説明

計測ユニットおよびこれを用いた配電システム

【課題】設置およびメンテナンスの容易な、計測ユニットおよびこれを用いた配電システムを提供する。
【解決手段】本発明の計測ユニット40は、無線通信可能に構成され、電力を計測するセンサ部を構成するCTセンサ43Sを備え、ユニット本体43を構成するプリント基板に、上記第1及び第2のアンテナ41,42が配設されてなるものである。なお、この計測ユニット40では、計測すべき電力線に接続する配線ケーブル83を介して入力される電力をCTセンサ43Sで計測し、この計測データを、複数の指向性をもつ第1及び第2のアンテナ41,42を用いて、管理装置に無線で送信する。また管理装置からの送信データを上記第1及び第2のアンテナ41,42を用いて受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測ユニットおよびこれを用いた配電システムにかかり、特に住戸に供給される電力を監視するとともに、負荷に供給する電力を計測することのできる無線の計測ユニットを備えた配電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、戸建住宅あるいは集合住宅の各住戸に設置された分電盤と住宅情報盤(例えばインターホン親機)との間で信号を送受信可能としたシステムが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1の例では、住戸に供給される電力を監視し、負荷を接続した分岐回路に分配供給するための分電盤と、火災感知器などの各種セキュリティセンサを接続した住宅情報盤との間で情報信号の送受信が可能に構成されている。分電盤には、引き込み主幹から主幹ブレーカを通じて供給される交流電力の電流量または電力量を計測する電力計測装置を含むコントローラが設けられている。当該コントローラによって積算された積算電力量は、電気使用情報として住宅情報盤に信号送出される。そして、住宅情報盤は、電気使用情報を受信して計測された積算電力量のレベルに応じて段階的に報知する。例えば、「電気を使いすぎています」という音声メッセージを出力などの視覚表示あるいは聴覚表示などの表示方法がとられる。このようにして、電気使用情報を、住宅情報盤が設置されるリビングやダイニングなどの居住者の目に付き易い場所で把握することができるようになっている。
【0003】
近年、商用電源などから供給される交流電力に加えて、太陽光発電などによる直流電力を配電する配電システムが普及してきている。
【0004】
このような直流電力を配電するための配電システムの電力源には、太陽光発電装置または燃料電池のような直流発電設備、蓄電池、商用電力源など、複数の電力源が用いられるため、これらを想定した配電システムが必要となる。この場合、それぞれの電力源に対してDC−DCコンバータ、DC−ACコンバータ等の出力用コンバータが設けられ、各出力用コンバータから所定の電圧レベルの交流電力を出力する構成が一般的である。
このように多数の電力源を用いて、配電するため、それぞれの電力源に対してDC−DCコンバータ、DC−ACコンバータ等の出力用コンバータが必要となる。
【0005】
また、既存住宅に対し、新たに太陽光発電装置を導入するような場合には、住宅設備としては新たな追加が増えることになり、現存の住宅設備に加えて増改築をする場合にも、柔軟な対応が求められている。
そこで、無線通信を用いた種々のシステムも提案されており、受信装置の周辺環境の変化に対応できるように、複数のアンテナを用いたダイバーシチによる受信技術も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−225438号公報
【特許文献2】特開2010−171840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように分電盤においては、配線ケーブルが多数必要となる。そして、電力源が複数になるとさらに、配線ケーブルの本数が多くなり、これらの設置および、メンテナンスなどの管理も複雑となり、これらを簡単かつ安全にする必要がある。
【0008】
また、従来と異なり、分電盤に、交流電力源からの交流入力端子、太陽電池などの直流電力源からの直流入力端子、直流機器に出力される直流出力端子が混在し、配線ケーブルが大量に存在することになる。従来、電力量を計測するCTセンサを含む計測ユニットは、モニタ装置と有線接続されていた。しかしながら、配線ケーブルが室内の美観を損ねるうえ、特に、住環境の多様化に伴い、計測ユニットとモニタ装置との間の距離が長くなったり、モニタ装置の設置場所を変えたい場合もあり、配線の制限が課題となっている。
【0009】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、設置およびメンテナンスの容易な、計測ユニットおよびこれを用いた配電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明の計測ユニットは、計測すべき電力線に接続する配線ケーブルと、前記配線ケーブルを介して入力される電力を計測するセンサ部と、指向性をもつ複数のアンテナ部を備え、計測データを、管理装置に無線で送信する送信部とを備える。
【0011】
また、本発明は、上記計測ユニットであって、前記アンテナ部が、第1の方向に指向性をもつ第1のアンテナと、前記第1の方向にほぼ垂直な第2の方向に指向性をもつ第2のアンテナと、を備えたものを含む。
【0012】
また、本発明の配電システムは、上記計測ユニットと、交流電力源に接続された引き込み主幹と、前記引き込み主幹から供給される交流電力源からの電力を負荷機器に配電する配電部と、前記配電部と前記負荷機器および前記交流電力源を接続する配線ケーブルと、前記引き込み主幹と前記配電部と前記配線ケーブルとを収納する容器と、を備えた分電盤と、分電盤外に設けられた管理装置と、を備える。
【0013】
また、本発明は、上記配電システムであって、前記計測ユニットは前記容器内に配設され、前記配線ケーブルは、前記分電盤内壁に設けられた係止部で係止され、前記アンテナとの間での電磁結合を抑制するように構成されたものを含む。
