説明

観測装置及び警報装置

【課題】無線回線及び有線回線のいずれの回線から制御されたかを判別し、制御された回線を使用して制御結果またはデータを返送できるようにする。
【解決手段】無線回線を介して通信する無線装置1、有線回線を介して通信する伝送装置2、通信データを結合または分配する分岐入出力部3、分岐入出力部3の出力をモデム4を介して通信する伝送制御部5、スケルチ信号を無線装置1から受けるスケルチ受信部7、自局の局番が設定されたアドレス設定部8、伝送制御部5及びスケルチ受信部7の出力を受けて、スケルチ受信部7の出力があれば無線回線の制御であると判断し、なければ有線回線の制御と判断し、通信データが自局のものであるかどうかをアドレス設定部8を参照して判断し、通信データが自局のものである場合に、データを制御された回線から送信するCPU6を備えたものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレメータ/放流警報システムで無線回線と有線回線(光回線、NTT専用回線、自営回線、電力搬送回線)の回線判別を可能とした観測及び警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の観測及び警報装置では、例えば、非特許文献1に開示されたように、ダム、河川等の水位、雨量、ダムにおける放流等を観測する観測装置を有する複数の観測局と、観測局の計測データを受けて監視し、観測局に観測制御装置に対する指令を発する監視装置を有する監視局との間を無線回線及び有線回線で通信し、無線回線または有線回線による通信データを伝送制御部を介して基本制御部に送り、基本制御部は計測装置のデータを伝送制御部を介して監視局に送信する。
【0003】
【特許文献1】建設省テレメータ装置 標準仕様書第21号、EWCP−ST0004、平成2年10月22日制定(第4頁、第14頁、第28頁、第40頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記被特許文献の観測及び警報装置では、無線回線及び有線回線による通信において、伝送制御部は無線回線、有線回線のいずれから制御されたかを判別せずに、無線回線及び有線回線の両方の回線から制御結果またはデータを返送しており、有線回線から制御された場合に無線回線からも不要な電波を発射し、電波法上問題があった。
という問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、無線回線及び有線回線のいずれの回線から制御されたかを判別し、制御された回線を使用して制御結果またはデータを返送できるようにした観測及び警報装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る観測装置は、監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置及び上記伝送装置に接続して通信データを結合または分配する分岐入出力部、
上記分岐入出力部とモデムを介して通信する伝送制御部、
上記無線装置が信号を受信していることを意味する信号であるスケルチ信号を上記無線装置から受けるスケルチ受信部、
自局の局番が設定されたアドレス設定部、
計測装置からのデータを受け取るデータ入力部、
上記伝送制御部及びスケルチ受信部の出力を受けて、上記スケルチ受信部の出力があれば上記無線回線の制御であると判断し、上記スケルチ受信部の出力がなければ上記有線回線の制御と判断するとともに、上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断し、上記通信データが自局のものである場合に、上記データを、制御された回線から送信するCPUを備えたものである。
【0007】
また、監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置とモデムを介して通信する第1の伝送制御部、
上記伝送装置とモデムを介して通信する第2の伝送制御部、
自局の局番が設定されたアドレス設定部、
計測装置からのデータを受け取るデータ入力部、
上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断するとともに、上記通信データが上記第1の伝送制御部または上記第2の伝送制御部のどちらのものであるかを判断し、上記通信データが自局のものである場合に、上記データを、上記通信データを受信した伝送制御部から送信するCPUを備えたものである。
【0008】
また、監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置及び上記伝送装置に接続して通信データを結合または分配する分岐入出力部、
上記分岐入出力部とモデムを介して通信する伝送制御部、
自局の無線用の局番及び自局の有線用の局番が設定されたアドレス設定部、
計測装置からのデータを受け取るデータ入力部、
上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断するとともに、上記通信データが制御された回線を判断し、上記通信データが自局のものである場合に、上記データを、制御された回線から送信するCPUを備えたものである。
