複数処理チャンバセットおよびその使用
【課題】連続フロー遠心器のための複数サンプル処理装置を提供する。
【解決手段】固定された配置で軸方向に整列した複数の処理チャンバおよび圧出チャンバを備え、各チャンバは軸開口部を有し、そして複数の中心ハブがこれらの軸開口部内に配置されており、これらの中心ハブは、これらのチャンバと流体供給源との間を接続し、そしてこれらの間の流体連絡のための通路を規定するよう配置されている。連続フロー遠心分離のための複数サンプル処理装置は、固定された配置で軸方向に整列した複数の処理チャンバおよび圧出チャンバであって、各チャンバは軸開口部を備える、処理チャンバおよび圧出チャンバ;ならびに複数の中心ハブであって、各ハブは、それぞれの処理チャンバまたはそれぞれの圧出チャンバの軸開口部内に配置されており、中心ハブは、該チャンバと流体供給源との間の流体連絡のための通路を規定するよう構築および配置されている中心ハブを備える。
【選択図】図6
【解決手段】固定された配置で軸方向に整列した複数の処理チャンバおよび圧出チャンバを備え、各チャンバは軸開口部を有し、そして複数の中心ハブがこれらの軸開口部内に配置されており、これらの中心ハブは、これらのチャンバと流体供給源との間を接続し、そしてこれらの間の流体連絡のための通路を規定するよう配置されている。連続フロー遠心分離のための複数サンプル処理装置は、固定された配置で軸方向に整列した複数の処理チャンバおよび圧出チャンバであって、各チャンバは軸開口部を備える、処理チャンバおよび圧出チャンバ;ならびに複数の中心ハブであって、各ハブは、それぞれの処理チャンバまたはそれぞれの圧出チャンバの軸開口部内に配置されており、中心ハブは、該チャンバと流体供給源との間の流体連絡のための通路を規定するよう構築および配置されている中心ハブを備える。
【選択図】図6
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、処理デバイス内の生物細胞の複数のサンプルを独立して、そして/または同時に処理するための、処理チャンバセットに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
一定容量の遠心器で生物細胞を処理するための、可撓性の処理チャンバ(バッグ)、およびこのような処理バッグを、例えば、遠心器によって使用する方法は、公知である。例えば、PCT特許出願PCT/US98/10406は、可撓性の細胞処理チャンバを記載し、これは、このチャンバの内容物を、処理の間無菌に維持するための、回転シールを有する。可撓性の処理チャンバは、有利には、使い捨てであり、従って、単回使用の無菌適用に適切である。
【0003】
特定の適用(例えば、血液成分の分離、血液型の酵素的転換、および血液成分の病原体の不活化を包含する血液処理)について、複数のユニットを、単一の器具において、同じ条件下で同時に処理することが望ましい。複数のユニットの同時処理は、このような適用を実施するための時間および費用を減少させる。既存の可撓性処理チャンバは、複数のサンプルの、独立した同時の処理を実施する能力を提供しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数処理チャンバセットを構築する際の困難の1つは、複数のチャンバの内容物の圧出である。任意の処理プロトコルにおいて、そのプロトコルのいくつかの工程の間に、処理溶液およびチャンバを追加および除去することが、必要であり得る。従って、複数のチャンバの内容物を、通常は遠心分離後の上清を、これらの複数チャンバの完全性およびこれらの容器に含まれる内容物の無菌を維持する様式で、効率的に除去し得ることが必要である。従って、処理された細胞の滅菌を維持し、そして複数のチャンバからの同時および/または独立の細胞サンプルおよび処理溶液の効率的な添加および除去を提供する、遠心デバイスにおける生物細胞の処理のための、複数処理チャンバセットに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、遠心デバイスにおける生物細胞の処理のための複数処理チャンバセットを提供し、このセットは、処理バッグおよび圧出バッグを備える。本発明はまた、遠心デバイスにおける生物細胞の処理のための、このような複数処理チャンバセットの使用のための方法を提供し、この方法は、複数のチャンバでの、内容物の、独立および/または同時の添加または圧出を包含する。
【0006】
本発明の第一の局面によれば、連続フロー遠心器のための複数サンプル処理装置が提供される。この装置は、軸方向に整列した複数の処理チャンバおよび圧出チャンバを備え、各チャンバは、軸開口部を備える。好ましくは、これらのチャンバは、固定された配置で接続される。この装置はまた、これらの軸開口部に配置される複数の中心ハブを有し、これらの中心ハブは、これらのチャンバと流体供給源との間の流体連絡のための通路を規定するように、構築および配置されている。好ましい実施形態において、これらの処理チャンバおよび圧出チャンバは、可撓性かつ膨張可能であるように構築および配置されており、好ましくは、これらのチャンバは、圧出チャンバが圧出流体で満たされる場合に、これらのチャンバの周囲部分において、互いに解放可能に接触するように、構築および配置されている。これらの処理バッグおよび圧出バッグは、交互に配置され得る。
【0007】
本発明の第二の局面によれば、連続フロー遠心器のための複数サンプル処理装置は、軸方向に整列した複数の処理チャンバを備え、この処理チャンバは、圧出チャンバが内部に組み込まれている。各チャンバはまた、軸開口部を備える。好ましくは、これらのチャンバは、圧出チャンバと固定された配置で接続され、そして圧出チャンバは、好ましくは、処理チャンバと同一の形状であるが、処理チャンバの内部にフィットするように、わずかに小さい。この装置はまた、軸開口部内に配置された、複数の中心ハブを備え、これらの中心ハブは、これらのチャンバと流体供給源との間の流体連絡のための通路を規定するように、構築および配置されている。好ましい実施形態において、処理チャンバおよび圧出チャンバは、可撓性かつ拡張可能に構築および配置される。
【0008】
第一の局面および他の関連する実施形態において、中心ハブは、2つの隣接する処理チャンバを有する装置の構築を防止するように、構築および配置されている。これらの処理チャンバの中心ハブは、非補完的な面(例えば、非補完的な雄型および雌型のコネクタ形状)を有する、ほぼディスク様の形状を有し得る。好ましくは、圧出バッグの中心ハブもまた、類似の様式で、2つの隣接する圧出チャンバを有する装置の構築を防止するように、構築および配置されている。最も好ましくは、これらの装置は、2つのセットのチャネルハブを使用し、処理チャンバの中心ハブの片面の形状は、圧出チャンバの中心ハブの片面のみと、形状が補完的であり、そして処理チャンバの中心ハブの他方(第二)の面の形状は、圧出チャンバの中心ハブの他方(第二)の面のみと、形状が補完的である。
