説明

解熱治療のためのラジカル捕捉物質の局所使用

本発明は、解熱治療のための局所調合剤における治療に有効な物質としての1つ又は複数のラジカル捕捉物質の使用に関する。本発明の対象は、発熱治療のための組合せ製剤における、作用物質としてのラジカル捕捉物質の使用でもあり、その場合に組合せ製剤は、1つの局所調合剤と1つの経口調合剤を自由に組み合わせて含み、両調合剤は互いに独立していて1つ又は複数のフリーラジカル捕捉物質を含む。組合せ製剤のこの両調合剤は本発明によって、同時に、別々若しくは時間をあけて順に投与することが考慮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解熱治療のための局所調合剤における治療に有効な物質としての1つ又は複数のラジカル捕捉物質の使用に関する。本発明の対象は、発熱治療のための組合せ製剤における、作用物質としてのラジカル捕捉物質の使用でもあり、その場合に組合せ製剤は、1つの局所調合剤と1つの経口調合剤とを自由に組み合わせて含み、両調合剤は互いに独立していて1つ又は複数のフリーラジカル捕捉物質を含む。組合せ製剤のこの両調合剤は本発明によって、同時に、別々若しくは時間をあけて順に投与することが考慮される。
【0002】
発熱は、体温の上昇に特徴付けられる生理的状態である。38〜38.5℃で、ある程度の熱があると言われ、39〜40.5℃で高熱、及びそれ以上で非常に高い熱があると言われる。
【背景技術】
【0003】
現在、経口解熱物質として通常2種の作用物質階級が使用されていて、それはサリチル酸エステルとパラアミノフェノール誘導体である。アセチルサリチル酸(例えばアスピリン)によって特徴付けられるサリチル酸エステルは、最も使用される解熱作用物質である。アスピリンは原理的には大部分の人に適合するが、一連の毒性副作用、則ちサリチル酸エステル誘導の胃潰瘍及び時には胃腸出血がその使用に結び付けられる。パラアミノフェノール誘導体のアセトアミノフェン及びフェナセチンは、その解熱作用に関してアスピリンの代替となり、その場合にアセトアミノフェンはフェナセチンより幾らか毒性が低く、アスピリンの望まれない副作用も現れない。しかしながらアセトアミノフェンでは、急に過剰服用した場合には肝臓懐死の危険が生ずる。慢性の過剰服用では、急性毒性形としての溶血性貧血が起こり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、発熱治療のための代替作用物質を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によってラジカル捕捉物質又はラジカル捕捉物質混合物を含む局所適用可能な調合剤形を提供することによって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
37℃以上、特に37〜45℃の範囲に皮膚温度が上昇する場合に皮膚上のフリーラジカルが急激に増加することと、この体温上昇によるフリーラジカルの発生が、ラジカル捕捉剤、特に酸化防止剤を用いると、フリーラジカルを捕捉する特定の能力を用いてこれを減少することができるだけではなく、同時に熱を下げる作用も引き起こされることが判明した。
【0007】
したがって本発明によって、特にそのラジカル保護係数が調合剤1mg当たり少なくとも250×1014ラジカルの局所調合剤が適し、これは、電子スピン共鳴(ESR)を用いた試験物質溶液のフリーラジカル数(S1)を、関係式
RPF=(RC×RF)/PI
[但し、RF=(S1-S2)/S1、RCは試験物質濃度(ラジカル/ml)、PIは作用物質調合剤の濃度(mg/ml)、S2は酸化防止剤溶液の信号振幅]
による調合剤のESR測定結果と比較して確定することにより測定した。好ましくはラジカル保護係数は調合剤1mg当たり800×1014ラジカル、特に好ましくは調合剤1mg当たり30000×1014ラジカルである。
【0008】
ラジカル保護係数(RPF)は、試験物質に対する酸化防止剤ないしラジカル捕捉剤によるフリーラジカル結合の活性を表す。
【0009】
ラジカル捕捉剤は、例えば皮膚病の調合剤中で皮膚に塗布することができる。
【0010】
本発明の調合剤は、ラジカル捕捉剤以外に、更に例えば水、保存料、色素、粘稠剤、保湿物質、アルコール、ポリオール、電解質、ゲル化剤、極性及び無極性油、ポリマー、共重合体、乳化剤、安定剤、充填剤などの通常その種の調合剤に使用されるような皮膚病の補助及び担持物質を含む。
【0011】
ラジカル捕捉物質を局所適用するためには、これを調剤として認められる少なくとも1つの担持物質及び場合によっては別の補助物質と共に、慣例の方法で例えばクリーム、ジェル、軟膏又はエマルションなどの皮膚に塗布可能な固体形ないし例えば溶液、懸濁液、ローション、洗浄液、血清又はオイルなどの皮膚に塗布可能な液体形に処方する。
【0012】
軟膏、クリーム又はジェルに適する基剤は、例えばワセリン、固体パラフィン又は流動パラフィンなどのパラフィン、中鎖トリグリセリド、天然ろう、羊毛ろう、ミリスチン酸イソプロピル、高分散二酸化珪素、ベントナイト、澱粉、アルギン酸塩、セルロース及びセルロースエーテル、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどである。
【0013】
ローション及び溶液に適する溶剤は、水又は水-アルコール混合物である。
【0014】
酸化防止剤の担持体系としては、当然リポソーム、シクロデキストリン又はナノ粒子も用いられ、これらは酸化防止剤の皮膚内への最適な搬送を保証する。局所調合剤としては、例えば、酸化防止剤を担持体と共に含む粘着物質、絆創膏又は包帯などの皮膚移送系も考慮される。
