説明

複素環式化合物および抗がん剤としての使用

ヘテロアリール5員環で置換された縮合二環式芳香族複素環系を有する新規化合物が開示される。化合物は、種々のタイプのがん細胞の増殖を阻害し、したがってがんを処置するために有用である。これらの化合物の有効性は、細胞の増殖/遊走をモニタリングするためのシステムを用いて実証され、これは、これらががん細胞の増殖および/または遊走の強力な阻害剤であることを示す。さらに、本発明の化合物は、インビボでの腫瘍の増殖を停止させること、およびインビボでの腫瘍のサイズを減少させることが示された。これらの化合物を含む組成物、ならびにこれらの化合物および組成物をがんの処置のために用いる方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明の分野は、複素環式化合物、医薬組成物および方法に関し、特にこれらはがんおよび関連する疾患の処置および予防のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
200を超える疾患を含むがんは、先進国において2番目に多い死因である。したがって、がんは人類にとって最も重要な未解決の医学的挑戦の一つであり続けている。外科手術、放射線、化学療法またはこれらのアプローチのあらゆる組合せを含む、腫瘍を処置するための多数の選択肢が利用可能である。これらのうちで、化学療法が、全てのタイプのがんのために、特に手術不能であるものまたは転移性の性質を有するもののために、広範に用いられる。種々の化学療法用化合物が異なるヒトがんの生存率の改善のために臨床において用いられているにも拘わらず、化学療法は概して治癒的ではなく、疾患の進行を遅延させるのみである。一般に、腫瘍およびその転移は、腫瘍が多薬耐性の能力を発現するに従って、化学療法に対して耐性を生じる。一部の症例において、腫瘍は、いくつかのクラスの化学療法剤に対して元来耐性である。他の症例において、化学療法の介入の間に、化学療法剤に対して後天的な耐性が発現される。したがって、異なるクラスの腫瘍を処置する上で、利用可能な化学療法用化合物の効力は依然として極めて限られたものとなっている。さらに、腫瘍の化学療法処置のために用いられる多くの細胞傷害剤および細胞分裂阻害剤(cytostatic agent)は、重篤な副作用を有し、その結果、一部の患者においては化学療法の停止をもたらす。したがって、新規な化学療法剤の必要性が未だ存在する。
【発明の概要】
【0003】
発明の要旨
本発明は、種々のクラスのヘテロアリール置換二環式ヘテロアリール誘導体、医薬組成物およびこれらを用いる方法を対象とする。例示的な態様は、種々のクラスのヘテロアリール置換二環式ヘテロアリール誘導体、医薬組成物およびこれらを用いる方法を対象とする。例示的な態様は、チアゾールまたはオキサゾールまたはイミダゾール複素環部分を有し、これは、任意に置換されたアリールアミノ、アリールチオ、アリールオキシ、複素環アミノ、複素環チオ、または複素環オキシ基で、さらに置換される。本明細書において記載される化合物は、抗腫瘍活性、抗がん活性、抗炎症活性、抗感染活性および抗増殖活性を奏する。本発明はまた、記載される化合物を製造する方法および製剤化する方法に関する。本発明はまた、かかる化合物を含む、腫瘍、がん、感染性および/または増殖性疾患を処置するために用いることができる医薬組成物に関する。
【0004】
本発明の主題の一局面において、企図される複素環式化合物は、一般に式IおよびII:
【化1】

【0005】
ここで、環中の
【化2】

は、該環が芳香族環または芳香族複素環であることを示し;
各W、W、WおよびWは、独立して、N、S、OまたはCRであり;
は、SまたはOまたはCRであり;
Aは、NH、NR、S、SO、SO、O、Se、B(ホウ素)、NHSO、NRSO、SONH、SONR、OP(=O)(OR)、NRC(O)、C(O)NRであり;
【0006】
ならびに、Zは、Ar、任意の縮合複素環基またはCHArであり、ここで、Arは、5個までの置換基で任意に置換され、N、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を環員として含んでもよい、5〜10原子の単環式または二環式芳香族基であり;
【0007】
、R、RおよびRの各々は、H、OH、NHR、NRR’、OR、SR、置換された、または未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、縮合アリール、ヘテロアリール、縮合複素環、炭素環または複素環であり、これらの各々は、任意に置換され、1個の炭素原子の代わりにN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでもよく、
【0008】
ならびに、同一のまたは隣接する原子上の2つのR、R、RまたはRは、任意に、一緒に結合されて3〜8員環を形成していてもよく、これは、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよく、および任意に置換されており;
ここで各RおよびR’は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールは、任意に置換されており、
および、RおよびR’は、同一のまたは隣接する原子上に存在する場合、任意に環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含む3〜8員環を形成してもよい;
に従う構造を有するか、あるいはその薬学的に許容し得る塩または代謝物である。
【0009】
式(I)の化合物において、Zは、3個までの置換基で置換される場合がある。
【0010】
式(II)の化合物において、好ましくはW、W、WおよびWのうち結合であるものは1つより多くなく、W、W、WおよびWのうち少なくとも1つはCRではなく;W、W、WおよびWのうちNを表すものは2つより多くなく、しかしW、W、WおよびWのうち少なくとも1つはCRである。これらの化合物において、Zが置換イミダゾピリジンではなく、およびAがNAcである場合にZがメトキシ置換ピリジニルでないことが好ましい場合がある。一部の態様において、WがNであり、RがMeであり、かつAはNHである場合、Zは、−CH−(2−フラニル)、未置換フェニル、未置換ベンジル、または−NO、Br、−OH、−NHAc、SONH−ヘテロアリールもしくはCOOHで置換されたフェニルではない。式(II)の化合物において、ZがS、SOまたはSOである場合、Rは、WがCHである場合は好ましくはHではない。
【0011】
一部の態様において、本発明は、式III、IV、V、VIまたはVIIを有する化合物を提供する:
【化3】

【0012】
【化4】

ここで、
【化5】

、W、W、W、W、W、Z、A、ならびにR、R、RおよびRは、上記で定義したとおりである。
【0013】
上記の式I〜VIIにおいて、Zは、以下の構造から選択される芳香族または複素環部分であってもよい:
【化6】

ここで、
【化7】

は上記で定義したとおりであり;
ここで、各Wは独立してCR’、N、NR’、SまたはOであり;
各R’は上記で定義したとおりであり;
【0014】
Rは、H、ハロ、OR’、SR’、COR’、C(O)NR’、C=O、CN、CF、OCF、NO、NR’R’、OCOR’、NR’SOR’、SONR’R’、SOR’、P(OR’)、CH(COOR’)、CH(POR’)から選択され、ここで、R’は上記で定義したとおりであり;
または、RはC1〜8アルキル、C3〜8環状アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環もしくは複素環であり、その各々は、ヘテロ原子を含んでもよい。
【0015】
Zを含む芳香族環は、5個までのH以外の基、好ましくは4個までのかかる基で、一部の態様においては3個までのH以外の基で置換されていてもよい。好ましくは、Zは、1〜3個の非水素基で置換されている。これらの基は、Zのアリール/ヘテロアリール環のどの位置にあってもよい。Zが6員環である場合、一部の態様において、少なくとも1つのH以外の置換基が環のパラ位または環のメタ位に存在する。
【0016】
一部の態様において、Zは、
【化8】

から選択され、
【0017】
ここで、各Rは、上記で定義したとおりである。Rが表すことができるいくつかの好ましい基を表1に列記する。式I〜VIIの化合物のA〜Zに対応する部分の具体的な態様、および本発明に関する各クラスの化合物におけるA〜Zの好ましい態様を、表3〜7に記載する。
【0018】
式(I〜VII)の化合物の一部の態様において、WがSであり、WがNであり、かつWがCMeである場合、Zは好ましくは、ベンジル基;1個より多くのBrで、もしくはSONRRで置換されたフェニル;CH−(2−フラニル);またはメトキシ置換ピリジルではない。しかし、他の態様において、例えばがんを処置する方法については、これらの限定は適用されなくともよい。
【0019】
上の式I〜VIIにおいて、Zは、一/二/三置換された、または未置換のベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、ベンズオキサゾール、ピロール、フラン、チオフェン、インドリジン、インドール、イソインドール、インドリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、プリン、キノキサリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、ナフチリジン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、インデン、ナフタレン、ベンズオキサジアゾールまたは任意の縮合複素環部分であってもよい。Zが本明細書において記載される芳香族または複素環系である場合、これは、ハロ、OR、SR、O((CHO)R、COR、C(O)NR、C(=O)R、CN、CF、OCF、NO、NRR、OCOR、SOH、NRSOR、またはSONRRで置換される場合があり、ここで各pは独立して1〜4であり、qは1〜6である。
【0020】
他の好適な置換基として、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C3〜8環状アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環または複素環が挙げられ、その各々はまた、置換されていてもよい。これらの置換基において、各Rは、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、NR’、SR’、SOR’、SONR’、NR’SOR’、NR’CONR’、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CONR’、OOCR’、COR’、およびNOの1または2以上で任意に置換されていてもよいC1〜8アルキルであり、ここで、各R’は独立して、H、C1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C6〜C10アリール、またはC5〜C10ヘテロアリールであり、各R’は、任意にハロ、=O、=N−CN、=N−OR’’、=NR’’、OR’’、NR’’、SR’’、SOR’’、SONR’’、NR’’SOR’’、NR’’CONR’’、NR’’COOR’’、NR’’COR’’、CN、COOR’’、CONR’’、OOCR’’、COR’’、およびNOで置換されており、
【0021】
ここで、各R’’は独立して、H、C1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリールまたはC5〜C10ヘテロアリールであり;2個のR’またはR’’が1つの原子または隣接する原子上に存在する場合、これらは一緒に結合して3〜8員環を形成していてもよく、これは任意に置換され、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよい。記載される各アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、1または2以上のFで置換されていてもよい。式IまたはIIIの一部の態様において、WはSであり、WはNである。
【0022】
前述の化合物の一部において、WはSである。
前述の化合物の一部において、AはNRであり、Rは上記で定義したとおりである。一部のかかる態様において、Rはアシル基、例えば−C(=O)−(Cl〜8アルキル)であるか、RはHである。 一部の好ましい態様において、RはHである。
【0023】
前述の化合物の一部の態様において、ZはArであり、ここでArは、置換された、または未置換のフェニルを表す。一部の態様において、Zは−CH−Arであり、ここでArは置換された、または未置換のフェニルである。好ましい態様において、Arは、少なくとも一個の基、例えばハロ、C1〜C4アルコキシ、OH、C1〜C4アルキル、もしくは=Oで置換されたC1〜C4アルキルで、または1または2以上のF、Cl、CN、CF、Br、NRR、COOR、および/またはCONRRで置換され、ここでRは、1または2以上のF、Cl、CN、CF、BrまたはC1〜C4アルコキシで任意に置換されたC1〜C4アルキルであり;2つのRが1つの原子または隣接する原子上に存在する場合、これらは一緒に結合して3〜8員環を形成していてもよく、これは任意に置換され、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよい。Arにおける2つの置換基が隣接する原子上にある場合、これらは任意に環化して5〜8員環を形成していてもよく、これは任意に置換され、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよい。
【0024】
特定の態様において、本発明は、式IIIaまたはVIIa:
【化9】

ここで、Rは任意に置換されたC1〜C4アルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C1〜C4アルコキシ、またはC1〜C4アルキルであり;
【0025】
は、H、ハロ、C1〜C4アルコキシ、またはC1〜C4アルキルであり;
ここで、Zは以下:
【化10】

からなる群より選択される、
で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0026】
これらの化合物の一部の態様は、式VIIIまたはIX:
【化11】

を有し、
ここで、Rは上記で定義したとおりであり;
【0027】
は、OR’、SR’、NR’、OCHF、OCF、CF、OCHCF、OCFCF、F、ハロ、(CF2〜7CF、O(CHCH)R’、O(CHCHO)0〜6H、O(CHCH1〜2R’であり、
【0028】
はまた、以下の群:
【化12】

から選択することができ、
ここでR’は上記で定義したとおりであり;
1〜5個のかかるR基が同一のベンゼン環上に結合していてもよい。
【0029】
一部のかかる態様において、式IIIaまたはVIIa中の−NH−Zに対応する基は、以下:
【化13】

からなる群より選択される。
【0030】
一部の態様において、この式IIIaまたはVIIa中の−NH−Zに対応する基は、以下:
【化14】

【0031】
【化15】

からなる群より選択される。
【0032】
これらの化合物の一部において、Rはメチルである。
これらの化合物の一部において、RはHである。
これらの化合物の一部において、RはHである。
【0033】
別の局面において、本発明は、前述の式(VI)の化合物、およびかかる化合物を含む組成物、および本明細書において記載されるがんを含む種々の状態を処置するためにかかる化合物を使用する方法を提供する。
式(VI)の化合物の一部の態様において、WはSである。
式(VI)の化合物の一部の態様において、WはSである。
式(VI)の化合物の一部の態様において、WはNである。
【0034】
別の局面において、本発明は、化合物、組成物およびそれらの使用を提供し、ここで、化合物は、以下の構造を有する:
【化16】

【0035】
ここで、環中の
【化17】

は、環が芳香族環または芳香族複素環であることを示し;
はCRまたはNであり;
、W、WおよびWの各々は、CR、N、O、もしくはSまたは結合であり、
ただし、W、W、WおよびWのうち結合であるものは1つより多くはなく、W、W、WおよびWのうち少なくとも1つはCRではなく;
、W、WおよびWのうちNを表すものは2つより多くはなく;
、W、WおよびWのうち少なくとも1つはCRであり;
【0036】
Aは、NH、NR、S、SO、SO、O、Se、B(ホウ素)、NHSO、NRSO、SONH、SONR、OP(=O)OR、NHC(O)、またはC(O)NHであり;
Zは、ArまたはCHArであり、ここでArは、N、OおよびSから選択される0〜4個のヘテロ原子を環員として含み、4個までのRで任意に置換された、5〜10原子の単環式または二環式芳香族基であり;
ただし、Zは未置換のイミダゾピリジンではなく、AがNAcである場合、Zはメトキシ置換ピリジニルではなく;
【0037】
、R、R、R、Rの各々は、独立して、H、ハロ、OR、NRR’、S(O)R、COOR、SONRR’、NO、CN、または、置換された、もしくは未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、縮合アリール、ヘテロアリール、縮合複素環、炭素環もしくは複素環であり、
同一または隣接する原子上の2つのR、R、R、R、Rは、任意に一緒に結合して3〜8員環を形成していてもよく、これは、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよく、および任意に置換されており;
【0038】
ここで各RおよびR’は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールは、任意に置換されており、
RおよびR’は、同一または隣接する原子上に存在する場合、任意に環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含む3〜8員環を形成していてもよく;
mは0〜2である;
およびその薬学的に許容し得る塩。
【0039】
これらの化合物の特定の態様は、式:
【化18】