【0014】
また、本発明は、上記配電システムであって、前記配線ケーブルのうち、アース線が、前記分電盤の前記容器内壁に設けられた係止固定部で固定されたものを含む。
【0015】
また、本発明は、上記配電システムであって、前記分電盤は、上部端子台と下部端子台からなる、上下2列の端子台を備え、前記上部端子台と前記下部端子台は、前記容器内壁の上部に設けられた上部係止固定部と、前記容器内壁の下部に設けられた下部係止固定部とを介して前記容器の側部内壁に沿うように配置されたものを含む。
【0016】
また、本発明は、上記配電システムであって、前記配線ケーブルのうち、アース線を構成するケーブルは、前記計測ユニットの配置位置から遠ざかる位置に導出されたものを含む。
【0017】
また、本発明は、上記配電システムであって、前記センサ部はCTセンサを有し、前記配線ケーブルは、前記計測ユニットの前記CTセンサに接続されるCTケーブルであって、前記CTケーブルが前記容器内壁に沿うように固定されたものを含む。
【0018】
また、本発明は、上記配電システムであって、前記容器内に、直流電力源である前記太陽光発電装置に接続されるDC/DCコンバータと、交流電力源である前記商用電源に接続されるAC/DCコンバータと、蓄電池と、前記蓄電池に接続されたDC/DCコンバータとが収納されており、前記計測ユニットは、前記ケーブルを介して前記直流電力源、交流電力源、および蓄電池の電力を計測可能であり、前記管理装置が前記計測ユニットの計測データを測定可能であるものを含む。
【発明の効果】
【0019】
以上説明してきたように、本発明の計測ユニットによれば、指向性をもつ複数のアンテナ部を備えているため、通信状態の良好なアンテナを切り替えて使用することができ、配線ケーブルによる障害を回避することができ、信頼性の高い通信が可能となる。
また本発明の配線システムによれば、分電盤外に管理装置を配置し、効率よい管理が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る配電システムを示す説明図
【図2】本発明の実施の形態1に係る配電システムにおける分電盤の内部構造を示す図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】本発明の実施の形態1に係る配電システムの分電盤を示す要部拡大図
【図5】本発明の実施の形態1に係る配電システムの分電盤を示す要部斜視図
【図6】本発明の実施の形態1に係る配電システムの計測ユニットを示す図
【図7】本発明の実施の形態1に係る配電システムによる計測ユニットのダイバーシチ通信システム及びダイバーシチ送信装置の構成を示すブロック図
【図8】同ダイバーシチ通信システムにおいて、ダイバーシチ送信装置から受信装置に送信される無線信号を示す図
【図9】同ダイバーシチ送信装置において、アンテナの切り替えを示す図
【図10】ダイバーシチ送信装置におけるアンテナ切り替え動作を示すフローチャート
【図11】ダイバーシチ送信装置におけるアンテナ切り替え動作におけるユニークワードのビットエラーレート検出要領を示す図
【図12】ダイバーシチ送信装置におけるアンテナ単体とダイバーシチ動作時の指向性の比較図
【図13】(a)および(b)は本発明の実施の形態2に係る配電システムの構成を示す模式図であり、(b)は(a)のA−A断面図
【図14】本発明の実施の形態3に係る配電システムの計測ユニットの構成を示す説明図
【図15】本発明の実施の形態4に係る配電システムの計測ユニットの構成を示す説明図
【図16】本発明の実施の形態5に係る配電システムの構成を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る配電システムを戸建て住宅に適用した実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。但し、本発明に係る配電システムが適用可能な建物は戸建て住宅に限定されるものではなく、集合住宅の各住戸や事務所等にも適用可能である。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態に係る配電システムを示す説明図、図2は同配電システムにおける分電盤の内部構造を示す図である。図3は図2のA−A断面図、図4はこの分電盤の要部拡大図、図5は同斜視図である。図6は、本発明の実施の形態1に係る配電システムによる計測ユニットを示す図、図7は同計測ユニットの2本のアンテナを用いたダイバーシチ通信システムの説明図である。
本実施の形態の配電システムは、商用電源に接続された分電盤から負荷回路に配電可能とした配電システムに適用した構成例である。
【0022】
この配電システムは、無線通信用の第1及び第2のアンテナ41、42を備えた計測ユニット40を分電盤10内に設置し、分電盤装置100から、管理装置200のモニタ部201への計測データSの送信を無線で実施するようにしたものである。この配電システムでは、指向性の異なる第1及び第2のアンテナ41、42との間での電磁結合を抑制するようにアース線81を構成する配線ケーブルが、分電盤10の内壁に係止固定部82によって係止されたものである。なお、主幹ケーブルB1、分岐ケーブルBnを構成する配線ケーブル83も、アース線81と同様、係止固定部82によって分電盤10の内壁に係止される。アース線81、主幹ケーブルB1、分岐ケーブルBnを構成する配線ケーブル83および係止固定部82で配線部80を構成する。そしてこの分電盤10は交流電力源から主幹ブレーカ20を介して供給される電力を、分岐用ブレーカ30を介して負荷機器に供給する。主幹ブレーカ20は、各相に流すことのできる電流値を制限するものである。また主幹ブレーカ20に隣接してリミッタ21が配置されており、このリミッタ21によって2相の出力の総和が所定の値以上にならないように制御している。なお、引き込み主幹は主として主幹ケーブルと、主幹ブレーカ20とで構成され、配電部は主として主幹ケーブルと、主幹ブレーカ20と、分岐ケーブルと、分岐用ブレーカ30とで構成される。また、固定端子部14は、上部固定端子部141と下部固定端子部142とで構成される。
