説明

観測画像補正装置、観測画像補正プログラムおよび観測画像補正方法

【課題】位置情報を手動で設定するという作業をせずに観測画像をオルソ補正して正確なオルソ画像を作成できるようにすることを目的とする。
【解決手段】模擬画像生成部110は観測条件情報192とDEM181とに基づいて模擬強度画像171と模擬画像座標データ172とを作成する。一致点検出部120は観測画像191と模擬強度画像171との一致点831を検出する。緯度・経度リサンプリング部130は一致点831に基づいて観測画像191を模擬強度画像171に重ねるようにアフィン変換し、観測画像191の画素に対応する模擬強度画像171の画素を特定し、観測画像191に対応する座標を模擬画像座標データ172から取得して観測画像座標データ193を作成する。オルソ補正部140は観測画像座標データ193に基づいて観測画像191をオルソ補正し、オルソ画像196を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、合成開口レーダー画像をオルソ補正する観測画像補正装置、観測画像補正プログラムおよび観測画像補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成開口レーダーによる観測画像(合成開口レーダー画像)からオルソ補正した画像(オルソ画像)を作成する代表的な方法として以下のものがある。オルソ画像とは、真上から見たかのように正射投影して補正した画像のことである。
【0003】
(1)軌道情報、スラントレンジ、DEM(Digital Elevation Model:数値標高モデル)などを用いて標高を考慮して観測画像の各ピクセルの観測点を求め、これをもとにオルソ補正を行う。
(2)観測画像上の数ピクセルに対して各ピクセルの位置(緯度、経度)を手動で入力し、入力値をもとに多項式変換などにより幾何学歪みを補正する。
【特許文献1】特開2003−141507号公報
【特許文献2】特開2007−248216号公報
【特許文献3】特開2005−292882号公報
【特許文献4】特開2006−189372号公報
【特許文献5】特開2003−323611号公報
【特許文献6】特開2004−171413号公報
【特許文献7】特開2003−241653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記(1)の方法には以下のような課題がある。
(a)観測画像が地図投影されていないことが条件となるが、販売されている標準の観測画像は地図投影されている。なお、販売品の観測画像は標高がゼロメートルと仮定されており、標高が考慮されていないのでオルソ画像ではない。また、販売品の観測画像は実際の地形や道路などとは一致しない。
(b)観測画像の各ピクセルから合成開口レーダーを搭載した観測衛星までの距離(スラントレンジ)と方位、各観測値の観測時刻または観測衛星の軌道情報に誤差があると、その誤差はそのままオルソ画像の誤差となり、オルソ画像により示される地形、道路、建物などは実際と一致しない。最近の観測衛星(例えば、だいち[ALOS1])や航空機のこれら情報は精度が良いが、90年代あるいはさらに古い観測衛星や航空機の情報は誤差が大きい。例えば、ふよう1号の軌道情報には数100メートルの誤差がある。このため、最近取られた観測画像以外には上記(1)の方法は適さない。
(c)使用する各種情報(例えば、軌道情報)に含まれる誤差を考慮してオルソ補正するためには、観測画像上の数ピクセルに対して正確な位置情報を手動で設定する必要がある。正確な位置情報には、高い精度で予め測量されている地上基準点(GCP:Grand Control Point)の座標値が用いられる。
【0005】
上記(2)の方法には以下のような課題がある。
(a)観測画像上の数ピクセルに対して正確な位置情報を手動で設定する必要がある。
(b)正確な位置情報を手動で設定した数ピクセル(GCP)以外は位置がずれる。
【0006】
本発明は、例えば、位置情報を手動で設定するという作業をせずに観測画像をオルソ補正して正確なオルソ画像を作成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観測画像補正装置は、レーダー観測で取得された観測データに基づいて生成された地表の画像を示す観測画像を記憶機器を用いて記憶する観測画像記憶部と、前記レーダー観測の観測条件に関する情報を示す観測条件情報を記憶機器を用いて記憶する観測条件記憶部と、格子に区切られた地表の各格子点の平面座標と各格子点の標高とを示す標高データを記憶機器を用いて記憶する標高データ記憶部と、前記観測条件記憶部に記憶されている前記観測条件情報と前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データとに基づいてレーダー観測をCPU(Central Processing Unit)を用いて模擬し、模擬したレーダー観測で取得された模擬データに基づいて地表の画像を示す模擬画像を生成する模擬画像生成部と、前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像を構成する複数の画素と前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像を構成する複数の画素とをCPUを用いて比較し、前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素を特定する対応画素特定部と、前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データに基づいて前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像の画素に対応する平面座標を示す模擬画像座標データをCPUを用いて生成する模擬画像座標データ生成部と、前記対応画素特定部により特定された前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素と前記模擬画像座標データ生成部により生成された前記模擬画像座標データにより示される前記模擬画像の画素に対応する平面座標とに基づいて前記観測画像の画素に対応する平面座標を示す観測画像座標データをCPUを用いて生成する観測画像座標データ生成部と、前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像の画素が平面座標に対応する位置に配置された画像を前記観測画像座標データ生成部により生成された前記観測画像座標データに基づいて補正画像としてCPUを用いて生成する補正画像生成部とを備える。
【0008】
前記観測画像補正装置において、前記模擬画像生成部は、標高の高いものをレーダー観測を行った観測レーダー側に倒れ込ませて見せるフォア・ショートニングさせた画像を前記模擬画像として生成する。
【0009】
前記観測画像補正装置において、前記模擬画像生成部は、前記観測条件情報に基づいてレーダー観測を行った観測レーダーの3次元座標を算出し、算出した前記観測レーダーの3次元座標と前記標高データにより示される地表の各格子点の平面座標と前記標高データにより示される地表の各格子点の標高とに基づいて前記観測レーダーから地表の各格子点までの距離と前記観測レーダーにより出射された電磁波の成す地表の各格子点における入射角とを算出し、算出した前記入射角に基づいて地表の各格子点からの反射波の強度を算出し、算出した前記距離に対応する画像内での位置にある画素に算出した前記強度に対応する陰影を付けて前記模擬画像を生成する。
【0010】