【0009】
他の好ましい実施形態において、中心ハブは、流体連絡のための複数の通路(好ましくは、その装置におけるチャンバの数と少なくとも等しい数の通路)を規定するように、構築および配置されている。従って、中心ハブは、一緒に接続される場合、連続的な独特の流体通路を、各チャンバと1つ以上の外部流体供給源との間に提供する。
【0010】
この装置はまた、好ましくは、中心ハブ上に配置される複数の溶接環を備え、これらの溶接環は、交互に配置された処理チャンバおよび外部チャンバの取り付けを可能にするように、構築および配置されている。
【0011】
本発明の特定の実施形態において、処理チャンバおよび圧出チャンバは、実質的に同じ形状であり、好ましくは、実質的に円の形状であり、そして最も好ましくは、実質的に同じ直径を有する。いくつかの実施形態において、処理チャンバおよび圧出チャンバは、2枚の可撓性材料から構築され、これら2枚の材料は、外周および内周においてシールされているが、他の構築もまた可能であり、そして許される。好ましくは、内周は、軸開口部に実質的に隣接する。
【0012】
他の実施形態における装置はまた、末端中心ハブを備え、これは、軸方向に配置された交互の複数の処理チャンバおよび圧出チャンバの末端に配置される。好ましくは、末端中心ハブは、中心ハブの流体通路を通る流体フローを終結させるように、構築および配置されている。
【0013】
さらなる実施形態において、流体入口ハブが、軸方向に配置された交互の複数の処理チャンバおよび圧出チャンバの流体入口ポートに配置され、そして軸方向に配置された交互の複数の処理チャンバおよび圧出チャンバと、連続フロー遠心器の外部の流体通路との間の流体連絡のための、界面として働く。好ましくは、この流体通路は、多管腔管である。
【0014】
本発明の別の局面によれば、改善された連続フロー遠心器が提供され、この改善は、遠心ボール内に固定された配置で配置された、軸方向に整列した交互の複数の処理チャンバおよび圧出チャンバを含む。特定の好ましい実施形態において、軸方向に整列した交互の複数のチャンバは、水平な回転軸を提供するように配置(dispose)または配置(arrange)される。他の好ましい実施形態において、軸方向に整列した交互の複数のチャンバの各々は、軸開口部を通して、少なくとも1つの流体供給容器と別個に流体連絡している。
【0015】
本発明のさらなる局面によれば、流体供給源と軸方向に整列した複数の遠心器チャンバとの間の流体連絡のための、流体コネクタが提供される。この流体コネクタは、多管腔ディスクを備え、このディスクは、軸方向に整列した複数の遠心器チャンバの軸開口部に配置され、流体供給源と流体連絡するよう構築されており、そして軸方向に整列した複数の遠心器チャンバの数以上の複数の管腔を備える。この流体コネクタは、好ましい実施形態において、少なくとも1つの管腔を備え、これは、軸方向に整列された複数のチャンバの各々と流体連絡するよう構築および配置されており、これによって、複数の独自の流体連絡通路を、軸方向に整列した複数のチャンバの各々と流体供給源との間に形成する。特定の実施形態において、このディスクの周囲は、実質的に円形である。他の実施形態において、この多管腔ディスクは、第一の実質的に非平面の表面を有し、これは、別の流体コネクタの非平面の第二の表面と、形状が補完的である。上記のように、自己補完的でない形状を有する2つの別個の流体コネクタが提供されることが、特に好ましい。
【0016】
本発明のなお別の局面によれば、複数のサンプルを、遠心器デバイスにおいて、独立におよび同時に処理するための方法が提供される。この方法は、複数のサンプルを、複数処理チャンバセットの複数の処理チャンバに添加する工程、この複数のサンプルを遠心分離する工程を包含する。この方法は、必要に応じて、複数の上清を圧出する工程であって、この上清が、複数のサンプルの遠心分離によって形成された、サンプルの第一の部分に相当する、工程を包含し、そしてまた、必要に応じて、複数のペレットを圧出する工程であって、このペレットが、複数のサンプルの遠心分離によって形成された、サンプルの第二の部分に相当する、工程を包含する。
【0017】
本発明のさらに別の局面によれば、複数のサンプルを、遠心器デバイスにおいて、独立して同時に処理するための方法が提供される。このデバイスは、連続フロー遠心器のための、複数サンプル処理装置を備え、この連続フロー遠心器は、固定された配置で軸方向に整列した複数の処理チャンバおよび圧出チャンバを備え、各チャンバは、軸開口部を備え、そして複数の中心ハブが、この軸開口部に配置されている。この中心ハブは、チャンバと流体供給源との間の流体連絡のための通路を規定するように、構築および配置されている。この方法は、複数のサンプルを、複数の処理チャンバに添加する工程、この複数のサンプルを遠心分離する工程、必要に応じて、複数の上清(複数のサンプルの遠心分離によって形成された、サンプルの第一の部分を含む)を圧出する工程、および複数のペレット(複数のサンプルの遠心分離によって形成された、サンプルの第二の部分を含む)を圧出する工程を包含する。これらの上清およびペレットは、圧出流体で圧出バッグを満たすことによって、圧出される。
【0018】
特定の実施形態において、この方法は、1つ以上の処理流体を、複数のサンプルまたはペレットに添加する工程を包含する。他の実施形態において、複数のサンプルの1つ以上の一部が、独立して、残りのサンプルから圧出される。さらなる実施形態において、処理流体が、残りのサンプルとは独立して、複数のサンプルの1つ以上に添加される。
【0019】
本発明のこれらおよび他の局面を、図面および以下の詳細な説明と関連付けて、記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、同時に独立して、複数の別個のサンプルを一度に、遠心細胞処理デバイスにおいて処理するための、複数処理チャンバセットを提供する。この複数処理チャンバセットは、サンプル(およびその処理された画分)、処理流体(酵素、塩、緩衝剤および他の処理化学物質を含む)、ならびに廃棄生成物の滅菌添加ならびに除去を、いかなる種の回転シールの必要もなく、可能にする。従って、この複数処理チャンバセットは、生物細胞の処理のための閉じた系の一部に相当し、そして直列または並列で処理され得る複数の分離閉容器を備える。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、複数処理チャンバセットは、連続的に交互になった処理可撓性チャンバおよび圧出可撓性チャンバ(本明細書中において「バッグ」ともまた称される)を備え、その結果、各処理バッグが、1つ以上の圧出バッグと接触する。1つの実施形態において、圧出バッグ(E)および処理バッグ(P)は、1:1の比で提供され、そして順序が交互である:
E−P−E−P−E−P−E−P−E。
【0022】
別の実施形態において、圧出バッグおよび処理バッグは、2:1の比で提供され、各処理バッグPをその独自の組の2つの圧出バッグで囲むように、配列される:
