説明

計器装置

【課題】 計器装置の計器ハウジングとアンダーカバーとの組み付け作業性を良好にし、安定した組み付けを行うことができる計器装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 計器ハウジング1の周面部分および計器ハウジング1の後部をアンダーカバー12によって覆ってなる計器装置において、アンダーカバー12の内周面の適所には位置決め用リブ13を突き出し形成し、この位置決め用リブ13の配設位置に合わせて計器ハウジング1の外周面部分に位置決め用誘い込み壁部15を設けてなることを特徴とする計器装置であるため、計器ハウジング1とアンダーカバー12とを組み付け固定するに際し、計器ハウジング1の外周面部分に設けられた位置決め用誘い込み壁部15に沿ってアンダーカバー12に設けた位置決め用リブ13が案内されながら組み付けられるため、所定の位置に簡単にセットすることができ、組み付け作業性を良好に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば自動車やオートバイなどに搭載される計器類を収納する計器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車やオートバイなどに装備される計器装置として、たとえば速度計,回転計,温度計などの計器類は合成樹脂製からなる枠状の計器ハウジングに取付固定されている。この場合、前記計器類などを取付固定した計器ハウジングの前面開放側に前記計器類などの上面側から塵埃などが入らないように合成樹脂材料からなる透視可能なカバープレートによって覆って構成している。また計器ハウジングのカバープレートの周縁部分には、計器ハウジングの周面部分を覆って目隠ししたり、見栄えを良好にするためのバイザーが設けられており、さらに計器ハウジングの周面部分および計器ハウジングの後部を覆うアンダーカバーが設けられている。この場合、計器装置の計器ハウジングとアンダーカバーとの組み付け構造としては、ビスなどの固定部材を介して固定保持している。
【特許文献1】特開平11−115856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1などの計器装置においては、計器装置の計器ハウジングとバイザーとアンダーカバー側との組み付け構造としてビスなどの固定部材にて締め付け固定するに際し、特に計器ハウジングと椀状のアンダーカバーとの組み付け位置が揃わなくて組み付け作業に手間がかかるという問題があった。
【0004】
すなわち計器ハウジングの大きさに対してアンダーカバーの大きさに余裕があるために位置ずれが生じてしまいという問題がある。この点を考慮するものとして、計器ハウジングとアンダーカバーとの間において位置決めピンと位置決め孔をそれぞれ設けて、その位置決め孔に位置決めピンを合わせるようにして所定の位置に組み付け保持するようにした組み付け構造が提案されている。
【0005】
しかしながら、前述した位置決めピンと位置決め孔とによる組み付け構造においては、計器ハウジングとアンダーカバーとをセットする際に椀状のアンダーカバーによって位置決めピンと位置決め孔とが見えなくなってしまい位置決めピンが相手側である部材に突き当たってしまい、組み付け作業性が良好に行うことができなかったり、場合によっては位置決めピンが折損してしまうことがある。
【0006】
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、計器装置の計器ハウジングとアンダーカバーとの組み付け作業性を良好にし、安定した組み付けを行うことができる計器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するため、請求項1では、計器類を組み付ける計器ハウジングと、この計器ハウジングの前面開放側を覆う透明なカバープレートと、このカバープレートの周縁部分および前記計器ハウジングの周面部分を覆うバイザーと、前記計器ハウジングの周面部分および計器ハウジングの後部を覆うアンダーカバーと、からなる計器装置において、前記アンダーカバーの内周面の適所には位置決め用リブを突き出し形成し、この位置決め用リブの配設位置に合わせて前記計器ハウジングの外周面部分に位置決め用誘い込み壁部を設けてなることを特徴とする計器装置である。
【0008】
