説明

触感呈示装置および触感呈示装置の制御方法

【課題】消費電力を低減でき、別の動作と並行して入力動作を確実に行うことを可能にする触感呈示装置及び触感呈示装置の制御方法を提供する。
【解決手段】押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、表示部17と、タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部13と、タッチ面を振動させる触感呈示部14と、荷重検出部13により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、表示部17における表示を変化させるように表示部17を制御すると共にタッチ面に対する押圧入力を受け付ける制御部11と、を備え、制御部11は、荷重検出部13により検出される押圧荷重が第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準を満たした際に、タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサを備える触感呈示装置および触感呈示装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やスマートフォン等の携帯端末、電卓、券売機等の情報機器、産業用機器(FA機器)等には、操作者による入力操作を受け付ける操作部やスイッチ等の入力装置として、表示部上にタッチセンサを配置してなるタッチパネルを備える入力装置が広く使用されている。
【0003】
このような入力装置においては、タッチパネルに表示された操作画面のレイアウトを自由に設定できる。よって、操作者による入力操作に対応して、入力装置は、その時に必要なキーのみ表示するなどして、操作者の利便性を向上することが可能である。
【0004】
タッチセンサには、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の種々の方式が知られている。しかしながら、いずれの方式のタッチセンサにおいても、指やスタイラスペンによるタッチ入力を受け付けるものであって、タッチセンサ自体は、タッチされても、押しボタンスイッチのようには物理的に変位しない。
【0005】
このように、タッチセンサがタッチされても、タッチセンサ自体が物理的に変位しないので、操作者は、タッチ入力が受け付けられても、入力に対するフィードバックを得ることができない。このため、操作者は、目視や音声等により入力が受け付けられたか否かの確認しなければならない。
【0006】
このような目視による確認を回避するものとして、例えば、タッチセンサが入力を受け付けると、タッチセンサを振動させて、操作者の指先に触感を呈示するようにしたフィードバック方法も提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−288158号公報
【特許文献2】特開2008−130055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2に開示されているように、操作者による入力を受け付ける度に触感を呈示すると、入力装置の消費電力が増えることが懸念される。
【0009】
また、操作者の多くは、入力操作時に、入力装置の操作画面を注視しながら入力操作をするのではなく、別の動作と並行して入力操作を行うことがある。例えば、操作者は入力装置の操作画面を見ずに、テレビを見ながら入力装置を操作することがある。このような場合、触感を通じて入力受け付け確認ができることは、操作者にとって非常に有益である。逆に、入力装置が触感呈示しない場合には、操作者が操作画面を目視せずに意図したとおりの入力操作を行うことは、入力受け付け確認ができないため、非常に困難であり、別の動作と並行して入力操作を行うことが難しくなる。
【0010】
よって、仮に、入力装置の消費電力を低減するために、入力装置が入力を受け付けても触感呈示を一切行わないようにすれば、操作者が操作画面を目視せずに入力操作を行うことが非常に困難となり利便性に欠くことが懸念される。
【0011】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、消費電力を低減でき、別の動作と並行して入力動作を確実に行うことを可能にする触感呈示装置及び触感呈示装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する第1の観点に係る触感呈示装置の発明は、
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に前記タッチ面に対する押圧入力を受け付ける制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御することを特徴とするものである。
【0013】
上記目的を達成する第2の観点に係る触感呈示装置の発明は、
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
電池を含む電源部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重及び前記電源部の電圧に基づいて、前記表示部及び前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力の受け付けを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電源部の電圧が所定の閾値未満の場合、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力を受け付け、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御し、
前記電源部の電圧が所定の閾値以上の場合、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させ、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力を受け付ける
ことを特徴とするものである。
【0014】
上記目的を達成する第3の観点に係る触感呈示装置の発明は、
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重に基づいて、前記表示部及び前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力の受け付けを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
押圧入力を受け付けた後、前記タッチセンサが次の接触を検出するまでの時間を計測し、
前記計測した時間が、所定の閾値未満の場合、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力を受け付け、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御し、
