角度調整金具
【課題】表皮が常に適度な張力を受けて弛み皺を生じない角度調整金具を提供する。
【解決手段】揺動軸心に配設される枢結ピン部材13と、枢結ピン部材13によって相互に枢結された取付アーム46と揺動片部11とを、備えると共に、取付アーム46は固定基部に固着され、レスト部の起立方向Aへの揺動を可能としつつ傾倒方向への揺動を阻止して所望の傾斜角度で保持する角度調整金具に於て、レスト部の起立方向Aへの揺動に伴って共通表皮に弛み皺が発生することを抑制する表皮皺発生防止機構50を、備え、さらに、表皮皺発生防止機構50は、揺動片部11と平行を保ちつつ、揺動片部11の基端45側と先端側の間を往復平行移動するブラケット48を備え、枢結ピン部材13の軸心を中心点としてブラケット48の最先端部48Aまでの距離を伸長短縮自在に構成した。
【解決手段】揺動軸心に配設される枢結ピン部材13と、枢結ピン部材13によって相互に枢結された取付アーム46と揺動片部11とを、備えると共に、取付アーム46は固定基部に固着され、レスト部の起立方向Aへの揺動を可能としつつ傾倒方向への揺動を阻止して所望の傾斜角度で保持する角度調整金具に於て、レスト部の起立方向Aへの揺動に伴って共通表皮に弛み皺が発生することを抑制する表皮皺発生防止機構50を、備え、さらに、表皮皺発生防止機構50は、揺動片部11と平行を保ちつつ、揺動片部11の基端45側と先端側の間を往復平行移動するブラケット48を備え、枢結ピン部材13の軸心を中心点としてブラケット48の最先端部48Aまでの距離を伸長短縮自在に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソファーや椅子等の家具に用いる角度調整金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソファーや椅子等の家具に設けられたヘッドレスト、肘掛け、フットレスト等を、リクライニング可能とする角度調整金具が広く使用されている。
本発明者は、特許文献1記載のように、リクライニング箇所の起立方向への揺動を可能としつつ傾倒方向への揺動を阻止しているリクライニング箇所を所定多段階の傾斜角度で保持できる角度調整金具を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4296223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の角度調整金具55を使用した家具は、図17に示したように、ヘッドレスト、肘掛け部、フットレスト部等のリクライニングするレスト部51を、傾倒姿勢から、起立方向Aへ起立させてゆくと、表皮52に弛み皺53が発生する場合がある。
例えば、革張りの厚肉の豪華な家具では、特に皺53が発生し易く、このような皺53が発生すると使い心地(座り心地)が低下し、また、美感が著しく損なわれるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、リクライニングする(傾動する)レスト部51を備えた家具の表皮が、常に、皺53の発生が無く、美しい平滑面―――張りのある面―――を維持することを可能とした角度調整金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、水平状揺動軸心廻りに傾動可能なレスト部を有すると共に、該レスト部は共通表皮をもって固定基部と共に被覆された家具に用いられ、かつ、上記揺動軸心に配設される枢結ピン部材と、該枢結ピン部材によって相互に枢結された取付アームと揺動片部とを、備えると共に、上記取付アームは上記固定基部に固着され、上記レスト部の起立方向への揺動を可能としつつ傾倒方向への揺動を阻止して所望の傾斜角度で保持する角度調整金具に於て、上記レスト部の起立方向への揺動に伴って上記共通表皮に弛み皺が発生することを抑制する表皮皺発生防止機構を、備え、さらに、上記表皮皺発生防止機構は、上記揺動片部と平行を保ちつつ、該揺動片部の基端側と先端側の間を往復平行移動するブラケットを備え、上記枢結ピン部材の軸心を中心点として上記ブラケットの最先端部までの距離を伸長短縮自在に構成した。
【0007】
また、上記取付アームはその基端にカバー部材を具備し、該カバー部材は上記枢結ピン部材の軸心を中心点とした薄型円形状であって、上記共通表皮の内面から傷付けることがないように円周面に突出部が存在しない。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る角度調整金具によれば、上記目的を達成でき、レスト部の起立姿勢に於て、表皮が適度な張力を受けて弛み皺を生ずることなく、見栄えが良く、特に、革張りの厚肉のソファーや椅子等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る角度調整金具の使用箇所の一例を示した簡略斜視図である。
【図2】本発明の実施の一形態を示し、表皮皺発生防止機構の作動を順次説明するための作動説明図である。
【図3】実施の一形態の斜視図である。
【図4】最大傾倒状態を示す側面図である。
【図5】最大傾倒姿勢から少し起立した状態を示す側面図である。
【図6】起立姿勢近くまで起立した状態を示す側面図である。
【図7】起立姿勢を示す側面図である。
【図8】ロック解除の状態を示した側面図である。
【図9】他の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】最大傾倒状態を示す左側面図である。
【図11】最大傾倒状態を示す右側面図である。
【図12】表皮皺発生防止機構を図示省略して描いた一部破断左側面図である。
【図13】表皮皺発生防止機構を図示省略して描いた一部破断正面図である。
【図14】最大傾倒状態を示す要部構成説明用の左側面図である。
【図15】起立姿勢を示す要部構成説明用の左側面図である。
【図16】角度調整機構の作用説明図である。
【図17】従来例の使用状態を示すと共に従来例の問題点を示した説明用斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1に例示するように、本発明の角度調整金具は、リクライニングする(傾動可能な)レスト部3を備えたソファーSや(図示省略の)椅子等の家具に用いられる。角度調整金具1は、ソファーSに於ては、複数個使用される。
【0011】
図1に例示のソファーSでは、左右の両脚部42,42にて座部41と背もたれ部(背部)40が保持されている。
背もたれ部(背部)40は、水平状揺動軸心L13廻りに傾動可能なレスト部3を有し、具体的には、このレスト部3はヘッドレスト部30である。即ち、背もたれ部40は、下方位置の固定基部40Fと、上方位置の傾動可能なヘッドレスト部30とから、構成されると共に、ヘッドレスト部30(レスト部3)は固定基部40Fと共に、共通表皮28をもって、被覆されている。
座部41は、水平状揺動軸心L13廻りに傾動可能なレスト部3を有し、具体的には、レスト部3はフットレスト部31である。即ち、座部41は、ソファー後方位置の水平状の固定基部41Fと、前方(手前)位置の傾動可能なフットレスト部31から、構成されると共に、フットレスト部31(レスト部3)は、固定基部41Fと共に、共通表皮28をもって、被覆されている。
【0012】
肘掛け部43は、水平状揺動軸心L13廻りに傾動可能なレスト部3を有し、具体的には、レスト部3はアームレスト部32である。即ち、肘掛け部43は、前記脚部42等から成る下方位置の固定基部43Fと、上方位置の側外方へ傾倒可能なアームレスト部32から、構成されると共に、このアームレスト部32(レスト部3)は、固定基部43Fと共に、共通表皮28をもって、被覆されている。
このように、固定側(固定基部40F,41F,43F)からレスト部3に渡って全面的に(連続状の)共通表皮28をもって外装している。
【0013】
