説明

触媒を再生させる装置および方法

【課題】触媒再生器内の床に沈降した触媒の離脱デバイスを使用した再伴出が回避されるように、触媒再生器内において再生された触媒を煙道ガスから分離する装置および方法が開示される。
【解決手段】離脱デバイスの離脱アームは、アームを取り巻く外シェルと、触媒および煙道ガスがアームを出ることを可能にするスロットを有する内シェルと、外壁の開口よりも下方に位置する下縁を有する外側バッフルとを含む。このバッフルは、触媒および煙道ガスを下方へ導き、半径方向流を限定する。触媒および煙道ガスは、上昇管部の外壁の開口を通って、第1の空塔速度で離脱アームに入り、離脱アームの底部のスロットから、第1の空塔速度の1.33倍以下の速度で出ていく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動燃焼帯において触媒の表面のコークスを燃焼させることによって、使用済みの炭化水素転化触媒を再生させる装置および方法に関する。具体的には本発明は、触媒粒子の流動流によって重炭化水素をより軽質の炭化水素に転化させ、触媒を非活性化する働きをするコークスを除去するために触媒粒子を再生させる装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流動接触分解(fluid catalytic cracking:FCC)は、流動反応帯中の炭化水素を細分割された微粒子材料からなる触媒と接触させることによって達成される炭化水素転化プロセスである。水素化分解とは対照的に、接触分解における反応は、水素の添加なしで、または水素の消費を伴わずに実施される。分解反応が進むにつれて、コークスと呼ばれる高度に炭素質の物質がかなりの量、触媒に付着する。再生帯内での高温再生操作は、触媒のコークスを燃焼させる。本明細書では使用済み触媒と呼ぶコークスを含む触媒は、反応帯から絶えず除去され、コークスを実質上含まない再生帯からの触媒によって置き換えられる。さまざまなガス流による触媒粒子の流動化は、反応帯と再生帯との間の触媒の輸送を可能にする。
【0003】
これらの構成の共通の目的は、反応器からの生成物の収率を最大化し、同時に、運転コストおよび機器コストを最小化することである。供給原料転化の最適化には通常、触媒からのコークスの事実上完全な除去が必要である。この触媒からのコークスの事実上完全な除去はしばしば完全再生と呼ばれる。完全再生は、コークスを0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満有する触媒を生み出す。完全再生を得るためには、完全な燃焼が可能な十分な滞留時間の間、触媒を酸素と接触させなければならない。
【0004】
従来の再生器は一般に、使用済み触媒入口と、再生触媒出口と、容器内にある触媒床に空気を供給する分配器とを有する容器を含む。ガスが再生容器を出る前に、サイクロン分離器が、使用済み燃焼ガス中の伴出触媒を除去する。バブリング(bubbling)床としても知られている高密度触媒床では、燃焼ガスが、高密度触媒床の識別可能な上面を貫いて上昇する気泡を形成する。高密度床を出る燃焼ガスの中に比較的に小さな触媒が伴出する。
【0005】
完全に再生された触媒を得る1つの方法は、複数の段で再生を実行する方法である。完全な触媒再生を達成するために比較的に希薄な相再生帯を使用することが、米国特許第4430201号、第3844973号および第3923686号に示されている。これらの特許は、燃焼ガスが分配される下高密度床および上輸送帯を教示している。比較的に希薄な相輸送帯を、触媒を再生させる下高密度床帯と組み合わせた2段システムが、米国特許第5158919号および第4272402号に示されている。これらの特許は全て、輸送帯から出た少なくとも部分的に再生された触媒がその中に集まる上高密度床を教示している。米国特許第4197189号および第4336160号は、上昇管の上部から集められた触媒床での追加の燃焼を必要とすることなく完全燃焼を達成するために、高速流動流状態が維持される上昇管燃焼帯を教示している。
【0006】
