説明

複合磁性材料、および複合磁性材料の製造方法

【課題】 粒子の沈降による粒子間の間隔の不均一さを改善し、磁化特性に優れる複合磁性材料および複合磁性材料の製造方法を得る。
【解決手段】 少なくとも1種は磁性体である複数種の粉末と樹脂との混合物が固化された複合磁性材料において、前記複数種の粉末の中での平均粒径が0.1μm以下の粉末が、前記樹脂と前記平均粒径が0.1μm以下の粉末との合計の体積を100%とした条件にて、1vol%以上から20vol%以下の範囲で含まれている複合磁性材料とし、前記平均粒径が0.1μm以下の粉末としては、SiO2、Al23等の酸化物または有機物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の粉末と樹脂との混合物からなる複合磁性材料、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性体粉末と樹脂とからなる複合磁性材料は、成形により容易に目的とする形状が得られるため、種々の磁芯等に用いられ、種々の取り組みがなされている。
【0003】
複合磁性材料を用いた成形方法としては、常圧注型法、加圧注型法や乾式成形法などがある。ここで、常圧注型法は型に硬化前の複合材料を流し込み硬化させるだけで目的とする形状の製品が得られるため、形状、構成の自由度が高く、たとえば巻線と磁性体とを一体で形成することなども容易に実現可能である。例えば、特許文献1には、常圧注型法による磁芯の製造方法が述べられている。
【0004】
これらの成形方法の比較において、磁性材料の観点からの違いは、加圧注型法や乾式成形法は個々の磁性粒子の最終的な配置が加圧、圧縮による外力により決定されるのに対し、常圧注型法では混合による分散以後、重力と樹脂の粘性による粒子の回転、沈降により決定されることである。
【0005】
ここで複数の磁性粒子からなる複合磁性材料は、極端には2ヶの磁性体間に1ヶ所のエアーギャップがある状態であり、多数の粒子からなる実際の複合磁性材料では、この磁性体とエアーギャップを無限小に細分化していく過程に近いものであろうと予想される。従って、複合磁性材料の磁化特性を制御するためには、個々の粒子の径と間隔をいかに制御するかが重要となる。
【0006】
加圧注型法、乾式成形法等においては、外力の調整により、粒子の配置を比較的均質にできるので、前述の粒子間の間隔を制御するためには2ヶの磁性体の場合に同じく、所望の厚みのスペーサを粒子間に配置すればよく、例えば、磁性粒子表面に所望とする大きさの粉末、または無機物、有機物層を配置またはコーティングした後、加圧により所望の密度に成形すればよい。
【0007】
【特許文献1】特開2001−68324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、常圧注型法においては、上述の沈降が生じ、またこの沈降の程度は場所により異なり、特に深さが深い場合は底部と上部でその差は大きく、粒子の配置が不均質となれば、磁性体としての特性が均一な磁芯が得られなくなる。特許文献1には、常圧注型による磁芯の製造方法が述べられているが、個々の粒子の間隔の制御、および注型時の上部と底部の不均一さに関しては触れられていない。
【0009】
具体的に磁気特性に関して説明すると、例えば1ヶの球状粒子の反磁界係数は1/3であり、磁界中においては反磁界係数に従い磁化が進む。もう一つの粒子が磁界方向に隣接している場合、2ヶの合成の反磁界係数は0と1/3の中間の値をとる。この値は、2ヶの粒子の間隔により変化し、接近すればするほど0に近づき、小さな値となる。つまり、接近した多数の粒子が磁化する場合、その磁化過程は隣接する他の粒子との距離により変化し、より接近している粒子は外部磁界に対し早期に磁化が進み、飽和しやすく、離れている粒子は飽和しにくいことになる。
【0010】
つまり、一つの磁芯の中で、外部磁界に対し飽和しやすい部分とそうでない部分が存在することとなり、結果として磁化を示すBHカーブの立ち上がりの直線的な部分が不明瞭となる。
【0011】
これは、直流電流つまりは直流磁界を重畳して使用するパワーチョーク等においてはインダクタンスの直流電流に対する直線性が劣化することになり好ましくない。
【0012】
