説明

複数の波長特定デバイスのインタロゲーション

複数の波長特定デバイスをインタロゲートするための装置は、低コヒーレンス時間的インターフェログラムを提供する干渉計を照射するための広帯域光源を有する。例えば互いに直列に接続された複数のファイバブラッググレーティングなどの、複数の波長特定デバイスの少なくとも1つのアレイはインターフェログラムを受信し、その結果、各デバイスは、広帯域光源の帯域幅と比較して制限された範囲の波長帯域幅と相互作用できる。それら自身の特徴波長において広帯域光源とそれぞれが相互作用した複数のデバイスのアレイの出力を有する干渉計を照射する代わりに、従って、広帯域光源からの出力を変調して低コヒーレンスインターフェログラムを生成するために、干渉計が使用される。次に、複数のデバイスのアレイは、この低コヒーレンスインターフェログラムから、より高いコヒーレンスインターフェログラムを抽出し、もしくはフィルタリングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の波長特定デバイスのインタロゲーションに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の波長特定フィルタ/リフレクタ(反射器)/干渉計が、種々の電気通信/センシングアプリケーションにおいて報告されている。それらの複数のアプリケーションの一例は、デバイスによって経験された物理的な、化学的な、もしくは生物学的な複数の変化が、そのデバイスを通過して伝搬し/そのデバイスによって反射された視野(フィールド)の特性における変化として測定可能な応答を発生させる場合の計測学において存在する。
【0003】
光学分野では、ある特定のタイプの波長特定フィルタ/リフレクタはファイバブラッググレーティング(FBG)である。ファイバブラッググレーティングは、グレーティングのブラッグ波長における中心の狭帯域の複数の波長を反射する(ファイバの長さの範囲内の周期的な屈折率変調)。例えばブリッジなどの構造に組み込む場合、その構造からファイバに伝送された複数の歪みが、特徴反射波長における結果として生じるシフトが原因となって、そのグレーティングを伸縮させる。また、そのような複数のセンサは温度依存性があって、それ故に複数の温度変化をモニタリングするためにもまた使用される。
【0004】
複数のファイバブラッググレーティングが、電気通信における種々の容量において使用される。それらは、複数のノッチフィルタとして使用され、並びに多重/多重分離及びアッド/ドロップ多重のために使用される。これらのアプリケーションは一般的に、フィルタリングもしくは複数の波長特定チャンネルを追加するために、グレーティングとともに光サーキュレータを使用する。
【0005】
それらはまた、色分散の補償のために使用される。従来は、ある長さの分散補償ファイバが使用されていた。この長さのファイバは、実際の転送のために使用される単一モードファイバとは反対の分散係数を有するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この方法は、複数の非線形効果のためにファイバの中に入射される複数の光電力を制限することのみならず伝送損失を増加させる。複数のFBGを利用する分散補償は一般的に、チャープ型グレーティングを使用して波長特定の時間遅延を導入することによって達成される。
【0007】
複数のFBGをインタロゲートするか、もしくは特徴付ける場合、反射された波長において生じた複数の偏差には、正確な測定が必要とされる。理想的なインタロゲーションシステムには、典型的にはサブピコメータから数ピコメータの範囲の波長分解能の高分解能が必要とされ、特に複数のグレーティングは理想的には波長分割多重(WDM)に適しているので、複数の多重型グレーティングをインタロゲートする能力を持つべきである。
【0008】
低コヒーレンス干渉分光法(LCI)は、光ファイバ通信、計測学、セキュリティ、航空宇宙、ガス及び石油産業、土木工学及び地質工学並びに環境モニタリングを含む、広範囲の領域におけるキーテクノロジープラットフォームとして認められていた。
【0009】
典型的にフーリエ変換分光法(FTS)として実行される干渉分光法は、フルの波長範囲が捕捉されたインターフェログラムの範囲内で特徴付けられるので、複数の競合技術を超える基本的な利得を示す。この利得は、フェルゲット利得、もしくは多重利得として知られる。
