説明

親水性ポリオレフィン材料およびその製造方法

本発明は、少なくともポリオレフィンと、少なくとも、脂肪酸エステルを含む可溶性添加剤とからなる混合物から製造された親水性ポリオレフィン材料、特に、繊維および/またはフィラメントおよび/またはフリースおよび/またはフリース製品に関する。ここで、ポリオレフィン材料の表面上における可溶性添加剤に含まれる脂肪酸エステルの追加的活性化は、シリコン化合物および四級アンモニウム化合物を含む配合の提供によって行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともポリオレフィンと、少なくとも可溶性添加剤とからなる混合物から製造された親水性ポリオレフィン材料、特に、繊維および/またはフィラメントおよび/またはフリースおよび/またはフリース製品に関し、その際、ポリオレフィン材料は、可溶性添加剤に含まれる脂肪酸エステルの、ポリオレフィン材料の表面上での追加的活性化を有する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレンおよびそれらのコポリマーは、フリース素材の製造のために材料として定着ている。
【0003】
ポリオレフィンからなるフリース素材が装着される典型的な利用は、衛生製品(ベビー用衛生製品、婦人用衛生製品、失禁製品)およびフィルタ材料である。フリースは、例えばベビー用おむつの上面シートとして装着される場合、フリースは、例えば尿のような体液に対して浸透性であらねばならない。ポリオレフィンの著しい疎水性に起因して、好ましくは、追加的にいわゆる局部処理の形態において示される、親水性の装備が不可避である。その際、両親媒性の表面活性物質を含む水溶液、好ましくは陽イオン性の(四級アンモニウム塩)、陰イオン性の(硫酸塩、燐酸塩)あるいは非イオン性の(エトキシレート、エステル、アルコール、シリコ−ン)成分、あるいはこれらの物質からなる形態が起用される。
【0004】
US 6,008,145によって、四級アンモニウム化合物の使用による、ポリオレフィン繊維、ポリオレフィンフィラメント、およびそれから製造された繊維製品のための調合が知られている。
【0005】
US 963,929およびDE 19645380によれば、非イオン性の界面活性剤が、陽イオン的に改変されたポリジメチルシロキサンと共に起用される。
【0006】
US 6,028,016は、フリース素材を持続的に湿らせて加工するための調合および方法を記載する。その際、アルキル化されたポリグリコシドは、表面活性物質、例えば改変されたヒマシ油およびソルビタンモノオレアートからなる混合物と共に、使用されるため、その調合は、通常使用可能でない表面活性物質の粘性の目標とする設定のために、粘性改変剤を有する。
【0007】
ポリオレフィンあるいはポリオレフィン繊維の親水性の加工のためのさらなる方法は、DE 19851688に記載される。ここでは、ポリオレフィンあるいはポリエステル、および少なくともエトキシル化された糖基のクラスからなる物質を含む化合物が開示される。
【0008】
US 6,211,101においては、持続的な親水性の繊維およびこれから製造されたフリース素材が記載されている。それらは、好ましくは医薬的および衛生的分野において起用されるべきものであり、その際、繊維の加工のための作用物質が、両イオン性の表面活性ベタインおよび高分子ヒドロオキシ脂肪酸エステルから製造されたジカルボン酸エステルから構成される。
【0009】
ただし、実際において、フリース素材の局所的な扱いは、以下の不都合な点と結びつくことは明白である:
1. 表面活性物質は、使用において、尿および他の体液によって洗い流され、それによって、親水性の特性は次第に失われる。
2. 洗い流された表面活性物質は、衛生製品内における吸収物処理および液体分離処理を妨げる。
3. フリース上での表面活性物質の分離は、しばしば不均一に行われる。
【0010】
ポリオレフィンの加工性を改善するために、しばしばいわゆるプロセス補助材料が可溶性添加剤として導入される。その際、例えば極性基を有する脂肪酸誘導体が「外部軟化剤」としての使用を見出す(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,VCH Weinheim,5thEd.、Vol.A20、479ページ)。
