説明

記録媒体、再生装置、再生方法、プログラム

【課題】表示途切れの発生回数を最低限にすることができる、記録媒体を提供する。
【解決手段】記録媒体100には、インデックステーブルと、動作モードオブジェクトと、アプリケーションとが記録されている。インデックステーブルは、タイトルと、動作モードオブジェクトとの対応付けを示し、動作モードオブジェクトは、アプリケーション管理テーブルと、表示レート初期化情報とを含む。アプリケーション管理テーブルは、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルとして選択された際、起動すべきアプリケーションを再生装置に指示する情報でありタイトルバウンダリのアプリケーションシグナリングを再生装置に実行させる。表示レート初期化情報は、カレントタイトルにおいて再生されるべきピクチャデータの表示周波数を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視再生の技術分野に属する発明である。
【背景技術】
【0002】
立体視再生とは、2以上の視点の映像を準備することにより、立体視を実現する技術である。立体視ディスプレイの実現にはさまざまな方式があるが、視聴者の左眼と右眼とに、異なる表示画像を見せ、その両眼間の視差を利用することにより、立体的な映像を擬似的に作ることが基本原理である。
例えば、立体視表示の実現方式の一つにシャッター眼鏡を利用した方式がある。この方式では、表示ディスプレイの映像を左眼用と右眼用とで高速で更新する。この更新タイミングと同期させて、視聴者の左眼と右眼の視野をメガネによって交互に高速に塞ぐことで、ディスプレイで表示される左眼用の画像はシャッター眼鏡により左眼だけによって見え、逆に右眼用の画像は右眼によってだけ見える仕組みを実現できる。
【0003】
現状、ビデオストリームの立体視再生を利用する形態は、劇場等での応用が主流であるが、今後は家庭設置用の再生装置で立体視ビデオストリームを再生して楽しむ利用形態も普及が予想される。
特に、映画作品の店頭販売のための記録媒体であるパッケージメディアでは、ビデオだけでなく、背景イメージ、字幕、そして描画イメージを別々のプレーンとして持ち、表示機器にはこれらを重ね合わせた映像を表示することができるので、これら背景イメージ、字幕、そして描画イメージのそれぞれで立体視を行えば、対話性の富んだ、立体視再生を実現することができる。これらのうち、ビデオおよび字幕については、再生装置の映像出力信号とフレーム単位で同期する方式が採用されているため、ちらつきのない美しい動画再生が実現されている。
【0004】
従って、パッケージメディアにおけるビデオストリームについて、立体視再生を行う場合はたとえば、120フレーム/秒の状態でエンコードされたビデオなどを利用することが必要になるが、それ以外の方法で立体効果を得るためには、非特許文献1のようにサイドバイサイド方式によって実現するという方法もある。
また、特許文献2のようにチェッカーパターンを使った方式もある。
【0005】
画面を立体表示する技術において、特許文献3のように2D画像の中のオブジェクトの数を抽出し、そのオブジェクトの数の分のレイヤーを作成し、各レイヤーの奥行きを変えて3D画像を生成する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/119675号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0036854号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0118275号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】FOUNDATIONS OF THE STEREOSCOPIC CINEMA(by LENNY LIPTON)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、立体視再生にあたっては、再生装置を表示装置に接続し、右目で視聴すべきピクチャデータ、及び、左目で視聴すべきピクチャデータを非圧縮状態でTVシステムにおける表示装置に伝送して表示に供することが一般的である。表示させるべきピクチャデータを非圧縮状態で表示装置に伝送する伝送系では、表示レートの変更が、“ケーブルのつなぎ直し”として扱われる。その理由は以下の通りである。かかる伝送系においては、表示装置の各フレーム期間で表示されるべきピクチャデータを、非圧縮の状態のまま、接続相手である表示装置に伝送にする必要がある。
【0009】
ここで、非圧縮状態のピクチャデータは、1920×1080、1280×720といった膨大な数の画素データから構成され、基本的には、これらの画素数からなる画素データを、各フレーム期間の水平表示期間が到来する前に相手側の表示装置に伝送にする必要がある。そうすると、表示レートが変更されれば、1つのピクチャデータを構成する画素データの集まりを、何時迄に、相手側の表示装置に転送せねばならないかという転送のデッドラインが変動するので、接続されている表示装置の表示レートの変化は、伝送路で確保すべき伝送レートの変動に直結することになる。かかる伝送レートの変動が、“ケーブルのつなぎ直し”の発生を招く。
【0010】
“ケーブルのつなぎ直し”による途切れの他にも、従来の再生装置では、タイトル切り替えに伴う、アプリケーションシグナリングを実行する際、表示途切れが発生する。つまり、従来の再生装置では、タイトル切り替え時に途切れが一回発生し、タイトル再生中も、“ケーブルのつなぎ直し”による途切れが少なくとも一回発生するので、計2回以上の再生途切れが必然的に発生する。眼鏡を着用して仮想現実感に浸ろうとしているユーザにとって、かかる途切れの多発は、不快なものである。
【0011】
いわゆるアップコンバージョン技術を適用して、プレイリストにおける表示レートを、ある一定の表示レートに変換した上で、非圧縮・平文形式のピクチャデータを表示装置に転送すれば、“ケーブルのつなぎ直し”による途切れを防止することができると考えられる。たとえば、再生しようとする記録媒体に、1280×720/50pのプレイリストと、1280×720/59.94pのプレイリストとが存在する場合、これらを一律に、例えば、1920x1080の59.94pに変換して表示装置に出力すれば、上述したようなブラックアウト期間の多発は解消する。しかし、アップコンバージョンのためにはハードウェアリソースが多く必要になり、3D再生を行う場合は通常のアップコンバージョンの2倍の処理能力が必要になり、回路面積や処理性能が2倍必要になるので、ハードウェアコストの観点から搭載をあきらめる必要がでてくる。アップコンバージョン技術の適用により、表示レートを一律化するという考えは、実装コストの増大を招くので、到底ではないが実用的なアイデアであるとはいえない。
【0012】
本発明の目的は、表示途切れの発生回数を最低限にすることができる、記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための記録媒体は、インデックステーブルと、動作モードオブジェクトと、バイトコードアプリケーションと、デジタルストリームとが記録されている記録媒体であって、
前記インデックステーブルは、タイトルと、タイトルに対応する動作モードオブジェクトとを示し、
前記動作モードオブジェクトは、アプリケーション管理テーブルと、表示レート初期化情報とを含み、
前記アプリケーション管理テーブルは、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルとして選択された際、起動すべきバイトコードアプリケーションを再生装置に指示する情報であり、
前記デジタルストリームは、複数のピクチャデータから構成されるビデオストリームを含み、
前記表示レート初期化情報は、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルとして選択された際、再生装置に接続された表示装置における表示レートをどのように初期化すべきかを示し、プログレッシブ形式におけるピクチャデータの表示周波数を含む
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
上記表示レート初期化情報は、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルとして選択された際、表示装置における表示レートをどのように初期化すべきかを示すので、バイトコードアプリケーションがグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)表示に用いる“解像度”と、ビデオストリーム再生に適用される“表示レート”との組合せを動作モードオブジェクトに記載しておき、カレントタイトルの切り替え時において、かかる解像度−表示レートの組合せで、表示装置を初期化することにより、非AV再生を前提としたバイトコードアプリケーションがGUI表示を行うための“解像度の初期化”と、プレイリストによりビデオストリーム再生を行うための“表示レートの初期化”とを一度にまとめて実行することができる。こうすることで、表示装置に解像度や表示レートの初期化を指示するためのブラックアウトの発生回数を少なくすることができる。
【0015】
“ケーブルのつなぎ直し”による途切れの発生時点を、タイトル切り替え時にシフトさせることができるので、“ケーブルのつなぎ直し”による途切れの発生回数を、切り替え時の一回に集約することができ、表示の途切れが多発することによるユーザの不快感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】パッケージメディアと、プレーヤ機器とを含むシステムに、特徴的な技術的事項を書き加えて示す図
【図2】左目用ピクチャデータ、右目用ピクチャデータが、シャッター眼鏡500を着用したユーザによってどのように見えるかを示す図
【図3】プレーンオフセットの符号が正(レフトビュー期間における描画イメージの書き込み位置を右方向へずらし、ライトビュー期間における描画イメージの書き込み位置を左方向へずらす)である場合、像が表示画面よりも手前にあるように見える原理を示す図
【図4】像が表示画面よりも奥にあるように見える原理を説明するための図
【図5】伝送路と、フレームの表示期間との対応を示す図
【図6】記録媒体100の内部構成と、再生装置200の内部構成とを示す図
【図7】端末管理テーブルについての説明図
【図8】タイトル切り替えに表示レートを初期化しない場合における表示装置の表示内容の遷移を示す図
【図9】タイトル切り替えに表示レートを初期化する場合における表示装置の表示内容の遷移を示す図
【図10】再生装置の処理手順を示すフローチャート
【図11】アプリケーションキャッシュ情報111、キーインタレストテーブル112が追加された動作モードオブジェクトと、アプリケーションキャッシュ情報111、キーインタレストテーブル112を処理するための構成要素(アプリケーションキャッシュ306、キャッシュマネージャ307、イベントマネージャ402)とを描いた図
【図12】自動再生プレイリストの指定がない場合を示す図
【図13】立体視表示ケーパビリティレジスタにおける立体視再生ケーパビリティの判定手順を示すフローチャート
【図14】タイトル切り替え時の表示モード設定の処理手順の一例を示すフローチャート
【図15】記録方法の手順を示すフローチャート
【図16】立体視ビデオ再生装置の、使用行為についての形態を示す図
【図17】BD-ROMの内部構成を示す図
【図18】再生装置の内部構成を示すブロック図
【図19】再生装置の2D表示モードと3D表示モードの違いを示す図
【図20】ビデオプレーンのステレオモードがONとOFFの違いを示す図
【図21】バックグラウンドプレーンのステレオモードがONとOFFの違いを示す図
【図22】インタラクティブグラフィックスプレーンのステレオモードがONとOFFの違いを示す図
【図23】オフセットを利用したときの見た目の一例を示す図
【図24】加算器が合成を行う処理を示すフローチャート
【図25】加算器が2D合成を行う処理を示すフローチャート
【図26】加算器が3D合成を行う処理を示すフローチャート
【図27】加算器が合成を行うために必要とする合成パラメータと可能な値を示す図
【図28】媒体上に存在するBD-Jオブジェクト内の"合成情報"を示す図
【図29】自動的に再生すべきPlayListが存在しないときの合成するモードを選択するフローチャート
【図30】再生装置がサポートする合成モードの一覧を示す図
【図31】自動的に再生すべきPlayListが存在するときの合成するモードを選択するフローチャート
【図32】モード管理モジュールがタイトル開始時に行う処理を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願に包含されている記録媒体の発明は、映画作品頒布のためのパッケージメディアとして実施することができる。本願に包含されている再生装置の発明、集積回路の発明、再生方法の発明、プログラムの発明は、パッケージメディアに対応するプレーヤ機器として実施することができる。
図1は、パッケージメディアと、プレーヤ機器とを含むシステムに、特徴的な技術的事項を書き加えて示す図である。本システムは、パッケージメディアである記録媒体100、プレーヤ機器である再生装置200、操作装置300、表示装置400、眼鏡500、伝送路600から構成され、記録装置700と共に実施される。
【0018】
記録媒体100には、圧縮・暗号化形式のストリームファイルと、タイトルバウンダリのアプリケーションシグナリングを再生装置に行わせる動作モードオブジェクトとが記録されているディスク媒体である。本来、動作モードオブジェクトは、タイトルバウンダリでアプリケーションシグナリングを行うためのアプリケーション管理テーブルを含むが、記録媒体100には、特徴的な技術的事項として、タイトルバウンダリで有効となる端末管理テーブルが存在する。
【0019】
再生装置200は、動作モードオブジェクト内のアプリケーション管理テーブルを用いてタイトルバウンダリのアプリケーションシグナリングを実行すると共に、圧縮・暗号化形式のストリームファイルを記録媒体100から読み出して、伸長・復号し、非圧縮・平文形式のフレームデータを表示装置400に出力する。特徴的なのは、この非圧縮・平文形式のフレームデータの出力に先立ち、タイトルバウンダリのアプリケーションシグナリングを前提にした動作モードオブジェクトの端末管理テーブルに記載されている初期化情報を用いて、表示装置400に表示レートを指示する点である。
【0020】
フレームデータとは、映像信号の一フレーム期間で表示すべきデータ群であり、所定の解像度をもった画素データの集まりである。基本的には、かかるフレームデータは、一画面分の画素データからなるピクチャデータとなるが、GUIを表す描画イメージや字幕を表すグラフィクス、ビットマップが合成されたものもフレームデータとして扱われる。
操作装置300は、ユーザ操作を受け付ける機器であり、ユーザ操作を示す信号を再生装置200に出力して、アプリケーションの動作のトリガになるイベントを、再生装置内部で発生させる。
【0021】
表示装置400は、伝送路600を通じて、再生装置200から表示レートの指示を受け付けて、その表示レートで自身の初期化を行い、その後、再生装置200から出力されてくる非圧縮・平文形式のフレームデータを受信して、表示出力に供する。表示装置400により表示される再生映像には、2D映像、3D映像が存在する。2D映像とは、例えば表示装置の表示画面を含む平面をX-Y平面として捉えて、このX-Y平面上に位置する表示画面の表示位置における画素にて表現される画像であり、平面視画像とも呼ばれる。
【0022】
対照的に3D映像とは、上述のX-Y平面として捉えた平面と直交する直線を軸とし(本実施の形態ではX-Y平面に垂直な直線を軸(Z軸)として定義する)、表示装置の表示画面におけるX-Y平面上の画素に、本実施の形態で説明する構成を採用することにより、人の目には立体的に見えるようにした、または表示画面よりも手前または奥に見えるようにした映像である。表示装置400に2D映像を出力させる表示モードを2D表示モードといい、表示装置400に3D映像を表示させる表示モードを3D表示モードという。
【0023】
眼鏡500は、表示装置400が3D出力を行う際にユーザが着用すべきシャッター付き眼鏡であり、何等かの光学的制御によってユーザに立体視を行わせる。
伝送路600は、再生装置200と、表示装置400とを接続するケーブルと、そのインターフェイスとから構成される。
記録装置700は、記録媒体100に圧縮・暗号化形式のストリームファイルと、動作モードオブジェクトとを記録する。
【0024】
以上がシステムについての説明である。続いて、眼鏡500が、どのような光学的制御によって、立体視をユーザに実現させるかについて説明する。
図2は、左目用ピクチャデータ、右目用ピクチャデータが、シャッター眼鏡500を着用したユーザによってどのように見えるかを示す。
図中の矢印vw1は、レフトビュー期間における視点への映像入力を示し、図中の矢印vw2は、ライトビュー期間における視点への映像入力を示す。レフトビュー期間では、矢印vw1に示すように、レフトビュー期間では、左目用ピクチャデータの格納内容がシャッター眼鏡500を通じてユーザの左目に入射する。ライトビュー期間では、この矢印vw2に示すように、右目用ピクチャデータの格納内容がシャッター眼鏡500を通じてユーザの右目に入射する。
【0025】
図3は、プレーンオフセットの符号が正(レフトビュー期間における描画イメージの書き込み位置を右方向へずらし、ライトビュー期間における描画イメージの書き込み位置を左方向へずらす)である場合、像が表示画面よりも手前にあるように見える原理を説明するための図である。
本図において、丸で示したものは、表示画面上に表示される像である。まず、2D表示モードである場合、右目に見える像も左目に見える像も同じ位置であるため、両目を用いて、この像を見たときの焦点位置は、表示画面上に位置する(図3(a))。結果として表示される像は表示画面上に位置する。
【0026】
レフトビュー期間において、左目に見える像はプレーンオフセットが0の場合に比べて右側の位置に見えるようシフトして表示する。このとき右目にはシャッター眼鏡500により何も見えないようにする。一方、右目に見える像は、プレーンオフセットが0の場合に比べて左側の位置に見えるようにシフトして表示する。このとき左目にはシャッター眼鏡500により何も見えないようにする(図3(b))。
【0027】
人間は両目を用いて焦点をあわせてその焦点位置に像があるように認識する。従って、シャッター眼鏡500により左目に像が見える状態と、右目に像が見える状態とを交互に短い時間間隔で切り替えると、人間の両目は表示画面よりも手前の位置に焦点位置を、合わせようとし、結果として表示画面よりも手前に位置する焦点位置に像があるように錯覚を起こす(図3(c))。
【0028】
図4は、像が表示画面よりも奥にあるように見える原理を説明するための図である。
図4において、丸で示したものは、表示画面上に表示される像である。まず2D表示モードにおいて、右目に見える像も左目に見える像も同じ位置であるため、両目を用いて、この像を見たときの焦点位置は、表示画面上に位置する(図4(a))。結果として表示される像は表示画面上に位置する。
【0029】
一方、レフトビュー期間において、左目に見える像はプレーンオフセットが0の場合に比べて左側の位置に見えるようにする。このとき右目にはシャッター眼鏡500により何も見えないようにする。一方、右目に見える像は、オフセットが“0”の場合に比べて右側の位置に見えるようにする、このとき左目にはシャッター眼鏡500により何も見えないようにする(図4(b))。
【0030】
シャッター眼鏡500により左目に像が見える状態と、右目に像が見える状態と互に短い時間間隔で切り替えると、人間の両目は表示画面よりも奥の位置に焦点位置を、合わせようとし、結果として表示画面よりも奥の位置に像があるように錯覚を起こす(図4(c))。
以上が眼鏡500についての説明である。続いて、伝送路600の詳細について説明する。
【0031】
図5は、伝送路と、フレーム期間との対応を示す図である。
図5(a)の第2段目は、ブラックアウト期間、フレーム(1)の表示期間、フレーム(2)の表示期間、フレーム(3)の表示期間、フレーム(4)の表示期間から構成される。
第1段目は、ネゴシエーション期間、フレーム(1)に表示すべきピクチャデータの伝送期間、フレーム(2)に表示すべきピクチャデータの伝送期間、フレーム(3)で表示すべきピクチャデータの伝送期間、フレーム(4)で表示すべきピクチャデータの伝送期間、フレーム(5)で表示すべきピクチャデータの伝送期間から構成される。第1段目と、第2段目との間の矢印は、フレームの表示期間(フレーム期間という)と、各フレームで表示すべきピクチャデータとの関係を示す。各フレーム期間は、そのフレーム期間で表示されるべきピクチャデータが到来して初めて開始するので、表示されるべきピクチャデータが未到来の期間、つまり、ネゴシエーション期間やフレーム(1)で表示すべきピクチャデータが未到来の期間は、表示すべきものが何もない期間、つまりブラックアウト期間になる。
【0032】
図5(b)は、表示レートの切り替えがあった場合の伝送路、フレーム期間の状態を示す。(b)の左半分は59.94Hzでの伝送、右半分は50Hzでの伝送、途中は表示レートの切り替え時点を示す。左半分では、フレームの到来前に表示すべきピクチャデータを伝送するというルールで、伝送がなれている。しかし表示レートの切り替えによりネゴシエーションが発生し、フレーム(14)で表示すべきピクチャデータが到来しなかったために、第2段目では、表示レートの切り替え時点直後からフレーム(14)に表示されるべきピクチャデータが到来するまでの間に、ブラックアウト期間が発生している。
【0033】
以上が伝送路についての説明である。続いて、記録媒体の詳細について説明する。
図6は、記録媒体100の内部構成と、再生装置200の内部構成とを示す図である。本図に示すように記録媒体100には、インデックステーブル101、クラスアーカイブファイル102、動作モードオブジェクト103、ストリームファイル104、クリップ情報ファイル105、プレイリスト情報ファイル106が記録されている。
【0034】
<インデックステーブル101>
インデックステーブル101は、記録媒体全体に関する管理情報であり、再生装置におけるタイトル番号レジスタに格納され得る複数のタイトル番号と、再生装置の動作モードを規定する動作モードオブジェクトとの対応付けを規定する。記録媒体に記録されているタイトルとは、タイトル番号によって特定される動作モードオブジェクトと、この動作モードオブジェクトから再生されるプレイリストとの組みをいう。ここでプレイリストは、ビデオストリームを含むデジタルストリームに再生順序を規定することで特定される再生単位である。
【0035】
ここで、タイトル番号レジスタにおけるタイトル番号は、0、1〜999、不定値(0xFFFF)という番号がある。タイトル番号0は、トップメニュータイトルのタイトル番号である。トップメニュータイトルとは、ユーザによるメニューコール操作によって呼び出すことができ、複数のタイトルのうち、何れかの選択をユーザから受け付けるためのタイトルである。不定値(0xFFFF)のタイトル番号は、ファーストプレイタイトルのタイトル番号である。ファーストプレイタイトルとは、記録媒体の装填直後に、視聴者への警告やコンテンツプロバイダによるロゴ表示等を行うタイトルである。
【0036】
インデックステーブルは、各タイトル番号のそれぞれに対応したエントリー(インデックステーブルエントリー)を有し、個々のインデックステーブルエントリーに、動作モードを規定する動作モードオブジェクトを記述することで、各々のタイトルが、どのような動作モードで動作するのかを詳細に規定する。
再生装置においてタイトル番号レジスタの値は、記録媒体の装填後、不定値0xFFFF→1〜999→0というように変化する。このタイトル番号の変化は、記録媒体の装填時に、ファーストプレイタイトルの再生を開始し、ファーストプレイタイトルの再生後、1から999までのタイトル番号レジスタのタイトル番号で指示されるタイトルの再生を行い、タイトル番号で指示されるタイトルの再生が終了すれば、トップメニュータイトルを再生してユーザによる選択待ちを行うというものである。1〜999のタイトル番号をもつタイトルのうち、タイトル番号レジスタに格納されているタイトル番号と、同じタイトル番号をもつものが、現在の再生対象、つまりカレントタイトルになる。タイトル番号レジスタにどのような番号を設定するかは、トップメニュータイトルに対するユーザ操作や、プログラムによるタイトル番号レジスタの設定によって決定される。
【0037】
<クラスアーカイブファイル102>
クラスアーカイブファイル102は、バイトコードアプリケーションのクラス構造体のファイル(クラスファイル)を、デジタル証明書マニフェストファイル、ディスク署名シグネチャファイル、ディスク署名暗号鍵ファイル、パーミッションリクエストファイルとひとまとめにしてアーカイブしたファイルである。アプリケーションのロードは、このクラスアーカイブファイルをひとまとめにしてなされる。
【0038】
バイトコードアプリケーションとは、オブジェクト指向プログラミング言語のソースコードを用いて記述されたクラス構造体をコンパイルすることで得られた実行形式のプログラムであり、機器に依存しないコード(バイトコード)によって構成されるものをいう。本実施形態におけるバイトコードアプリケーションは、イベントドリブンであり、イベントによって状態遷移がなされる。状態遷移の状態には、「ローデッド」,「ポーズ」,「アクティブ」「デストロイド」といった4つの状態があり、バイトコードアプリケーションには、アプリケーションの動作のトリガとなるキーイベントが予め登録されている。バイトコードアプリケーションの動作のトリガとなるキーイベントの登録は、イベントリスナによってなされる。
【0039】
<動作モードオブジェクト103>
動作モードオブジェクト103は、インデックステーブルにおいて、対応するタイトルがカレントタイトルとして選択された際、そのタイトルにおいて、どのような動作モードで再生装置の制御を行うかを規定すること情報である。本図に示すように、動作モードオブジェクトは、アプリケーション管理テーブル107、端末管理テーブル108、プレイリストアクセス情報109から構成される。
【0040】
タイトルは、対応する動作モードオブジェクトによって規定される再生単位であるので、どのような動作モードオブジェクトに動作を委ねるかは、インデックステーブルにおけるタイトルと、動作モードオブジェクトとの対応付けによって定まる。AV再生を行わずGUI表示のみの動作モードオブジェクトが動作主体となるタイトルが選択されれば、GUI表示のみが実行されることになる。ブラウザによってWebページを閲覧する動作モードオブジェクトが主体となるタイトルが選択されれば、ブラウザのみが表示されることになる。AV再生のみを行う動作モードオブジェクトが動作主体となるタイトルが選択されれば、AV再生のみが実行されることになる。

