複合材ローラ
【課題】複合材ローラと構造物との接触部の面圧を下げることが可能な複合材ローラを提供することを目的とする。
【解決手段】自らが回転する複合材ローラであって、繊維で編まれるとともに、樹脂が含侵された布が複数枚積層された円筒形状の積層体と、この積層体とは異なる繊維から成り、積層体の回転する面を覆うシートとを備える。また、布の繊維の縦弾性係数は、布の樹脂の縦弾性係数よりも小さくする。また、布の繊維の硬さ値は、布の樹脂の硬さ値よりも低い。
【解決手段】自らが回転する複合材ローラであって、繊維で編まれるとともに、樹脂が含侵された布が複数枚積層された円筒形状の積層体と、この積層体とは異なる繊維から成り、積層体の回転する面を覆うシートとを備える。また、布の繊維の縦弾性係数は、布の樹脂の縦弾性係数よりも小さくする。また、布の繊維の硬さ値は、布の樹脂の硬さ値よりも低い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材で製作され、自らが回転する円筒状のローラに関する。
【背景技術】
【0002】
構造物を軽量化しようとした際、材料の変更を行い現状よりも強度の高い材料に変えて、部材の板厚を小さくする手法がとられることが多い。
【0003】
消防はしご車のはしご部や高所作業車の作業ブームを軽量化しようとする場合も同様で、一般には板厚を抑えながら強度上問題が生じないように設計する。特に、はしご車のはしご部や作業ブームは、角型鋼管の溶接構造物であり、長尺の鋼管でできた複数の相似形状の構造物が、互いにスライドするように並進伸縮運動を行うため、構造物間に滑らかに運動できるような摺動部材やローラが設けられる。ローラには、耐熱性を有するとともに、高い圧縮強度に耐えられるように鋼合金製が使用される。はしご車や高所作業車のような大型構造物ではない場合、ローラの材質を樹脂製としたものとしては、特開平04−286633号公報に記載された例がある。これは、ローラの芯材に炭素繊維で強化された熱硬化性樹脂の最外周表面に金属メッキを施す構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−286633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のはしご車のはしご部や高所作業車の作業ブームを軽量化しようとした場合、従来技術では次のような問題がある。軽量化するために部材の板厚を減じていくことで、複数の構造が並進伸縮運動を行っている際に、構造物間に設けられたローラによる局所的な圧縮力で、部材が変形してしまう。ローラによる凹み変形を防止するために部材の板厚を増加することになり、結果として総質量があまり減少しない場合が多い。部材の凹みを防止するためにはローラの剛性を鋼合金製のローラのものよりも低下させ、接触部の最大圧縮応力を小さくする必要がある。特開平04−286633号公報に記載された樹脂ローラを、はしご車や高所作業車に適用した場合、該発明は炭素繊維で樹脂を強化しているため、ローラ自身の剛性は小さくならず接触部の面圧低減の効果はない。
【0006】
本発明の目的は、複合材ローラと構造物との接触部の面圧を下げることが可能な複合材ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、自らが回転する複合材ローラであって、繊維で編まれるとともに、樹脂が含侵された布が複数枚積層された円筒形状の積層体と、前記積層体とは異なる繊維から成り、前記積層体の回転する面を覆うシートとを備える。また、前記布の繊維の縦弾性係数は、前記布の樹脂の縦弾性係数よりも小さい。また、前記布の繊維の硬さ値は、前記布の樹脂の硬さ値よりも低い。また、前記シートの繊維は、有機繊維である。また、前記積層体の回転する面とは異なる面には、前記積層体の外径よりも小さい外径からなる金属製の円板が設けられる。また、有機繊維で強化された樹脂複合材又はグラファイトから成る軸材を備え、前記積層体の中心軸の周辺は、めねじ加工され、前記めねじ加工された部分には、前記軸材がねじ込まれて締結される。また、前記シートは、前記積層体の回転する面の全幅と同等又はそれ以下の幅からなるテープであり、前記積層体の回転する面に、前記テープを複数回巻く。また、前記積層体の回転する面には、溝が設けられ、前記溝は、前記回転する面の中心部付近から前記積層体の端部に伸びている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複合材ローラと構造物との接触部の面圧を下げることが可能な複合材ローラを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】複合材ローラの斜視図である。
【図2】複合材ローラおよび布の積層体の斜視図である。
【図3】ローラの基材となる布を軸に巻きつけた状態の斜視図である。
【図4】ローラ接触部の応力分布図である。
【図5】有機繊維の摩擦係数の変化図である。
【図6】端面に保護プレートを接着した複合材ローラの斜視図である。
【図7】軸材を有する複合材ローラの斜視図である。
【図8】ローラ芯材に繊維を巻きつける装置の斜視図である。
【図9】ローラ芯材に繊維テープを巻きつける装置の斜視図である。
【図10】溝加工がされた複合材ローラの斜視図である。
【図11】ローラ成型装置の斜視図である。
【図12】消防はしご車の斜視図である。
