説明

親水性膜

本発明は、良好な特性を有する膜担体及び親水性被膜を含む親水性膜に関する。該被膜は、共有結合した無機−有機ハイブリッド材料を含むことができ、又は該被膜は、エポキシ樹脂のような開環重合成分を含むことができる。被膜組成物を溶媒に施し、溶媒を蒸発させ、被膜を紫外線放射で硬化することが好ましい。親水性膜は、浄水及び他の用途で非常に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、親水性膜、このような膜を作製する方法、及びこのような膜の使用に関する。
【0002】
膜は、溶液及び懸濁液の分離及び濃縮に汎用されている。それらは、広範な適用範囲を有し、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透、電気透析、電気脱イオン化、パートラクション、パーベーパレーションのような幾つかの分子分離で使用できる。適用例としては、廃水浄化、燃料電池、医薬成分の制御放出、バッテリー及び加湿器が挙げられる。
【0003】
多くの膜は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(ビニリデンジフルオライド)(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような疎水性膜から作られている。これらの膜は、疎水性膜孔の毛管力が高いため、水を膜に通すのに比較的高い圧力勾配を必要とするので、単独では水の濾過に適していない。更に、疎水性表面は、親水性表面と比較して、汚染(fouling)しやすい。酢酸セルロース及びナイロン系の材料等、幾つかの膜は、親水性である。しかし、酢酸セルロースエステル膜は、酵素により劣化しやすく、ナイロンは、高多孔質膜を作製することが難しいように、固有の欠点を有し、したがってフラックスが限られている。対照的に、多くの疎水性ポリマーは、本質的に安定である。したがって、疎水性膜をより親水性にし、したがって安定性及び改良されたフラックスを維持する方法が長年にわたって開発されてきた。
【0004】
幾つかの方法は、疎水性膜を親水性にするために現在使用されている。この内の1つでは、プラズマ処理(即ち、ガスプラズマ処理)が、膜表面を改質するために使用される。プラズマ処理は、一般に、膜内部を改質することはできない。別の方法では、親水性アクリレートモノマーに基づく被膜が、表面上に施されるか、又はグラフトされる。アルコール中又は水中の単官能アクリレート及び/又は多官能アクリレートの溶液を、レドックスラジカル開始剤を使用しながら、熱を加えることにより重合する。例えば、米国特許第4618533号明細書又は米国特許第7067058号明細書参照。これらの現在の方法には欠点がある。水を溶媒として使用する場合、濡れ力がやはり限られており、同様に小さな孔を濡らすのが難しい場合がある。アルコールを溶媒として使用する場合、濡れはそれほど問題ではないと思われるが、高温での熱硬化性重合により、疎水性マトリックスの収縮が生じ、孔閉塞が起こり得る。更に、親水性及び疎水性のポリマーを混合し、膜に加工したポリマーブレンドが使用されている。しかし、疎水性膜の本質的な多孔性構造は、完全に変化し、更にポリマーブレンディングの固有の非相容性は相分離を起こす場合があり、望ましい輸送性能を得ることは難しい。
【0005】
国際公開第2006/016800号パンフレットは、反応性基及び親水性ポリマー鎖でグラフトされている粒子を含む、被膜組成物から得られる被膜について開示していることに言及する。被膜は幾つかの利点を示しているが、膜上に被膜を施すことについては開示されていない。また、酸化ケイ素ナノ粒子等の無機材料が開示されているが、オリゴマーは開示されていない。
【0006】
更に、幾つかの親水性を有する膜は、更に改良する必要がある。
したがって、膜の親水性、並びに方法を更に改良することが依然として求められている。
【0007】
本発明は、以前の方法又は改質で得られるよりも高いフラックスを有する膜を提供することができる。
【0008】
本発明の第1の実施形態において、親水性膜は、膜担体及び親水性被膜を含み、該被膜は、共有結合した無機−有機ハイブリッド材料を含む。被膜は、反応性基を有する無機−有機ハイブリッド材料を含む、親水性被膜組成物から調製され、無機部分は、金属酸化物オリゴマーである。
【0009】
被膜中で共有結合した無機−有機材料を含む被膜は、このようなハイブリッド材料を含まない被膜よりも良好な親水性を示すようであった。このようなハイブリッド材料を含む被膜も、メタノール又は水いずれかでの洗浄に対してより安定であることは予想外であった。
【0010】
本発明において、被膜は、膜担体上の(半)連続層として定義される。これは、膜に結合できる個々の粒子と対比されている。被膜が形成されたことは、走査電子顕微鏡法(SEM)を用いて容易に認識できる。
【0011】
膜担体上の被膜を、膜担体に含浸させること、即ち、水を膜全体に浸透させるには、被膜が膜担体の孔の内面のかなりの部分に存在することに注意されたい。被膜は、膜の外(巨視的)面上にも存在することが好ましい。
【0012】
この第1の実施形態において、膜担体は、反応性基を有する無機−有機ハイブリッド材料を含む、親水性被膜組成物で被覆されている。別段の指示がない限り、以下に示す無機−有機ハイブリッド材料は、親水性被膜の一部を形成するために硬化されるべきである、親水性被膜組成物中の無機−有機ハイブリッド材料を示す。
【0013】
無機−有機材料は、一般に金属酸化物オリゴマーである、無機部分を一般に有する。金属イオンは、単官能性、二官能性、三官能性又は四官能性の酸化物であり、高官能性のネットワークを形成することが好ましい。このような材料も、コロイド状金属酸化物として以下に示されている。
【0014】
無機−有機材料は、有機硬化機構において反応することができる基を有し、本発明において、該基は反応性基として示される。有機硬化機構とは、有機反応(複数可)により、重合を生じさせることを意味する。以下に例示されるように、多くの様々な硬化反応が使用できる。
【0015】
無機−有機材料に適した金属酸化物は、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化第一スズ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム及び/又はそれらの混合物を含むことができる。当業者であれば明らかであろうが、金属酸化物に加えて、金属硫化物又は他の分子を使用することが可能である。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、金属は、ケイ素、チタン、アルミニウム、亜鉛又はジルコニウムであり、ケイ素が最も好ましい。
【0017】
コロイド状金属酸化物は、ヒドロキシ金属化合物及び/又はアルコキシ金属化合物から調製できる。例えばテトラエトキシシラン、テトラエトキシジルコネート及びテトラメトキシチタネート等のアルコキシ化合物が好ましい。
【0018】
被膜中の無機−有機材料の有機基は、in−situで形成されることが好ましいが、その後加えてもよい。例えば、有機官能性トリメトキシシランのような有機シラン又は有機チタン化合物を使用することが好ましい。官能性シランの適切な例としては、アクリロイル官能性シラン、エポキシ官能性シラン、メルカプト官能性シラン等があり、シリル化合物は、加水分解性基を含む。
【0019】
有機シランは、加水分解によりシラノール基を形成できることが好ましい。シラン化合物は、ケイ素原子に結合した、アルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を含むことが好ましい。アルコキシ基又はアリールオキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、1〜8個の炭素原子を含有するアルコキシ基が好ましく、アリールオキシ基としては、6〜18個の炭素原子を含有するアリールオキシ基が好ましい。メトキシ又はエトキシが好ましい。
【0020】
シラノール基又はシラノール基形成基は、縮合又は加水分解後の縮合によりコロイド状金属酸化物に結合できる構造単位である。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、反応性基を有するコロイド状金属酸化物は、溶媒中でテトラアルコキシ金属化合物(A)とトリアルコキシ有機金属化合物(B)とを反応させることにより作製される。これらの成分のモル量は、変化し得る。テトラアルコキシ金属(A)の量は、有機金属化合物(B)とほぼ同じモル比、又はより高い比であることが好ましい。モル比(A):(B)は、約2以上であることがより好ましい。一般に、比(A):(B)は、約20以下、好ましくは約15以下であろう。
【0022】
本発明の好ましい実施形態において、無機−有機材料は、反応性基を有する金属酸化物オリゴマーである。このようなオリゴマーは、実質的に任意の膜の全ての孔に被膜が到達でき、実質的に孔が閉塞されない程度に小さいものである。オリゴマーの一例としては、オリゴマー化TEOSがあり、別の例としては、かご型シルセスキオキサンがあり、他の例は当業者には明らかであろう。
【0023】
