説明

観賞用水草水槽

【課題】水質の悪化を防止しながら、観賞性に優れた観賞用水草水槽を提供する。
【解決手段】後側から前側に向かって低くなる段差が形成されて配置された複数段の底板10aを有する階段状部材10と、各段の底板後縁と隣接する上段の底板前縁とを連設する立壁部20と、前記階段状部材の各段の底板前縁に立設された仕切板30と、前記階段状部材の最上段の底板後縁に立設された後縁板50と、前記立壁部と前記仕切板と前記後縁板との左右側面を閉塞する側板60とを備える。前記仕切板30には、左右端部近傍のいずれかに水を下段に放水する放水手段40を設ける。下段の放水手段40と隣接する上段の放水手段40とは、左右位置を反対側に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクアリウムに関し、より詳細には水中または水辺に生える水草用の水槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水草を観賞するための水槽として、水槽本体の中に、水槽本体の後側から前側に向かって、段差が低くなる階段状の部材が配置された水槽が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この水槽は、水槽の最上段から水を流すと、水は拡散しながら上段から下段に向かって流れ落ちるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1344057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の水槽では、流した水は各段を速やかに流れ落ちていくため、水を各段の全面に行き渡らせることが難しく、水が行き渡らない場所では、水質が悪化するおそれがある。また観賞性の点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水質の悪化を防止しながら、観賞性に優れた観賞用水草水槽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]
後側から前側に向かって低くなる段差が形成されて配置された複数段の底板を有する階段状部材と、
各段の底板後縁と隣接する上段の底板前縁とを連設する立壁部と、
前記階段状部材の各段の底板前縁に立設された仕切板と、
前記階段状部材の最上段の底板後縁に立設された後縁板と、
前記立壁部と前記仕切板と前記後縁板との左右側面を閉塞する側板とを備え、
前記階段状部材の各段の底板と前記仕切板と前記立壁部または前記後縁板と前記側面とで区画された内側には、これらにより水を貯える小水槽が形成され、
前記階段状部材の最上段には、水供給手段が配置され、
前記仕切板には、左右端部近傍のいずれかに水を下段に放水する放水手段が設けられ、
下段の放水手段と隣接する上段の放水手段とは、左右位置が反対側に設けられていることを特徴する観賞用水草水槽。
【0008】
[2]
前記階段状部材の背面側には、濾過装置が備えられ、
最下段の立壁部には、前記濾過装置に水を送り込む取水口が設けられている前項1に記載の観賞用水草水槽。
【0009】
[3]
前記階段状部材の最上段の上方には、前方斜め下方に向かって照明光を照射する照明装置が配置されている前項1又は2に記載の観賞用水草水槽。
【0010】
[4]
前記放水手段は、前記仕切板の一部に、周囲の仕切板の高さよりも低い部分が形成され、この低い部分に、周囲の仕切板よりも高さが低く形成された水位調節部材が、着脱自在に取り付けられていることで構成された前項1〜3に記載の観賞用水草水槽。
【0011】
[5]
前記仕切板は、透明にされた前項1〜4に記載の観賞用水草水槽。
【発明の効果】
【0012】
前項[1]の発明によると、前記仕切板には、左右端部近傍のいずれかに水を下段に放水する放水手段が設けられ、下段の放水手段と隣接する上段の放水手段とは、左右位置が反対側に設けられているため、最上段に供給された水は、各段の小水槽の全域にわたって右から左に、あるいは左から右に流れ、水の滞留や止水を防止することにより、水質の悪化を防止でき、水流の変化を演出して観賞性を高めることができる。
【0013】
前項[2]の発明によると、前記階段状部材の背面側には、濾過装置が備えられているため、濾過装置を遮蔽して見栄えを良くしつつ、背面側の空間を利用することで、水槽全体をコンパクトにできる。
【0014】
前項[3]の発明によると、前記階段状部材の最上段の上方には、前方斜め下方に向かって照明光を照射する照明装置が配置されているため、照明装置が観賞者の離れた位置に存することになり、観賞の阻害になるのを防止し、階段状部材の全域を照射できる。
【0015】
前項[4]の発明によると、水位調節部材が、着脱自在に取り付けられているため、使用者の意図に合わせて水位調節部材を着脱することにより、各段の小水槽の水位を調節できる。
【0016】
