説明

記録体作成装置

【課題】基体に転写された画像への影響を抑制して積層体から薄膜部材を剥離することができる記録体作成装置を提供する。
【解決手段】記録体作成装置10は、基体4と画像が形成された薄膜部材2とを圧着して基体に画像を転写する圧着転写装置18と、圧着転写装置18において基体4と薄膜部材2aとが積層された積層体の基体4から薄膜部材2を剥離する剥離装置20と、を有し、積層体は、薄膜部材2の少なくとも一部が基体4の端部から突出した突出部分2aを備え、剥離装置20は、突出部分2aを利用して基体4から薄膜部材2を剥離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録体作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィルムの少なくとも片面に電子写真方式により定着画像を形成する画像形成部と、ICメモリ入りコアシートとフィルムとを積層した積層体を位置決めする位置決め部と、位置決めされた積層体を加圧することにより、ICメモリ入りコアシートをフィルムでラミネートするラミネート部と、ICメモリに情報の書き込みを行う通信部と、を備えるICメモリ入りプラスチックシートの作成装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−35124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、基体に転写された画像への影響を抑制して積層体から薄膜部材を剥離することができる記録体作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る本発明は、基体と画像が形成された薄膜部材とを圧着して基体に画像を転写する転写部と、前記転写部において基体と薄膜部材とが積層された積層体の基体から薄膜部材を剥離する剥離部と、を有し、前記積層体は、薄膜部材の少なくとも一部が基体の端部から突出した突出部分を備え、前記剥離部は、突出部分を利用して基体から薄膜部材を剥離する記録体作成装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記剥離部は、回転して積層体を搬送する複数の回転部材、を有し、前記回転部材に突出部分を突き当てるようにして基体から剥離部材を剥離する請求項1記載の記録体作成装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記剥離部は、突出部分が前記回転部材に突き当たることにより形成される空隙を前記積層体の一端から他端まで移動させるようにして基体から薄膜部材を剥離する請求項2記載の記録体作成装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記回転部材は、基体と該基体から剥離した薄膜部材とを分離して搬送する請求項2又は3記載の記録体作成装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、突出部分の一部に押し当たりながら、該突出部分の長手方向一端から他端に向かって移動する押当部、をさらに有する請求項1乃至4いずれか記録体作成装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記押当部は、前記積層体の搬送方向に直交する方向に対して傾斜する方向に移動する請求項5記載の記録体作成装置である。
【0011】
請求項7に係る本発明は、薄膜部材に画像を形成する画像形成部、をさらに有する請求項1乃至6いずれか記載の記録体作成装置である。
【0012】
請求項8に係る本発明は、基体に情報を書き込む情報書き込み部、をさらに有する請求項1乃至7いずれか記載の記録体作成装置である。
【0013】
請求項9に係る本発明は、前記情報書き込み部が書き込んだ情報について判定する情報判定部、をさらに有し、前記情報書き込み部は、前記積層体形成部により積層体が形成される前に、基体に情報を書き込み、前記情報判定部は、前記積層体形成部により積層体が形成される前に、前記情報書き込み部が書き込んだ情報について判定する請求項8記載の記録体作成装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明によれば、基体に転写された画像への影響を抑制して積層体から薄膜部材を剥離することができる。
【0015】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して、構成を簡略化することができる。
【0016】
請求項3に係る本発明によれば、請求項2に係る発明の効果に加えて、より効果的に、基体に転写された画像への影響を抑制して積層体から薄膜部材を剥離することができる。
【0017】
