これは、2つのモードの結合の程度を決定するHCCファイバー20の構造パラメーターを制御することによって、LP01モードの位相速度を制御できるようにしている。この位相速度の制御が起きる波長範囲は、適切な側面コアの螺旋周期を選ぶことで、選択される。
【0053】
位相速度の整合は、光ファイバーの透明な範囲内での、信号波長、アイドラー波長、および、ポンプ波長、の任意の設定に対して、達成されてよい。唯一の制約は、エネルギー保存則である。その結果、この技術は、全てのファイバーベースの波長変換装置を可能にする。そのようなHCCファイバー20を用いた波長変換技法の様々な考えられる実施例がある。ひとつのアプローチは、受動HCCファイバー20を用いることであり、受動HCCファイバー20は、ωpumpで動作する外部のレーザーでポンプされていてよい。それに代わって、波長変換のためのHCCファイバー20の構造を能動の希土類ドーパントがドープされた中心コア20に組み込んでもよい。この場合、ドープされた中心コア22は、ωpumpで光学的利得を提供し、光学的利得はレーザーキャビティ内のスペクトル的に選択可能なコンポーネント(ブラッグ回折格子(fiber Bragg grating)のような)によって求められる。位相整合されたFWMのためのHCCファイバー20の構造は、次に、ωsignalおよびωidlerに対応する必要な波長でパラメトリック利得を提供する。そのようなレーザーは、複数の波長の出力(ωpump、ωsignal、および、ωidlerに対応する波長の出力)を生み出す。さらに、レーザーは、ほとんどの出力電力をωsignalで生み出すように最適化されてよい。したがって、レーザーは、希土類イオンの利得帯域の外側の波長で動作する。波長変換は、非線形相互作用を最大にするために、小さな単一モードの中心コア22を有効に用いているが、非常に大きな電力(例えば、1kWから10kWまでの範囲内の電力)に対しては、より大きな中心コアが選択されてよい。さらに、HCCファイバー20の構造のモード位相速度の制御が、モード分散(位相速度の波長依存性)の制御を可能にする。この可能性は、超短パルスファイバーレーザーシステムでのHCCファイバーの使用で重要である。
【0054】
こんどは誘導ラマン散乱(SRS)について考えると、光ファイバー増幅器および光ファイバーレーザーでの獲得可能なピーク電力および平均電力の制限が記載される。SRSは、よく定義された強度閾値を備えた非線形光学現象である。この閾値より上では、ファイバー中の光信号は、長波長の光信号の増幅を開始する。このラマン利得は、非常に大きく(50dBより大きい)なることができ、ラマン利得スペクトル帯域に常に存在するわずかな自然発生した光子のみから始まる強い信号を生み出すことができる。その結果、10THz以上だけポンプから長波長側にシフトした非常に強い光信号が生み出される。多くの実用的な場合で、これは、ファイバーレーザーまたはファイバー増幅器にとって非常に望ましくなく、したがって、ファイバー中の獲得可能なピーク電力または平均信号電力をSRS閾値より下に制限する。
【0055】
このSRS閾値は、HCCファイバー20の狭い帯域特性を利用して、HCCファイバー20内で抑制される。中心コア20のモードと螺旋側面コア24のモードとの間のモード結合は、限定された波長範囲内でのみ起こり、位相整合または擬似位相整合条件を中心にして起こる。スペクトル幅(および、スペクトルピーク位置)は、螺旋側面コア24および中心コア22の実際の構造に強く依存している。したがって、HCCファイバー20の構造は、その構造が単一の波長のみでの中心コア22中の単一モードの光信号の伝播を支持し、この信号に関するラマン利得帯域に対応する波長での全てのモードの伝播を禁止するように、構成されていてよい。ラマン帯域中でのモード損失は、非常に大きく(>>100dB/m)できるので、SRSの閾値は、非常に増加されて、ピーク電力および平均電力を増加するための追加的な達成方法が提供される。
【0056】
こんどは、HCCファイバー20のための希土類イオン利得帯域工学について考える。HCCファイバー20のスペクトル共振特性は、希土類ドーパントがドープされたファイバーの利得帯域幅を変更するために利用できる。例えば、HCCファイバー20の構造は、Ybがドープされたファイバーの「通常の」1030nmから1100nm以上までのスペクトル範囲内の光学利得を完全に抑制するように構成されていてよい。したがって、光学利得は、980nmで獲得されてよい。この波長でのそのような利得は、現在のところ、小さなコアの単一モードファイバーを用いることによってのみ、実証されてきた。980nmで動作する大型コアのHCCファイバー20の重要性は、HCCファイバー20が、横マルチモード出力で動作するマルチモードレーザーダイオードが、914nmおよび940nmから、回折が制限された980nmの波長への、非常に効率の良い(80%より大きい)輝度変換をできる、ようにすることである。大型コアのファイバーでのこのような変換の達成は、980nmでの単一の横モードの非常に大きな平均電力(1kWを超えることが可能)を提供する。これは、高出力ファイバーレーザーの設計を可能にし、そのファイバーレーザーは、クラッドポンプシステムに代わって、コア内ポンプシステムとなることができる。
【0057】
さらに、HCCファイバー20でのこのようなスペクトル依存の結合は、Ybがドープされたファイバーの利得分布自体を再生するために利用できる。Ybファイバーは、典型的には、長波長に向かって急速に低下する約1030nmでの強い利得ピークを有する。Ybがドープされたファイバーの光学利得は1100nmを大きく超えて伸びているが、この広い帯域幅は、広帯域(>100nmFWHM)の光信号増幅に直接用いることはできず、その理由は、利得の大きな傾斜が、増幅されたスペクトルを1030nm付近に必然的に狭めてしまうからである。大きな損失を伴うHCCファイバー20の構造を全てのモードに対して1030nmで用いることは、利得の傾斜をオフセットし、Ybがドープされたファイバーでの非常に広い増幅帯域を効率良く生み出す。
【0058】
産業界では、HCCファイバー20,20’は、非線形効果の受け易さを減らすことによって、および、大電力ポンピング条件を改善することによって、大電力ファイバーの電力の増加を容易にする。HCCファイバー20,20’によって提供された独自の広モード域は、高エネルギーパルスの生成を必要とする用途で特に有益である。HCCファィバー20,20’が既存のLMAファィバーの接続に関する難しさを解消することは、HCCファィバー20,20’の重要な利点である。コイルの形成を必要としないので、ファィバーシステム(モノリシックポンプ結合器、または、ファイバーに結合された光学的アイソレーターのような)に接続されたHCCファィバー20,20’の短いリード線でさえもが、効率のよい高次モードの抑制を可能にする。その結果、異なるファィバー同士のモード整合の不確実さは、追加的な接続損失のみを結果としてもたらし、既存のLMAファイバーに関して現在のところ該当するようなモード品質の劣化をもたらさない。さらに、HCCファィバー20,20’の重要な利点は、その構造がファイバーコアの小さいNAを必要としないことである。これによって、ErおよびTmがドープされたファイバー用のLMAの構造が、約1550nmおよび1800nmから2000nmまでの技術的に重要な目に安全な波長で動作できるようになり、これらの波長で動作する場合には、小さいNAを獲得することは、重要な技術的障害である。さらに、HCCファイバー20,20’は、通常のインデックスガイドファイバー、ならびに、マイクロ構造およびフォトニック結晶のファィバー、に広く適用可能である。
【0059】
こんどは、HCCファイバー20,20’の製造を考えると、中心コア22と、螺旋状に巻かれた側面コア24またはコア24’,40,42(上述された。)と、からなる複合ファイバー構造は、既存のファィバー線引き技術を用いて製造されてよい。HCCファイバー20を製造するための製造方法の実施の形態は、中心回転軸102を有し、中心コア122の中心回転軸102(図13Aに示されている)に対してオフセンターで配置された螺旋状に巻かれた側面コア124と、を有するファイバープリフォーム100を作ることで開始される。ある実施の形態では、単一の中心コア122を有する典型的なプリフォーム100は、側面コア124を挿入するために、穿孔されてよい。側面コア124は、予め決められたドーパント配合物を含む予め製造されたガラスロッドから選択され、次に、プリフォーム100の穿孔された開口内に挿入される。HCCファィバー20,20’が複数の側面コア24,24’,40,42を有する実施の形態の場合には、プリフォーム100は、複数回穿孔され、複数の側面コア124が挿入されてよい。最終のプリフォーム100の構造が、次に、加熱されて、いずれの空隙も潰される。
【0060】
それに代わって、一般的なフォトニック結晶ファイバー製造方法が用いられてもよい。この場合、複数のガラスキャピラリーが一緒にスタックされる。全体の構造は、キャピラリーを設けないいくつかの位置を選択することによって、または、それに代わって、ドープされたキャピラリーを挿入することによって、選択されてよい。スタックされた構造は、次に、加熱されて、潰され、中実構造が提供される。
【0061】
HCCファイバー20,20’は、次に、プリフォーム100を回転させながら、プリフォーム100からファイバーを線引きするすなわち引っ張ることによって、製造されてよい(図13Bに示されている)。したがって、直線状の中心コア22と、螺旋状に巻かれた側面コア24(図13Cに示されている。)またはコア24’,40,42と、が生み出される。回転は、その炉の中にファイバープリフォーム100が固定されているファイバー線引き炉を一定の速度で回転させることによって、行われてよい。その場合、必要な螺旋周期は、ファイバーの線引き速度とファイバー線引き炉の回転速度との適切な組み合わせを選択することによって達成されてよい。このアプローチは、一定の螺旋周期および螺旋の一定の旋進性を備えた螺旋コア(HCCファイバー20のような)を生み出す。
【0062】
それに代わって、炉の回転速度は、線引きの間に変えられてよく、したがって、変化する螺旋周期が生み出される。さらに、回転は、速度だけでなく、旋回の向きも変えられてよく、したがって、ファイバーに沿って変化する螺旋周期および変化する螺旋の旋進性の両方が生み出される。そのような方法は、より複雑な複合導波路構造を生み出すのに有用である。
【0063】
これまでの記載は、本発明の方法およびシステムの例示的な実施の形態を例示し記載するためにのみ提供されてきた。これまでの記載は、網羅的であることも、本発明を開示された正確な形態のいずれに限定することも、意図されていない。当業者には、本発明の範囲を逸脱せずに、さまざまな変更が行われ、等価物が本発明の要素と置き換えられることが理解されるであろう。さらに、多くの変形が、本発明の本質的な範囲を逸脱せずに、本発明の教示内容に具体的な状況および材料を適合させるために、行われてよい。したがって、本発明が、本発明を実施するために企図された最適の形態として開示されたいずれの具体的な実施の形態にも限定されず、本発明が特許請求の範囲に包含される全ての実施の形態を含むことが、意図されている。本発明は、本発明の真髄および範囲を逸脱せずに、具体的に記載され例示された実施の形態以外としても実施されてよい。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲のみによって、限定される。
