説明

計量容器

【課題】 簡単な構造で内容物である液体や粉体等の不定形体のものを、必要な量を容易に正確に計量して取り出すことができる計量容器を提供する。
【解決手段】 一端部に容器開口部14が形成された容器本体12と、容器開口部14に取り付けられる中栓18を有する。中栓18に設けられ容器本体12の容器開口部14を閉鎖する底板部20と、底板部20を貫通して形成された計量室入口30と、底板部20に設けられ計量室入口30の周囲の三方を囲み一方だけ開口する開口部が設けられたガイド部36を備える。中栓18に取り付けられて中栓18の開口を塞ぎ、底板部20との間で計量室45を形成する透明なカバー部材38と、カバー部材38を貫通して形成され中栓18の計量室入口30と対面しない位置に形成された取出口44を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体や液体等の不定形体のものを収容し、所望の量を計量して取り出す計量容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体や顆粒体等の不定形体のものを収容し、所望の量を計量して取り出す計量容器があった。このような計量容器は、粉体等を収容する容器本体と、容器本体の開口部に嵌合されこの開口部を閉鎖する仕切り壁と、仕切り壁の一部に設けられた投入口と、投入口に対向して取り付けられる計量容器と、計量容器の一部に設けられた取出口が設けられている。
【0003】
このような計量容器の使用方法は、まず、容器本体を倒立させて中栓の投入口から計量容器の中へ粉体等を注出する。次に容器本体を正立させて計量容器に粉体等を水平に堆積させて正確に計量し、形容容器に設けられた取出口を開けて容器本体を再び倒立させて計量した粉体等を取り出すものである。ここで、粉体等を取り出すために容器本体を倒立させたときに、中栓の投入口から粉体等が取出口に直接出てこないような構造をしている。
【特許文献1】特開平9−110063号公報
【特許文献2】特開平11−115960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の技術の場合、粉体等を計量するときと取り出すときの二回、容器本体を倒立させる回動動作を行わなければならず、操作が面倒であった。その他、二回容器本体を倒立させなくてもよいものもあるが、構造が複雑であったり、閉鎖部材を回転させたり摺動させたりする取り出し操作が必要で、操作が面倒であった。
【0005】
この発明は、前記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で内容物である液体や粉体等の不定形体のものを、必要な量を容易に正確に計量して取り出すことができる計量容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一端部に容器開口部が形成された容器本体と、前記容器開口部に取り付けられる中栓と、前記中栓に設けられ前記容器本体の前記容器開口部を閉鎖する底板部と、前記底板部を貫通して形成された計量室入口と、前記底板部に設けられ前記計量室入口の周囲の少なくとも三方を囲み一方に開口する開口部が設けられたガイド部と、前記中栓に取り付けられて前記中栓の上方空間を塞ぎ前記底板部との間で計量室を形成する透明なカバー部材と、前記カバー部材を貫通して形成され前記中栓の前記計量室入口と対面しない位置に形成された取出口が設けられ、前記取出口が上になる向きで前記容器本体を傾けて前記計量室入口から必要量の内容物を前記カバー部材内側の前記計量室へ貯留し、前記取出口が下になるように前記容器本体の向きを、前記傾斜状態のままで前記容器本体の中心軸回りに回動させることで、計量した内容物を前記取出口から取り出し、前記取出口が下になるときは前記計量室入口を囲む前記ガイド部は、前記開口部が略上向きとなるように配置されている計量容器である。
【0007】
前記計量室入口を囲む前記ガイド部は、前記底板部から離れた先端部が前記計量室入口に対向する天面で閉鎖された天面付導入部に連続し、前記ガイド部の開口部の両脇に連続し前記開口部の開口方向に沿って設けられた一対の板状の部材から成るものである。
【0008】