角度調整金具1は、レスト部3の起立方向Aへの揺動を可能としつつ傾倒方向Bへの揺動を多段階で阻止して所望の傾動角度で保持するように構成されている。
なお、図1に図示した角度調整金具1は、図9〜図13に図示した金具に相当し、所望によって、図3〜図7に図示した金具を、図1の同一位置に配設することもできる。
図3〜図7の実施の一形態と、図9〜図13の他の実施の形態との相違点は、主として、レスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制する回転抵抗モーメントM(図12参照)を付与する弾発部材2の有無にある。
【0014】
そして、本発明に係る角度調整金具1の最大の特徴点は、レスト部3の起立方向Aへの揺動に伴って共通表皮28に、弛み皺が発生することを抑制する表皮皺発生防止機構50を、具備している点にある。但し、図1に於ては、この表皮皺発生防止機構50を簡略化して図示し、レスト部3の(点線をもって示したところの)内部フレーム49が固着されるブラケット48のみを図中に描く。(詳しくは、前記機構50に関しては図2〜図11に於て後述する。)
【0015】
図12と図13は表皮皺発生防止機構を省略して描いた図面であり、この図12と図13、及び、図14〜図16に示したように、本発明の角度調整金具1は、揺動軸心L13を中心として円形状に形成された一対の平行な壁部12a,12aと、壁部12a,12aの各々に揺動軸心L13を対称軸として回転対称位置に配設された4個のくさび形窓部5,5,5,5と、くさび形窓部5内にて移動可能とすると共に揺動軸心L13を中心として 180度の回転対称位置に配設されかつ一面側に歯面4aを有する一対の浮動くさび部材4,4と、壁部12a,12aの間に設けられると共に揺動軸心L13を中心として歯面4aに噛合可能な外歯状に形成される一対の円弧状ギヤ部11b,11bと、浮動くさび部材4,4をギヤ部11b,11bに常時弾発付勢するバネ線材6,6と、を具備している。
【0016】
壁部12a,12aは、取付片部12に延設され、ギヤ部11b,11bを内装可能な対面板状に形成され揺動軸心L13と同心状の中心孔を貫設している。
くさび形窓部5は、揺動軸心L13寄りの内方側を円弧面5bとし、外方側に円弧状のくさび面5aを形成している。各くさび面5aは、揺動軸心L13と偏心し、かつ、揺動軸心L13を対称軸として90度毎の回転対称位置となる誘導軸心Yを順次中心として形成されている。つまり、図14に於ける時計廻り方向に近づくにつれて、くさび面5aとギヤ部11bの間が次第に小さくなる(縮小する)ように形成されている。また、内方側の円弧面5bから突設し、浮動くさび部材4を誘導する浮動段付部8を形成している。また、ギヤ部11bと噛合していない状態(噛合解除状態)の浮動くさび部材4を収納可能な退避空間部9を有している。
【0017】
一対の浮動くさび部材4,4は、 180度の回転対称位置に配設されたくさび形窓部5,5に、各々挿通されている。浮動くさび部材4は、壁部12a,12aの間隙寸法よりも僅かに大きく形成され、くさび形窓部5に挿通した状態で、壁部12a,12aの外側面から両側端部を突出している。浮動くさび部材4は、一面側を歯面4aとし、かつ、他面側にくさび面5aに当接する円弧状の当接面4bを形成している。浮動くさび部材4は、浮動段付部8に当接して、ギヤ部11bから離間する方向に自らを誘導する誘導勾配面14を有している。誘導勾配面14は、歯面4aの後縁部に形成されている。
一対のギヤ部11b,11bは、壁部12a,12aの間にて揺動軸心L13廻りに揺動可能に枢結されている。ギヤ部11b,11bは、揺動片部11に貫設され浮動くさび部材4を挿通可能な逃がし窓部18,18に、揺動軸心L13を対称軸として 180度の回転対称位置に外歯状に形成されている。ギヤ部11b,11bは、揺動片部11の基端部に応力集中が発生しにくい形状となっている。また、ギヤ部11bは、一端部側(噛合終点部側)に、浮動くさび部材4を退避空間部9へ押圧する押込突部15が形成され、他端部側(噛合始点部側)に、退避空間部9に収納された浮動くさび部材4を押し出す押出突部16が形成されている。
【0018】
バネ線材6は、所定長さに切断され、一文字状に形成されている。バネ線材6は、一方端を直線状とし、他方端を鉤状乃至円形状に曲げ加工して支持部17に外嵌している。バネ線材6は、当接面4bに接触して円弧状に弾性変形しており、浮動くさび部材4に復元力を常に弾発付勢している。
ギヤ部11bが揺動し、歯面4aがギヤ部11bに噛合して浮動くさび部材4が移動した際に、当接面4bは、くさび面5aに案内され、浮動くさび部材4をギヤ部11bとくさび面5aの間にくさび状に配設させるように形成している。つまり、浮動くさび部材4は、歯面4aがギヤ部11bに噛合し、かつ、当接面4bがくさび面5aに当接し、ギヤ部11b(揺動片部11)が、一方向(傾倒方向B)へ揺動するのを規制している。
【0019】
壁部12a,12aは、薄型円形状(円盤状)のカバー部材7,7によって揺動軸心L13方向から挟まれている。枢結ピン部材13は、壁部12a,12aと、ギヤ部11b,11bと、カバー部材7,7とを、同心状に枢着している。つまり、壁部12a,12aと、くさび形窓部5,5,5,5と、浮動くさび部材4,4と、ギヤ部11b,11bと、バネ線材6,6とを、組立てて、カバー部材7,7間に収納して、枢結部10が構成されている。
弾発部材2の厚さ寸法dは、枢結部10の厚さ寸法W0 に対して、15%〜 100%の大きさに設定している(図13参照)。弾発部材2の厚さ寸法dが、枢結部10の厚さ寸法W0 の15%より小さいと、弾発部材2の十分な強度及び剛性を確保できず、レスト部3の最終傾倒状態を安定して保持できない。また、弾発部材2の厚さ寸法dが、枢結部10の厚さ寸法W0 の 100%より大きいと、角度調整金具1の幅寸法が過大となり、ソファーSへの取付けが制限される虞がある。
なお、角度調整金具1の枢結部10の内部機構としては、(図示省略するが)爪とギヤ歯との噛合によるラチェット機構を有するものでもよく、本発明の要旨を変更しない程度であれば設計の変更が可能である。
【0020】
そして、本発明の角度調整金具1は、図2〜図8の実施の形態に於て、さらに、図9〜図13の他の実施の形態に於ても、(図1に示したように、)レスト部3に取着される揺動アーム47と、固定基部40F,41F,43Fに固着される取付アーム46と、両アーム47,46を枢結した枢結ピン部材13とを、備えている。
上記取付アーム46は、枢結ピン部材13に基端が非回転状態として枢着された前記取付片部12と、この取付片部12の基端に固着された前記カバー部材7とを、有する。このように、カバー部材7と帯板状の取付片部12とは、(一体状として)非回転状態に連結されている。
【0021】
また、揺動アーム47は、ピン部材13に基端45が枢着される揺動片部11と、レスト部3の内部フレーム49が固着されるブラケット48と、このブラケット48と揺動片部11とを連結して平行リンク機構Hを構成する2本の平行なリンク片34,35と、を備えている。
この平行リンク機構Hは、4本のピン57,58,59,60によって相互に枢結されたブラケット48と揺動片部11とリンク片34,35とから構成され、ブラケット48は常に揺動片部11と平行を保ちつつ、図2の(A)(B)(C)(D)のように、揺動片部11の基端45側と先端44側の間を往復平行移動自在である。
【0022】
そして、表皮皺発生防止機構50は、上記ブラケット48と、ブラケット48と揺動片部11とを連結する前記リンク片34,35と、このリンク片34,35の内の一方34とカバー部材7とを連結する連結アーム37とを、具備する。
レスト部3の起立方向Aへの揺動に伴ってブラケット48を先端方向P―――先端44の方向―――へ移動させることで、揺動アーム47の腕の長さL47を、増加させる作用を、この連結アーム37が果たしている。