前記計測した時間が、所定の閾値以上の場合、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させ、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力を受け付ける
ことを特徴とするものである。
【0015】
上記目的を達成する第4の観点に係る触感呈示装置の発明は、
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより押圧対象の接触が検出されると、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力を受け付ける制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように、前記触感呈示部を制御することを特徴とするものである。
【0016】
上記目的を達成する第5の観点に係る触感呈示装置の発明は、
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
電池を含む電源部と、
前記タッチセンサにより検出される押圧対象による接触及び前記電源部の電圧に基づいて、前記表示部及び前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力の受け付けを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電源部の電圧が所定の閾値未満の場合、
前記タッチセンサにより押圧対象の接触が検出されると、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力を受け付け、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように、前記触感呈示部を制御し、
前記電源部の電圧が所定の閾値以上の場合、
前記タッチセンサにより押圧対象の接触が検出されると、前記表示部における表示を変化させ、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力を受け付ける
ことを特徴とするものである。
【0017】
上記目的を達成する第6の観点に係る触感呈示装置の発明は、
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより検出される押圧対象による接触に基づいて、前記表示部及び前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力の受け付けを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
接触による入力を受け付けた後、前記タッチセンサが次の接触を検出するまでの時間を計測し、
前記計測した時間が、所定の閾値未満の場合、
前記次の接触の検出により、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力を受け付け、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように、前記触感呈示部を制御し、
前記計測した時間が、所定の閾値以上の場合、
前記次の接触の検出により、前記表示部における表示を変化させ、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力を受け付ける
ことを特徴とするものである。
【0018】
上記目的を達成する第7の観点に係る触感呈示装置の制御方法の発明は、
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、を備える触感呈示装置の制御方法であって、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に前記タッチ面に対する押圧入力を受け付けた後、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御することを特徴とするものである。
【0019】
上記目的を達成する第8の観点に係る触感呈示装置の制御方法の発明は、
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、を備える触感呈示装置の制御方法であって、
前記タッチセンサにより押圧対象の接触が検出されると、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に前記タッチ面に対する接触による入力を受け付けた後、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように、前記触感呈示部を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、消費電力を低減でき、操作者が別の動作と並行した入力動作を確実に行うことを可能にする触感呈示装置及び触感呈示装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る触感呈示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した触感呈示装置を構成する各機能部の実装構造の一例を示す図である。
【図3】図1に示した触感呈示装置の第1動作例を示すフローチャートである。
【図4】図1に示した触感呈示装置の荷重検出部によって検出される押圧荷重の変化及び触感呈示との関係を表した図である。
【図5】図1に示した触感呈示装置の表示部に表示される入力用オブジェクトの表示の変化を表す図である。
【図6】第1実施の形態に係る触感呈示装置の第2動作例を示すフローチャートである。
【図7】図6に示した動作を行う触感呈示装置の荷重検出部によって検出される押圧荷重の変化及び触感呈示との関係を表した図である。
【図8】図6に示した第2動作例に従う触感呈示装置の表示部に表示される入力用オブジェクトの表示の変化を表す図である。
【図9】本発明の第2実施の形態に係る触感呈示装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施の形態に係る触感呈示装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
[第1実施の形態]
図1は、本発明の第1実施の形態に係る触感呈示装置の要部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図1に示すように、触感呈示装置10は、制御部11と、タッチパネル12と、荷重検出部13と、触感呈示部14と、記憶部15と、電源部18と、を備えている。
【0024】
