説明

記録メディア、記録情報破棄確認方法、プログラムのインストール方法およびコンテンツのムーブ方法

【課題】記録情報を破棄したことを、確実に、かつ、容易に証明できる記録メディアを提供する。
【解決手段】記録情報を読み取り不可とするように情報記録部分を破壊することができるように記録メディアを構成する。また、記録メディアに、記録情報が読み取り不可となるように情報記録部分が破壊されたときに目視可能な位置に情報破棄を確認するための所定情報を記録するようにする。情報破棄を確認するための所定情報は、当該記録メディアの情報記録部分を破壊したときにしか取得することができないので、当該取得した所定情報により、記録メディアの記録情報を破棄したことを、確実に、かつ、容易に証明できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、DVD(Digital Versatile Disc)やBlu−ray Disc(以下、BDという)などの記録メディアに関し、特に、容易に記録情報を破棄することができるようにする発明に関する。また、この発明は、記録情報破棄確認方法、プログラムのインストール方法およびコンテンツのムーブ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録メディアの単価の下落に伴い、いわゆる一時的な利用においてもライトワンス記録メディアを使用する機会が多くなった。
【0003】
例えば、50GBの情報を、通信ネットワークを通じて伝送する場合、実効データ伝送速度が、10Mbpsの回線を用いても、50,000×8÷10÷3600=11時間の伝送時間を要する。この伝送時間は、伝送したい容量に比例し、また、回線の細さに反比例して増大し、前記情報を記録したライトワンスの記録メディアを郵送した方がリーズナブルな場合がある。
【0004】
ところで、データの移動が目的である場合に記録メディアを用いる場合には、移動元の記録メディアからのデータの、ハードディスクなど他の移動先の記録メディアへの移動が完了したら、その移動元の記録メディアに記録されている情報の不正な再利用(コピー)を禁止する手立てが必要になる。従来から、そのための種々の方策が提案されている(特許文献1(特開2005−276282号公報)、特許文献2(特開2001−101790号公報)、特許文献3(特開2006−155816号公報)など参照)が、DVDやBDの堅牢性がかえってあだとなり、情報の破棄が手間となっている。
【0005】
上記の特許文献は、次の通りである。
【特許文献1】特開200−276282号公報
【特許文献2】特開2001−101790号公報
【特許文献3】特開2006−155816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、記録メディアを用いて情報の送付と破棄を完全に行なうためには、記録メディアに記録された情報に対してコピー防止の手段を講じた上で、記録メディアを郵送等で送付し、使用期限が切れた後に当該記録メディアを返送してもらい、返送後に、当該記録メディアを、シュレッダ等を用いて破棄するという方法をとらざるを得ない。
【0007】
しかしながら、この方法では、記録メディアの郵送が往復2回行なわれるため、それだけ情報漏洩のリスクは高まるという問題がある。そこで、情報を記録した記録メディアの送付先で、記録メディアの記録情報を破棄したことを、確実に、かつ、容易に証明できるようにすることが望ましい。
【0008】
この発明は、上述の点にかんがみ、記録情報を破棄したことを、確実に、かつ、容易に証明できる記録メディアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、
記録情報を読み取り不可とするように情報記録部分を破壊することができるように構成すると共に、
前記記録情報が読み取り不可となるように前記情報記録部分が破壊されたときに目視可能な位置に情報破棄を確認するための所定情報が記録されている記録メディアを提供する。
【0010】
