説明

襠付き袋の製袋装置及び物品包装方法

【課題】襠付きの空袋の製造を可能とする製袋装置の提供。
【解決手段】包装シート200を定位置に保持する包装シート保持部4と、略平行な両側面50、50を有し前記包装シート保持部4に保持されている包装シート200の面と直交する方向から該包装シートの長さ中央部い突き込む突込み体5と、前記包装シート保持部4の突込み下流側に突込み体5の突込み移行路を挟んで対向配備され突込み体5と共同して包装シート200を略U字状に折り畳むガイド部材61、62と、突込み体5の突込み移行中に、包装シート200の長手方向に沿う両端耳部を突込み体5の側面50上に折り重ねる包装シート耳部折重ね部6と、 突込み体5の突込み端に配備され、突込み体5に包装シート200が袋状に被さった状態で、包装シート200の耳部の重なり部を溶着する溶着装置8とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おにぎり等の食品や、その他の物品を収容する襠付き袋を製造する製袋装置、及び物品を包装シートで包みながら袋を形成して袋包装する物品包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアで販売されている「おにぎり」の包装形態には、図10に示す如く、略四角形の襠付きの包装袋(300)におにぎり(400)を収容したものがある。
出願人は、以前に、図10に示す包装形態に包装できる包装装置(特許文献1)を提案した。該包装装置は、米飯からおにぎりを成形する工程、成形したおにぎりを包装シートで包みつつ包装袋を形成する工程、包装袋の口部(301)を溶着して閉じる工程の一連の工程を全自動で行なうことができる。
上記全自動の包装装置は、包装おにぎりを食品工場等で大量生産することには向いているが、少量生産するには生産能力が高過ぎ、又、装置が大き過ぎて不向きである。
【0003】
こだわりの手作りおにぎりを、袋包装して販売したい要望を受けて、出願は、おにぎり自体の成形は、手握り、型押し等によって別個に生産すること、及び包装袋の口部の封止は、必要に応じて別装置で行なうことを前提とし、包装シートでおにぎりを包みながら包装袋を形成し、これを排出するまでの工程だけを自動的に行なうことにより、小量生産に適し、使い易く、安価なおにぎり包装装置も提案した(特許文献2)。
【0004】
特許文献1、2の包装装置の共通する構成は、図11に示す如く、おにぎり(400)を載せて真上に突き上げる突上げ部材(33)と、包装シート(200)を該包装シートの後部が突上げ部材(33)の真上に位置する様に供給する包装シート供給装置(図示せず4)と、おにぎり(400)の突上げ端の高さ位置に配備され該おにぎり(400)を水平に突き込む突込み体(5)と、おにぎり(400)の突込み移行路を挟んで上下に対向配備されたガイド部材(61)(62)と、ガイド部材間(61)(62)間に配備した包装シート耳部折重ね部(6)と、突込み体(5)の突込み端に配備され、包装シート耳部重なり部を熱溶着して袋の襠(302)を形成する溶着装置(8)を有している点である。
【0005】
上記包装装置の動作を説明すると、突上げ部材(33)上におにぎり(400)を載せ、更に突上げ部材(33)の上方に包装シート(200)を水平に供給する。
図12に示す如く、おにぎり(400)を真上に突き上げることによって、包装シート(200)の後部をおにぎり(400)の上面に被せると共に、包装シート(200)の前部を下ガイド部材(61)の縁(61a)に当てて下向きに折り畳む。包装シート(200)は逆L字状を呈する。
おにぎり(400)の突上げ端にて待機する突込み体(5)を水平前進させて、図13に示す如く、突込み体(5)に形成した収容部(51)におにぎり(400)を嵌め入れて下流側へ突き込む。この際に、図14に示す如く、包装シート(200)の前部は下ガイド部材(61)の縁(61a)に当たって後方へ畳み込まれる。包装シート(200)はおにぎり(400)を挟み込んだ略略U字状を呈する。
更に、突込み途上で、突込み体(5)の移行路の両側に配備した包装シート耳部折重ね部(6)によって、包装シート(200)の突込み方向に沿う両側縁が突込み体(5)の左右の側面(50)上で折り重ねられる。突込み体(5)の突込み終端にて、溶着装置(8)によって包装シートの耳部の重なり部が溶着されておにぎり入り包装袋が完成する。
【0006】