【0015】
有用な担持体は、酸化防止剤の皮膚への浸透を促進させるために吸収能のある薬理的に適する溶剤を含むことができる。
【0016】
ラジカル捕捉物質の皮膚への良好な浸透を保証する溶剤は、例えばアルコールであるフェニルエタノール-1、グリセリン若しくはエタノール、又は、それらの混合物である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、局所調合剤は酸化防止剤用の安定剤を含む。
【0018】
好ましい治療調合剤は、チンキ剤若しくは浴剤の形の水系、又は、浴剤を調合するために考慮される乾燥物質でもある。
【0019】
本発明によって、一般によく知られた全ての酵素及び非酵素酸化防止剤が皮膚に適用される調合剤に処方され、相応のラジカル保護係数を有する限りにおいては、それらをラジカル捕捉物質として使用することができる。
【0020】
使用された酸化防止剤は、例えばトコフェロール及びその誘導体、特にα-トコフェロールないしα-トコフェリルエステル、特に酢酸-、アシル酸-、ラウリン酸-、ミリスチン酸-、パルミチン酸-、オレイン酸-又はリノレン酸トコフェリル;ビタミンA及びその誘導体、特にパルミチン酸レチニル;ビタミンC及びその誘導体、特にイソアスコルビン酸塩、(2-又は3-又は6-)o-アルキルアスコルビン酸、例えば酢酸アスコルビル、リン酸アスコルビルなどのアスコルビン酸エステル、6-o-ラウロイル-、ミリストイル-、パルミトイル-、オレオイル-又はリノレオイル-L-アスコルビン酸;葉酸及びその誘導体により構成されるビタミン群から選択される。
【0021】
本発明によって使用可能なその他のラジカル捕捉剤は、フラボン、フラボノール、フラバノナール及びチャコン、特に例えばルチン、ナリンギン及びネオヘスペリジンなどのシトルスフラボノイドを含むフラボノイド;カロテノイド及び例えばα-カロテン及びβ-カロテンなどのカロテン;α-リポ酸、リポ酸アミド;例えばヒスチジン、グリシン、チロシン、トリプトファンなどのアミノ酸及びアミノ酸誘導体;例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸などのα-ヒドロキシ酸;尿酸及びその誘導体;ルチン酸、α-グルコシルルチン;例えばローズマリー酸又はフェルラ酸などのフェノールカルボン酸;フミン酸;胆汁酸及び胆汁酸メチル、-エチル、-プロピル、-アミル、-ブチル及び-ラウリルなどの胆汁酸誘導体;胆汁抽出物;不飽和脂肪酸;ユビキノン、ユビキノール;亜鉛及びその塩;セレン化合物;コエンザイムQ10;ウロカニン酸;レシチン;アントシアン;ポリフェノール;テトラヒドロジフェルロイルメタン(THC)により構成される群から選択される。
【0022】
国際出願公開99/66881号、国際出願公開01/26617号及び独国特許出願公開第10325156号に記述されている、高いラジカル保護係数を有する、RPF錯体として表される、植物エキスから成る調合剤も、本発明では酸化防止剤として適用することができる。
【0023】
その他の好ましい植物エキスは、アセロラエキス、レモン皮-又はレモン葉エキス(Citrus bigaradia、Citrus hystrix、Citrus aurantifolia、Citrofurtunella microcarpa、Citrus aurantium、Citrus reticulata)、ビターオレンジエキス(皮又は果実)、スペインチェリーキルシュのサクランボエキス、キウイエキス(Actinidia chinensis)、パパイアエキス(Caricae papayae)、茶エキス[緑茶又は紅茶の葉、ニュージャージーティーの葉又は樹皮(Ceanthus velutinas)]、緑豆又は煎り豆のコーヒー豆エキス、例えばPrunus armeniaca、Prunus dulcis、Prunus persica、Prunus domestica、Prunus spinosa、Prunus serotina、Prunus virginianaのプルーンエキス、メキシコ上皮樹の樹皮エキス(Mimosa tenuiflora)、アンゼリカの根エキス(Angelica archangelica)、Pongamia pinnataエキス、トマトエキスである。
【0024】
局所調合剤中のこの植物エキスの含有量は、0.05〜45重量%、好ましくは0.1〜40重量%、特に1.5〜20重量%であり、その場合にこれらのエキスの混合物も作用物質調合剤中に含ませることができる。濃度はエキスないしラジカル捕捉剤のラジカル保護係数に関連する。したがって、数週間から数ヶ月の比較的長期に亘って相応のラジカル保護係数がほぼ保持される限りにおいては、10000〜90000の非常に高いラジカル保護係数を有するエキスを0.1重量%の比較的低い濃度で含むことができる。
【0025】
局所調合剤の総重量に対して3〜33重量%、特に12〜26重量%のラジカル捕捉剤の量が特に好ましい。
【0026】
調合剤のラジカル保護係数は、調合剤1mg当たり少なくとも300×1014ラジカル、1mg当たり特に少なくとも800×1014ラジカル、1mg当たり特に好ましくは少なくとも1400×1014ラジカルである。
【0027】
調合剤のラジカル保護係数が、調合剤1mg当たり1500〜30000×1014ラジカルである本発明の実施形態が特別に好ましい。
【0028】
調合剤の総重量に対して5〜40重量%の範囲、特に8〜35重量%の範囲のラジカル捕捉剤又はラジカル捕捉剤混合物の濃度が好ましい。
【0029】
本発明によれば、スーパーオキシドジスムターゼなどの酵素酸化防止剤も、例えばカタラーゼやグルタチオン-ペルオキシダーゼなどの類似の活性を有する金属錯体も使用することができる。
