説明

計測装置、及び計測方法

【課題】物体のサイズを簡易かつ迅速に計測することである。
【解決手段】計測装置10は、超音波センサ111と、加速度センサ112と、地磁気センサ113と、算出部13とを有する。超音波センサ111は、所定の測定点と、当該測定点を通過する直線と面との交点との距離を測定する。加速度センサ112と、地磁気センサ113とは、上記測定点と上記交点とにより形成される角度を算出する。算出部13は、測定された上記距離、または、算出された上記角度を用いて、物体を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置、及び計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波センサや光学式距離センサを用いて、センサから物体までの距離を計測することにより、物体の縦、横、高さのサイズを測定する技術がある。このような技術が適用された装置のうち、直方体の各辺を測定する技術として、例えば、物体の対角長の2点間をワイヤで測定し、高さを超音波センサで測定すると共に、対角線と壁面とのなす角度をワイヤと壁面との角度から算出するものがある。また、例えば、楕円周を測定する技術として、光学式距離センサがアレイ状に複数配設された枠を用いて、楕円の長径と短径とを測定し、楕円の外周長、及び断面積を測定するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−331342号公報
【特許文献2】特開2005−315820号公報
【特許文献3】特開2008−145321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術のうち、直方体の各辺を測定する技術においては、測定に際しての手間が多く掛かる上に、測定可能な物体のサイズは、上記ワイヤを張ることのできるサイズに制限される。したがって、ユーザの手の届かない場所にはワイヤを張ることができず測定することができない、あるいは、測定することができても、ワイヤを張るのに複数人が必要になる等の不都合が生じ得る。また、楕円周を測定する技術においては、測定に際しての手間が多い上に、光学式距離センサがアレイ状に複数配設された枠、及び、多数の光学式距離センサが少なくとも必要となる。これに伴い、装置を構成するためのコストが増大すると共に、測定可能な楕円の大きさにも制限が生じることとなる。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、物体のサイズを簡易かつ迅速に計測することのできる計測装置、及び計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本願の開示する計測装置は、一つの態様において、測定部と、算出部と、計測部とを有する。測定部は、所定の測定点と、当該測定点を通過する直線と面との交点との距離を測定する。算出部は、前記測定点と前記交点とにより形成される角度を算出する。計測部は、測定された前記距離、または、算出された前記角度を用いて、物体を計測する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する計測装置の一つの態様によれば、物体のサイズを簡易かつ迅速に計測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、計測装置の機能的構成を示す図である。
【図2】図2は、計測装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図3は、計測処理の前提となる動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、超音波センサを用いた距離算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は、直方体計測モードにおける、3軸と測定点、交点、及び各辺との関係を示す図である。
【図6】図6は、直方体計測モードにおける計測処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、身体周計測モードにおける、3軸と測定点、交点、及び身体周との関係を示す図である。
【図8】図8は、身体周計測モードにおける計測処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、距離MTの測定処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、距離MUの測定処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、計測プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図12】図12は、身体周補正テーブルにおけるデータ格納例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する計測装置、及び計測方法の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する計測装置、及び計測方法が限定されるものではない。