【図13】はしご車はしご部の先端ローラ部付近の斜視図である。
【図14】高所作業車の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例1について、図を用いて説明する。
【0011】
図1は、複合材ローラの斜視図である。図2は、複合材ローラ及び複数枚の布の積層体の斜視図である。図3は、ローラの基材となる布を軸に巻きつけた状態の斜視図である。図4は、ローラ接触部の応力分布図である。図5は、有機繊維の摩擦係数の変化図である。
【0012】
図1において、ローラ芯材1は、木綿繊維で編まれた布にフェノール樹脂を含浸させた布2を複数枚積層した積層体から、機械加工によって円筒形状に切削されている。樹脂を含ませた布2は、ローラ芯材1の軸に対して垂直な方向に積層されている。
【0013】
図2において、樹脂を含ませた布2を複数枚積層したものをプレスマシンによって布2に垂直な方向から圧縮する。これと同時に、フェノール樹脂を硬化させるために必要な温度まで上昇させる。このように成型された樹脂板から、ローラ芯材1の外径に等しい径で部材が機械加工によってくり抜かれる。ローラ芯材1の中心軸周りは、ベアリング3が挿入できるように加工される。ローラ芯材1の最外周の表面(積層体の回転する面)には、アラミド繊維が樹脂に混合されたシート4が巻きつけられる。このシート4は、ローラ芯材1にエポキシ樹脂などで接着される。また、シート4の繊維は、有機繊維である。巻きつける回数は、一回あるいは複数回とする。ローラ芯材1の最外周の表面がシート4で覆われるようにする。ローラ芯材1を成す繊維としては、木綿繊維のほかにも、ナイロン繊維,ポリエステル繊維,絹糸,毛糸,木繊維などの高分子繊維がある。また、布2に含浸する樹脂としては、フェノール樹脂以外に、エポキシ樹脂,ナイロン樹脂,ポリエステル樹脂,ポリカーボネート樹脂,フッ素樹脂などがある。いずれの場合も、布2を成す繊維の縦弾性係数が、布2を成す樹脂の縦弾性係数と同等又はそれ以下になるように選択する。また、布2を成す繊維の硬さ値が、布2を成す樹脂の硬さ値と同等又はそれ以下となるように選択する。このように選択することで、積層体の剛性が樹脂自身の剛性よりも過度に大きくならないとともに、布に含浸させて成型するため、板厚の大きな部材が成型しやすくなる。金型などに樹脂を流し込んで成型する場合には、その冷却過程で樹脂が均一に冷えず、残留応力によって割れが生じることが多い。
【0014】
また、図3は、一般的なフェノールローラの製作方法を示す図である。これは、フェノール樹脂が半硬化状態になったものを含浸させた布2を、軸5に巻きつけたものを加熱して、硬化させるものである。この手法では、布2の間に細かい気泡が入ってしまい、その気泡を起点にして、き裂が発生し、強度が著しく弱くなる。
【0015】
一方、実施例1によれば、フェノール樹脂を含ませた布2を積層して、加熱硬化時に合わせてプレス機によって高い圧縮力をかけられる。これにより、内部の気泡が抜け、気泡に起因したき裂が発生し難くなるため、板厚が大きく、強度の高いフェノール樹脂板が成型できる。このように成型された樹脂板から、ローラ芯材1の外径に等しい径の部材を機械加工によってくり抜くことで、強度の高いローラを製作することが可能となる。
【0016】
図4は、ローラ7の接触部の相手材6の圧縮応力分布を示す図である。ローラ7が鋼合金で製作された場合、ローラ7端部が接する部位の圧縮応力が高い。この高い圧縮応力によって、相手材6は、凹み変形を生じてしまう。一方、ローラ7を実施例1の複合材ローラとした場合、ローラ7の端部が樹脂特有の低剛性となっているため、適度に変形し、相手材6の圧縮応力が小さくなる。そして、ローラ7の幅方向中央部の応力は増加し、応力分布が均一化する。このように実施例1によれば、ローラ7との接触時の相手材6の最大圧縮応力を小さくできるため、相手材6の板厚を減らすとともに、構造物の質量を小さくすることが可能となる。また、樹脂にフェノールを選択することで耐火性に優れたローラが提供できる。また、ローラ芯材1を機械加工によって成型するため、樹脂硬化時の寸法変化などに影響されない寸法精度の高いローラを提供することが可能となる。この際、基材に木綿布を使用しているため、切削の抵抗にならずにスピーディに加工が完了する。
【0017】
図5は、ローラ芯材1の最外周表面に貼られたアラミド繊維が樹脂に混合されたシート4の摩擦係数変化を示す図である。摩擦繰返し数が増加すると、一般のガラス繊維で強化された樹脂を切削して作製したシートの摩擦係数は増加してしまう。そして、ローラ芯材1の破壊強度に達し、ローラが破壊してしまう。一方、実施例1で使用する有機繊維で製作されたシートの摩擦係数は、複数種試験しても安定している。これにより、ローラの回転が繰返されても表面の摩擦係数が安定しているため、ローラの破壊を引き起こさない。
【0018】
実施例2について説明する。図6は、複合材ローラの斜視図である。実施例2では、保護プレート8が、樹脂を含浸させた布を積層した積層体を切削加工したローラ芯材1の両端に設けられる。即ち、保護プレート8は、積層体の回転する面とは異なる面(積層体の側面)に設けられる。保護プレート8は、積層体の外径よりも小さく加工する。材質は、金属又はFRPとする。実施例2によれば、長期使用中の複合材ローラの端部からの積層された布のはく離を防止できる。また、保護プレート8の外径がローラ芯材1のそれよりも小さいため、回転中の相手材6に接触することはなく、相手材6を保護プレート8によって傷つけることはない。