【0030】
その他の好ましいラジカル捕捉剤は、国際出願公開99/66881号(例えば実施例1又は2)又は国際出願公開01/26617号により既に挙げられたRPF錯体Iである。これは、マイクロカプセル中に、シロケブラコの樹皮を抽出し、続いて酵素加水分解することによって得られた、少なくとも90重量%のプロアントシアニジン-オリゴマー及び高々10重量%の没食子酸を含む生成物をある量で、並びに抽出によって得られた、Peptid Cecropine、アミノ酸及び1つのビタミン混合物を含むカイコエキス、非イオン性、カチオン性又はアニオン性ヒドロゲル又はヒドロゲル混合物、場合によってはシクロデキストリンで補充された1つ又は複数のリン脂質及び水(RPF2400)、及び以下に記述される酵母分解生成物(RPF4800)を有する作用物質調合剤により構成される。
【0031】
好ましいラジカル捕捉剤は、酵素とビタミンとから成る混合物、特に超音波処理によって生成された酵母の分解生成物でもあり、その場合にこの分解生成物は、SOD、プロテアーゼ、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD2及びビタミンEを含む。好ましくはこれは少なくとも150U/mlのSOD、プロテアーゼ、ビタミンB及びDを含み、その場合に国際単位としてのSOD:プロテアーゼ比は少なくとも3:1〜8:1の範囲にある(RPF2020×1014ラジカル/mg)。酵素/ビタミン混合物の製造は、独国特許第4241154号に記述されている超音波を用いた分解法によって行われ、その場合に超音波フローセル内にセル分散液又は懸濁液が超音波処理室を通って運ばれ、ソノトローデがその長さの半分から三分の二まで超音波フローセル内に突出し、その中の超音波処理媒体中に浸される。その場合にソノトローデの角度は80.5〜88.5°であり、mlでの超音波処理容積に対するmmでのソノトローデの浸漬長比は、1:1.1〜1:20の値に調節される。超音波処理媒体中の固体の割合は、1:0.02〜1:2.2(重量%)の範囲にある。セル分散液としては、パン酵母、ビール酵母、葡萄酒イーストなどの酵母、並びに、例えばSOD-強化酵母などの特別処理酵母を使用することができる。好ましく使用されるセル分散液は、例えばSaccharomyces cerevisiaeを含む。
【0032】
パン酵母又はバイオ酵母から成るそのような酵母分解生成物を、例えば1〜10重量%添加することによって、既に存在する別の酸化防止剤のラジカル保護係数を相乗的に上昇させることができる。
【0033】
その他の好ましいラジカル捕捉剤には、トマトエキス(1000);人参エキス(300);シクロデキストリン中のRPF-錯体+ビタミンE(7200);安定化ビタミンC(8290);パン酵母からの超音波酵母分解生成物(2020);菜種エキス(67000);シクロデキストリン中のRPF-錯体I(720);オルガノ油(オルガノックス)(90306);オルガノ粗エキス(80000);タンニン酸(310000);マツ樹皮エキス(12500);Himothatus sucrubaエキス(700);Emplica(登録商標)(メルク)(42400);ブドウ皮 白(53000);ブドウ皮 赤(95100);赤ワインからのフラボノイドエキス(6000):ローズマリー酸(36000〜68000):カレーエキス(12500);サフランエキス(900);オレンジ皮エキス(24000);菜種油(2550);イチゴ油(1300);緑茶エキス(21500);グレープフルーツエキス(53000);アスコルビルリン酸ナトリウム(35000);エーデルワイスエキス(15500);Camellia sinensisエキス(840)が属する(括弧内のRPF値は“×1014ラジカル/mg”を省略)。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、局所調合剤は、ラジカル捕捉剤又はラジカル捕捉剤混合物を慣例のリポソーム又は不斉ラメラ凝集体内にカプセル化して含む。この凝集体は、リン脂質及び酸素負荷炭化フッ素又は炭化フッ素混合物により構成される。炭化フッ素量は、0.2〜100%重量/体積の範囲にあり、その場合にリン脂質は好ましくは30〜99重量%を超えるホスファチジルコリン量を有し、その場合にこの凝集体は、炭化フッ素の臨界溶解温度に関連して皮膚に浸透し、凝集体は酸素担持体であり、酸素の皮膚内への浸透を可能にし、それによって皮膚に、より多くの酸素を供給する。酸素のみで負荷され、それによってラジカル捕捉剤の作用を更に促進する凝集体も調合剤中に含むことができる。
【0035】
この凝集体は、30〜99重量%を超えるホスファチジルコリン量を有する大豆レシチン及び卵レシチンなどのリン脂質又は合成リン脂質若しくは部分水素化リン脂質を、酸素及び二酸化炭素などの気体を搬送できる過フッ化又は高フッ化炭素化合物又はその混合物で高圧均質化することによって製造される。その中にはホスファチジルコリン以外に、リゾレシチンも凝集体の総重量に対して0.1〜10重量%の濃度範囲で、及び/又はホスファチジルエタノールアミン、n-アセチルホスファチジルエタノールアミン又はホスファチド酸などの電荷リン脂質が0.1〜30重量%の濃度範囲で存在することができる。
【0036】