一般に上昇管部によって分離された2つの以上の室を有する再生器では、コークス付着物の燃焼時に生成された煙道ガス(flue gas)から、少なくとも部分的に再生された触媒の大部分をおおまかに分離するために、上昇管終端デバイス(riser termination device)を使用することができる。Tディスエンゲージャ(tee disengager)は、上昇管から延び、上昇管の下流側で上昇管と連通した1本または数本のアームを有する上昇管終端デバイスである。一般に上室である第2の室内に上昇する傾向がある相対的に軽い煙道ガスから、下降する相対的に重い触媒をおおまかに分離するため、アームの開口が、再生触媒および煙道ガスを下方へ放出する。Tディスエンゲージャの一例が米国特許第5800697号に示されている。
【0007】
FCC反応器で使用される他のタイプの上昇管終端デバイスは、上昇管の開口から延び、下方へ向きを変える2本以上の管を含む。下方へ開いたこれらの管の端の開口から、再生触媒および生成物ガスが出ていく。このような上昇管終端デバイスの例が、米国特許第4397738号、米国特許第4482451号、米国特許第4581205号および米国特許第4689206号に出ている。
【0008】
FCCユニットに対する要求が高まるにつれ、より大きな触媒流量を取り扱う再生容器が求められている。より大量の触媒を燃焼させるために、より大量の燃焼ガスが再生容器に追加される。燃焼ガス流量が増大されると、上昇管終端デバイスを出る触媒の流量も増大する。
【特許文献1】米国特許第4430201号
【特許文献2】米国特許第3844973号
【特許文献3】米国特許第3923686号
【特許文献4】米国特許第5158919号
【特許文献5】米国特許第4272402号
【特許文献6】米国特許第4197189号
【特許文献7】米国特許第4336160号
【特許文献8】米国特許第5800697号
【特許文献9】米国特許第4397738号
【特許文献10】米国特許第4482451号
【特許文献11】米国特許第4581205号
【特許文献12】米国特許第4689206号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
再生容器がより大きくなり、触媒再生器内の流量が増大されるにつれて、上昇管を出、Tディスエンゲージャを通って離脱室に入った煙道ガスが、室の底の床に集まった触媒を巻き上げることを本発明の発明者らは発見した。巻き上げられた触媒は、上昇中の煙道ガスとともに再伴出される。この現象は、上昇管からのディスエンゲージャ放出速度の増大、および触媒流動化床上の半径方向ガス流速の増大によるものである。その結果、すでに煙道ガスから分離された触媒を、容器内のサイクロン分離器で再び分離しなければならず、このことは、サイクロン分離器に過度の負荷をかけ、サイクロン分離器の分離効率を低減させる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
比較的に大きな放出開口および垂直バッフルを有する湾曲したディスエンゲージャは、半径方向流を制限し、放出された触媒を下方へ床まで導くことを本発明の発明者らは発見した。触媒床を横切る煙道ガスの半径方向速度を大幅に低減させることによって、床内の触媒を巻き上げて再伴出させる煙道ガスの傾向を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の方法および装置は、FCCユニット内で具体化することができる。図1は、反応容器10と再生容器50とを含むFCCユニットを示す。再生器スタンドパイプ(standpipe)12が、滑り弁14によって調整された流量の触媒を、再生容器50から反応容器10に運ぶ。ノズル16からの水蒸気などの流動化媒質が、上昇管18を通して触媒を比較的に高い密度で上方へ輸送し、次いで、複数の供給原料噴射ノズル20(1つだけが示されている)が、流れている触媒粒子流の中に供給原料を噴射する。
【0012】
