複合材料からなる構造要素をチューブに連結する連結方法
本発明は、筒状部(30)を備えていて、複合材料から形成される構造部材がこの筒状部から突出している構造部品を製造する製造方法に関し、この製造方法は、重ねて配置された幾つかの繊維プライからなるスタックを含む平坦なプリフォーム(59)を成形することを含み、それによりそれらプライが、構造部を形成するようになっているプリフォームの少なくとも一部において一緒に固定されるとともに、チューブに連結するための連結部を形成するようになっているプリフォームの少なくとも別の部位において、2つの反対側に在るリーフレット(54)を形成するように分離可能になっている。さらに、チューブ(30)を連結部のリーフレット間に挿入することを含み、それによりそれらリーフレットがチューブを少なくとも部分的に包囲するようになる。さらに、チューブをプリフォームに連結することを含み、それによりチューブが筒状部を形成するようになるとともに、プリフォームが構造部品の構造部材を形成するようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に航空分野において用いられるチューブに連結される、複合材料から形成される構造要素を含む構造部品を製造する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は着陸装置を備えており、着陸装置には、「ストラット(strut)」と称される主要構造部品が航空機に対して回動可能に取付けられるのが一般的であり、離陸後に着陸装置を航空機内部のハウジング内に退避させられるようになっている。ストラットは、ストラット内に褶動可能に取付けられたロッドを有するチューブを備えており、ロッドは車輪(単数または複数)を底端部において担持している。また、ストラットは、構造要素、例えばチューブを航空機に連結するためのアームまたはウェブを備えている。特に、或るストラットはチューブの両側に延在する側方アームを備えており、これら側方アームは、ストラットを航空機にヒンジ留めするためのピンを受容するスプールにおいて終端している。
【0003】
このタイプのストラットは一般に金属から、例えばアルミニウムまたは鋼から、特に鋳造品または鍛造品として形成される。そうすると、チューブとアームとの間の連結が機械的に強固であることを保証するために、チューブとアームとの間に連結形状部を設けるのは容易である。
【0004】
また、繊維をマンドレルにフィラメントワインディングすることによって、複合材料からチューブを形成することも公知である。この製造方法は容易に工業化可能であるとともに、繊維の方向性および配分を制御できるようになっており、機械的に強固でありながらも軽量のチューブを形成できる。
【0005】
本発明は、前述したチューブを構造要素、例えば力を伝達するための側方アームまたは側方梁に嵌合させる嵌合方法を提供しようとするものである。
【0006】
接着接合されていて構造要素およびチューブにわたって嵌合される補強部品を用いる提案がなされている。しかしながら、このタイプの連結は十分ではない。構造要素の繊維部はチューブに合わせて終端しており、連続性が失われている。この連結状態を機械的に強固にするためには、厚肉でかつ大面積の補強部品を用いることが必要である。そうすると、組立体はより重厚になって形成するのがより困難になるとともに連結部がより大型化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に、本発明の目的は従来技術の欠点を回避するとともに、構造要素をチューブに接合するのに効果的でかつ安価な複合材料要素における使用方法を提案することである。この使用方法は、特に飛行機の着陸装置用のストラットを形成できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、筒状部を備えていて、複合材料から形成される構造要素が前記筒状部から突出する構造部品を製造する製造方法において、
複数の重ね合わされた繊維プライからなるスタックを備えた平坦なプリフォームを成形し、ここで、前記プライは、構造部を形成するようになる前記プリフォームの少なくとも一部分にわたって互いに固定されるとともに、チューブに連結するための部位を形成するようになる前記プリフォームの少なくとも別の部分にわたって、2つの対面するシートを形成するように分離可能になっており、
さらに、
チューブを連結部の前記シートの間に挿入して、前記チューブが前記シートによって少なくとも部分的に包囲されるようにするとともに、
前記チューブを前記プリフォームに接合して、それにより前記チューブが前記筒状部を形成するとともに、前記プリフォームが前記構造部品の前記構造要素を形成することを含む、製造方法を提供する。
【0009】
プリフォームの繊維は、例えばアームを形成する構造部固有体と、チューブに連結するための部位との間において連続性を呈する。したがって、プリフォームの繊維は、大きな連結領域にわたってチューブ周りに嵌合しており、そうして応力が大きな領域にわたって分散されうるとともに、力がチューブの構造要素から優れた連続性を伴って伝達されうるようにする。
【0010】
プリフォームは、種々の態様により得られうる。
複数の重ね合わされたプライから構成される3次元(3D)または2.5次元(2.5D)の布地から始めて、次いで連結部においてこれらプライを連結解除して2つのシートに分離できるようにしてもよい。
また、複数の重ね合わされたプライから構成される布地から切出した2つのブランクから始めて、これら2つのブランクを構造部において重ね合わせて一緒に縫合するとともに、連結部においては自由な状態のままにしておき、そしてこれらブランクの各々が1つのシートをそれぞれ形成するようにしてもよい。
また、プライが構造部において一緒に密接に連結されるとともに、連結部においては自由な状態のままにしておき、プライが2つのシートを形成するように分離可能な態様にて織られた、2.5Dの布地を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】金属製ストラットを備えた従来技術に係る航空機の着陸装置の斜視図である。