<ストリームファイル104>
ストリームファイル104は、ビデオストリーム、1つ以上のオーディオストリーム、グラフィクスストリームを多重化することで得られたトランスポートストリームを格納している。
【0041】
ストリームファイルには、2D専用のものと、2D-3D兼用のものとがある。2D専用のストリームファイルは、通常のトランスポートストリーム形式であり、2D-3D兼用のストリームファイルは、立体視インターリーブドストリームファイルのファイル形式を有する。
立体視インターリーブドストリームファイル形式とは、ベースビュービデオストリームを含むメインのトランスポートストリーム(メインTS)のエクステントと、ディペンデントビュービデオストリームを含むサブトランスポートストリーム(サブTS)のエクステントとをインターリーブ形式で交互配置したものである。
【0042】
ベースビュービデオストリームとは、視点間の相関性を用いて圧縮符号化されたビデオストリームのうち、単体での復号が可能になるものであり、2D再生が可能な複数のビューコンポーネントから構成される。ここで、視点間の相関性を用いる圧縮符号化方式には、MPEG4-MVCが存在する。
ディペンデントビュービデオストリームとは、視点間の相関性を用いて圧縮符号化されたビデオストリームのうち、ベースビュービデオストリームとの組合せで復号が可能になるものであり、ベースビュービデオストリームのビューコンポーネントとのフレーム相関性を用いて圧縮符号化された複数のビューコンポーネントから構成される。
【0043】
ビューコンポーネントとは、一個のフレーム期間において、立体視再生のために同時に再生される複数のピクチャデータのそれぞれのものをいう。視点間の相関性を用いた圧縮符号化は、ベースビュービデオストリーム及びディペンデントビュービデオストリームのビューコンポーネントをピクチャデータとして用いて、ピクチャ間の相関性を用いた圧縮符号化を実現することでなされる。1つのフレーム期間に割り当てられたベースビュービデオストリームのビューコンポーネントと、ディペンデントビュービデオストリームのビューコンポーネントとの組みが、1個のアクセスユニットを構成することになり、このアクセスユニットの単位でランダムアクセスが可能になる。
【0044】
メインTSにおけるエクステント及びサブTSにおけるエクステントの組みは、再生時においてダブルバッファをアンダーフローさせないデータサイズに設定されており、再生装置は、これらのエクステントの組みを途切れなく読み込んでゆくことができる。
以上がストリームファイル104についての説明である。

<クリップ情報ファイル105>
クリップ情報ファイル105は、トランスポートストリームを構成する任意のソースパケットに対するランダムアクセスの実行や、他のトランスポートストリームとの途切れ無き再生を保障するストリーム情報ファイルである。このクリップ情報ファイルを通じることにより、ストリームファイルは“AVクリップ”として管理されることになる。クリップ情報ファイルは、AVクリップにおけるストリームの符号化形式、フレームレート、ビットレート、解像度等の情報や、GOPの先頭位置のソースパケット番号を、フレーム期間のプレゼンテーションタイムスタンプと対応付けて示すエントリーマップをもっているので、ストリームファイルのアクセスに先立ち、このクリップ情報をメモリにロードしておけば、アクセスしようとするストリームファイル中のトランスポートストリームがどのようなものであるのかを把握することができるので、ランダムアクセスの実行を保障することができる。クリップ情報ファイルには、2Dクリップ情報ファイルと、3Dクリップ情報ファイルとがあり、3Dクリップ情報ファイルは、ベースビューのためのクリップ情報(クリップベース情報)と、ディペンデントビューのためのクリップ情報(クリップディペンデント情報)と、立体視用のエントリーマップとを含む。
【0045】
クリップベース情報は、ベースビューのためのエクステントスタートポイント情報を含み、クリップディペンデント情報は、ディペンデントビューのためのエクステントスタートポイント情報を含む。ベースビューのためのエクステントスタートポイント情報は、複数のソースパケット番号から構成される。それぞれのソースパケット番号は、メインTSにおけるエクステントの分割位置が何パケット目に存在するかを示す。ディペンデントビューのためのエクステントスタートポイント情報も複数のソースパケット番号から構成され、サブTSにおける分割位置が何パケットに存在するかを示す。これらのエクステントスタートポイント情報を用いることで、立体視インターリーブドストリームファイルは、メインTSを構成するアライバルタイムクロック(ATC)シーケンス1と、サブTSを構成するATCシーケンス2とに分割されることになる。
【0046】
立体視エントリーマップは、GOP先頭のフレーム期間を表すプレゼンテーションタイムスタンプに対応付けて、ディペンデントビュービデオストリームにおけるGOP先頭のビューコンポーネントの先頭位置となるアクセスユニットデリミターのソースパケット番号を示す。
一方、3Dクリップ情報ファイルにおける通常のエントリーマップは、2Dクリップ情報ファイルとの互換をもちつつも、GOP先頭のフレーム期間を表すプレゼンテーションタイムスタンプに対応付けて、ベースビュービデオストリームにおけるGOP先頭のビューコンポーネントの先頭位置となるアクセスユニットデリミターのソースパケット番号を示す。
【0047】
メインTSを構成するエクステントのうち、識別番号iによって特定されるi番目のエクステントが、通常のエントリーマップのエントリーによって参照されるベースビュービデオストリームのソースパケットをもつ場合、サブTSを構成するエクステントのうち、同一の識別番号である識別番号iによって特定されるi番目のエクステントは、立体視エントリーマップのエントリーによって参照されるディペンデントビュービデオストリームのソースパケットを含んでいなければならない。
【0048】
<プレイリスト情報ファイル106>
プレイリスト情報ファイル106は、再生装置にプレイリストを再生させるための情報を格納したファイルである。"プレイリスト"とは、トランスポートストリーム(TS)の時間軸上で再生区間を規定するとともに、この再生区間同士の再生順序を論理的に指定することで規定される再生経路であり、トランスポートストリームのうち、どれをどの部分だけ再生して、どのような順序でシーン展開してゆくかを規定する役割をもつ。プレイリスト情報は、かかるプレイリストの"型"を定義する。プレイリスト情報によって定義される再生経路は、いわゆる"マルチパス"である。マルチパスとは、主となるトランスポートストリームに対して定義された再生経路(メインパス)と、従となるストリームに対して定義された再生経路(サブパス)とを束ねたものである。このマルチパスにおいて左目用のビデオストリームの再生経路を規定し、サブパスにおいて右目用のビデオストリームの再生経路を規定すれば、立体視を再生するためのビデオストリームの組合せを、好適に規定することができる。
【0049】
バイトコードアプリケーションが、このプレイリスト情報を再生するフレームワークプレーヤインスタンスの生成を命じることで、マルチパスによるAV再生を開始させることができる。フレームワークプレーヤインスタンスとは、メディアフレームワークプレーヤクラスを基にして仮想マシンのヒープメモリ上に生成される実際のデータのことである。
プレイリスト情報は、1つ以上のプレイアイテム情報を含む。プレイアイテム情報とは、ビデオストリームの再生時間軸のうち、In_Timeとなる時点と、Out_Timeとなる時点の組みを1つ以上定義する再生区間情報である。
【0050】
プレイリスト情報は、プレイアイテム情報−クリップ情報−トランスポートストリームという階層構造を有しており、トランスポートストリーム及びクリップ情報の組みと、プレイアイテム情報との比率については、1対多の関係にして、1つのトランスポートストリームを複数のプレイアイテム情報から多重参照することができる。よって、あるタイトルのために作成されたトランスポートストリームをバンクフィルムとして採用し、これを複数のプレイリスト情報ファイルにおけるプレイアイテム情報から参照することで、映画作品のバリエーションを効率良く作成することができる(尚、バンクフィルムとは、映画業界の用語であり、複数のシーンで使いまわしされる映像内容のことである)。
【0051】
一般には、プレイリストという単位はユーザから認識されないので、ストリームファイルから派生した複数のバリエーション(例えば劇場公開版やTV放映版)が、プレイリストとして認識される。
以降の説明では、カレントタイトルの選択時において、バイトコードアプリケーションがプレイリスト選択用のメニュー(プレイリスト選択メニュー)の表示を行い、所望のプレイリストをユーザに選択させることで、プレイリストの再生を開始するものとする。
【0052】
プレイリスト情報には、2Dプレイリスト情報と、3Dプレイリスト情報とがあり、これらの違いは、3Dプレイリスト情報内にベースビューインディケータと、立体視ストリーム選択テーブルとが存在することである。
「立体視ストリーム選択テーブル」とは、3D表示モードでのみ再生すべきエレメンタリストリームのストリームエントリー及びストリーム属性を、ストリーム番号に対応付けて示すテーブルである。3D表示モードでのみ再生すべきエレメンタリストリームには、ディペンデントビュービデオストリーム、左目用グラフィクスストリーム及び右目用グラフィクスストリームの組みがあり、上記立体視ストリーム選択テーブルにおけるストリームエントリーには、これらディペンデントビュービデオストリーム、左目用グラフィクスストリーム及び右目用グラフィクスストリームについてのパケット識別子が記載されている。更に立体視ストリーム選択テーブルには、ストリーム番号に対応付けて、オフセットシーケンスのレファレンスが記述されている。オフセットシーケンスとは、1つのプレーンメモリに対して、左目用及び右目用のオフセットを与えることで立体視を実現する再生モードを実行する際、このオフセットを、フレーム期間毎に指定することができるオフセットの集まりである。立体視ストリーム選択テーブルでは、かかるレファレンスがストリーム番号に対応付けられているので、現在のストリーム番号に応じた最適なエレメンタリストリームを再生に供することができる。
【0053】
「ベースビューインディケータ」は、視点間の相関性を利用した圧縮符号化の基礎となるベースビュービデオストリームを、左目及び右目のどちらとして表示されるべきかを示す情報である。このプレイリスト情報におけるベースビューインディケータを変化させることで、ベースビュービデオストリームを、左目及び右目用のうちどちらにするかという割り当てをプレイリストのレベルで変化させることができる。
【0054】
ストリームの構造に依拠しないプレイリストのレベルで、上記割り当てを変化させることができるので、画像中の物体の位置及び角度がベースビュー=左目、ディペンデントビュー=右目用のように設定されているプレイリストが存在する場合、このプレイリストとは別バージョンとして、ベースビュー=右目用、ディペンデントビュー=左目のように設定されているプレイリストを作成することができる。
【0055】
プレイリストのレベルで、ベースビュー、ディペンデントビューに対する左目、右目用の割り当てを逆転させれば、立体視効果を逆転させることができる。例えば、画面の手前に対象物が出現するような立体視効果を意図したプレイリストが既に作成されている場合、かかるプレイリストと別に、画面の奥に対象物が出現するような立体視効果を意図したプレイリストを作成することができる。よって3Dプレイリストでは、立体視効果が異なる、プレイリストのバリエーションを簡易に作成することがでるという効果を奏する。