【0011】
もちろん今日まで、ポリオレフィンフリースの目標とされる親水性のためにそのような可溶性添加剤の導入は、ほとんど広まっていない。相の不整合性から、親水性基の移動は、繊維表面において起こる。しかしながら、この移動は、ポリマー溶解における繊維生産において、半結晶繊維内の繊維生産の後にも起こる。
【0012】
親水性の可溶性添加剤の導入のために、US 5,439,734においては、ポリオレフィン、およびジヒドロキシ化されたポリエチレングリコールによってエステル化された脂肪酸を含む親水性の添加剤からなる、持続的な湿潤性を有するフリース素材が記載されている。
【0013】
さらに、US 5,969,026によって、ポリマーおよび追加された湿潤試薬からなる湿潤可能な繊維およびフェードが知られている。その際、ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステルおよびポリアミドのクラスから選択され、活性物質は本質的にグリセリドからなる。
【0014】
US 5,240,985、US 5,272,196、US 5,281,438、US 5,328,951、US 5,464,691において、ポリオレフィンの改変のための両親媒性の添加剤が開示されている。ここでは、両親媒性の化合物は、2つの側基と結合された中央親水性基(例えばポリエチレングリコール)のA−B−Aの組み合わせからなり、その2つの側基は、脂肪酸のあるいは長鎖アルコールのクラスから選択される。
【0015】
さらに、US 5,696,191およびUS 5,641,822によって、少なくともポリオレフィンおよび添加剤からなる、表面移動の押し出し形成可能な熱可塑性混合物か知られている。その際、添加剤は、ポリアルケンオキシド側鎖を有するポリシロキサングラフトコポリマーである。混合物の押し出しによって、2年後においても適切な特性を有する湿潤可能なフリース素材が製造され得る。
【0016】
同様に、US 20020019184によって、改良されたポリオレフィンを有するポリマーが知られている。ここで、ポリオレフィンは、ポリエチレングリコールによってエステル化された脂肪酸からなる添加剤の対応する量の添加によって生成される。
【0017】
US 20010008965において、マルチ成分繊維が記載され、そこでは第1の成分は疎水性のポリプロピレンからなり、また第2の成分は疎水性のポリプロピレンと親水性の可溶性添加剤との混合物からなる。その際、第2の成分は繊維表面に配置される。
【0018】
WO 9842767A1、WO 9842776A1およびWO 9842898A1は、接着および被覆への改良された適合性を有するポリオレフィン混合物の製造のためのプロセスを開示する。その混合物は、ポリオレフィン、移動性両親媒性物および遷移金属からなる。
【0019】
US 20020002242A1およびWO 0158987A2には、直鎖状の親水性のポリマーあるいはオリゴマー、および統計的にハイパー分岐したポリマーあるいはオリゴマーからなるブロックコポリマーに全体にあるいは部分的に親油性の末端基を備えることによって、新しい両親媒性なブロックコポリマーの投入によってポリマー基板の表面エネルギーを増加させるための手段が記述されている。
【0020】
US 5,582,904は、親水性のポリオレフィンフリース素材に疎水性の特性が装備される方法およびそれによって生産される製品を記述している。そのために、ポリマー溶解物に、アルコキシ化された脂肪酸の必要な含有量が、必要に応じて、最初の脂肪酸アミドの60重量%までと共に、加えられる。
【0021】
さらに、WO 0071789によって、ポリプロピレン繊維およびそこから製造された構築物が知られている。そこでは、脂肪酸モノグリセリッドに、可溶性添加物としてポリプロピレンが加えられ、さらなる添加物が、親水性が改善され、抗菌性物質形態において使用される。
【0022】
最後に、WO 0242530において、ポリオレフィンおよび添加剤からなる可溶性ブレンドから構成される、繊維、フィラメント、およびフリース素材が開示されている。そこでは、添加剤は、アルキル鎖および疎水性オリゴマーから構成される化学的な物質である。製造されたフリース素材は、好ましくは体液に対して持続的な湿潤性を示す。