E−P−E−E−P−E−E−P−E−E−P−E。
【0023】
上記例の各々において、4つの処理バッグPが提供され得る。本発明の複数処理チャンバセットは、理論的に、2〜無限までの、任意の特定の数のバッグを有して、同じ数のサンプルを処理し得る。従って、例えば、本発明の複数処理チャンバセットの、血液処理への適用に関して、バッグの数は、通常、処理されるべきユニットまたは血液の数に対応する。このような場合、適切な数の処理バッグを有する複数処理チャンバセットが選択され得る。あるいは、1つ以上の処理バッグは、必要に応じて、満たされないままであり得るか、または処理されない溶液で満たされ得る(使用される複数処理チャンバセットが、処理されるサンプルの数より多数の処理バッグを備える場合)。
【0024】
複数処理チャンバセットにおけるバッグの最適な数および構成は、遠心デバイスの大きさおよび容量、使用される材料、または当業者に公知の他の因子によって制限され得る。好ましくは、本発明の複数処理チャンバセットは、4と16との間の処理バッグを有し、そしてより好ましくは、8と12との間の処理バッグを有し、適切な数の圧出バッグが、上記のように介在している。
【0025】
処理バッグおよび圧出バッグは、上述の交互の配列で、全てのバッグまたはチャンバが、中心に位置する回転軸に沿って、間隔を空ける配向で、配置され得る。従って、これらのチャンバは全て、軸方向に整列している(すなわち、積み重なっている)(図9の物品92を参照のこと)。この軸は、最大のバッグ表面積に注目し、そして最大のバッグまたはチャンバの表面に対して垂直な回転中心を見付けることによって、各バッグに規定される。好ましくは、これらのバッグは、形状が円形であるが、他の形状が使用され得る。
【0026】
各処理バッグまたは圧出バッグは、可撓性の区画、中心ハブおよび溶接環(可撓性区画を中心ハブに接続するためのもの)から構成される。図1および5に示されるように、圧出バッグおよび処理バッグに対して、それぞれ、バッグ10、50は、軸開口部11、51を有し、この軸開口部において、中心ハブが接合される。処理バッグの可撓性区画および中心ハブは、種々の処理条件(温度、pH、および塩濃度の変化;加速、減速および遠心力の付与;ならびに圧出バッグの膨張または拡張からの力の付与が挙げられるが、これらに限定されない)に耐え得るプラスチック材料で構築される。圧出バッグの可撓性区画は、圧出流体または気体での膨張に耐え得るプラスチック材料で構築される。好ましくは、処理バッグおよび圧出バッグの可撓性区画は、PVC材料を使用して構築される。好ましくは、中心ハブおよび溶接環は、剛性のプラスチック材料を使用して構築される。
【0027】
処理チャンバおよび圧出チャンバのための中心プラスチックハブは、複数の処理チャンバセットの適切な組立のために、交互の配列の1:1の比の処理バッグおよび圧出バッグが必ず維持されるように、顕著に異なり、そして噛み合う。図2に示される圧出バッグ中心ハブおよび図6に示される処理バッグ中心ハブの形状を比較のこと。これらのそれぞれの中心ハブの各々は、異なる雄型−雌型接続を有して、同じハブの接続を防止する。例えば、処理ハブの雄型コネクタ64を囲む外側環61は、別の処理中心ハブが嵌合することを防止するが、他のフランジ21とフィットして、圧出中心ハブ(中央の図)の片側と嵌合することを可能にする。適切に嵌合される場合、処理中心ハブおよび圧出中心ハブの適合した輪郭が整列する。例えば、全ての場合において、周囲の穴22、62および中心の穴23、63;ならびに以下のセットの表面のうちの1つ:表面24、64および25、65、または表面26、66および27、67。中心ハブの他の特徴は、圧出ハブおよび処理ハブの、互いに対する適切な回転配向を提供して、周囲の穴22、62の不整合を防止する。
【0028】
圧出バッグおよび処理バッグを2:1の比で有する、複数処理チャンバに対しては、異なる幾何学的形状が、中心プラスチックハブに対して提供され得、2つの圧出バッグを2つの処理バッグの間に挿入して接続する(すなわち、下線を引いた接続:P−E−E−P)。
【0029】
中心ハブの各々は、いくつかの独立した流体通路または経路(例えば、中心ハブの貫通孔22、62、および穴23、63)を備え、これらは、組立の間、引き続くハブにおける同じ経路に相互接続される。ハブの噛み合いの性質により、流体通路は、このアセンブリを通じて強制的に制限され、その結果、全ての流体経路が、互いに独立を維持する。具体的には、全ての圧出バッグまたはチャンバと(穴23、63を介して)連絡する単一の流体経路が、組み立てられたハブのセットの内側に形成される。さらに、各処理チャンバまたはバッグは、組み立てられたハブのセットを(穴22、62を介して)通る独特の独立した流体経路を有する。
【0030】
複数処理チャンバセット(バッグセット)は、適所に中心ハブを用いて一緒に組み立てられた、任意の数の処理バッグおよび付随する圧出バッグとして規定される。圧出バッグを組み立てる工程を、図3および4に示す。図3は、圧出バッグアセンブリの側面図であり、完全に組み立てられた圧出バッグアセンブリ32を形成するための、圧出バッグ/中心ハブアセンブリ31と接合する前(左の図)および接合後(右の図)の溶接環30を示す。図4は、圧出バッグアセンブリの一面の斜視図であり、完全に組み立てられた圧出バッグアセンブリ42を形成するための、溶接環40と接合する前(右の図)および接合後(左の図)の、圧出バッグ/中心ハブアセンブリ41を示す。同様に、プロセスバッグを組み立てる工程を、図7および8に示す。図7は、処理バッグアセンブリの側面図であり、完全に組み立てられた処理バッグアセンブリ72を形成するための、処理バッグ/中心ハブアセンブリ71と接合する前(左の図)および接合後(右の図)の溶接環70を示す。図8は、圧出バッグアセンブリの一面の斜視図であり、完全に組み立てられた処理バッグアセンブリ82を形成するための、溶接環80と接合する前(左の図)および接合後(右の図)の、処理バッグ/中心ハブアセンブリ81を示す。
【0031】
一旦、所望の数の処理バッグアセンブリおよび圧出バッグアセンブリを配置することによって、バッグセットが完全に組み立てられると、2つの特別な中心ハブが、このバッグセットの各端部に1つずつ取り付けられる。流体入口点から最も離れた中心ハブは、流体通路を終結させるよう働く。すなわち、これは末端ハブである。流体入口点に最も近い中心ハブは、バッグセットと、遠心器の外側の流体経路との間の界面として働く。すなわち、これは流体入口ハブである。完成したバッグセットアセンブリ90(すなわち、複数処理チャンバセット)を、図9に示す。流体入口ハブ91は、多管腔管93と組み立てられた処理/圧出バッグ92との間の界面を形成する。多管腔管は、好ましくは、存在する処理バッグおよび圧出バッグと少なくとも同程度の数の管腔を備える。
【0032】