【0019】
実施例3について説明する。図7は、複合材ローラの斜視図である。実施例3では、樹脂を含浸させた布を積層したものを切削加工したローラ芯材1の軸周辺を機械加工し、めねじ加工してある。このねじ寸法に合致するように、別途製作された軸材9をねじこみ締結する。軸材9は、有機繊維で強化された複合材あるいはグラファイトで製作される。ねじ部にはあらかじめ接着材を塗布しておくことで、使用中のゆるみを防止できる。実施例3によれば、ローラ回転中の軸材9の摩擦力が安定するため、ローラ芯材1に固定されたベアリング3が不要となる。ベアリング3よりも軸材9の方が軽量なため、実施例3の複合材ローラを用いた構造物の総質量を低減することが可能となる。
【0020】
実施例4について説明する。図8は、ローラ芯材1に繊維を巻きつける装置の斜視図である。図9は、ローラ芯材1に繊維からなるテープを巻きつける装置の斜視図である。図9で、繊維で編まれた布に樹脂を含浸させた布2を積層し、加圧しながら加熱して樹脂を硬化させたものを機械加工してローラ芯材1としたものに対して、ガラス繊維,炭素繊維,有機アラミド繊維を束ねたヤーン10から、半硬化したエポキシ樹脂を満たした樹脂槽11を通して巻きつける。繊維が巻きつけられたものを、再加熱して硬化させローラとする。図10には、繊維で編まれた布に樹脂を含浸させた布2を積層し、加圧しながら加熱して樹脂を硬化させたものを機械加工してローラ芯材1としたものに対して、ガラス繊維,炭素繊維,有機アラミド繊維で編まれた織物で一定幅となった繊維からなるテープ12を巻きつけたテープロール13から、半硬化したエポキシ樹脂を満たした樹脂槽11を通してローラ芯材1に巻きつける。即ち、実施例1と異なるのは、シート4にテープ12を用いる点である。このテープ12が巻きつけられたものを、再加熱して硬化させローラとする。このテープ12は、積層体の回転する面の全幅と同等の幅又はそれ以下の幅から成る。実施例4によれば、ローラの最外周表面に段差なく、繊維又は織物が巻きつけられているため、ローラの回転中の段差による振動が防止するとともに、騒音を低減することが可能となる。また、段差による衝撃で樹脂ローラが破壊することも防止できる。
【0021】
実施例5について説明する。図10は、複合材ローラの斜視図である。実施例5では、複合材ローラの最外周表面に溝14が加工されている。溝14の加工は、有機繊維強化樹脂シート4を巻きつけた後に加工しても良い。また、ローラ芯材1が加工された段階で溝14加工が施され、その後樹脂シート4が溝に沿うように貼り付けられても良い。そして、溝14は、ローラの幅中央部付近からローラの端面まで連続的に伸びるように加工される。実施例5によれば、ローラの回転中に、相手材6との間に異物や水,油が入り込み、ローラを局所的に突上げたり、摩擦力を大きく変える恐れがある場合でも、溝14の内部に異物や水,油を入り込ませ、ローラ端面から外部へ放出させることが可能となる。このため、土砂や雨水にさらされた環境でもローラを破壊させることがなく、ローラの長寿命化が可能となる。
【0022】
実施例6について説明する。図11は、ローラ成型装置の斜視図である。実施例6において、木綿繊維で編まれた布にフェノール樹脂を含浸させた布2をあらかじめローラ芯材1の外径に合わせて切断しておき、下金型15に設けられた穴16に積層する。次に、この穴16に合致する凸部18が設けられた上金型17で、積層された布2を上方向から加圧する。下金型15にはヒータ19が内在しており、加圧と同時にヒータ19に通電することで加熱が行われる。加圧加熱時に液状化した樹脂は上金型17に設けられた成型穴20より外部へ排出される。
【0023】
即ち、実施例6では、ローラは、繊維で編まれるとともに、樹脂が含侵された布2が複数枚積層して円筒形状の積層体を作成するステップと、円筒形状の積層体の中心付近に穴を開けるステップと、円筒形状の積層体の外径よりも大きい径を有する穴16が設けられるとともに、ヒータ19を備えた下金型15に円筒形状の積層体を積層するステップと、穴16に合致する凸部と、外部への貫通穴が設けられた上金型17を下金型15に嵌め込み、円筒形状の積層体を上方向から加圧するステップと、加圧すると略同時に、ヒータ19を通電して、下金型15を加熱するステップとを経て製造される。
【0024】
以上、実施例6によれば、複合材ローラ芯材1を切削加工する必要がないため、同型のローラを大量に生産する場合において、高速に生産することが可能となる。
【0025】