【図2】複合材料からなるチューブの製造途中の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態において、チューブを備えた構造要素のプリフォームおよびその組立体を示していて、構造要素を縁部から見た図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において、チューブを備えた構造要素のプリフォームおよびその組立体を示していて、構造要素を縁部から見た図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、チューブを備えた構造要素のプリフォームおよびその組立体を示していて、構造要素を縁部から見た図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における組立体を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における組立体を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における組立体を示す図である。
【図9】図8の変形例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における組立体を示す図である。
【図11】図6〜図8にて示される本発明の方法を用いて形成された複合材料からなるストラットを示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態における組立体を示す図である。
【図13】本発明に係る方法を実施するのに適した2.5次元の布地を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、例示としてなされる以下の説明を読むと、本発明がより良く理解されうる。
以下において、本発明を航空分野、特に着陸装置の分野に適用して説明する。当然ながら本発明はこのタイプの適用例に限定されない。
【0013】
図1は、円筒部2を2つの側方アーム4,6とともに備えた、アルミニウム合金から形成されるストラット1を具備する航空機の前輪式着陸装置を示しており、それら側方アーム4,6は、それらの頂部にてストラットを航空機に連結するためのヒンジピンを受容するスプール8,9において終端している。また、ストラット1は、この実施形態では2つの突起(lug)の形態を有する固定部材12を備えており、これら固定部材12は、展開位置において着陸装置を安定化するためのストラット(図示せず)を受容する分岐部を形成している。
【0014】
ロッド14はストラット1の円筒部2内を鉛直方向に褶動するように取付けられている。ロッド14の底部は車輪を受容する軸部16を担持している。ロッド14は、トルク連結部18によってストラット1に固定された舵取部材20に連結されていて、この実施形態ではロッドを回転させるための流体圧式アクチュエータを備えており、それにより負荷を受けている間に飛行機を操縦するために車輪が回転できるようになっている。
【0015】
本発明は、特にストラットを複合材料から形成できるようにしようとするものであり、ストラットは筒状要素および構造要素、例えばアームまたは梁を備えている。
【0016】
複合材料からなるチューブが始めに形成される。このことに関連して、図2はチューブ30を示しており、チューブ30は、繊維をマンドレルにフィラメントワインディングして形成されており、このことは例えば繊維32からなる一連の層を長手の軸線に沿って設置するとともに、続いて交差する繊維34,36からなる層を設置するためになされ、この方法によると、調整されるべき種々の繊維の分配が可能になる。ワインディングを行う間、繊維には樹脂が含漬され、この樹脂は後に重合化される。この方法では、繊維の組成および方向性を制御することによって、強固な機械的特性を呈しながらも軽量なチューブが得られうる。この方法は周知である。一変形例において、チューブを他の方法、例えばブレーディングにより得てもよい。
【0017】
その後で構造要素が形成され、次いでチューブ30に組付けられる。この目的のために、プリフォームが始めに用意される。
【0018】
図3〜図5に示されるように本発明の第1の実施形態において、繊維パッドから切除された2つのブランクを利用して、プリフォーム49が形成される。この繊維パッドは、例えば織込または縫合により、プライどうしの間において良好な密着性が得られるようにするとともにパッドを取扱えるように、一緒に連結されたプライを重ね合せて形成される。例えば、繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維または炭素繊維であってよい。しかしながら、重ね合わされたプライどうしの間の接合作用は、ブランクが成形されている間にプライどうしが互いに対して褶動できるのに十分な程度に緩いのが好ましい。
【0019】
プリフォーム49の製造は、繊維パッドからブランク40を切出すことにより開始される。図3から分かるように、続いてこれらブランク40が重ね合わされるとともに、ブランク40の端部が自由な状態のままになるようにしながら、この実施例においては縫合部42によって一緒に接合される。したがって、プリフォーム49は、縫合された部分に対応していて構造要素のアームを形成するためのものである、構造部41と、ブランク40の自由端部分に対応していて対面する2つの分離可能な対面シート44を形成する、チューブを連結するための連結部とを有するように形成される。
【0020】
図4から分かるように、シート44は離れて移動される。その後、図5に示される次のステップにおいて、チューブ30がシート44の間に挿入され、それによりシート44がチューブを包囲するとともに、梁41から直径方向に反対側の個所43において一緒に結合するようになる。変形例においては、連結部に付与されるべき強度に応じて、2つの端部44をより短くして個所43において一緒に結合しなくてもよいし、或いはそれら端部44を互いに重なるようにより長くしてもよい。次いでこのようにして形成された組立体には、例えば公知のトランスファー法、例えば圧力下において樹脂を注入するか、または真空において浸透させることによって樹脂が含漬される。続いて、樹脂は重合化によって硬化する。
【0021】
こうすることにより、繊維連続性を構造部の構造要素(チューブから片持梁状に延びる縫合された部分)から連結部(チューブを包囲するとともに縫合されていない自由な部分)まで付与することによって、構造要素とチューブ30との間に連結部が形成される。この連結部は接触面積が大きくなり、それにより構造要素とチューブとの間の連結部を機械的に強固にできるようになる。さらに、実施するのが簡単である。連結部によって占められる寸法が小さくなり、したがって、組立体の重量およびコストがいずれも低減される。