【0010】
以下、本願の開示する計測装置の実施例について、図面を参照しながら説明する。まず、本願の開示する一実施例に係る計測装置の構成を説明する。図1は、本実施例に係る計測装置10の機能的構成を示す図である。図1に示すように、計測装置10は、センサ部11と、サンプリング処理部12と、算出部13と、アプリケーション処理部14とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
【0011】
センサ部11は、超音波センサ111と加速度センサ112と地磁気センサ113とを有する。超音波センサ111は、所定周波数(例えば、10〜50kHz程度)の超音波を、所定パルス分、直線方向に周期的に照射し、物体から反射した超音波を受信する非接触型のセンサである。加速度センサ112は、周知慣用のセンサであることから詳細な説明は省略するが、互いに直交する3軸(x軸、y軸、z軸)方向の加速度を検知し、その結果に基づき、重力加速度方向を算出する。地磁気センサ113は、周知慣用のセンサであることから詳細な説明は省略するが、計測装置10を横切る地磁気線の数の変化を検知し、磁束密度に基づき、磁場の大きさ及び方向を算出する。
【0012】
サンプリング処理部12は、センサ部11が検知した情報(例えば、超音波の往復所要時間、3軸方向の加速度値、3軸方向の地磁気値)を周期的にサンプリングし、その値を算出部13に出力する。サンプリングの周期は、距離の測定及び角度の算出を高精度に行う観点から、例えば20ms以下であることが好ましい。
【0013】
算出部13は、超音波センサ111により得られた超音波の往復所要時間を用いて、計測装置10から壁面等の対象物までの距離を算出する。また、算出部13は、加速度センサ112により得られた3軸方向の加速度値と、地磁気センサ113により得られた3軸方向の地磁気値とを用いて、計測装置10の設置位置(後述の測定点)を含む3点の為す角度を算出する。
【0014】
アプリケーション処理部14は、ユーザからの指示入力に従い、直方体計測モード、身体周計測モードの内、何れかの計測モードを選択し、選択結果を算出部13に通知する。また、アプリケーション処理部14は、算出部13による直方体及び身体周の計測結果を、表示装置に表示させる。
【0015】
なお、上述した計測装置10は、物理的には、例えば携帯電話によって実現される。図2は、計測装置10としての携帯電話のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、計測装置10は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)10aと、非接触型センサ10bと、メモリ10cと、表示装置10dと、アンテナAを有する無線回路10eとを有する。センサ部11は、上述したように、超音波センサや加速度センサ、地磁気センサ等の非接触型センサ10bにより実現される。サンプリング処理部12、算出部13、アプリケーション処理部14は、例えばCPU10a等の集積回路によって実現される。また、センシング結果、加速度等の算出結果、直方体、身体周の測定結果は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のメモリ10cに保持される。直方体、身体周の測定結果は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置10dに表示される。
【0016】
次に、計測装置10の動作を説明する。動作説明の前提として、計測装置10は、センサ部11により物体を測定可能な位置(例えば、直方体近傍や胴体近傍)に設置される。
【0017】
図3は、計測装置10の動作を説明するためのフローチャートである。ユーザが、計測装置10の計測用アプリケーションを起動すると(S1)、計測装置10は、ユーザによる計測モードの選択を待機する。計測装置10は、ユーザからの指示入力に従い、計測モードを選択すると(S2)、サンプリング処理部12によるサンプリングを開始する。サンプリング処理は、センサ部11を構成する各センサから入力される情報を基に、周期的に実行される。すなわち、サンプリング処理部12は、超音波センサ111によるセンシング結果(S3)、加速度センサ112によるセンシング結果(S4)、地磁気センサ113によるセンシング結果(S5)を、それぞれ周期的にサンプリングする。
【0018】
S6では、算出部13は、S4で取得された、加速度のサンプリング値から、重力加速度方向を算出する。すなわち、算出部13は、サンプリングされた3軸(x軸、y軸、z軸)方向の加速度を、各軸方向について、サンプリング数で平均化する。その算出結果をAx、Ay、Azとすると、重力加速度方向は、極座標を用いて、下記算定式(1)〜(3)により算出される。