本発明に於て、揺動アーム47の腕の長さL47とは、枢結ピン部材13の軸心―――即ち、水平状揺動軸心L13―――を中心点として、ブラケット48の最先端部48Aまでの距離(寸法)を言う。
【0023】
さらに具体的に説明すると、連結アーム37は、弯曲した板片から成り、基端はピンによって薄い円盤状のカバー部材7に、揺動自在に枢着されると共に、先端はピン39によって、(枢結ピン部材13に近い側の)リンク片34の長手方向中間部に、揺動自在に枢着されている。
基端のピン38の枢着位置は、軸心L13に関して、ブラケット48の在る側とは反対側―――反先端方向―――であって、かつ、取付片部12の在る側とは反対側に、設定する。
ピン38,39を上述のように設けることで、連結アーム37は、平行リンク機構Hの一部を成すアーム34を揺動させて、平行リンク機構Hの他の一部を成すブラケット48を、先端方向Pへ、図2の(A)→(B)→(C)のように移動させ、あるいは、図4→図5→図6→図7のように移動させ、腕の長さL47をしだいに増加させ、ブラケット48に固着したレスト部3の内部フレーム49を、図1中の矢印Pの方向へ移動させ、レスト部3の起立方向Aへの作動時に(共通)表皮28を引張って、この表皮52に弛み皺53(図17参照)が発生することを防止する。
【0024】
ところで、図2、あるいは、図4〜図7でも明らかなように、カバー部材7は薄型円盤状であって、全く円周面に突出部(突隆部)が存在せず、表皮28を内面(裏面)から傷付けることがない利点があり、さらに、ピン部材13の軸心が該当する水平状揺動軸心L13と平行な方向から見て、連結アーム37は、円盤状のカバー部材7及び揺動片部11の内の少なくとも一方とは、常時重なり合って、矢印(A)(B)方向に揺動している。つまり、本発明に係る連結アーム37の弯曲状又はくの字状の(折曲状の)形状とすると共に、アーム37の寸法と、両端の枢結位置―――ピン38,39の配設位置―――を、アーム37がカバー部材7及び揺動片部11のいずれかとは常時重なって見えるように、設定することで、表皮28を内面(裏面)から傷付けることを防いでいる。
【0025】
本発明の他の実施形態に関して追加説明すると、図9〜図13、及び、図1に於て、レスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制する回転抵抗モーメントMを付与する弾発部材2―――具体的には渦巻きばね20―――を、カバー部材7に於ける連結アーム37の配設側面と反対側面に、付設している。これによって、図9で明らかなように、ピン部材13の軸心と平行な方向の厚さ寸法を減少できて、コンパクト化を達成している。
【0026】
そして、弾発部材2は、表皮28が何らかの荷重を受けて、最終傾倒状態のレスト部3に作用する張力に対抗して、レスト部3を最終傾倒状態にて保持できる程度の抵抗力をもって起立方向Aへの揺動を抑制している。
なお、本発明に於て、「揺動を多段階で阻止する」とは、レスト部3を最終傾倒状態から起立方向Aに揺動させて最終起立状態とする範囲で、等ピッチで7段階以上の姿勢保持角度を設定し、起立方向Aに揺動したレスト部3が傾倒方向Bに戻らないように段階的に規制することを意味する。
これを、ヘッドレスト部30を例として、具体的に説明すれば、ヘッドレスト部30を水平姿勢とした最終傾倒状態から鉛直姿勢とする範囲で、等ピッチで例えば16段階の姿勢保持角度を設定し、前方(起立方向A)に揺動したヘッドレスト部30が後方(傾倒方向B)に戻らないように段階的に規制している。あるいは、フットレスト部31を例として、具体的に説明すれば、フットレスト部31を鉛直姿勢とした最終傾倒状態から水平姿勢とする範囲で、等ピッチで例えば16段階の姿勢保持角度を設定し、上方(起立方向A)に揺動したフットレスト部31が下方(傾倒方向B)に戻らないように段階的に規制している。
【0027】
さらに、追加説明すると、図12と図13に示すように、レスト部3に平行リンク機構Hを介して取着される揺動片部11と、ソファーSの固定側に固着される取付片部12と、取付片部12に非回転状に組立てられると共に揺動片部11と取付片部12とを枢結した枢結ピン部材13とを、備えている。枢結ピン部材13は、取付片部12に嵌合しつつ、揺動片部11を揺動軸心L13廻りに揺動自在として枢着している。枢結ピン部材13は、一端を大径のヘッド33とし、このヘッド33に揺動軸心L13方向に直交状の係止溝13aを形成している。枢結ピン部材13の他端は、小径として、組立状態でカシメ等によって抜止めされている。
弾発部材2は、渦巻き状の金属製ゼンマイばねから成る渦巻きばね20であって、くの字状に折り曲げた外端部22を、揺動片部11の基端部寄りに突設した係止部11aに止着し、かつ、略直角に折り曲げた内端部21を、枢結ピン部材13の係止溝13aに止着している。渦巻きばね20は、最終傾倒状態のレスト部3に於て、緊張状態の表皮28がさらに荷重を受けても、揺動片部11の起立方向Aへの揺動を抑制して、レスト部3が起立しない程度の抵抗力を回転抵抗モーメントMとして弾発的に揺動片部11に付与している。
【0028】
なお、ブラケット48の形状は、揺動片部11の長手方向から見て倒立L字型であって、上面壁には内部フレーム49を(図示省略のネジやボルトやリベット等にて)固着するための取付孔36が、図3,図9のように有し、また、鉛直壁には、ピン39が嵌入自在なU字状切欠凹部29を図5,図6のように有している。この切欠凹部29を有することで、ピン39が嵌入した状態で、極めてコンパクトとなる(図2A,図3,図10等参照)。
【0029】
上述した本発明の角度調整金具の使用方法(作用)について説明する。
まず、図1に示すソファーSを製作する工程、又は、表皮28の張り替え作業に於て、ソファーSの固定側からレスト部3にかけて表皮28を張設する。この際、レスト部3をソファーSの固定側に取り付ける角度調整金具1,1は、弾発部材2による回転抵抗モーメントM(図10,図12参照)をもってレスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制する。レスト部3が最終傾倒状態を保持しつつ、表皮28に適度な緊張状態を与えて張るため、レスト部3を起立して使用する際に、表皮28に余裕が生じるが皺の発生は減少できる。本発明の図9〜図13の実施の形態では、さらに、表皮皺発生防止機構50をプラス(付加)した構成であるので、レスト部3を起立した状態で使用する際に、表皮28には、(図17のような従来の)皺53が生じないで、平滑な美しい感じを与える。
【0030】
次に、レスト部3を傾倒方向Bへ可動域限界まで、つまり、最終傾倒状態に揺動させたソファーSに於て、人が腰掛けて座部41及び背もたれ部40に荷重がかかると、座部41の表皮28が人の荷重により沈み込み、又は、背もたれ部40の表皮28が下方へ引きずられ、レスト部3に作用する張力が増大する。この際、弾発部材2は、回転抵抗モーメントMを抵抗力としてレスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制し、確実に最終傾倒状態にて保持する。
【0031】
その後、図1及び図16に示すように最終傾倒状態からレスト部3を回転抵抗モーメントMに反して起立方向Aに起き上がらせていく。図16(a)に於て、浮動くさび部材4は、歯面4aがギヤ部11bに噛合し、かつ、当接面4bがくさび面5aに当接している。図16(b)に示すように、起立方向Aにギヤ部11bを揺動させると、浮動くさび部材4の当接面4bは、くさび面5aから離れて僅かな間隙gを生じる。図16(c)に示すように、さらに起立方向Aにレスト部3を揺動させると、浮動くさび部材4の誘導勾配面14がくさび形窓部5の浮動段付部8に当接し、歯面4aとギヤ部11bとの噛合が解除され、歯面4aがギヤ部11bに弾かれるようにカチカチと音を立てつつ乗り越える。レスト部3の揺動を所望の位置で停止すると、バネ線材6によって、浮動くさび部材4がギヤ部11bに押し付けられ、歯面4aがギヤ部11bに噛合する。くさび作用によりレスト部3の傾倒方向Bへの揺動は規制され、所望の傾斜角度をもって保持される。