制御部11は、触感呈示装置10の各機能ブロックをはじめとして触感呈示装置10の全体を制御および管理する。また、タッチパネル12は、入力部16、表示部17と、とを備えている。このタッチパネル12は、操作者の入力を受け付けるための入力部16を、表示部17の前面に重畳させて配設することにより構成する。
【0025】
タッチパネル12の表示部17は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)または有機ELディスプレイなどで構成する。この表示部17は、各アプリケーションに対応する表示を行う他、入力部16への操作者の操作入力を受け付けるための各種キーやボタンなどで構成するユーザインタフェースを所定の表示領域に描画して表示する。以下、このように、タッチパネル12の入力部16に対する操作者の操作入力を受け付けるために、操作者が目視により認識できるように表示部17に表示する各種キーやボタンなどの画像を、「入力用オブジェクト」と記す。この表示部17は、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成する。
【0026】
タッチパネル12の入力部16は、タッチセンサを構成し、タッチセンサは、操作者の指などがタッチセンサのタッチ面に触れたこと(タッチ入力)を検出するセンサである。このタッチセンサは、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成する。なお、入力部16がタッチ入力を検出する上で、操作者の指などが入力部16を物理的に触れることは必須ではない。例えば、入力部16が光学式である場合は、入力部16は入力部16上の赤外線が指などで遮られた位置を検出するため、指などが入力部104に触れることは不要である。
【0027】
荷重検出部13は、タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子等の、荷重に対してリニアに反応する素子を用いて構成する。触感呈示部14は、タッチセンサのタッチ面を振動させるもので、例えば圧電素子等を用いて構成する。これにより、タッチパネル12を押圧している操作者の指などに対して振動を伝えることができる。また、触感提示部14は、振動モータ(偏心モータ)に基づいて触感呈示装置を振動させることにより、タッチセンサのタッチ面を間接的に振動させるように構成することもできる。
【0028】
記憶部15は、各種アプリケーションおよび入力された各種情報などを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。特に、本実施の形態では、記憶部15は、荷重検出部13が検出する操作者による押圧入力の押圧荷重などを、制御部20が処理するために一時的に保持する。
【0029】
制御部11は、荷重検出部13が検出する押圧荷重に基づいて、タッチセンサのタッチ面に対する操作者の指やスタイラスペン等の押圧対象(押圧物)の押圧による入力(押圧入力)を受け付ける。また、制御部11は、荷重検出部13が検出する押圧荷重に基づいて、表示部17による入力用オブジェクトの表示の変化及び触感呈示部14によるタッチセンサのタッチ面の振動を制御する。本実施の形態においては、複数段階の荷重基準が設定されるものとし、制御部11は各荷重基準に応じて、表示部17及び触感呈示部14を制御する。これにより、触感呈示装置10は、操作者に対して視覚又は触覚を通じて入力が受け付けられたか否か等を通知することができる。電源部18は、電池を含み、触感呈示装置10全体に所定の電圧を供給する。
【0030】
図2は、図1に示した触感呈示装置10のタッチパネル12、荷重検出部13、および触感呈示部14の実装構造の一例を示す図である。なお、図2は、触感呈示装置10の要部断面図を示す。ここでは、操作者が、表示部17に表示された入力用オブジェクトを押圧する際に、表示部17における当該オブジェクトの表示位置に対応する位置の入力部16を、指で押圧している様子を表している。ここで、入力部16(タッチセンサ)において、指が入力部16に触れている面がタッチ面である。制御部11は、操作者の指による入力の押圧を検出することにより、当該入力の押圧位置を検出する。
【0031】
また、荷重検出部13は、操作者が入力部16を押圧している力を検出する。このため、荷重検出部13は、入力部16にかかる押圧荷重が伝達するように、入力部16を支持するように配置される。触感呈示部14は、荷重検出部13が検出した押圧荷重に基づいて、適切なタイミングで操作者の指に触感を与える。このため、触感呈示部14は、入力部16を押圧している指に触感を伝達できるように、例えば入力部16に接触させて配置される。
【0032】
[第1動作例]
図3は、本実施の形態に係る触感呈示装置の第1動作例を示すフローチャートである。本実施の形態に係る触感呈示装置10は、複数の荷重基準値を有し、第1の荷重基準である閾値A以上の押圧荷重を検出した場合(第1の荷重基準を満たした際に)、表示部17に表示される入力用オブジェクトの表示を変化させると共に入力を受け付ける。次いで、触感呈示装置10は、第2の荷重基準である閾値B(閾値B>閾値A)以上の押圧荷重を検出した場合に(第2の荷重基準を満たした際に)、押圧対象に対して触感を呈示する。その後、触感呈示装置10は、閾値C(閾値C<閾値B)未満の押圧荷重を検出した場合に、表示部17に表示された入力用オブジェクトの表示を変更するように表示部17を制御する。
【0033】
図3に示すフローチャートでは、触感呈示装置10の表示部17にキー等の入力用オブジェクトが表示されているものとする。本実施の形態における入力用オブジェクトは、入力を検出する位置(領域)を操作者に示唆する画像とすることができる。例えば、触感呈示装置10は、入力用オブジェクトの画像として、数字や文字が付されたキーの画像を表示部14に表示する。
【0034】
本実施の形態に係る触感呈示装置10の動作が開始すると、制御部11は、入力部16への入力を監視するとともに、荷重検出部13で検出される荷重を監視する。ステップS11において、入力部16が、操作者の指やスタイラスペン等の押圧対象による入力(タッチ入力)を検出した場合、制御部11は触感呈示装置10を入力モードとし、処理はステップS12に移行する。入力の検出にあたって、制御部11は入力を検出した位置の座標情報を取得する。
【0035】
ステップS12において、制御部11は、表示部17に表示された入力用オブジェクトの表示を変更(選択表示に変更)するように表示部17を制御する。変更にあたって、制御部11は、ステップS11で取得した座標情報に基づいて、入力を検出した位置に対応する入力用オブジェクトを決定し、決定した入力用オブジェクト(以下、選択された入力用オブジェクトという)の表示を変更する。表示の変更は、例えば、選択された入力用オブジェクトの色を変更するか、又は選択された入力用オブジェクトに縁取りをすることにより行われる(図5(a)参照)。これにより、制御部11は、視覚を通じて操作者に対して、いずれの入力用オブジェクトが選択された入力用オブジェクトであるかを通知する。
【0036】