前記計量室入口は、前記ガイド部の前記開口部に向かって長細い形状である。また、前記計量室には、前記計量室へ貯留した内容物を計量するための目盛りが設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の計量容器は、簡単な構造で内容物である液体や粉体等の不定形体のものを、必要な量だけ簡単な操作で正確に計量して取り出すことができるものである。これにより、粉体や流体から成る材料の取り扱い性が向上し、例えば料理や洗濯、その他の家事作業や、作業現場等での作業効率が大幅に向上するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1、図2はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の計量容器10は、有底の容器本体12を備え、容器本体12の上端部には、円筒状の容器開口部14が一体に形成されている。容器開口部14の外周面には、雄ネジ16が形成されている。そして、容器開口部14の先端部14aには、計量器となる中栓18が取り付けられている。
【0011】
中栓18には、容器開口部14の先端部14aに当接して、容器開口部14を閉鎖する円板状の底板部20が一体に設けられている。底板部20の、容器本体12の内側に位置する下側面20aには、底板部20の周縁部より少し内側に、容器本体12の容器開口部14の内側に嵌合されて密閉される円筒状の差込部22が設けられている。さらに、底板部20の下側面20a周縁部には、差込部22よりも径が大きい円筒状の取付筒部24が一体に形成されている。取付筒部24は、容器本体12の容器開口部14の外側に嵌合され、内周面には容器開口部14の雄ネジ16に螺合される雌ネジ26が形成されている。
【0012】
底板部20の上側面20bには、差込部22よりも少し径が大きい円筒状の側壁部28が外側上方に突出して設けられている。側壁部28の外周面には、円周に沿ってほぼ等間隔に、後述する計量室45のカバー部材38の回り止突起29が形成されている。
【0013】
底板部20には、図2に示すように、底板部20を内外に貫通する計量室入口30が形成されている。計量室入口30は、上側面20bの中心と周縁部の間の所定の位置に偏心して形成された透孔である。計量室入口30の透孔の形状は、底板部20の半径方向に対してほぼ平行な直線30aと、直線30aの両端を結ぶU字形の曲線30bから形成されている。曲線30bは、底板部20の上側面20b側から見て、U字形の曲線が底板部20の周縁側から反時計回りに向かう方向に湾曲されている。
【0014】
底板部20の上側面20bで、計量室入口30付近には、天面付導入部32が設けられている。天面付導入部32は、上側面20bから計量室入口30の三方を囲う壁部がほぼ直角に立ち上がり、この壁部の先端部が計量室入口30に対向する天面で閉鎖されている。天面付導入部32の天面は、後述するカバー部材38等による計量室45の上面部42と、底板部20とのほぼ中間に位置している。
【0015】
ここで、天面付導入部32の壁部の形状は、計量室入口30の周縁部に沿うU字形曲線と直線に沿って形成されている。天面付導入部32の直線部分には、壁部の一部が除かれて開口部34が形成されている。天面付導入部32には、開口部34付近に、開口部34を挟むように底板部20に立設されたガイド部36が連続して設けられている。ガイド部36は、開口部34の両端付近から開口部34の開口方向に沿って形成された一対の板状の部材である壁部を有するコの字形に形成されている。ガイド部36は、天面付導入部32よりも、上側面20bからの突出量が大きく、一対の壁部の間に位置するコの字形の底の部分が、開口部34の上方に突出している。ガイド部36の一対の壁部の向きは、計量室入口30から底板部20の周縁部に斜めに時計回り方向に向かい、接線方向に沿っている。
【0016】
中栓18の上方空間には、透明なカバー部材38が取り付けられている。カバー部材38は、中栓18の側壁部28に嵌合し、取付筒部24の外周面と面一に連続する筒状の横側面40が設けられている。カバー部材38の横側面40には、その先端部から連続した円形の上面部42が一体に設けられている。横側面40は、内周面が中栓18の側壁部28に接触して係止されている。横側面40の内周面の所定位置には、中栓18の回り止突起29が嵌合される凹部43が形成されている。ここで、横側面40と上面部42及び中栓18で囲まれた空間を計量室45とする。
【0017】
カバー部材38の上面部42には、取出口44が設けられている。取出口44の位置は、カバー部材38を中栓18に取り付けたとき、上面部42の中心から上面部42の周縁部の間であって、中栓18の天面付導入部32近傍で、ガイド部36と反対側つまり図面上で反時計回り方向に少し移動した位置に設けられている。取出口44は、上面部42に形成された透孔と、透孔の周囲に形成された円筒部で形成されている。取出口44の直径は、底板部20直径の例えば約4分の1程度である。取出口44の円筒部先端には、キャップ46が着脱可能に取り付けられ、開閉可能に閉鎖されている。キャップ46は、取出口44の先端を閉鎖する閉鎖板と、この閉鎖板に対して直角に形成され径が異なる一対の同心の円筒部が設けられ、一対の円筒部が取出口44の円筒部の内外に接触して、着脱自在に係止される。