【特許文献1】特開2005−6639号公報
【特許文献2】実用新案登録第3131644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、特許文献2では、おにぎり(400)を突上げ部材(33)に載せないことには、襠付き袋を形成することはできない。おにぎり(400)の厚みで包装シート(200)を逆L字状から略U字状に畳む際の、略U字開口幅、即ち、袋の襠幅が決まるからである。
従って、特許文献1、特許文献2の装置では、おにぎりが収容されていない襠付きの空袋だけを製造することはできない。襠付きの空袋を要望されることも多い。
又、特許文献2の場合は、おにぎり(400)は手作業で供給する様になっているが、包装シート(200)の供給は特許文献1と同様にして、包装シート供給装置によって自動的に行われる。
包装シート供給装置は、海苔業界、米飯業界では周知であって、積層包装シート束を収容したストッカーの下方に吸引筺を昇降可能に配備し、該吸引筺の上昇の際に、ストッカー内の積層包装シート束を突き上げると同時に、最下部の包装シートを吸引させ、吸引筺の下降の際に、該最下部の包装シートだけをストッカーから下方へ引き出すと共に、下降途上で搬送ベルト(図11、図12の符号(15)を参照)に受け渡し、搬送ベルト(15)の間欠走行によって、包装シート(200)を突上げ部材(33)の上方へ1枚づつ供給するのである。
【0008】
包装シート供給装置は、吸引筺の上下動音、ストッカー内の積層包装シート束の上下動く音、又、吸引用ブロワーの運転音が騒音となる。更に、大きさの決まっている包装シートを供給する包装シート供給装置を小型化することは困難であり、又、包装シート供給装置のコストに、ブロワーを含む包装シート供給装置の占める割合が高い。
一般の店舗に設備するには、上記点が大きな障害となる。
【0009】
生産能力の高さを求めず、使い易く、安価な装置と云う観点からは、おにぎり(400)を手作業で供給するのであれば、包装シートも手作業で供給すればよいと思われる。
しかし、突込み体(5)の水平移行路と、突上げ部材(33)との間の狭いスペースに、形状の安定しない包装シートを正しく位置決めして1枚づつ供給するのは難しい作業である。
又、突上げ部材(33)の上昇によって、手を挟む危険がある。
本発明は、上記問題を解決できる製袋装置、及び物品を包装シートで包みながら袋を形成して袋包装する物品包装方法を明らかにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の襠付き袋の製袋装置は、包装シート(200)を定位置に保持する包装シート保持部(4)と、
略平行な両側面(50)(50)を有し前記包装シート保持部(4)に保持されている包装シート(200)の面と直交する方向から該包装シートの長さ中央部に突き込む突込み体(5)と、
前記包装シート保持部(4)の突込み下流側に突込み体(5)の突込み移行路を挟んで対向配備され突込み体(5)と共同して包装シート(200)を略U字状に折り畳むガイド部材(61)(62)と、
突込み体(5)の突込み移行中に、包装シート(200)の長手方向に沿う両端耳部を突込み体(5)の側面(50)上に折り重ねる包装シート耳部折重ね部(6)と、
突込み体(5)の突込み端に配備され、突込み体(5)に包装シート(200)が袋状に被さった状態で、包装シート(200)の耳部の重なり部を溶着する溶着装置(8)とを含む。
【0011】
本発明の物品包装方法は、略四角形の包装シート(200)を起こした状態で包装シート保持部(4)に供給する包装シート供給工程と、
供給された包装シート(200)の上下方向及び左右方向の中央部に、略平行な両側面(50)(50) を有し該側面間に物品を収容する収容部(51)を有する突込み体(5)を物品と一緒に突き込んで、突込み体(5)及び物品を挟んで包装シート(200)を略U字状に折り畳む工程と、
突込み移行路の左右両側に配備した包装シート耳部折重ね部(6)によって、物品(400)からはみ出した包装シートの前記突込み移行路に沿う両端耳部を、突込み体(5)の側面(50)上に折り重ねる包装シート耳部折重ね工程と、
突込み体(5)の突込み端にて、突込み体(5)の収容部(51)に物品が収容されている状態で、溶着装置(8)によって包装シート耳部の折重なり部を溶着して一端に口部(301)を有する袋(300)に形成する溶着工程と、
