説明

複合装置、及び複合装置に用いられるプログラム

【課題】通信先情報が変更された場合に、通信先情報の変更理由を判断することができる。
【解決手段】複合装置1は、第1の通信先情報、及び第2の通信先情報で構成される通信先情報に基づいて通信する2種類の通信手段2,3と、1つの相手先に対応する識別情報と前記通信先情報とが前記識別情報に対応させて記憶されている通信先情報データベース12と、前記通信先情報データベース12の第1の通信先情報、及び第2の通信先情報の両方が更新された場合は、別の相手先に対する通信先情報が前記識別情報に対して割り当てられたと判断し、前記通信先情報データベース12の第1の通信先情報、及び第2の通信先情報のどちらか一方が更新された場合は、更新前と同じ相手先に対する通信先情報が更新されたと判断する後処理制御部27と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信先情報に基づいて通信を行う複合装置、及び複合装置に用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合装置としては、例えば、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ(FAX)機能、電子メール機能、インターネットFAX機能等の機能が一つにまとめられた装置がある。なお、複合装置は、MFP(Multi Function Printer)と呼ばれることがある。
【0003】
従来、この種の複合装置は、読み取った画像データを指定した時刻に送信する時刻指定送信機能と送信先を登録するアドレス帳とを備え、アドレス帳に登録された送信先を短縮番号を一押下により指定して、時刻指定送信機能による時刻送信ジョブを行うものであった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−224544号公報(段落0002、0006等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の装置では登録されている通信先情報の変更が成された場合、短縮番号やワンタッチキー等の識別情報に対応する通信相手自体が変更されることによるFAX番号や電子メールアドレス等の通信先情報の変更なのか、該識別情報に対応する通信相手は変更されないが担当部署の変更や通信相手に対応する通信環境の変更等によるFAX番号や電子メールアドレス等の通信先情報の変更なのか区別(判断)することができなかった。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、通信先情報が変更された場合に、通信先情報の変更理由を判断することができる、複合装置、及び複合装置に用いられるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る複合装置は、第1の通信先情報、及び第2の通信先情報で構成される通信先情報に基づいて通信する2種類の通信手段と、1つの相手先に対応する識別情報と前記通信先情報とが前記識別情報に対応させて記憶されている通信先情報データベースと、前記通信先情報データベースの第1の通信先情報、及び第2の通信先情報の両方が更新された場合は、別の相手先に対する通信先情報が前記識別情報に対して割り当てられたと判断し、前記通信先情報データベースの第1の通信先情報、及び第2の通信先情報のどちらか一方が更新された場合は、更新前と同じ相手先に対する通信先情報が更新されたと判断する後処理制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る複合装置に用いられるプログラムは、1つの相手先に対応する識別情報と、第1の通信先情報及び第2の通信先情報で構成される通信先情報とを前記識別情報に対応させて予め記憶されている通信先情報データベース、及び通信部を備える複合装置の制御部に実行させるプログラムであって、前記通信先情報データベースの第1の通信先情報、及び第2の通信先情報の両方が更新された場合は、別の相手先に対する通信先情報が前記識別情報に対して割り当てられたと判断し、前記通信先情報データベースの第1の通信先情報、及び第2の通信先情報のどちらか一方が更新された場合は、更新前と同じ相手先に対する通信先情報が更新されたと判断する後処理制御機能と、前記後処理制御機能が判断した通信先情報に基づいて前記通信部に通信させる通信機能と、を前記制御部に実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信先情報が変更された場合に、通信先情報の変更理由を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る複合装置の構成図である。
【図2】(a)及び(b)は、第1実施形態に係る複合装置が備えるアドレス帳DB(データベース)のデータ構成図である。
【図3】(a)及び(b)は、第1実施形態に係る複合装置が備えるアドレス帳DBを変更するためのアドレス情報変更画面を説明するための説明図である。
【図4】(a)及び(b)は、第1実施形態に係る複合装置が備える時刻送信ジョブリストDBのデータ構成図である。
【図5】第1実施形態に係る複合装置が実行する時刻FAX送信ジョブに対する処理の選択肢をまとめた対応表を説明するための説明図である。
【図6】第1実施形態に係る複合装置が実行する時刻FAX送信ジョブに対する処理の選択肢を表示する処理選択画面を説明するための説明図である。
【図7】第1実施形態に係る複合装置が実行する時刻FAX送信ジョブに対する処理を説明するためのフローチャート(全体)である。
【図8】第1実施形態に係る複合装置が実行する時刻FAX送信ジョブに対する処理を説明するためのフローチャート(選択肢として電子メール送信への切り替えが選択された場合)である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る複合装置の構成図である。
【図10】(a)及び(b)は、第2実施形態に係る複合装置が備える時刻送信ジョブリストDBのデータ構成図である。
【図11】第2実施形態に係る複合装置が実行する時刻電子メール送信ジョブに対する処理の選択肢をまとめた対応表を説明するための説明図である。
【図12】第2実施形態に係る複合装置が実行する時刻電子メール送信ジョブに対する処理の選択肢を表示する処理選択画面を説明するための説明図である。
【図13】第2実施形態に係る複合装置が実行する時刻電子メール送信ジョブの送信時刻を指定する送信時刻指定画面を説明するための説明図である。
【図14】第2実施形態に係る複合装置が実行する時刻電子メール送信ジョブに対する処理を説明するためのフローチャート(全体)である。
【図15】第2実施形態に係る複合装置が実行する時刻電子メール送信ジョブに対する処理を説明するためのフローチャート(選択肢としてFAX送信への切り替えが選択された場合、その1)である。
【図16】第2実施形態に係る複合装置が実行する時刻電子メール送信ジョブに対する処理を説明するためのフローチャート(選択肢としてFAX送信への切り替えが選択された場合、その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