この構成の記録メディアによれば、情報破棄を確認するための所定情報は、当該記録メディアの情報記録部分を破壊したときにしか取得することができない。したがって、当該取得した所定情報により、記録メディアの記録情報を破棄したことを、確実に、かつ、容易に証明できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明による記録メディアによれば、情報破棄を確認するための所定情報は、当該記録メディアの情報記録部分を破壊したときにしか取得することができないので、当該取得した所定情報により、記録メディアの記録情報を破棄したことを、確実に、かつ、容易に証明できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
先ず、この発明による記録メディアの実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0013】
[記録メディアの第1の実施形態]
この発明による記録メディアの第1の実施形態は、この発明をDVDに適用した場合の実施形態である。
【0014】
DVDの場合、記録層は、0.6mmの上下の基板層の中間に位置する。記録情報を確実に破棄するためには、この記録層を破壊することが望まれる。この第1の実施形態では、後述するようにして、この記録層を破壊できるように、DVDを構成する。
【0015】
また、この第1の実施形態の記録メディアとしてのDVDにおいては、その記録層が破壊されたときに目視できる位置に、パスワードなどの情報破棄を確認するための所定情報が例えば印刷や刻印などにより記録された所定情報形成部が設けられる。
【0016】
この第1の実施形態の記録メディアとしてのDVDの例を、図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態としてのDVD10を説明するための図である。図1(A)は、この実施形態のDVD10を、光ピックアップによる読み取り側とは反対側の基板11の表面11aを見た図である。また、図1(B)、(C)は、DVD10を厚さ方向に直交する方向から見た図であるが、説明のために、実際よりも厚み方向の大きさを誇張して示したものである。なお、図1(C)は、DVD10を破壊したときの状況を説明するためのものである。
【0017】
この図1に示すように、この実施形態のDVD10は、光ピックアップによる読み取り側の基板12と、前記読み取り側とは反対側の基板(以下、非読み取り側基板という)11との間に、記録層13を備えている。そして、この実施形態では、非読み取り側基板11と記録層13との間に、スクラッチ剥離層14と、所定情報形成部の例としての所定情報印刷層15とを形成する。すなわち、基板12側から光ピックアップにより記録層13に対して記録情報を読み書きする際に、全く支障の無い位置であって、記録層13を除去しないと現れない位置に、スクラッチ剥離層14と、所定情報印刷層15とを形成する。スクラッチ剥離層14は、例えばコインなどで擦ることにより、剥離可能な層である。
【0018】
所定情報印刷層15は、記録層13およびスクラッチ剥離層14が剥離されて、当該印刷層15が露呈したときに、印刷されている所定情報、この例では記号や数字などからなるパスワードが目視できるように構成された層である。この場合、所定情報印刷層15には、記録層13側から、スクラッチ剥離層14を剥離したときにのみ、パスワードが目視で読み取れるように印刷されており、また、非読み取り側基板11側からは、所定情報印刷層15に印刷されているパスワードが目視で読み取れないように、当該パスワードが所定情報印刷層15に印刷されている。
【0019】
そして、この実施形態のDVD10には、当該DVD10が記録層13のところから上下の、基板11と基板12とに分離して剥がれるのを補助するようにするための、基板11にスリット16が、DVD10の例えば直径方向に形成されている。
【0020】
したがって、利用者が、このスリット16で分離されるDVD10の両半円部分を、当該スリット16が広がるように、下方に撓ませるようにすると、図1(C)に示すように、非読み取り側基板11が、このスリット16に沿って破断すると共に、記録層13の部分から、基板11と基板12とが剥がれるようになる。
【0021】
そこで、利用者は、基板11と基板12とを剥がして分離した後、図2(A)に示すように、例えばコインなどの切削用具17を用いて、基板11に残る記録層13を削り落とすと共に、スクラッチ剥離層14をも削り落とすようにする。すると、図2(B)に示すように、所定情報印刷層15が露呈する状態になる。
【0022】
