説明

解砕整粒機

【課題】 原料をスクリーンの真上から供給できると共に、シュート管を短くして装置をコンパクト化すること及び原料の閉塞を生じない構成とした、解砕整粒機の提供。
【解決手段】 上部に円錐状の蓋11を備えた円筒状のセンターシリンダー12の内部に、回転刃29を駆動するシャフト15の上部と、このシャフト15を支持するベアリング16、22とシャフト15を駆動するプーリー21をベアリング16、22の中間部に備えると共に、センターシリンダー12の外側に同心円状に円筒状のシュート管32を備える。また、板状のブレーカー28を前記回転刃29上部のシャフト15に差込み、原料の閉塞を壊す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体原料を解砕、粉砕、整粒または造粒するための解砕整粒機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品や食品などの製造には、粉体の粒度の調整プロセスが必要なことが多く、そのため解砕整粒機が使用されている。解砕整粒機は、スクリーンと呼ばれる篩と、スクリーン内で回転される回転刃を備え、スクリーン内に供給された原料を回転刃の回転によりスクリーンを通して、整粒や造粒などを行う装置である。
【0003】
このような解砕整粒機は、従来、回転刃を駆動するシャフト上端部にプーリを備え、これにより回転駆動されるが、この場合、原料は、スクリーンの真上から供給するのは難しく、斜め上方から供給される。従って、原料の投入構造が複雑であると共に、原料によっては円滑に供給できないおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、原料をスクリーンの真上から供給できる構成の解砕整粒機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、回転刃を回転させる為のシャフトとこのシャフトを駆動させる為のプーリーとシャフトを支持する為のベアリングとベアリングを固定する為のベアリングホルダーを内蔵した、頂部に円錐形のキャップを備えた円筒状のセンターシリンダーと、このセンターシリンダーと同心円状に配置された上部が開放された円筒形のシュートを備え、センターシリンダーとシュート管の間に原料粉体を投入、通過させることを特徴とする解砕整粒機である。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、シュート管の上部より投入された原料粉体は、センターシリンダーとシュート管の間を通過後、回転刃の真上から原料を供給し、回転刃とスクリーンによって解砕整粒機され、下部に排出される。
【0007】
請求項2に記載の発明は、プーリーを回転シャフトの上下軸受けの中間に設けたことを特徴とする。これにより、プーリーをシャフト頂部に設けた場合に比較して、シュート管の長さを短くすることが可能であり、原料の投入口から排出口までの長さを短くすることが、できる。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、先部を上方に折り曲げた棒又は板により構成されたブレーカーを回転刃上部のシャフトに差し込み回転させることを特徴とする。これにより、大塊や、流動性の悪い高水分の投入原料がシュート管下部の円錐状の側壁部で閉塞した場合に、閉塞を破壊して原料の流れを促進する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原料をスクリーンの真上から供給できると共に、シュート管下部のブレーカーにより、閉塞することなく、回転刃真上に供給し、回転刃とスクリーンで解砕整粒した処理粉体を真下に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の解砕整粒機について、実施例に基づき、さらに詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の解砕整粒機の一実施例を示す図であり、図1は一部を断面にした概略正面図、図2は一部を切り欠いた概略平面図である。また、図3は、本実施例の解砕整粒機の主要部を示す縦断面図であり、図4及び図5は、ブレーカー及び回転刃をシャフトに取り付けた場合の形状を示す。
【0011】
本実施例の解砕整粒機1は、キャスター4を備えたベース3の上部にケーシング2を立設する。このケーシング2内には支持材6で支持された電動機7が取り付けられ、電動機7のシャフトには、ベルト9を駆動するためのプーリー8を備えている。ケーシング2の上部には、ベルト9の取替えのために、蓋5を設けている。
【0012】
一方、原料粉体を処理する解砕整粒部は上部に取り外し可能なキャップ11を備えた円筒形のセンターシリンダー12内に、駆動シャフト15と駆動シャフト15の上部を支持するベアリング16とベアリング16を保持するストップリング17とベアリングホルダー18を備える。ベアリングホルダー18と固定金物19はボルト20によって接合されている。同様に駆動シャフト15の下部も、ベアリング22とベアリングホルダー23とベアリング固定金物24を備え、ベアリングホルダー22とベアリング固定金物24はボルト25によって接合されており、ベアリング21の内綸はベアリング押さえ金物26とナット27によって接合されている。
【0013】
ベアリング15とベアリング21によって上下を支持されたシャフト15の中間部にはプーリー21を備え、このプーリー21にはベルト9が掛けられ、シャフト15を回転させる。
【0014】