【0019】
cosθ=Az/√(Ax*Ax+Ay*Ay+Az*Az)・・・(1)
cosφ=Ax/√(Ax*Ax+Ay*Ay)・・・(2)
sinφ=Ay/√(Ax*Ax+Ay*Ay)・・・(3)
【0020】
S7では、算出部13は、S6で算出された重力加速度方向と、S5で取得された、地磁気センサ113によるサンプリング値とから、ロール、ピッチ、ヨーの角度を算出する。ロール、ピッチ、ヨーは、それぞれx軸、y軸、z軸を中心軸とする回転角度として定義される。続いて、算出部13は、S3で取得された、超音波センサ111によるサンプリング値から、計測装置10から対象物(例えば、壁面)までの距離を算出する(S8)。S9では、アプリケーション処理部14は、S2で選択された計測モードが、直方体計測モードと身体周計測モードとの内、何れのモードであるかの判定を行い、当該判定結果に基づき、それぞれのモードに応じた処理の実行を開始する。
【0021】
図4は、S8で実行される、超音波センサ111を用いた距離算出処理を説明するためのフローチャートである。超音波センサ111は、所定周波数(例えば、100KHz)の超音波パルスを生成すると(S81)、この超音波パルスを対象物(例えば、壁面)に向けて照射する(S82)。超音波センサ111は、対象物からの反射波をセンシングすると(S83)、その旨を算出部13に通知する。S84では、算出部13は、S81におけるパルスの生成時から反射波の到達時までの時間を、超音波パルスの往復時間として算出する。次に、算出部13は、当該往復時間を、超音波の伝搬速度に乗算して、往復距離を算出後、算出結果を2で除算することにより、計測装置10から対象物までの距離を算出する(S85)。
【0022】
(直方体計測モードでの動作)
以下、図5、図6を参照しながら、直方体計測モードにおける計測処理について説明する。図5は、直方体計測モードにおける、3軸と測定点、交点、及び各辺との関係を示す図である。図5に示すように、直方体Wの計測は、その計測対象となる物体が少なくとも1つの壁面(yz平面)に接した状態で行われるが、必ずしも物体自体が実際に置かれている必要はない。図5において、∠RPSをピッチ角αとし、∠RQSをロール角βとし、∠SOQをヨー角γとする。計測装置10は、設置位置である測定点Oと、測定点Oからの超音波パルスと各壁面との交点Q、Rとから、直方体Wの縦OQ、横SQ、高さSRを算出する。
【0023】
図6は、直方体計測モードにおける計測処理を説明するためのフローチャートである。T1では、ユーザが、測定点Oに計測装置10を設置し、xyz軸の交点である点Qに向けて、超音波パルスを照射するためのボタンを押下する。T2では、計測装置10は、超音波センサ111及び算出部13により、図3のS8に示したように、測定点Oから、x軸方向の超音波パルスと壁面との交点Qまでの距離OQを測定する。T3では、T1と同様、ユーザが、測定点Oに計測装置10を設置し、yz平面上の所望の点Rに向けて、超音波パルスを照射するためのボタンを押下する。
【0024】
T4では、計測装置10は、T3でボタンが押下された時の距離ORと、上記ピッチ角α、ロール角β、ヨー角γとを測定する。すなわち、計測装置10は、T2と同様に、超音波センサ111及び算出部13により、測定点Oから、超音波パルスと壁面との交点Rまでの距離ORを測定する。次に、計測装置10は、図3のS4〜S7に示したように、加速度センサ112、地磁気センサ113、及び算出部13により、ピッチ角α、ロール角β、ヨー角γをそれぞれ算出する。そして、算出部13は、T2で測定された距離OQと、T4で算出されたピッチ角α、ヨー角γとを用いて、直方体Wの辺(縦OQ、横SQ、高さSR)の長さを算出する(T5)。算出部13は、OQ×tanγによりSQの値を算出し、OQ×tanαによりSRの値を算出する。
【0025】
(身体周計測モードでの動作)
続いて、図7〜図9を参照しながら、身体周計測モードにおける計測処理について説明する。動作説明の前提として、本実施例では、計測装置10は、身体周が楕円であると仮定し、楕円の円周を算出することで身体周の計測を行う。
【0026】
図7は、3軸と測定点M、交点T、U、及び身体周Cとの関係を示す図である。図7に示すように、身体周の計測は、その計測対象となる人のウエスト部分を、L字型の2つの壁面(xz平面、yz平面)に押し当てた状態で行われる。計測装置10は、設置位置である測定点Mと、測定点Mからの超音波パルスと各壁面との交点T、Uとから、腹囲としての身体周Cを算出する。
【0027】