【0023】
計測ユニット40は、電力を計測するセンサ部を構成するCTセンサ43Sを備え、ユニット本体43を構成するプリント基板に、上記第1及び第2のアンテナ41,42が配設されてなるものである。なお、この計測ユニット40では、計測すべき電力線に接続する配線ケーブル83を介して入力される電力をCTセンサ43Sで計測し、この計測データを、複数の指向性をもつ第1及び第2のアンテナ41,42を用いて、管理装置に無線で送信する。また管理装置からの送信データを上記第1及び第2のアンテナ41,42を用いて受信する。
【0024】
なお、本実施の形態の分電盤10は、容器11と、容器内に収納される分電盤本体12とを具備している。そしてこの分電盤本体12は、負荷回路に接続される分岐回路用の上部端子台131と下部端子台132からなる上下2列の端子台13を備えている。上部端子台131と下部端子台132は、容器11内壁の上部に設けられた上部固定端子部141と、容器内壁の下部に設けられた下部固定端子部142とを介してアース線81が容器11の側部内壁に沿うように配置されている。なお本実施の形態では上部固定端子部141および下部固定端子部142は端子台を構成しており、端子接続される。また容器11の周縁部には、複数の切り欠き部15が配列されており、切り起こしにより、配線ケーブル挿通穴を構成できるようになっている。
【0025】
また、本実施の形態では、計測ユニット40が分電盤10内に配置されているため、外観性がよい。また、配線ケーブルが分電盤10の容器11内に収納されるため、保護機能も向上し、実質的な専有面積は低減される。
【0026】
また、配線ケーブルのうち、アース線81を構成する配線ケーブルは、計測ユニット40の配置位置から遠ざかる位置に導出される。従って、計測ユニットのCTセンサが電磁結合により、ノイズを拾うのを抑制することができる。
【0027】
また、配線ケーブルで構成される配線部80は、計測ユニット40のCTセンサに接続されるCTケーブルを含み、CTケーブルが容器内壁に沿うように固定される。この構成により、CTケーブルによってCTセンサが電磁結合によりノイズを拾うのを抑制することができ、高精度の電力検出が可能となる。
【0028】
さらにまた、計測ユニット40は、主幹ブレーカ20との隣接位置を外して配置される。大電流の流れる主幹ブレーカ20に、計測ユニット40、特にCTセンサが隣接しないように配置されるため、CTセンサがノイズを拾うのを抑制することが可能となる。
【0029】
また、計測ユニット40と主幹ブレーカ20との間に分岐ブレーカが配置されている。これにより、計測ユニット40のCTセンサが主幹ブレーカ20から、少なくとも分岐ブレーカ分は、離間して配置されるため、CTセンサがノイズを拾うのを抑制することが可能となる。ここでCTセンサは、引き込み主幹に入力される電力および負荷機器に配電される電力を計測するが、その他の電力あるいは電流計測を行うこともできる。
【0030】
本実施の形態の配線システムで用いられている計測ユニット40のアンテナ部は、第1の方向に指向性をもつ第1のアンテナ41と、第1の方向にほぼ垂直な第2の方向に指向性をもつ第2のアンテナ42とを備えている。ここでは第1アンテナは計測ユニット本体を構成するプリント基板上に設けられた導体パターンで構成された内部アンテナであり、第2のアンテナ42は棒状の外部アンテナで構成されている。そしてこれら第1及び第2のアンテナ41,42は異なる平面上であってかつ互いに垂直な方向に配設されている。
そして、計測ユニット40で得られた計測データは、たがいに垂直な方向に指向性をもちダイバーシチ通信システムを構築する第1及び第2のアンテナ41,42を介して分電盤10外に設けられた管理装置200のモニタ部201に送信される。
【0031】
この管理装置200は、モニタ部201と制御部を有しており、マイクロコンピュータ等を有してなる情報処理装置により構成され、各部の動作制御を司る。制御部は、AC−DCコンバータを構成する各コンバータの動作のON/OFF制御、並びに出力電圧制御を行うとともに、表示部(図示せず)の表示制御を行う。表示部は、液晶表示装置等により構成され、制御部の指示に基づき、文字、数字、画像等によって分電盤の動作状態等の各種情報を示す表示を行う。
【0032】
この構成によれば、計測ユニットと管理装置が無線で接続されており、これらの間での配線が不要となるため、保守、メンテナンスが容易になる。
【0033】
ノイズには、電磁結合によるものと、静電結合によるものとがある。電磁結合は磁界による誘導現象である。交流が流れる回路のそばに別の回路があると、ファラデーの電磁誘導の法則により発生する磁界の変化によって電流が流れる。電磁結合によって誘起されるノイズの電圧は、磁界の時間的変動が激しいほど、両回路のループ面積が大きいほど、また両回路が接近するほど大きくなる。一方、電流が流れる導体の近くに他の導体があると、目に見えないコンデンサ(浮遊容量)が生じて電圧が誘起される。これが静電結合である。高周波電流が流れると、それに伴い導体にも電圧変化が起き、放射ノイズや伝導ノイズとなって無線通信に悪影響を与えることになる。従って電磁結合、さらには静電結合を回避し得るように、計測ユニットを配置することで、効率よく計測データの送受信が可能となる。
【0034】
また、本実施の形態では、第1アンテナは計測ユニット本体を構成するプリント基板上に設けられた導体パターンで構成された内部アンテナであるため、方向の制御が容易であり、また、同一層あるいは異なる層に多数の内部アンテナを配列することも可能である。そしてこれら第1及び第2のアンテナ41,42は異なる平面上であってかつ互いに垂直な方向に配設されているため、相互に特性を補償することができ、障害を低減し、良好な入出力特性を得ることができる。さらにまた、第2のアンテナ42は棒状の外部アンテナで構成されているが、プリント基板に対して可動となるように構成することで、指向性の調整が容易となる。
【0035】