【0018】
カバー部材38の上面部42には、図2に示すように、目盛り54が表面の凹凸により形成されている。目盛り54は、上面部42の、取出口44と中心を挟んで反対側の位置よりも少し時計回り方向へ移動した位置に設けられている。取出口44が左上に位置し、中栓18の計量室入口30が右上に位置すると、目盛り54は中心下方に設けられた状態となり、このとき目盛り54に設けられた3本の基準線は、略水平に位置する。各基準線の左横には、数値が表示されている。
【0019】
次に、この計量容器10の使用方法について説明する。まず、取出口44からキャップ46を取り外し、図2(a)に示すように取出口44が左上に、中栓18の計量室入口30が右上に位置した状態に保持し、容器本体12の中心軸が、水平から計量室入口30が下方に位置する傾斜に近づくように傾ける。これにより、中栓18の計量室入口30から容器本体12に収容されていた粉体56が計量室45内に入り、粉体56は天面付導入部32で拡散しないように開口部34のほうへ流され、ガイド部36の内側を通過して、カバー部材38の横側面40近傍に注入される。注入された粉体56は、横側面40の内周面に沿って下方に流れ、ほぼ水平な上面が目盛り54の基準線と平行となり、容積がどのくらいかを目で測る。
【0020】
このとき、天面付導入部32の天面が、カバー部材38の上面部42よりも底板部20に近い位置に設けられているため、ガイド部36の開口部34から落下した粉体56が、計量室45の底板部20側から順次堆積して、均一なレベルとなって計量される。もし、カバー部材38の上面部42から先に堆積した場合、上面部42側に片寄って堆積されてしまい、計量室45に貯留された粉体56の量を確認しにくくなる。
【0021】
そして、所望の容積に溜まった後、図2(b)に示すように容器本体12を中心軸周りに、図2(b)において反時計回りに回転させる。すると、取出口44が下向きに移動し、粉体56が取出口44を通過して外側に取り出される。このとき、計量室入口30は上方向に位置し、天面付導入部32とガイド部36は上向きに開口し、計量室入口30から新たに粉体56が追加されないように防いでいる。このとき、わずかにあふれようとする粉体56をガイド部36が塞き止めて、確実な計量・注出が可能である。また、キャップ46を取出口44に取り付けた状態で計量し、その後でキャップ46を取り外して内容物を取り出してもよい。これにより、計量操作時に不用意に粉体56をこぼす心配がない。
【0022】
この実施形態の計量容器10によれば、計量のときには、計量室入口30に形成された天面付導入部32とガイド部36により、粉体56は拡散することなく静かに移動して堆積させて、正確に計量することができる。この後、粉体56を取り出す際に、カバー部材38の取出口44を下向きに傾けたときにも、計量室入口30に形成された天面付導入部32とガイド部36は、開口部34が上方を向いているため、容器本体12を起こしたり持ち替える必要がなく、計量した量が変わることもない。粉体56の取り出しも、計量後に容器本体12の向きを、傾斜状態のままで容器本体12の中心軸回りに回動させることで、そのまま粉体56を取り出すことができる。そして、粉体56の計量、取り出しの際に不用意にこぼしたりすることがなく、安心して使用することができる。また、カバー部材38は透明で内側が容易に視認されるため、だれでも簡単に必要量の粉体56を取り出すことができる。粉体56として、例えば調味料を入れると、必要量の調味料を取り出すことができるため、料理の作業効率が向上し、便利である。また使用しないときは、そのまま調味料の保管容器として保管することができ、便利である。
【0023】
次に、この発明の第二実施形態について図3を基にして説明する。ここで、前記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の計量容器58は、容器本体12の容器開口部14に中栓18が取り付けられ、中栓18の底板部20には、計量室入口60が形成されている。計量室入口60は、上側面20bの中心と周縁部の間の所定の位置に形成された透孔であり、計量室入口30の透孔の形状は、底板部20の中心から半径方向に沿って互いに直角に交差する一対の直線と、この直線の互いに離れた端部が底板部20の周縁部に達し周縁部に沿う曲線から形成された扇形である。
【0024】