請求項4に係る本発明によれば、請求項2又は3に係る発明の効果に加えて、本構成を有さない場合と比較して、画像記録体を簡易に仕分けることができる。
【0018】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1乃至4いずれかに係る発明の効果に加えて、本構成を有さない場合と比較して、容易に積層体から薄膜部材を剥離することができる。
【0019】
請求項6に係る本発明によれば、請求項5に係る発明の効果に加えて、積層体を搬送しながら押当部が積層体に押当たることができる。
【0020】
請求項7に係る本発明によれば、請求項1乃至6いずれかに係る発明の効果に加えて、記録体を作成する一連の工程において薄膜部材に画像を形成することができる。
【0021】
請求項8に係る本発明によれば、請求項1乃至7いずれかに係る発明の効果に加えて、記録体を作成する一連の工程において基体に情報を書き込むことができる。
【0022】
請求項9に係る本発明によれば、請求項8に係る発明の効果に加えて、本構成を有さない場合と比較して、情報記憶体に書き込まれる情報について欠陥がある場合に、その要因を判断し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態が適用される情報記憶体作成装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態が適用される剥離装置の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態が適用される回転部材による剥離動作を説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態が適用される押当部が薄膜部材の突出部分へ押当たる動作を説明する説明図である。
【図5】本発明の一実施形態が適用される剥離装置における剥離動作の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての情報記憶体作成装置10の概略図を示す。
情報記憶体作成装置10は、画像が記録され情報が記憶された、例えばICカード等の記録体を作成する。
【0025】
記録体作成装置10は、画像形成装置12と、丁合装置14と、情報書き込み装置16と、圧着転写装置18と、剥離装置20とを備える。
【0026】
画像形成装置12は、画像形成部22と、薄膜部材供給部24と、搬送路26とにより構成される。
【0027】
画像形成部22は、例えば4個の像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kと、転写装置32とにより構成される。像形成ユニット30Y、30M、30C、30KはそれぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)のトナーを用いて現像剤像を形成する。
像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kは、対応する色が異なっているものの同様の構成となっている。以下、各色に対応するY、M、C、Kを省略して「像形成ユニット30」のように総称して説明する場合がある。
各色に対応する他の構成(感光体ドラム34、帯電装置36等)についても同様とする。
【0028】
像形成ユニット30はそれぞれ、像保持体として用いられる感光体ドラム34と、この感光体ドラム34を帯電する帯電装置36と、この帯電装置36に潜像を形成する潜像形成装置38と、この潜像形成装置38によって感光体ドラム34の表面に形成された静電潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成する現像装置40と、感光体ドラム34の表面を清掃する清掃装置42とを有する。
現像装置40にはそれぞれ、対応する色のトナーが供給される。
【0029】
転写装置32は、転写体として用いられるベルト状の中間転写体52と、一次転写装置として用いられる一次転写ロール54Y、54M、54C、54Kと、二次転写装置として用いられる二次転写ロール56と、中間転写体52の表面を清掃する清掃装置58とを有する。
【0030】
中間転写体52には、感光体ドラム34それぞれに形成されたトナー像が重ねられるようにして転写される。
中間転写体52は、支持部材として用いられる例えば四つの支持ロール60a、60b、60c、60dによって回転自在に支持されている。本実施形態においては、支持ロール60aはモータ等の駆動部(非図示)に接続されており、この支持ロール60aが駆動回転することで中間転写体52が回転するように構成されている。
支持ロール60dは、二次転写ロール56のバックアップロールとして機能する。
【0031】
一次転写ロール54Y、54M、54C、54Kはそれぞれ、感光体ドラム34Y、34M、34C、34Kに形成された各色に対応するトナー像を、中間転写体52に転写する。