【0064】
〔実施の態様〕
この発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
(1)複合導波路において、
中心コアと、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、かつ、前記中心コアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの側面コアと、
を具備する、複合導波路。
(2)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、広モード域用に構成されている、複合導波路。
(3)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、インデックスガイドファイバーである、複合導波路。
(4)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、フォトニック結晶ファイバーである、複合導波路。
(5)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、一次モードを導くように構成されている、複合導波路。
(6)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、直線状である、複合導波路。
(7)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの側面コアは、前記側面コアと前記中心コアのモードとの間の効率の良い選択的な結合を提供するように構成されている、複合導波路。
(8)実施態様(7)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの側面コアは、実質的に、前記中心コアの予め決められた高次モードのみが、前記側面コアに結合されるように構成されている、複合導波路。
(9)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、前記側面コアに沿って伝播するモードに対して大きな損失を与えるように構成されている、複合導波路。
(10)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記中心コア、および前記側面コアのモードフィールドは、少なくとも部分的に重なり合う、複合導波路。
【0065】
(11)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの側面コアは、
第1の同心リングに沿って配置された少なくとも一つの近いコアであって、前記中心コアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの近いコアと、
第2の同心リングに沿って配置された少なくとも一つの遠いコアであって、前記少なくとも一つの近いコアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの遠いコアと
を含む、
複合導波路。
(12)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれた複数の側面コア、
をさらに具備する、
複合導波路。
(13)実施態様(12)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、前記中心コアの光学的近傍に配置されていて、
前記側面コアの各々は、別の前記側面コアから離れて配置されている、
複合導波路。
(14)実施態様(12)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、少なくとも一つの半径方向の線に沿って配置されている、複合導波路。
(15)実施態様(14)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、隣接する前記側面コアの光学的近傍に配置されていて、
前記中心コアに隣接する前記側面コアは、前記中心コアの光学的近傍に配置されている、
複合導波路。
(16)実施態様(12)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、複数の同心リングに沿って配置されている、複合導波路。
(17)実施態様(16)に記載の複合導波路において、
前記側面コアの各々は、隣接する前記側面コアの光学的近傍に配置されていて、
前記中心コアに隣接する前記側面コアは、前記中心コアの光学的近傍に配置されている、
複合導波路。
(18)実施態様(16)に記載の複合導波路において、
前記側面コアの各々は、隣接する前記側面コア、および、前記中心コア、の光学的近傍に配置されている、複合導波路。
(19)実施態様(12)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、単一の同心リングに沿って配置されていて、
前記単一の同心リングの中心は、前記中心コアの中心に配置されている、
複合導波路。
(20)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、別の導波路、または、別の複合導波路、と接続されるように構成されている、複合導波路。
【0066】
(21)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ほぼ975nmで動作するように構成されている、複合導波路。
(22)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ラマン抑制のために構成されている、複合導波路。
(23)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、利得再生のために構成されている、複合導波路。
(24)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記中心コア、および前記少なくとも一つの側面コアは、パラメトリック波長変換を生み出すための位相整合のために構成されている、複合導波路。
(25)複合導波路において、
中心コアと、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、かつ、前記中心コアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの側面コアと、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、かつ、前記中心コアの長さ方向に沿って方位角的に変化する向きに沿って前記中心コアに応力を加える、少なくとも一つの応力フィラメントと
を具備する、複合導波路。
(26)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、広モード域用に構成されている、複合導波路。
(27)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、インデックスガイドファイバーである、複合導波路。
(28)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、フォトニック結晶ファイバーである、複合導波路。
(29)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、別の導波路、または、別の複合導波路、と接続されるように構成されている、複合導波路。
(30)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ほぼ975nmで動作するように構成されている、複合導波路。
【0067】
(31)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、前記中心コアの偏光を維持するように構成されている、複合導波路。
(32)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ラマン抑制のために構成されている、複合導波路。
(33)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、利得再生のために構成されている、複合導波路。
(34)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記中心コア、および前記少なくとも一つの側面コアは、パラメトリック波長変換を生み出すための位相整合のために構成されている、複合導波路。
(35)複合導波路において、
中心コアと、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれた少なくとも一つの側面コアと、
前記中心コアと光学的に連絡した、前記少なくとも一つの側面コアの第1のエッジと、
前記複合導波路の外径のほぼ近くに配置された、前記少なくとも一つの側面コアの外側部分であって、前記外側部分が少なくとも一つの構造欠陥を有し、それによって、前記少なくとも一つの構造欠陥が前記複合導波路からのモード損失を促進する、外側部分と、
を具備する、複合導波路。
(36)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、広モード域用に構成されている、複合導波路。
(37)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、インデックスガイドファイバーである、複合導波路。
(38)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、フォトニック結晶ファイバーである、複合導波路。
(39)実施態様(38)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの構造欠陥は、キャピラリースタックを用いて構成されている、複合導波路。
(40)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの構造欠陥は、ドーパントを用いて構成されている、複合導波路。
【0068】
(41)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの構造欠陥は、ドーパントを吸収した前記少なくとも一つの側面コアによって構成されている、複合導波路。
(42)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、別の導波路、または、別の複合導波路、と接続されるように構成されている、複合導波路。
(43)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ほぼ975nmで動作するように構成されている、複合導波路。
(44)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ラマン抑制のために構成されている、複合導波路。