前記観測画像補正装置において、前記対応画素特定部は、前記観測画像の2画素に対応する前記模擬画像の2画素を特定し、前記観測画像の前記2画素それぞれの画素位置と前記模擬画像の前記2画素それぞれの画素位置との位置ずれの量に基づいて前記観測画像と前記模擬画像との少なくとも一方をアフィン変換し、アフィン変換後に前記観測画像の画素と同じ画素位置にある前記模擬画像の画素を前記観測画像の前記画素に対応する前記模擬画像の画素として求める。
【0011】
前記観測画像補正装置において、前記観測画像が光学センサを用いて撮像した光学画像である。
【0012】
本発明の観測画像補正プログラムは、レーダー観測で取得された観測データに基づいて生成された地表の画像を示す観測画像を記憶機器を用いて記憶する観測画像記憶部と、前記レーダー観測の観測条件に関する情報を示す観測条件情報を記憶機器を用いて記憶する観測条件記憶部と、格子に区切られた地表の各格子点の平面座標と各格子点の標高とを示す標高データを記憶機器を用いて記憶する標高データ記憶部とを用い、模擬画像生成部が、前記観測条件記憶部に記憶されている前記観測条件情報と前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データとに基づいてレーダー観測をCPU(Central Processing Unit)を用いて模擬し、模擬したレーダー観測で取得された模擬データに基づいて地表の画像を示す模擬画像を生成する模擬画像生成処理と、対応画素特定部が、前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像を構成する複数の画素と前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像を構成する複数の画素とをCPUを用いて比較し、前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素を特定する対応画素特定処理と、模擬画像座標データ生成部が、前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データに基づいて前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像の画素に対応する平面座標を示す模擬画像座標データをCPUを用いて生成する模擬画像座標データ生成処理と、観測画像座標データ生成部が、前記対応画素特定部により特定された前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素と前記模擬画像座標データ生成部により生成された前記模擬画像座標データにより示される前記模擬画像の画素に対応する平面座標とに基づいて前記観測画像の画素に対応する平面座標を示す観測画像座標データをCPUを用いて生成する観測画像座標データ生成処理と、補正画像生成部が、前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像の画素が平面座標に対応する位置に配置された画像を前記観測画像座標データ生成部により生成された前記観測画像座標データに基づいて補正画像としてCPUを用いて生成する補正画像生成処理とをコンピュータに実行させる。
【0013】
前記観測画像補正プログラムにおいて、前記模擬画像生成部は、標高の高いものをレーダー観測を行った観測レーダー側に倒れ込ませて見せるフォア・ショートニングさせた画像を前記模擬画像として生成する。
【0014】
前記観測画像補正プログラムにおいて、前記模擬画像生成部は、前記観測条件情報に基づいてレーダー観測を行った観測レーダーの3次元座標を算出し、算出した前記観測レーダーの3次元座標と前記標高データにより示される地表の各格子点の平面座標と前記標高データにより示される地表の各格子点の標高とに基づいて前記観測レーダーから地表の各格子点までの距離と前記観測レーダーにより出射された電磁波の成す地表の各格子点における入射角とを算出し、算出した前記入射角に基づいて地表の各格子点からの反射波の強度を算出し、算出した前記距離に対応する画像内での位置にある画素に算出した前記強度に対応する陰影を付けて前記模擬画像を生成する。
【0015】
前記観測画像補正プログラムにおいて、前記対応画素特定部は、前記観測画像の2画素に対応する前記模擬画像の2画素を特定し、前記観測画像の前記2画素それぞれの画素位置と前記模擬画像の前記2画素それぞれの画素位置との位置ずれの量に基づいて前記観測画像と前記模擬画像との少なくとも一方をアフィン変換し、アフィン変換後に前記観測画像の画素と同じ画素位置にある前記模擬画像の画素を前記観測画像の前記画素に対応する前記模擬画像の画素として求める。
【0016】
前記観測画像補正プログラムにおいて、前記観測画像が光学センサを用いて撮像した光学画像である。
【0017】
本発明の観測画像補正方法は、レーダー観測で取得された観測データに基づいて生成された地表の画像を示す観測画像を記憶機器を用いて記憶する観測画像記憶部と、前記レーダー観測の観測条件に関する情報を示す観測条件情報を記憶機器を用いて記憶する観測条件記憶部と、格子に区切られた地表の各格子点の平面座標と各格子点の標高とを示す標高データを記憶機器を用いて記憶する標高データ記憶部とを用い、模擬画像生成部が、前記観測条件記憶部に記憶されている前記観測条件情報と前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データとに基づいてレーダー観測をCPU(Central Processing Unit)を用いて模擬し、模擬したレーダー観測で取得された模擬データに基づいて地表の画像を示す模擬画像を生成する模擬画像生成処理を行い、対応画素特定部が、前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像を構成する複数の画素と前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像を構成する複数の画素とをCPUを用いて比較し、前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素を特定する対応画素特定処理を行い、模擬画像座標データ生成部が、前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データに基づいて前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像の画素に対応する平面座標を示す模擬画像座標データをCPUを用いて生成する模擬画像座標データ生成処理を行い、観測画像座標データ生成部が、前記対応画素特定部により特定された前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素と前記模擬画像座標データ生成部により生成された前記模擬画像座標データにより示される前記模擬画像の画素に対応する平面座標とに基づいて前記観測画像の画素に対応する平面座標を示す観測画像座標データをCPUを用いて生成する観測画像座標データ生成処理を行い、補正画像生成部が、前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像の画素が平面座標に対応する位置に配置された画像を前記観測画像座標データ生成部により生成された前記観測画像座標データに基づいて補正画像としてCPUを用いて生成する補正画像生成処理を行う。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば、位置情報を手動で設定するという作業をせずに観測画像をオルソ補正して正確なオルソ画像(補正画像)を作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態1.