【0022】
好ましくは、例えば引出成形された材料から形成された概ね三角形状の挿入体47がチューブ30と構造要素との間に挿入されるとともに、構造要素41の連結部と構造部との間の境界を形成する縫合部48に合わせてシートの間の空間を埋めるように作用する。
【0023】
図6〜図8は、本発明の第2の実施例を示している。この実施例は、チューブ30の両側に延在するようになる2つのアーム51,53を有する構造要素が形成されることを含んでいる。製造工程はプリフォーム59を用意することから開始される。2つのブランク50は始めに繊維パッドから切出される。これらブランク50は、一緒に縫合されない中央領域を自由な状態のままにしておきながら、ブランク50の端部領域においては縫合部52により重ね合わされて一緒に結合される。
【0024】
したがって、構造要素は、縫合領域に対応してアームを形成する構造部51,53と、非縫合領域に対応する連結部とを有するように形成され、連結部において中央部分54が分離可能なシートを形成する。したがって、スロットまたは空間56が対面するシートの間に形成される。
【0025】
そしてシート54は、図7に示されるように概ね円形の中央通路を形成するように離して配置される。図8に示される次のステップにおいて、チューブ30がシート54の間に挿入され、それによりこれらシートがチューブ30を完全に包囲するようになる。挿入体57はシートとチューブとの間に介在させられ、この個所がシートの始点になる。このようにして形成された組立体には、次いで重合化によって硬化する樹脂が含漬される。
【0026】
こうすることによって、チューブ30と、片持梁状にチューブから延びる2つのアーム51,53との間に連結部が形成され、前述した実施形態と同様の利点が得られる。
【0027】
一変形例において、平面視したときに、2つの梁が、チューブ30とアーム51,53との間において図9に示されるような角度を形成してもよい。かかる状態において、異なる長さのシートを形成する2つの縫合されていない中央部分64,68を有する2つのブランク60,66を切出すことによってプリフォーム69が用意される。前記角度内に配置されるブランク60によって形成されるシート64は、他方のブランク66によって形成されるシート68よりも短い。挿入体67はチューブとそれらシートとの間に配置され、この個所がそれらシートの始点となる。次いで、組立体が重合化される。
【0028】
2つのブランク60,66を一緒に組立てると、これらブランクの端部が重ね合わされて一緒に縫合され、2つのアーム61,63を形成するようになるとともに、中央部分は一緒に縫合されずに自由な状態のままにしておき、2つのシート64,68を形成する。その後、前述したのと同様の態様において、シート64,68が離間して設けられ、チューブ30がそれらシート64,68の間に挿入される。その組立体には、重合化によって硬化する樹脂が含漬される。
【0029】
図10は本発明の第3の実施例を示している。プリフォーム79の製造は、繊維パッドから長尺形状の単一のブランク70を切出すことによって開始される。次いでブランク70が半分に折り畳まれ、それによりブランク70の端部72が重ね合わされるとともに一緒に縫合され、構造部71を形成するようになる。ブランクの中央部分74は自由な状態のままとしておき、連続して一緒に結合された2つの対面するシートが形成される。次いでチューブ30が中央部分74に挿入され、この中央部分74がチューブを完全に包囲する。このようにして形成された組立体には、重合化によって硬化する樹脂が含漬される。
【0030】
本発明の方法によると、梁を構成するブランクを如何にして切出して一緒に組立てるかに応じて、種々の形状の梁41,51,53,61,71を形成できる。
【0031】
図11は、本発明の方法によって形成されたストラットの一例を示している。この実施例の構造部はウェブを形成している。プリフォーム99の製造は、前述したように繊維パッドからブランク80,82を切出すことによって開始される。次いでブランク80,82が重ね合わされて縫合部90によって一緒に縫合され、中央連結領域を自由な状態のままにしておきながら、2つのアーム81,83が形成される。中央連結領域において、ブランクが分離可能なシート94を形成し、これらシート94の間にチューブ30が挿入される(図面において一方のシートのみが見られる)。
【0032】
ブランクの縫合された部分が、その高さ部分全体にわたっては一緒に縫合されていないことに留意されたい。縁部を自由な状態のままにしておき、それらブランクが縫合部92のラインに沿って折り畳まれうるようになっている。このようにして折り畳まれた縁部は、アーム81,83と、特にこれらアームの縫合部分によって構成されるウェブとを強固にするように作用するフランジ86,88を形成している。
【0033】
編組されたスリーブの形態を有する補強部95を付加してもよい。この補強部は、チューブ30にわたって嵌合する円筒部96と、フランジ86がチューブ30に近接する個所であるフランジ86の端部に対して押圧されるカラー97とを有している。これら端部はカラー97に縫合される。
チューブ30に堅固に連結される2つの強固なウェブ81,83を形成するために、このようにして形成された組立体には、重合化によって硬化する樹脂が含漬される。
【0034】
最後に、本発明の別の実施例が図12に示されている。
プリフォーム109が2つのブランク100,106から得られる。ブランク106はブランク100よりも顕著に長い。ブランク100,106の端部は、重ね合わされて一緒に縫合され、アーム101,103を形成している。中央部分を自由な状態のままにしておいてシート104,105を形成しており、チューブ30がそれらシート104,105の間に挿入される。シート105はシート104よりも顕著に長い。アーム101,103は平行に延びている。これらアーム101,103は、例えばピンをステーの端部において受容する突起として作用しうる。挿入体107がチューブとこれらシートの間に挿入される。
【0035】