(45)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、利得再生のために構成されている、複合導波路。
(46)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記中心コア、および前記少なくとも一つの側面コアは、パラメトリック波長変換を生み出すための位相整合のために構成されている、複合導波路。
(47)複合導波路において、
一次モードを導く手段と、
前記一次モードを導く前記手段の周りに螺旋状に配置された、高次モードを導く手段と、
を具備する、複合導波路。
(48)実施態様(47)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、広モード域用に構成されている、複合導波路。
(49)実施態様(47)に記載の複合導波路において、
前記高次モードを導く手段は、前記高次モードの損失を増加する手段を含む、複合導波路。
(50)実施態様(47)に記載の複合導波路において、
前記中心コア、および前記少なくとも一つの側面コアは、パラメトリック波長変換を生み出すための位相整合のために構成されている、複合導波路。
【0069】
(51)複合導波路の製造方法において、
中心コア、および少なくとも一つのオフセンターの側面コアを備えたファイバープリフォームを線引きする過程と、
前記複合導波路が線引きされるときに前記ファイバープリフォームを回転させる過程と、
を具備する、方法。
(52)実施態様(51)に記載の方法において、
前記中心コアは、広モード域用に構成されている、方法。
(53)実施態様(51)に記載の方法において、
前記ファイバープリフォームは、インデックスガイドファイバー用に構成されている、方法。
(54)実施態様(51)に記載の方法において、
前記ファイバープリフォームは、フォトニック結晶ファイバー用に構成されている、方法。
(55)実施態様(51)に記載の方法において、
ファイバー線引き炉が、前記ファイバープリフォームを回転させるために、回転させられる、方法。
(56)実施態様(51)に記載の方法において、
前記回転の速度は、ほぼ一定である、方法。
(57)実施態様(51)に記載の方法において、
前記少なくとも一つのオフセンターの側面コアの螺旋周期は、前記回転の速度、および/またはファイバーの線引き速度によって決定される、方法。
(58)実施態様(51)に記載の方法において、
前記回転の向きは、周期的に反転される、方法。
(59)実施態様(51)に記載の方法において、
前記回転の前記速度は、前記オフセンターの側面コアの可変の螺旋周期を提供するように、変えられる、方法。
【技術分野】
【0001】
〔関連出願に対するクロス−リファレンス〕
本出願は、2004年7月14日に出願された米国仮特許出願60/587,988号の優先権を主張し、上記米国仮特許出願は、その全体が、参照することによって本出願に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載された本発明の実施の形態は、大まかに言って、光導波路に関し、より詳しく言うと、光ファイバーに関する。
【背景技術】
【0003】
ファイバーレーザーシステムは、高輝度半導体ダイオードポンプの発達、および、広モード域ファイバー(large-mode area fibers)の出現、に起因して、出力電力を急速に増加させてきた。広モード域ファイバーは、ファイバーコアでの非線形相互作用の悪い効果を減らし、ファイバーの光学的損傷の受けやすさを減らし、そして、二重クラッドファイバーのクラッドの寸法をより大きくして、高出力を達成することを容易にしている。
【0004】
その結果、ファイバーレーザーは、現在までのところ、通常の固体レーザーで利用可能な出力よりも二桁程度大きい、回折が制限された出力、を供給できる、最も強力な固体レーザー技術となっている。ファイバーレーザー技術の向上は、ファイバーレーザーの実用的な性質に起因して、さらにより重要である。もちろん、ファイバーレーザーは、モノリシックで、コンパクト、かつ、非常に効率の良いレーザーの技術的なプラットフォームを提供し、ファイバーレーザーは、電子装置を製造するのと同様の、そして、通常のオープンキャビティレーザー(気体レーザー)で典型的に必要とされる複雑で熟練した技を必要とする組み立てとは非常に異なる、方法で生産できる。したがって、現在用いられている通常の固体レーザーの大多数を、非常により小型で、信頼性が高く、効率が良く、廉価な、ファイバーレーザーで、置き換える可能性があり、したがって、レーザーの用途の大多数を大きく発展させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、広モード域(large-mode-area)(LMA)ファイバーの使用を可能にする3つの技術、すなわち、(i)多モードコアを単一モードで励起する方法、(ii)適切に巻かれたファイバーで分散モードフィルタリングを行う方法、および、(iii)フォトニック結晶広モードファイバーを用いる方法、が存在する。これらの3つの技術は、技術(i)および技術(ii)の両方が、多モードコアファイバーを使用するのに対して、技術(iii)が単一モードコアファイバーを用いる点でまったく異なるにもかかわらず、許容可能な最大のモードサイズがほぼ同じように制限されている。
【0006】
しかし、モードサイズを増加(scaling)する現在の方法は、多くの重要な実用上の側面によって非常に限定されている。第一に、モードサイズは制限されていて、したがって、電力およびエネルギーの増加をさらに制限している。第二に、大きなコアのファイバーの使用は、コアの多モードの性質によって制限されている。第三に、ファイバーを直接接続(スプライス)することはできず、通常の融合された単一モードの装置は不可能である。したがって、ファイバーレーザー技術がさらに実用上発展することが、妨げられていて、その理由は、ファイバーレーザーの製造が、単一モードのテレコムスタイルの装置と比較して、非常により複雑なためである。
【0007】
したがって、モードサイズを有意に増加し、実質的に単一モードのコアによって広モード域ファイバーを提供する、ファイバー構造が必要とされている。好ましくは、そのようなファイバーの構造は、標準的な単一モードファイバーの接続方法を使用できるようにもする。さらに、そのようなファイバーの構造は好ましくは、インデックスガイド(index-guiding)ファイバー、およびフォトニック結晶ファイバーに適用可能であろう。さらに、ファイバーの構造は、好ましくは、広モードフィールドの直径に対する曲げ効果に対して敏感ではない。これによって、ファイバーのモード特性が巻き方ではなく構造によって決定されるようにできる。最後に、そのようなファイバーの構造は、好ましくは、複雑なモードフィルタリングおよび励起方法を必要とせず、ファイバーが受動フィルターおよび増幅フィルターの両方で用いられてよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複合導波路が開示される。複合導波路は、中心コアと、中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、かつ中心コアに光学的近傍に配置された少なくとも一つの側面コアと、を有する。中心コアは、広モード域用に構成されていてよく、複合導波路は、インデックスガイド(index-guiding)ファイバーまたはフォトニック結晶ファイバーとして構成されていてよい。別の実施の形態では、中心コアは、一次モードを導くように構成されていてよい。中心コアは、直線状でもあってよい。側面コアは、側面コアと中心コアのモードとの効率の良い選択的な結合を提供するように構成されていてよい。側面コアと中心コアとの結合は、中心コアの予め決められた高次モードのみが実質的に側面コアと結合されるように、構成されていてよい。側面コアは、側面コアに沿って伝播するモードに対して大きな損失を提供するようにさらに構成されていてよい。中心コアのモードフィールドと側面コアのモードフィールドは、少なくとも部分的に重なり合っていてよい。
【0009】
代わりに、複合導波路は、中心コアと、中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、中心コアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの側面コアと、中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、中心コアの長手方向に沿って方位角的に変化する向きで中心コアに応力を加える、少なくとも一つの応力フィラメントと、を含んでいてよい。
【0010】
別の実施の形態では、複合導波路は、中心コアと、中心コアの周りに螺旋状に巻かれた少なくとも一つの側面コアと、中心コアと光学的に連絡する、側面コアの第1のエッジと、複合導波路の外径のほぼ近くに配置された、側面コアの外側部分と、を含んでいてよい。外側部分は、少なくとも一つの構造欠陥を含み、その構造欠陥は、複合導波路のモード損失を促進する。構造欠陥は、キャピラリースタック(capillary stacking)、ドーパント、または、ドーパントの吸収、によって、構成されていてよい。
【0011】
さらに、複合導波路は、一次モードを導く手段と、一次モードを導く手段の周りに螺旋状に配置された、高次モードを導く手段と、を含んでいてよい。さらに、高次モードを導く手段は、高次モードの損失を増加する手段を含んでいてよい。
【0012】
複合導波路の製造方法は、中心コアと少なくとも一つのオフセンターの側面コアとを含むファイバープリフォームを線引きする過程と、複合導波路が線引きされるときにファイバープリフォームを回転させる過程と、を含んでいてよい。中心コアは、広モード域用に構成されていてよく、ファイバー線引き炉は、ファイバープリフォームを回転させるために回転させられてよい。それに代わって、複合導波路は、インデックスガイドファイバーまたはフォトニック結晶ファイバーとして構成されていてよい。回転速度は、実質的に一定であってよい。オフセンターの側面コアの螺旋周期は、回転速度および/またはファイバープリフォームの線引き速度によって決定されてよい。回転の向きは、周期的に反転されていてよい。回転速度は、オフセンター側面コアの可変の螺旋周期を提供するように変えられてよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、モードサイズを有意に増加し、実質的に単一モードのコアによって広モード域ファイバーを提供する、ファイバー構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】第1の実施の形態に基づく複合導波路の斜視図である。
【図1B】図1の複合導波路の断面図である。
【図2】図1の複合導波路の基本モード(LP01)および高次モード(LP11)の断面および3次元分布図である。
【図3A】図1の複合導波路の30μmの寸法の中心コアに対する正確な位相整合モードおよび擬似位相整合モードの間の差を示すグラフの図である。
【図3B】図1の複合導波路の60μmの寸法の中心コアに対する正確な位相整合モードおよび擬似位相整合モードの間の差を示すグラフの図である。
【図4】複合導波路の別の実施の形態の断面図である。
【図5】図4の複合導波路の入力での、およびある程度の伝播距離の後の横モードスペクトルのグラフの図である。