GPCで測定したときの分子量(Mw)は、約50000ダルトン以下、より好ましくは約20000ダルトン以下、最も好ましくは10000ダルトン以下であることが好ましい。一般に、GPCから明らかになる分子量は、約500ダルトン以上、好ましくは約1000ダルトン以上であろう。GPCでの分子量は、溶出溶媒としてTHFを用いて(例えば、7.8×300mmの大きさのカラムで注入量80μl)、THF中のウォーターススチラゲル(Waters Styragel)カラムHR2で決定することができる。
【0024】
オリゴマーは、約1.8以上、より好ましくは約2.1以上の多分散性を有することが好ましい。より高い多分散性により、広範囲の孔をコロイド状金属酸化物で十分に湿らせることができる。一般に、GPCで測定したときの多分散性は、約5以下であろう。
【0025】
動的光散乱で測定したときのオリゴマーの大きさは、約0.5nm以上、好ましくは約1nm以上であることが好ましい。好ましくは、光散乱で測定したときの見掛けの大きさは約10nm以下、好ましくは約5nm以下である。
【0026】
無機−有機材料は、有機硬化機構で反応することができる基を有する。反応性基は、アルコール(C−O−H)、アミン、メルカプト、イソシアネート、アクリレート、ビニル、エポキシ及び/若しくはカルボン酸、それらの混合物、並びに/又はそれらの反応性誘導体であってよい。この反応性基は、選択した機構の種類に応じて、有機硬化機構で反応することができる。例えば、メルカプト又はアミンは、イソシアネート又はビニル不飽和と反応することができ、アクリレートは、ラジカル重合で反応し、エポキシ、アルコール及びオキセタンは、カチオン硬化性系で反応し、ビニルは、ラジカル及び一定のカチオン硬化性系で反応し、ビニルは、ラジカル及び一定のカチオン硬化性系で反応し、イソシアネート、アミン、エポキシ及びヒドロキシは、イソシアネート又はエポキシ付加反応で反応する。
【0027】
反応性基を有する無機−有機ハイブリッド材料は、(反応開始剤以外で)被膜組成物中の唯一の反応性成分であってよく、この場合、反応性基は、ホモ重合できることが好ましい。このような基の適切な例としては、エポキシ及びアクリレートが挙げられる。
【0028】
好ましい実施形態において、被膜組成物は、粒子の表面上で反応性基と重合できる成分を更に含有する。適切な成分の例としては、単官能性反応性希釈剤及び多官能性架橋化合物があり、その例は以下に示されている。
【0029】
一般に、無機−有機ハイブリッド材料の量は、被膜組成物の固体材料の約2重量%以上であろう。固体材料は、(非反応性)溶媒の蒸発後の組成物である。好ましくは、ハイブリッド材料の量は、約5重量%以上であろう。一般に、上に説明されているように、実質的に被膜は全て、ハイブリッド材料であってよいが、約50重量%以下が、良好な特性を得るのに非常に適していると思われ、したがって好ましく、約30重量%以下も同様に適切であり得る。大きい孔径を保持するために十分低い架橋密度にしておくには、約30重量%以下のハイブリッド材料を有することが有利であり得る。
【0030】
本発明の別の実施形態において、親水性膜は、膜担体及び親水性被膜を含み、親水性被膜は、開環重合を含む重合反応により得られる。
【0031】
重合の約30%以上、好ましくは約50%以上、更により好ましくは約80%以上が、開環重合であることが好ましい。
【0032】
意外にも、開環重合で得られる被膜は、例えばラジカル重合ポリマーよりも良好な濡れ特性を有している。
【0033】
被膜組成物は、硬化時に8体積%以下、好ましくは約6体積%以下、最も好ましくは約4体積%以下の収縮を示すことが好ましい。一般に、アクリレート系及び他のラジカル重合性系により、硬化時に10〜15体積%の収縮が起こる。体積収縮は、全体積にわたって自由収縮で硬化することにより測定される。本発明者等は、被膜の収縮が少ないことにより、担体膜への良好な接着が可能となることを主張する。それにより、親水性膜の特性が改善される。
【0034】
開環重合の適切な例としては、エポキシ重合、オキサゾリン重合、オキセタン重合及びカプロラクトン重合がある。パーセンテージの計算において、(例えば)(活性化)エポキシとアルコール基との反応も、開環重合の一部である。
【0035】
本実施形態において、開環重合という用語は、これら、例えば開環は、限られた収縮を起こし、異種原子を硬化時に膜担体上に形成されるポリマー骨格中に存在させるため、イソシアネート付加反応を含む。
【0036】
好ましい実施形態において、被膜組成物は、ポリエーテルアミン又はポリエーテルアルコール等で硬化可能なブロック化イソシアネートを含む。
【0037】
更に別の実施形態おいて、被膜組成物は、カチオン硬化性でもある、オキサゾリン官能性成分等の開環重合に適した成分を含む。
【0038】
更に別の実施形態おいて、被膜組成物は、アニオン硬化性でもある、アジリジリン官能性成分等の開環重合に適した成分を含む。
【0039】
好ましい実施形態おいて、被膜組成物は、1種又は複数のエポキシ官能性化合物を含有する。
【0040】
エポキシ官能性基を含む組成物から得られる硬化被膜は、アクリレートベースの系よりも、被覆膜の良好な濡れ特性を示す。
【0041】
エポキシ系被膜組成物は、それ自体知られており、以下に例示されているように脂肪族又は芳香族のエポキシ化合物を含むことができる。エポキシ系被膜組成物は、モノオール及び/又はポリオールを更に含むことができる。多価アルコール成分の好ましい例としては、幾つかの分子量のポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル等がある。エポキシ系被膜組成物は、熱硬化性であってよいが、紫外線硬化性であることが好ましい。
【0042】
例えばエポキシ樹脂等の開環官能性基を有する1種又は複数の化合物を含有する被膜組成物は、例えばアクリレート/エポキシ、又はエポキシ/イソシアネート、アクリレート/イソシアネート等、ハイブリッド(二重硬化)重合系を得ることに関して、他の重合性系を更に含むことができる。二重硬化系は、更なる架橋被膜を得るために、両方の硬化機構で反応することができる化合物を含むことができる。例えばグリシジルメタクリレートは、エポキシ/アクリレート二重硬化系でモノマーとして使用できる。
【0043】
膜担体孔全体で被膜配合物による均一な濡れを得るためには、被膜組成物の粘度が、約0.1Pa.s以下、好ましくは約0.01Pa.s以下、最も好ましくは約5×10−3Pa.s以下であることが好ましい。このような低粘度を得るためには、シンナーとして溶媒を使用することが好ましい。有用な溶媒を以下に例示する。溶媒という用語は、被膜組成物の成分と実質的に反応しない化合物として本明細書では示される。対照的に、やはり被膜組成物の粘度を低下させるために使用する反応性希釈剤は、被膜組成物の他の成分と重合することができる基を一般に含む。溶媒は一般に蒸発させてもよい。
【0044】
被膜組成物は、例えばアクリレート/ポリビニルアルコール、エポキシ/ポリビニルアルコール、アクリレート/ポリビニルピロリドン、エポキシ/ポリビニルピロリドン、アクリレート/エチレン−コ−ビニルアルコール、エポキシエチレン−コ−ビニルアルコール、アクリレート/ポリエチレングリコール、エポキシ/ポリエチレングリコールのようなハイブリッド系(単独硬化、相互貫入ネットワーク)を得ることに関して、例えば親水性ホモポリマー又は親水性コポリマー等の他の成分を更に含むことができる。
【0045】
被膜組成物は、ナノサイズの活性炭、酵素、医薬品、栄養補助食品、イオン交換樹脂等のような添加剤を更に含むことができる。
【0046】
膜担体は、任意の公知の膜、及び新たに開発された膜であってよい。適切な膜としては、無機(金属、ゼオライト、アルミナ)又は有機材料から作製された膜担体であってよい。有機膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、混合ポリマー膜から作製され、プラズマ処理膜等を含むことができる。
【0047】
本発明の一実施形態において、膜は、ポリエチレン、好ましくは超高分子量ポリエチレン、特に高延伸UHMWPEに基づくものである。UHMWPEに基づく膜は、ストレス下でも高い寸法安定性があり、高い多孔性を有する薄い微多孔膜を作製することができるという利点を有する。特に、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を押出により処理した後、延伸して、非常に強力で手ごろな膜、並びに(例えば、熱サイクル及び膨張挙動に関して)化学的にも、機械的にも安定な膜を形成することができる場合、高含量のUHMWPEが有利であることが判明した。有用な膜の例としては、UHMWPE20重量%以上を含むポリアルケンを有するものが挙げられる。膜担体は、UHMWPE約40重量%以上を含むことが好ましい。耐高温膜が必要とされる場合、UHMWPE約70重量%以上を含む膜を使用することが有利であり得る。適切な等級は、例えば約25重量%、約50重量%、約75重量%、約90重量%及び約100重量%にあり、残りの材料は、例えばHDPE、LLDPE、LDPE、PP等の別のポリオレフィンであることが好ましい。HDPE及びUHMWPEの混合物を使用することが好ましい。好ましいポリオレフィン系膜担体は、UHMWPE40〜60重量%及びHDPE60〜40重量%を含む。