を有する。
【0040】
これらの化合物について、特定の態様において、Zは未置換のイミダゾピリジンではなく、AがNAcである場合、Zは、メトキシ置換ピリジニルではなく;およびWがNであり、RがMeであり、かつAはNHである場合、Zは−CH−(2−フラニル)、未置換フェニル、未置換ベンジル、または−NO、Br、−OH、−NHAc、SONH−ヘテロアリール、もしくはCOOHで置換されたフェニルではない。好ましくは、AおよびZは、上記のとおりであり、したがって、Zの例示的な態様は、表3〜7に記載され、AはNHである場合がある。
【0041】
式XまたはVIIの一部の態様において、Zは表1〜2に示す構造から選択される。一部の態様において、Zは、ハロ、OR、SR、COR、C(O)NR、C(=O)R、CN、CF、OCF、NO、NRR’、OCOR、SOH、NRSOR、SONRR’から選択される、1または2以上、典型的には3個までの基で置換されるか;Rは、C1〜8アルキル、C3〜8環状アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環または複素環であり、これらの各々は、ヘテロ原子を含んでもよく;
【0042】
ここで、各RおよびR’は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールは任意に置換され、ここで、RおよびR’は、同一または隣接する原子上に存在する場合、任意に環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含む3〜8員環を形成していてもよい。
【0043】
一部の態様において、Zは少なくとも1つのかかる基で置換される。
これらの化合物の一部において、WはNまたはCHである。しばしば、WはNである。
これらの化合物の一部において、Rは、H、ハロ、または任意に置換されたC1〜C4アルキルである。
前述の態様の一部において、各Rは、H、ハロ、CN、任意に置換されたC1〜C4アルキルおよびC1〜C4アルコキシから選択される。
前述の態様の一部において、Rは、H、ハロ、CN、CONRR’、COORまたはCF、または任意に置換されたC1〜C4アルキルもしくはアルコキシである。
【0044】
前述の態様の一部において、ここで、AはNRまたはOまたはSであり、ここでRは上記で定義したとおりである。
前述の態様の一部において、AはNHまたはNRであり、ここでRは、任意にC1〜C4アルキルまたはC1〜C4アシル基で置換される。
前述の態様の一部において、Zは5員の芳香族環もしくは芳香族複素環または6員の芳香族環または芳香族複素環であり、これは0〜3個の置換基で置換される。
前述の態様の一部において、Zは置換フェニル環または、置換された、もしくは未置換の2−ピリジル、3−ピリジルまたは4−ピリジル環である。フェニルが好ましい場合がある。
【0045】
上の式I〜Xにおける化合物は、中性の化合物として用いても、それらの薬学的に好適な無機または有機アニオンとの塩として用いてもよい。これらの塩として、ハライド(Cl−、Br−、I−)、硝酸塩、メシル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩/トシル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、および当該クラスにおける同様のアニオンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0046】
上記の複素環式化合物は、化合物それ自体、ならびに適用できる場合にはその塩およびそれらのプロドラッグを含む。かかる塩は、例えば、化合物における正に荷電した置換基(例えば複素環または芳香族環におけるアミノ基)と、薬学的に好適なアニオンとの間で形成することができる。好適なアニオンとして、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸、硝酸、リン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸および酢酸が挙げられるがこれらに限定されない。同様に、化合物における負に荷電した置換基(例えば複素環または芳香族環上のカルボン酸基)は、カチオンと塩を形成することができる。好適なカチオンの非限定的な例は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどの有機アンモニウムイオン、ならびに他の有機カチオンである。
【0047】
本発明の化合物は、光学異性体、立体異性体、互変異性体、および回転異性体を含む異性体として存在してもよい。本発明は、式I〜Xの化合物の各々のかかる異性体、およびそれらの混合物を含む。化合物がキラル中心を有する場合、例えば、本発明は、各々の個々の異性体、ならびに、両方の異性体の等量を有するラセミ混合物を含む、両方の異性体の種々の量での混合物を含む。本発明の化合物はビアリールであるので、これらはビアリール結合に関する回転異性体として存在し得、また、各々の異性体ならびにかかる異性体の混合物も、本発明の範囲内に含まれる。
【0048】
本発明の化合物および本発明の化合物を含む組成物は、望ましくない細胞増殖により特徴付けられる状態を処置するために有用である。特に、化合物は、肉腫、類表皮がん、線維肉腫、子宮頚がん、白血病、リンパ腫、肺がん、非小細胞肺がん、結腸がん、CNSがん、メラノーマ、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん、乳がん、頭頚部がん、膵臓がん、および他のタイプの増殖性疾患を処置するために有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、Real-Time Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度の古典的な有糸分裂阻害剤であるパクリタキセルおよびビンブラスチンに対するA549細胞(ヒト非小細胞肺がん細胞系)の動的応答パターンを示した図である。
【0050】
【図2】図2は、Real-Time Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度の表8の化合物28(2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA100161)に対するA549細胞(ヒト非小細胞肺がん細胞系)の動的応答パターンを示した図である。
【0051】
【図3】図3は、Real-Time Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度のパクリタキセルおよび表8の化合物28(ACEA100161)に対するA549細胞の動的応答パターンを示した図である。明らかに、A549細胞が、表8の化合物28(ACEA100161)およびパクリタキセルに対して、同様の応答パターンを示すことが指摘し得る。
【0052】
【図4】図4は、表8の化合物28(2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA100161)の処置に対するA549細胞の処置24時間後の処置時間における用量応答曲線を示した図である。
【0053】
【図5】図5は、Real-Time Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度の表8の化合物26(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール、ACEA100160)に対するA549細胞の動的応答パターンを示した図である。
【0054】
【図6】図6は、表8の化合物26(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール、ACEA100160)の処置に対するA549細胞の処置24時間後の処置時間における用量応答曲線を示した図である。
【0055】
【図7】図7は、Real-Time Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度のパクリタキセルおよび表8の化合物26(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール、ACEA100160)に対するA549細胞の動的応答パターンを示した図である。明らかに、A549細胞が、表8のACEA 100160およびパクリタキセルに対して、同様の応答パターンを示すことが指摘し得る。
【0056】
【図8】図8は、Real-Time Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度の表8の化合物27(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA 100162)に対するA549細胞の動的応答パターンを示した図である。
【0057】
【図9】図9は、表8の化合物27(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA 100162)の処置に対するA549細胞の処置24時間後の処置時間における用量応答曲線を示した図である。
【0058】
【図10(A)】図10(A)は、種々の濃度でのACEA100162の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示した図である。(A)MCF7adr(ヒト乳腺癌)。
【図10(B)】図10(B)は、種々の濃度でのACEA100162の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示した図である。(B)(ヒト前立腺癌)。
【図10(C)】図10(C)は、種々の濃度でのACEA100162の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示した図である。(C)KB(ヒト頭頚部がん)。
【図10(D)】図10(D)は、種々の濃度でのACEA100162の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示した図である。(D)KB200(ヒト口腔上皮腫)。
【図10(E)】図10(E)は、種々の濃度でのACEA100162の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示した図である。(E)Bcap37(ヒト乳腺癌)。
【0059】
【図11(A)】図11(A)は、種々の濃度でのACEA100160の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示した図である。(A)MCF7adr(ヒト乳腺癌)。
【図11(B)】図11(B)は、種々の濃度でのACEA100160の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示した図である。(B)PC3(ヒト前立腺癌)。
【図11(C)】図11(C)は、種々の濃度でのACEA100160の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示した図である。(C)KB(ヒト頭頚部癌)。
【図11(D)】図11(D)は、種々の濃度でのACEA100160の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示した図である。(D)KB200(ヒト口腔上皮腫)。
【図11(E)】図11(E)は、種々の濃度でのACEA100160の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示した図である。(E)Bcap37(ヒト乳腺癌)。
【0060】
【図12】図12は、マウスS180癌モデルにおいて処置されたACEA100160およびACEA100162による腫瘍増殖抑制を示した図である。動物を、ACEA100160およびACEA100162で9日間処置した。
【0061】
【図13】図13は、マウスルイス肺がんモデルにおいて処置されたACEA100160およびACEA100162による腫瘍増殖抑制を示した図である。動物を、ACEA100160およびACEA100162で12日間処置した。
【発明を実施するための形態】
【0062】
発明の態様
開示の明確性のために、限定を目的とすることなく、以下の本発明の選択された態様を、下記サブセクションに分けて説明する。
【0063】
A.定義
他に定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において引用される全ての特許、出願、公開された出願および他の刊行物は、その全体が参照により組み込まれる。このセクションに記載する定義が本明細書において参照により組み込まれる特許、出願、公開された出願および他の刊行物に記載される定義に反するか、さもなくばこれらと矛盾する場合は、このセクションに記載される定義が、本明細書において参照により組み込まれる定義に優先する。
【0064】
本明細書において用いられる場合、「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1または2以上」を意味する。
用語「アルキル」は、本明細書において用いられる場合、直鎖状、分枝状または環状の構造の飽和炭化水素基を指し、特に企図されるアルキル基は、低級アルキル基(すなわち、10個またはそれ未満の炭素原子を有するもの)を含む。例示的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、3級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどである。用語「アルケニル」は、本明細書において用いられる場合、少なくとも1つの二重結合を有する、上記で定義されるようなアルキルを指す。したがって、特に企図されるアルケニル基は、2〜10個の炭素原子を有する直鎖、分枝状または環状のアルケニル基(例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルなど)を含む。同様に、用語「アルキニル」は、本明細書において用いられる場合、少なくとも1つの三重結合を有する、上記で定義されるようなアルキルまたはアルケニルを指す。特に企図されるアルキニルは、2〜10個の合計炭素原子を有する直鎖、分枝状または環状のアルキン(例えばエチニル、プロピニル、ブチニルなど)を含む。
【0065】
用語「シクロアルキル」は、本明細書において用いられる場合、環状アルカン(すなわち、炭化水素の炭素原子鎖が環を形成するもの)を指し、好ましくは、3〜8個の炭素原子を含む。したがって、例示的なシクロアルカンは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含む。シクロアルキルはまた、1個または2個の二重結合を含み、これは、「シクロアルケニル」基を形成する。シクロアルキル基はまた、さらにアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、および他の一般的な基により置換される。
【0066】
用語「アリール」または「芳香族部分」は、本明細書において用いられる場合、芳香族環系を指し、これはさらに、1または2以上の炭素ではない原子を含んでもよい。したがって、企図されるアリール基は、(例えばフェニル、ナフチルなど)およびピリジルを含む。さらに企図されるアリール基は、1または2以上の5員または6員のアリールまたは複素環基と縮合(すなわち、第1の芳香族環上で2個の原子と共有結合)していてもよく、したがって、「縮合アリール」または「縮合芳香族」と称される。
【0067】
本明細書においてまた用いられる場合、用語「複素環」、「シクロヘテロアルキル」および「複素環部分」は、本明細書において交換可能に用いられ、複数の原子が複数の共有結合を介して環を形成する、環が少なくとも1個の炭素以外の原子を含む任意の化合物を指す。特に企図される複素環基部は、5員または6員の、窒素、硫黄または酸素を非炭素原子として含む環(例えばイミダゾール、ピロール、トリアゾール、ジヒドロピリミジン、インドール、ピリジン、チアゾール、テトラゾールなど)を含む。さらに企図される複素環は、1または2以上の環または複素環に縮合(すなわち、第1の複素環上で2個の原子と共有結合)していてもよく、したがって「縮合複素環」または「縮合複素環基部」または「縮合複素環部分」と称される。
【0068】
本明細書において用いられる場合、用語「イミダゾチアゾール」または「イミダゾ−イミダゾール」または「イミダゾオキサゾール」は、本明細書において、2個の指定される複素環が、2個の複素環上の任意の2個の隣接する原子により縮合している任意の化合物を指す。
【0069】
用語「アルコキシ」は、本明細書において用いられる場合、アルコキシドと称される酸素原子に結合している直鎖または分枝状アルキルを指し、ここで、炭化水素部分は、任意の数の炭素原子を有していてよく、さらに二重または三重結合を含んでいてもよく、1個または2個の酸素、硫黄または窒素原子をアルキル鎖中に含んでもよい。例えば、好適なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロピロキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシなどを含む。同様に、用語「アルキルチオ」とは、直鎖または分枝鎖アルキルスルフィドを指し、ここで炭化水素部分は、任意の数の炭素原子を有していてもよく、二重または三重結合をさらに含んでいてもよく、1個または2個の酸素、硫黄または窒素原子をアルキル鎖中に含んでもよい。例えば、企図されるアルキルチオ基はメチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、メトキシエチルチオなどを含む。
【0070】
同様に、用語「アルキルアミノ」は、直鎖または分枝状アルキルアミンを指し、ここでアミノ窒素「N」は、1または2以上のアルキルで置換されていてもよく、炭化水素部分は、任意の数の炭素原子を有してもよく、さらに二重または三重結合を含んでもよい。さらに、アルキルアミノの水素は、別のアルキル基で置換されていてもよい。したがって、例示的なアルキルアミノ基は、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノなどを含む。
【0071】
用語「アリールオキシ」は、本明細書において用いられる場合、酸素原子に結合したアリール基を指し、ここでアリール基は、さらに置換されていてもよい。例えば好適なアリールオキシ基は、フェニルオキシなどを含む。同様に、用語「アリールチオ」とは、本明細書において用いられる場合、硫黄原子に結合したアリール基を指し、ここで、アリール基は、さらに置換されていてもよい。例えば好適なアリールチオ基は、フェニルチオ等を含む。
【0072】
用語「ハロゲン」とは、本明細書において用いられる場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
全ての上記で定義された基は、さらに1または2以上の置換基で置換されていてもよく、これも次いで置換されていてもよいことが、さらに理解されるべきである。例えば、アルキルまたはアリール中の水素原子は、アミノ、ハロ、または他の基で置換される。
【0073】
用語「置換される」とは、本明細書において用いられる場合、H原子の別の原子または基での置き換えを指す。アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、しばしば、そのような置換が化学的に意味をなす範囲まで置換される。典型的な置換基として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ハロ、=O、=N−CN、=N−OR、=NR、OR、NR、SR、SOR、SONR、NRSOR、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CONR、OOCR、COR、およびNO、ここで、各Rは独立して、H、C1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C6〜C10アリール、またはC5〜C10ヘテロアリールであり、各Rは任意に、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、NR’、SR’、SOR’、SONR’、NR’SOR’、NR’CONR’、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CONR’、OOCR’、COR’、およびNOで置換され、ここで、各R’は独立して、H、C1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリールまたはC5〜C10ヘテロアリールである。アルキル、アルケニルおよびアルキニル基はまた、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリールまたはC5〜C10ヘテロアリールにより置換されていてもよく、これらの各々は、特定の基について好適な置換基により置換されていてもよい。
【0074】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、および「ヘテロアルキニル」などは、対応するヒドロカルビル(アルキル、アルケニルおよびアルキニル)基と同様に定義されるが、用語「ヘテロ」は、1〜3個のO、SまたはNヘテロ原子またはこれらの組合せを骨格残基中に含む基を指す。したがって、対応するアルキル、アルケニル、またはアルキニル基の少なくとも1個の炭素原子は、特定されたヘテロ原子のうちの1つにより置換されて、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、またはヘテロアルキニル基を形成する。アルキル、アルケニルおよびアルキニル基のヘテロ原子についての典型的かつ好ましいサイズは、一般的に、対応するヒドロカルビル基についてのものと同じであり、ヘテロ構造上に存在し得る置換基は、ヒドロカルビル基について上に記載するものと同じである。化学的安定性の理由により、他に特定されない限り、ニトロまたはスルホニル基中のNまたはS上にオキソ基が存在する場合を除いて、かかる基は2個より多い隣接するヘテロ原子を含まない。
【0075】
「アルキル」は、本明細書において用いられる場合、シクロアルキルおよびシクロアルキルアルキル基を含むが、一方、用語「シクロアルキル」は、本明細書において、環の炭素原子を介して結合した炭素環式の非芳香族基を表すように用いられ得、「シクロアルキルアルキル」は、アルキルリンカーを介して分子に結合された炭素環式の非芳香族基を表すものとして用いられ得る。同様に、「ヘテロシクリル」は、少なくとも1個のヘテロ原子を環員として含み、環の原子(これはCまたはNであってもよい)を介して分子に結合された非芳香族環状基を表すものとして用いられ得;および「ヘテロシクリルアルキル」は、別の分子にリンカーを介して結合されたかかる基を表すものとして用いられ得る。シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキル基について好適なサイズおよび置換基は、アルキル基について上記したものと同じである。本明細書において用いられる場合、これらの用語はまた、環が芳香族でない限りにおいて、1個または2個の二重結合を含む環を含む。
【0076】
本明細書において用いられる場合、「アシル」は、カルボニル炭素原子の2つの利用可能な結合価位置のうちの1つで結合したアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアリールアルキルラジカルを含む基を包含し、ヘテロアシルとは、カルボニル炭素以外の少なくとも1個の炭素が、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子により置換されている、対応する基を指す。したがって、ヘテロアシルは、例えば、−C(=O)ORおよび−C(=O)NR、ならびに−C(=O)−ヘテロアリールを含む。
【0077】
アシルおよびヘテロアシル基は、カルボニル炭素原子の空いている結合価を介して任意の基または分子と結合する。典型的に、これらはC1〜C8アシル基であり、これはホルミル、アセチル、ビバロイル、およびベンゾイル、およびC2〜C8ヘテロアシル基を含み、これは、メトキシアセチル、エトキシカルボニル、および4−ピリジノイルを含む。アシルまたはヘテロアシル基を含むヒドロカルビル基、アリール基、およびかかる基のヘテロ構造は、本明細書においてアシルまたはヘテロアシル基の対応する成分の各々について一般的に好適な置換基として記載される置換基で置換されていてもよい。
【0078】
「芳香族」部分または「アリール」部分は、周知の芳香族性の特徴を有する単環式または縮合二環式部分を指す。例として、フェニルおよびナフチルが挙げられる。同様に、「複素芳香族」または「ヘテロアリール」は、O、SおよびNから選択される1または2以上のヘテロ原子を環員として含む、かかる単環式または縮合二環式の環系を指す。ヘテロ原子の包含は、5員環において、ならびに6員環において、芳香族性を許容する。典型的な複素芳香族系として、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、およびイミダゾリルなどの単環式C5〜C6芳香族基、ならびに、これらの単環式基の1つを、フェニル環と、または複素芳香族単環式基のいずれかと縮合させて、インドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソキノリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ピラゾロピリジル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニルなどのC8〜C10二環式基を形成することにより形成した縮合二環式部分を含む。環系全体の電子分布に関して芳香族性の特徴を有するあらゆる単環式または縮合環二環式系が、この定義に含まれる。これはまた、少なくとも分子の残りに直接結合する環が芳香族性の特徴を有する二環式基を含む。典型的には、環系は、5〜12個の環員原子を含む。好ましくは、単環式ヘテロアリールは、5〜6個の環員を含み、二環式へテロアリールは、8〜10個の環員を含む。
【0079】
アリールおよびヘテロアリール部分は、C1〜C8アルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、C5〜C12アリール、C1〜C8アシル、およびこれらのヘテロ構造を含む種々の置換基で置換されていてもよく、これらの各々は、適切な置換基でさらに置換されていてもよい。アリールおよびヘテロアリール部分のための他の置換基として、ハロ、O((CHO)R(ここで、各pは独立して1〜4であり、qは1〜6である)、OR、NR、SR、SOR、SONR、NRSOR、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CONR、OOCR、COR、およびNOが挙げられ、ここで各Rは独立して、H、C1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8ヘテロシクリル、C6〜C10アリール、C5〜C10ヘテロアリール、C7〜C12アリールアルキル、またはC6〜C12ヘテロアリールアルキルであり、各Rは任意に、アルキル基について上記したように置換される。アリールまたはヘテロアリール基上の置換基は、勿論、かかる置換基の各々のタイプについてまたは置換基の各々の成分について好適であるものとして本明細書において記載される基で、さらに置換されていてもよく;かかる置換基は、ハロ、CF、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルコキシから選択される1または2以上の置換基で置換されていてもよい。したがって、例えばアリールアルキル置換基は、アリール部分において、アリール基について典型的なものとして本明細書において記載される置換基で置換されていてもよく、これは、さらにアルキル部分において、アルキル基について典型的または好適なものとして本明細書において記載される置換基でさらに置換されていてもよい。
【0080】
同様に、「アリールアルキル」および「ヘテロアリールアルキル」は、アルキレンなどの、置換された、または未置換の、飽和または不飽和の、環式または非環式リンカーを含む結合基を介してそれらの結合部位に結合している、芳香族環系および芳香族複素環系を指す。典型的には、リンカーは、C1〜C8アルキルまたはそのヘテロ形態である。これらのリンカーはまた、カルボニル基を含んでもよく、したがって、それらは、アシルまたはヘテロアシル部分として置換基を提供することができる。アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基中のアリールまたはヘテロアリール環は、アリール基について上記したものと同じ置換基で置換されていてもよい。好ましくは、アリールアルキル基は、アリール基について上記した基、および、未置換の、または1個または2個のC1〜C4アルキル基もしくはヘテロアルキル基で置換されたC1〜C4アルキレンにより任意に置換された、フェニル環を含み、ここで、アルキルまたはヘテロアルキル基は、任意に環化してシクロプロパン、ジオキソラン、またはオキサシクロペンタンなどの環を形成していてもよい。同様に、ヘテロアリールアルキル基は、好ましくは、アリール基上の典型的な置換基として上記した基、および、未置換の、またはC1〜C4アルキル基もしくはヘテロアルキル基で置換されたC1〜C4アルキレンで任意に置換された、C5〜C6単環式ヘテロアリール基を含むか、あるいは、これは任意に置換されたフェニル環またはC5〜C6単環式ヘテロアリール、および、未置換の、または1個もしくは2個のC1〜C4アルキルもしくはヘテロアルキル基で置換された、C1〜C4ヘテロアルキレンを含み、ここでアルキルまたはヘテロアルキル基は、任意に環化して、シクロプロパン、ジオキソラン、またはオキサシクロペンタンなどの環を形成していてもよい。
【0081】
アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基が任意に置換されるものとして記載される場合、置換基は、基のアルキルまたはヘテロアルキルのいずれかの部分上にあるか、またはアリールまたはヘテロアリール部分上にある。アルキルまたはヘテロアルキル部分上に任意に存在する置換基は、アルキル基について一般的に上記したものと同じである。アリールまたはヘテロアリール部分上に任意に存在する置換基は、アリール基について一般的に上記したものと同じである。
【0082】
「アリールアルキル」基は、本明細書において用いられる場合、未置換の場合はヒドロカルビル基であり、環およびアルキレンまたは同様のリンカー中の炭素原子の合計数により記載される。したがって、ベンジル基はC7アリールアルキル基であり、フェニルエチルはC8アリールアルキルである。
上記の「ヘテロアリールアルキル」は、結合基を介して結合されるアリール基を含む部分を指し、「アリールアルキル」とは、アリール部分の少なくとも1個の環原子または結合基中の1個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である点において異なる。ヘテロアリールアルキル基は、環および結合されたリンカー中の原子の合計数により本明細書において記載され得、ヘテロアルキルリンカーを介して結合されたアリール基;アルキレンなどのヒドロカルビルリンカーを介して結合されたヘテロアリール基;およびヘテロアルキルリンカーを介して結合されたヘテロアリール基を含む。したがって、例えば、C7ヘテロアリールアルキルは、ピリジルメチル、フェノキシ、およびN−ピロリルメトキシを含む。あるいは、かかる基は、他に、例えばC5〜C6アリール−C1〜C2−アルキルとして、記載され得、これは、C1〜C2リンカーを介して基部分子に結合された5〜6員アリール環を指し得る。
【0083】
「アルキレン」は、本明細書において用いられる場合、二価のヒドロカルビル基を指す。これは、二価であるため、2個の他の基を同時に結合することができる。典型的には、これは、−(CH−を指し、ここで、nは1〜8であり、好ましくはnは1〜4であるが、特定される場合には、アルキレンもまた他の基により置換されていてもよく、他の長さであってもよく、空いている結合価は、鎖の反対の終端にある必要はない。したがって、−CH(Me)−および−C(Me)−もまたアルキレンとして言及され、シクロプロパン−1,1−ジイルなどの環状基も同様である。アルキレン基が置換される場合、置換基は、本明細書において上記載した、アルキル基上に典型的に存在するものを含む。
【0084】
一般に、置換基に含まれる任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、もしくはアリールまたはアリールアルキル基、あるいはこれらの基の1つの任意のヘテロ構造は、それ自体がさらなる置換基により置換されていてもよい。これらの置換基の性質は、置換基が他に記載されない場合は、一次置換基自体に関して記載されたものと同様である。したがって、例えばRの態様がアルキルである場合、このアルキルは、それが化学的意味をなす場合であって、かつ、アルキル自体について提供されたサイズ制限を損なわない場合は、Rのための態様として列記される残りの置換基により任意に置換されていてもよい。例えば、アルキルまたはアルケニルで置換されたアルキルは、これらの態様について、単に炭素原子の上限を拡大するものであり、含まれない。しかし、アリールアミノ、アルコキシ、=Oなどにより置換されたアルキルは、本発明の範囲内に含まれ、これらの置換基の原子は、記載されるアルキル、アルケニルなどの基を記載するために用いられる数にカウントされない。置換基の数が特定されない場合、各々のかかるアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、またはアリール基は、その利用可能な結合価に従った数の置換基で置換されていてもよい。特に、これらの基のいずれも、例えばその利用可能な結合価のいくつかまたは全てにおいてフッ素原子で置換されていてもよい。
【0085】
特に企図される官能基として、求核基(例えば−NH、−OH、−SH、−NCなど)、求電子基(例えばC(O)OR、C(X)OHなど)、極性基(例えば−OH)、非極性基(例えば複素環、アリールアルキル、アルケニル、アルキニルなど)、イオン性基(例えば−NH3+)、およびハロゲン(例えば−F、−Cl)、NHCOR、NHCONH、OCHCOOH、OCHCONH、OCHCONHR、NHCHCOOH、NHCHCONH、NHSOR、OCH−複素環、POH、SOH、アミノ酸、および全ての化学的に妥当なこれらの組合せが挙げられる。さらに、用語「置換される」はまた、多重の置換(multiple degree of substitution)を含み、複数の置換基が開示されるかまたは請求の範囲に記載される場合、置換された化合物は、独立して、1または2以上の開示されるかまたは請求の範囲に記載される置換部分により置換されていてもよい。さらに、本明細書において用いられる用語「一/二/三/四置換」とは、1、または2、または3、または4個の上記の官能基が、芳香族環もしくは複素環または縮合芳香族部分もしくは複素環部分上で、かかる複数の官能基が芳香族部分または複素環部分のオルトまたはパラまたはメト位のいずれかの組合せにおいて置換されているものを指す。
【0086】
一部の好ましい態様において、WはSであり、WはNである。特定の態様において、WはSである。一部の態様において、AはNRである。
多くの態様において、ZはCH−フェニルまたはフェニルであり、ここでフェニル環は、任意に置換されている。これらの態様における好ましいフェニル置換基は、ハロ、C1〜C4アルコキシ、OH、C1〜C4アルキル、または、=Oで、もしくはF、Cl、CN、CF、Br、NRR、COOR、およびCONRRの1または2以上で置換されたC1〜C4アルキルを含み、ここで、Rは、上記で示される好ましいZ基構造について定義されるとおりである。
【0087】
B.複素環式化合物およびその医薬組成物
B.1.代表的な化合物:
いくつかの代表的な化合物を表1〜7に列記する。
【0088】
表1.代表的な置換チアゾールイミダゾチアゾール誘導体
【表1】

