触媒ナノ粒子の制御および選択的な形成
【課題】本発明は、基体(S)に触媒ナノ粒子(5)を形成する方法およびナノ粒子(5)を触媒として用い、基体(S)に細長いナノ構造体(9)を形成する方法を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態にかかる方法は、例えば半導体製造工程に好都合に用いてもよい。本発明の実施形態にかかる方法は、拡張可能で既存の半導体製造技術と完全に両立する。さらに、本発明の実施形態にかかる方法は、基体(S)の所定の位置に触媒粒子(5)および細長いナノ構造体(9)を形成できる。
【解決手段】本発明の実施形態にかかる方法は、例えば半導体製造工程に好都合に用いてもよい。本発明の実施形態にかかる方法は、拡張可能で既存の半導体製造技術と完全に両立する。さらに、本発明の実施形態にかかる方法は、基体(S)の所定の位置に触媒粒子(5)および細長いナノ構造体(9)を形成できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒ナノ粒子に関する。より詳細には、本発明は、基体に触媒ナノ粒子を形成する方法を提供する。さらに、本発明の実施形態にかかる方法により作製した触媒ナノ粒子を用いて基体に細長いナノ構想を形成する方法を提供する。本発明の実施形態にかかる方法は、如何なる寸法の基体にも用いることが可能で、また例えばナノデバイスの製造用のような、既存の半導体工程と完全に両立(compatible)する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)は、マイクロエレクトロニクス産業において拡大し、さらに現在用いている材料にさえ置き換わる最も有望な候補と認識されている。メタリックCNTは、その高い導電能力のために、ナノ電子相互接続体(interconnecting)として提案されており、一方、半導体CNTは、その大きなバンドギャップのためにナノスケールトランジスタ要素として示されている。これら及び類似の用途は完全には、まだ達成できない。いかなるCNTベースのデバイスもまだ、用途により異なるがしかし、いくつかの観点では類似しているであろう未解決な問題に直面しているからである。第1の問題は、異なるCNTを同一の特性を有するように合成することが不可能なことに関連する。第2の問題は、電流の増加(current growth)のパラメータが、現実のバッチ式技術による集積の仕組み(realistic batch-type technology integration scheme)と一致しないことである。最後の問題は、所定の位置に触媒を堆積する拡張性のある方法が欠如していることに関する。さらに、CNTは、様々なデバイス構造において効率的、経済的に集積しなければならない。様々なデバイスの用途において、CNTのポテンシャルを完全に実現するには、触媒の配置および選択的な成長は極めて重要な課題である。
【0003】
(孤立した)垂直配向カーボンナノチューブ繊維(VACNF、vertically aligned carbon nanotubefiber)用の大規模な工程が実現されているが、特性と配置を制御し選択的に堆積(または析出、deposit)したCNTの合成は極めて限定的である。多層CNT(MWCNT)の一様な配列および孤立垂直配向MWCNT(single free-standing aligned MWCNT)は正確なNiナノ粒子のパーターニングにより所定の位置に成長させていた。パターンニングは光学および電子ビームリソグラフィーの組み合わせを用いて規定され、一方成長は、Teoらによる"Uniform Patterned Growth of Carbon Nanotubes without Surface Carbon" Appl. Phys. Lett. (2001), 79, 10 1534-1536およびKimらによる"The Growth of Freestanding Single Carbon Nanotube Arrays" Nanotechnology, (2003), 14, 1269-1271に開示されているプラズマ化学気相成長法(PECVD)を用いて実施される。同様にナノホールによるCNTの合成は、触媒のパターンニングのためのイオンミリングを備えた従来のリソグラフィーとDuecbergらによる"Growth of isolated Carbon Nanotube with Lithographically Defined Diameter and Location" Nano Letters, (2003), 3, 2, 257-259に示されている成長のための化学気相成長法(CVD)とを組み合わせて実施された。
【0004】
別の方法として、シャドーマスクを介した触媒の蒸発がMWCNTと単層カーボンナノチューブ(SWCNT)との両方の制御に成功したことが知られていた。これらの方法をさらに変形することにより、Franklinらによる"Patterned Growth of Single-walled Carbon Nanotube of full 4-inch wafers", Appl. Phys. Lett. (2001), 79, 27, 4571-4573" およびKongらによる"Synthesis of Individual Single-walled Carbon Nanotubes on Patterned Silicon Wafers", Nature, (1998), 395, 878-881に示されるようにパターンを設けたウエハー全面でSWCNTの合成が実施された。
【0005】
他の方法として、ナノ粒子の孤立化と所定の位置でのCNTの成長が従来と異なる技術を用いて行われている。ポリスチレンナノ球体リソグラフィーを用いて長周期の配列を形成した(Huangらによる"Growth of Large Periodic Arrays of Carbon Nanotubes", Appl. Phys. Lett. (2003), 82, 3, 460-462を参照されたい)。パターン化された触媒は異なる直径と配置密度を有するCNTを形成した。テンプレートとして陽極酸化アルミニウム(AAO)を選択することにより、AAOテンプレートのナノ細孔(nanopore)にCoナノ粒子が配置される。このようなナノ粒子から成長するCNTは、ナノ細孔の中に制限された。デバイス製造のために局所的な成長を移動させる、多くのアプローチが実施されている。これらのうちの2つは、集積密度を改善できた。第1は電界放出ディスプレイ(FED)用のゲートホール内の孤立CNTの成長を実施していた。より詳細には、窒化ケイ素SiNxのキャッピング層をNi触媒の上に堆積した。そしてSiNx層にホールを形成するために、ウェットエッチングが適用される。これは、最初従来のリソグラフィーにより規定されNi下部層には到達しなかった。更なるアニーリングはNi原子をSiNxに拡散させ、ホール内のSiNxの表面にNi粒子を形成する。このNi粒子を成長の条件下に曝すと、CNTは、ゲートホール内のみで成長した。第2は、パターン化したデバイス電極に予めパターンを設けた触媒のドットから垂直に成長するCNTを用いた電気機械的スイッチングデバイスが製造されている。このデバイスは、3つのNb電極の所定の位置から成長した3つのMWCNTより成る。電極は、電子ビームリソグラフィー、スパッタリングおよびリフトオフによりパターンを設けられた。同様に、Ni触媒のドットが電極に形成され、その後CNTが成長した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在までに達成されたこれらの改良にもかかわらず、正確な触媒ナノ粒子の配置は依然と重大な課題であり、拡張性があり、経済的に魅力的で現実的である既存の半導体工程と完全に両立する方法による一様な配列のCNTの成長は、現在まで達成されていない。
【0007】
本発明の目的は、基体に触媒のナノ粒子を形成する優れた方法を提供することである。本発明の更なる目的は、基体に、例えばCNTのような細長いナノ構造体を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、本発明にかかる方法およびデバイスにより達成できる。
本発明の実施形態にかかる方法は、拡張性があり既存の半導体工程と完全に両立する。
【0009】
さらに、本発明の実施形態にかかる方法は、基体の所定の位置に正確に触媒ナノ粒子および細長いナノ構造体を形成できる。
【0010】
さらには、本発明の実施形態にかかる方法は、例えば直径と長さを制御したCNTのような細長いナノ構造体を成長させる。
【0011】
本発明の実施形態にかかる方法は、基体の所定の場所に狭いサイズ分布を有するパターンを有し、選択的に堆積されるナノ粒子を形成する方法を提供する。前記狭いサイズ分布は、変化が5〜10%に制限されたサイズ分布をとして、またはナノ粒子の直径の寸法変化が5〜10%以内として表すことが可能である。これらパターン化したナノ粒子は、触媒が存在する場所で、選択的に細長いナノ構造体の核生成および成長に触媒作用を及ぼすのに用いることができる。細長いナノ構造体の成長に用いるナノ粒子の直径は、好ましくは、5nm〜50nmの範囲であり、より好ましくは5nm〜20nmの範囲である。
【0012】
本発明の実施形態にかかる方法は、また、高密度(または、個体数が多い)のパターン化したおよび選択的に析出したナノ粒子を形成する方法を提供する。前記高密度のナノ粒子は、1011〜1015個/cm2の範囲の密度であってもよい。
【0013】
本発明の第1の要旨において、基体に触媒ナノ粒子を形成するための方法が提供される。この方法は、以下を含む。
・基体の所定の位置に凹部(recess)を形成し、凹部は底部を有する。
・基体にナノ粒子を供給する。
・凹部の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子を選択的に除去する。
【0014】
本発明の実施形態にかかる基体に触媒ナノ粒子を形成する方法の利点は、いかなる寸法の基体においても用いることが可能なことである。さらに、例えばナノデバイスの製造のような既存の半導体の工程と完全に両立する。さらに、基体に触媒ナノ粒子を形成する方法は、狭いサイズ分布の触媒ナノ粒子を与える。
【0015】
さらに、この方法は、基体の所定の位置に触媒ナノ粒子を与えることができる。
【0016】
本発明の実施形態では、基体へのナノ粒子の供給は以下のようにしてもよい。
・基体に少なくとも1層の触媒材料を供給し、触媒材料が凹部の少なくとも底部を覆い、かつ、
・少なくとも1層の触媒材料をナノ粒子に分割(または細分化、break up)する。
【0017】
少なくとも1層の触媒材料のナノ粒子への分割は、熱および/またはプラズマ支援法(thermal and/or plasma assisted method)により行ってもよい。好ましくは、少なくとも1層の触媒材料のナノ粒子への分割は、基体の加熱により行ってもよい。
【0018】
本発明の実施形態では、触媒材料層は、少なくとも1つの金属を含む層、または少なくとも1つの金属合金を含む層、または金属シリサイドを含む層であってもよい。従って、本発明の実施形態にかかる方法により形成されたナノ粒子は、少なくとも1つの金属を含む純金属ナノ粒子でもよく、金属合金ナノ粒子でもよく、または金属シリサイドナノ粒子であってもよい。
【0019】
他の実施形態では、基体へのナノ粒子の提供は、以下により行われてもよい。
・ナノ粒子および溶媒を含む溶液より基体にナノ粒子を析出し、かつ、
・ナノ粒子の析出後溶媒を除去する。
【0020】
溶媒の除去は、蒸発により行ってもよい。
【0021】
本発明の実施形態にかかる方法では、最初凹部の標準の配列を基体に形成してもよい。凹部の標準の配列は、そして、触媒ナノ粒子の配置のテンプレートとして用いてもよい。標準の配列を有することは、リソグラフィーおよびドライエッチングの標準的な半導体工程により配列が形成されることを意味する。これらの標準的な工程を用いることにより、例えば80nm、100nm、150nm、200nm、250nmまたは300nmのような例えば50nm〜500nmの直径で、例えば直径の1、2または8倍のピッチを備えた凹部を形成してもよい。凹部のアスペクト比は、例えば1:6、1:4、1:3、1:2.5または1:2であってもよい。
【0022】
形成するナノ粒子の直径は用途に依存する。本発明の実施形態にかかる方法により形成されるナノ粒子は100nmより小さい直径を有してもよい。触媒ナノ粒子を用いてシングルウォールCNT(または単層CNT)が形成されなければならない特定の実施形態では、ナノ粒子は3nmより小さい直径を有してもよい。触媒粒子を用いてマルチウォールCNT(多層CNT)が形成されなければならない他の特定の実施形態では、ナノ粒子は5〜10nmの範囲の直径を有してもよい。
【0023】
凹部の底部と異なる位置に形成されたナノ粒子を選択的に除去する方法は、以下により実施してもよい。
・基体に犠牲材料(sacrificial material)を堆積し、犠牲材料は少なくとも凹部の底部に位置するナノ粒子を覆い、
・凹部の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子を除去し、
・犠牲材料を除去する。
【0024】
少なくとも凹部の底部に配置されたナノ粒子を覆うために犠牲材料を用いことにより、凹部の底部と異なる位置のナノ粒子を、凹部の底部に形成されたナノ粒子に影響を与えることなしに除去することが可能となる。さらに、凹部の底部に配置されたナノ粒子は犠牲層により以後の工程の影響、とりわけ凹部の底部と異なる場所に位置するナノ粒子を除去するための化学機械研磨工程の影響から保護され、これにより細長いナノ構造体の成長に用いられるナノ粒子の汚染を防止する。
【0025】
犠牲材料の除去は、当該技術分野に通じた者にとって既知のいかなる方法、例えばウェットクリーニング(または湿式洗浄)工程により実施してもよい。
【0026】
本発明の実施形態では、基体の所定の位置での凹部の形成は、基体の所定の位置の凹部のエッチングにより実施してもよい。この方法は、さらに、エッチングの前に、リソグラフィーにより基体に所定の位置を規定する工程を含んでもよい。この方法を用いて、凹部が形成されるべき位置を極めて正確に決定することが可能である。
【0027】
本発明の別の実施形態では、基体はベース基体(base substrate)を含んでもよい。基体の所定の位置への凹部を形成は、ベース基体に凹部を形成することにより実施してもよい。この方法は、ナノ粒子を触媒として用い、基体上で成長し得る細長いナノ構造体とベース基体との間の接触が必要な、例えば半導体デバイスの製造に用いると有利であろう。
【0028】
本発明の他の実施形態では、基体はベース基体と誘電体層とを含んでもよい。基体の所定の位置への凹部を形成は、基体の誘電体層に凹部を形成することにより実施してもよい。ナノ粒子を触媒として用いて基体上で成長し得る細長いナノ構造体とベース基体との間が接触してはいけない、例えば半導体デバイスの製造に用いると有利であろう。
【0029】
本発明の実施形態では、この方法は、凹部の端部(またはエッジ、または縁)から不純物を取り除く工程をさらに含んでもよい。これらの不純物は、凹部の底部と異なる場所に形成されたナノ粒子を取り除くために用いる工程の残留物でもよい。他の実施形態おいて、またはこれらに加え、これら残留物は、凹部の底部に形成したナノ粒子を、凹部の底部と異なる位置に形成したナノ粒子を取り除くために用いる工程から保護するのに用いる犠牲層の残留物であってもよい。
【0030】
特定の実施形態では、凹部の端部からの不純物の除去は、エッチング、例えば基体をH2SO4:H2O2が1:4の溶液に5分間浸漬(または、ピラニアエッチという)により実施してもよい。
【0031】
本発明の第1の要旨の実施形態にかかる方法は、基体上のナノ構造体の成長工程に用いていてもよい。
【0032】
第2の要旨では、本発明は基体で細長いナノ構造体を形成する方法を提供する。この方法は以下を含む。
・基体の所定の位置に凹部を形成し、凹部は底部を有し
・基体にナノ粒子を配置し、
・凹部の底部と異なる位置に配置したナノ粒子を選択的に取り除き、かつ、
・凹部の底部に配置したナノ粒子を触媒として用い細長いナノ構造体を成長させる。
【0033】
本発明の実施形態にかかる、基体に細長いナノ構造体を形成する方法の利点は、いかなる寸法の基体も使用できることである。さらに、この方法は、例えばナノデバイスの製造のような既存半導体工程と完全に両立することである。
【0034】
本発明の実施形態にかかる、基体に細長いナノ構造体を形成する方法の更なる利点は、制御された所定の直径および長さを備えた細長いナノ構造体を形成できることである。
【0035】
さらに、本発明の実施形態にかかる、基体に細長いナノ構造体を形成する方法により基体の所定に位置に細長いナノ構造体を備えることが可能である。
【0036】
本発明の実施形態では、基体へのナノ粒子の供給は以下により実施してもよい。
・基体に少なくとも1層の触媒材料を配置し、触媒材料が少なくとも凹部の底部を覆い、かつ、
・少なくとも1層の触媒材料をナノ粒子に分割する。
【0037】
少なくとも1層の触媒材料のナノ粒子への分割は、熱および/またはプラズマ支援による方法により実施してもよい。好ましくは、少なくとも1層の触媒材料のナノ粒子への分割は、基体を加熱することにより実施してもよい。
【0038】
他の実施形態では、基体へのナノ粒子の提供は以下により実施してもよい。
・ナノ粒子と溶媒とも含む溶液より、ナノ粒子を基体に析出し、
・ナノ粒子の析出後、溶媒を取り除く。
【0039】
溶媒の除去は蒸発により実施してもよい。
【0040】
本発明の実施形態では、ナノ粒子は純金属のナノ粒子でもよく、合金のナノ粒子でもよく、または金属シリサイドのナノ粒子でもよい。
【0041】
細長いナノ構造体は、好ましくはカーボンナノチューブ(CNT)またはナノワイヤー(NW)であってもよい。
【0042】
本発明の実施形態にかかる方法では、第1に凹部の標準的な配列を基体に形成してもよい。凹部の標準の配列は、そして、触媒ナノ粒子の配置のテンプレートとして用いてもよい。標準の配列を有することは、リソグラフィーおよびドライエッチングの標準的な半導体工程により配列が形成されることを意味する。これらの標準的な工程を用いることにより、例えば80nm、100nm、150nm、200nm、250nmまたは300nmのような例えば50nm〜500nmの直径で、例えば直径の1倍、2倍または8倍のピッチを備えた凹部を形成してもよい。凹部のアスペクト比は、例えば1:6、1:4、1:3、1:2.5または1:2であってもよい。
【0043】
直径および長さを制御した細長いナノ構造体の成長を、そして、触媒としてナノ粒子を用いて凹部の内部で実施する。
【0044】
凹部での細長いナノ構造体の成長は、化学気相成長法により実施してもよい。これは、例えば以下のように実施してもよい。
・カーボンソースとアシスタントガスを備え、
・基体を加熱することにより細長いナノ構造体を成長させる。
【0045】
細長いナノ構造体の成長は、好ましくは基体を600℃〜800℃の温度に加熱することにより実施してもよい。
【0046】