≪第1実施形態に係る複合装置の構成≫
以下、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る複合装置の構成について説明する。なお、図1は、本発明の第1実施形態に係る複合装置1の構成図である。
【0013】
第1実施形態に係る複合装置1は、例えば、プリンタ機能、スキャナ機能、FAX機能、電子メール機能、インターネットFAX機能等の機能が一つにまとめられた装置である。ここでは、複合装置1として、スキャナ機能、FAX機能、及び電子メール機能を備える装置を想定して説明する。
【0014】
図1に示す複合装置1は、スキャン部2、FAX通信部3、ネットワーク通信部4、入出力部5、記憶部10、及び制御部20を備えて構成される。
【0015】
複合装置1は、電話回線網及びインターネットを介して、複数の相手先と通信可能に接続されている。
ここで、「相手先」とは、FAX及び電子メールを送受信する取引の相手先のことで、FAX番号及び電子メールアドレスのいずれか一方を少なくとも保有している。相手先は、複数のFAX番号及び複数の電子メールアドレスを保有することが可能で、相手先が複数のFAX番号を有している場合、その相手先が有する複数のFAX番号のいずれかへのFAX送信は、同一の相手先への送信である。すなわち、相手先は、複合装置1の利用者が任意に決定するFAX番号、電子メールアドレスの集合体であり、例えば、会社単位、事業所単位、部署単位に形成される。
【0016】
<スキャン部>
スキャン部2は、図示しない原稿を読み取り、RAW形式(画像処理を施す前の状態)の画像データを生成する。
【0017】
<FAX通信部>
FAX通信部3(送信手段)は、相手先との間で、FAXの送受信を行う。具体的には、FAX通信部3は、電話回線網を介して、指定されたFAX番号に宛ててMMR形式の画像データを送信する。
【0018】
<ネットワーク通信部>
ネットワーク通信部4(送信手段)は、相手先との間で、電子メールの送受信を行う。ネットワーク通信部4は、ネットワークを介して、指定された電子メールアドレスに宛ててJPEG形式の画像データを添付ファイルとした電子メールを送信する。
【0019】
<入出力部>
入出力部5は、複合装置1の利用者に対し、情報の表示と操作の受付を行う。入出力部5は、タッチパネルと文字入力のためのキーボードにより構成される。
【0020】
<記憶部>
記憶部10は、画像データDB11、通信先情報データベースとしてのアドレス帳DB12、及び時刻送信ジョブリストDB13を備えて構成される。
【0021】
(画像データDB)
画像データDB11は、スキャン部2で読み取るRAW形式の画像データ、及びRAW形式の画像データを他の形式に画像処理した画像データが保存される。画像データDB11には、画像データが、送信ジョブ(相手先にFAX及び電子メールを送信する作業単位)を一意に特定するジョブIDをディレクトリ名としたディレクトリに、ページ数をファイル名として保存する。
【0022】
(アドレス帳DB)
図2(a)及び(b)は、第1実施形態に係る複合装置1が備える通信先情報データベースとしてのアドレス帳DB12のデータ構成図である。
図2(a)を参照し、アドレス帳DB12は、50個のレコードで構成され、1つのレコードは短縮番号121、FAX番号122、及び電子メールアドレス123で構成される。
【0023】
以下では、短縮番号121、FAX番号122、及び電子メールアドレス123をまとめてアドレス情報と呼ぶ。またFAX番号122、及び電子メールアドレス123をまとめて送信先情報(通信先情報)と呼ぶ。
なお、本実施形態では、複合装置1がFAX機能及び電子メール機能という2つの送信手段を備えるので、それぞれの送信手段に対応するFAX番号122及び電子メールアドレス123という2つの項目で送信先情報が構成されるが、複合装置1が他の送信手段を備える場合には、その他の送信手段に対応する項目を含んで送信先情報は構成される。
【0024】
短縮番号(識別情報)は、複合装置1内で送信先情報(FAX番号122、及び電子メールアドレス123)を一意に特定する番号であり、1〜50の番号が割り当てられている。
FAX番号は、FAX通信部3によるFAX送信で用いられ、例えば、国内のFAX番号であれば「0A〜JのFAX番号」が登録される。
電子メールアドレスは、ネットワーク通信部4による電子メール送信で用いられ、例えば、ユーザ名、ドメイン名等で構成される文字列が登録される。
【0025】
図2(b)は、図2(a)の短縮番号121が「1」に対応するアドレス情報に、電子メールアドレス「aaa@bbb.com」を追加する更新を行った後の状態を示す。アドレス情報の更新は、図3に示すアドレス情報変更画面を介して利用者により行われる。
【0026】
図3(a)及び(b)は、第1実施形態に係る複合装置1が備えるアドレス帳DB12を変更するためのアドレス情報変更画面を説明するための説明図である。
図3(a)を参照し、アドレス情報変更画面51は、テキストボックス52、53、確定ボタン54、及び取り消しボタン55で構成される。
【0027】
テキストボックス52及びテキストボックス53は、それぞれ、FAX番号及び電子メールアドレスの入力を受け付け、初期状態では、アドレス帳DB12に記憶される所定の短縮番号121に対応する現在のアドレス情報が表示される。
【0028】
確定ボタン54は、押下されると、情報変更画面51で入力されたFAX番号及び電子メールアドレスが確定され、アドレス帳DB12の所定の短縮番号121に対応するFAX番号122、及び電子メールアドレス123に保存される。取り消しボタン55は、押下されると、情報変更画面51で入力された内容は破棄され、アドレス情報の更新処理は終了する。
【0029】
また、図3(a)は、図2(a)の短縮番号121が「1」に対するアドレス情報変更画面51である。図3(a)に示す状態から、図3(b)に示す状態のようにテキストボックス53に電子メールアドレス「aaa@bbb.com」が入力され、確定ボタン54が押下される。すると、アドレス帳DB12の短縮番号121が「1」に対応するアドレス情報は、図2(b)に示す内容に変更される。
【0030】
(時刻送信ジョブリストDB)
図4(a)及び(b)は、第1実施形態に係る複合装置1が備える時刻送信ジョブリストDB13のデータ構成図である。ここでは、図4(a)を参照し、図4(b)については後で参照する。
【0031】
時刻送信ジョブリストDB13は、時刻を指定してFAX送信するジョブ(以下、「時刻FAX送信ジョブ」と呼ぶ)が発生するたびにレコードが追加され、時刻FAX送信ジョブがキャンセル又は終了すると該当するレコードが削除される。そのため、時刻送信ジョブリストDB13は、現時点で、発生している時刻FAX送信ジョブ数分のレコードで構成される。
【0032】
図4(a)を参照し、時刻送信ジョブリストDB13の1つのレコードは、ジョブID131、送信先、送信時刻134で構成され、さらに送信先は、短縮番号132、及びFAX番号133で構成される。
以下では、ジョブID131、送信先、送信時刻134をまとめてジョブ情報と呼ぶ。
【0033】