なお別の実施形態において、複数のセットの圧出バッグおよび処理バッグの組み合わせは、処理バッグが圧出バッグより小さい大きさにされ、そして圧出バッグの内部に配置され、図10〜12に示す「バッグ内バッグ」のアセンブリを与えることを除いて、1:1の比で組み立てられる。
【0033】
これらの図に示すように、バッグ内バッグアセンブリ94は、外側圧出バッグ96、内側処理バッグ98、外側溶接環100、内側溶接環102およびハブ104を備える。中心軸において、導管106は、圧出流体が圧出バッグの内(および外)にポンピングされることを可能にし、その結果、ポート108は、上清または分離された成分が、導管110を通って処理バッグから流出することを可能にする。
【0034】
ハブは、複数のアセンブリが一緒に組み立てられ得るように設計される。具体的には、ハブの片側は、凹部112を備え、一方で他方の側は、導管106の突出部114を備える。従って、凹部112は、隣接するバッグ内バッグアセンブリの対応する突出部114を受容する。
【0035】
本発明は、複数のサンプルを遠心器デバイスにおいて、独立して同時に処理するための方法を、さらに包含する。具体的には、本発明は、細胞処理デバイスにおいて、規定されたプロトコルに従って、生物細胞の処理において使用する際の、複数処理チャンバセットの使用を提供する。この方法は、細胞の洗浄、血液成分の分離、血液成分の処理(赤血球の血液型(例えば、A型、B型またはAB型からO型の赤血球へ)の酵素的転換を含む)、生物学的流体または細胞の病原体の不活化などのために有用である。この方法は、規定された処理プロトコルを利用し、このプロトコルは、1つ以上のサンプルを、複数処理チャンバセットの処理バッグに添加する工程、必要に応じて、サンプルを遠心分離する工程、必要に応じて、遠心分離によって形成した上清を圧出する工程、1つ以上の処理化学物質または流体を添加する工程などを包含する。処理プロトコルは、当業者に公知であり、そして例示的な方法を以下に示す。
【0036】
サンプルを分離または処理する方法は、バッグセットの組立に引き続くいくつかの工程において、規定され得る。最初の工程は、バッグを連続的な固定容量遠心器に取り付ける工程を包含する。分離または処理されるべき流体(例えば、血液)が、排液、ポンピング、または他の様式で、処理チャンバまたはバッグに装填され、そして遠心分離を使用して、成分が分離される。上清流体または分離された成分の圧出のために、遠心器の速度が、圧出速度まで遅くされ、一方で成分の界面は維持される。この時点で、圧出流体(例えば、PCT特許出願PCT/US98/10406を参照のこと)を、好ましくは定量ポンプを介して、圧出バッグ内に送達する。圧出流体が圧出バッグを満たすにつれて、処理バッグが利用可能な遠心器構成要素の全体的な容量が、比例的に減少する。従って、固定された遠心器容量に起因して、圧出流体が圧出バッグを満たすにつれて、処理バッグの内容物が、空になるか、または圧出される。さらに、処理バッグの内容物は、遠心分離、および圧出流体が、処理チャンバ内の最も密度の高い成分より密度が高いという事実に起因して、好ましくは、最低密度から最高密度へと圧出される。
【0037】
圧出流体は、2つの流体成分を含有し得、これらは、一緒に混合されると、生物学的サンプルの最も重い成分より重い流体を生じる。例えば、生物学的流体が血液である場合、混合される2つの流体成分は、血液の赤血球成分(すなわち、最も重い成分)より重い流体を生じ、その結果、血液の全ての成分(例えば、赤血球、白血球、血小板)は、分離され、そして処理バッグから除去され得る。
【0038】
しかし、生物学的サンプルの特定の成分のみが分離される必要がある場合、圧出流体は、そのサンプルの最も重い成分より重い必要がなくあり得る。例えば、赤血球が、血液サンプルからの分離を必要とされる唯一の成分である場合、実質的に空気からなる圧出流体が使用され得る。
【0039】
従って、PCT特許出願PCT/US98/10406に開示されるように、遠心力下で、圧出流体は、圧出バッグを、最外の半径方向位置から内側に、最内半径位置へと満たす。最後に、圧出バッグが最外半径位置から内向きに充填するにつれて、処理バッグ内の減少した容量は、処理バッグの最内半径部分の流体を圧出させる。圧出に続いて、圧出流体は、所望であれば、圧出バッグから、圧出バッグ供給ラインへの減圧の適用によって除去され得、圧出流体の使用はまた、必要な場合(例えば、異なるプロトコルのため、または単一のプロトコルの異なる工程のため)、処理バッグの容量の調節を可能にする。当業者は、圧出流体として空気が使用される場合、これは、サンプルのより多くの成分を分離するために使用された、通常のより重い圧出流体よりずっと短い時間で除去され得ることを理解する。
【0040】
引き続くプロトコル工程は、上清が圧出された後に細胞を洗浄する工程を包含し得る。洗浄流体および/または処理流体などは、サンプルが導入されたと同様に処理バッグに導入され、そしてサンプルと共にインキュベートされる。処理バッグは、所望の場合、遠心器の駆動の方向を逆にすることによって、遠心器を断続的に運転することによって、などで、攪拌され得る。
【0041】
上述の特許、特許出願および参考文献の各々は、本明細書中に参考として援用される。
【0042】
本発明を、特定の実施形態に関して記載したが、多くの改変および変化が、当業者によって、本発明の意図から逸脱することなくなされ得ることが、理解されるべきである。このような改変、変化および均等物は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、軸開口部を有する圧出バッグを示す。
【図2】図2は、圧出中心ハブの3つの図を示す。
【図3】図3は、2つの溶接環を圧出バッグおよび中心ハブに接合することによる、圧出バッグの組み立てを示す。
【図4】図4は、1つの溶接環の、圧出バッグおよび中心ハブへの接合の斜視図を示す。
【図5】図5は、軸開口部を有する処理バッグを示す。
【図6】図6は、処理中央ハブの3つの図を示す。
【図7】図7は、2つの溶接環を処理バッグおよび中心ハブに接合することによる、処理バッグの組み立てを示す。
【図8】図8は、1つの溶接環の、処理バッグおよび中心ハブへの接合の、斜視図を示す。
【図9】図9は、6つの交互の圧出バッグおよび処理バッグ92、流体入口ハブ91、ならびに流体供給管93を有する、バッグセットアセンブリを示す。
【図10】図10は、圧出バッグ内の処理バッグのアセンブリの実施形態の、バッグセットの側面図である。
【図11】図11は、圧出バッグ内の処理バッグのアセンブリの実施形態の断面図を示す。
【図12】図12は、圧出バッグ内の処理バッグのアセンブリの実施形態の、分解斜視図を示す。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、処理デバイス内の生物細胞の複数のサンプルを独立して、そして/または同時に処理するための、処理チャンバセットに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