【0032】
なお、図1,図2等の図面、及び、上述の説明とは逆に、レスト部3に取付アーム46を固着し、かつ、固定基部40F,41F,43F側に揺動アーム47を取着するも、望ましい場合がある(図示省略)。即ち、揺動アーム47のブラケット48を、固定基部40F,41F,43Fの内部フレームに固着し、取付アーム46はレスト部3の内部フレーム49に固着する。このときには、水平状揺動軸心L13が固定基部40F,41F,43Fに対して略平行移動又は略円弧状移動を行うこととなるが、表皮28に弛み皺が発生することを、同様に防止できる。しかも、レスト部3の内部フレーム49に於て、取付アーム46との連結・接続部分の形状や構成を種々のものに設計変形容易となる利点がある。
【0033】
図15に示すように、レスト部3を所定量揺動させて最終起立状態とすると、図16(d)に示すように、押込突部15が浮動くさび部材4に当接し、浮動くさび部材4を押圧する。図16(e)に示すように、さらに起立方向Aにレスト部3を揺動させると、浮動くさび部材4は、誘導勾配面14をくさび形窓部5の浮動段付部8に摺接しつつ退避空間部9に案内(誘導)される。浮動くさび部材4が退避空間部9に収納される(図8が対応する)と、歯面4aとギヤ部11bの噛合は解除され、傾倒方向Bへの揺動が自由になる。そして、図16(f)に示すように、レスト部3を傾倒方向Bへ揺動し、最終傾倒状態まで復元すると、押出突部16が浮動くさび部材4に当接し、浮動くさび部材4を退避空間部9から押し出す。このようにして、再び図16(a)に示す状態として、歯面4aがギヤ部11bに噛合し、レスト部3の傾倒方向Bへの揺動を規制する。
【0034】
なお、角度調整金具1がレスト部3の傾動方向Bへの揺動を阻止する段数としては、7段以上の段数―――これを本発明では「多段階」という―――にて阻止して所望の傾斜角度に保持する場合を主として説明したが、本発明では、この段数を、2段〜6段の複数段とするも、自由であり、さらには、1段(単段)とすることも可能である。
【0035】
以上のように、本発明は、リクライニングするレスト部3を備えたソファーSに用いられ、レスト部3の起立方向Aへの揺動を可能としつつ傾倒方向Bへの揺動を阻止して所望の傾斜角度で保持する角度調整金具に於て、レスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制する回転抵抗モーメントMを付与する弾発部材2を設けたので、回転抵抗モーメントMによりレスト部3がソファーSの表皮28に引っ張られて起立方向Aへ揺動するのを防止でき、レスト部3を最終傾倒状態としてソファーSを使用する際にも、レスト部3が不意に起き上がることがなく、安定して姿勢を保持できる。また、最終傾倒状態までレスト部3を倒した姿勢を保持しながら表皮28に適当な張力をもたせて張設することができ、レスト部3を起立状態として使用する際にも、表皮28が不要に弛むことがなく見栄え良く製作できる。
【0036】
本発明は以上述べたように、水平状揺動軸心L13廻りに傾動可能なレスト部3を有すると共に、該レスト部3は共通表皮28をもって固定基部40F,41F,43Fと共に被覆された家具に用いられ、かつ、上記レスト部3の起立方向Aへの揺動を可能としつつ傾倒方向Bへの揺動を単段階又は複数段階(多段階)で阻止して所望の傾斜角度で保持する角度調整金具に於て、上記レスト部3の起立方向Aへの揺動に伴って上記共通表皮28に弛み皺が発生することを抑制する表皮皺発生防止機構50を、備えた構成であるので、傾倒姿勢から起立方向Aへ起立させてゆくに従って、表皮28に張り力が作用して、弛み皺が発生せず、美しい平滑面を保ち、特に革張りの厚肉の豪華な家具の使用感及び美感を向上できる。
【0037】
また、上記レスト部3に取着される揺動アーム47と、上記固定基部40F,41F,43Fに固着される取付アーム46と、該揺動アーム47と該取付アーム46を枢結した枢結ピン部材13とを、備え、上記揺動アーム47は、上記ピン部材13に基端45が枢着される揺動片部11と、上記レスト部3の内部フレーム49が固着されるブラケット48と、該ブラケット48と該揺動片部11とを連結して平行リンク機構Hを構成する2本の平行なリンク片34,35と、を備え、上記取付アーム46は、上記ピン部材13に基端が枢着される取付片部12と、該取付片部12の上記基端に固着されたカバー部材7と、を有し、上記表皮皺発生防止機構50は、上記ブラケット48と、上記ブラケット48と上記揺動片部11とを連結して上記平行リンク機構Hを構成する2本の上記リンク片34,35と、該リンク片34,35の内の一方と上記カバー部材7とを連結して、上記レスト部3の起立方向Aへの揺動に伴って上記ブラケット48を先端方向Pへ移動させることで、上記揺動アーム47の腕の長さL47を増加させる連結アーム37とを、具備しているので、角度調整金具としての部品点数が少なくて済み、かつ、軸心方向の寸法が小さく、全体にコンパクトで構造が簡素で、軽量かつ安価となる。特に、コンパクトにかかわらず、ブラケット48のストローク(先端方向Pへの移動量)が十分大きくとることができる。
【0038】
また、上記カバー部材7を薄型円盤状とすると共に、上記ピン部材13の軸心が該当する上記水平状揺動軸心L13と平行な方向から見て、上記連結アーム37は、円盤状の上記カバー部材7と上記揺動片部11の内の少なくとも一方と常時重なり合っているように、形状及び寸法と両端枢結位置を、設定したので、表皮28に局部的な小盛り上り(小突隆部)を発生することがなく、使い心地の良いソファー等の家具が得られ、かつ、表皮28が裏面側から損傷することも防止できる。しかも、外からの美感上も優れている結果となる。
また、上記レスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制する回転抵抗モーメントMを付与する渦巻きばね20を、上記カバー部材7に於ける上記連結アーム37の配設側面と反対側面に、付設したので、軸心方向の厚さ寸法を減少して、コンパクトな構造とでき、回転抵抗モーメントMを確実に発生可能で、ソファー等の内部に付設し易い。
【符号の説明】
【0039】
3 レスト部
7 カバー部材
11 揺動片部
13 枢結ピン部材
28 (共通)表皮
40F,41F,43F 固定基部
45 基端
46 取付アーム
48 ブラケット
48A 最先端部
50 表皮皺発生防止機構
A 起立方向
B 傾倒方向
L13 揺動軸心
L47 腕の長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソファーや椅子等の家具に用いる角度調整金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソファーや椅子等の家具に設けられたヘッドレスト、肘掛け、フットレスト等を、リクライニング可能とする角度調整金具が広く使用されている。
本発明者は、特許文献1記載のように、リクライニング箇所の起立方向への揺動を可能としつつ傾倒方向への揺動を阻止しているリクライニング箇所を所定多段階の傾斜角度で保持できる角度調整金具を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4296223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の角度調整金具55を使用した家具は、図17に示したように、ヘッドレスト、肘掛け部、フットレスト部等のリクライニングするレスト部51を、傾倒姿勢から、起立方向Aへ起立させてゆくと、表皮52に弛み皺53が発生する場合がある。