まず、レーダー観測、レーダー観測で得られる観測画像191および実施の形態1におけるオルソ補正装置100が観測画像191をオルソ補正(オルソ視補正)して作成するオルソ画像196について説明する。
【0020】
図1、図2および図3は、レーダー観測を示す図である。
図1において、SAR800(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー)(観測レーダー)を搭載して地上の観測を行う人工衛星や航空機(以下、SAR800という)は、上空から斜め下方に向いたビーム照射方向803にビーム804(電磁波、電波、マイクロ波)を照射(出射)し、地表面823で反射して後方散乱した後方散乱波805を観測する。SAR800の進行方向801は「アジマス方向」と呼ばれ、進行方向801に直交する方向は「レンジ方向802」と呼ばれる。SAR800は、ビーム804を直下方向ではなく進行方向801と直交するレンジ方向802に照射して観測を行うため、サイドルッキングレーダーとも呼ばれる。また、ビーム804を照射するアンテナとビーム804を後方散乱させた地表の物体(以下、地物という)との距離rを「スラントレンジ」という。
【0021】
図2において、観測画像191は、レーダー観測により得られた観測データに基づいて生成され、進行方向801を縦方向としビーム照射方向803を横方向として地上を表す。但し、観測画像191には、縦横が入れ代わったものや、左右・上下の定義が異なるものもある。図2では、観測画像191は、画像の向きが特定の方位(例えば、北向き)を示すように地図投影がされていない。
【0022】
観測画像191は、観測された後方散乱波805に対してビーム804の照射から後方散乱波805の観測までの時間に基づいて算出されたスラントレンジrに対応して画素の位置が特定され、特定された画素が後方散乱波805の強度に応じた明度で示されることにより、地上の画像化がなされたものである。
スラントレンジrと画素位置との関係は以下の式1で表される。
【0023】
r=r+n×(C/fAD)/2 ・・・式1
ここで、
「r」を左端の画素(0、0)、(0、1)、・・・、(0、y)に対応するスラントレンジ、「n」を横方向の画素番号(0、1、・・・、x)、「C」を光速、「fAD」をビーム804(および後方散乱波805)のサンプリング周波数とする。
「C/fAD」はビーム804の往復伝搬時間(ビーム804の伝搬時間+後方散乱波805の伝搬時間)を示し、ビーム804の往復伝搬時間を2で割った片道伝搬時間に基づいてスラントレンジrは求められている。
【0024】
図3において、山頂(A点)やビルの屋上のように標高の高い地点は標高0mの地表面に比べてスラントレンジrが短くなる。このため、標高の高い地点からの後方散乱波805はSAR800に近い地表面で反射したものとして観測画像191に表される。例えば、山頂(A点)はスラントレンジrの等しい等距離線812上の麓(B点)に位置するかのように観測画像191に表される。
このように、標高の高い地点がSAR800側に倒れ込んで見えることを「フォア・ショートニング」という。
【0025】
図4は、実施の形態1における観測画像191と稜線813とを示す図である。
図5は、実施の形態1におけるオルソ画像196と稜線813とを示す図である。
図4および図5には、観測画像191およびオルソ画像196に重畳させて正しい稜線813の位置を点線で示している。
図4ではフォア・ショートニングにより観測画像191が稜線813からSAR800側にズレており、図5ではオルソ画像196が稜線813に合っていることが見て取れる。
実施の形態1におけるオルソ補正装置100は、図4に示すようにレーダー観測により得られフォア・ショートニングした観測画像191をオルソ補正して、図5に示すように地上を真上から見て正確に表したオルソ画像196を作成する。
オルソ補正は正射投影を意味し、オルソ画像196は正射投影画像ともいう。
【0026】
図6は、実施の形態1におけるオルソ補正装置100の機能構成図である。
実施の形態1におけるオルソ補正装置100の機能構成について、図6に基づいて以下に説明する。
【0027】
オルソ補正装置100(観測画像補正装置)は、模擬画像生成部110、一致点検出部120、緯度・経度リサンプリング部130、オルソ補正部140、模擬画像記憶部170、DEM記憶部180および観測画像記憶部190を備える。
【0028】
観測画像記憶部190(観測条件記憶部)は、レーダー観測で取得された観測データに基づいて生成された地表の画像を示す観測画像191を記憶機器を用いて記憶する。観測画像191には、画像データのほか、レーダー観測の観測条件に関する情報を示す観測条件情報192が含まれる。例えば、観測条件情報192には、SAR800の軌道情報、観測時刻、ビーム照射方向803、地図投影情報(地図投影の有無、地図投影に用いられた図法など)が含まれる。
【0029】
DEM記憶部180(標高データ記憶部)は、格子に区切られた地表の各格子点の平面座標と各格子点の標高とを示すDEM181(Digital Elevation Model)(標高データ)を記憶機器を用いて記憶する。
【0030】
以下、平面座標は緯度と経度との2次元座標を示すものとする。但し、平面座標は緯度経度座標系以外の座標系で表されても構わない。
【0031】
模擬画像生成部110は、観測画像記憶部190に記憶されている観測条件情報192とDEM記憶部180に記憶されているDEM181とに基づいてレーダー観測をCPU(Central Processing Unit)を用いて模擬し、模擬したレーダー観測で取得された模擬データに基づいて地表の画像を示す模擬強度画像171(模擬画像)を生成する。このとき、模擬画像生成部110は、標高の高いものをレーダー観測を行ったSAR800(観測レーダー)側に倒れ込ませて見せるフォア・ショートニングした画像を模擬強度画像171として生成する。例えば、模擬画像生成部110は、観測条件情報192に基づいてSAR800の3次元座標を算出し、算出したSAR800の3次元座標とDEM181とに基づいてSAR800から地表の各格子点までの距離とSAR800により出射されたビーム804の成す地表の各格子点における入射角とを算出し、算出した入射角に基づいて地表の各格子点からの後方散乱波805(反射波)の強度を算出し、算出した距離に対応する画像内での位置にある画素に算出した強度に対応する陰影を付けて模擬強度画像171を生成する。
さらに、模擬画像生成部110(模擬画像座標データ生成部)は、DEM記憶部180に記憶されているDEM181に基づいて模擬強度画像171の各画素に対応する平面座標を示す模擬画像座標データ172をCPUを用いて生成する。模擬画像座標データ172には模擬強度画像171の各画素に対応する緯度を示す模擬画像緯度データ173と模擬強度画像171の各画素に対応する経度を示す模擬画像経度データ174とが含まれる。
【0032】
模擬画像記憶部170は、模擬画像生成部110により生成された模擬強度画像171と模擬画像座標データ172とを記憶機器を用いて記憶する。
【0033】
一致点検出部120(対応画素特定部)は、観測画像記憶部190に記憶されている観測画像191を構成する複数の画素と模擬画像生成部110により生成された模擬強度画像171を構成する複数の画素とをCPUを用いて比較し、観測画像191と模擬強度画像171とで対応する画素を一致点831として特定する。
【0034】
緯度・経度リサンプリング部130(対応画素特定部)は、一致点検出部120により特定された一致点831に基づいて観測画像191の画素に対応する模擬強度画像171の画素をCPUを用いて特定する。例えば、緯度・経度リサンプリング部130は、観測画像191の2画素に対応する模擬強度画像171の2画素を特定し、観測画像191の2画素それぞれの画素位置と模擬強度画像171の2画素それぞれの画素位置との位置ずれの量に基づいて観測画像191と模擬強度画像171との少なくとも一方をアフィン変換し、アフィン変換後に観測画像191の画素と同じ画素位置にある模擬強度画像171の画素を観測画像191の当該画素に対応する模擬強度画像171の画素として求める。