ジョブID131は、複合装置1内で時刻FAX送信ジョブを一意に特定する番号であり、任意の番号が割り当てられる。
送信先は、時刻送信が行われる送信先についての情報が登録される。利用者が、時刻FAX送信ジョブを予約する際に、短縮番号を用いて送信先が指定された場合には、短縮番号132の項目に入出力部5を介して利用者に入力された短縮番号が登録され、FAX番号133の項目には何も登録されない。一方、FAX番号を用いて送信先が指定された場合には、FAX番号133の項目に入出力部5を介して利用者に入力されたFAX番号が登録され、短縮番号の項目には何も登録されない。
送信時刻134(送信予約時刻情報)は、時刻FAX送信ジョブによりFAX送信を開始する時刻が登録される。
【0034】
<制御部>
制御部20は、CPUにより構成され、ハードウェア制御部21、画像処理部22、及び送信ジョブ制御部23を備える。これらの機能は、プログラムを実行することによって実現される。
【0035】
(ハードウェア制御部)
ハードウェア制御部21は、複合装置1が有するハードウェア(スキャン部2、FAX通信部3、ネットワーク通信部4、入出力部5、記憶部10)を制御する。
【0036】
(画像処理部)
画像処理部22は、RAW形式、MMR形式、JPEG形式の各形式の画像データを相互に変換する。
【0037】
(送信ジョブ制御部)
送信ジョブ制御部23は、FAX送信ジョブ制御部24、電子メール送信ジョブ制御部25、時刻送信制御部26、及び後処理制御部27を備える。
送信ジョブ制御部23は、FAX通信部3及びネットワーク通信部4を用いた複合装置1における画像データの送信ジョブの全体制御を行う。
【0038】
(FAX送信ジョブ制御部)
FAX送信ジョブ制御部24は、複合装置1で実行されるFAX送信ジョブの制御を行う。FAX送信ジョブは、スキャン部2で読み取ったRAW形式の画像データを、画像処理部22によりMMR形式の画像データに変換し、FAX通信部3からFAX送信するジョブのことである。
なお、FAX送信ジョブのうち時刻を指定してFAX送信するジョブを、時刻FAX送信ジョブと呼ぶ。
【0039】
(電子メール送信ジョブ制御部)
電子メール送信ジョブ制御部25は、複合装置1で実行されるスキャンデータの電子メール送信ジョブの制御を行う。スキャンデータの電子メール送信ジョブは、スキャン部2で読み取ったRAW形式の画像データを、画像処理部22によりJPEG形式の画像データに変換し、ネットワーク通信部4から電子メールを送信するジョブのことである。
なお、第1実施形態では、電子メール送信ジョブは、アドレス帳DB12が記憶するアドレス情報が更新された場合において、時刻FAX送信ジョブから切り替えられたときに実行される。詳細は後述する。
【0040】
(時刻送信制御部)
時刻送信制御部26は、FAX送信ジョブのうち時刻を指定してFAX送信するジョブである時刻FAX送信ジョブの制御を行う。
時刻送信制御部26は、利用者から入出力部5を介して時刻FAX送信ジョブの実行の指示を受けると、スキャン部2で読み取ったRAW形式の画像データを、画像処理部22を用いてMMR形式の画像データに変換した後に記憶部10の画像データDB11に保存し、時刻送信ジョブリストDB13にジョブ情報を登録する。
【0041】
また、時刻送信制御部26は、指定時刻になったら、記憶部10の画像データDB11に記憶される画像データを指定された送信先にFAX送信するようにFAX送信ジョブ制御部24に指示を行う。FAX送信する際のFAX番号は、ジョブ情報の送信先の短縮番号132が設定されていればその短縮番号に対応するFAX番号を用い、FAX番号133が設定されている場合はそのFAX番号を用いる。
【0042】
さらに、時刻送信制御部26は、後述する後処理制御部27から電子メール送信への切り替えが指示されたら、記憶部10の画像データDB11に記憶したMMR形式の画像データを指定された送信先に電子メール送信するように電子メール送信ジョブ制御部25に指示を行う。
【0043】
そして、時刻送信制御部26は、FAX送信及び電子メール送信が終了すると、記憶部10の画像データDB11から画像データ及び時刻送信ジョブリストDB13上のジョブ情報を削除する。また、時刻送信制御部26は、時刻FAX送信ジョブ、及び電子メール送信ジョブの結果をログとして記憶部10の図示しない領域に記録する。ログには、ジョブID、送信手段、送信結果が記録される。
【0044】
(後処理制御部)
後処理制御部27は、アドレス帳DB12に記憶されるアドレス情報が更新された際に、更新されたアドレス情報の短縮番号121をキーに、時刻送信ジョブリストDB13のジョブ情報とマッチングを行い、短縮番号132にキーとなる短縮番号が設定されている時刻FAX送信ジョブを検索する。
【0045】
そして、後処理制御部27は、マッチングする送信ジョブがあると、マッチングした時刻FAX送信ジョブに対する処理の選択肢を入出力部5に表示し、複合装置1の利用者に処理を決定させる。後処理制御部27による、処理の選択肢の表示は、図5に示す対応表を用いて行われる。
図5は、第1実施形態に係る複合装置1が実行する時刻FAX送信ジョブに対する処理の選択肢をまとめた対応表を説明するための説明図である。
【0046】
図5に示す処理の選択肢をまとめた対応表は一例を示したものにすぎず、(1)アドレス情報の更新のされ方(更新パターン)によって別の相手先に対するアドレス情報の更新であるか、又は同一の相手先に対するアドレス情報の更新であるかを推測(判断)し、(2)この推測(判断)に基づき時刻FAX送信ジョブに対して行い得る処理を選択(限定)するものであればこれに限定されない。
【0047】
(1)同一の相手先であるか否か、又は別の相手先であるか否かの判断
例えば、FAX番号122と電子メールアドレス123の両方が更新された場合には、別の相手先に対するアドレス情報が短縮番号121に対して割り当てられたと推測(判断)する。
一方、FAX番号122と電子メールアドレス123の片方だけが更新された場合には、同じ相手先に対するアドレス情報が更新されたと推測(判断)する。
【0048】
ここで、「FAX番号122と電子メールアドレス123の両方が更新された場合」とは、FAX番号122及び電子メールアドレス123が共に、追加、変更、削除等された場合であり、図5に示す対応表では斜線部分が該当する。
【0049】
また、「FAX番号122と電子メールアドレス123の片方だけが更新された場合」とは、FAX番号122及び電子メールアドレス123のどちらか一方が、追加、変更、削除等された場合であり、図5に示す対応表では黒塗り部分が該当する。
【0050】
(2)送信ジョブに対して行い得る処理の選択
上記「(1)同一の相手先であるか否か、又は別の相手先であるか否かの判断」なしに時刻FAX送信ジョブに対して行い得る処理は、「更新後のアドレス情報(FAX番号122又は電子メールアドレス123)を送信先とする」、「更新前のアドレス情報を送信先とする」、及び「該当するFAX送信ジョブを削除する」、が考えられる。
【0051】
これらの処理を、複合装置1の利用者に分かりやすい表現にすると、例えば、以下の5通りとなる。
「A:(更新後又は更新前の電子メールアドレスを送信先とすることで)電子メール送信へ切り替えて送信」