図8は、身体周計測モードにおける計測処理を説明するためのフローチャートである。U1では、計測装置10は、超音波センサ111及び算出部13により、図3のS8に示したように、測定点Mから、y軸方向の超音波パルスと壁面との交点Tまでの距離MTを測定する。図9は、距離MTの測定処理を説明するためのフローチャートである。U11では、ユーザは、測定点Mに位置する計測装置10の超音波センサ111の照射方向を、交点Tの方向に向ける。U12では、ユーザは、壁面に照射された超音波パルスを、交点Tを中心として、左右のヨー方向(z軸の回転方向)に数度スイングさせる。U13では、算出部13は、図3のS3で周期的にサンプリングされた、各時刻における距離情報を参照し、距離の変化が最大値をとる時刻における2つの距離のうち、長い距離の値を特定し、その距離を距離MTとする。図8に戻り、U1では更に、算出部13は、距離MTを2で除算し、算出結果をaとする。a(=MT/2)の値は、メモリ10cに記憶される。
【0028】
U2では、計測装置10は、ヨー角を90°として、U1と同様に、測定点Mから、x軸方向の超音波パルスと壁面との交点Uまでの距離MUを測定する。図10は、距離MUの測定処理を説明するためのフローチャートである。図10は、測定点Mからの超音波パルスと壁面との交点が交点Uである点を除き、上述の図9と同様である。したがって、共通するステップには、末尾が同一の参照符号を付すと共に、その詳細な説明は省略する。具体的には、図10のステップU21〜U23は、図9に示したステップU11〜U13にそれぞれ対応する。U2においてもU1と同様、算出部13は、距離MUを2で除算し、算出結果をbとする。b(=MU/2)の値は、メモリ10cに記憶される。
【0029】
ここで、U1、U2において、計測装置10が測定点Mの位置を決定する手法としては、ユーザによるボタン等の押下操作を待って手動で決定してもよいし、装置が測定点Mの位置を自動的に決定するものとしてもよい。また、測定点Mが、正確な計測が可能な位置に決定されているか否かを確認する手法としては、例えば、以下に示す手法がある。第1に、超音波センサ111が、超音波パルスの戻り具合から、測定点Mの正否を判定する。すなわち、超音波センサ111が、壁面に向けて照射した超音波に対する反射波の比率を監視し、この比率が所定の閾値(例えば95%)以上であれば、測定点Mは、正確な計測が可能な位置に決定されているものと判定する。第2に、算出部13が、距離MTと距離MUとの大小関係を比較し、MU>MTの関係にあれば、測定点Mは、正確な計測が可能な位置に決定されているものと推定する。第3に、計測装置10がレーザポインタを設ける手法がある。すなわち、計測装置10が、超音波センサ111による超音波の進行方向と同一方向に、赤色レーザポインタを照射すると共に、測定点Mを内側から外側に向かう方向に徐々に移動させ、壁面に赤色のポインタが投影された時点の位置を、測定点Mとする。かかる態様では、レーザポインタの照射は、MT方向、MU方向に対してそれぞれ別々に行ってもよいし、これら両方向への照射を同時に行ってもよい。
【0030】
U3では、算出部13は、メモリ10cから上記a、bの値を取得し、所定の算定式に代入することにより、身体周Cを算出する。短径がMT、長径がMUである楕円を想定すると、算定式としては、例えば、楕円周の近似式である下記算定式(4)を用いることができる。身体周Cの算出結果は、表示装置10dに表示される。
【0031】
身体周C=π〔3(a+b)−√{10ab+3(a*a+b*b)}〕・・・(4)
【0032】
なお、U3では、計測装置10は、身体周Cに加えて、πabにより楕円面積を算出及び表示するものとしてもよい。これにより、ユーザは、自己のウエスト周りだけでなく、腹部の断面積を容易に知ることができる。
【0033】
以上説明したように、本実施例に係る計測装置10によれば、超音波センサ111と、加速度センサ112と、地磁気センサ113と、算出部13とを有する。超音波センサ111は、所定の測定点と、当該測定点を通過する直線と面(壁面)との交点との距離を測定する。加速度センサ112と、地磁気センサ113とは、上記測定点と上記交点とにより形成される角度を算出する。算出部13は、測定された上記距離、または、算出された上記角度を用いて、物体を計測する。
【0034】
特に、直方体計測モードにおいては、上記交点は、上記測定点(図5の点O)を通過する直線OQ、ORと壁面との複数の交点(図5の点Q、R)である。また、算出部13は、測定された距離(図5のOQ)と、算出された角度(図5のα、γ)とを用いて、直方体Wの辺OQ、SQ、SRの長さを計測する。一方、身体周計測モードにおいては、上記交点は、上記測定点(図7の点M)を通過する直線MT、MUと面との複数の交点(図7の点T、U)である。また、算出部13は、測定された距離(図7のMT、MU)を用いて、楕円の円周Cを計測する。
【0035】