凹部の底部と異なる位置に形成されたナノ粒子の選択的な除去は、以下のように実施してもよい。
・犠牲材料を基体に堆積(または形成)し、犠牲材料は少なくとも凹部の底部に配置したナノ粒子を覆い、
・凹部の底部と異なる場所に配置されたナノ粒子を取り除き、
・犠牲材料を取り除く。
【0047】
少なくとも凹部の底部に配置されたナノ粒子を覆うために犠牲層を用いることにより、凹部の底部と異なる場所のナノ粒子を凹部の底部に形成されたナノ粒子に影響を与えることなく、除去できる。さらに、凹部の底部に配置されたナノ粒子は、犠牲層により以降の工程、より詳細には凹部の底部と異なる位置に配置されたナノ粒子を除去するために用いてもよい化学機械研磨工程から保護され、これにより凹部の底部に配置されたナノ粒子の汚染を防止する。
【0048】
本発明の実施形態では、基体の所定の位置での凹部の形成は、以下により実施してもよい。
・リソグラフィーにより基体に所定の位置を規定し、
・所定の位置で基体に凹部をエッチングする。
【0049】
この方法の使用により、凹部が形成されるべき位置を極めて正確に決定できる。
【0050】
本発明の実施形態では、基体はベース基体を含んでもよい。基体の所定の位置の凹部の形成は、ベース基体に凹部を形成することにより実施してもよい。この方法は、ナノ粒子を触媒として用いて基体上で成長し得る細長いナノ構造体とベース基体との間の接触が必要な、例えば半導体デバイスの製造に用いると有利であろう。
【0051】
本発明の実施形態では、基体はベース基体と誘電体層とを含んでもよい。基体の所定の位置への凹部を形成は、基体の誘電体層に凹部を形成することにより実施してもよい。この方法は、ナノ粒子を触媒として用いて基体上で成長し得る細長いナノ構造体とベース基体との間が接触してはいけない、例えば半導体デバイスの製造に用いると有利であろう。
【0052】
本発明の実施形態では、細長いナノ構造体の成長は、ベース成長(または根本成長、base growth)により実施される。
【0053】
本発明の実施形態では、細長いナノ構造体の成長は、チップ成長(または先端成長、tip growth)により実施される。
【0054】
本発明の第2の要旨の実施形態にかかる、基体での細長いナノ構造体の形成は、半導体製造工程に用いてもよい。
【0055】
本発明は、また、触媒ナノ粒子を有する基体を供給し、触媒ナノ粒子は選択的に基体の凹部に配置され、基体は細長いナノ構造体を備え、細長いナノ構造体は選択的に基体凹部に配置される。細長いナノ構造体は、凹部に選択的に配置されている触媒ナノ粒子を有する基体を用いて形成できる。
【0056】
本発明のとりわけ、および好ましい要旨は、添付の独立および従属請求項に示されている。従属請求項の技術的特徴は、単に請求項に明示されているものだけでなく、適切に、独立請求項の技術的特徴および他の従属請求項の技術的特徴と組み合わせてもよい。
【0057】
当該技術分野では持続的なデバイスの改良、変更および発展があるが、本発明の概念は、実質的に新しく、新規な改良であり、従来の実施形態からの逸脱を含み、より効率的で、安定し、信頼性のあるこの分野のデバイスを提供すると信じられている。
【0058】
上記および他の本発明の特性、特徴ならびに利点は、以下の詳細な説明および例として本発明の原理を示す添付の図により明らかになるであろう。本明細書は、本発明の技術的範囲を制限しない例を示すものである。以下に引用する参照図面は、添付の図について示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
全ての図は、本発明の要旨および実施形態を説明することを意図している。全ての他の実施形態および選択肢が示されているわけでなく、従って本発明は添付の図の範囲に制限されるものではない。同様の番号が異なる図の同様の部分を示すために用いられている。図は好ましい実施形態を示すであろう。異なる図の同じ記号は同じまたは類似の要素を示す。
【0060】
本発明は多くの特定の実施形態を記載し、図を参照するが、しかし本発明はこれらに限定されるものではなく特許請求の範囲によってのみ限定される。図は概要のみを示しており限定するものではない。図中において、いくつの要素は説明のために誇張されているかもしれず、スケール通りに描かれていないかもしれない。寸法および相対的な寸法は本発明の実施の実際の縮尺とは対応していない。
【0061】
さらに、本明細書および特許請求の範囲の用語「上」、「下」等は、説明のために用いるものであり、相対的な位置を示す必要はない。これら用いた用語は適切な状況下では互いに代替可能であり、本明細書で説明する本発明の実施形態は、本明細書で説明または示した以外の方向においても実施可能であることを理解すべきである。
【0062】
特許請求の範囲で用いる用語「含む」は、そこに記載した手段に限定するものであると解してはならず、他の要素または工程を排除するものではない。従って、言及した特徴、整数、工程または部材が言及したように存在することを特定し、1以上の他の特徴、整数、工程もしくは部材またはこれらのグループの存在または追加を排除するものではないと理解しなければならない。従って、記述「手段AおよびBを含むデバイス」の技術的範囲は、部材AとBのみからなるデバイスに限定してはならない。本発明に関しては、デバイスの関連した部材はAおよびBのみであることを意味する。
【0063】
本明細書において、「1つの実施形態」または「実施形態」は、実施形態と関連して記載された特定の技術的特徴、構造または特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書多くの箇所に示されるフレーズ「1つの実施形態」または「実施形態」は、全てが同じ実施形態を示している必要はないが、しかし示してもよい。さらに、当該技術分野の通常の知識を有する者にとって明らかであろうように、特定の技術的特徴、構造または特徴は、任意の適正な手法により1以上の実施形態に組み合わせてもよい。
【0064】
同様に、明細書の本発明の例示的な実施形態において多くの本発明の技術的特徴は、効率的に開示し、多くの発明の要旨の1以上についての理解を助けることを目的に、しばしば本明細書の1つの実施形態、図、記載に一緒に示されていることを理解すべきである。開示のこの方法は、しかしながら、特許請求の範囲に記載の発明が、それぞれの請求項に明示的に記載された以上の特徴が必要であることを示していると解してはならない。むしら、以下の請求項が示すように、発明の要旨は、以下に開示する単一の実施形態の一部の技術的特徴にある。詳細な説明に従った特許請求の範囲は、これによりそれぞれの請求項は、それぞれ別の本発明の実施形態により本明細書に明確に示されている。
【0065】
さらに、本明細書に示される実施形態のいくつかは、他の実施形態に示される特徴を含んでいないけれども、当該技術分野の通常の知識を有す者が理解するであろうように、異なる実施形態の技術的特徴の組み合わせも本発明の技術範囲に属し、異なる実施形態を形成する。
【0066】
本明細書の記載では、多くの特定の詳細な具体例が示されている。しかしながら、本発明の実施形態はこれら詳細な具体例がなくても実施可能であることが理解されている。他の例では、既知の方法、構造、技術は、本明細書の理解を曖昧にしないように詳細は示されていない。
【0067】
本発明は、本発明の多くの実施形態の詳細な記載により説明される。当該技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の真の精神および技術的教唆から逸脱することなく本発明の他の実施形態を構成できることは明確であり、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0068】
本発明は、基体上に触媒ナノ粒子を供給する方法に関する。
【0069】
この方法は、基体の所定の位置に底部を有する穴または凹部を形成する第1の工程を含む。穴(hole)または開口(opening)とも呼ばれる凹部は、基体表面から基体内部に形成され、底部は、凹部が形成された基体表面から最も遠い面に位置する。本明細書において、用語「凹部」「穴」または「開口部」は同じことを意味する。
【0070】
次いで、ナノ粒子を基体に供給する。本発明の好ましい実施形態では、基体へのナノ粒子の供給は、少なくとも1層の触媒材料を基体に供給し、触媒材料が少なくとも凹部底面を覆うことにより実施してもよい。そして、少なくとも1層の触媒材料を、ナノ粒子に分割する。この分割は、熱および/またはプラズマ支援による方法を用いて行ってもよい。例えば、触媒材料層の分割は(後述する)基体のアニーリングにより行ってもよい。他の実施形態では、基体へのナノ粒子の供給は、ナノ粒子と溶媒を含む溶液からナノ粒子を析出し実施してもよい。基体へのナノ粒子の析出は、例えば、溶液のスピンコーティング(またはスピン工程、spinning)により行ってもよい。基体にナノ粒子を析出した後、例えば熱乾燥工程での蒸発により溶媒を溶液より除去し基体にナノ粒子のみを残存させてもよい。
【0071】
最後の工程では、例えば2つの凹部の間の基体表面のような凹部の底部と異なる部位に供給または形成されたナノ粒子を選択的に取り除く。
【0072】
従って、本発明は、基体の所定の位置に狭い寸法分布(narrow size distribution)でナノ粒子を形成および孤立させる方法を提供する。狭い寸法分布は、寸法または直径の偏差が5〜10%である、またはナノ粒子の直径または寸法の偏差が5〜10%、好ましくは5〜8%(詳細後述)であるといいうことが可能である。ナノ粒子の材料は、用いた触媒材料に依存する。ナノ粒子は、好ましくは金属含有ナノ粒子であってもよい。好ましい実施形態では、選択的に析出するナノ粒子は、Co、Ti、Pt、W、NiおよびFeのような純金属であってもよい。他の好ましい実施形態では、選択的に析出するナノ粒子は、金属シリサイド含有ナノ粒子であってもよい。さらに別の好ましい実施形態では、選択的に析出するナノ粒子は、金属合金でもよい。
【0073】
本発明はまた、高密度(または、多数)のナノ粒子を形成および孤立させる方法も提供する。前記高密度のナノ粒子は、ナノ粒子1011〜1012個/cm2の範囲の密度であってもよい。
【0074】
本発明の実施形態による基体に触媒ナノ粒子を形成する方法の利点は、いかなる寸法の基体も使用可能なことである。さらに、例えばナノデバイスの製造のような既存の半導体工程と完全に両立する。
【0075】
本発明の実施形態にかかる基体にナノ粒子を供給する方法により形成する触媒ナノ粒子は、細長いナノ構造体を成長させる触媒として好都合に用いることができる。基体の所定の位置に析出したこれらのナノ粒子は、カーボンナノチューブ(CNT)またはナノワイヤ(NW)のような細長いナノ構造体の核生成および成長を開始し触媒する。従って、CNTまたはNWのような細長いナノ構造体を基体の所定の位置で成長させることができる。位置ならびに長さおよび直径を制御して選択的に析出するCNTまたはNWは、前記ナノ粒子を触媒として(成長の間)得ることができる。このようなCNT(またはNW)の成長を実現するように、凹部の標準的な配列を触媒の配置のテンプレートとして用いてもよく、例えば化学気相成長法(CVD)を用いて穴の内部でCNT(NW)が成長する。凹部の標準的な配列を有することは、凹部の配列が標準的な半導体工程のリソグラフィーおよびドライエッチングを用いて形成されること意味する。これらの標準的な工程を用いて、例えば50nm〜500nmの直径、例えば80nm、100nm、150nm、200nm、250nmまたは300nmの直径を有し、例えば直径の1倍、2倍または8倍のピッチを備えた凹部を形成してもよい。凹部のアスペクト比は例えば1:6、1:4、1:3、1:2.5または1:2であってもよい。
【0076】
従って、本発明は、また、基体に細長いナノ構造体を形成する方法も提供する。この方法は、基体の所定の位置に凹部を形成する第1の工程を含み、凹部は底部を有する。底部は凹部が形成される基体表面から最も遠い凹部の壁面と定義される。次いで、触媒材料の少なくとも1つの層が基体に供給され、触媒材料は少なくとも凹部の底部を覆う。次の工程では、少なくとも1つの触媒材料層が、例えば基体のアニーリングによりナノ粒子に分割される。その後、凹部の底部と異なる部位に形成したナノ粒子を選択的に取り除く。最後の工程では、CNTまたはNWのような細長いナノ構造体が、ナノ粒子を触媒として用いて凹部で成長する。
【0077】
本発明の実施形態にかかる基体に細長いナノ構造体を形成する方法は、いかなる寸法の基体でも用いることが可能であり、半導体製造技術と完全に両立する。
【0078】
以下において、いくつかの実施形態の詳細な説明により本発明を説明する。当該技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の真の精神および技術的教唆から逸脱することなく本発明の他の実施形態を構成できることは明確であり、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0079】
本発明において、用語「細長いナノ構造体」は、ワイヤ(ナノワイヤ)、チューブ(ナノチューブ)、ロッド(ナノロッド)および長軸を有する同様の細長い実質的に円柱または多角形のナノ構造体の形態の固体材料の任意の二次元的に制限された要素を意味する。細長いナノ構造体の断面寸法は、好ましくは1〜500nmである。本発明では、例えばカーボンナノチューブ(CNT)のような細長い有機ナノ構造体または例えば半導体ナノワイヤ(例えばシリコンナノワイヤ)のような細長い無機ナノ構造体を用いてもよい。以下にCNTを用いて本発明を説明する。これは、いかなる方法においても本発明を制限することを意図したものでない。本発明は、また上述した他の細長いナノ構造体にも適用される。
【0080】
さらに、本明細書で用いる用語、CNTの「ベース成長」または「ボトムアップ成長」は、基体に付着した触媒ナノ粒子を有するCNTの成長を意味する。本明細書で用いる用語、CNTの「チップ成長」または「トップダウン成長」は、表面に付着したCNTおよびCNTの最上部(または先端)にナノ粒子を有するCNTの成長を意味する。
【0081】
さらに、用語「純金属」ナノ粒子は、純金属より作られたナノ粒子または純金属のフィルムのアニーリングにより形成されたナノ粒子を意味する。前記金属の好ましい例はNi、Ti、Co、W、PtおよびFeである。用語「金属シリケート」ナノ粒子は、Niシリケート、Coシリケート、Feシリケート、Tiシリケートのような金属シリケートよりなるナノ粒子を意味する。用語「金属含有」ナノ粒子は、金属ナノ粒子と金属シリケートナノ粒子の両方を意味する。本明細書で用いる用語「合金」は、アニール(加熱)工程でいっしょに溶融する2以上の金属元素、または金属と非金属元素を含む混合物を意味し、従って、互いに溶け合い2以上の金属元素、または金属と非金属元素を含むナノ粒子を形成する。
【0082】
用語「活性触媒ナノ粒子」は、CNT(またはNW)の成長の触媒として用いるのに適したナノ粒子を意味する。即ち、単語「活性」は形成したナノ粒子を用いて、カーボンナノチューブを成長/合成/形成する能力があると理解される。カーボンナノチューブの成長/合成/形成は、カーボンソースを受け取る第1の工程、次にカーボンを割る(cracking)工程、続いてカーボンナノチューブを成長させる工程の多段階工程である。
【0083】
用語「アスペクト比」は、特定の凹部の高さ寸法の幅寸法に対する比を意味する。例えば通常、層内に円筒状に延在する凹部は高さと直径を有し、アスペクト比は円筒状凹部の高さを直径で割った値である。
【0084】
本発明の第1の要旨では、方法は触媒ナノ粒子を基体Sに供給する工程を有する。本発明の実施形態では、用語「基体」は、用いることができる、またはその上にデバイス、回路、もしくはエピタキシャル相を形成できる、単数または複数の下に配置されたいかなる材料を含んでもよい。好ましい実施形態では、この「基体」は、例えばドープしたシリコン、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムリン(InP)、ゲルマニウム(Ge)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)基体のような半導体基体である。別の実施形態では、「基体」は例えば半導体基体の部分に加え、SiO2またはSi3N4層のような絶縁層を含んでもよい。従って、用語「基体」はまた、シリコン・オン・グラス(silicon on glass)またはシリコン・オン・サファイア(silicon on sapphire)をも含む。従って、用語「基体」は、概して対象の層または部分の下に位置する層の元素を定義するのみに用いる。また、「基体」は、例えばガラスや金属のような、その上に層が形成される他のいかなるベースであってもよい。基体Sは、シリコンの基体であってもよい。
【0085】
本発明の実施形態にかかる方法を概略的に図1A〜1Fに示す。第1の工程で、この方法は、所定の位置に凹部3を形成することを含む。もっとも好ましくは、横列(row)および縦列(column)を有する標準的な配列の凹部3を形成してもよい。上述のような標準的な配列を備えることは、凹部の配列は、標準的な半導体のリソグラフィーおよびドライエッチング方法を用いて形成されることを意味している。これらの標準的な方法を用いることにより、凹部は、50nmから500nmの直径、例えば80nm、100nm、150nm、200nm、250nmまたは300nmの直径で、例えば直径の1倍、2倍または8倍のピッチを有するように形成してもよい。凹部のアスペクト比は、例えば1:6、1:4、1:3、1:2.5または1:2でもよい。凹部3の標準的な配列は基体Sに直接形成することが可能であるけれども、より好ましい凹部3は、ベース基体1に析出させた誘電体層2に形成してもよい。誘電体層2とベース基体1とは、基体Sを形成している。誘電体層2は、例えばSi基体の熱的なアニーリングにより形成してもよいSiO2、または他の態様では例えば化学気相成長法(CVD)のような堆積(または析出)技術によりSiO2を堆積することにより形成するSiO2であってもよい。誘電体層2は、CVDで析出させるSiCO(H)材料、ゼオライト、NCSまたは(適当な)有機低誘電率誘電体のような低誘電率(Low-K)誘電体でもよい。誘電体層2の厚さtは用途に依存し、例えば100nmから1000nmの間であってもよい。
【0086】
図1A〜1Fに示す実施形態では、基体Sは、上述の最上部に誘電体層2を備える、例えば半導体層のようなベース基体1を含んでもよい。好ましくは、ベース基体1はシリコンを含んでもよい。図1Aは、前記基体Sでの凹部3の形成を示す。図示する実施形態では、凹部3は、ベース基体1の上に存在する誘電体層2に形成してもよい。標準的なリソグラフ方法を用い、続いて基体Sに凹部3を形成するような、例えば反応性イオンエッチングのような、標準的な酸化物ドライエッチング(dry oxide etching)により、凹部3をリソグラフィー法的に(または露光技術的に、lithographically)規定してもよい。標準的なリソグラフィー法は、例えばフォトレジスト層のような少なくとも1つの感光層と、必要に応じ反射防止コーティングとを誘電体層2に堆積(または析出)する工程と、フォトリソグラフィックパターンを形成するように感光層を現像する工程とを少なくとも含む。フォトリソグラフィックパターン、そして例えば誘電体層2に凹部3を形成するための反応性イオンエッチングのマスクとして用いてもよい。