袋(300)の口部(301)を溶着等によって閉じる封止工程とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製袋装置は、包装シート保持部(4)と待機位置の突込み体(5)との間に物品を供給しない場合は、包装シート保持部(4)に保持されている包装シート(200)に突込み体(5)が空のまま突き込み、ガイド部材(61)(62)と共同して包装シート(200)を物品を挟んで略U字状に折り畳む。即ち、突込み体(5)の厚みによって、袋の襠幅が決まる。
その後の襠(302)の溶着工程は従前と同様にして行なうことができ、空の襠付き包装袋を形成できる。
包装シート保持部(4)に手作業で包装シートを供給する様にすれば、従来の包装シート供給装置に起因する騒音は無くなり、又、包装シート供給装置のコスト分は安価に製作できる。
突上げ部材(33)も不要であるから、その分製作コストは下がり、又、突上げ部材(33)で手を挟む危険もなくなくなる。
【0013】
本発明の包装方法は、突込み体(5)の収容部(51)に収容できる物品であれば、物品の種類、大きさ、形状を選ぶことはなく、袋包装ができる。
袋の口部(301)は、折り曲げて簡易的に閉じて済ますことができ、熱溶着等によって封止する必要があれば、オプションで封止装置(93)を付設することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
包装すべき物品(図9a)
実施例では、包装する物品は三角形のおにぎり(400)である。
【0015】
包装シート(200)(図9a)
包装シート(200)は、外フィルムと内フィルムとの間にシート状海苔を挟み、外フィルムと内フィルムの外周部を溶着して長方形に形成された、おにぎり包装では周知の包装シートである。
包装シート(200)の長さは、おにぎり(400)の三角高さの3倍強、幅長さは、おにぎり(400)の2倍程度である。
包装袋(300)(図9f)
上記おにぎり(400)を収容する包装袋(300)は、後記する製袋装置によって前記包装シート(200)で、おにぎり(400)を包みながら形成される。
【0016】
おにぎりの包装手順(図9a乃至図9f)
図9aに示す如く、縦向きに起こして保持されて待機している包装シート(200)の中央部に、三角底辺を包装シート(200)の面と平行にして横向き姿勢のおにぎり(400)を、突込み体(5)と一緒に水平に突き込む。包装シート(200)の下流側には、突込み体(5)の突き込みを許す間隙を存して上下にガイド部材(61)(62)が位置しており、図9bに示す如く、包装シート(200)はおにぎり(400)を挟んで略U字状に折り畳まれる。
包装シート(200)の長手方向に沿う両側縁のおにぎり(400)からはみ出した余裕分を耳部(200a)(200b)と呼ぶ。
図9cに示す如く、略U字状に畳まれた包装シート(200)の両耳部の中央部(200e)を内側に折り込む。
図9dに示す如く、包装シート(200)の上側の耳部(200a)を下向きに折り畳み、次に図9eに示す如く、下側の耳部(200b)を上向きに折り畳んで、上下の耳部(200a)(200b)を折り重ねて溶着(304)して襠(302)を形成し、口部(301)を有する襠付き包装袋(300)を完成する。
図9fに示す如く、袋開口(301)を溶着して封止部(303)を形成する。
【0017】
製袋装置(図1)
製袋装置は、基台(1)上に、包装シート(200)を縦向きにして定位置に保持する包装シート保持部(4)と、
略平行な両側面(50)(50)を有し前記縦向に保持されている包装シート(200)に対して、シート面と直交する方向から該包装シートの長さ中央部に突き込む突込み体(5)と、
前記包装シート保持部(4)の突込み下流側に突込み体(5)の突込み移行路を挟んで対向配備され突込み体(5)と共同して包装シート(200)を略U字状に折り畳むガイド部材(61)(62)と、
突込み体(5)の突込み移行中に、包装シート(200)の長手方向に沿う両端耳部を突込み体(5)の側面(50)上に折り重ねる包装シート耳部折重ね部(6)と、
突込み体(5)の突込み端に配備され、突込み体(5)に包装シート(200)が袋状に被さった状態で、包装シート(200)の耳部の重なり部を溶着する溶着装置(8)と、おにぎり(400)を収容し一端に口部(301)を有する包装袋(300)を排出方向に搬送する排出手段(2)と、包装袋(300)の排出移行路に配備され口部(301)を溶着封止する封止装置(93)とによって構成される。
