説明

触媒系

本発明は、エチレン系不飽和化合物のカルボニル化を触媒することが可能な触媒系であって、a)VIB族もしくはVIIIB族の金属またはそれらの化合物、b)二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子、およびc)酸を組み合わせることにより得られ、該配位子は、該金属または該金属化合物中の該金属に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在し、該酸は、該配位子に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在する、触媒系、エチレン系不飽和化合物をカルボニル化する方法、反応媒質および該触媒系の使用方法を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン系不飽和化合物のカルボニル化を触媒することが可能な触媒系であって、
a)VIB族もしくはVIIIB族の金属またはそれらの化合物、
b)二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子、および
c)酸
を組み合わせることにより得られ、該配位子は、該金属または該金属化合物中の金属に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在し、該酸は、該配位子に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在する、触媒系。
【請求項2】
前記配位子と前記金属との比は、5:1から750:1の範囲内である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
前記配位子と前記金属との比は、10:1から500:1の範囲内である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項4】
前記配位子と前記金属との比は、20:1から40:1の範囲内である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項5】
前記酸と前記配位子との比は、5:1から95:1の範囲内である、請求項1乃至4のいずれかに記載の触媒系。
【請求項6】
前記酸と前記配位子との比は、20:1から40:1の範囲内である、請求項1乃至5のいずれかに記載の触媒系。
【請求項7】
前記酸と前記金属とのモル比は、10:1から75000:1の範囲内である、請求項1乃至6のいずれかに記載の触媒系。
【請求項8】
前記酸と前記金属とのモル比は、100:1から25000:1の範囲内である、請求項1乃至7のいずれかに記載の触媒系。
【請求項9】
前記酸と前記金属とのモル比は、200:1から400:1の範囲内である、請求項1乃至8のいずれかに記載の触媒系。
【請求項10】
前記配位子は、二座ホスフィン配位子である、請求項1乃至9のいずれかに記載の触媒系。
【請求項11】
前記配位子は、一般式(I)を有する、請求項1乃至10のいずれかに記載の触媒系:
【化1】

[式中、
Arは、任意に置換されていてもよいアリール部分を含み、これに利用可能な隣接する炭素原子の所でリン原子が結合している架橋基であり;
AおよびBはそれぞれ独立に、低級アルキレンを表し;
K、D、EおよびZは、アリール部分(Ar)の置換基であり、それぞれ独立に、水素、低級アルキル、アリール、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20
、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、C(S)R2526、SR27、C(O)SR27または−J−Q3(CR13(R14)(R15)CR16(R17)(
18)(ここで、Jは低級アルキレンを表す)を表すか;K、Z、DおよびEから選択される2個の隣接する基はそれらが結合しているアリール環の炭素原子と一緒になって、さらなるフェニル環を形成し、該フェニル環は、水素、低級アルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、C(S)R2526、SR27またはC(O)SR27から選択される1個または複数の置換基により任意に置換されていてもよく;
13からR18はそれぞれ独立に、低級アルキル、アリールまたはHetを表し;
19からR27はそれぞれ独立に、水素、低級アルキル、アリールまたはHetを表し;
1からR12はそれぞれ独立に、低級アルキル、アリールまたはHetを表し;
1、Q2およびQ3(存在する場合)は、それぞれ独立に、リン、ヒ素またはアンチモ
ンを表し、後者2種の場合には、ホスフィンまたはリンに関する前記の言及は、それに応じて修正されるが、好ましくはQ1およびQ2の両方はリンを表し、さらに好ましくはQ1
、Q2およびQ3(存在する場合)はすべて、リンを表す]。
【請求項12】
1および/またはQ2に結合している少なくとも1個の(CR)基、すなわち、CR123、CR456、CR789、CR101112、CR131415または
CR161718は代わりに、基(Ad)で表すこともでき、この際:
Adはそれぞれ独立に、その3級炭素原子のうちのいずれか1つを介してリン原子に結合している任意に置換されていてもよいアダマンチルまたはコングレシル基を表し、該任意の置換は、水素、低級アルキル、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、C(S)R2526、SR27またはC(O)SR27から選択される1個または複数の置換基によるか;Q1および
/またはQ2の一方または両方、あるいはQ3(存在する場合)に結合している両方の(CR)基は、適切なQ1またはQ2(またはQ3)と一緒になって、任意に置換さ
れていてもよい2−ホスファ−トリシクロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基またはその誘導体を形成するか、式:
【化2】