前述したように、この所定情報印刷層15には、この例では、例えば図2(C)に示すようなパスワード18が印刷されているので、利用者は、この所定情報印刷層15に印刷されているパスワード18を目視して認識することができる。
【0023】
したがって、例えば、この実施形態のDVD10に、伝送すべき情報を記録して郵送した後、送付先の利用者から、所定情報印刷層15に印刷されているパスワードを、電話やメールで通知してもらうことにより、ライトワンスの記録メディアとしてのDVD10の記録層13が破壊され、記録情報が破棄されたことを確認することができる。この場合、情報を記録してDVD10を送る側では、DVD10のパスワードが何であるかを管理するようにするのは言うまでもない。
【0024】
なお、所定情報印刷層15に印刷されているパスワードを読み取るために、記録層13を残して、非読み取り側基板11を削り取るようにすることも可能であるが、基板11が0.6mmと比較的厚く、しかも、所定情報印刷層15に印刷されている所定情報を裏側から読み取るように精細に削るようにしなければならないので、非常に困難な作業となり、現実的ではない。
【0025】
[記録メディアの第2の実施形態]
この発明による記録メディアの第1の実施形態は、この発明をBDに適用した場合の実施形態である。
【0026】
従来の一般的なBDは、基板の一面に記録層が形成され、その記録層がカバー層により保護される構造とされ、カバー層側から光ピックアップにより記録層の記録情報が読み取られるようになっている。カバー層は、従来は、非常に硬質の素材で構成されている。
【0027】
これに対して、この発明による記録メディアの第2の実施形態としてのBD20は、図3に示すように構成する。なお、図3(A)、(B)は、BD20を厚さ方向に直交する方向から見た図であるが、説明のために、実際よりも厚み方向の大きさを誇張して示したものである。また、図3(B)は、BD20を破壊したときの状況を説明するためのものである。
【0028】
図(A)および(B)に示すように、この実施形態のBD20は、非読み取り側の基板21とカバー層22との間に情報記録層23を備えるものであるが、この実施形態では、非読み取り側基板21と記録層23との間に、スクラッチ剥離層24と、所定情報印刷層25とを形成する。そして、この実施形態においては、カバー層22は、従来のような硬質のものでもよいが、好ましくは、削り取ることが比較的容易な軟質の材料、例えば○○○○(発明者様;この部分に適切と思われる材料の例を挙げてください)で構成される。
【0029】
そして、カバー層22側から光ピックアップにより記録層23に対して記録情報を読み書きする際に、全く支障の無い位置であって、記録層23を除去しないと現れない位置に、スクラッチ剥離層24と、所定情報印刷層25とを形成する。スクラッチ剥離層24は、例えばコインなどで擦ることにより、剥離可能な層である。
【0030】
所定情報印刷層25は、カバー層22、記録層23およびスクラッチ剥離層24が剥離されて、当該印刷層25が露呈したときに、印刷されている所定情報、この例では記号や数字などからなるパスワードが目視できるように構成された層である。この場合、所定情報印刷層25には、記録層23側から、スクラッチ剥離層24を剥離したときにのみ、パスワードが目視で読み取れるように印刷されており、また、非読み取り側基板21側からは、所定情報印刷層25に印刷されているパスワードが目視で読み取れないように、当該パスワードが所定情報印刷層25に印刷されている。
【0031】
したがって、利用者が、図3(B)に示すように、例えばコインなどの切削用具26を用いて、カバー層22、記録層23およびスクラッチ層24を削り落とすようにすると、所定情報印刷層25が露呈する状態になる。
【0032】
前述したように、この所定情報印刷層25には、この例では、例えば図3(C)に示すようなパスワード27が印刷されているので、利用者は、この所定情報印刷層25に印刷されているパスワード27を目視して認識することができる。
【0033】
したがって、例えば、この実施形態のBD20に、伝送すべき情報を記録して郵送した後、送付先の利用者から、所定情報印刷層25に印刷されているパスワード27を、電話やメールで通知してもらうことにより、ライトワンスの記録メディアとしてのBD20の記録層23が破壊され、記録情報が破棄されたことを確認することができる。この場合も、情報を記録してBD20を送る側では、BD20のパスワード27が何であるかを管理するようにするのは言うまでもない。