【図6】(A)〜(D)は、図4の複合導波路を伝播した後のビーム分布のグラフの図である。
【図7】図4の複合導波路の螺旋周期の関数としてのさまざまなモードに対するモード損失を示すグラフの図である。
【図8】図4の複合導波路と等価な寸法の真に単一モードのファイバーでの電力推移を比較したグラフの図である。
【図9A】複合導波路のさらに別の実施の形態を示す図である。
【図9B】複合導波路のさらに別の実施の形態を示す図である。
【図9C】複合導波路のさらに別の実施の形態を示す図である。
【図9D】複合導波路のさらに別の実施の形態を示す図である。
【図10A】中心コアの寸法が増加した、図1の複合導波路に対する側面コアおよび中心コアのモードLP01およびLP11の間のモード結合を示す図である。
【図10B】中心コアの寸法が増加した、図1の複合導波路に対する側面コアおよび中心コアのモードLP01およびLP11の間のモード結合を示す図である。
【図10C】中心コアの寸法が増加した、図1の複合導波路に対する側面コアおよび中心コアのモードLP01およびLP11の間のモード結合を示す図である。
【図11A】図1の複合導波路と共に用いるためのリングタイプのファイバーコアの形状の断面図である。
【図11B】図11Aのリングタイプのファイバーコアに対するインデックス分布の図である。
【図12】図1の複合導波路にファイバーの長手方向に沿って方位角的に変化する向きで応力を加える応力フィラメントを示す図である。
【図13A】図1の複合導波路の製造方法の実施の形態を示す図である。
【図13B】図1の複合導波路の製造方法の実施の形態を示す図である。
【図13C】図1の複合導波路の製造方法の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の特徴および発明性のある態様は、以下の記載がその簡単な説明である図面と共に、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を読むことで、より明らかになるはずである。
【0016】
こんどは、図面を参照すると、例示的な実施の形態が詳しく示されている。図面は実施の形態を示しているが、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、いくつかの特徴部が、実施の形態の革新的な態様をより良好に図示し説明するために、強調されていることがある。さらに、本明細書に記載された実施の形態は、網羅的であることも、本発明を図面に描かれ以下の詳細な説明に記載された正確な形状および構成に制限または限定することも、意図されていない。
【0017】
こんどは、図1を参照すると、螺旋結合コア(HCC)ファイバー20が示されている。HCCファイバー20は、広モード域の中心コア22と、螺旋側面コア24と、を含んでいる。中心コア22は、ほぼ直線状であり、螺旋側面コア24は、HCCファイバー20の周縁部の周りに螺旋状に巻かれている。中心コア22は、z方向のモードの伝播を導き、螺旋側面コア24は、中心コア22の周りの螺旋経路を伝播するモードを支持する。螺旋側面コア24は、中心コア22と光学的近傍に配置されているので、HCCファイバー20は、複合導波路である。隣接したコア22,24の光学的フィールドは、部分的に重なり合っていて、したがって、相互に作用する。
【0018】
構造によって、中心コア22の全ての高次モードは大きな損失を有し、一方、中心コア22の基本モードは無視できる損失を有する。中心コア22および螺旋側面コア24の複合構造は、中心コア22の高次モードと螺旋側面コア24との間の効率がよく非常に選択的な結合を提供する。さらに、複合構造は、螺旋側面コイル24を伝播するモードに対して大きな損失を与え、中心コア22の結合された高次モードに大きな損失を分与する。したがって、HCCファイバー20の中心コア22は、実質的に単一モードである。
【0019】
中心コア22と螺旋側面コア24との光学的な近さは、隣接するコア22,24のモードフィールドが重なり合うように、決定されている。光学的な近さを提供するために、隣接するコア22,24は、間隔「D」だけ隔てられていて、間隔「D」は、その光学的な波長で隣接するコア22,24のモードフィールドが有意のモードフィールドの重なり合いを有する光学的な波長の長さのスケールに匹敵する。中心コア22および螺旋側面コア24は、モード対称性によって結合されている。換言すれば、隣接するコア22,24は、異なるモードの方位角的形状と半径方向の形状との間の差によって結合されるように、構成されていてよい。
【0020】
中心コア22および螺旋側面コア24すなわちHCCファイバー20の構成および結合が、図1から図9を参照して以下に詳しく説明される。通常は、2つの直線状の導波路の2つのモードの間の電力結合は、2つのモードの位相速度(または、等価的に、伝播定数β(1)およびβ(2))が、等しくなった(2つのモード間の正確な位相整合の)場合にのみ、起こる。螺旋側面コア24が中心コア22の周りに螺旋状に巻かれている場合、位相整合の条件は、側面コアのモード経路の螺旋性に起因して、変更されるようになり、螺旋性は、ファイバーの軸zに沿った側面コアでのモードの伝播を実質的に「遅らせる」。この場合、モード結合の位相整合条件は、β(1)+ΔβHelix_corr.=β(2)となり、ここで、β(1)およびβ(2)は、各々、螺旋コアモード伝播定数および中心コアモード伝播定数であり、螺旋性の補正は、
【0021】
【数1】
によって記述される。ここで、Rは螺旋の半径であり、Λは螺旋周期である。
【0022】
さらに位相整合機構を明らかにするために、中心コアモードの方位角構造を考慮しなければならない。図1に基づくHCCファイバー20に関連する円筒座標系(r,φ,z)では、中心コア22のモードは、半径のみの関数の成分と方位角のみの関数の成分との積:E(r,φ)=E(r)sin(lφ)として表される。ここで、整数lは特定の各モードの方位角次数を表している。これは、図2に示されている、基本モード(LP01)および高次モード(LP11)の2Dおよび3D形状によって示されている。螺旋側面コアの方位角位置は、周期ΛでHCCファイバー20に沿ってファイバーの軸zを中心にして回転しているので、l>0の中心コア22のモードに対しては、z軸に沿って伝播する中心コア22のモードと螺旋側面コア24のモードとの間で、各Λの後に獲得される、2πlの追加的な位相差が存在する。この位相差に起因して、螺旋性の補正の要因に追加的な項が存在するようになる。
【0023】
【数2】
【0024】
この項は、中心コア22のモードと螺旋側面コア24との間の擬似位相整合(QPM)として記述されてよい。中心コア22の基本モードは、l=0なので、方位角または半径方向の位相依存性は存在せず、擬似位相整合はない。例えば、中心コア22の基本モードLP01と、次のモードLP11の伝播定数が、恣意的に近い(非常に大きいコアサイズの場合に起こりえる)場合でさえ、擬似位相整合を適正に使用することによって、LP11のみが螺旋的に伝播するモードと強力に相互作用するようになり、したがって、LP11のみが損失的になる。半径方向の対称性の差(半径方向の位相依存性)による選択は、HCCファイバー20でも起こりえることが注意され、l=0での高次モードの抑制を可能にする。
【0025】
正確な位相整合のモード結合と擬似位相整合のモード結合との差が図3Aに明らかにされていて、図3Aは、結合モード理論を例示していて、中心コア22のLP01およびLP11から螺旋側面コア24の単一モードへのモード結合の結果が、螺旋周期の関数として示されている。HCCファイバー20の構造は、30μmおよび0.06開口数(NA)の中心コア22と、中心コア22から4μmだけ離れた(エッジからエッジまでの間隔)単一の8μmおよび0.07NAの螺旋側面コア24と、からなる。
【0026】
図示されているように、50パーセントの結合が、平均で全体の電力の半分がコア22,24の各々に存在するようにしている。位相整合したLP01モード30と擬似位相整合したLP11モード32,34との定性的な差は、LP01結合が単一の狭いピークを表しているのに対して、LP11結合が2つのピーク(第2のピークはLP01モードのピークよりとても広く、LP01モードのピークからかなり離れている)を表していることである。図3Bは、60μmの寸法の中心コア22に対する結合を示している。再び、LP11モード32,34に対する周期へのモード結合の依存性は、LP01モード30に対する周期への依存性とは非常に異なる。また、図3Aの30μmの中心コア22と比較された、60μmの中心コア22のファイバーに対するより狭い「ピーク」が注目される。そうなので、HCCファイバー20の寸法を増加することに関して、技術的なトレードオフが存在し、中心コア22の寸法の増加は、製造中のより厳しい許容誤差を必要とする。この共振特性が、全ての実用上の目的に対して十分に広く、以下に詳しく記載されるいくつかの用途に対して有益である、100nmから200nmのスペクトル帯域幅を許容する。
【0027】
HCCファイバー20’の別の実施の形態が、図4に示されていて、HCCファイバー20’は、中心コア22と、第1の螺旋コア40と、第2の螺旋コア42と、を含んでいる。第1の螺旋コア40は、中心コア22に沿って螺旋状に巻かれ、中心コア22の光学的近傍に配置されていて、R1は、中心コア22の中心軸から第1の螺旋コア40の中心軸までの距離を表し、D2は、第1の螺旋コア40の直径を表している。第2の螺旋コア42は、同様に中心コア22に沿って巻かれているが、第1の螺旋コア40の光学的近傍に配置されていて、R2は、中心コア22の中心軸から第2の螺旋コア42の中心軸までの距離を表し、D3は第2の螺旋コア42の直径を表している。
【0028】
図1の単一螺旋構造と比較すると、上記の図3Aおよび図3Bの結合モードは、螺旋誘起損失を含まず、そうなので、HCCファイバー20’のモード整合特異性の詳細を示している。擬似位相整合および螺旋側面コアでの損失の両方の効果を正確に予測することは、ビーム伝播数値シミュレーションによって行われてよい。ある具体的な構造に対する結果が、図5、表1、および、表2に関して、以下に詳しく記載される。例えば、中心コア22は、30μmの直径を有し、開口数0.06に対応するステップ状の形状のコア−クラッドの屈折率を有し、中心コア22自体が5つの導かれたモードを支持している。第1の螺旋コア40および第2の螺旋コア42は、2つの12μmの直径のコアからなり、互いに、エッジからエッジまでの間隔が2μmである。さらに、第1の螺旋コア40は、中心コア22から、エッジからエッジまでの間隔が2μmで、離れている。構造の細部が、以下の表1に示されていて、構造自体が図4に示されている。
【0029】
【表1】
【0030】