また、全体的な粒子の沈降による流体としての樹脂との分離だけを軽減するためには、粒子の占積率を上げ、樹脂の占積率を下げることは容易に推察されることであるが、実際にはこれだけで粒子の沈降を防止することは難しく、流体としての樹脂の占積率を下げすぎると注型に必要な流動性を損ない、気泡の残存等による弊害をまねきやすくなる。
【0013】
しかも、マクロな挙動としての流動性は低下しても、局視的には粒子間に存在する流体である樹脂自体の粘性に変化はなく、粒度分布、局所的なブリッジ現象等により浮遊状態にある粒子または粒子群は粒子径に応じた沈降速度で、沈降し接近してしまうこととなる。また、粒子の間隔を制御するために適度な大きさの微粒子を流体中に分散させたとしても、浮遊状態にある粒子の沈降による移動が生じると粒子の間隔は均一とはなりにくく、結果として磁化特性のバラツキをまねくこととなってしまう。
【0014】
従って、本発明の目的は、マクロ的には、注型の上部と底部における密度差、つまりは粒子間隔の不均一さを低減し、不均一さの極端な状況である注型上部に生じやすい樹脂だけの分離層の発生を抑制することである。
【0015】
さらには、本発明の目的は、局所的にも粒子の沈降による粒子の間隔の不均一さを改善することである。終局的には、これらの改善によって、磁化特性に優れる複合磁性材料および複合磁性材料の製造方法を提供することが本願発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の複合磁性材料は、樹脂と平均粒径が0.1μm以下の粉末との、混合物を磁性粒子間に介在させ、磁性粒子の間隔を制御するとともに、磁芯における分離層を低減するための高い効果を得るものである。
【0017】
本発明の複合磁性材料での、平均粒径が0.1μm以下の粉末は、他の磁性粒子の周囲を包囲し、磁性粒子の動きを支配する流体自体の粘性、特に、剪断速度の小さい領域で、剪断応力が高く、沈降を抑制する作用を示すチクソ性を向上させることができ、結果として磁芯における分離層を低減する効果が得られるものである。
【0018】
本発明は、少なくとも1種は磁性体である複数種の粉末と樹脂との混合物が固化された複合磁性材料において、前記複数種の粉末の中での平均粒径が0.1μm以下の粉末が、前記樹脂と前記平均粒径が0.1μm以下の粉末との合計の体積を100%とした条件にて、1vol%以上から20vol%以下の範囲で含まれている複合磁性材料である。
【0019】
また、本発明は、前記平均粒径が0.1μm以下の粉末は、SiO2、Al23等の酸化物または有機物である複合磁性材料である。
【0020】
また、本発明は、前記複数種の粉末の中で、磁性体である粉末が、複合磁性体の体積を100vol%として、55vol%以上含まれている複合磁性材料である。
【0021】
また、本発明は、前記磁性体はFe−Si系合金、Fe−Si−Al系合金、鉄系アモルファス合金、コバルト系アモルファス合金の少なくとも一つである複合磁性材料である。
【0022】
また、本発明は、前記のいずれかの複合磁性材料を、常圧により成形して、形成された磁芯である。
【0023】
また、本発明は、少なくとも1種は磁性体である複数種の粉末と樹脂との混合物を固化する複合磁性材料の製造方法において、前記複数種の粉末の中での平均粒径が0.1μm以下の粉末がSiO2、Al23等の酸化物または有機物であり、前記平均粒径の0.1μm以下の粉末を、前記樹脂と前記平均粒径が0.1μm以下の粉末との合計の体積を100vol%とした条件にて、1vol%以上から20vol%以下の範囲含ませ、前記複合磁性材料を常圧により成形して固化させる複合磁性材料の製造方法である。
【0024】
また、本発明は、前記複数種の粉末の中で、磁性体である粉末を、複合磁性体の体積を100vol%として、55vol%以上含ませる複合磁性材料の製造方法である。
【0025】
また、本発明は、前記磁性体はFe−Si系合金、Fe−Si−Al系合金、鉄系アモルファス合金、コバルト系アモルファス合金の少なくとも一つである複合磁性材料の製造方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、マクロ的、局所的な粒子の沈降による粒子の間隔の不均一さが改善され、磁芯用材料等として好適な、磁化特性に優れた複合磁性材料とその複合磁性材料の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の複合磁性材料は、少なくとも1種は磁性体である複数種の粉末と樹脂との混合物が固化された複合磁性材料とし、これらの複数種の粉末の内、平均粒径が0.1μm以下の粉末を樹脂の1vol%以上、20vol%以下含まれるようにする。ここで、平均粒径0.1μm以下の粉末の体積分率は、平均粒径0.1μm以下の粉末と樹脂の合計の体積を100vol%とする。また、特に断らない限り、本願中で記載する粉末の粒子径の値は、粒子の電子顕微鏡写真を用いて測定した球相当径である。