【0034】
また、上述のDVD10の場合と同様に、所定情報印刷層25に印刷されているパスワードを読み取るために、記録層23を残して、非読み取り側基板21を削り取るようにすることも可能であるが、基板21が比較的厚く、しかも、所定情報印刷層25に印刷されている所定情報を裏側から読み取るように精細に削るようにしなければならないので、非常に困難な作業となり、現実的ではない。
【0035】
[記録メディアの第3の実施形態]
上述の実施形態の記録メディアは、記録層を破壊したときに得られる所定情報、例えばパスワードのみにより、記録メディアの記録層が破壊されたことを確認するようにしている。すなわち、情報を記録メディアに記録して送付する側は、後で、送付先から通知される所定情報(第1の所定情報)としてのパスワードにより、記録層が確認されたか否かを判断するようにする。
【0036】
この場合、記録メディアを送付する側でも記録メディアのパスワードは目視できないので、1枚ごとに異なるパスワードを付与するようにしようとした場合には、個々の記録メディアと、パスワードとの対応を管理することが困難である。このため、パスワードは、記録メディアの1枚ごとに異なるものを用いることは困難であり、例えば、グループ単位などで、共通のパスワードを使用することになる。
【0037】
しかし、これでは、事前にパスワードが漏れてしまった場合には、記録メディアの記録層が本当に破壊されて記録情報がされたか否かを確実に確認することができなくなってしまう。この第3の実施形態では、この点を改善することができるようにしている。
【0038】
この第3の実施形態においても、上述した第1および第2の実施形態と全く同様に、DVD10やBD20には、その記録層13や23を破壊したときに目視できるようにパスワード(第1の所定情報)を、所定情報印刷層15や25に印刷するようにする。
【0039】
そして、この第3の実施形態においては、これに加えて、例えば非読み取り側基板11や21の、レーベルなどが印刷される面など、利用者が目視できる位置に、所定情報印刷層15や25に印刷されるパスワードに関連付けられる情報(第2の所定情報)、この例では、ハッシュ値を印刷したり、ハッシュ値を印刷したシールを貼着したりするなどして、記録しておくようにする。
【0040】
ここで、ハッシュ値は、パスワードから生成することができる値であるが、当該ハッシュ値からパスワードを生成することはできない値である。したがって、パスワードが分かると、当該ハッシュ値が、そのパスワードから生成された関連値であることを判別することができるが、ハッシュ値からはパスワードを知ることができない。
【0041】
図4は、この第3の実施形態が適用されたDVD10の、非読み取り基板11の面(レーベル面)11aを示すもので、このレーベル面11aの所定の位置に、この例では、ハッシュ値19を印刷しておくものである。
【0042】
この第3の実施形態の記録メディアを用いて、記録情報が破棄されたことを証明する手順を、図5を参照しながら説明する。図5の左側の手順のフローチャートは、記録メディアに情報を記録して、所定の送り先に送る送り手側の手順のフローチャートであり、また、右側のフローチャートは、記録メディアを受け取って、例えばその記録情報を利用した後、当該記録メディアの記録層を破壊して記録情報の破棄を行う受け手(送り先)側の手順のフローチャートである。
【0043】
先ず、送り手側は、記録情報を記録した記録メディア、例えばDVD10を送り先に送るに先立ち、当該DVD10のレーベル面11aに印刷してあるハッシュ値19を読み取り、例えば送り先および当該DVD10のレーベルなどと関連付けて、記憶しておく(手順1)。そして、当該DVD10を、送り先に、郵送などにより送付する(手順2)。
【0044】
受け手側は、このDVD10を受け取り、必要に応じて記録情報を読み出して、利用する(手順T11)。そして、例えば記録情報の利用が済んだら、当該DVD10の記録層13を前述のように破壊して、所定情報印刷層15に印刷されているパスワード18を読み取る(手順T12)。そして、読み取ったパスワード18を、例えば電話やメールで、送り手側に通知する(手順T13)。このとき、パスワード18のみではなく、DVD10のレーベル面11aに印刷されているハッシュ値19を併せて、送り手側に通知するように取り決めをしてもよい。
【0045】