【0009】
この発明に係る警報装置は、警報発令の通信データを受けて、上記警報発令を制御する警報制御部を備えた警報装置において、
監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置及び上記伝送装置に接続して通信データを結合または分配する分岐入出力部、
上記分岐入出力部とモデムを介して通信する伝送制御部、
上記無線装置が信号を受信していることを意味する信号であるスケルチ信号を上記無線装置から受けるスケルチ受信部、
自局の局番が設定されたアドレス設定部、
上記伝送制御部及びスケルチ受信部の出力を受けて、上記スケルチ受信部の出力があれば上記無線回線の制御であると判断し、上記スケルチ受信部の出力がなければ上記有線回線の制御と判断するとともに、上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断し、上記送信データが自局のものである場合に、上記警報制御部を制御して警報を発し、制御結果を、制御された回線から送信するCPUを備えたものである。
【0010】
また、警報発令の通信データを受けて、上記警報発令を制御する警報制御部を備えた警報装置において、
上記監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置とモデムを介して通信する第1の伝送制御部、
上記伝送装置とモデムを介して通信する第2の伝送制御部、
自局の局番が設定されたアドレス設定部、
上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断するとともに、上記通信データが上記第1の伝送制御部または上記第2の伝送制御部のどちらのものであるかを判断し、上記通信データが自局のものである場合に、上記警報制御部を制御して警報を発し、制御結果を、上記通信データを受信した伝送制御部から送信するCPUを備えたものである。
【0011】
また、警報発令の通信データを受けて、上記警報発令を制御する警報制御部を備えた警報装置において、
監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置及び上記伝送装置に接続して通信データを結合または分配する分岐入出力部、
上記分岐入出力部の上記送信データの出力をモデムを介して受信する伝送制御部、
自局の無線用の局番及び自局の有線用の局番が設定されたアドレス設定部、
計測装置からのデータを受け取るデータ入力部、
上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断するとともに、上記通信データが制御された回線を判断し、上記通信データが自局のものである場合に、上記警報制御部を制御して警報を発し、制御結果を、制御された回線から送信するCPUを備えたものである。
ものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る観測装置によれば、無線回線及び有線回線のいずれの回線から制御されたかを判別し、制御された回線を使用してデータを返送できる。
【0013】
この発明に係る警報装置によれば、無線回線及び有線回線のいずれの回線から制御されたかを判別し、制御された回線を使用して制御結果を返送できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明に係る回線判別を可能とした観測装置の実施の形態1におけるシステム構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示したように、観測装置9は、監視局と接続された無線回線を介して通信する無線装置1、監視局と接続された有線回線を介して通信する伝送装置2、通信データを結合(受信の場合)または分配(送信の場合)する分岐入出力部3、分岐入出力部3とモデム4を介して通信する伝送制御部5、無線回線を介して無線装置1が信号を受信していることを意味するスケルチ信号(無線装置1に設定されている受信周波数と一致した電波を検出した場合の信号)を無線装置1から受けるスケルチ受信部7、観測装置9の自局を判別するための局番が設定されたアドレス設定部8、計測装置からのデータを受け取るデータ入力部10,観測装置9を制御するCPU6を備える。
【0016】
CPU6は、伝送制御部5及びスケルチ受信部7の出力を受けて、スケルチ受信部7の出力があれば無線回線の制御であると判断し、スケルチ受信部7の出力がなければ有線回線の制御と判断するとともに、通信データが自局のものであるかどうかをアドレス設定部8を参照して判断し、通信データが自局のものである場合に、データ入力部10の計測装置のデータを、伝送制御部5、モデム4、分岐入出力部3を介して制御された回線から監視局に送信する。
【0017】
この実施の形態1によれば、観測装置9にスケルチ受信部7を設けたので、無線回線及び有線回線のいずれの回線から制御されたかを判別し、制御された回線を使用して計測装置からのデータを返送できる。
【0018】
実施の形態2.