【0010】
しかしながら、干渉法による手段を用いた従来のFTSの実施例は、インタロゲートされるべき光による干渉計の照射に依存し、従って、複数のアレイの同時のインタロゲーションには適さない。
【0011】
複数のスーパーコンティニューム広帯域光源の開発は、以前に報告されたよりもはるかに大きい波長範囲にわたった複数の波長特定デバイスのシリアル多重に対する可能性を解放する。例えばドリフト補償された波長シフト検出システム、周波数変調型レーザダイオード、二重干渉法によるキャビティシステム、光分光計によるインタロゲーション、整合センサと複数の受信機ペアとファイバフーリエ変換分光計とを用いたインタロゲーションなどの多数のインタロゲーション技術が実証されている。チューナブルレーザ、複数のチューナブルフィルタ、及び複数のダイオードアレイを含む、これらの及び他の確立された技術は、以下の1つもしくはそれ以上のものを処理するためのそれらの能力において制限される。
・複数の広波長範囲にわたるインタロゲーション
・アレイにおけるすべてのグレーティングの同時測定の提供
・複数のアレイにおけるすべてのグレーティングの同時測定の提供
【0012】
それらはまた、複数の不均一な測定視野の検出において潜在的に役立つことができる個々のデバイスの構造的な詳細の高分解能測定のそれらの提供において制限される。
【0013】
複数の波長からなるある異なった特徴帯域を反射し、伝送し、もしくはフィルタリングするように構成された各デバイスを用いて、ファイバの長さに沿って直列に接続された波長特定デバイスのアレイを設置することが知られている。そのようなアレイが広帯域光源により照射されると、各デバイスは、異なる波長で反射し/伝送し/フィルタリングする。リターンされた光は干渉計の中に供給されることによって、時間的にスキャンされたインターフェログラムが生成され、次にそれは例えばフーリエ分析などを用いて分析されて各デバイスによってリターンされた波長が決定されてもよい。これによってアレイにおける各デバイスが同時にモニタリングされる。
【0014】
このアプローチに関連する問題は、アレイにおける複数のデバイスが重なる複数の波長帯域幅を持つことができない、ということである。従って、もしスペクトル帯域幅が各デバイスから反射されたと仮定すると、アレイ内に組み込まれた多数のデバイスに対して、信号分離の複数の考慮が最大限に課される。この制限を超えるために、各干渉計が複数のデバイスのそれぞれのアレイからの反射された信号を分析する、複数の干渉計が必要とされるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、複数の波長特定デバイスをインタロゲートするための装置を提供し、当該装置は、
広帯域光信号を提供するための広帯域光源と、
上記広帯域光信号を受信するための干渉計とを備え、
上記干渉計は、上記干渉計の出力において、低コヒーレンス時間的インターフェログラムを提供し、
上記出力から上記インターフェログラムを受信するために、互いに直列に接続された複数の波長特定デバイスの少なくとも1つのアレイとを備え、
上記各デバイスは、上記広帯域光源の帯域幅と比較して制限された範囲の波長帯域幅と相互作用し、
上記装置は、
上記アレイとの相互作用に続き、上記複数の波長特定デバイスの少なくとも1つのアレイから光を受信するための検出器と、
上記少なくとも1つのアレイにおける上記複数のデバイスとの上記相互作用と関連する信号特性を、上記受信された光から決定するように適合化されたスペクトル分析器とを備える。
【0016】
それら自身の特徴波長において、広帯域光源とそれぞれ相互作用した複数のデバイスのアレイの出力を有する干渉計を照射する代わりに、従って、広帯域光源からの出力を変調して低コヒーレンスインターフェログラムを生成するために、干渉計が使用される。次に、複数のデバイスのアレイは、この低コヒーレンスインターフェログラムから、より高いコヒーレンスインターフェログラムを抽出し、もしくはフィルタリングし、ここで、複数の干渉縞は、デバイスによってリターンされた光の波長に依存する。
【0017】