【0032】
二次転写ロール56は、中間転写体52に転写された各色のトナー像を、薄膜部材供給部24から供給される薄膜部材2に転写する。
【0033】
薄膜部材2は、少なくとも片面に画像を形成する画像形成層を有し、この画像形成層は離型する特性(離型特性)を備えている。このため、薄膜部材2は、後述する基体4に圧着されることによりこの薄膜部材2に形成された画像を基体4に転写するようになっている。また、基体4に圧着された薄膜部材2自体は、外部から力及び熱を加えることにより、この基体4から剥離されるようになっている。
薄膜部材2としては、例えば比較的硬く(コシがあり)光透過性を有するもの(変性ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等)が用いられる。
【0034】
薄膜部材供給部24は、例えば薄膜部材2を積層した状態で収納する薄膜部材収納容器72と、この薄膜部材収納容器72に収納された最上位の薄膜部材2を抽出する抽出ロール74と、この抽出ロール74で抽出された薄膜部材2を画像形成部22に向けて搬送する搬送ロール76と、この搬送ロール76に接触し搬送ロール76との間で薄膜部材2を分離する分離ロール78とを有する。
【0035】
搬送路26は、主搬送路80と、反転搬送路82とにより構成される。
【0036】
主搬送路80は、薄膜部材供給部24から供給された薄膜部材2を丁合装置14に向けて搬送する搬送路である。
主搬送路80には、薄膜部材2の搬送方向上流側から順に、レジストロール84と、二次転写ロール56と、ベルト状の搬送部86と、定着装置88と、反転切替部90と、排出ロール92とが配置されている。
【0037】
レジストロール84は、停止した状態から所定のタイミングで回転を開始し、中間転写体52にトナー像が転写されるタイミングに合致するように、薄膜部材2を中間転写体52と二次転写ロール56との接触部に供給する。
【0038】
定着装置88は、転写装置32によりトナー像が転写された薄膜部材2にこのトナー像を定着させる。
【0039】
反転切替部90は、薄膜部材2を反転させて(画像が形成された側の面を下側にして)丁合装置14へ搬送する場合に、この薄膜部材2を反転搬送路82へ搬送するように、搬送方向を切り替える。
【0040】
排出ロール92は、定着装置88によってトナー像が定着された薄膜部材2を丁合装置14に向けて排出する。
【0041】
反転搬送路82は、一方の面に画像が形成された薄膜部材2を反転させる搬送路である。反転搬送路82には、例えば2つの反転搬送ロール94a、94bが配置されている。反転搬送ロール94a、94bは、薄膜部材2を反転搬送路82に搬送し、その後、この反転搬送路82に搬送したときとは反対方向に回転し、薄膜部材2の画像が形成された側の面を下側となるようにして排出ロール92へ搬送する。
【0042】
丁合装置14は、基体供給部100と、搬送路102と、丁合部104とにより構成される。
【0043】
基体供給部100は、例えば基体4を積層した状態で収納する基体収納容器110と、この基体収納容器110に収納された最上位の基体4を抽出する抽出ロール112と、この抽出ロール112で抽出された基体4を丁合部104に向けて搬送する搬送ロール114と、この搬送ロール114に接触し搬送ロール114との間で基体4を分離する分離ロール116とを有する。
【0044】
基体4は、例えばICメモリを複数内蔵するプラスチックシートであり、情報が書き込み自在なように構成されている。本実施形態において基体4は、搬送方向に対する長さが薄膜部材2よりも小さく、搬送方向に水平方向で直交する方向(以下、「幅方向」と称する場合がある)に対する長さが略同一のものが用いられる。
【0045】
搬送路102は、画像形成装置12から搬送される薄膜部材2を丁合部104に向けて搬送する搬送路である。搬送路102には、薄膜部材2の搬送方向上流側から順に、例えば2つの搬送ロール118a、118bが配置されている。
【0046】
丁合部104は、位置決め部120と、仮留部122とにより構成される。
【0047】
位置決め部120は、薄膜部材2及び基体4が載置される載置部124を備え、この載置部124には、例えば三つの当接部材126a、126b、126cが設けられている。
【0048】
載置部124は、水平方向に対して搬送方向上流側が搬送方向下流側よりも重力方向下方となるように傾斜して配置されている。
基体4の両面に画像を転写する場合、載置部124には、まず、画像が形成された側の面を上側にして薄膜部材2が載置され、この上に基体4が載置される。そして、この基体4の上に、画像が形成された側の面を下側にして薄膜部材2が載置される。
【0049】
当接部材126aは、載置部124の搬送方向上流側に設けられており、搬送方向に対して載置部124に沿って移動自在に構成されている。