【0089】
R=H、F、Cl、Br、I、Me、Et、プロピル、Bu、CF、OMe、OEt、OiPr、OCF、COCH、NO、NMe、NEt、NHCOMe、SONH、SONHPh、SONH−チアゾール、SONH−オキサゾール、SONH−ピリジン、NH、OH、SMe、SEt。
【0090】
表2.代表的な置換チアゾールイミダゾピリミジン誘導体
【表2】

【0091】
R=H、F、Cl、Br、I、Me、Et、プロピル、Bu、CF、OMe、OEt、OiPr、OCF、COCH、NO、NMe、NEt、NHCOMe、SONH、SONHPh、SONH−チアゾール、SONH−オキサゾール、SONH−ピリジン、NH、OH、SMe、SEt。
【0092】
表3.代表的なフッ素置換誘導体
【表3】

【0093】
表4.代表的な置換アルコキシエーテル化合物
【表4】

【0094】
表5.代表的なメトキシPEG単位置換化合物
【表5】

【0095】
表6.代表的なPEG単位置換化合物
【表6】

【0096】
表7.代表的な環単位置換化合物
【表7】

【0097】
B.2.例示的合成:
例示的な化合物を、スキームI、II、およびIVにおいて図示される経路により合成した。当業者は、当該技術分野からの公知の方法を、利用可能な出発材料から本発明の化合物を製造するために用い、改変してもよい。本発明の範囲内の化合物のためのさらなる合成方法は、例えばHayakawa et al., Biorg. Med. Chem. Vol. 15、403-12 (2007);Ermolat’ev、et al., J. Comb. Chem. Vol. 8, 659-63 (2006);Carballares, et al., Tetrahedron Lett., vol. 48, 2041-45 (2007);およびRupert, et al., Biorg. Med. Chem. Lett., vol. 13, 347-50 (2003)において開示される。
【0098】
【化19】