周知の水性リポソーム(小胞)と異なり、このリン脂質安定化凝集体は、その核に酸素搬送能のある疎水炭化フッ素を担持している。その界面化学安定化は、まず逆配置の単層と、場合によってはそれに続いて二重層膜を構成することによって行われる。その構造配置の特殊性のために、この凝集体は不斉ラメラ酸素キャリヤーと呼ばれる。その並外れたコロイド化学安定性は、おそらく凝集体のラメラ構造と表面電荷に起因するものであろう。後者は天然及び合成由来のリン脂質ないしその混合物を適切に選択することに起因する。まず第一に好ましい効果に関しては、この意味ではリン脂質、特にホスファチジルコリンに因るものである。リン脂質の言及した効果は、対応する負のゼータ電位及び電荷密度の測定(カチオン高分子電解質での滴定)によって立証される。炭化フッ素凝集体の使用に関しては、選択された炭化フッ素又は炭化フッ素混合物の臨界溶解温度に関連する皮膚浸透が重要である(不斉ラメラ凝集体の使用に関しては独国特許出願公告第4221255号参照)。
【0037】
ここで使用された「炭化フッ素」という概念に関しては、酸素及び二酸化炭素などの気体を搬送することができる過フッ化又は高フッ化炭素化合物又は混合物と理解される。高フッ化炭化水素化合物は、本発明の意味においては、ほとんどの水素原子がフッ素原子で置換されたものであるので、更に置換される場合に気体搬送能力は必ずしも向上しない。これは、約90%までの水素原子がフッ素原子で置換された場合にほぼ達成される。本発明の意味においては、水素原子の少なくとも95%、好ましくは98%、最も好ましくは100%が置換された炭化フッ素が好ましい。例えば脂肪族直鎖及び分岐フルオロアルカン、単環式又は二環式及び場合によってはフルオロアルキル置換したフルオロシクロアルカン、過フッ化脂肪族又は二環式アミン、ビス-(ペルフルオロアルキル)-エテン、ペルフルオロポリエーテル又はその混合物など多種の炭化フッ素を使用することができる。ペルフルオロデカリン、F-ブチルテトラヒドロフラン、ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロオクチルブロミド、ビス-フルオロ(ブチル)-エテン又はビス-フルオロ(ヘキシル)-エテン又はC6-C9-ペルフルオロアルカンなどの炭化フッ素が特に好ましい。
【0038】
本発明による局所調合剤は、更にグリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール又はそれらの混合物などの保湿剤を含むことができる。
【0039】
既に記述されているように、慣例のリポソームも修正カオリン含有混合物用搬送系として本発明の調合剤中に使用することができる。リポソームは、水性の容量を包み込む完全閉鎖脂質二重層膜である。リポソームは、(単独膜二重層を有する)一枚膜小胞又は多重層小胞(それぞれの層が次の層から水性膜により隔てられる多重膜二重層を特徴とするタマネギ状構造)であり得る。二重層は、疎水性の「尻尾」領域と親水性の「頭」領域を有する二つの脂質単層により構成される。膜二重層構造は、脂質単層の疎水性(無極性)の「尻尾」が二重層の中心方向に向けられ、一方親水性の「頭」は水性相方向に向けられる。飽和及び不飽和脂質から成るリポソームの製造は、搬送系としてのその使用と同様に非常に多くの特許に記載されている。
【0040】
リン脂質としては、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチド酸及びリゾレシチン並びにそれらの混合物が使用される。よく知られている製品は、例えばPhoslipon(登録商標)又はNat(登録商標)である。
【0041】
本発明の調合剤で使用された油脂は、鉱物油;水素化ポリイソブテン;合成又は天然産物から製造されたスクワラン;分岐又は非分岐、飽和又は不飽和であり得る美容エステル又はエーテル;植物油;又はそれらの二つ又はそれ以上の混合物などの通常の美容油脂である。特に適する油脂は、例えばシリコーン油、鉱物油、水素化ポリイソブテン、ポリイソプレン、スクワラン、トリメリト酸トリデシル、トリイソステアリン酸トリメチルプロパン、クエン酸イソデシル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、PPG-15-ステアリルエーテル並びにキンセンカ油、ホホバ油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ひまし油、ココア脂、ココナッツバター、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、菜種油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、コムギ麦芽油、ぶどう種子油、ククイノキ種子油、ジステルオイル及びそれらの混合物などの植物油である。
【0042】
その都度どの油脂が選択されるかによって、透明度、軟らかさ、硬度、拡張作用などの固体合成品の皮膚科学性質が影響を受ける。
【0043】
本発明の調合剤は、O/W型又はW/O型エマルションとして存在し得る。O/W型エマルションに適する乳化剤は、例えば2〜30モルのエチレンオキシドの、直鎖C8-C22-脂肪アルコール、C12-C22-脂肪酸及びC8-C15-アルキルフェノールへの付加生成物;1〜30モルのエチレンオキシドのグリセリンへの付加生成物のC12-C22-脂肪酸モノ-及び-ジエステルである。
【0044】
W/O型エマルションに適する乳化剤は、例えば2〜15モルのエチレンオキシドのひまし油への付加生成物;C12-C22-脂肪酸とグリセリンのエステル、ポリグリセリン、ペンタエリトリット、糖アルコール(ソルビトールなど)、ポリグルコシド(セルロースなど);ポリアルキレングリコール;羊毛ろうアルコール;ポリシロキサン-ポリアルキルポリエーテルの共重合体である。
【0045】