さらに、緯度・経度リサンプリング部130(観測画像座標データ生成部)は、特定した観測画像191の画素に対応する模擬強度画像171の画素と模擬画像生成部110により生成された模擬画像座標データ172とに基づいて観測画像191の各画素に対応する平面座標を示す観測画像座標データ193をCPUを用いて生成する。観測画像座標データ193には観測画像191の各画素に対応する緯度を示す観測画像緯度データ194と観測画像191の各画素に対応する経度を示す観測画像経度データ195とが含まれる。
【0035】
オルソ補正部140(補正画像生成部)は、緯度・経度リサンプリング部130により生成された観測画像座標データ193に基づいて観測画像191の各画素を平面座標に対応する画素位置にCPUを用いて配置してオルソ画像196(補正画像)を生成する。
【0036】
図7は、実施の形態1におけるオルソ補正装置100の外観の一例を示す図である。
図7において、オルソ補正装置100は、システムユニット910、CRT(Cathode・Ray・Tube)やLCD(液晶)の表示画面を有する表示装置901、キーボード902(Key・Board:K/B)、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・Drive)、CDD905(コンパクトディスク装置)、プリンタ装置906、スキャナ装置907などのハードウェア資源を備え、これらはケーブルや信号線で接続されている。
システムユニット910は、コンピュータであり、ファクシミリ機932、電話器931とケーブルで接続され、また、LAN942(ローカルエリアネットワーク)、ゲートウェイ941を介してインターネット940に接続されている。
【0037】
図8は、実施の形態1におけるオルソ補正装置100のハードウェア資源の一例を示す図である。
図8において、オルソ補正装置100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905、プリンタ装置906、スキャナ装置907、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶機器、記憶装置あるいは記憶部の一例である。また、入力データが記憶されている記憶機器は入力機器、入力装置あるいは入力部の一例であり、出力データが記憶される記憶機器は出力機器、出力装置あるいは出力部の一例である。
通信ボード915、キーボード902、スキャナ装置907、FDD904などは、入力機器、入力装置あるいは入力部の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力機器、出力装置あるいは出力部の一例である。
【0038】
通信ボード915は、ファクシミリ機932、電話器931、LAN942等に接続されている。通信ボード915は、LAN942に限らず、インターネット940、ISDN等のWAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。インターネット940或いはISDN等のWANに接続されている場合、ゲートウェイ941は不用となる。
【0039】
磁気ディスク装置920には、OS921(オペレーティングシステム)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、OS921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0040】
上記プログラム群923には、実施の形態において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0041】
ファイル群924には、実施の形態において、「〜部」の機能を実行した際の「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」などの結果データ、「〜部」の機能を実行するプログラム間で受け渡しするデータ、その他の情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。観測画像191、DEM181、模擬強度画像171、模擬画像座標データ172、一致点831、観測画像座標データ193、オルソ画像196などはファイル群924に含まれるものの一例である。観測画像191やDEM181はネットワークを介して通信ボード915で受信されたり、記憶された記憶媒体からFDD904やCDD905などにより読み込まれたりして、キーボード902にファイル群924として記憶される。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、実施の形態において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital・Versatile・Disc)等の記録媒体に記録される。また、データや信号値は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0042】
また、実施の形態において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0043】
図9は、実施の形態1におけるオルソ補正方法を示すフローチャートである。
実施の形態1におけるオルソ補正装置100が実行するオルソ補正方法(観測画像補正方法)について、図9に基づいて以下に説明する。
オルソ補正装置100の各部は、以下に説明する各処理をCPUを用いて実行する。
【0044】
<S110:観測条件情報抽出処理>
まず、模擬画像生成部110は、観測画像191から観測条件情報192を抽出する。
このとき、模擬画像生成部110は観測画像記憶部190から観測画像191を取得し、取得した観測画像191から観測画像191に含まれる観測条件情報192を抽出する。観測条件情報192はSAR800の軌道情報、観測時刻、ビーム照射方向803、地図投影情報(地図投影の有無、地図投影に用いられた図法など)などを含んでいる。
【0045】
<S120:模擬画像生成処理>
次に、模擬画像生成部110は観測条件情報192とDEM181とに基づいて模擬強度画像171を作成する。
このとき、模擬画像生成部110は、DEM記憶部180からDEM181を取得し、観測条件情報抽出処理(S110)で抽出した観測条件情報192とDEM記憶部180から取得したDEM181とに基づいてレーダー観測をシミュレーションし、シミュレーションしたレーダー観測で取得された模擬データに基づいてフォア・ショートニングした模擬強度画像171を作成する。作成された模擬強度画像171には、SAR800で観測される後方散乱波805の強度に応じた明度(輝度)で陰影が付けられている。模擬画像生成部110は作成した模擬強度画像171を模擬画像記憶部170に記憶する。
【0046】
図10は、フォア・ショートニングしていない模擬強度画像179を示し、図11は、実施の形態1におけるフォア・ショートニングした模擬強度画像171を示している。
模擬画像生成部110は、DEM181に基づいて生成される真上から見た場合の模擬強度画像179(図10)をレーダー観測のシミュレーションによりフォア・ショートニングさせ、観測画像191を模擬した模擬強度画像171(図11)を作成する。
図11の模擬強度画像171では標高の高い地点がSAR800側に倒れ込んで見えている。例えば、図11に表示されている山811の山頂は図10に比べてSAR800側に寄って見えている。
また、図11の模擬強度画像171には、SAR800から見て遮蔽されない部分(SAR800で観測される後方散乱波805の強度が強い部分)が明るく見え、SAR800から見て影になる部分(SAR800で観測される後方散乱波805の強度が弱い部分)が暗く見えるように陰影が付けられている。
【0047】
図12は、実施の形態1の模擬画像生成処理(S120)を示すフローチャートである。
図13は、実施の形態1の模擬画像生成処理(S120)におけるSAR800の地点Pと観測点Qとの関係図である。
模擬画像生成処理(S120)の詳細について、図12および図13に基づいて以下に説明する。
【0048】
<S121:レーダー座標算出処理>
図12において、模擬画像生成部110は、観測条件情報192に含まれるSAR800の軌道情報と観測時刻とに基づいて観測時刻におけるSAR800の位置していた地点Pの3次元座標を算出する。
【0049】
<S122:スラントレンジ算出処理>