そして、ステップS13において、制御部11は、荷重検出部13が検出する押圧荷重が第1の荷重基準である閾値A以上であるか否かを判定する。判定の結果、押圧荷重が閾値A以上である場合、制御部11は、選択された入力用オブジェクトの表示を変更(入力表示に変更)するように表示部17を制御すると共に押圧入力を受け付ける(ステップS13のYes、S14)。表示の変更は、例えば、選択された入力用オブジェクト全体を色づけすることにより行われる(図5(b)参照)。
【0037】
更に、ステップS14において、制御部11は選択された入力用オブジェクトに付されている入力を受け付けた文字(記号)を表示部17に表示する(図5(b)参照)。これにより、制御部11は、視覚を通じて操作者に対して、入力を受け付けた文字(記号)を通知する。
【0038】
次いで、ステップS15において、制御部11は、荷重検出部13が検出する押圧荷重が第2の荷重基準である閾値B以上であるか否かを判定する。判定の結果、押圧荷重が閾値B以上である場合、制御部11は、押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御する(ステップS15のYes、S16)。これにより、制御部11は、触感を通じて操作者に対して、入力を受け付けた旨を通知する。
【0039】
次いで、ステップS17において、制御部11は、荷重検出部13が検出する押圧荷重が更なる閾値C未満であるか否かを判定する。判定の結果、押圧荷重が閾値C未満である場合、制御部11は、表示部17に表示された入力用オブジェクトの表示を変更(選択表示に変更)するように表示部17を制御する(ステップS17のYes、ステップS18)。そして、制御部11は、上述したステップS13以降の処理を行う。一方、ステップS17における判定の結果、押圧荷重が閾値C以上である場合、制御部11は判定を継続する(ステップS17のNo)。
【0040】
ステップS13において、押圧荷重が閾値A未満であると判定した場合に、制御部11は、押圧荷重が0であるか否かを判定する(ステップS13のNo、ステップS19)。押圧荷重が0となるということは、押圧物(対象)がタッチパネル12から離れたことを意味する。そして、押圧荷重が0であると判定した場合には、制御部11は入力モードを解除し、動作を終了する(ステップS19のYes、ステップS20)。一方、ステップS19において、押圧荷重が0ではないと判定した場合には、制御部11は、上述したステップS13以降の動作を行う。
【0041】
ステップS15において、押圧荷重が閾値B未満であると判定した場合には、制御部11は、さらに、押圧荷重が閾値C未満であるか否か判定する(ステップS15のNo、ステップS21)。判定の結果、押圧荷重が閾値C未満である場合には、制御部11は表示部17の表示を選択表示に変更するように表示部17を制御する(ステップS21のYes、ステップS18)。その後、制御部11は、上述したステップS13以降の動作を行う。
【0042】
このようにして、制御部11は、ステップS14において、視覚を通じて、操作者に対して入力を受け付けた文字(記号)を通知した後に、ステップS16における触感呈示を介することなく、次に入力するべき文字(記号)の選択動作に移る。一方、ステップS21において、押圧荷重が閾値C以上であると判定した場合には、制御部11は、上述したステップS15以降の動作を行う(ステップS21のNo、ステップS15)。
【0043】
このように、本実施の形態に係る触感呈示装置10は、ステップS14において、入力を受け付けた段階で、まず、触感を呈示することなく、表示を入力表示に変更し、視覚を通じて入力を受け付けた文字(記号)を操作者に対して通知する。この段階で、操作者により入力が受け付けられたことが認識されたとみなすことができるので、触感呈示装置10は、次の入力動作又は入力終了に移行することができる。このため、従来のように、触感呈示装置10は、入力を受け付ける度に触感を呈示する必要はない。
【0044】
一方、操作者が閾値B以上の押圧荷重を加えた場合は、触感呈示装置10は、入力を受け付けた旨を、触感を通じて操作者に通知する。このように、本実施の形態に係る触感呈示装置10は、まず、触感を呈示することなく、視覚を通じて入力を受け付けた文字(記号)を操作者に対して通知するため、消費電力を低減することができる。
【0045】
図4は、本実施の形態に係る触感呈示装置10の荷重検出部13によって検出される押圧荷重の変化及び触感呈示との関係を表した図である。操作者は、文字入力操作に当たって、タッチパネル12を目視している場合もあれば、目視していない場合もあるものとする。図4(a)は、操作者が画面を目視して一つの文字(記号)を入力する場合について説明するための図である。これに対して、図4(b)は、操作者が画面を目視しないで一つの文字(記号)を入力する場合について説明するための図である。
【0046】
図5は、操作者による入力操作に応じた、表示部に表示される入力用オブジェクトの表示の変化を示す図である。図5(a)は、図3に示すフローチャートにおけるステップS12及びS13の時点の、タッチパネル12(の表示部17)における表示の一例を示す図である。このときのタッチパネル12における表示は、選択された(押圧された)入力用オブジェクトが縁取りされた状態となっている。かかる表示状態は、ステップS14において説明した「選択表示」に対応する。
【0047】
図5(b)は、図3に示すフローチャートにおけるステップS14の時点の、タッチパネル12における表示の一例を示す図である。このときの表示部17における表示は、制御部11により入力を受け付けられた文字「t」が画面左上に表示されると共に、選択された入力用オブジェクトが色付けされた状態となっている。かかる表示により、タッチパネル12は操作者に対して、視覚を通じて制御部11により入力が受け付けられた文字を確認する機会を提供する。
【0048】
図5(c)は、図3に示すフローチャートにおけるステップS16の時点の、表示部17における表示の一例を示す図である。このときのタッチパネル12における表示は、図5(b)の状態と同様である。ステップS16において述べたように、このとき、制御部11は押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御する。これにより、制御部11は操作者に対して入力を受け付けた旨を通知する。
【0049】
次に、図4及び図5を参照して、ある一つの文字(記号)を入力する場合において、操作者が画面を目視している場合と目視していない場合の、操作者の操作及び制御部11の動作の違いについて説明する。まず、操作者が画面を目視しており、押圧荷重が図4(a)に示すように変化する場合について説明する。まず、押圧対象である操作者の指によるタッチ入力を検出すると、制御部11は、入力用オブジェクトの表示を図5(a)に示すような選択表示に変更するように表示部17を制御する。
【0050】