さらにまた、管理装置200では、計測ユニット40によって得られた計測データを無線により受信し、パネルに表示するとともに、音声信号を出力できるようになっている。この構成により、充電、発電及び消費がわかり易くなる。
【0036】
また、分電盤の分枝回路は、交流電力源からの引き込み主幹B1から最も遠い位置に配されている。分電盤の回路の中で最も大容量となる分電盤用の分枝Bnを引き込み主幹B1から遠ざけることにより、お互いの発熱による干渉熱の影響を少なくすることができる。
【0037】
本実施の形態の配電システムにおける計測ユニットのダイバーシチ通信システムは、分電盤装置100の計測ユニット40内に設けられたダイバーシチ送受信装置1002と、管理装置200に設けられた送受信装置1003等を有している。
【0038】
送受信装置1002は、無線送信および受信するデータを符号化および復調する誤り訂正処理部(誤り訂正符号化手段)1020と、データを送受信するアンテナ1021とを有している。アンテナ1021は誤り訂正処理部1020によって符号化されたデータを送信する。またアンテナ1021で受信されたデータは誤り訂正処理部1020で復号化される。
【0039】
ダイバーシチ送受信装置1003は、無線信号を受信する第1及び第2のアンテナ41、42と、アンテナスイッチ1012と、RF部(RX)1013と、ベースバンド(BB)信号処理部1014と、ビットエラー検出部(ビットエラー検出手段)1015と、アンテナスイッチ制御部(アンテナ制御手段)1016等を有している。この第1実施形態においては、ダイバーシチ送受信装置1003のアンテナが2本の場合を例示するが、ダイバーシチ通信システムが設置される通信環境に応じて適宜増やしてもよい。
【0040】
第1及び第2のアンテナ41、42は、送受信装置1002のアンテナ1021を介して送受信される無線信号を送受信してRF部1013に入出力する。アンテナスイッチ1012は、アンテナスイッチ制御部1016から入出力された制御信号に基づいて第1及び第2のアンテナ41、42を選択的に切り替えて動作させる。RF部1013は、第1及び第2のアンテナ41、42によって送受信される信号を符号化および復調し、ベースバンド信号処理部1014に出力する。このRF部1013には、第1及び第2のアンテナ41、42によって受信された信号にかける利得を自動的に制御するAGC(Automatic Gain Control)部が設けられている。ここで、AGC部とは、第1及び第2のアンテナ41、42による受信レベルの変動に対して、ベースバンド信号処理部1014に入力する信号レベルを一定に維持するために設けられたフィードバック系の利得制御アンプである。
【0041】
ベースバンド信号処理部1014は、RF部1013によって復調された信号に対し復号化等の信号処理を実施する。ベースバンド信号処理部1014は、誤り訂正処理部1041を有している。送信に際しては、誤り訂正処理部1041によって符号化されたデータ列はビットエラー検出部1015に送出される。ビットエラー検出部1015は、アンテナ選択のためのデータ列におけるビットエラーレート(BER)を検出する。アンテナスイッチ制御部1016は、ビットエラー検出部1015から出力されたビットエラーレート情報に基づいて制御信号を出力し、アンテナスイッチ1012を制御する。一方第1及び第2のアンテナ41,42を介して入力されたデータは誤り訂正処理部1141で復号化される。
【0042】
図8は、ダイバーシチ通信システムにおいて、送受信装置1002からダイバーシチ送受信装置1003に送信される無線信号を示している。無線信号は、パケット#1、パケット#2、...、パケット#Nに分割されて繰り返し送信される。それぞれのパケットは、ヘッダ部とペイロード部を含んでいる。ヘッダ部のデータ列は、それぞれのパケットの頭部分に設けられ、プリアンブルと、2つの第1ユニークワードA及びBと、第2ユニークワードC等によって構成されている。
【0043】
プリアンブルは、シンボルクロック再生同期を確立するために設けられたデータ列である。なお、例えば、DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)の変調方式などシンボルクロック再生同期を必要としないシステムにおいては、プリアンブルが無くても通信が成立する。第1ユニークワードA、第1ユニークワードBは、第1及び第2のアンテナ41、42のそれぞれに割当てられ、アンテナ選択のためのビットエラーレートの検出に用いられる擬似的なユニークワードである。アンテナの本数を3本以上に増やす場合には、第1ユニークワードの数も対応させて増やす必要がある。第2ユニークワードCは、ペイロード部のデータの先頭を検出するために設けられたデータ列である。プリアンブルのデータ列の具体例としては、例えば、010101・・・が、ユニークワードのデータ列の具体例としては、例えば、0010001・・・が挙げられる。プリアンブルは、ユニークワードと兼用であってもよい。ペイロード部は、伝送すべきデータ(例えば、画像データ等)によって構成されている。ペイロード部のデータは、誤り訂正処理部1020によって誤り訂正符号化されたデータ列となっており、ベースバンド信号処理部1014が備えている誤り訂正処理部1141により復号化される。なお、本発明においては、送受信装置1002の誤り訂正処理部1020及び誤りダイバーシチ送受信装置1003の誤り訂正処理部1141の構成を省いても、後述する効果を享受することができる。
【0044】
図9は、送受信装置1002から送信され、第1及び第2のアンテナ41又は42によって受信され出力される信号を示している。図中実線は、選択されたアンテナによって受信された無線信号を、破線は対応するアンテナが選択されなかったために受信されなかった無線信号をそれぞれ示している。アンテナスイッチ制御部1016は、まず、第1のアンテナ41を選択してユニークワードAを受信させてビットエラー検出部1015にビットエラーを検出させて、そのビットエラーレートを記憶する。その後、アンテナスイッチ制御部1016は、第2のアンテナ42を選択してユニークワードBを受信させてビットエラー検出部1015にビットエラーを検出させて、そのビットエラーレートを記憶する。そして、アンテナスイッチ制御部1016は、ビットエラーレートの小さいユニークワードに対応するアンテナを選択してペイロード部の無線信号を受信させる。図9においては、第1のアンテナ41によって受信されたユニークワードAの方がビットエラーレートが小さかった場合を示している。この場合にあっては、その後第1のアンテナ41によってユニークワードCに続けてペイロード部のデータが受信され、1パケットの通信が完了する。