次に、クラスアーカイブファイルにアーカイブされている要素ファイルについて説明する。
【0056】
「デジタル証明書チェーン」とは、一つ目の証明書(ルート証明書)が二つ目の証明書を署名し、また同じようにn番目の証明書がn+1番目の証明書を署名している形をもつ複数の証明書群である。
「パーミッションリクエストファイル」は、実行されるバイトコードアプリケーションにどのパーミッションを与えるのかの情報を格納する。具体的に、クレデンシャル(デジタル信用証明書)、アプリ間通信の許可情報を含む。
【0057】
"クレデンシャル"とは、ある組織に帰属する組織ディレクトリ内のファイルを共有化するための情報である。この共有化は、ある組織に属するアプリケーション用ファイルを利用する権限を、他の組織に属するアプリケーションに提供することでなされる。そのためクレデンシャルは、権限を提供する側の組織を示す提供者組織ID、権限を受領する側の組織の識別を示す受領者組織IDを含む。
【0058】
バイトコードアプリケーションを規定するクラスファイルは、以上のシグネチャファイル、マニフェストファイル、デジタル証明書チェーン、パーミッションリクエストファイルとひとまとめにされて、ロードされるので、再生装置は、バイトコードアプリケーションを動作させるにあたって、マニフェストファイル、デジタル証明書チェーン、パーミッションリクエストファイルを用いて、バイトコードアプリケーションを署名することができる。このように、マニフェストファイル、デジタル証明書チェーン、パーミッションリクエストファイルを用いて署名されたバイトコードアプリケーションを、"Signedアプリケーション"という。一方、署名がなされず、その権能の一部又は全部が制限されたバイトコードアプリケーションを"Un-Signedアプリケーション"という。以上の署名により、バイトコードアプリケーションの動作は、コンテンツの作りにとって不利にならないものに制限される。以上のパーミッションリクエストファイルを用いれば、立体視再生を実現するためのプレイリスト再生やイメージ描画を、ある特定の権限が付与されたバイトコードアプリケーションに限定することができる。
【0059】
以上がクラスアーカイブファイルについての説明である。続いて、動作モードオブジェクト内のデータ要素について説明する。
「アプリケーション管理テーブル」は、複数のエントリーを含む。アプリケーション管理テーブルのエントリーは、タイトルにおいて、アプリケーションを自動的に起動させるべきか(AutoStart)、他のアプリケーションからの呼出しを待って起動すべきか(Present)という起動の仕方を示す「制御コード」と、クラスアーカイブファイルのファイル名となる5桁の数値を用いて、対象となるアプリケーションを示す「アプリケーションID」と、「アプリケーション詳細情報」を含む。「アプリケーション詳細情報」は、アプリケーションがロードされる場合の「優先度」と、アプリケーションがタイトルアンバウンドであるか否か、ディスクバウンドであるか否かを示す「バインディング情報」と、アプリケーションの名称を示す文字列と、アプリケーションの言語属性を示す「言語コード」と、アプリケーションに対応づけるアイコンの所在を指し示す「アイコンロケータ」とを、アプリケーション毎にして格納している。「アプリケーション管理テーブル」は、タイトルを生存区間として管理することで、各アプリケーションによるメモリリソースなどの消費を、タイトルという再生単位を区切りにて管理することができる。これによりたとえ、あるタイトルの再生中に複数のアプリケーションによるリソースの利用が競合して、デッドロック状態に陥ったとしても、ユーザによって別のタイトルが選択されれば、それらアプリケーションは全て終了させられるので、デッドロック状態は、強制的に解消することになる。また、あるタイトルの再生中に暴走したアプリケーションがメモリを占有したとしても、ユーザによって別のタイトルが選択されれば、そのアプリケーションは強制的に終了させられるので、メモリ容量の圧迫は、強制的に解消することになる。こうすることで不要なメモリリソースを消費しない、安定したメモリリソースの管理を実現することができる。安定したメモリリソースの管理を実現することができるので、メモリリソースの容量が限られた家電機器の実装において、より真価を発揮する。
【0060】
端末管理テーブル108は、動作中のアプリケーションが、欧州デジタル放送端末(DVB-MHP)として振る舞う際の処理内容を規定する管理テーブルであり、GUI表示を実行するにあたってのコンフィグレーション情報や、GUIに用いるフォントデータ、GUIに対するメニューコール、タイトルコールがユーザによってなされた場合、これらのコールをマスクするかどうかを規定するマスクフラグを含む。このコンフィグレーション情報は、動作モードオブジェクト内のアプリケーション管理テーブルによって起動されるべきアプリケーションがグラフィクスを描画するにあたって、再生されるビデオストリームの解像度に対応付けられた規模のグラフィクスプレーンを前記再生装置が備えるメモリデバイス上に確保するよう前記再生装置に指示する情報である。
【0061】
プレイリストアクセス情報109は、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルになった際、自動的に再生されるべき自動再生プレイリストの指定を含む。また、プレイリストアクセス情報109は、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルになった際、動作させることができるアプリケーションが選択できるプレイリストの指定を含む。
【0062】
何れかのタイトルが選択された際、再生装置は、選択されたカレントタイトルに対応するもののプレイリストアクセス情報により指定されたプレイリストの再生を、アプリケーションからの再生指示を待つことなく開始し、プレイリスト再生の終了よりも、バイトコードアプリケーション実行が先に終了した場合、プレイリストの再生を継続して行う。

こうした先行再生により、アプリケーションのクラスロードに時間がかかり、描画イメージが表示されないため、対話画面がなかなか出力されないような場合、プレイリスト再生による再生映像がそのまま出力させるので、アプリケーションにおける起動遅延が顕著な場合でも、とりあえずプレイリストの再生映像をユーザに視聴させることができる。アプリケーションのスターティングディレィの間、何かが写っている状態にしておくことができるので、ユーザに安心感を与えることができる。
【0063】
また終了が同時でないため、リソースの枯渇によってアプリケーションが異常終了し、アプリケーションのGUIが自動的に消去されたとしても、プレイリスト再生画面の表示をそのまま継続していれば、プレイリストの再生映像が、表示装置に出力される。かかる出力継続によって、たとえバイトコードアプリケーションが異常終了したとしても、表示装置は、とりあえず何かが写っているという状態になり、アプリケーションの異常終了によって、画面がブラックアウトするという事態を防ぐことができる。
【0064】