一定容量の遠心器で生物細胞を処理するための、可撓性の処理チャンバ(バッグ)、およびこのような処理バッグを、例えば、遠心器によって使用する方法は、公知である。例えば、PCT特許出願PCT/US98/10406は、可撓性の細胞処理チャンバを記載し、これは、このチャンバの内容物を、処理の間無菌に維持するための、回転シールを有する。可撓性の処理チャンバは、有利には、使い捨てであり、従って、単回使用の無菌適用に適切である。
【0003】
特定の適用(例えば、血液成分の分離、血液型の酵素的転換、および血液成分の病原体の不活化を包含する血液処理)について、複数のユニットを、単一の器具において、同じ条件下で同時に処理することが望ましい。複数のユニットの同時処理は、このような適用を実施するための時間および費用を減少させる。既存の可撓性処理チャンバは、複数のサンプルの、独立した同時の処理を実施する能力を提供しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数処理チャンバセットを構築する際の困難の1つは、複数のチャンバの内容物の圧出である。任意の処理プロトコルにおいて、そのプロトコルのいくつかの工程の間に、処理溶液およびチャンバを追加および除去することが、必要であり得る。従って、複数のチャンバの内容物を、通常は遠心分離後の上清を、これらの複数チャンバの完全性およびこれらの容器に含まれる内容物の無菌を維持する様式で、効率的に除去し得ることが必要である。従って、処理された細胞の滅菌を維持し、そして複数のチャンバからの同時および/または独立の細胞サンプルおよび処理溶液の効率的な添加および除去を提供する、遠心デバイスにおける生物細胞の処理のための、複数処理チャンバセットに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、遠心デバイスにおける生物細胞の処理のための複数処理チャンバセットを提供し、このセットは、処理バッグおよび圧出バッグを備える。本発明はまた、遠心デバイスにおける生物細胞の処理のための、このような複数処理チャンバセットの使用のための方法を提供し、この方法は、複数のチャンバでの、内容物の、独立および/または同時の添加または圧出を包含する。
【0006】
本発明の第一の局面によれば、連続フロー遠心器のための複数サンプル処理装置が提供される。この装置は、軸方向に整列した複数の処理チャンバおよび圧出チャンバを備え、各チャンバは、軸開口部を備える。好ましくは、これらのチャンバは、固定された配置で接続される。この装置はまた、これらの軸開口部に配置される複数の中心ハブを有し、これらの中心ハブは、これらのチャンバと流体供給源との間の流体連絡のための通路を規定するように、構築および配置されている。好ましい実施形態において、これらの処理チャンバおよび圧出チャンバは、可撓性かつ膨張可能であるように構築および配置されており、好ましくは、これらのチャンバは、圧出チャンバが圧出流体で満たされる場合に、これらのチャンバの周囲部分において、互いに解放可能に接触するように、構築および配置されている。これらの処理バッグおよび圧出バッグは、交互に配置され得る。
【0007】
本発明の第二の局面によれば、連続フロー遠心器のための複数サンプル処理装置は、軸方向に整列した複数の処理チャンバを備え、この処理チャンバは、圧出チャンバが内部に組み込まれている。各チャンバはまた、軸開口部を備える。好ましくは、これらのチャンバは、圧出チャンバと固定された配置で接続され、そして圧出チャンバは、好ましくは、処理チャンバと同一の形状であるが、処理チャンバの内部にフィットするように、わずかに小さい。この装置はまた、軸開口部内に配置された、複数の中心ハブを備え、これらの中心ハブは、これらのチャンバと流体供給源との間の流体連絡のための通路を規定するように、構築および配置されている。好ましい実施形態において、処理チャンバおよび圧出チャンバは、可撓性かつ拡張可能に構築および配置される。
【0008】
第一の局面および他の関連する実施形態において、中心ハブは、2つの隣接する処理チャンバを有する装置の構築を防止するように、構築および配置されている。これらの処理チャンバの中心ハブは、非補完的な面(例えば、非補完的な雄型および雌型のコネクタ形状)を有する、ほぼディスク様の形状を有し得る。好ましくは、圧出バッグの中心ハブもまた、類似の様式で、2つの隣接する圧出チャンバを有する装置の構築を防止するように、構築および配置されている。最も好ましくは、これらの装置は、2つのセットのチャネルハブを使用し、処理チャンバの中心ハブの片面の形状は、圧出チャンバの中心ハブの片面のみと、形状が補完的であり、そして処理チャンバの中心ハブの他方(第二)の面の形状は、圧出チャンバの中心ハブの他方(第二)の面のみと、形状が補完的である。
【0009】
他の好ましい実施形態において、中心ハブは、流体連絡のための複数の通路(好ましくは、その装置におけるチャンバの数と少なくとも等しい数の通路)を規定するように、構築および配置されている。従って、中心ハブは、一緒に接続される場合、連続的な独特の流体通路を、各チャンバと1つ以上の外部流体供給源との間に提供する。
【0010】
この装置はまた、好ましくは、中心ハブ上に配置される複数の溶接環を備え、これらの溶接環は、交互に配置された処理チャンバおよび外部チャンバの取り付けを可能にするように、構築および配置されている。
【0011】
本発明の特定の実施形態において、処理チャンバおよび圧出チャンバは、実質的に同じ形状であり、好ましくは、実質的に円の形状であり、そして最も好ましくは、実質的に同じ直径を有する。いくつかの実施形態において、処理チャンバおよび圧出チャンバは、2枚の可撓性材料から構築され、これら2枚の材料は、外周および内周においてシールされているが、他の構築もまた可能であり、そして許される。好ましくは、内周は、軸開口部に実質的に隣接する。
【0012】
他の実施形態における装置はまた、末端中心ハブを備え、これは、軸方向に配置された交互の複数の処理チャンバおよび圧出チャンバの末端に配置される。好ましくは、末端中心ハブは、中心ハブの流体通路を通る流体フローを終結させるように、構築および配置されている。
【0013】
さらなる実施形態において、流体入口ハブが、軸方向に配置された交互の複数の処理チャンバおよび圧出チャンバの流体入口ポートに配置され、そして軸方向に配置された交互の複数の処理チャンバおよび圧出チャンバと、連続フロー遠心器の外部の流体通路との間の流体連絡のための、界面として働く。好ましくは、この流体通路は、多管腔管である。
【0014】
本発明の別の局面によれば、改善された連続フロー遠心器が提供され、この改善は、遠心ボール内に固定された配置で配置された、軸方向に整列した交互の複数の処理チャンバおよび圧出チャンバを含む。特定の好ましい実施形態において、軸方向に整列した交互の複数のチャンバは、水平な回転軸を提供するように配置(dispose)または配置(arrange)される。他の好ましい実施形態において、軸方向に整列した交互の複数のチャンバの各々は、軸開口部を通して、少なくとも1つの流体供給容器と別個に流体連絡している。
