説明

記録ヘッド、記録装置及び記録装置用の記録媒体

【課題】光源の発光効率の低下を抑制すると共に部品点数が増加するのを抑制して、光源の光出力の制御を行う。
【解決手段】磁気記録再生ヘッド1は、記録再生素子部21の半導体レーザから出射されて磁気記録媒体5において反射された反射光のうちの少なくとも直接反射光を受光する受光素子22を備える。また、磁気記録再生ヘッド1は、磁気記録媒体5に対して近接場光を照射する記録素子と、上記半導体レーザを支持するスライダ20とをさらに備え、記録素子は、スライダの一方側面に設けられると共に、受光素子22は、スライダ20の一方側面に対向するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッド、記録装置及び記録装置用の記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光技術と磁気記録再生技術との融合による高密度記録を実現する技術である熱アシスト磁気記録技術が研究されている。熱アシスト磁気記録方式を利用した磁気記録再生装置では、記録時にはレーザ光により磁気記録媒体を昇温させ、磁気記録媒体における記録領域の保磁力を低下させた状態で、記録ヘッドにより外部磁界を印加して磁気的に情報を記録する。
【0003】
図12は、熱アシスト磁気記録に使用される磁気記録媒体を構成する記録層の保磁力Hcと温度Tとの関係の一例を示すグラフである。記録層は、室温付近できわめて高い保磁力Hcを示し、通常の磁気記録素子が発生する磁界では、磁気的な記録が困難であると同時に、磁気的に非常に安定であるため、一旦記録が行われた場合には弱い磁界で記録情報が消去されないという利点を持つ。しかし、磁気記録媒体の記録層の温度が上昇すると磁気記録媒体の保磁力Hcは低下し、キュリー温度Tc付近でほぼ0となる。従って、媒体の温度をキュリー温度Tc付近まで加熱することにより、通常の磁気記録再生装置で使用されているような磁界で記録が可能となる。キュリー温度は磁性層(記録層)として使用する材料や組成によっても異なるが概ね100℃から250℃程度である。このように熱アシスト磁気記録とは、通常の記録方式の媒体と比較して、より高い保磁力を有する磁性層(記録層)を備えた媒体を用い、記録情報の安定性を確保するという技術である。
【0004】
熱アシスト磁気記録において、情報を記録する記録条件は、磁気記録媒体に与える磁界の強さと、磁気記録媒体の加熱条件(磁気記録媒体に与える熱エネルギーである加熱パワーを決定する条件)とによって決まる。例えば、強い磁界を磁気記録媒体に与えた場合には、より小さな加熱パワーでも記録が可能となり、逆に弱い磁界を磁気記録媒体に与えた場合には、より大きな加熱パワーが必要になる。このように加熱パワーの決定は、磁気記録媒体に対する記録条件の決定において重要なファクターである。
【0005】
磁気記録媒体を加熱するための方法についてはいくつか提案がなされているが、その代表的なものとして、光を磁気記録媒体に照射し、光を吸収した磁気記録媒体が昇温することにより加熱する、光アシスト加熱方式がある。光アシスト加熱方式においては、磁気記録媒体を加熱するために磁気記録媒体に照射する光源の光出力の制御が重要である。
【0006】
光アシスト加熱方式に使用される光源としては半導体レーザや、LEDなどがあるが、それらの光出力は光源に与える駆動電流(あるいは駆動電圧)だけで決まるわけではなく、温度の影響も受ける。具体的には、同じ電流値(あるいは電圧値)で光源を駆動していても、温度が上昇すれば光出力値が小さくなる。また、光源自体の特性のばらつきにより、同じ電流値で光源を駆動していても得られる光出力が異なる場合がある。このようなことから、光源の光出力の制御のためには受光素子が使用されている。
【0007】
光源として半導体レーザを使用した場合には、受光素子が配置される場所としては、大きく分けて2通りの場所がある。一つの場所としては、半導体レーザの光出射面とは反対側の面からの出射される光を受光するように、半導体レーザの光出射面とは反対側の面(以下、後端面とする)に対向するように配置する場合であり、もう一つの場所としては、半導体レーザから出射された光をミラーなどの光学部品を使用することにより分離し、分離された光を受光するように受光素子を配置する場合である。
【0008】
受光素子としては、例えば、Siフォトダイオードなどの、Si基板上に形成された受光面を有するものが使用されており、小さなものでも数百ミクロンの受光面を持っている。一方、磁気記録ヘッドに使用されているスライダで、現在最も小さなものは長さが0.85mm、幅が0.7mm、厚みが0.23mmとなっており、小さなサイズのSiフォトダイオードと同程度のサイズとなっている。このような受光素子を磁気記録ヘッドに搭載したものが特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている磁気記録ヘッドについて説明する。
【0009】
上記特許文献1に開示されている磁気記録ヘッドにおいては、スライダの先端に設けられた半導体レーザの後端面に対向するように受光素子が設けられている(図1および参照)。また、後端面から出射された光を受光素子で受光できるように、半導体レーザの後端面の反射率を下げたものが使用されている。
【0010】
【特許文献1】特開2005−317178号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
半導体レーザの後端面の反射率を下げ、出射される光量を多くするような構成とした場合には、半導体レーザの発光効率が下がることになる。また、後端面からの出射光を受光するように受光素子を配置するために、半導体レーザの後端面に対向するように受光素子を配置しているため、磁気記録ヘッドの厚み(記録媒体の面法線方向の厚み)が増加する。このため、磁気記録ヘッドの増加した厚み分だけ磁気記録装置に搭載できる記録媒体の数が減ることになり、記録装置としての容量が小さくなるという問題があった。また、発光効率を下げた場合には、磁気記録ヘッドで消費する電力量が増すことになるという問題があった。
【0012】
一方、半導体レーザの光出射面から出射される光をミラーなどの光学部品で分離し、その分離された光を受光するように受光素子を配置することも可能であるが、磁気記録ヘッドに、別の光学部品を搭載する必要があり、やはり、磁気記録ヘッドの厚みの増加につながる。また、部品点数の増加に伴うコスト増加、光の光路と光学部品との位置合わせなどのアッセンブルコストの増加につながる。なお、光源としてLEDを用いた場合も同様の問題が生ずる。
【0013】
そこで、本発明は、上記課題を鑑みなされたものであって、光源の発光効率の低下を抑制すると共に部品点数が増加するのを抑制して、光源の光出力の制御を行うことを可能とする記録ヘッド、記録装置及び記録装置用の記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0014】
上記目的を達成するために、この発明の記録ヘッドは、光源から出射されて記録媒体において反射された反射光のうちの少なくとも直接反射光を受光する受光素子を備えている。なお、直接反射光とは、光源から出射されて記録媒体において反射された反射光であって、受光素子に直接入射する光をいい、多重反射した迷光は含まない。
【0015】
上記構成によれば、記録媒体において反射された直接反射光を受光する受光素子が備えられている。これにより、光源から出射された光を分離して受光素子に導くミラー等の光学部品を設けることなく、受光素子に直接反射光を入射させることが可能となる。その結果、受光素子に入射した直接反射光に基づいて、光源の光出力の制御を行うことが可能となる。
また、本発明では、光源から記録媒体に向けて出射された光のうちの直接反射光を受光する構成なので、光源の後端面から出射される光を受光する構成と比較して、光源の発光効率を向上させることが可能となる。