例えば、革張りの厚肉の豪華な家具では、特に皺53が発生し易く、このような皺53が発生すると使い心地(座り心地)が低下し、また、美感が著しく損なわれるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、リクライニングする(傾動する)レスト部51を備えた家具の表皮が、常に、皺53の発生が無く、美しい平滑面―――張りのある面―――を維持することを可能とした角度調整金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、水平状揺動軸心廻りに傾動可能なレスト部を有すると共に、該レスト部は共通表皮をもって固定基部と共に被覆された家具に用いられ、かつ、上記揺動軸心に配設される枢結ピン部材と、該枢結ピン部材によって相互に枢結された取付アームと揺動片部とを、備えると共に、上記取付アームは上記固定基部に固着され、上記レスト部の起立方向への揺動を可能としつつ傾倒方向への揺動を阻止して所望の傾斜角度で保持する角度調整金具に於て、上記レスト部の起立方向への揺動に伴って上記共通表皮に弛み皺が発生することを抑制する表皮皺発生防止機構を、備え、さらに、上記表皮皺発生防止機構は、上記揺動片部と平行を保ちつつ、該揺動片部の基端側と先端側の間を往復平行移動するブラケットを備え、上記枢結ピン部材の軸心を中心点として上記ブラケットの最先端部までの距離を伸長短縮自在に構成した。
【0007】
また、上記取付アームはその基端にカバー部材を具備し、該カバー部材は上記枢結ピン部材の軸心を中心点とした薄型円形状であって、上記共通表皮の内面から傷付けることがないように円周面に突出部が存在しない。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る角度調整金具によれば、上記目的を達成でき、レスト部の起立姿勢に於て、表皮が適度な張力を受けて弛み皺を生ずることなく、見栄えが良く、特に、革張りの厚肉のソファーや椅子等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る角度調整金具の使用箇所の一例を示した簡略斜視図である。
【図2】本発明の実施の一形態を示し、表皮皺発生防止機構の作動を順次説明するための作動説明図である。
【図3】実施の一形態の斜視図である。
【図4】最大傾倒状態を示す側面図である。
【図5】最大傾倒姿勢から少し起立した状態を示す側面図である。
【図6】起立姿勢近くまで起立した状態を示す側面図である。
【図7】起立姿勢を示す側面図である。
【図8】ロック解除の状態を示した側面図である。
【図9】他の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】最大傾倒状態を示す左側面図である。
【図11】最大傾倒状態を示す右側面図である。
【図12】表皮皺発生防止機構を図示省略して描いた一部破断左側面図である。
【図13】表皮皺発生防止機構を図示省略して描いた一部破断正面図である。
【図14】最大傾倒状態を示す要部構成説明用の左側面図である。
【図15】起立姿勢を示す要部構成説明用の左側面図である。
【図16】角度調整機構の作用説明図である。
【図17】従来例の使用状態を示すと共に従来例の問題点を示した説明用斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1に例示するように、本発明の角度調整金具は、リクライニングする(傾動可能な)レスト部3を備えたソファーSや(図示省略の)椅子等の家具に用いられる。角度調整金具1は、ソファーSに於ては、複数個使用される。
【0011】
図1に例示のソファーSでは、左右の両脚部42,42にて座部41と背もたれ部(背部)40が保持されている。
背もたれ部(背部)40は、水平状揺動軸心L13廻りに傾動可能なレスト部3を有し、具体的には、このレスト部3はヘッドレスト部30である。即ち、背もたれ部40は、下方位置の固定基部40Fと、上方位置の傾動可能なヘッドレスト部30とから、構成されると共に、ヘッドレスト部30(レスト部3)は固定基部40Fと共に、共通表皮28をもって、被覆されている。
座部41は、水平状揺動軸心L13廻りに傾動可能なレスト部3を有し、具体的には、レスト部3はフットレスト部31である。即ち、座部41は、ソファー後方位置の水平状の固定基部41Fと、前方(手前)位置の傾動可能なフットレスト部31から、構成されると共に、フットレスト部31(レスト部3)は、固定基部41Fと共に、共通表皮28をもって、被覆されている。
【0012】
肘掛け部43は、水平状揺動軸心L13廻りに傾動可能なレスト部3を有し、具体的には、レスト部3はアームレスト部32である。即ち、肘掛け部43は、前記脚部42等から成る下方位置の固定基部43Fと、上方位置の側外方へ傾倒可能なアームレスト部32から、構成されると共に、このアームレスト部32(レスト部3)は、固定基部43Fと共に、共通表皮28をもって、被覆されている。
このように、固定側(固定基部40F,41F,43F)からレスト部3に渡って全面的に(連続状の)共通表皮28をもって外装している。
【0013】
角度調整金具1は、レスト部3の起立方向Aへの揺動を可能としつつ傾倒方向Bへの揺動を多段階で阻止して所望の傾動角度で保持するように構成されている。
なお、図1に図示した角度調整金具1は、図9〜図13に図示した金具に相当し、所望によって、図3〜図7に図示した金具を、図1の同一位置に配設することもできる。
図3〜図7の実施の一形態と、図9〜図13の他の実施の形態との相違点は、主として、レスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制する回転抵抗モーメントM(図12参照)を付与する弾発部材2の有無にある。
【0014】
そして、本発明に係る角度調整金具1の最大の特徴点は、レスト部3の起立方向Aへの揺動に伴って共通表皮28に、弛み皺が発生することを抑制する表皮皺発生防止機構50を、具備している点にある。但し、図1に於ては、この表皮皺発生防止機構50を簡略化して図示し、レスト部3の(点線をもって示したところの)内部フレーム49が固着されるブラケット48のみを図中に描く。(詳しくは、前記機構50に関しては図2〜図11に於て後述する。)
【0015】
図12と図13は表皮皺発生防止機構を省略して描いた図面であり、この図12と図13、及び、図14〜図16に示したように、本発明の角度調整金具1は、揺動軸心L13を中心として円形状に形成された一対の平行な壁部12a,12aと、壁部12a,12aの各々に揺動軸心L13を対称軸として回転対称位置に配設された4個のくさび形窓部5,5,5,5と、くさび形窓部5内にて移動可能とすると共に揺動軸心L13を中心として 180度の回転対称位置に配設されかつ一面側に歯面4aを有する一対の浮動くさび部材4,4と、壁部12a,12aの間に設けられると共に揺動軸心L13を中心として歯面4aに噛合可能な外歯状に形成される一対の円弧状ギヤ部11b,11bと、浮動くさび部材4,4をギヤ部11b,11bに常時弾発付勢するバネ線材6,6と、を具備している。
【0016】
壁部12a,12aは、取付片部12に延設され、ギヤ部11b,11bを内装可能な対面板状に形成され揺動軸心L13と同心状の中心孔を貫設している。
くさび形窓部5は、揺動軸心L13寄りの内方側を円弧面5bとし、外方側に円弧状のくさび面5aを形成している。各くさび面5aは、揺動軸心L13と偏心し、かつ、揺動軸心L13を対称軸として90度毎の回転対称位置となる誘導軸心Yを順次中心として形成されている。つまり、図14に於ける時計廻り方向に近づくにつれて、くさび面5aとギヤ部11bの間が次第に小さくなる(縮小する)ように形成されている。また、内方側の円弧面5bから突設し、浮動くさび部材4を誘導する浮動段付部8を形成している。また、ギヤ部11bと噛合していない状態(噛合解除状態)の浮動くさび部材4を収納可能な退避空間部9を有している。
【0017】