下記の説明で、突込み体(5)側を上流側、溶着装置(8)側を下流側とする。
【0018】
ガイド部材(61)(62)(図1乃至図4)
前記基台(1)上に、基台上面(11)との間に空間を存して長方形のベース板(12)を水平に固定し、該ベース板(12)の略中央部に、ベース板(12)の長さ方向に直交して貫通溝孔(40)を開設している。
貫通溝孔(40)の長さは、包装シート(200)の幅長さより僅か長い。
ベース板(12)の該貫通溝孔(40)の下流側が下ガイド部材(61)となり、該下ガイド部材(61)の上方に、おにぎり(400)の厚みよりも僅か大きな間隔を存して板状の上ガイド部材(62)が水平に固定される。
上ガイド部材(62)の上方に、上流側が開口した略コ字状の取付板(13)が水平に固定されている。
【0019】
包装シート保持部(4)(図1乃至図4)
基台(1)と取付板(13)とに跨って包装シート保持部(4)が設けられる。
実施例の包装シート保持部(4)は、ベース板(12)の前記貫通溝孔(40)と、該貫通溝孔の真上位置にて取付板(13)のコ字状内縁に対向して開設したスリット孔(14)(14)と、貫通溝孔(40)と、スリット孔(14)(14)と貫通溝孔(40)を貫通して基台(1)の上面(11)に下端を着地させた包装シート(200)を起立状態に保持する補助部材(45)とによって構成される。
補助部材(45)は、取付板(13)の両スリット孔(14)(14)の上流側と下流側にスリット孔(14)(14)に接近して1本づつ或いは複数本づつ突設した下向き軸体(41)(41)、(42)(42)と、基台(1)の上面(11)に、前記ベース板(12)の貫通溝孔(40)を貫通し、取付板(13)上の上流側の下向き軸体(41)(41)に対向して突設した複数の上向き軸体(43)(43)とからなる。
貫通溝孔(40)の下流側の孔縁と上向き軸体(43)との間には、包装シート(200)が通過するだけの余裕がある。
上向き軸体(43)(43)の下流側は前記ガイド部材(61)(62)の間隔で開放されている。
取付板(13)には、包装シート(200)をスリット孔(14)(14)へ案内する口金(44)(44)が取り付けられている。
包装シート保持部(4)に保持された包装シート(200)の長さ中心の高さは、前記ガイド部材(61)(62)間の中心高さに一致している。
【0020】
突込み体(5)(図2、図3)
突込み体(5)は、おにぎり(400)の厚みに対応する四角形のブロック(53)に、おにぎり(400)の形状に対応して該ブロック(53)の下流端に広がって開口する収容する収容部(51)を形成している。
突込み体(5)の左右の両側面(50)(50)は略平行であり、該両側面に横向きT字状の耐熱性のクッションシート(52)が取り付けられている。
突込み体(5)は、シリンダ装置等の往復駆動装置(図示せず)に連繋されて、ベース板(12)の上流端の待機位置から、保持状態の包装シートの幅中心に突き込む。
突込み体(5)の往復駆動装置を取付板(13)上に搭載すれば、製袋装置の機長を短くできる。
図2に示す如く、前記ベース板(12)には、貫通溝孔(40)と上流端に待機している突込み体(5)との間に、おにぎり(400)を載せるスペースである、おにぎり供給ステーションS1が設けられる。
ベース板(13)の下流端の外側に、包装シート耳部溶着ステーションS2が設けられる。
尚、突込み体(5)の左右の側面(50)(50)を略平行としたのは、後述する袋製造工程で、完成した包装袋(300)から突込み体(5)を抜き外す際に、突込み体(5)の突込み側の横幅が徐々に狭まる様に、少し抜け勾配とすることも考えられるからである。
【0021】
シート耳部折重ね部(6)(図2、図5)
シート耳部折重ね部(6)は、前記ガイド部材(61)(62)の間に、突込み体(5)の突込み移行路り両側にを挟んで配備された夫々第1、第2、第3の3つの定規板(63)(64)(65)、(63)(64)(65)と、前記突込み体(5)とによって構成される。
各3枚の定規板(63)(64)(65)の内、上流側の第1定規板(63)は、図2に示す如く、該定規板(63)の下縁から外側に延びた取付片(63b)によって下ガイド部材(61)に固定される。