【0015】
本発明のさらなる局面によれば、流体供給源と軸方向に整列した複数の遠心器チャンバとの間の流体連絡のための、流体コネクタが提供される。この流体コネクタは、多管腔ディスクを備え、このディスクは、軸方向に整列した複数の遠心器チャンバの軸開口部に配置され、流体供給源と流体連絡するよう構築されており、そして軸方向に整列した複数の遠心器チャンバの数以上の複数の管腔を備える。この流体コネクタは、好ましい実施形態において、少なくとも1つの管腔を備え、これは、軸方向に整列された複数のチャンバの各々と流体連絡するよう構築および配置されており、これによって、複数の独自の流体連絡通路を、軸方向に整列した複数のチャンバの各々と流体供給源との間に形成する。特定の実施形態において、このディスクの周囲は、実質的に円形である。他の実施形態において、この多管腔ディスクは、第一の実質的に非平面の表面を有し、これは、別の流体コネクタの非平面の第二の表面と、形状が補完的である。上記のように、自己補完的でない形状を有する2つの別個の流体コネクタが提供されることが、特に好ましい。
【0016】
本発明のなお別の局面によれば、複数のサンプルを、遠心器デバイスにおいて、独立におよび同時に処理するための方法が提供される。この方法は、複数のサンプルを、複数処理チャンバセットの複数の処理チャンバに添加する工程、この複数のサンプルを遠心分離する工程を包含する。この方法は、必要に応じて、複数の上清を圧出する工程であって、この上清が、複数のサンプルの遠心分離によって形成された、サンプルの第一の部分に相当する、工程を包含し、そしてまた、必要に応じて、複数のペレットを圧出する工程であって、このペレットが、複数のサンプルの遠心分離によって形成された、サンプルの第二の部分に相当する、工程を包含する。
【0017】
本発明のさらに別の局面によれば、複数のサンプルを、遠心器デバイスにおいて、独立して同時に処理するための方法が提供される。このデバイスは、連続フロー遠心器のための、複数サンプル処理装置を備え、この連続フロー遠心器は、固定された配置で軸方向に整列した複数の処理チャンバおよび圧出チャンバを備え、各チャンバは、軸開口部を備え、そして複数の中心ハブが、この軸開口部に配置されている。この中心ハブは、チャンバと流体供給源との間の流体連絡のための通路を規定するように、構築および配置されている。この方法は、複数のサンプルを、複数の処理チャンバに添加する工程、この複数のサンプルを遠心分離する工程、必要に応じて、複数の上清(複数のサンプルの遠心分離によって形成された、サンプルの第一の部分を含む)を圧出する工程、および複数のペレット(複数のサンプルの遠心分離によって形成された、サンプルの第二の部分を含む)を圧出する工程を包含する。これらの上清およびペレットは、圧出流体で圧出バッグを満たすことによって、圧出される。
【0018】
特定の実施形態において、この方法は、1つ以上の処理流体を、複数のサンプルまたはペレットに添加する工程を包含する。他の実施形態において、複数のサンプルの1つ以上の一部が、独立して、残りのサンプルから圧出される。さらなる実施形態において、処理流体が、残りのサンプルとは独立して、複数のサンプルの1つ以上に添加される。
【0019】
本発明のこれらおよび他の局面を、図面および以下の詳細な説明と関連付けて、記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、同時に独立して、複数の別個のサンプルを一度に、遠心細胞処理デバイスにおいて処理するための、複数処理チャンバセットを提供する。この複数処理チャンバセットは、サンプル(およびその処理された画分)、処理流体(酵素、塩、緩衝剤および他の処理化学物質を含む)、ならびに廃棄生成物の滅菌添加ならびに除去を、いかなる種の回転シールの必要もなく、可能にする。従って、この複数処理チャンバセットは、生物細胞の処理のための閉じた系の一部に相当し、そして直列または並列で処理され得る複数の分離閉容器を備える。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、複数処理チャンバセットは、連続的に交互になった処理可撓性チャンバおよび圧出可撓性チャンバ(本明細書中において「バッグ」ともまた称される)を備え、その結果、各処理バッグが、1つ以上の圧出バッグと接触する。1つの実施形態において、圧出バッグ(E)および処理バッグ(P)は、1:1の比で提供され、そして順序が交互である:
E−P−E−P−E−P−E−P−E。
【0022】
別の実施形態において、圧出バッグおよび処理バッグは、2:1の比で提供され、各処理バッグPをその独自の組の2つの圧出バッグで囲むように、配列される:
E−P−E−E−P−E−E−P−E−E−P−E。
【0023】
上記例の各々において、4つの処理バッグPが提供され得る。本発明の複数処理チャンバセットは、理論的に、2〜無限までの、任意の特定の数のバッグを有して、同じ数のサンプルを処理し得る。従って、例えば、本発明の複数処理チャンバセットの、血液処理への適用に関して、バッグの数は、通常、処理されるべきユニットまたは血液の数に対応する。このような場合、適切な数の処理バッグを有する複数処理チャンバセットが選択され得る。あるいは、1つ以上の処理バッグは、必要に応じて、満たされないままであり得るか、または処理されない溶液で満たされ得る(使用される複数処理チャンバセットが、処理されるサンプルの数より多数の処理バッグを備える場合)。
【0024】
複数処理チャンバセットにおけるバッグの最適な数および構成は、遠心デバイスの大きさおよび容量、使用される材料、または当業者に公知の他の因子によって制限され得る。好ましくは、本発明の複数処理チャンバセットは、4と16との間の処理バッグを有し、そしてより好ましくは、8と12との間の処理バッグを有し、適切な数の圧出バッグが、上記のように介在している。
【0025】
処理バッグおよび圧出バッグは、上述の交互の配列で、全てのバッグまたはチャンバが、中心に位置する回転軸に沿って、間隔を空ける配向で、配置され得る。従って、これらのチャンバは全て、軸方向に整列している(すなわち、積み重なっている)(図9の物品92を参照のこと)。この軸は、最大のバッグ表面積に注目し、そして最大のバッグまたはチャンバの表面に対して垂直な回転中心を見付けることによって、各バッグに規定される。好ましくは、これらのバッグは、形状が円形であるが、他の形状が使用され得る。
【0026】