一対の浮動くさび部材4,4は、 180度の回転対称位置に配設されたくさび形窓部5,5に、各々挿通されている。浮動くさび部材4は、壁部12a,12aの間隙寸法よりも僅かに大きく形成され、くさび形窓部5に挿通した状態で、壁部12a,12aの外側面から両側端部を突出している。浮動くさび部材4は、一面側を歯面4aとし、かつ、他面側にくさび面5aに当接する円弧状の当接面4bを形成している。浮動くさび部材4は、浮動段付部8に当接して、ギヤ部11bから離間する方向に自らを誘導する誘導勾配面14を有している。誘導勾配面14は、歯面4aの後縁部に形成されている。
一対のギヤ部11b,11bは、壁部12a,12aの間にて揺動軸心L13廻りに揺動可能に枢結されている。ギヤ部11b,11bは、揺動片部11に貫設され浮動くさび部材4を挿通可能な逃がし窓部18,18に、揺動軸心L13を対称軸として 180度の回転対称位置に外歯状に形成されている。ギヤ部11b,11bは、揺動片部11の基端部に応力集中が発生しにくい形状となっている。また、ギヤ部11bは、一端部側(噛合終点部側)に、浮動くさび部材4を退避空間部9へ押圧する押込突部15が形成され、他端部側(噛合始点部側)に、退避空間部9に収納された浮動くさび部材4を押し出す押出突部16が形成されている。
【0018】
バネ線材6は、所定長さに切断され、一文字状に形成されている。バネ線材6は、一方端を直線状とし、他方端を鉤状乃至円形状に曲げ加工して支持部17に外嵌している。バネ線材6は、当接面4bに接触して円弧状に弾性変形しており、浮動くさび部材4に復元力を常に弾発付勢している。
ギヤ部11bが揺動し、歯面4aがギヤ部11bに噛合して浮動くさび部材4が移動した際に、当接面4bは、くさび面5aに案内され、浮動くさび部材4をギヤ部11bとくさび面5aの間にくさび状に配設させるように形成している。つまり、浮動くさび部材4は、歯面4aがギヤ部11bに噛合し、かつ、当接面4bがくさび面5aに当接し、ギヤ部11b(揺動片部11)が、一方向(傾倒方向B)へ揺動するのを規制している。
【0019】
壁部12a,12aは、薄型円形状(円盤状)のカバー部材7,7によって揺動軸心L13方向から挟まれている。枢結ピン部材13は、壁部12a,12aと、ギヤ部11b,11bと、カバー部材7,7とを、同心状に枢着している。つまり、壁部12a,12aと、くさび形窓部5,5,5,5と、浮動くさび部材4,4と、ギヤ部11b,11bと、バネ線材6,6とを、組立てて、カバー部材7,7間に収納して、枢結部10が構成されている。
弾発部材2の厚さ寸法dは、枢結部10の厚さ寸法W0 に対して、15%〜 100%の大きさに設定している(図13参照)。弾発部材2の厚さ寸法dが、枢結部10の厚さ寸法W0 の15%より小さいと、弾発部材2の十分な強度及び剛性を確保できず、レスト部3の最終傾倒状態を安定して保持できない。また、弾発部材2の厚さ寸法dが、枢結部10の厚さ寸法W0 の 100%より大きいと、角度調整金具1の幅寸法が過大となり、ソファーSへの取付けが制限される虞がある。
なお、角度調整金具1の枢結部10の内部機構としては、(図示省略するが)爪とギヤ歯との噛合によるラチェット機構を有するものでもよく、本発明の要旨を変更しない程度であれば設計の変更が可能である。
【0020】
そして、本発明の角度調整金具1は、図2〜図8の実施の形態に於て、さらに、図9〜図13の他の実施の形態に於ても、(図1に示したように、)レスト部3に取着される揺動アーム47と、固定基部40F,41F,43Fに固着される取付アーム46と、両アーム47,46を枢結した枢結ピン部材13とを、備えている。
上記取付アーム46は、枢結ピン部材13に基端が非回転状態として枢着された前記取付片部12と、この取付片部12の基端に固着された前記カバー部材7とを、有する。このように、カバー部材7と帯板状の取付片部12とは、(一体状として)非回転状態に連結されている。
【0021】
また、揺動アーム47は、ピン部材13に基端45が枢着される揺動片部11と、レスト部3の内部フレーム49が固着されるブラケット48と、このブラケット48と揺動片部11とを連結して平行リンク機構Hを構成する2本の平行なリンク片34,35と、を備えている。
この平行リンク機構Hは、4本のピン57,58,59,60によって相互に枢結されたブラケット48と揺動片部11とリンク片34,35とから構成され、ブラケット48は常に揺動片部11と平行を保ちつつ、図2の(A)(B)(C)(D)のように、揺動片部11の基端45側と先端44側の間を往復平行移動自在である。
【0022】
そして、表皮皺発生防止機構50は、上記ブラケット48と、ブラケット48と揺動片部11とを連結する前記リンク片34,35と、このリンク片34,35の内の一方34とカバー部材7とを連結する連結アーム37とを、具備する。
レスト部3の起立方向Aへの揺動に伴ってブラケット48を先端方向P―――先端44の方向―――へ移動させることで、揺動アーム47の腕の長さL47を、増加させる作用を、この連結アーム37が果たしている。
本発明に於て、揺動アーム47の腕の長さL47とは、枢結ピン部材13の軸心―――即ち、水平状揺動軸心L13―――を中心点として、ブラケット48の最先端部48Aまでの距離(寸法)を言う。
【0023】
さらに具体的に説明すると、連結アーム37は、弯曲した板片から成り、基端はピンによって薄い円盤状のカバー部材7に、揺動自在に枢着されると共に、先端はピン39によって、(枢結ピン部材13に近い側の)リンク片34の長手方向中間部に、揺動自在に枢着されている。
基端のピン38の枢着位置は、軸心L13に関して、ブラケット48の在る側とは反対側―――反先端方向―――であって、かつ、取付片部12の在る側とは反対側に、設定する。
ピン38,39を上述のように設けることで、連結アーム37は、平行リンク機構Hの一部を成すアーム34を揺動させて、平行リンク機構Hの他の一部を成すブラケット48を、先端方向Pへ、図2の(A)→(B)→(C)のように移動させ、あるいは、図4→図5→図6→図7のように移動させ、腕の長さL47をしだいに増加させ、ブラケット48に固着したレスト部3の内部フレーム49を、図1中の矢印Pの方向へ移動させ、レスト部3の起立方向Aへの作動時に(共通)表皮28を引張って、この表皮52に弛み皺53(図17参照)が発生することを防止する。
【0024】
ところで、図2、あるいは、図4〜図7でも明らかなように、カバー部材7は薄型円盤状であって、全く円周面に突出部(突隆部)が存在せず、表皮28を内面(裏面)から傷付けることがない利点があり、さらに、ピン部材13の軸心が該当する水平状揺動軸心L13と平行な方向から見て、連結アーム37は、円盤状のカバー部材7及び揺動片部11の内の少なくとも一方とは、常時重なり合って、矢印(A)(B)方向に揺動している。つまり、本発明に係る連結アーム37の弯曲状又はくの字状の(折曲状の)形状とすると共に、アーム37の寸法と、両端の枢結位置―――ピン38,39の配設位置―――を、アーム37がカバー部材7及び揺動片部11のいずれかとは常時重なって見えるように、設定することで、表皮28を内面(裏面)から傷付けることを防いでいる。
【0025】
本発明の他の実施形態に関して追加説明すると、図9〜図13、及び、図1に於て、レスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制する回転抵抗モーメントMを付与する弾発部材2―――具体的には渦巻きばね20―――を、カバー部材7に於ける連結アーム37の配設側面と反対側面に、付設している。これによって、図9で明らかなように、ピン部材13の軸心と平行な方向の厚さ寸法を減少できて、コンパクト化を達成している。
【0026】
そして、弾発部材2は、表皮28が何らかの荷重を受けて、最終傾倒状態のレスト部3に作用する張力に対抗して、レスト部3を最終傾倒状態にて保持できる程度の抵抗力をもって起立方向Aへの揺動を抑制している。