従来のFCC供給原料またはより高沸点の炭化水素供給原料が適当な供給原料である。このような従来の供給原料のうち最も一般的なのは、一般に常圧残留分の真空分画によって調製された343から552℃(650から1025°F)の沸点範囲を有する炭化水素材料である「真空ガス油」(vacuum gas oil:VGO)である。このような画分は一般に、触媒を汚染する働きをしうるコークス前駆物質および重金属汚染の程度が低い。本発明を適用することができる重炭化水素供給原料には、原油の重質残油、重質ビチューメン原油、シェール油、タールサンド抽出物、脱歴残留物、石炭液化生成物、常圧および真空抜頭原油が含まれる。本発明の重質供給原料にはさらに上記の炭化水素の混合物が含まれる。上記のリストは包括的なものではない。
【0013】
その結果生じた混合物は上昇管18の中を上方へ頂部まで進み、そこで、一対の離脱アーム22が、上昇管18の頂部のポート24から、触媒からガスを分離する離脱容器26の中へ、このガスと触媒の混合物を接線方向および水平方向へ放出する。輸送導管28が、ストリッピングされた炭化水素と、ストリッピング媒質と、伴出された触媒とを含むこの炭化水素蒸気を、炭化水素蒸気流から使用済み触媒を分離する分離容器32内の1つまたは複数のサイクロン30まで運ぶ。出口ノズル36および最終的には分画回収帯(図示せず)に渡すため、分離容器32の収集室34が、サイクロン30からの分離された炭化水素蒸気流を集める。ディップレッグ(dipleg)38が、サイクロン30からの触媒を分離容器32の下部に放出し、分離容器32は最終的に、触媒および吸着または伴出された炭化水素を、離脱容器26の壁に画定されたポート42を通してストリッピング部40に渡す。離脱容器26の中の分離された触媒は、ストリッピング部40に直接に移動する。ストリッピング部40は、ストリッピングガスと触媒との間の混合を促進するバッフル(baffle)43、44または他の機器を含む。ストリッピングガスは、1つまたは複数の分配器(図示せず)に通じる少なくとも1つの入口46から、ストリッピング部40の下部に入る。使用済み触媒は、反応器導管48を通ってストリッピング部40を出、滑り弁52によって調整された流量で再生容器50に入る。
【0014】
再生容器50は、高効率再生容器50内のハイブリッド乱流床−高速流動状態を使用して、使用済み触媒を完全に再生させることができる燃焼器型の再生器とすることができる。しかしながら、本発明に対して他の再生容器および他の流動状態が適当な場合もある。反応器導管48は、使用済み触媒入口シュート(chute)62を通して、使用済み触媒を、外壁56によって画定された第1の室ないし下室54に送る。反応容器10からの使用済み触媒は通常、コークスの形態で存在する0.2から2重量%の炭素を含む。コークスは主に炭素からなるが、3から12重量%の水素、ならびにイオウおよび他の物質を含む場合がある。酸素を含む燃焼ガス、一般に空気が、導管64を通って再生容器50の第1の室54に入り、分配器66によって分配される。分配器66の開口68が燃焼ガスを放出する。燃焼部58に入ると、燃焼ガスは、シュート62から入ってきた使用済み触媒と接触し、第1の室54内における高速流動状態下の少なくとも1.1m/秒(3.5フィート/秒)の燃焼ガスの空塔速度で、触媒を持ち上げる。一実施形態では、燃焼部58が、48から320kg/m(3から20ポンド/立方フィート)の触媒密度、および1.1から2.2m/秒(3.5から7フィート/秒)のガス空塔速度を有する。燃焼ガス中の酸素が使用済み触媒と接触し、触媒の炭素質付着物を燃焼させて、触媒を少なくとも部分的に再生させ、煙道ガスを発生させる。
【0015】
一実施形態では、第1の室54内でのコークスの燃焼を促進させるため、制御弁69によって調整された外部再循環スタンドパイプ67を通して、上室ないし第2の室100の高密度触媒床59の高温の再生触媒を第1の室54へ再循環させることができる。高温の再生触媒は、入口シュート63を通って再生室54に入る。再生触媒の再循環は、高密度触媒床59の高温の触媒を、反応器導管48から第1の室54に入る相対的に低温の使用済み触媒と混合することによって、第1の室54の触媒/ガス混合物の全体の温度を上昇させる。
【0016】
第1の室54内の触媒と燃焼ガスの混合物は、燃焼部58から、円錐台形の移行部57を通って、第1の室54の輸送上昇管部60まで上昇する。この上昇管部は、外壁61によって、円筒形であることが好ましく、燃焼室54から上方へ延びることが好ましい管を画定するように画定される。この触媒とガスの混合物は、燃焼部58内での速度よりも高いガス空塔速度で移動する。このガス空塔速度の増大は、移行部57の下の再生室54の断面積に比べて上昇管部60の断面積が小さいことによる。したがって、ガス空塔速度は通常2.2m/秒(7フィート/秒)を超える。上昇管部60は、80kg/m(5ポンド/立方フィート)未満のより低い触媒密度を有する。