【0028】
また、平均粒径が0.1μm以下の粉末としては、SiO2、Al23等の酸化物の粉末、もしくはシリコーン樹脂粉末、フッ素樹脂粉末等の有機物の粉末を用いると磁性粒子間のスペーサとして適当である。
【0029】
また、本発明の複合磁性材料は複数種の粉末の中で磁性体である粉末は、体積分率として、複合磁性体の体積を100vol%としたときに、55vol%以上とすることが好ましい。ここで、磁性体粉末が、55vol%未満であると、複合磁性材料を磁芯として用いる場合には、透磁率が低くなり、実用に適さない。
【0030】
また、磁芯等に用いる複合磁性材料としては、磁性体は透磁率が高く、飽和磁束密度の大きいFe−Si系合金、Fe−Si−Al系合金、鉄系アモルファス合金、コバルト系アモルファス合金の少なくとも一つを用いるのが好ましい。また、磁性体粉末の粒子径は10〜1000μmのものを使うことができるが、粒子径が大きいと流動性が悪化すると共に過電流損失が増加して、使える周波数帯が狭くなり、粒子径が細かくなると、やはり流動性が悪くなり、透磁率も低下するので、一般的には、数十〜200μmの範囲の粒子径の磁性体粉末を用いることが望ましい。
【0031】
ここで、複合磁性材料に用いられる樹脂としては、成形時に流れやすい樹脂であればよく、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等が使用できる。
【0032】
また、本発明の複合磁性材料は、少なくとも1種は磁性体である複数種の粉末と樹脂とを混合し、常圧注型法により成形して固化させて製造すればよい。この際に、複数種の粉末の内、平均粒径0.1μm以下の粉末の体積分率が、平均粒径0.1μm以下の粉末と樹脂の合計の体積を100vol%とした時、1vol%以上、20vol%以下含まれるようにして混合するとよい。また、この際に平均粒径が0.1μm以下の粉末としては、SiO2、Al23等の酸化物の粉末、もしくは有機物の粉末を用いて製造すればよい。
【0033】
さらに、複数種の粉末の中で、磁性体である粉末としては、体積分率として、複合磁性体の体積を100vol%としたときに、55vol%以上となるように混合して製造すればよい。
【0034】
ここで、本発明の磁芯を成形する場合は、次のようにして行えばよい。即ち、所定の比率の複数種の粉末と、液状の樹脂とをミキサーで混練しスラリーを作製する。樹脂は例えば2液混合タイプの熱硬化型のエポキシ樹脂を用いればよい。作製したスラリーを所定の型に注型(流し込み)し、必要に応じ、振動等の付与により流動性を向上させ、また、減圧による脱泡を行う。その後、例えば150℃×3時間の条件にて、加熱し硬化させたのち型から取り出すことにより複合磁性材料からなる磁芯を得ることができる。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
表1に示すような配合で、複合磁性材料を作製して、各種特性の比較を行った。
【0036】
磁性体の粉末として、平均粒径120μmのFe−6.5Si材のガスアトマイズ粉末を用い、樹脂は熱硬化性のエポキシ樹脂を用い、その他の粉末としてはSiO2の粉末を用いた。磁性体の粉末の体積百分率が複合磁性材料を100vol%とした時に65vol%となり、残部が樹脂とその他の粉末となるように配合した。樹脂の体積百分率は約34vol%、SiO2の粉末の体積百分率は約1vol%とした。
【0037】
ここで、樹脂とSiO2の粉末を正確には、SiO2の粉末の体積百分率を、樹脂とSiO2の粉末との合計の体積百分率を100vol%とした時に3vol%となるように配合した。この際、SiO2の粉末を適量のカップリング剤で表面処理をした後、樹脂との混合を行った。
【0038】
その配合するSiO2粉末としては、平均粒径が各種のものを選択した。ここでは、表1のように、SiO2粉末は平均粒径が10μm、2.4μm、0.5μm、0.3μm、0.1μmの粉末を用いた。