センターシリンダー12の外部には、センターシリンダー12に同心円状に上部が開放された円筒形のシュート管32を備え、センターシリンダー12とシュート管32は上部が山形のブリッジ13で接合されている。シュート管32の外側にはフランジを備えた接続管14が取り付けられている。
【0015】
シャフト15の下部には、ブレーカー28と8枚の回転刃がディスタンスピース30により、等間隔で取り付けられ、シャフト15下端でボルト31により、固定される。
【0016】
シュート管32の下部内側には、円錐状の斜め壁33を設け、外側にはフランジ34を設けている。スクリーン35の上部は斜め壁33の下端凸部に、はめ込み、下部は2本の吊棒37を備えた、底板36の凸部にはめ込み、吊棒37頭部をナット38を締めて固定する。また、スクリーンカバー39をフランジ34にアイボルト40で固定する。このように構成された解砕整粒部とケーシング2はボルト10により接合され、操作盤41の操作により、電動機7を回転させれば、プーリー8とプーリー21とベルト9により、シャフト15が回転し、ブレーカー28及び回転刃29が回転する。
【0017】
上記実施例の構成によれば、従来のようにスクリーン35の斜め上方にシュート管を設け、回転刃29の斜めから原料を供給することなく、原料を回転刃29の真上から供給することが可能であり、装置がコンパクトになると共に、斜めシュートでは閉塞を生じる原料もスムーズに回転刃29の真上より供給できる。また本装置は、製薬装置として使用する場合は原料の投入口と排出口を他の機器と接続して使用されることが多いが、斜めシュート管では、レイアウトの難しい場合があり、本実施例の装置では、レイアウトが容易になる。
【0018】
本発明の解砕整粒機1は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、ブレーカー28は端部を折り曲げた、金属板としているが、図5に示すように、金属の丸棒としても良い。また回転刃29をナイフ状とし、スクリーン35は、円筒状としたが、図6に示すように回転刃29を略台形とし、スクリーン35を略逆円錐状とすることも可能である。この場合スクリーン35は固定板42により、シュート管のフランジ34とボルト43とナット38により固定される。また、この台形状の回転刃29の断面形状は、処理する粉体により、図7、図8及び図9に示すように、刃先を半円形、三角形及び矩形などに取り替えることが出来る。このように、部品を取り替えることにより、原料の種類や必要とされる粒度分布などの違いにより、適宜使い分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の解砕整粒機の一実施例を示す概略正面図であり、一部を断面にして示している。
【図2】図1の解砕整粒機の概略平面図であり、一部を切り欠いて示している。
【図3】図1の解砕整粒機の主要部を示す縦断面図である。
【図4】板状のブレーカー及び回転刃を取り付けた斜視図である。
【図5】棒状のブレーカー及び回転刃を取り付けた斜視図である。
【図6】図1の解砕整粒機の回転刃を略台形、スクリーンを略円錐台とした、解砕整粒機の主要部を示す縦断面図である。
【図7】台形状回転刃の刃先を半円形とした、断面図である。
【図8】台形状回転刃の刃先を三角形とした、断面図である。
【図9】台形状回転刃の刃先を矩形とした、断面図である
【符号の説明】
【0020】
1 解砕整粒機
2 ケーシング
3 ベース
4 キャスター
5 蓋
6 支持材
7 電動機
8 プーリー
9 ベルト
10 ボルト
11 キャップ
12 センターシリンダー
13 ブリッジ
14 接続管
15 シャフト
16 ベアリング
17 ストップリング
18 ベアリングホルダー
19 固定金物
20 ボルト
21 プーリー
22 ベアリング
23 ベアリングホルダー
24 固定金物
25 ボルト
26 ベアリング押さえ金物
27 ナット
28 ブレーカー
29 回転刃
30 ディスタンスピース
31 ボルト
32 シュート管
33 斜め壁
34 フランジ
35 スクリーン
36 底板
37 吊棒
38 ナット
39 スクリーンカバー
40 アイナット
41 操作盤
42 固定板
43 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に回転刃を備え、回転刃の周囲に多孔質の壁で構成されるスクリーンを有する解砕整粒機に於いて、上部に略円錐状の蓋を備えた略円筒状のセンターシリンダーの内部に、回転刃を駆動するシャフトの上部と、このシャフトを支持する軸受け及び前記シャフトを駆動するプーリーを備えると共に、前記センターシリンダーの外側に同心円状に略円筒状のシュート管を備えたことを特徴とする解砕整粒機。
【請求項2】
前記シャフトを支持する、上下の軸受けの略中間部に、前期プーリーを備えたことを特徴とする請求項1に記載の解砕整粒機。
【請求項3】
略棒状のブレーカーを前記回転刃上部の前記シャフトに差込んだことを特徴とする請求項1に記載の解砕整粒機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−284588(P2010−284588A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140112(P2009−140112)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(508145492)株式会社昭和化学機械工作所 (2)
【Fターム(参考)】