本実施例に係る計測装置10によれば、ユーザは、所定の位置においてボタンを押下する等の簡易な操作で、直方体の各辺の長さや人の腹囲等、物体のサイズを迅速に計測することができる。計測装置10は、計測対象の物体との接触が無くとも、計測が可能である。これにより、計測装置10は、ユーザがメジャー等の計測手段を有していない場合、高くて手が届かない場所を計測する場合、あるいは、メジャー等を押さえる人手がない場合においても、物体のサイズの計測を可能とする。特に、直方体の計測に際しては、計測対象の実物が無くとも、計測は可能である。したがって、例えば、部屋に家具や家電を設置する空きスペースがどれだけ有るかを、購入前に予め確認する場合に、計測装置10の適用は、特に好適である。
【0036】
[計測プログラム]
また、上記実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図11を用いて、図1に示した計測装置10と同様の機能を有する計測プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
【0037】
図11は、計測プログラムを実行するコンピュータを示す図である。図11に示すように、コンピュータ100は、CPU110と、入力装置120と、モニタ130と、音声入出力装置140と、無線通信装置150と、超音波センサ160と、加速度センサ170と、地磁気センサ180とを有する。更に、コンピュータ100は、RAM190と、ハードディスク装置200等のデータ記憶装置とを有し、これらをバス210で接続して構成される。CPU110は、各種演算処理を実行する。入力装置120は、ユーザからのデータの入力を受け付ける。モニタ130は、各種情報を表示する。音声入出力装置140は、音声を入出力する。無線通信装置150は、無線通信を介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行う。超音波センサ160は、超音波パルスの反射波を検出する。加速度センサ170は、3軸方向の加速度を検出する。地磁気センサ180は、3軸方向の地磁気を検出する。RAM190は、各種情報を一時的に記憶する。
【0038】
そして、ハードディスク装置200には、図2に示したCPU10aと同様の機能を有する計測プログラム201が記憶される。また、ハードディスク装置200には、図2に示したメモリ10cに記憶される各種データ(センシング結果や、加速度、地磁気等のサンプリング値)に対応する計測処理関連データ202及び計測履歴ファイル203が記憶される。
【0039】
そして、CPU110が計測プログラム201をハードディスク装置200から読み出してRAM190に展開することにより、計測プログラム201は、計測プロセス191として機能するようになる。そして、計測プロセス191は、計測処理関連データ202から読み出した情報等を適宜RAM190上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開したデータ等に基づいて、各種データ処理を実行する。そして、計測プロセス191は、所定の情報を計測履歴ファイル203に出力する。
【0040】
なお、上記の計測プログラム201は、必ずしもハードディスク装置200に格納されている必要はなく、CD−ROM等の記憶媒体に記憶されたこのプログラムを、コンピュータ100が読み出して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等を介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータ(またはサーバ)等にこのプログラムを記憶させておいてもよい。この場合には、コンピュータ100がこれらからプログラムを読み出して実行する。
【0041】
なお、上記実施例では、身体周の形状を楕円と仮定して説明したが、人の体型には個人差があることから、楕円周は、実際の身体周(実測値)と必ずしも一致しない場合がある。かかる場合を想定し、アプリケーション処理部14は、更新可能な身体周換算テーブルを有することができる。そして、アプリケーション処理部14が、このテーブルを参照し、算出部13による身体周Cの算出結果を適宜補正するものとしてもよい。図12は、身体周Cの算出結果(推定値)を実測値に換算するための身体周補正テーブル141におけるデータ格納例を示す図である。図12に示すように、身体周補正テーブル141には、算出部13により算出される身体周Cの値が格納され、巻尺等を用いて予め採寸された腹囲の長さが「実測値」として、対応付けられている。例えば、身体周Cの値が“53cm”と算出された場合には、実際の腹囲の値は“51cm”に事前に設定されていることから、“約51cm”が表示対象として使用されるものとしてもよい。同様に、身体周Cの値が“77cm”と算出された場合には、事前に設定された、実際の腹囲の値は“74cm”であることから、この値がユーザに提示される。上述のように、算出部13により算出された身体周Cの値は、アプリケーション処理部14により、実測値に補正される。
【0042】