各処理バッグまたは圧出バッグは、可撓性の区画、中心ハブおよび溶接環(可撓性区画を中心ハブに接続するためのもの)から構成される。図1および5に示されるように、圧出バッグおよび処理バッグに対して、それぞれ、バッグ10、50は、軸開口部11、51を有し、この軸開口部において、中心ハブが接合される。処理バッグの可撓性区画および中心ハブは、種々の処理条件(温度、pH、および塩濃度の変化;加速、減速および遠心力の付与;ならびに圧出バッグの膨張または拡張からの力の付与が挙げられるが、これらに限定されない)に耐え得るプラスチック材料で構築される。圧出バッグの可撓性区画は、圧出流体または気体での膨張に耐え得るプラスチック材料で構築される。好ましくは、処理バッグおよび圧出バッグの可撓性区画は、PVC材料を使用して構築される。好ましくは、中心ハブおよび溶接環は、剛性のプラスチック材料を使用して構築される。
【0027】
処理チャンバおよび圧出チャンバのための中心プラスチックハブは、複数の処理チャンバセットの適切な組立のために、交互の配列の1:1の比の処理バッグおよび圧出バッグが必ず維持されるように、顕著に異なり、そして噛み合う。図2に示される圧出バッグ中心ハブおよび図6に示される処理バッグ中心ハブの形状を比較のこと。これらのそれぞれの中心ハブの各々は、異なる雄型−雌型接続を有して、同じハブの接続を防止する。例えば、処理ハブの雄型コネクタ64を囲む外側環61は、別の処理中心ハブが嵌合することを防止するが、他のフランジ21とフィットして、圧出中心ハブ(中央の図)の片側と嵌合することを可能にする。適切に嵌合される場合、処理中心ハブおよび圧出中心ハブの適合した輪郭が整列する。例えば、全ての場合において、周囲の穴22、62および中心の穴23、63;ならびに以下のセットの表面のうちの1つ:表面24、64および25、65、または表面26、66および27、67。中心ハブの他の特徴は、圧出ハブおよび処理ハブの、互いに対する適切な回転配向を提供して、周囲の穴22、62の不整合を防止する。
【0028】
圧出バッグおよび処理バッグを2:1の比で有する、複数処理チャンバに対しては、異なる幾何学的形状が、中心プラスチックハブに対して提供され得、2つの圧出バッグを2つの処理バッグの間に挿入して接続する(すなわち、下線を引いた接続:P−E−E−P)。
【0029】
中心ハブの各々は、いくつかの独立した流体通路または経路(例えば、中心ハブの貫通孔22、62、および穴23、63)を備え、これらは、組立の間、引き続くハブにおける同じ経路に相互接続される。ハブの噛み合いの性質により、流体通路は、このアセンブリを通じて強制的に制限され、その結果、全ての流体経路が、互いに独立を維持する。具体的には、全ての圧出バッグまたはチャンバと(穴23、63を介して)連絡する単一の流体経路が、組み立てられたハブのセットの内側に形成される。さらに、各処理チャンバまたはバッグは、組み立てられたハブのセットを(穴22、62を介して)通る独特の独立した流体経路を有する。
【0030】
複数処理チャンバセット(バッグセット)は、適所に中心ハブを用いて一緒に組み立てられた、任意の数の処理バッグおよび付随する圧出バッグとして規定される。圧出バッグを組み立てる工程を、図3および4に示す。図3は、圧出バッグアセンブリの側面図であり、完全に組み立てられた圧出バッグアセンブリ32を形成するための、圧出バッグ/中心ハブアセンブリ31と接合する前(左の図)および接合後(右の図)の溶接環30を示す。図4は、圧出バッグアセンブリの一面の斜視図であり、完全に組み立てられた圧出バッグアセンブリ42を形成するための、溶接環40と接合する前(右の図)および接合後(左の図)の、圧出バッグ/中心ハブアセンブリ41を示す。同様に、プロセスバッグを組み立てる工程を、図7および8に示す。図7は、処理バッグアセンブリの側面図であり、完全に組み立てられた処理バッグアセンブリ72を形成するための、処理バッグ/中心ハブアセンブリ71と接合する前(左の図)および接合後(右の図)の溶接環70を示す。図8は、圧出バッグアセンブリの一面の斜視図であり、完全に組み立てられた処理バッグアセンブリ82を形成するための、溶接環80と接合する前(左の図)および接合後(右の図)の、処理バッグ/中心ハブアセンブリ81を示す。
【0031】
一旦、所望の数の処理バッグアセンブリおよび圧出バッグアセンブリを配置することによって、バッグセットが完全に組み立てられると、2つの特別な中心ハブが、このバッグセットの各端部に1つずつ取り付けられる。流体入口点から最も離れた中心ハブは、流体通路を終結させるよう働く。すなわち、これは末端ハブである。流体入口点に最も近い中心ハブは、バッグセットと、遠心器の外側の流体経路との間の界面として働く。すなわち、これは流体入口ハブである。完成したバッグセットアセンブリ90(すなわち、複数処理チャンバセット)を、図9に示す。流体入口ハブ91は、多管腔管93と組み立てられた処理/圧出バッグ92との間の界面を形成する。多管腔管は、好ましくは、存在する処理バッグおよび圧出バッグと少なくとも同程度の数の管腔を備える。
【0032】
なお別の実施形態において、複数のセットの圧出バッグおよび処理バッグの組み合わせは、処理バッグが圧出バッグより小さい大きさにされ、そして圧出バッグの内部に配置され、図10〜12に示す「バッグ内バッグ」のアセンブリを与えることを除いて、1:1の比で組み立てられる。
【0033】
これらの図に示すように、バッグ内バッグアセンブリ94は、外側圧出バッグ96、内側処理バッグ98、外側溶接環100、内側溶接環102およびハブ104を備える。中心軸において、導管106は、圧出流体が圧出バッグの内(および外)にポンピングされることを可能にし、その結果、ポート108は、上清または分離された成分が、導管110を通って処理バッグから流出することを可能にする。
【0034】
ハブは、複数のアセンブリが一緒に組み立てられ得るように設計される。具体的には、ハブの片側は、凹部112を備え、一方で他方の側は、導管106の突出部114を備える。従って、凹部112は、隣接するバッグ内バッグアセンブリの対応する突出部114を受容する。
【0035】
本発明は、複数のサンプルを遠心器デバイスにおいて、独立して同時に処理するための方法を、さらに包含する。具体的には、本発明は、細胞処理デバイスにおいて、規定されたプロトコルに従って、生物細胞の処理において使用する際の、複数処理チャンバセットの使用を提供する。この方法は、細胞の洗浄、血液成分の分離、血液成分の処理(赤血球の血液型(例えば、A型、B型またはAB型からO型の赤血球へ)の酵素的転換を含む)、生物学的流体または細胞の病原体の不活化などのために有用である。この方法は、規定された処理プロトコルを利用し、このプロトコルは、1つ以上のサンプルを、複数処理チャンバセットの処理バッグに添加する工程、必要に応じて、サンプルを遠心分離する工程、必要に応じて、遠心分離によって形成した上清を圧出する工程、1つ以上の処理化学物質または流体を添加する工程などを包含する。処理プロトコルは、当業者に公知であり、そして例示的な方法を以下に示す。
【0036】