【0016】
上記記録ヘッドにおいて、好ましくは、記録媒体に情報を記録する記録素子と、記録素子を支持するスライダとをさらに備えている。そして、記録素子は、スライダの一方側面に設けられると共に、受光素子は、スライダの一方側面に対向するように配置される。
【0017】
上記構成によれば、受光素子がスライダの一方側面に設けられた記録素子に対向するように配置されるので、受光素子をスライダの他方側面に対向するように設ける場合に比べて、記録素子と受光素子とを近接して配置することが可能となる。これにより、記録媒体において反射された光を効率よく受光することができ、受光素子からの出力信号におけるSN比を向上させることができる。その結果として、安定した光源の光出力の制御が可能となる。
【0018】
上記記録ヘッドにおいて、記録媒体に情報を記録する記録素子と、記録素子を支持するスライダとをさらに備えている。そして、記録素子及び受光素子は、共にスライダの一方側面に設けられる。
【0019】
上記構成によれば、記録素子及び受光素子が共にスライダの一方側面に設けられるので、受光素子をスライダの一方側面以外の面に設ける場合に比べて、記録素子と受光素子とを近接して配置することが可能となる。これにより、記録媒体において反射された光を効率よく受光することができ、受光素子からの出力信号におけるSN比を向上させることができる。
これに加えて、受光素子をスライダと別個に設ける必要がなく、磁気記録再生ヘッドの重量低減、スライダの側面に一体的に形成することによる低コスト化などのメリットがある。
【0020】
上記記録ヘッドにおいて、好ましくは、スライダを支持するサスペンションをさらに備えている。そして、受光素子は、サスペンションに対して、その受光面が記録媒体に対向するように配置される。
【0021】
上記構成によれば、記録媒体において反射した直接反射光を、より効率よく受光することができ、受光素子からの出力信号におけるSN比を向上させることができる。その結果として、より安定した光源の光出力の制御が可能となる。
【0022】
上記記録ヘッドにおいて、好ましくは、受光素子は、サスペンションに対して、スライダが取り付けられている面側に取り付けられている。
【0023】
上記構成によれば、スライダの一方側面に設けられる光源への配線部と受光素子への配線部とが、共にサスペンションに対して同一面側に位置することになるので、受光素子への配線が容易になるという利点がある。
また、本発明は、サスペンションに対して、スライダが取り付けられている面の反対側の面に受光素子を取り付ける場合と比べて、受光素子をサスペンションに対してスライダが取り付けられている面側に取り付ける分だけ、記録ヘッドの厚みの増加を低減することができる。
【0024】
上記記録ヘッドは、好ましくは、光源から照射された光により局所的に加熱した記録媒体の所定の領域に、磁界を印加して情報を記録する熱アシスト磁気記録方式である。
【0025】
上記構成によれば、熱アシスト磁気記録方式において記録媒体を加熱する光の制御を安定して行うことができる。
【0026】
この発明の記録装置は、上記したいずれかの記録ヘッドと、記録ヘッドにより記録される情報を記録しておくための記録媒体と、受光素子により取得される光出力値に基づいて、光源から出射される光の制御を行う制御部とを備えている。
【0027】
上記構成によれば、記録ヘッドに、記録媒体において反射された直接反射光を受光する受光素子が備えられている。これにより、光源から出射された光を分離して受光素子に導くミラー等の光学部品を設けることなく、受光素子に直接反射光を入射させることが可能となる。その結果、制御部において、受光素子に入射した直接反射光に係る光出力値に基づいて、光源の光出力の制御を行うことが可能となる。
また、本発明では、光源から記録媒体に向けて出射された光のうちの直接反射光を受光する構成なので、光源の後端面から出射される光を受光する構成と比較して、光源の発光効率を向上させることが可能となる。
【0028】
上記記録装置において、好ましくは、記録媒体が複数設けられると共に、記録ヘッドが複数の記録媒体毎に設けられる記録装置であって、制御部は、複数の記録媒体の間に配置される第1の記録ヘッドの受光素子により取得される光出力値に第1のオフセット値を与え、且つ、複数の記録媒体のうちで最も外側の記録媒体の外側に配置される第2の記録ヘッドの受光素子により取得される光出力値に第2のオフセット値を与える。
【0029】
上記構成によれば、2つの記録媒体に挟み込まれるように配置される記録ヘッド(第1の記録ヘッド)と、そうでない記録ヘッド(第2の記録ヘッド)とが存在することになる。上記構成では、記録媒体における直接反射光を受光素子により受光する構成としているため、第1の記録ヘッドの場合、記録媒体における直接反射光だけではなく、記録媒体間での多重反射光も受光することになる。一方、第2の記録ヘッドの場合、前述の多重反射光の影響は小さくなる。つまり、光源から同じ光量の光が出射されているにも係わらず、記録ヘッドの各受光素子により取得される光出力値が異なることになる。従って、第1の記録ヘッドに第1のオフセット値を与えると共に、第2の記録ヘッドに第1のオフセット値とは異なる第2のオフセット値を与えることにより、前述した多重反射光などに起因する影響を個別に補正することができ、適切に光源の光出力の制御を行うことが可能となる。
【0030】
上記記録装置において、好ましくは、記録媒体の記録面には、他の領域より表面粗さが粗い粗領域が設けられており、制御部は、光源から出射されて粗領域において反射された反射光のうちの直接反射光を受光する受光素子により取得される光出力値に基づいて、光源から出射される光の制御を行う。
【0031】
一般的に記録媒体の表面は、平均粗さが1nm以下に抑えられている平滑面で構成されているため、散乱光が得られにくいが、上記構成によれば、粗領域に光源から出射される光を照射することにより、より多くの反射光を得ることができる。その結果、受光素子により受光される記録媒体における直接反射光を増加させることができ、より正確に光源から出射される光の制御を行うことができる。
【0032】
上記記録装置において、好ましくは、記録ヘッドは、記録媒体に記録された情報を再生するための再生素子を有し、記録媒体には、光源から出射される光の出力を決定するための所定の情報が記録される記録領域が粗領域とは異なる箇所に設けられ、制御部は、記録領域に記録された情報に係る再生信号を取得し、当該再生信号を評価することにより、光源から出射される光の制御を行う。
【0033】
上記構成によれば、記録媒体に情報を記録し、当該記録媒体に記録された情報を再生して再生信号を取得し、当該再生信号を評価することにより、光源から出射される光の出力を決定する、所謂、テストライトを行うことができる。この場合、表面粗さが粗い粗領域と、そうでない領域とでは、記録媒体に情報を記録する際の、光の出力の条件が異なる可能性がある。例えば、表面粗さが粗い粗領域では、記録媒体表面における光の反射光量が増加することにより、記録媒体に吸収される光量が減少し、記録媒体の昇温後の到達温度が減少する場合などである。しかし、上記構成のように、表面粗さが粗い粗領域とは別の領域において、記録領域を設けることにより、一旦、記録領域にて必要な光出力を決定し、該光出力となるように光源を駆動した後、より散乱光が得られる粗領域で、光出力を設定することにより、より効率よく光を受光することができる。その結果、受光素子からの出力信号におけるSN比を向上させることができ、より安定した光源の出射光量制御が可能となる。
【0034】
この発明の記録媒体は、上記したいずれかの記録装置に用いられる記録媒体であって、記録面に、他の領域より表面粗さが粗い粗領域が設けられる。
【0035】