なお、本発明に於て、「揺動を多段階で阻止する」とは、レスト部3を最終傾倒状態から起立方向Aに揺動させて最終起立状態とする範囲で、等ピッチで7段階以上の姿勢保持角度を設定し、起立方向Aに揺動したレスト部3が傾倒方向Bに戻らないように段階的に規制することを意味する。
これを、ヘッドレスト部30を例として、具体的に説明すれば、ヘッドレスト部30を水平姿勢とした最終傾倒状態から鉛直姿勢とする範囲で、等ピッチで例えば16段階の姿勢保持角度を設定し、前方(起立方向A)に揺動したヘッドレスト部30が後方(傾倒方向B)に戻らないように段階的に規制している。あるいは、フットレスト部31を例として、具体的に説明すれば、フットレスト部31を鉛直姿勢とした最終傾倒状態から水平姿勢とする範囲で、等ピッチで例えば16段階の姿勢保持角度を設定し、上方(起立方向A)に揺動したフットレスト部31が下方(傾倒方向B)に戻らないように段階的に規制している。
【0027】
さらに、追加説明すると、図12と図13に示すように、レスト部3に平行リンク機構Hを介して取着される揺動片部11と、ソファーSの固定側に固着される取付片部12と、取付片部12に非回転状に組立てられると共に揺動片部11と取付片部12とを枢結した枢結ピン部材13とを、備えている。枢結ピン部材13は、取付片部12に嵌合しつつ、揺動片部11を揺動軸心L13廻りに揺動自在として枢着している。枢結ピン部材13は、一端を大径のヘッド33とし、このヘッド33に揺動軸心L13方向に直交状の係止溝13aを形成している。枢結ピン部材13の他端は、小径として、組立状態でカシメ等によって抜止めされている。
弾発部材2は、渦巻き状の金属製ゼンマイばねから成る渦巻きばね20であって、くの字状に折り曲げた外端部22を、揺動片部11の基端部寄りに突設した係止部11aに止着し、かつ、略直角に折り曲げた内端部21を、枢結ピン部材13の係止溝13aに止着している。渦巻きばね20は、最終傾倒状態のレスト部3に於て、緊張状態の表皮28がさらに荷重を受けても、揺動片部11の起立方向Aへの揺動を抑制して、レスト部3が起立しない程度の抵抗力を回転抵抗モーメントMとして弾発的に揺動片部11に付与している。
【0028】
なお、ブラケット48の形状は、揺動片部11の長手方向から見て倒立L字型であって、上面壁には内部フレーム49を(図示省略のネジやボルトやリベット等にて)固着するための取付孔36が、図3,図9のように有し、また、鉛直壁には、ピン39が嵌入自在なU字状切欠凹部29を図5,図6のように有している。この切欠凹部29を有することで、ピン39が嵌入した状態で、極めてコンパクトとなる(図2A,図3,図10等参照)。
【0029】
上述した本発明の角度調整金具の使用方法(作用)について説明する。
まず、図1に示すソファーSを製作する工程、又は、表皮28の張り替え作業に於て、ソファーSの固定側からレスト部3にかけて表皮28を張設する。この際、レスト部3をソファーSの固定側に取り付ける角度調整金具1,1は、弾発部材2による回転抵抗モーメントM(図10,図12参照)をもってレスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制する。レスト部3が最終傾倒状態を保持しつつ、表皮28に適度な緊張状態を与えて張るため、レスト部3を起立して使用する際に、表皮28に余裕が生じるが皺の発生は減少できる。本発明の図9〜図13の実施の形態では、さらに、表皮皺発生防止機構50をプラス(付加)した構成であるので、レスト部3を起立した状態で使用する際に、表皮28には、(図17のような従来の)皺53が生じないで、平滑な美しい感じを与える。
【0030】
次に、レスト部3を傾倒方向Bへ可動域限界まで、つまり、最終傾倒状態に揺動させたソファーSに於て、人が腰掛けて座部41及び背もたれ部40に荷重がかかると、座部41の表皮28が人の荷重により沈み込み、又は、背もたれ部40の表皮28が下方へ引きずられ、レスト部3に作用する張力が増大する。この際、弾発部材2は、回転抵抗モーメントMを抵抗力としてレスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制し、確実に最終傾倒状態にて保持する。
【0031】
その後、図1及び図16に示すように最終傾倒状態からレスト部3を回転抵抗モーメントMに反して起立方向Aに起き上がらせていく。図16(a)に於て、浮動くさび部材4は、歯面4aがギヤ部11bに噛合し、かつ、当接面4bがくさび面5aに当接している。図16(b)に示すように、起立方向Aにギヤ部11bを揺動させると、浮動くさび部材4の当接面4bは、くさび面5aから離れて僅かな間隙gを生じる。図16(c)に示すように、さらに起立方向Aにレスト部3を揺動させると、浮動くさび部材4の誘導勾配面14がくさび形窓部5の浮動段付部8に当接し、歯面4aとギヤ部11bとの噛合が解除され、歯面4aがギヤ部11bに弾かれるようにカチカチと音を立てつつ乗り越える。レスト部3の揺動を所望の位置で停止すると、バネ線材6によって、浮動くさび部材4がギヤ部11bに押し付けられ、歯面4aがギヤ部11bに噛合する。くさび作用によりレスト部3の傾倒方向Bへの揺動は規制され、所望の傾斜角度をもって保持される。
【0032】
なお、図1,図2等の図面、及び、上述の説明とは逆に、レスト部3に取付アーム46を固着し、かつ、固定基部40F,41F,43F側に揺動アーム47を取着するも、望ましい場合がある(図示省略)。即ち、揺動アーム47のブラケット48を、固定基部40F,41F,43Fの内部フレームに固着し、取付アーム46はレスト部3の内部フレーム49に固着する。このときには、水平状揺動軸心L13が固定基部40F,41F,43Fに対して略平行移動又は略円弧状移動を行うこととなるが、表皮28に弛み皺が発生することを、同様に防止できる。しかも、レスト部3の内部フレーム49に於て、取付アーム46との連結・接続部分の形状や構成を種々のものに設計変形容易となる利点がある。
【0033】
図15に示すように、レスト部3を所定量揺動させて最終起立状態とすると、図16(d)に示すように、押込突部15が浮動くさび部材4に当接し、浮動くさび部材4を押圧する。図16(e)に示すように、さらに起立方向Aにレスト部3を揺動させると、浮動くさび部材4は、誘導勾配面14をくさび形窓部5の浮動段付部8に摺接しつつ退避空間部9に案内(誘導)される。浮動くさび部材4が退避空間部9に収納される(図8が対応する)と、歯面4aとギヤ部11bの噛合は解除され、傾倒方向Bへの揺動が自由になる。そして、図16(f)に示すように、レスト部3を傾倒方向Bへ揺動し、最終傾倒状態まで復元すると、押出突部16が浮動くさび部材4に当接し、浮動くさび部材4を退避空間部9から押し出す。このようにして、再び図16(a)に示す状態として、歯面4aがギヤ部11bに噛合し、レスト部3の傾倒方向Bへの揺動を規制する。
【0034】
なお、角度調整金具1がレスト部3の傾動方向Bへの揺動を阻止する段数としては、7段以上の段数―――これを本発明では「多段階」という―――にて阻止して所望の傾斜角度に保持する場合を主として説明したが、本発明では、この段数を、2段〜6段の複数段とするも、自由であり、さらには、1段(単段)とすることも可能である。
【0035】
以上のように、本発明は、リクライニングするレスト部3を備えたソファーSに用いられ、レスト部3の起立方向Aへの揺動を可能としつつ傾倒方向Bへの揺動を阻止して所望の傾斜角度で保持する角度調整金具に於て、レスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制する回転抵抗モーメントMを付与する弾発部材2を設けたので、回転抵抗モーメントMによりレスト部3がソファーSの表皮28に引っ張られて起立方向Aへ揺動するのを防止でき、レスト部3を最終傾倒状態としてソファーSを使用する際にも、レスト部3が不意に起き上がることがなく、安定して姿勢を保持できる。また、最終傾倒状態までレスト部3を倒した姿勢を保持しながら表皮28に適当な張力をもたせて張設することができ、レスト部3を起立状態として使用する際にも、表皮28が不要に弛むことがなく見栄え良く製作できる。