以上のように、自動再生プレイリストが規定されている場合、この自動再生プレイリストの表示レートで、タイトル切り替え時に、表示レートの初期化を行うことが可能になる。しかし、バイトコードアプリケーションが、GUI表示を行おうとした場合、自動再生プレイリストによる再生画像が邪魔になることが多く、常に、自動再生プレイリストを用いた初期表示がなされている訳ではない。そうすると、自動再生プレイリストの指定がないため、表示レートの初期化をタイトルの切り替え時に実行できない場合が生じる。
【0065】
そこで、本実施形態では、アプリケーションシグナリングのための動作モードオブジェクト内に表示レート初期化情報を設けていて、この表示レート初期化情報に基づき、タイトル切り替え時に、表示レートの指定を行うようにしている。
以上のデータ要素の他にも、クラスアーカイブファイルをキャッシュに格納するためのアプリケーションキャッシュ情報や、キーイベントの発生の可否を示すキーインタレストテーブルといったデータ要素が、動作モードオブジェクトに存在するが、これらについては、後段に説明の場を譲る。
【0066】
次に、再生装置の構成要素について説明する。図6の再生装置は、読出部201、ダブルバッファ202、レジスタセット203、デコーダセット204、ビデオデコーダ205、プレーンメモリセット206、多重分離部207、合成部208、送受信部209、再生制御部210、表示制御部211、プラットフォーム部301、クラスローダ302、アプリケーションマネージャ303、ヒープメモリ304、バイトコードインタプリタ305、モジュールマネージャ401、イベントマネージャ402から構成される。
【0067】
図中の枠w11は、集積回路として、1つのシステムLSIにパッケージすべき部分を示す。従って、この枠中にある表示制御部211、プラットフォーム部301、モジュールマネージャ401、イベントマネージャ402は、1つのシステムLSIにパッケージ化されることになる。
<読出部201>
読出部201は、記録媒体からインデックステーブル、動作モードオブジェクトのプログラムファイル、プレイリスト情報ファイル、クリップ情報ファイル、ストリームファイルを読み出す。読出部201は、立体視インターリーブドストリームファイルの読み出しにあたって、3Dクリップ情報ファイルにおけるクリップベース情報内のエクステントスタートポイント情報と、クリップディペンデント情報内のエクステントスタートポイント情報とを用いて、立体視インターリーブドストリームファイルを、メインTSに対応するATCシーケンス1と、サブTSに対応するATCシーケンス2とに分割して、ATCシーケンス1と、ATCシーケンス2とを別々のリードバッファに格納するという処理を行う。この分割は、クリップディペンデント情報におけるエクステントスタートポイント情報に示されているソースパケット番号のパケット数だけ、立体視インターリーブドストリームファイルからソースパケットを取り出してATCシーケンス1に追加するという処理と、クリップベース情報におけるエクステントスタートポイント情報に示されているソースパケット番号のパケット数だけ、立体視インターリーブドストリームファイルからソースパケットを取り出してATCシーケンス2に追加するという処理とを繰り返すことでなされる。
【0068】
<ダブルバッファ202>
ダブルバッファ202は、読出部201と、多重分離部207との間の速度調整のために設けられた2つのリードバッファからなり、立体視インターリーブドストリームファイルを分割することで得られたATCシーケンス1、ATCシーケンス2を一時的に格納する。
<レジスタセット203>
レジスタセット203は、複数のプレーヤ状態レジスタ、複数のプレーヤ設定レジスタから構成される。プレーヤ状態レジスタは、再生装置のMPUが算術演算やビット演算を行う際、その被演算子となる数値を格納しておくためのハードウェア資源であり、光ディスクが装填された際に初期値が設定され、再生装置の状態が変化した際に、その格納値の有効性が判定されるレジスタである。この格納値としては、カレントのタイトル番号、カレントのプレイリスト番号、カレントのプレイアイテム番号、カレントのストリーム番号、カレントのチャプター番号等がある。光ディスクの装填時に初期値が格納されるので、この格納値は一時的なものであり、光ディスクがイジェクトされたり、また再生装置の電源が断たれれば、この格納値は有効性を失う。特に、タイトル番号を格納しておくためのレジスタをタイトル番号レジスタという。
【0069】
プレーヤ設定レジスタは、電源対策が施されている点がプレーヤ状態レジスタとは異なる。電源対策が施されているので、再生装置の電源遮断時において、その格納値が不揮発性のメモリに退避され、再生装置の電源投入時において、その格納値が復帰される。再生装置の製造主体(マニフャクチャ)が再生装置の出荷時に定めた再生装置の各種コンフィグレーションや、ユーザがセットアップ手順に従い設定した各種コンフィグレーション、そして、再生装置がTVシステムやステレオ、アンプ等のホームシアターシステムの機器と接続された際、接続相手となる機器とのネゴシエーションにより判明した相手側機器のケーパビリティがプレーヤ設定レジスタに設定される。
【0070】
<デコーダセット204>
デコーダセット204は、ビデオデコーダ、プレゼンテーショングラフィクスストリームデコーダ、インタラクティブグラフィクスストリームデコーダ、オーディオデコーダから構成される。
<ビデオデコーダ205>
ビデオデコーダ205は、デコーダセット204におけるデコーダのうち、代表的なデコーダであり、ディペンデントビュービデオストリームを構成するビューコンポーネントをプリロードした上、ベースビュービデオストリーム内のクローズGOPの先頭に位置するデコーダリフレッシュを意図したピクチャタイプ(IDRタイプ)のビューコンポーネントをデコードする。このデコードにあたって、コーデッドデータバッファ、デコードデータバッファを全クリアする。こうしてIDRタイプのビューコンポーネントをデコードした後、このビューコンポーネントとの相関性に基づき圧縮符号化されているベースビュービデオストリームの後続のビューコンポーネント、及び、ディペンデントビュービデオストリームのビューコンポーネントをデコードする。デコードによって当該ビューコンポーネントについての非圧縮のピクチャデータが得られれば、デコードデータバッファに格納し、かかるピクチャデータを参照ピクチャとする。
【0071】
この参照ピクチャを用いて、ベースビュービデオストリームの後続のビューコンポーネント、及び、ディペンデントビュービデオストリームのビューコンポーネントについて、動き補償を行う。動き補償によって、ベースビュービデオストリームの後続のビューコンポーネント、及び、ディペンデントビュービデオストリームのビューコンポーネントについて、非圧縮のピクチャデータが得られれば、これらをデコードデータバッファに格納し参照ピクチャとする。以上のデコードは、個々のアクセスユニットのデコードタイムスタンプに示されているデコード開始時刻が到来時になされる。
【0072】
<プレーンメモリセット206>
プレーンメモリセット206は、複数のプレーンメモリから構成される。これらのプレーンメモリは、レイヤモデルを構成しており、個々のプレーンメモリの格納内容は、レイヤ合成に供される。プレーンメモリセットは、左目用プレーンメモリ、右目用プレーンメモリを含み、個々のアクセスユニットのベースビューのビューコンポーネントをデコードすることで得られた非圧縮のピクチャデータ、ディペンデントビューのビューコンポーネントをデコードすることで得られた非圧縮のピクチャデータが、これら左目用プレーンメモリ、右目用プレーンメモリに書き込まれる。この書き込みは、個々のアクセスユニットのプレゼンテーションタイムスタンプに示されている再生開始時刻の到来時になされる。
【0073】
左目用のプレーンメモリ、右目用プレーンメモリのうち、どちらにデコード後のピクチャデータを書き込むかは、プレイリスト情報におけるベースビューインディケータに従う。ベースビューインディケータが、ベースビュービデオストリームを“左目用”として指定していれば、ベースビュービデオストリームのピクチャデータが左目用プレーンメモリに書き込まれ、ディペンデントビュービデオストリームのピクチャデータが右目用のプレーンメモリに書き込まれる。
【0074】
ベースビューインディケータが、ベースビュービデオストリームを“右目用”として指定していれば、ベースビュービデオストリームのピクチャデータが右目用のプレーンメモリに書き込まれ、ディペンデントビュービデオストリームのピクチャデータが左目用のプレーンメモリに書き込まれる。そして、これらのビューコンポーネントは、順次表示装置に出力される。具体的にいうと、一個のフレーム期間において、左目用プレーンメモリのピクチャデータと、右目用プレーンメモリのピクチャデータとを同時に出力する。
【0075】
<多重分離部207>
多重分離部207は、3Dプレイリスト情報の基本ストリーム選択テーブルのストリームエントリーに記述されているパケット識別子を有するソースパケットを、TSパケットに変換した上でデコーダに出力し、3Dプレイリスト情報の立体視ストリーム選択テーブルのストリームエントリーに記述されているパケット識別子を有するソースパケットを、TSパケットに変換した上でデコーダに出力する。基本ストリーム選択テーブルの複数のエントリー及び拡張ストリーム選択テーブルの複数のエントリーのうち、どれのパケット識別子をもちいるかは、レジスタセットのプレーヤ状態レジスタのうち、ストリーム番号レジスタの設定に従う。ストリーム番号レジスタとは、カレントのストリーム番号を格納しているレジスタである。
【0076】
<合成部208>
合成部208は、複数のプレーンメモリにおけるレイヤ合成を行う。プレーンメモリのレイヤ合成は、プレーンメモリのレイヤモデルにおいて、階層間のプレーンメモリに格納されている画素データの画素値を重畳させるという処理を、レイヤモデルにおける階層間の全ての組合せに対して実行することでなされる。合成部208によるレイヤ合成は、プレーンメモリのレイヤモデルにおいて、2つの階層のプレーンメモリに格納されている画素データの画素値を重畳させるという処理を、レイヤモデルにおける2つの階層の全ての組合せに対して実行することでなされる。
【0077】
階層間の重畳は、ある階層に位置するプレーンメモリのライン単位の画素値に透過率αを重みとして乗じるとともに、その下位階層に位置するプレーンメモリのライン単位の画素値に(1−透過率α)という重みを乗じてこれら輝度の重み付けがなされた画素値同士を加算し、加算結果を、その階層におけるライン単位の画素の画素値とする処理である。この階層間の重畳を、レイヤモデルの隣接する2つ階層に位置するライン単位の画素同士で繰り返し実行することにより、上記レイヤ合成は実現される。
【0078】
<送受信部209>
送受信部209は、ホームシアターシステムにおける他の機器とインターフェイスを介して接続された際、ネゴシエーションフェーズを経て、データ伝送フェーズに移行し、データ伝送を行う。
このネゴシエーションフェーズは、相手側機器のケーパビリティ(デコード能力、再生能力、表示周波数を含む)を把握して、プレーヤ設定レジスタに設定しておき、以降の伝送のための伝送方式を定めるものであり、相互認証フェーズを含む。ネゴシエーションフェーズを経て、レイヤ合成がなされたピクチャデータにおける一ライン分の非圧縮・平文形式の画素データを、表示装置における水平同期期間に従い表示装置に高い転送レートで転送する。一方、表示装置における水平帰線期間、及び、垂直帰線期間において、再生装置と接続された他の装置(表示装置のみならずアンプ、スピーカを含む)に、非圧縮・平文形式のオーディオデータを転送する。こうすることで、表示装置、アンプ、スピーカといった機器は、非圧縮・平文形式のピクチャデータ、非圧縮・平文形式のオーディオデータを受け取ることができ、再生出力を実現することができる。また、相手側機器にデコード能力が存在する場合、ビデオストリーム、オーディオストリームのパススルー伝送が可能になる。パススルー伝送では、ビデオストリーム、オーディオストリームを圧縮・暗号化形式のまま伝送することができる。
【0079】
伝送フェーズにおいて送受信部209は、伝送に先立ち、左目で視聴すべきピクチャデータと、右目で視聴すべきピクチャデータとの連結を行う。ピクチャデータの連結の仕方には、サイドバイサイド形式、トップアンドボトム形式がある。
サイドバイサイド形式とは、左目で視聴すべきピクチャデータと、右目で視聴すべきピクチャデータとを横方向に結合して表す形式である。
【0080】
トップアンドボトム形式とは、左目で視聴すべきピクチャデータと、右目で視聴すべきピクチャデータとを上下に並べて連結して表す形式である。
<再生制御部210>
再生制御部210は、ビデオストリームの時間軸における任意の時点からのランダムアクセスを実行する。具体的には、ビデオストリームの時間軸における任意の時点からの再生が命じられた場合、3Dクリップ情報ファイルにおける通常のエントリーマップと、立体視エントリーマップとを用いて、その任意の時点に対応するアクセスユニットのソースパケット番号をサーチする。かかるアクセスユニットは、ベースビュービデオストリームのビューコンポーネント、及び、ディペンデントビュービデオストリームのビューコンポーネントの組みを含むものであり、上記サーチによって、当該アクセスユニットについてのアクセスユニットデリミターを格納したソースパケットのソースパケット番号が特定される。かかるソースパケット番号からの読み出し、及び、デコードを実行することでランダムアクセスがなされる。3Dプレイリスト再生にあたっては、3Dプレイリスト情報のメインパス情報にて規定されているインタイム、アウトタイムと、サブパス情報にて規定されているインタイム、アウトタイムとを用いて、メインTS、サブTSのそれぞれに対してランダムアクセスを実行することで、プレイリスト再生を開始する。
【0081】
<表示制御部211>
表示制御部211は、再生装置における組込みプログラムで構成され、プレーンメモリセット206、多重分離部207に対する表示制御を実行する。この表示制御には、タイトル切り替え時に、新たなカレントタイトル番号が設定された際、そのカレントタイトルに対応する動作モードオブジェクトの初期化情報を用いて、表示装置400を初期化する制御を含む。伝送路600として、HDMIが使用されている場合、表示装置400の初期化には、AVIinfoFrameのビデオフォーマット識別コードを用いる。HDMIでは、解像度と、周波数との組みを、ビデオフォーマット識別コードによって指定することができるからである。
【0082】
<プラットフォーム301>
プラットフォーム301は、バイトコードアプリケーションを動作させるモジュールであり、クラスローダ302、アプリケーションマネージャ303、ヒープメモリ304、バイトコードインタプリタ305を含む。
<クラスローダ302>
クラスローダ302は、記録媒体100に記録されたアプリケーションのクラス構造体のインスタンスをヒープメモリ111に生成することにより、バイトコードアプリケーションのロードを行う。
【0083】
<アプリケーションマネージャ303>
アプリケーションマネージャ303は、アプリケーション管理テーブルに基づき、バイトコードアプリケーションの正当性を検証した上で、バイトコードアプリケーションを起動したりバイトコードアプリケーションを終了したりする等、バイトコードアプリケーションのアプリケーションシグナリングを行う。
【0084】
<ヒープメモリ304>
ヒープメモリ304は、バイトコードアプリケーションを構成するバイトコードやバイトコードアプリケーションが利用するシステムパラメータを格納して実行に供するスタック領域である。
<バイトコードインタプリタ305>
バイトコードインタプリタ305は、いわゆる仮想マシン部であり、ヒープメモリ304に格納されているバイトコードアプリケーションを構成するバイトコードをネィティブコードに変換して、MPUに実行させる。
【0085】
<モジュールマネージャ401>
モジュールマネージャ401は、インデックステーブルを保持して、モード管理及び分岐制御を行う。モード管理とは、コマンドベースの動作モード、バイトコードアプリケーションベースの動作のうち、どちらに割り当てるかという制御であり、また、分岐制御とは、カレントのタイトル、及び、カレントの動作モードに対応する動作モードオブジェクトを読み出して実行に供する制御である。
【0086】
<イベントマネージャ402>
イベントマネージャ402は、操作装置300に対するユーザ操作に応じてイベントが発生した場合、発生したイベントがキーインタレストテーブルに記載されているかどうかを判定する。そして記載されているなら、そのイベントをバイトコードアプリケーションに処理させるべく、キーイベントを出力する。
【0087】
一方、発生したイベントがキーインタレストテーブルに記載されていない場合、そのイベントに対応するAV機能を再生制御部に実行させる。こうすることで、バイトコードアプリケーションにイベントの対応漏れや、バグがあったとしても、再生制御部部による再生制御が行われることになる。
以上がプラットフォーム部についての説明である。続いて、端末管理テーブルの詳細について説明する。
【0088】
図7は、端末管理テーブルについての説明図である。同図(a)は端末管理テーブルの内部構成であり、本図に示すように、端末管理テーブルは、「表示レート初期化情報」、「フォーマット初期化情報」から構成される。
「表示レート初期化情報」は、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルに選択された場合、表示装置の表示レートをどのような周波数で初期化するかを示す。ここで“表示レート”とは、1秒当りのフレーム数を表す単位であり、FPS(Frame Per Second)という単位系で表現される。ここでフレーム期間を波長を考えれば、表示レートは“周波数”として表現することができ、表示レートの表記には、単位系として“Hz”を用いることもある。表示レート初期化情報は、表示装置400がとり得る複数の周波数の何れかを用いて表示レートを表現するようにしている。図7(b)は、表示レート初期化情報の内部構成を示す図である。本図に示すように、表示レート初期化情報は、プログレッシブ形式の59.94Hz(59.94p)、プログレッシブ形式の50Hz(50p)、プログレッシブ形式の23.976Hz(23.976p)のうち何れか1つを表示装置の初期化に用いるべき周波数として指定することができる。
【0089】
また表示レート初期化情報は、59.94Hz、50Hz、23.976Hzのうち、2以上の周波数を指定することも可能である。表示レート初期化情報として、2以上の周波数が指定されている場合、再生装置は、これらの周波数のうち、接続されている表示装置において処理できるものを選択する。表示レート初期化情報において、2以上の周波数が指定されており、また、接続されている表示装置において、処理可能なものが2以上存在する場合、表示レート初期化情報における周波数の順序によって、用いるべき周波数を定める。具体的には、23.976Hz、59.94Hz、50Hzの順序で、周波数が並んでいる場合、表示装置において23.976Hzが処理できるならば23.976Hzを、23.976Hzは処理できないが59.94Hzが処理できるなら59.94Hzを、23.976Hz、59.94Hzが処理できないが50Hzを処理できるなら50Hzを選択する。
【0090】
「表示フォーマット初期化情報」は、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルに選択された場合、表示装置の表示フォーマットを、3D表示モードにするか、2D表示モードにするか、また、解像度をどのように設定するかを規定する。
図7(c)は、フォーマット初期化情報の一例を示す。本図に示すように、フォーマット初期化情報は、HD3D_1920×1080、HD3D_1280×720、HD_1920×1080、HD_1280×720、QHD_960×540,SD,SD_50HZ_720×576,SD_60HZ_720×480の何れかに設定することができる。ここでHDとはフルハイビジョンを意味し、HD3Dは、1920×1080の解像度又は1280×720の解像度で、フルハイビジョンの3D表示を表示装置に行わせる旨を示す。
【0091】
以下、フレーム期間と、表示レートとの関係について説明する。表示装置400におけるフレーム期間は、表示レートにて示される周波数の逆数となる。同図(d)は、フレーム期間と、ピクチャデータ及びビューコンポーネントとの関係を示す。本図の第1段目は、2D表示モードにおけるフレーム期間を示し、第2段目は、3D表示モードにおけるフレーム期間を示す。第1段目に示すように、2D表示モードにおいては、フレーム期間において、一個のピクチャが表示されることになる。第2段目に示すように、3D表示モードにおいて、フレーム期間内に、左目用のビューコンポーネントと、右目用のビューコンポーネントとが表示に供されることになる。
【0092】
同図(e)は、フレーム期間に対応する転送期間と、ピクチャデータ及びビューコンポーネントの関係を示す。第1段目は、2D表示モードにおける転送期間を示し、第2段目は、3D表示モードにおける転送期間を示す。あるフレーム期間で表示されるべきピクチャデータやビューコンポーネントは、そのフレーム期間直前までに転送されねばならないので、2D表示モードでは、第1段目に示すように、そのフレーム期間で表示すべきピクチャデータを転送する期間が、転送期間になる。3D表示モードにおいては、そのフレーム期間で表示すべき左目及び右目用のビューコンポーネントを、そのフレーム期間直前までに転送せねばならないので、第2段目に示すように左目及び右目用のビューコンポーネントを転送するのに要する期間が、転送期間になる。3D表示モードでは、上述したようなフレーム期間において、左目用のビューコンポーネント、右目用のビューコンポーネントの双方を表示装置に転送せねばならないので、伝送すべきビットサイズが倍になる。2D表示モードから3D表示モードに切り替われば、周波数は同一でありながら、伝送量は倍になるので、かかる再生モードの切り替えは、プレイリストの再生中に発生しないようにする。
【0093】
(表示レート初期化の一例)
以下、具体的なコンテンツイメージの一例を引用して、表示レート初期化情報による表示レート初期化の一例について説明する。以下の説明において題材として選んだコンテンツイメージは、図8、図9のようなパッケージメディア特有の状態遷移をなすものであり、インデックステーブルによるファーストプレイタイトルの再生後、トップメニューに対応する動作モードオブジェクト及びバイトコードアプリケーションの実行を行う。そして、かかる動作モードオブジェクト及びバイトコードアプリケーションの実行によってトップメニューが表示されて、複数のタイトルの何れかが選択されれば、選択されたタイトルに固有なプレイリストメニューを表示して、複数のプレイリストの何れかをユーザに選択させてから、プレイリストの再生に移る。
【0094】
ファーストプレイタイトルとは、映画作品の著作権について警告表示やコンテンツプロバイダによるロゴ表示等を行うものである。かかる警告表示やロゴ表示は、ビデオストリームによって構成されていることが多く、ディスク装填時においては、警告表示やロゴ表示のためのビデオストリームの解像度、表示レートが表示装置に設定されることになる。このファーストプレイタイトルに適用すべき解像度や表示レートは、インデックステーブルに記述することができる。
【0095】
トップメニューとは、ディスク媒体に格納されている個々のタイトルを図形化して、選択に供するためのメニューである。
プレイリストメニューとは、あるタイトルから再生可能となる個々のプレイリストを図形化して選択に供するためのメニューである。トップメニュータイトルやプレイリストメニューは、タイトルやプレイリストを単に図形化して表示するものに過ぎず、ビデオストリーム再生を特に必要しないので、プレイリストメニューの再生にあたっては、単に、GUI表示に用いるべき解像度が、表示装置に設定されればよい。従って、バイトコードアプリケーションがプレイリストメニューを再生する際、表示装置に指示する表示レートは任意のものでよい。図8、図9における題材では、ファーストプレイタイトルの再生後に、トップメニュー、プレイリストメニューを再生しているので、ファーストプレイタイトルの再生時に使用した表示レート(図8、図9の題材では59.94Hzであるとする)が、そのままトップメニュー、プレイリストメニューの再生時に適用されることになる。
【0096】
タイトル選択を受け付けるためのトップメニュータイトルや、プレイリスト選択を受け付けるためのプレイリストメニューによるGUI表示は、表示装置の表示レートに全く依拠しないのに対しプレイリストは、ベースビュービデオストリーム、ディペンデントビュービデオストリームを含み、これらのビデオストリームのビューコンポーネントは、動画素材に固有な表示レートを有しているため、アプリケーションによるGUI表示からプレイリスト再生への切り替えを行えば、表示装置における表示レートの変動を発生させてしまう。
【0097】
図8は、タイトル切り替えに表示レートを初期化しない場合における表示装置の表示内容の遷移を示す。本図では、各フレームにおいて左目で視聴すべきピクチャデータと、右目で視聴すべきピクチャデータとをサイドバイサイド形式で描いている。
図8の事例は、ディスクインサート時のトップメニュータイトルの再生時に表示レートが59.94Hzに設定され、再生すべきビデオストリームの表示レートが50Hzであると仮定している。
【0098】
図8の動作例では、トップメニューの表示からタイトル内プレイリストメニューへの切り替え時に、GUI表示のための解像度を表示装置に設定するためのブラックアウト期間が発生するが、上述したように、インサート時の表示レートと、プレイリストの表示レートとが異なり、プレイリスト再生時には、プレイリスト固有の表示レートである50Hzを表示装置に設定する必要があるので、タイトル内プレイリストメニューの表示から、実際のプレイリスト再生までの間にもブラックアウト期間が発生する。よって表示装置400の表示内容は、(1)トップメニューの表示→(2)タイトル切換時のブラックアウト→(3)タイトル内プレイリストメニューの表示→(4)表示レートを切り替えたためのブラックアウト→(5)50Hzのプレイリスト再生というように、遷移することになる。
【0099】
図9は、タイトル切り替えに表示レートを初期化する場合における表示装置の表示内容の遷移を示す。図9でも、ディスクインサート時に表示レートが59.94Hzに設定され、再生すべきストリームファイルの表示レートが50pのプレイリストであると仮定している。図9の上段には、端末管理テーブルが記載されており、非AV再生を前提としたバイトコードアプリケーションがGUI表示に用いる“解像度”と、プレイリストにおけるビデオストリーム再生に適用される“表示レート”との組合せが、この端末管理テーブルに記載されていることがわかる。端末管理テーブルがこのように設定されているため、カレントタイトルの切り替え時において、非AV再生を前提としたバイトコードアプリケーションがGUI表示に用いる“解像度”と、プレイリストにおけるビデオストリーム再生に適用される“表示レート”との組合せが、表示装置に指示されている。
【0100】
非AV再生を前提としたバイトコードアプリケーションがGUI表示に用いる“解像度”と、プレイリストにおけるビデオストリーム再生に適用される“表示レート”との組合せを、タイトル切り替え時に、表示装置に指示するので、ブラックアウトは、タイトル切り替え時において一回のみになり、ブラックアウトの発生回数が低減されていることがわかる。
【0101】
以上の動作は、図10のフローチャートに示される処理手順をコンピュータ記述言語で記述して、MPUに実行することで実現可能になる。
図10は、再生装置の処理手順を示すフローチャートである。インサートされたディスクからインデックステーブルを読み出し(ステップS1)、インデックステーブルに記載された表示レートでネゴシエーションを実行する(ステップS2)。そしてファーストプレイタイトルのタイトル番号をカレントタイトル番号とし(ステップS3)、ファーストプレイタイトルの再生を実行する(ステップS4)。
【0102】
続いてトップメニュータイトルのタイトル番号をカレントタイトル番号に設定し(ステップS5)、タイトル番号1〜999のタイトルの選択待ちを行う(ステップS6)。ステップS7では、選択されたタイトル番号をカレントタイトル番号に設定し、ステップS8においてカレントタイトル番号に対応する動作モードオブジェクトを読み出す。その後、ステップS9に移行する。ステップS9では、カレントの動作モードオブジェクトに自動再生プレイリストの指定が存在するか否かの判定であり、存在しない場合、カレント動作モードオブジェクトの表示レート初期化情報に基づいて表示装置とのネゴシエーションを実行し(ステップS10)、カレント動作モードオブジェクトのアプリケーション管理テーブルを用いてアプリケーションシグナリングを実行する(ステップS11)。その後、プレイリストの選択メニューを表示し(ステップS12)、プレイリストの選択待ちを行う(ステップS13)。プレイリストが選択されれば、ネゴシエーションに用いた表示レートでプレイリストの再生を開始して(ステップS14)、ステップS15〜ステップS16からなるループに移行する。ステップS15は、タイトル切り替えが発生したかどうかの判定であり、もし発生すれば、切り替え後のタイトル番号をカレントタイトル番号に設定する(ステップS17)。プレイリストの再生が終了すれば、ステップS13に移行して、プレイリストの選択待ちとなる。
【0103】
カレントの動作モードオブジェクトには、自動再生プレイリストの指定が存在すると判定された場合、ステップS18においてカレント動作モードオブジェクトの自動再生プレイリストを再生する。