実施例7について説明する。図12は、消防はしご車の斜視図である。図13は、はしご車のはしご部の先端のローラ部付近の斜視図である。図14は、高所作業車の斜視図である。図12は、四段のはしご部21からなるはしご車を示す図である。図13は、各段のはしご部21の重なり部の詳細を示す図である。はしご部21は、角型鋼管で製作された下親骨22,上親骨23,斜骨24の溶接構造物である。下親骨22は、先端ローラ25が下親骨22の下面に接触しながら回転する構造である。実施例7では、先端ローラ25が、実施例1〜6の何れかの複合材ローラからなる。一般に、先端ローラ25は、鋼製の円柱である。このため、下親骨22に接触している部分の最大圧縮応力は、時に下親骨22を作っている鋼材料の降伏点に達する場合がある。降伏点を越えて使用すると、下親骨22の下面の鋼板が変形してしまう。それを防止するために、下親骨22を構成する角型鋼管の板厚を増加させることになる。この結果として、総質量が大きなはしご部21となってしまい、軽量化につながらない。実施例7によれば、先端ローラ25が接する下親骨22の下面の鋼板の最大圧縮応力が低下するため、この部分の板厚をさらに薄くすることができる。下親骨22の全長に渡って、板厚を薄くすることができるため、はしご車全体で質量低減率を20%以上とすることが可能となる。また、複合材ローラをフェノール樹脂でその芯材を製作することで、消火活動時の高温環境でも破壊することのないはしご車を提供できる。
【0026】
図13に示す高所作業車は、作業ブーム26がガイドローラ27を介して並進伸縮運動する構造である。作業ブーム26は、鋼板の箱型溶接構造となっている。ガイドローラ27が接する作業ブーム26の下面の鋼板には、高い圧縮応力が発生する。実施例7では、ガイドローラ27が、実施例1〜6の何れかの複合材ローラからなる。一般に、ガイドローラ27は、鋼製の円柱である。このため、作業ブーム26に接触している部分の最大圧縮応力は、時に作業ブーム26を作っている鋼材料の降伏点に達する場合がある。降伏点を越えて使用すると、作業ブーム26の下面の鋼板が変形してしまう。それを防止するために、作業ブーム26を構成する角型鋼管の板厚を増加させることになる。この結果として、総質量が大きな作業ブーム26となってしまい、軽量化につながらない。実施例7によれば、ガイドローラ27が接する作業ブーム26下面の鋼板の最大圧縮応力が低下するため、この部分の板厚をさらに薄くすることができる。作業ブーム26の全長に渡って板厚を薄くすることができるため、高所作業車全体で質量低減率を30%以上とすることが可能となる。
【0027】
さらに、複合材ローラには、溝14が形成されている。このため、ローラ回転中に、作業ブーム26の下面とガイドローラ27との間に異物や水,油が入り込み、ローラを局所的に突上げたり、摩擦力を大きく変える恐れがある場合でも、溝14の内部に異物や水,油を入り込ませ、ローラ端面から外部へ放出させることができる。このため、土砂や雨水にさらされた環境でもローラを破壊させることがなく、ローラの長寿命化が可能となる。
【0028】
以上の実施例によれば、並進伸縮運動をする複数の構造物の軽量化を図るとともに、構造物の変形を起こさないような接触部の面圧を下げることが可能な並進伸縮寄稿を提供することが可能となる。また、自身の強度を確保しながら剛性の小さいローラを提供することが可能となる。言い換えると、複合材ローラが構造物に接触しながら回転している際に、ローラ自身を破壊することなく、接触部の面圧を低下させることができ、構造物の板厚を減じることができるため、構造物を軽量化することが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
1 ローラ芯材
2 樹脂を含浸した布
4 有機繊維で強化された樹脂シート
8 保護プレート
9 軸材
11 樹脂槽
12 テープ
14 溝
15 下金型
17 上金型
21 はしご部
22 下親骨
25 先端ローラ
26 作業ブーム
27 ガイドローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材で製作され、自らが回転する円筒状のローラに関する。
【背景技術】
【0002】
構造物を軽量化しようとした際、材料の変更を行い現状よりも強度の高い材料に変えて、部材の板厚を小さくする手法がとられることが多い。
【0003】
消防はしご車のはしご部や高所作業車の作業ブームを軽量化しようとする場合も同様で、一般には板厚を抑えながら強度上問題が生じないように設計する。特に、はしご車のはしご部や作業ブームは、角型鋼管の溶接構造物であり、長尺の鋼管でできた複数の相似形状の構造物が、互いにスライドするように並進伸縮運動を行うため、構造物間に滑らかに運動できるような摺動部材やローラが設けられる。ローラには、耐熱性を有するとともに、高い圧縮強度に耐えられるように鋼合金製が使用される。はしご車や高所作業車のような大型構造物ではない場合、ローラの材質を樹脂製としたものとしては、特開平04−286633号公報に記載された例がある。これは、ローラの芯材に炭素繊維で強化された熱硬化性樹脂の最外周表面に金属メッキを施す構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−286633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のはしご車のはしご部や高所作業車の作業ブームを軽量化しようとした場合、従来技術では次のような問題がある。軽量化するために部材の板厚を減じていくことで、複数の構造が並進伸縮運動を行っている際に、構造物間に設けられたローラによる局所的な圧縮力で、部材が変形してしまう。ローラによる凹み変形を防止するために部材の板厚を増加することになり、結果として総質量があまり減少しない場合が多い。部材の凹みを防止するためにはローラの剛性を鋼合金製のローラのものよりも低下させ、接触部の最大圧縮応力を小さくする必要がある。特開平04−286633号公報に記載された樹脂ローラを、はしご車や高所作業車に適用した場合、該発明は炭素繊維で樹脂を強化しているため、ローラ自身の剛性は小さくならず接触部の面圧低減の効果はない。