その後、制御部11は、検出する押圧荷重が閾値A以上になった際に、図5(b)に示すようにタッチパネル12における表示を変化させ、操作者に対して入力を受け付けた文字を確認する機会を提供する。このとき、操作者は目視により、制御部11により入力が受け付けられた文字「t」を確認し、押圧荷重を弱める。なお、このとき、閾値C未満の押圧荷重を検出しても、制御部11は、リリース触感は呈示しない。このようにして、操作者が画面を目視している場合には、タッチパネル12は、触感を呈示することなく入力を受け付けた文字を確認する機会を操作者に与えることができる。
【0051】
次に、操作者が画面を目視しておらず、押圧荷重が図4(b)に示すように変化する場合について説明する。操作者が画面を目視している場合と同様に、入力部16が押圧対象によるタッチ入力を検出すると、制御部11は、図5(a)に示すようにタッチパネル12の表示を制御し、その後、荷重検出部13が閾値A以上の押圧荷重を検出すると、図5(b)に示すように表示部17の表示を制御する。このとき、操作者は画面を目視していないため、視覚を通じて入力が受け付けられた文字を確認することができず、更なる押圧荷重を加えるものとする。
【0052】
その後、荷重検出部13が閾値B以上の押圧荷重を検出すると、制御部11は、新たに文字入力を受け付けることなく、タッチパネル12における表示は図5(b)の状態を保ったまま、触感呈示部14を制御することにより押圧対象に対して触感呈示を行う(図5(c))。これにより、操作者は入力が受け付けられた旨を確認することができる。なお、制御部11は、加重検出部13が閾値B以上の押圧荷重を検出した際に、触感を呈示するように触感呈示部14を制御した後に、荷重検出部13が閾値C未満の押圧荷重を検出した場合に、触感呈示部14を制御することによりリリース触感を呈示することができる。また、図4(a)のいずれの場合においても、制御部11は、荷重検出部13が閾値A以上の押圧荷重を検出した後に、閾値C未満の押圧荷重を検出した際には、触感呈示部14を制御することによりリリース触感を呈示することもできる。この場合のリリース触感は、荷重検出部13が図4(b)における閾値B以上の押圧荷重を検出した際に触感呈示部14呈示される触感と同じ触感でも良いし、異なる触感でも良い。
【0053】
このように、本実施の形態では、制御部11は、荷重検出部13が第1の荷重基準である閾値A以上の押圧荷重を検出すると、先ず、タッチパネル12の表示を変化させるとともに入力を受け付け、次に、荷重検出部13が第2の荷重基準である閾値B以上の押圧荷重を検出すると、操作者に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御する。これにより、タッチパネル12の表示の変化を操作者が目視により確認し、閾値Bに達することなく押圧荷重を緩めた場合には、制御部11は触感を呈示するように触感呈示部14を制御する必要が無くなるので、消費電力を低減することができる。その一方で、制御部11は、荷重検出部13が閾値B以上の押圧荷重を検出した場合に触感を呈示するように触感呈示部14を制御することで、操作者がタッチパネル12を目視していない場合であっても、入力を受け付けた旨を操作者に対して通知することができる。この結果、触感呈示装置10は、消費電力を低減しつつ、操作者がタッチパネル12を目視せずに、何か別の動作をしながら行う入力操作を確実に受け付けることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、制御部11は、荷重検出部13により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、表示部17における表示を変化させるように表示部17を制御すると共にタッチセンサ(入力部16)のタッチ面に対する押圧入力を受け付け、荷重検出部13により検出される押圧荷重が第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準を満たした際に、タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御するが、本発明はこれに限定されず、制御部11は、タッチセンサにより操作者の指やスタイラスペン等の押圧対象(押圧物)がタッチセンサのタッチ面に触れたことを検出した際に、表示部17における表示を変化させるように表示部17を制御すると共にタッチセンサのタッチ面に対する入力(タッチによる入力)を受け付け、荷重検出部13により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に、タッチ面を押圧している押圧対象(押圧物)に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御してもよい。以下、このような動作について、第2動作例として説明する。
【0055】
[第2動作例]
図6は、本実施の形態に係る触感呈示装置の第2動作例を示すフローチャートである。ステップS21で、制御部11は、タッチセンサ(入力部16)により押圧対象(押圧物)の接触が検出されると、表示部17における表示を変化させると共に、タッチ面に対する入力を受け付ける。ここで、接触は、通常押圧を伴うものであり、接触押圧とも称しうる。すなわち、図示しないが、タッチセンサにより押圧対象の接触が検出された場合、荷重検出部13において荷重も検出されている。そして、ステップS22に移行し、荷重検出部13の検出する押圧荷重が、所定の荷重基準である閾値A以上であるか(閾値Aを満たしているか)判定する。そして、制御部11は、荷重検出部13により検出される押圧荷重が閾値Aを満たした際に、ステップS23に移行し、押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御する。
【0056】
一方、制御部11は、ステップS22において、荷重検出部13により検出される押圧荷重が閾値A未満であると判定した場合、又は、ステップS23における触感呈示を終えた場合には、ステップS24において、タッチセンサがタッチ面に対する押圧対象の接触を検出しているかを判定する。その結果、制御部11は、タッチセンサがタッチ面上における押圧対象の接触を検出していないと判定した場合には、処理を終了する。他方、制御部11は、ステップS24において、タッチセンサがタッチ面に対する押圧対象の接触を検出していると判定した場合には、再度、ステップS22へ移行し、処理を続行する。
【0057】