(表示レート設定の技術的意義)
ここで、端末管理テーブルにプレイリスト再生のための表示レートを設定しておくことの技術的意義について説明する。
【0104】
表示レート初期化情報によって表示装置に指示した表示レートとは異なる表示レートをもつプレイリストが選択されることがあり、このようなプレイリストが選択された場合、たとえ端末管理テーブルにおける表示レート初期化情報において初期化を行ったとしても、プレイリストメニューの再生からプレイリスト再生までの間にブラックアウトが発生することは避け得ない。しかし3D表示モードでは、採用することができる表示レートの種類、23.976Hz、59.94Hz、50Hzの3種類に限られており、表示レートと、解像度との組合せパターンは限られる。
【0105】
ファーストプレイタイトルの解像度が1280×720、周波数が59.94Hzであり、プレイリストメニューで選択可能なプレイリストに、1920×1080/23.976Hz、1280×720/59.94Hz、1280×720/50Hzのものが存在するものとして、ブラックアウトの発生確率を検証する。
(1)プレイリストメニューの表示のための解像度として1920×1080を選んだ場合。
この場合、動作モードオブジェクトの端末管理テーブルにおける解像度初期化情報を1920×1080とすべきである。一方、表示レート初期化情報は、23.976Hzと設定すべきである。1920×1080については、表示レートは23.976Hzしかとりえないからである
以上のように解像度、表示レートを設定した場合、トップメニューにおけるタイトル選択時には、当該解像度、表示レートに設定するためのブラックアウト期間が発生する。しかしプレイリストメニューにおいて、1920×1080/23.976Hzのプレイリストを選択する際には表示レート切り替えのためのブラックアウトは発生しない。よって、1920×1080/23.976Hzのプレイリストを選択した場合はブラックアウト回数を1回にすることができる。
【0106】
対照的に、プレイリストメニューにおいて、1280×720/59.94Hzのプレイリストを選択した際、又は、1280×720/50Hzのプレイリストを選択した際には、ブラックアウトの発生回数は2回になる。
(2)プレイリストメニューの表示のための解像度として1280×720を選んだ場合。
この場合、動作モードオブジェクトの端末管理テーブルの解像度を1280×720と設定すべきである。表示レート初期化情報については、59.94Hz、50Hzの何れかを選ぶことができる。
【0107】
(2-1)表示レートを59.94Hzと設定した場合を想定する。この場合、トップメニューにおけるタイトル選択時には、解像度、表示レートに設定するためのブラックアウト期間が発生しない。ファーストプレイタイトルにおける解像度・表示レートと、プレイリストメニューにおける解像度・表示レートとが一致するからである。また、プレイリストメニューにおいて、1280×720/59.94Hzのプレイリストを選択する際にも表示レート切り替えのためのブラックアウトは発生しない。よってブラックアウトの発生回数をゼロ回にすることができる。他方、プレイリストメニューにおいて1920×1080/23.976Hzのプレイリストを選択した際、1280×720/50Hzのプレイリストを選択した際には、プレイリストメニューの再生からプレイリスト再生へと移行する際、ブラックアウトが1回発生する。
【0108】
(2-2)表示レート初期化情報を50Hzと設定した場合を想定する。この場合、トップメニューにおけるタイトル選択時には、解像度・表示レートを設定するためのブラックアウト期間が発生する。一方、プレイリストメニューにおいて1280×720/50Hzのプレイリストを選択した際、プレイリストメニューの再生からプレイリストの再生へと切り替える際のブラックアウトは発生しない。よって50Hzのプレイリストの選択時には、ブラックアウトの発生回数は一回限りになる。
【0109】
一方、プレイリストメニューにおいて1920×1080/23.976Hzのプレイリストを選択した際、1280×720/59.94Hzのプレイリストを選択した際には、プレイリストメニューからプレイリスト再生への切り替え時にブラックアウトが発生する。よってこの場合、ブラックアウトの発生回数は2回となる。
まとめると、ファーストプレイタイトルの解像度・表示レートと、実際に再生されるプレイリストの解像度・表示レートとが一致する場合、この解像度をプレイリストメニューの解像度として選び、また解像度・表示レートを、動作モードオブジェクトにおける端末管理テーブルの解像度初期化情報、表示レート初期化情報に記述することで、ブラックアウトの発生回数をゼロにすることができる。
【0110】
ファーストプレイタイトルの解像度・表示レートと、実際に再生されるプレイリストの解像度・表示レートとが一致しない場合、実際に再生されるプレイリストの解像度をプレイリストメニューの解像度として選び、実際に再生されるプレイリストの解像度・表示レートを、動作モードオブジェクトにおける端末管理テーブルの解像度初期化情報、表示レート初期化情報に記述することで、ブラックアウトの発生回数を1回にすることができる。
【0111】
ブラックアウトの発生回数が2回になるのは、ファーストプレイタイトルの解像度・表示レートと、実際に再生されるプレイリストの解像度・表示レートとが一致せず、また、実際に再生されるプレイリストの表示レートが、端末管理テーブルにおける表示レート初期化情報の表示レートとは異なる場合に限られる。つまり、実際に再生されるであろうプレイリストの解像度、表示レートを、端末管理テーブルの解像度初期化情報、表示レート初期化情報に記述し、また、実際に再生されるであろうプレイリストの解像度を、GUIの解像度として選ぶことで、ブラックアウトの発生回数を低減することができる。
【0112】
以上より3D表示モードでは、採用できる表示レートが制限されるから、後に再生されるべきプレイリストが複数存在したとしても、これらのプレイリストの表示レートのうち、どれかを端末管理テーブルに記載することで、ブラックアウトの発生回数を、1回又はゼロ回に低減することができる。
以降、動作モードオブジェクトの詳細な構成と、動作モードオブジェクトを用いたプラットフォーム部の詳細な動作とについて説明する。
【0113】
本実施形態の動作モードオブジェクトには、アプリケーションキャッシュ情報、キーインタレストテーブルが追加されている。
図11は、アプリケーションキャッシュ情報111、キーインタレストテーブル112が追加された動作モードオブジェクトと、アプリケーションキャッシュ情報111、キーインタレストテーブル112を処理するための構成要素(アプリケーションキャッシュ306、キャッシュマネージャ307、イベントマネージャ402)とを描いた図である。
【0114】
上記アプリケーションキャッシュ情報は、キャッシュマネージャによって処理される。また、キーインタレストテーブルは、イベントマネージャ402によって処理される。以降、これらの構成要素について説明する。
アプリケーションキャッシュ情報111は、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルになった際、当該タイトルにおけるAV再生が開始されるまでに、どのアプリケーションを構成するファイルを、プラットフォーム内のアプリケーションキャッシュ306に読み込むべきかを示す情報であり、複数のエントリーを含む。各エントリーに付与された順位は、その順位がもっとも高いエントリーに対応するアプリケーションを最初にプラットフォームのキャッシュに読み込ませ、それ以降、順位が高い順に、残りのエントリーに対応するアプリケーションを、キャッシュフルになるまで、順次プラットフォームのキャッシュに読み込ませる旨を再生装置に指示する。
【0115】
アプリケーションキャッシュ306は、クラスアーカイブファイル102が格納されるキャッシュメモリである。
キャッシュマネージャ307は、カレントの動作モードオブジェクトにおいて、キャッシュインすることがアプリケーションキャッシュ情報に記述されているクラスアーカイブファイル102を、アプリケーションキャッシュ306に格納する。これにより、このクラスアーカイブファイル102に対応するアプリケーションがコールされた場合、クラスローダ302を用いた高速なクラスロードがなされる。
【0116】
図中の矢印cy1,cy2,cy3,cy4は、クラスアーカイブファイル102が経由する構成要素を示す。アプリケーションキャッシュ306−キャッシュマネージャ307を通じてクラスローダ302に到達し、クラスローダ302は、このクラスアーカイブファイルからクラスファイルのインスタンスをヒープメモリ304に生成していることがわかる。矢印ay0は、アプリケーションキャッシュ情報111の参照を示す。アプリケーションキャッシュ情報111は、この過程で、クラスアーカイブファイル102をアプリケーションキャッシュ306に格納する目的で使用されていることがわかる。矢印ay1は、アプリケーション管理テーブルの参照を示す。アプリケーション管理テーブルは、アプリケーションマネージャ303がクラスファイルのインスタンスをヒープメモリ304内に生成させる目的で使用されていることがわかる。矢印py1は、プレイリストアクセス情報の参照を示す。つまり、自動再生プレイリストが指定されている場合、自動再生プレイリストとして指定されているプレイリストを構成するプレイリスト情報が記録媒体から読み出されていることがわかる。
【0117】
図11については、自動再生プレイリストの指定がある場合を示した。図12は、自動再生プレイリストの指定がない場合を示す。矢印hy1は、表示レート初期化情報の参照を示す。本図の矢印cy2,cy3,cy4に示すように、クラスアーカイブファイル102のバイトコードアプリケーションがアプリケーションキャッシュ306、クラスローダ302、ヒープメモリ304を通じて、ロードされるのと同時に、表示レート初期化がなされているので、アプリケーションによる描画イメージの作成は、表示レート初期化どほぼ同時になされる。
【0118】
以上のように本実施形態によれば、非AV再生を前提としたバイトコードアプリケーションがGUI表示に用いる“解像度”と、プレイリストにおけるビデオストリーム再生に適用される“表示レート”との組合せを端末管理テーブルに記載しておき、カレントタイトルの切り替え時において、かかる解像度−表示レートの組合せで、表示装置を初期化することにより、非AV再生を前提としたバイトコードアプリケーションがGUI表示を行うための“解像度の初期化”と、プレイリストによりビデオストリーム再生を行うための“表示レートの初期化”とを一度にまとめて実行することができる。こうすることで、表示装置に解像度や表示レートの初期化を指示するためのブラックアウトの発生回数を少なくすることができる。
【0119】
(第2実施形態)
第2実施形態は、表示ケーパビリティとの関連を開示した実施形態である。つまり、立体視再生を行う再生装置では、表示装置の表示ケーパビリティがプレーヤ設定レジスタに示されているので、第1実施形態における表示レート初期化情報の応用としては、この表示ケーパビリティにおける表示レートの可否に応じて、初期化に用いるべき表示レートを選ぶという改良が考えられる。本実施形態は、かかる改良の可能性を網羅することで、本願に包含される発明の実施形態の充実化を図るものである。
【0120】
本実施形態は、表示装置における立体視表示のケーパビリティに応じて、表示レートの初期化を行う改良である。
立体視表示ケーパビリティは、立体視表示ケーパビリティレジスタによって示される。立体視表示ケーパビリティレジスタは、レジスタセットにおけるプレーヤ設定レジスタの1つであり、表示装置が、1920×1080の解像度で、23.976Hzの表示レートを処理することができるか、1280×720の解像度については、59.94Hzを処理することができるか、50Hzを処理することができるかを示す。
【0121】
立体視表示ケーパビリティを示すレジスタ(立体視表示ケーパビリティレジスタ)は、レジスタセットの1つであり、32ビットの語長を有する。
立体視表示ケーパビリティレジスタの最下位ビット(b0)は、“0”に設定された際、接続されたTVシステムが、1920×1080/23.976Hzプログレッシブビデオ、又は、1920×1080/59.94Hzプログレッシブビデオを表示するケーパビリティを有していない旨を示す。
【0122】
“1”に設定された際、接続されたTVシステムが、1920×1080/23.976Hzプログレッシブビデオ、又は、1920×1080/59.94Hzプログレッシブビデオを表示するケーパビリティを有している旨を示す。
立体視表示ケーパビリティレジスタの第1ビット(b1)は、“0”に設定された際、接続されたTVシステムが、1280×720/50Hzプログレッシブビデオを表示するケーパビリティを有していない旨を示す。“1”に設定された際、接続されたTVシステムが、1280×720/50Hzプログレッシブビデオを表示するケーパビリティを有している旨を示す。
【0123】
立体視表示ケーパビリティレジスタの第2ビット(b2)は、“0”に設定されることで接続されているTVシステムが、立体視出力モードを視聴するのに眼鏡を必要とする旨を示し“1”に設定されることで接続されているTVシステムが、立体視出力モードを視聴するのに眼鏡を必要としない旨を示す。
以上が立体視表示ケーパビリティレジスタについての説明である。続いて、本実施形態における表示レート初期化情報、表示制御部211の改良について説明する。
【0124】
表示レート初期化情報には、複数の周波数が記載されており、表示制御部211は、これらの周波数のうち、表示装置における立体視表示ケーパビリティに合致したものを初期化に選ぶようにしている。表示レート初期化情報における複数の周波数のそれぞれは、優先順位を有している。例えば、優先順位としては、1:23.976Hz、2:59.94Hz、3:50Hzというように設定する。
【0125】
そして再生装置は、表示レート初期化情報における複数の周波数の中に、表示装置における立体視表示ケーパビリティに合致したものが2以上存在する場合、これら複数の周波数のうち、最も優先順位が高いものを初期化に用いることにする。
図13は、立体視表示ケーパビリティレジスタにおける立体視再生ケーパビリティの判定手順を示すフローチャートである。本フローチャートは、ステップS41〜ステップS43の判定ステップの判定結果の組合せに応じて、立体視再生のために表示レートの初期化を行うか、2D再生出力を行うかという結論を下す。ステップS41は、立体視表示ケーパビリティレジスタのb2が“1”であるか否かの判定であり、ステップS42は、立体視表示ケーパビリティレジスタのb0が“1”であるか否かの判定である。ステップS43は、立体視表示ケーパビリティレジスタのb1が“1”であるか否かの判定である。ステップS41において立体視表示ケーパビリティレジスタのb2が“1”であることは、眼鏡なしで立体視が可能であることを示す。よって立体視表示ケーパビリティレジスタのb2が“1”であれば、ステップS42及びステップS43の判定を経ることなく、ステップS45において表示レート初期化情報に記述されている周波数を用いて表示装置の初期化を行う。眼鏡なしで立体視表示をすることができる表示装置は、立体視専用のものであり、解像度に関係なく、立体視再生可能であるからである。
【0126】
ステップS42において、立体視表示ケーパビリティレジスタのb0が“1”であることは、1920×1080/23.976Hz、及び、1280×720/59.94Hzにおける立体視再生が可能であることを示す。よってステップS41がNoであっても、ステップS42がYesであれば、ステップS44に移行する。ステップS44は、端末管理テーブルの表示レート初期化情報に、23.976Hz又は59.94Hzが設定されているかどうかの判定である。もし設定されていれば、表示装置が処理することができる表示レートであって、表示レート初期化情報にて示されているものを表示装置の初期化に用いる(ステップS45)。
【0127】
ステップS43において、立体視表示ケーパビリティレジスタのb1が“1”であることは、1920×1080/23.976Hz,1280×720/59.94Hzの立体視再生が不可能でも、1280×720/50Hzにおける立体視再生が可能であることを示す。ステップS41−ステップS42がNoである場合、ステップS43がYesであれば、ステップS46において、カレント動作モードオブジェクトの表示レート初期化情報に50Hzが設定されているかどうかを判定し、もし設定されていなければ、2D表示モードに移行する。
【0128】
立体視表示ケーパビリティレジスタのb0が“0”、立体視表示ケーパビリティレジスタのb1が“0”であることは、標準画質(SD)画像であることを示す。よって、ステップS46がNoであれば、立体視再生が不可能であり、強制的に2D出力を行う。
これは、SD画像では、充分な品位の立体視再生を実現することができないからである。
以上のように本実施形態によれば、表示装置における立体視表示ケーパビリティに応じて、適切な表示レートを表示装置に指示するので、タイトル切り替え時の表示レートの設定と、プレイリスト再生時における表示レートとが食い違うことはありえない。
【0129】
(第3実施形態)
第3実施形態は、表示レートの初期化と、解像度との関連を開示した実施形態である。つまり、立体視再生の実現にあたっては、表示装置における解像度によって、採用することができる表示ケーパビリティが限られてくるので、第1実施形態における表示レート初期化情報の応用としては、表示装置の解像度に応じて、初期化に用いるべき表示レートを選ぶという改良が考えられる。本実施形態は、かかる改良の可能性を網羅することで、本願に包含される発明の実施形態の充実化を図るものである。
【0130】
ここで初期化すべき解像度が1920×1080であれば、表示レートは23.976Hz以外ありえない。一方、1280×720であれば、50Hz、59.94Hzのどちらかがあるので、このどちらかを設定すればよい。解像度と、表示レートとを共に設定するには、表示装置にどのような表示能力が存在するかが問題になる。そこで本実施形態では、表示装置における解像度に併せた表示レートの選択を行う。
【0131】
図14は、タイトル切り替え時の表示モード設定の処理手順の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、ステップS21、ステップS22、ステップS23、ステップS26の判定結果に応じて、ステップS24、ステップS25、ステップS27の処理を選択的に実行する。
ステップS21は、自動再生プレイリストが存在するかどうかの判定であり、ステップS22は、直前の表示モードは3Dであるか否かの判定である。ステップS23は、選択されたタイトルの自動再生プレイリストが、1920×1080の3Dプレイリスト又は1280×720の3Dプレイリストであるかどうかの判定である。
【0132】
自動再生プレイリストが存在しない場合、ステップS26において動作モードオブジェクトにおける初期フォーマットは、HD3D_1920×1080であるか、HD3D_1280×720であるかどうかが判定され、もしNoであれば、ステップS27において表示モードを2Dに設定し、解像度を動作モードオブジェクトにおけるデフォルト解像度に設定し、表示レートを、動作モードオブジェクトにおける表示レート初期化情報の表示レートに設定する。
【0133】
もしYesであれば、ステップS25において、表示モードを3Dに設定し、動作モードオブジェクトにおけるデフォルト解像度に応じて1920×1080、あるいは1280×720に設定する。以降、ステップS28、ステップS29の判定を行う。
ステップS28は、フォーマット表示レート初期化情報の解像度が1920×1080であり、1920×1080の解像度を表示装置が処理することができる旨がディスプレイケーパビリティレジスタに設定されているか否かの判定である。ステップS28がYesであれば、ステップS30において、表示レートを23.976Hzに設定する。1920×1080のフルHDであれば、採り得る表示レートは、23.976Hz以外有り得ないからである。1280×720であれば、ステップS29の判定を行う。
【0134】
ステップS29は、50Hzの立体視表示能力が表示装置に存在し、尚且つ、カレント動作モードオブジェクトにおける表示レート初期化情報は、50Hzであるか否かの判定である。
ステップS29の判定でNoであれば、表示レートを59.94Hzに設定する(ステップS31)。ステップS29でYesであれば、表示レートを50Hzに設定する(ステップS32)。
ステップS21において自動再生プレイリストが存在すると判定された場合、ステップS22において直前の表示モードが2Dであるかどうか、又は、ステップS23においてプレイリストが3Dプレイリストで、その解像度が1920×1080、1280×720であるがどうかを判定する。ステップS22、ステップS23のどちらかがNoであれば、ステップS24において表示モードを2Dに設定し、解像度を、自動再生プレイリストの解像度に設定し、表示レートを当該プレイリストの周波数に設定する。
【0135】
ステップS22がYes、ステップS23もYesと判定された場合、ステップS25において、表示モードを3Dに設定し、解像度を、自動再生プレイリストの解像度に応じて1920×1080、又は、1280×720に設定する。
(第4実施形態)
第4実施形態は、記録方法、記録装置としての実施形態である。本願は、プレイリストの表示レートからタイトル起動時の表示レートを定めるという考えを採用しているので、かかる考えは、記録方法、記録装置の特徴として捉えることができる。
【0136】
プレイリストの表示レートからタイトル起動時の表示レートを定めるという特徴で、記録装置、記録方法が実施されるという改良の可能性を網羅すべく、本実施形態を追加することにした。
ここでの記録方法とは、これまでの実施形態で説明した記録媒体を造るための方法、つまり、記録媒体の生産方法を包含する。
【0137】
つまり、本実施形態に係る記録方法は、これまでの実施形態で示したファイルをリアルタイムに作成して、ディスク媒体の記録領域にダイレクトに書き込むというリアルタイムレコーディングだけではなく、ボリューム領域に記録すべきビットストリームの全体像を事前に作成して、このビットストリームを元に原盤ディスクを作成し、この原盤ディスクをプレスすることで、ディスク媒体を量産するというプレフォーマットレコーディングも含む。本実施形態に係る記録媒体は、リアルタイムレコーディングによる記録方法、及び、プレフォーマットレコーディングによる記録方法によっても特定されるものでもある。
【0138】
そして、本実施形態における記録装置は、かかる記録方法の発明を実施するものである。以降、表示レート初期化情報を生成して記録媒体に記録するための記録方法の処理手順について説明する。
図15は、記録方法の手順を示すフローチャートである。ステップS51においてプレイリストを作成し、ステップS52においてバイトコードアプリケーションを作成する。ステップS53では、動作モードオブジェクトの雛形を作成する。ステップS54では、バイトコードアプリケーションをシグナリングするためのアプリケーション管理テーブルを動作モードオブジェクトに記述し、ステップS55では、自動再生プレイリストの指定が存在するか否かを判定する。
【0139】
存在しない場合、プレイリストによって再生されるべきプレイリストの表示レートを、表示装置を初期化するための表示レートとして端末管理テーブルにおける表示レート初期化情報に記述する(ステップS56)。存在すれば、プレイリストアクセス情報に、自動再生プレイリストの指定を記述し(ステップS57)、表示レート初期化情報として、「表示レート“=0”」を記述する(ステップS58)。
【0140】
その後、動作モードオブジェクト、バイトコードアプリケーション、クラスファイルを、プレイリストを構成するファイルと共に、記録媒体に書き込む(ステップS59)。
プレイリスト選択メニューによって選択されるプレイリストが複数存在していて、これらのプレイリストにおける表示レートが互いに異なる場合、23.976Hz、59.94Hz、50Hzのうち、最も多くのプレイリストによって使用されているものを表示レート初期化情報に記述しておく。この場合、表示レート初期化情報に記述された表示レートと、異なる表示レートのプレイリストが選択された場合、プレイリストメニューにおけるプレイリストの選択後も、ブラックアウト期間が生じる。従って、複数のプレイリストのうち、表示レートが同じものが、1つのタイトルになるように、オーサリングの段階で、プレイリストと動作モードオブジェクトとの対応関係を規定しておくことが望ましい。記録装置の実施形態としては、図1に示した記録装置700に、図15のフローチャートに示された記録方法を実行させればよい。
【0141】
(備考)
以上の第1実施形態から第4実施形態までについては、以下に示すような更なる改良や変更実施を加えることができる。各実施形態に示した通り実施するか、これらの改良・変更を施すか否かは、何れも任意的であり、実施する者の主観によることは留意されたい。
(立体視方式)
各実施形態で説明の前提とした視差画像方式は、左右の映像を時間軸方向で交互に表示させるために、例えば、通常の2次元の映画であれば1秒に24枚の映像を表示させるのに対して、左右の映像合わせて1秒に48枚の映像を表示させる必要がある。従って、この方式では、一画面の書き換えが比較的早い表示装置において好適である。この視差画像を用いた立体視は、既に遊園地の遊具などで一般的に使用されており、技術的にも確立されているため、家庭における実用化に最も近いものと言える。視差画像を用いた立体視のための方法はこれらの他にも、2色分離方式などさまざまな技術が提案されている。本実施形態においては、継時分離方式あるいは偏光メガネ方式を例として用いて説明したが、視差画像を用いる限りこれら2方式に限定するものではない。
【0142】
テレビ400についても、レンチキュラーレンズだけでなく、同様の機能を持たせたデバイス、例えば液晶素子を用いてもよい。また左目用の画素には縦偏光のフィルター、右目用の画素には横偏光のフィルターを設置し、視聴者は、左目用には縦偏光、右目用には横偏光のフィルターを設置した偏光メガネを用いて表示装置の画面を見ることによって立体視を実現させてもよい。
【0143】
(プログラムの実施形態)
各実施形態に示したアプリケーションプログラムは、以下のようにして作ることができる。先ず初めに、ソフトウェア開発者は、プログラミング言語を用いて、各フローチャートや、機能的な構成要素を実現するようなソースプログラムを記述する。この記述にあたって、ソフトウェア開発者は、プログラミング言語の構文に従い、クラス構造体や変数、配列変数、外部関数のコールを用いて、各フローチャートや、機能的な構成要素を具現するソースプログラムを記述する。
【0144】
記述されたソースプログラムは、ファイルとしてコンパイラに与えられる。コンパイラは、これらのソースプログラムを翻訳してオブジェクトプログラムを生成する。
コンパイラによる翻訳は、構文解析、最適化、資源割付、コード生成といった過程からなる。構文解析では、ソースプログラムの字句解析、構文解析および意味解析を行い、ソースプログラムを中間プログラムに変換する。最適化では、中間プログラムに対して、基本ブロック化、制御フロー解析、データフロー解析という作業を行う。資源割付では、ターゲットとなるプロセッサの命令セットへの適合を図るため、中間プログラム中の変数をターゲットとなるプロセッサのプロセッサが有しているレジスタまたはメモリに割り付ける。コード生成では、中間プログラム内の各中間命令を、プログラムコードに変換し、オブジェクトプログラムを得る。
【0145】
ここで生成されたオブジェクトプログラムは、各実施形態に示したフローチャートの各ステップや、機能的構成要素の個々の手順を、コンピュータに実行させるような1つ以上のプログラムコードから構成される。ここでプログラムコードは、プロセッサのネィティブコード、JAVA(登録商標)バイトコードというように、様々な種類がある。プログラムコードによる各ステップの実現には、様々な態様がある。外部関数を利用して、各ステップを実現することができる場合、この外部関数をコールするコール文が、プログラムコードになる。また、1つのステップを実現するようなプログラムコードが、別々のオブジェクトプログラムに帰属することもある。命令種が制限されているRISCプロセッサでは、算術演算命令や論理演算命令、分岐命令等を組合せることで、フローチャートの各ステップを実現してもよい。
【0146】
オブジェクトプログラムが生成されるとプログラマはこれらに対してリンカを起動する。リンカはこれらのオブジェクトプログラムや、関連するライブラリプログラムをメモリ空間に割り当て、これらを1つに結合して、ロードモジュールを生成する。こうして生成されるロードモジュールは、コンピュータによる読み取りを前提にしたものであり、各フローチャートに示した処理手順や機能的な構成要素の処理手順を、コンピュータに実行させるものである。かかるプログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記録してユーザに提供してよい。
【0147】
(記録媒体のバリエーション)
各実施の形態における記録媒体は、光ディスク、半導体メモリーカード等、パッケージメディア全般を含んでいる。本実施の形態の記録媒体は予め必要なデータが記録された光ディスク(例えばBD-ROM、DVD-ROMなどの既存の読み取り可能な光ディスク)を例に説明をするが、これに限定される必要はなく、例えば、放送またはネットワークを経由して配信された本発明の実施に必要なデータを含んだ3Dコンテンツを光ディスクへ書き込む機能を有する端末装置(例えば左記の機能は再生装置に組み込まれていてもよいし、再生装置とは別の装置であってもよい)を利用して書き込み可能な光ディスク(例えばBD-RE、DVD-RAMなどの既存の書き込み可能な光ディスク)に記録し、この記録した光ディスクを本発明の再生装置に適用しても本発明の実施は可能である。
【0148】
(半導体メモリカード記録装置及び再生装置の実施形態)
各実施の形態で説明をしたデータ構造を半導体メモリーに記録する記録装置、及び、再生する再生装置の実施形態について説明する。
まず、前提となる技術として、BD-ROMに記録されているデータの著作権保護の仕組みについて説明する。
【0149】
BD-ROMに記録されたデータのうち、例えば著作権の保護、データの秘匿性の向上の観点からデータの一部が、必要に応じて暗号化されている場合がある。
例えば、BD-ROMに記録されたデータのうち、暗号化されているデータは、例えばビデオストリームに対応するデータ、オーディオストリームに対応するデータ、またはこれらを含むストリームに対応するデータであったりする。
【0150】
以後、BD-ROMに記録されたデータのうち、暗号化されているデータの解読について説明をする。
半導体メモリカード再生装置においては、BD-ROM内の暗号化されたデータを解読するために必要な鍵に対応するデータ(例えばデバイスキー)が予め再生装置に記憶されている。
【0151】
一方、BD-ROMには暗号化されたデータを解読するために必要な鍵に対応するデータ(例えば上述のデバイスキーに対応するMKB(メディアキーブロック))と、暗号化されたデータを解読するための鍵自体を暗号化したデータ(例えば上述のデバイスキー及びMKBに対応する暗号化タイトルキー)が記録されている。ここで、デバイスキー、MKB、及び暗号化タイトルキーは対になっており、さらにBD-ROM上の通常コピーできない領域(BCAと呼ばれる領域)に書き込まれた識別子(例えばボリュームID)とも対応付けがされている。この組み合わせが正しくなければ、暗号の解読ができないものとする。組み合わせが正しい場合のみ、暗号解読に必要な鍵(例えば上述のデバイスキー、MKB及びボリュームIDを元に、暗号化タイトルキーを復号して得られるタイトルキー)を導き出すことができ、この暗号解読に必要な鍵を用いて、暗号化されたデータの解読が可能となる。
【0152】
装填されたBD-ROMを再生装置において再生する場合、例えばBD-ROM内の暗号化タイトルキー、MKBと対になっている(または対応する)デバイスキーが再生装置内になければ、暗号化されたデータは再生がなされない。何故ならば、暗号化されたデータの解読に必要な鍵(タイトルキー)は、鍵自体が暗号化されて(暗号化タイトルキー)BD-ROM上に記録されており、MKBとデバイスキーの組み合わせが正しくなければ、暗号の解読に必要な鍵を導き出すことができないからである。
【0153】
逆に暗号化タイトルキー、MKB、デバイスキー及びボリュームIDの組み合わせが正しければ、例えば上述の暗号解読に必要な鍵(デバイスキー、MKB及びボリュームIDを元に、暗号化タイトルキーを復号して得られるタイトルキー)を用いてビデオストリームがデコーダにてデコードされ、オーディオストリームがオーディオデコーダにてデコードされるように再生装置は構成されている。
【0154】
以上が、BD-ROMに記録されているデータの著作権保護の仕組みであるが、この仕組みは、BD-ROMに必ずしも限定されるのではなく、例えば、読込み/書込み可能な半導体メモリー(例えばSDカードなどの可搬性を有する半導体メモリーカード)に適用した場合においても、実施が可能である。
半導体メモリーカード再生装置の再生手順について説明する。光ディスクでは例えば、光ディスクドライブを介してデータを読み出すように構成していたのに対し、半導体メモリーカードを用いた場合には、半導体メモリーカード内のデータを読み出すためのI/Fを介してデータを読み出すように構成すればよい。
【0155】
より詳細には、再生装置のスロット(図示せず)に半導体メモリーカードが挿入されると、半導体メモリーカードI/Fを経由して再生装置と半導体メモリーカードが電気的に接続される。半導体メモリーカードに記録されたデータは半導体メモリーカードI/Fを介して読み出すように構成すればよい。