薄膜部材2及び基体4は載置部124に載置されると、この載置部124の傾斜に従って搬送方向上流側に移動し、それぞれの搬送方向後端部分(以下、単に「後端」と称する場合がある)が当接部材126aと接触する。
【0050】
当接部材126bは、載置部124の幅方向両側に設けられている。当接部材126bは、幅方向に移動自在に構成されている。
当接部材126bは、載置部124に載置された薄膜部材2及び基体4の幅方向両端部を挟むことで、幅方向に対する位置を揃える。
【0051】
当接部材126cは、載置部124の搬送方向下流側に設けられている。当接部材126cは、載置部124の上面から突出した位置と、この上面から突出しない位置(退避位置)とを移動自在に構成されている。
突出部材126cは、薄膜部材2及び基体4が載置部124から情報書き込み装置16へ向けて搬送される際、退避位置に移動する。
【0052】
薄膜部材2及び基体4の後端と接触した当接部材126aが搬送方向下流側に向かって移動することで、これら薄膜部材2及び基体4が当接部材126c側へ搬送される。そして、薄膜部材2及び基体4の搬送方向先端部分(以下、単に「先端」と称する場合がある)が載置部124の上面から突出した位置にある当接部材126cと接触する。
これにより、薄膜部材2及び基体4の搬送方向に対する位置が揃えられる。
【0053】
このようにして、載置部124に載置された薄膜部材2及び基体4これらが位置決めされるようになっている。
本実施形態においては、搬送方向に対する長さは薄膜部材2の方が基体4よりも長くなるようになっているため、薄膜部材2が基体4の先端から突出した突出部分2a(図3参照)を形成するようにして位置決めされる。
【0054】
仮留部122は、例えば、ヒータ等により加熱される一対の金属片を備える。仮留部122は、位置決め部120により位置決めされた薄膜部材2及び基体4を金属片で挟むことで、これらを熱溶着して仮留する。仮留部122は、例えば、薄膜部材2及び基体4の端部近傍部分を二か所、熱溶着するようになっている。
【0055】
仮留部122により仮留した後、当接部材126cを退避位置に移動して当接部材126aを搬送方向下流側に移動することで、仮留された薄膜部材2及び基体4が情報書き込み装置16に搬送される。
【0056】
このように、位置決め部120は、薄膜部材2に形成された画像を基体4に接触するようにして仮留し、これを情報書き込み装置16へ搬送する構成となっている。
【0057】
情報書き込み装置16は、搬送部として用いられる搬送ベルト130と、識別情報読取部132と、情報書き込み部134と、情報判定部136とにより構成される。
【0058】
搬送ベルト130は、位置決め部120から搬送された薄膜部材2及び基体4を、情報書き込み部134による情報書き込み位置及び情報判定部136による情報判定位置を経由して、圧着転写装置18へ搬送する。
【0059】
識別情報読取部132は、基体4(及び薄膜部材2)が情報書き込み部134による情報書き込み位置に搬送される前に、基体4の識別情報を読取るように設けられている。
識別情報読取部132は、基体4から読取った識別情報を情報書き込み部134へ通知する。
【0060】
本実施形態において識別情報読取部132は、載置部124に載置されている状態で基体4の識別情報を読取るように構成されている。識別情報読取部132は、例えば、基体4に表示されているバーコード等の一次元コードやQRコード等の二次元コードから識別情報を読取るようになっている。
【0061】
情報書き込み部134は、情報書き込み位置に搬送された基体4に対し、識別情報読取部132から通知される識別情報に対応づけて情報を書き込むように構成されている。
【0062】
情報判定部136は、情報書き込み部134により情報が書き込まれた基体4の情報について判定する。具体的には、情報判定部136は、基体4から識別情報に対応した情報が正しく読み取れるか否か、あるいは情報が正しく書き込まれているか否か等を判定する。
【0063】
このように、情報判定部136は、基体4に熱や圧力等の外力が加わる前に、この基体4に書き込まれた情報について判定するようになっている。このため、本構成を有さない場合と比較して、識別情報に対応した情報が正しく読み取れないときに、その要因を判断し易くなる。
例えば、基体4が圧着転写装置18を通過した後、この基体4から識別情報に対応した情報が読み取れないと判定された場合、その要因が情報書き込み時におけるものであるのか、あるいは、圧着転写装置18により圧着されたことによるものであるのかの判断が困難となる。
【0064】
圧着転写装置18は積層体形成部として用いられ、基体4に薄膜部材2を圧着する。
圧着転写装置18は、一対のベルト部140を備える。ベルト部140それぞれは支持ロール142及び駆動ロール144によって張架されており、この駆動ロール144が回転駆動することで、ベルト部140が回転するように構成されている。