【0048】
本発明の好ましい実施形態において、膜担体は、自己支持膜として有用なUHMWPEを含む疎水性膜である。UHMWPEを含む担体膜に基づく親水性膜は、膜が、高い強度及び高い多孔性を示すという追加の利点を有する。
【0049】
特に有利な実施形態において、ポリアルケンのUHMWPE部分は、約500000〜10000000g/molの重量平均分子量を有するUHMWPEから実質的になる。下限値は、膜の必要な(より低い)引張強度に対応している一方で、上限値は、材料が容易に処理するには硬すぎる場合のおよその限界値に対応している。UHMWPEは、処理性を向上させるため、バイモジュラー混合物又はマルチモジュラー混合物であってよい。
【0050】
通常、本発明による膜を形成する二軸延伸超高分子量ポリエチレンフィルムにより、機械方向で約7MPa以上、好ましくは約10MPa以上の引張強度が得られる。非常に高い強度が必要とされる場合、膜は、約40MPa以上の引張強度を有することができる。高い強度は、はるかに薄い膜、及び/又は使用中に硬質グリッドを支持する必要がない膜を可能にする。更に、このようなポリエチレン膜の破壊時の伸びは、機械方向で通常30%程度である。これは、膜の性能を劣化させずに使用中に十分な(弾性)変形を可能にする。
【0051】
好ましい膜は、約0.5mm以下、好ましくは約0.2mm以下の厚さを有する。より薄い膜は、水フラックスが潜在的により高いという利点を有する。
【0052】
本発明の一実施形態(自己支持膜に関して)において、膜の厚さは、より高い強度を得るには約10μm以上、好ましくは約20μm以上であろう。厚さは、約500μm以下、好ましくは約200μm以下が一般的であろう。適切な膜は、例えば約50、約100又は約120μmの厚さを有することができる。膜は、「自己支持」であってよいが、幾つかの種類のこのような膜は、強度を改善するために担体上で使用される。本明細書において自己支持とは、膜を更なる担体なしで作製できること、即ち、膜担体及び被膜から形成される膜を、更なる担体と共に提供する必要がないことを意味する。
【0053】
本発明の別の実施形態において、被膜は、膜担体上の薄層を含み、該層は、約20nm以上、好ましくは約80nm以上であってよい。しばしば、このような層は、約5μm以下、好ましくは1μm以下の厚さを有する。したがって、被膜は、層として膜担体の外面上に、並びに担体の孔中に存在する。一般に、これらの膜は、位相反転により作製される。或いは、これらの膜は、熱延伸処理又は冷延伸処理により作製される。適切な例としては、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルジフルオライド、ポリエーテルイミド及びポリスルホンの膜が挙げられる。
【0054】
別の実施形態において、膜担体は、PVDF、PTFE、PP又はPESである。これらの膜は、精密濾過に適した孔径を有する約50μm以上、約500μm以下の厚さの自己支持膜の形態であってよい。本発明により、精密濾過及びナノ濾過に適した孔径を有する、PVDF、PTFE又はPESの担体膜を有する親水性膜を作製することが容易に可能である。
【0055】
疎水性膜の多孔性は、約15%以上(例えば、アーク処理PC膜)、好ましくは約40%以上であることが好ましく、例えば70〜90%の間であってよい。意外にも、多孔性は、親水性被膜により必ずしも大きな影響を受けるわけではない。これは、限られた厚さの変化(5%未満)、限られた重量(1〜3g/m)、及び実質的に多孔性構造に変化がないことを示しているSEM写真から明らかである。
【0056】
実施例に示されているように、被膜の架橋密度を変化させることにより親水性膜の孔径を調節することが可能と思われた。膜担体及び被膜を含む親水性膜が、低い圧力勾配下で水フラックスが比較的高い、マイクロメーターからナノメーターで調節可能な孔径を有することが可能であることは予想外であった。例えばエポキシ系被膜組成物及び0.4μmの孔径を有する膜担体を含む、親水性膜の孔径は、被膜組成物のエポキシ/ヒドロキシ比に応じて0.06〜0.18μmの間で変化した。
【0057】
本発明は、膜の孔径を調節する方法にも関する。親水性膜の孔径を調節する方法は、一定の孔径を有する膜担体、及び架橋密度を有する被膜を使用することを含み、架橋密度は様々な孔径を得るために変化させるが、架橋密度が高くなると、孔径は小さくなる。
【0058】
孔径は、マイクロメーターからナノメーターのスケールで変化させ、親水性膜が、低い圧力勾配下で比較的高い水フラックスを示すことが好ましい。
被膜は、エポキシ系被膜組成物であることが好ましい。
【0059】
本発明の好ましい実施形態において、膜担体の孔径は、約0.001μm以上、好ましくは0.01μm以上である。一般に、孔径は、約100μm以下、好ましくは約10μm以下、好ましくは約2μm以下、より好ましくは1μm以下であろう。
親水性膜は、逆浸透を可能にするために、約0.5nm以上の好ましい孔径を有するであろう。好ましい実施形態において、限外濾過を可能にするために、孔径は約10nm以上である。別の好ましい実施形態において、最適な精密濾過を可能にすることに関して、孔径は、約100nm以上である。高い水フラックス及び粒子濾過を実現することに関して、好ましい孔径は、約10μm以下であろう。特に好ましい実施形態において、限外濾過及び精密濾過の範囲で良好な濾過を可能にすることに関して、孔径は、約1μm以下であろう。
【0060】
孔径は、実施例に示すようにPMIで直接的に、及びエアフロー法で間接的に測定することができる。
親水性膜を得るための方法は、
(1)被膜組成物が、反応性基を有する親水性成分及び有機溶媒を含む、膜担体を被膜組成物で被覆するステップ、
(2)場合により溶媒を蒸発させるステップ、
(3)被膜を硬化するステップ
を含む。
【0061】
一般に、硬化反応が完了した後、膜を洗浄する。この洗浄ステップにおいて、残りの未反応化学物質及び未架橋オリゴマーを膜から洗い流す。一般に、洗浄後、膜を乾燥する。洗浄は、当然ながら実際の使用中に行ってもよく、乾燥それ自体は不要である。しかし、膜を洗浄乾燥することは最も一般的である。本明細書において、一般に、親水性膜の特性は、実施例に記載されているように洗浄乾燥した膜で得られる。
【0062】
本発明の更なる実施形態において、有機溶媒は、非極性溶媒を含む。適切な非極性溶媒としては、それだけに限らないが、脂肪族又は芳香族の溶媒及びエーテルが挙げられる。適切な例としては、炭化水素カット、トルエン、メチル第3級ブチルエーテル(MTBE)及びジオキサンが挙げられる。非極性溶媒の使用は、硬化前又は硬化後での、最適な濡れ及び迅速な蒸発という利点を有する。溶媒は、非極性溶媒を約50重量%、更により好ましくは約80重量%以上含むことが好ましい。
【0063】
本発明の別の実施形態において、有機溶媒は更に、非プロトン性の極性溶媒であり得るか、又はそれを含む。適切な例としては、ブチルアセテート、エチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のようなエステル及びケトンが挙げられる。これらの非プロトン性極性溶媒を使用することは、親水性被膜に使用する成分は良好に溶解できるが、重合反応は大きな影響を受けない(これはプロトン性溶媒に当てはまり得る)という利点を有する。
【0064】
別の実施形態において、有機溶媒は、硬化前に蒸発させることが好ましい、プロトン性溶媒を含む。例えばアルコール、イソプロパノール及びブタノール等を使用することが適切であり得る。水は、比較的少量存在してもよいが、それは好ましくない。
【0065】
本発明の一実施形態において、有機溶媒を、(被膜組成物中の有機溶媒の量に対して)約80重量%以上、好ましくは約90重量%以上、最も好ましくは約95重量%以上蒸発させる。これは、膜の小繊維又は他の表面膜上に薄い被膜が形成され、孔を満たしている材料がわずかであるという利点を有する。したがって、硬化前に被膜組成物の反応性成分と膜の小繊維との間が密着する。
【0066】
好ましい実施形態において、硬化は、例えば紫外線(本特許出願において紫外線は、紫外−可視光を含んでいる)又は電子ビームでの電磁照射により達成される。
【0067】
紫外線開始による硬化も、不透明な外観を有する膜で可能と思われた。紫外線硬化も、過酷な洗浄条件に耐えることができる被覆膜を得るのに十分であることは予想外であった。本発明の好ましい実施形態において、紫外線硬化は、肉眼で不透明な外観を有する約10μm以上の厚さの膜に施される。
【0068】
別の実施形態において、硬化は、例えばIR放射による熱により、又は熱を加えることにより達成される。
【0069】
本発明の好ましい実施形態において、被膜組成物は、ロールトゥロール法で適用される。このような半連続法において、膜担体は、ロールから解かれ、場合により湿潤装置を通過し、被膜適用装置を通過し、乾燥硬化装置を通過し、次のロールに巻き戻される。
【0070】