図5は、螺旋周期が8.1mmの、図4のHCCファイバー20’の入力での、および、HCCファイバー20’を約16cmおよび約65cm伝播した後の、横モードスペクトルを示している。入力での励起ビームは、5つの中心コア22のモードの全てが励起されるように、選択されている。中心コア22のモードのうち4つのモードは、各々が、全入力ビーム電力の12.5%を含み、1つのモード(LP02)は全入力電力の50%を含んでいる。線50は、5つのモードの入力スペクトルを表している。線52は、HCCファイバー20’を16.384cm伝播した後のモードスペクトルを表している。線54は、HCCファイバー20’を65.536cm伝播した後のモードスペクトルを表している。図示されているように、基本モード(LP01)は、無視できる(グラフのプロットのスケールでは観測できない)損失を伴って伝播し、一方、全ての高次モードは、高次モードの電力が数桁の振幅の減少を経験している。例えば、16cmを伝播した後は、全ての高次モードは、100倍以上抑制されている。65cm伝播した後は、全ての高次モードは、106倍抑制されている。8.1mmの螺旋周期に対する計算されたモード損失が、表2に示されている。
【0031】
【表2】
【0032】
計算されたモード損失が、図6にさらに示されていて、図6では、HCCファイバー20’構造を伝播した後のビーム形状が示されている。中心コア22を30cm伝播した後に、中心コア22の基本モードのみが残っている。
【0033】
図7は、螺旋周期の関数としてのHCCファイバー20’のさまざまなモードのモード損失が示されている。LP01モード55、LP11モード56、LP21モード57、LP02モード58、および、LP31モード59、が示されている。基本モードの損失が無視でき、そして、同時に、LP11モード56以上の全ての高次モードの損失が大きい、広い範囲の螺旋周期(7.5mmから10mm)が存在する。LP11モード56は、基本モードLP01モード55に最も近く、典型的には、最も抑制するのが難しいことが判明している。この図面から分かるように、LP11モード56は、2つの螺旋周期、8.1mmおよび10mmで、抑制されている。10mmの螺旋周期でのLP11モードの損失、〜約50dB/mは、8.1mmでの損失よりもかなり小さいが、依然として、全ての実用上の目的に対しては非常に大きい。さらに、10mmの螺旋周期でのLP01モード55の損失は、0.3dB/m未満である。図7に示された例は、HCCファイバー20,20’の構造が、有意な構造上の余裕を伴って設計されていて、それらの構造の実際の実施を容易にしていることを示している。
【0034】
高次モードでのそのような大きな損失が、LMAコアでのモード間散乱でさえもが大きく抑制されるようになるので、HCCファイバー20,20’を実質的に単一モードにしている、ことに注目することが重要である。図8は、HCCファイバー20,20’での電力推移(power-transients)、および、等価な寸法の真の単一モードファイバー(非常に低い、0.02NAおよび30μmコア)での電力推移、を比較して示している。真の単一モードファイバー(SMファイバー)での電力推移は、5cm以内で起きていて、HCCファイバー20,20’では、ファイバーの長さの10cm以内で起きていて、HCCファイバー20,20’が、真の単一モードファイバーと実質的に同様に振舞うことを示している。長さの短いHCCファイバー20,20’でさえもが、基本モードのみを伝達し、したがって、受動ファイバーのリード線が典型的には10cmから30cmまでの長さを超えてはならない、全てのモノリシック・ファイバーLMAファイバーレーザーシステムを大きく促進することを、意味している。
【0035】
HCCファイバー20のさらに別の実施の形態が、図9Aから図9Dに示されている。図9Aから図9Dに示された別の実施の形態は、隣接するコア間の相互作用によって決まるカテゴリーに分類される。図9Aは、光学的な近さの相互作用が、半径方向で、そして、中心コア22と側面コア24’の間のみで、起こり、側面コア24’の間では起こらない、構造を示している。これらの別の実施の形態は、側面コア24’の個数、相対的な位置、および、寸法に関して、互いに異なっているが、側面コア24’のいずれもが相互に作用するほど十分には接近して配置されていない。図9Bは、光学的近さの相互作用が、中心コア22と側面コア24’との間で半径方向で起こり、さらに、半径方向の長さに沿った一つ以上の層(同心リングを形成する)に配列された隣接する側面コア24’との間でも起こる、構造を示している。図9Cは、中心コア22と側面コア24’との間の相互作用が半径方向で起こり、同時に、同心リングに沿って一列に配置された側面コア24’同士の間の相互作用が方位角方向に沿って起こる、構造を示している。図9Dは、隣接する側面コア24’同士の相互作用が半径方向および方位角方向に沿って起こる、構造の例を示している。
【0036】
図9Aから図9Dに示された別の実施の形態の上記の例は、本発明の考えられる構造の例示的な例を図示および記載するためにのみ提供された。これらの構造、ならびに、図1A、図1B、および、図4、に示された構造は、網羅的なものであることも、本発明をいずれかの記載された形態に限定することも、意図されていない。コアの相対的な位置、コアの個数、コアの寸法および形状、ならびに、コアの屈折率および屈折率の分布、に関する非常に多くのさまざまな他の選択肢が存在し、したがって、望ましい選択モード結合、および、選択モード損失、を得ることに関する全体的な性能を最適化するため、ならびに、そのようなファイバーの構造の多数のさまざまな別の設計目標を獲得するため、のさらに多くの自由度を許容することが、理解されるはずである。
【0037】
こんどは、図10Aから図10Cを参照すると、図10Aから図10Cは、実質的に単一モードの中心コア22の寸法の増加可能性(scalability)を示していて、50μm、70μm、および、90μmでNAが0.06の中心コア22と、8μm、NA=0.07で中心コア22とのエッジからエッジまでの間隔が4μmの単一の側面コア24と、の間の結合が、示されている。図10Aから図10Cは、側面コア24と、中心コア20のLP01(結合曲線のピーク70で示されている。)モードおよびLP11(ピーク72,74で示されている。)モードとの間のモード結合を示している。図10Aから図10Cは、結合共振相対位置および幅は、コアの寸法が増加しても有意に変化せず、結合強度のみが、中心コア22の寸法が増加すると、減少することを示している。LP01モードのピーク70およびLP11モードのピーク72が異なる値の螺旋周期で留まっている事実は、モード損失を選択的に維持するために重要であり、したがって、中心コア22の寸法の増加可能性に対して重要である。結合の大きさの減少は、特定のモードが抑制される割合に影響を及ぼすのみである。さらに、図10Aから図10Cで比較のために用いられたHCCファイバー20は、30μmより大きな中心コア22の寸法に対して最適化されていなかった。したがって、所与の中心コア22の寸法に対する螺旋側面構造の最適化は、中心コア22の寸法の増加に伴う結合強度のわずかな減少のみを提供するであろう。
【0038】
図10Aから図10Cの例を比較すると、中心コア22の寸法の増加にもかかわらず、選択的な結合および高次モードの効率の良い抑制が、維持されている。この現象は、非常に大きな実質的に単一モードのコアの寸法を可能にする。実質的に単一モードのコアの達成可能な最大の寸法に対する実用上の制約は、2つの主な要因、すなわち、第1の要因である、中心コア22でのモード間散乱、および、第2の要因である、HCCファイバー20の達成可能な製造許容誤差、であるだろう。中心コア22の寸法が増加すると、モード間散乱が増加し、高次モードへの散乱による基本モードの損失、および、それに続く、側面コア24の螺旋結合による電力損失、をついに導く。しかし、非常に大きな値の高次モードの抑制が、基本モードと高次モードとの間の結合強度を実質的に低減もする。
【0039】
HCCファイバー20の構造の上記の例はステップインデックス分布のファイバーに基づいているが、その他の別個のコア分布(グレーデッドインデックス、リングコア、Mコア、など)も可能である。さらに、いくつかの非ステップ分布の構造もHCCファイバー20の構造を実現するのに有益である。
【0040】
こんどは、図11Aおよび図11Bを参照すると、リングタイプのファイバーコアおよび関連するインデックス分布が図示されている。リングタイプのファイバーコアは、中心コア22または側面コア24で用いられてよい。しかし、ある実施の形態では、リングタイプの分布が側面コア24のみで望ましい高次モードの損失を提供するので、リングタイプのファイバー分布を側面コア24に対して用いることが少なくとも望ましい。
【0041】
HCCファイバー20の発想の共振の性質に起因して、最適化が、中心コア22の螺旋側面コア24への結合強度を最大化するため、その結合の共振幅(コアのNAおよび/または螺旋周期の関数としての)を広げるため、および、螺旋側面コア24の損失を最大化するために、非常に望ましい。そのような最適化は、より広い範囲の製造時の許容誤差、および、実用上達成可能な高次モードのより大きな損失、を提供する。最適化を実施することの主な利点の一つは、クラッド内へのモード浸透深さ(モードテール(modal tail))を増加することである。隣接するコアのモードのより長いテールは、3つの最適化パラメータの全ての改良を確実にし、(i)別々のコアの間でのより強いモードの重なり合いが、より強いコア間の結合、および、より広い共振、の両方を導くこと、(ii)より長いモードテールが、螺旋に巻かれたコアからのより大きな放射損失を一般的に導くこと、を提供する。
【0042】
図11Aおよび図11Bは、リングタイプのファイバーコアの分布を用いることが、モードテールを増加する様子を示している。クラッドへのモードの浸透は、ある種の構造パラメータ(内径R1および外径R2、ならびに、クラッドに関連する屈折率の差Δn1,Δn2)に対して、一桁以上の振幅だけ増加されられてよい。しかし、図11Aの具体的な構造は、HCC構造を最適化するための、その他の可能な屈折率分布のうちの単に一つの例である。
【0043】
表3は、リングコアの構造パラメータ(図11Aおよび図11Bに示された)の最適化が側面コア24でのモード損失を大きく増加する様子を示している。表3は、様々なパラメータの値に対する、コアの曲率半径Rc=5mmで計算されたモード損失αlossを示している。パラメータの選択は、リングコアのモードの実質的な屈折率Δneffがほぼ等しくなるように、されていて、これは、中心コアおよび側面コアの結合条件が、各側面コア24,24’,40,42の構造に対して等しいことを意味する。表3の第1行は、基準としての標準的なステップインデックスコアファイバーに対応する。最後の列の損失の値に示されているように、各リングの構造に対する損失は、同じ実効屈折率値を有するステップインデックスの分布のモードと比較して、数桁の振幅だけ増加している。
【0044】
【表3】
【0045】
螺旋側面コア24は、湾曲したファイバーコアからのモード放射に起因して、中心LMAコア22から結合されたモードに大きな損失を加えるように機能してよい。大まかに言って、コアの曲率は、螺旋周期の減少と共に増加し、側面コア24とHCCファイバー20の軸との間の距離(オフ軸距離)の増加と共に増加する。HCCファイバー20の設計時に、螺旋周期および側面コア24のパラメータは、中心コア22からの高次モードの効率の良い結合、および、側面コア24の損失、の両方が同時に確実になるように、提供される。その螺旋周期の範囲内で大きな螺旋側面コアでの損失が起こる螺旋周期の範囲を広くすることが有益である。構造的な欠陥を螺旋側面コアの外側に導入するために、ある方法が用いられてよく、したがって、この側面コアからの追加的なモード損失が促進される。例えば、構造的な欠陥の導入は、ミクロ構造ファイバーで達成されてよい。そのようなミクロ構造ファイバーは、一般的に、キャピラリースタック法(capillary stacking techniques)を用いて、製造される。それに代わって、側面コア24は、ドーパントを用いて処理されて、所望の信号波長での大きな損失が提供される。