送り手側では、受け手側からのパスワード18を受け取り(手順T3)、当該受け取ったパスワード18と、手順T1で記憶していた、受け手側に送ったDVD10のレーベル面に印刷されていたハッシュ値との関連を照合する(手順T4)。なお、手順T13で、ハッシュ値19が受け手側から通知される場合には、記憶していたハッシュ値と照合することで、受け手側からパスワードの通知を受けたDVDが、送ったDVD10であるかどうかを確かめることができる。
【0046】
手順T4での照合の結果、通知を受けたパスワード18から、記憶していたハッシュ値が得られるような関係になっているときには、関連照合がOKであるとして、受け手側では、DVD10の記録層が破壊されて記録情報が破棄されたことを確認するようにする(手順T5)。
【0047】
また、手順T4での照合の結果、通知を受けたパスワード18から、記憶していたハッシュ値が得られない関係になっているときには、関連照合がNGであるとして、受け手側では、DVD10の記録情報が、未だ破棄されていないことを認識することができる(手順T6)。
【0048】
以上のようにして、この第3の実施形態の記録メディアを用いれば、記録情報が破棄される対象の記録メディアのそれぞれを特定することができると共に、当該記録メディアにおいて、記録層が破壊されて記録情報が破棄されたことを確実に証明することが可能になる。
【0049】
なお、上述の第3の実施形態の説明では、第2の所定情報の例であるハッシュ値は、記録メディアに直接に印刷等により目視可能に付されるようにしたが、記録メディアの収納ケースに、例えば印刷などにより目視可能に付されるようにしてもよい。しかし、収納ケースの場合には、記録メディアとの対応が付かなくなるおそれがあるので、記録メディア自体に直接に、目視可能に付されるようにした方がよい。
【0050】
また、第2の所定情報は、第1の所定情報と関連が付けられる情報であればよいので、上述のようなハッシュ値に限られるものではない。例えば、送り手側に関連付けテーブルを用意しておき、当該テーブルにより関連付けをした第1の所定情報と、第2の所定情報とを用いるようにしてもよい。
【0051】
[記録メディアの第4の実施形態]
この第4の実施形態の記録メディアは、1回だけインストール可能にプログラムを記録するようにした記録メディアである。
【0052】
上述した第1および第2の実施形態では、記録メディアの記録層が破壊されて記録情報が破棄されたことを証明するため、所定情報として、パスワードを記録するようにしている。
【0053】
この第4の実施形態では、記録メディアは、構造上は、上述した第1および第2の実施形態と同様に構成するが、記録情報をプログラムとすると共に、所定情報として、パスワードの代わりに、記録されたプログラムについてのライセンスキー等の、当該プログラムを起動させるための情報を印刷しておくようにする。
【0054】
そして、この第4の実施形態の記録メディアに記録されるプログラムは、そのインストール用のプログラムと、ライセンスキーが入力されたときに、当該プログラムを起動するようにする起動用プログラムを含むものとする。
【0055】
この第4の実施形態の記録メディアを用いたときのプログラムのインストールおよび起動の手順を、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0056】
先ず、利用者は、この第4の実施形態の記録メディアの例としてのDVD10またはBD20を、プログラムのインストール対象のハードウエア、例えばパーソナルコンピュータに装填して、プログラムをパーソナルコンピュータにインストールする(手順T21)。このとき、当該プログラムが、前記インストール用のプログラムによりインストールされ、かつ、起動用プログラムも、パーソナルコンピュータにインストールされる。
【0057】
次に、利用者は、プログラムをインストールしたDVD10またはBD20をパーソナルコンピュータからイジェクトして取り出し、前述したようにして、当該DVD10またはBD20の記録層13または23を破壊して、所定情報印刷層15または25に印刷されている所定情報としてのライセンスキーを露呈させ、当該ライセンスキーを目視により読み取る(手順T22)。この場合、記録層13または23の破壊により、インストール用プログラムおよび起動用プログラムを含む前記プログラムが、当該DVD10またはBD20から破棄されることになる。