の環系を形成し、
上式中、
49およびR54はそれぞれ独立に、水素、低級アルキルまたはアリールを表し;
50からR53は存在する場合、それぞれ独立に、水素、低級アルキル、アリールまたはHetを表し;
Yは、酸素、イオウまたはN−R55を表し、R55は存在する場合、水素、低級アルキルまたはアリールを表す、請求項11に記載の触媒系。
【請求項13】
前記配位子は、
(Ad)S(CR789T2−A−(K,D)Ar(E,Z)−B−Q1(Ad)u(CR123v
と表され、上式中、Ar、A、B、K、D、EおよびZ、Q1、Q2およびQ3ならびにR1からR27は請求項11と同様に定義されるが、ただし、K、D、EおよびZは、−J−Q3(CR13(R14)(R15))CR16(R17)(R18)の代わりに−J−Q3(Ad)w
CR13(R14)(R15xを表してもよく、Adは、請求項12と同様に定義され、
S+U=0、1または2であるが、ただし、S+U≧1であり;
T+V=0、1または2であるが、ただし、T+V≦3であり;
W+X=0、1または2である、請求項11または12に記載の触媒系。
【請求項14】
前記配位子は、一般式(III)を有する、請求項1乃至10のいずれかに記載の触媒系:
【化3】

[式中、
1およびA2ならびにA3、A4およびA5(存在する場合)は、それぞれ独立に、低級
アルキレンを表し;
1は、水素、低級アルキル、アリール、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19
−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−C(S)(R27)R28、−SR29、−C(O)SR30、−CF3また
は−A3−Q3(X5)X6からなる群から選択され;
1は、水素、低級アルキル、アリール、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19
−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−C(S)(R27)R28、−SR29、−C(O)SR30、−CF3また
は−A4−Q4(X7)X8からなる群から選択され;
1は、水素、低級アルキル、アリール、Het、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19
−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−C(S)(R27)R28、−SR29、−C(O)SR30、−CF3また
は−A5−Q5(X9)X10からなる群から選択され;
あるいは、D1およびE1の両方は、それらが結合しているシクロペンタジエニル環の炭素原子と一緒になって、任意に置換されていてもよいフェニル環を形成し;
1は、CR1(R2)(R3)、コングレシルまたはアダマンチルを表し、X2は、CR4(R5)(R6)、コングレシルまたはアダマンチルを表すか、X1およびX2はそれらが結合しているQ2と一緒になって、任意に置換されていてもよい2−ホスファ−トリシクロ
[3.3.1.1{3,7}]デシル基またはその誘導体を形成するか、もしくはX1
よびX2はそれらが結合しているQ2と一緒になって、式IIIaの環系:
【化4】

を形成し;
3は、CR7(R8)(R9)、コングレシルまたはアダマンチルを表し、X4は、CR10(R11)(R12)、コングレシルまたはアダマンチルを表すか、X3およびX4はそれら
が結合しているQ1と一緒になって、任意に置換されていてもよい2−ホスファ−トリシ
クロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基またはその誘導体を形成するか、X3および
4はそれらが結合しているQ1と一緒になって、式IIIbの環系:
【化5】

を形成し、
5は、CR13(R14)(R15)、コングレシルまたはアダマンチルを表し、X6は、CR16(R17)(R18)、コングレシルまたはアダマンチルを表すか、X5およびX6はそれらが結合しているQ3と一緒になって、任意に置換されていてもよい2−ホスファ−トリ
シクロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基またはその誘導体を形成するか、X5およ
びX6はそれらが結合しているQ3と一緒になって、式IIIcの環系:
【化6】