ベルト部140の内側には、圧着部146と、冷却部148とが設けられている。
【0065】
ベルト部140それぞれは、薄膜部材2及び基体4を挟み込むようにして、これらを圧着部146及び冷却部148を経由して、剥離装置20へ搬送する。
支持ロール142は、ベルト部140を予備加熱する加熱ロールとして構成するようにしてもよい。
【0066】
圧着部146は、情報書き込み装置16の搬送ベルト130からベルト部140の間に挟まれるように搬送された薄膜部材2及び基体4を加熱、加圧する。これにより、薄膜部材2に形成された画像が基体4に転写されるとともに、これらの薄膜部材2と基体4とが圧着され積層体が形成される。
ここで、積層体において薄膜部材2と基体4とは、加熱、加圧により圧着されたことで相互に離れない状態となっており、これらは一度剥離されれば、再び接触しても相互に離れない状態にはならない(接着しない)。
冷却部148は、圧着部146により形成された積層体を冷却する。
【0067】
剥離装置20は、剥離搬送路160と、排出切替部162と、基体排出部164と、薄膜部材排出部166とにより構成される。
【0068】
剥離搬送路160には、回転部170と押当部172とが設けられている。
【0069】
回転部170は複数の回転部材により構成される。本実施形態において回転部170は、剥離搬送路160の搬送方向上流側(圧着転写装置18側)から順に配置された第一の回転部材182、第二の回転部材184、第三の回転部材186、及び第四の回転部材188により構成される。
第三の回転部材186には、ニップ解除部材191が取り付けられており、ニップが解除できるよう構成されている。ニップ解除部材191は、例えばソレノイド等で構成される。
【0070】
押当部172は、第一の回転部材182と第二の回転部材184との間に設けられている。押当部172は押当部材172aを備え、この押当部材172aは、搬送方向及び水平方向と直交する方向を軸として外力に従って回転するよう(回転自在)に構成されている(図4参照)。
押当部172は、押当部材172aを突出部分2aに押当てながら幅方向に移動するように構成されている。
【0071】
回転部170、押当部172及びニップ解除部材191の動作は、駆動制御部190によって制御されるように構成されている。
【0072】
排出切替部162は、第四の回転部材188よりも搬送方向下流側において、基体排出部164方向及び薄膜部材排出部166方向のいずれかに搬送方向を切り替える。
同様に、排出切替部162の動作は、駆動制御部190によって制御されるように構成されている。
【0073】
このように、剥離搬送路160は、圧着転写装置18から搬送された積層体を回転部170及び押当部172を経由させ、剥離された薄膜部材2を薄膜部材排出部166に搬送し、画像が記録(形成)され情報が記憶された基体4(記録体)を基体排出部164に搬送するようになっている。
【0074】
次に、剥離装置20の詳細について説明する。
図2(a)は、剥離装置20の側面からの概略図であり、図2(b)は、剥離装置20の上面からの概略図である。
【0075】
図2(b)に示すように、押当部172は、積層体の幅方向に対してこの積層体の搬送を妨害しない位置A(初期位置)から、幅方向に対して位置Aと反対側であり積層体の搬送を妨害しない位置Bへ移動するように構成されている。位置Bは、位置Aよりも搬送方向下流側となっており、押当部172は、幅方向に対して搬送方向下流側へ傾斜する方向に移動するようになっている。
このため、積層体の搬送を妨害することなく(搬送を停止することなく)、押当部172が積層体の突出部分2aに押当たるようになっている。
【0076】
また、回転部170の第二の回転部材184の円筒形状部分184aは、薄膜部材2及び基体4(積層体)の幅方向の長さよりも大きく形成されている。このため、積層体は、幅方向全体が略同時に第二の回転部材184(円筒形状部分184a)と接触するようになっている。
【0077】
次に、回転部170による薄膜部材2の剥離動作について説明する。
図3は、回転部170の第二の回転部材184による剥離動作を説明する説明図である。なお、図3においては、基体4の片側上面にのみ薄膜部材2が圧着されている場合を例に説明する。
【0078】
図3(a)に示すように、突出部分2aを備えるようにして形成された積層体が停止している第二の回転部材184に向かって搬送される。
【0079】
図3(b)に示すように、積層体が搬送され突出部分2aの先端が第二の回転部材184に突き当たると、薄膜部材2が押曲げられ(ループ形状を形成)この薄膜部材2と基体4との間に空隙Sが形成される。
【0080】
図3(c)、(d)に示すように、第二の回転部材184が回転し、積層体が搬送方向下流側に搬送されるのに従って、空隙Sが積層体に対して後端に移動される。