前項[5]の発明によると、仕切板は透明にされているため、前方から各小水槽内の様子を視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽の概略を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽の概略の分解状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽を示す正面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽を示す背面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽を示す右側面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽を示すX−X組合せ断面図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にかかる濾過装置を示す拡大図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は平面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽について、図1〜図9を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽の概略を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽の概略の分解状態を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽を示す正面図である。図4は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽を示す背面図である。図5は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽を示す平面図である。図6は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽を示す右側面図である。図7は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽を示すX−X組合せ断面図である。図8は、本発明の一実施形態にかかる濾過装置を示す拡大図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は平面図である。図9は、本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽の使用状態を示す斜視図である。
【0019】
図1〜図8に示すように、観賞用水草水槽1は、階段状部材10と、立壁部20と、仕切板30と、放水手段40と、後縁板50と、側板60と、濾過装置70と、水供給手段80と、照明装置90とを備えている。
【0020】
階段状部材10は、複数段の底板10aを有するものであり、複数段の底板10aは、後側から前側に向かって低くなる段差が形成されて配置されている。この階段状部材10は、底板10aが3箇所に設けられた全3段から構成されている。
【0021】
また、各段の底板10aの後縁と隣接する上段の前縁とには、底板10a後縁と隣接する底板10a前縁とを連設する立壁部20が形成されている。最下段の立壁部20には、取水口32が形成されている。
【0022】
階段状部材10の各段の底板10a前縁には、前側に水が溢れるのを阻止する仕切板30が、左右両端に至るまで全て同じ高さに立設されている。この仕切板30のうち、最上段では、仕切板30の左側近傍が底板10aと略同じ高さまで仕切りが除外された(形成されていない)落下口31が設けられ、最上段に隣接する下段では、最上段の落下口31とは左右位置が反対側に落下口31が設けられている。最下段の仕切板30は、左右両端に至るまで全て同じ高さの仕切板30が立設されている。また、仕切板30は透明にされている。
【0023】
また、仕切板30の一部に設けられた落下口31には、その落下口31を塞ぐように水位調節部材41が着脱自在に取り付けられている。放水手段40は落下口31に水位調節部材41を取り付けてなるものを採用している。
【0024】
水位調節部材41は、上下方向に組み合わされた2枚の板状部材から構成されている。組み合わされた板状部材からなる水位調節部材41の高さは、仕切板30の高さより低く設定されている。また、この水位調節部材41は、2枚の板状部材を組み合わせずに、1枚の板状部材のみを落下口31に取り付けて使用できるものである。また、水位調節部材41は透明にされている。
【0025】
階段状部材10の最上段の底板10a後縁には、後縁板50が立設されている。この後縁板50は、最上段の小水槽Sの後縁を含む観賞用水草水槽1の背面を形成するものである。図4に示すように、後縁板50の高さ方向中央部(最上段の小水槽Sの形成する後縁板50となる部分より下方)には、左右両端近傍に至るまで長方形状の開口部51が設けられている。
【0026】
立壁部20と仕切板30と後縁板50との左右側面には、立壁部20と仕切板30と後縁板50との左右側面を閉塞するように側板60が取り付けられている。側板60の上部には、凹部61が形成されている。図6に示すように、側板60は、中央部近傍から前方(観賞時に正面側に向けられる側)に向かって高さが次第に高くなる傾斜部62が形成されている。側板60の後方下端部近傍には、階段状部材10の背面側内部を確認する窓部63が形成されている。この窓部63は側面に開口を設け、この開口を塞ぐ透明な板が嵌められて構成されている。
【0027】