したがって、図示されたすべての実施例において、1つまたは2つ以上のブランクが切出されるとともに、同一のブランクに属するか、若しくは2つの別個のブランクに属する2つの部分が重ね合わされる。次いでこれら部分は部分的に一緒に縫合されて、少なくとも1つの構造部および少なくとも1つの連結部を形成し、構造部において対面する部分が一緒に縫合されており、連結部において対面する部分は自由になっている。その後、チューブが連結領域におけるこれら部分の間に挿入され、その個所ではそれら部分が自由な状態のままになっていてチューブを包囲するようになっており、したがって、第1に、チューブから片持梁状に延びる構造部と、チューブ周りに延在する連結部との間に繊維連続性を有しうるようになっている。
【0036】
図10に示される特定の実施例において、1つのブランクのみが用いられ、重ね合わされた部分が連結部において一緒に結合され、それによりこの連結部において、自由な状態のままである対面する部分が環部を形成するようになっている。
【0037】
一般に、縫合動作は種々の態様において、特にタフティングステッチ(tufting stitch)を利用して実行されうる。連結部に特定の補強作用をもたらすために、この縫合部の数は変更されうる。
【0038】
ブランクを構成する補強繊維の方向性は、梁が受ける応力の方向の関数として特定の一方向が優位になっていてもよく、それにより公知の方法で機械強度を向上させる。
【0039】
組立体の強度を向上させるために、重合化に先んじて構造要素がチューブに有利に縫合されうる。かかる縫合部が図11に示される。縫合部はチューブの軸線に対して平行に延びていて、シートをチューブに連結する。
【0040】
図示されたすべての実施例において、構造要素は、構造部において重ね合わされるとともに一緒に縫合された1つまたは2つのブランクを用いて用意される、プリフォームから得られる。この構造部は、チューブから突出するアーム、突起またはウェブを形成するようになっており、また別の構造部は自由な状態のままになっていてシートを形成する。
【0041】
プリフォームを異なる態様で形成してもよい。図13において、横糸によって一緒に連結された繊維からなる4つの重ね合わされたプライA,B,C,Dを含む布地が高度に概略化された態様で示されている。横糸は、部分Eおよび部分FにおいてプライA,B,C,Dを一緒に緊密に連結してプリフォームの構造部を形成するとともに、部分Gにおいて、横糸はプライを自由な状態のままにしており、それによりそれらプライが2つのシートに分離されうるようになっている。潜在的な分離部が2つのシートの間の破線で表わされている。
【0042】
横糸によって一緒に連結された複数の相互に重ね合わされたプライを含む、3次元または2.5次元の布地から始めるとともに、プライを局所的に分離させて、連結部において相互に分離可能にしてシートを形成するようにしてもよい。
【0043】
本発明は前述した記載に限定されず、特許請求の範囲によって定まる範囲内に含まれるいかなる変形物にも及ぶ。特に、チューブはそれ自体が複合材料から形成されていて構造要素が同時に含浸されうると前述したものの、複合材料から形成されていないチューブ、例えば金属製チューブを用いて本発明を実施してもよい。そうすると、樹脂を構造要素とチューブとの間の強固な接着作用を補助するように選定する必要がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に航空分野において用いられるチューブに連結される、複合材料から形成される構造要素を含む構造部品を製造する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は着陸装置を備えており、着陸装置には、「ストラット(strut)」と称される主要構造部品が航空機に対して回動可能に取付けられるのが一般的であり、離陸後に着陸装置を航空機内部のハウジング内に退避させられるようになっている。ストラットは、ストラット内に褶動可能に取付けられたロッドを有するチューブを備えており、ロッドは車輪(単数または複数)を底端部において担持している。また、ストラットは、構造要素、例えばチューブを航空機に連結するためのアームまたはウェブを備えている。特に、或るストラットはチューブの両側に延在する側方アームを備えており、これら側方アームは、ストラットを航空機にヒンジ留めするためのピンを受容するスプールにおいて終端している。
【0003】
このタイプのストラットは一般に金属から、例えばアルミニウムまたは鋼から、特に鋳造品または鍛造品として形成される。そうすると、チューブとアームとの間の連結が機械的に強固であることを保証するために、チューブとアームとの間に連結形状部を設けるのは容易である。
【0004】
また、繊維をマンドレルにフィラメントワインディングすることによって、複合材料からチューブを形成することも公知である。この製造方法は容易に工業化可能であるとともに、繊維の方向性および配分を制御できるようになっており、機械的に強固でありながらも軽量のチューブを形成できる。
【0005】
本発明は、前述したチューブを構造要素、例えば力を伝達するための側方アームまたは側方梁に嵌合させる嵌合方法を提供しようとするものである。
【0006】
接着接合されていて構造要素およびチューブにわたって嵌合される補強部品を用いる提案がなされている。しかしながら、このタイプの連結は十分ではない。構造要素の繊維部はチューブに合わせて終端しており、連続性が失われている。この連結状態を機械的に強固にするためには、厚肉でかつ大面積の補強部品を用いることが必要である。そうすると、組立体はより重厚になって形成するのがより困難になるとともに連結部がより大型化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に、本発明の目的は従来技術の欠点を回避するとともに、構造要素をチューブに接合するのに効果的でかつ安価な複合材料要素における使用方法を提案することである。この使用方法は、特に飛行機の着陸装置用のストラットを形成できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、筒状部を備えていて、複合材料から形成される構造要素が前記筒状部から突出する構造部品を製造する製造方法において、
複数の重ね合わされた繊維プライからなるスタックを備えた平坦なプリフォームを成形し、ここで、前記プライは、構造部を形成するようになる前記プリフォームの少なくとも一部分にわたって互いに固定されるとともに、チューブに連結するための部位を形成するようになる前記プリフォームの少なくとも別の部分にわたって、2つの対面するシートを形成するように分離可能になっており、
さらに、
チューブを連結部の前記シートの間に挿入して、前記チューブが前記シートによって少なくとも部分的に包囲されるようにするとともに、