【0081】
図3(e)に示すように、積層体の後端が第二の回転部材184を通過すると、空隙Sはこの積層体の先端から後端まで移動することとなる。
これにより、積層体から薄膜部材2が剥離された状態となる。
【0082】
このように、剥離装置20は、積層体の突出部分2aを利用して、積層体の基体4から薄膜部材2を剥離するようになっている。
【0083】
次に、押当部172が突出部分2aへ押当たる動作について説明する。
図4は、押当部172が薄膜部材2の突出部分2aへ押当たる動作を説明する説明図を示す。なお、図4においては、基体4の片側上面にのみ薄膜部材2が圧着されている場合を例に説明する。
【0084】
図4(a)に示すように、押当部172は、積層体が搬送されるとこの積層体の搬送に合わせて幅方向に対して搬送方向下流側に傾斜する方向(位置B(図2参照))に移動を開始する。
【0085】
図4(b)に示すように、押当部172は、積層体の搬送経路上に進入すると突出部分2aの幅方向一端側の一部に押当たる。これにより、薄膜部材2の先端が歪み、基体4の先端近傍においてこの基体4と薄膜部材2との間に隙間が生じる。
【0086】
図4(c)、(d)に示すように、押当部172は、突出部分2aの一部に押当たり回転しながら、この突出部分2aの幅方向他端側へ移動する。これにより、基体4の先端近傍に隙間が生じている範囲が幅方向に対して広がっていく。
【0087】
図4(e)に示すように、押当部172は、突出部分2aの幅方向他端側までに押し当った後、幅方向反対側に抜けるように移動する。これにより、本構成を有さない場合と比較して、積層体の突出部分2aが突き当たる場合に空隙Sが形成され易くなる。
積層体の後端が押当部172の移動経路上よりも搬送方向下流側に搬送された後、押当部172は、初期位置(位置A(図2参照))に戻る。
【0088】
押当部172は、突出部分2aの一部ずつをこするようにして幅方向一端から他端まで移動する。このように押当部172は、突出部分2aに幅方向に対して比較的狭い範囲に力を作用しながら移動するようになっている。このため、本構成を有さない場合と比較して、薄膜部材2と押当たる際に要する荷重が軽減される。
例えば、突出部分2aに一部ずつ押当たりながら幅方向全体に移動する場合、突出部分2aに幅方向全体で同時に押当たる場合と比較して、押当てに要する荷重が軽減される。
【0089】
次に、剥離装置20における剥離動作について説明する。
図5は、剥離装置20における剥離動作の模式図を示す。なお図5は、基体4の上面及び下面両側に薄膜部材2が圧着されている場合を例示する。
【0090】
図5(a)に示すように、積層体が第一の回転部材182よりも搬送方向上流側にある場合、第一の回転部材182及び第四の回転部材188は、積層体を搬送方向下流側へ搬送する方向(正回転)に回転駆動する状態(以下、「正回転状態D」と称する場合がある)となる。この際、第二の回転部材184及び第三の回転部材186は、外力に従って自由に回転する(ニュートラル)状態(以下「自由回転状態N」と称する場合がある)となっている。
【0091】
図5(b)に示すように、積層体の先端が第一の回転部材182を通過した後、押当部172は移動を開始する。押当部172が積層体の搬送経路上へ移動すると、押当部材172aが突出部分2aに押当たる。
これにより積層体は、この後、突出部分2aが突き当たることで生じる空隙Sが形成され易くなる。
【0092】
図5(c)に示すように、突出部分2aに押当部172が押当たった後、第二の回転部材184は回転しないように固定した状態(以下、「固定状態B」と称する場合がある)となる。そして、第二の回転部材184に突出部分2aが突き当たる。
【0093】
図5(d)に示すように、突出部分2aが第二の回転部材184に突き当たった後、この第二の回転部材184は正回転状態Dとなる。これにより、積層体に形成された空隙Sが後端側に移動される。
【0094】
図5(e)に示すように、積層体が第三の回転部材186に搬送される際、第三の回転部材186は、正回転状態Dとなる。これにより、積層体の先端が第三の回転部材186にかみ込まれる。
【0095】
図5(f)に示すように、第三の回転部材186が基体4の先端をかみ込んだ後、第三の回転部材186は固定状態Bとなる。この際、積層体の後端は、第二の回転部材184により搬送された状態にある。
このため、基体4は搬送方向下流側に搬送され、薄膜部材2は第三の回転部材186に引っかかる状態となる。これにより、基体4と薄膜部材2とが剥がれ始める。
また、積層体が押当部172の移動経路よりも搬送方向下流側に搬送された後、この押当部172は、初期位置へ戻るように移動する。
【0096】
図5(g)に示すように、薄膜部材2の剥がれた基体4の先端部分が第四の回転部材188に搬送されると、第二の回転部材184は正回転とは反対方向に回転する逆回転状態Rとなり、次の手順で薄膜部材2の先端が第四の回転部材188にかみ込まれない程度、薄膜部材2を搬送方向とは逆方向(搬送方向上流側)に引き戻す。