上記構成によれば、光源の発光効率の低下を抑制すると共に部品点数が増加するのを抑制して、光源の光出力の制御を行うことを可能とする記録装置に用いられる記録媒体を得ることができる。また、本記録媒体を使用することにより、記録媒体から受光素子に入射する光量が増加するので、本記録媒体が用いられる記録装置において、光源の光出力の制御を行う際の、受光素子からの出力のSN比を向上させることができ、より安定した光源の制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
(第1実施形態)
図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構成図である。図2は、図1に示した磁気記録再生装置の磁気記録再生ヘッドの側面図である。最初に、図1を参照して、第1実施形態に係る磁気記録再生装置の構成について説明する。
【0038】
本実施形態の磁気記録再生装置100は、図1に示すように、磁気記録及び磁気再生を行うための磁気記録再生ヘッド1、円盤状の磁気記録媒体5、磁気記録媒体5を回転駆動するためのスピンドルモータ4、磁気記録再生ヘッド1を固定するサスペンション2、さらに、サスペンション2を支持固定するサスペンションアーム3、サスペンションアーム3を磁気記録媒体5上で駆動させ、磁気記録再生ヘッド1を磁気記録媒体5上の所望する位置に移動させるボイスコイルモータ6、および、これらを制御するための制御部7を含んで成る。
【0039】
制御部7には、スピンドルモータ4、および、ボイスコイルモータ6を制御するモータドライバ8と、磁気記録媒体5に磁界を印加するための記録電流信号の増幅や、磁気記録媒体5からの再生電流信号の増幅を行うとともに、これらの信号を磁気記録再生ヘッド1とやり取りする回路であるヘッドアンプ9と、磁気記録媒体5に記録する信号の符号化や、再生された信号の復号化などを行う回路であるリードライトチャネル10と、磁気記録再生ヘッド1に備えられた光源である半導体レーザ25(図4参照)の駆動電流(あるいは駆動電圧)を制御するレーザドライバ11と、磁気記録再生ヘッド1に備えられ、磁気記録媒体5で反射された光を受光するための受光素子22(図2及び図3参照)からの光出力信号を増幅するための回路である光出力アンプ12と、モータドライバ8、リードライトチャネル10、レーザドライバ11と接続されており、これらの各部をコントロールするコントローラ13とが含まれる。
【0040】
磁気記録再生ヘッド1は、図2に示すように、サスペンション2に固定されているスライダ20と、スライダ20の先端側の側面に備えられた記録再生素子部21とを備えている。また、スライダ20に対して、記録再生素子部21が設けられている側面に対向するように、受光素子22が配置されており、受光素子22も磁気記録再生ヘッド1と同様にサスペンション2に固定されている。磁気記録再生ヘッド1は、磁気記録媒体5上を浮上しており、磁気記録媒体5は矢印A方向に回転している。
【0041】
図3は、図1に示した磁気記録再生装置における磁気記録再生ヘッドの受光素子を磁気記録媒体側から見た底面図である。サスペンション2には、図3に示すように、スライダ20の記録再生素子部21が備えられている側面に対向するように受光素子22が配置されており、当該受光素子22の受光面は、磁気記録媒体5側に対向する面に設けられている。また、記録再生素子部21の近傍には、記録再生素子部21に設けられた再生素子(図示せず)、記録素子26(図4参照)、半導体レーザ25(図4参照)に接続される配線部23がサスペンション2に設けられている。また、受光素子22の近傍にも、受光素子22に接続される配線部24がサスペンション2に設けられている。サスペンション2は、ステンレスからなる金属であり、配線部23及び24はステンレス上に一体的に形成されたFPC配線となっている。
【0042】
図4は、図1に示した磁気記録再生装置における磁気記録再生ヘッドを受光素子側から見た側面図である。スライダ20の受光素子22に対向する面には、光源である半導体レーザ25と、半導体レーザ25の磁気記録媒体5側に設けられる記録素子26とが備えられている。なお、スライダ20の受光素子22に対向する面には、記録再生素子部21として、図示しない再生素子も備えられている。再生素子は、スライダ20の側面に従来の磁気記録再生ヘッドと同様のプロセスにより作成されており、再生素子に対して受光素子22側に記録素子26が設けられている。また、記録素子26の両サイドには記録素子26、再生素子、半導体レーザ25の電極パッド28が設けられており、サスペンション2に設けられた配線部に対してボンディングされることにより電気的に接続されている。
【0043】
図5は、図1に示した磁気記録再生装置における半導体レーザと記録素子とを磁気記録媒体側から見た斜視図である。記録素子26は、磁気記録媒体5側から半導体レーザ25側に延びるに凹部26aを有する金属からなる配線構造体である。この金属からなる配線構造体に、記録する情報に対応した高周波信号電流(記録電流)を投入することにより、配線構造体の凹部26aの周囲において磁界が発生する。また、半導体レーザ25から磁気記録媒体5の方向に出射された光が、配線構造体の半導体レーザ25側の狭窄部26bに照射されることにより、当該配線構造体の磁気記録媒体5側の面に近接場光が発生し、この近接場光が磁気記録媒体5に照射されることにより、磁気記録媒体5の記録層が昇温される。そして、一対の電極間に電流が流れると狭窄部26bを発生源とした磁界が発生し、近接場光により磁気記録媒体の記録層が昇温された部分に、磁界が与えられて、磁気記録媒体5の記録層に対して情報の記録あるいは消去が可能となる。この配線構造体の材料として、例えば、金、銅、白金、銀などが使用可能である。このように第1実施形態の磁気記録再生ヘッド1においては、磁界を発生させる記録素子26が、磁気記録媒体5に対して近接場光を照射する光発生素子となっている。
【0044】
図6は、磁気記録媒体及び磁気記録再生ヘッドの平面図である。磁気記録媒体5は、取付金具14によりスピンドルモータ4に取り付けられている。磁気記録媒体5の記録面の内周側には、他の領域より表面粗さが粗い領域(粗領域15)が備えられている。
【0045】
再生素子は、非磁性層を1対の磁性層で挟んだ積層体を有する磁気抵抗効果素子(図示せず)を備えた再生用磁気センサである。なお、本実施形態では、磁気抵抗効果素子として、いわゆるTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子を用いるが、本発明はこれに限られるものではなく、GMR素子など磁気抵抗効果素子を有する素子であってもよい。
【0046】
ここで、スライダ20を構成する材料としては、AlTiCなどが挙げられる。また、半導体レーザ25を構成する材料としては、GaAs(発振波長が650nmの赤色レーザ光を発生可)、GaN(発振波長が405nmの青紫色レーザ光を発生可)などが挙げられる。従って、スライダの材料としてGaAsやGaNを用いた場合には、半導体レーザ25をスライダ20の側面に一体的に形成することが可能となる。また、スライダ20の材料としてSiを使用しても良い。その場合には、半導体レーザ25が形成された基板をSiで構成されたスライダ20の側面に貼り付ければ良い。
【0047】
このような構成を有する磁気記録再生ヘッド1は、公知のスパッタリング法及びフォトリソグラフィー技術、エッチング技術などを用いて形成することができる。
磁気記録媒体5は、光アシスト磁気記録用のものであり、例えば、磁性層に使用できる材質として、TbFeCo、CoCrPt系、希土類遷移金属、FePt系、又はRhFe系等の反強磁性物質が挙げられる。
受光素子22としては、PNフォトダイオードや、PINフォトダイオード、ショットキフォトダイオード、アバランシェフォトダイオードなどが挙げられる。また、その材料はSiやGaAsP、Ge、InGaAs/InPなどが使用可能である。
【0048】