【0087】
凹部3の直径d0は、用途に依存してもよい。凹部3の直径d0は、50nmから500nmまででよく、例えば80nm、100nm、150nm、200nm、250nmまたは300nmでよい。凹部3の深さは、用途および存在するのであれば誘電体層2の厚さに依存してもよい。例えば、凹部3を誘電体層2の内部に設け、形成される触媒粒子(後述する)と、誘電体層2の下のベース基体1との接触を避ける必要がある場合は、深さdは誘電体層2の厚さtよりも小さくすることができる。別の実施形態では、凹部3を誘電体層2の内部に設け、下のベース基体1と接触する必要がある、接触することが望ましい、または接触することが可能な場合、深さdは誘電体層の厚さtよりも大きくてもよい。凹部3の深さは、例えば500nm〜1000nmの範囲でよいが、しかしこの範囲に限定されるものではない。
【0088】
更に別の実施形態では、基体Sはベース基体1の上の誘電体層2がなく、ベース基体1のみを含んでもよい。この場合、凹部3は基体Sのベース基体に設けられる。凹部3は、高密度、中密度(semi dense)または孤立した配置で設けてよい。高密度の(または密集した)配置は概して、1のピッチを、中密度の配置は概して、1:2のピッチを、孤立した配置は通常1:8のピッチを有してもよい。ピッチを有するとは隣接する凹部間の距離を意味する。凹部3のアスペクト比は、例えば、1:6、1:4、1:3、1:2.5、1:2であってもよい。
【0089】
凹部3を形成した後、ナノ粒子を基体に供給する。本発明の実施例では、ナノ粒子の供給は、少なくとも1つの触媒の層4を基体Sに析出(deposit)させて供給してもよい。図1Bは基体Sの誘電体層2への触媒材料層4の析出を示す。この図より、本実施形態においては、触媒材料層4は、誘電体層2の最表面および凹部3の底部と側面とに供給されることがわかる。図1Bに示す例とは対照的に触媒材料層4は、また凹部2の底部のみに供給してもよいことに留意すべきである。後者の場合、触媒材料は基体Sの表面にも存在することになることがあることを記しておく。少なくとも1つの触媒材料層4は、好ましくは金属材料を含有する層であってもよい。少なくとも1つの触媒材料層4の少なくとも1つは、金属含有層4であってもよい。少なくとも1つの触媒材料層4は好ましは、20nmより薄くてもよく、より好ましくは0.5nm〜10nmであってもよい。触媒材料層4は、例えば0.5nm、1nm、2nm、5nm、8nm、9nmまたは10nmの厚さを有してもよい。別の実施形態では、触媒材料層4の厚さは、より小さい、例えば直径が0.2〜0.5nmの範囲のナノ粒子をもたらし得る、0.5nm以下であってもよい。触媒材料層4の厚さに応じて、触媒材料層4は、不連続(言い換えれば、非同形(または不均一、non-conformal))であってもよい。層4の厚さに応じて、層4は、凹部3の内部で異なる厚さを有してよい。凹部3内の触媒材料層4の多くは、とりわけ触媒材料層4が8nmより薄い場合、凹部3の底部に位置している。
【0090】
触媒材料層4は、加熱された場合、活性触媒ナノ粒子を生じる材料を含んでもよい。触媒材料層4は、好ましくは金属を含んでもよく、もっとも好ましい実施形態では、Co、Ti、Pt、W、NiまたはFeのような純金属を含んでよい。好ましくは、純金属層は、物理気相成長法(PVD)のようなスパッタ法または原子層堆積法(ALD)もしくは化学気相成長法(CVD)のような堆積法を用いて形成してもよい。
【0091】
他の実施形態では、触媒材料層4は、例えば2つの層(好ましくは例えばCo、Ti、Pt、W、NiまたはFeのような金属により形成された2つの層のような)のような複数の層の組み合わせを含んでもよい。また、好ましくは金属の2つの層は物理気相成長法(PVD)のようなスパッタ法または原子層堆積法(ALD)もしくは化学気相成長法(CVD)のような堆積法を用いて形成してもよい。本発明は、任意の数の層の組み合わせについても開示していることに留意すべきである。さらに、2以上の層の組み合わせはまた、少なくとも1つの純金属層と少なくとも1つの非純金属層および/または非金属層との組み合わせであってもよい。
【0092】
さらに別の実施形態では、触媒材料層4は金属合金を含んでもよい。
【0093】
基体Sがシリコンを含み、触媒材料層4が金属または金属合金を含有する層である場合には注意を要することに留意すべきである。この場合、熱的に支援される方法を用いて触媒層4を分割した(break up)場合、基体を加熱する際にケイ酸塩(シリケート)を形成するように触媒材料と基体Sとの間に相互作用が起こり得る。これを避けるように、好ましくは中間バリア層を基体Sと触媒材料層4との間に設けてもよい。バリア層は、例えばSi3N4、TiN、TaN、HfN、SiO2等でもよく、例えば50nm〜100nmの厚さを有してもよい。
【0094】
さらに別の実施形態では、触媒材料層4は金属シリサイドを含んでもよい。この場合、最初シリコン層と金属層とを基体の上に堆積してもよい。好ましくは、金属層を堆積する前に、基体Sにシリコン層を堆積してもよい。もっとも好ましくは、シリコン層はCVDを用いて形成してもよい。金属シリサイドを形成するための金属層は、好ましくはCo、Ni、Ti、W、PtまたはFeであってもよい。好ましくは、金属層はPVD、ALDまたはCVDを用いて形成する。基体Sがシリコン基体(例えばSiウエハー)の場合、ベース基体1に誘電体層2が存在せず、触媒材料層4が金属シリサイドを含み、金属シリサイドのナノ粒子がベース基体1に移動するのを避けるように、シリコン層を堆積する前にバリア層を形成してもよい。上述したのと同様に、バリア層は、例えばSi3N4、TiN、TaN、HfN、SiO2等でもよく、例えば50nm〜100nmの厚さを有してもよい。
【0095】
図1Cは、例えば基体Sのアニーリングまたは加熱のような熱的支援および/またはプラズマ支援による、少なくとも1つの触媒材料層4のナノ粒子5、6への変化を示す。基体Sのアニーリングは、例えば温度範囲500℃〜900℃、好ましくは600℃〜800℃での高速熱アニール(RTA)により実施してもよい。他の適切なアニール方法の例は400℃でのH2プラズマである。アニーリングを実施する温度は、ナノ粒子5、6が形成されるべき触媒材料層4の厚さに依存してよい。好ましくは、基体のアニーリングは少なくとも1分から数分の間実施する。好ましくは、アニーリングはN2中で行ってもよい。好ましくは、アニーリングはその間、破られることのない真空中で行ってもよい。
【0096】
アニーリング工程の間に触媒材料層4に生じる応力は、図1Cに示すように2次元的な島またはナノ粒子5、6を水平な領域に形成する。触媒材料層4の厚さは、アニーリング工程の温度および保持時間と同様に、ナノ粒子5、6の寸法の制御、とりわけ直径の制御に影響を与え得る。同じアニーリング条件では、より薄い層4は、数密度が増加した(number density)、より小さなナノ粒子5に変化する。ナノ粒子5を最適に形成するための最適の温度および時間は、用いる触媒材料の種類と触媒材料層4の厚さに依存し得る。アニーリングを行うのに必要な温度は触媒材料層4の厚さと用いる触媒材料とに依存する。一方、配列の密度の変化、すなわち隣接する凹部3の間の距離は、ナノ粒子5、6の形成に顕著な影響を及ぼさないことを見出している。
【0097】
図2Aは、触媒材料がニッケルを含む場合で、700℃で1分間のアニーリング工程後の凹部3の底部に形成したナノ粒子5と、基体表面に形成したナノ粒子6とを上方から観察した走査電子顕微鏡(SEM)像を示す。この実施例では、触媒材料層4は、2mmの厚さであった。この写真より、ナノ粒子6は凹部3の底部と異なる位置、すなわち基体表面にも形成していることがわかる。本明細書において、これらのナノ粒子6は、以降、外部ナノ粒子(exterior nanoparticle)6と呼ぶ。
【0098】
本発明の他の実施形態では、ナノ粒子5、6と溶媒とを含む溶液より、ナノ粒子5、6を析出することで基体Sにナノ粒子5、6を供給してもよいことに留意すべきである。ナノ粒子5、6の析出(deposition)は、好ましくは基体Sへの溶液のスピンコーティング(spinning)により実施する。ナノ粒子5、6は、当業者により知られている如何なる適切な方法により形成してもよく、そして基体Sにナノ粒子5、6をスピンコーティングするように、溶媒と混合してもよい。ナノ粒子5、6が析出した後、凹部3の底部および基体Sの表面にナノ粒子5、6のみが残存するように溶媒を除去してもよい。溶媒の除去は、例えば熱的な乾燥工程での溶媒の蒸発により実施してもよい。
【0099】
次の工程において、凹部3の底部と異なる位置に形成された外部ナノ粒子6を選択的に除去してもよい。これら外部ナノ粒子6の選択的な除去は、例えば図1Dに示すように実施してもよい。第1工程で、凹部3は少なくとも部分的に犠牲材料7により満たされ、これにより少なくとも凹部3の底部のナノ粒子5は覆われる。犠牲材料7による少なくとも部分的な凹部3の充填は、例えばスピンコーティング法(spin-on technique)により実施してもよい。犠牲材料7は、有機材料、好ましくは市販の有機材料でよく、好ましくは、例えばレジストのようなフォトリソグラフィー材料でもよい。例えば、犠牲材料による凹部3の少なくとも部分的な充填は、犠牲スピンコーティング有機ポリマー7を基体Sに形成し、犠牲スピンコーティング有機ポリマー7により少なくとも凹部3のナノ粒子5を覆う。
【0100】
本発明の実施形態では、図1Dに示すように、凹部3に完全に犠牲材料7を充填してもよい。これは、好ましくは例えば2000rpmのような所定の回転速度で、例えば1または2分のような所定の時間スピンコーティングすることにより行われてもよい。しかしながら、他の実施形態では凹部3の一部のみ犠牲材料7を充填してもよい。これは、好ましくはスピンコーティングにより実施してもよいが、しかしこの場合凹部3を部分的に充填する必要があることから、より少ない犠牲材料を用いる。例えば凹部3は、凹部3の底部に形成したナノ粒子5が犠牲材料7により覆われている限り、その半分または3分の1を犠牲材料7により充填されてもよい。少なくとも部分的に凹部3を充填し、これにより凹部3の底部に存在するナノ粒子5を覆う工程は主に、更なる工程、より詳細には凹部3の底部とは異なる部位に位置する外部ナノ粒子6を選択的に除去する工程において、ナノ粒子5を保護するために実施する。外部ナノ粒子6の除去は、好ましくは化学機械研磨(CMP)により実施してもよい。さらに、この工程は好ましくない不純物をもたらすかもしれない工程後の残存物から凹部3の底部に形成したナノ粒子5を保護する。
【0101】
外部ナノ粒子6を選択的に除去した後、例えばCMP工程を実施し、犠牲材料7を取り除いてもよい。これは、例えば基体Sの材料にダメージを生じない、犠牲材料7の除去に適した湿式洗浄工程でもよい、洗浄工程により実施してもよい。この洗浄工程は凹部3より犠牲材料7を取り除き、これにより凹部3に形成したナノ粒子5を解放する。
【0102】
犠牲材料7を取り除くための洗浄工程の後、いくらかの犠牲材料7が、まだ凹部3に存在するかもしれず、例えばCMP工程に起因する不純物(例えばスラリー残存物)(図2BのCMPおよび犠牲材料7除去後の上方から見たSEM像を参照されたい)の小さな堆積物8(図2B)が凹部3の端部に存在するかもしれない。従って、例えばウェットエッチングのような付加的な洗浄工程を適宜行って、これらの不純物8を除去してもよい。ウェットエッチングは、例えば基体Sを例えばH2SO4:H2O2を1:4の体積比で含む溶液に、例えば5分間室温で浸漬する、ピラニアエッチングとも呼ばれる工程を含んでもよい。図1Eは、外部ナノ粒子を除去したCMP工程、およびそれに続く上述の洗浄工程後の基体Sを概略的に示す。図2Cは、室温で5分間ピラニアエッチングを行った後の基体Sを上方から観察したSEM写真である。このSEM写真から、不純物8が取り除かれているのがわかる。
【0103】
凹部3の底部に形成されるナノ粒子5の数は、形成されるナノ粒子5の寸法と凹部3の直径d0に依存する。直径が100nmの凹部3について、凹部3に形成したナノ粒子5の数を図3Aに示す。図3Aは、直径100nmの凹部3について、厚さ2nmのNi触媒層を700℃で1分間アニーリングした後の凹部3毎に形成したナノ粒子5の数を示すヒストグラムである。直径100nmの凹部を有する配列では、凹部内部のナノ粒子5の平均個数は20±0.51であってもよい。より大きな直径の凹部3は、その凹部3に、より多くの数のナノ粒子5を生じるであろう。また、触媒材料層4の厚さも凹部3に形成するナノ粒子5の個数に影響を与えるであろう。なぜなら、凹部3に形成するナノ粒子の寸法は基体Sの上に形成されている触媒材料層4の厚さに依存するからである。図3Bは直径が100nmの凹部3において、厚さ2nmのNi触媒層を700℃で1分間アニーリングした後に形成したナノ粒子5の寸法または直径のヒストグラムを示す。図3Bから、上述した厚さ2nmのNi触媒のアニーリング後に形成するナノ粒子の平均直径は12.65nm±0.84nmであることがわかる。これは6.6%の偏差である。このことから、本発明の実施形態にかかる方法では、狭い寸法の分布でナノ粒子5を形成することができることがわかる。本発明では、狭い寸法の分布は、従って5〜10%、好ましくは5〜8%の偏差を有する寸法または直径の分布を有する、またはナノ粒子の直径の偏差が5〜10%以内、好ましくは5〜8%以内であると言うことができる。
【0104】
本発明にかかる実施形態では、選択的に形成した高密度の(または個数の多い)ナノ粒子を得る。前記高密度のナノ粒子は1011〜1012個/cm2の密度であってもよい。
【0105】
本発明の実施形態にかかる、基体Sの所定の位置に形成される触媒ナノ粒子5は、好都合にも所定の位置にCNTまたは概して細長いナノ構造体を成長するのに用いてもよい。
【0106】
従って、本発明はまた、基体Sに細長いナノ構造体を形成する方法も提供する。本方法は、本発明の実施形態で上述したように基体Sの所定の位置に触媒ナノ粒子を提供する工程と、次に触媒としてナノ粒子5を用いて凹部3で細長いナノ構造体を成長させる工程を含む。図1Fは、触媒として凹部3の底部に形成したナノ粒子5を用いたCNT9の成長を示す。これは、ナノ粒子を適切なCNTの合成条件に置くことで実施する。CNT9は、好ましくは化学気相成長法(CVD)またはプラズマ支援CVD(PE−CVD)により成長させてもよい。これらの方法は、例えばCH4とC2H2、C2H4とアシスタントガスとして例えばN2および/またはH2のようなガスをカーボンソースとして用いる。最も好ましくは、CNT9を成長する方法は、C2H4をカーボンソースとして、かつN2および/またはH2をアシスタントガスとして用いてもよく、成長温度として、例えば600℃〜800℃のような900℃より低い温度で実施してもよい。他の実施形態では、CH4のような他のカーボンソースを用いてもよく、また別の成長温度が必要かもしれない。例えば、CNT9が成長する基体Sの材料のダメージを避けるように、成長温度は450℃より低くてもよい。例えば、C2H4以外の他のカーボンソースを用いた500℃より低い成長温度もまた、CNTの成長に適している。概して、形成されるCNT9の直径は、元の触媒ナノ粒子5の直径と一致してもよく、すなわち実質的に同じでよい。ナノ粒子の寸法の減少とともに、1対1の関係(または相関関係)に従い、CNT9の直径は小さくなってもよい。純金属のナノ粒子5では、CNT9の大規模な成長が800℃まで起こる。
【0107】
図4Aは、直径100nmの凹部3において、厚さ2nmのNi触媒層を700℃で1分間アニーリングして形成するナノ粒子5より成長するCNT9の個数を示す。CNT9は700℃で、200ml/分のエチレンの定常流の中で1分間成長させる。直径が100nmの凹部3の配列で、凹部3の内部に形成されるCNT9の平均個数は、例えば凹部3あたり20個のCNTであってもよい。
【0108】
図4Dは、直径100nmの凹部3において、厚さ2nmのNi触媒層を700度で1分間アニーリングして形成するナノ粒子5より成長するCNT9の直径のヒストグラムを示す。CNT9は700℃で200ml/分のエチレンの定常流の中で1分間成長させる。図4Bから、CNTの平均直径が12.5nmであることがわかる。
【0109】
図6Aは、0.5nmのコバルト膜(プラズマ気相法を用いる)より得たコバルトナノ粒子を上方から見たSEM像である。凹部に位置するナノ粒子は、1012個/cm2の高い密度を有する。図6Bは、凹部の内部で成長したCNTの横方向から見たSEM像であり、このナノ粒子が多い個数(高い密度)のCNTをもたらす、CNTの成長を開始する(活性ナノ粒子)のに適していることを示している。
【0110】
実施形態にかかるCNT9は触媒材料と基体Sとの相互作用に応じ、ベース成長(base growth)またはボトムアップ成長(または下から上への成長、bottom up growth)でもよく、また他の実施形態では、チップ成長(tip growth)またはトップダウン成長(または上から下への成長、top down growth)でもよい。例えば、触媒材料と基体Sとの相互作用が無いまたは弱いとナノ粒子5を上部(または先端、top)に有するCNT9をもたらすチップ成長を生じてもよい。
【0111】
生じたCNT9の特性は、CNT9の成長の際に用いた、プロセスパラメータに依存し得る。例えば、成長温度が上昇すると、生じたCNT9は、より真っ直ぐになり得る。さらに成長温度が900℃では、ほんのわずかのナノ粒子5がCNTの成長に触媒として作用できる。この効果は、触媒ナノ粒子の位置に起因する。高温であるため、C2H4は炭素が触媒ナノ粒子5の内部に拡散するよりも早く分解する。従って、触媒粒子5は、非晶質カーボンに覆われ、もはやCNT成長の触媒として作用できない。
【0112】
必要であれば、成長後CNT9は容易に基体Sより解放できる。これは、例えばCNT9と基体Sとの間の相互作用が弱い場合、例えば脱イオン水により濯ぐことで実施してもよい。
【0113】
本発明の実施形態にかかる方法に基づくCNT9の成長についての好ましい実施形態は、例えば半導体デバイスの製造に用いることができる。例えば、CNT9のチップ成長またはトップダウン成長、すなわちナノ粒子5がCNT9の上端に付着している場合、成長したCNT9に対する電気的な接触を容易に認識することができる。
【実施例】
【0114】
以下に本発明の実施形態にかかる方法を説明するいくつのかの実施例を示す。
【0115】
実施例1:金属ナノ粒子の形成
8nmおよび2nmの厚さのNi層およびCo層より生じる純金属のナノ粒子5、6を評価する。
【0116】
物理気相成長法(PVD)を用いNi層4を形成し、700℃で1分間、Ni層をアニーリングした。SEMでの解析によりナノ粒子の寸法分布を決定した。上述のアニーリング条件で厚さ8nmに堆積したNi層より生じたナノ粒子5、6の粒子径は、67nm±6nmであった。厚さ2nmに堆積したNi層より生じたナノ粒子5、6の粒子径は、17nm±4nmであった。
【0117】