【0017】
再生容器50はさらに、上室ないし第2の室100を含む。触媒粒子と煙道ガスの混合物は、上昇管部60の上部から分離室100内へ放出される。輸送上昇管部60の頂部から、実質的に完全に再生された触媒を出すことができるが、部分的に再生された触媒が第1の室54から出る配置も企図される。放出は、再生触媒の大部分を煙道ガスから分離する離脱デバイス70によって達成される。上昇管部60を出るときの触媒の初期分離は、煙道ガスからの触媒粒子の実質的に完全な除去のために使用されるサイクロン分離器98、99または他の下流デバイスに対する触媒負荷を最小化し、それによって全体的な機器コストを低減させる。一実施形態では、上昇管部60を上方へ流れる触媒およびガスが、上昇管部60の頂部の楕円形のキャップ64に衝突し、逆流する。触媒およびガスは次いで、離脱デバイス70の半径方向の離脱アーム72の下を向いた開口74から流出する。運動量の突然の喪失および下方への流れの反転によって、相対的に重い触媒の少なくとも70重量%、好ましくは80重量%が高密度触媒床59に落下し、相対的に軽い煙道ガスおよびその中に依然として留まる少量の伴出触媒が第2の室100内を上昇する。下方へ落下した離脱された触媒は高密度触媒床59の中に集まる。高密度触媒床59の触媒密度は一般に、640から960kg/m(40から60ポンド/立方フィート)の範囲に保たれる。流動化導管106が、流動化ガス、一般に空気を、流動化分配器108を通して、高密度触媒床59に供給する。燃焼器型の再生器では、このプロセスのガス必要量全体の約2%以下が、流動化分配器108を通して高密度触媒床59に入る。この実施形態では、ガスが、燃焼目的で加えられるのではなく、触媒がスタンドパイプ67および12を通って流動的に流出するように、単に流動化目的で加えられる。流動化分配器108を通して加えられる流動化ガスは燃焼ガスとすることができる。第1の室54内で部分的な燃焼が達成される場合には、導管106を通してより多くの量の燃焼ガスが第2の室100に供給される。
【0018】
結合された煙道/流動化ガスと伴出触媒粒子は、触媒微粒子をガスから分離するサイクロン分離器98、99などの1つまたは複数の分離手段に入る。比較的に触媒が少ない煙道ガスは、出口導管110を通して再生容器50から回収され、回収された触媒は、それぞれのディップレッグ112、113または他の同等の手段によって出口114から高密度触媒床59に戻される。サイクロンのディップレッグの出口よりも下方に触媒が押し出されることを保証するため、離脱デバイス70の垂直バッフル部分90の下縁94は、サイクロン98、99のそれぞれのディップレッグ112、113の出口114の深さ、またはそれよりも深い深さに位置することが好ましい。
【0019】
再生室54から放出された触媒の10から30重量%が上昇管部60の出口よりも上方のガスの中に存在し、サイクロン分離器98、99に入る。高密度触媒床59の触媒は、再生器スタンドパイプ12によって再び反応容器10に運ばれ、そこで、FCCプロセスが継続するときに供給原料と再び接触する。完全再生を達成するのに、本発明の再生容器は一般に、除去されるコークス1kgあたり14kgの空気を必要とする。より多くの触媒が再生されるときには、従来の反応容器においてより多くの供給原料を処理することができる。再生容器50の温度は一般に、第1の室54内で594から704℃(1100から1300°F)、第2の室100内で649から760℃(1200から1400°F)である。
【0020】