【0099】
1−(2−メチルイミダゾール[1,2−a]ピリミジン−3−イル)エタノン(4)の合成。
3−クロロ−2,5−ペンタンジオン(2)(106mL、119g、887mmol、1.2eq)を、650mLの無水エタノール中に溶解した。2−アミノピリミジン(1)(71.5g×97%=69.36g、729mmol)を上記の攪拌された溶液に添加した。生じた混合物を、40時間、油浴にて、100〜105℃の温度で環流した。黒色の反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液(〜500mL)で少しずつ(in portions)処理し、フラスコを揺すってよく混合した。混合物をジクロロメタン(×6)で抽出した。抽出物を、重炭酸ナトリウム溶液および塩水で洗浄した。有機相を乾燥させて濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(7×30cm)上でのフラッシュクロマトグラフィーにより、n−ヘキサン−エチルアセテート(3:1、2:1、1:1、1:2および0:1)および次いでジクロロメタン−メタノール(30:1、20:1、10:1および5:1)を用いる勾配溶離により精製した。生成物画分を回収し(TLC、R0.36、100%酢酸エチル)、濃縮し、明黒色固体を得た。生成物を含む他の画分を回収し、再度同じ方法で再精製した。27.84g(21.8%)の最終生成物を得た。生成物の一部を、少量のアセトニトリルから再結晶化させ、赤色〜明褐色の結晶4を得た(融点255.6〜256.6℃)。
【数1】

【0100】
2−ブロモ−1−(2−メチルイミダゾール[1,2−a]ピリミジン−3−イル)エタノン モノヒドロブロミド(5)の合成(臭素化)
1−(2−メチルイミダゾール[1,2−a]ピリミジン−3−イル)エタノン(4)(1.75g、10mmol)を、20mLの氷酢酸中で、穏和にフラスコを暖めることにより溶解し、これを次いで室温まで冷却した。4mLの酢酸中の臭素の溶液(0.6mL、1.85g、11.5mmol、1.15eq)を上記の攪拌した反応混合物に室温で30分より長い時間をかけてゆっくりと添加した。(注意:臭素は腐食性が高い。臭素の取り扱いは、よく喚起されたドラフト内で非常に注意深く行う必要がある。操作を行う者には長いグローブまたは2重のグローブが必要である。皮膚への飛沫または蒸気の吸入は絶対に避けられたい。)添加を完了する前に、少量の固体が沈殿した。反応混合物を、油浴にて100〜110℃の温度で3時間攪拌し、次いで室温で一晩攪拌した。固体を濾過し、アセトンで数回洗浄し、アセトン洗浄の間に時々無水エタノールで洗浄した。淡褐色の固体を、少量のエタノールを含むアセトンを用いて処理(take up)し、混合物を室温で5時間より長く攪拌した。固体を濾過し、固体を上記のように洗浄した(より大きなスケールの場合、もう一度の処理および洗浄のサイクルが推奨される)。真空下で乾燥した後、2.43g(72.5%)の淡褐色の粉末固体生成物5を、モノヒドロブロミド塩として得た。250℃より上で分解した。TLC、R0.42(100%酢酸エチル)。
【数2】

【0101】
1−ベンゾイル−3−[4−(エトキシフェニル)]チオウレア(9)の合成
[参考文献:ARKIVOC 2003, 434-442、Bioorg. Med. Chem. 2000, 2663]。塩化ベンゾイル(6)(14.0mL、16.95g、120mmol)を、室温で、100mLのアセトン中のアンモニウムチオシアネートの攪拌された溶液(10.26g、135mmol、1.125eq)に滴下した。少量の白色固体が沈殿した。反応混合物を5分間加熱還流した(油温〜65〜70℃)。このようにして得たベンゾイルイソチオシアネート(7)を、精製することなく次の工程に直接用いた。25mLのアセトン中の4−エトキシアニリン(8)の溶液(17.0mL、18.1g、132mmol、1.1eq)を、上記の攪拌された反応混合物に、まだ油浴(65〜70℃)においたままで、ゆっくりと添加した。発熱反応を考慮し、添加は、非常にゆっくりと、1時間ほどかけて行う必要がある。多量の白色固体が沈殿した。反応混合物を手で揺すってさらに5分間還流した。冷却した反応混合物を、氷水中に注いだ。固体を濾過し、水で3回洗浄した。固体をエタノール(〜1.6L)から再結晶化させ、所望の生成物9を淡黄色の長針状物として、36g(99%)の収率で得た(融点151.0〜153.5℃)。
【0102】
(p−エトキシフェニル)チオウレア(10)の合成
水酸化ナトリウム水溶液(1M、60mL、60mmol、1.2eq)を、350mLのエタノール中の1−ベンゾイル−3−[4−(エトキシフェニル)]チオウレア(9)(16.5g、55mmol)の攪拌された混合物に添加した。反応混合物を1時間還流し、冷却して濃縮した。白色固体を水(〜200mL)で処理した。固体を濾過して水で洗浄した。粗結晶生成物をエタノールから再結晶化し、濾過し、真空下で乾燥して、7.66g(71.0%)の所望の生成物10を得た(融点176.5〜178.5℃)。TLC、R0.45(n−ヘキサン−酢酸エチル:1:1)。
【数3】

【0103】
2−(4−エトキシフェニルアミノ)−4−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾールモノヒドロブロミド(11)の合成(チアゾール環への環化)
140mLの無水エタノール中の2−ブロモ−l−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)エタノンモノヒドロブロミド(5)(2.43g、7.25mmol)と(p−エトキシフェニル)チオウレア(10)(1.40g、7.1mmol)との混合物を、攪拌しながら15時間環流した(油浴温度〜105℃)。これを次いで、室温で6時間または一晩攪拌した。固体を濾過し、アセトンで洗浄した。粗軟性結晶(crude soft crystal)をアセトン−エタノール(3:1)で処理し、室温で6時間より長くまたは一晩攪拌した。固体を濾過し、上記のように洗浄した。粗生成物をアセトン−エタノール(3:1)で処理し、室温で6時間より長く攪拌した。粗生成物を濾過し、洗浄し、メタノールから再結晶化した。メタノール溶液を高温の間に濾過して黒色の塵(dust)を除去し、次いで加熱して溶液にした。黄色結晶を濾過して洗浄した。これを、メタノールから2回再結晶化し、真空下で緩衝して、所望の生成物11を、長い軟性の黄色針状物として、収率1.55g(50.5%)で得、これは240℃より上で分解した。TLC R0.32(ジクロロメタン−メタノール:20:1);R0.46(1%水酸化アンモニウム水溶液を含むジクロロメタン−メタノール:20:1);R0.30(100%酢酸エチルX2)。HPLC純度:99%。
【数4】

表2〜7に列記される代表的な誘導体は、同様の手順を利用して公知のまたは容易に入手可能な出発材料から容易に合成される。
【0104】
化合物11(HBr塩)からの中性化合物の製造
HBr塩をメタノール中に懸濁し、過剰量の重炭酸ナトリウムを添加し、懸濁された化合物の塩が完全に溶解するまで激しく攪拌する。過剰量の無機塩を濾別する。溶液を濃縮し、残渣をメタノールから再結晶化して、淡黄色の結晶物質を中性化合物として得た。
【0105】
異なる塩の製造。得られた中性化合物および1当量の選択した酸。溶液を濃縮し、残渣をアルコールから再結晶化し、上記のように選択されたアニオンとの所望の塩を得る。
【0106】
【化20】

【0107】
1−ベンゾイル−3−[4−(ブロモフェニル)]チオウレア(13)の合成
塩化ベンゾイル(6)(14.0mL、16.95g、120mmol)を、100mLのアセトン中のアンモニウムチオシアネート(10.26g、135mmol、1.125eq)の溶液に、室温で滴下した。少量の白色固体が沈殿した。反応混合物を5分間加熱還流した(油温〜65〜70℃)。このようにして得られたベンゾイルイソチオシアネート(7)を、精製することなく次の工程に直接用いた。50mLのアセトン中の4−ブロモアニリン(12)(22.71g、132mmol、1.1eq)の溶液を、上記の反応混合物に、まだ油浴(65〜70℃)においたままで、ゆっくりと添加した。発熱反応を考慮して、反応は非常にゆっくりと1時間ほどかけて行う必要がある。多量の白色固体が沈殿した。反応混合物を手で揺すって、さらに5分間還流した。冷却した反応混合物を氷水に注いだ。固体を濾過し、3回水で洗浄した。固体をエタノール(〜2L)から再結晶化し、所望の生成物13を、淡黄色の結晶として、収率32.2g(80.5%)で得た(融点150.0〜152.7℃)。
【0108】
(p−ブロモフェニル)チオウレア(14)の合成
水酸化ナトリウム水溶液(1M、96mL、96mmol、1.2eq)を、500mLのエタノール中の1−ベンゾイル−3−[4−(ブロモフェニル)]チオウレア(13)(26.72、80mmol)の攪拌された混合物に添加した。反応混合物を1時間還流し、冷却して濃縮した。白色固体を水(〜300mL)で処理した。固体を濾過し、水で洗浄した。粗結晶生成物を、エタノールから再結晶化し、濾過し、真空下で乾燥させて、12.7g(70%)の所望の生成物14、TLC、R0.45(n−ヘキサン−酢酸エチル:1:1を得た。融点187.8〜189.2℃。
【0109】
2−(4−ブロモフェニルアミノ)−4−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール モノヒドロブロミド(15)の合成(チアゾール環への環化)
80mLの無水エタノール中の2−ブロモ−l−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)エタノンモノヒドロブロミド(5)(1.28g、3.8mmol)と(p−ブロモフェニル)チオウレア(14)(0.88g、3.8mmol)との混合物を、攪拌しながら20時間還流した(油浴温度〜105℃)。これを次いで、室温で6時間攪拌した。固体を濾過し、アセトンで洗浄した。粗軟結晶をアセトン−エタノール(3:1)で処理し、室温で6時間より長く攪拌した。固体を濾過し、上記のとおり洗浄した。粗生成物をアセトン−エタノール(3:1)で処理し、室温で6時間より長く攪拌した。粗生成物を濾過し、洗浄し、メタノールから再結晶化した。メタノール溶液を、まだ高温のうちに濾過することで黒色の塵を除去し、次いで加熱して溶液とした。粗生成物を濾過し、洗浄した。これを、メタノールからさらに2回再結晶化し、真空下で乾燥して、所望の生成物15を淡黄色結晶として1.448g(81%)の収率で得た。TLC R0.25(ジクロロメタン−メタノール:20:1);R0.28(100%酢酸エチル、X2)。
【数5】

【0110】
表2〜7に列記される代表的な誘導体は、同様の手順を用いて、公知の、または容易に入手し得る出発材料から、容易に合成される。
中性の化合物を、上記のとおり製造する。
他の塩を、上記のとおり製造する。
【0111】
本発明の化合物は、公知の合成方法の改変により、公知の、または入手可能な出発材料から製造することができる。いくつかの例示的な化合物は、スキームIIIおよびIVに図示するように合成する。生成物または生成物を製造するための前駆物質を製造するために用いることができるさらなる方法は、例えば、Andreani, et al, J. Med. Chem. vol. 49, 7897-7901 (2006)、Nafziger, et al., Cvtotechnology, vol. 6, 227-32 (1991)、Andreani, et al., ARKIVOC 2004(v) 76- 84、Andreani, et al., Bioorg. Med. Chem., vol. 8, 2359-66 (2000)、Saldabol, et al., Engl. Transl. of Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii, no. 1, 55-61 (1975)、Andreani, et al., Collect. Czech. Chem. Commun., vol. 65, 267-79 (2000)、およびAndreani, et al., Bioorg. Med. Chem., vol 12, 5525-32 (2004)に開示される。
【0112】
【化21】

【0113】
1−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)エタノン(17)の合成
2−アミノチアゾールを、無水エタノールから再結晶化し、濾過し、使用する前に乾燥させた。180mLの無水エタノール中の2−アミノチアゾール(16)(20.9g、202.4mmoL)および3−クロロ−2,5−ペンタンジオン(2)(33.7g、97%、242.9mmol、1.2eq)の溶液を、72時間油浴中で還流した。黒色の反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液で少しずつ処理し、次いで、ジクロロメタンで抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラム上のフラッシュクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン−メタノール(80:1)を用いて精製した。生成物画分を回収し(TLC、R0.60中性形態;R=0.5塩形態、ジクロロメタン−メタノール40:1)、濃縮して、1.6gの中性形態および3.2gの塩形態の白色固体生成物17を、11.7%の収率で得た。
【数6】

【0114】
2−ブロモ−1−(6−メチルイミダゾ[2,l−b]チアゾール−5−イル)エタノンヒドロブロミド(18)の合成
1−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)エタノン(17)(0.54g、3.0mmol)を、7mLの氷酢酸中で溶解した。3mLの氷酢酸中の臭素(0.18mL、0.56g、3.5mmol)の溶液を、上記の攪拌された溶液にゆっくりと30分以内に添加した。少量の黄色固体が現れた。混合物を、攪拌しながら3時間加熱還流し、次いで、室温で一晩攪拌した。固体を濾過し、アセトンで3回洗浄した。各々の洗浄について3〜5時間の攪拌が必要であった。固体を濾過し、真空下で乾燥して、0.73g(71.6%)の白色固体の所望の生成物18を得た。
【0115】
2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,l−b]チアゾール−5−イル)−チアゾール モノヒドロブロミド(19)の合成
10mLび無水エタノール中の2−ブロモ−l−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)エタノン臭化水素酸塩(18)(0.73g、2.0mmol)および(p−ブロモフェニル)チオウレア(14)(0.50g、2.0mmol)の混合物を、攪拌しながら20時間還流し、次いで室温まで冷却した。固体を濾過した。粗白色固体生成物を、メタノールから再結晶化した。メタノール溶液を、まだ高温のうちに濾過して存在し得る塵を除去し、次いで加熱して溶液とした。これをメタノールからさらに2回再結晶化し、真空下で乾燥させて、所望の生成物19を白色固体として、0.34g(36%)の収率で得た。HPLC精製度98.49%、融点>250℃。
【数7】

【0116】
2−(4−エトキシルフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,l−b]チアゾール−5−イル)−チアゾールモノヒドロブロミド(20)の合成
40mLの無水エタノール中の2−ブロモ−l−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)エタノンヒドロブロミド(18)(2.20g、6.5mmol)と(p−エトキシフェニル)チオウレア(10)(1.30g、6.5mmol)との混合物を、攪拌しながら20時間還流し、次いで室温まで冷却した。固体を濾過した。粗白色生成物を、メタノールから再結晶化した。メタノール溶液を、まだ高温のうちに濾過して、存在し得る塵を除去し、次いで加熱して溶液にした。これをメタノールからさらに2回再結晶化し、真空下で乾燥させて、所望の生成物20を白色固体として、収率0.64g(22.4%)で得た。HPLC精製率97.81%、融点>240℃。
【数8】

【0117】
表1および3〜7に列記される代表的な誘導体は、同様の手順を用いて、公知の、または容易に入手し得る出発材料から、容易に合成される。中性化合物は上記のとおり製造される。他の塩は上記のとおり製造される。
【0118】
アルキルオキシおよび置換アルキルオキシ誘導体化合物25および26もまた、スキームIVおよびVに従って、パラレルラストコンビナトリアル(parallel last combinatorial)アプローチを利用して合成することができる。
【化22】

【0119】
中間体臭素5を、チオウレア21で、上記の11および15の合成と同じ手順を用いて濃縮する。生じる化合物22を、臭素、ヨウ素またはトシレートなどの反応性求電子剤と、塩基性条件下において反応させ、所望の生成物23を得る。
【化23】