次に、例えば電子配信を利用して、記録媒体100に記録されたデータ、例えば記録媒体100に記録されたオリジナルのコンテンツに対応するデータ(例えば、ビデオストリーム、オーディオストリーム、字幕データ、字幕データ、背景画像、GUI、アプリケーション、アプリケーション管理テーブルなど)の全部若しくは一部(例えば再生に必要なデータのアップデートデータ)、または追加コンテンツを配信データとして、半導体メモリーに記録する動作について説明をする。
【0156】
上述の動作は本実施の形態において説明をした再生装置がその半導体メモリーに記録する動作を行なえるように構成をされていても良いし、本実施の形態の再生装置とは別に半導体メモリーに配信データを記憶することを行う専用の端末装置にて行なうような形態であっても良い。ここでは再生装置が行なう例について説明をする。また記録先の半導体メモリーとしてSDメモリーカードを例に説明をする。
【0157】
再生装置が備えるスロットに挿入されたSDメモリーカードに配信データを記録する場合、まず配信データを蓄積する配信サーバ(図示せず)へ配信データの送信を要求する。このとき再生装置は挿入したSDメモリーカードを一意に識別するための識別情報(例えば個々のSDメモリーカード固有の識別番号、より具体的には、例えばSDメモリーカードのシリアル番号等)をSDメモリーカードから読み出して、読み出した識別情報を配信要求とともに、配信サーバへ送信する。
【0158】
この、SDメモリーカードを一意に識別するための識別情報は例えば上述のボリュームIDに相当する。
一方、配信サーバでは、配信するデータのうち必要なデータ(例えばビデオストリーム、オーディオストリーム等)が暗号解読に必要な鍵(例えばタイトルキー)を用いて暗号の解除ができるように暗号化がなされてサーバ上に格納されている。
【0159】
例えば配信サーバは、秘密鍵を保持しており、半導体メモリーカードの固有の識別番号のそれぞれに対して異なる公開鍵情報が動的に生成できるように構成されている。
また、配信サーバは、暗号化されたデータの解読に必要な鍵(タイトルキー)自身に対して暗号化ができるように構成されている(つまり暗号化タイトルキーを生成できるように構成されている)。

生成される公開鍵情報は例えば上述のMKB、ボリュームID及び暗号化タイトルキーに相当する情報を含む。暗号化されたデータは例えば半導体メモリー固有の識別番号、後述する公開鍵情報に含まれる公開鍵本体、および再生装置に予め記録されたデバイスキーの組み合わせが正しければ、暗号解読に必要な鍵(例えばデバイスキー、MKB及び半導体メモリー固有の識別番号を元に、暗号化タイトルキーを復号して得られるタイトルキー)が得られ、この得られた暗号解読に必要な鍵(タイトルキー)を用いて、暗号化されたデータの解読ができるものである。

次に、再生装置は、受信した公開鍵情報と配信データをスロットに挿入した半導体メモリーカードの記録領域に記録する。
【0160】
次に、半導体メモリーカードの記録領域に記録した公開鍵情報と配信データに含まれるデータのうち暗号化したデータを復号して再生する方法の一例について説明をする。
受信した公開鍵情報は例えば公開鍵本体(例えば上述のMKB及び暗号化タイトルキー)、署名情報、半導体メモリーカードの固有の識別番号、および無効にすべきデバイスに関する情報を示すデバイスリストが記録されている。
【0161】
署名情報には例えば、公開鍵情報のハッシュ値を含む。
デバイスリストには例えば、不正に再生がなされる可能性があるデバイスに関する情報が記載されている。これは例えば再生装置に予め記録されたデバイスキー、再生装置の識別番号、または再生装置が備えるデコーダの識別番号といったように、不正に再生される可能性がある装置、装置に含まれる部品、または機能(プログラム)といったものを一意に特定するための情報である。
【0162】
半導体メモリーカードの記録領域に記録した配信データのうち、暗号化されたデータの再生に関し、説明をする。
まず、公開鍵本体を利用して暗号化したデータを復号する前に復号鍵本体を機能させてよいかどうかに関するチェックを行う。
具体的には、
(1) 公開鍵情報に含まれる半導体メモリー固有の識別情報と半導体メモリーカードに予め記憶されている固有の識別番号とが一致するかどうかのチェック
(2) 再生装置内で算出した公開鍵情報のハッシュ値と署名情報に含まれるハッシュ値が一致するかのチェック
(3) 公開鍵情報に含まれるデバイスリストに示される情報に基づいて、再生を行う再生装置が不正な再生が可能かどうかのチェック(例えば公開鍵情報に含まれるデバイスリストに示されるデバイスキーと、再生装置に予め記憶されたデバイスキーが一致するかどうかのチェック)
を行なう。これらのチェックを行なう順番どのような順序で行なってもよい。
【0163】
上述の(1)〜(3)のチェックにおいて、公開鍵情報に含まれる半導体メモリー固有の識別情報と半導体メモリーに予め記憶されている固有の識別番号とが一致しない、再生装置内で算出した公開鍵情報のハッシュ値と署名情報に含まれるハッシュ値が一致しない、または、再生を行う再生装置が不正に再生される可能性があると判断した、のいずれかを満足すれば、再生装置は、暗号化されたデータの解読がなされないように制御する。

また、公開鍵情報に含まれる半導体メモリーカードの固有の識別情報と半導体メモリーカードに予め記憶されている固有の識別番号とが一致し、かつ再生装置内で算出した公開鍵情報のハッシュ値と署名情報に含まれるハッシュ値が一致し、かつ再生を行う再生装置が不正に再生される可能性がないと判断したのであれば、半導体メモリー固有の識別番号、公開鍵情報に含まれる公開鍵本体、および再生装置に予め記録されたデバイスキーの組み合わせが正しいと判断し、暗号解読に必要な鍵(デバイスキー、MKB及び半導体メモリー固有の識別番号を元に、暗号化タイトルキーを復号して得られるタイトルキー)を用いて、暗号化されたデータの解読を行なう。