【0058】
次に、利用者は、読み取ったライセンスキーを、インストールしたプログラムの起動用キーとしてパーソナルコンピュータに対して入力する(手順T23)。すると、パーソナルコンピュータでは、前述した起動用プログラムにより、入力されたライセンスキーが正しいライセンスキーであるかどうか照合が行われる(手順T24)。
【0059】
そして、パーソナルコンピュータでは、前記起動用プログラムによる手順T24における照合の結果、ライセンスキーが正しいと判別したときには、前記起動用プログラムにより、インストールされたプログラムが起動可能とされて、有効に動作する状態とされる(手順T25)。
【0060】
また、パーソナルコンピュータでは、前記起動用プログラムによる手順T24における照合の結果、ライセンスキーが正しくないと判別したときには、前記起動用プログラムにより、インストールされたプログラムは起動しない状態とされる(手順T26)。
【0061】
以上のようにして、この第4の実施形態によれば、1回のみインストール可能とすることができる記録メディアを提供することができる。
【0062】
[第5の実施形態]
DVDなどに採用されている、記録メディア向けの著作権保護技術としてCPRM(Content Protection Recordable Media)が知られている。このCPRMは、コンテンツ(例えば、音楽コンテンツ、映画やテレビ番組などの映像コンテンツ、ゲームコンテンツ、電子書籍のコンテンツなど)のデジタルコピーを、記録メディアに記録する際の一度だけ許容し、記録メディアから他の機器や記録メディアへのさらなるコピーを禁止して、「コピーワンス」を実現するものである。
【0063】
CPRMでは、記録メディアの1枚ごとに固有(ユニーク)の「メディアID」と、一定の生産枚数毎に変更される「MKB」(Media Key Block)と呼ばれる情報が、対応記録メディアに記録される。そして、対応記録メディアにコンテンツを記録する際には、上記の2つのキー情報に加え、記録機器が持つ「デバイスキー」を用いてコンテンツの暗号化を行った後、記録を実行するようにする。
【0064】
もしも、他のメディアにコンテンツをコピーした場合には、暗号化されたコンテンツ本体は記録することができるが、メディアIDやMKBまではコピーできないため、復号時に暗号化に使用した鍵を生成することができず、再生することができない。
【0065】
しかしながら、このコピーワンジェネレーションの運用における、現在のCPRMでは、仮にDVDからハードディスクへの、記録されているコンテンツのムーブ(コンテンツ情報が、移動元に残らずに、移動先に移動すること)を許すと、以下の手順で際限なくコピー(コピーの結果、コンテンツ情報は、コピー元とコピー先の両方に存在する)が可能となる問題がある。
【0066】
(1)暗号化されたままの状態でコンテンツのバックアップを取る
(2)DVDからハードディスクにムーブする
(3)このムーブの時点でDVDの内容は消去されたとしても、(1)でバックアップしたコンテンツを当該DVDにリストア(再ストア)すると、メディアIDやMKBなどのメディアユニークキーは変化しないため、元のDVDの再現が可能となる
(4)もう一度DVDからハードディスクにムーブする
(5)以上を繰り返す。
【0067】
この第5の実施形態では、上述の問題を解決するようにする。すなわち、この第5の実施形態も、第4の実施形態と同様に、記録メディアは、構造上は、上述した第1および第2の実施形態と同様に構成するが、記録情報をコンテンツの情報とすると共に、所定情報として、パスワードの代わりに、前述したメディアユニークキー(メディアIDおよびMKB)を印刷しておくようにする。
【0068】
なお、この第5の実施形態の場合には、記録メディアの記録層に記録する情報には、メディアユニークキー(メディアIDおよびMKB)は含めず、メディアユニークキーは、所定情報印刷層15,25にのみ、印刷により記録するようにする。
【0069】
この第5の実施形態の記録メディアを用いたときのコンテンツのムーブにおける手順を、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
先ず、利用者は、この第5の実施形態が適用されたCPRM対応記録メディア、例えばDVD10やBD20に記録されているコンテンツを、例えばパーソナルコンピュータに装填して、そのハードディスクにムーブする(手順T31)。