図2は、この発明に係る回線判別を可能とした観測装置の実施の形態2におけるシステム構成を示すブロック図である。
【0019】
上記実施の形態1では、回線の判別手段としてスケルチ受信部7を設けることにより、無線回線及び有線回線のいずれの回線から制御されたかを判別できるようにしたが、この実施の形態2では、図2に示したように、無線回線で制御された、無線装置1−モデム4−第1の伝送制御部5aのルート1と、有線回線で制御された、伝送装置2−モデム4−第2の伝送制御部5bのルート2とを設け、CPU6が回線の制御が第1の伝送制御部5aまたは第2の伝送制御部5bのいずれのものであるかを判断する回線の判別手段を設けることにより、無線回線及び有線回線のいずれの回線から制御されたかを判別できるようにしている。
【0020】
CPU6は、第1の伝送制御部5aによる制御であればルート1を通ってデータ入力部10の計測装置の制御結果またはデータを無線回線で監視局に通信し、第2の伝送制御部5bによる制御であればルート2を通ってデータ入力部10の計測装置のデータを有線回線で監視局に送信する。
【0021】
この実施の形態2によれば、無線回線で制御された、無線装置1−モデム4−第1の伝送制御部5aのルート1と、有線回線で制御された、伝送装置2−モデム4−第2の伝送制御部5bのルート2とを設け、CPU6が回線の制御が第1の伝送制御部5aまたは第2の伝送制御部5bかを判断するようにしたので、いずれの回線から制御されたかを判別し、制御された回線を使用して計測装置からのデータを返送できる。
【0022】
実施の形態3.
図3は、この発明に係る回線判別を可能とした観測装置の実施の形態1におけるシステム構成を示すブロック図である。
【0023】
この実施の形態3では、図3に示したように、回線の判別手段として、アドレス設定部8に、無線回線用のアドレス設定部8と有線回線用のアドレス設定部8を設けるものであり、例えば、無線回線用のアドレス設定部8として(01)の局番を設定し、有線回線のアドレス設定部8として(10)の局番を設定する。
【0024】
CPU6は、アドレス設定部8の局番によって、自局に対する監視局からの通信であることを判断することができるとともに、いずれの回線から制御されたかを判別し、制御された回線を使用して計測装置からのデータを返送できる。
【0025】
実施の形態4.
図4ないし6は、この発明に係る回線判別を可能とした観測装置を警報装置として利用した実施の形態4におけるシステム構成を示すブロック図である。
【0026】
図4は、図1におけるシステム構成に警報制御部11を設けたものであり、図5は、図2におけるシステム構成に警報制御部11を設けたものであり、図6は、図3におけるシステム構成に警報制御部11を設けたものである。
【0027】
図4、5及び6の構成において、自局に対する監視局からの警報発令の通信があった場合、CPU6は、警報制御部11を制御してサイレン及びスピーカによる警報発令を行い、上記実施の形態1、2及び3と同様にして制御された回線を使用して制御結果を返送することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、河川、ダム、道路等の観測及び警報装置として、有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明に係る回線判別を可能とした観測装置の実施の形態1におけるシステム構成を示すブロック図である。
【図2】この発明に係る回線判別を可能とした観測装置の実施の形態2におけるシステム構成を示すブロック図である。
【図3】この発明に係る回線判別を可能とした観測装置の実施の形態3におけるシステム構成を示すブロック図である。
【図4】この発明に係る回線判別を可能とした観測装置を警報装置として利用した実施の形態4におけるシステム構成を示すブロック図である。
【図5】この発明に係る回線判別を可能とした観測装置を警報装置として利用した実施の形態4におけるシステム構成を示すブロック図である。
【図6】この発明に係る回線判別を可能とした観測装置を警報装置として利用した実施の形態4におけるシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0030】
1 無線装置、2 伝送装置、3 分岐入出力部、4 モデム、5 伝送制御部、
5a 第1の伝送制御部、5b 第2の伝送制御部、6 CPU、7 スケルチ受信部、
8 アドレス設定部、9 観測装置、10 データ入力部、11 警報制御部、
12 警報装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置及び上記伝送装置に接続して通信データを結合または分配する分岐入出力部、
上記分岐入出力部とモデムを介して通信する伝送制御部、
上記無線装置が信号を受信していることを意味する信号であるスケルチ信号を上記無線装置から受けるスケルチ受信部、
自局の局番が設定されたアドレス設定部、
計測装置からのデータを受け取るデータ入力部、