図5aに示す如く、第1定規板(63)の上縁と前記上ガイド部材(62)との間、及び第1定規板(63)の下縁と下ガイド部材(61)との間には、夫々おにぎり(400)に被さった包装シート(200)の上下の耳部(200a)(200b)が通過できる隙間x1、x1が形成される。
図5fに示す如く、第1定規板(63)の上流端は少し外側に屈曲し、図5bに示す如く、該屈曲部の上下端は、包装シート(200)の耳部(200a)(200b)を前記隙間x1、x1に案内するための傾斜案内縁(63a)(63a)が形成されている。
【0022】
次の第2定規板(64)は、図2に示す如く、該板の上縁から外側に延びた取付片板(64b)によって上ガイド部材(62)に固定されている。
図5aに示す如く、第2定規板(64)の下端縁と下ガイド部材(61)との間に、包装シート(200)の下側耳部(200b)が通過できる隙間x2が形成される。
第2定規板(64)の上流側部分は前記第1定規板(63)の外側に重なり、該重なり部には、包装シート(200)の上側の耳部(200a)が下向きに折れ曲がった状態で通過できる隙間x4が形成されている。
図5aに示す如く、第2定規板(64)の上流端は、上流側が徐々に上ガイド部材(62)へ接近する様に傾斜した傾斜縁(64a)が形成されている。
【0023】
第3定規板(65)は、図2に示す如く、該板の下縁から外側に延びた取付板(13)(65b)によって下ガイド部材(61)に固定される。
第3定規板(65)の上流側部分は前記第2定規板(64)の外側に重なり、該重なり部には図5fに示す如く、包装シート(200)の下側の耳部(200a)が突込み体(5)の側面に折れ曲がった状態で通過できる隙間x5が形成されている。
図5eに示す如く、第3定規板(65)の上流端は、上流側が徐々に下ガイド部材(61)に接近する様に傾斜した傾斜縁(65a)が形成されている。
【0024】
図5fに示す如く、上流側の第1定規板(63)の上流側に、軸状の邪魔部材(60)(60)が上ガイド部材(62)又は下ガイド部材(61)に固定される。邪魔部材(60)は、下ガイド部材(61)と上ガイド部材(62)の間の中間位置にあり、互いの内端は、おにぎり(400)の移行路に近接している。
上記各定規板(63)(64)(65)及び邪魔部材(60)は、おにぎり(400)の突込み移行路を挟んで反対側の定規板(63)(64)(65)及び邪魔部材(60)に接近離間可能且つ位置決め可能であって、前記突込み体(5)の大きさに対応した突出し移行路を形成できる。
後記の如く、略U字状に屈曲した包装シート(200)に挟まれたおにぎり(400)が、左右の邪魔部材(60)(60)、定規板(63)(64)(65)、(63)(64)(65)間を通過する間に、包装シート(200)の耳部(200a)(200b)が折り重なって包装袋(300)の襠(302)が形成される。
【0025】
溶着装置(8)(図2、図6)
ベース板(12)の下流端に接近している溶着ステーションS2に溶着装置(8)が配備される。
溶着装置(8)は、下ガイド部材(61)の高さに合わせて配備した受け枠(7)に、包装シート(200)が突込み体(5)に袋状に被さった状態で受け入れ、前記の包装シート耳部(200a)(200b)の折り重なり部に熱溶着を施す。
【0026】
受け枠(7)は後記する排出手段(9)の構成部品でもありスライド台(71)に搭載されている。該スライド台(71)は軌条(91)に案内されて往復スライドする。軌条(91)は溶着ステーションS2から、突込み体(5)の突込み方向と直交して側方に伸びており、軌条(21)の終端は袋排出ステーションS3となっている。
受け枠(7)は、上面及び下ガイド部材(61)側の面が開口し、前記突込み体(5)の突込みを許す四角形に形成されている。
受け枠(7)の両側板(72)(72)には、突込み体(5)の両側面(50)(50)上の横向きT字状クッションシール(52)に対応してT字状溝孔(73)(73)が開設されている。
受け枠(7)の背板(74)には、包装おにぎり排出用の切欠(75)が開設されている。
受け枠(7)の上面開口には、完成した包装袋(300)から突込み体(5)を抜き外す際に、包装袋(300)を受け枠(7)内に保持しておくための、板バネ製の押え片(76)(76)が設けられている。
溶着ステーションS2に停止した受け枠(7)の両側板(72)(72)は、前記包装シート耳部折重ね部(6)の両第3定規板(65)(65)の延長上にあり、該第3定規板(65)(65)に近接している。
【0027】