【0045】
図10は、ダイバーシチ送受信装置1003におけるアンテナ切り替え動作を示している。当初、ダイバーシチ送受信装置1003は待受状態となっており(ステップS1)、アンテナスイッチ1012によって2本のアンテナのうちいずれかの第1及び第2のアンテナ41又は42が選択されている。ここでは、第1のアンテナ41が選択されているものとする。第1のアンテナ41がパケットステップS1、ステップS2、...を受信すると(ステップS2)、RF部1013により復調され(ステップS3)、その復調信号がベースバンド信号処理部1014に入力される。ベースバンド信号処理部1014では、パケット先頭のプリアンブルによりシンボルクロック再生同期を確立する。
【0046】
ビットエラー検出部1015は、誤り訂正処理部1141により復号化されたパケットに含まれるユニークワードAと、予め記憶しているユニークワードAとを比較する。そして、これらの不一致ビットをカウントし、ビットエラーレートとしてアンテナスイッチ制御部1016に出力する(ステップS4)。そして、アンテナスイッチ制御部1016は、第1のアンテナ41から第2のアンテナ42に切り替え(ステップS5)、ビットエラー検出部1015は、誤り訂正処理部1141により復号化されたパケットに含まれるユニークワードBと、予め記憶しているユニークワードBとを比較して、これらの不一致ビットをカウントし、ビットエラーレートとしてアンテナスイッチ制御部1016に出力する(ステップS6)。
【0047】
そして、アンテナスイッチ制御部1016は、第1及び第2のアンテナ41、42に対応するビットエラーレートを比較する(ステップS7)。第1のアンテナ41に対応するビットエラーレートが小さい場合(ステップS8においてYES)、アンテナスイッチ制御部1016は、第1のアンテナ41に切り替えて、ユニークワードCに続けてペイロード部のデータを受信させる(ステップS9)。一方、第1のアンテナ41に対応するビットエラーレートが大きい場合(ステップS8においてNO)、アンテナスイッチ制御部1016は、現行の第2のアンテナ42のまま、ユニークワードCに続けてペイロード部のデータを受信させる(ステップS10)。
【0048】
図11は、上記ステップS4においてユニークワードAのビットエラーレートを検出する手法を示している。ステップS6においてユニークワードBのビットエラーレートを検出する場合及びユニークワードCのビットエラーレートを検出する場合も同様である。ビットエラー検出部1015は、誤り訂正処理部1141により復号化されて入力されたパケットのヘッダ部(入力データ列)を予め記憶しているユニークワードA(検出用データ列)と比較し、不一致度(ビットエラーレート)を検出する。このとき、ビットエラー検出部1015は、入力データ列をシフトレジスタにより1ビットずつ送っていき、その都度、検出用データ列と比較して一致度を確認する。
【0049】
上段に示すように、当初は、入力データ列のうちプリアンブルのデータが検出用データ系列と比較されるので、不一致ビットが極端に多くビットエラーレートは高くなる。アンテナスイッチ制御部1016は、ビットエラー検出部1015によって検出されたビットエラーレートと所定の閾値と比較することにより、検出用データ列と比較された入力データ列がユニークワードAであるかを判断する。ここで、閾値の値は、ユニークワードAが64ビットである場合は、一例として8ビット程度と設定する。入力データ列が図中左側に繰り返してずらされ、図11の中段に示す状態を経て、図11の下段に示す状態となる。すると、入力データ列のユニークワードの先頭ビットが検出用データ列の先頭ビットと一致し、通信状態が完全であれば不一致ビットはゼロとなる。また、受信電力の低下などによりユニークワードに数個のエラービットが発生した場合は、数個の不一致ビットが計数されることになる。一方、ビットエラーレートが閾値未満であれば、入力データ列のユニークワードAと検出用データ列のユニークワードAの相関がとれ、ユニークワードAが検出されたと判断できる。従って、アンテナスイッチ制御部1016は、このときのビットエラーレートを第1のアンテナ41に対応するユニークワードAのビットエラーレートとして記憶する。
【0050】
図11の下段に示す状態で検出したビットエラーレートは、送受信装置1002とダイバーシチ受信装置1003との間の通信状態の良否を示している。従って、アンテナスイッチ制御部1016は、記憶したユニークワードAのビットエラーレートとユニークワードBのビットエラーレートとを比較することにより、通信状態が良好なアンテナを選択することができる。
【0051】
以上のように、本実施の形態の配電システムで用いられる計測ユニットのダイバーシチ通信システムによれば、パケットに含まれるヘッダ部の第1ユニークワードA、B毎に検出したビットエラーレートを比較して、パケット毎にビットエラーレートの小さい第1のアンテナ41又は第2のアンテナ42を選択してペイロード部のデータを送受信する。これにより、単に送受信電力を比較して第1及び第2のアンテナ41、42を選択する構成よりも精度の高い第1及び第2のアンテナ41、42の選択を実現でき、無線通信の信頼性を高めることが可能となる。また、第1ユニークワードA、Bについて検出したビットエラーレートに基づいて第1及び第2のアンテナ41、42を選択し、第2ユニークワードCを用いてペイロード部のデータの先頭を検出できるので、通信に最適な第1のアンテナ41又は第2のアンテナ42を選択しつつ、ペイロード部のデータをより確実に送受信できるようになる。
【0052】