例えば暗号化されたデータがビデオストリーム、オーディオストリームである場合、ビデオデコーダは上述の暗号解読に必要な鍵(暗号化タイトルキーを復号して得られるタイトルキー)を利用してビデオストリームを復号し(デコードし)、オーディオデコーダは、上述の暗号解読に必要な鍵を利用してオーディオストリームを復号する(デコードする)。
【0164】
このように構成をすることにより、電子配信時において不正利用される可能性がある再生装置、部品、機能(プログラム)などが分っている場合、これらを識別するための情報をデバイスリストに示して、配信するようにすれば、再生装置側がデバイスリストに示されているものを含むような場合には公開鍵情報(公開鍵本体)を用いた復号を抑止できるようにできるため、半導体メモリー固有の識別番号、公開鍵情報に含まれる公開鍵本体、および再生装置に予め記録されたデバイスキーの組み合わせが、たとえ正しくても、暗号化されたデータの解読がなされないように制御できるため、不正な装置上での配信データの利用を抑止することが可能となる。

また半導体メモリーカードに予め記録されている半導体メモリーカードの固有の識別子は秘匿性の高い記録領域に格納するような構成を採用するのが望ましい。何故ならば、半導体メモリーカードに予め記録されている固有の識別番号(例えばSDメモリーカードを例にすればSDメモリーカードのシリアル番号等)は改竄がなされると、違法コピーが容易になされてしまう。何故ならば複数の半導体メモリーカードには、それぞれ異なる固有の識別番号が割り当てられているが、この固有の識別番号が同一となるように改竄がなされてしまえば、上述の(1)の判定が意味を成さなくなり、改竄がなされた数に相当する違法コピーがなされてしまう可能性があるからである。
【0165】
従って、半導体メモリーカードの固有の識別番号といった情報は秘匿性が高い記録領域に記録するような構成を採用するのが望ましい。
このような構成を実現するために、例えば半導体メモリーカードは、半導体メモリーカードの固有の識別子と言った秘匿性の高いデータを記録するための記録領域を通常のデータを格納する記録領域(第1の記録領域と称す)とは別の記録領域(第2の記録領域と称す)に設けること、およびこの第2の記録領域へのアクセスをするための制御回路を設けるとともに、第2の記録領域へのアクセスには制御回路を介してのみアクセスできるような構成とする。
【0166】
例えば、第2の記録領域に記録されているデータは暗号化がなされて、記録されており、制御回路は、例えば暗号化されたデータを復号するための回路が組み込まれている。制御回路へ第2の記録領域へのデータのアクセスが合った場合には、暗号を復号し、復号したデータを返すように構成すれば良い。または、制御回路は第2の記録領域に記録されているデータの格納場所の情報を保持しており、データのアクセスの要求があれば、対応するデータの格納場所を特定し、特定した格納場所から読み取ったデータを返すような構成としても良い。

再生装置上で動作するアプリケーションで、電子配信を利用して半導体メモリーカードに記録する要求するアプリケーションは、メモリーカードI/Fを介して制御回路へ第2の記録領域に記録されたデータ(例えば半導体メモリ固有の識別番号)へのアクセス要求を発行すると、要求を受けた制御回路は第2の記録領域に記録されたデータを読み出して再生装置上で動作するアプリケーションへ返す。この半導体メモリーカードの固有の識別番号とともに必要なデータの配信要求を配信サーバに要求し、配信サーバから送られる公開鍵情報、および対応する配信データを第1の記録領域に記録するように構成すればよい。
【0167】
また、再生装置上で動作するアプリケーションで、電子配信を利用して半導体メモリーカードに記録を要求するアプリケーションは、メモリーカードI/Fを介して制御回路へ第2の記録領域に記録されたデータ(例えば半導体メモリ固有の識別番号)へのアクセス要求を発行する前に、アプリケーションの改竄がされていないかを事前にチェックすることが望ましい。改竄のチェックには例えば既存のX.509仕様に準拠したデジタル証明書を利用したチェックなどを利用しても良い。
【0168】
また、半導体メモリーカードの第1の記録領域に記録された配信データへのアクセスは半導体メモリーカードが有する制御回路を介してアクセスする必要は必ずしもない。
(第5実施形態)
以降、本願の優先権主張の基礎になった出願の願書に添付した明細書に記載されていた発明と、同一の発明を“本発明”と呼び、この本発明に係る立体視ビデオ再生装置の実施形態について説明する。先ず始めに、本発明に係る立体視ビデオ再生装置の実施行為のうち、使用行為についての形態を説明する。
【0169】
図16は、本発明に係る立体視ビデオ再生装置の、使用行為についての形態を示す図である。図16において、本発明に係る装置は、再生装置200である。この再生装置200は、例えばリモコン300、表示ディスプレイ400、シャッター眼鏡500、HDMIケーブル600により形成されるホームシアターシステムに、立体映画作品を供給するという用途に供される。再生装置200により形成された音声と映像はHDMIケーブル600を通じて表示ディスプレイ400に供給される。HDMI(High―Definition Multimedia Interface)により伝送されるデータは著作権保護のため、機器同士の相互認証の上暗号化される。相互認証や暗号化などのためのプロトコルとしてHDCP(High―bandwidth Digital Content Protection)が使われる。
【0170】
続いて再生装置200が再生の対象としている、記録媒体について説明する。再生装置200により、再生されるのは、BD-ROM100である。図17は、BD-ROM100の内部構成を示す図である。
本図の第4段目にBD-ROMを示し、第3段目にBD-ROM上のトラックを示す。本図のトラックは、BD-ROMの内周から外周にかけて螺旋状に形成されているトラックを、横方向に引き伸ばして描画している。このトラックは、リードイン領域と、ボリューム領域と、リードアウト領域とからなる。また、リードインの内側にはBCA(Burst Cutting Area)と呼ばれるドライブでしか読み出せない特別な領域がある。この領域はアプリケーションから読み出せないため、例えば著作権保護技術などに利用されることがよくある。
【0171】
本図のボリューム領域は、物理層、ファイルシステム層、応用層というレイヤモデルをもち、ボリューム領域には、ファイルシステム情報(ボリューム)を先頭に映像データなどのアプリケーションデータが記録されている。ファイルシステムとは、UDFやISO9660などのことであり、通常のPCと同じように記録されている論理データをディレクトリ、ファイル構造を使って読み出しする事が可能になっており、255文字のファイル名、ディレクトリ名を読み出すことが可能である。ディレクトリ構造を用いてBD-ROMの応用層フォーマット(アプリケーションフォーマット)を表現すると、図中の第1段目のようになる。この第1段目においてBD-ROMには、Rootディレクトリの下に、CERTIFICATEディレクトリ、及びBDMVディレクトリがある。
【0172】
CERTIFICATEディレクトリの配下には、ディスクのルート証明書のファイル(app.discroot.cert)が存在する。app.discroot.certはJava(登録商標)仮想マシンを用いて動的なシナリオ制御を行うJava(登録商標)アプリケーションのプログラムを実行する際に、アプリケーションが改竄されていないか、及びアプリケーションの身元確認を行なうプロセス(以下、署名検証という)に用いられるデジタル証明書である。
【0173】
BDMVディレクトリはBD-ROMで扱うAVコンテンツや管理情報などのデータが記録されているディレクトリであり、BDMVディレクトリの配下には、PLAYLISTディレクトリ、CLIPINFディレクトリ、STREAMディレクトリ、BDJOディレクトリ、JARディレクトリ、METAディレクトリと呼ばれる6つのサブディレクトリが存在し、INDEX.BDMVとMovieObject.bdmvの2種類のファイルが配置されている。
【0174】
STREAMディレクトリには、いわばトランスポートストリーム本体となるファイルを格納しているディレクトリであり、拡張子"m2ts"が付与されたファイル(000001. m2ts)が存在する。
PLAYLISTディレクトリには、拡張子"mpls"が付与されたファイル(000001.mpls)が存在する。
【0175】
CLIPINFディレクトリには、拡張子"clpi"が付与されたファイル(000001.clpi)が存在する。
BDJOディレクトリには、拡張子"bdjo"付与されたファイル(XXXXX.bdjo)が存在する。
JARディレクトリには、拡張子"jar"が付与されたファイル(YYYYY.jar)が存在する。
METAディレクトリには、XMLファイル(ZZZZZ.xml)が存在する。
【0176】
以下、これらのファイルについて説明する。
<AVClip>
先ず初めに、拡張子"m2ts"が付与されたファイルについて説明する。拡張子"m2ts"が付与されたファイルは、MPEG-TS (TransportStream)形式のデジタルAVストリームであり、ビデオストリーム、1つ以上のオーディオストリーム、グラフィクスストリーム等を多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の動画部分を、オーディオストリームは映画の音声部分をそれぞれ示している。3D用のストリームの場合は左目用ビデオストリームと右目用ビデオストリームを用意し、同じm2tsの中に左目用と右目用の両方のデータを入れる。ストリームに使われる容量を少なくするため、左目用ビデオストリームと右目用ビデオストリームが相互参照をするようなコーデック(たとえば、MPEG-4 AVC MVC)を使うことが望ましい。
【0177】
<PlayList情報>