図2は、離脱デバイス70の等角図である。少なくとも部分的に再生された触媒と煙道ガスの混合物は、上昇管部60内を上方へ輸送されると、頂部64に衝突し、逆向きに流れる。この混合物は、上昇管部60の外壁61の複数の開口76を通して押し出され、複数のそれぞれの離脱アーム72に入る。2つから11個の離脱アーム72を使用することができる。よりいっそう大きなユニットではこれよりも多くのアームを使用したほうがよい場合もある。離脱アーム72はそれぞれ、対応する開口76を取り巻いて、外壁61から半径方向に延びる。離脱アーム72はアームを取り巻く外シェル(shell)80を有する。一実施形態では、外シェル80がその軸を中心に湾曲している。離脱アーム70はそれぞれさらに、対向する側壁81、82と、外シェル80に対向し、その軸を中心にして湾曲した内シェル84とを有する。再生触媒と煙道ガスの混合物が離脱アーム72を出、第2の室100に入るためのスロット(slot)86を提供するため、内シェル84および側壁81、82には凹み78が切られている。側壁81、82は概ね垂直であり、凹み78は、側壁81、82の高さの少なくとも半分の高さまで延びることが好ましい。外シェル80は、水平部分88、転向部分(turned section)89および垂直外バッフル部分90を有する。転向部分89は、その長さが、上昇管60の外壁61から半径方向に延びる水平部分88から延びるにつれて、下方へ湾曲する。水平部分88と同様に、垂直外バッフル部分90および転向部分89も、それらの軸を中心に湾曲している。水平部分88および垂直バッフル部分90は半円筒を画定する。水平部分88、転向部分89および垂直バッフル部分90は連続しており、一体として、下方へ曲げられた半パイプまたは半円筒を画定する。水平部分88と垂直バッフル部分90は直角をなすことが好ましい。他の角度が適当な場合もある。外シェルの内面は、出てきた再生触媒と煙道ガスの混合物を水平部分88によって水平方向に導き、外側へ流れている混合物を、転向部分89によって徐々に下方へ転向させ、その混合物を、垂直バッフル部分90によって下方へ導き、外側への流れを最小限に抑える。転向部分89は、触媒の流れを、前記上昇管部60から半径方向に遠ざかるにつれて下方へ曲げる。スロット86を画定する凹み78は、水平部分88の垂直方向下方の内シェル84および側壁81、82に切られ、垂直バッフル部分90まで延びる。その結果、スロット86は、内側が内シェル84の外縁および側壁81、82によって、上側が側壁81、82の下縁によって、外側が垂直バッフル90の内面によってそれぞれ画定される。外シェル80、側壁81、82および内シェル84は、上昇管60の壁61に隣接して、開口76を取り巻くバンド(band)92を画定する。バンド92は内シェル84全体を含む。スロット86は、バンド92と垂直バッフル部分90の間に配置される。外シェル80の水平部分88、側壁81、82および内シェル84は、スロット86によって中断された長円形の(obround)断面を画定してもよい。垂直バッフル部分90は、内シェル84および開口76よりも下方に位置することが好ましい下縁94を有する。苛酷な乱流触媒環境での腐食から金属を保護するために、上昇管部60の外壁61に耐火材料層を形成してもよい。この耐火材料は少なくとも、スロット86のすぐ上の部分から、上昇管部60が第2の室100内に現れる高さまで使用されなければならない。
【0021】
図3は、離脱デバイス70’の一部分の断面を示す。図1および2の対応する要素とは異なる構成を有する要素は、プライム記号(「’」)付きの参照符号で示されている。図1および2の対応する要素と同じ構成を有する要素は、図1および2と同様の参照符号を有する。図3は、下縁94が、開口76よりも、開口76の垂直高さhの少なくとも半分の深さdだけ下方に位置する延長された垂直バッフル部分90’の一実施形態を示す。図3に示されているように、深さdは、高さhに等しいかまたはそれよりも大きいことが好ましい。下縁94の深さは、最も近いサイクロンディップレッグ112、好ましくは全てのサイクロンディップレッグ112の出口114の深さよりも深い。下方へ曲げられた離脱アーム72’は、出てきた再生触媒と煙道ガスの混合物を、垂直方向下方へ押し出すように設計される。この混合物は、第2の室100の側壁101に対して平行に、垂直方向下方へ押し出されることが好ましい。図3には、側壁101、上昇管部60の外壁61およびバンド92に対して平行に配置された垂直バッフル部分90’が示されている。垂直に移動するように触媒を導くことは、触媒床59の触媒が巻き上げられて、第2の室100内を上昇する煙道ガスとともに再び伴出されることを軽減するのに役立つ。この再伴出は、サイクロン98、99での2次的な追加の分離を必要とし、これにより流量が増大する可能性がある。図3はまた、水平部分88と垂直バッフル部分90’とが直角Bを画定する好ましい一実施形態を示す。