既に記述されているように、ラジカル保護係数(RPF)は、試験物質へフリーラジカルを結合させる物質の活性を確定する。この試験物質は、周知の全ての酸化防止剤と反応する、反応性の非常に富んだ半安定ラジカルにより構成される。その種のラジカルには、Proxo(2,2,5,5-テトラメチル-1-ジヒドロピロリノキシ-ニトロキシド)、Tempol(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジノキシ-4-オール-ニトロキシド)、DTBN(ジ-tert.-ブチルニトロキシド、又は好ましくはDPPH(1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジルなどのニトロキシドが属する。
【0046】
RPFの測定は、試験ラジカルの信号振幅を、酸化防止剤/ラジカル捕捉剤と混合前及び後に電子スピン共鳴(ESR/EPR)によって測定し、そこからRPFを算出する方法で行われる。一連の標準酸化防止剤に関してはRPFは周知であり、したがってこれは、オール-トランス-レチノールに関しては827、オール-トランス-レチノールアセタートに関しては196、DL-α-トコフェロールに関しては41200、α-トコフェリルアセタートに関しては48である(それぞれ×1014ラジカル/mg)。
【0047】
ラジカル保護係数に関する正確な測定方法は、Herrling,Groth,FuchsとZastrowにより、コンファレンスマテリアルズ「美容処方への最新のチャレンジ(Modern Challenges To The Cosmetic Formulation)」(1997年、5月5日〜5月7日、デュッセルドルフ、150〜155ページ、f.chem.Ind.出版、1997年)に記述されている。その場合に試験物質(ここではDPPH)の周知の濃度又はそのフリーラジカル数(ml当たりのラジカル)から出発してESR分光計を用いて信号振幅S1が測定される。この試験ラジカルを酸化防止剤と同様に、ある(例えば0.1mの)水/アルコール溶液に溶解させる。それから酸化防止剤の信号振幅S2を測定する。両信号振幅間の規格化差分は還元係数RFである。
RF=(S1-S2)/S1
【0048】
試験物質のラジカル還元結果RC×RFを積の入力量PI(mg/ml)へ規格化する。その場合にRCは試験物質量、則ち試験物質の周知のラジカル数である。ラジカル保護係数は、下記の等式にしたがって算出される。
RPF = RC[ラジカル/ml] × RF / PI[mg/ml]
【0049】
結果は、RPF=N×1014[ラジカル/mg]となり、その場合にNは正の実数であり、RPFは簡略化してNの数値に短縮することができる。この短縮は、本発明の実施例で使用している。
【0050】
ラジカル保護係数は、ESR分光計(GALENUS GmbH、ベルリン、ドイツ)を用いて算出され、フリーラジカルを結び付けるその性能に関して生成物を特徴付ける大きさである。
【0051】
この方法は、in-vitro-方法であり、利用者の個人的性質により酸化防止剤が影響を受けるものではない。
【0052】
ラジカル保護係数が0であるシクロデキストリンを添加することによって、驚くことにこの係数が更に1.3〜10倍上昇することが観測される。
【0053】
シクロデキストリンとしては、市販のα-、β-若しくはγ-シクロデキストリン(Wacker-Chemie)、又は、その混合物が使用され得る。シクロデキストリンは薬用及び美容の作用物質用のカプセル化材料としてよく知られているが、ここではラジカル捕捉剤をカプセル化するためにも使用することができる。
【0054】
前述の局所調合剤は、ラジカル捕捉物質を治療に有効な量で含む。これは、性別、年齢及び患者の個人状態などの様々な要素にも熱の高さにも依存する。本発明の好ましい実施形態では、最終調合剤中に調合剤の総重量に対して5〜45重量%、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは10〜35重量%、特別に10〜20重量%の酸化防止剤が含まれる。
【0055】
典型的には例えばジェル又はクリームとしての局所薬学調合剤は、日に2〜6回適用され、その場合に第1適用後に再び適用する前には1〜2時間あけることができる。好ましくは局所調合剤を毎時間塗布する。その場合に、好ましくは脹ら脛、腕及び/又は背中に適用することができる。通常数時間後、遅くとも1〜2日後には39〜40.5℃の高熱を1〜3℃下げることができる。
【0056】
提案された局所治療を経口解熱治療に補足して行うことも当然可能である。したがって本発明の対象は、周知の解熱剤を同時に経口投与することを組み合わせて、前述のラジカル捕捉物質を記述されたように使用することでもある。その場合にこの解熱剤の用量は30〜70%減らすことができる。
【0057】
本発明は、治療に有効な量のラジカル捕捉物質又はラジカル捕捉物質の混合物を含む治療調合剤を、人の皮膚に好ましくは少なくとも2mg/cm2、特に好ましくは2〜10mg/cm2の量で塗布することを特徴とする解熱治療方法にも関する。特に局所調合剤を腕、足及び/又は背中に、好ましくは少なくとも4時間〜2日の間塗布する。調合剤のラジカル保護係数は、調合剤1mg当たり少なくとも250×1014ラジカルとなるはずである。
【0058】
そのような方法では、経口解熱剤を同時に投与することができる。好ましくは経口解熱剤の投与用量が30〜70%減らされる。
【0059】
本発明のその他の対象は、解熱治療用の組合せ調剤を製造するための、治療有効物質としてのラジカル捕捉物質の使用であり、この組合せ調剤は、局所調合剤と経口調合剤を自由に組み合わせて含み、その場合に各調合剤は1つ又は複数のラジカル捕捉物質を含む。本発明の対象は、組合せ調剤自体でもある。