【0023】
可溶性添加物の有する親水性の衛生フリースは、特に、繊維表面上での親水性基の高い持続性によって際立っている。しかしながら、可溶性添加物によって得られる親水性レベルは、衛生産業における要求に適正であるためには、多くの場合、小さ過ぎる。
【0024】
この点に関して、本発明が導入される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の課題は、使用目的に要求される、ポリオレフィン材料の親水性のレベルあるいは親水性特性の持続性を、目標に合致し、持続的に有し、ポリオレフィン材料の表面の自然的な湿潤性(初期の濡れ)を有する、親水性ポリオレフィン材料、特に、繊維および/またはフィラメントおよび/またはフリースおよび/またはフリース製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本課題は、本発明の請求項1から13による、少なくともポリオレフィンと、少なくとも可溶性添加剤とからなる混合物から製造された親水性ポリオレフィン材料、特に、繊維および/またはフィラメントおよび/またはフリースおよび/またはフリース製品であって、
可溶性添加剤は、一般式
R−CO−O−CH−CH−O−R’、
を有する脂肪酸エステルを含み、
ここで、Rは、23個から35個までのC原子を有する直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基であり、
R’=H、−CH、−C、−C、−C
である、ポリオレフィン材料によって解決される。ここで、脂肪酸エステルの親水性基は、少量の表面活性物質の提供によって、ポリオレフィン材料の表面において追加的活性化を有する。
【0027】
ポリオレフィン材料の製造のために、ポリオレフィンと、脂肪酸エステルを含む可溶性添加剤とからなる混合物が、従来の技術および方法において押し出し形成される。続いて従来の方法において、繊維および/またはフィラメント、およびこれらに引き続きフリースおよび/またはフリース製品が製造される。その後に続いて、本発明による、表面活性物質、水性の調整物の形態の配合の提供によって、ポリオレフィン材料の表面上において脂肪酸エステルの追加的活性化が行われる。
【0028】
好ましくは、ポリオレフィンは、エチレンのホモポリマー、コポリマー、ランダムポリマーおよび/またはブロック(コ)ポリマー、および/またはプロピレンからなる群より選択される。しかしながら、高級アルケン、特に、ブチレン、へキサン、および/またはオクテンを有するコポリマーも可能である。特に以下のポリマーが、特に適正であることが明らかにされた:
HDPE(高濃度ポリエチレン)、LDPE(低濃度ポリエチレン)、VLDPE(低濃度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低濃度ポリエチレン)、MDPE(中濃度ポリエチレン)、UHMPE(超高分子ポリエチレン)、VPE(網目状結合ポリエチレン)、HPPE(高圧ポリエチレン)のようなポリ(ポリエチレン);アイソタクチックプロピレン、シンジオタクチックプロピレン、メタロセン触媒作用によって製造されたプロピレン、耐衝撃改変されたプロピレン、ベースエチレン上のランダム−コポリマー、プロピレンおよび高級1−オレフィン、ベースエチレン上のブロックコポリマー、およびプロピレン;EPM(ポリ[エチレン−コ−プロピレン]);EPDM(ポリ[エチレン−コ−プロピレン−コ−ジエン]のようなポリ(プロピレン)。
【0029】
さらに、グラフトコポリマーおよびポリマーブレンド、すなわち、とりわけ上記のポリマーが含まれるポリマーの混合物、例えばポリエチレンおよびプロピレンをベースとしたポリマーブレンドが適正である。
【0030】
さらに、高級オレフィンおよび/またはジオレフィンを有するエチレンおよび/またはプロピレンが好ましい。
【0031】