厚さ8nmと厚さ2nmのCo層より生じた純金属ナノ粒子5、6は同じ厚さのNi層で観察されたのと全く同じ挙動を示す。
【0118】
従って、金属、すなわちNiまたはCo層4の与えられた厚さの実施例では、ナノ粒子5、6の直径は触媒材料4の厚さに依存すると結論付けることができる。触媒材料4の厚さが薄いほど、生じるナノ粒子5、6の直径が小さくなる。
【0119】
実施例2:CoおよびNiナノ粒子を触媒として用いたCNTの成長
本発明の実施例にかかるナノ粒子5を選択的に得る方法を完全に行った後のNiおよびCo(純金属)の触媒作用を完全に評価するように、NiおよびCoナノ粒子5を広い範囲の合成条件に曝した。CNTの成長を実施するためにCVDチャンバーを用いた。反応系(system)は、ロードロックプレチャンバーであって、そこから磁気的なマグネティックトランスファーロッドを用いて、直径80mmのクォーツチューブを含み、長さが120cmで水平炉に囲まれた固定床反応装置(fixed bed reactor)にサンプルを輸送するロードロックプレチャンバーを含んでもよい。反応系の圧力は大気圧から1mbarまで変えることができ、一方、温度は1200℃まで上げることができる。カーボンソース、水素ガスおよび窒素ガスを流量100〜500ml/分の範囲および最大圧力3barで直接固定床反応装置に供給する。全てのサンプルは所望の成長温度で条件調整を行った。それぞれのサンプルを、キャリアガス、N2とH2の混合でそれぞれ流量4000ml/分と2000ml/分の定常流れのある反応装置の中央に2分間置いた。次にエチレンを100ml/分、200ml/分および500ml/分と異なる流量で炉内に流した。CNTの成長は、大気圧で、600℃〜800℃の範囲のいくつかの温度で、異なる期間すなわち1、2、5および10分間行った。CNTが成長した後、サンプルをプレチャンバーに戻し、N2雰囲気で冷却した。得られたCNTは、走査型電子顕微鏡(SEM)および高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)により調査した。上方からの解析は、Wフィラメントのフィリップ社製X−30およびX−31SEMにより行った。TEM像は、電界放出銃(FEG)を備えたJEOL2010Fを加速電圧200kevで用いて記録した。
【0120】
触媒として選択的に得たCoおよびNiナノ粒子5を用い、評価した合成パラメータの全範囲でCNT9の高密度の配列を成長させた。両方の金属において、全ての場合で多量の成長が確認された。カーボンソースの流量、温度および保持時間の影響を調査した。これらのパラメータから、アニーリングおよび成長が行われた間の時間がCNT9の長さに大きな影響を及ぼすという結論を得ることができる。
【0121】
例えば、10分間の成長時間の後、長さ最大15μmの長いCNT9を得ることができる。図5Aに示すように、これらの環境で得たCNT9は、絡み合い、基体Sの表面の配列領域全体(凹部3の外側も)を覆い得る。このことは、本発明の実施形態にかかる方法により多量のCNT9の成長を得ることができることを示している。CNT9は、凹部3の外側に成長し、そして同じ凹部3で成長した隣接するCNT9および隣接する凹部3で成長したCNT9と絡み合うことができる。しかしながら、実験的な観点では、このような長い絡み合ったCNTを得た場合は、これらの特性を調査するのが困難である。従ってCNTの成長は、上述のCNT成長方法についての他のパラメータは維持したまま、より短い時間で実施した。適切な成長時間を選択することにより、CNT9の長さを調整することができ、これによりCNT9が、図5Aに示した上述の成長方法による場合のように、凹部3の外部、すなわち上に成長した際の絡み合いを避けることができる。
【0122】
成長および得られるCNT9への時間の影響に対処するように、このパラメータは系統的に減少させた。2分にまでさえ減少させたが変化は認められなかった。まだ、絡み合った長いCNTの成長が観察された。成長時間を1分に減少すると、CNT9は、それぞれの凹部3より形成され、隣接する凹部3で成長したCNTが絡み合わないことを観察することができた。このことは、700℃で1分間200ml/分の定常流れのエチレン中で成長させたCNT9の配列を上方から見たSEM像である図5Bに示されている。図5Bから、CNT9は凹部3の内部より束状に成長していることがわかる。これは、1つの凹部3に、いくつかのナノ粒子5が形成されていることに起因する。概して、1対1のナノ粒子/ナノチューブ比は容易に達成され得る。同じ配列の凹部3での、成長密度の均一性、すなわち1つの凹部3のCNT9の量の均一性、が認められた。これは、本発明の実施形態にかかる触媒材料層4の形成が均一にできることを示している。
【0123】
さらに、本発明の実施形態にかかる選択的に形成したナノ粒子5の触媒としての活性は、ブランケットフィルムで認められるものと同程度あり、すなわち基体Sの凹部3の内部に形成することによる触媒の活性度(catalytic activity)の損失は認められない。CNTの直径の分布も、また均一であることが認められる。より詳細なSEMの調査は、広く報告されているように1対1の関係に従い、チューブの直径が、それが成長したナノ粒子の直径に従い変化することを示している。このことは、CNT直径の正確な制御は、主として、CNTがそこから成長する触媒ナノ粒子5の寸法により制限されるという事実をサポートする。
【0124】
従って、単分散のCNTの配列を成長させるように、本発明の実施形態にかかる方法により形成および孤立化されるナノ粒子の適切な寸法が達成されなければならない。CNT9の長さを除いて、成長の時間は得られるCNT9の他の特性を変化させないようである。
【0125】
しかしながら、成長温度またはカーボンソースの流量を変化させた場合、形態の違いが認められる。成長したCNT9は、600℃でツイスト構造を示す。成長温度が高くなると、より真っ直ぐなCNT9をもたらす。この現象は、より高い温度は、生成するCNT9に、より少ない欠陥及びより優れたCNT壁の黒鉛化を形成するという事実に起因している。カーボンソースの流量を変化させるなかで、非晶質Cが形成しない最適値が認められた。同じナノ粒子の寸法の場合、温度とともに、ある程度、流量を増加させることが可能である。チップ成長メカニズム(tip growth mechanism)による多量成長の発生は、評価したパラメータの全範囲で確認される。チップ成長では、触媒ナノ粒子はそれぞれCNTの最上部に残存する。この現象は、例えば基体Sがベース基体1とベース基体1の上にSiO2層2を含む場合に起こり得る。ナノ粒子5は、それが形成されるSiO2層2に接着しないからである。従って、成長したCNT9は、基体から容易に剥離する傾向がある。この現象は、CNTの絡み合いに起因してより長い成長時間でとりわけ認められる。概して、上述した全ての特徴が基体の端部領域ならびに中央領域で認められた。さらに、NiおよびCoのナノ粒子5は触媒挙動に差が認められなかった。
【0126】
実施例3:CVDで成長したCNTの成長パラメータの評価
実施例2で示した成長パラメータを更に評価するために、成長時間とカーボンソースの流速をそれぞれ、30秒と10ml/分とに減少し、一方成長温度を900℃に上げた。CNT9の成長に直ちに影響が認められた。これを図5Cに示す。単一のCNT9は全ての凹部3ではなく、ほんのいくつかの凹部3から成長した。限られたカーボンソースの量と成長時間の減少により、CNTの長さが制御されていた。さらに、形態への影響が明確に認められた。全てのCNT9が直線状であった。一方、このような状況下では、ナノ粒子の全てが活性であったわけではない。これはおそらく上述した高温での悪影響に起因している。
【0127】
実施例4:CNT成長後のCoおよびNi純金属ナノ粒子の状態。
CNTが完全に成長した後のCoおよびNi純金属ナノ粒子5の状態を明らかにするように、700℃で1時間成長させたCNT9のHRTEM観察を実施した。粒子で測定した面間隔(または格子面間隔)(dhkl=0.204nm)がNiの結晶構造のこの特性値(dhkl=0.203nm)と一致することが認められる。完全にCNTの成長工程が完了した後、CNT9の中に組み込まれたナノ粒子5は純金属として残存している。また全てのCNT9は多層(multi-wall)CNTであることも認められた。ナノ粒子5の寸法は単層(single wall)CNTの成長には大き過ぎることから、このことは予想されていた。一方、グラファイト壁は無欠陥(defect free)ではない。しかしながら、これは、成長パラメータを調整することで改善可能である。
【0128】
上述した方法は、多くの変形および改良が可能であることが知られている。従って、方法およびその関連する用途は上述した方法にのみ限定されるものではない。本発明にかかるデバイスについて、好ましい実施形態、特定の構造および配置、あるいは材料が明細書中で示されているが、構造および詳細部の多くの変更または改良が本発明の技術的範囲および精神から逸脱することなく可能であることを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1A】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図1B】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図1C】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図1D】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図1E】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図1F】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる、ナノ粒子の選択的析出の際の異なる工程において上方よりみたSEM像である。
【図3】100nmの直径を有する凹部において、厚さ2nmのNi触媒層を700℃で1時間アニーリングした後に形成するナノ粒子の(A)数の分布および(B)直径の分布のそれぞれのヒストグラムを示す。
【図4】厚さ2nmのNi触媒層を700℃で1時間アニーリングした後に形成する粒子より成長したCNTの(A)数の分布および(B)直径の分布のそれぞれのヒストグラムを示す。凹部は100nmの直径を有し、700℃で一定の200ml/分のエチレンの流れで1分間成長させた。
【図5】本発明の特定の実施形態にかかる、成長したCNTの配列を上方から見たSEM像である。
【図6A】凹部に位置するナノ粒子を上方から見たSEM像であり、これら凹部内の多数のナノ粒子を示している。
【図6B】凹部で成長したCNTを側面から見たSEM像であり、ナノ粒子がCNTの成長を起こさせる(活性ナノ粒子)のに適しており、多数の(高密度の)CNTをもたらすことを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒ナノ粒子に関する。より詳細には、本発明は、基体に触媒ナノ粒子を形成する方法を提供する。さらに、本発明の実施形態にかかる方法により作製した触媒ナノ粒子を用いて基体に細長いナノ構想を形成する方法を提供する。本発明の実施形態にかかる方法は、如何なる寸法の基体にも用いることが可能で、また例えばナノデバイスの製造用のような、既存の半導体工程と完全に両立(compatible)する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)は、マイクロエレクトロニクス産業において拡大し、さらに現在用いている材料にさえ置き換わる最も有望な候補と認識されている。メタリックCNTは、その高い導電能力のために、ナノ電子相互接続体(interconnecting)として提案されており、一方、半導体CNTは、その大きなバンドギャップのためにナノスケールトランジスタ要素として示されている。これら及び類似の用途は完全には、まだ達成できない。いかなるCNTベースのデバイスもまだ、用途により異なるがしかし、いくつかの観点では類似しているであろう未解決な問題に直面しているからである。第1の問題は、異なるCNTを同一の特性を有するように合成することが不可能なことに関連する。第2の問題は、電流の増加(current growth)のパラメータが、現実のバッチ式技術による集積の仕組み(realistic batch-type technology integration scheme)と一致しないことである。最後の問題は、所定の位置に触媒を堆積する拡張性のある方法が欠如していることに関する。さらに、CNTは、様々なデバイス構造において効率的、経済的に集積しなければならない。様々なデバイスの用途において、CNTのポテンシャルを完全に実現するには、触媒の配置および選択的な成長は極めて重要な課題である。
【0003】
(孤立した)垂直配向カーボンナノチューブ繊維(VACNF、vertically aligned carbon nanotubefiber)用の大規模な工程が実現されているが、特性と配置を制御し選択的に堆積(または析出、deposit)したCNTの合成は極めて限定的である。多層CNT(MWCNT)の一様な配列および孤立垂直配向MWCNT(single free-standing aligned MWCNT)は正確なNiナノ粒子のパーターニングにより所定の位置に成長させていた。パターンニングは光学および電子ビームリソグラフィーの組み合わせを用いて規定され、一方成長は、Teoらによる"Uniform Patterned Growth of Carbon Nanotubes without Surface Carbon" Appl. Phys. Lett. (2001), 79, 10 1534-1536およびKimらによる"The Growth of Freestanding Single Carbon Nanotube Arrays" Nanotechnology, (2003), 14, 1269-1271に開示されているプラズマ化学気相成長法(PECVD)を用いて実施される。同様にナノホールによるCNTの合成は、触媒のパターンニングのためのイオンミリングを備えた従来のリソグラフィーとDuecbergらによる"Growth of isolated Carbon Nanotube with Lithographically Defined Diameter and Location" Nano Letters, (2003), 3, 2, 257-259に示されている成長のための化学気相成長法(CVD)とを組み合わせて実施された。
【0004】
別の方法として、シャドーマスクを介した触媒の蒸発がMWCNTと単層カーボンナノチューブ(SWCNT)との両方の制御に成功したことが知られていた。これらの方法をさらに変形することにより、Franklinらによる"Patterned Growth of Single-walled Carbon Nanotube of full 4-inch wafers", Appl. Phys. Lett. (2001), 79, 27, 4571-4573" およびKongらによる"Synthesis of Individual Single-walled Carbon Nanotubes on Patterned Silicon Wafers", Nature, (1998), 395, 878-881に示されるようにパターンを設けたウエハー全面でSWCNTの合成が実施された。
【0005】
他の方法として、ナノ粒子の孤立化と所定の位置でのCNTの成長が従来と異なる技術を用いて行われている。ポリスチレンナノ球体リソグラフィーを用いて長周期の配列を形成した(Huangらによる"Growth of Large Periodic Arrays of Carbon Nanotubes", Appl. Phys. Lett. (2003), 82, 3, 460-462を参照されたい)。パターン化された触媒は異なる直径と配置密度を有するCNTを形成した。テンプレートとして陽極酸化アルミニウム(AAO)を選択することにより、AAOテンプレートのナノ細孔(nanopore)にCoナノ粒子が配置される。このようなナノ粒子から成長するCNTは、ナノ細孔の中に制限された。デバイス製造のために局所的な成長を移動させる、多くのアプローチが実施されている。これらのうちの2つは、集積密度を改善できた。第1は電界放出ディスプレイ(FED)用のゲートホール内の孤立CNTの成長を実施していた。より詳細には、窒化ケイ素SiNxのキャッピング層をNi触媒の上に堆積した。そしてSiNx層にホールを形成するために、ウェットエッチングが適用される。これは、最初従来のリソグラフィーにより規定されNi下部層には到達しなかった。更なるアニーリングはNi原子をSiNxに拡散させ、ホール内のSiNxの表面にNi粒子を形成する。このNi粒子を成長の条件下に曝すと、CNTは、ゲートホール内のみで成長した。第2は、パターン化したデバイス電極に予めパターンを設けた触媒のドットから垂直に成長するCNTを用いた電気機械的スイッチングデバイスが製造されている。このデバイスは、3つのNb電極の所定の位置から成長した3つのMWCNTより成る。電極は、電子ビームリソグラフィー、スパッタリングおよびリフトオフによりパターンを設けられた。同様に、Ni触媒のドットが電極に形成され、その後CNTが成長した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在までに達成されたこれらの改良にもかかわらず、正確な触媒ナノ粒子の配置は依然と重大な課題であり、拡張性があり、経済的に魅力的で現実的である既存の半導体工程と完全に両立する方法による一様な配列のCNTの成長は、現在まで達成されていない。
【0007】
本発明の目的は、基体に触媒のナノ粒子を形成する優れた方法を提供することである。本発明の更なる目的は、基体に、例えばCNTのような細長いナノ構造体を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、本発明にかかる方法およびデバイスにより達成できる。
本発明の実施形態にかかる方法は、拡張性があり既存の半導体工程と完全に両立する。
【0009】
さらに、本発明の実施形態にかかる方法は、基体の所定の位置に正確に触媒ナノ粒子および細長いナノ構造体を形成できる。
【0010】
さらには、本発明の実施形態にかかる方法は、例えば直径と長さを制御したCNTのような細長いナノ構造体を成長させる。
【0011】
本発明の実施形態にかかる方法は、基体の所定の場所に狭いサイズ分布を有するパターンを有し、選択的に堆積されるナノ粒子を形成する方法を提供する。前記狭いサイズ分布は、変化が5〜10%に制限されたサイズ分布をとして、またはナノ粒子の直径の寸法変化が5〜10%以内として表すことが可能である。これらパターン化したナノ粒子は、触媒が存在する場所で、選択的に細長いナノ構造体の核生成および成長に触媒作用を及ぼすのに用いることができる。細長いナノ構造体の成長に用いるナノ粒子の直径は、好ましくは、5nm〜50nmの範囲であり、より好ましくは5nm〜20nmの範囲である。
【0012】