サンプルを分離または処理する方法は、バッグセットの組立に引き続くいくつかの工程において、規定され得る。最初の工程は、バッグを連続的な固定容量遠心器に取り付ける工程を包含する。分離または処理されるべき流体(例えば、血液)が、排液、ポンピング、または他の様式で、処理チャンバまたはバッグに装填され、そして遠心分離を使用して、成分が分離される。上清流体または分離された成分の圧出のために、遠心器の速度が、圧出速度まで遅くされ、一方で成分の界面は維持される。この時点で、圧出流体(例えば、PCT特許出願PCT/US98/10406を参照のこと)を、好ましくは定量ポンプを介して、圧出バッグ内に送達する。圧出流体が圧出バッグを満たすにつれて、処理バッグが利用可能な遠心器構成要素の全体的な容量が、比例的に減少する。従って、固定された遠心器容量に起因して、圧出流体が圧出バッグを満たすにつれて、処理バッグの内容物が、空になるか、または圧出される。さらに、処理バッグの内容物は、遠心分離、および圧出流体が、処理チャンバ内の最も密度の高い成分より密度が高いという事実に起因して、好ましくは、最低密度から最高密度へと圧出される。
【0037】
圧出流体は、2つの流体成分を含有し得、これらは、一緒に混合されると、生物学的サンプルの最も重い成分より重い流体を生じる。例えば、生物学的流体が血液である場合、混合される2つの流体成分は、血液の赤血球成分(すなわち、最も重い成分)より重い流体を生じ、その結果、血液の全ての成分(例えば、赤血球、白血球、血小板)は、分離され、そして処理バッグから除去され得る。
【0038】
しかし、生物学的サンプルの特定の成分のみが分離される必要がある場合、圧出流体は、そのサンプルの最も重い成分より重い必要がなくあり得る。例えば、赤血球が、血液サンプルからの分離を必要とされる唯一の成分である場合、実質的に空気からなる圧出流体が使用され得る。
【0039】
従って、PCT特許出願PCT/US98/10406に開示されるように、遠心力下で、圧出流体は、圧出バッグを、最外の半径方向位置から内側に、最内半径位置へと満たす。最後に、圧出バッグが最外半径位置から内向きに充填するにつれて、処理バッグ内の減少した容量は、処理バッグの最内半径部分の流体を圧出させる。圧出に続いて、圧出流体は、所望であれば、圧出バッグから、圧出バッグ供給ラインへの減圧の適用によって除去され得、圧出流体の使用はまた、必要な場合(例えば、異なるプロトコルのため、または単一のプロトコルの異なる工程のため)、処理バッグの容量の調節を可能にする。当業者は、圧出流体として空気が使用される場合、これは、サンプルのより多くの成分を分離するために使用された、通常のより重い圧出流体よりずっと短い時間で除去され得ることを理解する。
【0040】
引き続くプロトコル工程は、上清が圧出された後に細胞を洗浄する工程を包含し得る。洗浄流体および/または処理流体などは、サンプルが導入されたと同様に処理バッグに導入され、そしてサンプルと共にインキュベートされる。処理バッグは、所望の場合、遠心器の駆動の方向を逆にすることによって、遠心器を断続的に運転することによって、などで、攪拌され得る。
【0041】
上述の特許、特許出願および参考文献の各々は、本明細書中に参考として援用される。
【0042】
本発明を、特定の実施形態に関して記載したが、多くの改変および変化が、当業者によって、本発明の意図から逸脱することなくなされ得ることが、理解されるべきである。このような改変、変化および均等物は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、軸開口部を有する圧出バッグを示す。
【図2】図2は、圧出中心ハブの3つの図を示す。
【図3】図3は、2つの溶接環を圧出バッグおよび中心ハブに接合することによる、圧出バッグの組み立てを示す。
【図4】図4は、1つの溶接環の、圧出バッグおよび中心ハブへの接合の斜視図を示す。
【図5】図5は、軸開口部を有する処理バッグを示す。
【図6】図6は、処理中央ハブの3つの図を示す。
【図7】図7は、2つの溶接環を処理バッグおよび中心ハブに接合することによる、処理バッグの組み立てを示す。
【図8】図8は、1つの溶接環の、処理バッグおよび中心ハブへの接合の、斜視図を示す。
【図9】図9は、6つの交互の圧出バッグおよび処理バッグ92、流体入口ハブ91、ならびに流体供給管93を有する、バッグセットアセンブリを示す。
【図10】図10は、圧出バッグ内の処理バッグのアセンブリの実施形態の、バッグセットの側面図である。
【図11】図11は、圧出バッグ内の処理バッグのアセンブリの実施形態の断面図を示す。
【図12】図12は、圧出バッグ内の処理バッグのアセンブリの実施形態の、分解斜視図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体供給源と、連続フロー遠心器の少なくとも1の処理チャンバおよび少なくとも1つ圧出チャンバを含む軸方向に整列した複数の遠心チャンバとの間の流体連絡を規定する中心ハブであって、該ハブが、該軸方向に整列した複数の遠心チャンバの軸開口部に配置され、ここで、該ハブが、該連続フロー遠心器の該軸方向に整列した複数の遠心チャンバの数以上の複数の流体連絡のための通路を規定し、そしてここで、該複数の通路のうちの少なくとも1つの通路が、該軸方向に整列した複数のチャンバの各々と流体連絡し得る、中心ハブ。
【請求項1】
流体供給源と、連続フロー遠心器の少なくとも1の処理チャンバおよび少なくとも1つ圧出チャンバを含む軸方向に整列した複数の遠心チャンバとの間の流体連絡を規定する中心ハブであって、該ハブが、該軸方向に整列した複数の遠心チャンバの軸開口部に配置され、ここで、該ハブが、該連続フロー遠心器の該軸方向に整列した複数の遠心チャンバの数以上の複数の流体連絡のための通路を規定し、そしてここで、該複数の通路のうちの少なくとも1つの通路が、該軸方向に整列した複数のチャンバの各々と流体連絡し得る、中心ハブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−301379(P2007−301379A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135853(P2007−135853)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【分割の表示】特願2002−532275(P2002−532275)の分割
【原出願日】平成13年10月4日(2001.10.4)
【出願人】(502152621)ザイムクエスト, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【分割の表示】特願2002−532275(P2002−532275)の分割
【原出願日】平成13年10月4日(2001.10.4)
【出願人】(502152621)ザイムクエスト, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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