ポリオレフィンとして、エチレンあるいはプロピレンのホモポリマーが特に好ましい。本発明の好ましい実施形態においては、混合物は、可溶性添加剤の0.5重量%から10重量%まで、さらに好ましくは0.5重量%から3重量%まで、その上さらに好ましくは1重量%から2.5重量%までを有する。さらに、混合物は、特に、0.05重量%から2重量%まで、好ましくは0.1重量%から0.5重量%までのチタン酸化物を有し得る。好ましくは、混合物は、96重量%から99重量%までのホモポリプロピレンあるいはホモポリエチレン、0重量%から1重量%までのチタンジ酸化物、および1重量%から3重量%までの可溶性添加剤を有する。そのような混合物は、問題なく、例えばスピンフリースのようなポリオレフィン材料の製造に導入され得る。しかも、熱可塑性溶解において支配的である190°Cから310°Cの温度範囲において、導入され得る。熱可塑性溶解を生成するために、まず、本発明による混合物は、互いに溶解しない状態に混合され、続いて溶解される。しかしながら、可溶性添加剤および必要に応じて、例えばチタンジ酸化物のようなさらなる追加材料をサイド供給によって、ポリオレフィン溶解物の押し出し中に供給し得る。
【0032】
本発明は、さらに、バイ成分繊維を含み得る、例えば、繊維および/またはフィラメントおよび/またはフリースおよび/またはフリース製品のような親水性ポリオレフィン材料に関する。例えば、繊維あるいはフィラメントの製造の際に、芯−外皮構造が形成され得る。一形態によれば、ポリオレフィン材料の外皮のみが可溶性添加剤を有する。芯は可溶性添加剤を有しない。他の形態においては、芯および外皮が、可溶性添加剤を備えるホモポリオレフィンを有する。そのような構造は、親水性の特性の展開が要求される領域内のみに、可溶性添加剤を提供することを許容する。芯−外皮構造の他に、繊維のあるいはフィラメントの断面は、他の複数成分の分配を有し得る。例えば、これは、セグメント構造、半月構造、非円形の幾何学あるいは他の構造であり得る。
【0033】
ポリオレフィン材料の繊維表面上において、可溶性添加剤に含まれる脂肪酸エステルの追加的活性化のための本発明による好ましい一形態は、本発明による陽イオンに改変されたシリコン化合物と、脂肪酸およびトリエタノールアミンからなる四級アンモニウム化合物とを含む水性の調整物の形態の配合である。その際、水性の調整物の形態の配合は、好ましくは、ポリオレフィン材料の繊維表面上に物理的に固定化される。
【0034】
本発明の一実施形態において、親水性のポリオレフィン材料が製造される混合物は、繊維表面上での可溶性添加剤に含まれる脂肪酸エステルの活性化のための配合の0.01重量%から0.5重量%まで、好ましくは0.05重量%から0.15重量%までを有する。
【0035】
本発明は、さらに、ポリオレフィン材料から形成された、繊維および/またはフィラメントおよび/またはフリースおよび/またはフリース製品に関する。
【0036】
本発明による、少なくともポリオレフィンと、少なくとも、脂肪酸エステルを含む可溶性添加剤とからなる混合物から製造された親水性ポリオレフィン材料、特に、繊維および/またはフィラメントおよび/またはフリースおよび/またはフリース製品は、ここでポリオレフィン材料は、該ポリオレフィン材料の表面上において可溶性添加剤に含まれる脂肪酸エステルの追加的活性化を有しており、いわゆる「トップシート」における使用の他に、いわゆる「捕捉層」として導入され得る。その持続的な親水性の特性によって、そのようなポリオレフィン材料は、衛生品および/または医療品への導入の他に、迅速な液体吸収が問題となる場所において導入され得る。これは、例えばフィルタの場合である。
【0037】
そのため、フィルタ層は、フリース形態における本発明による親水性ポリオレフィン材料を有し、その際、液体は、さらにその下に位置する層に移される。しかしながら、液体内の粒子は、フリースによって保持され得る。迅速な液体吸収によって、フリースの前において液体のよどみの形成が回避される。
【0038】
一形態において、本発明のポリオレフィン材料は、ERT154.0−00のEDANA試験方法による、5sより小さい浸透時間(Repeated Strike Through Time)を有する。
【0039】
さらに好ましくは、ポリオレフィン材料は、ERT152.0−99のEDANA試験方法(Repeated Run−Off)による溢れ重量の決定の際に、提供される液体量に関連して、試験液体の25重量%より少ない溢れ重量を有する。
【0040】