底板部20の上側面20bで、計量室入口60付近には、天面付導入部66が設けられている。天面付導入部66は、上側面20bから計量室入口60の三方を囲う壁部がほぼ直角に立ち上がり、この壁部の先端部が計量室入口60に対向する板部で閉鎖されている。ここで、天面付導入部66の壁部の形状は、計量室入口60の周縁部に沿う扇形で形成されている。天面付導入部66の直線部分は、壁部が切り欠かかれて開口部68が形成されている。天面付導入部66には、開口部68付近にガイド部70が連続して設けられている。ガイド部70は、開口部68の両端から開口部68の開口方向に沿って形成された一対の壁部を有するコの字形に形成されている。ガイド部70は、天面付導入部66よりも、上側面20bからの突出量が大きく、一対の壁部の間に位置するコの字形の底の部分が、開口部68の上方に突出している。ガイド部70の一対の壁部の向きは、計量室入口60から時計回り方向に向かい、接線方向に沿っている。
【0025】
中栓18の外側には、透明なカバー部材38が取り付けられ、カバー部材38の上面部42には、取出口72が設けられている。取出口72の位置は、カバー部材38を中栓18に取り付けたとき、上面部42の中心から上面部42の周縁部の間で、中栓18の天面付導入部66の、反時計回り方向に少し移動した位置に設けられている。取出口72の直径は、底板部20の約半分より少し小さい程度に形成されている。
【0026】
次にこの計量容器58の使用方法について説明する。先ず、図3(a)に示すように取出口72が左上に、中栓18の計量室入口60が右上に位置した状態に保持し、容器本体12を中心軸が水平に近づくように傾ける。中栓18の計量室入口60から容器本体12に収容されていた粉体56が計量室45内に入り、粉体56は天面付導入部66で拡散しないように開口部68の方へ流され、板状ガイド部70の内側を通過して、カバー部材38の横側面40近傍に注入される。注入された粉体56は、横側面40の内周面に沿って下方に流れ、ほぼ水平な上面が目盛り54の基準線と平行となり、容積がどのくらいかを目で測る。
【0027】
所望の容積に溜まった後、図3(b)に示すように容器本体12を中心軸周りに、反時計回りに回転させる。すると、取出口44が下向きに移動し、粉体56が取出口44を通過して外側に取り出される。このとき、計量室入口60は上方向に位置し、天面付導入部66と板状ガイド部70は上向きに開口し、計量室入口60から新たに粉体56が追加されないように防いでいる。
【0028】
この実施形態の計量容器58によれば、前記実施の形態と同様の効果があり、さらに中栓18の計量室入口60とカバー部材38の取出口44は、面積が大きく設定されているため、粉体56の粒径が大きいものや細かな錠剤等でも、円滑に計量して取り出すことができる。
【0029】
次に、この発明の第三実施形態について図4を基にして説明する。この実施形態の計量容器74は、主に液体75を収容するものである。容器本体12の容器開口部14に中栓18が取り付けられ、中栓18の底板部20には、計量室入口76が形成されている。計量室入口76は、底板部20の周縁部の少し内側に沿う円弧状であって帯状の曲線で形成されている。底板部20の周縁部の約4分の一より少し短い長さに亘って形成されている。
【0030】
底板部20の上側面20bで、計量室入口76周囲には、上側面20bからガイド部であるガイド壁部78がほぼ直角に立ち上がって設けられている。ガイド壁部78の形状は、計量室入口76の長手方向周縁部に沿う一対の曲線と、曲線部分の図面上で反時計回りの方向の端部同士を連結する直線からなる変形したコの字形に形成されている。ガイド壁部78の、時計回りに向かう方向の端部は、開口部80となっている。そして、中栓18は、透明なカバー部材38の下方開口部に、底板部20が内側から嵌合され液密に固定されている。カバー部材38の上面部42には、取出口82が設けられ、取出口82の直径は、底板部20の約4分の1程度に形成されている。
【0031】
次にこの計量容器74の使用方法について説明する。まず、図4(a)に示すように取出口82が左上に、中栓18の計量室入口76が右上に位置した状態に保持し、容器本体12を中心軸が水平に近づくように傾ける。このとき、例えば液体の表面張力の作用によって容器本体12内の液体75と容器本体12外の空気との置換が滞り、内容物を計量室入口76から計量室45へ導入しようとしても、導入されない現象が起こる恐れがある。これを防ぐために、計量室入口76をガイド壁部78の開口部80に向かって長く設けている。これにより、計量時に計量室入口76の長手方向を上下方向に一致させると、上下方向で圧力差が生じ、ガイド壁部78の開口部80と反対側の端部、つまり上側から容器本体12内へ空気が入り込み、それに替って開口部80から計量室45へ円滑に液体75が導入される。