コントローラ13は、モータドライバ8やレーザドライバ11などの制御動作を行うCPU(図示せず)、プログラムROM(図示せず)及び制御RAM(図示せず)などから構成されている。CPUは、プログラムROM及び制御RAMと接続されており、これらとともにいわゆるマイクロコンピュータ(図示せず)を形成している。プログラムROMには、各部へ送信するための各種制御命令(コマンド)等が格納されている。各種コマンドは、所定条件の成立を契機としてCPUによってプログラムROMから呼び出されて制御RAMにセットされる。そして、制御RAMにセットされたコマンドは所定のタイミングでモータドライバ8やレーザドライバ11などの制御したい部分に供給される。各部は、供給されたコマンドに基づいて各種の処理を実行する。
【0049】
次に、本実施形態の磁気記録再生装置100の動作について説明する。
磁気記録再生装置100において、磁気記録媒体5に情報を記録する場合、磁気記録媒体5はスピンドルモータ4により一定回転数で回転されている。また、磁気記録再生ヘッド1は、ボイスコイルモータ6により、情報を記録する半径位置に位置決め制御されている。スライダ20は磁気記録媒体5に対して10nm程度のギャップを保って浮上している。
【0050】
磁気記録媒体5に信号を書き込むために、レーザドライバ11により、半導体レーザ25を発光させて、記録素子26の凹部26aにおいて近接場光を発生させる。近接場光が磁気記録媒体5に照射されると磁気記録媒体5の記録層は昇温される。一方で、記録素子26には磁界を発生させるための電流が流され、記録素子26の凹部26aの周辺に磁界が発生される。このようにして、昇温された磁気記録媒体5の記録層に磁界を印加することより、情報が記録される。
【0051】
ここで、半導体レーザ25に印加される駆動電流(あるいは駆動電圧)は、受光素子22から得られる光出力値に基づいて制御されている。つまり、受光素子22から得られる光出力値が、所定の値となるように、半導体レーザ25に印加される電流の大きさ、あるいは、電圧の大きさがレーザドライバ11により調整されている。ここで、受光素子22から得られる光出力値が、所定の値となるということは、半導体レーザ25から発せられる光の量、すなわち、光量も、所定の大きさとなっていることを意味する。従って、温度などの変化により光源の光出力特性、すなわち、光源の駆動電流(あるいは、駆動電圧)と光源の光出力(光量)の関係が変化しても、常に光源から出射される光出力(光量)を特定の値に保つことができる。
【0052】
第1実施形態では、磁気記録再生ヘッド1には磁気記録媒体5で反射された直接反射光を受光する受光素子22が備えられている。そのような磁気記録再生ヘッド1により、光源の駆動電流(あるいは、駆動電圧)の制御のために、半導体レーザ25の出射光を分離するための追加部品の数を少なくすることができる。また、半導体レーザ25の後端面からの出射光を受光する構成(特許文献1参照)に比較して、半導体レーザ25の発光効率を向上させることが可能となる。また、前記磁気記録再生ヘッド1を備え、前記受光素子22からの出力値をもとに半導体レーザ25の光出力の制御を行うことにより、環境温度の変化がある状況においても、安定して光源の光出力を制御することが可能な磁気記録再生装置100を実現できる。また、半導体レーザ25の発光効率を向上させることができるため、磁気記録再生装置100の消費電力を低減することが可能となる。
【0053】
なお、受光素子22に入射する光としては、磁気記録媒体5において直接反射された光だけではなく、磁気記録媒体5で反射され、スライダ20の磁気記録媒体5側の面で反射され、再度、磁気記録媒体5で反射された、いわゆる多重反射光や、磁気記録媒体5で反射され、サスペンション2で反射され、再び、磁気記録媒体5で反射されたような光が入射してもかまわない。本実施形態のポイントは、受光素子22が磁気記録媒体5からの直接反射光を受光するような構成となっているか否かである。
【0054】
なお、磁気記録媒体5において直接反射された光を受光しているか否かは、例えば、次のような方法で判断できる。すなわち、半導体レーザ25をある電流(あるいは、電圧)で駆動し光出力を得る。その状態で、磁気記録媒体5に対して、実使用時と同様に浮上状態におく。その際の受光素子22による光出力値をAとする。また、一方で、磁気記録再生ヘッド1を磁気記録媒体5の近辺から遠ざけ、同様に受光素子22により光出力値を検出し、その光出力値をBとする。光出力値Aと光出力値Bを比較して、光出力値Aが大きければ、磁気記録媒体5からの直接反射光を受光しているといえる。なお、この場合、受光素子22からの光出力値に基づいて、半導体レーザ25からの光出力を一定にするようレーザドライバ11で制御するオートパワーコントロールはOFFにしておく。
また、磁気記録媒体5において直接反射された光を受光しているか否かを判断する他の方法としては、オートパワーコントロールをONにした状態で、前記と同様に、磁気記録再生ヘッド1を磁気記録媒体5の近辺から遠ざけるか否かで、半導体レーザ25の駆動電流(あるいは、駆動電圧)が、磁気記録媒体を磁気記録再生ヘッド1に近づける、あるいは、浮上状態にすることで、大きくなるか否かで判断しても良い。これは、オートパワーコントロールにより半導体レーザ25が制御されているため、磁気記録媒体5で反射された光を直接受光素子22により受光している場合には、その受光量が増し、所定の駆動電流(あるいは駆動電圧)となるが、直接反射光を受光しないように受光素子22が配置されている場合には、磁気記録媒体5を近接させるか否かで受光量が変化しないことを利用している。
【0055】
また、第1実施形態では、受光素子22は、スライダ20の記録素子26が備えられた側面に対向するように配置されている。このことにより、本実施形態では、磁気記録媒体5に対する光照射部である光発生素子(記録素子26)と、受光素子22とを近接して配置することにより、より効率よく、磁気記録媒体5で反射された光を受光することができ、受光素子22からの出力信号におけるSN比を向上させることができる。その結果として、より安定した半導体レーザ25の光出力の制御が可能となる。
【0056】
また、第1実施形態では、受光素子22は、その受光面が磁気記録媒体5に対向するようにサスペンション2に対して配置されている。このように配置していることにより、磁気記録媒体5で直接反射した光を、より効率よく光を受光することができ、受光素子22からの出力信号におけるSN比を向上させることができる。その結果として、より安定した半導体レーザ25の光出力の制御が可能となる。なお、受光素子22の受光面が磁気記録媒体5に対向するよう設けられていれば、受光面と磁気記録媒体5の面とが厳密に平行な状態となっている必要はない。一般的に受光素子22の受光感度特性の光入射角度依存性として、受光素子22の受光面に対して、垂直入射を0度とすると、±10度程度であれば入射感度は大きく変化することはないことから、磁気記録媒体5の面と受光素子22の受光面の傾きとしても、その程度は許容可能である。
【0057】
また、第1実施形態では、受光素子22は、サスペンション2に対して、スライダ20が取り付けられている面、つまり、磁気記録媒体5に対向する面に取り付けられている。このような構成とすることにより、スライダ20の側面に備えられた半導体レーザ25、再生素子、記録素子26への配線部と、受光素子22への配線部とが、サスペンション2の同一面側に位置することになり、受光素子22への配線が容易になるという利点がある。