【0039】
表1に示した、上述の配合比で、磁性体粉末とSiO2粉末と樹脂とを混合してスラリーを作製し、注型に流し込んで、真空脱泡を行い、加熱硬化した後、取り出して試料を作製した。ここで、外径27mm、内径15mm、深さ12mmのトロイダルコア用の注型と外径23mm、深さ50mmの円柱形状用の注型とを用意し、2種類の試料を作製した。トロイダルコアを用いて、直流重畳特性の測定を行い、円柱形状の試料で粒子と樹脂の分離を調べた。
【0040】
直流重畳特性の測定は外径27mm、内径15mm、高さ12mmのトロイダルコアにほぼ均等となるようにφ1.5mmの銅線を23ターン巻き、LCRメーターにてインダクタンスを測定して求めた。ここで、直流電流を重畳しないときのインダクタンスの値と、一定の直流電流(5A)を重畳させたときのインダクタンスの値を測定し、前者をL0、後者をL1としてΔL/L0=(L0−L1)/L0を複合磁性材料の直流電流重畳特性とした。
【0041】
また、50mmの高さの円柱型の試料では、磁芯の上部の粒子と樹脂の分離が進んだ硬化物分離層の厚みを測定し、上部の硬化物分離層を除いた後、上部と底部から高さ8mmの部分で切断して、外径23mm、高さ8mmのサンプルを作製し、上部と底部の2個のサンプルについて、それぞれ密度を測定した。さらに、それぞれのサンプルの中央部に直径9mmの貫通穴をあけてトロイダル型の形状とし、巻線してLCRメーターにより初透磁率を測定した。
【0042】
この磁芯の直流電流重畳特性は、パワーチョークコイルにおいては、設計許容範囲が数十%でなされる場合が一般的であることから、30%以下が好ましく、さらに20%以下であることが望ましい。なお、粉末の粒子径は乾式レーザー散乱法により測定し、頻度の累積が50%を示す粒子径を平均粒径とした。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1より明らかなように、SiO2の粉末にて、平均粒径0.1μmの粉末を添加した場合、分離層の発生はなく、形成された磁芯での上部と、底部の密度差も小さく、また、上部と底部の透磁率の差異も、最小となっている。これによって、磁化特性の直線性を反映する磁気特性である、磁芯の直流電流重畳特性も改善されている。
【0045】
(実施例2)
表2に示すような配合で、複合磁性材料を作製して、各種特性の比較を行った。
【0046】
磁性体の粉末として、平均粒径120μmのFe−6.5Si材のガスアトマイズ粉末を用い、樹脂は熱硬化性のエポキシ樹脂を用い、その他の粉末としてはSiO2の粉末を用いた。磁性体の粉末の体積百分率が複合磁性材料を100vol%とした時に65vol%となり、残部が樹脂とその他の粉末となるように配合した。
【0047】
配合するSiO2粉末としては、平均粒径が0.1μmと同種の粉末を用い、樹脂とSiO2粉末の配合割合を変えて試料を作製した。樹脂とSiO2の粉末の配合割合は、SiO2の粉末の体積百分率が、樹脂とSiO2の粉末との合計の体積百分率を100vol%とした時になし、1vol%、3vol%、5vol%、20vol%、25vol%となるように配合した。この際、SiO2の粉末を適量のカップリング剤で表面処理をした後、樹脂との混合を行った。
【0048】
表2に示した、配合比の粉末と樹脂とを混合し、スラリーを作製し、実施例1と同様に注型に流し込んで、真空脱泡を行い、加熱硬化した後、取り出して試料を作製した。ここで、外径27mm、内径15mm、深さ12mmのトロイダルコア用の注型と外径23mm、深さ50mmの円柱形状用の注型とを用意し、2種類の試料を作製した。トロイダルコアを用いて、直流重畳特性の測定を行い、円柱形状の試料で粒子と樹脂の分離を調べた。
【0049】
直流重畳特性の測定は外径27mm、内径15mm、高さ12mmのトロイダルコアにほぼ均等となるようにφ1.5mmの銅線を23ターン巻き、LCRメーターにてインダクタンスを測定して求めた。ここで、直流電流を重畳しないときのインダクタンスの値と、一定の直流電流(5A)を重畳させたときのインダクタンスの値を測定し、前者をL0、後者をL1としてΔL/L0=(L0−L1)/L0を複合磁性材料の直流電流重畳特性とした。
【0050】