【0046】
こんどは、ファイバーの複屈折について考えると、HHCファイバー20は、既存の大きい複屈折のファイバー構造に匹敵する。図12は、ファイバーの長手方向に沿って方位角的に向きが変わる応力をコアに加える応力フィラメントを示している。応力が加えられたHCCファイバー96は、中心コア90と、側面コア92と、応力フィラメント94と、を含んでいる。応力フィラメント94は、螺旋HCCファイバー96の長手方向に沿って方位角的に向きが変化する応力を中心コア90に加え、それによって、ファイバー中に円偏光複屈折を生み出す。この幾何学的形状は、「螺旋」ファイバーとも呼ばれ、HCCファイバー20の発想と完全に適合している。さらに、HCCファイバー20を螺旋ファイバーの技術と結合して、単一偏光LMAファイバーを導くことが可能である。
【0047】
螺旋ファイバー技術を用いると、右旋円偏光モードまたは左旋円偏光モードが、螺旋HCCファイバー96の固有モードである。したがって、発射された円偏光の状態は、伝播方向に沿って不変量である。さらに、ファイバーが、円偏光光(右旋円偏光または左旋円偏光)で励起されている場合には、ファイバーに沿って伝播する光は、ファイバーの全長に沿った、その円偏光光になり、その円偏光光のみになる。実際の用途では、螺旋HCCファイバー96セグメントの接続は、通常の方法を用いる。一連のセグメントの螺旋応力フィラメントは、接続部で連続的である必要は無く、その理由は、これらの螺旋応力フィラメントのオフセットが、接続部での伝播する光の位相シフトを結果としてもたらすが、伝播する光の円偏光の状態を変えないからである。さらに、螺旋HCCファイバー96は、伝えられる固有モードの円偏光を乱すことなく比較的小さな曲率半径の曲げに耐える。
【0048】
要約すると、HCCファイバー20の発想は、大きな円偏光複屈折ファイバーを実現するために、螺旋HCCファイバー96の複合導波路の設計に用いられてよい。さらに、大きな円偏光複屈折が、HCCファイバー20の中心のLMAコア22の基本モードLP01を、2つの直交する偏光モード(右旋円偏光(RCP)モードおよび左旋円偏光(LCP)モード)に分割するようにし、各モードは異なる位相速度で特徴付けられている。適切な側面コア24の螺旋周期を選択することによって、位相整合を得ることが可能であり、その結果、2つの偏光モードのうちの一つからの側面コア24への電力結合が可能になる。したがって、大きな損失が基本モードの偏光で誘起される。その結果、広モード域HCCファイバー20が構築され、そのファイバーは単一空間モードで単一の偏光のみを支持する(単一偏光ファイバー)。そのようなファイバーは、多数の重要な用途(例えば、コヒーレントなビームまたはスペクトルのビームの結合)で非常に望ましい。しかし、現在の単一偏光ファイバーは、非常に小さい寸法のコアでのみ利用可能である(典型的なLMAファイバーのモードサイズと比較して非常に小さいモードサイズ)。
【0049】
それに代わって、単一偏光HCCファイバーを、大きい複屈折の方法を用いずに(すなわち、上記の螺旋ファイバーを用いずに)、設計することも可能である。螺旋光学的経路の幾何学的形状に起因して、螺旋状に巻かれたコアは、円偏光複屈折を備えており、すなわち、異なる位相速度を備えた2つの垂直なモードの伝播(偏光状態を変えずに伝播する)に寄与する同じ空間的な螺旋コアのモードのLCP偏光およびRCP偏光を備える。さらに、同じ偏光のフィールドのみが相互に作用するので、LCP偏光された螺旋側面コアのモードのみがLCP偏光された中心コア22のモードと相互に作用し、そして、同様に、中心コア22および螺旋側面コア24,24’のRCPモードのみが相互に作用する。その結果、中心コアのモードと螺旋側面コアとの間のRCPおよびLCPの相互作用を位相整合させるための螺旋周期は異なり、高次モードの抑制に加えて円偏光された中心コアの基本モードの一つをも抑制できるようにするHCCファイバーの構造を選択できるようになる。
【0050】
HCCファイバー20のさらに別の用途には、4波混合(FWM)非線形相互作用を用いた波長変換がある。既存のファイバーレーザーは、ガラス基質中の希土類ドーパントを用いて、ドーパントの分光学的特性によって決まる波長での光学的利得を提供する。しかし、非常に限られたスペクトル範囲が、既存の希土類ドーパントがドープされたファイバーレーザーおよび増幅器によってカバーされる。したがって、任意の望ましい光学的波長までレーザーの動作を拡張することが非常に望ましい。
【0051】
原理的には、レーザーの動作の拡張は、4波混合(パラメトリック増幅)のような、光学ファイバーでの非線形相互作用を用いた非線形波長変換を用いることで、達成される。実施上の制約は、効率の良い波長変換が相互に作用する波の位相整合によってのみ達成されるということである。ファイバーのモードの伝播定数に関して、この位相整合の条件は、βsignal+βidler=2βpumpとして表現される。ここで、信号(signal)波、アイドラー(idler)波、および、ポンプ(pump)波、の光学的周波数は、エネルギー変換の関係、ωsignal+ωidler=2ωpumpに従わなければならない。位相整合の必要性に起因して、単一モードファイバーでの効率の良いFWMパラメトリック波長変換は、零分散波長の近くでのFWM相互作用を用いて、ファイバーの複屈折を用いて、または、偶然の位相整合条件の満足を利用して、これまで、スペクトル的に限定された範囲内で達成されてきただけである。
【0052】
しかし、中心コアのモードと螺旋側面コアとの間でのHCCファイバー20の電力交換は、擬似位相整合に起因して、すなわち、モード交換電力の位相速度が等しくないときに、起こることができる。例えば、中心コア22のLP01モードと螺旋側面コア24のLP11モードとの間の相互作用について考えることができる。このコア間の電力交換に起因して、LP01モードの位相速度は、結合されていないコアでの位相速度に比べて、増加するはずである。光学的フィールドが、「遅い」中心コアのLP01モードと「速い」螺旋側面コアのLP11モードとの間を循環しているので、実質的な位相速度は、これらの「遅い」位相速度と「速い」位相速度との間の値を獲得するはずである。結果的な位相速度の正確な値は、コア22,24の間の結合の程度によって決定されてよい。これは、2つのモードの結合の程度を決定するHCCファイバー20の構造パラメーターを制御することによって、LP01モードの位相速度を制御できるようにしている。この位相速度の制御が起きる波長範囲は、適切な側面コアの螺旋周期を選ぶことで、選択される。
【0053】
位相速度の整合は、光ファイバーの透明な範囲内での、信号波長、アイドラー波長、および、ポンプ波長、の任意の設定に対して、達成されてよい。唯一の制約は、エネルギー保存則である。その結果、この技術は、全てのファイバーベースの波長変換装置を可能にする。そのようなHCCファイバー20を用いた波長変換技法の様々な考えられる実施例がある。ひとつのアプローチは、受動HCCファイバー20を用いることであり、受動HCCファイバー20は、ωpumpで動作する外部のレーザーでポンプされていてよい。それに代わって、波長変換のためのHCCファイバー20の構造を能動の希土類ドーパントがドープされた中心コア20に組み込んでもよい。この場合、ドープされた中心コア22は、ωpumpで光学的利得を提供し、光学的利得はレーザーキャビティ内のスペクトル的に選択可能なコンポーネント(ブラッグ回折格子(fiber Bragg grating)のような)によって求められる。位相整合されたFWMのためのHCCファイバー20の構造は、次に、ωsignalおよびωidlerに対応する必要な波長でパラメトリック利得を提供する。そのようなレーザーは、複数の波長の出力(ωpump、ωsignal、および、ωidlerに対応する波長の出力)を生み出す。さらに、レーザーは、ほとんどの出力電力をωsignalで生み出すように最適化されてよい。したがって、レーザーは、希土類イオンの利得帯域の外側の波長で動作する。波長変換は、非線形相互作用を最大にするために、小さな単一モードの中心コア22を有効に用いているが、非常に大きな電力(例えば、1kWから10kWまでの範囲内の電力)に対しては、より大きな中心コアが選択されてよい。さらに、HCCファイバー20の構造のモード位相速度の制御が、モード分散(位相速度の波長依存性)の制御を可能にする。この可能性は、超短パルスファイバーレーザーシステムでのHCCファイバーの使用で重要である。
【0054】
こんどは誘導ラマン散乱(SRS)について考えると、光ファイバー増幅器および光ファイバーレーザーでの獲得可能なピーク電力および平均電力の制限が記載される。SRSは、よく定義された強度閾値を備えた非線形光学現象である。この閾値より上では、ファイバー中の光信号は、長波長の光信号の増幅を開始する。このラマン利得は、非常に大きく(50dBより大きい)なることができ、ラマン利得スペクトル帯域に常に存在するわずかな自然発生した光子のみから始まる強い信号を生み出すことができる。その結果、10THz以上だけポンプから長波長側にシフトした非常に強い光信号が生み出される。多くの実用的な場合で、これは、ファイバーレーザーまたはファイバー増幅器にとって非常に望ましくなく、したがって、ファイバー中の獲得可能なピーク電力または平均信号電力をSRS閾値より下に制限する。
【0055】
このSRS閾値は、HCCファイバー20の狭い帯域特性を利用して、HCCファイバー20内で抑制される。中心コア20のモードと螺旋側面コア24のモードとの間のモード結合は、限定された波長範囲内でのみ起こり、位相整合または擬似位相整合条件を中心にして起こる。スペクトル幅(および、スペクトルピーク位置)は、螺旋側面コア24および中心コア22の実際の構造に強く依存している。したがって、HCCファイバー20の構造は、その構造が単一の波長のみでの中心コア22中の単一モードの光信号の伝播を支持し、この信号に関するラマン利得帯域に対応する波長での全てのモードの伝播を禁止するように、構成されていてよい。ラマン帯域中でのモード損失は、非常に大きく(>>100dB/m)できるので、SRSの閾値は、非常に増加されて、ピーク電力および平均電力を増加するための追加的な達成方法が提供される。
【0056】
こんどは、HCCファイバー20のための希土類イオン利得帯域工学について考える。HCCファイバー20のスペクトル共振特性は、希土類ドーパントがドープされたファイバーの利得帯域幅を変更するために利用できる。例えば、HCCファイバー20の構造は、Ybがドープされたファイバーの「通常の」1030nmから1100nm以上までのスペクトル範囲内の光学利得を完全に抑制するように構成されていてよい。したがって、光学利得は、980nmで獲得されてよい。この波長でのそのような利得は、現在のところ、小さなコアの単一モードファイバーを用いることによってのみ、実証されてきた。980nmで動作する大型コアのHCCファイバー20の重要性は、HCCファイバー20が、横マルチモード出力で動作するマルチモードレーザーダイオードが、914nmおよび940nmから、回折が制限された980nmの波長への、非常に効率の良い(80%より大きい)輝度変換をできる、ようにすることである。大型コアのファイバーでのこのような変換の達成は、980nmでの単一の横モードの非常に大きな平均電力(1kWを超えることが可能)を提供する。これは、高出力ファイバーレーザーの設計を可能にし、そのファイバーレーザーは、クラッドポンプシステムに代わって、コア内ポンプシステムとなることができる。