上記伝送制御部及びスケルチ受信部の出力を受けて、上記スケルチ受信部の出力があれば上記無線回線の制御であると判断し、上記スケルチ受信部の出力がなければ上記有線回線の制御と判断するとともに、上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断し、上記通信データが自局のものである場合に、上記データを、制御された回線から送信するCPUを備えた観測装置。
【請求項2】
監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置とモデムを介して通信する第1の伝送制御部、
上記伝送装置とモデムを介して通信する第2の伝送制御部、
自局の局番が設定されたアドレス設定部、
計測装置からのデータを受け取るデータ入力部、
上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断するとともに、上記通信データが上記第1の伝送制御部または上記第2の伝送制御部のどちらのものであるかを判断し、上記通信データが自局のものである場合に、上記データを、上記通信データを受信した伝送制御部から送信するCPUを備えた観測装置。
【請求項3】
監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置及び上記伝送装置に接続して通信データを結合または分配する分岐入出力部、
上記分岐入出力部とモデムを介して通信する伝送制御部、
自局の無線用の局番及び自局の有線用の局番が設定されたアドレス設定部、
計測装置からのデータを受け取るデータ入力部、
上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断するとともに、上記通信データが制御された回線を判断し、上記通信データが自局のものである場合に、上記データを、制御された回線から送信するCPUを備えた観測装置。
【請求項4】
警報発令の通信データを受けて、上記警報発令を制御する警報制御部を備えた警報装置において、
監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置及び上記伝送装置に接続して通信データを結合または分配する分岐入出力部、
上記分岐入出力部とモデムを介して通信する伝送制御部、
上記無線装置が信号を受信していることを意味する信号であるスケルチ信号を上記無線装置から受けるスケルチ受信部、
自局の局番が設定されたアドレス設定部、
上記伝送制御部及びスケルチ受信部の出力を受けて、上記スケルチ受信部の出力があれば上記無線回線の制御であると判断し、上記スケルチ受信部の出力がなければ上記有線回線の制御と判断するとともに、上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断し、上記送信データが自局のものである場合に、上記警報制御部を制御して警報を発し、制御結果を、制御された回線から送信するCPUを備えた警報装置。
【請求項5】
警報発令の通信データを受けて、上記警報発令を制御する警報制御部を備えた警報装置において、
上記監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置とモデムを介して通信する第1の伝送制御部、
上記伝送装置とモデムを介して通信する第2の伝送制御部、
自局の局番が設定されたアドレス設定部、
上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断するとともに、上記通信データが上記第1の伝送制御部または上記第2の伝送制御部のどちらのものであるかを判断し、上記通信データが自局のものである場合に、上記警報制御部を制御して警報を発し、制御結果を、上記通信データを受信した伝送制御部から送信するCPUを備えた警報装置。
【請求項6】
警報発令の通信データを受けて、上記警報発令を制御する警報制御部を備えた警報装置において、
監視局と無線回線を介して通信する無線装置、
上記監視局と有線回線を介して通信する伝送装置、
上記無線装置及び上記伝送装置に接続して通信データを結合または分配する分岐入出力部、
上記分岐入出力部の上記送信データの出力をモデムを介して受信する伝送制御部、
自局の無線用の局番及び自局の有線用の局番が設定されたアドレス設定部、
計測装置からのデータを受け取るデータ入力部、
上記通信データが自局のものであるかどうかを上記アドレス設定部を参照して判断するとともに、上記通信データが制御された回線を判断し、上記通信データが自局のものである場合に、上記警報制御部を制御して警報を発し、制御結果を、制御された回線から送信するCPUを備えた警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−16981(P2009−16981A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173738(P2007−173738)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】