本発明の実施形態にかかる方法は、また、高密度(または、個体数が多い)のパターン化したおよび選択的に析出したナノ粒子を形成する方法を提供する。前記高密度のナノ粒子は、1011〜1015個/cm2の範囲の密度であってもよい。
【0013】
本発明の第1の要旨において、基体に触媒ナノ粒子を形成するための方法が提供される。この方法は、以下を含む。
・基体の所定の位置に凹部(recess)を形成し、凹部は底部を有する。
・基体にナノ粒子を供給する。
・凹部の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子を選択的に除去する。
【0014】
本発明の実施形態にかかる基体に触媒ナノ粒子を形成する方法の利点は、いかなる寸法の基体においても用いることが可能なことである。さらに、例えばナノデバイスの製造のような既存の半導体の工程と完全に両立する。さらに、基体に触媒ナノ粒子を形成する方法は、狭いサイズ分布の触媒ナノ粒子を与える。
【0015】
さらに、この方法は、基体の所定の位置に触媒ナノ粒子を与えることができる。
【0016】
本発明の実施形態では、基体へのナノ粒子の供給は以下のようにしてもよい。
・基体に少なくとも1層の触媒材料を供給し、触媒材料が凹部の少なくとも底部を覆い、かつ、
・少なくとも1層の触媒材料をナノ粒子に分割(または細分化、break up)する。
【0017】
少なくとも1層の触媒材料のナノ粒子への分割は、熱および/またはプラズマ支援法(thermal and/or plasma assisted method)により行ってもよい。好ましくは、少なくとも1層の触媒材料のナノ粒子への分割は、基体の加熱により行ってもよい。
【0018】
本発明の実施形態では、触媒材料層は、少なくとも1つの金属を含む層、または少なくとも1つの金属合金を含む層、または金属シリサイドを含む層であってもよい。従って、本発明の実施形態にかかる方法により形成されたナノ粒子は、少なくとも1つの金属を含む純金属ナノ粒子でもよく、金属合金ナノ粒子でもよく、または金属シリサイドナノ粒子であってもよい。
【0019】
他の実施形態では、基体へのナノ粒子の提供は、以下により行われてもよい。
・ナノ粒子および溶媒を含む溶液より基体にナノ粒子を析出し、かつ、
・ナノ粒子の析出後溶媒を除去する。
【0020】
溶媒の除去は、蒸発により行ってもよい。
【0021】
本発明の実施形態にかかる方法では、最初凹部の標準の配列を基体に形成してもよい。凹部の標準の配列は、そして、触媒ナノ粒子の配置のテンプレートとして用いてもよい。標準の配列を有することは、リソグラフィーおよびドライエッチングの標準的な半導体工程により配列が形成されることを意味する。これらの標準的な工程を用いることにより、例えば80nm、100nm、150nm、200nm、250nmまたは300nmのような例えば50nm〜500nmの直径で、例えば直径の1、2または8倍のピッチを備えた凹部を形成してもよい。凹部のアスペクト比は、例えば1:6、1:4、1:3、1:2.5または1:2であってもよい。
【0022】
形成するナノ粒子の直径は用途に依存する。本発明の実施形態にかかる方法により形成されるナノ粒子は100nmより小さい直径を有してもよい。触媒ナノ粒子を用いてシングルウォールCNT(または単層CNT)が形成されなければならない特定の実施形態では、ナノ粒子は3nmより小さい直径を有してもよい。触媒粒子を用いてマルチウォールCNT(多層CNT)が形成されなければならない他の特定の実施形態では、ナノ粒子は5〜10nmの範囲の直径を有してもよい。
【0023】
凹部の底部と異なる位置に形成されたナノ粒子を選択的に除去する方法は、以下により実施してもよい。
・基体に犠牲材料(sacrificial material)を堆積し、犠牲材料は少なくとも凹部の底部に位置するナノ粒子を覆い、
・凹部の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子を除去し、
・犠牲材料を除去する。
【0024】
少なくとも凹部の底部に配置されたナノ粒子を覆うために犠牲材料を用いことにより、凹部の底部と異なる位置のナノ粒子を、凹部の底部に形成されたナノ粒子に影響を与えることなしに除去することが可能となる。さらに、凹部の底部に配置されたナノ粒子は犠牲層により以後の工程の影響、とりわけ凹部の底部と異なる場所に位置するナノ粒子を除去するための化学機械研磨工程の影響から保護され、これにより細長いナノ構造体の成長に用いられるナノ粒子の汚染を防止する。
【0025】
犠牲材料の除去は、当該技術分野に通じた者にとって既知のいかなる方法、例えばウェットクリーニング(または湿式洗浄)工程により実施してもよい。
【0026】
本発明の実施形態では、基体の所定の位置での凹部の形成は、基体の所定の位置の凹部のエッチングにより実施してもよい。この方法は、さらに、エッチングの前に、リソグラフィーにより基体に所定の位置を規定する工程を含んでもよい。この方法を用いて、凹部が形成されるべき位置を極めて正確に決定することが可能である。
【0027】
本発明の別の実施形態では、基体はベース基体(base substrate)を含んでもよい。基体の所定の位置への凹部を形成は、ベース基体に凹部を形成することにより実施してもよい。この方法は、ナノ粒子を触媒として用い、基体上で成長し得る細長いナノ構造体とベース基体との間の接触が必要な、例えば半導体デバイスの製造に用いると有利であろう。
【0028】
本発明の他の実施形態では、基体はベース基体と誘電体層とを含んでもよい。基体の所定の位置への凹部を形成は、基体の誘電体層に凹部を形成することにより実施してもよい。ナノ粒子を触媒として用いて基体上で成長し得る細長いナノ構造体とベース基体との間が接触してはいけない、例えば半導体デバイスの製造に用いると有利であろう。
【0029】
本発明の実施形態では、この方法は、凹部の端部(またはエッジ、または縁)から不純物を取り除く工程をさらに含んでもよい。これらの不純物は、凹部の底部と異なる場所に形成されたナノ粒子を取り除くために用いる工程の残留物でもよい。他の実施形態おいて、またはこれらに加え、これら残留物は、凹部の底部に形成したナノ粒子を、凹部の底部と異なる位置に形成したナノ粒子を取り除くために用いる工程から保護するのに用いる犠牲層の残留物であってもよい。
【0030】
特定の実施形態では、凹部の端部からの不純物の除去は、エッチング、例えば基体をH2SO4:H2O2が1:4の溶液に5分間浸漬(または、ピラニアエッチという)により実施してもよい。
【0031】
本発明の第1の要旨の実施形態にかかる方法は、基体上のナノ構造体の成長工程に用いていてもよい。
【0032】
第2の要旨では、本発明は基体で細長いナノ構造体を形成する方法を提供する。この方法は以下を含む。
・基体の所定の位置に凹部を形成し、凹部は底部を有し
・基体にナノ粒子を配置し、
・凹部の底部と異なる位置に配置したナノ粒子を選択的に取り除き、かつ、
・凹部の底部に配置したナノ粒子を触媒として用い細長いナノ構造体を成長させる。
【0033】
本発明の実施形態にかかる、基体に細長いナノ構造体を形成する方法の利点は、いかなる寸法の基体も使用できることである。さらに、この方法は、例えばナノデバイスの製造のような既存半導体工程と完全に両立することである。
【0034】
本発明の実施形態にかかる、基体に細長いナノ構造体を形成する方法の更なる利点は、制御された所定の直径および長さを備えた細長いナノ構造体を形成できることである。
【0035】
さらに、本発明の実施形態にかかる、基体に細長いナノ構造体を形成する方法により基体の所定に位置に細長いナノ構造体を備えることが可能である。
【0036】
本発明の実施形態では、基体へのナノ粒子の供給は以下により実施してもよい。
・基体に少なくとも1層の触媒材料を配置し、触媒材料が少なくとも凹部の底部を覆い、かつ、
・少なくとも1層の触媒材料をナノ粒子に分割する。
【0037】
少なくとも1層の触媒材料のナノ粒子への分割は、熱および/またはプラズマ支援による方法により実施してもよい。好ましくは、少なくとも1層の触媒材料のナノ粒子への分割は、基体を加熱することにより実施してもよい。
【0038】
他の実施形態では、基体へのナノ粒子の提供は以下により実施してもよい。
・ナノ粒子と溶媒とも含む溶液より、ナノ粒子を基体に析出し、
・ナノ粒子の析出後、溶媒を取り除く。
【0039】
溶媒の除去は蒸発により実施してもよい。
【0040】
本発明の実施形態では、ナノ粒子は純金属のナノ粒子でもよく、合金のナノ粒子でもよく、または金属シリサイドのナノ粒子でもよい。
【0041】
細長いナノ構造体は、好ましくはカーボンナノチューブ(CNT)またはナノワイヤー(NW)であってもよい。
【0042】
本発明の実施形態にかかる方法では、第1に凹部の標準的な配列を基体に形成してもよい。凹部の標準の配列は、そして、触媒ナノ粒子の配置のテンプレートとして用いてもよい。標準の配列を有することは、リソグラフィーおよびドライエッチングの標準的な半導体工程により配列が形成されることを意味する。これらの標準的な工程を用いることにより、例えば80nm、100nm、150nm、200nm、250nmまたは300nmのような例えば50nm〜500nmの直径で、例えば直径の1倍、2倍または8倍のピッチを備えた凹部を形成してもよい。凹部のアスペクト比は、例えば1:6、1:4、1:3、1:2.5または1:2であってもよい。
【0043】
直径および長さを制御した細長いナノ構造体の成長を、そして、触媒としてナノ粒子を用いて凹部の内部で実施する。
【0044】
凹部での細長いナノ構造体の成長は、化学気相成長法により実施してもよい。これは、例えば以下のように実施してもよい。
・カーボンソースとアシスタントガスを備え、
・基体を加熱することにより細長いナノ構造体を成長させる。
【0045】
細長いナノ構造体の成長は、好ましくは基体を600℃〜800℃の温度に加熱することにより実施してもよい。
【0046】
凹部の底部と異なる位置に形成されたナノ粒子の選択的な除去は、以下のように実施してもよい。
・犠牲材料を基体に堆積(または形成)し、犠牲材料は少なくとも凹部の底部に配置したナノ粒子を覆い、
・凹部の底部と異なる場所に配置されたナノ粒子を取り除き、
・犠牲材料を取り除く。
【0047】
少なくとも凹部の底部に配置されたナノ粒子を覆うために犠牲層を用いることにより、凹部の底部と異なる場所のナノ粒子を凹部の底部に形成されたナノ粒子に影響を与えることなく、除去できる。さらに、凹部の底部に配置されたナノ粒子は、犠牲層により以降の工程、より詳細には凹部の底部と異なる位置に配置されたナノ粒子を除去するために用いてもよい化学機械研磨工程から保護され、これにより凹部の底部に配置されたナノ粒子の汚染を防止する。
【0048】
本発明の実施形態では、基体の所定の位置での凹部の形成は、以下により実施してもよい。
・リソグラフィーにより基体に所定の位置を規定し、
・所定の位置で基体に凹部をエッチングする。
【0049】
この方法の使用により、凹部が形成されるべき位置を極めて正確に決定できる。
【0050】
本発明の実施形態では、基体はベース基体を含んでもよい。基体の所定の位置の凹部の形成は、ベース基体に凹部を形成することにより実施してもよい。この方法は、ナノ粒子を触媒として用いて基体上で成長し得る細長いナノ構造体とベース基体との間の接触が必要な、例えば半導体デバイスの製造に用いると有利であろう。
【0051】
本発明の実施形態では、基体はベース基体と誘電体層とを含んでもよい。基体の所定の位置への凹部を形成は、基体の誘電体層に凹部を形成することにより実施してもよい。この方法は、ナノ粒子を触媒として用いて基体上で成長し得る細長いナノ構造体とベース基体との間が接触してはいけない、例えば半導体デバイスの製造に用いると有利であろう。
【0052】
本発明の実施形態では、細長いナノ構造体の成長は、ベース成長(または根本成長、base growth)により実施される。
【0053】
本発明の実施形態では、細長いナノ構造体の成長は、チップ成長(または先端成長、tip growth)により実施される。
【0054】
本発明の第2の要旨の実施形態にかかる、基体での細長いナノ構造体の形成は、半導体製造工程に用いてもよい。
【0055】
本発明は、また、触媒ナノ粒子を有する基体を供給し、触媒ナノ粒子は選択的に基体の凹部に配置され、基体は細長いナノ構造体を備え、細長いナノ構造体は選択的に基体凹部に配置される。細長いナノ構造体は、凹部に選択的に配置されている触媒ナノ粒子を有する基体を用いて形成できる。
【0056】
本発明のとりわけ、および好ましい要旨は、添付の独立および従属請求項に示されている。従属請求項の技術的特徴は、単に請求項に明示されているものだけでなく、適切に、独立請求項の技術的特徴および他の従属請求項の技術的特徴と組み合わせてもよい。
【0057】
当該技術分野では持続的なデバイスの改良、変更および発展があるが、本発明の概念は、実質的に新しく、新規な改良であり、従来の実施形態からの逸脱を含み、より効率的で、安定し、信頼性のあるこの分野のデバイスを提供すると信じられている。
【0058】
上記および他の本発明の特性、特徴ならびに利点は、以下の詳細な説明および例として本発明の原理を示す添付の図により明らかになるであろう。本明細書は、本発明の技術的範囲を制限しない例を示すものである。以下に引用する参照図面は、添付の図について示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
全ての図は、本発明の要旨および実施形態を説明することを意図している。全ての他の実施形態および選択肢が示されているわけでなく、従って本発明は添付の図の範囲に制限されるものではない。同様の番号が異なる図の同様の部分を示すために用いられている。図は好ましい実施形態を示すであろう。異なる図の同じ記号は同じまたは類似の要素を示す。
【0060】
本発明は多くの特定の実施形態を記載し、図を参照するが、しかし本発明はこれらに限定されるものではなく特許請求の範囲によってのみ限定される。図は概要のみを示しており限定するものではない。図中において、いくつの要素は説明のために誇張されているかもしれず、スケール通りに描かれていないかもしれない。寸法および相対的な寸法は本発明の実施の実際の縮尺とは対応していない。
【0061】
さらに、本明細書および特許請求の範囲の用語「上」、「下」等は、説明のために用いるものであり、相対的な位置を示す必要はない。これら用いた用語は適切な状況下では互いに代替可能であり、本明細書で説明する本発明の実施形態は、本明細書で説明または示した以外の方向においても実施可能であることを理解すべきである。
【0062】
特許請求の範囲で用いる用語「含む」は、そこに記載した手段に限定するものであると解してはならず、他の要素または工程を排除するものではない。従って、言及した特徴、整数、工程または部材が言及したように存在することを特定し、1以上の他の特徴、整数、工程もしくは部材またはこれらのグループの存在または追加を排除するものではないと理解しなければならない。従って、記述「手段AおよびBを含むデバイス」の技術的範囲は、部材AとBのみからなるデバイスに限定してはならない。本発明に関しては、デバイスの関連した部材はAおよびBのみであることを意味する。
【0063】
本明細書において、「1つの実施形態」または「実施形態」は、実施形態と関連して記載された特定の技術的特徴、構造または特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書多くの箇所に示されるフレーズ「1つの実施形態」または「実施形態」は、全てが同じ実施形態を示している必要はないが、しかし示してもよい。さらに、当該技術分野の通常の知識を有する者にとって明らかであろうように、特定の技術的特徴、構造または特徴は、任意の適正な手法により1以上の実施形態に組み合わせてもよい。
【0064】
同様に、明細書の本発明の例示的な実施形態において多くの本発明の技術的特徴は、効率的に開示し、多くの発明の要旨の1以上についての理解を助けることを目的に、しばしば本明細書の1つの実施形態、図、記載に一緒に示されていることを理解すべきである。開示のこの方法は、しかしながら、特許請求の範囲に記載の発明が、それぞれの請求項に明示的に記載された以上の特徴が必要であることを示していると解してはならない。むしら、以下の請求項が示すように、発明の要旨は、以下に開示する単一の実施形態の一部の技術的特徴にある。詳細な説明に従った特許請求の範囲は、これによりそれぞれの請求項は、それぞれ別の本発明の実施形態により本明細書に明確に示されている。
【0065】
さらに、本明細書に示される実施形態のいくつかは、他の実施形態に示される特徴を含んでいないけれども、当該技術分野の通常の知識を有す者が理解するであろうように、異なる実施形態の技術的特徴の組み合わせも本発明の技術範囲に属し、異なる実施形態を形成する。
【0066】
本明細書の記載では、多くの特定の詳細な具体例が示されている。しかしながら、本発明の実施形態はこれら詳細な具体例がなくても実施可能であることが理解されている。他の例では、既知の方法、構造、技術は、本明細書の理解を曖昧にしないように詳細は示されていない。
【0067】
本発明は、本発明の多くの実施形態の詳細な記載により説明される。当該技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の真の精神および技術的教唆から逸脱することなく本発明の他の実施形態を構成できることは明確であり、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0068】
本発明は、基体上に触媒ナノ粒子を供給する方法に関する。
【0069】
この方法は、基体の所定の位置に底部を有する穴または凹部を形成する第1の工程を含む。穴(hole)または開口(opening)とも呼ばれる凹部は、基体表面から基体内部に形成され、底部は、凹部が形成された基体表面から最も遠い面に位置する。本明細書において、用語「凹部」「穴」または「開口部」は同じことを意味する。
【0070】
次いで、ナノ粒子を基体に供給する。本発明の好ましい実施形態では、基体へのナノ粒子の供給は、少なくとも1層の触媒材料を基体に供給し、触媒材料が少なくとも凹部底面を覆うことにより実施してもよい。そして、少なくとも1層の触媒材料を、ナノ粒子に分割する。この分割は、熱および/またはプラズマ支援による方法を用いて行ってもよい。例えば、触媒材料層の分割は(後述する)基体のアニーリングにより行ってもよい。他の実施形態では、基体へのナノ粒子の供給は、ナノ粒子と溶媒を含む溶液からナノ粒子を析出し実施してもよい。基体へのナノ粒子の析出は、例えば、溶液のスピンコーティング(またはスピン工程、spinning)により行ってもよい。基体にナノ粒子を析出した後、例えば熱乾燥工程での蒸発により溶媒を溶液より除去し基体にナノ粒子のみを残存させてもよい。
【0071】
最後の工程では、例えば2つの凹部の間の基体表面のような凹部の底部と異なる部位に供給または形成されたナノ粒子を選択的に取り除く。
【0072】