【0057】
さらに、HCCファイバー20でのこのようなスペクトル依存の結合は、Ybがドープされたファイバーの利得分布自体を再生するために利用できる。Ybファイバーは、典型的には、長波長に向かって急速に低下する約1030nmでの強い利得ピークを有する。Ybがドープされたファイバーの光学利得は1100nmを大きく超えて伸びているが、この広い帯域幅は、広帯域(>100nmFWHM)の光信号増幅に直接用いることはできず、その理由は、利得の大きな傾斜が、増幅されたスペクトルを1030nm付近に必然的に狭めてしまうからである。大きな損失を伴うHCCファイバー20の構造を全てのモードに対して1030nmで用いることは、利得の傾斜をオフセットし、Ybがドープされたファイバーでの非常に広い増幅帯域を効率良く生み出す。
【0058】
産業界では、HCCファイバー20,20’は、非線形効果の受け易さを減らすことによって、および、大電力ポンピング条件を改善することによって、大電力ファイバーの電力の増加を容易にする。HCCファイバー20,20’によって提供された独自の広モード域は、高エネルギーパルスの生成を必要とする用途で特に有益である。HCCファィバー20,20’が既存のLMAファィバーの接続に関する難しさを解消することは、HCCファィバー20,20’の重要な利点である。コイルの形成を必要としないので、ファィバーシステム(モノリシックポンプ結合器、または、ファイバーに結合された光学的アイソレーターのような)に接続されたHCCファィバー20,20’の短いリード線でさえもが、効率のよい高次モードの抑制を可能にする。その結果、異なるファィバー同士のモード整合の不確実さは、追加的な接続損失のみを結果としてもたらし、既存のLMAファイバーに関して現在のところ該当するようなモード品質の劣化をもたらさない。さらに、HCCファィバー20,20’の重要な利点は、その構造がファイバーコアの小さいNAを必要としないことである。これによって、ErおよびTmがドープされたファイバー用のLMAの構造が、約1550nmおよび1800nmから2000nmまでの技術的に重要な目に安全な波長で動作できるようになり、これらの波長で動作する場合には、小さいNAを獲得することは、重要な技術的障害である。さらに、HCCファイバー20,20’は、通常のインデックスガイドファイバー、ならびに、マイクロ構造およびフォトニック結晶のファィバー、に広く適用可能である。
【0059】
こんどは、HCCファイバー20,20’の製造を考えると、中心コア22と、螺旋状に巻かれた側面コア24またはコア24’,40,42(上述された。)と、からなる複合ファイバー構造は、既存のファィバー線引き技術を用いて製造されてよい。HCCファイバー20を製造するための製造方法の実施の形態は、中心回転軸102を有し、中心コア122の中心回転軸102(図13Aに示されている)に対してオフセンターで配置された螺旋状に巻かれた側面コア124と、を有するファイバープリフォーム100を作ることで開始される。ある実施の形態では、単一の中心コア122を有する典型的なプリフォーム100は、側面コア124を挿入するために、穿孔されてよい。側面コア124は、予め決められたドーパント配合物を含む予め製造されたガラスロッドから選択され、次に、プリフォーム100の穿孔された開口内に挿入される。HCCファィバー20,20’が複数の側面コア24,24’,40,42を有する実施の形態の場合には、プリフォーム100は、複数回穿孔され、複数の側面コア124が挿入されてよい。最終のプリフォーム100の構造が、次に、加熱されて、いずれの空隙も潰される。
【0060】
それに代わって、一般的なフォトニック結晶ファイバー製造方法が用いられてもよい。この場合、複数のガラスキャピラリーが一緒にスタックされる。全体の構造は、キャピラリーを設けないいくつかの位置を選択することによって、または、それに代わって、ドープされたキャピラリーを挿入することによって、選択されてよい。スタックされた構造は、次に、加熱されて、潰され、中実構造が提供される。
【0061】
HCCファイバー20,20’は、次に、プリフォーム100を回転させながら、プリフォーム100からファイバーを線引きするすなわち引っ張ることによって、製造されてよい(図13Bに示されている)。したがって、直線状の中心コア22と、螺旋状に巻かれた側面コア24(図13Cに示されている。)またはコア24’,40,42と、が生み出される。回転は、その炉の中にファイバープリフォーム100が固定されているファイバー線引き炉を一定の速度で回転させることによって、行われてよい。その場合、必要な螺旋周期は、ファイバーの線引き速度とファイバー線引き炉の回転速度との適切な組み合わせを選択することによって達成されてよい。このアプローチは、一定の螺旋周期および螺旋の一定の旋進性を備えた螺旋コア(HCCファイバー20のような)を生み出す。
【0062】
それに代わって、炉の回転速度は、線引きの間に変えられてよく、したがって、変化する螺旋周期が生み出される。さらに、回転は、速度だけでなく、旋回の向きも変えられてよく、したがって、ファイバーに沿って変化する螺旋周期および変化する螺旋の旋進性の両方が生み出される。そのような方法は、より複雑な複合導波路構造を生み出すのに有用である。
【0063】
これまでの記載は、本発明の方法およびシステムの例示的な実施の形態を例示し記載するためにのみ提供されてきた。これまでの記載は、網羅的であることも、本発明を開示された正確な形態のいずれに限定することも、意図されていない。当業者には、本発明の範囲を逸脱せずに、さまざまな変更が行われ、等価物が本発明の要素と置き換えられることが理解されるであろう。さらに、多くの変形が、本発明の本質的な範囲を逸脱せずに、本発明の教示内容に具体的な状況および材料を適合させるために、行われてよい。したがって、本発明が、本発明を実施するために企図された最適の形態として開示されたいずれの具体的な実施の形態にも限定されず、本発明が特許請求の範囲に包含される全ての実施の形態を含むことが、意図されている。本発明は、本発明の真髄および範囲を逸脱せずに、具体的に記載され例示された実施の形態以外としても実施されてよい。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲のみによって、限定される。
【0064】
〔実施の態様〕
この発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
(1)複合導波路において、
中心コアと、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、かつ、前記中心コアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの側面コアと、
を具備する、複合導波路。
(2)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、広モード域用に構成されている、複合導波路。
(3)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、インデックスガイドファイバーである、複合導波路。
(4)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、フォトニック結晶ファイバーである、複合導波路。
(5)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、一次モードを導くように構成されている、複合導波路。
(6)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、直線状である、複合導波路。
(7)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの側面コアは、前記側面コアと前記中心コアのモードとの間の効率の良い選択的な結合を提供するように構成されている、複合導波路。
(8)実施態様(7)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの側面コアは、実質的に、前記中心コアの予め決められた高次モードのみが、前記側面コアに結合されるように構成されている、複合導波路。
(9)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、前記側面コアに沿って伝播するモードに対して大きな損失を与えるように構成されている、複合導波路。
(10)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記中心コア、および前記側面コアのモードフィールドは、少なくとも部分的に重なり合う、複合導波路。
【0065】
(11)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの側面コアは、
第1の同心リングに沿って配置された少なくとも一つの近いコアであって、前記中心コアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの近いコアと、
第2の同心リングに沿って配置された少なくとも一つの遠いコアであって、前記少なくとも一つの近いコアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの遠いコアと
を含む、
複合導波路。
(12)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれた複数の側面コア、
をさらに具備する、
複合導波路。
(13)実施態様(12)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、前記中心コアの光学的近傍に配置されていて、
前記側面コアの各々は、別の前記側面コアから離れて配置されている、
複合導波路。
(14)実施態様(12)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、少なくとも一つの半径方向の線に沿って配置されている、複合導波路。
(15)実施態様(14)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、隣接する前記側面コアの光学的近傍に配置されていて、
前記中心コアに隣接する前記側面コアは、前記中心コアの光学的近傍に配置されている、
複合導波路。
(16)実施態様(12)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、複数の同心リングに沿って配置されている、複合導波路。
(17)実施態様(16)に記載の複合導波路において、
前記側面コアの各々は、隣接する前記側面コアの光学的近傍に配置されていて、
前記中心コアに隣接する前記側面コアは、前記中心コアの光学的近傍に配置されている、