【0120】
中間体臭素18を、チオウレア21で、上記の19および20の合成と同じ手順を用いて濃縮する。生じる化合物24を、臭素、ヨウ素またはトシレートなどの反応性求電子剤と、塩基性条件下において反応させ、所望の生成物25を得る。
【0121】
B.3.製剤:
本明細書において記載される化合物の任意の好適な製剤を製造することができる。化合物が、安定な非毒性の酸または塩基の塩を形成するのに十分に塩基性または酸性である場合、塩としての化合物の投与が適切であることがある。薬学的に許容し得る塩の例は、薬学的に許容し得るアニオンを形成する酸、例えばトシル酸、メタンスルホン酸、酢酸、クエン酸、マロン酸、酒石酸、コハク酸、安息香酸、アスコルビン酸、α−ケトグルタル酸およびα−グリセロリン酸、を用いて形成される有機酸付加塩である。好適な無機塩もまた形成することができ、これは、塩酸、硫酸、硝酸、重炭酸および炭酸の塩を含む。薬学的に許容し得る塩は、当該分野において周知の標準的な手順を用いて、例えば、アミンなどの十分に塩基性の化合物を好適な酸と接触させ、生理学的に許容し得る塩を得ることにより得られる。カルボン酸のアルカリ金属(例えばナトリウム、カリウムもしくはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えばカルシウム)の塩もまた包含され、従来の方法により製造される。
【0122】
本発明はまた、少なくとも1つの薬学的に許容し得る賦形剤と混合された少なくとも1つの本発明の化合物を含む、医薬組成物を包含する。好ましくは、少なくとも1つのかかる賦形剤は、水以外の賦形剤、またはC1〜C3アルコールまたはジメチルスルホキシドである。
【0123】
本発明の化合物を、経口、局所、経皮または吸入もしくは注射を含む、従来の経路により投与することができる。本発明の化合物は、当業者により公知の方法を参照して製剤化することができ、製剤は、意図される投与経路に応じて適合させることができる。有機化合物を製剤するための好適な方法は、例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第18版(1990年)に記載され、これは本明細書に参照により組み込まれる。
【0124】
これらの化合物を医薬組成物で投与する場合、化合物が薬学的に許容し得る担体との混合物において製剤化され得ることが企図される。例えば、企図される化合物は、経口で薬学的に許容し得る塩として投与しても、または生理食塩水溶液中で静脈内で投与してもよい。この目的のために、リン酸、重炭酸またはクエン酸などの従来の緩衝化剤を用いてもよい。勿論、当業者は、特定の投与経路のための多くの製剤を提供するために、明細書の教示内において製剤を改変することができる。特に、企図される化合物は、水または他のビヒクル中でのそれらの可溶性を高めるために改変されてもよく、これは、例えば、十分に当該分野における通常の技術の範囲内である小規模な改変(塩形成、エステル化など)により、容易に達成することができる。患者における最も有利な効果のために本発明の化合物の薬物動態を管理するために、特定の化合物の投与経路および投薬レジメンを改変することもまた、当該分野における通常の技術の範囲内である。
【0125】
式I〜Xを有する化合物は、本明細書において記載される場合、一般に、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、エタノール−メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、グリセロール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒中で可溶性である。一態様において、本発明は、式I〜Xを有する化合物を有する化合物を薬学的に許容し得る担体と混合することにより製造される製剤を提供する。一局面において、製剤は、a)記載された化合物を、水溶性有機溶媒、非イオン性溶媒、水溶性脂質、シクロデキストリン、トコフェロールなどのビタミン、脂肪酸、脂肪酸エステル、リン脂質、またはこれらの組合せ中で溶解し、溶液を得ること;およびb)塩水または1〜10%の炭水化物溶液を含む緩衝液を添加すること、を含む方法を用いて製造することができる。一例において、炭水化物は、デキストロースを含む。本発明の方法を用いて得られる医薬組成物は、安定であり、動物および臨床への応用に有用である。
【0126】
本発明の方法における使用のための水溶性有機溶媒の説明のための例として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ポリエチレングリコール(PEG)、アルコール、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、またはこれらの組合せ。好適なアルコールの例として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、またはプロピレングリコール。
【0127】
本発明の方法における使用のための水溶性の非イオン性界面活性剤の説明のための例として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:CREMOPHOR(登録商標)EL、ポリエチレングリコール修飾CREMOPHOR(登録商標)(ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35)、水素化CREMOPHOR(登録商標)RH40、水素化CREMOPHOR(登録商標)RH60、PEG−コハク酸、ポリソルベート20、ポリソルベート80、SOLUTOL(登録商標)HS(ポリエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート)、ソルビタンモノラウレート、ポロキサマー、LABRAFIL(登録商標)(エトキシル化杏仁油)、LABRASOL(登録商標)(カプリル−カプロイルマクロゴール−8−グリセリド)、GELUCIRE(登録商標)(グリセロールエステル)、SOFTIGEN(登録商標)(PEG 6カプリル酸グリセリド)、グリセリン、グリコール−ポリソルベート、またはこれらの組合せ。
【0128】
本発明の方法における使用のための水溶性の可溶性脂質の説明のための例として、植物性油(vegetable oil)、トリグリセリド、植物油(plant oil)、またはこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。脂質油(lipid oil)の例として、ヒマシ油、ポリオキシルヒマシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、ピーナッツ油、ペパーミント油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、水素化植物性油、水素化大豆油、ココナッツ油のトリグリセリド、パームシード油、およびこれらの水素化形態、またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
本発明の方法における使用のための脂肪酸および脂肪酸エステルの説明のための例として、オレイン酸、モノグリセリド、ジグリセリド、PEGのモノ−またはジ−脂肪酸エステル、またはこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の方法における使用のためのシクロデキストリンの説明のための例として、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−ベータシクロデキストリン、またはスルホブチルエーテル−ベータシクロデキストリンが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の方法における使用のためのリン脂質の説明のための例として、大豆ホスホチジルコリン、またはジステアロイルホスホチジルグリセロール、およびこれらの水素化形態、またはこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0130】
当業者は、製剤を、特定の投与経路のための多数の製剤を提供するために、明細書の教示内において改変することができる。特に、化合物は、水または他のビヒクル中でのその可溶性を高めるために改変することができる。患者における最も有利な効果のために本発明の化合物の薬物動態を管理するために、特定の化合物の投与経路および投薬レジメンを改変することもまた、当該分野における通常の技術の範囲内である。
【0131】
C.本発明の化合物およびその医薬組成物を用いる方法
C1.本発明の化合物を用いる方法
本発明の化合物は、がんまたは他のタイプの増殖性疾患を処置するうえで、細胞傷害剤および/または細胞分裂阻害剤として用いることができる。これらの化合物は、任意のタイプの作用機構を介して機能することができる。例えば、化合物は、分子および/またはシグナル伝達経路を阻害し、細胞周期をG2/M期で停止させることができ、これは、最終的に、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する(例えば、Weung et al. (1997) Biochim. Biophys. Res. Comm., vol: 263, pp 398-404を参照)。別の例において、化合物は、チューブリンの集合/解離を妨げることができ、これは、細胞の有糸分裂を阻害し、細胞のアポトーシスを誘導し得る(例えば、Panda et al., (1997) Proc. Natl. Acad. ScL USA, vol: 94, 10560- 10564を参照)。化合物はまた、上皮細胞の増殖および血管新生作用を阻害することができる(例えば、Witte et al., 1998, Cancer Metastasis Rev, vol. 17: 155- 161)。
【0132】
別の局面において、本発明は、哺乳動物における、肉腫、類表皮がん、線維肉腫、子宮頚がん、白血病、リンパ腫、肺がん、非小細胞肺がん、結腸がん、CNSがん、メラノーマ、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん、乳がん、頭頚部がん、膵臓がんおよび他のタイプの増殖性疾患を含むがこれらに限定されない全ての組織または器官に発するがんの処置の方法を対象とし、該方法は、式I〜Xを有する化合物の治療有効量を、細胞傷害剤および/または細胞分裂阻害剤として、かかる処置を必要とする前記対象に、少なくとも1回の処置において、投与することを含む。
【0133】
さらに別の局面において、本発明は、白血病、リンパ腫、肺がん、結腸がん、CNSがん、メラノーマ、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がんまたは乳がんおよび他のタイプの増殖性疾患を含むがこれらに限定されない全ての組織または器官に発するがんの処置のための医薬組成物を製造するための方法を対象とし、該方法は、式I〜Xを有する化合物の治療有効量を、薬学的に許容し得る担体と混合することを含む。
【0134】
本発明の方法を実施するために、式I〜Xを有する化合物およびこれらの医薬組成物を、経口で、非経口で、吸入スプレーにより、局所で、経直腸で、経鼻で、口腔から、経膣で、移植リザーバ、または他の薬物投与方法を介して投与することができる。用語「非経口」とは、本明細書において用いられる場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、髄腔内、病巣内および脳内注射または注入の技術を含む。一部の態様において、本発明の化合物は、注射により、すなわち非経口で送達される。一部の態様において、好ましい投与経路は、静脈内または腹腔内注射によるものである。
【0135】
滅菌の注射可能な組成物、例えば滅菌の注射可能な水性または油性の懸濁液を、当該分野において公知の技術に従って、好適な分散剤または湿潤剤を用いて製剤化することができる。滅菌の注射可能な製剤はまた、非毒性の、非経口で許容し得る希釈剤または溶媒中の滅菌の注射可能な溶液または懸濁液であってもよい。許容し得るビヒクルおよび溶媒のうちで、使用し得るものとして、マンニトール、水、リンガー溶液、および等張性の塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに、滅菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体として慣用的に使用される(例えば合成のモノ−またはジ−グリセリド)。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、注射可能なものの製造において有用であり、オリーブ油またはヒマシ油などの薬学的に許容し得る油も、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンにおいて、同様である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、またはカルボキシメチルセルロースもしくは同様の分散剤を含んでもよい。薬学的に許容し得る固体、液体または他の投与形態の製造において一般的に用いられる種々の乳化剤またはバイオアベイラビリティ増強剤もまた、製剤化の目的のために用いることができる。
【0136】
経口投与のための組成物は、任意の経口で許容し得る投与形態であってもよく、錠剤、カプセル、乳液および水性の懸濁液、分散および溶液を含むがこれらに限定されない。経口投与のための錠剤の場合、一般的に用いられる担体として、乳糖およびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤もまた、添加することができる。カプセル形態における経口投与のために有用な希釈剤として、乳糖および乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液または乳液を経口で投与する場合、活性成分は、乳化剤または懸濁剤と組み合わせて、油相中に懸濁または溶解される。必要であれば、特定の甘味剤、香味剤、または着色剤を添加してもよい。経鼻エアロゾルまたは吸入組成物は、医薬製剤の分野において周知の技術に従って製造することができ、例えば食塩水中の溶液として、好適な保存剤(例えばベンジルアルコール)、バイオアベイラビリティを増強するための吸収促進剤、および/または当該分野において公知の他の可溶化剤または分散剤を用いて、製造することができる。
【0137】
本発明の化合物の治療有効量は、当該分野において公知であるように、慣用的な実験により決定することができる。典型的には、このことは、よく耐容されることが示されている量の投与、および、投与量を、症状の減衰、腫瘍サイズの縮小または腫瘍増殖の停止などの所望の効果が達成されるまで徐々に増大させることを含む。一部の態様において、約5〜10mg/kgの初期投与量を用い、投与量を、所望の効果が認められるかまたは耐性の問題が観察されるまで、週1回、毎回約50%ずつ徐々に増大させる。一部の態様において、好適な投与量は、約5〜250mg/kg;または約10〜150mg/kgである。10〜100mg/kgの投与量が好ましい場合がある。投与は、1回、週1回、1日1回、または1日1回より多く行われる。一部の態様において、処置を必要とする対象に、1日当たり1〜4用量を送達する。
【0138】
さらに、式I〜Xを有する化合物は、種々のがんまたは状態の処置のために、単独でまたは他の抗がん剤と組み合わせて投与することができる。本発明による組合せ治療は、少なくとも1つの本発明の化合物またはその機能的誘導体と、少なくとも1つの他の医薬活性成分とを投与することを含む。1または2以上の活性成分および医薬活性成分は、個別に投与しても、一緒に投与してもよい。1または2以上の活性成分および1または2以上の医薬活性成分の量、および投与の相対的なタイミングは、所望の組合せ治療効果を達成するために選択される。
【0139】
さらに別の局面において、本発明は、冠動脈疾患を有する患者のための、式I〜Xを有する化合物を用いる、冠動脈ステント後の再狭窄の処置の方法を対象とする。
【0140】
冠動脈疾患を有する患者についての、冠動脈ステント後の再狭窄の主要な原因は、平滑筋細胞の増殖および遊走と細胞外マトリックス産生とに起因する新生内膜過形成である(例えば、Farb、A.、Sangiorgi、G., Certer、AJ.らによる、Circulation, vol. 99, pp 44-52, 1999中の"Pathology of acute and chronic coronary stenting in humans"を参照)。抗増殖能力を有する化合物は、かかる化合物を好適な手段で送達する場合、臨床的なおよび血管造影による再狭窄の危険性を低下させる上で効果を有する可能性がある(例えば、Stone, G.W., Ellis, S. G., Cox, D. A.らによる、New England Journal of Medicine, vol. 350: pp 221-231, 2004中の"A polymer-based, paclitaxel-eluting stent in patients with coronary artery disease"を参照)。したがって、腫瘍の処置において、式I〜Xを有する化合物により、これらはまた、新生内膜過形成に関連する細胞の増殖を阻害する上でも、そしてしたがって新生内膜過形成および再狭窄を減少させる上でも、有用であり得る。これらの細胞に化合物を効果的に送達する上で、種々の方法を用いることができる。例えば、上記の式I〜Xを有する化合物を含む組成物を、経口で、非経口で、または移植されたリザーバを介して投与することができる。
【0141】
他の例において、以下の論文に記載されるアプローチもまた用いることができる:Stone, G.W., Ellis, S. G., Cox, D.A.らによる、New England Journal of Medicine, vol. 350: pp 221-231, 2004中の"A polymer- based, paclitaxel-eluting stent in patients with coronary artery disease";Morice, M. -C, Serruys, P.W., Sousa, J.E.らによる、New England Journal of Medicine, vol. 346: pp 1773-1780, 2002中の"A randomized comparison of a sirolimus-eluting stent with a standard stent for coronary revascularization";Moses, J.W., Leon, M. B., Popma, JJ.らによる、New England Journal of Medicine, vol. 349: pp 1315-1323, 2003中の"Sirolimus-eluting stents versus standard stents in patients with stenosis in a native coronary artery"。
【0142】
C2.生物学的スクリーニングおよび抗がん活性:
C2.1 Real-Time Cell Electronic Sensing(RT-CES)システムを用いた、インビトロ細胞ベーススクリーニング
本明細書において開示される化合物の生物学的活性を、ACEA Biosciences, Inc.製のReal-Time Cell Electronic Sensing(RT-CES(登録商標))システムを用いてモニタリングおよびプロファイリングした。RT-CESシステムは、細胞−基材インピーダンス技術を利用してマイクロタイタープレート形式の組織培養ウェル中での細胞の挙動をモニタリングするものである。この技術は、分子細胞生物学とマイクロエレクトロニクスとの統合に特徴を有し、生物学的アッセイプロセスの電気的検出に基づく。この細胞電気センシング技術および関連するデバイス、システムおよび使用方法の詳細は、2002年7月20日に出願された米国仮出願第60/379,749号、2002年12月20日に出願された米国仮出願第60/435,400号、2003年5月9日に出願された米国仮出願第60/469,572号、2003年7日18日に出願されたPCT出願第PCT/US03/22557号、2003年7日18日に出願されたPCT出願第PCT/US03/22537号、2003年11月10日に出願された米国出願第10/705,447号、2003年11月10日に出願された米国出願第10/705,615号に記載され、これらの各々は参照により組み込まれる。RT-CES技術のさらなる詳細は、2003年11月12日に出願された米国仮出願第60/519,567号、および2004年2月9日に出願された米国仮出願第60/542,927号に記載されている。
【0143】
RT-CES技術を用いた細胞−基材または細胞−電極間のインピーダンスの測定のため、適切な形状(geometry)を有する微小電極を、マイクロタイタープレートまたは類似デバイスの底表面上に、ウェルの中に向けて設置する。細胞をデバイスのウェル中に入れ、電極表面に接触させ、付着させる。細胞の存在、不在または特性の変化は、電極センサー表面上の電気およびイオンの通過に影響を及ぼす。2個または3個以上の電極間のインピーダンスを測定することにより、センサー上に存在する細胞の生物学的状態についての重要な情報が得られる。生物学的状態に変化がある場合、類似の電気的読み出しシグナルが、自動的にリアルタイムで測定され、処理のためおよび分析のためにデジタルシグナルに変換される。RT-CESシステムにおいて、細胞指数(Cell Index)(インピーダンスの変化の任意表現)は、測定されたインピーダンス値に基づいて、自動的に導かれ、提供される。所与のウェルについて得られる細胞指数は、以下を反映する:1)いくつの細胞がこのウェル中の電極表面に付着しているか;2)細胞がこのウェル中の電極表面にどの程度よく付着しているか。したがって、同じタイプの類似の生理学的状態にある細胞がより多く電極表面に付着するほど、細胞指数は大きくなる。そして、細胞がより良好に電極表面に付着する(例えば、細胞がより広く伸展してより大きな接触面積を有するか、または細胞がより強力に電極表面に付着する)ほど、細胞指数は大きくなる。
【0144】
RT-CESシステムは、電気センサーアナライザ、デバイスステーション、および16Xまたは96Xマイクロタイターデバイスの3種の構成要素を含む。微小電極センサーアレイを、リソグラフィーによる微細加工法によりスライドグラス上に加工し、電極含有スライドをプラスチックトレイに集積して電極含有ウェルを形成する。デバイスステーションは、16Xまたは96Xマイクロタイタープレートデバイスを受容し、ウェルのうちのいずれか1つを、インピーダンス測定のために電気的にセンサーアナライザにスイッチングすることができる。作動中、ウェル中で培養された細胞を有するデバイスを、インキュベーター内に配置されたデバイスステーション中に設置する。電気ケーブルがデバイスステーションをセンサーアナライザに接続する。RT-CESソフトウェアの制御下において、センサー分析器が、測定するウェルを自動的に選択し、継続的にインピーダンス測定を行う。アナライザからのインピーダンスのデータは、コンピュータへ転送され、統合ソフトウェアにより分析され、処理される。
【0145】
個々のウェル中の電極間で測定されたインピーダンスは、電極の形状(geometry)、ウェル中のイオン濃度、および電極に付着した細胞が存在するか否かに依存する。細胞が存在しない場合、電極インピーダンスは、主に、電極/溶液界面およびバルク溶液中の両方におけるイオン環境により決定される。細胞が存在する場合、電極センサー表面に付着している細胞が、電極/溶液界面の局所的なイオン環境を変化させ、インピーダンスの増大をもたらす。より多くの細胞が電極上に存在するほど、細胞−電極間のインピーダンスは大きくなる。さらに、インピーダンスの変化もまた、細胞の形態、および細胞が電極に付着する程度に依存する。
【0146】
測定した細胞−電極インピーダンスに基づいて細胞の状態を定量化するために、細胞指数(Cell Index)と称されるパラメーターが導かれる。細胞指数は、電極含有ウェル中の細胞の状態の定量的尺度である。同じ生理学的状態下において、より多くの細胞が電極に付着することは、より大きな細胞−電極間の抵抗値をもたらし、より大きな値の細胞指数を導く。さらに、ウェル中に同じ数の細胞が存在する場合、形態などの細胞の状態の変化は、細胞指数の変化を導く。例えば、細胞接着または細胞伸展の増大は、より大きな細胞−電極間の接触面積をもたらし、これは、細胞−電極間抵抗の増大と、したがってより大きな細胞指数値をもたらす。
【0147】
生物学的に活性な化合物と、E-Plateのウェル中で増殖する細胞との間の相互作用は、特有の活性パターン(すなわち、化合物の処置に対する応答における、特有の細胞インピーダンス曲線または細胞指数曲線)をもたらし、これは、化合物自体の生物学的機構、濃度、インキュベーションの長さおよび細胞のタイプに依存する。各々の化合物に対する「特徴的な(signature)」細胞応答パターンは、細胞周期停止、形態変化および細胞死などの具体的な生物学的現象と相関する。RT-CESシステムにおける細胞応答プロファイリングが有効であることは証明されており、本発明者らは、類似の作用機構を有する化合物が類似のパターンを提示することを示した。したがって、化合物処置に対する細胞応答パターンの類似性は、作用機構、抵抗の様式、および分子標的の候補の類似性を示し得る。本発明者らは、有糸分裂阻害剤による処置に対する応答において有糸分裂を停止した細胞について、特有のRT-CES特徴的パターンを同定した。例として、図1は、異なる濃度の周知の有糸分裂阻害剤であるパクリタキセルおよびビンブラスチンにより処置されたA549肺がん細胞の具体的なプロフィールを示す。図1に示すとおり、パクリタキセルおよびビンブラスチン化合物に対する細胞応答パターンは、2種の化合物の間で効力が異なり得るにも関わらず、非常に類似している。
【0148】
本発明者らは、本発明の式I〜Xを有する化合物のいくつかに対する多数のがん細胞系の応答を、RT-CESシステムを用いて評価した。(特定の濃度における)本発明の化合物のいくつかの時間依存的な細胞応答パターンは、(特定の濃度における)パクリタキセルおよびビンブラスチンのものといくらか類似していた。したがって、これらの化合物は、パクリタキセルおよびビンブラスチンのものと類似の抗がん作用機構を有し得る。一方、これらの化合物は、これらの本発明の化合物の時間依存的な細胞応答パターンがパクリタキセルおよびビンブラスチンのものと類似している場合であっても、がん細胞に対してパクリタキセルおよびビンブラスチンのものとは異なる他の作用機構を介して作用し得る。また、これらの化合物が、パクリタキセルおよびビンブラスチンのものと類似する作用機構を含む複数の作用機構を介してがん細胞に対して作用することも可能である。
【0149】
表8は、インビトロおよびインビボで腫瘍に対する活性を調査した、いくつかの代表的な本発明の化合物を示す。本発明において、これらの化合物は、No.26、2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール(ACEA100160);No.27、(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール(ACEA100162);およびNo.28、2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール(ACEA100161)としてナンバリングされる。
【0150】
【表8】