図5に示すように、仕切板30と立壁部20と側板60とで区画された内側は、水を貯える小水槽Sが形成され、さらに仕切板30と後縁板50と側板60とで区画された内側も小水槽Sが形成されている。本実施形態の観賞用水草水槽1では、全3箇所に小水槽Sが設けられている。
【0028】
図8に示すように、階段状部材10の背面側には、濾過装置70が備えられている。この濾過装置70は、最下段の立壁部20に設けられた取水口32に押し入れられている。
【0029】
この濾過装置70は、上部が開口する箱状に形成されている。濾過装置70の前部(正面)は、後部(背面)から取水口32内に押し入れられたときに、濾過装置70の前部(正面)の裏面部が取水口32の周縁部32aと当接して内部に入り込まないように、取水口32の開口より幅広に形成されている。
【0030】
濾過装置70の前部(正面)には、不純物を堰き止める縦長の孔部71が複数設けられている。この縦長の孔部71の中央上部には、濾過装置70を引き出すための引出孔部71aが、縦長の孔部71と一体に形成されて設けられている。また、濾過装置70の底部には、前部(正面)の孔部71よりも小径で真円状の孔部72が複数設けられている。濾過装置70の孔部72が設けられた底部の上面には、濾過マット73が配置される。この濾過マット73は交換可能なものを採用している。
【0031】
濾過装置70の階段状部材10の下側には、水が貯留できるようになっている。濾過装置70を通った水は、階段状部材10の下側に貯留される。
【0032】
階段状部材10の最上段には、水供給手段80が配置されている。この水供給手段80は、ポンプ81から汲み上げられた水を配水する配水器82からなるものを採用している。この配水器82は、階段状部材10の最上段の後縁板50に吸盤で固定され、配水器82の端部には、水を送るチューブ83が接続されている。このチューブ83は、側板60の上縁に設けられた凹部61の凹み内側部分に挟持され、側板60側を沿って側板60の孔部を通って内部に入られている。図7に示すように、チューブ83の先端(配水器82に接続された端部とは反対の端部)には、階段状部材10の背面側に配置されたポンプ81が接続されている。このポンプ81は、階段状部材10の下側に貯留されている水を汲み上げるものである。ポンプ81には、電源プラグが接続された電源コード84が接続され、この電源プラグおよび電源コード84は、後縁板50の開口部51を通って、水槽の外部に出されている。
【0033】
階段状部材10の最上段の上方には、照明装置90が配置されている。この照明装置90は、照明装置90の長手方向両側に固定部91を備え、照明装置90の固定部91は、側板60の傾斜部62の上縁に固定されている。
【0034】
次に本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽1の使用状態について説明すると、図9に示すように、観賞用水草水槽1の各段の小水槽Sには、水が貯留され、複数の水草Wが配置されている。
【0035】
後縁板50に固定された配水器82からは、最上段の小水槽Sに向けて水が放水されている。最上段の小水槽Sの水位は、最上段の左側端部に設けた水位調節部材41の上部の高さまで保たれている。水は、水位調節部材41の上部から溢れ、隣接する下段の小水槽Sに向かって放水されている。
【0036】
隣接する下段の小水槽Sの水位は、隣接する上段の水位調節部材41がある側とは左右位置が反対側である右側端部に設けられた水位調節部材41の上部の高さまで保たれている。水は、水位調節部材41の上部から溢れ、隣接する最下段の小水槽Sに向かって放水されている。
【0037】
最下段の小水槽Sの水位は、濾過装置70の縦長の孔部71が設けられていない面まで保たれている。水は、濾過装置70の縦長の孔部71を通り、濾過装置70の底部の孔部72を通り、階段状部材10の背面側に放水され、階段状部材10の下側に貯留されている。この水は、階段状部材10の背面側に配置されたポンプ81で汲み上げられ、最上段の後縁板50に固定されたチューブ83に接続された配水器82から再び最上段の小水槽Sに放水されている。
【0038】
また、水流は、最上段では小水槽Sの左から右に流れ、この最上段と隣接する下段では小水槽Sの左から右に流れ、この下段に隣接する最下段では小水槽Sの左から右に流れている。
【0039】
本発明の一実施形態にかかる観賞用水草水槽1は、次の利点がある。
【0040】
上記実施形態によると、仕切板30のうち、最上段では、仕切板30の左側近傍が底板10aと略同じ高さまで仕切りが除外された(形成されていない)落下口31が設けられ、最上段に隣接する下段では、最上段の落下口31とは左右位置が反対側に落下口31が設けられ、この落下口31には落下口31を塞ぐように水位調節部材41を着脱自在に取り付けられている。これにより、最上段から水を流すと、水は放水手段40のある場所から下段に放水され、下段に放水された水は放水された側とは左右位置が反対側の放水手段40まで流れ、その反対側の放水手段40からさらに下段に放水される。このため、最上段に供給された水は、各段の小水槽Sの全域にわたって右から左に、あるいは左から右に流れ、水の滞留や止水を防止することにより、水質の悪化を防止でき、水流の変化を演出して観賞性を高めることができる。
【0041】