従って、本発明は、基体の所定の位置に狭い寸法分布(narrow size distribution)でナノ粒子を形成および孤立させる方法を提供する。狭い寸法分布は、寸法または直径の偏差が5〜10%である、またはナノ粒子の直径または寸法の偏差が5〜10%、好ましくは5〜8%(詳細後述)であるといいうことが可能である。ナノ粒子の材料は、用いた触媒材料に依存する。ナノ粒子は、好ましくは金属含有ナノ粒子であってもよい。好ましい実施形態では、選択的に析出するナノ粒子は、Co、Ti、Pt、W、NiおよびFeのような純金属であってもよい。他の好ましい実施形態では、選択的に析出するナノ粒子は、金属シリサイド含有ナノ粒子であってもよい。さらに別の好ましい実施形態では、選択的に析出するナノ粒子は、金属合金でもよい。
【0073】
本発明はまた、高密度(または、多数)のナノ粒子を形成および孤立させる方法も提供する。前記高密度のナノ粒子は、ナノ粒子1011〜1012個/cm2の範囲の密度であってもよい。
【0074】
本発明の実施形態による基体に触媒ナノ粒子を形成する方法の利点は、いかなる寸法の基体も使用可能なことである。さらに、例えばナノデバイスの製造のような既存の半導体工程と完全に両立する。
【0075】
本発明の実施形態にかかる基体にナノ粒子を供給する方法により形成する触媒ナノ粒子は、細長いナノ構造体を成長させる触媒として好都合に用いることができる。基体の所定の位置に析出したこれらのナノ粒子は、カーボンナノチューブ(CNT)またはナノワイヤ(NW)のような細長いナノ構造体の核生成および成長を開始し触媒する。従って、CNTまたはNWのような細長いナノ構造体を基体の所定の位置で成長させることができる。位置ならびに長さおよび直径を制御して選択的に析出するCNTまたはNWは、前記ナノ粒子を触媒として(成長の間)得ることができる。このようなCNT(またはNW)の成長を実現するように、凹部の標準的な配列を触媒の配置のテンプレートとして用いてもよく、例えば化学気相成長法(CVD)を用いて穴の内部でCNT(NW)が成長する。凹部の標準的な配列を有することは、凹部の配列が標準的な半導体工程のリソグラフィーおよびドライエッチングを用いて形成されること意味する。これらの標準的な工程を用いて、例えば50nm〜500nmの直径、例えば80nm、100nm、150nm、200nm、250nmまたは300nmの直径を有し、例えば直径の1倍、2倍または8倍のピッチを備えた凹部を形成してもよい。凹部のアスペクト比は例えば1:6、1:4、1:3、1:2.5または1:2であってもよい。
【0076】
従って、本発明は、また、基体に細長いナノ構造体を形成する方法も提供する。この方法は、基体の所定の位置に凹部を形成する第1の工程を含み、凹部は底部を有する。底部は凹部が形成される基体表面から最も遠い凹部の壁面と定義される。次いで、触媒材料の少なくとも1つの層が基体に供給され、触媒材料は少なくとも凹部の底部を覆う。次の工程では、少なくとも1つの触媒材料層が、例えば基体のアニーリングによりナノ粒子に分割される。その後、凹部の底部と異なる部位に形成したナノ粒子を選択的に取り除く。最後の工程では、CNTまたはNWのような細長いナノ構造体が、ナノ粒子を触媒として用いて凹部で成長する。
【0077】
本発明の実施形態にかかる基体に細長いナノ構造体を形成する方法は、いかなる寸法の基体でも用いることが可能であり、半導体製造技術と完全に両立する。
【0078】
以下において、いくつかの実施形態の詳細な説明により本発明を説明する。当該技術分野の通常の知識を有する者は、本発明の真の精神および技術的教唆から逸脱することなく本発明の他の実施形態を構成できることは明確であり、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0079】
本発明において、用語「細長いナノ構造体」は、ワイヤ(ナノワイヤ)、チューブ(ナノチューブ)、ロッド(ナノロッド)および長軸を有する同様の細長い実質的に円柱または多角形のナノ構造体の形態の固体材料の任意の二次元的に制限された要素を意味する。細長いナノ構造体の断面寸法は、好ましくは1〜500nmである。本発明では、例えばカーボンナノチューブ(CNT)のような細長い有機ナノ構造体または例えば半導体ナノワイヤ(例えばシリコンナノワイヤ)のような細長い無機ナノ構造体を用いてもよい。以下にCNTを用いて本発明を説明する。これは、いかなる方法においても本発明を制限することを意図したものでない。本発明は、また上述した他の細長いナノ構造体にも適用される。
【0080】
さらに、本明細書で用いる用語、CNTの「ベース成長」または「ボトムアップ成長」は、基体に付着した触媒ナノ粒子を有するCNTの成長を意味する。本明細書で用いる用語、CNTの「チップ成長」または「トップダウン成長」は、表面に付着したCNTおよびCNTの最上部(または先端)にナノ粒子を有するCNTの成長を意味する。
【0081】
さらに、用語「純金属」ナノ粒子は、純金属より作られたナノ粒子または純金属のフィルムのアニーリングにより形成されたナノ粒子を意味する。前記金属の好ましい例はNi、Ti、Co、W、PtおよびFeである。用語「金属シリケート」ナノ粒子は、Niシリケート、Coシリケート、Feシリケート、Tiシリケートのような金属シリケートよりなるナノ粒子を意味する。用語「金属含有」ナノ粒子は、金属ナノ粒子と金属シリケートナノ粒子の両方を意味する。本明細書で用いる用語「合金」は、アニール(加熱)工程でいっしょに溶融する2以上の金属元素、または金属と非金属元素を含む混合物を意味し、従って、互いに溶け合い2以上の金属元素、または金属と非金属元素を含むナノ粒子を形成する。
【0082】
用語「活性触媒ナノ粒子」は、CNT(またはNW)の成長の触媒として用いるのに適したナノ粒子を意味する。即ち、単語「活性」は形成したナノ粒子を用いて、カーボンナノチューブを成長/合成/形成する能力があると理解される。カーボンナノチューブの成長/合成/形成は、カーボンソースを受け取る第1の工程、次にカーボンを割る(cracking)工程、続いてカーボンナノチューブを成長させる工程の多段階工程である。
【0083】
用語「アスペクト比」は、特定の凹部の高さ寸法の幅寸法に対する比を意味する。例えば通常、層内に円筒状に延在する凹部は高さと直径を有し、アスペクト比は円筒状凹部の高さを直径で割った値である。
【0084】
本発明の第1の要旨では、方法は触媒ナノ粒子を基体Sに供給する工程を有する。本発明の実施形態では、用語「基体」は、用いることができる、またはその上にデバイス、回路、もしくはエピタキシャル相を形成できる、単数または複数の下に配置されたいかなる材料を含んでもよい。好ましい実施形態では、この「基体」は、例えばドープしたシリコン、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムリン(InP)、ゲルマニウム(Ge)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)基体のような半導体基体である。別の実施形態では、「基体」は例えば半導体基体の部分に加え、SiO2またはSi3N4層のような絶縁層を含んでもよい。従って、用語「基体」はまた、シリコン・オン・グラス(silicon on glass)またはシリコン・オン・サファイア(silicon on sapphire)をも含む。従って、用語「基体」は、概して対象の層または部分の下に位置する層の元素を定義するのみに用いる。また、「基体」は、例えばガラスや金属のような、その上に層が形成される他のいかなるベースであってもよい。基体Sは、シリコンの基体であってもよい。
【0085】
本発明の実施形態にかかる方法を概略的に図1A〜1Fに示す。第1の工程で、この方法は、所定の位置に凹部3を形成することを含む。もっとも好ましくは、横列(row)および縦列(column)を有する標準的な配列の凹部3を形成してもよい。上述のような標準的な配列を備えることは、凹部の配列は、標準的な半導体のリソグラフィーおよびドライエッチング方法を用いて形成されることを意味している。これらの標準的な方法を用いることにより、凹部は、50nmから500nmの直径、例えば80nm、100nm、150nm、200nm、250nmまたは300nmの直径で、例えば直径の1倍、2倍または8倍のピッチを有するように形成してもよい。凹部のアスペクト比は、例えば1:6、1:4、1:3、1:2.5または1:2でもよい。凹部3の標準的な配列は基体Sに直接形成することが可能であるけれども、より好ましい凹部3は、ベース基体1に析出させた誘電体層2に形成してもよい。誘電体層2とベース基体1とは、基体Sを形成している。誘電体層2は、例えばSi基体の熱的なアニーリングにより形成してもよいSiO2、または他の態様では例えば化学気相成長法(CVD)のような堆積(または析出)技術によりSiO2を堆積することにより形成するSiO2であってもよい。誘電体層2は、CVDで析出させるSiCO(H)材料、ゼオライト、NCSまたは(適当な)有機低誘電率誘電体のような低誘電率(Low-K)誘電体でもよい。誘電体層2の厚さtは用途に依存し、例えば100nmから1000nmの間であってもよい。
【0086】
図1A〜1Fに示す実施形態では、基体Sは、上述の最上部に誘電体層2を備える、例えば半導体層のようなベース基体1を含んでもよい。好ましくは、ベース基体1はシリコンを含んでもよい。図1Aは、前記基体Sでの凹部3の形成を示す。図示する実施形態では、凹部3は、ベース基体1の上に存在する誘電体層2に形成してもよい。標準的なリソグラフ方法を用い、続いて基体Sに凹部3を形成するような、例えば反応性イオンエッチングのような、標準的な酸化物ドライエッチング(dry oxide etching)により、凹部3をリソグラフィー法的に(または露光技術的に、lithographically)規定してもよい。標準的なリソグラフィー法は、例えばフォトレジスト層のような少なくとも1つの感光層と、必要に応じ反射防止コーティングとを誘電体層2に堆積(または析出)する工程と、フォトリソグラフィックパターンを形成するように感光層を現像する工程とを少なくとも含む。フォトリソグラフィックパターン、そして例えば誘電体層2に凹部3を形成するための反応性イオンエッチングのマスクとして用いてもよい。
【0087】
凹部3の直径d0は、用途に依存してもよい。凹部3の直径d0は、50nmから500nmまででよく、例えば80nm、100nm、150nm、200nm、250nmまたは300nmでよい。凹部3の深さは、用途および存在するのであれば誘電体層2の厚さに依存してもよい。例えば、凹部3を誘電体層2の内部に設け、形成される触媒粒子(後述する)と、誘電体層2の下のベース基体1との接触を避ける必要がある場合は、深さdは誘電体層2の厚さtよりも小さくすることができる。別の実施形態では、凹部3を誘電体層2の内部に設け、下のベース基体1と接触する必要がある、接触することが望ましい、または接触することが可能な場合、深さdは誘電体層の厚さtよりも大きくてもよい。凹部3の深さは、例えば500nm〜1000nmの範囲でよいが、しかしこの範囲に限定されるものではない。
【0088】
更に別の実施形態では、基体Sはベース基体1の上の誘電体層2がなく、ベース基体1のみを含んでもよい。この場合、凹部3は基体Sのベース基体に設けられる。凹部3は、高密度、中密度(semi dense)または孤立した配置で設けてよい。高密度の(または密集した)配置は概して、1のピッチを、中密度の配置は概して、1:2のピッチを、孤立した配置は通常1:8のピッチを有してもよい。ピッチを有するとは隣接する凹部間の距離を意味する。凹部3のアスペクト比は、例えば、1:6、1:4、1:3、1:2.5、1:2であってもよい。
【0089】
凹部3を形成した後、ナノ粒子を基体に供給する。本発明の実施例では、ナノ粒子の供給は、少なくとも1つの触媒の層4を基体Sに析出(deposit)させて供給してもよい。図1Bは基体Sの誘電体層2への触媒材料層4の析出を示す。この図より、本実施形態においては、触媒材料層4は、誘電体層2の最表面および凹部3の底部と側面とに供給されることがわかる。図1Bに示す例とは対照的に触媒材料層4は、また凹部2の底部のみに供給してもよいことに留意すべきである。後者の場合、触媒材料は基体Sの表面にも存在することになることがあることを記しておく。少なくとも1つの触媒材料層4は、好ましくは金属材料を含有する層であってもよい。少なくとも1つの触媒材料層4の少なくとも1つは、金属含有層4であってもよい。少なくとも1つの触媒材料層4は好ましは、20nmより薄くてもよく、より好ましくは0.5nm〜10nmであってもよい。触媒材料層4は、例えば0.5nm、1nm、2nm、5nm、8nm、9nmまたは10nmの厚さを有してもよい。別の実施形態では、触媒材料層4の厚さは、より小さい、例えば直径が0.2〜0.5nmの範囲のナノ粒子をもたらし得る、0.5nm以下であってもよい。触媒材料層4の厚さに応じて、触媒材料層4は、不連続(言い換えれば、非同形(または不均一、non-conformal))であってもよい。層4の厚さに応じて、層4は、凹部3の内部で異なる厚さを有してよい。凹部3内の触媒材料層4の多くは、とりわけ触媒材料層4が8nmより薄い場合、凹部3の底部に位置している。
【0090】
触媒材料層4は、加熱された場合、活性触媒ナノ粒子を生じる材料を含んでもよい。触媒材料層4は、好ましくは金属を含んでもよく、もっとも好ましい実施形態では、Co、Ti、Pt、W、NiまたはFeのような純金属を含んでよい。好ましくは、純金属層は、物理気相成長法(PVD)のようなスパッタ法または原子層堆積法(ALD)もしくは化学気相成長法(CVD)のような堆積法を用いて形成してもよい。
【0091】
他の実施形態では、触媒材料層4は、例えば2つの層(好ましくは例えばCo、Ti、Pt、W、NiまたはFeのような金属により形成された2つの層のような)のような複数の層の組み合わせを含んでもよい。また、好ましくは金属の2つの層は物理気相成長法(PVD)のようなスパッタ法または原子層堆積法(ALD)もしくは化学気相成長法(CVD)のような堆積法を用いて形成してもよい。本発明は、任意の数の層の組み合わせについても開示していることに留意すべきである。さらに、2以上の層の組み合わせはまた、少なくとも1つの純金属層と少なくとも1つの非純金属層および/または非金属層との組み合わせであってもよい。
【0092】
さらに別の実施形態では、触媒材料層4は金属合金を含んでもよい。
【0093】
基体Sがシリコンを含み、触媒材料層4が金属または金属合金を含有する層である場合には注意を要することに留意すべきである。この場合、熱的に支援される方法を用いて触媒層4を分割した(break up)場合、基体を加熱する際にケイ酸塩(シリケート)を形成するように触媒材料と基体Sとの間に相互作用が起こり得る。これを避けるように、好ましくは中間バリア層を基体Sと触媒材料層4との間に設けてもよい。バリア層は、例えばSi3N4、TiN、TaN、HfN、SiO2等でもよく、例えば50nm〜100nmの厚さを有してもよい。
【0094】
さらに別の実施形態では、触媒材料層4は金属シリサイドを含んでもよい。この場合、最初シリコン層と金属層とを基体の上に堆積してもよい。好ましくは、金属層を堆積する前に、基体Sにシリコン層を堆積してもよい。もっとも好ましくは、シリコン層はCVDを用いて形成してもよい。金属シリサイドを形成するための金属層は、好ましくはCo、Ni、Ti、W、PtまたはFeであってもよい。好ましくは、金属層はPVD、ALDまたはCVDを用いて形成する。基体Sがシリコン基体(例えばSiウエハー)の場合、ベース基体1に誘電体層2が存在せず、触媒材料層4が金属シリサイドを含み、金属シリサイドのナノ粒子がベース基体1に移動するのを避けるように、シリコン層を堆積する前にバリア層を形成してもよい。上述したのと同様に、バリア層は、例えばSi3N4、TiN、TaN、HfN、SiO2等でもよく、例えば50nm〜100nmの厚さを有してもよい。
【0095】
図1Cは、例えば基体Sのアニーリングまたは加熱のような熱的支援および/またはプラズマ支援による、少なくとも1つの触媒材料層4のナノ粒子5、6への変化を示す。基体Sのアニーリングは、例えば温度範囲500℃〜900℃、好ましくは600℃〜800℃での高速熱アニール(RTA)により実施してもよい。他の適切なアニール方法の例は400℃でのH2プラズマである。アニーリングを実施する温度は、ナノ粒子5、6が形成されるべき触媒材料層4の厚さに依存してよい。好ましくは、基体のアニーリングは少なくとも1分から数分の間実施する。好ましくは、アニーリングはN2中で行ってもよい。好ましくは、アニーリングはその間、破られることのない真空中で行ってもよい。
【0096】
アニーリング工程の間に触媒材料層4に生じる応力は、図1Cに示すように2次元的な島またはナノ粒子5、6を水平な領域に形成する。触媒材料層4の厚さは、アニーリング工程の温度および保持時間と同様に、ナノ粒子5、6の寸法の制御、とりわけ直径の制御に影響を与え得る。同じアニーリング条件では、より薄い層4は、数密度が増加した(number density)、より小さなナノ粒子5に変化する。ナノ粒子5を最適に形成するための最適の温度および時間は、用いる触媒材料の種類と触媒材料層4の厚さに依存し得る。アニーリングを行うのに必要な温度は触媒材料層4の厚さと用いる触媒材料とに依存する。一方、配列の密度の変化、すなわち隣接する凹部3の間の距離は、ナノ粒子5、6の形成に顕著な影響を及ぼさないことを見出している。
【0097】
図2Aは、触媒材料がニッケルを含む場合で、700℃で1分間のアニーリング工程後の凹部3の底部に形成したナノ粒子5と、基体表面に形成したナノ粒子6とを上方から観察した走査電子顕微鏡(SEM)像を示す。この実施例では、触媒材料層4は、2mmの厚さであった。この写真より、ナノ粒子6は凹部3の底部と異なる位置、すなわち基体表面にも形成していることがわかる。本明細書において、これらのナノ粒子6は、以降、外部ナノ粒子(exterior nanoparticle)6と呼ぶ。
【0098】
本発明の他の実施形態では、ナノ粒子5、6と溶媒とを含む溶液より、ナノ粒子5、6を析出することで基体Sにナノ粒子5、6を供給してもよいことに留意すべきである。ナノ粒子5、6の析出(deposition)は、好ましくは基体Sへの溶液のスピンコーティング(spinning)により実施する。ナノ粒子5、6は、当業者により知られている如何なる適切な方法により形成してもよく、そして基体Sにナノ粒子5、6をスピンコーティングするように、溶媒と混合してもよい。ナノ粒子5、6が析出した後、凹部3の底部および基体Sの表面にナノ粒子5、6のみが残存するように溶媒を除去してもよい。溶媒の除去は、例えば熱的な乾燥工程での溶媒の蒸発により実施してもよい。
【0099】
次の工程において、凹部3の底部と異なる位置に形成された外部ナノ粒子6を選択的に除去してもよい。これら外部ナノ粒子6の選択的な除去は、例えば図1Dに示すように実施してもよい。第1工程で、凹部3は少なくとも部分的に犠牲材料7により満たされ、これにより少なくとも凹部3の底部のナノ粒子5は覆われる。犠牲材料7による少なくとも部分的な凹部3の充填は、例えばスピンコーティング法(spin-on technique)により実施してもよい。犠牲材料7は、有機材料、好ましくは市販の有機材料でよく、好ましくは、例えばレジストのようなフォトリソグラフィー材料でもよい。例えば、犠牲材料による凹部3の少なくとも部分的な充填は、犠牲スピンコーティング有機ポリマー7を基体Sに形成し、犠牲スピンコーティング有機ポリマー7により少なくとも凹部3のナノ粒子5を覆う。