次に、模擬画像生成部110はDEM記憶部180からDEM181を取得する。DEM181は格子に区切られた地表の各格子点の平面座標(緯度、経度)と各格子点の標高とを示す。つまり、DEM181は地表の各地点の3次元座標(緯度、経度、標高)を示す。そして、模擬画像生成部110は、レーダー座標算出処理(S121)で算出した観測時刻におけるSAR800の位置していた地点Pの3次元座標とDEM記憶部180から取得したDEM181により示される地表の各地点の3次元座標とに基づいて、地表の特定の地点(以下、観測点Qという)に対するスラントレンジrを算出する。図13にSAR800の地点Pと観測点Qとの関係を示す。模擬画像生成部110は、SAR800の地点Pと観測点Qとの距離を、実際のレーダー観測において算出された観測点Qに対するスラントレンジrの推定値として算出する。
【0050】
<S123:画素位置特定処理>
次に、模擬画像生成部110はスラントレンジ算出処理(S122)で算出したスラントレンジrに基づいて観測点Qを表示させる模擬強度画像171の画素(ピクセル)位置を特定する。観測点Qの画素位置は、スラントレンジrが短ければSAR800寄りの地点を表す画素位置となり、スラントレンジrが長いほどSAR800寄りの地点を表わす画素から離れた位置となる。図13において、標高の高い観測点Qには、スラントレンジrの等しい等距離線812上のSAR800寄りの麓の点Q’に対応する画素位置が特定される。
【0051】
<S124:入射角算出処理>
また、模擬画像生成部110は、SAR800の地点Pの3次元座標と観測点Qの3次元座標とに基づいて、実際のレーダー観測においてSAR800により照射されたビーム804の観測点Qにおける入射角θincの推定値を算出する。
図13に示すように、入射角θincはSAR800の地点Pと観測点Qとを結んだ線(SAR800から観測点Qへの視線ベクトル)と法線821との成す角度を示す。また、法線821は観測点Qにおいて地表面に接する接平面822に対して垂直な線を示す。
【0052】
<S125:反射波強度算出処理>
次に、模擬画像生成部110は、入射角算出処理(S124)で算出した入射角θincに基づいて、実際のレーダー観測で観測された観測点Qからの後方散乱波805の強度σの推定値を算出する。
【0053】
後方散乱波805の強度は入射角θincと観測点Qの表面を構成する物質とにより決定される。ここで、地表が概ね一様に土壌などの均一な物質から構成されていると仮定すると、後方散乱波805の強度は入射角θincにより特徴付けられる。様々な物質に対する入射角θincと後方散乱波805の強度との関係についてはいくつかの文献に示されている。例えば、“HANDBOOK OF Radar Scattering Statistics for Terrain”、F.T.Ulaby,and M.C.Dobson、Artech House、1989では、入射角θincと後方散乱波805の強度σとの関係式2が以下のように与えられている。
【0054】
σ[デシベル]=P1+{P2×exp(−P3×θinc)}+{P4×cos((P5×θinc)+P6)} ・・・式2
【0055】
同文献によると、地表面を構成する物質が土壌や岩(Soil and Rock)の場合における上記式2のパラメータ値は、「P1=−85.984」、「P2=99」、「P3=0.628」、「P4=8.189」、「P5=3.414」、「P6=―3.142」と記されている。
【0056】
上記式2において後方散乱波805の強度σに対する入射角θincの寄与は第2項の「exp(−P3×θinc)」で示されており、後方散乱波805の強度σは入射角θincの増加に伴って減少する。すなわち、図13において、観測点Qの接平面822がSAR800側を向いている(入射角θincが小さい)と後方散乱波805の強度σは大きくなり、観測点Qの接平面822がSAR800と反対側を向いている(入射角θincが大きい)と後方散乱波805の強度σは小さくなる。例えば、SAR800から見て山の手前の斜面からの後方散乱波805の強度σは大きく、山の反対側の斜面からの後方散乱波805の強度σは小さい。
【0057】
レーダー座標算出処理(S121)〜反射波強度算出処理(S125)において、模擬画像生成部110は、観測画像191が表す地表面より広い範囲を対象とし、対象範囲内の各地点それぞれを観測点Qとして、各観測点Qに対応する画素位置と後方散乱波805の強度σとを算出する。
【0058】
<S126:模擬強度画像作成処理>
そして、模擬画像生成部110は、画素位置特定処理(S123)で特定した画素を反射波強度算出処理(S125)で算出した後方散乱波805の強度σに応じた明度(輝度)で表わして模擬強度画像171を作成する。このとき、模擬画像生成部110は後方散乱波805の強度σが強いほど明度を明るくし、後方散乱波805の強度σが弱いほど明度を暗くする。
【0059】
図14は、実施の形態1における観測画像191と模擬強度画像171とを示す図である。
上記の模擬画像生成処理(S120)により、模擬画像生成部110は、図14に示すように一見あたかも実際の観測画像191かのような模擬強度画像171を作成することができる。
【0060】
また、模擬画像生成部110は、上記の反射波強度算出処理(S125)によらず、海部分の後方散乱波805の強度σを「0」としてもよい。これは、海面では鏡面反射によりビーム804のほとんどがSAR800と反対側に散乱してしまうため、SAR800で観測される後方散乱波805の強度σがほぼ「0」となるためである。なお、国土地理院刊行のDEM181には海の部分に対して特定値(−999)が設定されているため、陸と海との判別は容易である。
【0061】
図9に戻り、オルソ補正方法の模擬画像座標データ生成処理(S130)以降の処理について説明する。
【0062】
<S130:模擬画像座標データ生成処理>
模擬画像生成部110は模擬強度画像171に対応する模擬画像座標データ172を作成する。模擬画像生成部110は作成した模擬画像座標データ172を模擬画像記憶部170に記憶する。
【0063】
図15は、実施の形態1におけるレーダー観測と模擬強度画像171との関係図である。
図16は、実施の形態1における模擬強度画像171と模擬画像座標データ172の概念図とを示している。
模擬画像座標データ生成処理(S130)において模擬画像生成部110が作成する模擬画像座標データ172について、図15および図16に基づいて以下に説明する。
【0064】
図15において、左図においてSAR800の地点Pからの距離をそれぞれR1、R2およびR3(R1<R2<R3)とする観測点Q1、Q2およびQ3は、模擬強度画像171上の画素Q1、Q2およびQ3に対応している。模擬強度画像171は上述のとおりDEM181に基づいて作成されているため、模擬強度画像171上の各画素(例えば、Q1、Q2、Q3)は平面座標(緯度、経度)が既知である。
したがって、模擬画像生成部110は模擬強度画像171の各画素に対応する平面座標を示す模擬画像座標データ172をDEM181に基づいて作成することができる。
【0065】
例えば、模擬画像生成部110は模擬強度画像171の各画素に対応させて2次元配列を生成し、2次元配列に各画素に対応する平面座標を設定して模擬画像座標データ172を作成する。以下、「緯度」の設定された2次元配列を模擬画像緯度データ173、「経度」の設定された2次元配列を模擬画像経度データ174とする。
【0066】
図16において、模擬強度画像171の画素位置(a、b)に対応する緯度と経度はそれぞれ模擬画像緯度データ173の2次元配列の要素(a,b)と模擬画像経度データ174の2次元配列の要素(a,b)により示される。
図16では、模擬画像緯度データ173の2次元配列の各要素を2次元平面上に展開し、緯度の等しい要素を結んだ等緯度線173a(緯線)を模擬画像緯度データ173の概念図として示している。また、図16では、模擬画像経度データ174の2次元配列の各要素を2次元平面上に展開し、経度の等しい要素を結んだ等経度線174a(子午線、経線)を模擬画像経度データ174の概念図として示している。
模擬画像緯度データ173のQ1、Q2およびQ3は模擬強度画像171のQ1、Q2およびQ3の緯度を示し、模擬画像経度データ174のQ1、Q2およびQ3は模擬強度画像171のQ1、Q2およびQ3の経度を示している。模擬強度画像171において山頂を表しているQ2はフォア・ショートニングにより実際よりSAR800寄りに表示されているため、模擬画像経度データ174の等経度線174aを歪曲させている。