一方、サスペンション2に対して、スライダ20が設けられる面の反対側の面に受光素子22を取り付けることも可能であるが、その場合には、スライダ20や受光素子22を含めた磁気記録再生ヘッド1の厚みが増すことになる。しかし、本実施形態では、受光素子22をサスペンション2に対して、スライダ20が取り付けられている面と同一面に取り付けることにより、そのような厚みの増加を極力低減することができる。さらに望ましくは、受光素子22の厚みは、スライダ20の厚みより薄いほうが望ましい。これは、通常、磁気記録再生ヘッド1のスライダ20は磁気記録媒体5に対して浮上状態にあるとき、スライダ20の記録素子26が備えられる先端側が磁気記録媒体5に接近するように傾いた状態で浮上している。従って、スライダ20に対して記録素子26と同じ面側に半導体レーザ25を備えている磁気記録再生ヘッド1の場合、受光素子22も、半導体レーザ25と同様にスライダ20の半導体レーザ25側、つまり、磁気記録媒体5に対向する面に配置するのが、受光素子22で受光する光量を多くする点で望ましく、その場合に、受光素子22が磁気記録媒体5と接触することを避けるという点で望ましい。
【0058】
上記したように、第1実施形態では、磁気記録媒体5の記録面の内周側には、他の領域より表面粗さが粗い領域(粗領域15)が備えられている。このように内周部に粗領域15を設けている理由は次のとおりである。
本実施形態の磁気記録再生ヘッド1では、記録素子26の凹部26aにおいて近接場光を発生させ、磁気記録媒体5に照射しているが、近接場光は伝播光ではないため、磁気記録媒体5の表面で散乱されることによってはじめて光が散乱される。しかし、一般的に磁気記録媒体5の表面は、平均粗さが1nm以下に抑えられている平滑面で構成されているため、散乱光が得られにくい。そこで、受光素子22で受光される磁気記録媒体5からの直接反射光の光量を増すために、磁気記録媒体5の内周部に粗領域15を設け、ボイスコイルモータ6により磁気記録再生ヘッド1を内周部に位置決め制御して、近接場光を磁気記録媒体5に照射することにより、より多くの反射光量が得られる構成とした。
また、この粗領域15は磁気記録媒体5のいずれの領域に設けても良いが、粗領域15を磁気記録媒体5の半径方向のいずれの位置に設けても、近接場光が照射され、スライダ20や磁気記録媒体5の間で多重反射することを考えると、その領域の半径方向の幅はある程度の長さが必要となる。従って、磁気記録媒体5の内周側に設けた方が、磁気記録媒体5の記録容量をより大きくすることができるというメリットがある。
また、CSS(コンタクトスタートストップ方式)により、磁気記録再生ヘッド1を浮上させる方式を採用している場合には、CSS領域と本実施形態に係る粗領域15とを同じ領域としても良い。なお、本実施形態においては、磁気記録媒体5に近接場光を照射しているが、本構成による効果は、近接場光に限定されない。レンズなどで集光された光を磁気記録媒体5に照射する場合であっても、受光素子22に対する入射光量が、他の領域よりも多い、粗領域15を磁気記録媒体5の記録面に設けることにより、わずか10nm程度のギャップで浮上している磁気記録再生ヘッド1と磁気記録媒体5との間から、受光素子22に光を入射させるためには、磁気記録媒体5のいずれかの半径位置に粗領域15を設けることで上記効果が得ることができる。
また、本手法により半導体レーザ25の出力を制御する場合には、後に述べるテストライトを行うことにより、まず、半導体レーザ25を駆動するための基準駆動電流値(あるいは基準駆動電圧値)を決定し、粗領域15において、基準駆動電流値(あるいは基準駆動電圧値)で半導体レーザ25を駆動して光を磁気記録媒体5に照射し、その際に受光素子22より得られる出力を基準出力とし、それ以降は、一定時間間隔、あるいは、磁気記録再生装置がアイドリング状態になっている間などに、磁気記録再生ヘッド1を粗領域15に移動させ、受光素子22により得られる出力が基準出力となるように半導体レーザ25の駆動電流(あるいは駆動電圧)を制御すれば良い。
【0059】
なお、磁気記録媒体5が上記構成となっているか否かは次のようにして判定すれば良い。まず、他の領域より表面粗さが粗いか否かは、周知の原子力間顕微鏡により確認することが可能である。また、受光素子22に対する入射光が粗領域15において増すか否かは、他の領域と粗領域15からそれぞれ得られる受光素子22の出力を比較し、粗領域15の方が多ければ、本実施形態に係る構成となっているといえる。なお、その際、半導体レーザ25の駆動電流値(あるいは駆動電圧値)は同じ値で比較する。
【0060】
次にテストライトについて説明する。
熱アシスト磁気記録を行う磁気記録再生装置100においては、磁気記録媒体5を加熱して昇温させるとともに、磁界を印加することによって磁気情報を磁気記録媒体5に記録している。従って、磁気記録媒体5が昇温された温度が、磁気情報の記録においては重要である。磁気記録媒体5が昇温された到達温度には、光が磁気記録媒体5に照射され、磁気記録媒体5が光を吸収して昇温される要因と、環境温度の要因が影響する。他にも、磁気記録媒体5の熱的な性質、すなわち、吸収した光により発生した熱が、磁気記録媒体5においてどのような速度で拡散していくかも影響する。また、磁気記録媒体5がスピンドルモータ4によって回転される速度も影響する。これは、一定の光量の光が磁気記録媒体5に照射されたとしても、磁気記録媒体5の回転数が速い場合には、単位領域あたりに照射される光のエネルギー量が相対的に少なくなるために、より、昇温しにくくなるためである。
【0061】
以上のことから、受光素子22から得られる光出力値の設定値の決定方法としては、磁気記録媒体5の種類や、環境温度など、さまざまな影響を考慮して決定する必要がある。その方法として、磁気記録媒体5に所定の情報を記録し、記録した信号を再生して再生信号を得て、当該再生信号を評価することにより、磁気記録媒体5に照射する光の出力を決定する、いわゆる、テストライトを行う方法が考えられる。
【0062】
テストライトとは、半導体レーザ25の駆動電流(あるいは駆動電圧)と、印加する磁界の強さを変えて記録媒体に記録を行い、記録された磁気情報を再生素子で再生することにより得られる再生信号に基づいて、半導体レーザ25の駆動電流(あるいは駆動電圧)と、印加する磁界の大きさ、すなわち、磁界を発生する記録素子26に投入する電流(あるいは電圧)の大きさとを決定する方法をいう。テストライトを行う頻度としては特に定められた頻度はなく、例えば、磁気記録再生装置100内部の温度が一定範囲以上変化した場合にテストライトを実施しても良い。また、あるいは、一定時間間隔ごとにテストライトを実施しても良い。なお、このテストライトにより半導体レーザ25の基準駆動電流値(あるいは駆動電圧値)が決定されるとしたが、本実施形態では、受光素子22から得られる光出力信号値に基づいて、半導体レーザ25の駆動電流(あるいは駆動電圧)を制御しているため、実際には、テストライトの結果、受光素子22から得られる光出力信号値を基準出力値とし、その後の記録において、受光素子22からの光出力信号値がテストライトの結果、決定された基準出力値となるように半導体レーザ25の駆動電流(あるいは駆動電圧)を調整するとも言える。
【0063】
本実施形態に係る磁気記録再生装置100の磁気記録媒体5においては、より多くの反射光量が得られるように、磁気記録媒体5の一部の領域に粗領域15を設けているが、テストライトは粗領域15で行っても良いが、粗領域15とは別に設けた記録領域で行うことによって次のような効果がある。
【0064】