前記チューブを前記プリフォームに接合して、それにより前記チューブが前記筒状部を形成するとともに、前記プリフォームが前記構造部品の前記構造要素を形成することを含む、製造方法を提供する。
【0009】
プリフォームの繊維は、例えばアームを形成する構造部固有体と、チューブに連結するための部位との間において連続性を呈する。したがって、プリフォームの繊維は、大きな連結領域にわたってチューブ周りに嵌合しており、そうして応力が大きな領域にわたって分散されうるとともに、力がチューブの構造要素から優れた連続性を伴って伝達されうるようにする。
【0010】
プリフォームは、種々の態様により得られうる。
複数の重ね合わされたプライから構成される3次元(3D)または2.5次元(2.5D)の布地から始めて、次いで連結部においてこれらプライを連結解除して2つのシートに分離できるようにしてもよい。
また、複数の重ね合わされたプライから構成される布地から切出した2つのブランクから始めて、これら2つのブランクを構造部において重ね合わせて一緒に縫合するとともに、連結部においては自由な状態のままにしておき、そしてこれらブランクの各々が1つのシートをそれぞれ形成するようにしてもよい。
また、プライが構造部において一緒に密接に連結されるとともに、連結部においては自由な状態のままにしておき、プライが2つのシートを形成するように分離可能な態様にて織られた、2.5Dの布地を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】金属製ストラットを備えた従来技術に係る航空機の着陸装置の斜視図である。
【図2】複合材料からなるチューブの製造途中の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態において、チューブを備えた構造要素のプリフォームおよびその組立体を示していて、構造要素を縁部から見た図である。
【図4】本発明の第1の実施形態において、チューブを備えた構造要素のプリフォームおよびその組立体を示していて、構造要素を縁部から見た図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、チューブを備えた構造要素のプリフォームおよびその組立体を示していて、構造要素を縁部から見た図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における組立体を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における組立体を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における組立体を示す図である。
【図9】図8の変形例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における組立体を示す図である。
【図11】図6〜図8にて示される本発明の方法を用いて形成された複合材料からなるストラットを示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態における組立体を示す図である。
【図13】本発明に係る方法を実施するのに適した2.5次元の布地を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、例示としてなされる以下の説明を読むと、本発明がより良く理解されうる。
以下において、本発明を航空分野、特に着陸装置の分野に適用して説明する。当然ながら本発明はこのタイプの適用例に限定されない。
【0013】
図1は、円筒部2を2つの側方アーム4,6とともに備えた、アルミニウム合金から形成されるストラット1を具備する航空機の前輪式着陸装置を示しており、それら側方アーム4,6は、それらの頂部にてストラットを航空機に連結するためのヒンジピンを受容するスプール8,9において終端している。また、ストラット1は、この実施形態では2つの突起(lug)の形態を有する固定部材12を備えており、これら固定部材12は、展開位置において着陸装置を安定化するためのストラット(図示せず)を受容する分岐部を形成している。
【0014】
ロッド14はストラット1の円筒部2内を鉛直方向に褶動するように取付けられている。ロッド14の底部は車輪を受容する軸部16を担持している。ロッド14は、トルク連結部18によってストラット1に固定された舵取部材20に連結されていて、この実施形態ではロッドを回転させるための流体圧式アクチュエータを備えており、それにより負荷を受けている間に飛行機を操縦するために車輪が回転できるようになっている。
【0015】
本発明は、特にストラットを複合材料から形成できるようにしようとするものであり、ストラットは筒状要素および構造要素、例えばアームまたは梁を備えている。
【0016】
複合材料からなるチューブが始めに形成される。このことに関連して、図2はチューブ30を示しており、チューブ30は、繊維をマンドレルにフィラメントワインディングして形成されており、このことは例えば繊維32からなる一連の層を長手の軸線に沿って設置するとともに、続いて交差する繊維34,36からなる層を設置するためになされ、この方法によると、調整されるべき種々の繊維の分配が可能になる。ワインディングを行う間、繊維には樹脂が含漬され、この樹脂は後に重合化される。この方法では、繊維の組成および方向性を制御することによって、強固な機械的特性を呈しながらも軽量なチューブが得られうる。この方法は周知である。一変形例において、チューブを他の方法、例えばブレーディングにより得てもよい。
【0017】
その後で構造要素が形成され、次いでチューブ30に組付けられる。この目的のために、プリフォームが始めに用意される。
【0018】
図3〜図5に示されるように本発明の第1の実施形態において、繊維パッドから切除された2つのブランクを利用して、プリフォーム49が形成される。この繊維パッドは、例えば織込または縫合により、プライどうしの間において良好な密着性が得られるようにするとともにパッドを取扱えるように、一緒に連結されたプライを重ね合せて形成される。例えば、繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維または炭素繊維であってよい。しかしながら、重ね合わされたプライどうしの間の接合作用は、ブランクが成形されている間にプライどうしが互いに対して褶動できるのに十分な程度に緩いのが好ましい。