硬化は、迅速な硬化を可能にするため、紫外線放射又は紫外可視放射により達成されるのが好ましい。紫外線硬化性被膜で被覆した100μm以上の厚さを有する不透明膜が、紫外線により十分に硬化できることは予想外であった。溶媒の蒸発は、硬化前又は硬化後に行うことができる。溶媒を硬化前に約80%以上蒸発させ、その後硬化を達成することが好ましい。紫外線が好ましいが、熱硬化を用いるロールトゥロール法が知られており、問題なく使用できるが、より時間がかかり(したがって、より長い加熱炉、又はより遅い線速度のいずれか)、最適な経済性の低下をもたらす。
【0071】
本発明に適用される被膜は、最初にかなりのパーセンテージの抽出可能物を示す場合がある。しかし、実施例から明らかなように、洗浄後の被覆膜は、安定な濡れ性及び他の特性を示している。
【0072】
本発明の好ましい実施形態において、膜を被覆し、被膜を(場合により、溶媒の蒸発後)硬化し、硬化被膜を有する膜を洗浄ステップにかけた後、膜を乾燥する。
【0073】
一般に、自己支持膜上で洗浄乾燥ステップ後に測定したときの被膜の量は、約0.3g/m以上、好ましくは約1g/m以上であろう。一般に、該量は、約10g/m以下、好ましくは約5g/m以下であろう。量が少なすぎると、濡れ性があまり好ましくないものとなり得、量が多すぎると、多孔性が低下し得る。
【0074】
一般に、洗浄乾燥ステップ後の被膜の量は、膜重量の約3%以上、好ましくは膜重量の約7%以上であろう。一般に、該量は、膜重量の約50%以下、好ましくは約30%以下であろう。膜重量は、膜を保持するための任意の強化部材は無視した活性膜担体の重量である。
【0075】
コロイド状金属酸化物ハイブリッド材料の、反応性基と重合できる成分は、分子中に1種、2種又は複数種の重合性基を含むことができる。適切な重合性基としては、例えばエポキシ、オキセタン、ヒドロキシ、アミン、ブロック化イソシアネート、(メタ)アクリレート及びビニルが挙げられる。これらの内、エポキシ及び(メタ)アクリレートが好ましい。
【0076】
(メタ)アクリレート化合物の適切な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルホスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチルオルプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチルオルエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート;エチレンオキシド又はプロピレンオキシドをこれらの(メタ)アクリレートのヒドロキシル基に加えることにより調製したポリ(メタ)アクリレート;分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート、オリゴエーテル(メタ)アクリレート、オリゴウレタン(メタ)アクリレート及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン;アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸、カプロラクトンアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、βカルボキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリレルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルカルバミルエチル(メタ)アクリレート、n−イソプロピル(メタ)アクリレルアミドフッ素化(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル及びトリエチレングリコールビニルエーテル、次式(I)により表される化合物、
式I
CH=C(R)−COO(RO)−R
(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Rは、2〜8個、好ましくは2〜5個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、mは、0〜12好ましくは1〜8の整数であり、Rは、水素原子又は1〜12個、好ましくは1〜9個の炭素原子を含有するアルキル基であるか、又はRは、場合により1〜2個の炭素原子を有するアルキル基で置換されている、4〜20個の炭素原子を有するテトラヒドロフラン基含有アルキル基であるか、又はRは、場合によりメチル基で置換されている、4〜20個の炭素原子を有するジオキサン基含有アルキル基であるか、又はRは、場合によりC〜C12のアルキル基、好ましくはC〜Cアルキル基で置換されている芳香族基である)
並びに、例えばエトキシ化イソデシル(メタ)アクリレート、エトキシ化ラウリル(メタアクリレート)等のアルコキシル化脂肪族単官能性モノマーがある。
【0077】
これらの内、(ポリ)エチレングリコール系アクリレート及びヒドロキシ官能性アクリレートが好ましい。
【0078】
重合性成分は、少なくとも1種のエポキシ基含有成分を含有することが好ましい。本発明による組成物中で使用するエポキシド含有成分は、分子中に平均して少なくとも1つの1,2エポキシド基を有する化合物である。
【0079】
エポキシ材料とも称される、エポキシド含有成分は、カチオン硬化性であり、これは、エポキシ基の重合及び/又は架橋、並びに他の反応が、カチオンにより開始されることを意味する。材料は、モノマー、オリゴマー又はポリマーであってよく、時には「樹脂」と称される。このような材料は、脂肪族構造、芳香族構造、脂環構造、アリール脂肪族構造又は複素環構造を有することができ、それらが別々の基としてエポキシド基を含むか、又はこれらの基が脂環式又は複素環式の環系の一部を形成する。これらの種類のエポキシ樹脂は、一般に知られており、市販されている。
【0080】
適切なエポキシ材料の例としては、ポリカルボン酸のポリグリシジルエステル及びポリ(メチルグリシジル)エステル、又はポリエーテルのポリ(オキシラニル)エーテルが挙げられる。ポリカルボン酸は、例えばグルタル酸、アジピン酸等の脂肪族;例えばテトラヒドロフタル酸等の脂環式;例えばフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸又はピロメリット酸等の芳香族であってよい。ポリエーテルは、ポリ(テトラメチレンオキシド)であってよい。例えばグリセロール又は2,2−ビス(4ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等、例えばトリメリット酸及びポリオールのカルボキシ末端付加物を使用することも同様に可能である。
【0081】
適切なエポキシ材料としては、少なくとも1種の遊離アルコール性ヒドロキシ基及び/又はフェノール性ヒドロキシ基を有する化合物と適切に置換されているエピクロロヒドリンとの反応により得られる、ポリグリシジルエーテル又はポリ(メチルグリシジル)エーテルも挙げられる。アルコールは、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール及び高級ポリ(オキシエチレン)グリコール等の非環式アルコール;例えば1,3−又は1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン又は1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘクス−3−エン等の脂環式であってよく、又は例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン又はp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタン等の芳香核を含有していてもよい。
【0082】
エポキシ化合物は、例えばレゾルシノール又はハイドロキノリン等の単核フェノールから誘導されるものであってもよく、又はそれらは、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)等の多核フェノールに基づくもの、又は酸性条件下で得られる、フェノール若しくはクレゾールと、フェノールノボラック及びクレゾールノゾラック等のホルムアルデヒドとの縮合生成物に基づくものであってよい。
適切なエポキシ材料の例としては、例えばエタン−1,2−ジチオール等のジチオールから誘導されるジ−S−グリシジル誘導体である、ポリ(S−グリシジル)化合物、又はビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルが挙げられる。
【0083】
適切なエポキシ材料の他の例としては、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,3−エポキシシクロペンチルグリシジルエーテル、1,2−ビス(2,3−エポキシシクロペンチルオキシ)エタン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタンジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、ジ(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エタンジオールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジエポキシド、−(オキシラニルメチル)−(オキシラニルメトキシ)ポリ(オキシ−1,4−ブタンジイル)、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−1,3−ジオキサン、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0084】