【0067】
図9に戻り、オルソ補正方法の地図投影処理(S140)以降の処理について説明する。
【0068】
<S140:地図投影処理>
模擬画像生成部110は観測画像191に合わせて模擬強度画像171を地図投影する。
このとき、模擬画像生成部110は観測条件情報192に含まれている地図投影情報に基づいて観測画像191が地図投影されているか否かを判定する。地図投影情報には地図投影の有無や地図投影図法などが示されている。
観測画像191が地図投影されていると判定した場合、模擬画像生成部110は模擬画像生成処理(S120)で生成した模擬強度画像171を観測画像191と同じ図法で地図投影する。地図投影とは例えば、画像の向きを特定の方角(例えば、北)に向けて配置することであり、図法には例えば、メルカトル図法、ミラー図法、サンソン図法、モルワイデ図法などがある。
観測画像191が地図投影されていないと判定した場合、模擬画像生成部110は模擬強度画像171を地図投影せずに地図投影処理(S140)を終了する。
【0069】
<S150:一致点検出処理>
一致点検出部120は観測画像191と模擬強度画像171との一致点831を検出する。
このとき、一致点検出部120は観測画像記憶部190から観測画像191を取得すると共に模擬画像記憶部170から模擬強度画像171を取得し、観測画像191と模擬強度画像171とをイメージマッチングして観測画像191と模擬強度画像171との一致点831(タイポイントともいう)を2点以上検出する。但し、一致点検出部120が検出する一致点831は後述するように1点であっても構わない。例えば、一致点検出部120は、観測画像191の各画素の明度と模擬強度画像171の各画素の明度とを面積相関法(イメージマッチングの一例)で比較して観測画像191と模擬強度画像171との一致点831を検出する。
【0070】
図17は、実施の形態1における一致点831の検出結果を示す図である。
例えば、図14に示した観測画像191と模擬強度画像171とを面積相関法で比較した結果として、図17の観測画像191において×印で示されている画素が一致点831として検出された画素である。
【0071】
<S160:対応画素特定処理>
緯度・経度リサンプリング部130は一致点831に基づいて観測画像191を模擬強度画像171に重ねるようにアフィン変換し、観測画像191の画素に対応する模擬強度画像171の画素を特定する。アフィン変換は平行移動、回転移動を意味する。
【0072】
このとき、緯度・経度リサンプリング部130は一致点検出処理(S150)で検出された観測画像191の一致点831と模擬強度画像171の一致点831との画素位置のずれ量を観測画像191と模擬強度画像171のずれ量として算出する。模擬強度画像171は観測条件情報192に基づいて作成されているが、観測条件情報192の誤差(例えば、軌道情報の誤差)やSAR800の観測誤差などの影響により、模擬強度画像171と観測画像191との間にはズレが生じる。そのため、緯度・経度リサンプリング部130は観測画像191と模擬強度画像171とのずれ量を算出する。ここで、一致点831が最低1点検出されていれば観測画像191と模擬強度画像171との平行方向(縦方向および横方向)のずれ量が特定できる。したがって、一致点検出処理(S150)で検出する一致点831は1点であっても構わない。また、一致点831が最低2点検出されていれば観測画像191と模擬強度画像171との平行方向および回転方向のずれ量が特定できる。複数の一致点831それぞれで観測画像191と模擬強度画像171とのずれ量が異なる場合、緯度・経度リサンプリング部130は各一致点831におけるずれ量に対して最小二乗法を行って観測画像191と模擬強度画像171とのずれ量を特定する。
次に、緯度・経度リサンプリング部130は特定したずれ量に応じて観測画像191をアフィン変換して観測画像191の一致点831を模擬強度画像171の一致点831に重ねる。但し、模擬強度画像171をアフィン変換して観測画像191と模擬強度画像171とを重ね合わせてもよいし、観測画像191と模擬強度画像171との両方をアフィン変換して観測画像191と模擬強度画像171とを重ね合わせてもよい。アフィン変換の係数は観測画像191と模擬強度画像171とのずれ量に応じて定まる。
そして、緯度・経度リサンプリング部130は観測画像191の画素に重なる模擬強度画像171の画素を観測画像191の画素に対応する模擬強度画像171の画素として特定する。
【0073】
<S170:観測画像座標データ生成処理>
緯度・経度リサンプリング部130は観測画像191の各画素に対応する平面座標を模擬画像座標データ172から取得し、観測画像座標データ193を作成する。観測画像座標データ193には観測画像191の各画素に対応する緯度を示す観測画像緯度データ194と観測画像191の各画素に対応する経度を示す観測画像経度データ195とが含まれる。観測画像緯度データ194は、模擬画像緯度データ173と同様に、観測画像191の各画素に対応した2次元配列の各要素に「緯度」が設定されたものである。また、観測画像経度データ195は、模擬画像経度データ174と同様に、観測画像191の各画素に対応した2次元配列の各要素に「経度」が設定されたものである。観測画像座標データ193の作成を観測画像191の緯度・経度情報のリサンプリングという。
【0074】
図18は、実施の形態1における模擬強度画像171と観測画像191との関係図および模擬画像座標データ172と観測画像座標データ193との関係図である。
図18において、上図は対応画素特定処理(S160)でアフィン変換され模擬強度画像171に重なり合った観測画像191の枠線を示している。また、左下図は観測画素座標データ生成処理(S170)で作成される観測画像緯度データ194の概念図を示し、右下図は観測画像座標データ生成処理(S170)で作成される観測画像経度データ195の概念図を示している。
【0075】
図18において、例えば、模擬強度画像171の画素(x1、y1)と観測画像191の画素(0、0)とが対応している場合、緯度・経度リサンプリング部130は模擬画像緯度データ173の(x1、y1)番目の要素を観測画像緯度データ194の(0、0)番目の要素に設定し、模擬画像経度データ174の(x1、y1)番目の要素を観測画像経度データ195の(0、0)番目の要素に設定する。
【0076】
図9に戻り、オルソ補正方法の補正画像生成処理(S180)について説明する。
【0077】
<S180:補正画像生成処理>
オルソ補正部140は観測画像座標データ193に基づいて観測画像191をオルソ補正(オルソ視補正)し、オルソ画像196を作成する。
このとき、オルソ補正部140は観測画像191(例えば、図4)の各画素を観測画像座標データ193の示す平面座標に対応する画素位置に配置し直して観測画像191が真上から見た画像を示すようにオルソ補正する。そして、オルソ補正部140はオルソ補正した観測画像191をオルソ画像196(例えば、図5)として記憶機器に記憶したり、プリンタ装置906を用いて印刷したりする。観測画像191の各画素の配置し直しを観測画像191のリサンプリングという。観測画像191の各画素をリサンプリングした場合、フォア・ショートニングの影響により、オルソ画像196には観測画像191の画素が配置されない空白の画素が生じる。そこで、オルソ補正部140は、オルソ画像196の空白の画素を周囲の画素に基づいて補間する。例えば、オルソ補正部140は、線形補間、多項式補間、キュービック・コンボリューション、バイリニア法(双一次線形法)などを補間方法として用いる。
【0078】
実施の形態1におけるオルソ補正方法は、レーダー観測により得られたレーダー画像(例えば、SAR画像)に対して最適な方法である。但し、実施の形態1におけるオルソ補正方法はレーダー画像以外の観測画像にも有効である。カメラのような光学センサで撮像した光学画像(観測画像の一例)にも有効である。光学センサは地表で反射した光(例えば、太陽光)を観測するものである。光学画像は地表の構成物(土、植物など)による影響が大きいため、入射角や太陽角の情報だけでは模擬強度画像171を観測画像191に良く似せて作成することは難しい。ただし、荒野や、砂漠、月、惑星などのように、構成物をほぼ1種類とみなすことができる地表部分であれば、模擬強度画像171を観測画像191に十分に似せて作成することができる。このため、実施の形態1におけるオルソ補正は、光学その他のセンサで撮像した観測画像に対しても適用可能である。