を形成し、
7は、CR31(R32)(R33)、コングレシルまたはアダマンチルを表し、X8は、CR34(R35)(R36)、コングレシルまたはアダマンチルを表すか、X7およびX8はそれらが結合しているQ4と一緒になって、任意に置換されていてもよい2−ホスファ−トリ
シクロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基またはその誘導体を形成するか、X7およ
びX8はそれらが結合しているQ4と一緒になって、式IIIdの環系:
【化7】

を形成し、
9は、CR37(R38)(R39)、コングレシルまたはアダマンチルを表し、X10は、
CR40(R41)(R42)、コングレシルまたはアダマンチルを表すか、X9およびX10
それらが結合しているQ5と一緒になって、任意に置換されていてもよい2−ホスファ−
トリシクロ[3.3.1.1{3,7}]デシル基またはその誘導体を形成するか、X9
およびX10はそれらが結合しているQ5と一緒になって、式IIIeの環系:
【化8】

を形成し、
1およびQ2ならびにQ3、Q4およびQ5は(存在する場合)、それぞれ独立に、リン
、ヒ素またはアンチモンを表し;
Mは、VIB族またはVIIIB族金属またはそれらの金属カチオンを表し;
1は、任意に置換されていてもよいシクロペンタジエニル、インデニルまたはアリー
ル基を表し;
2は、水素、低級アルキル、アルキルアリール、ハロ、CO、P(R43)(R44)R45またはN(R46)(R47)R48からそれぞれ独立に選択される1個または複数の配位子
を表し;
1からR18およびR31からR42は存在する場合、それぞれ独立に、水素、低級アルキ
ル、アリール、ハロまたはHetを表し;
19からR30およびR43からR48は存在する場合、それぞれ独立に、水素、低級アルキル、アリールまたはHetを表し;
49、R54およびR55は存在する場合、それぞれ独立に、水素、低級アルキルまたはアリールを表し;
50からR53は存在する場合、それぞれ独立に、水素、低級アルキル、アリールまたはHetを表し;
1、Y2、Y3、Y4およびY5は存在する場合、それぞれ独立に、酸素、イオウまたは
N−R55を表し;
n=0または1であり;
m=0から5であるが;
ただし、n=1である場合、mは0に等しく、nが0に等しい場合、mは0に等しくない]。
【請求項15】
1が−A3−Q3(X5)X6を表し、E1が−A5−Q5(X9)X10を表す場合、D1は、−A4−Q4(X7)X8を表す、請求項14に記載の触媒系。
【請求項16】
アダマンチルは、非置換アダマンチルまたは1個もしくは複数の非置換C1−C8アルキル置換基、置換されているアダマンチル、またはそれらの組合せを表す、請求項12乃至15のいずれかに記載の触媒系。
【請求項17】
2−ホスファ−アダマンチルは、非置換2−ホスファ−アダマンチルまたは1個もしくは複数の非置換C1−C8アルキル置換基、置換されている2−ホスファアダマンチル、またはそれらの組合せを表す、請求項12乃至16のいずれかに記載の触媒系。
【請求項18】
2−ホスファ−アダマンチルは、該2−ホスファ−アダマンチル骨格中に1個または複数の酸素原子を含む請求項12乃至17のいずれかに記載の触媒系。
【請求項19】
コングレシルは、非置換コングレシルを表す、請求項12乃至18のいずれかに記載の
触媒系。
【請求項20】
前記金属またはその化合物は、パラジウムである、請求項1乃至19のいずれかに記載の触媒系。
【請求項21】
前記パラジウムは、金属の形態である、請求項20に記載の触媒系。
【請求項22】
前記触媒系は、液体反応媒質中に、液体担体に溶解されているポリマー分散剤を含み、該ポリマー分散剤は、触媒系のVI族またはVIIIB族金属または金属化合物の粒子のコロイド懸濁液を液体担体内で安定化させることが可能である、請求項1乃至21のいずれかに記載の触媒系。
【請求項23】
エチレン系不飽和化合物と、一酸化炭素およびヒドロキシル基含有化合物とを、請求項1乃至22のいずれかに記載の触媒系の存在下で接触させる工程を含む、エチレン系不飽和化合物をカルボニル化する方法。
【請求項24】
エチレン系不飽和化合物のカルボニル化を1種または複数の非プロトン性溶剤中で行う、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
適切なエチレン系不飽和化合物には、C30までの、すなわち、2から30個の炭素原子を含み、直鎖または分枝鎖、環式または非環式または部分環式であってよく、二重結合が炭素鎖の任意の適切な位置を占めてよく、それらのすべての立体異性体も包含するエテン、プロペン、ヘキセン、酢酸ビニルなどのビニル化合物、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンなどが含まれる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
1種または複数の反応成分と、