ここで使用された用語「広帯域光源」は、20nmもしくはそれ以上、またはより好ましくは40nmもしくはそれ以上、または最も好ましくは80nmもしくはそれ以上の波長条件での帯域幅を有する光源を示す。典型的には、(典型的な帯域幅が約100nmであってもよい)複数の赤外線光源に対する帯域幅は、約30nmから60nmの帯域幅を有してもよい複数の可視光源に対する帯域幅よりも大きいであろう。すべてのケースにおいて、その帯域幅は狭帯域レーザよりも非常に大きい。従って、「低コヒーレンスインターフェログラム」という用語は、すなわち、少なくとも20nmの広帯域光源の帯域幅を通して干渉計をスキャンすることから結果として生じるインターフェログラムと解釈されるべきである。
【0018】
現在、利用できる複数の検出器技術は、複数の広波長範囲にわたって積分し、広帯域光源を用いて照射された場合は時間的スキャン型干渉計の出力において観察された複数の低コヒーレンスインターフェログラムを結果として生じさせる。例えばファイバブラッググレーティングなどの、複数の光学フィルタ/リフレクタは、そのような複数の広波長範囲にわたって積分せず、それ故に、それら自身の離散的な波長帯域幅のために、振動成分をフィルタリングし、検出器に対してこの離散的な成分を伝送し/反射することを可能とする。従って、検出器は、それぞれがアレイ内の複数のデバイスの個々の1つから結果として生じる、複数の高コヒーレンスインターフェログラムの重畳を、分析のために受信する。
【0019】
好ましくは、上記複数の波長特定デバイスの複数のアレイが提供され、各アレイは並列に上記出力からインターフェログラムを受信し、各アレイからの光が異なる検出器に対して導かれるように複数の検出器が提供される。
【0020】
一実施態様において、複数のデバイスは、直列に接続された複数の波長特定リフレクタであって、ここで、各リフレクタは、複数の狭帯域波長を反射する一方で、この帯域の外側の複数の波長を通過させる。
【0021】
他の一実施態様において、複数のデバイスは、直列に接続された複数の波長特定フィルタであって、ここで、各フィルタは、第1のセットの複数の波長を遮断してフィルタリングする(除去する)一方で、このセットの外側の複数の波長を通過させる。その信号は、(例えば、一連のデバイスから検出器までのファイバの拡張によるなどの)異なるルートによって、検出器にループバックされてもよい。
【0022】
デバイス出力を用いた干渉計の典型的な照射よりむしろ、干渉計出力を用いた複数のデバイスを照射することによって、フーリエ変換分光法、及び/もしくは関連するヒルベルト変換による分光技術を用いて、単一アレイのインタロゲーションに関する制限が取り除かれる。もし照射されたならば、このことが複数のアレイにおけるすべてのデバイスの同時のインタロゲーションを可能とする。複数の同一波長を反射し、もしくはフィルタリングする複数のデバイスが個々のアレイ(もしくは複数の長さのファイバ)内に簡単に設置されることにより分離されるので、複数のデバイスが複数の固有波長で反射/フィルタリングするための要件もまた取り除かれる。複数のアレイの波長範囲に対する唯一の制限は、(〜1800nmの帯域幅が、複数のスーパーコンティニューム光源を用いて利用可能である)干渉計を照射する広帯域光源の制限である。
【0023】
好ましくは、従って、上記複数のアレイのうちの少なくとも2つはそれぞれ、同一波長で光と相互作用する複数の波長特定デバイスを含む。
【0024】
好ましい実施態様において、複数のアレイは一連の結合器によって上記干渉計出力に接続され、各結合器は、受信されたインターフェログラムの第1の比率を、上記複数のアレイの関連する1つに対して伝送し、受信されたインターフェログラムの第2の比率を、後に続く上記結合器の1つに対して伝送する。
【0025】
複数の結合器は好ましくは、複数の方向性結合器であるが、必要に応じて、複数のビームスプリッタが使用される。
【0026】
この方法において、低コヒーレンスインターフェログラムは各方向性結合器(DC)によって連続的に分割され、その結果、ある比率の電力が、その結合器に結合されたアレイを照射し、その残りは装置における次のDCに通過される。
【0027】
好ましくは、複数のアイソレータが、干渉計及び前段のアレイの検出システムの方向に、複数のアレイからの複数の信号の逆方向の伝搬を回避するために提供される。
【0028】
好ましい実施態様において、第1の比率は、方向性結合器における、受信された電力の1%から20%を表し、第2の比率は、方向性結合器における、受信された電力の80%から99%を表す。
【0029】