【0006】
本発明の目的は、複合材ローラと構造物との接触部の面圧を下げることが可能な複合材ローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、自らが回転する複合材ローラであって、繊維で編まれるとともに、樹脂が含侵された布が複数枚積層された円筒形状の積層体と、前記積層体とは異なる繊維から成り、前記積層体の回転する面を覆うシートとを備える。また、前記布の繊維の縦弾性係数は、前記布の樹脂の縦弾性係数よりも小さい。また、前記布の繊維の硬さ値は、前記布の樹脂の硬さ値よりも低い。また、前記シートの繊維は、有機繊維である。また、前記積層体の回転する面とは異なる面には、前記積層体の外径よりも小さい外径からなる金属製の円板が設けられる。また、有機繊維で強化された樹脂複合材又はグラファイトから成る軸材を備え、前記積層体の中心軸の周辺は、めねじ加工され、前記めねじ加工された部分には、前記軸材がねじ込まれて締結される。また、前記シートは、前記積層体の回転する面の全幅と同等又はそれ以下の幅からなるテープであり、前記積層体の回転する面に、前記テープを複数回巻く。また、前記積層体の回転する面には、溝が設けられ、前記溝は、前記回転する面の中心部付近から前記積層体の端部に伸びている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複合材ローラと構造物との接触部の面圧を下げることが可能な複合材ローラを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】複合材ローラの斜視図である。
【図2】複合材ローラおよび布の積層体の斜視図である。
【図3】ローラの基材となる布を軸に巻きつけた状態の斜視図である。
【図4】ローラ接触部の応力分布図である。
【図5】有機繊維の摩擦係数の変化図である。
【図6】端面に保護プレートを接着した複合材ローラの斜視図である。
【図7】軸材を有する複合材ローラの斜視図である。
【図8】ローラ芯材に繊維を巻きつける装置の斜視図である。
【図9】ローラ芯材に繊維テープを巻きつける装置の斜視図である。
【図10】溝加工がされた複合材ローラの斜視図である。
【図11】ローラ成型装置の斜視図である。
【図12】消防はしご車の斜視図である。
【図13】はしご車はしご部の先端ローラ部付近の斜視図である。
【図14】高所作業車の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例1について、図を用いて説明する。
【0011】
図1は、複合材ローラの斜視図である。図2は、複合材ローラ及び複数枚の布の積層体の斜視図である。図3は、ローラの基材となる布を軸に巻きつけた状態の斜視図である。図4は、ローラ接触部の応力分布図である。図5は、有機繊維の摩擦係数の変化図である。
【0012】
図1において、ローラ芯材1は、木綿繊維で編まれた布にフェノール樹脂を含浸させた布2を複数枚積層した積層体から、機械加工によって円筒形状に切削されている。樹脂を含ませた布2は、ローラ芯材1の軸に対して垂直な方向に積層されている。
【0013】
図2において、樹脂を含ませた布2を複数枚積層したものをプレスマシンによって布2に垂直な方向から圧縮する。これと同時に、フェノール樹脂を硬化させるために必要な温度まで上昇させる。このように成型された樹脂板から、ローラ芯材1の外径に等しい径で部材が機械加工によってくり抜かれる。ローラ芯材1の中心軸周りは、ベアリング3が挿入できるように加工される。ローラ芯材1の最外周の表面(積層体の回転する面)には、アラミド繊維が樹脂に混合されたシート4が巻きつけられる。このシート4は、ローラ芯材1にエポキシ樹脂などで接着される。また、シート4の繊維は、有機繊維である。巻きつける回数は、一回あるいは複数回とする。ローラ芯材1の最外周の表面がシート4で覆われるようにする。ローラ芯材1を成す繊維としては、木綿繊維のほかにも、ナイロン繊維,ポリエステル繊維,絹糸,毛糸,木繊維などの高分子繊維がある。また、布2に含浸する樹脂としては、フェノール樹脂以外に、エポキシ樹脂,ナイロン樹脂,ポリエステル樹脂,ポリカーボネート樹脂,フッ素樹脂などがある。いずれの場合も、布2を成す繊維の縦弾性係数が、布2を成す樹脂の縦弾性係数と同等又はそれ以下になるように選択する。また、布2を成す繊維の硬さ値が、布2を成す樹脂の硬さ値と同等又はそれ以下となるように選択する。このように選択することで、積層体の剛性が樹脂自身の剛性よりも過度に大きくならないとともに、布に含浸させて成型するため、板厚の大きな部材が成型しやすくなる。金型などに樹脂を流し込んで成型する場合には、その冷却過程で樹脂が均一に冷えず、残留応力によって割れが生じることが多い。
【0014】
また、図3は、一般的なフェノールローラの製作方法を示す図である。これは、フェノール樹脂が半硬化状態になったものを含浸させた布2を、軸5に巻きつけたものを加熱して、硬化させるものである。この手法では、布2の間に細かい気泡が入ってしまい、その気泡を起点にして、き裂が発生し、強度が著しく弱くなる。
【0015】