溶着装置(8)は、昇降台(81)上に上記受け枠(7)を挟んで2つのスライド板(82)(82)を互いに接近離間可能に対向配備し、両スライド板(82)(82)の下端に押圧体(87)(87)を取り付けて構成される。
押圧体(87)(87)には、前記受け枠(7)の溝孔(73)及び、突込み体(5)の側面のクッションシート(52)に対応して、T字状に膨らんだヒータ面(88)が形成されている。
上記両スライド板(82)(82)は、互いに位置をずらせて相手スライド板(82)に向けて軸(83)を突設し、該軸(83)を昇降台(81)の二股先端部及び相手スライド板(82)に貫通させている。
両軸(83)(83)の中央部にはラック面(84)(84)が対向して形成され、両ラック面(84)(84)に共通のピニオンギア(85)が噛合している。該ピニオンギア(85)は、昇降台(81)に搭載したシリンダ等の回転駆動装置(図示せず)に連繋される。
ピニオンギア(85)の回転により、軸(83)(83)が互いに逆方向にスライドし、スライド板(82)(82)を接近或いは離間させる。
昇降台(81)は、シリンダ等の昇降駆動装置(76)に連繋されて昇降する。
【0028】
おにぎり排出手段(2)(図2、図7)
おにぎり排出手段(2)は、前記受け枠(7)、スライド台(72)、軌条(91)及びスライド台(72)に連繋したシリンダ等のスライド駆動装置(図示せず)によって構成される。
【0029】
封止装置(9)(図2、図8)
溶着ステーションS2と排出ステーションS3との間に、包装袋(300)の口部(301)を熱溶着によって封止する封止装置(93)が配備される。
封止装置(93)は、包装袋(300)の口部(301)の移行路を挟んで、加熱ローラ(94)と受けローラ(95)を対向配備して構成される。
両ローラは、包装袋(300)の排出移動速度に対応して回転駆動される。
【0030】
次に製袋工程を説明する。
おにぎり(400)と包装シート(200)の供給(図1、図3)
ベース板(12)上のおにぎり供給ステーションS1 におにぎり(400)を供給し、包装シート保持部(4)に、上方から包装シート(200)を供給する。何れも手作業で供給する。
起動スイッチ(図示せず)を押すと、以下の動作が自動的に成される。
【0031】
突込み体(5)によるおにぎり(400)及び包装シート(200)への突き込み(図5a、図5b)
突込み体(5)が前進し、その収容部(51)におにぎり(400)を嵌め入れた状態で包装シート(200)の中央部を突き込む。
図5bに示す如く、突き込まれた包装シート(200)は、ガイド部材(61)(62)の上流縁(61a)(62a)によって、おにぎり(400)と突込み体(5)を挟んで略U字状に畳まれてガイド部材(61)(62)内へ、突き込まれる。
【0032】
包装シート耳部を折り重ねる動作(図5b乃至eの工程)
更に、突込み体(5)が下流側へ前進すると、包装シート(200)の長手方向に沿う両耳部の中央屈曲部(200e)はピン状の邪魔部材(60)に当たって、内側、即ち、突込み体(5)の側面側(50)に被さる様に折り込まれる(図5b、図9c)。
更におにぎり(400)が前進すると、図5dに示す如く、包装シート(200)の上下の耳部(200a)(200b)が、第1定規板(63)の上下の隙間x1、x1 に入り込む。
次に、前進途上の包装シート(200)の上側耳部(200a)が、第2定規板(64)の傾斜縁(64a)に当たって下向きに折り畳まれる。折り畳まれた耳部(200a)は、第1定規板(63)と第2定規板(64)との間の隙間x4を通過する。
次に、包装シート(200)の下側耳部(200b)は、第2定規板(64)と下ガイド部材(61)との間の隙間x2を通過して第3定規板(65)の傾斜縁(65a)に当たって、第2定規板(64)に被さる様に上向きに折り畳まれる。
折り畳まれた耳部(200b)は、第2定規板(64)と第3定規板(65)との間の隙間x5を通過する。
おにぎり(400)が第2定規板(64)を通過すると、耳部(200a)(200b)どうしが、突込み体(5)の側面(50)上にて重なり、包装シート(200)は該フィルム耳部(200a)(200b)の重なり部を襠(302)とする袋状を呈する。
おにぎり(400)が突込み体(5)の収容部(51)に収容され、該おにぎり(400)と突込み体(5)に包装シート(200)が袋状に被さったまま、溶着ステーションS2にて待機している受け枠(7)に受け渡される。