図12はこのようにして2つのアンテナの切り替えにより得られたアンテナ指向性の比較図であり、aは第1のアンテナ41、bは第2のアンテナ42、cはダイバーシチ動作を行った結果を示す。ダイバーシチ動作の結果、指向性が大幅に改善されていることがわかる。
【0053】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態の配電システムでは、図13(a)および(b)に模式図を示すように、主幹ブレーカ20は、分電盤10の中央部に配置され、計測ユニット40は、分電盤10の容器11の内壁に配置されるようにしたことを特徴とする。本実施の形態では、容器11の背面の内壁に計測ユニット40が配されており、配線ケーブル83のうちCTケーブルを構成する配線ケーブル83Cは壁側に導出されている。なお計測ユニット40は、前記実施の形態1と同様、CTセンサ43Sを備え、ユニット本体43を構成するプリント基板に、上記第1及び第2のアンテナ41,42が配設されてなるものである。図13(b)は図13(a)のA−A断面図である。なお要部についてのみ示し、他は省略しており、分電盤10の容器11内には前記実施の形態1と同様種々の要素部品が装着されているものとする。
【0054】
この構成によれば計測ユニットの第1及び第2のアンテナ41,42から最大限に距離を離間させることができる。Waは壁面であり、新築家屋では家屋の壁面内部に配線ケーブルを導出することができるため、外観性がきわめて良好となる。また既存家屋の場合でも、容器11に切り欠きを設け容器内を這わせるようにすればよい。
そして、最も大電流の流れる引き込み主幹B1に接続される主幹ブレーカ20を中央部に配置し、平面方向でも深さ方向でも引き込み主幹B1との電磁結合の影響を受けないように、引き込み主幹と離間して、容器11の内壁に計測ユニット40が設けられる。
【0055】
図示は省略するが、他部については前記実施の形態1の配電システムと同様に形成される。
【0056】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態では、配電システムに用いられる計測ユニットのCTケーブルの導出位置を変更したものについて説明する。本実施の形態の計測ユニットは、図14に模式図を示すように、配線ケーブル83のうちCTケーブルを構成する配線ケーブル83Cに接続するコネクタ84を計測ユニット40の側面に形成し、アンテナ41,42から離間させたものである。内部構造については前記実施の形態1の計測ユニットと同様であるが、本実施の形態では、ケース本体44aと蓋体44bとで構成されるユニットケース44に収納されている。なお本実施の形態の計測ユニット40においても、前記実施の形態1と同様CTセンサ43Sを備え、ユニット本体43を構成するプリント基板に、上記第1及び第2のアンテナ41,42が配設されている。
【0057】
上記構成によれば、計測ユニットの第1及び第2のアンテナ41,42から配線ケーブル83までの距離を最大限に大きくとることができる。
【0058】
図示は省略するが、本実施の形態においても、他部については前記実施の形態1の配電システムと同様に形成する。
なお、本実施の形態では、ユニットケース44内に収納された計測ユニットについて説明したが、この計測ユニットは、分電盤外の所望の位置に配設することができる。なお、そのまま分電盤の容器11内に設置してもよいし、ユニットケース44をはずして内部構造体のみ分電盤の容器11内に配置してもよい。
【0059】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施の形態では、配電システムに用いられる計測ユニットのCTケーブルの導出位置を変更したものについて説明する。本実施の形態の計測ユニットの模式図を、図15に示す。本実施の形態の計測ユニットは、計測ユニット40の表面であって、第1及び第2のアンテナ41,42の真ん中付近に位置するように、配線ケーブル83のうちCTケーブルを構成する配線ケーブル83Cに接続するコネクタ84を配置したものである。なお本実施の形態の計測ユニット40においても、前記実施の形態1と同様CTセンサ43Sを備え、ユニット本体43を構成するプリント基板に、上記第1及び第2のアンテナ41,42が配設されている。
【0060】
上記構成によっても、計測ユニットの第1及び第2のアンテナ41,42から配線ケーブル83までの距離を離間させることができる。
他部については前記実施の形態3の計測ユニットと同様に形成する。
【0061】
なお、以上実施の形態で説明してきた配電システムは、交流電力源の交流配電路である引き込み主幹B1を介して交流負荷機器に交流電力を配電する交流用の分電盤10を備えているが、直流用の分電盤を並設してもよい。この直流用の分電盤は、直流負荷用配電路を介して直流負荷機器に直流電力を配電する直流配電装置を構成する。分電盤10は、商用電源またはパワーコントローラから供給される交流電力を分岐して配電路である分枝配線Bnに交流電力を出力する。
【0062】
(実施の形態5)
本実施の形態の配電システムは、太陽光発電装置(以下太陽電池)及び蓄電池を備え、交流電力と直流電力を配電可能としたハイブリッド配電システムにも適用可能である。
本実施の形態1の配電システムの変形例である、実施の形態5の配電システムについて図16に示す模式図を参照しつつ説明する。本実施の形態5の配電システムは、分電盤10と引き込み主幹B1から供給される交流電力源としての商用電源以外の電力源である太陽電池50、蓄電池60との接続を行っている。そしてこの分電盤10は交流電力源から主幹ブレーカ20を介して供給される電力を、分岐用ブレーカ30を介して負荷機器に供給する。計測ユニット40については前記実施の形態1と同様であり、無線通信により計測データ等のやり取りが管理装置(図示せず)との間でなされるようになっている。
【0063】
そして、主幹ブレーカ20は、分電盤10のほぼ中央部に配置されており、計測ユニット40は、分電盤10の容器11の内壁に配置されている。
この構成によれば、最も大電流の流れる引き込み主幹B1に接続される主幹ブレーカ20を中央部に配置し、引き込み主幹B1との電磁結合の影響を受けないように、引き込み主幹と離間して、容器11の内壁に計測ユニット40が設けられる。