また請求項2では、請求項1に記載の計器装置において、前記位置決め用誘い込み壁部は、前記位置決め用リブを案内する末広がり状の壁部と位置決め用リブを位置決め保持するためのスリット状の壁部とからなることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項3では、請求項1に記載の計器装置において、前記アンダーカバーには、前記位置決め用リブと連続して前記計器ハウジング側を所定の位置にて突き当て配置するための当接部を設けてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、計器ハウジングの周面部分および計器ハウジングの後部をアンダーカバーによって覆ってなる計器装置において、アンダーカバーの内周面の適所には位置決め用リブを突き出し形成し、この位置決め用リブの配設位置に合わせて計器ハウジングの外周面部分に位置決め用誘い込み壁部を設けてなることを特徴とする計器装置であるため、計器ハウジングとアンダーカバーとを組み付け固定するに際し、計器ハウジングの外周面部分に設けられた位置決め用誘い込み壁部に沿ってアンダーカバーに設けた位置決め用リブが案内されながら組み付けられるため、所定の位置に簡単にセットすることができ、組み付け作業性を良好に行うことができ、これにより初期の目的を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の請求項1では、計器類を組み付ける計器ハウジングと、この計器ハウジングの前面開放側を覆う透明なカバープレートと、このカバープレートの周縁部分および前記計器ハウジングの周面部分を覆うバイザーと、前記計器ハウジングの周面部分および計器ハウジングの後部を覆うアンダーカバーと、からなる計器装置において、前記アンダーカバーの内周面の適所には位置決め用リブを突き出し形成し、この位置決め用リブの配設位置に合わせて前記計器ハウジングの外周面部分に位置決め用誘い込み壁部を設けてなることを特徴とする計器装置であるため、前記計器ハウジングと前記アンダーカバーとを組み付け固定するに際し、前記計器ハウジングの外周面部分に設けられた位置決め用誘い込み壁部に沿って前記アンダーカバーに設けた位置決め用リブが案内されながら組み付けられるため、所定の位置に簡単にセットすることができ、組み付け作業性を良好に行うことができるものである。
【0012】
また、請求項1に記載の計器装置において、前記位置決め用誘い込み壁部は、前記位置決め用リブを案内する末広がり状の壁部と位置決め用リブを位置決め保持するためのスリット状の壁部とからなることにより、アンダーカバーの内周面側に設けられた位置決め用リブが計器ハウジングの外周面部分に設けられた末広がり状の壁部に最初に接触しながら案内され、次いでスリット状の壁部の間に位置決め用リブが送り込まれ位置決め保持されるため、所定の位置に簡単にセットでき、組み付け作業性を良好に行うことができるものである。(請求項2)
【0013】
また、請求項1に記載の計器装置において、前記アンダーカバーには、前記位置決め用リブと連続して前記計器ハウジング側を所定の位置にて突き当て配置するための当接部を設けてなることにより、計器ハウジング側とアンダーカバー側との組み付け時において、計器ハウジングとアンダーカバーとの組み付け位置を所定の位置に良好にセットすることができるという効果がある。(請求項3)
【0014】
以下、添付図面に基づいて、本発明の計器装置を車輌用の指示計器に適用した実施例として説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の第1実施例を図1から図5に示す。この種の計器装置として、中央に速度計からなる指示計器と、左側に燃料計や温度計からなる指示計器などが配置され、それぞれが計器ハウジング1に組み付け固定されている。
【0016】
この場合、図1の左側に位置した燃料計や温度計からなる指示計器にあっては、図2などに示すように、枠状の計器ハウジング1の背後に硬質からなる回路基板2が組み付け固定されるとともに、この回路基板2の背後側に指示計器である計器本体3が組み付け固定されており、この計器本体3に設けられた指針軸4の先端側に、指針軸4を軸芯として回転する指針5が圧入固定されている。この実施例における指針構造としては、透明な合成樹脂たとえばアクリル樹脂にて形成された発光指針5を用いている。
【0017】