「B:(更新後のFAX番号を送信先とすることで)宛先を変更後のFAX番号へ変更」
「C:(FAX番号は更新されたが更新前のFAX番号を送信先とすることで)予約時のFAX番号を維持」
「D:(該当する時刻FAX送信ジョブを削除することで)予約をキャンセル」
「−:(FAX番号は更新されていないので更新前のFAX番号を送信先とすることから)変更を加えない」
【0052】
次に、上記「(1)同一の相手先であるか否か、又は別の相手先であるか否かの判断」を行うことで、別の相手先と判断したときに時刻FAX送信ジョブに対して行い得る処理は、「更新前のアドレス情報(FAX番号122又は電子メールアドレス123)を送信先とする」、及び「該当するFAX送信ジョブを削除する」、が考えられる。これは、ある相手先に送信するはずの画像データを、別の相手先に送信することは考えにくいので、更新後のアドレス情報を送信先とする処理が除かれている。
【0053】
一方、上記「(1)同一の相手先であるか否か、又は別の相手先であるか否かの判断」を行うことで、同じ相手先と判断したときに時刻FAX送信ジョブに対して行い得る処理は、「更新後のアドレス情報(FAX番号122又は電子メールアドレス123)を送信先とする」、及び「更新前のアドレス情報を送信先とする」、が考えられる。これは、ある相手先に送信するはずの画像データを、送信した相手先のアドレス情報を登録したままFAX送信ジョブをキャンセルすることは考えにくいので、該当するFAX送信ジョブを削除する処理が除かれている。
【0054】
すなわち、上記「(1)同一の相手先であるか否か、又は別の相手先であるか否かの判断」を行うことで、複合装置1の利用者に分かりやすい表現にされた上記5通りの処理は、アドレス情報の更新パターンによって、図5に示す処理に限定される。
【0055】
図5を参照し、例えば、FAX番号が変更され、電子メールアドレスが、追加、変更、削除された場合は、変更後のアドレス情報は別の相手先に対するものと判断し、C:予約時のFAX番号を維持するか、D:予約をキャンセルするかの処理を行う。
【0056】
また、FAX番号がそのままで、電子メールアドレスが追加された場合は、変更後のアドレス情報は同じ相手に対するものと判断し、A:電子メール送信へ切り替えて送信するか、−:変更を加えないかの処理を行う。
【0057】
また、FAX番号が変更され、登録済みの電子メールアドレスがそのままの場合、変更後のアドレス情報は同じ相手に対するものと判断し、B:宛先を変更後のFAX番号へ変更するか、C:予約時のFAX番号を維持するかの処理を行う。
【0058】
そして、後処理制御部27は、図5に示す対応表に基いて、時刻FAX送信ジョブに対する処理の選択肢を入出力部5に表示する。後処理制御部27が入出力部5に表示する処理選択肢画面の画面例を図6に示す。
図6は、第1実施形態に係る複合装置1が実行する時刻FAX送信ジョブに対する処理の選択肢を表示する処理選択画面61を説明するための説明図である。
【0059】
図6を参照し、処理選択画面61は、図5に示す対応表の「A」の処理に対応するボタン62、「B」の処理に対応するボタン63、「C」の処理に対応するボタン64、「D」の処理に対応するボタン65、及び「−」の処理に対応するボタン66で構成される。
【0060】
図6では、ボタン63,64,65が黒塗りされて選択できないようになっている。これは、図6の処理選択画面61が、図5の対応表のFAX番号が変更され、電子メールアドレスが追加された場合を表すためである。
このように、処理選択画面61は、図5に示す対応表に基づき選択された処理のみが、利用者に選択可能として表示される。
【0061】
各ボタン62,63,64,65,66が選択可能として表示された状態で、利用者により押下されると、後処理制御部27は以下の処理を行う。
ボタン62が利用者により押下されると、後処理制御部27は、時刻送信制御部26にFAX送信から電子メール送信への切り替えが選択されたことを通知する。
ボタン63が利用者により押下されると、後処理制御部27は、実質的な処理は行わない。FAX送信時に短縮番号をキーとしてアドレス帳DB12から読み出される送信先のFAX番号122は、更新後のFAX番号であるためである。
【0062】
ボタン64が利用者により押下されると、後処理制御部27は、時刻送信ジョブリストDB13のジョブ情報の短縮番号132を空にし、更新前のFAX番号をジョブ情報のFAX番号133に設定する。
ボタン65が利用者により押下されると、後処理制御部27は、時刻送信ジョブリストDB13から該当する時刻FAX送信ジョブに関するジョブ情報を削除する。
ボタン66が利用者により押下されると、後処理制御部27は、実質的な処理を行わない。
以上で、第1実施形態に係る複合装置1の構成についての説明を終了する。
【0063】
≪第1実施形態に係る複合装置におけるアドレス情報が更新されたときの動作≫
以下、図7及び図8のフローチャートを参照して、第1実施形態に係る複合装置1におけるアドレス情報が更新されたときの時刻FAX送信ジョブに対する処理を説明する。
【0064】
最初に、図7のフローチャートに示すように、後処理制御部27は、アドレス帳DB12に登録されたアドレス情報が更新されると、更新されたアドレス情報の短縮番号121をキーに、時刻送信ジョブリストDB13のジョブ情報とマッチングを行い、短縮番号132にキーとなる短縮番号が設定されている時刻FAX送信ジョブを検索する(ステップS101)。
【0065】
次に、後処理制御部27は、ステップS101の検索で、該当する時刻FAX送信ジョブが有るか否かを判定する(ステップS102)。該当する時刻FAX送信ジョブが有ると判定された場合(ステップS102“Yes”)に、処理はステップS103に進む。一方、該当する時刻FAX送信ジョブがないと判定された場合(ステップS102“No”)に、処理は終了する。
【0066】
次に、後処理制御部27は、アドレス情報に対して行われた更新の内容から、図5に示す対応表に従い、該当する時刻FAX送信ジョブに対する処理(操作)の候補を選別する(ステップS103)。
【0067】
次に、後処理制御部27は、ステップS103で該当する時刻FAX送信ジョブに対して選別した処理の候補を、図6に示す処理選択画面61として入出力部5に表示する(ステップS104)。
【0068】
次に、後処理制御部27は、利用者により入出力部5を介して、処理選択画面61の「A:電子メール送信に切り替えて送信」のボタン62が選択されたか否かを判定する(ステップS105)。Aの処理が選択されたと判定された場合(ステップS105“Yes”)に、処理はステップS110に進む。一方、Aの処理が選択されなかったと判定された場合(ステップS105“No”)に、処理はステップS106に進む。
【0069】
前記ステップS105“No”の場合、続いて、後処理制御部27は、利用者により入出力部5を介して、処理選択画面61の「B:宛先を変更後のFAX番号へ変更」のボタン63が選択されたか否かを判定する(ステップS106)。Bの処理が選択されたと判定された場合(ステップS106“Yes”)に、処理はステップS111に進む。一方、Bの処理が選択されなかったと判定された場合(ステップS106“No”)に、処理はステップS107に進む。