一方、実施例1によれば、フェノール樹脂を含ませた布2を積層して、加熱硬化時に合わせてプレス機によって高い圧縮力をかけられる。これにより、内部の気泡が抜け、気泡に起因したき裂が発生し難くなるため、板厚が大きく、強度の高いフェノール樹脂板が成型できる。このように成型された樹脂板から、ローラ芯材1の外径に等しい径の部材を機械加工によってくり抜くことで、強度の高いローラを製作することが可能となる。
【0016】
図4は、ローラ7の接触部の相手材6の圧縮応力分布を示す図である。ローラ7が鋼合金で製作された場合、ローラ7端部が接する部位の圧縮応力が高い。この高い圧縮応力によって、相手材6は、凹み変形を生じてしまう。一方、ローラ7を実施例1の複合材ローラとした場合、ローラ7の端部が樹脂特有の低剛性となっているため、適度に変形し、相手材6の圧縮応力が小さくなる。そして、ローラ7の幅方向中央部の応力は増加し、応力分布が均一化する。このように実施例1によれば、ローラ7との接触時の相手材6の最大圧縮応力を小さくできるため、相手材6の板厚を減らすとともに、構造物の質量を小さくすることが可能となる。また、樹脂にフェノールを選択することで耐火性に優れたローラが提供できる。また、ローラ芯材1を機械加工によって成型するため、樹脂硬化時の寸法変化などに影響されない寸法精度の高いローラを提供することが可能となる。この際、基材に木綿布を使用しているため、切削の抵抗にならずにスピーディに加工が完了する。
【0017】
図5は、ローラ芯材1の最外周表面に貼られたアラミド繊維が樹脂に混合されたシート4の摩擦係数変化を示す図である。摩擦繰返し数が増加すると、一般のガラス繊維で強化された樹脂を切削して作製したシートの摩擦係数は増加してしまう。そして、ローラ芯材1の破壊強度に達し、ローラが破壊してしまう。一方、実施例1で使用する有機繊維で製作されたシートの摩擦係数は、複数種試験しても安定している。これにより、ローラの回転が繰返されても表面の摩擦係数が安定しているため、ローラの破壊を引き起こさない。
【0018】
実施例2について説明する。図6は、複合材ローラの斜視図である。実施例2では、保護プレート8が、樹脂を含浸させた布を積層した積層体を切削加工したローラ芯材1の両端に設けられる。即ち、保護プレート8は、積層体の回転する面とは異なる面(積層体の側面)に設けられる。保護プレート8は、積層体の外径よりも小さく加工する。材質は、金属又はFRPとする。実施例2によれば、長期使用中の複合材ローラの端部からの積層された布のはく離を防止できる。また、保護プレート8の外径がローラ芯材1のそれよりも小さいため、回転中の相手材6に接触することはなく、相手材6を保護プレート8によって傷つけることはない。
【0019】
実施例3について説明する。図7は、複合材ローラの斜視図である。実施例3では、樹脂を含浸させた布を積層したものを切削加工したローラ芯材1の軸周辺を機械加工し、めねじ加工してある。このねじ寸法に合致するように、別途製作された軸材9をねじこみ締結する。軸材9は、有機繊維で強化された複合材あるいはグラファイトで製作される。ねじ部にはあらかじめ接着材を塗布しておくことで、使用中のゆるみを防止できる。実施例3によれば、ローラ回転中の軸材9の摩擦力が安定するため、ローラ芯材1に固定されたベアリング3が不要となる。ベアリング3よりも軸材9の方が軽量なため、実施例3の複合材ローラを用いた構造物の総質量を低減することが可能となる。
【0020】
実施例4について説明する。図8は、ローラ芯材1に繊維を巻きつける装置の斜視図である。図9は、ローラ芯材1に繊維からなるテープを巻きつける装置の斜視図である。図9で、繊維で編まれた布に樹脂を含浸させた布2を積層し、加圧しながら加熱して樹脂を硬化させたものを機械加工してローラ芯材1としたものに対して、ガラス繊維,炭素繊維,有機アラミド繊維を束ねたヤーン10から、半硬化したエポキシ樹脂を満たした樹脂槽11を通して巻きつける。繊維が巻きつけられたものを、再加熱して硬化させローラとする。図10には、繊維で編まれた布に樹脂を含浸させた布2を積層し、加圧しながら加熱して樹脂を硬化させたものを機械加工してローラ芯材1としたものに対して、ガラス繊維,炭素繊維,有機アラミド繊維で編まれた織物で一定幅となった繊維からなるテープ12を巻きつけたテープロール13から、半硬化したエポキシ樹脂を満たした樹脂槽11を通してローラ芯材1に巻きつける。即ち、実施例1と異なるのは、シート4にテープ12を用いる点である。このテープ12が巻きつけられたものを、再加熱して硬化させローラとする。このテープ12は、積層体の回転する面の全幅と同等の幅又はそれ以下の幅から成る。実施例4によれば、ローラの最外周表面に段差なく、繊維又は織物が巻きつけられているため、ローラの回転中の段差による振動が防止するとともに、騒音を低減することが可能となる。また、段差による衝撃で樹脂ローラが破壊することも防止できる。
【0021】
実施例5について説明する。図10は、複合材ローラの斜視図である。実施例5では、複合材ローラの最外周表面に溝14が加工されている。溝14の加工は、有機繊維強化樹脂シート4を巻きつけた後に加工しても良い。また、ローラ芯材1が加工された段階で溝14加工が施され、その後樹脂シート4が溝に沿うように貼り付けられても良い。そして、溝14は、ローラの幅中央部付近からローラの端面まで連続的に伸びるように加工される。実施例5によれば、ローラの回転中に、相手材6との間に異物や水,油が入り込み、ローラを局所的に突上げたり、摩擦力を大きく変える恐れがある場合でも、溝14の内部に異物や水,油を入り込ませ、ローラ端面から外部へ放出させることが可能となる。このため、土砂や雨水にさらされた環境でもローラを破壊させることがなく、ローラの長寿命化が可能となる。