【0022】
離脱アーム72を出ていく混合物の速度が大きくなりすぎないことを保証することも重要である。再生触媒と煙道ガスの混合物は、第1の空塔速度で開口76を出て、それぞれの離脱アーム72に入る。この第1の空塔速度は適当には5から10m/秒、好ましくは5から7m/秒とすることができるが、他の速度が適当な場合もある。離脱アーム72のスロット86を通して、第1の空塔速度の1.33倍以下、適当には第1の空塔速度の0.4から1.33倍、好ましくは第1の空塔速度の0.75から1.25倍の第2の空塔速度で、再生触媒および煙道ガスを放出するのが適当である。第2の空塔速度は2から13m/秒、好ましくは5から7m/秒とすることができる。他の空塔速度が適当な場合もあるため、空塔速度の比のほうがより意味のある基準である。この比は、離脱アーム72’のスロット86の投影面積と上昇管60の壁61の開口76の面積との比を0.75超に設定することによって達成することができる。この比は適当には0.75から2.5、好ましくは1.0から2.0とすることができる。外シェル80の水平部分88、側壁81、82および内シェル84間のバンド92によって画定された開口76の面積Aが図4に示されている。スロット86の投影面積Aは、3つの成分Asv、AscおよびAsbの和である。Asvは、図5に示されているように両方の側壁81、82に切られた凹み78の面積である。Ascは、凹み78が図5に示されているとおりである場合にスロット86に投影させた場合の内シェル84の想像の外面Cの面積である。一実施形態では、想像の外面Cが、内シェル84の一実施形態と同様の半円筒形の形態をとる。Asbは、図6に示されているように、外垂直バッフル90’の内面によって拘束された、凹み78の外縁間の想像線Lまでの水平方向の断面積である。スロット86の垂直投影は、相対的に重い触媒の離脱アーム72からの主たる放出経路を画定する。垂直投影の面積Aは、内シェル84の外縁、2つの側壁81、82の内縁および外バッフル90’の内面間に画定される。一実施形態では、AをAの0.3から0.8倍とすることができる。スロットの水平投影は、相対的に軽いガスの離脱アーム72からの主たる放出経路を画定する。水平投影面積Aは、バンド92の外縁および垂直バッフル部分90’の内縁によって側壁81、82に画定され、側壁81、82の下縁よりも下、内シェル84の底部の投影接線よりも上に拘束された凹み78の面積の2倍に等しい。一実施形態では、AをAの0.4から1.7倍とすることができる。より大きな水平投影面積Aは、より多くの蒸気が、垂直方向に下降して触媒床59に衝突する代わりに、スロット86を通して水平方向に離脱アーム72’を出ることを可能にする。
【0023】
図7は、離脱デバイス70”の一部として、延長された外バッフル90’の代わりにシールド(shield)96が使用された代替実施形態を示す。図7は、離脱デバイス70”の一部分の断面を示す。図1、2および3の対応する要素とは異なる構成を有する要素は、2重プライム記号(「”」)付きの参照符号で示されている。図1、2および3の対応する要素と同じ構成を有する要素は、図1、2および3と同様の参照符号を有する。シールド96は、離脱デバイス70”を取り囲み、離脱アーム72とサイクロンディップレッグ出口114との間に位置する。シールド96は円筒形であることが好ましく、外バッフル部分90の下縁94よりも上方に上縁を有する。シールド96は、下縁94およびディップレッグ112の出口114よりも下方に下縁を有することが好ましく、触媒床59まで完全に延びてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を含むFCCユニットの概略立面図である。
【図2】図1の離脱デバイスの等角図である。
【図3】図1の離脱デバイスの部分側面図である。
【図4】図3の区間4−4から見た断面図である。
【図5】図3の部分図である。