図7は、図6に示した動作を行う触感呈示装置の荷重検出部13によって検出される押圧荷重の変化及び触感呈示との関係を表した図である。図7(a)は、制御部11が、ステップS21において入力を受け付けた後、ステップS22において「No」と判定し、押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14の制御を行うことなく、ステップS24において「Yes」と判定し、処理を終了した場合に対応する図である。この場合、制御部11は、押圧対象のタッチ面に対する接触により入力を受け付けても、表示部17の表示を変更させるのみである。このとき、制御部11は、触感を呈示するように触感呈示部14の制御を行わないため、電力消費を低減することが可能になる。このような動作は、特に、操作者が画面を目視するなどして、文字(記号)を入力する場合について有効である。これに対して、図7(b)は、制御部11が、ステップS21において入力を受け付けた後、ステップS23において、触感を呈示するように触感呈示部14を制御する場合に対応する図である。このような動作は、特に、操作者が画面を目視しないで一つの文字(記号)を入力する場合に有効である。
【0058】
図8は、操作者による入力操作に応じた、表示部17に表示される入力用オブジェクトの表示の変化を示す図である。図8(a)は、図6に示すフローチャートにおけるステップS22での、タッチパネル12(の表示部17)における表示の一例を示す図である。このときのタッチパネル12における表示は、制御部11により入力を受け付けられた文字「t」が画面左上に表示されると共に、選択された入力用オブジェクトが色付けされた状態となっている。これにより、タッチパネル12は、操作者に対して、視覚を通じて制御部11により入力が受け付けられた文字を確認する機会を提供する。
【0059】
図8(b)は、図6に示すフローチャートにおけるステップS23の時点の、タッチパネル12における表示の一例を示す図である。このときの表示部17における表示は、図8(a)に示した表示の状態と同一であり、制御部11は押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御するのみである。これにより、タッチパネル12は、操作者に対して、触覚を通じて制御部11により入力が受け付けられた文字を確認する機会を提供する。
【0060】
このように、本動作例によれば、制御部11は、タッチセンサにより押圧対象の接触が検出されると、表示部17における表示を変化させるように表示部17を制御する。そして、制御部11は、荷重検出部13により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に触感を呈示するように触感呈示部14を制御する。したがって、触感呈示装置は、所定の荷重基準を満たさない押圧荷重の範囲において、触感呈示を行うことなく入力を受け付けることが可能になる。
【0061】
[第2実施の形態]
本発明の第2実施の形態に係る触感呈示装置は、図1に示した触感呈示装置10と同様の構成を有し、制御部の機能の点で異なる。すなわち、本実施の形態に係る制御部11は、荷重検出部13により検出される押圧荷重及び電源部18の電圧に基づいて、表示部17及び触感呈示部14を制御すると共に、タッチ面に対する押圧入力の受け付けを制御する。その他の機能ブロックについては、図1と同様であるので、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0062】
図9は、本実施の形態に係る触感呈示装置の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS31において、入力部16が、操作者の指やスタイラスペン等の押圧対象(押圧物)による入力(タッチ入力)を検出した場合、制御部11は触感呈示装置10を入力モードとし、ステップS32に移行する。入力の検出にあたって、制御部11は入力を検出した位置の座標情報を取得する。
【0063】
ステップS32において、制御部11は、電源部18からの電源電圧値を測定することにより、電池残量を検出する。そして、制御部11は、ステップS33において、電池残量が所定の閾値未満であるかを判定し、電池残量が所定の閾値未満であった場合には、ステップS34に移行し、省電力モードでの処理を行う。ここで、省電力モードの動作は、例えば、第1動作例として説明した、動作である。すなわち、制御部11は、電源部18の電圧が所定の閾値未満の場合は、第1実施の形態に係る触感呈示装置10と同様に、複数の荷重基準値を有し、荷重検出部13が第1の荷重基準である閾値A以上の押圧荷重を検出した場合(第1の荷重基準を満たした際に)、表示部に表示される入力用オブジェクトの表示を変化させると共に入力を受け付ける。次に、制御部11は、荷重検出部13が第2の荷重基準である閾値B(閾値B>閾値A)以上の押圧荷重を検出した場合に(第2の荷重基準を満たした際に)、押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御する。その後、制御部11は、閾値C(閾値C<閾値B)を下回る押圧荷重を検出した場合に、表示部17に表示された入力用オブジェクトの表示を変更するように表示部17を制御する。
【0064】
一方、制御部11は、ステップS33において、電池残量が所定の閾値以上であると判定した場合には、ステップS35に移行し、通常モードでの処理を行う。ここで、通常モードでの処理とは、荷重検出部13により検出される押圧荷重が第1の荷重基準である閾値Aを満たした際に、タッチ面に対する押圧入力の受け付け、表示部17における表示を変化させ、タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御するという動作を行うモードである。このモードでは、制御部11は、入力を受け付けた際に表示変化及び触感呈示を行うため、操作者は視覚及び触覚を通じて入力確認を行うことができる。
【0065】
このように、制御部11は、電源部18の電圧が所定の閾値未満の場合、省電力モードで動作し、電源部18の電圧が所定の閾値以上の場合、通常モードで動作する。したがって、触感呈示装置が消費電力を低減する必要性が高い状態になった場合に、省電力モードで動作するため、効率的な電力の利用が可能になる。
【0066】
さらに、本実施の形態における省電力モードは、第1動作例に従う動作には限られず、第2動作例として説明した動作であっても良い。すなわち、本実施の形態に係る制御部11は、省電力モードにおいて、タッチセンサにより操作者の指やスタイラスペン等の押圧対象がタッチセンサのタッチ面に触れたことを検出した際に、表示部17における表示を変化させるように表示部17を制御すると共にタッチセンサのタッチ面に対する入力(タッチによる入力)を受け付け、タッチセンサにより検出される押圧対象による接触を検出すると、タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように動作する。この場合、触感呈示装置は、所定の荷重基準を満たさない押圧荷重の範囲において、触感呈示を行うことなく入力を受け付けることが可能になる。
【0067】
また、本実施の形態における通常モードでの処理は、上述したものに限られず、以下のような処理を行うモードであっても良い。すなわち、制御部11は、通常モードにおいて、タッチセンサにより押圧対象の接触が検出されると、表示部17における表示を変化させ、タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御すると共に、タッチ面に対する接触による入力を受け付けることもできる。