また前記指針5の背後側に位置し計器ハウジング1の前面側には、目盛や数字や記号などからなる指標部が施された表示板6が配設されている。また前記回路基板2上には、枠状の計器ハウジング1内に臨んで前記表示板6の目盛部と数字などを透過照明するための光源(発光ダイオード7)と、前記指針5を発光照明するための指針用光源(発光ダイオード8)とが実装されている。
【0018】
また、前記表示板6の前面側には表示板6の周りと計器ハウジング1との隙間部分を目隠ししする見返し部材9が配設され、この見返し部材9の前面開放側には前記指示計器類などの上面側から塵埃などが入らないように合成樹脂材料からなる透視可能なカバープレート10によって覆って構成している。
【0019】
またカバープレート10の外郭周縁部分には、計器ハウジング1の周面部分を覆って目隠ししたり、見栄えも良好となるようにバイザー11が設けられ、そのバイザー11の後方には、計器ハウジング1、回路基板2および計器本体3などを覆うアンダーカバー12が設けられている。
【0020】
また、第1実施例による計器装置における計器ハウジング1とアンダーカバー12との組み付け構造としては、アンダーカバー12の内周面の適所には位置決め用リブ13がアンダーカバー12の奥行き方向に沿って突き出しされるとともに、この位置決め用リブ13と連続して計器ハウジング1を所定の位置にて突き当て配置するための当接部14が設けられており、前記位置決め用リブ13の配設位置に合わせて計器ハウジング1の外周面部分に位置決め用誘い込み壁部15が設けられている。
【0021】
この第1実施例の場合、前記位置決め用誘い込み壁部15は、前記位置決め用リブ13を案内する計器ハウジング1の奥行き方向に沿って設けられた末広がり状の壁部15Aと位置決め用リブ13を位置決め保持するための幅寸法からなるスリット状の壁部15Bとから形成されており、組み付け時においてアンダーカバー12の内周面側に設けられた位置決め用リブ13が計器ハウジング1の外周面部分に設けられた末広がり状の壁部15Aに最初に接触しながら案内され、次いでスリット状の壁部15Bの間に位置決め用リブ13が送り込まれ位置決め保持されるように形成されている。
【0022】
そして、計器ハウジング1側とアンダーカバー12側との組み付け後において、ビスなどの固定部材16によって廻し締め固定することにより所定の位置に簡単に固定保持することができるように構成されている。
【0023】
なお、第1実施例にあっては、図3に示すように、カバープレート10の周縁部分に弾性係止爪10Aを一体に設け、この弾性係止爪10A位置に対応して計器ハウジング1側には係合用突部1Aを設けて嵌合固定することにより、カバープレート側10と計器ハウジング1側とを組み付け保持することができるように構成している。また、回路基板2は、計器ハウジング1に設けた弾性係合爪1Bと係合固定することができるように形成している。
【0024】
また、17は燃料計や温度計からなる指示計器を速度計側に組み付け固定するための固定用ブラケットである。
【0025】
上記構成からなる第1実施例における計器装置においては、計器装置の計器ハウジング1とアンダーカバー12側との組み付け構造として、アンダーカバー12の内周面の適所に位置決め用リブ13を突き出し形成し、この位置決め用リブ13の配設位置に合わせて計器ハウジング1の外周面部分に位置決め用誘い込み壁部15を設けてなることにより、計器ハウジング1とアンダーカバー12とを組み付け固定するに際し、計器ハウジング1の外周面部分に設けられた位置決め用誘い込み壁部15に沿ってアンダーカバー12に設けた位置決め用リブ13が案内されながら組み付けられるため、所定の位置に簡単にセットすることができ、組み付け作業性を良好に行うことができる。
【0026】
この際、位置決め用誘い込み壁部15は、位置決め用リブ13を案内する末広がり状の壁部15Aと位置決め用リブ13を位置決め保持するためのスリット状の壁部15Bとからなることにより、図4から図5に示すように、アンダーカバー12の内周面側に設けられた位置決め用リブ13が計器ハウジング1の外周面部分に設けられた末広がり状の壁部15Aに最初に接触しながら案内され、次いで図2に示すように、スリット状の壁部15Bの間に位置決め用リブ13が送り込まれ位置決め保持されるため、所定の位置に簡単にセットでき、組み付け作業性を良好に行うことができる。
【0027】