【0032】
そして中栓18の計量室入口76から容器本体12に収容されていた液体75が計量室45内に入り、ガイド壁部78を通過して開口部80から、カバー部材38の横側面40近傍に注入される。所望の容積に溜まった後、図4(b)に示すように容器本体12を中心軸周りに、図4(b)において反時計回りに回転させると、取出口82が下向きに移動し、液体75が取出口82を通過して外側に取り出される。このとき、計量室入口76は上方に位置し、ガイド壁部78の開口部80は上向きに開口し、開口部80以外は閉鎖されているので、ガイド壁部78の内側は液体75で充満し、開口部80で液面が水平状態となり、計量室入口76の上下方向で圧力差がなくなる。このため、表面張力等によって容器本体12内の液体75は、開口部80から出てくることがない。よって、計量室45内の液体75のみが取出口82から取り出される。なお、この上下方向に長い形状の計量室入口76は、液体75以外の粉体や顆粒等の内容物において良好な計量・注出が可能である。
【0033】
この実施形態の計量容器74によれば、前記実施の形態と同様の効果があり、液体75を簡単に正確に計量して、円滑に取り出すことができる。
【0034】
次に、この発明の第四実施形態について図5、図6を基にして説明する。この実施形態の計量容器84は、容器本体12の容器開口部14に中栓86が取り付けられている。中栓86には、容器開口部14の内周面に嵌合される筒状の差込部88が設けられ、差込部88の、容器本体12外側に位置する端部には、容器開口部14の上端面に当接するフランジ部90が一周して形成されている。差込部88の、フランジ部90と反対側の端部には、容器開口部14を閉鎖する底板部92が一体に形成されている。
【0035】
底板部92には、計量室入口94が形成されている。計量室入口94は、底板部92の中心と周縁部の間の所定の位置に形成された透孔である。計量室入口94の形状は、底板部92の中心から半径方向に沿って互いに直角に交差する第一直線96と第二直線98と、第一直線96、第二直線98の互いに離れた端部が差込部88に達し、差込部88に沿う曲線から形成された扇形である。計量室入口94の、反時計回りの方向に向く位置に設けられた第一直線96に沿って、底板部92から立ち上がる第一ガイド壁100が設けられている。第一ガイド壁100は、差込部88から、底板部92の中心を越えた位置に達し、その端部は計量室入口94から離れている。第一ガイド壁100の途中には、計量室入口94の第二直線98に沿う第二ガイド壁102が直角に交差して設けられている。第二ガイド壁102は、差込部88に達しておらず、差込部88との間の空間が開口部113となる。第一ガイド壁100と第二ガイド壁102の底板部92からの突出量は、中栓86の差込部88とほぼ同じである。
【0036】
中栓86のフランジ部90の内側には、透明なカバー板104が嵌合されて接着され、カバー板104には目盛り106が設けられている。カバー板104には、中栓86の第一ガイド壁100よりも図面上で反時計回りに移動した位置に、取出口108が円弧状に切り取られて設けられている。取出口108は、第一ガイド壁100に沿う直線と、第二ガイド壁102の反対方向へ伸びる延長線である直線と、カバー板104周縁部で形成される扇形の透孔である。
【0037】
容器本体12の容器開口部14には、中栓86とカバー板104を覆って蓋部材110が取り付けられている。蓋部材110は、容器開口部14を閉鎖する板状の上面部112と、容器開口部14を包む円筒状の側面部114が設けられ、側面部114の内周面には容器開口部14の雄ネジ16に螺合される雌ネジ116が形成されている。
【0038】
次にこの計量容器84の使用方法について説明する。先ず、容器本体12の容器開口部14から蓋部材110を、螺合を解除して取り外す。次に、図6(a)に示すように取出口108が左上に、中栓86の計量室入口94が右上にくる状態に保持し、容器本体12を中心軸が水平に近づくように傾ける。中栓86の計量室入口94から容器本体12に収容されていた粉体56が計量室45内に入り、第一ガイド壁100と第二ガイド壁102で拡散しないように開口部113のほうに流れ、開口部113から中栓86の差込部88近傍に注入される。注入された粉体56は、差込部88の内周面に沿って下方に流れ、ほぼ水平な上面が目盛り106の基準線と平行となり、容積がどのくらいかを目で測る。所望の容積に溜まった後、図6(b)に示すように容器本体12を中心軸周りに、図6(b)において反時計回りに回転させると、取出口108が下向きに移動し、粉体56が取出口108を通過して外側に取り出される。このとき、計量室入口94は図面上方に位置し、第一ガイド壁100と第二ガイド壁102で、計量室入口94から新たに粉体56が追加されないように防いでいる。