【0068】
[第3実施の形態]
本発明の第3実施の形態に係る触感呈示装置は、図1に示した触感呈示装置10と同様の構成を有し、制御部の機能の点で異なる。すなわち、本実施の形態に係る制御部11は荷重検出部13により検出される押圧荷重に基づいて、表示部17及び触感呈示部14を制御すると共に、タッチ面に対する押圧入力の受け付けを制御する。その他の機能ブロックについては、図1と同様であるので、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0069】
図10は、本実施の形態に係る触感呈示装置の動作の一例を示すフローチャートである。テップS41において、入力部16が、操作者の指やスタイラスペン等の押圧対象(押圧物)による入力(タッチ入力)を検出した場合、制御部11は触感呈示装置10を入力モードとし、ステップS42に移行する。入力の検出にあたって、制御部11は入力を検出した位置の座標情報を取得する。
【0070】
ステップS42において、制御部11は、押圧入力を受け付けた後、前記タッチセンサが次の接触を検出するまでの時間(タッチセンサに触れていた押圧対象が、タッチセンサから離れたのち再度タッチセンサに触れるまでの時間)を計測し、入力時間を検出する。なお、タッチセンサが次の接触を検出するまでの時間とは、例えば、荷重検出部13によって検出される第1の荷重基準を満たしていた押圧荷重が、第1の荷重基準を満たさなくなってから、再度第1の荷重基準を満たしたときまでの時間も含まれる。そして、制御部11は、ステップS43において、入力時間が所定の閾値未満であるかを判定し、入力時間が所定の閾値未満であった場合には、ステップS44に移行し、省電力モードでの処理を行う。ここで、制御部11は、省電力モードでは、第2実施の形態の場合と同様に第1動作例に従って動作する。一方、制御部11は、ステップS43において、入力時間が所定の閾値以上であると判定した場合には、ステップS45に移行し、通常モードでの処理を行う。ここで、通常モードでの処理とは、第2実施の形態における通常モードと同様の処理を行うモードである。
【0071】
このように、制御部11は、入力時間が所定の閾値未満の場合、省電力モードで動作し、入力時間が所定の閾値以上の場合、通常モードで動作する。したがって、例えば、ユーザが画面を目視しながら入力している場合など、一つの文字を入力してから次の文字の入力を開始するまでの時間が短い場合には、省電力モードで動作するため、効率的な電力の利用が可能になる。
【0072】
本実施の形態における省電力モードは、第2実施の形態に従う触感呈示装置と同様に、第2動作例に従う動作を行うモードであっても良い。この場合、押圧対象の接触によって入力を受け付け、触感を呈示することなく、すなわち、所定の荷重基準を満たさない範囲の押圧荷重で入力を受け付けることが可能になる。これにより、迅速な入力が可能となり、消費電力を低減させることができる。
【0073】
また、本実施の形態における通常モードでの処理は、上述したものに限られず、以下のような処理を行うモードであっても良い。すなわち、制御部11は、タッチセンサによる次の接触の検出により、表示部17における表示を変化させ、タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように触感呈示部14を制御すると共に、タッチ面に対する接触による入力を受け付けることもできる。
【0074】
なお、本発明は、上述した実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能である。例えば、図3に示すステップS11や、図9に示すステップS31や、図10に示すステップS41において、入力部16がタッチ入力を検出するのではなく、荷重検出部13が押圧荷重を検出するように触感呈示装置10を構成しても良い。また、例えば、荷重検出部13および触感呈示部14は、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して荷重検出部13および触感呈示部14を構成することもできる。
【0075】
また、上述の本発明の実施形態の説明において、例えば、荷重基準を満たす、閾値以上または閾値未満のような表現の技術的思想が意味する内容は必ずしも厳密な意味ではなく、触感呈示装置の仕様に応じて、基準となる値を含む場合又は含まない場合の意味を包含するものとする。例えば、荷重基準を満たす(閾値以上)とは、押圧荷重が基準となる値(閾値)に達した場合のみならず、基準となる値を超えた場合も含意し得るものとする。また、例えば閾値未満とは、押圧荷重が基準となる値を下回った場合のみならず、荷重閾値に達した場合、つまり基準となる値以下になった場合も含意し得るものとする。
【0076】
また、上述の本発明の実施形態の説明における「表示部」及び「タッチセンサ(入力部)」(タッチパネル)は、表示部とタッチセンサとの両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されてもよい。このような表示部とタッチセンサとの両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものがある。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することにより、タッチ位置を検出することができる。
【0077】
また、上述の本発明の実施形態の説明における「第1の荷重基準」と「第2の荷重基準」は、ある1つの入力を受け付けるために用いられる荷重基準として、対を成すように関連付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 触感呈示装置
11 制御部
12 タッチパネル
13 荷重検出部
14 触感呈示部
15 記憶部
16 入力部
17 表示部
18 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に前記タッチ面に対する押圧入力を受け付ける制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御することを特徴とする、触感呈示装置。
【請求項2】
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
電池を含む電源部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重及び前記電源部の電圧に基づいて、前記表示部及び前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力の受け付けを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電源部の電圧が所定の閾値未満の場合、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力を受け付け、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御し、