【0100】
本発明の実施形態では、図1Dに示すように、凹部3に完全に犠牲材料7を充填してもよい。これは、好ましくは例えば2000rpmのような所定の回転速度で、例えば1または2分のような所定の時間スピンコーティングすることにより行われてもよい。しかしながら、他の実施形態では凹部3の一部のみ犠牲材料7を充填してもよい。これは、好ましくはスピンコーティングにより実施してもよいが、しかしこの場合凹部3を部分的に充填する必要があることから、より少ない犠牲材料を用いる。例えば凹部3は、凹部3の底部に形成したナノ粒子5が犠牲材料7により覆われている限り、その半分または3分の1を犠牲材料7により充填されてもよい。少なくとも部分的に凹部3を充填し、これにより凹部3の底部に存在するナノ粒子5を覆う工程は主に、更なる工程、より詳細には凹部3の底部とは異なる部位に位置する外部ナノ粒子6を選択的に除去する工程において、ナノ粒子5を保護するために実施する。外部ナノ粒子6の除去は、好ましくは化学機械研磨(CMP)により実施してもよい。さらに、この工程は好ましくない不純物をもたらすかもしれない工程後の残存物から凹部3の底部に形成したナノ粒子5を保護する。
【0101】
外部ナノ粒子6を選択的に除去した後、例えばCMP工程を実施し、犠牲材料7を取り除いてもよい。これは、例えば基体Sの材料にダメージを生じない、犠牲材料7の除去に適した湿式洗浄工程でもよい、洗浄工程により実施してもよい。この洗浄工程は凹部3より犠牲材料7を取り除き、これにより凹部3に形成したナノ粒子5を解放する。
【0102】
犠牲材料7を取り除くための洗浄工程の後、いくらかの犠牲材料7が、まだ凹部3に存在するかもしれず、例えばCMP工程に起因する不純物(例えばスラリー残存物)(図2BのCMPおよび犠牲材料7除去後の上方から見たSEM像を参照されたい)の小さな堆積物8(図2B)が凹部3の端部に存在するかもしれない。従って、例えばウェットエッチングのような付加的な洗浄工程を適宜行って、これらの不純物8を除去してもよい。ウェットエッチングは、例えば基体Sを例えばH2SO4:H2O2を1:4の体積比で含む溶液に、例えば5分間室温で浸漬する、ピラニアエッチングとも呼ばれる工程を含んでもよい。図1Eは、外部ナノ粒子を除去したCMP工程、およびそれに続く上述の洗浄工程後の基体Sを概略的に示す。図2Cは、室温で5分間ピラニアエッチングを行った後の基体Sを上方から観察したSEM写真である。このSEM写真から、不純物8が取り除かれているのがわかる。
【0103】
凹部3の底部に形成されるナノ粒子5の数は、形成されるナノ粒子5の寸法と凹部3の直径d0に依存する。直径が100nmの凹部3について、凹部3に形成したナノ粒子5の数を図3Aに示す。図3Aは、直径100nmの凹部3について、厚さ2nmのNi触媒層を700℃で1分間アニーリングした後の凹部3毎に形成したナノ粒子5の数を示すヒストグラムである。直径100nmの凹部を有する配列では、凹部内部のナノ粒子5の平均個数は20±0.51であってもよい。より大きな直径の凹部3は、その凹部3に、より多くの数のナノ粒子5を生じるであろう。また、触媒材料層4の厚さも凹部3に形成するナノ粒子5の個数に影響を与えるであろう。なぜなら、凹部3に形成するナノ粒子の寸法は基体Sの上に形成されている触媒材料層4の厚さに依存するからである。図3Bは直径が100nmの凹部3において、厚さ2nmのNi触媒層を700℃で1分間アニーリングした後に形成したナノ粒子5の寸法または直径のヒストグラムを示す。図3Bから、上述した厚さ2nmのNi触媒のアニーリング後に形成するナノ粒子の平均直径は12.65nm±0.84nmであることがわかる。これは6.6%の偏差である。このことから、本発明の実施形態にかかる方法では、狭い寸法の分布でナノ粒子5を形成することができることがわかる。本発明では、狭い寸法の分布は、従って5〜10%、好ましくは5〜8%の偏差を有する寸法または直径の分布を有する、またはナノ粒子の直径の偏差が5〜10%以内、好ましくは5〜8%以内であると言うことができる。
【0104】
本発明にかかる実施形態では、選択的に形成した高密度の(または個数の多い)ナノ粒子を得る。前記高密度のナノ粒子は1011〜1012個/cm2の密度であってもよい。
【0105】
本発明の実施形態にかかる、基体Sの所定の位置に形成される触媒ナノ粒子5は、好都合にも所定の位置にCNTまたは概して細長いナノ構造体を成長するのに用いてもよい。
【0106】
従って、本発明はまた、基体Sに細長いナノ構造体を形成する方法も提供する。本方法は、本発明の実施形態で上述したように基体Sの所定の位置に触媒ナノ粒子を提供する工程と、次に触媒としてナノ粒子5を用いて凹部3で細長いナノ構造体を成長させる工程を含む。図1Fは、触媒として凹部3の底部に形成したナノ粒子5を用いたCNT9の成長を示す。これは、ナノ粒子を適切なCNTの合成条件に置くことで実施する。CNT9は、好ましくは化学気相成長法(CVD)またはプラズマ支援CVD(PE−CVD)により成長させてもよい。これらの方法は、例えばCH4とC2H2、C2H4とアシスタントガスとして例えばN2および/またはH2のようなガスをカーボンソースとして用いる。最も好ましくは、CNT9を成長する方法は、C2H4をカーボンソースとして、かつN2および/またはH2をアシスタントガスとして用いてもよく、成長温度として、例えば600℃〜800℃のような900℃より低い温度で実施してもよい。他の実施形態では、CH4のような他のカーボンソースを用いてもよく、また別の成長温度が必要かもしれない。例えば、CNT9が成長する基体Sの材料のダメージを避けるように、成長温度は450℃より低くてもよい。例えば、C2H4以外の他のカーボンソースを用いた500℃より低い成長温度もまた、CNTの成長に適している。概して、形成されるCNT9の直径は、元の触媒ナノ粒子5の直径と一致してもよく、すなわち実質的に同じでよい。ナノ粒子の寸法の減少とともに、1対1の関係(または相関関係)に従い、CNT9の直径は小さくなってもよい。純金属のナノ粒子5では、CNT9の大規模な成長が800℃まで起こる。
【0107】
図4Aは、直径100nmの凹部3において、厚さ2nmのNi触媒層を700℃で1分間アニーリングして形成するナノ粒子5より成長するCNT9の個数を示す。CNT9は700℃で、200ml/分のエチレンの定常流の中で1分間成長させる。直径が100nmの凹部3の配列で、凹部3の内部に形成されるCNT9の平均個数は、例えば凹部3あたり20個のCNTであってもよい。
【0108】
図4Dは、直径100nmの凹部3において、厚さ2nmのNi触媒層を700度で1分間アニーリングして形成するナノ粒子5より成長するCNT9の直径のヒストグラムを示す。CNT9は700℃で200ml/分のエチレンの定常流の中で1分間成長させる。図4Bから、CNTの平均直径が12.5nmであることがわかる。
【0109】
図6Aは、0.5nmのコバルト膜(プラズマ気相法を用いる)より得たコバルトナノ粒子を上方から見たSEM像である。凹部に位置するナノ粒子は、1012個/cm2の高い密度を有する。図6Bは、凹部の内部で成長したCNTの横方向から見たSEM像であり、このナノ粒子が多い個数(高い密度)のCNTをもたらす、CNTの成長を開始する(活性ナノ粒子)のに適していることを示している。
【0110】
実施形態にかかるCNT9は触媒材料と基体Sとの相互作用に応じ、ベース成長(base growth)またはボトムアップ成長(または下から上への成長、bottom up growth)でもよく、また他の実施形態では、チップ成長(tip growth)またはトップダウン成長(または上から下への成長、top down growth)でもよい。例えば、触媒材料と基体Sとの相互作用が無いまたは弱いとナノ粒子5を上部(または先端、top)に有するCNT9をもたらすチップ成長を生じてもよい。
【0111】
生じたCNT9の特性は、CNT9の成長の際に用いた、プロセスパラメータに依存し得る。例えば、成長温度が上昇すると、生じたCNT9は、より真っ直ぐになり得る。さらに成長温度が900℃では、ほんのわずかのナノ粒子5がCNTの成長に触媒として作用できる。この効果は、触媒ナノ粒子の位置に起因する。高温であるため、C2H4は炭素が触媒ナノ粒子5の内部に拡散するよりも早く分解する。従って、触媒粒子5は、非晶質カーボンに覆われ、もはやCNT成長の触媒として作用できない。
【0112】
必要であれば、成長後CNT9は容易に基体Sより解放できる。これは、例えばCNT9と基体Sとの間の相互作用が弱い場合、例えば脱イオン水により濯ぐことで実施してもよい。
【0113】
本発明の実施形態にかかる方法に基づくCNT9の成長についての好ましい実施形態は、例えば半導体デバイスの製造に用いることができる。例えば、CNT9のチップ成長またはトップダウン成長、すなわちナノ粒子5がCNT9の上端に付着している場合、成長したCNT9に対する電気的な接触を容易に認識することができる。
【実施例】
【0114】
以下に本発明の実施形態にかかる方法を説明するいくつのかの実施例を示す。
【0115】
実施例1:金属ナノ粒子の形成
8nmおよび2nmの厚さのNi層およびCo層より生じる純金属のナノ粒子5、6を評価する。
【0116】
物理気相成長法(PVD)を用いNi層4を形成し、700℃で1分間、Ni層をアニーリングした。SEMでの解析によりナノ粒子の寸法分布を決定した。上述のアニーリング条件で厚さ8nmに堆積したNi層より生じたナノ粒子5、6の粒子径は、67nm±6nmであった。厚さ2nmに堆積したNi層より生じたナノ粒子5、6の粒子径は、17nm±4nmであった。
【0117】
厚さ8nmと厚さ2nmのCo層より生じた純金属ナノ粒子5、6は同じ厚さのNi層で観察されたのと全く同じ挙動を示す。
【0118】
従って、金属、すなわちNiまたはCo層4の与えられた厚さの実施例では、ナノ粒子5、6の直径は触媒材料4の厚さに依存すると結論付けることができる。触媒材料4の厚さが薄いほど、生じるナノ粒子5、6の直径が小さくなる。
【0119】
実施例2:CoおよびNiナノ粒子を触媒として用いたCNTの成長
本発明の実施例にかかるナノ粒子5を選択的に得る方法を完全に行った後のNiおよびCo(純金属)の触媒作用を完全に評価するように、NiおよびCoナノ粒子5を広い範囲の合成条件に曝した。CNTの成長を実施するためにCVDチャンバーを用いた。反応系(system)は、ロードロックプレチャンバーであって、そこから磁気的なマグネティックトランスファーロッドを用いて、直径80mmのクォーツチューブを含み、長さが120cmで水平炉に囲まれた固定床反応装置(fixed bed reactor)にサンプルを輸送するロードロックプレチャンバーを含んでもよい。反応系の圧力は大気圧から1mbarまで変えることができ、一方、温度は1200℃まで上げることができる。カーボンソース、水素ガスおよび窒素ガスを流量100〜500ml/分の範囲および最大圧力3barで直接固定床反応装置に供給する。全てのサンプルは所望の成長温度で条件調整を行った。それぞれのサンプルを、キャリアガス、N2とH2の混合でそれぞれ流量4000ml/分と2000ml/分の定常流れのある反応装置の中央に2分間置いた。次にエチレンを100ml/分、200ml/分および500ml/分と異なる流量で炉内に流した。CNTの成長は、大気圧で、600℃〜800℃の範囲のいくつかの温度で、異なる期間すなわち1、2、5および10分間行った。CNTが成長した後、サンプルをプレチャンバーに戻し、N2雰囲気で冷却した。得られたCNTは、走査型電子顕微鏡(SEM)および高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)により調査した。上方からの解析は、Wフィラメントのフィリップ社製X−30およびX−31SEMにより行った。TEM像は、電界放出銃(FEG)を備えたJEOL2010Fを加速電圧200kevで用いて記録した。
【0120】
触媒として選択的に得たCoおよびNiナノ粒子5を用い、評価した合成パラメータの全範囲でCNT9の高密度の配列を成長させた。両方の金属において、全ての場合で多量の成長が確認された。カーボンソースの流量、温度および保持時間の影響を調査した。これらのパラメータから、アニーリングおよび成長が行われた間の時間がCNT9の長さに大きな影響を及ぼすという結論を得ることができる。
【0121】
例えば、10分間の成長時間の後、長さ最大15μmの長いCNT9を得ることができる。図5Aに示すように、これらの環境で得たCNT9は、絡み合い、基体Sの表面の配列領域全体(凹部3の外側も)を覆い得る。このことは、本発明の実施形態にかかる方法により多量のCNT9の成長を得ることができることを示している。CNT9は、凹部3の外側に成長し、そして同じ凹部3で成長した隣接するCNT9および隣接する凹部3で成長したCNT9と絡み合うことができる。しかしながら、実験的な観点では、このような長い絡み合ったCNTを得た場合は、これらの特性を調査するのが困難である。従ってCNTの成長は、上述のCNT成長方法についての他のパラメータは維持したまま、より短い時間で実施した。適切な成長時間を選択することにより、CNT9の長さを調整することができ、これによりCNT9が、図5Aに示した上述の成長方法による場合のように、凹部3の外部、すなわち上に成長した際の絡み合いを避けることができる。
【0122】
成長および得られるCNT9への時間の影響に対処するように、このパラメータは系統的に減少させた。2分にまでさえ減少させたが変化は認められなかった。まだ、絡み合った長いCNTの成長が観察された。成長時間を1分に減少すると、CNT9は、それぞれの凹部3より形成され、隣接する凹部3で成長したCNTが絡み合わないことを観察することができた。このことは、700℃で1分間200ml/分の定常流れのエチレン中で成長させたCNT9の配列を上方から見たSEM像である図5Bに示されている。図5Bから、CNT9は凹部3の内部より束状に成長していることがわかる。これは、1つの凹部3に、いくつかのナノ粒子5が形成されていることに起因する。概して、1対1のナノ粒子/ナノチューブ比は容易に達成され得る。同じ配列の凹部3での、成長密度の均一性、すなわち1つの凹部3のCNT9の量の均一性、が認められた。これは、本発明の実施形態にかかる触媒材料層4の形成が均一にできることを示している。
【0123】
さらに、本発明の実施形態にかかる選択的に形成したナノ粒子5の触媒としての活性は、ブランケットフィルムで認められるものと同程度あり、すなわち基体Sの凹部3の内部に形成することによる触媒の活性度(catalytic activity)の損失は認められない。CNTの直径の分布も、また均一であることが認められる。より詳細なSEMの調査は、広く報告されているように1対1の関係に従い、チューブの直径が、それが成長したナノ粒子の直径に従い変化することを示している。このことは、CNT直径の正確な制御は、主として、CNTがそこから成長する触媒ナノ粒子5の寸法により制限されるという事実をサポートする。
【0124】
従って、単分散のCNTの配列を成長させるように、本発明の実施形態にかかる方法により形成および孤立化されるナノ粒子の適切な寸法が達成されなければならない。CNT9の長さを除いて、成長の時間は得られるCNT9の他の特性を変化させないようである。
【0125】
しかしながら、成長温度またはカーボンソースの流量を変化させた場合、形態の違いが認められる。成長したCNT9は、600℃でツイスト構造を示す。成長温度が高くなると、より真っ直ぐなCNT9をもたらす。この現象は、より高い温度は、生成するCNT9に、より少ない欠陥及びより優れたCNT壁の黒鉛化を形成するという事実に起因している。カーボンソースの流量を変化させるなかで、非晶質Cが形成しない最適値が認められた。同じナノ粒子の寸法の場合、温度とともに、ある程度、流量を増加させることが可能である。チップ成長メカニズム(tip growth mechanism)による多量成長の発生は、評価したパラメータの全範囲で確認される。チップ成長では、触媒ナノ粒子はそれぞれCNTの最上部に残存する。この現象は、例えば基体Sがベース基体1とベース基体1の上にSiO2層2を含む場合に起こり得る。ナノ粒子5は、それが形成されるSiO2層2に接着しないからである。従って、成長したCNT9は、基体から容易に剥離する傾向がある。この現象は、CNTの絡み合いに起因してより長い成長時間でとりわけ認められる。概して、上述した全ての特徴が基体の端部領域ならびに中央領域で認められた。さらに、NiおよびCoのナノ粒子5は触媒挙動に差が認められなかった。
【0126】
実施例3:CVDで成長したCNTの成長パラメータの評価
実施例2で示した成長パラメータを更に評価するために、成長時間とカーボンソースの流速をそれぞれ、30秒と10ml/分とに減少し、一方成長温度を900℃に上げた。CNT9の成長に直ちに影響が認められた。これを図5Cに示す。単一のCNT9は全ての凹部3ではなく、ほんのいくつかの凹部3から成長した。限られたカーボンソースの量と成長時間の減少により、CNTの長さが制御されていた。さらに、形態への影響が明確に認められた。全てのCNT9が直線状であった。一方、このような状況下では、ナノ粒子の全てが活性であったわけではない。これはおそらく上述した高温での悪影響に起因している。
【0127】
実施例4:CNT成長後のCoおよびNi純金属ナノ粒子の状態。
CNTが完全に成長した後のCoおよびNi純金属ナノ粒子5の状態を明らかにするように、700℃で1時間成長させたCNT9のHRTEM観察を実施した。粒子で測定した面間隔(または格子面間隔)(dhkl=0.204nm)がNiの結晶構造のこの特性値(dhkl=0.203nm)と一致することが認められる。完全にCNTの成長工程が完了した後、CNT9の中に組み込まれたナノ粒子5は純金属として残存している。また全てのCNT9は多層(multi-wall)CNTであることも認められた。ナノ粒子5の寸法は単層(single wall)CNTの成長には大き過ぎることから、このことは予想されていた。一方、グラファイト壁は無欠陥(defect free)ではない。しかしながら、これは、成長パラメータを調整することで改善可能である。
【0128】
上述した方法は、多くの変形および改良が可能であることが知られている。従って、方法およびその関連する用途は上述した方法にのみ限定されるものではない。本発明にかかるデバイスについて、好ましい実施形態、特定の構造および配置、あるいは材料が明細書中で示されているが、構造および詳細部の多くの変更または改良が本発明の技術的範囲および精神から逸脱することなく可能であることを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1A】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図1B】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図1C】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図1D】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図1E】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図1F】本発明の実施形態にかかる、基体の凹部でのCNTの成長方法を示す図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる、ナノ粒子の選択的析出の際の異なる工程において上方よりみたSEM像である。