表8.いくつかの例示的な化合物。化合物26は、2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール(ACEA100160)である。化合物27は、2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール(ACEA 100162)である。化合物28は、2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール(ACEA100161)である。
【0151】
一例において、図2は、Real-Time Cell Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度の表8の化合物28(2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾールまたはACEA100161)の添加の前後における、A549細胞についての時間依存的な細胞指数を示す。図2に示すとおり、化合物28(ACEA100161)は、調査した種々の濃度において、A549細胞の増殖に対する阻害能力を示した。さらに、同図は、0.14uMまたはそれ以上の濃度での化合物の添加(化合物28またはACEA100161)の後で、A549細胞についての細胞指数が、まず時間と共に低下し、次いで増大したことを示し、このことはA549細胞が化合物28(ACEA100161)に対して複雑な動的応答を有したことを示している。
【0152】
図3は、Real-Time Cell Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度のパクリタキセルおよび表8の化合物28(ACEA00161)の添加の前後における、A549細胞についての時間依存的な細胞指数を示す。明らかに、560nMの化合物28(ACEA100161)に対するA549細胞の応答パターンは、25nMのパクリタキセルに対するA549細胞の応答パターンにいくらか類似している。また、140nMの化合物28(ACEA100161)に対するA549細胞の応答パターンは、12.5nMのパクリタキセルに対するA549細胞の応答パターンにいくらか類似している。したがって、化合物ACEA100161は、パクリタキセルのものと類似の抗がん作用機構を有し得る。一方、化合物ACEA100161は、化合物ACEA100161の時間依存的な細胞応答パターンがパクリタキセルのものと類似しているとしても、パクリタキセルのものとは異なる他の作用機構を介してがん細胞に対して作用し得る。また、化合物28(ACEA00161)が、パクリタキセルのものと類似の作用機構を含む、複数の作用機構を介してがん細胞に対して作用することもまた可能である。
【0153】
図4は、表8の化合物28(ACEA00161)の処置に対するA549細胞の用量応答曲線を示す。用量応答曲線は、図2に示す用量依存的応答プロフィールに基づいて、化合物処置の24時間後の細胞指数値を正規化したものを化合物濃度の関数としてプロットすることにより得る。図4の用量応答曲線から、化合物処置の24時間後でのIC50値(すなわち、特定の長さの時間にわたる化合物処置に起因して細胞増殖が50%阻害される化合物濃度)を計算することができる。計算された化合物28(ACEA00161)についてのIC50値は、86.4mMである。
【0154】
別の例において、図5は、Real-Time Cell Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度の表8の化合物26(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール、ACEA100160)の添加の前後における、A549細胞についての時間依存的な細胞指数を示す。図5に示すとおり、ACEA100160は、調査した種々の濃度で、A549細胞の増殖に対する阻害能力を示した。さらに、同図は、4.38nM以上の濃度における化合物の添加(ACEA100160)の後で、A549細胞についての細胞指数が、まず時間と共に低下し、次いで増大したことを示し、このことはA549細胞がACEA100160に対して複雑な動的応答を有したことを示している。
【0155】
図6は、表8の化合物26(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール、ACEA100160)の処置に対する、処置の24時間後における、A549細胞の用量応答曲線を示す。用量応答曲線は、図5に示す用量依存的応答プロフィールに基づいて、化合物処置の24時間後の細胞指数値を正規化したものを化合物濃度の関数としてプロットすることにより得る。図6の用量応答曲線から、化合物処置の24時間後でのIC50値(すなわち、特定の長さの時間にわたる化合物処置に起因して細胞増殖が50%阻害される化合物濃度)を計算することができる。計算された化合物28(ACEA100160)についてのIC50値は、23.7mMである。
【0156】
図7は、Real-Time Cell Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度のパクリタキセルおよび表8の化合物26(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール、ACEA100160)の添加の前後における、A549細胞についての時間依存的な細胞指数を示す。明らかに、35nMのACEA100160に対するA549細胞の応答パターンは、25nMのパクリタキセルに対するA549細胞の応答パターンにいくらか類似している。また、140nMのACEA100160に対するA549細胞の応答パターンは、50nMのパクリタキセルに対するA549細胞の応答パターンにいくらか類似している。したがって、化合物ACEA100160は、パクリタキセルのものと類似の抗がん作用機構を有し得る。一方、化合物ACEA100160は、化合物ACEA100160の時間依存的な細胞応答パターンがパクリタキセルのものと類似しているとしても、パクリタキセルのものとは異なる他の作用機構を介してがん細胞に対して作用し得る。また、ACEA100160が、パクリタキセルのものと類似の作用機構を含む、複数の作用機構を介してがん細胞に対して作用することもまた可能である。
【0157】
さらに別の例において、図8は、Real-Time Cell Electronic Sensing Systemで決定した、異なる濃度の表8の化合物27(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA 100162)の添加の前後における、A549細胞についての時間依存的な細胞指数を示す。図8に示すとおり、ACEA100162は、種々の濃度で、A549細胞の増殖に対する阻害能力を示した。さらに、図は、62.5nM以上での化合物の添加(ACEA 100162)の後で、A549細胞についての細胞指数は、まず時間と共に低下し、次いで増大したことを示し、このことはA549細胞がACEA100162に対して複雑な動的応答を有したことを示している。
【0158】
図9は、表8の化合物27(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA 100162)の処置に対する、処置の24時間後におけるA549細胞の時間依存的な細胞指数を示す。用量応答曲線は、図8に示す用量依存的応答プロフィールに基づいて、化合物処置の24時間後の細胞指数値を正規化したものを化合物濃度の関数としてプロットすることにより得る。図9の用量応答曲線から、化合物処置の24時間後でのIC50値(すなわち、特定の長さの時間にわたる化合物処置に起因して細胞増殖が50%阻害された化合物濃度)を計算することができる。計算されたACEA100162についてのIC50値は、57.4mMである。
【0159】
以下を含む異なるタイプのヒトがん細胞:NCI−H460(非小細胞肺がん細胞)、MCF7(乳がん細胞)、SKO V3(卵巣がん細胞)、Jurkat(白血病)、PC3 (前立腺がん細胞)、Panc−1(膵癌)、SH−SY5Y(神経芽細胞腫)、HepG2(ヒト肝肉腫(hepatosarcoma));GTL16(胃癌)、B16−Iuc(メラノーマ)、KB(頭頚部がん細胞)、HeLa(子宮頸癌)、HT1080(線維肉腫がん細胞)、MDCK(腎臓細胞)、HT29(結腸がん細胞)、A549(非小細胞肺がん細胞)および他の細胞系(表9を参照)を、異なる数(ウェルあたり2000〜20,000個)で、16Xまたは96XマイクロタイターE-Plateデバイスに播種し、RT-CESTMシステムでモニタリングした。細胞を約20時間増殖させて、その後、DMSO溶液中に溶解した化合物27((2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA 100162))(最終DMSO濃度:0.2%;最終ACEA100162濃度:3.13nM〜200nM)を添加した。細胞−電極インピーダンスを継続的に測定し、対応する時間依存的、用量依存的な細胞指数値を導き、記録した。異なる濃度の化合物ACEA100162に対する細胞応答プロフィールに基づいて、図4および図6中のものと同様の用量応答曲線を、化合物処置の24時間後および48時間後の選択された時点においてプロットした。次いで、IC50値を、かかる用量応答曲線に基づいて算出し、表9にまとめた。
【0160】
【表9】