また、アンダーカバー12には、位置決め用リブ13と連続して計器ハウジング1側を所定の位置にて突き当て配置するための当接部14を設けてなることにより、計器ハウジング1とアンダーカバー12との組み付け時において、計器ハウジング1とアンダーカバー12との組み付け位置(計器ハウジング1の背後側をアンダーカバー12によって覆って保護する位置)を所定の位置に良好にセットすることができるという効果がある。
【0028】
なお本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。たとえば、実施例においては、計器ハウジング1の外周面部分に設けられた位置決め用誘い込み壁部15として、計器ハウジング1の奥行き方向に沿って設けられた末広がり状の壁部15Aと位置決め用リブ13を位置決め保持するための幅寸法からなるスリット状の壁部15Bとから形成していたが、位置決め用リブ13が誘い込まれて位置合わせができるように末広がりの壁部15Aの傾斜角度を左右非対称に任意に設定してもよいものであり、また位置決め用リブ13の強度を高めるためにリブの板厚寸法を肉厚に形成しても良いものであり、また、位置決め用リブ13と位置決め用誘い込み壁部15の配設位置や個数などは計器装置の形状や大きさなどに合わせて適宜設定すれば良いものである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
また、前述した実施例などにおいて詳述したように、車両用の指示計器を例にして計器装置を説明したが、車両用計器に限らず船舶用計器あるいは農業機械の計器などにおいても適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の第1実施例における計器装置を示す正面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線箇所を示す計器装置の断面図である。
【図3】図3は、図2の計器装置の要部を示す一部を断面で表した分解斜視図である。
【図4】図4は、図2の組み付け前の状態を示す計器装置の断面図と、位置決め用リブおよび位置決め用誘い込み壁部との位置関係を示す模式図である。
【図5】図5は、図2の組み付け途上の状態を示す計器装置の断面図と、位置決め用リブおよび位置決め用誘い込み壁部との位置関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0031】
1 計器ハウジング
1A 係合用突部
1B 弾性係合爪
2 回路基板
3 計器本体
4 指針軸
5 指針
6 表示板
7 光源(発光ダイオード)
8 指針用光源(発光ダイオード)
9 見返し部材
10 カバープレート
10A 弾性係止爪
11 バイザー
12 アンダーカバー
13 位置決め用リブ
14 当接部
15 位置決め用誘い込み壁部
15A 末広がり状の壁部
15B スリット状の壁部
16 固定部材
17 固定用ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計器類を組み付ける計器ハウジングと、この計器ハウジングの前面開放側を覆う透明なカバープレートと、このカバープレートの周縁部分および前記計器ハウジングの周面部分を覆うバイザーと、前記計器ハウジングの周面部分および計器ハウジングの後部を覆うアンダーカバーと、からなる計器装置において、前記アンダーカバーの内周面の適所には位置決め用リブを突き出し形成し、この位置決め用リブの配設位置に合わせて前記計器ハウジングの外周面部分に位置決め用誘い込み壁部を設けてなることを特徴とする計器装置。
【請求項2】
前記位置決め用誘い込み壁部は、前記位置決め用リブを案内する末広がり状の壁部と位置決め用リブを位置決め保持するためのスリット状の壁部とからなることを特徴とする請求項1に記載の計器装置。
【請求項3】
前記アンダーカバーには、前記位置決め用リブと連続して前記計器ハウジング側を所定の位置にて突き当て配置するための当接部を設けてなることを特徴とする請求項1に記載の計器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−205730(P2007−205730A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21589(P2006−21589)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】