より好ましくは、第1の比率は2%から10%(第2の比率は90%から98%)であって、さらにより好ましくは、第1の比率は3%から8%(第2の比率は92%から97%)であって、最も好ましくは、第1の比率は約5%(第2の比率は約95%)である。留意すべきことは、第1の比率及び第2の比率は、任意の挿入損失もしくはDC自身からの複数の逆方向反射を除外するように計算され、その結果、各ケースにおける第1及び第2の比率の合計は使用可能な電力を表し、それ故にトータルが100%である。
【0030】
好ましくは、参照デバイスが、上記インターフェログラムを受信して相互作用するために提供され、上記参照デバイスは、インターフェログラムが参照デバイスの応答を参照することによって校正されてもよいように検出器に接続される。
【0031】
例えば参照ブラッググレーティングなどの参照デバイスは、2つの目的を果たす。第1の目的は、ファイバストレッチャの一定でないスキャン速度が補正されてもよい固定の周波数参照を提供することによる、干渉計における遅延の校正に対するものである。一定でないスキャン速度が結果として不均一な遅延サンプリングを生じさせるので(理想的にはすべてのビームは、遅延スキャンにおける同一のポイントでサンプリングされる必要があって、そうでなければ広がり効果が複数のコリレーションピークの中に導入される。)、これが利点となる。もしこれが校正されなければ、接近して間隔が空けられた複数のセンサが原因となる複数のスペクトルピークは容易に区別することができない。その補正が、ソフトウェアにおいて完全に実行され、複数のゼロ交差検出回路もしくはスキャン速度の位相ロックループ制御に対する要件を取り除く。
【0032】
第2の機能は、複数のセンサグレーティングの変化する複数の波長を決定するために、それを用いて固定の波長参照を提供することである。もしこれが提供されなければ、後に続く複数のスキャン速度は、同一周波数の複数の干渉縞を有するために、(達成することが困難である)同一でなければならないであろうし、そうでなければ複数のスペクトルは、各スキャンを用いて位置を移動するであろうし、これが温度もしくは歪みの変化として理解されるであろう。
【0033】
好ましくは、上記スペクトル分析器は、検出された信号に対する数学的な分析を実行するようにプログラムされたプロセッサを備える。
【0034】
上記数学的な分析は好ましくは、フーリエ変換である。
【0035】
フーリエ変換(もしくは、例えば高速フーリエ変換などの任意の複数の変形)は、時間的に変化する信号を取って、それを周波数領域に変換し、その結果、合成の反射された信号は、それぞれが複数のリフレクタの異なる1つに起因すると考えられる、異なる複数の周波数における複数の信号の合計として表される。
【0036】
好ましくは、複数のアレイが使用される場合、各アレイの信号は、信号分析のために、異なるチャンネルを介して通過される。これを実行する1つの方法は、複数のチャンネルを用いたデータ捕捉カードを利用することである。
【0037】
好ましくは、上記スペクトル分析器は、検出された信号に対してヒルベルト変換を実行して干渉計の時間的なスキャニングと関連するスペクトルコンテンツに対して校正するようにプログラムされた同一のプロセッサ、もしくは異なるプロセッサを備える。
【0038】
ヒルベルト変換技術は干渉計における遅延を校正し、機械的な解釈の一定でないスキャン速度によるフーリエ変換において導入された無用のスペクトルコンテンツを除去する。ヒルベルト変換を介して得られた時間的な位相速度はまた、高速のスキャニングが必要とされる場合、反射された/伝送された平均波長の高分解能測定を提供することができる。もし高速のスキャニングが問題なければ、複数の長いスキャンが行われる場合、フーリエ変換分光法がデバイス内のスペクトル詳細を提供するために使用される。ヒルベルト変換による処理技術は、すべての処理がソフトウェアにおいて完全に実行されるので、高機能の遅延追跡電子機器に対する要件を取り除く。
【0039】
既存の干渉フーリエ変換による分光法分析は、高分解能測定を提供するために、複数の長いスキャンを必要とする。最小分解能の波長変化δλとスキャンの長さτΔとの関係式は、次式により与えられる。
【0040】
【数1】

【0041】
ここで、nは空気の群指数で、λは光の波長で、cは真空中の光の速度である。従って、300ミリのスキャンは、(1550nmの光を用いて)おおよそ10pmの分解能を与え、10με(10マイクロストレイン)の歪み変化、もしくは摂氏〜1度の温度変化が決定される。しかしながら、(このユニットが使用する)ヒルベルト変換処理を用いて、〜5pmの分解能が、〜1ミリのスキャンから得られる。
