説明

複座弁

【課題】 第1及び第2プラグが傾斜することを防止できる複座弁を提供する。
【解決手段】 一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座8,9と、第1及び第2弁座8,9の軸上を移動して第1及び第2弁座8,9を同時に開閉する一対の第1及び第2プラグ20,21を有し、第1及び第2弁座8,9の間の出口側空間10と出口2とを出口2に向けて一方向のみに開口した出口開口11を通して連通し、第1及び第2弁座8,9の間の出口側空間10と出口開口11とを隔てる隔壁筒22を設け、隔壁筒22に総開口面積が第1弁座8の開口面積と同等となる連通孔23を複数個形成したものにおいて、出口開口11と直角方向の両側のみに連通孔23,24を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座を該軸上を移動する一対の第1及び第2プラグによって開閉する複座弁に関する。複座弁は、第1及び第2プラグのシ―ル径を同一もしくはほぼ同一に形成することにより、流体圧力による開閉弁力を相殺して、小さな駆動力により一対のプラグを操作可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
従来の複座弁は、例えば特許文献1に開示されている。これは、一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座と、該軸上を移動して該第1及び第2弁座を同時に開閉する一対の第1及び第2プラグを有し、第1及び第2弁座の間の出口側空間と出口とを出口に向けて一方向のみに開口した出口開口を通して連通したものにおいて、第1及び第2弁座の間の出口側空間と出口開口とを隔てる隔壁筒を設け、隔壁筒に総開口面積が第1及び第2弁座の開口面積と同等となる連通孔を等間隔に複数個形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−164138
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の複座弁は、第1及び第2弁座の間の出口側空間と出口開口とを隔てる隔壁筒を設け、隔壁筒に総開口面積が第1及び第2弁座の開口面積と同等となる連通孔を等間隔に複数個形成することにより、プラグの傾斜を防止するものであるが、出口開口に対面する流通孔から流体が優先的に流出するためにプラグの傾斜を完全に防止することができず、改善の余地を残すものであった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、プラグが傾斜することを防止できる複座弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の複座弁は、一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座と、該軸上を移動して該第1及び第2弁座を同時に開閉する一対の第1及び第2プラグを有し、第1及び第2弁座の間の出口側空間と出口とを出口に向けて一方向のみに開口した出口開口を通して連通し、第1及び第2弁座の間の出口側空間と出口開口とを隔てる隔壁筒を設け、隔壁筒に総開口面積が第1及び第2弁座の開口面積と同等となる連通孔を複数個形成したものにおいて、出口開口と直角方向の両側のみに連通孔を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、隔壁筒に形成する複数個の連通孔を出口開口と直角方向の両側のみに形成したことにより、第1及び第2弁座の間から出口へ向かう流体が隔壁筒内でプラグに均等に作用しながら連通孔を通して出口開口から出口へ流下し、プラグが傾斜することを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる複座弁を適用したレバーフロート式ドレントラップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。レバーフロート式ドレントラップは、入口1と出口2を有する本体3に蓋体4をボルト5で締結して内部に弁室6を有するケーシングを構成する。弁室6と出口2を連通する弁座部材7を弁室6の下部の本体3に図示しないねじにより取り付ける。弁座部材7は一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座8,9と、第1及び第2弁座8,9の間の出口側空間10を出口2に連通するために出口2に向けて一方向のみに開口した出口開口11とを有する。入口1は弁室6の下部に開口し、出口2は出口開口11と第1及び第2弁座8,9を通して弁室6の下部に開口する。
【0010】
弁室6内の弁座部材7に揺動軸12を支持し、揺動軸12にレバー13の右側部を回転可能に連結する。レバー13の左端部に弁室6内の液位に応じて浮上降下する中空球形のフロート14を連結する。レバー13の右端部に揺動軸12と平行な連結軸15を支持し、連結軸15に連結棒16の上部を回転可能に連結する。連結棒16の下部はプラグ部材17の弁棒18の上端部に支持された揺動軸10と平行な弁軸19に回転可能に連結する。
【0011】
プラグ部材17は第1弁座8を下方の出口側空間10側から開閉する第1プラグ20と、第2弁座9を下方の弁室6側から開閉する第2プラグ21と、第1プラグ20と第2プラグ21を連結する弁棒18とから構成する。一対の第1及び第2プラグ20,21は第1及び第2弁座8,9の軸上を移動して第1及び第2弁座8,9を同時に開閉する。第1及び第2弁座8,9の間の出口側空間10と出口開口11とを隔てる隔壁筒22を設け、隔壁筒22の上部に総開口面積が第1弁座8の開口面積と同等となる連通孔23を出口開口11と直角方向の両側に紙面では手前側と向こう側に形成し、隔壁筒22の下部に総開口面積が第2弁座9の開口面積と同等となる連通孔24を出口開口11と直角方向の両側に紙面では手前側と向こう側に形成する。
【0012】
上記のレバーフロート式ドレントラップの動作は次の通りである。弁室6内の液位が低い場合は、図1に示すようにフロート14は降下し、第1及び第2プラグ20,21が第1及び第2弁座8,9を閉じている。入口1から流入するドレンによって弁室6内の液位が上昇すると、フロート14が上動してレバー13が揺動軸12を中心に時計回り方向に回転する。このレバー13の回転により、連結棒16を介してプラグ部材17が下動して第1及び第2プラグ20,21が第1及び第2弁座8,9を開く。これにより、弁室6のドレンを第1及び第2弁座8,9から出口側空間10、連通孔23,24、出口開口11を通して出口2へ排出する。第1及び第2弁座8,9の間から出口2へ向かう流体は隔壁筒22内で第1プラグ20に均等に作用しながら連通孔23,24を通して出口開口11から出口2へ流下するので、第1プラグ20が傾斜することを防止できる。
【0013】
ドレンの排出により弁室6内の液位が低下すると、フロート14が下動してレバー13が揺動軸12を中心に反時計回り方向に回転する。このレバー13の回転により、連結棒16を介してプラグ部材17上動して第1及び第2プラグ20,21が第1及び第2弁座8,9を閉じる。これにより、気体の漏出を防止する。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座を該軸上を移動する一対の第1及び第2プラグによって開閉する複座弁を適用したあらゆる種類の流体制御機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 入口
2 出口
3 本体
4 蓋体
6 弁室
7 弁座部材
8 第1弁座
9 第2弁座
10 出口側空間
11 出口開口
12 揺動軸
13 レバー
14 フロート
17 プラグ部材
20 第1プラグ
21 第2プラグ
22 隔壁筒
23 連通孔
24 連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座と、該軸上を移動して該第1及び第2弁座を同時に開閉する一対の第1及び第2プラグを有し、第1及び第2弁座の間の出口側空間と出口とを出口に向けて一方向のみに開口した出口開口を通して連通し、第1及び第2弁座の間の出口側空間と出口開口とを隔てる隔壁筒を設け、隔壁筒に総開口面積が第1及び第2弁座の開口面積と同等となる連通孔を複数個形成したものにおいて、出口開口と直角方向の両側のみに連通孔を形成したことを特徴とする複座弁。

【図1】
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【公開番号】特開2012−149663(P2012−149663A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6863(P2011−6863)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】