本発明による、これらおよびさらなる好ましい形態およびさらなる実施形態は、以下の実施例によって詳細に説明される。そこで説明された特徴は、上記追加的なさらなる実施形態とともに行われる得る。しかしながら、それはここで個々には説明されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図1は衛生製品1の断面図を示す。衛生製品1は、上部層2、分散層3および中心部4を有する。上部層2は、本発明による親水性ポリオレフィン材料から製造されたフリース素材からなる。本発明による親水性ポリオレフィン材料から製造された親水性フリースは液体を吸収し、液体をさらに分散層3に導く。液体は、分散層3から中心部4にさらに導かれ得る。液体は中心部4に蓄えられる。上部層2の親水性の特性の他に、分散層3も本発明による親水性ポリオレフィン材料から製造され得、その結果、非常に親水性であり得る。しかしながら、分散層3は他の熱可塑性材料から製造され得る。例えば、上部層2はスピンフリースであり、一方、分散層3は溶解吹きつけ(schmelzgeblasenes)フリースである。好ましくは、分散層3は、上部層2と比べて、好ましくは少なくとも10%、さらに好ましくは少なくとも20%だけより高い親水性を有する。この方法によって、上部層2の表面から分散層3への吸収作用が得られる。
【0042】
図2はオイルフィルタ5の断面図を示す。オイルフィルタ5は吸収層6を有する。吸収層6は、一方において、吸収層と接触するオイルを吸収する。他方、吸収層6は、オイルに含まれ、さらには運ばれる必要のない粒子に対するフィルタとして機能する。吸収層6は、本実施例においては、強要されないさらなるフィルタ層7に接続している。フィルタ層7は、好ましくは吸収層6と比べ、より繊細なポーラスである。吸収層6はフィルタ層7に対して前置フィルタとして機能する。オイルフィルタ5は、例えば、持続的な導入のために提供され得、あるいは要求の際にのみ導入され得る。吸収層6は、本発明による親水性ポリオレフィン材料から製造されたフリースによって形成される。その下に位置し、吸収特性を有し得るフィルタ層7は、同様に、本発明による親水性ポリオレフィン材料から製造されたフリースであり得る。吸収層6は、また、単独でオイル吸収材料として機能し得る。これは、例えば、機械等から流れで出たオイルを吸収すべき場所に使用される。
【0043】
図3は、本発明による親水性ポリオレフィン材料から製造されたフリースの、液体吸収のための一使用を示す。その液体吸収において、親水性フリース8は、ここでは2つのさらなる層の間に配置され、製品9内に含まれる。親水性フリース8は、層内において、製品9内の湿気を吸収し、その内部に蓄積するためにある。例えば、製品9は、親水性フリース8内に蓄積された湿気を、必要に応じて再び遊離させるように、設定され得る。遊離は、例えば製品9を熱することによって行われ得る。
【0044】
以下において、本発明は実施例によって詳細に説明される。
【0045】
種々のポリオレフィン混合物が製造され、これら混合物から、Lurgi−Docan−スピンフリースプロセスを用いて、30g/mの基本重量を有するフリース形態のポリオレフィン材料が製造された。個々において、フリースは以下の材料から製造された。
【0046】
基準
基準として、スピンフリースは、押し出し形成のための標準−基礎安定性を有する100重量%ホモポリプロピレン(Basell社製、Moplen HP 460R)から製造された。
【0047】
混合物1
混合物1は、基準によるホモポリプロピレンの98重量%、および追加の、可溶性添加剤 C2551−CO−O−CH−CH−O−CHの2重量%を有する。
【0048】
混合物2
混合物2は、基準によるホモポリプロピレンの97.6重量%、混合物1による可溶性添加剤の2重量%、およびチタン酸化物−マスターバッチ(Clariant社製、Remfin RCLAP、2.2マクロメートルから2.6マクロメートルの核の大きさ)の0.4重量%を有する。
【0049】
基準ならびに混合物1および2は、同一条件のもとに、スピンフリースに加工された。
【0050】
混合物2から製造されたフリースの繊維表面上の脂肪酸エステルの本発明による活性化は、ハンドスプレーピストルを用いて、水性調整物の形態の配合Bの提供によって、フリース上において行われた。水性調整物は、とりわけ、陽イオンに改変されたシリコン化合物、ならびに脂肪酸およびトリエタノールアミンからなる四級エステルである四級アンモニウム化合物を含む。続いて、10時間以上の室温での乾燥が行われた。