【図6】図3の区間6−6から見た部分図である。
【図7】図1の離脱デバイスの代替部分側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の炭素質付着物を燃焼させる触媒再生容器であって、
炭素質付着物を有する使用済み触媒を第1の室に供給する触媒入口と、少なくとも部分的に再生された触媒を提供し、煙道ガスを発生させるために、前記使用済み触媒と接触させ、炭素質付着物を燃焼させる燃焼ガスを第1の室内に分配する燃焼ガス分配器とを含む第1の室と、
前記第1の室から延びる、再生された触媒および煙道ガスを輸送する上昇管部であって、外壁と、前記外壁の少なくとも1つの開口と、前記開口を取り巻いて、前記外壁から半径方向に延びる少なくとも1つの離脱アームとを含み、前記離脱アームが、前記アームを取り巻く外シェルと、触媒および煙道ガスが前記アームを出ることを可能にするスロットを有する内シェルと、前記外壁の前記開口よりも下方に位置する下縁を有する垂直バッフルとを含み、前記垂直バッフルが、前記触媒および煙道ガスを下方へ導き、半径方向流を最小限に抑える上昇管部と、
前記離脱アームをその内部に含み、燃焼ガスから触媒を分離するサイクロン分離器と、再生触媒出口と、煙道ガス出口とを含む第2の室と
を含む触媒再生容器。
【請求項2】
前記アームの前記スロットの面積と前記開口の面積との比が0.75から2.5の間である、請求項1に記載の触媒再生容器。
【請求項3】
前記離脱アームの前記外シェルが前記垂直バッフルを含み、下方へ曲げられた半パイプを画定した、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記外シェルが、水平部分と、前記垂直バッフルと連続した転向部分とを含む、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記スロットが、前記外シェルの前記水平部分の垂直方向下方の前記内シェル内に画定された、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記スロットが、前記内シェルの外縁と前記垂直バッフルの内面との間に画定された、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記垂直バッフルが半円筒を画定した、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
前記外バッフルの前記下縁が、前記外壁の前記開口よりも、前記開口の垂直高さの少なくとも半分の距離だけ下方に位置する、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
半径方向のガス流を妨げる追加のバッフルをさらに含む、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
使用済み触媒を再生させる方法であって、
炭素質付着物を有する使用済み触媒を触媒再生容器の第1の室に供給するステップと、
前記第1の室に燃焼ガスを分配するステップと、
前記使用済み触媒と燃焼ガスとを接触させるステップと、
前記使用済み触媒の炭素質付着物を燃焼させるステップと、
少なくとも部分的に再生された触媒を提供するステップと、
煙道ガスを発生させるステップと、
前記再生された触媒および前記煙道ガスを、前記第1の室から上昇管部の中へ輸送するステップと、
触媒および煙道ガスを、前記上昇管部の外壁の開口を通して、前記外壁から半径方向に延びる離脱アーム内に第1の空塔速度で放出するステップと、
触媒および煙道ガスを、前記離脱アームのスロットを通して、前記第1の空塔速度の1.33倍以下の第2の空塔速度で放出するステップと、
前記再生された触媒を前記煙道ガスから離脱させるステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−142811(P2009−142811A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−309750(P2008−309750)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】