いわゆる、テストライトを行う磁気記録再生装置100において、表面粗さが粗い粗領域15と、そうでない領域とでは、磁気記録媒体5に情報を記録する際の、光の出力の条件が異なる可能性がある。例えば、表面粗さが粗いことにより、磁気記録媒体5の表面における光の反射光量が増し、磁気記録媒体5に吸収される光量が減少し、磁気記録媒体5の昇温後の到達温度が減少する場合などである。しかし、本実施形態の構成のように、磁気記録媒体5からの反射光量を受光素子22で受光するための表面粗さが粗い粗領域15とは別の領域において、記録領域にて必要な光出力、つまり、半導体レーザ25の駆動電流(あるいは駆動電圧)を決定し、ボイスコイルモータにより粗領域15上に磁気記録再生ヘッド1を移動させた後、先ほど決定した駆動電流(あるいは駆動電圧)により半導体レーザ25を駆動し、その際に受光素子22により得られる光出力信号値を、半導体レーザ25の光出力を制御する際の基準とすれば良い。なお、このような手法で半導体レーザ25の光出力を制御する方法をとる場合には、上記で説明した方法と次の点で異なる。つまり、本手法を採用する場合には、記録媒体の記録面において粗領域15と、テストライトを行う領域とでは記録面における光の反射の状態が異なる。従って、粗領域15で得られた受光素子22の光出力信号値となるように、粗領域15以外の領域で半導体レーザ25を制御すると、磁気記録媒体5で反射され受光素子22に入射される光の量が小さいために、半導体レーザ25の駆動電流(あるいは駆動電圧)を大きくしてしまう。従って、本手法を採用する場合には、粗領域15以外の領域においては、半導体レーザ25の駆動電流(あるいは駆動電圧)はオープンループの制御とし、受光素子22の光出力信号値を参照せず、あくまで、一定の駆動電流(あるいは駆動電圧)となるように制御し、一定時間間隔、あるいは、磁気記録再生装置としてアイドリング状態になっている時に、磁気記録再生ヘッド1をボイスコイルモータ6により粗領域15に移動して、テストライトにより決定した光出力信号値、すなわち、基準出力値が得られるかをチェックすることになる。このような方法とすることにより、例えば、粗領域15以外に設けられた、記録媒体のユーザー記録領域から受光素子22に充分な反射光量が得られない場合であっても、より安定した半導体レーザ25の光出力の制御が可能となる。
【0065】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る磁気記録再生装置を示した概略説明図である。次に、図7を参照して、第2実施形態に係る磁気記録再生装置の構成について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態の磁気記録再生装置とは異なり、複数の磁気記録媒体がスタックされて(重ねて)設けられると共に、その複数の磁気記録媒体毎に磁気記録ヘッドが設けられている磁気記録再生装置について説明する。なお、この第2実施形態では、複数の磁気記録媒体及び複数の磁気記録ヘッドが設けられる構成以外は、上記第1実施形態と同様であるので、同一部材には、百の位を2とし且つ一の位及び十の位に第1実施形態と同じ符号を付しその説明を省略する。
【0066】
この第2実施形態の磁気記録再生装置200では、スピンドルモータ204に対して、複数の磁気記録媒体205a及び205bがスタックされて取り付けられている。すなわち、スピンドルモータ204に対して、磁気記録媒体205の面法線方向に複数配列されて取り付けられ、一体的に回転駆動されるようになっている。また、各々の磁気記録媒体205に対して、それぞれ2つの磁気記録再生ヘッド201が対応している。具体的には、磁気記録媒体205aに対しては、磁気記録再生ヘッド201a、磁気記録再生ヘッド201bが、磁気記録媒体205bに対しては、磁気記録再生ヘッド201c、磁気記録再生ヘッド201dが対応している。つまり、複数の磁気記録媒体205a及び205bの間に配置された磁気記録再生ヘッド201b及び201cと、磁気記録媒体205a及び205bの外側の記録面側に磁気記録再生ヘッド201a及び201bが配置されている。そして、4つの磁気記録再生ヘッド201は、それぞれサスペンション202、そして、サスペンションアームを介して、ボイスコイルモータにより一体的に駆動されている。
【0067】
第2実施形態では、光源からの光出力、すなわち、光発生素子としての光出力は一定であるのに、受光素子222に入射される光の量が異なり、その結果として、受光素子222から出力される値が変化する場合がある。そのような場合には、受光素子222で出力される信号値の大きさが一定となるように光源を制御すると、光源から出射される光量が変化してしまうことになる。そのような場合には、あらかじめ、光発生素子としての光出力は一定であるのに、受光素子222に入射される光の量が異なるような各々の条件(状況)において、次のようにして光源の光出力を制御すれば良い。
【0068】
まず、上記したテストライトを行うことにより、光源の基準駆動電流値(あるいは基準駆動電圧値)と、その際に受光素子222により得られる基準出力値を決定する。次に光源に基準駆動電流値(あるいは基準駆動電圧値)を印加し、その際に得られる受光素子222の出力と、基準出力との差を計測し、当該基準出力との差をもとに、オフセット値を決定する。そして、以後、各々の条件(状況)において、受光素子から得られる出力にオフセット値を与えたものが、基準出力となるように、光源の光出力を制御する。このようにすることにより、各々の条件(状況)において、光源から出射される光出力の大きさを一定にすることが可能となる。なお、各々の条件(状況)に対応するオフセット値の大きさは磁気記録再生装置内のメモリ等に保持しておけば良い。
【0069】
光源からの光出力、すなわち、光発生素子としての光出力は一定であるのに、受光素子に入射される光の量が異なり、その結果として、受光素子から出力される値が変化する場合の具体例としては次のようなものがある。
【0070】
第2実施形態の磁気記録再生装置では、上記したように、2枚の磁気記録媒体205a及び205bが備えられ、1つの磁気記録媒体に対して2つの磁気記録再生ヘッドが対応してスタックされて配置されている。従って、2つの磁気記録媒体205a及び205bに挟み込まれるように配置された磁気記録再生ヘッド201b及び201cと、そうでない磁気記録再生ヘッド201a及び201d(スタックされた磁気記録媒体の最も外側の磁気記録媒体の外側の記録面側に配置された磁気記録再生ヘッド)が存在することになる。本実施形態の構成では磁気記録媒体201の反射光を受光素子222で受光するような構成としているため、2つの磁気記録媒体で挟み込まれるように配置された磁気記録再生ヘッド201b及び201cの場合、磁気記録媒体205a及び205bからの直接反射光だけではなく、磁気記録媒体205間での多重反射光も受光することになる。一方、磁気記録媒体205a及び205bの外側の記録面側に配置された磁気記録再生ヘッド201a及び201dでは、前述の多重反射光の影響は小さくなる。つまり、光源から同じ光量の光が出射されているにも係わらず、受光素子222の光出力信号値が異なることになる。従って、磁気記録媒体205a及び205bの間に配置された磁気記録再生ヘッド201b及び201cと、磁気記録媒体205a及び205bの外側の記録面側に配置された磁気記録再生ヘッド201a及び201dとにおいて、それぞれ、前述した手法、すなわち、磁気記録媒体205a及び205bに光を照射し、受光素子222で得られた出力をもとに、光源の光出力の制御を行うことにより、多重反射光などの差による反射光量の差を補正し、光源の出射光量を一定に制御を行うことが可能となる。
【0071】
光源からの光出力、すなわち、光発生素子としての光出力は一定であるのに、受光素子に入射される光の量が異なり、その結果として、受光素子から出力される値が変化する場合の他の具体例としては次のようなものがある。
【0072】
磁気記録媒体205a及び205bに挟まれた磁気記録再生ヘッドの場合、磁気記録媒体205a及び205bの内周部における多重反射光の光量と、外周部における多重反射光では光量が異なる場合がある。これは、磁気記録媒体205a及び205bの外周部においては、多重反射される光の量が減ることによる光量減少の可能性があり、内周部においては、スピンドルモータ等の他の部材が付近に存在するため、やはり、多重反射の光量が変化するためである。従って、光発生素子(光源)から同じ光量の光が出射されているにも係わらず、受光素子222の光出力信号値が異なる場合がある。
【0073】