【0019】
プリフォーム49の製造は、繊維パッドからブランク40を切出すことにより開始される。図3から分かるように、続いてこれらブランク40が重ね合わされるとともに、ブランク40の端部が自由な状態のままになるようにしながら、この実施例においては縫合部42によって一緒に接合される。したがって、プリフォーム49は、縫合された部分に対応していて構造要素のアームを形成するためのものである、構造部41と、ブランク40の自由端部分に対応していて対面する2つの分離可能な対面シート44を形成する、チューブを連結するための連結部とを有するように形成される。
【0020】
図4から分かるように、シート44は離れて移動される。その後、図5に示される次のステップにおいて、チューブ30がシート44の間に挿入され、それによりシート44がチューブを包囲するとともに、梁41から直径方向に反対側の個所43において一緒に結合するようになる。変形例においては、連結部に付与されるべき強度に応じて、2つの端部44をより短くして個所43において一緒に結合しなくてもよいし、或いはそれら端部44を互いに重なるようにより長くしてもよい。次いでこのようにして形成された組立体には、例えば公知のトランスファー法、例えば圧力下において樹脂を注入するか、または真空において浸透させることによって樹脂が含漬される。続いて、樹脂は重合化によって硬化する。
【0021】
こうすることにより、繊維連続性を構造部の構造要素(チューブから片持梁状に延びる縫合された部分)から連結部(チューブを包囲するとともに縫合されていない自由な部分)まで付与することによって、構造要素とチューブ30との間に連結部が形成される。この連結部は接触面積が大きくなり、それにより構造要素とチューブとの間の連結部を機械的に強固にできるようになる。さらに、実施するのが簡単である。連結部によって占められる寸法が小さくなり、したがって、組立体の重量およびコストがいずれも低減される。
【0022】
好ましくは、例えば引出成形された材料から形成された概ね三角形状の挿入体47がチューブ30と構造要素との間に挿入されるとともに、構造要素41の連結部と構造部との間の境界を形成する縫合部48に合わせてシートの間の空間を埋めるように作用する。
【0023】
図6〜図8は、本発明の第2の実施例を示している。この実施例は、チューブ30の両側に延在するようになる2つのアーム51,53を有する構造要素が形成されることを含んでいる。製造工程はプリフォーム59を用意することから開始される。2つのブランク50は始めに繊維パッドから切出される。これらブランク50は、一緒に縫合されない中央領域を自由な状態のままにしておきながら、ブランク50の端部領域においては縫合部52により重ね合わされて一緒に結合される。
【0024】
したがって、構造要素は、縫合領域に対応してアームを形成する構造部51,53と、非縫合領域に対応する連結部とを有するように形成され、連結部において中央部分54が分離可能なシートを形成する。したがって、スロットまたは空間56が対面するシートの間に形成される。
【0025】
そしてシート54は、図7に示されるように概ね円形の中央通路を形成するように離して配置される。図8に示される次のステップにおいて、チューブ30がシート54の間に挿入され、それによりこれらシートがチューブ30を完全に包囲するようになる。挿入体57はシートとチューブとの間に介在させられ、この個所がシートの始点になる。このようにして形成された組立体には、次いで重合化によって硬化する樹脂が含漬される。
【0026】
こうすることによって、チューブ30と、片持梁状にチューブから延びる2つのアーム51,53との間に連結部が形成され、前述した実施形態と同様の利点が得られる。
【0027】
一変形例において、平面視したときに、2つの梁が、チューブ30とアーム51,53との間において図9に示されるような角度を形成してもよい。かかる状態において、異なる長さのシートを形成する2つの縫合されていない中央部分64,68を有する2つのブランク60,66を切出すことによってプリフォーム69が用意される。前記角度内に配置されるブランク60によって形成されるシート64は、他方のブランク66によって形成されるシート68よりも短い。挿入体67はチューブとそれらシートとの間に配置され、この個所がそれらシートの始点となる。次いで、組立体が重合化される。
【0028】
2つのブランク60,66を一緒に組立てると、これらブランクの端部が重ね合わされて一緒に縫合され、2つのアーム61,63を形成するようになるとともに、中央部分は一緒に縫合されずに自由な状態のままにしておき、2つのシート64,68を形成する。その後、前述したのと同様の態様において、シート64,68が離間して設けられ、チューブ30がそれらシート64,68の間に挿入される。その組立体には、重合化によって硬化する樹脂が含漬される。
【0029】
図10は本発明の第3の実施例を示している。プリフォーム79の製造は、繊維パッドから長尺形状の単一のブランク70を切出すことによって開始される。次いでブランク70が半分に折り畳まれ、それによりブランク70の端部72が重ね合わされるとともに一緒に縫合され、構造部71を形成するようになる。ブランクの中央部分74は自由な状態のままとしておき、連続して一緒に結合された2つの対面するシートが形成される。次いでチューブ30が中央部分74に挿入され、この中央部分74がチューブを完全に包囲する。このようにして形成された組立体には、重合化によって硬化する樹脂が含漬される。
【0030】
本発明の方法によると、梁を構成するブランクを如何にして切出して一緒に組立てるかに応じて、種々の形状の梁41,51,53,61,71を形成できる。
【0031】
図11は、本発明の方法によって形成されたストラットの一例を示している。この実施例の構造部はウェブを形成している。プリフォーム99の製造は、前述したように繊維パッドからブランク80,82を切出すことによって開始される。次いでブランク80,82が重ね合わされて縫合部90によって一緒に縫合され、中央連結領域を自由な状態のままにしておきながら、2つのアーム81,83が形成される。中央連結領域において、ブランクが分離可能なシート94を形成し、これらシート94の間にチューブ30が挿入される(図面において一方のシートのみが見られる)。
【0032】