表9.種々の細胞系に対する化合物27(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA 100162)のIC50値。
【0161】
図10は、種々の濃度での化合物27(ACEA100162)の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示す。図中に示すとおり、ACEA100162は、多数のがん細胞系の増殖に対して阻害効果を示した。ACEA100162に対する感受性は、がん細胞のタイプの間で異なる。いくつかのがん細胞のタイプについては、がん細胞の増殖を有意に阻害するために、低い投与量のACEA100162で十分であるが、他のがん細胞のタイプについては、同様の阻害程度を達成するために、より高い投与量が必要となる。
【0162】
NCI−H460(非小細胞肺がん細胞)、MCF7(乳がん細胞)、SKO V3(卵巣がん細胞)、Jurkat(白血病)、PC3(前立腺がん細胞)、Panc−1(膵癌)、SH−SY5Y(神経芽腫)、HepG2(ヒト肝肉腫);GTL16(胃癌)、B16−Iuc(メラノーマ)、KB(頭頚部がん細胞)、HeLa(子宮頸癌)、HT1080(線維肉腫がん細胞)、MDCK(腎細胞)、HT29(結腸がん細胞)、A549(非小細胞肺がん細胞)および他の細胞系(表10を参照)を含む異なるタイプのヒトがん細胞を、異なる数(1ウェル当たり2000〜20,000個)で、16Xまたは96XマイクロタイターE-Plateデバイスに播種し、RT-CESTMシステムによりモニタリングした。細胞を約20時間増殖させ、その後、DMSO溶液中に溶解した(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール、ACEA100160)(最終DMSO濃度:0.2%;最終ACEA100160濃度:2nM〜2uM)を添加した。細胞−電極間のインピーダンスを継続的に測定して、対応する、時間依存的、用量依存的な細胞指数値を導き、記録した。異なる濃度の化合物ACEA100160に対する細胞応答プロフィールに基づいて、化合物処置の24時間および48時間後の選択された時点において、図4および図6におけるものと同様の用量応答曲線をプロットした。次いで、かかる用量応答曲線に基づいてIC50値を計算したものを表10にまとめる。
【0163】
【表10】

表10.種々の細胞系に対する化合物26(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール、ACEA100160)についてのIC50値。
【0164】
図11は、種々の濃度でのACEA100160の添加の前後における、多数の細胞系についての時間依存的な細胞指数を示す。図11中に示すとおり、ACEA100160は、多数のがん細胞系の増殖に対して阻害効果を示した。ACEA100160に対する感受性は、がん細胞のタイプの間で異なる。いくつかのがん細胞のタイプについては、がん細胞の増殖を有意に阻害するために、低い投与量のACEA100160で十分であるが、他のがん細胞のタイプについては、同様の阻害程度を達成するために、より高い投与量が必要となる。
【0165】
例1
A549細胞における化合物28(2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA100161)による細胞増殖の阻害
かかる調査のためのRT-CESシステムは、RT-CESアナライザ、Mult-E-Plateステーション、E-PlateデバイスおよびRT-CESソフトウェアを含む。A549細胞(ヒト肺がん細胞)を、5000細胞の濃度で、96ウェルのE-Plateデバイスのウェル中に播種した。細胞を含むE-Plateを、COインキュベーター内においてMult-E-Plateステーション上に設置した。E-Plateデバイスの各ウェルについての細胞−電極間抵抗を、RT-CESアナライザによりRT-CESソフトウェアの制御下において30分間毎に継続的にモニタリングする。約20時間後、RT-CESシステム上での測定を停止し、化合物の添加のために、E-PlateをMult-E-Plateステーションから取り外した。ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解した化合物ACEA100161(または試験される別の化合物)を、PBS中0.1%のBSAで連続希釈して、細胞を含むウェルに、図2に示す最終濃度で添加した。実験において、希釈したDMSO溶液を溶媒コントロールとして利用し、パクリタキセルを陽性対照として利用した。
【0166】
化合物の添加後に、細胞が加えられたE-Plateを、72時間までの継続的測定のために、Mult-E-Plateステーション上に再度ロードした。図2は、異なる濃度の化合物28(ACEA100161)についての、正規化した細胞指数を、化合物添加の前後における時間の関数として示す。細胞指数データを、化合物添加の直前の時点(細胞播種の約20時間後)において正規化した。化合物28(ACEA100161)の効力を評価するために、本発明者らは、化合物添加の24時間後の時点における正規化した細胞指数値を、図4中の化合物濃度の関数として、図2に示す用量依存的細胞応答プロフィールに基づいて、プロットした。図4の用量応答曲線から、化合物処置の24時間後でのIC50値(すなわち、特定の長さの時間にわたる化合物処置に起因して細胞増殖が50%阻害された化合物濃度)を計算することができる。計算された化合物28(ACEA100161)についてのIC50値は、86.4nMである。
【0167】
例2
A549細胞における、化合物26(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール、ACEA100160)による細胞増殖の阻害
かかる調査のためのRT-CESシステムは、RT-CESアナライザ、Mult-E-Plateステーション、E-PlateデバイスおよびRT-CESソフトウェアを含む。A549細胞(ヒト肺がん細胞)を、5000細胞の濃度で、96ウェルのE-Plateデバイスのウェル中に播種した。細胞を含むE-Plateを、COインキュベーター内においてMult-E-Plateステーション上に設置した。E-Plateデバイスの各ウェルについての細胞−電極間抵抗を、RT-CESアナライザによりRT-CESソフトウェアの制御下において30分間毎に継続的にモニタリングする。約20時間後、RT-CESシステム上での測定を停止し、化合物の添加のために、E-PlateをMult-E-Plateステーションから取り外した。ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解した化合物26(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール、ACEA100160)を、PBS中0.1%のBSAで連続希釈して、細胞を含むウェルに、図5に示す最終濃度で添加した。実験において、希釈したDMSO溶液を溶媒コントロールとして利用し、パクリタキセルを陽性対照として利用した。
【0168】
化合物の添加後に、細胞が加えられたE-Plateを、72時間までの継続的測定のために、Mult-E-Plateステーション上に再度ロードした。図5は、異なる濃度のACEA100160についての、正規化した細胞指数を、化合物添加の前後における時間の関数として示す。細胞指数データを、化合物添加の直前の時点(細胞播種の約20時間後)において正規化した。ACEA100160の効力を評価するために、本発明者らは、化合物添加の24時間後の時点における正規化した細胞指数値を、図6中の化合物濃度の関数として、図5に示す用量依存的細胞応答プロフィールに基づいて、プロットした。図6の用量応答曲線から、化合物処置の24時間後でのIC50値(すなわち、特定の長さの時間にわたる化合物処置に起因して細胞増殖が50%阻害された化合物濃度)を計算することができる。計算されたACEA100160についてのIC50値は、23.7nMである。
【0169】
例3
A549細胞における27(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA 100162)による細胞増殖の阻害
かかる調査のためのRT-CESシステムは、RT-CESアナライザ、Mult-E-Plateステーション、E-PlateデバイスおよびRT-CESソフトウェアを含む。A549細胞(ヒト肺がん細胞)を、5000細胞の濃度で、96ウェルのE-Plateデバイスのウェル中に播種した。細胞を含むE-Plateを、COインキュベーター内においてMult-E-Plateステーション上に設置した。E-Plateデバイスの各ウェルについての細胞−電極間抵抗を、RT-CESアナライザによりRT-CESソフトウェアの制御下において30分間毎に継続的にモニタリングする。約20時間後、RT-CESシステム上での測定を停止し、化合物の添加のために、E-PlateをMult-E-Plateステーションから取り外した。ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解した化合物27(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール、ACEA 100162)を、PBS中0.1%のBSAで連続希釈して、細胞を含むウェルに、図8に示す最終濃度で添加した。実験において、希釈したDMSO溶液を溶媒コントロールとして利用し、パクリタキセルを陽性対照として利用した。
【0170】
化合物の添加後に、細胞が加えられたE-Plateを、72時間までの継続的測定のために、Mult-E-Plateステーション上に再度ロードした。図8は、異なる濃度のACEA 100162についての、正規化した細胞指数を、化合物添加の前後における時間の関数として示す。細胞指数データを、化合物添加の直前の時点(細胞播種の約20時間後)において正規化した。ACEA 100162の効力を評価するために、本発明者らは、化合物添加の24時間後の時点における正規化した細胞指数値を、図9中の化合物濃度の関数として、図8に示す用量依存的細胞応答プロフィールに基づいて、プロットした。図9の用量応答曲線から、化合物処置の24時間後でのIC50値(すなわち、特定の長さの時間にわたる化合物処置に起因して細胞増殖が50%阻害された化合物濃度)を計算することができる。計算されたACEA 100162についてのIC50値は、57.4nMである。
【0171】
C.2.1 インビボ抗がん効力
例1.S180を有するマウスモデルに対するACEA100160およびACEA100162の抗腫瘍活性
A.材料および方法
A.1 化合物および溶液
ACEA100160(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール)およびACEA100162(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール)を、20%のHP−ベータ−CDデキストロース(D5W)を含む溶液中で、8mg/mlの濃度に調製する。溶媒HP−ベータ−CD溶液を、ビヒクル陰性対照として用いる。
【0172】
A.2 動物
ICRマウス、オス、21.4±1.5g
A.3 細胞系
S180肉腫:マウスがん細胞系S180。
ICRマウスの悪性腹水モデルをS180細胞により誘導した。
【0173】
A.4 手順
滅菌条件下において、マウスS180を有するICRマウスを安楽死させ、腹水を取り出し、NSで特定の細胞数まで希釈した。0.2mlの細胞懸濁液(10細胞)を、ICRマウスの左側腹部に皮下注射する。静脈内注射(iv)または腹腔内注射(ip)の前の第1の処置日において、移植された動物を、以下のとおり10群に無作為に分ける。薬物を表11のスケジュールでそれぞれ注射する。溶媒HP−ベータ−CD溶液をビヒクル陰性対照として用いる。臨床的兆候を少なくとも毎日観察する。
【0174】
【表11】

【0175】
A.5 統計
腫瘍の重量を記録した。腫瘍阻害率を、以下のとおり計算した:阻害率=1−Wt/W0、ここで、Wtは各々の薬物処置群の平均重量であり、W0は陰性対照群の平均重量である。結果は、n匹の動物からの平均値±SD値として示される。Studentの両側t検定により群間で比較を行い、P<0.05を有意とみなした。
【0176】
5 B. 結果
マウスS180がんを有するモデルにおいて、ACEA100160 40mg/kg(1日1回、腹腔内)および40mg/kg(1日1回(qd)、静脈内)の群は、S180腫瘍増殖を阻害し、阻害率の値は、それぞれ52.7%および52.2%であった。ACEA100162 40mg/kg(1日1回、腹腔内)、ACEA100162 80mg/kg(1日1回、腹腔内)、およびACEA100162 40mg/kg(1日1回、静脈内)の群は、それぞれ59.3%、77.2%、および60.7%の阻害率値で、抗腫瘍活性を示した。
【0177】
【表12】

【0178】
例2.ACEA100160およびACEA100162のLLCマウスモデルに対する抗腫瘍活性
A. 材料および方法
A.1 化合物および溶液
ACEA100160(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール)およびACEA100162(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール)を、20%のHP−ベータ−CDデキストロース(D5W)を含む溶液中で、8mg/mlの濃度で調製する。溶媒HP−ベータ−CD溶液をビヒクル陰性対照として用いる。
【0179】
A.2 動物
C57 BL/6マウス、オス、19.1±1.0g
A.3 細胞系
LLC:マウスのルイス肺がん細胞系
LLC細胞を、10%FBSを含むDMEM培地中で、皮下での注射のために必要な細胞数(10細胞)が得られるまで培養した。
【0180】
A.4 手順
滅菌条件下において、C57 BL/6マウスのLLCを有するマウスを安楽死させ、腫瘍を分離し、NSに浸漬した。滅菌した鋏を用いて腫瘍を細片に刻み、次いで、ホモジナイズして細胞懸濁液とした。0.2mlの細胞懸濁液(10細胞)を、C57 BL/6マウスの左側腹部に皮下注射する。静脈内または腹腔内注射の前の第1の処置日において、移植された動物を、以下のとおり10群に無作為に分ける。薬物を表13のスケジュールでそれぞれ注射する。溶媒HP−ベータ−CD溶液をビヒクル陰性対照として用いる。臨床的兆候を少なくとも毎日観察する。
【0181】
【表13】

【0182】
A.5 統計
腫瘍の重量を記録した。腫瘍阻害率を、以下のとおり計算した:阻害率=1−Wt/W0、ここで、Wtは各々の薬物処置群の平均重量であり、W0は陰性対照群の平均重量である。結果は、n匹の動物からの平均値±SD値として示される。Studentの両側t検定により群間で比較を行い、P<0.05を有意とみなした。
【0183】
B. 結果
マウスのルイス肺がんを有するモデルにおいて、ACEA 100160 40mg/kg(1日1回、腹腔内)の群は、抗腫瘍活性を示し、阻害率の値はそれぞれ27.13%であった。ACEA100162 40mg/kg(1日1回、腹腔内)およびACEA100162 40mg/kg(1日1回、静脈内)の群は、それぞれ39.15%および25.5%の阻害率値で、抗腫瘍活性を示した(表14および図13)。
【0184】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

式I
ここで、環中の
【化2】

は、該環が芳香族環または芳香族複素環であることを示し;
各W、W、WおよびWは、独立して、N、S、OまたはCRであり;
は、SまたはOまたはCRであり;
Aは、NH、NR、S、SO、SO、O、Se、B(ホウ素)、NHSO、NRSO、SONH、SONR、OP(=O)(OR)、NRC(O)、C(O)NRであり;
ならびに、Zは、Ar、任意の縮合複素環基またはCHArであり、ここで、Arは、3個までの置換基で任意に置換され、N、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を環員として含んでもよい、5〜10原子の単環式または二環式芳香族基であり;
、R、RおよびRの各々は、H、OH、NHR、NRR’、OR、SR、置換された、または未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、縮合アリール、ヘテロアリール、縮合複素環、炭素環もしくは複素環であり、これらの各々は、任意に置換され、1個の炭素原子の代わりにN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでもよく、
ならびに、同一のまたは隣接する原子上の2つのR、R、RまたはRは、任意に、一緒に結合されて3〜8員環を形成していてもよく、これは、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよく、および任意に置換されており;
ここで、各RおよびR’は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールは、任意に置換されており、
およびここで、RおよびR’は、同一のまたは隣接する原子上に存在する場合、任意に環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含む3〜8員環を形成してもよく;
ただし、WがSであり、WがNであり、かつWがCMeである場合、Zは、ベンジル基;または1個より多いBrで、もしくはSONRRで置換されたフェニル;またはCH−(2−フラニル);またはメトキシ置換ピリジルではない;
で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
式(III):
【化3】

ここで、
【化4】

、W、W、W、Z、A、ならびにR、R、RおよびRは、請求項1において定義したとおりである、
で表される、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩もしくは代謝物。
【請求項3】
Zが、以下の構造:
【化5】