また、磁気記録再生装置200において磁気記録媒体を1枚しか備えない構成であったとしても、磁気記録媒体205の作製プロセスにおいて、磁気記録媒体205の反射光量が半径位置によって異なるものが作成される恐れがある。例えば、磁気記録媒体205の記録面の反射率が半径位置により異なる場合や、磁気記録媒体205の表面の粗さが半径位置により異なる場合などである。そのような場合には、磁気記録媒体205の異なる半径位置において上記手法により半径位置毎のオフセット値を設定することにより、光源の出力を一定に制御することが可能となる。
【0074】
このように、磁気記録媒体205の異なる半径位置において、磁気記録媒体205に光を照射し、光源の光出力、すなわち、出射光量の制御を行うことにより、磁気記録媒体205の半径位置の違いによる多重反射光などの差による反射光量の差を補正し、光源の出射光量の制御を行うことが可能となる。なお、磁気記録媒体205に備えられている記録トラックの全てにおいて上記の手法により光源の光出力の制御を行っても良い。
【0075】
また、第2実施形態では、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る磁気記録ヘッドの側面図であり、図9は、図8に示した第3実施形態に係る磁気記録ヘッドを磁気記録媒体面側から見た概略構成図である。次に、図8及び図9を参照して、第3実施形態に係る磁気記録ヘッドの構成について説明する。この第3実施形態では、上記第1及び第2実施形態の磁気記録再生装置の磁気記録ヘッドとは異なり、外部に設けられる光源を用いる磁気記録ヘッドについて説明する。なお、この第3実施形態では、外部の光源を用いること以外は、上記第1実施形態と同様であるので、同一部材には、百の位を3とし且つ一の位及び十の位に第1実施形態と同じ符号を付しその説明を省略する。
【0077】
この第3実施形態の磁気記録再生ヘッド301は、図3に示した第1実施形態に係る磁気記録再生ヘッドと光源の配置されている場所が異なる。つまり、本実施形態の磁気記録再生ヘッド301では、外部に備えられた光源からの光を、スライダ320に対して外部から入射させている。
【0078】
磁気記録再生ヘッド301は、図8に示すように、サスペンション302に固定されているスライダ320と、スライダ320の側面に設けられた記録再生素子部321とを備えている。また、スライダ320に対して、記録再生素子部321が設けられている側面に対向するように受光素子322が配置されており、受光素子322も磁気記録再生ヘッド301と同様にサスペンション302に固定されている。また、図示しない外部の光源からスライダ320の記録再生素子部321がある側面に光が入射されている。磁気記録再生ヘッド301は、磁気記録媒体305上を浮上しており、磁気記録媒体305は矢印A方向に回転している。
【0079】
図9に示すように、スライダ320の記録再生素子部321が備えられている側面に対向する部分には、2つの受光素子322が配置されており、当該受光素子322の受光面は、磁気記録媒体305に対向する面に設けられている。また、記録再生素子部321の近傍には、記録再生素子部に設けられた記録素子(図示せず)及び再生素子(図示せず)に接続される配線部323が配置されている。また、受光素子322の近傍には、受光素子322に接続される配線部324が設けられている。また、スライダ320の側面には図示しない光導波路が形成されており、当該側面に入射した光源からの光を磁気記録媒体305に導くようになっている。
【0080】
このように、第3実施形態においては、受光素子322を2つ設けている。その理由は、スライダ320に対して光を外部から入射させる際に、受光素子322が当該光の妨げとならないようにするためである。そのために、光の入射光路の方向に対して直交する方向の対称な位置に同じ特性をもった受光素子322を2つ設けた。こうすることにより、スライダ320に対して外部から光を入射させて、磁気記録媒体305に光が照射される磁気記録再生ヘッド301によっても、スライダ320への入射光を阻害せず、磁気記録媒体305からの反射光を効率的に受光することが可能となる。また、入射光路の方向に対して直交する方向に対称に受光素子322を配置することにより、いずれか一方にのみ一つの受光素子322を配置した場合に比べて、より多くの反射光量を受光素子322で受光することができるので、より安定した光源の光出力の制御が可能となる。
【0081】
また、第3実施形態では、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態に係る磁気記録ヘッドの側面図であり、図11は、図10に示した磁気記録再生ヘッドを受光素子側から見た側面図である。次に、図10及び図11を参照して、第4実施形態に係る磁気記録ヘッドの構成について説明する。この第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態の磁気記録ヘッドとは異なり、受光素子が記録素子426と共に、スライダの側面に設けられる磁気記録ヘッドについて説明する。なお、この第4実施形態では、受光素子をスライダの光源が設けられる側面に設けること以外は、上記第1実施形態と同様であるので、同一部材には、百の位を4とし且つ一の位及び十の位に第1実施形態と同じ符号を付しその説明を省略する。
【0083】
この第4実施形態の磁気記録再生ヘッド401は、図10に示すように、サスペンション402に固定されているスライダ420と、記録再生素子部421とを備えている。磁気記録再生ヘッド401は、磁気記録媒体405上を浮上しており、磁気記録媒体405は矢印A方向に回転している。
【0084】
図11に示すように、スライダ420の記録再生素子部421が備えられている側面には、半導体レーザ425、記録素子426、再生素子(図示しない)に加えて、受光素子422が備えられている。この受光素子422は、例えば、スライダとしてAlTiCなどのフォトダイオードを直接作成できない材料を使用する場合には、スライダの側面にSiフォトダイオードを貼り付けることで形成可能である。また、スライダとしてSiを使用する場合には、通常のSiフォトダイオードの製造プロセスを用いて、スライダ側面に作成すれば良い。その場合には別の基板上に作成した光源をスライダの側面に貼り付けても良い。
【0085】
スライダ420の側面に備えられた受光素子422により磁気記録媒体405で反射された光を受光することにより光出力信号値を得て、光源の光出力を制御する点については、上記第1実施形態で説明した手法と同様である。
【0086】
第4実施形態では、スライダ420において、光源が備えられた側面に受光素子422を設けていることにより、磁気記録媒体405に対する光照射部と受光素子422とを近接して配置するができ、より効率よく光を受光することができ、受光素子422からの出力信号におけるSN比を向上させることができるという効果に加えて、受光素子422をスライダ420と別個に設ける必要がなく、磁気記録再生ヘッド401の重量低減、スライダ420の側面に一体的に形成することによる低コスト化などのメリットがある。
【0087】
また、第4実施形態では、スライダ420の側面に受光素子422を設けているために、磁気記録媒体405からの反射光が受光素子422に入射する角度は大きくなるために受光感度が低下する。その受光感度の低下を補うために、受光素子422はスライダ420側面の磁気記録媒体405に近い側に設けるのが望ましい。また、スライダ420の光照射部である光発生素子に近い方が、より多くの光量が受光素子422に入射するので、受光感度の低下を補ううえで望ましい。その場合、本実施形態では、光源から出射された光を、磁界発生源を兼ねた金属からなる配線構造体に入射させているため、光源から配線構造体に入射しない光、あるいは、配線構造体の光源側の面で反射された光なども受光素子422に入射することになる。しかし、これらの光は光源の光出力に比例して光量が変化するため、前述の光が受光素子422に入射しても、光源の光出力には問題とはならず、むしろ、これらの光を積極的に入射させるような位置に受光素子422を配置しても良い。