【0033】
袋の両耳部の溶着動作(図9eの工程程)
図6に示す、溶着装置(8)が下降して、左右の押圧体(87)(87)が、受け枠(7)の両側板(72)(72)の外側に位置する。
ピニオンギア(85)が回転して両押圧体(87)(87)が互いに接近し、押圧体(87)上のT字状のヒータ面(88)が、受け枠(7)の側板(72)の溝孔(73)に侵入して、前記包装シート耳部(200a)(200b)の重なり部を加熱して溶着(304)する。
該包装シート耳部(200a)(200b)が重なっている突込み体(5)の側面には、ヒータ面(88)に対応してT字状クッションシート(52)が取り付けられているから、ヒータ面(88)が該クッションシート(52)に食い込む様に包装シート耳部(200a)(200b)の重なり部を押圧して強力に溶着(304)できる。
包装シート(200)は両耳部が溶着されたことにより、該溶着耳部を襠(302)とし、内端が開口した袋(300)に形成される。
【0034】
溶着装置(8)のピニオンギア(85)が前記とは逆方向に回転し、押圧体(87)(87)が受け枠(7)から離間し、溶着装置(8)は、昇降台(81)の上昇によって受け枠(7)より高い位置まで持ち上がる。
突込み体(5)は、袋(300)の開口(301)から抜け出して、上流側の待機位置に復帰する。
おにぎり(400)は包装袋(300)に残ったままである。
【0035】
にぎり排出及び袋口部(301)の封止
上記の如く、受け枠(7)を残して溶着装置(8)が上昇し、突込み体(5)が後退して袋から抜け出した状態で、受け枠(7)が軌条(91)に沿ってスライドして排出ステーションS3に向かう。
排出途上で、包装袋(300)の口部(301)が、封止装置(93)の加熱ローラ(94)と受けローラ(95)との間に挟まれて、該口部(301)が溶着封止される。
排出ステーションS3にて、袋包装されたおにぎりを手作業で取り出しできる。
【0036】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0037】
例えば、本発明において、袋の口部(301)を封止せずにおいておくこともできる。袋の口部(301)を折り折り畳んで、セロハンテープ等で簡易的に止めて封じることも可能である。
【0038】
包装袋(300)に収容するおにぎり(400)は、前記三角おにぎりに限らず、棒状飯等、他の形状の飯塊や、扁平円形、扁平四角形等、形状は限定されない。おにぎりの形状に合わせて、突込み体(5)の収容部(51)の形状を決めればよい。
又、おにぎりに限らず、突込み体(5)の収容部(51)に収容可能であれば、他の食品、或いは食品以外の物品も袋包装が可能である。
【0039】
又、封止装置(93)を省略して、おにぎり供給ステーションS1におにぎり(400)を供給することなく、製袋装置を運転すると、空の襠付き包装袋を製造できる。
【0040】
本発明の実施に際して、包装シート(200)を長手方向を横向きにし、横向きのまま起こした状態(略垂直状態)に保持して、突込み体(5)を突き込んで、包装袋を製造することもできる。
【0041】
包装シート(200)は、縦向き、横向きに限らず、起こした状態で保持できれば、1枚もののシートで実施することが可能である。
【0042】
本発明の実施に際し、おにぎり(400)等の物品の供給、包装シート(200)の供給は、必ずしも手作業で行なうことに限定されることはなく、適当な自動供給装置を用いることができるのは、勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】上流側から見た製袋装置の斜視図である。
【図2】下流側から見た製袋装置の斜視図である。
【図3】製袋装置の包装シート保持部の斜視図である。
【図4】包装シート保持部の側面図である。
【図5】3つの定規板によって包装シートの耳部を折り畳む工程の説明図である。
【図6】溶着装置の斜視図である。
【図7】包装おにぎり排出手段の平面図である。
【図8】封止装置の斜視図である。
【図9】包装シートを袋に折る手順の説明図である。
【図10】包装おにぎりの斜視図である。
【図11】従来例の包装装置の突上げ部材におにぎりを載せた状態の説明図である。
【図12】同上の突上げ部材を突き上げて、包装シートを逆L字状に折り畳む説明図である。
【図13】同上の突込み体が前進して突込み体内へおにぎりを収容した状態の説明図である。