ここで、
【化6】

は上記で定義したとおりであり;
各Wは独立してCR’、N、NR’、SまたはOであり;
各R’は請求項1において定義したとおりであり、
Rは、H、ハロ、OR’、SR’、COR’、C(O)NR’、C=O、CN、CF、OCF、NO、NR’R’、OCOR’、NR’SOR’、SONR’R’、SOR’、P(O’)、CH(COOR’)、CH(POR’)から選択され、ここで、R’は上記で定義したとおりであり;
または、Rは、C1〜8アルキル、C3〜8環状アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環もしくは複素環であり、その各々は、炭素原子の代わりにN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでもよい、
から選択される芳香族部分または複素環部分である、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項4】
がSであり、WがNである、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項5】
がSである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項6】
AがNRである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項7】
がHである、請求項6に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項8】
ZがCH−フェニルまたはフェニルであり、ここでZのフェニル環が任意に置換されている、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項9】
Zのフェニル環が、ハロ、OR、SR、O((CHO)R、COR、C(O)NR、C(=O)R、CN、CF、OCF、NO、NRR、OCOR、SOH、NRSOR、SONRR、C1〜8アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、C3〜8環状アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環または複素環から選択される少なくとも1つの置換基で置換され、これらの各々もまた置換されていてもよく;
ここで、各pは独立して1〜4であり、qは1〜6であり、
各Rは、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR’、=NR’、OR’、NR’、SR’、SOR’、SONR’、NR’SOR’、NR’CONR’、NR’COOR’、NR’COR’、CN、COOR’、CONR’、OOCR’、COR’、およびNOの1または2以上で任意に置換されていてもよいC1〜8アルキルであり、
ここで、各R’は独立して、H、C1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C2〜C8アルケニル、C2〜C8ヘテロアルケニル、C2〜C8アルキニル、C2〜C8ヘテロアルキニル、C6〜C10アリール、またはC5〜C10ヘテロアリールであり、
各R’は、任意にハロ、=O、=N−CN、=N−OR’’、=NR’’、OR’’、NR’’、SR’’、SOR’’、SONR’’、NR’’SOR’’、NR’’CONR’’、NR’’COOR’’、NR’’COR’’、CN、COOR’’、CONR’’、OOCR’’、COR’’、およびNOで置換され、
ここで、各R’’は独立して、H、C1〜C8アルキル、C2〜C8ヘテロアルキル、C1〜C8アシル、C2〜C8ヘテロアシル、C6〜C10アリールまたはC5〜C10ヘテロアリールであり;2個のR’またはR’’が1つの原子または隣接する原子上に存在する場合、これらは一緒に結合して3〜8員環を形成していてもよく、これは任意に置換され、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよい、
請求項8に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項10】
式(X):
【化7】

ここで、環中の
【化8】

は、環が芳香族環または芳香族複素であることを示し;
はCRまたはNであり;
、W、WおよびWの各々は、CR、N、O、もしくはSまたは結合であり、
ただし、W、W、WおよびWのうち結合であるものは1つより多くはなく、W、W、WおよびWのうち少なくとも1つはCRではなく;
、W、WおよびWのうちNを表すものは2つより多くはなく;
、W、WおよびWのうち少なくとも1つはCRであり;
Aは、NH、NR、S、SO、SO、O、Se、B(ホウ素)、NHSO、NRSO、SONH、SONR、OP(=O)OR、NHC(O)、またはC(O)NHであり;
Zは、ArまたはCHArであり、ここでArは、N、OおよびSから選択される0〜4個のヘテロ原子を環員として含み、4個までのRで任意に置換された、5〜10原子の単環式または二環式芳香族基であり;
ただし、Zは未置換のイミダゾピリジンではなく、AがNAcである場合、Zはメトキシ置換ピリジニルではなく;
、R、R、R、Rの各々は、独立して、H、ハロ、OR、NRR’、S(O)R、COOR、SONRR’、NO、CN、または、置換された、もしくは未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、縮合アリール、ヘテロアリール、縮合複素環、炭素環もしくは複素環であり、
同一または隣接する原子上の2つのR、R、R、R、Rは、任意に一緒に結合して3〜8員環を形成していてもよく、これは、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよく、および任意に置換されており;
ここで各RおよびR’は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールは、任意に置換されており、
RおよびR’は、同一または隣接する原子上に存在する場合、任意に環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含む3〜8員環を形成していてもよく;
mは0〜2であり;
ただし、WがNであり、RがMeであり、かつAがNHである場合、Zは−CH−(2−フラニル)、未置換フェニル、未置換ベンジル、または−NO、Br、−OH、−NHAc、SONH−ヘテロアリール、もしくはCOOHで置換されたフェニルではない、
で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項11】
式(VII)
【化9】

で表される化合物である、式(X)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項12】
Zが、4個までのRで任意に置換されている5〜6員の単環式の芳香族環または芳香族複素環である、請求項10または11に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項13】
が、ハロ、OR、SR、COR、C(O)NR、C=O、CN、CF、OCF、NO、NRR’、OCOR、NRSOR’、SONRR’、SOR、P(O)、CH(COOR)、CH(POから選択されるか;またはRが、C1〜8アルキル、C3〜8環状アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環または複素環であり、これらの各々は置換されていてもよく、
各RおよびR’が、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールは任意に置換されており、
RおよびR’は、同一または隣接する原子上に存在する場合、任意に環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含む3〜8員環を形成していてもよい;
請求項12に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項14】
Zが、ハロ、OR、SR、COR、C(O)NR、C(=O)R、CN、CF、OCF、NO、NRR’、OCOR、SOH、NRSOR、SONRR’から選択される3個までの基で置換されているか;Rが、C1〜8アルキル、C3〜8環状アルキル、C2〜8アルケニル、C2〜8アルキニル、アリール、ヘテロアリール、炭素環または複素環であり、これらの各々は、ヘテロ原子を含んでもよく;ここで、各RおよびR’は、請求項10において定義したとおりである、請求項10〜13のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項15】
Zが少なくとも1つの基で置換されている、請求項14に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項16】
がNまたはCHである、請求項10〜15のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項17】
がNである、請求項16に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項18】
が、H、ハロ、または任意に置換されたC1〜C4アルキルである、請求項10〜17のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項19】
各Rが、H、ハロ、CN、任意に置換されたC1〜C4アルキル、およびC1〜C4アルコキシから選択される、請求項10〜17のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項20】
が、H、ハロ、CN、CONRR’、COORまたはCF、または任意に置換されたC1〜C4アルキルもしくはアルコキシである、請求項10〜19のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項21】
AがNRまたはOまたはSであり、ここでRは請求項10において定義したとおりである、請求項10〜20のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項22】
AがNHまたはNRであり、ここでRは、任意に置換されたC1〜C4アルキルまたはC1〜C4アシル基である、請求項10〜21のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項23】
Zが、0〜3個の置換基で置換された、5員の芳香族環もしくは芳香族複素環または6員の芳香族環または芳香族複素環である、請求項10〜22のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項24】
Zが、置換フェニル環、または、置換された、もしくは未置換の2−ピリジル、3−ピリジルまたは4−ピリジル環である、請求項23に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項25】
式VI:
【化10】

ここで、環中の
【化11】

は、該環が芳香族環または芳香族複素環であることを示し;
各WおよびWは、独立して、N、S、OまたはCRであり;
は、SまたはOであり;
Aは、NH、NR、S、SO、SO、O、Se、B(ホウ素)、NHSO、NRSO、SONH、SONR、OP(=O)(OR)、NRC(O)、C(O)NRであり;
ならびに、Zは、Ar、任意の縮合複素環基またはCHArであり、ここで、Arは、3個までの置換基で任意に置換され、N、OおよびSから選択される4個までのヘテロ原子を環員として含んでもよい、5〜10原子の単環式または二環式芳香族基であり;
、R、RおよびRの各々は、H、OH、NHR、NRR’、OR、SR、置換された、または未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、縮合アリール、ヘテロアリール、縮合複素環、炭素環または複素環であり、これらの各々は、任意に置換され、1個の炭素原子の代わりにN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでもよく、
ならびに、同一のまたは隣接する原子上の2つのR、R、RまたはRは、任意に、一緒に結合して3〜8員環を形成していてもよく、これは、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよく、および任意に置換されており;
ここで、各RおよびR’は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールは、任意に置換されており、
および、RおよびR’は、同一のまたは隣接する原子上に存在する場合、任意に環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含む3〜8員環を形成してもよい;
で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは代謝物。
【請求項26】
がSであり;WがSであり;およびWがNである、請求項25に記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項27】
式IIIaまたはVIIa
【化12】

ここで、Rは、任意に置換されたC1〜4アルキルであり;
各Rは独立して、H、ハロ、C1〜C4アルコキシ、またはC1〜C4アルキルであり;
は、H、ハロ、C1〜C4アルコキシ、またはC1〜C4アルキルであり;
ここで、Zは以下:
【化13】

からなる群より選択される、
で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項28】
式IIIaまたはVIIa
【化14】

ここで、Rは任意に置換されたC1〜C4アルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C1〜C4アルコキシ、またはC1〜C4アルキルであり;
は、H、ハロ、C1〜C4アルコキシ、またはC1〜C4アルキルであり;
ここで、−NH−Zは以下:
【化15】

からなる群より選択される、
で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項29】
式IIIaまたはVIIa
【化16】

ここで、Rは任意に置換されたC1〜C4アルキルであり;
各Rは、独立して、H、ハロ、C1〜C4アルコキシ、またはC1〜C4アルキルであり;
は、H、ハロ、C1〜C4アルコキシ、またはC1〜C4アルキルであり;
ここで、−NH−Zは以下:
【化17】

【化18】

からなる群より選択される、
で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項30】
がメチルである、請求項27〜29のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項31】
がHである、請求項18、27〜30のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項32】
がHである、請求項27〜31のいずれかに記載の化合物またはその薬学的に許容し得る塩。
【請求項33】
少なくとも1種の薬学的に許容し得る賦形剤と混合された請求項1〜32のいずれかに記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項34】
がんの処置を必要とする対象に、請求項1〜32のいすれかに記載の化合物または請求項33に記載の医薬組成物を投与することにより、がんを処置する方法。
【請求項35】
医薬の製造における、請求項1〜32のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項36】
医薬ががんの処置のための医薬である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
がんが、肉腫、類表皮がん、線維肉腫、子宮頸がん、白血病、リンパ腫、肺がん、非小細胞肺がん、結腸がん、CNSがん、メラノーマ、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん、乳がん、頭頚部がん、膵臓がんである、請求項35または36に記載の使用。
【請求項38】
式(X):
【化19】

ここで、環中の
【化20】

は、環が芳香族環または芳香族複素環であることを示し;
はCRまたはNであり;
、W、WおよびWの各々は、CR、N、O、もしくはSまたは結合であり、
ただし、W、W、WおよびWのうち結合であるものは1つより多くはなく、W、W、WおよびWのうち少なくとも1つはCRではなく;
、W、WおよびWのうちNを表すものは2つより多くはなく;
、W、WおよびWのうち少なくとも1つはCRであり;
Aは、NH、NR、S、SO、SO、O、Se、B(ホウ素)、NHSO、NRSO、SONH、SONR、OP(=O)OR、NHC(O)、またはC(O)NHであり;
Zは、ArまたはCHArであり、ここでArは、N、OおよびSから選択される0〜4個のヘテロ原子を環員として含み、4個までのRで任意に置換された、5〜10原子の単環式または二環式芳香族基であり;
ただし、Zは未置換のイミダゾピリジンではなく、AがNAcである場合、Zはメトキシ置換ピリジニルではなく;
、R、R、R、Rの各々は、独立して、H、ハロ、OR、NRR’、S(O)R、COOR、SONRR’、NO、CN、または、置換された、もしくは未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、縮合アリール、ヘテロアリール、縮合複素環、炭素環もしくは複素環であり、
同一または隣接する原子上の2つのR、R、R、R、Rは、任意に一緒に結合して3〜8員環を形成していてもよく、これは、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよく、および任意に置換されており;
ここで各RおよびR’は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールは、任意に置換されており、
RおよびR’は、同一または隣接する原子上に存在する場合、任意に環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含む3〜8員環を形成していてもよく;
mは0〜2である;
で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩の、医薬の製造のための使用。
【請求項39】
式(X)の化合物が、式(VII):
【化21】

で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩である、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
がNであり、AがNHまたはNRである、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
少なくとも1種の薬学的に許容し得る賦形剤と混合された、式(X):
【化22】

ここで、環中の
【化23】

は、環が芳香族環または芳香族複素環であることを示し;
はCRまたはNであり;
、W、WおよびWの各々は、CR、N、O、もしくはSまたは結合であり、
ただし、W、W、WおよびWのうち結合であるものは1つより多くはなく、W、W、WおよびWのうち少なくとも1つはCRではなく;
、W、WおよびWのうちNを表すものは2つより多くはなく;
、W、WおよびWのうち少なくとも1つはCRであり;
Aは、NH、NR、S、SO、SO、O、Se、B(ホウ素)、NHSO、NRSO、SONH、SONR、OP(=O)OR、NHC(O)、またはC(O)NHであり;
Zは、ArまたはCHArであり、ここでArは、N、OおよびSから選択される0〜4個のヘテロ原子を環員として含み、4個までのRで任意に置換された、5〜10原子の単環式または二環式芳香族基であり;
ただし、Zは未置換のイミダゾピリジンではなく、AがNAcである場合、Zはメトキシ置換ピリジニルではなく;
、R、R、R、Rの各々は、独立して、H、ハロ、OR、NRR’、S(O)R、COOR、SONRR’、NO、CN、または、置換された、もしくは未置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、縮合アリール、ヘテロアリール、縮合複素環、炭素環もしくは複素環であり、
同一または隣接する原子上の2つのR、R、R、R、Rは、任意に一緒に結合して3〜8員環を形成していてもよく、これは、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を環員として含んでもよく、および任意に置換されており;
ここで各RおよびR’は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールであり、ここで各アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールは、任意に置換されており、
RおよびR’は、同一または隣接する原子上に存在する場合、任意に環化して、N、OおよびSから選択される2個までのヘテロ原子を含む3〜8員環を形成していてもよく;
mは0〜2である;
で表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩を含む、医薬組成物。
【請求項42】
2−(4−エトキシフェニルアミノ)−4−(2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール;
2−(4−ブロモフェニルアミノ)−4−(2−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール;
2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)−チアゾール;
2−(4−エトキシルフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)−チアゾール;
2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリミジン−3−イル)チアゾール;
(2−(4−エトキシフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール;および
2−(4−ブロモフェニル)アミノ−4−(6−メチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−イル)チアゾール
からなる群から選択される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10(A)】
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【図10(B)】
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【図10(C)】
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【図10(D)】
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【図10(E)】
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【図11(A)】
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【図11(B)】
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【図11(C)】
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【図11(D)】
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【図11(E)】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−507798(P2011−507798A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517163(P2010−517163)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/070348
【国際公開番号】WO2009/023402
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(510014674)アセア バイオサイエンシズ インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ACEA BIOSCIENCES INC.
【Fターム(参考)】