【0042】
ヒルベルト変換による処理技術の使用がまた、(一定でないスキャニング速度を原因とする)干渉遅延の不均一なサンプリングを補償するための複数の遅延追跡回路に対する要件を取り除き、それは複数のコリレーションピークを広げる効果を有する。
【0043】
好ましい一実施態様において、複数の波長特定デバイスは複数のファイバブラッググレーティングである。
【0044】
好ましくは、アレイ内の各デバイスは、異なる範囲の複数の波長における光に応答する。
【0045】
また、複数の波長特定デバイスをインタロゲートする方法が提供され、当該方法は、
広帯域光源を用いて照射された干渉計から低コヒーレンス時間的インターフェログラムを発生するステップと、
上記インターフェログラムを、互いに直列に接続された複数の波長特定デバイスの少なくとも1つのアレイの入力に対して提供するステップと含み、
各デバイスは、広帯域光源の帯域幅と比較して制限された任意の波長帯域幅と相互作用し、
当該方法は、
アレイとの相互作用の後に続き、上記複数の波長特定デバイスの少なくとも1つのアレイから光を受信するステップと、
上記受信された光から、上記少なくとも1つのアレイ内の複数のデバイスとの上記相互作用と関連する信号特性を決定するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】複数の波長特定デバイスをインタロゲートするための第1の装置の概略図である。
【図2】複数の波長特定デバイスをインタロゲートするための第2の装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1において、第1のファイバアーム16と第2のファイバアーム18により接続された一対の方向性結合器12、14を有するファイバマッハツェンダ干渉計10が図示される。第1のファイバアーム16において、干渉計10の出力における方向性結合器14で観察された干渉パタンを変化させるために、ピエゾ電気ファイバストレッチャ20がアーム16の長さを変化させることができる。
【0048】
この場合のように、好ましくはスーパーコンティニューム光源である広帯域光源22は、広帯域の光信号を、方向性結合器12における干渉計10の入力に対して提供する。干渉計は、図示されたタイプのものが必要とされるわけでなく、ファイバであろうとバルク光であろうと、出力において低コヒーレンス時間的インターフェログラムを生成することができる任意の時間的スキャン型干渉法の構成の形態をとることができる。
【0049】
干渉計10の出力において、再合成された光はインターフェログラムを形成し、ここで、発振周波数は、光の波長に比例し、通常は複数の周波数の範囲にわたって積分する検出器によって、低コヒーレンスインターフェログラムとして理解されるであろう。
【0050】
次に、このインターフェログラムは、逆方向の伝搬を回避するためのアイソレータ26を介して、次に方向性結合器24を介して、(それの機能が上述された)熱的に安定化されたブラッググレーティング参照28に導かれ、光信号から電気信号に変換するためのそれぞれのフォトダイオードで受信された信号は、方向性結合器24を介して、出力ファイバ30にリターンされる。各フォトダイオード出力は、マルチチャンネルデータ捕捉ボード32のそれぞれのポートもしくはチャンネルに供給される。必要に応じて、光から電気へのシンプルな変換とともに増幅が提供されてもよい。
【0051】
方向性結合器24は、受信された入力信号電力の5%がグレーティング参照28に導かれる一方で、残りの95%がアイソレータ36を介してカスケード接続された一連の方向性結合器34に導かれることを意味する、5/95の結合器である。
【0052】
各カスケード接続された方向性結合器34は、干渉計及び前段のアレイの検出チャンネルの方向に対する複数の逆方向反射を回避するために、その入力において関連するアイソレータ36を有する。この例示的な実施形態において、それぞれが5/95の結合器であって、その入力電力の5%が第1のアーム38に導かれ、その入力電力の95%がカスケード接続された一連における次のアイソレータに導かれる。スプリッタは、アームの長さ、電源などによって、各方向において異なるパーセンテージの電力を導くために選択されてもよい。この方法において、干渉計10によって生成される低コヒーレンスインターフェログラムは連続的に分割されて、各アーム38を複数のデバイス42の各アレイ40に単独で導かれる。