ブランクの縫合された部分が、その高さ部分全体にわたっては一緒に縫合されていないことに留意されたい。縁部を自由な状態のままにしておき、それらブランクが縫合部92のラインに沿って折り畳まれうるようになっている。このようにして折り畳まれた縁部は、アーム81,83と、特にこれらアームの縫合部分によって構成されるウェブとを強固にするように作用するフランジ86,88を形成している。
【0033】
編組されたスリーブの形態を有する補強部95を付加してもよい。この補強部は、チューブ30にわたって嵌合する円筒部96と、フランジ86がチューブ30に近接する個所であるフランジ86の端部に対して押圧されるカラー97とを有している。これら端部はカラー97に縫合される。
チューブ30に堅固に連結される2つの強固なウェブ81,83を形成するために、このようにして形成された組立体には、重合化によって硬化する樹脂が含漬される。
【0034】
最後に、本発明の別の実施例が図12に示されている。
プリフォーム109が2つのブランク100,106から得られる。ブランク106はブランク100よりも顕著に長い。ブランク100,106の端部は、重ね合わされて一緒に縫合され、アーム101,103を形成している。中央部分を自由な状態のままにしておいてシート104,105を形成しており、チューブ30がそれらシート104,105の間に挿入される。シート105はシート104よりも顕著に長い。アーム101,103は平行に延びている。これらアーム101,103は、例えばピンをステーの端部において受容する突起として作用しうる。挿入体107がチューブとこれらシートの間に挿入される。
【0035】
したがって、図示されたすべての実施例において、1つまたは2つ以上のブランクが切出されるとともに、同一のブランクに属するか、若しくは2つの別個のブランクに属する2つの部分が重ね合わされる。次いでこれら部分は部分的に一緒に縫合されて、少なくとも1つの構造部および少なくとも1つの連結部を形成し、構造部において対面する部分が一緒に縫合されており、連結部において対面する部分は自由になっている。その後、チューブが連結領域におけるこれら部分の間に挿入され、その個所ではそれら部分が自由な状態のままになっていてチューブを包囲するようになっており、したがって、第1に、チューブから片持梁状に延びる構造部と、チューブ周りに延在する連結部との間に繊維連続性を有しうるようになっている。
【0036】
図10に示される特定の実施例において、1つのブランクのみが用いられ、重ね合わされた部分が連結部において一緒に結合され、それによりこの連結部において、自由な状態のままである対面する部分が環部を形成するようになっている。
【0037】
一般に、縫合動作は種々の態様において、特にタフティングステッチ(tufting stitch)を利用して実行されうる。連結部に特定の補強作用をもたらすために、この縫合部の数は変更されうる。
【0038】
ブランクを構成する補強繊維の方向性は、梁が受ける応力の方向の関数として特定の一方向が優位になっていてもよく、それにより公知の方法で機械強度を向上させる。
【0039】
組立体の強度を向上させるために、重合化に先んじて構造要素がチューブに有利に縫合されうる。かかる縫合部が図11に示される。縫合部はチューブの軸線に対して平行に延びていて、シートをチューブに連結する。
【0040】
図示されたすべての実施例において、構造要素は、構造部において重ね合わされるとともに一緒に縫合された1つまたは2つのブランクを用いて用意される、プリフォームから得られる。この構造部は、チューブから突出するアーム、突起またはウェブを形成するようになっており、また別の構造部は自由な状態のままになっていてシートを形成する。
【0041】
プリフォームを異なる態様で形成してもよい。図13において、横糸によって一緒に連結された繊維からなる4つの重ね合わされたプライA,B,C,Dを含む布地が高度に概略化された態様で示されている。横糸は、部分Eおよび部分FにおいてプライA,B,C,Dを一緒に緊密に連結してプリフォームの構造部を形成するとともに、部分Gにおいて、横糸はプライを自由な状態のままにしており、それによりそれらプライが2つのシートに分離されうるようになっている。潜在的な分離部が2つのシートの間の破線で表わされている。
【0042】
横糸によって一緒に連結された複数の相互に重ね合わされたプライを含む、3次元または2.5次元の布地から始めるとともに、プライを局所的に分離させて、連結部において相互に分離可能にしてシートを形成するようにしてもよい。
【0043】
本発明は前述した記載に限定されず、特許請求の範囲によって定まる範囲内に含まれるいかなる変形物にも及ぶ。特に、チューブはそれ自体が複合材料から形成されていて構造要素が同時に含浸されうると前述したものの、複合材料から形成されていないチューブ、例えば金属製チューブを用いて本発明を実施してもよい。そうすると、樹脂を構造要素とチューブとの間の強固な接着作用を補助するように選定する必要がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部(30)を備えていて、複合材料から形成される構造要素が前記筒状部(30)から突出する構造部品を製造する製造方法であって、
複数の重ね合わされたプライからなるスタックを備えたプリフォーム(49;59;69;79;99)を成形し、ここで、前記プライは、構造部を形成するようになる前記プリフォームの少なくとも一部分にわたって互いに固定されるとともに、チューブに連結するための部位を形成するようになる前記プリフォームの少なくとも別の部分にわたって、2つの対面するシート(44;54;64;68;74;94)を形成するように分離可能になっており、
さらに、
チューブ(30)を連結部の前記シートの間に挿入して、前記チューブが前記シートによって少なくとも部分的に包囲されるようにするとともに、
前記チューブを前記プリフォームに接合して、それにより前記チューブが前記筒状部を形成するとともに、前記プリフォームが前記構造部品の前記構造要素を形成することを含む、製造方法。
【請求項2】