【0070】
前記ステップS106“No”の場合、続いて、後処理制御部27は、利用者により入出力部5を介して、処理選択画面61の「C:予約時のFAX番号を維持」のボタン64が選択されたか否かを判定する(ステップS107)。Cの処理が選択されたと判定された場合(ステップS107“Yes”)に、処理はステップS112に進む。一方、Cの処理が選択されなかったと判定された場合(ステップS107“No”)に、処理はステップS108に進む。
【0071】
前記ステップS107“No”の場合、続いて、後処理制御部27は、利用者により入出力部5を介して、処理選択画面61の「D:予約をキャンセル」のボタン65が選択されたか否かを判定する(ステップS108)。Dの処理が選択されたと判定された場合(ステップS108“Yes”)に、処理はステップS113に進む。一方、Dの処理が選択されなかったと判定された場合(ステップS108“No”)に、処理はステップS109に進む。
【0072】
前記ステップS108“No”の場合、続いて、後処理制御部27は、利用者により入出力部5を介して、処理選択画面61の「−:予約に変更を加えない」のボタン66が選択されたか否かを判定する(ステップS109)。−の処理が選択されたと判定された場合(ステップS109“Yes”)に、処理は終了する。一方、−の処理が選択されなかったと判定された場合(ステップS109“No”)に、処理はステップS105に戻る。
【0073】
前記ステップS105“Yes”の場合、続いて、後処理制御部27は、時刻送信制御部26にFAX送信から電子メール送信への切り替えが選択されたことを通知する。そして、時刻送信制御部26は、FAX送信から電子メール送信への切り替えを行う(ステップS110)ために、電子メール送信ジョブ制御部25に電子メール送信の指示を行う。ステップS110の処理の詳細は、後述する。
【0074】
前記ステップS106“Yes”の場合、続いて、宛先のFAX番号を変更する処理を行う(ステップS111)必要があるが、実質的な処理は行われない。それは、FAX送信時に短縮番号をキーとしてアドレス帳DB12から読み出される送信先のFAX番号は、更新後のFAX番号であるためである。
【0075】
前記ステップS107“Yes”の場合、続いて、時刻送信制御部26は、予約時のFAX番号を維持する(ステップS112)ため、時刻送信ジョブリストDB13のジョブ情報の短縮番号132を空にし、更新前のFAX番号をジョブ情報のFAX番号133に設定する。
【0076】
前記ステップS108“Yes”の場合、続いて、時刻送信制御部26は、予約をキャンセルする(ステップS113)ため、記憶部10の時刻送信ジョブリストDB13から該当する時刻FAX送信ジョブに関するジョブ情報を削除する。
【0077】
次に、図8を参照して、ステップS110の処理の詳細を説明する。図8は、第1実施形態に係る複合装置1が実行する時刻FAX送信ジョブに対する処理を説明するためのフローチャート(選択肢として電子メール送信への切り替えが選択された場合)である。
【0078】
図8を参照し、最初に、電子メール送信ジョブ制御部25は、記憶部10の画像データDB11に記憶したMMR形式の画像データを、画像処理部22を用いてJPEG形式に変換する。変換したJPEG形式の画像データは、記憶部10の画像データDB11に保存する(ステップS201)。
【0079】
次に、電子メール送信ジョブ制御部25は、電子メールのヘッダと本文を生成し、前記ステップS201で変換したJPEG形式の画像データを添付ファイルとして、更新後の電子メールアドレスに対して電子メールを送信する(ステップS202)。また、電子メール送信ジョブ制御部25は、電子メールの送信後に、前記ステップS201で変換して保存したJPEG形式の画像データを、記憶部10の画像データDB11から削除する。
【0080】
次に、時刻送信制御部26は、前記ステップS202の電子メールの送信が成功したか否かを判定する(ステップS203)。電子メールの送信が成功したと判定された場合(ステップS203“Yes”)に、処理はステップS204に進む。一方、電子メールの送信が成功したと判定されなかった場合(ステップS203“No”)に、処理はステップS205に進む。
【0081】
前記ステップS203で“Yes”の場合、時刻送信制御部26は、記憶部10の時刻送信ジョブリストDB13から送信した時刻送信ジョブに関するジョブ情報を削除する(ステップS204)。また、時刻送信制御部26は、電子メール送信ジョブの送信成功と、予約ジョブ(時刻FAX送信ジョブ)が電子メール送信ジョブに切り替えとなったことをログとして記憶部10に記録する。
【0082】
前記ステップS203で“No”の場合、時刻送信制御部26は、電子メールの送信失敗を示す「エラー画面」を入出力部5に表示する(ステップS205)。また、時刻送信制御部26は、電子メール送信ジョブの「送信失敗」をログとして記憶部10に記録する。
【0083】
以下では、時刻送信ジョブリストDB13が図4(a)に示すように登録された状態で、アドレス帳DB12を図2(a)の状態から短縮番号「1」に対するアドレス情報を、図2(b)のように変更した場合を例にとり、図7及び図8の動作を示す。
【0084】
図2(a)に示すアドレス情報が図2(b)のように更新されると、後処理制御部27は、時刻送信ジョブリストDB13から送信先の短縮番号に「1」が設定されているジョブを検索し、結果としてジョブID「10001」のジョブを抽出する(ステップS101)。該当ジョブが有るため処理はステップS103に進む(ステップS102)。
【0085】
次に、後処理制御部27は、図5に示す対応表から表示選択肢として「A:電子メール送信へ切り替えて送信」及び「−:変更を加えない」を選択し(ステップS103)、図4(a)に示す時刻FAX送信ジョブに対する処理選択画面61(図6参照)を入出力部5に表示する(ステップS104)。
【0086】
次に、複合装置1の利用者により、処理選択画面61のボタン62が押下され「A:電子メール送信へ切り替えて送信」が選択されると、処理はステップS110に進む(ステップS105)。次に、時刻送信制御部26は、FAX送信から電子メール送信への切り替えを行う(ステップS110)。
【0087】
次に、電子メールの送信が成功すると、時刻送信制御部26は、時刻送信ジョブリストDB13からジョブID「10001」に対するジョブ情報を削除する(ステップS204)。そして、時刻送信ジョブリストDB13のジョブ情報は、図4(b)に示す状態になる。
以上で、第1実施形態に係る複合装置におけるアドレス情報が更新されたときの動作の説明を終了する。
【0088】
≪第1実施形態に係る複合装置の効果≫
以上のように、第1実施形態によれば、時刻FAX送信ジョブとして使用中のアドレス情報(FAX番号、電子メールアドレス)が変更された際に、アドレス情報の変更理由を判断することができる。
また、上記判断を行うことで、変更内容に応じて選択された選択肢を利用者に提示することができる。これにより、利用者は、限定された選択肢の中から予約済みのFAX送信ジョブの処理を選択することが可能となる。