【0079】
実施の形態1では、以下のような手順で観測画像をオルソ補正するオルソ補正装置100について説明した。
<手順1>入力画像(観測画像191)から軌道情報、観測開始時刻(画像先頭ラインに対応する時刻)、地図投影情報(投影の有無、図法など)を抽出する。
<手順2>DEMと軌道情報とを用いて模擬強度画像171及び模擬強度画像171の各ピクセルに対応した緯度情報(模擬画像緯度データ173)と経度情報(模擬画像経度データ174)とを作成する。
<手順3>観測画像191が地図投影されているのであれば、観測画像191に合わせて模擬強度画像171を地図投影する。
<手順4>模擬強度画像171と観測画像191との位置ズレを計測する(イメージマッチングにより一致する点を自動的に計測)。
<手順5>計測して求めたズレ量をもとに、観測画像191の各ピクセルに対応した緯度情報(観測画像緯度データ194)と経度情報(観測画像経度データ195)とを作成する(緯度情報および経度情報のリサンプリング)。
<手順6>リサンプリングして得た緯度情報と経度情報とをもとに、観測画像191をオルソ補正する(観測画像191のリサンプリング)。
【0080】
実施の形態1で説明したオルソ補正装置100は、例えば、以下のような効果を奏する。
(1)位置情報(GCP)を手動で設定するという作業をせずに観測画像191をオルソ補正して正確なオルソ画像196を作成することができる。つまり、オルソ画像196の作成を自動化できる。
(2)観測条件情報192(例えば、軌道情報)に高い精度が要求されないため、過去に取得された観測画像191を活用してオルソ画像196を作成することができる。これにより、例えば、過去の地形と現在の地形とをより正確に比較することができる。
(3)観測画像191は地図投影がされていてもいなくても構わないため、地図投影されている標準的な販売品を用いて正確なオルソ画像196を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】レーダー観測を示す図。
【図2】レーダー観測を示す図。
【図3】レーダー観測を示す図。
【図4】実施の形態1における観測画像191と稜線813とを示す図。
【図5】実施の形態1におけるオルソ画像196と稜線813とを示す図。
【図6】実施の形態1におけるオルソ補正装置100の機能構成図。
【図7】実施の形態1におけるオルソ補正装置100の外観の一例を示す図。
【図8】実施の形態1におけるオルソ補正装置100のハードウェア資源の一例を示す図。
【図9】実施の形態1におけるオルソ補正方法を示すフローチャート。
【図10】フォア・ショートニングしていない模擬強度画像179を示す図。
【図11】実施の形態1におけるフォア・ショートニングした模擬強度画像171を示す図。
【図12】実施の形態1の模擬画像生成処理(S120)を示すフローチャート。
【図13】実施の形態1の模擬画像生成処理(S120)におけるSAR800の地点Pと観測点Qとの関係図。
【図14】実施の形態1における観測画像191と模擬強度画像171とを示す図。
【図15】実施の形態1におけるレーダー観測と模擬強度画像171との関係図。
【図16】実施の形態1における模擬強度画像171と模擬画像座標データ172の概念図とを示す図。
【図17】実施の形態1における一致点831の検出結果を示す図。
【図18】実施の形態1における模擬強度画像171と観測画像191との関係図および模擬画像座標データ172と観測画像座標データ193との関係図。
【符号の説明】
【0082】
100 オルソ補正装置、110 模擬画像生成部、120 一致点検出部、130 緯度・経度リサンプリング部、140 オルソ補正部、170 模擬画像記憶部、171 模擬強度画像、172 模擬画像座標データ、173 模擬画像緯度データ、173a 等緯度線、174 模擬画像経度データ、174a 等経度線、179 模擬強度画像、180 DEM記憶部、181 DEM、190 観測画像記憶部、191 観測画像、192 観測条件情報、193 観測画像座標データ、194 観測画像緯度データ、195 観測画像経度データ、196 オルソ画像、800 SAR、801 進行方向、802 レンジ方向、803 ビーム照射方向、804 ビーム、805 後方散乱波、811 山、812 等距離線、813 稜線、821 法線、822 接平面、823 地表面、831 一致点、901 表示装置、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ装置、907 スキャナ装置、910 システムユニット、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群、931 電話器、932 ファクシミリ機、940 インターネット、941 ゲートウェイ、942 LAN。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダー観測で取得された観測データに基づいて生成された地表の画像を示す観測画像を記憶機器を用いて記憶する観測画像記憶部と、
前記レーダー観測の観測条件に関する情報を示す観測条件情報を記憶機器を用いて記憶する観測条件記憶部と、
格子に区切られた地表の各格子点の平面座標と各格子点の標高とを示す標高データを記憶機器を用いて記憶する標高データ記憶部と、
前記観測条件記憶部に記憶されている前記観測条件情報と前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データとに基づいてレーダー観測をCPU(Central Processing Unit)を用いて模擬し、模擬したレーダー観測で取得された模擬データに基づいて地表の画像を示す模擬画像を生成する模擬画像生成部と、
前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像を構成する複数の画素と前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像を構成する複数の画素とをCPUを用いて比較し、前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素を特定する対応画素特定部と、
前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データに基づいて前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像の画素に対応する平面座標を示す模擬画像座標データをCPUを用いて生成する模擬画像座標データ生成部と、
前記対応画素特定部により特定された前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素と前記模擬画像座標データ生成部により生成された前記模擬画像座標データにより示される前記模擬画像の画素に対応する平面座標とに基づいて前記観測画像の画素に対応する平面座標を示す観測画像座標データをCPUを用いて生成する観測画像座標データ生成部と、
前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像の画素が平面座標に対応する位置に配置された画像を前記観測画像座標データ生成部により生成された前記観測画像座標データに基づいて補正画像としてCPUを用いて生成する補正画像生成部と
を備えたことを特徴とする観測画像補正装置。
【請求項2】
前記模擬画像生成部は、標高の高いものをレーダー観測を行った観測レーダー側に倒れ込ませて見せるフォア・ショートニングさせた画像を前記模擬画像として生成する
ことを特徴とする請求項1記載の観測画像補正装置。
【請求項3】
前記模擬画像生成部は、前記観測条件情報に基づいてレーダー観測を行った観測レーダーの3次元座標を算出し、算出した前記観測レーダーの3次元座標と前記標高データにより示される地表の各格子点の平面座標と前記標高データにより示される地表の各格子点の標高とに基づいて前記観測レーダーから地表の各格子点までの距離と前記観測レーダーにより出射された電磁波の成す地表の各格子点における入射角とを算出し、算出した前記入射角に基づいて地表の各格子点からの反射波の強度を算出し、算出した前記距離に対応する画像内での位置にある画素に算出した前記強度に対応する陰影を付けて前記模擬画像を生成する