前記プリフォームが、重ね合わされたプライよりなるパッドから切出されるブランクを含んでおり、前記ブランクが半分に折り畳まれて、それにより前記ブランクの両端が重ね合わされるとともに一緒に縫合されて前記構造部(71)を形成するようになっており、それとともに、縫合されていない中央部分が前記2つのシート(74)を形成するようになっている、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記プリフォームが、重ね合わされたプライよりなるパッドから切出される2つのブランクを含んでおり、これらブランクは、少なくとも1つの部分において一緒に縫合されて前記構造部を形成するとともに、少なくとも1つの他の部分において自由な状態のままになっていて前記チューブに連結するための連結部を形成し、それにより該連結部において、各ブランクが1つの前記シート(44;54;64;68;94)を形成する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
一方の前記ブランクが他方の前記ブランクよりも長く、前記ブランクの端部が一緒に縫合されていて、残された2つのシート(64,68;104,105)から離間するようになっていて、これら残されたシート(64,68;104,105)のうちの一方が他方よりも長くなっている、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記端部が完全には一緒に縫合されておらず、縁部(86,88)が自由な状態のままになっていて、縫合部(92)のラインに沿って折り畳まれるようになっており、前記構造部の補強部を形成する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
概ね三角形断面を有する挿入体(47;57;67;77)が、前記チューブと前記シートとの間に配置され、その個所が前記シートの始点である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記チューブを複合材料から形成するとともに、前記チューブを前記シートの間に挿入した後であって、このようにして構成された組立体を重合化する前に、前記シートを前記チューブに縫合する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項1】
筒状部(30)を備えていて、複合材料から形成される構造要素が前記筒状部(30)から突出する構造部品を製造する製造方法であって、
複数の重ね合わされたプライからなるスタックを備えたプリフォーム(49;59;69;79;99)を成形し、ここで、前記プライは、構造部を形成するようになる前記プリフォームの少なくとも一部分にわたって互いに固定されるとともに、チューブに連結するための部位を形成するようになる前記プリフォームの少なくとも別の部分にわたって、2つの対面するシート(44;54;64;68;74;94)を形成するように分離可能になっており、
さらに、
チューブ(30)を連結部の前記シートの間に挿入して、前記チューブが前記シートによって少なくとも部分的に包囲されるようにするとともに、
前記チューブを前記プリフォームに接合して、それにより前記チューブが前記筒状部を形成するとともに、前記プリフォームが前記構造部品の前記構造要素を形成することを含む、製造方法。
【請求項2】
前記プリフォームが、重ね合わされたプライよりなるパッドから切出されるブランクを含んでおり、前記ブランクが半分に折り畳まれて、それにより前記ブランクの両端が重ね合わされるとともに一緒に縫合されて前記構造部(71)を形成するようになっており、それとともに、縫合されていない中央部分が前記2つのシート(74)を形成するようになっている、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記プリフォームが、重ね合わされたプライよりなるパッドから切出される2つのブランクを含んでおり、これらブランクは、少なくとも1つの部分において一緒に縫合されて前記構造部を形成するとともに、少なくとも1つの他の部分において自由な状態のままになっていて前記チューブに連結するための連結部を形成し、それにより該連結部において、各ブランクが1つの前記シート(44;54;64;68;94)を形成する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
一方の前記ブランクが他方の前記ブランクよりも長く、前記ブランクの端部が一緒に縫合されていて、残された2つのシート(64,68;104,105)から離間するようになっていて、これら残されたシート(64,68;104,105)のうちの一方が他方よりも長くなっている、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記端部が完全には一緒に縫合されておらず、縁部(86,88)が自由な状態のままになっていて、縫合部(92)のラインに沿って折り畳まれるようになっており、前記構造部の補強部を形成する、請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
概ね三角形断面を有する挿入体(47;57;67;77)が、前記チューブと前記シートとの間に配置され、その個所が前記シートの始点である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記チューブを複合材料から形成するとともに、前記チューブを前記シートの間に挿入した後であって、このようにして構成された組立体を重合化する前に、前記シートを前記チューブに縫合する、請求項1に記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−513910(P2012−513910A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542860(P2011−542860)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001453
【国際公開番号】WO2010/072916
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511154180)メシエ−ブガッティ−ドウティ (26)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001453
【国際公開番号】WO2010/072916
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511154180)メシエ−ブガッティ−ドウティ (26)
【Fターム(参考)】
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