上記実施形態によると、階段状部材10は、複数段の底板10aを有するものであり、複数段の底板10aは、後側から前側に向かって低くなる段差が形成されて配置されているため、下段の小水槽Sが隣接する上段の小水槽Sよりも前側に存することになり、観賞者が観賞用水草水槽1の上方から観賞した際に、上段の小水槽Sが下段の小水槽Sを遮蔽することなく、前方および上方から全ての小水槽Sを観賞できる。
【0042】
上記実施形態によると、階段状部材10の背面側には、濾過装置70が備えられているため、濾過装置70を遮蔽して見栄えを良くしつつ、背面側の空間を利用することで、水槽全体をコンパクトにできる。
【0043】
上記実施形態によると、側板60は、中央部近傍から前方(観賞時に正面側に向けられる側)に向かって高さが次第に高くなる傾斜部62が形成され、照明装置90の固定部91は、側板60の傾斜部62の上縁に固定されているため、照明装置90を観賞者の離れた位置に存することになり、観賞の阻害になるのを防止し、階段状部材10の全域に照明光を照射できる。
【0044】
上記実施形態によると、水位調節部材41が、着脱自在に取り付けられているため、使用者の意図に合わせて水位調節部材41を着脱することにより、放水される水位を調節できる。
【0045】
上記実施形態によると、水位調節部材41は、上下方向に組み合わされた2枚の板状部材から構成され、組み合わされた板状部材からなる水位調節部材41の高さは、仕切板30の高さより低く設定され、この水位調節部材41は、2枚の板状部材を組み合わせずに、1枚の板状部材のみを落下口31に取り付けて使用できるものである。このため、2枚の板状部材を任意に組み合わせることにより、3段階の水位を作ることができる。すなわち、3段階の水位は、水位調節部材41を取り付けない最も低い水位と、2枚の板状部材のうち1枚の板状部材を取り付けて、その1枚の板状部材の高さ水位と、2枚の板状部材を高さ方向に組み合わせて取り付ける2枚の板状部材の高さ水位と、を作ることができる。また、各段の小水槽ごとに、使用する板状部材の枚数を異ならすことにより、各段の小水槽ごとに水位を異ならすことができ、水草の種類や使用者の好みに合わせて、水位を作ることができる。
【0046】
上記実施形態によると、水位調節部材41透明にされているため、前方から水槽内の様子を視認することができる。
【0047】
上記実施形態によると、仕切板30は透明にされているため、前方から水槽内の様子を視認することができる。
【0048】
上記実施形態によると、濾過装置70の前部(正面)には、不純物を堰き止める縦長の孔部71が複数設けられ、濾過装置70の底部には、前部(正面)の孔部71よりも小径で真円状の孔部72が複数設けられ、濾過装置70の孔部72が設けられた底部の上面には、濾過マット73が配置されている。このため、濾過装置70の前部(正面)では、大きな不純物を堰き止め、濾過マット73では、濾過装置70の前部(正面)で堰き止めることができなかった小さな不純物を堰き止めて、不純物を2段階で堰き止めることができるため、高い濾過能力を得ることができる。
【0049】
上記実施形態によると、縦長の孔部71の中央上部には、濾過装置70を引き出すための引出孔部71aが、縦長の孔部71と一体に形成されて設けられているため、濾過装置70を容易に引き出してメンテナンスすることができる。
【0050】
上記実施形態によると、後縁板50の高さ方向中央部(最上段の小水槽Sの形成する後縁板50となる部分より下方)には、左右両端近傍に至るまで長方形状の開口する開口部51が設けられているため、この開口部51から内部のポンプ81などのメンテナンスや配線処理等を容易に行うことができる。
【0051】
以上、本発明を一実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その発明の範囲で適宜変更可能であり、例えば、以下のように構成しても良い。
【0052】
(1)上記実施形態では、階段状部材10は、全3段に構成されているが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、少なくとも2段以上の複数段から構成されていれば良く、必要に応じて段数を自由に変更することができる。
【0053】
(2)上記実施形態では、放水手段40は落下口31に水位調節部材41を取り付けてなるものを採用したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、必ずしも水位調節部材のような別部材を用いる必要はなく、例えば、仕切板の一部を他の部分より低く形成することにより、放水手段を構成しても良い。さらに、例えば、仕切板の一部に開口部や孔部などを設けることにより、放出手段を構成しても良い。この開口部や孔部などの形状、個数、大きさ、範囲は、自由に設計変更できる。
【0054】
(3)上記実施形態では、水位調節部材41は、上下方向に組み合わされた2枚の板状部材から構成されているとしたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、水位調節部材は、2枚以上の板状部材から構成されていても良い。また、水位調節部材は、左右方向に組み合わされた2枚以上の板状部材から構成されていても良い。
【0055】