しかし、1,2−エポキシ基が、異なるヘテロ原子又は官能基に結合しているエポキシ樹脂を使用することも可能である。これらの化合物としては、例えば、4−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、サルチル酸のグリシジルエーテルグリシジルエステル、N−グリシジル−N’−(2−グリシジルオキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントイン又は2−グリシジルオキシ−1,3−ビス(5,5−ジメチル−1−グリシジルヒダントイン−3−イル)プロパンが挙げられる。
【0085】
更に、このようなエポキシ樹脂と硬化剤との液状の予備反応付加物が、エポキシ樹脂に適している。
【0086】
本発明による組成物中でエポキシ材料の混合物を使用することも当然ながら可能である。
【0087】
好ましいエポキシ材料は、脂環式ジエポキシドである。3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート及びそれらの組合せが特に好ましい。他の好ましいエポキシ材料は、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)又はそれらのオリゴマー等の多核フェノールに基づくものである。
【0088】
エポキシ材料は、広範囲にわたって変化する分子量を有することができる。一般に、エポキシ当量、即ち、反応性エポキシ基の数で割った数平均分子量は、44〜1000の範囲であることが好ましい。
【0089】
本発明の組成物は、開環型の重合性成分としてオキセタンを含有することもできる。オキセタン化合物は、少なくとも1種のオキセタン環を含む。
【0090】
オキセタン化合物は、カチオン重合性光開始剤の存在下で、光照射することにより重合
又は架橋することができる。
【0091】
以下にオキセタン化合物の具体例を示す:
分子中に1つのオキセタン環を含有する化合物:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル。
【0092】
分子中に2つ以上のオキセタン環を含有する化合物:3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチルエニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチルオルプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチルオルプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル。これらの化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
好ましいオキセタンは、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル及びビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルからなる群から選択される。
【0093】
オキセタン化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0094】
本発明の組成物中で使用できる他のカチオン重合性成分としては、例えば環状ラクトン化合物、環状アセタル化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物及びビニルエーテル化合物が挙げられる。
【0095】
本発明による組成物中のカチオン重合性成分の混合物を使用することは当然ながら可能である。
【0096】
本発明の一実施形態において、本発明の組成物は、カチオン硬化性基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、カチオン重合性成分を含有することができる。好ましくは、この成分は、1つのカチオン硬化性基及び1つ又は複数のヒドロキシル基を有するであろう。このような成分は、中間体架橋密度でネットワークを有する三次元物体を作製することにも寄与すると考えられる。
【0097】
本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも60重量%のカチオン硬化性成分を含むことが好ましい。本発明の組成物は、組成物の全重量に対して、90重量%未満、より好ましくは80重量%未満のカチオン硬化性成分を含むことが好ましい。
【0098】
本発明の組成物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するポリオールである、少なくとも1種のヒドロキシ成分を含有することが好ましい。本発明で使用するヒドロキシ成分は、第1級及び/又は第2級のヒドロキシル基を含有することができるポリオールである。ヒドロキシル成分は、少なくとも1種の第1級ヒドロキシル基を含有することが好ましい。第1級ヒドロキシル基は、2つ又は3つの水素原子を有する炭素原子に共有結合しているOH基である。ヒドロキシ成分は、2つの第1級ヒドロキシル基を含有することが好ましい。本発明の別の好ましい実施形態において、ヒドロキシ成分は、アルキル鎖又はアルコキシ鎖が、1〜100Cの原子、好ましくは2〜50Cの原子、より好ましくは5〜40Cの原子を有することができる、アルキル鎖又はアルコキシ鎖の末端に位置する第1級ヒドロキシル基及び/又は第2級ヒドロキシル基を有する化合物である。理論に拘束されることは望まないが、これらの第1級及び第2級のヒドロキシル基が、カチオン重合反応において連鎖移動剤として機能することが好ましいと考える。様々なヒドロキシル成分の混合物も使用できる。
【0099】
ヒドロキシル成分は、好ましくは1つ、より好ましくは両方のヒドロキシル基が、第1級ヒドロキシル基である、分子量200未満のジオールであってよい。適切なジオールの例としては:エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールが挙げられる。
【0100】
ヒドロキシ成分は、例えばエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの鎖延長を追加した中央構造を有する分子であることが好ましい。ヒドロキシ成分は、アルコキシル化ポリオール又はアルコキシル化芳香族ジオールであることが好ましい。ヒドロキシ成分は、エトキシ化ポリオール又はエトキシ化芳香族ジオールであることがより好ましい。
【0101】
適切なヒドロキシ成分の例としては、オリゴマー及びポリマーヒドロキシル含有材料であり、約200〜約1500g/molの分子量のポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのグリコール及びトリオール;様々な分子量のポリテトラメチレングリコール;ポリ(オキシエチレン−オキシブチレン)のランダムコポリマー又はブロックコポリマー;ヒドロキシ末端ポリエステル及びヒドロキシ末端ポリラクトン;ポリブタジエン等のヒドロキシ官能化ポリアルカジエン;脂肪族ポリカーボネートジオール等の脂肪族ポリカーボネートポリオール;ヒドロキシ末端ポリエーテルが挙げられる。
【0102】
他の好ましいヒドロキシル成分としては、トリメチルオルプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース又はクアドロール等、2つ、3つ又は複数のヒドロキシル基を含有する多価アルコールを、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド又はテトラヒドロフランと場合により混合した、好ましくはエチレンオキシド(EO)等の環状エーテル化合物で変性することにより得られるポリエーテルポリオールがある。具体例としては、EO変性トリメチルオルプロパン、EO変性グリセロール、EO変性ペンタエリスリトール、EO変性ソルビトール、EO変性スクロース及びEO変性クアドロールが挙げられる。これらの内、EO変性トリメチルオルプロパン及びEO変性グリセロールが好ましい。
【0103】
ヒドロキシル成分の分子量は、好ましくは100〜1500g/mol、より好ましくは160〜1000g/molである。本発明の液状の光硬化性樹脂組成物で使用するヒドロキシル成分の比率は、通常1〜35重量%、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。
【0104】
ラジカル重合は、開始剤を用いて開始することができる。熱により活性ラジカル種を発生する化合物(熱重合開始剤)及び放射線(光)への曝露時に活性ラジカル種を発生する化合物(放射線重合開始剤)等の従来の開始剤を挙げることができる。
【0105】