【図14】突込み体がガイド部材間へ突き込む説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 基台
4 包装シート保持部
5 突込み体
51 収容部
6 包装シート耳部折重ね部
61 下ガイド部材
62 上ガイド部材
63 第1定規板
64 第2定規板
65 第3定規板
8 溶着装置
9 排出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シート(200)を定位置に保持する包装シート保持部(4)と、
略平行な両側面(50)(50)を有し前記包装シート保持部(4)に保持されている包装シート(200)の面と直交する方向から該包装シートの長さ中央部に突き込む突込み体(5)と、
前記包装シート保持部(4)の突込み下流側に突込み体(5)の突込み移行路を挟んで対向配備され突込み体(5)と共同して包装シート(200)を略U字状に折り畳むガイド部材(61)(62)と、
突込み体(5)の突込み移行中に、包装シート(200)の長手方向に沿う両端耳部を突込み体(5)の側面(50)上に折り重ねる包装シート耳部折重ね部(6)と、
突込み体(5)の突込み端に配備され、突込み体(5)に包装シート(200)が袋状に被さった状態で、包装シート(200)の耳部の重なり部を溶着する溶着装置(8)とを含む、襠付き袋の製袋装置。
【請求項2】
包装シート保持部(4)は包装シート(200)を縦向きに保持でき、該包装シート保持部(4)の突込み下流側は、包装シート(200)を略U字状に折り曲げた状態で突き出しを許す様に部分的に開放されており、包装シート保持部(4)の下流側に突込み体(5)の突込み移行路を挟んで上下にガイド部材(61)(62)が対向配備されている、請求項1に記載の襠付き袋の製袋装置。
【請求項3】
待機位置の突込み体(5)と包装シート保持部(4)との間に、製造されるべき包装袋(300)に収容される物品を載せるスペースが存在する、請求項1又は2に記載の襠付き袋の製袋装置。
【請求項4】
溶着装置(8)は、突込み体(5)の突込み端に待機し袋状に畳まれて突込み体(5)に被さったままの包装シート(200)を収容する受け枠(7)と、該受け枠内の包装シート(200)の耳部の重なり部を突込み体(5)の側面(50)に加熱押圧する押圧体(87)とからなり、受け枠(7)は突込み体(5)の突込み終端の待機位置と、受け枠(7)内で包装シート(200)の耳部の重なり部を熱溶着して襠(302)が形成された包装袋(300)の排出位置との間を移動可能である、請求項1乃至3の何れかに記載の襠付き袋の製袋装置。
【請求項5】
受け枠(7)の待機位置と袋排出位置との間に、包装袋(300)の口部(301)を封止する封止装置(93)が設けられている、請求項4に記載の襠付き袋の製袋装置。
【請求項6】
略四角形の包装シート(200)を起こした状態で包装シート保持部(4)に供給する包装シート供給工程と、
供給された包装シート(200)の上下方向及び左右方向の中央部に、略平行な両側面(50)(50) を有し該側面間に物品を収容する収容部(51)を有する突込み体(5)を物品と一緒に突き込んで、突込み体(5)及び物品を挟んで包装シート(200)を略U字状に折り畳む工程と、
突込み移行路の左右両側に配備した包装シート耳部折重ね部(6)によって、物品(400)からはみ出した包装シートの前記突込み移行路に沿う両端耳部を、突込み体(5)の側面(50)上に折り重ねる包装シート耳部折重ね工程と、
突込み体(5)の突込み端にて、突込み体(5)の収容部(51)に物品が収容されている状態で、溶着装置(8)によって包装シート耳部の折重なり部を溶着して一端に口部(301)を有する袋(300)に形成する溶着工程と、
袋(300)の口部(301)を溶着等によって閉じる封止工程
を含む物品包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−29482(P2009−29482A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196909(P2007−196909)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(591154751)
【出願人】(598157096)
【Fターム(参考)】