【0022】
実施例6について説明する。図11は、ローラ成型装置の斜視図である。実施例6において、木綿繊維で編まれた布にフェノール樹脂を含浸させた布2をあらかじめローラ芯材1の外径に合わせて切断しておき、下金型15に設けられた穴16に積層する。次に、この穴16に合致する凸部18が設けられた上金型17で、積層された布2を上方向から加圧する。下金型15にはヒータ19が内在しており、加圧と同時にヒータ19に通電することで加熱が行われる。加圧加熱時に液状化した樹脂は上金型17に設けられた成型穴20より外部へ排出される。
【0023】
即ち、実施例6では、ローラは、繊維で編まれるとともに、樹脂が含侵された布2が複数枚積層して円筒形状の積層体を作成するステップと、円筒形状の積層体の中心付近に穴を開けるステップと、円筒形状の積層体の外径よりも大きい径を有する穴16が設けられるとともに、ヒータ19を備えた下金型15に円筒形状の積層体を積層するステップと、穴16に合致する凸部と、外部への貫通穴が設けられた上金型17を下金型15に嵌め込み、円筒形状の積層体を上方向から加圧するステップと、加圧すると略同時に、ヒータ19を通電して、下金型15を加熱するステップとを経て製造される。
【0024】
以上、実施例6によれば、複合材ローラ芯材1を切削加工する必要がないため、同型のローラを大量に生産する場合において、高速に生産することが可能となる。
【0025】
実施例7について説明する。図12は、消防はしご車の斜視図である。図13は、はしご車のはしご部の先端のローラ部付近の斜視図である。図14は、高所作業車の斜視図である。図12は、四段のはしご部21からなるはしご車を示す図である。図13は、各段のはしご部21の重なり部の詳細を示す図である。はしご部21は、角型鋼管で製作された下親骨22,上親骨23,斜骨24の溶接構造物である。下親骨22は、先端ローラ25が下親骨22の下面に接触しながら回転する構造である。実施例7では、先端ローラ25が、実施例1〜6の何れかの複合材ローラからなる。一般に、先端ローラ25は、鋼製の円柱である。このため、下親骨22に接触している部分の最大圧縮応力は、時に下親骨22を作っている鋼材料の降伏点に達する場合がある。降伏点を越えて使用すると、下親骨22の下面の鋼板が変形してしまう。それを防止するために、下親骨22を構成する角型鋼管の板厚を増加させることになる。この結果として、総質量が大きなはしご部21となってしまい、軽量化につながらない。実施例7によれば、先端ローラ25が接する下親骨22の下面の鋼板の最大圧縮応力が低下するため、この部分の板厚をさらに薄くすることができる。下親骨22の全長に渡って、板厚を薄くすることができるため、はしご車全体で質量低減率を20%以上とすることが可能となる。また、複合材ローラをフェノール樹脂でその芯材を製作することで、消火活動時の高温環境でも破壊することのないはしご車を提供できる。
【0026】
図13に示す高所作業車は、作業ブーム26がガイドローラ27を介して並進伸縮運動する構造である。作業ブーム26は、鋼板の箱型溶接構造となっている。ガイドローラ27が接する作業ブーム26の下面の鋼板には、高い圧縮応力が発生する。実施例7では、ガイドローラ27が、実施例1〜6の何れかの複合材ローラからなる。一般に、ガイドローラ27は、鋼製の円柱である。このため、作業ブーム26に接触している部分の最大圧縮応力は、時に作業ブーム26を作っている鋼材料の降伏点に達する場合がある。降伏点を越えて使用すると、作業ブーム26の下面の鋼板が変形してしまう。それを防止するために、作業ブーム26を構成する角型鋼管の板厚を増加させることになる。この結果として、総質量が大きな作業ブーム26となってしまい、軽量化につながらない。実施例7によれば、ガイドローラ27が接する作業ブーム26下面の鋼板の最大圧縮応力が低下するため、この部分の板厚をさらに薄くすることができる。作業ブーム26の全長に渡って板厚を薄くすることができるため、高所作業車全体で質量低減率を30%以上とすることが可能となる。
【0027】
さらに、複合材ローラには、溝14が形成されている。このため、ローラ回転中に、作業ブーム26の下面とガイドローラ27との間に異物や水,油が入り込み、ローラを局所的に突上げたり、摩擦力を大きく変える恐れがある場合でも、溝14の内部に異物や水,油を入り込ませ、ローラ端面から外部へ放出させることができる。このため、土砂や雨水にさらされた環境でもローラを破壊させることがなく、ローラの長寿命化が可能となる。
【0028】
以上の実施例によれば、並進伸縮運動をする複数の構造物の軽量化を図るとともに、構造物の変形を起こさないような接触部の面圧を下げることが可能な並進伸縮寄稿を提供することが可能となる。また、自身の強度を確保しながら剛性の小さいローラを提供することが可能となる。言い換えると、複合材ローラが構造物に接触しながら回転している際に、ローラ自身を破壊することなく、接触部の面圧を低下させることができ、構造物の板厚を減じることができるため、構造物を軽量化することが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