放射線重合(光重合)開始剤が、照射により分解され、ラジカルを発生して重合を開始する限り、このような開始剤に具体的な制限はない。このような開始剤の例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド及びオリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)が挙げられる。
【0106】
本発明による組成物において、エポキシ材料(複数可)等のカチオン重合性化合物の反応を開始するカチオンを化学線への曝露時に形成する任意の適切な種類の光開始剤が使用できる。公知で技術的に証明されているカチオン性光開始剤が数多くあり、それらは適切である。カチオン性光開始剤としては、例えば弱求核性アニオンを有するオニウム塩が挙げられる。例としては、欧州特許出願公開第153904号明細書及び国際公開第98/28663号パンフレットに記載されているもの等のハロニウム塩、ヨードシル塩若しくはスルホニウム塩、例えば欧州特許出願公開第35969号、第44274号、第54509号及び第164314号明細書に記載されているもの等のスルホキソニウム塩、又は例えば米国特許第3708296号及び第5002856号明細書に記載されているもの等のジアゾニウム塩がある。これらの開示内容8つ全てが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。他のカチオン性光開始剤としては、例えば欧州特許出願公開第94914号及び第94915号明細書に記載されているもの等のメタロセン塩があり、該特許は、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0107】
他の現時のオニウム塩開始剤及び/又はメタロセン塩の調査は、「UV Curing, Science and Tehcnology」(S.P.Pappas編集、Technology Marketing Corp.、642 Westover Road、Stamford、Conn.、U.S.A.)又は「Chemistry & Tehcnology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints」、第3巻(P.K.T.Oldring編)中に見出すことができ、いずれの書籍も、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0108】
好ましい開始剤としては、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。
【0109】
カチオン性放射線重合(光重合)開始剤が、照射により分解されて、ブロンステッド酸を発生して、開環反応を開始する限り、このような開始剤に具体的な制限はない。アリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩、アリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、アリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート塩、アリールヨードニウムヘキサフルオロホスフェート塩。他の好ましいカチオン性光開始剤としては、特に、例えばn−エチルカルバゾール等の光増感剤と組み合わせて使用したときに、黄変が減少する傾向にあるため、ヨードニウム光開始剤、例えばヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0110】
光効率を増加させるか、又はカチオン性光開始剤を、例えば特定のレーザー波長又は特定の一連のレーザー波長等、特定の波長に増感させるために、開始剤の種類に応じて、増感剤を使用することも可能である。例としては、多環式芳香族炭化水素又は芳香族ケト化合物がある。好ましい増感剤の具体例は、欧州特許出願公開第153904号明細書に言及されている。他の好ましい増感剤としては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第5667937号明細書に記載のベンゾペリレン、1,8−ジフェニル−1,3,5,7−オクタテトラエン及び1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエンがある。増感剤の選択における追加の要因としては、化学線源の自然な一次波長があることを認識されよう。
【0111】
本発明で場合により使用する重合開始剤の量は、組成物100重量部に対して好ましくは0.01〜20重量部、更により好ましくは0.1〜10重量部である。量が0.01重量部未満である場合、硬化生成物の硬度が不十分となり得る。量が20重量部を超える場合、硬化生成物の内部(内層)が未硬化のままであり得る。
熱重合開始剤の好ましい例としては、ペルオキシド及びアゾ化合物を挙げることができる。具体例としては、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート及びアゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。
【0112】
具体的には、硬化生成物は、組成物を物体に施し、好ましくは0〜160℃の温度で揮発性成分を除去することにより被膜を乾燥して、熱及び/又は放射線により被膜を硬化することによって被覆形態として得ることができる。熱を加えることにより組成物を硬化する場合、組成物を20〜110℃で10秒〜24時間硬化することが好ましい。放射線を使用する場合、紫外線又は電子ビームの使用が好ましい。この場合、紫外線量は、好ましくは0.01〜10J/cm、更により好ましくは0.1〜2J/cmである。電子ビームは、10〜300kV、電子密度0.02〜0.30mA/cm、線量1〜10Mradの条件下で照射されることが好ましい。
【0113】
本発明は更にハイフラックス膜に関する。このような膜は、例えばバイオリアクター中等で低圧が加えられ得る場合でも、高い水フラックスを必要とする膜の用途において、好ましい特性を示す。
【0114】
本発明の一実施形態において、本発明は、親水性膜が、約100nm以下の孔径を有する一方で、0.5barの圧力で測定した場合、3000L/(mh bar)のフラックスを示す、膜担体及び被膜を含む、親水性膜に関する。フラックスは、約5000L/(mh bar)以上であることが好ましい。
【0115】
このようなフラックスは、より小さい孔径で生物付着を更に防止する場合、約100nm以下の孔径を有する膜で実現されることが好ましい。
【0116】
本発明の別の好ましい実施形態において、膜担体は、UHMWPEを含み、約200nm以下の孔径を有する親水性膜が、0.5barの圧力で測定した場合、500L/(mh bar)、好ましくは約1500L/(mh bar)以上のフラックスを示し、より好ましくは、約200nm以下の孔径を有する親水性膜が、0.5barの圧力で測定した場合、3000L/(mh bar)のフラックスを示す。
【0117】
膜は、例えば20、40、60、80又は100μmの薄さ等、比較的薄いことが好ましい。
【0118】
本発明の親水性膜は、水又は水性混合物の濾過を必要とする多数の用途で使用できる。
本発明の好ましい実施形態において、親水性膜は、粒子濾過、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透のような分子分離で使用される。本発明の一実施形態において、親水性膜は、浄水法において、膜バイオリアクター(MBR)中で使用される。本発明の膜は、低圧での比較的高い流量及び低い汚染傾向により、このような方法に特に適している。
【0119】
本発明の別の実施形態において、親水性膜は、電気透析、電気脱イオン化及び燃料電池を含む電気化学用途で使用される。
【0120】
本発明の更に別の実施形態において、親水性膜は、医薬成分及び栄養補助成分を含む制御放出用途で使用される。
【0121】
本発明の更なる実施形態において、親水性膜は、パートラクション、パーベーパレーション及び接触器の用途で使用される。
【0122】
本発明を以下の非限定的実施例で説明する。
【実施例】
【0123】
実施例1〜4
異なる孔径を有する4つの疎水性ソルポール(Solupor)(登録商標)膜を使用した。膜は、UHMWPE延伸材料からなり、約16〜14g/mの基準重量を有していた(型番16P又は14P参照)。表1に特性を示す。
【表1】

【0124】
試験方法
透水性
透水性を、膜全体の圧力勾配500mbarで、室温(20℃)にて測定した。水250mlをこの圧力下で膜に通す。透過側で50ml毎に経過した時間を記録する。その後、水フラックスを方程式1:
J=Q/AtP(方程式1)
(式中、Jは、フラックス(L/mh bar)であり、Qは、時間(h)に膜を流れる水量(リットル)であり、Aは、膜の有効面積(m)であり、Pは、膜全体の圧力差である)
に従って計算する。5つの膜を平均し、平均値を報告する。
透気度