この磁芯の直流電流重畳特性は、パワーチョークコイルに於いては、設計許容範囲が数十%でなされる場合が一般的であることから、30%以下が好ましく、さらに20%以下であることが望ましい。
【0051】
また、50mmの高さの円柱型の試料では、磁芯の上部の粒子と樹脂の分離が進んだ硬化物分離層の厚みを測定し、上部の硬化物分離層を除いた後、上部と底部から高さ8mmの部分で切断して、外径23mm、高さ8mmのサンプルを作製し、上部と底部の2個のサンプルについて、それぞれ密度を測定した。さらに、それぞれのサンプルの中央部に直径9mmの貫通穴をあけてトロイダル型の形状とし、巻線してLCRメーターにより初透磁率を測定した。測定結果を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
表2の結果より、SiO2の粉末の配合割合が1vol%以上で作製された磁芯では、分離層の発生はなく、上部と、底部の密度差も小さく、また、上部と底部の初透磁率の差異も小さくなっている。これによって、磁化特性の直線性を反映する磁気特性である、磁芯の直流電流重畳特性も改善されている。
【0054】
ここで、SiO2の粉末の添加がない場合は、硬化物分離層が発生しているが、SiO2の粉末の添加量を増やすほど硬化物分離層の発生が少なくなるので、硬化物分離層の面からは添加量が多いほど良いと考えられるが、1vol%の添加でも充分な効果が認められる。また、SiO2の粉末の添加が20vol%を超えると流動性が低下し、25vol%では磁芯の密度の低下が生じ、透磁率も低下するので、SiO2の粉末の添加は20vol%以下とするのが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種は磁性体である複数種の粉末と樹脂との混合物が固化された複合磁性材料において、前記複数種の粉末の中での平均粒径が0.1μm以下の粉末が、前記樹脂と前記平均粒径が0.1μm以下の粉末との合計の体積を100%とした条件にて、1vol%以上から20vol%以下の範囲で含まれていることを特徴とする複合磁性材料。
【請求項2】
前記平均粒径が0.1μm以下の粉末は、酸化物または有機物であることを特徴とする請求項1に記載の複合磁性材料。
【請求項3】
前記複数種の粉末の中で、磁性体である粉末が、複合磁性体の体積を100vol%として、55vol%以上含まれていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の複合磁性材料。
【請求項4】
前記磁性体はFe−Si系合金、Fe−Si−Al系合金、鉄系アモルファス合金、コバルト系アモルファス合金の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合磁性材料。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の複合磁性材料を常圧により成形して、形成されたことを特徴とする磁芯。
【請求項6】
少なくとも1種は磁性体である複数種の粉末と樹脂との混合物を固化する複合磁性材料の製造方法において、前記複数種の粉末の中での平均粒径が0.1μm以下の粉末が酸化物または有機物であり、前記平均粒径の0.1μm以下の粉末を、前記樹脂と前記平均粒径が0.1μm以下の粉末との合計の体積を100vol%とした条件にて、1vol%以上から20vol%以下の範囲含ませ、前記複合磁性材料を常圧により成形して固化させることを特徴とする複合磁性材料の製造方法。
【請求項7】
前記複数種の粉末の中で、磁性体である粉末を、複合磁性体の体積を100vol%として、55vol%以上含ませることを特徴とする請求項6に記載の複合磁性材料の製造方法。
【請求項8】
前記磁性体はFe−Si系合金、Fe−Si−Al系合金、鉄系アモルファス合金、コバルト系アモルファス合金の少なくとも一つであることを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の複合磁性材料の製造方法。

【公開番号】特開2008−41691(P2008−41691A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209795(P2006−209795)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】