前記電源部の電圧が所定の閾値以上の場合、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させ、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力を受け付ける
ことを特徴とする、触感呈示装置。
【請求項3】
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重に基づいて、前記表示部及び前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力の受け付けを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
押圧入力を受け付けた後、前記タッチセンサが次の接触を検出するまでの時間を計測し、
前記計測した時間が、所定の閾値未満の場合、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力を受け付け、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御し、
前記計測した時間が、所定の閾値以上の場合、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させ、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する押圧入力を受け付ける
ことを特徴とする、触感呈示装置。
【請求項4】
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより押圧対象の接触が検出されると、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力を受け付ける制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように、前記触感呈示部を制御することを特徴とする、触感呈示装置。
【請求項5】
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
電池を含む電源部と、
前記タッチセンサにより検出される押圧対象による接触及び前記電源部の電圧に基づいて、前記表示部及び前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力の受け付けを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電源部の電圧が所定の閾値未満の場合、
前記タッチセンサにより押圧対象の接触が検出されると、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力を受け付け、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように、前記触感呈示部を制御し、
前記電源部の電圧が所定の閾値以上の場合、
前記タッチセンサにより押圧対象の接触が検出されると、前記表示部における表示を変化させ、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力を受け付ける
ことを特徴とする、触感呈示装置。
【請求項6】
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、
前記タッチセンサにより検出される押圧対象による接触に基づいて、前記表示部及び前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力の受け付けを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
接触による入力を受け付けた後、前記タッチセンサが次の接触を検出するまでの時間を計測し、
前記計測した時間が、所定の閾値未満の場合、
前記次の接触の検出により、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力を受け付け、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように、前記触感呈示部を制御し、
前記計測した時間が、所定の閾値以上の場合、
前記次の接触の検出により、前記表示部における表示を変化させ、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御すると共に、前記タッチ面に対する接触による入力を受け付ける
ことを特徴とする、触感呈示装置。
【請求項7】
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、を備える触感呈示装置の制御方法であって、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が第1の荷重基準を満たした際に、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に前記タッチ面に対する押圧入力を受け付けた後、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が前記第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように前記触感呈示部を制御することを特徴とする、触感呈示装置の制御方法。
【請求項8】
押圧対象による接触を検出するタッチセンサと、
表示部と、
前記タッチセンサのタッチ面に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチ面を振動させる触感呈示部と、を備える触感呈示装置の制御方法であって、
前記タッチセンサにより押圧対象の接触が検出されると、前記表示部における表示を変化させるように前記表示部を制御すると共に前記タッチ面に対する接触による入力を受け付けた後、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が所定の荷重基準を満たした際に、前記タッチ面を押圧している押圧対象に対して触感を呈示するように、前記触感呈示部を制御することを特徴とする、触感呈示装置の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−59240(P2012−59240A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239475(P2010−239475)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】