ガーレー試験法(ISO5636−5に準ずる)は、空気の通過に対する膜抵抗の決定について扱っている。該方法は、1秒以上で最大50mlの空気の通過を許容する膜に適用される。この試験では、記録時間0.1秒、シリンダー容積50ミリリットル、シリンダー重量567グラム及び測定面6.45平方センチメートル(1平方インチ)で、Toyoseiki製のB型ガーレーデンソメーター(Gurley Densometer)を使用した。較正後、膜ストリップをロールの幅にわたって切断する。次いで、滑らかで無傷の試験片をクランピングプレートの開口部上に置き、クランプする。測定を開始し、50ミリリットルの空気が試験片を通過するのに必要とされる0.1秒単位で時間を測定する。(平均)ガーレー値を秒/50mlで記録する。
透気度は、PMIキャピラリーフローポロメーターで測定することもでき、L/cm分で表される。これは、経験的関係(0.4μm以下の範囲で21.5で割る)により孔径μmに変えることができる。
吸水率
一定重量に達するまで(W)、フィルムを50℃で真空乾燥した。その後、試料を室温(20℃)で蒸留水中に浸漬した。2時間後、試料を水から取り出し、表面の液滴をティッシュペーパーで丁寧に除去した。濡れた膜の重量を直ぐに記録し(W)、濡れ性(ε%)は、相対ウォーターゲイン(W−W)を、膜の全空隙容量が水で満たされている場合は100%をかけて計算した値で割ることにより計算される。
【0125】
官能化無機−有機材料の調製
官能化金属酸化物オリゴマーを、エタノール12.5ml中のテトラエトキシシラン10gと、有機シラン23mmolとを混合することにより調製した。アクリレート化オリゴマーの場合、(3−アクリルオキシプロピル)−トリメトキシシランを使用し、エポキシ官能性オリゴマーの場合、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリ−エトキシシランを使用した。アクリレートを含む混合物に、重合開始剤を加えた(アクリル−シラン化合物に対してハイドロキノンモノ−メチルエーテル1.5重量%)。反応混合物を40℃まで加熱し、0.1N HClを滴下し(アクリレート混合物に対して2ml、エポキシ混合物に対して1.7ml)、混合物を撹拌しながら40℃で24時間反応させた。以下、材料をコロイドとして示す。上に記載したスチラゲル(Styragel)カラムでのアクリレート官能性オリゴマーのGPC分析では、Mw6200、Mn2200、多分散性2.8〜2.9であった。
【0126】
被膜組成物
4つの被膜組成物を、表2に示す成分を用いて調製した。被膜組成物をメタノール200ml中で調製した。
官能化コロイドを、調製したままの状態で使用し、mlで使用した。他の成分はgで示されている。
PEGジアクリレートは、ポリエチレングリコール−ジアクリレートである(Mw575)。
PEGアクリレートは、ポリエチレングリコール−アクリレートである(Mw375)。
光開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンである。
UVRは、エポキシ−シクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。
PEGは、ポリエチレングリコールである(Mw600)。
PEGモノメチルエーテル(PEGm)は、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Mw1100)である。
UVIは、混合アリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(カチオン性光開始剤)である。
【表2】

【0127】
被覆膜の調製
膜をメタノールで5分間予め濡らしておき、その後被膜組成物に5分間浸した。膜を被膜組成物から取り出し、3分間風乾した。メタノールの蒸発後、被膜を紫外線放射で硬化した(膜をベルト上に置き、紫外線ランプ下で、1J/cmの密度で、10m/分の速度にて3回輸送した)。硬化被膜を有する膜をメタノールで終夜洗浄し、未反応種を全て除去し、次いで水で洗浄した。次に、膜を水に終夜浸して、一定重量に達するまで50℃の真空オーブンで乾燥した。疎水性被膜を有する膜は、先頭に「E」を付けて示されている。
【0128】
被覆膜の試験
被覆膜をメタノールで70時間洗浄し、水で洗浄して、50℃で真空乾燥した。その後、水フラックスを測定した。結果を表3に示す。
【表3】


これらの結果は、官能化金属酸化物コロイドを有する被膜B及びDが、これらの無機材料を含まない被膜よりも高い水フラックスを示すことを示している。更に、エポキシ系被膜は、より小さい初期孔を有する膜で有効なフラックスを示す。小さい孔径を有する膜が、本試験で使用した0.5barより若干高い圧力で水フラックスを示すことができたことに更に注意されたい。水フラックスを得るために必要な圧力は、未処理の膜で水フラックスを得るために必要な圧力より実質的に低く、これは被膜での有効な親水化を示している。
次の一連の実験において、70時間の温水(50℃)洗浄後にフラックスを測定した。結果を表4に示す。
【表4】


温水洗浄は、メタノール洗浄よりも若干穏やかである。結果は、エポキシ系被膜がアクリレート系被膜よりも良好に機能することも示している。結果は更に、アクリレート系被膜が、反応コロイドで改善することができ、より高いフラックス、及びより小さい孔径での有効なフラックスを可能にすることを示している。
【0129】
実施例5〜9
幾つかの被膜組成物を、架橋密度を変化させることにより、エポキシとヒドロキシルとの幾つかの比で調製した。量を表5に示す。被膜はメタノール200mlに溶解した。
【表5】


更なる実験において、16P10A膜を膜担体として使用した(孔径0.4μm、非被覆疎水性膜については吸水率及び水フラックスなし)
膜を上に記載したように被覆し、非被覆膜に対するエアフローで計算した孔径、並びに吸水率及び透水性を測定した。結果を表6に示す。
【表6】


これらの実験は、孔径、被膜量及び架橋密度が、1つの標準的な疎水性膜から開始したときでも、水フラックス、孔径及び他の特性に影響を与え、それらを最適化するために使用できることを示している。

実施例10〜12
被膜Gを用いて、膜(ソルポール(登録商標)16P15A)を、回転速度1.5m/分及び異なるグラビア速度(各60、100、150rpm)で、ミニレーバー(Minilabor)ロールトゥロールコーター上に直接被覆した。被膜を乾燥し、紫外線で1〜2秒硬化した。ロール状の膜を実施例1に記載されているように処理した。実験A及び実験Bの下に示すように、実験を2回行った。水フラックスを上に記載されているように測定した。結果を表7に示す。
【表7】


これらの実験は、エタノールを予め濡らさず、ロールトゥロールコーター上で、非常に良好な結果が得られ、商業的開発に適していることを示している。実験10〜12は、本発明は、小さい孔径で、非常に高い水フラックス(従来のPS、PES、PDF、CA及びセルロースの膜よりも高い)を有する膜の製造を可能にすることを示している。実施例12の膜を用いて、表8に示すように更に安定性試験を行った。
【表8】


これらの結果は、本発明の親水性膜に対する過酷な試験条件が、処理後の水フラックスに大きな悪影響を与えないことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質膜担体及び膜に含浸させる親水性被膜を含む親水性膜であって、前記被膜が、共有結合した無機−有機ハイブリッド材料を含み、前記被膜が、反応性基を有する無機−有機ハイブリッド材料を含む親水性被膜組成物から調製され、無機部分が金属酸化物オリゴマーである膜。
【請求項2】
前記金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化第一スズ、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛及び/又は酸化セリウムを含み、前記金属酸化物が酸化ケイ素であることが好ましい、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
前記金属酸化物オリゴマーが、ヒドロキシ及び/又はアルコキシの金属化合物から調製される、請求項1又は2に記載の膜。
【請求項4】
前記金属酸化物オリゴマー上の反応性基が、アルコキシ−有機金属化合物を反応させることにより作製される、請求項3に記載の膜。
【請求項5】
前記金属酸化物オリゴマーが、テトラ−アルコキシ金属(A)と有機−金属化合物(B)とを反応させることにより作製され、前記テトラ−アルコキシ金属(A)の量が、前記有機−金属化合物(B)とほぼ同じモル比、又はより高い比であり、前記モル比(A):(B)が、約2以上であることが好ましく、前記比(A):(B)が、約20以下、好ましくは約15以下である、請求項4に記載の膜。
【請求項6】
前記反応性基が、アルコール(C−O−H)、アミン、メルカプト、イソシアネート、アクリレート、ビニル、エポキシ及び/若しくはカルボン酸、それらの混合物、並びに/又はそれらの反応性誘導体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の膜。
【請求項7】
前記無機−有機ハイブリッド材料の量が、前記被膜組成物の固体材料の約2重量%以上、好ましくは約5重量%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の膜。
【請求項8】