(4)上記実施形態では、放水手段40は、最上段では左側に、最上段に隣接する下段では右側に設けたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、左右位置が逆になっていても良い。
【0056】
(5)上記実施形態では、水位調節部材41および仕切板30は透明のものを採用しているが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、必ずしも、透明のものを採用する必要はなく、例えば半透明あるいは不透明なものを採用しても良い。
【0057】
(6)上記実施形態では、濾過装置70の前部(正面)には、不純物を堰き止める縦長の孔部71が複数設けられ、濾過装置70の底部には、前部の孔部よりも小さい真円の孔部72が複数設けられているが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、孔部71および孔部72の位置、大きさ、個数、形状、範囲などは自由に設定できる。
【0058】
(7)上記実施形態では、ポンプ81は、階段状部材10の背面側に配置されているとしたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、例えば、被設置床に水槽台を設置し、その水槽台の上部に水槽本体を載置する。その水槽台の中には、ポンプなどを配置するようにしても良い。
【0059】
(8)上記実施形態では、ポンプ81は、階段状部材10の背面側に貯留されている水を汲み上げるものとしたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、例えば、水を汲み上げる手段に加え、水を濾過する手段を有していても良い。
【0060】
(9)上記実施形態にかかる観賞用水草水槽1の用途は、店頭などに置かれる販売什器用や家庭用など様々な用途がある。
【0061】
(10)上記実施形態では、チューブ83は、側板60の上縁に設けられた凹部61の凹み内側部分に挟持され、側板60側を沿って側板60の孔部64を通って内部に入られているとしたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、例えば、チューブ83は、後縁板50の開口部51を通って内部に入れられていても良く、観賞用水草水槽1の設置場所に応じて、使用者は、側板60の孔部64か、あるいは後縁板50の開口部51かを選択できる。
【0062】
(11)上記実施形態では、電源プラグおよび電源コード84は、後縁板50の開口部51を通って、水槽の外部に出されているとしたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、例えば、側板60の孔部64を通って、水槽の外部に出されていても良く、観賞用水草水槽1の設置場所に応じて、使用者は、後縁板50の開口部51か、あるいは側板60の孔部64かを選択できる。
【符号の説明】
【0063】
1 観賞用水草水槽
10a 底板
10 階段状部材
20 立壁部
30 仕切板
32 取水口
40 放水手段
41 水位調節部材
50 後縁板
60 側板
70 濾過装置
80 水供給手段
90 照明装置
S 小水槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後側から前側に向かって低くなる段差が形成されて配置された複数段の底板を有する階段状部材と、
各段の底板後縁と隣接する上段の底板前縁とを連設する立壁部と、
前記階段状部材の各段の底板前縁に立設された仕切板と、
前記階段状部材の最上段の底板後縁に立設された後縁板と、
前記立壁部と前記仕切板と前記後縁板との左右側面を閉塞する側板とを備え、
前記階段状部材の各段の底板と前記仕切板と前記立壁部または前記後縁板と前記側面とで区画された内側には、これらにより水を貯える小水槽が形成され、
前記階段状部材の最上段には、水供給手段が配置され、
前記仕切板には、左右端部近傍のいずれかに水を下段に放水する放水手段が設けられ、
下段の放水手段と隣接する上段の放水手段とは、左右位置が反対側に設けられていることを特徴する観賞用水草水槽。
【請求項2】
前記階段状部材の背面側には、濾過装置が備えられ、
最下段の立壁部には、前記濾過装置に水を送り込む取水口が設けられている請求項1に記載の観賞用水草水槽。
【請求項3】
前記階段状部材の最上段の上方には、前方斜め下方に向かって照明光を照射する照明装置が配置されている請求項1又は2に記載の観賞用水草水槽。
【請求項4】
前記放水手段は、前記仕切板の一部に、周囲の仕切板の高さよりも低い部分が形成され、この低い部分に、周囲の仕切板よりも高さが低く形成された水位調節部材が、着脱自在に取り付けられていることで構成された請求項1〜3に記載の観賞用水草水槽。
【請求項5】
前記仕切板は、透明にされた請求項1〜4に記載の観賞用水草水槽。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−217340(P2012−217340A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82574(P2011−82574)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(393022746)ジェックス株式会社 (37)
【Fターム(参考)】