【0036】
本発明は以上述べたように、水平状揺動軸心L13廻りに傾動可能なレスト部3を有すると共に、該レスト部3は共通表皮28をもって固定基部40F,41F,43Fと共に被覆された家具に用いられ、かつ、上記レスト部3の起立方向Aへの揺動を可能としつつ傾倒方向Bへの揺動を単段階又は複数段階(多段階)で阻止して所望の傾斜角度で保持する角度調整金具に於て、上記レスト部3の起立方向Aへの揺動に伴って上記共通表皮28に弛み皺が発生することを抑制する表皮皺発生防止機構50を、備えた構成であるので、傾倒姿勢から起立方向Aへ起立させてゆくに従って、表皮28に張り力が作用して、弛み皺が発生せず、美しい平滑面を保ち、特に革張りの厚肉の豪華な家具の使用感及び美感を向上できる。
【0037】
また、上記レスト部3に取着される揺動アーム47と、上記固定基部40F,41F,43Fに固着される取付アーム46と、該揺動アーム47と該取付アーム46を枢結した枢結ピン部材13とを、備え、上記揺動アーム47は、上記ピン部材13に基端45が枢着される揺動片部11と、上記レスト部3の内部フレーム49が固着されるブラケット48と、該ブラケット48と該揺動片部11とを連結して平行リンク機構Hを構成する2本の平行なリンク片34,35と、を備え、上記取付アーム46は、上記ピン部材13に基端が枢着される取付片部12と、該取付片部12の上記基端に固着されたカバー部材7と、を有し、上記表皮皺発生防止機構50は、上記ブラケット48と、上記ブラケット48と上記揺動片部11とを連結して上記平行リンク機構Hを構成する2本の上記リンク片34,35と、該リンク片34,35の内の一方と上記カバー部材7とを連結して、上記レスト部3の起立方向Aへの揺動に伴って上記ブラケット48を先端方向Pへ移動させることで、上記揺動アーム47の腕の長さL47を増加させる連結アーム37とを、具備しているので、角度調整金具としての部品点数が少なくて済み、かつ、軸心方向の寸法が小さく、全体にコンパクトで構造が簡素で、軽量かつ安価となる。特に、コンパクトにかかわらず、ブラケット48のストローク(先端方向Pへの移動量)が十分大きくとることができる。
【0038】
また、上記カバー部材7を薄型円盤状とすると共に、上記ピン部材13の軸心が該当する上記水平状揺動軸心L13と平行な方向から見て、上記連結アーム37は、円盤状の上記カバー部材7と上記揺動片部11の内の少なくとも一方と常時重なり合っているように、形状及び寸法と両端枢結位置を、設定したので、表皮28に局部的な小盛り上り(小突隆部)を発生することがなく、使い心地の良いソファー等の家具が得られ、かつ、表皮28が裏面側から損傷することも防止できる。しかも、外からの美感上も優れている結果となる。
また、上記レスト部3の起立方向Aへの揺動を抑制する回転抵抗モーメントMを付与する渦巻きばね20を、上記カバー部材7に於ける上記連結アーム37の配設側面と反対側面に、付設したので、軸心方向の厚さ寸法を減少して、コンパクトな構造とでき、回転抵抗モーメントMを確実に発生可能で、ソファー等の内部に付設し易い。
【符号の説明】
【0039】
3 レスト部
7 カバー部材
11 揺動片部
13 枢結ピン部材
28 (共通)表皮
40F,41F,43F 固定基部
45 基端
46 取付アーム
48 ブラケット
48A 最先端部
50 表皮皺発生防止機構
A 起立方向
B 傾倒方向
L13 揺動軸心
L47 腕の長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平状揺動軸心(L13)廻りに傾動可能なレスト部(3)を有すると共に、該レスト部(3)は共通表皮(28)をもって固定基部 (40F)(41F)(43F) と共に被覆された家具に用いられ、かつ、上記揺動軸心(L13)に配設される枢結ピン部材(13)と、該枢結ピン部材(13)によって相互に枢結された取付アーム(46)と揺動片部(11)とを、備えると共に、上記取付アーム(46)は上記固定基部 (40F)(41F)(43F) に固着され、上記レスト部(3)の起立方向(A)への揺動を可能としつつ傾倒方向(B)への揺動を阻止して所望の傾斜角度で保持する角度調整金具に於て、
上記レスト部(3)の起立方向(A)への揺動に伴って上記共通表皮(28)に弛み皺が発生することを抑制する表皮皺発生防止機構(50)を、備え、
さらに、上記表皮皺発生防止機構(50)は、上記揺動片部(11)と平行を保ちつつ、該揺動片部(11)の基端(45)側と先端側の間を往復平行移動するブラケット(48)を備え、上記枢結ピン部材(13)の軸心を中心点として上記ブラケット(48)の最先端部(48A)までの距離(L47)を伸長短縮自在に構成したことを特徴とする角度調整金具。
【請求項2】
上記取付アーム(46)はその基端にカバー部材(7)を具備し、該カバー部材(7)は上記枢結ピン部材(13)の軸心を中心点とした薄型円形状であって、上記共通表皮(28)の内面から傷付けることがないように円周面に突出部が存在しない請求項1記載の角度調整金具。
【請求項1】
水平状揺動軸心(L13)廻りに傾動可能なレスト部(3)を有すると共に、該レスト部(3)は共通表皮(28)をもって固定基部 (40F)(41F)(43F) と共に被覆された家具に用いられ、かつ、上記揺動軸心(L13)に配設される枢結ピン部材(13)と、該枢結ピン部材(13)によって相互に枢結された取付アーム(46)と揺動片部(11)とを、備えると共に、上記取付アーム(46)は上記固定基部 (40F)(41F)(43F) に固着され、上記レスト部(3)の起立方向(A)への揺動を可能としつつ傾倒方向(B)への揺動を阻止して所望の傾斜角度で保持する角度調整金具に於て、
上記レスト部(3)の起立方向(A)への揺動に伴って上記共通表皮(28)に弛み皺が発生することを抑制する表皮皺発生防止機構(50)を、備え、
さらに、上記表皮皺発生防止機構(50)は、上記揺動片部(11)と平行を保ちつつ、該揺動片部(11)の基端(45)側と先端側の間を往復平行移動するブラケット(48)を備え、上記枢結ピン部材(13)の軸心を中心点として上記ブラケット(48)の最先端部(48A)までの距離(L47)を伸長短縮自在に構成したことを特徴とする角度調整金具。
【請求項2】
上記取付アーム(46)はその基端にカバー部材(7)を具備し、該カバー部材(7)は上記枢結ピン部材(13)の軸心を中心点とした薄型円形状であって、上記共通表皮(28)の内面から傷付けることがないように円周面に突出部が存在しない請求項1記載の角度調整金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−228500(P2012−228500A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164335(P2011−164335)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【分割の表示】特願2011−96768(P2011−96768)の分割
【原出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(503315654)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【分割の表示】特願2011−96768(P2011−96768)の分割
【原出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(503315654)
【Fターム(参考)】
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