【0051】
さらに比較のために、混合物2からのフリースは、同一の方法によって、水性調整物の形態の配合Aの使用によって扱われた。その際、混合物は、配合Aあるいは配合Bの以下の量を有する。
【0052】
−サンプル8: 0.15重量% 配合A
−サンプル9: 0.05重量% 配合B
−サンプル10: 0.15重量% 配合B
表2から察知されるように、純ポリプロピレンフリースからなるサンプル2から5までの混合物は、基準として、同様に、配合Aおよび配合Bの異なる量を含む。
【0053】
さらに、サンプル11は、純水を用いた処理を含む。それによって、配合Aおよび配合Bを用いることなく、純粋な湿気の活性された効果が検査される。
【0054】
サンプルの親水性、あるいは親水性の特性の持続性は、EDANA試験モード ERT154.0.00によるRepeated Strike Through Time Messung、あるいは、EDANA試験モード ERT152.0−99によるRepeated Run−Offによって決定された(表2および3)。
【0055】
さらに、混合物1および2から製造されたスピンフリースの、US 5,945,175による洗い流し処理(wash−out)が、決定された(表1)。
【0056】
る洗い流し処理(wash−out)は、以下のテストモードを用いて決定された。
【0057】
スピンフリースを水中に浸す前に、DIN 53914に従って、水の表面張力が決定される。フリース素材から、サンプルが打ち抜かれ(ほぼ、2.5cm×22cm、ほぼ0.17g)、30分間、80mlの水中に浸される。続いて、水の表面張力が新たに測定される。
【0058】
(表1)
【0059】
【表1】

通常、後の親水性装備を有するポリオレフィンにおいて、「wash−out」試験に後に、表面張力は明らかに60mN/m以下に低下する。混合物2と同様に混合物1に対する試験結果が示すように、しかしながら、本発明によって製造されたフリースにおいては、表面張力は、ほぼ一定である。そこから、可溶性添加剤の洗い流しが行われなかっと結論が引き出せる。混合物1および2、ならびに他のさらなる本発明による混合物は、持続的親水性のフリースの製造を可能にする。水が、「wash−out」試験の後において、最初の値から15%より小さくなるように変化する表面張力を有するような可溶性添加剤の量が、特に加えられる。好ましくは、水の表面張力の変化は、2%を下回る領域にある。フリースの洗い流しの後の、水の有利な表面張力は、60mN/mから70mN/mまでの間にある。
【0060】
EDANA ERT154.0.00による浸透時間(Repeated Strike Through Time)は、表2に示される。
【0061】
基準フリースは、ポリオレフィンに典型的な疎水性の特性を有する。導入された合成の尿(0.9%の食塩溶液)は、フリースを浸透する状態ではなかった。そのため、試験は60秒を超えた後に各々中断された。それに対して、各々、混合物1および2による可溶性添加剤を用いて製造されたフリースは、4秒を下回る浸透時間を有した。表2から察知されるように、混合物1によるフリースにおける時間は、混合物2によるフリースにおける時間をいくらか下回る。混合物1によるフリースの場合には、フリースの親水性の特性は、第1の試験の後にわずかに減少する一方、それに対して、混合物2によるフリースの親水性の特性は、第2の試験において増加する。
【0062】
表2から察知されるように、可溶性添加剤を備えたフリースは、第1の試験において、提供された人工の尿の迅速な浸透を提供するのみではない。さらに、特性は、何倍もの湿潤の際に存在する。これは、おむつ、ナプキンあるいは失禁製品の上層のようなフリースの導入の際に、特に重要である。この場合、製品は通常、一回の液体分を吸収および分散するのみならず、そのような液体吸収および分散が繰り返し可能であるこが要求される。使用者に対してそのような衛生品の装着感を向上するために、フリースは、有利にも、3回の試験の後においても4秒を下回る透過時間を有する。
【0063】
(表2:Repeated Strike Through Time)
【0064】
【表2】