なお、身体周補正テーブル141に設定されている、身体周Cの値と実測値との対応関係は、巻尺等により採寸された実測の腹囲長に基づき更新可能である。すなわち、アプリケーション処理部14は、ユーザの特徴(体型や腹囲の形)あるいは身体周Cの算出精度等に応じて、身体周補正テーブル141における上記対応関係を適宜更新し、常に最新の状態を維持する。これにより、アプリケーション処理部14は、身体周補正テーブル141を参照した、実態に近い正確な身体周を基に、身体周の推定を行うことができる。したがって、計測装置10は、より高精度な計測結果を得ることが可能となる。その結果、計測装置10の信頼性が向上する。
【0043】
また、上記実施例では、計測装置10として、携帯電話を想定して説明したが、本発明は、これに限らず、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)は勿論、通信機能をもたない様々な電子機器に対しても、適用可能である。計測モードについても、計測装置10は、必ずしも、直方体計測モードと身体周計測モードとの双方を併せ持つ必要はなく、少なくとも一方のモードを有していればよい。
【0044】
更に、図1に示した計測装置10の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的態様は、図示のものに限らず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することもできる。例えば、センサ部11とサンプリング処理部12、あるいは、算出部13とアプリケーション処理部14をそれぞれ1つの構成要素として統合してもよい。特に、角度の算出に用いる、加速度センサ112と地磁気センサ113とは、ジャイロセンサによる代用が可能である。
【0045】
反対に、算出部13及びアプリケーション処理部14に関し、直方体計測モードにおいて機能する部分と、身体周計測モードにおいて機能する部分とに分散してもよい。また、算出部13に関しても、各モードにおいて、方向を算出する部分と、角度を算出する部分と、距離を算出する部分とに分散してもよい。特に、計測装置10が、照射方向が90°異なり同時照射の可能な2つの超音波センサを併せもつものとすれば、身体周計測モードにおいて、超音波センサ111の方向転換は不要となる。これにより、ユーザによる操作が軽減されると共に、より正確な距離の測定、ひいては身体周の計測が可能となる。また、メモリ10cを、計測装置10の外部装置として、ネットワークやケーブル経由で接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 計測装置
10a CPU
10b 非接触型センサ
10c メモリ
10d 表示装置
10e 無線回路
11 センサ部
111 超音波センサ
112 加速度センサ
113 地磁気センサ
12 サンプリング処理部
13 算出部
14 アプリケーション処理部
141 身体周補正テーブル
100 コンピュータ
110 CPU
120 入力装置
130 モニタ
140 音声入出力装置
150 無線通信装置
160 超音波センサ
170 加速度センサ
180 地磁気センサ
190 RAM
191 計測プロセス
200 ハードディスク装置
201 計測プログラム
202 計測処理関連データ
203 計測履歴ファイル
210 バス
C 身体周(楕円周)
M、O 測定点
P、Q、R、S、T、U 点
W 直方体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の測定点と、当該測定点を通過する直線と面との交点との距離を測定する測定部と、
前記測定点と前記交点とにより形成される角度を算出する算出部と、
測定された前記距離、または、算出された前記角度を用いて、物体を計測する計測部と
を有することを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記交点は、前記測定点を通過する直線と面との複数の交点であり、
前記計測部は、測定された前記距離と、算出された前記角度とを用いて、直方体の辺の長さを計測することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記交点は、前記測定点を通過する直線と面との複数の交点であり、
前記計測部は、測定された前記距離を用いて、楕円の円周を計測することを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項4】
計測装置が、
所定の測定点と、当該測定点を通過する直線と面との交点との距離を測定し、
前記測定点と前記交点とにより形成される角度を算出し、
測定された前記距離、または、算出された前記角度を用いて、物体を計測する
ことを特徴とする計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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