前記親水性被膜が、開環重合を含む重合反応により前記被膜組成物から得られる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の親水性膜。
【請求項9】
膜担体及び親水性被膜を含む親水性膜であって、前記親水性被膜が、開環重合を含む重合反応により被膜組成物から得られる膜。
【請求項10】
前記重合の約30%以上、好ましくは約50%以上、更により好ましくは約80%以上が開環重合である、請求項8又は9に記載の膜。
【請求項11】
前記被膜組成物が、硬化時に8体積%以下、好ましくは約6体積%以下、最も好ましくは約4体積%以下の収縮を示す、請求項8〜10のいずれか一項に記載の膜。
【請求項12】
前記被膜組成物の粘度が、約0.1Pa.s以下、好ましくは約0.01Pa.s以下である、前記請求項のいずれか一項に記載の膜。
【請求項13】
前記被膜組成物が、少なくとも1種の添加剤、好ましくはナノサイズの活性炭、酵素、医薬品、栄養補助食品又はイオン交換樹脂の1つを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の膜。
【請求項14】
前記膜担体が、無機材料、好ましくは、金属、ゼオライト若しくはアルミナ、又はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、膨張ポリテトラフルオロエチレンポリカーボネート、混合ポリマー膜若しくはプラズマ処理膜を好ましくは含む有機材料から作製される膜担体から実質的になる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の膜。
【請求項15】
前記膜担体が、超高分子量ポリエチレン、特に高延伸UHMWPEを含み、前記担体膜が、好ましくはUHMWPE約20重量%以上、好ましくはUHMWPE約50重量%以上を含み、前記膜担体が、500000〜10000000g/molの重量平均分子量を有するUHMWPEを含むことが好ましい、請求項1〜14のいずれか一項に記載の膜。
【請求項16】
約10μm、好ましくは約20μm以上の厚さ、及び約500μm以下、好ましくは200μm以下の厚さを有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の親水性膜。
【請求項17】
前記被膜が、前記膜担体上に薄層を含み、前記層が、約20nm以上、好ましくは約80nm以上の厚さ、及び約5μm以下、好ましくは1μm以下の厚さを有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の親水性膜。
【請求項18】
前記膜担体の孔径が、約0.001μm以上、好ましくは0.01μm以上であり、前記孔径が、親水性被膜で被覆する前は約100μm以下、好ましくは20μm以下、好ましくは4μm以下である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の親水性膜。
【請求項19】
約0.5nm以上、好ましくは約10nm以上の孔径を有し、前記孔径が、約100nm以上であることがより好ましく、前記孔径が、約50μm以下、好ましくは約10μm以下である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の親水性膜。
【請求項20】
約0.01μm以上、約1.0μm以下の孔径を有し、0.5barで測定したとき、少なくとも5000l/m.h.barの水フラックスを示す、請求項1〜19のいずれか一項に記載の親水性膜。
【請求項21】
前記膜担体の多孔率が、約15%以上、好ましくは約40%以上、好ましくは70%〜90%の間である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の親水性膜。
【請求項22】
膜担体及び被膜を含む親水性膜であって、約100nm以下の孔径を有する一方で、0.5barの圧力で測定した場合、3000L/(mh bar)のフラックスを示し、前記フラックスが、5000L/(mh bar)以上であることが好ましく、このようなフラックスが、約100nm以下の孔径を有する膜で実現されることが好ましい膜。
【請求項23】
UHMWPEを含む膜担体を有する親水性膜であって、約200nm以下の孔径を有する親水性膜が、0.5barの圧力で測定した場合、500L/(mh bar)のフラックス、0.5barの圧力で測定した場合、好ましくは約1500L/(mh bar)以上、更により好ましくは約3000L/(mh bar)のフラックスを示す膜。
【請求項24】
(a)膜担体を被膜組成物で被覆するステップを含む親水性膜を得るための方法であって、(b)前記被膜組成物が、反応性基を有する親水性成分及び(c)有機溶媒を含む方法。
【請求項25】
前記溶媒を硬化前に実質的に蒸発させる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化が、放射線、好ましくはUV又はEBにより達成される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記溶媒が、非極性溶媒を含む、請求項24〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記溶媒が、極性非プロトン性溶媒を含む、請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記膜担体が、ロールから解かれ、場合により湿潤装置を通過し、被膜適用装置を通過し、場合により乾燥装置を通過し、硬化装置を通過し、前記被覆膜が、次のロールに巻き戻される、請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記膜を被覆し、前記被膜を硬化し(場合により溶媒の蒸発後)、且つ硬化被膜を有する膜に洗浄乾燥を施すステップを更に含む、請求項24〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
自己支持膜で洗浄乾燥ステップ後に測定したときの被膜量が、約0.3g/m以上、好ましくは約1g/m以上、及び約10g/m以下、好ましくは約5g/m以下である、請求項24〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
洗浄乾燥ステップ後の被膜量が、膜重量の約3%以上、好ましくは膜重量の約7%以上、及び膜重量の約50%以下、好ましくは約30%以下である、請求項24〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の親水性膜、又は粒子濾過、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、逆浸透のような分子分離のための請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法により得られる親水性膜の使用。
【請求項34】
電気透析、電気脱イオン化及び燃料電池を含む電気化学用途のための、請求項1〜23のいずれか一項に記載の親水性膜、又は請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法により得られる親水性膜の使用。
【請求項35】
医薬成分及び栄養補助成分を含む制御放出用途のための、請求項1〜23のいずれか一項に記載の親水性膜、又は請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法により得られる親水性膜の使用。
【請求項36】
パートラクション、パーベーパレーション及び接触器の用途のための、請求項1〜23のいずれか一項に記載の親水性膜、又は請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法により得られる親水性膜の使用。
【請求項37】
一定の孔径を有する膜担体、及び架橋密度を有する被膜を使用することを含み、前記架橋密度を様々な孔径を得るために変化させるが、架橋密度が高くなると、孔径が小さくなる、親水性膜の孔径を調節する方法。
【請求項38】
前記孔径は、マイクロメーターからナノメーターで変化させ、前記親水性膜が、低い圧力勾配下で比較的高い水フラックスを示す、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記被膜が、エポキシ系被膜組成物である、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法が適用される、請求項37〜39のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−534557(P2010−534557A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517405(P2010−517405)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059724
【国際公開番号】WO2009/013340
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(509105259)
【Fターム(参考)】