また、変更内容に応じて、FAX送信から電子メール送信に切り替えることができるので、FAX送信に伴い発生する電話料金を抑えたいといった、利用者が希望する処理を間単に選択することができる。
【0089】
≪第1実施形態に係る複合装置の他の構成≫
第1実施形態では、予約済みのFAX送信ジョブから電子メール送信ジョブへの切り替えを説明したが、FAX送信ジョブから電子メール送信ジョブへの切り替えの代わりに、その逆の電子メール送信ジョブからFAX送信ジョブへの切り替えを行うようにしてもよい。
これにより、簡単に電子メール送信からFAX送信への切り替えを行うことができる。
【0090】
[第2実施形態]
≪概要≫
第1実施形態に係る複合装置1では、時刻FAX送信ジョブとして使用中のアドレス情報が変更された際に、変更内容に応じて選択された選択肢を利用者に提示することで、簡単にFAX送信から電子メール送信への切り替えを行うことができた。
また、第1実施形態に係る複合装置1の他の構成では、簡単に電子メール送信からFAX送信への切り替えを行うことができることを示唆した。
【0091】
第2実施形態に係る複合装置1aでは、第1実施形態の構成として示したFAX送信から電子メール送信への切り替える機能、及び第1実施形態の他の構成として示唆した電子メール送信からFAX送信への切り替える機能の両方を備える。また、第2実施形態に係る複合装置1aでは、予約した送信ジョブの送信開始時刻を再設定することができる。
【0092】
≪第2実施形態に係る複合装置の構成≫
以下、図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る複合装置の構成について説明する。なお、図9は、本発明の第2実施形態に係る複合装置1aの構成図である。
【0093】
第2実施形態に係る複合装置1aの構成と、第1実施形態に係る複合装置1の構成との違いは、時刻送信ジョブリストDB13a、時刻送信制御部26a、及び後処理制御部27aである。
【0094】
(時刻送信ジョブリストDB)
図10(a)及び(b)は、第2実施形態に係る複合装置1aが備える時刻送信ジョブリストDBのデータ構成図である。ここでは、図10(a)を参照し、図10(b)については後で参照する。
【0095】
時刻送信ジョブリストDB13aは、図4(a)に示した第1実施形態の時刻送信ジョブリストDB13の構成に加えて、送信手段135、及び送信先として電子メールアドレス136を備える。
送信手段135(通信手段情報)は、電子メール送信かFAX送信かを指定する送信手段に関する情報となる。
送信先は、短縮番号で登録された場合は短縮番号132が、直接FAX番号が入力された場合はFAX番号133が、直接電子メールアドレスが入力されたら電子メールアドレス136が設定され、使われない側の値は、空となる。
【0096】
(時刻送信制御部)
時刻送信制御部26aは、第1実施形態に係る時刻送信制御部26の機能に加えて、電子メール送信ジョブのうち時刻を指定して電子メール送信するジョブである時刻電子メール送信ジョブの制御、及び時刻電子メール送信ジョブのFAX送信ジョブへの切り替えを行う。
【0097】
時刻送信制御部26aは、利用者から入出力部5を介して時刻電子メール送信ジョブの実行の指示を受けると、スキャン部2で読み取ったRAW形式の画像データを、画像処理部22を用いてJPEG形式の画像データに変換した後に記憶部10aの画像データDB11に保存し、時刻送信ジョブリストDB13aにジョブ情報を登録する。
【0098】
また、時刻送信制御部26aは、指定時刻になったら、記憶部10aの画像データDB11に記憶される画像データを指定された送信先に電子メール送信するように電子メール送信ジョブ制御部24に指示を行う。電子メール送信する際の電子メールアドレスは、ジョブ情報の送信先の短縮番号132が設定されていればその短縮番号に対応する電子メールアドレスを用い、電子メールアドレス136が設定されている場合はその電子メールアドレスを用いる。
【0099】
さらに、時刻送信制御部26aは、後述する後処理制御部27aからFAX送信への切り替えが指示されたら、記憶部10aの画像データDB11に記憶したJPEG形式の画像データを指定された送信先にFAX送信するようにFAX送信ジョブ制御部25に指示を行う。
【0100】
そして、時刻送信制御部26aは、FAX送信及び電子メール送信が終了すると、記憶部10aの画像データDB11から画像データ及び時刻送信ジョブリストDB13a上のジョブ情報を削除する。また、時刻送信制御部26aは、FAX送信ジョブ、及び時刻電子メール送信ジョブの結果をログとして記憶部10aの図示しない領域に記録する。ログには、ジョブID、送信手段、送信結果が記録される。
【0101】
(後処理制御部)
後処理制御部27aは、第1実施形態に係る後処理制御部27の機能に加えて、時刻電子メール送信ジョブに対する処理の選択肢を入出力部5に表示し、複合装置1aの利用者に処理を決定させる。後処理制御部27aによる、処理の選択肢の表示は、図11に示す対応表を用いて行われる。
図11は、第2実施形態に係る複合装置1aが実行する時刻電子メール送信ジョブに対する処理の選択肢をまとめた対応表を説明するための説明図である。
【0102】
図11に示すように、時刻電子メール送信ジョブに対する処理は、以下の5通りから、複数が選択される。
「a:(更新後又は更新前のFAX番号を送信先とすることで)FAX送信へ切り替えて送信」
「b:(更新後の電子メールアドレスを送信先とすることで)宛先を変更後の電子メールアドレスへ変更」
「c:(電子メールアドレスは更新されたが更新前の電子メールアドレスを送信先とすることで)予約時の電子メールアドレスを維持」
「d:(該当する時刻電子メール送信ジョブを削除することで)予約をキャンセル」
「−:(電子メールアドレスは更新されていないので更新前の電子メールアドレスを送信先とすることから)変更を加えない」
【0103】
そして、後処理制御部27aは、図11に示す対応表に基いて、時刻電子メール送信ジョブに対する処理の選択肢を入出力部5に表示する。後処理制御部27aが入出力部5に表示する処理選択肢画面の画面例を図12に示す。
図12は、第2実施形態に係る複合装置1aが実行する時刻電子メール送信ジョブに対する処理の選択肢を表示する処理選択画面を説明するための説明図である。
以上で、第2実施形態に係る複合装置1aの構成についての説明を終了する。
【0104】
≪第2実施形態に係る複合装置におけるアドレス情報が更新されたときの動作≫
以下、図14ないし図16のフローチャートを参照して、第2実施形態に係る複合装置1aにおけるアドレス情報が更新されたときの時刻電子メール送信ジョブに対する処理を説明する。
【0105】
最初に、図14を参照し、後処理制御部27aは、アドレス帳DB12に登録されたアドレス情報が更新されると、第1実施形態で説明した図7に示す時刻FAX送信ジョブに対する処理を行う(ステップS300)。
【0106】
次に、後処理制御部27aは、更新されたアドレス情報の短縮番号121をキーに、時刻送信ジョブリストDB13aのジョブ情報とマッチングを行い、短縮番号132にキーとなる短縮番号が設定されている時刻電子メール送信ジョブを検索する(ステップS301)。