ことを特徴とする請求項1〜請求項2いずれかに記載の観測画像補正装置。
【請求項4】
前記対応画素特定部は、前記観測画像の2画素に対応する前記模擬画像の2画素を特定し、前記観測画像の前記2画素それぞれの画素位置と前記模擬画像の前記2画素それぞれの画素位置との位置ずれの量に基づいて前記観測画像と前記模擬画像との少なくとも一方をアフィン変換し、アフィン変換後に前記観測画像の画素と同じ画素位置にある前記模擬画像の画素を前記観測画像の前記画素に対応する前記模擬画像の画素として求める
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載の観測画像補正装置。
【請求項5】
前記観測画像が光学センサを用いて撮像した光学画像であることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかに記載の観測画像補正装置。
【請求項6】
レーダー観測で取得された観測データに基づいて生成された地表の画像を示す観測画像を記憶機器を用いて記憶する観測画像記憶部と、
前記レーダー観測の観測条件に関する情報を示す観測条件情報を記憶機器を用いて記憶する観測条件記憶部と、
格子に区切られた地表の各格子点の平面座標と各格子点の標高とを示す標高データを記憶機器を用いて記憶する標高データ記憶部とを用い、
模擬画像生成部が、前記観測条件記憶部に記憶されている前記観測条件情報と前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データとに基づいてレーダー観測をCPU(Central Processing Unit)を用いて模擬し、模擬したレーダー観測で取得された模擬データに基づいて地表の画像を示す模擬画像を生成する模擬画像生成処理と、
対応画素特定部が、前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像を構成する複数の画素と前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像を構成する複数の画素とをCPUを用いて比較し、前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素を特定する対応画素特定処理と、
模擬画像座標データ生成部が、前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データに基づいて前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像の画素に対応する平面座標を示す模擬画像座標データをCPUを用いて生成する模擬画像座標データ生成処理と、
観測画像座標データ生成部が、前記対応画素特定部により特定された前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素と前記模擬画像座標データ生成部により生成された前記模擬画像座標データにより示される前記模擬画像の画素に対応する平面座標とに基づいて前記観測画像の画素に対応する平面座標を示す観測画像座標データをCPUを用いて生成する観測画像座標データ生成処理と、
補正画像生成部が、前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像の画素が平面座標に対応する位置に配置された画像を前記観測画像座標データ生成部により生成された前記観測画像座標データに基づいて補正画像としてCPUを用いて生成する補正画像生成処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする観測画像補正プログラム。
【請求項7】
前記模擬画像生成部は、標高の高いものをレーダー観測を行った観測レーダー側に倒れ込ませて見せるフォア・ショートニングさせた画像を前記模擬画像として生成する
ことを特徴とする請求項6記載の観測画像補正プログラム。
【請求項8】
前記模擬画像生成部は、前記観測条件情報に基づいてレーダー観測を行った観測レーダーの3次元座標を算出し、算出した前記観測レーダーの3次元座標と前記標高データにより示される地表の各格子点の平面座標と前記標高データにより示される地表の各格子点の標高とに基づいて前記観測レーダーから地表の各格子点までの距離と前記観測レーダーにより出射された電磁波の成す地表の各格子点における入射角とを算出し、算出した前記入射角に基づいて地表の各格子点からの反射波の強度を算出し、算出した前記距離に対応する画像内での位置にある画素に算出した前記強度に対応する陰影を付けて前記模擬画像を生成する
ことを特徴とする請求項6〜請求項7いずれかに記載の観測画像補正プログラム。
【請求項9】
前記対応画素特定部は、前記観測画像の2画素に対応する前記模擬画像の2画素を特定し、前記観測画像の前記2画素それぞれの画素位置と前記模擬画像の前記2画素それぞれの画素位置との位置ずれの量に基づいて前記観測画像と前記模擬画像との少なくとも一方をアフィン変換し、アフィン変換後に前記観測画像の画素と同じ画素位置にある前記模擬画像の画素を前記観測画像の前記画素に対応する前記模擬画像の画素として求める
ことを特徴とする請求項6〜請求項8いずれかに記載の観測画像補正プログラム。
【請求項10】
前記観測画像が光学センサを用いて撮像した光学画像であることを特徴とする請求項6〜請求項9いずれかに記載の観測画像補正プログラム。
【請求項11】
レーダー観測で取得された観測データに基づいて生成された地表の画像を示す観測画像を記憶機器を用いて記憶する観測画像記憶部と、
前記レーダー観測の観測条件に関する情報を示す観測条件情報を記憶機器を用いて記憶する観測条件記憶部と、
格子に区切られた地表の各格子点の平面座標と各格子点の標高とを示す標高データを記憶機器を用いて記憶する標高データ記憶部とを用い、
模擬画像生成部が、前記観測条件記憶部に記憶されている前記観測条件情報と前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データとに基づいてレーダー観測をCPU(Central Processing Unit)を用いて模擬し、模擬したレーダー観測で取得された模擬データに基づいて地表の画像を示す模擬画像を生成する模擬画像生成処理を行い、
対応画素特定部が、前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像を構成する複数の画素と前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像を構成する複数の画素とをCPUを用いて比較し、前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素を特定する対応画素特定処理を行い、
模擬画像座標データ生成部が、前記標高データ記憶部に記憶されている前記標高データに基づいて前記模擬画像生成部により生成された前記模擬画像の画素に対応する平面座標を示す模擬画像座標データをCPUを用いて生成する模擬画像座標データ生成処理を行い、
観測画像座標データ生成部が、前記対応画素特定部により特定された前記観測画像の画素に対応する前記模擬画像の画素と前記模擬画像座標データ生成部により生成された前記模擬画像座標データにより示される前記模擬画像の画素に対応する平面座標とに基づいて前記観測画像の画素に対応する平面座標を示す観測画像座標データをCPUを用いて生成する観測画像座標データ生成処理を行い、
補正画像生成部が、前記観測画像記憶部に記憶されている前記観測画像の画素が平面座標に対応する位置に配置された画像を前記観測画像座標データ生成部により生成された前記観測画像座標データに基づいて補正画像としてCPUを用いて生成する補正画像生成処理を行う
ことを特徴とする観測画像補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−187440(P2009−187440A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28848(P2008−28848)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】