脂肪酸エステルは、無機充填剤、例えばピグメントに対する分散手段として機能し得ることが、知られている。EP 0605831A1には、エチレン/オレフィン−コポリマーおよび無機充填剤からなる混合物への脂肪酸エステルの対応する添加物が記載されている。しかしながら、混合物1および2から製造されたフリース素材の特性の比較の際に示されたように、その際、可溶性添加剤は、分散手段としてのみならず、明白なように、繊維表面においてもっぱら親水性手段としても機能する。また、チタン酸化物(混合物2)の添加物の場合には、Repeated Strike Through Timeに対する低い値が測定される。
【0065】
期待どおりに、サンプル1は、長い透過時間によって特徴付けられる、ポリオレフィンに典型的な疎水性の特性を有する。
【0066】
ポリオレフィン材料(フリース:サンプル8)の表面上への、本発明による配合Aの提供は、可溶性添加剤が備えられたフリースの親水性レベル(低い、Strike Through値およびRun off値)が短期に改善されることを導く。もちろん、Run off値は、繰り返し回数の増加によって悪化する。
【0067】
しかしながら、純PP−フリース(サンプル2)上において親水性効果を示さない配合A(サンプル8による0,05重量%)の少量は、親水性の可溶性添加剤(サンプル8)と共に、親水性の持続性の著しい改善を実現する。
【0068】
意外にも、ポリオレフィン材料の表面上への、本発明による配合B(サンプル9〜10)の少量の提供によって、親水性レベル(低い、Strike Through値およびRun off値)のみならず、可溶性添加剤のみによって改変されたポリオレフィン材料(フリース:サンプル7)に対する親水性の特性の持続性も改善される。
【0069】
陽イオンに改変されたシリコンおよび四級アンモニウム化合物を含む、少量において後に提供される配合Bは、明らかに、活性剤として機能する。
【0070】
サンプル3〜5は、Repeated−Strike−ThroughおよびRun−off測定の際の第2噴出(gush)から、配合Bの洗い流しに起因する、親水性のかなりの減少を有するが、サンプル9および10は、親水性の持続性の改善を示す。
【0071】
好ましくは0.05重量%から0.15重量%までの少量の配合Bを用いた、可溶性添加剤によって改変されたフリースの活性化によって、好適で持続性のある親水性を示す、サンプル9および10に対応した本発明によるフリースが得られる。この特性プロフィールは、配合Bのみによって、あるいは可溶性添加剤の導入なしには達成され得ない。サンプル5に対応する、純PP−フリース上における配合Bの0.3重量%の覆い量は、材料に、サンプル8および9に匹敵する親水性および親水性の持続性を与えるには、少な過ぎる。サンプル11とサンプル7との、親水性のおよび親水性の持続性の特性の比較は、純水の処理は、いかなる重要な活性効果を生じないことを示す。
【0072】
有利にも、親水性の可溶性添加剤の後の活性化によって製造されたフリースは、特に、乾燥したフリースの自然の湿潤の場合に、活性化されないフリースと比べて、明らかに改善された親水性によって優れている。
【0073】
(表3:Repeated Run−off)
【0074】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】衛生製品の断面図である。
【図2】オイル吸収フィルタの断面図である。
【図3】液体吸収製品の断面図である。
【図4】説明なし
【図5】説明なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリオレフィンと、少なくとも可溶性添加剤とからなる混合物から製造された親水性ポリオレフィン材料、特に、繊維および/またはフィラメントおよび/またはフリースおよび/またはフリース製品であって、
該可溶性添加剤は、一般式
R−CO−O−CH−CH−O−R’、
を有する脂肪酸エステルを含み、
ここで、Rは、23個から35個までのC原子を有する直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基であり、
R’=H、−CH、−C、−C、−C
であり、