【0071】
次に、利用者は、パーソナルコンピュータから、第5の実施形態が適用されたCPRM対応記録メディアの例としてのDVD10またはBD20をイジェクトして取り出し、前述したようにして、当該DVD10またはBD20の記録層13または23を破壊して、所定情報印刷層15または25に印刷されている所定情報としてのメディアユニークキーを露呈させ、当該メディアユニークキーを目視により読み取る(手順T32)。この場合、記録層13または23の破壊により、コンテンツの情報が、当該DVD10またはBD20から破棄されることになる。
【0072】
次に、利用者は、読み取ったメディアユニークキーを、ムーブしたパーソナルコンピュータのハードディスクに対して入力する(手順T33)。したがって、この入力されたメディアユニークキーにより、ハードディスクにムーブされたコンテンツは、復号することが可能となる。しかし、メディアユニークキーが入力されない場合には、ムーブされたコンテンツの復号ができない。この結果、1個のみ、コピーのコンテンツが存在する状況を確実にすることができる。
【0073】
[その他の実施形態または変形例]
上述の第1および第2の実施形態では、所定情報をパスワードという名称で呼んだが、この所定情報は、記録層に記録されていた記録情報の破棄を確認することができる情報であればよいので、その呼び方はパスワードにこだわらず、何でもよい。第3の実施形態における第1の所定情報についても同様である。
【0074】
また、所定情報(第3の実施形態の第1の所定情報を含む)は、所定情報印刷層に印刷により形成するようにしたが、当該所定情報の記録メディアへの記録の方法は、印刷に限られるものではないことは言うまでもない。例えば、所定情報が記録されたシート状物が、記録層が破棄(除去)されたときに、目視可能となるように、記録メディアに設けられる構成であってもよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、記録メディアとしては、DVDおよびBDの場合を例に説明したが、この発明が適用される記録メディアとしては、これらDVDやBDに限られるものではないことは言うまでもない。また、ディスクメディアに限られるものでもなく、要は、情報記録部分を物理的に破壊することができ、かつ、当該情報記録部分を破壊したときに、目視可能な位置に所定情報を記録することができるような記録メディアであれば、どのような記録メディアでも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】この発明による記録メディアの第1の実施形態を説明するための図である。
【図2】この発明による記録メディアの第1の実施形態を説明するための図である。
【図3】この発明による記録メディアの第2の実施形態を説明するための図である。
【図4】この発明による記録メディアの第3の実施形態を説明するための図である。
【図5】この発明による記録メディアの第3の実施形態を用いて、1回のみインストール可能を実現するための手順を示すフローチャートである。
【図6】この発明による記録メディアの第3の実施形態を用いて、1回のみインストール可能を実現するための手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明による記録メディアの第3の実施形態を用いて、1回のみインストール可能を実現するための手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
10…DVD、20…BD、11、21…非読み取り側基板、12,22…読み取り側基板、13,23…記録層、14,24…スクラッチ剥離層、15,25…所定情報印刷層、16…スリット、17,26…切削用具、18,27…パスワード、19…ハッシュ値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録情報を読み取り不可とするように情報記録部分を破壊することができるように構成すると共に、
前記記録情報が読み取り不可となるように前記情報記録部分が破壊されたときに目視可能な位置に情報破棄を確認するための所定情報が記録されている記録メディア。
【請求項2】
記録情報を読み取り不可とするように情報記録部分を破壊することができるように構成すると共に、
目視可能な位置に記録されている第1の所定情報と、