【0107】
次に、後処理制御部27aは、ステップS301の検索で、該当する時刻電子メール送信ジョブが有るか否かを判定する(ステップS302)。該当する時刻電子メール送信ジョブが有ると判定された場合(ステップS302“Yes”)に、処理はステップS303に進む。一方、該当する時刻電子メール送信ジョブがないと判定された場合(ステップS302“No”)に、処理は終了する。
【0108】
次に、後処理制御部27aは、アドレス情報に対して行われた更新の内容から、図11に示す対応表に従い、該当する時刻電子メール送信ジョブに対する処理(操作)の候補を選別する(ステップS303)。
【0109】
次に、後処理制御部27aは、ステップS303で該当する時刻電子メール送信ジョブに対して選別した処理の候補を、図12に示す処理選択画面61aとして入出力部5に表示する(ステップS304)。
【0110】
次に、後処理制御部27aは、利用者により入出力部5を介して、処理選択画面61aの「a:FAX送信に切り替えて送信」のボタン62aが選択されたか否かを判定する(ステップS305)。aの処理が選択されたと判定された場合(ステップS305“Yes”)に、処理はステップS310に進む。一方、aの処理が選択されなかったと判定された場合(ステップS305“No”)に、処理はステップS306に進む。
【0111】
前記ステップS305“No”の場合、続いて、後処理制御部27aは、利用者により入出力部5を介して、処理選択画面61aの「b:宛先を変更後の電子メールアドレスへ変更」のボタン63aが選択されたか否かを判定する(ステップS306)。bの処理が選択されたと判定された場合(ステップS306“Yes”)に、処理はステップS311に進む。一方、bの処理が選択されなかったと判定された場合(ステップS306“No”)に、処理はステップS307に進む。
【0112】
前記ステップS306“No”の場合、続いて、後処理制御部27aは、利用者により入出力部5を介して、処理選択画面61aの「c:予約時の電子メールアドレスを維持」のボタン64aが選択されたか否かを判定する(ステップS307)。cの処理が選択されたと判定された場合(ステップS307“Yes”)に、処理はステップS312に進む。一方、cの処理が選択されなかったと判定された場合(ステップS307“No”)に、処理はステップS308に進む。
【0113】
前記ステップS307“No”の場合、続いて、後処理制御部27aは、利用者により入出力部5を介して、処理選択画面61aの「d:予約をキャンセル」のボタン65aが選択されたか否かを判定する(ステップS308)。dの処理が選択されたと判定された場合(ステップS308“Yes”)に、処理はステップS313に進む。一方、dの処理が選択されなかったと判定された場合(ステップS308“No”)に、処理はステップS309に進む。
【0114】
前記ステップS308“No”の場合、続いて、後処理制御部27aは、利用者により入出力部5を介して、処理選択画面61aの「−:予約に変更を加えない」のボタン66aが選択されたか否かを判定する(ステップS309)。−の処理が選択されたと判定された場合(ステップS309“Yes”)に、処理は終了する。一方、−の処理が選択されなかったと判定された場合(ステップS309“No”)に、処理はステップS305に戻る。
【0115】
前記ステップS305“Yes”の場合、続いて、後処理制御部27aは、時刻送信制御部26aに電子メール送信からFAX送信への切り替えが選択されたことを通知する。そして、時刻送信制御部26aは、電子メール送信からFAX送信への切り替えを行う(ステップS310)ために、FAX送信ジョブ制御部24にFAX送信の指示を行う。ステップS310の処理の詳細は、後述する。
【0116】
前記ステップS306“Yes”の場合、続いて、宛先の電子メールアドレスを変更する処理を行う(ステップS311)必要があるが、実質的な処理は行われない。それは、電子メール送信時に短縮番号をキーとしてアドレス帳DB12から読み出される送信先の電子メールアドレスは、更新後の電子メールアドレスであるためである。
【0117】
前記ステップS307“Yes”の場合、続いて、時刻送信制御部26aは、予約時の電子メールアドレスを維持する(ステップS312)ため、時刻送信ジョブリストDB13aのジョブ情報の短縮番号132を空にし、更新前の電子メールアドレスをジョブ情報の電子メールアドレス136に設定する。
【0118】
前記ステップS308“Yes”の場合、続いて、時刻送信制御部26aは、予約をキャンセルする(ステップS313)ため、記憶部10aの時刻送信ジョブリストDB13aから該当する時刻電子メール送信ジョブに関するジョブ情報を削除する。
【0119】
次に、図15及び図16を参照して、ステップS310の処理の詳細を説明する。
図15を参照し、最初に、後処理制御部27aは、図13に示す送信時刻指定画面を入出力部5に表示し、送信時刻の指定を受け付ける(ステップS401)。
【0120】
時刻送信制御部26aは、画像処理部22により、JPEG形式で保存されていた画像データを、MMR形式に変換する(ステップS402)。変換したMMR形式の画像データは、記憶部10aに保存する。
【0121】
時刻送信制御部26aは、時刻送信ジョブリストDB13aに登録されるジョブ情報の送信手段135を「FAX送信」に更新し、送信時刻134をステップS401で送信時刻指定画面を介して入力された時刻に更新する(ステップS403)。
【0122】
次に、図16を参照し、時刻送信制御部26aは、時刻送信ジョブリストDB13aに登録されるジョブ情報の送信時刻134に設定される時刻になったら、FAX送信ジョブ制御部24にFAX送信の指示を行う。そして、FAX送信ジョブ制御部24は、ステップS404で変換したMMR形式の画像データを、更新後のFAX番号に対してFAX送信する。
【0123】
以下では、時刻送信ジョブリストDB13aが図10(a)に示すように登録された状態で、アドレス帳DB12を図2(b)の状態から短縮番号「1」に対するアドレス情報を、図2(a)のように変更した場合を例にとり、図14ないし図16の動作を示す。
【0124】
後処理制御部27aは、時刻送信ジョブリストDB13aから送信先で短縮番号「1」を使用している時刻指定FAX送信ジョブを検索し、ジョブがないためアドレス情報が更新された時刻送信FAXの処理を終了する(ステップS300)。
【0125】
次に、後処理制御部27aは、時刻送信ジョブリストDB13aから送信先で短縮番号「1」を使用している時刻指定電子メール送信ジョブを検索し、結果としてジョブID「10001」のジョブを抽出する(ステップS301)。該当するジョブが有るため処理はステップS303に進む(ステップS302)。
【0126】
次に、後処理制御部27aは、図11に示す対応表から表示選択肢として「a:FAX送信へ切り替えて送信」及び「c:予約時の電子メールアドレスを維持」を選択し(ステップS303)、時刻電子メール送信ジョブに対する処理選択画面61a(図12参照)を入出力部5に表示する(ステップS304)。
【0127】