【0053】
単一のアレイ40内の各デバイス42は、波長特定リフレクタ/フィルタ/送信機であって、特に、異なる波長(もしくは複数の波長の帯域)で動作するファイバブラッググレーティングである。従って、各デバイスが狭帯域の複数の波長をファイバアーム38の方向に逆方向に反射して、ファイバ38からアレイ40の中に導かれた広帯域の光信号は、一連の反射を経験するであろう。もし複数のデバイスが特徴反射波長において複数の偏差を生じさせる異なる物理的環境の中に位置するならば、その場合はリターンされたスペクトルの複数の波長の測定によって、各デバイスの特徴動作波長が測定される。
【0054】
アレイからの複数の反射は、反射された信号の5%をそれぞれの出力ファイバ44に沿って個々のフォトダイオードに導き、次にデータ捕捉ボード32のチャンネルに導く方向性結合器34に対してファイバアーム38に沿って移動して戻る。
【0055】
各アレイが複数の固有波長で動作する複数のデバイスから構成されるべきである一方で、各アレイは他の複数のアレイと同一であってもよく、もしくは動作する複数の波長を他の複数のアレイと共有してもよい。従って、各動作波長において単一のデバイスだけを有することに関する制限は取り除かれる。その理由は、インターフェログラムがすべてのアレイの中に同時に供給され、各アレイは、それ自身の複数のデバイスの特性に基づき、それ自身の反射信号をリターンさせるからである。
【0056】
(例えば、ナショナルインスツルメンツの、500kS/秒の能力があるPCI−MIO−16E−4、もしくは200kS/秒の能力があるPCI−6023Eなどの)データ捕捉ボード32は、各入力チャンネルをサンプリングしてデジタル化し、その結果生じたデジタル信号をPC46に提供する。PC46は、各チャンネルの信号に対するフーリエ分析を実行してアレイにおける各デバイスに関連する波長もしくは周波数を決定する信号分析ソフトウェアを動作させる。
【0057】
また、ヒルベルト分析は、好ましくは以下のステップが順番に実行されてもよい。
1.例えばハミングウィンドウなどのウィンドウイング機能のアプリケーション
2.フーリエ変換
3.DC及び負の周波数の除去
4.高速逆フーリエ変換
5.補間法を用いた遅延の再校正
6.フーリエ変換
7.周波数領域におけるセンサ信号分離
8.分析信号の検索
9.位相比較
【0058】
図2において、多くの点で図1の装置と類似し、類似の参照番号が類似の構成要素に対して用いられた、第2の装置が図示される。複数のシステムが同一である限りにおいて、上述の説明がまた、図2に適用するために解釈されてもよい。
【0059】
従って、そのシステムは、複数のファイバブラッググレーティング42の複数の同一のアレイ40を利用し、それぞれが、反射された複数の信号がそれぞれの出力ファイバ44に沿って、PC46に接続されたデータ捕捉ボード32のそれぞれのチャンネルに移動する、それぞれのファイバアーム38上に備えられた。
【0060】
図1とは違って、複数のアレイ40は、さらに以下に説明された、4つのアレイのトップグループ50と4つのアレイのボトムグループ52として図示された、2つのカスケード接続されたグループにおいて提供される。図2のシステムは、主として干渉計装置を照射するという観点において、図1のシステムと異なる。
【0061】
ファイバマッハツェンダ干渉計の代わりに、ファイバマイケルソン干渉計54が利用される。第1のファイバアーム58及び第2のファイバアーム60によって方向性結合器62に接続された一対のファラディー回転ミラー56を有する干渉計54が図示される。そのファラディー回転ミラー56は、複数の干渉計出力において偏光誘導フェージングを減少させる。
【0062】
第1のファイバアーム58において、干渉計54の出力における方向性結合器62の出力66、68で観察された干渉パタンを変化させるために、ピエゾ電気ファイバストレッチャ64は、アーム58の長さを変化させることができる。光サーキュレータ70は、この信号をファイバアーム74に導くことによって、マイケルソン干渉計における光源72の方向に通常導かれて戻される干渉パタンへのアクセスを提供する。
【0063】