【0064】
太陽電池50は、太陽電池(PV)パネル51と、DC/ACコンバータを備えたパワーコントローラ52とで構成され、このパワーコントローラ52が分電盤10に接続されている。
また蓄電池60は、蓄電池本体61と、蓄電池本体61を制御するコントローラ62とで構成され、分電盤10に配置されている。
【0065】
また、蓄電池60も、分電盤10に接続されている。なお、蓄電池60も通常、図示しないDC/ACコンバータ(蓄電池用コンバータ)を介して分電盤10に接続される。また、いずれも保護回路としてのプロテクタを介して分電盤10の分岐配線Bnに接続される。
【0066】
また、管理装置200では、計測ユニット40によって得られた計測データを無線により受信し、パネルに表示するとともに、音声信号を出力できるようになっている。この構成により、充電、発電及び消費がわかり易くなる。
【0067】
このように、本実施の形態の配電システムでは、分電盤10の容器11内に、DC/DCコンバータと、AC/DCコンバータと、蓄電池と、蓄電池に接続されたDC/DCコンバータとが収納されている。DC/DCコンバータは直流電力源である太陽光発電装置に接続される。また、AC/DCコンバータは、交流電力源である商用電源に接続される。そして、計測ユニットは、配線ケーブルを介して直流電力源、交流電力源、および蓄電池の電力を計測可能であり、管理装置が計測ユニットの計測データを測定可能である。
【0068】
配電システムの直流電力源としては、太陽電池50と蓄電池60とを備えている。ここで蓄電池60は、直流用の分電盤(図示せず)に装着されているが、付加電源として用いることも可能である。太陽電池パネル51は、太陽光を受光して光電変換することで発電を行い、直流電力を出力するもので、直流発電設備の一例としての太陽光発電装置を構成している。そしてこの直流電力を交流に変換して交流電力として出力される。蓄電池は、直流電力の蓄電及び蓄電した直流電力の出力が可能な二次電池により構成される。分電盤10は、入力端に太陽電池、商用電源などが接続され、出力端に負荷用配電路が接続されている。
【0069】
なお、パワーコンディショナを含むパワーコントローラ52は、太陽電池パネル51から出力される直流電力を交流電力源の位相に同期した交流電力に変換して出力するとともに、変換された交流電力を商用電源に逆潮流する。太陽電池用コンバータは、DC−DCコンバータを有して構成され、太陽電池パネル51から出力される直流電力を所望の電圧レベルに変換して出力する。蓄電池60は蓄電池用コンバータなどDC−DCコンバータを含むーコントローラ62を有して構成され、蓄電池本体61から出力される直流電力を所望の電圧レベルに変換して出力する一方で蓄電池本体61の充電を行う。
【0070】
パワーコントローラ52は、昇圧チョッパ回路(図示せず)、インバータ(図示せず)、インバータ制御回路(図示せず)、系統連系保護装置などを有している。昇圧チョッパ回路は太陽電池パネル51の直流出力を昇圧する。インバータは、((図示せず)、昇圧チョッパ回路で昇圧された直流出力を交流電力系統ACの位相に同期した正弦波の交流出力に変換する。インバータ制御回路はインバータを制御することで交流出力を調整する。
【0071】
分電盤10は、いわゆる住宅用分電盤(住宅盤)と同様に、扉付のボックス内に1次側が商用電源に接続された主幹ブレーカ(図示せず)、及び主幹ブレーカの2次側に接続された導電バー(図示せず)に分岐接続された複数の分岐ブレーカ等が収納される。さらに、交流用の分電盤内にパワーコントローラ52の出力線が引き込まれ、ボックス内においてパワーコントローラ52の出力線が商用電源に並列接続されている。また、分岐ブレーカの2次側に交流用の配電路が接続され、この交流用の配電路を介して宅内の交流負荷機器に交流電力が供給される。
【0072】
分電盤10が、直流用配電路を備えている場合には商用電源の出力が、引き込まれるとともに、太陽電池50の出力が引き込まれ、それぞれ、AC/DCコンバータおよび太陽電池用のDC/DCコンバータを介して直流負荷機器に直流電力が供給される。
【0073】
太陽電池用のパワーコントローラはDC/DCコンバータを有している。DC/DCコンバータは、例えばスイッチングレギュレータ等により構成され、定電圧制御方式によって、太陽電池パネル51及び蓄電池本体61から出力される直流電力の電圧レベルを所望の電圧レベルに変換する。定電圧制御方式は、出力電圧を検出するとともに検出した出力電圧が目標電圧と一致するように出力電圧を増減する制御(フィードバック制御)を行うものである。AC−DCコンバータは、例えばスイッチングレギュレータ、インバータ等により構成される。そしてAC−DCコンバータは、交流電圧を直流電圧に整流し、フィードバック制御により出力電圧の定電圧制御を行うことによって、分電盤10により出力される交流電力から所望の電圧レベルの直流電力に変換する。太陽電池用DC/DCコンバータ、蓄電池用のコントローラ、AC−DCコンバータの各出力端は並列接続され、電流ヒューズからなるプロテクタを介して直流負荷用配電路等の分岐配線と接続される。また、この直流負荷用配電路には必要に応じて更に外付けの保護回路(図示せず)が設けられる。そして、太陽電池用、蓄電池用、AC−DCコンバータの各出力用コンバータでそれぞれ所望の電圧レベルに変換された直流電力のうち、いずれかの直流電力が直流負荷用の配電路を介して直流負荷機器に供給される。
【0074】
管理装置200は、制御部を有しており、マイクロコンピュータ等を有してなる情報処理装置により構成され、各部の動作制御を司る。制御部は、太陽電池用コンバータ、蓄電池用コンバータ、AC−DCコンバータの各コンバータの動作のON/OFF制御、並びに出力電圧制御を行うとともに、表示部(図示せず)の表示制御を行う。表示部は、液晶表示装置等により構成され、制御部の指示に基づき、文字、数字、画像等によって分電盤の動作状態等の各種情報を示す表示を行う。また操作部を有しており、この操作部を介して、運転、異常の状況、各計測項目、異常履歴の表示、時計の設定などをおこなうことができる。また、異常履歴には異常がおこる直前の太陽電池電圧、蓄電池電圧、交流電圧、出力電力および異常発生時刻を同時に保存することができる。更にまた、操作部としては、分電盤に取り付けたものだけでなく、遠隔操作部(リモコンや家庭内のパソコン)を用い、PLC(電力線通信)用端子等を介して上記設定を行うようにしてもよい。