該ポリオレフィン材料は、シリコン化合物および四級アンモニウム化合物を含む配合形態における表面活性物質によって、該可溶性添加剤に含まれる脂肪酸エステルの、該ポリオレフィン材料の表面上での追加的活性化を有することを特徴とする、ポリオレフィン材料。
【請求項2】
前記シリコン化合物は、陽イオンに改変されていることを特徴とする、請求項1に記載のポリオレフィン材料。
【請求項3】
前記四級アンモニウム化合物は、脂肪酸およびトリエタノールアミンからなる四級エステルであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリオレフィン材料。
【請求項4】
繊維表面上での使用された脂肪酸エステルの追加的活性化のための配合は、水性の調整物であることを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のポリオレフィン材料。
【請求項5】
繊維表面上での使用された脂肪酸エステルの追加的活性化のための配合は、好ましくは該表面上において物理的に固定化されることを特徴とする、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のポリオレフィン材料。
【請求項6】
該ポリオレフィン材料は、前記繊維表面上での使用された脂肪酸エステルの活性化のための配合の0.01重量%から0.5重量%まで、好ましくは0.05重量%から0.15重量%までを有することを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載のポリオレフィン材料。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか一項に記載のポリオレフィン材料から形成された、繊維。
【請求項8】
請求項1から6のうちのいずれか一項に記載のポリオレフィン材料から形成された、フィラメント。
【請求項9】
請求項1から6のうちのいずれか一項に記載のポリオレフィン材料から形成された、フリース。
【請求項10】
繊維および/またはフィラメントおよび/またはフリースおよび/またはフリース製品を製造するための、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載のポリオレフィン材料の使用。
【請求項11】
ERT154.0.00のEDANA試験方法による、5秒より小さい浸透時間(Repeated Strike Through Time Messung)を有することを特徴とする、請求項9に記載のフリース。
【請求項12】
ERT152.0−99のEDANA試験方法(Repeated Run−Off)による溢れ重量の決定の際に、提供される液体量に関連して、試験液体の25重量%より少ない溢れ重量を有することを特徴とする、請求項9に記載のフリース。
【請求項13】
請求項11または12に記載のフリースを含む、フリース製品。
【請求項14】
少なくともポリオレフィンと、脂肪酸エステルを含む少なくとも可溶性添加剤とからなる混合物から製造された親水性ポリオレフィン材料、特に、繊維および/またはフィラメントおよび/またはフリースおよび/またはフリース製品の製造方法であって、
該ポリオレフィン材料は、シリコン化合物および四級アンモニウム化合物を含む配合形態における表面活性物質によって、該可溶性添加剤に含まれる脂肪酸エステルの、該ポリオレフィン材料の表面上での追加的活性化を有することを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−509897(P2006−509897A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502314(P2005−502314)
【出願日】平成15年12月6日(2003.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013826
【国際公開番号】WO2004/052985
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(597018945)コロビン ゲーエムベーハー (16)
【氏名又は名称原語表記】Corovin GmbH
【住所又は居所原語表記】Woltorfer Strasse 124, D−31224 Peine,Germany
【Fターム(参考)】