広帯域光源72は、光サーキュレータ70を介して、広帯域光信号を方向性結合器62における干渉計54の出力に提供する。干渉計装置の出力68、74において、再合成された光はインターフェログラムを形成し、ここで、発振周波数は光の波長に比例し、通常、複数の周波数の範囲にわたって積分する検出器により低コヒーレンスインターフェログラムとして理解されるであろう。
【0064】
次に、出力74でのこのインターフェログラムはアイソレータ26を通して次に方向性結合器24を介して、(その機能が上述された)熱的に安定化されたブラッググレーティング参照28に導かれ、それぞれのフォトダイオードで受信された信号は方向性結合器24を介して出力ファイバ30にリターンされ、上述されたように、光信号から電気信号に変換される。
【0065】
再び、方向性結合器24は、受信された入力信号電力の5%がグレーティング参照28に導かれる一方で、残りの95%が第1のカスケード接続された一連の方向性結合器34にアイソレータを介して導かれる、ということを意味する5/95の結合器である。
【0066】
出力68におけるインターフェログラムは、その電力のすべてをアイソレータ37を介して第2のカスケード接続された一連の方向性結合器34に導かれる。それぞれの出力インターフェログラムを、2つの出力を介して、2つのカスケード接続された一連のデバイスアレイに提供することに加え、図2の装置は、ファラディー回転ミラーが偏光導入フェージングを減少させ、遅延が二重パスを用いて効果的に2倍されるので、その遅延からより高い分解能が達成される、という利点を有する。
【0067】
本発明は、ここで説明された1つもしくは複数の実施形態に限定されず、本発明の範囲から離れることなしに補正され、もしくは修正される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長特定デバイスをインタロゲートするために装置であって、当該装置は、
広帯域光信号を提供するための広帯域光源と、
上記広帯域光信号を受信するための干渉計とを備え、
上記干渉計の出力において、低コヒーレンス時間的インターフェログラムを提供し、
当該装置は、
上記出力から上記インターフェログラムを受信するために、互いに直列に接続された上記複数の波長特定デバイスの少なくとも1つのアレイを備え、
上記各デバイスは、広帯域光源の帯域幅と比較して制限された範囲の波長帯域幅と相互作用し、
当該装置は、
上記アレイとの相互作用に続き、上記複数の波長特定デバイスの少なくとも1つのアレイから光を受信するための検出器と、
上記受信された光から、上記少なくとも1つのアレイにおける上記複数のデバイスとの上記相互作用と関連する信号特性を決定するように適合化されたスペクトル分析器とを備えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
上記複数の波長特定デバイスの複数のアレイが備えられ、
上記各アレイは、パラレルに上記出力から上記インターフェログラムを受信し、
上記各アレイからの光が異なる検出器に対して導かれるように、複数の検出器が備えられたことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
上記複数のデバイスは、直列に接続された複数の波長特定リフレクタであって、上記各リフレクタは、狭帯域の複数の波長を反射する一方で、この帯域の外側の複数の波長を通過させることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
上記複数のデバイスは、直列に接続された複数の波長特定フィルタであって、上記各フィルタは、第1のセットの複数の波長を遮断してフィルタリングする一方で、このセットの外側の複数の波長を通過させることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項5】
上記複数のアレイの少なくとも2つはそれぞれ、同一波長における光と相互作用する波長特定デバイスを含むことを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
上記複数のアレイは一連の結合器によって上記干渉計出力に接続され、
上記各結合器は、上記複数のアレイの関連する1つに対して、上記受信されたインターフェログラムの第1の比率を伝送し、上記複数の結合器の後段の1つに対して、上記受信されたインターフェログラムの第2の比率を伝送することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