【0075】
ここでパワーコントローラ52は、一般的な太陽光発電電力の逆潮流機能のほか、夜間の蓄電池充電機能,昼間の蓄電池放電機能(逆潮流防止)を備えていることもあり、太陽光発電電力と夜間電力の双方を有効に利用することができる。
【0076】
なお、蓄電池からの放電電力は系統への逆潮流が認められていないため,負荷の使用状況に合わせて放電電力を変化させる必要がある。例えば、系統の受電点に取り付けられた受電電力検出ユニットにより系統に流れる電力を検出し、蓄電池からの逆潮流が発生しないように逆潮流防止制御をおこなう。
【0077】
なお、蓄電池用のDC/DCコンバータ等のコントローラ62は、コネクタ接続によって蓄電池本体61と接続可能に構成することで、外部の蓄電池との接続を行う場合にも、着脱が容易である。また、蓄電池の劣化や、能力アップ等により取り換えが必要な場合にも、蓄電池本体61および蓄電池用のコントローラ62を着脱自在に構成すれば、メンテナンスが容易となる。
【0078】
また、誤接続を回避するために、端子台の形状または色、各配線路の色のいずれかが相互に識別可能に構成されるのが望ましい。形状を変えて、誤接続の場合は、相互に結線できないようにするとなお安全である。
【符号の説明】
【0079】
10 分電盤
11 容器
12 分電盤本体
13 端子台
14 固定端子部
141 上部固定端子部
142 下部固定端子部
15 切り欠き部
20 主幹ブレーカ
21 リミッタ
30 分岐用ブレーカ
40 計測ユニット
41 第1のアンテナ
42 第2のアンテナ
43 ユニット本体
43S CTセンサ
44 ユニットケース
44a ケース本体
44b 蓋体
50 太陽電池
51 太陽電池パネル
52 パワーコントローラ
60 蓄電池
61 蓄電池本体
62 コントローラ
80 配線部
81 アース線(配線ケーブル)
82 係止固定部
83 配線ケーブル
83C CTケーブルを構成する配線ケーブル
100 分電盤装置
200 管理装置
201 モニタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測すべき電力線に接続する配線ケーブルと、
前記配線ケーブルを介して入力される電力を計測するセンサ部と、
複数の指向性をもつアンテナ部を備え、計測データを、管理装置に無線で送信する送信部とを備えた計測ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の計測ユニットであって、
前記アンテナ部は、第1の方向に指向性をもつ第1のアンテナと、
前記第1の方向にほぼ垂直な第2の方向に指向性をもつ第2のアンテナと、
を備えた計測ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の計測ユニットと、
交流電力源に接続された引き込み主幹と、
前記引き込み主幹から供給される前記交流電力源からの電力を負荷機器に配電する配電部と、
前記配電部と前記負荷機器および前記交流電力源を接続する配線ケーブルと、
前記引き込み主幹と前記配電部と前記配線ケーブルとを収納する容器と、
を備えた分電盤と、
分電盤外に設けられた管理装置と、を備えた配電システム。
【請求項4】
請求項3に記載の配電システムであって、
前記計測ユニットは前記容器内に配設され、
前記配線ケーブルは、前記分電盤内壁に設けられた係止部で係止され、前記アンテナとの間での電磁結合を抑制するように構成された配電システム。
【請求項5】
請求項4に記載の配電システムであって、
前記配線ケーブルのうち、アース線が、前記分電盤の前記容器内壁に設けられた係止固定部で固定された配電システム。
【請求項6】
請求項5に記載の配電システムであって、
前記分電盤は、上部端子台と下部端子台からなる、上下2列の端子台を備え、
前記上部端子台と前記下部端子台は、前記容器内壁の上部に設けられた上部係止固定部と、前記容器内壁の下部に設けられた下部係止固定部とを介して前記容器の側部内壁に沿うように配置された配電システム。
【請求項7】
請求項5に記載の配電システムであって、
前記配線ケーブルのうち、アース線を構成するケーブルは、前記計測ユニットの配置位置から遠ざかる位置に導出された配電システム。
【請求項8】
請求項4または5に記載の配電システムであって、
前記センサ部はCTセンサを有し、
前記配線ケーブルは、前記計測ユニットの前記CTセンサに接続されるCTケーブルであって、
前記CTケーブルが前記容器内壁に沿うように固定された配電システム。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれか1項に記載の配電システムであって、
前記容器内に
直流電力源である前記太陽光発電装置に接続されるDC/DCコンバータと、
交流電力源である前記商用電源に接続されるAC/DCコンバータと、
蓄電池と、前記蓄電池に接続されたDC/DCコンバータとが収納されており、
前記計測ユニットは、前記ケーブルを介して前記直流電力源、前記交流電力源、および前記蓄電池の電力を計測可能であり、
前記管理装置が前記計測ユニットの計測データを測定可能である配電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−227785(P2012−227785A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94319(P2011−94319)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(505155012)パナソニックエコソリューションズ電路株式会社 (140)
【Fターム(参考)】