前記記録情報が読み取り不可となるように破壊されたときに目視可能な位置に記録され、前記第1の所定情報と相俟って、情報破棄を確認するための第2の所定情報と
を備える記録メディア。
【請求項3】
請求項1に記載の記録メディアにおいて、
前記記録メディアは、ディスクメディアであって、記録層の、読み取り側とは反対側に、前記所定情報が記録されており、前記記録層が破壊されることにより、前記所定情報が目視可能とされる
ことを特徴とする記録メディア。
【請求項4】
請求項2に記載の記録メディアにおいて、
前記記録メディアは、ディスクメディアであって、記録層の、読み取り側とは反対側に、前記第2の所定情報が記録されており、前記記録層が破壊されることにより、前記第2の所定情報が目視可能とされる
ことを特徴とする記録メディア。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の記録メディアにおいて、
少なくとも、記録層の読み取り側とは反対側には基板が設けられ、前記基板面に、前記記録層部分を露呈する状態で基板が剥がれるように破壊するためのスリットを設けた
ことを特徴とする記録メディア。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の記録メディアにおいて、
前記記録層の、読み取り側にはカバー層が形成されていると共に、
前記カバー層は、削り取ることが可能な材料で構成される
ことを特徴とする記録メディア。
【請求項7】
記録メディアを、記録情報を読み取り不可とするように情報記録部分を破壊することができるように構成すると共に、前記記録メディアに記録されている情報が読み取り不可となるように前記記録メディアを破壊したときに目視可能となる位置に、情報破棄を確認するための所定情報を記録したものにより構成し、
前記所定情報を取得することにより、前記記録メディアに記録されている情報の破棄を確認するようにする記録メディアの記録情報破棄確認方法。
【請求項8】
記録メディアを、記録情報を読み取り不可とするように情報記録部分を破壊することができるように構成すると共に、目視可能な位置に記録されている第1の所定情報と、前記記録情報が読み取り不可となるように前記記録メディアが破壊されたときに、目視可能な位置に記録され、前記第1の所定情報と相俟って、情報破棄を確認するための第2の所定情報とを備えるものにより構成し、
前記第1の所定情報と前記第2の所定情報との両情報を照合することにより、前記記録メディアに記録されている情報の破棄を確認するようにする記録メディアの記録情報破棄確認方法。
【請求項9】
記録メディアを、記録されているプログラムを読み取り不可とするように情報記録部分を破壊することができるように構成すると共に、前記記録されているプログラムが読み取り不可となるように前記記録メディアを破壊したときに目視可能となる位置に、前記プログラムのライセンスキーを記録したものにより構成し、
前記記録メディアの前記プログラムを、ハードウエアにインストールした後、前記記録メディアを物理的に破壊して、前記ライセンスキーを目視により取得し、前記ハードウエアに前記ライセンスキーを入力することで、前記プログラムを使用可能にする
ことを特徴とするプログラムのインストール方法。
【請求項10】
記録メディアを、記録されているプログラムを読み取り不可とするように情報記録部分を破壊することができるように構成すると共に、前記記録されているコンテンツが読み取り不可となるように前記記録メディアを破壊したときに目視可能となる位置に、前記記録メディア毎にユニークなキー情報を記録したものにより構成し、
前記記録メディアの前記コンテンツを、他の記録メディアにムーブしたときに、前記ムーブの後、前記記録メディアを物理的に破壊して、前記記録メディア毎にユニークなキー情報を目視により取得し、前記他の記録メディアに記録することにより、前記コンテンツのムーブを完了させるようにする
ことを特徴とするコンテンツのムーブ方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−3600(P2009−3600A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162183(P2007−162183)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】