複合導波路。
(18)実施態様(16)に記載の複合導波路において、
前記側面コアの各々は、隣接する前記側面コア、および、前記中心コア、の光学的近傍に配置されている、複合導波路。
(19)実施態様(12)に記載の複合導波路において、
前記側面コアは、単一の同心リングに沿って配置されていて、
前記単一の同心リングの中心は、前記中心コアの中心に配置されている、
複合導波路。
(20)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、別の導波路、または、別の複合導波路、と接続されるように構成されている、複合導波路。
【0066】
(21)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ほぼ975nmで動作するように構成されている、複合導波路。
(22)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ラマン抑制のために構成されている、複合導波路。
(23)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、利得再生のために構成されている、複合導波路。
(24)実施態様(1)に記載の複合導波路において、
前記中心コア、および前記少なくとも一つの側面コアは、パラメトリック波長変換を生み出すための位相整合のために構成されている、複合導波路。
(25)複合導波路において、
中心コアと、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、かつ、前記中心コアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの側面コアと、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、かつ、前記中心コアの長さ方向に沿って方位角的に変化する向きに沿って前記中心コアに応力を加える、少なくとも一つの応力フィラメントと
を具備する、複合導波路。
(26)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、広モード域用に構成されている、複合導波路。
(27)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、インデックスガイドファイバーである、複合導波路。
(28)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、フォトニック結晶ファイバーである、複合導波路。
(29)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、別の導波路、または、別の複合導波路、と接続されるように構成されている、複合導波路。
(30)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ほぼ975nmで動作するように構成されている、複合導波路。
【0067】
(31)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、前記中心コアの偏光を維持するように構成されている、複合導波路。
(32)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ラマン抑制のために構成されている、複合導波路。
(33)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、利得再生のために構成されている、複合導波路。
(34)実施態様(25)に記載の複合導波路において、
前記中心コア、および前記少なくとも一つの側面コアは、パラメトリック波長変換を生み出すための位相整合のために構成されている、複合導波路。
(35)複合導波路において、
中心コアと、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれた少なくとも一つの側面コアと、
前記中心コアと光学的に連絡した、前記少なくとも一つの側面コアの第1のエッジと、
前記複合導波路の外径のほぼ近くに配置された、前記少なくとも一つの側面コアの外側部分であって、前記外側部分が少なくとも一つの構造欠陥を有し、それによって、前記少なくとも一つの構造欠陥が前記複合導波路からのモード損失を促進する、外側部分と、
を具備する、複合導波路。
(36)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、広モード域用に構成されている、複合導波路。
(37)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、インデックスガイドファイバーである、複合導波路。
(38)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、フォトニック結晶ファイバーである、複合導波路。
(39)実施態様(38)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの構造欠陥は、キャピラリースタックを用いて構成されている、複合導波路。
(40)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの構造欠陥は、ドーパントを用いて構成されている、複合導波路。
【0068】
(41)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記少なくとも一つの構造欠陥は、ドーパントを吸収した前記少なくとも一つの側面コアによって構成されている、複合導波路。
(42)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、別の導波路、または、別の複合導波路、と接続されるように構成されている、複合導波路。
(43)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ほぼ975nmで動作するように構成されている、複合導波路。
(44)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、ラマン抑制のために構成されている、複合導波路。
(45)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記複合導波路は、利得再生のために構成されている、複合導波路。
(46)実施態様(35)に記載の複合導波路において、
前記中心コア、および前記少なくとも一つの側面コアは、パラメトリック波長変換を生み出すための位相整合のために構成されている、複合導波路。
(47)複合導波路において、
一次モードを導く手段と、
前記一次モードを導く前記手段の周りに螺旋状に配置された、高次モードを導く手段と、
を具備する、複合導波路。
(48)実施態様(47)に記載の複合導波路において、
前記中心コアは、広モード域用に構成されている、複合導波路。
(49)実施態様(47)に記載の複合導波路において、
前記高次モードを導く手段は、前記高次モードの損失を増加する手段を含む、複合導波路。
(50)実施態様(47)に記載の複合導波路において、
前記中心コア、および前記少なくとも一つの側面コアは、パラメトリック波長変換を生み出すための位相整合のために構成されている、複合導波路。
【0069】
(51)複合導波路の製造方法において、
中心コア、および少なくとも一つのオフセンターの側面コアを備えたファイバープリフォームを線引きする過程と、
前記複合導波路が線引きされるときに前記ファイバープリフォームを回転させる過程と、
を具備する、方法。
(52)実施態様(51)に記載の方法において、
前記中心コアは、広モード域用に構成されている、方法。
(53)実施態様(51)に記載の方法において、
前記ファイバープリフォームは、インデックスガイドファイバー用に構成されている、方法。
(54)実施態様(51)に記載の方法において、
前記ファイバープリフォームは、フォトニック結晶ファイバー用に構成されている、方法。
(55)実施態様(51)に記載の方法において、
ファイバー線引き炉が、前記ファイバープリフォームを回転させるために、回転させられる、方法。
(56)実施態様(51)に記載の方法において、
前記回転の速度は、ほぼ一定である、方法。
(57)実施態様(51)に記載の方法において、
前記少なくとも一つのオフセンターの側面コアの螺旋周期は、前記回転の速度、および/またはファイバーの線引き速度によって決定される、方法。
(58)実施態様(51)に記載の方法において、
前記回転の向きは、周期的に反転される、方法。
(59)実施態様(51)に記載の方法において、
前記回転の前記速度は、前記オフセンターの側面コアの可変の螺旋周期を提供するように、変えられる、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合導波路において、
中心コアと、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、かつ、前記中心コアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの側面コアと、
を具備する、複合導波路。
【請求項1】
複合導波路において、
中心コアと、
前記中心コアの周りに螺旋状に巻かれ、かつ、前記中心コアの光学的近傍に配置された、少なくとも一つの側面コアと、
を具備する、複合導波路。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【公開番号】特開2011−150350(P2011−150350A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26950(P2011−26950)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願2007−521655(P2007−521655)の分割
【原出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(504361805)ザ・リージェンツ・オブ・ジ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン (6)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of Michigan
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願2007−521655(P2007−521655)の分割
【原出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(504361805)ザ・リージェンツ・オブ・ジ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン (6)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of Michigan
【Fターム(参考)】
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