少なくとも1種のVIB族またはVIIIB族の金属または金属化合物、二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子、および酸を含むか、それらを組み合わせることにより得られ、該配位子は、該金属または該金属化合物中の該金属に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在し、該酸は、該配位子に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在する触媒系と、
を含む反応媒質。
【請求項27】
1種または複数の反応成分と、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の触媒系とを含む反応媒質。
【請求項28】
媒質中に存在する遊離酸の量は、500ppmを上回る、請求項26または27に記載の反応媒質。
【請求項29】
a)VIB族もしくはVIIIB族の金属またはそれらの化合物、
b)二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子、好ましくは二座ホスフィン配位子、および
c)酸
を含むか、これらを組み合わせることにより得られ、該配位子は、該金属または該金属化合物中の該金属に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在し、該酸は、該配位子に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在する系の、エチレン系不飽和化合物をカルボニル化する際の触媒としての使用方法。
【請求項30】
実施例および図面を参照して本明細書中に実質的に記載されている触媒系。
【請求項31】
実施例および図面を参照して本明細書中に実質的に記載されている方法。
【請求項32】
実施例および図面を参照して本明細書中に実質的に記載されている反応媒質。
【請求項33】
実施例および図面を参照して本明細書中に実質的に記載されている使用方法。
【請求項34】
エチレン系不飽和化合物のカルボニル化を触媒することが可能な触媒系であって、
a)VIB族もしくはVIIIB族の金属またはそれらの化合物、
b)二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子、好ましくは二座ホスフィン配位子、および
c)酸
を含み、該配位子は、該金属または該金属化合物中の該金属に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在し、該酸は、該配位子に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在する、触媒系。
【請求項35】
エチレン系不飽和化合物をカルボニル化する方法であって、
触媒系の存在下で、エチレン系不飽和化合物と一酸化炭素およびヒドロキシル基含有化合物とを接触させる工程を含み、該触媒系は、
a)VIB族もしくはVIIIB族の金属またはそれらの化合物、
b)二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子、好ましくは二座ホスフィン配位子、および
c)酸
を含み、該配位子は、該金属または該金属化合物中の該金属に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在し、該酸は、該配位子に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在する、方法。
【請求項36】
エチレン系不飽和化合物のカルボニル化を触媒することが可能な錯体であって、
a)VIB族もしくはVIIIB族の金属またはそれらの化合物、
b)二座ホスフィン、アルシンまたはスチビン配位子、好ましくは二座ホスフィン配位子、および
c)酸
を組み合わせることにより得られ、該配位子は、該金属または該金属化合物中の該金属に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在し、該酸は、該配位子に対して少なくとも2:1のmol過剰で存在する、錯体。
【請求項37】
請求項36に記載の錯体の存在下で、一酸化炭素およびヒドロキシル基含有化合物を用いて、エチレン系不飽和化合物をカルボニル化する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−522934(P2007−522934A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553662(P2006−553662)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000569
【国際公開番号】WO2005/079981
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(500460209)ルーサイト インターナショナル ユーケー リミテッド (30)
【Fターム(参考)】