【0097】
図5(h)に示すように、第二の回転部材184は固定状態Bとなり、また、第三の回転部材186は自由状態Nとなるとともにニップ解除部材191によってニップが解除される。
これにより、基体4は第四の回転部材188の回転に従って搬送され、薄膜部材2は、第2の回転部材184に引っかかった状態となる。
ここで、第三の回転部材186に替えて第二の回転部材184を固定状態Bとすることで、すなわち第二の回転部材184によって薄膜部材2を停止させるようにすることで、本構成を有さない場合と比較して、薄膜部材2と基体4とが擦れ合う範囲が低減される。
【0098】
図5(i)に示すように、さらに第四の回転部材188を回転させると、基体4と薄膜部材2とが分離し、基体4のみが基体排出部164方向へ搬送される。
基体4が基体排出部164方向へ搬送された後、排出切替部162は、搬送方向を薄膜部材排出部166方向とするように移動する。
【0099】
図5(j)に示すように、基体4が基体排出部164方向へ搬送された後、第二の回転部材184は自由回転状態Nとなり、第三の回転部材186はニップが復帰し、正回転状態Dとなる。
これにより、薄膜部材2は二枚が重なった状態で、第三の回転部材186及び第四の回転部材188の回転に従って薄膜部材排出部166方向へ搬送される。
このようにして、積層体から薄膜部材2が剥離された後、この薄膜部材2と基体4とは分離して搬送される。
【0100】
回転部170を構成する回転部材の数やそれぞれの間隔は、目的に応じて適宜設定・変更することができる。
【符号の説明】
【0101】
2 薄膜部材
2a 突出部分
4 基体
10 記録体作成装置
12 画像形成装置
14 丁合装置
16 情報書き込み装置
18 圧着転写装置
20 剥離装置
22 画像形成部
32 転写装置
104 丁合部
120 位置決め部
122 仮留部
132 識別情報読取部
134 情報書き込み部
136 情報判定部
146 圧着部
148 冷却部
160 剥離搬送路
162 排出切替部
164 基体排出部
166 薄膜部材排出部
170 回転部
172 押当部
182 第一の回転部材
184 第二の回転部材
186 第三の回転部材
188 第四の回転部材
190 駆動制御部
191 ニップ解除部材
S 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と画像が形成された薄膜部材とを圧着して基体に画像を転写する転写部と、
前記転写部において基体と薄膜部材とが積層された積層体の基体から薄膜部材を剥離する剥離部と、
を有し、
前記積層体は、薄膜部材の少なくとも一部が基体の端部から突出した突出部分を備え、
前記剥離部は、突出部分を利用して基体から薄膜部材を剥離する記録体作成装置。
【請求項2】
前記剥離部は、回転して積層体を搬送する複数の回転部材、
を有し、
前記回転部材に突出部分を突き当てるようにして基体から剥離部材を剥離する請求項1記載の記録体作成装置。
【請求項3】
前記剥離部は、突出部分が前記回転部材に突き当たることにより形成される空隙を前記積層体の一端から他端まで移動させるようにして基体から薄膜部材を剥離する請求項2記載の記録体作成装置。
【請求項4】
前記回転部材は、基体と該基体から剥離した薄膜部材とを分離して搬送する請求項2又は3記載の記録体作成装置。
【請求項5】
突出部分の一部に押し当たりながら、該突出部分の長手方向一端から他端に向かって移動する押当部、
をさらに有する請求項1乃至4いずれか記録体作成装置。
【請求項6】
前記押当部は、前記積層体の搬送方向に直交する方向に対して傾斜する方向に移動する請求項5記載の記録体作成装置。
【請求項7】
薄膜部材に画像を形成する画像形成部、
をさらに有する請求項1乃至6いずれか記載の記録体作成装置。
【請求項8】
基体に情報を書き込む情報書き込み部、
をさらに有する請求項1乃至7いずれか記載の記録体作成装置。
【請求項9】
前記情報書き込み部が書き込んだ情報について判定する情報判定部、
をさらに有し、
前記情報書き込み部は、前記積層体形成部により積層体が形成される前に、基体に情報を書き込み、
前記情報判定部は、前記積層体形成部により積層体が形成される前に、前記情報書き込み部が書き込んだ情報について判定する請求項8記載の記録体作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−183749(P2012−183749A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48775(P2011−48775)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】