【0060】
ラジカル捕捉物質を同時又は順に、系統的及び局所に投与することによって、より効果的に熱と闘うことができることが示された。
【0061】
本発明によって、経口調合剤は、(経口調合剤の総重量に対して)5〜20重量%、特に5〜15重量%のラジカル捕捉物質を含む。経口調合剤のラジカル捕捉物質は、トコフェロール及びその誘導体、特にα-トコフェロール;ビタミンA及びその誘導体、特にパルミチン酸レチニル;ビタミンC及びその誘導体、特にイソアスコルビン酸塩、(2-又は3-又は6-)o-アルキルアスコルビン酸、例えば酢酸アスコルビル、リン酸アスコルビルなどのアスコルビン酸エステル、6-o-ラウロイル-、ミリストイル-、パルミトイル-、オレオイル-又はリノレオイル-L-アスコルビン酸;葉酸及びその誘導体並びにそれらの混合物により構成されるビタミン群から選択される。経口調合剤のラジカル捕捉物質は、フラボン、フラボノール、フラバノナール及びチャコン、特に例えばルチン、ナリンギン及びネオヘスペリジンなどのシトルスフラボノイドを含むフラボノイド;カロテノイド及び例えばα-カロテン及びβ-カロテンなどのカロテン;α-リポ酸、リポ酸アミド;例えばヒスチジン、グリシン、チロシン、トリプトファンなどのアミノ酸及びアミノ酸誘導体;例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸などのα-ヒドロキシ酸;ルチン酸、α-グルコシルルチン;例えばローズマリー酸又はフェルラ酸などのフェノールカルボン酸により構成されるグループから選択することができる。
【0062】
本発明の組合せ調剤の経口調合剤としては、例えば錠剤、フィルム錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸薬、粉末、溶液又は懸濁液が、及びデポ製剤形も使用される。
【0063】
錠剤としての薬剤形は、例えばラジカル捕捉剤をデキストロース、糖、ソルビトール、マンニトール、ポリビニルピロリドンなどの周知の補助物質、トウモロコシ澱粉又はアルギン酸などの爆発剤、澱粉又はゼラチンなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウム又は滑石などの滑剤及び/又はカルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース又は酢酸ポリビニルなどのデポ製剤作用を達成可能な製剤と混合することによって得られる。錠剤は複数の層からなっていてもよい。
【0064】
同様に糖衣錠は、錠剤と同様に製造された核に、通常糖衣錠被覆に使用される製剤、例えばポリビニルピロリドン又はシェラック、アラビアゴム、滑石、二酸化チタン又は糖を被覆することによって調製することができる。その場合に糖衣錠被覆は複数の膜により構成されてもよく、その場合に例えば上述の補助物質が使用される。
【0065】
カプセルは、作用物質を乳糖又はソルビトールなどの担持体と混合し、それからこれをカプセルに入れることによって製造される。
【0066】
ラジカル捕捉剤を有する溶液、分散液又は懸濁液は、味を良くするためにサッカリン、シクラマート又は糖質などの物質及び/又はバニリン又はオレンジエキスなどの芳香物質を混合することができる。更にこれに、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなどの懸濁補助物質、又はp-ヒドロキシ安息香酸などの保存料を混合することができる。
【0067】
自由な組合せの局所調合剤は、既に先に挙げられたラジカル捕捉物質を同じく先に挙げられた量で含む。
【0068】
したがって本発明の対象は、人の解熱治療方法でもあり、その場合に1つ又は複数のラジカル捕捉物質を治療に有効な量含む局所調合剤を人の皮膚に塗布し、1つ又は複数のラジカル捕捉物質を治療に有効な量含む経口調合剤を同時又は順に投与する。
【0069】
錠剤などの経口調合剤は、好ましくは局所適用開始と同時に例えば朝投与し、場合によっては昼及び/又は晩に、好ましくは少なくとも晩にこれを繰り返す。大人1日当たりのラジカル捕捉剤の経口用量は20〜170mg、好ましくは100〜150mgである。この用量は1日当たり2〜3回の投与に分割することができる。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、本発明を制限することなくこれを詳しく説明するものである。
【0071】
実施例1 解熱クリームI
A相
ミリスチン酸イソプロピル 3.0
Steareth−2 2.3
Steareth−21 1.5
PPG−15ステアリルエーテル 3.0
B相
水 合わせて100
EDTA 0.04
カルボマー 0.3
水/NaOH 0.3
グリセリン 2.0
C相
ジメチコン 2.0
D相
保存料 0.1
メントール 1.0
E相
RPF-錯体1 10.0
赤ブドウの皮エキス 1.0
ローズマリー酸 0.5
Origanox(登録商標)WS 1.0
タンニン酸 1.0
1 国際出願公開99/66881号による(実施例1の作用物質錯体)
【0072】
別々に製造したA相とB相を75℃に加熱して撹拌しながらまとめる。この混合物を約45℃に冷却し、C相を撹拌しながら添加する。それから40℃に冷却する。撹拌しながらD相を添加した後に最後に35℃でE相を添加して、この混合物を均一に撹拌する。
RPF=4990×1014ラジカル/mg
【0073】
実施例2 解熱クリームII
A相
ミリスチン酸イソプロピル 3.0
Steareth−2 2.3
Steareth−21 1.5
PPG−15ステアリルエーテル 3.0
B相
水 合わせて100
EDTA 0.04