【0088】
また、第4実施形態では、受光素子422を1つだけスライダ420の側面に形成する例について説明したが、これは、受光素子422への配線部の本数を低減するためであり、本発明はこれに限らず、複数の受光素子422をスライダ420の側面に形成しても良い。
【0089】
また、第4実施形態では、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0091】
例えば、上記実施形態では、本発明の記録ヘッドを磁気記録再生ヘッドに適用する例について説明したが、本発明はこれに限らず、磁界を発生する手段を備えない、光記録ヘッドであっても、同様の効果が得られる。一例として、図1に示した磁気記録再生ヘッドから再生素子を取り除き、記録素子に磁界を発生するための記録電流を印加しない構成のものを考える。その場合においても、記録媒体に対して光を照射する光発生素子の機能は備わっているために、光記録ヘッドとして使用可能である。そのような場合であっても、記録媒体で反射された直接反射光を受光し、その受光素子の出力をもとに光源の光出力の制御を行うことにより駆動電流制御のために光源の出射光を分離するための追加部品の数を少なくすることができる。また、光源の後端面からの出射光を受光する構成に比較して、光源の発光効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置の概略構成図である。
【図2】図1に示した磁気記録再生装置の磁気記録再生ヘッドの側面図である。
【図3】図1に示した磁気記録再生装置における磁気記録再生ヘッドの受光素子を磁気記録媒体側から見た底面図である。
【図4】図1に示した磁気記録再生装置における磁気記録再生ヘッドを受光素子側から見た側面図である。
【図5】図1に示した磁気記録再生装置における半導体レーザと記録素子とを磁気記録媒体側から見た斜視図である。
【図6】磁気記録媒体及び磁気記録再生ヘッドの平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る磁気記録再生装置を示した概略説明図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る磁気記録ヘッドの側面図である。
【図9】図8に示した第3実施形態に係る磁気記録ヘッドを磁気記録媒体面側から見た底面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る磁気記録ヘッドの側面図である。
【図11】図10に示した磁気記録再生ヘッドを受光素子側から見た側面図である。
【図12】熱アシスト磁気記録に使用される磁気記録媒体を構成する記録層の保磁力Hcと温度Tとの関係の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0093】
1、201a〜201d、301、401 磁気ヘッド
2 サスペンション
3、302 サスペンションアーム
4、204 スピンドルモータ
5、205a、205b、305、405 磁気記録媒体
6 ボイスコイルモータ
7 制御部
8 モータドライバ
9 ヘッドアンプ
10 リードライトチャネル
11 レーザドライバ
12 光出力アンプ
13 コントローラ
20、320、420 スライダ
21、321、421 記録再生素子部
22、222、322、422 受光素子
23、24、323、324 配線部
25、425 半導体レーザ
26、426 記録素子
26a 凹部
28 電極パッド
100、200 磁気記録再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に情報を記録する記録素子を備えた記録ヘッドであって、
光源から出射されて前記記録媒体において反射された反射光のうちの少なくとも直接反射光を受光する受光素子を備えることを特徴とする、記録ヘッド。
【請求項2】
前記記録素子を支持するスライダをさらに備え、
前記記録素子は、前記スライダの一方側面に設けられると共に、前記受光素子は、前記スライダの一方側面に対向するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の記録ヘッド。
【請求項3】
前記記録素子を支持するスライダをさらに備え、
前記記録素子及び前記受光素子は、共に前記スライダの一方側面に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の記録ヘッド。
【請求項4】
前記スライダを支持するサスペンションをさらに備え、
前記受光素子は、前記サスペンションに対して、その受光面が前記記録媒体に対向するように配置されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の記録ヘッド。
【請求項5】
前記受光素子は、前記サスペンションに対して、前記スライダが取り付けられている面側に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の記録ヘッド。
【請求項6】
前記記録素子は、一対の電極、及び、前記一対の電極のそれぞれと電気的に接続された導電性の狭窄部を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の記録ヘッド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の記録ヘッドと、
前記記録ヘッドにより記録される情報を記録しておくための記録媒体と、
前記受光素子により取得される光出力値に基づいて、前記光源から出射される光の制御を行う制御部とを備えることを特徴とする、記録装置。
【請求項8】
前記記録媒体が複数設けられると共に、前記記録ヘッドが前記複数の記録媒体毎に設けられる記録装置であって、
前記制御部は、前記複数の記録媒体の間に配置される第1の記録ヘッドの受光素子により取得される光出力値に第1のオフセット値を与え、且つ、前記複数の記録媒体のうちで最も外側の記録媒体の外側に配置される第2の記録ヘッドの受光素子により取得される光出力値に第2のオフセット値を与えることを特徴とする、請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録媒体の記録面には、他の領域より表面粗さが粗い粗領域が設けられており、
前記制御部は、前記光源から出射されて前記粗領域において反射された反射光のうちの直接反射光を受光する前記受光素子により取得される光出力値に基づいて、前記光源から出射される光の制御を行うことを特徴とする、請求項7又は8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録ヘッドは、前記記録媒体に記録された情報を再生するための再生素子を有し、
前記記録媒体には、光源から出射される光の出力を決定するための所定の情報が記録される記録領域が前記粗領域とは異なる箇所に設けられ、
前記制御部は、前記記録領域に記録された情報に係る再生信号を取得し、当該再生信号を評価することにより、前記光源から出射される光の制御を行うことを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
記録面に、他の領域より表面粗さが粗い粗領域が設けられることを特徴とする、請求項9又は10に記載の記録装置用の記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−32308(P2009−32308A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192908(P2007−192908)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】