1 ローラ芯材
2 樹脂を含浸した布
4 有機繊維で強化された樹脂シート
8 保護プレート
9 軸材
11 樹脂槽
12 テープ
14 溝
15 下金型
17 上金型
21 はしご部
22 下親骨
25 先端ローラ
26 作業ブーム
27 ガイドローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自らが回転する複合材ローラであって、
繊維で編まれるとともに、樹脂が含侵された布が複数枚積層された円筒形状の積層体と、
前記積層体とは異なる繊維から成り、前記積層体の回転する面を覆うシートとを備えたことを特徴とする複合材ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記布の繊維の縦弾性係数は、前記布の樹脂の縦弾性係数よりも小さいことを特徴とする複合材ローラ。
【請求項3】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記布の繊維の硬さ値は、前記布の樹脂の硬さ値よりも低いことを特徴とする複合材ローラ。
【請求項4】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記シートの繊維は、有機繊維であることを特徴とする複合材ローラ。
【請求項5】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記積層体の回転する面とは異なる面には、前記積層体の外径よりも小さい外径からなる金属製の円板が設けられたことを特徴とする複合材ローラ。
【請求項6】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
有機繊維で強化された樹脂複合材又はグラファイトから成る軸材を備え、
前記積層体の中心軸の周辺は、めねじ加工され、
前記めねじ加工された部分には、前記軸材がねじ込まれて締結されることを特徴とする複合材ローラ。
【請求項7】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記シートは、前記積層体の回転する面の全幅と同等又はそれ以下の幅からなるテープであり、
前記積層体の回転する面に、前記テープを複数回巻いたことを特徴とする複合材ローラ。
【請求項8】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記積層体の回転する面には、溝が設けられ、
前記溝は、前記回転する面の中心部付近から前記積層体の端部に伸びていることを特徴とする複合材ローラ。
【請求項1】
自らが回転する複合材ローラであって、
繊維で編まれるとともに、樹脂が含侵された布が複数枚積層された円筒形状の積層体と、
前記積層体とは異なる繊維から成り、前記積層体の回転する面を覆うシートとを備えたことを特徴とする複合材ローラ。
【請求項2】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記布の繊維の縦弾性係数は、前記布の樹脂の縦弾性係数よりも小さいことを特徴とする複合材ローラ。
【請求項3】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記布の繊維の硬さ値は、前記布の樹脂の硬さ値よりも低いことを特徴とする複合材ローラ。
【請求項4】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記シートの繊維は、有機繊維であることを特徴とする複合材ローラ。
【請求項5】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記積層体の回転する面とは異なる面には、前記積層体の外径よりも小さい外径からなる金属製の円板が設けられたことを特徴とする複合材ローラ。
【請求項6】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
有機繊維で強化された樹脂複合材又はグラファイトから成る軸材を備え、
前記積層体の中心軸の周辺は、めねじ加工され、
前記めねじ加工された部分には、前記軸材がねじ込まれて締結されることを特徴とする複合材ローラ。
【請求項7】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記シートは、前記積層体の回転する面の全幅と同等又はそれ以下の幅からなるテープであり、
前記積層体の回転する面に、前記テープを複数回巻いたことを特徴とする複合材ローラ。
【請求項8】
請求項1に記載の複合材ローラであって、
前記積層体の回転する面には、溝が設けられ、
前記溝は、前記回転する面の中心部付近から前記積層体の端部に伸びていることを特徴とする複合材ローラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−38598(P2011−38598A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186968(P2009−186968)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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