カルボマー 0.3
水/NaOH 0.3
グリセリン 2.0
C相
ジメチコン 2.0
D相
保存料 0.1
メントール 1.0
E相
安定化ビタミンC 9.5
白ブドウの皮エキス 1.3
ローズマリー酸 0.6
タンニン酸 1.0
緑茶エキス 0.7
【0074】
実施例3
実施例1のクリームを、解熱剤に対してアレルギー体質の、薬を服用していない62歳の男性の腕と足に塗布した。この男性の体温は、2時間後に39.4℃から38.5℃に下がり、更に2時間後には38.1℃になった。皮膚刺激状態は現れなかった。
【0075】
実施例4
実施例1のクリームを、解熱剤を中断してから24時間後に26歳の女性の腕、足及び背中に塗布した。この女性の体温は、3時間後に39.7℃から39.0℃に下がり、更に3時間後には38.6℃になった。皮膚刺激状態は現れなかった。
【0076】
実施例5
実施例2のクリームを、38歳の女性の腕、足及び背中に塗布した。この女性の体温は、4時間後に39.1℃から38.4℃に下がり、更に3時間後には37.9℃になった。皮膚刺激状態は現れなかった。
【0077】
実施例6
実施例2のクリームを、39.0〜39.4℃の熱を有する7人の被検査者の腕、足及び背中に毎時間塗布した。3時間後にこの熱は、0.5〜0.6℃下がり、更に2時間後には更に0.3〜0.4℃下がった。
【0078】
実施例7 ビタミン錠剤
以下のラジカル捕捉剤組成の錠剤を製造した。ビタミンC…98mg、ビタミンE…22mg、ナイアシン…15mg、パントテン酸B5…2mg、β-カロテン…7mg、ビタミンB6…1.7mg、ビタミンB2…1.4mg、葉酸…0.3mg、ビタミンB1…1.1mg、ビタミンB12…3mg、補助物質:微晶質セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ソルビトール及びトウモロコシ澱粉
【0079】
実施例8 組合わせ療法
実施例1のクリームを、39.2〜39.4℃の熱を有する10人の被検査者の腕、足及び背中に毎時間塗布した。これに並行して5人の被検査者に局部塗布開始と共に実施例7の錠剤をそれぞれ1錠投与した。残りの5人の被検査者は錠剤を服用しなかった。
【0080】
局部及び経口投与を並行して受けた最初の5人の被検査者は、熱が既に3時間後には38.2〜38.4℃に下がった。更に2時間毎時間クリーム塗布後に、この被検査者の体温は37.7〜38℃になった。
【0081】
実施例1のクリームの局部塗布を毎時間受けた5人の被検査者は、3時間後に0.5〜0.7℃体温が低くなった。更に腕、足及び背中に毎時間クリームを塗った2時間後には、その体温は38.2〜38.5℃であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解熱治療用の局所調合剤を製造するための、治療有効物質としての1つ又は複数のラジカル捕捉物質の使用。
【請求項2】
電子スピン共鳴(ESR)を用いた試験物質溶液のフリーラジカル数(S1)を、関係式
RPF=(RC×RF)/PI
[但し、RF=(S1-S2)/S1、RCは試験物質濃度(ラジカル/ml)、PIは作用物質調合剤の濃度(mg/ml)、S2は酸化防止剤溶液の信号振幅]
による調合剤のESR測定結果と比較して確定することにより測定された調合剤のラジカル保護係数が、調合剤1mg当たり少なくとも250×1014ラジカル、好ましくは800×1014ラジカル、特に好ましくは30000×1014ラジカルとなることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ラジカル捕捉物質が、トコフェロール及びその誘導体、特にα-トコフェロール;ビタミンA及びその誘導体、特にパルミチン酸レチニル;ビタミンC及びその誘導体、特にイソアスコルビン酸塩、(2-又は3-又は6-)o-アルキルアスコルビン酸、例えば酢酸アスコルビル、リン酸アスコルビルなどのアスコルビン酸エステル、6-o-ラウロイル-、ミリストイル-、パルミトイル-、オレオイル-又はリノレオイル-L-アスコルビン酸;葉酸及びその誘導体並びにそれらの混合物により構成されるビタミン群から選択されることを特徴とする、請求項1及び2に記載の使用。
【請求項4】
ラジカル捕捉物質が、フラボン、フラボノール、フラバノナール及びチャコン、特に例えばルチン、ナリンギン及びネオヘスペリジンなどのシトルスフラボノイドを含むフラボノイド;カロテノイド及び例えばα-カロテン及びβ-カロテンなどのカロテン;α-リポ酸、リポ酸アミド;例えばヒスチジン、グリシン、チロシン、トリプトファンなどのアミノ酸及びアミノ酸誘導体;例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸などのα-ヒドロキシ酸;尿酸及びその誘導体;ルチン酸、α-グリコシルルチン;例えばローズマリー酸又はフェルラ酸などのフェノールカルボン酸;フミン酸;胆汁酸及び胆汁酸メチル、-エチル、-プロピル、-アミル、-ブチル及び-ラウリルなどの胆汁酸誘導体;胆汁抽出物;不飽和脂肪酸;ユビキノン、ユビキノール;亜鉛及びその塩;セレン化合物;コエンザイムQ10;ウロカニン酸;レシチン;アントシアン;ポリフェノール;テトラヒドロジフェルロイルメタン(THC);独国特許出願公開第10325156号によるRPF-錯体;国際出願公開01/26617号によるRPF-錯体;国際出願公開99/66881号によるRPF-錯体;及びそれらの混合物により構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1及び2に記載の使用。
【請求項5】