上記第1の比率は、上記方向性結合器において受信された電力の1%から20%までを表し、
上記第2の比率は、上記方向性結合器において受信された電力の80%から99%までを表すことを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
上記第1の比率は2%から10%であって、上記第2の比率は90%から98%であって、より好ましくは、
上記第1の比率は3%から8%であって、上記第2の比率は92%から97%であって、最も好ましくは、
上記第1の比率は約5%であって、上記第2の比率は約95%であることを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項9】
上記複数のアレイからの複数の信号の、上記干渉計及び前段のアレイの検出システムの方向への逆方向の伝搬を回避するために、複数のアイソレータが備えられたことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
上記インターフェログラムを受信し、上記インターフェログラムと相互作用するために、参照デバイスが備えられ、
上記参照デバイスは、上記インターフェログラムが上記参照デバイスの応答を参照することによって校正されてもよいように、検出器に接続されることを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
上記スペクトル分析器は、上記検出された信号に対する数学的分析を実行するようにプログラムされたプロセッサを備えたことを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
上記複数の波長特定デバイスの複数のアレイが備えられ、
上記各アレイからの信号が異なるチャンネルを介して信号分析のための上記スペクトル分析器に通過されることを特徴とする請求項1から請求項11のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項13】
上記スペクトル分析器は、上記検出された信号に対してヒルベルト変換を実行して上記干渉計の時間的スキャニングと関連するスペクトルコンテンツを校正するようにプログラムされた同一のもしくは異なるプロセッサを備えたことを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項14】
アレイの範囲内の各デバイスは、異なる範囲の複数の波長における光に応答することを特徴とする請求項1から請求項13のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
複数の波長特定デバイスをインタロゲートするための方法であって、当該方法は、
広帯域光源を用いて照射された干渉計から、低コヒーレンス時間的インターフェログラムを発生するステップと、
上記インターフェログラムを、互いに直列に接続された上記複数の波長特定デバイスの少なくとも1つのアレイの入力に対して提供するステップとを含み、
上記各デバイスは、上記広帯域光源の帯域幅と比較して制限された範囲の波長帯域幅と相互作用し、
当該方法は、
上記アレイとの相互作用に続き、上記複数の波長特定デバイスの少なくとも1つのアレイから光を受信するステップと、
上記受信された光から、上記少なくとも1つのアレイにおける上記複数のデバイスとの上記相互作用と関連する信号特性を決定するステップとを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−515254(P2013−515254A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545309(P2012−545309)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070436
【国際公開番号】WO2011/080166
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512091121)ウォーターフォード・インスティテュート・オブ・テクノロジー (3)
【氏名又は名称原語表記】WATERFORD INSTITUTE OF TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】