【図3】100nmの直径を有する凹部において、厚さ2nmのNi触媒層を700℃で1時間アニーリングした後に形成するナノ粒子の(A)数の分布および(B)直径の分布のそれぞれのヒストグラムを示す。
【図4】厚さ2nmのNi触媒層を700℃で1時間アニーリングした後に形成する粒子より成長したCNTの(A)数の分布および(B)直径の分布のそれぞれのヒストグラムを示す。凹部は100nmの直径を有し、700℃で一定の200ml/分のエチレンの流れで1分間成長させた。
【図5】本発明の特定の実施形態にかかる、成長したCNTの配列を上方から見たSEM像である。
【図6A】凹部に位置するナノ粒子を上方から見たSEM像であり、これら凹部内の多数のナノ粒子を示している。
【図6B】凹部で成長したCNTを側面から見たSEM像であり、ナノ粒子がCNTの成長を起こさせる(活性ナノ粒子)のに適しており、多数の(高密度の)CNTをもたらすことを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部を有する凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程と、
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程と、
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を選択的に取り除く工程と、
を含むことを特徴とする基体(S)に触媒ナノ粒子(5)を形成する方法。
【請求項2】
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程が、
基体(S)に少なくとも1つの触媒材料層(4)を供給し、触媒材料が凹部(3)の少なくとも底部を覆う工程と、
少なくとも1つの触媒材料層(4)をナノ粒子(5、6)に分割する工程と、
により為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの触媒材料層(4)をナノ粒子(5、6)に分割する工程が、熱および/またはプラズマ支援法により為されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程が
ナノ粒子(5、6)と溶媒とを含む溶液よりナノ粒子(5、6)を基体(S)に析出する工程と、
ナノ粒子(5、6)を析出後、溶媒を取り除く工程と、
により為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
溶媒を取り除く工程が、蒸発により為されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を選択的に取り除く工程が、
犠牲材料(7)を基体(S)に堆積し、犠牲材料(7)が少なくとも凹部(3)の底部に供給されたナノ粒子(5)を覆う工程と、
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を取り除く工程と、
犠牲材料(7)を取り除く工程と、
により為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
犠牲材料(7)を取り除く工程が、湿式洗浄方法により為されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
凹部(3)の端部から不純物(8)を取り除く工程を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
凹部(3)の端部から不純物(8)を取り除く工程が、基体(S)をH2SO4:H2O2が1:4の溶液に5分間浸漬することにより為されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程が、基体(S)の所定の位置に凹部(3)をエッチングして為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
エッチングの前に、基体(S)にリソグラフィー法により所定の位置を規定する工程を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基体(S)がベース基体(1)を含み、凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程がベース基体(1)に凹部(3)を形成して為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
基体(S)がベース基体(1)と誘電体層(2)とを含み、凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程が誘電体層(2)に凹部(3)を形成して為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
基体(S)に細長いナノ構造体(9)を成長させる方法への請求項1記載の方法の使用。
【請求項15】
底部を有する凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程と、
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程と、
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を選択的に取り除く工程と、
凹部(3)の底部に供給されたナノ粒子(5)を触媒として用いて、凹部(3)に細長いナノ構造体(9)を成長させる工程と、
を含むことを特徴とする基体(S)に細長いナノ構造体(9)を形成する方法。
【請求項16】
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程が、
基体(S)に少なくとも1つの触媒材料層(4)を供給し、触媒材料が凹部(3)の少なくとも底部を覆う工程と、
少なくとも1つの触媒材料層(4)をナノ粒子(5、6)に分割する工程と、
により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの触媒材料層(4)をナノ粒子(5、6)に分割する工程が、熱および/またはプラズマ支援法により為されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程が
ナノ粒子(5、6)と溶媒とを含む溶液よりナノ粒子(5、6)を基体(S)に析出する工程と、
ナノ粒子(5、6)を析出後、溶媒を取り除く工程と
により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
溶媒を取り除く工程が、蒸発により為されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細長いナノ構造体(9)の成長が、化学気相成長法により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
細長いナノ構造体(9)を成長させる工程が、
カーボンソースとアシスタントガスとを供給する工程と、
基体(S)を加熱することにより細長いナノ構造体(9)を成長させる工程と、
を含むことを特徴と請求項20に記載の方法。
【請求項22】
細長いナノ構造体(9)を成長させる工程が、基体(S)を600℃から800℃の間の温度に加熱して為されることを特徴とする請求項21の方法。
【請求項23】
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を選択的に取り除く工程が、
犠牲材料(7)を基体(S)に堆積し、犠牲材料(7)が少なくとも凹部(3)の底部に供給されたナノ粒子(5)を覆う工程と、
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を取り除く工程と、
犠牲材料(7)を取り除く工程と、
により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
基体(S)がベース基体(1)を含み、凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程がベース基体(1)に凹部(3)を形成して為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
基体(S)がベース基体(1)と誘電体層(2)とを含み、凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程が誘電体層(2)に凹部(3)を形成して為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
細長いナノ構造体(9)の成長がベース成長により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項27】
細長いナノ構造体(9)の成長がチップ成長により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項28】
半導体製造工程での請求項15に記載の方法の使用。
【請求項1】
底部を有する凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程と、
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程と、
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を選択的に取り除く工程と、
を含むことを特徴とする基体(S)に触媒ナノ粒子(5)を形成する方法。
【請求項2】
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程が、
基体(S)に少なくとも1つの触媒材料層(4)を供給し、触媒材料が凹部(3)の少なくとも底部を覆う工程と、
少なくとも1つの触媒材料層(4)をナノ粒子(5、6)に分割する工程と、
により為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの触媒材料層(4)をナノ粒子(5、6)に分割する工程が、熱および/またはプラズマ支援法により為されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程が
ナノ粒子(5、6)と溶媒とを含む溶液よりナノ粒子(5、6)を基体(S)に析出する工程と、
ナノ粒子(5、6)を析出後、溶媒を取り除く工程と、
により為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
溶媒を取り除く工程が、蒸発により為されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を選択的に取り除く工程が、
犠牲材料(7)を基体(S)に堆積し、犠牲材料(7)が少なくとも凹部(3)の底部に供給されたナノ粒子(5)を覆う工程と、
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を取り除く工程と、
犠牲材料(7)を取り除く工程と、
により為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
犠牲材料(7)を取り除く工程が、湿式洗浄方法により為されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
凹部(3)の端部から不純物(8)を取り除く工程を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
凹部(3)の端部から不純物(8)を取り除く工程が、基体(S)をH2SO4:H2O2が1:4の溶液に5分間浸漬することにより為されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程が、基体(S)の所定の位置に凹部(3)をエッチングして為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
エッチングの前に、基体(S)にリソグラフィー法により所定の位置を規定する工程を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基体(S)がベース基体(1)を含み、凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程がベース基体(1)に凹部(3)を形成して為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
基体(S)がベース基体(1)と誘電体層(2)とを含み、凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程が誘電体層(2)に凹部(3)を形成して為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
基体(S)に細長いナノ構造体(9)を成長させる方法への請求項1記載の方法の使用。
【請求項15】
底部を有する凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程と、
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程と、
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を選択的に取り除く工程と、
凹部(3)の底部に供給されたナノ粒子(5)を触媒として用いて、凹部(3)に細長いナノ構造体(9)を成長させる工程と、
を含むことを特徴とする基体(S)に細長いナノ構造体(9)を形成する方法。
【請求項16】
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程が、
基体(S)に少なくとも1つの触媒材料層(4)を供給し、触媒材料が凹部(3)の少なくとも底部を覆う工程と、
少なくとも1つの触媒材料層(4)をナノ粒子(5、6)に分割する工程と、
により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの触媒材料層(4)をナノ粒子(5、6)に分割する工程が、熱および/またはプラズマ支援法により為されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
基体(S)に触媒ナノ粒子(5、6)を供給する工程が
ナノ粒子(5、6)と溶媒とを含む溶液よりナノ粒子(5、6)を基体(S)に析出する工程と、
ナノ粒子(5、6)を析出後、溶媒を取り除く工程と
により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
溶媒を取り除く工程が、蒸発により為されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細長いナノ構造体(9)の成長が、化学気相成長法により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
細長いナノ構造体(9)を成長させる工程が、
カーボンソースとアシスタントガスとを供給する工程と、
基体(S)を加熱することにより細長いナノ構造体(9)を成長させる工程と、
を含むことを特徴と請求項20に記載の方法。
【請求項22】
細長いナノ構造体(9)を成長させる工程が、基体(S)を600℃から800℃の間の温度に加熱して為されることを特徴とする請求項21の方法。
【請求項23】
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を選択的に取り除く工程が、
犠牲材料(7)を基体(S)に堆積し、犠牲材料(7)が少なくとも凹部(3)の底部に供給されたナノ粒子(5)を覆う工程と、
凹部(3)の底部と異なる位置に供給されたナノ粒子(6)を取り除く工程と、
犠牲材料(7)を取り除く工程と、
により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
基体(S)がベース基体(1)を含み、凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程がベース基体(1)に凹部(3)を形成して為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
基体(S)がベース基体(1)と誘電体層(2)とを含み、凹部(3)を基体(S)の所定の位置に形成する工程が誘電体層(2)に凹部(3)を形成して為されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
細長いナノ構造体(9)の成長がベース成長により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項27】
細長いナノ構造体(9)の成長がチップ成長により為されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項28】
半導体製造工程での請求項15に記載の方法の使用。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【公開番号】特開2009−155111(P2009−155111A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−328744(P2007−328744)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(591060898)アンテルユニヴェルシテール・ミクロ−エレクトロニカ・サントリュム・ヴェー・ゼッド・ドゥブルヴェ (302)
【氏名又は名称原語表記】INTERUNIVERSITAIR MICRO−ELEKTRONICA CENTRUM VZW
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328744(P2007−328744)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(591060898)アンテルユニヴェルシテール・ミクロ−エレクトロニカ・サントリュム・ヴェー・ゼッド・ドゥブルヴェ (302)
【氏名又は名称原語表記】INTERUNIVERSITAIR MICRO−ELEKTRONICA CENTRUM VZW
【Fターム(参考)】
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