【0039】
この実施形態の計量容器84によれば、前記実施の形態と同様の効果があり、粉体56を正確に計量して、取り出すことができる。蓋部材110は、容器本体12の容器開口部14に螺合して着脱自在に取り付けられるため、湿気やほこりの侵入を防ぎ、長期保存用の容器としても適している。
【0040】
なお、この発明の計量容器は、前記各実施の形態に限定されず、各部材の形状や素材など、自由に変更可能である。収容する商品は、粉体、顆粒、粒剤、液体等幅広い形態に対して計量が可能となる。また、収容する粉体や液体の性質に合わせて各実施形態の計量容器を選択することができる。また、錠剤でも使用することができる。目盛りの単位や間隔は、適宜設定可能である。計量室入口や開口部、取出口の大きさは、収容する粉体等のサイズや形状、比重、流動性等によって適宜設定するものである。たとえば、粉体が小粒径・球形状・高密度・高流動となるにつれ、開放面積を小さくすることが、計量操作・取出操作が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の第一実施形態の計量容器の正面図(a)と(a)のA−A線縦断面図(b)である。
【図2】この実施形態の計量容器の計量状態を示す斜視図(a)と取り出す状態を示す斜視図(b)である。
【図3】この発明の第二実施形態の計量容器の計量状態を示す斜視図(a)と取り出す状態を示す斜視図(b)である。
【図4】この発明の第三実施形態の計量容器の計量状態を示す斜視図(a)と取り出す状態を示す斜視図(b)である。
【図5】この発明の第四実施形態の計量容器の正面図(a)と(a)のA−A線縦断面図(b)である。
【図6】この実施形態の計量容器の計量状態を示す斜視図(a)と取り出す状態を示す斜視図(b)である。
【符号の説明】
【0042】
10 計量容器
12 容器本体
14 容器開口部
18 中栓
20 底板部
24 取付筒部
28 側壁部
30 計量室入口
32 天面付導入部
34 開口部
36 ガイド部
38 カバー部材
44 取出口
45 計量室
46 キャップ
54 目盛り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に容器開口部が形成された容器本体と、前記容器開口部に取り付けられる中栓と、前記中栓に設けられ前記容器本体の前記容器開口部を閉鎖する底板部と、前記底板部を貫通して形成された計量室入口と、前記底板部に設けられ前記計量室入口の周囲を囲み一方に開口する開口部が設けられたガイド部と、前記中栓に取り付けられて前記中栓の上方空間を塞ぎ前記底板部との間で計量室を形成する透明なカバー部材と、前記カバー部材を貫通して形成され前記中栓の前記計量室入口と対面しない位置に形成された取出口が設けられ、前記取出口が上になる向きで前記容器本体を傾けて前記計量室入口から必要量の内容物を前記カバー部材内側の前記計量室へ貯留し、前記取出口が下になるように前記容器本体の向きを、前記傾斜状態のままで前記容器本体の中心軸回りに回動させることで、計量した内容物を前記取出口から取り出し、前記取出口が下になるときは前記計量室入口を囲む前記ガイド部は、前記開口部が略上向きとなるように配置されていることを特徴とする計量容器。
【請求項2】
前記計量室入口を囲む前記ガイド部は、前記底板部から離れた先端部が前記計量室入口に対向する天面で閉鎖された天面付導入部に連続し、前記ガイド部の開口部の両脇に連続し前記開口部の開口方向に沿って設けられた一対の板状の部材から成ることを特徴とする請求項1記載の計量容器。
【請求項3】
前記計量室入口は、前記ガイド部の前記開口部に向かって長細い形状であることを特徴とする請求項1記載の計量容器。
【請求項4】
前記計量室には、前記計量室へ貯留した内容物を計量するための目盛りが設けられていることを特徴とする請求項1記載の計量容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−69947(P2007−69947A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258736(P2005−258736)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000104526)キタノ製作株式会社 (20)
【Fターム(参考)】