次に、複合装置1の利用者により処理選択画面61aのボタン62aが押下され「a:FAX送信へ切り替えて送信」が選択されると、処理はステップS310に進む(ステップS305)。
【0128】
次に、後処理制御部27aは、入出力部5に図13に示す送信時刻指定画面を表示し、利用者に送信時刻の入力を求める。送信時刻として「23時00分」が入力されると(ステップS401)、画像データがMMR形式に変換され(ステップS402)、図10(b)に示すように時刻送信ジョブリストDB13aが更新される(ステップS403)。時刻が経過し、23時00分になると、FAX送信が行われる(ステップS501)。
以上で、第2実施形態に係る複合装置におけるアドレス情報が更新されたときの動作の説明を終了する。
【0129】
≪第2実施形態に係る複合装置の効果≫
以上のように、第2実施形態によれば、電子メール送信からFAX送信に送信手段を変更する際に、送信開始時刻を再設定することで、電話料金の割引時間帯を指定することが可能となり、電話料金を抑えつつ、送信確認等で信頼性の高いFAX送信に切り替えることができる。
【0130】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例を以下に示す。
【0131】
(送信手段)
第1実施形態及び第2実施形態では、送信手段としてFAX送信と電子メール送信を用いて説明したが、インターネットFAX送信等の送信手段を用いることも可能である。
【0132】
(時刻送信ジョブに対する表示選択肢の対応表)
図5に示す対応表には、利用者の便宜のためにさらに処理を追加してもよい。
例えば、FAX番号が削除され、電子メールアドレスが変更なしの場合に、送信手段を変えたくない利用者のために、D:予約をキャンセルの処理を追加してもよい。
また、FAX番号が削除され、電子メールアドレスが追加された場合に、可能性としては低いが、同じ相手先とされる場合もあり得るため、A:電子メール送信へ切り替えて送信の処理を追加してもよい。
図11に示す対応表についても同様である。
【符号の説明】
【0133】
1,1a 複合装置
2 スキャン部
3 FAX通信部(通信手段)
4 ネットワーク通信部(通信手段)
5 入出力部(入力部、表示部)
51 アドレス情報変更画面
10,10a 記憶部
11 画像データDB
12 アドレス帳DB(通信先情報データベース)
121 短縮番号(識別情報)
122 FAX番号(第1の通信先情報)
123 電子メールアドレス(第2の通信先情報)
13,13a 時刻送信ジョブリストDB(ジョブ情報データベース)
134 送信時刻(送信予約時刻情報)
135 送信手段(通信手段情報)
20 制御部
21 ハードウェア制御部
22 画像処理部
23,23a 送信ジョブ制御部
24 FAX送信ジョブ制御部
25 電子メール送信ジョブ制御部
26,26a 時刻送信制御部
27,27a 後処理制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信先情報、及び第2の通信先情報で構成される通信先情報に基づいて通信する2種類の通信手段と、
1つの相手先に対応する識別情報と前記通信先情報とが前記識別情報に対応させて記憶されている通信先情報データベースと、
前記通信先情報データベースの第1の通信先情報、及び第2の通信先情報の両方が更新された場合は、別の相手先に対する通信先情報が前記識別情報に対して割り当てられたと判断し、
前記通信先情報データベースの第1の通信先情報、及び第2の通信先情報のどちらか一方が更新された場合は、更新前と同じ相手先に対する通信先情報が更新されたと判断する後処理制御部と、
を備えることを特徴とする複合装置。
【請求項2】
前記識別情報と、送信予約時刻情報とを少なくとも含むジョブ情報が、送信の予約に際し更新されるジョブ情報データベースをさらに備え、
前記後処理制御部は、
前記別の相手先に対する通信先情報が前記識別情報に対して割り当てられたと判断した場合は、前記ジョブ情報の更新時に前記通信先情報データベースに記憶されていた通信先情報の内容で前記ジョブ情報データベースの内容修正を確認させる画像、及び、該当するジョブ情報の内容を削除することを確認させる画像を表示部に表示させ、
前記同じ相手先に対する通信先情報が更新されたと判断した場合は、前記ジョブ情報の更新時に前記通信先情報データベースに記憶されていた通信先情報の内容で前記ジョブ情報データベースの内容修正を確認させる画像、及び、該当するジョブ情報の内容を維持することを確認させる画像を表示部に表示させ、
前記表示部に表示させた画像に対する選択確認結果を入力部を介して取得し、前記選択確認結果及び前記送信予約時刻情報に基づいた通信を通信手段に行わせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の複合装置。
【請求項3】
前記第1の通信先情報は、FAX番号であり、
前記第2の通信先情報は、電子メールアドレスであり、
前記識別情報は、短縮番号である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合装置。
【請求項4】
前記ジョブ情報は、前記2種類の通信手段を特定する通信手段情報をさらに含んで構成され、
前記後処理制御部は、
前記同じ相手先に対する通信先情報が更新されたと判断し、前記通信手段情報に対応する通信先情報が削除され、又は前記通信手段情報に対応しない通信先情報が追加された場合に、前記ジョブ情報の通信手段情報を他の通信手段に変更するための画像を表示部にさらに表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の複合装置。
【請求項5】
前記後処理制御部は、
前記ジョブ情報の送信予約時刻情報を他の修正するための画像を表示部にさらに表示させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の複合装置。
【請求項6】
1つの相手先に対応する識別情報と、第1の通信先情報及び第2の通信先情報で構成される通信先情報とを前記識別情報に対応させて予め記憶されている通信先情報データベース、及び通信部を備える複合装置の制御部に実行させるプログラムであって、
前記通信先情報データベースの第1の通信先情報、及び第2の通信先情報の両方が更新された場合は、別の相手先に対する通信先情報が前記識別情報に対して割り当てられたと判断し、
前記通信先情報データベースの第1の通信先情報、及び第2の通信先情報のどちらか一方が更新された場合は、更新前と同じ相手先に対する通信先情報が更新されたと判断する後処理制御機能と、
前記後処理制御機能が判断した通信先情報に基づいて前記通信部に通信させる通信機能と、
を前記制御部に実現させることを特徴とする複合装置に用いられるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−227768(P2012−227768A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94112(P2011−94112)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】