ラジカル捕捉物質が、スーパーオキシド-ジスムターゼ、カタラーゼ及びグルタチオン-ペルオキシダーゼを含む酵素酸化防止剤群から選択されることを特徴とする、請求項1及び2に記載の使用。
【請求項6】
局所調合剤が、5〜45重量%、好ましくは10〜20重量%のラジカル捕捉物質を含むことを特徴とする、請求項1及び2に記載の使用。
【請求項7】
局所調合剤が、液体又は固体形のクリーム、軟膏、ローション、チンキ、浴剤として洗浄液、血清、ゲル又はオイル内に適用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
それぞれが1つ又は複数のラジカル捕捉物質を含む局所調合剤と経口調合剤とを自由に組み合わせて含む解熱治療用の組合せ調剤を製造するための、治療有効物質としてのラジカル捕捉物質の使用。
【請求項9】
経口調合剤が、経口調合剤の総重量に対して5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%のラジカル捕捉物質を含むことを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
経口調合剤のラジカル捕捉物質が、トコフェロール及びその誘導体、特にα-トコフェロール;ビタミンA及びその誘導体、特にパルミチン酸レチニル;ビタミンC及びその誘導体、特にイソアスコルビン酸塩、(2-又は3-又は6-)o-アルキルアスコルビン酸、例えば酢酸アスコルビル、リン酸アスコルビルなどのアスコルビン酸エステル、6-o-ラウロイル-、ミリストイル-、パルミトイル-、オレオイル-又はリノレオイル-L-アスコルビン酸;葉酸及びその誘導体、並びに、それらの混合物により構成されるビタミン群から選択されることを特徴とする、請求項8又は9に記載の使用。
【請求項11】
経口調合剤のラジカル捕捉物質が、フラボン、フラボノール、フラバノナール及びチャコン、特に例えばルチン、ナリンギン及びネオヘスペリジンなどのシトルスフラボノイドを含むフラボノイド;カロテノイド及び例えばα-カロテン及びβ-カロテンなどのカロテン;α-リポ酸、リポ酸アミド;例えばヒスチジン、グリシン、チロシン、トリプトファンなどのアミノ酸及びアミノ酸誘導体;例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸などのα-ヒドロキシ酸;ルチン酸、α-グルコシルルチン;例えばローズマリー酸又はフェルラ酸などのフェノールカルボン酸により構成される群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項12】
局所調合剤が、請求項2乃至5に記載のラジカル捕捉物質を含むことを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項13】
局所調合剤が、5〜45重量%、好ましくは10〜20重量%のラジカル捕捉物質を含むことを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項14】
局所調合剤と経口調合剤とを、同時若しくは順に投与することを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項15】
経口調合剤として、錠剤、カプセル、糖衣錠、粉末、溶液又は懸濁液が使用されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項16】
1つ又は複数のラジカル捕捉物質の、治療に有効な量を含む局所調合剤を、人の皮膚、特に腕、足及び/又は背中に、好ましくは毎時間1回塗布することを特徴とする、人の解熱治療方法。
【請求項17】
電子スピン共鳴(ESR)を用いた試験物質溶液のフリーラジカル数(S1)を、関係式
RPF=(RC×RF)/PI
[但し、RF=(S1-S2)/S1、RCは試験物質濃度(ラジカル/ml)、PIは作用物質調合剤の濃度(mg/ml)、S2は酸化防止剤溶液の信号振幅]
による調合剤のESR測定結果と比較して確定することにより測定された調合剤のラジカル保護係数が、調合剤1mg当たり少なくとも250×1014ラジカルとなることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ラジカル捕捉物質の塗布に並行して、通常の用量より30〜70%少ない量の解熱剤を経口投与することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
1つ又は複数のラジカル捕捉物質の、治療に有効な量を含む局所調合剤を人の皮膚に塗布し、及び、1つ又は複数のラジカル捕捉物質の、治療に有効な量を含む経口調合剤を同時又は順に投与することを特徴とする、人の解熱治療方法。
【請求項20】
互いに独立していて、1つ又は複数のラジカル捕捉物質の、治療に有効な量を含む1つの局所調合剤と1つの経口調合剤とを自由に組み合わせて含む、解熱治療のための組合せ調剤。

【公表番号】特表2008−540386(P2008−540386A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509456(P2008−509456)
【出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062075
【国際公開番号】WO2006/117404
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507134471)コティ プレスティゲ ランカスター グループ ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】