拡張子"mpls"が付与されたファイルは、PlayList(PL)情報を格納したファイルである。PL情報は、AVClipを参照してプレイリストを定義する情報である。PlayListは2D専用プレイリスト、2D再生・3D再生両方対応するプレイリストがある。3D再生できるのかどうかの情報、ビデオの解像度および周波数を示す情報がPlayListの中に含まれる。
【0178】
<Clip情報>
拡張子"clpi"が付与されたファイルは、AVClipのそれぞれに1対1に対応するClip情報である。管理情報故に、Clip情報は、AVClipにおけるストリームの符号化形式、フレームレート、ビットレート、解像度等の情報や、GOPの先頭位置を示すEP_mapをもっている。以上のClip情報及びPL情報は、"静的シナリオ"に分類される。
【0179】
<BD-Jオブジェクト>
続いて、拡張子BDJOを付したファイルについて説明する。拡張子BDJOを付したファイルは、BD-Jオブジェクトを格納したファイルである。BD-Jオブジェクトは、PlayList情報により定義されるAVClip列と、アプリケーションとの関連付けにより、タイトルを定義する情報である。BD-Jオブジェクトは、"アプリケーション管理テーブル"と、"PlayList情報に対する参照値"と、"合成情報"とを示す。
【0180】
"PlayList情報に対する参照値"は、このタイトルの開始時に、同時に自動的に再生すべきPlayListが存在するかどうか、存在する場合はそのPlayList情報を示す。アプリケーションよりPlayListの再生を制御することは可能であるが、アプリケーションの実行が開始されるまでにラグが発生してしまうためPlayListの再生が遅くなってしまう欠点がある。"PlayList情報に対する参照値"により自動的に再生するPlayListを指定することにより、PlayListの再生開始のタイミングを速くすることができるため、よく使われる機能である。しかしアプリケーションの実行が開始される前にどのPlayListを再生すべきかは定まっていないような場合(たとえば、アプリケーションがユーザ入力を受けてからPlayListを選択する場合)は"PlayList情報に対する参照値"では自動的に再生すべきPlayListを「存在しない」としたBD-Jオブジェクトを利用することができる。
【0181】
"合成情報"は、このタイトルで使われる、プレーンの合成のやり方を指定したものである。
アプリケーション管理テーブルは、このタイトルを生存区間とするアプリケーションを指定する情報を羅列したものである。
アプリケーション管理テーブルには、アプリケーション詳細情報として、アプリケーションの名称を示す文字列と、アプリケーションに対応づけるアイコンの所在を指し示すアイコンロケータとを、アプリケーション毎に対応させて格納している。アイコンロケータは、Java(登録商標)アーカイブファイル内に含まれるアイコンをアドレスにより指し示す。
【0182】
続いてアプリケーション管理テーブルに記載されたJava(登録商標)アプリケーションについて説明する。Java(登録商標)アプリケーションは、仮想マシンのヒープ領域(ワークメモリとも呼ばれる)にロードされた1つ以上のxletプログラムからなる。このワークメモリにロードされたxletプログラム、及び、データから、アプリケーションは構成されることになる。
【0183】
このJava(登録商標)アプリケーションの実体にあたるのが、図17におけるBDMVディレクトリ配下のJARディレクトリに格納されたJava(登録商標)アーカイブファイル(YYYYY.jar)である。
<メタファイル>
METAディレクトリに格納されたメタファイル(ZZZZZ.xml)には、ディスクに入っている映像作品に関する様々な情報が格納されている。メタファイルに格納されている情報としては、ディスクのディスク名及び画像、ディスクが誰によって作成されたかの情報、各タイトルに関わるタイトル名等がある。以上がBD-ROM100についての説明である。メタファイルは、必須のファイルではなく、このファイルが格納されていないBD-ROMもある。
【0184】
以上がBD-ROMについての説明である。
次に本実施形態に係る再生装置200の詳細について説明する。
図18は、再生装置の内部構成を示すブロック図である。図18に示すように、再生装置は、BD-ROMドライブ1、トラックバッファ2、デマルチプレクサ3、ビデオデコーダ4、ビデオプレーン5、オーディオデコーダ6、イメージメモリ7、グラフィックデコーダ8、グラフィックプレーン9、インタラクティブグラフィックプレーン34、バックグラウンドプレーン33、加算器10、静的シナリオメモリ11、動的シナリオメモリ12、制御部13、HDMVモジュール14、BD-Jモジュール15、UO探知モジュール21、モード管理モジュール16、ディスパッチャ17、AV再生ライブラリ18、アプリデータ関連付けモジュール19、ネットワークインターフェース23、ローカルストレージ24、仮想ファイルシステム25、リムーバブルメディア27から構成される。
【0185】
BD-ROMドライブ1は、BD-ROMのローディング/イジェクトを行い、BD-ROMに対するアクセスを実行する。
トラックバッファ2は、FIFOメモリであり、BD-ROMから読み出されたACCESS UNITが先入れ先出し式に格納される。
デマルチプレクサ3は、BD-ROMドライブ1にローディングされているBD-ROM、またはローカルストレージ24上に保存されているトランスポートストリームの多重分離を行い、GOPを構成する複数のビデオフレームと、複数のオーディオフレームとを得てビデオフレームをビデオデコーダ4に出力し、オーディオフレームをオーディオデコーダ6に出力する。グラフィックストリームはイメージメモリ7に格納する。デマルチプレクサ3による多重分離は、TSパケットをPESパケットに変換するという変換処理を含む。
【0186】
デマルチプレクサ3は左目用ビデオフレームおよび右目用ビデオフレームの両方のビデオフレームをビデオデコーダ4に出力する。
ビデオデコーダ4は、デマルチプレクサ3から出力されたビデオフレームを復号して非圧縮形式の左目用ピクチャと右目用ピクチャをビデオプレーン5に書き込む。また、ビデオデコーダはアプリケーションの指示に従い、ビデオを縮小したりすることができる。
【0187】
ビデオプレーン5は、非圧縮形式の左目用ピクチャと右目用ピクチャを格納しておくためのメモリである。
オーディオデコーダ6は、デマルチプレクサ3から出力されたオーディオフレームを復号して、非圧縮形式のオーディオデータを出力する。
イメージメモリ7は、デマルチプレクサ3から読み出されたグラフィックストリームを格納しておくバッファである。
【0188】
グラフィックデコーダ8は、イメージメモリ7に格納されたグラフィックストリームをデコードしてグラフィックプレーン9に書き込む。
レンダリングエンジン22はBD-Jモジュール15からのグラフィック描画命令に応じてグラフィックをレンダリングし、インタラクティブグラフィックプレーン34、あるいはバックグラウンドプレーン33へデータを格納する。
【0189】
バックグラウンドプレーン33はデータを格納するメモリ領域である。バックグラウンドプレーン33にあるデータは、ビデオが再生されていないときや、ビデオデコーダ4によりデコードされたビデオが縮小されているときは表示される。
インタラクティブグラフィックスプレーン34はデータを格納するメモリ領域である。
加算器10は、バックグラウンドプレーン33、ビデオプレーン5、グラフィックプレーン9、インタラクティブグラフィックプレーン34の順番に合成を施し、外部出力する。
【0190】
静的シナリオメモリ11は、カレントのPLやカレントのストリーム管理情報を格納しておくためのメモリである。カレントPLとは、BD-ROMまたはローカルストレージ24に記録されている複数PLのうち、現在処理対象になっているものをいう。カレントストリーム管理情報とは、BD-ROMまたはローカルストレージ24に記録されている複数ストリーム管理情報のうち、現在処理対象になっているものをいう。
【0191】
動的シナリオメモリ12は、カレント動的シナリオを格納しておき、HDMVモジュール14、BD-Jモジュール15による処理に供されるメモリである。カレント動的シナリオとは、BD-ROMまたはローカルストレージ24に記録されている複数シナリオのうち、現在実行対象になっているものをいう。
制御部13は、ROM、RAM、CPUからなるマイコンシステムであり、ROMには再生装置を制御するプログラムが記録されており、ROM内のプログラムがCPUに読み込まれ、プログラムとハードウェア資源とが協動することにより、HDMVモジュール14、BD-Jモジュール15、モード管理モジュール16、ディスパッチャ17、AV再生ライブラリ18、アプリデータ関連付けモジュール19の機能を実現する。
【0192】
HDMVモジュール14は、HDMVモードの実行主体となるDVD仮想プレーヤであり、動的シナリオメモリ12に読み出されたカレントのシナリオプログラムを実行する。
BD-Jモジュール15は、Java(登録商標)プラットフォームであり、Java(登録商標)仮想マシン、コンフィグレーション、プロファイルからなる。BD-Jモジュール15は、動的シナリオメモリ12に読み出されたJava(登録商標)クラスファイルからカレントのJava(登録商標)オブジェクトを生成し、実行する。Java(登録商標)仮想マシンは、Java(登録商標)言語で記述されたJava(登録商標)オブジェクトを、再生装置におけるCPUのネィティブコードに変換して、CPUに実行させる。
【0193】
モード管理モジュール16は、BD-ROMまたはローカルストレージ24から読み出されたIndex.BDMV内のモード管理テーブルを保持して、タイトルの分岐制御を行う。モード管理モジュール16は、動的シナリオをどのHDMVモジュール14、BD-Jモジュール15に実行させるかという、モジュールの割り当てを行う。また、BD-Jモジュール15を実行する場合は、対象のタイトルのBD-Jオブジェクトをディスクから呼び出し、BD-Jオブジェクトの情報に基づいて加算器の合成モードを指示したり、BD-Jモジュールにアプリケーションの開始を指示したり、PlayList再生の開始を指示したりする。
【0194】
ディスパッチャ17は、UOから、現在の再生装置におけるモードに適切なUOのみを選んで、そのモードを実行するモジュールに受け渡す。例えばHDMVモードの実行中に、上下左右、アクティベートといったUOを受け付けた場合、HDMVモードのモジュールにこれらのUOを出力するというのがディスパッチャ17の処理である。
AV再生ライブラリ18はHDMVモジュール14、BD-Jモジュール15からの関数呼び出しに応じて、AV再生機能、プレイリストの再生機能を実行する。AV再生機能とは、DVDプレーヤ、CDプレーヤから踏襲した機能群であり、再生開始、再生停止、一時停止、一時停止の解除、静止画機能の解除、再生速度を即値で指定した早送り、再生速度を即値で指定した巻戻し、音声切り替え、副映像切り替え、アングル切り替えといった処理である。プレイリスト再生機能とは、このAV再生機能のうち、再生開始や再生停止をプレイリスト情報に従って行うことをいう。
【0195】
アプリデータ関連付けモジュール19は、BD-ROMディスク上の情報と、機器内で計算した結果、及びアプリケーションが設定する属性情報を元に、ローカルストレージ24内からアプリケーションに関連する情報を保存するアプリケーション関連付け情報を生成、及び更新する機能を有している。
ネットワークインターフェース23は、インターネット上に公開されたBD-ROM追加コンテンツのダウンロードに用いられる。BD-ROM追加コンテンツとは、オリジナルのBD-ROMにないコンテンツで、例えば追加の副音声、字幕、特典映像、アプリケーションなどである。BD-Jモジュール15からネットワークインターフェース23を制御することができ、インターネット上に公開された追加コンテンツをローカルストレージ24にダウンロードすることができる。
【0196】
ローカルストレージ24は、再生装置に内蔵されているハードディスク等の磁気記録装置である。リムーバブルメディア27は外部スロットから挿入される記憶媒体であり、フラッシュ、磁気が代表される。
図19は再生装置200の2D表示モードと3D表示モードの違いを示す図である。
図19の左側には2D表示モード時の出力モデルが示されている。2D表示モード時は左目用と右目用の表示が同一になる。
【0197】
図19の右側には3D表示モード時の出力モデルが表示されている。3D表示モード時は左目と右目用出力が別々に存在し、異なるイメージを提供することによりその視差であたかも画面内のオブジェクトが手前に飛び出しているかのような3Dのエフェクトを引き出す。
必要な表示モードを実現するために加算器10が2D合成か3D合成かを行うことができる。2D合成を行った場合、出力が2D表示モードである。3D合成を行った場合、出力が3D表示モードである。2D表示モードと3D表示モードの切替にはHDMIの著作権保護に使われるプロトコル(HDCP)での再認証が発生し、数秒の間画面が黒の状態が続く。
【0198】
加算器10が3D合成を行う場合、インタラクティブグラフィックスプレーン、ビデオプレーン、バックグラウンドプレーンのステレオモードにより合成方法が異なる。
図20では、ビデオプレーンのステレオモードがONとOFFの違いを示している。図20では「出力」と書かれている二枚の画像は、加算器10が合成したあとHDMIにより出力される画像を示している。ステレオモードがONのとき、左目と右目の画像は異なるが、ステレオモードがOFFのとき、左目と右目の画像はともにビデオストリームの左目用のデータだけが使われる。結果的にビデオがフラットに見えるのがステレオモードOFFの状態である。
【0199】
同様に、図21ではバックグラウンドプレーンのステレオモードがONとOFFの違いを示している。レンダリングエンジン22より描画されたバックグラウンドプレーンには左目用のデータおよび右目用のデータが格納されている。ステレオモードがONのとき、左目にはバックグラウンドプレーンの上側が表示され、右目にはバックグラウンドプレーンの下側が表示される。ステレオモードがOFFのとき、左目と右目の画像はともにバックグラウンドプレーンの上側だけが使われる。結果的にバックグラウンドがフラットに見える。
【0200】
同様に、図22ではインタラクティブグラフィックスプレーンのステレオモードがONとOFFの違いを示している。
インタラクティブグラフィックスプレーンはさらにステレオモードがOFFのとき、オフセットを使い擬似的に飛び出ているように見せたりすることができる。図23ではオフセットを利用したときの見た目の一例を示している。図23では左目用の合成を行うときにインタラクティブグラフィックスプレーンを右にずらし、右目用の合成を行うときにインタラクティブグラフィックスプレーンを左にずらすことでインタラクティブグラフィックスプレーンの画像が飛び出ているように見せている。
【0201】
図24のフローチャートを用いて加算器10が合成を行う処理の詳細について説明する。
まず「合成の解像度」や「表示モード」の合成パラメータを更新する(S401)。合成パラメータは、後述の図29のフローチャートや図31のフローチャートのように、モード管理モジュール16より入力されるほか、アプリケーションより入力されることがある。入力されるデータは、このタイミングで加算器10内部に更新される。
【0202】
つぎにHDMI接続で使われる相互認証プロトコルHDCPの再認証が必要かどうかを判断する(S402)。以前の「合成の解像度」と「表示モード」が変わった場合、再認証が必要である。
再認証が必要な場合は実際の再認証が行われる(S403)。再認証は通常数秒を要し、再認証が行われる間は合成と出力が行われず、画面上は、一般的なテレビではミュート(黒画面)の状態である。再認証が終わった後再度図19の処理を行う。
【0203】
次に「表示モード」に基づき2D合成か3D合成かを選択する(S404)。
2D表示モードの場合は2D合成が行われる(S405)。合成が行われた後再度図19の処理を行う。
3D表示モードの場合は3D合成が行われる(S404)。合成が行われた後再度図19の処理を行う。
【0204】
このようにして図19の処理を繰り返すことで継続的な画像出力を行うことができる。また、再認証が必要となった場合はすぐに再認証を開始するようにしている。
図25のフローチャートを用いて加算器10が2D合成を行う処理の詳細について説明する。
2D合成に使われる4つのプレーンをさす内部ポインタを、プレーンの先頭として初期化を行う(S501)。
【0205】
次に内部ポインタがさしている一行ずつのデータを取得する(S502)。
取得した一行分のデータの演算を行う(S503)。いわゆるPorter-Duffのα合成の処理である。
α合成が行われた一行分のデータをHDMIより出力する(S504)。
処理されている行は最後の行であれば、処理を終了する(S505)。処理される行数は「合成の解像度」に依存し、たとえば1920x1080の解像度で合成が行われる場合は1080行分の合成が必要である。
【0206】
最後の行でなければ、4つのプレーンをさす内部ポインタを次の行へ移動させる(S506)。その後S502から処理を継続する。
図26のフローチャートを用いて加算器10が3D合成を行う処理の詳細について説明する。
左目用合成に使われる4つのプレーンをさす内部ポインタを、プレーンの先頭として初期化を行う(S601)。このとき、合成パラメータ「インタラクティブグラフィックスプレーンの合成モード」がステレオモードOFFであれば、「インタラクティブグラフィックスプレーンの合成オフセット」の値を使いインタラクティブグラフィックスプレーンの内部ポインタを、オフセットに指定されているピクセル分ずらす。
【0207】
次に内部ポインタがさしている一行ずつのデータを取得する(S602)。
取得した一行分のデータの演算を行う(S603)。いわゆるPorter-Duffのα合成の処理である。
α合成が行われた一行分のデータをHDMIより出力する(S604)。
処理されている行は最後の行かどうかを判断し(S605)、最後であれば、右目用の処理に遷移する(S607)。処理される行数は「合成の解像度」に依存し、たとえば1920x1080の解像度で合成が行われる場合は1080行分の合成が必要である。
【0208】
最後の行でなければ、4つのプレーンをさす内部ポインタを次の行へ移動させる(S606)。その後S602から処理を継続する。
左目用の処理が行われた後右目用の処理を行う。まず右目用合成に使われる4つのプレーンをさす内部ポインタを、プレーンの先頭として初期化を行う(S607)。プレーンの合成モードがステレオモードONの場合は右目用のプレーンをさすようにし、合成モードがステレオモードOFFの場合は左目用のプレーンをさすように内部ポインタを初期化する。
【0209】
また、左目用の処理S601同様に合成パラメータ「インタラクティブグラフィックスプレーンの合成モード」がステレオモードOFFであれば、「インタラクティブグラフィックスプレーンの合成オフセット」の値を使いインタラクティブグラフィックスプレーンの内部ポインタを、オフセットに指定されているピクセル分ずらす。
次に内部ポインタがさしている一行ずつのデータを取得する(S608)。
【0210】
取得した一行分のデータの演算を行う(S609)。いわゆるPorter-Duffのα合成の処理である。
α合成が行われた一行分のデータをHDMIより出力する(S610)。
処理されている行は最後の行かどうかを判断し(S611)、最後の行であれば、処理を終了する。処理される行数は「合成の解像度」に依存し、たとえば1920x1080の解像度で合成が行われる場合は1080行分の合成が必要である。

最後の行でなければ、4つのプレーンをさす内部ポインタを次の行へ移動させる(S612)。その後S608から処理を継続する。
【0211】
図27では加算器10が合成を行うために必要とする合成パラメータと可能な値を示している。「合成の解像度」は、3種類利用することが可能である。一つ目は横1920ピクセル、縦1080、周波数23.976Hzのプログレッシブなモードである。二つ目は横1280ピクセル、縦720ピクセル、周波数59.94Hzのプログレッシブなモードである。三つ目は横720ピクセル、縦480ピクセル、周波数59.94Hzのインターレースなモードである。
【0212】
「表示モード」は、3D表示モードか2D表示モードかを利用することが可能である。
「インタラクティブグラフィックスプレーンの合成モード」、「バックグラウンドプレーンの合成モード」、「ビデオプレーンの合成モード」は3D表示モードのときだけ有効な値であり、ステレオモードONかステレオモードOFFかの状態を持つ。
「インタラクティブグラフィックスプレーンの合成オフセット」は、3D表示モードかつ、インタラクティブグラフィックスプレーンの合成モードがステレオモードOFFのときだけ利用することが可能であり、オフセットには正か負かの整数が使われる。整数はオフセットすべきピクセル数を示す。
【0213】
図28では本実施例に記載の、媒体上に存在するBD-Jオブジェクト内の"合成情報"の詳細を説明する。"合成情報"は、タイトルが開始されるときに設定すべき加算器10の状態の希望を示している。
合成解像度は、加算器10の合成に使われる解像度を示す。
合成周波数は、加算器10の合成に使われる周波数を示す。
【0214】
表示モードは、出力が2D表示モードか3D表示モードかを示す。以前の状態を維持することも可能である。
インタラクティブグラフィックスプレーンの合成モード、バックグラウンドプレーンの合成モード、ビデオプレーンの合成モードは、合成がステレオモードONかステレオモードOFFで行われるかを示す。以前の状態を維持することも可能である。
【0215】
インタラクティブグラフィックスプレーンの合成オフセットはオフセットの整数を示す。ゼロの場合は以前の状態を維持し、1から127の間の値の場合は値から64を引き、実際のオフセットを導く。
合成の解像度以外の値は、「ゼロ」が使われた場合は以前の状態を維持するように調整している。ここでその利点について説明する。本実施例以前に使われる、2D再生専用の媒体上はすでにBD-Jオブジェクト内に"合成情報"が存在し、合成解像度の情報はすでに記載されている。しかし、図28で定義している合成解像度以降は存在せず、パディングの目的で「リザーブ」領域が存在する。古いBD-ROMディスクのリザーブ領域は必ず「ゼロ」が書き込まれている。また、古い再生装置はリザーブ領域を必ず無視するようになっている。
【0216】
つまり、図28の定義に準拠しない、古いBD-ROMディスク上のBD-Jオブジェクトは必ず合成の解像度以外はゼロの値が入っているので、再生装置200で誤作動をすることはない。また逆に、図28の定義に準拠している新しいBD-ROMディスク上のBD-Jオブジェクトに3D再生に関する値が書き込まれていても古い再生機で誤作動をすることはない。
このようにして、万が一の組み合わせが間違っていても、どのBD-ROMディスクも、古い再生装置でも新しい再生装置でも再生をすることができる。
【0217】
図29のフローチャートを用いて、"PlayList情報に対する参照値"において自動的に再生すべきPlayListが存在しない場合に、再生装置200がタイトル開始時に加算器10が合成するモードを選択する処理の詳細について説明する。
まず「合成情報:合成の解像度」および「合成情報:合成周波数」からモードを検索する(S1401)。
【0218】
選択されたモードが禁止されていないかを判断する(S1402)。
禁止されている場合は「合成情報:合成周波数」を無視し、再度「合成情報:合成の解像度」だけをもとに禁止されていない合成モードを利用する(S1403)。通常、こういった禁止されたモードは使われない。このステップはフェイルセーフであり、BDROMの問題があっても、再生を止めることなく継続するためにこのステップが必要である。
【0219】
次に3D表示モードを利用するかどうかを判断する(S1404)。図30のリストでは、モード9は3D表示モード不可となっている。
3D表示可能の場合、テレビが3D表示可能かどうかを判断する(S1405)。テレビの情報はHDMIケーブルによりテレビから再生機器へ通知されているため再生機器200はテレビが3D表示可能かどうかの情報を保持している。
【0220】
テレビが3D表示可能の場合、BD-Jオブジェクトに記載の表示モードを選択する(S1406)。BD-Jオブジェクトの表示モードは「2D表示モード」、「3D表示モード」、「以前の値を維持」の可能性があり、「以前の値を維持」が記載されている場合は加算器10より以前の表示モードを取得して利用する。
モードが3D表示可能でない、あるいはテレビが3D表示可能でない場合はBD-Jオブジェクトに記載されている情報が無視され、強制的に2D表示モードを選択する(S1407)。
【0221】
選択した合成パラメータを加算器10に入力する(S1408)。合成パラメータを元に図24のフローチャートの処理が行われ、必要に応じて再認証が一回だけ発生する。
図29のフローチャートの処理が行われた後、モード管理モジュール16はBD-Jオブジェクトに含まれるアプリケーションの情報に基づきアプリケーションの起動を行う。
このようにしてタイトル開始する時点で周波数と表示モードを含めた合成パラメータを選択することにより、再認証が一回だけですみ、また、アプリケーションが起動される前、あるいは平行で再認証を行うことができるため出画が行われるまでの時間を短縮することができる。
【0222】
図30は再生装置200がサポートする合成モードの一覧を示す。合成解像度と合成周波数のすべての組み合わせに対し、禁止されている場合、2D表示しかできない場合、2D表示と3D表示ともに可能な場合が存在する。

図31のフローチャートを用いて、"PlayList情報に対する参照値"において自動的に再生すべきPlayListが存在する場合に、再生装置200がタイトル開始時に加算器10が合成するモードを選択する処理の詳細について説明する。
【0223】
まず自動的に再生されるPlayListに使われるビデオの解像度および周波数からモードを検索する(S1601)。禁止されているモードの場合は異常状態であり、ディスクが不正である。このとき再生を止めるようにしても良い。
次にプレイリストが3D再生可能かどうかを判断する(S1602)。プレイリストは2Dしか再生できないものと、2Dも3Dも再生可能なプレイリストがあり、2Dしか再生できないプレイリストの場合は強制的に2D表示モードを選択する。
【0224】
プレイリストが3D再生可能の場合、テレビが3D表示可能かどうかを判断する(S1603)。テレビの情報はHDMIケーブルによりテレビから再生機器へ通知されているため再生機器200はテレビが3D表示可能かどうかの情報を保持している。
テレビが3D表示可能の場合、BD-Jオブジェクトに記載の表示モードを選択する(S1604)。BD-Jオブジェクトの表示モードは「2D表示モード」、「3D表示モード」、「以前の値を維持」の可能性があり、「以前の値を維持」が記載されている場合は加算器10より以前の表示モードを取得して利用する。
【0225】
プレイリストが3D再生可能でない、あるいはテレビが3D表示可能でない場合はBD-Jオブジェクトに記載されている情報が無視され、強制的に2D表示モードを選択する(S1605)。
選択した合成パラメータを加算器10に入力する(S1606)。合成パラメータを元に図24のフローチャートの処理が行われ、必要に応じて再認証が一回だけ発生する。
【0226】
図31のフローチャートの処理が行われた後、モード管理モジュール16は自動的に再生すべきPlayListの再生を開始させ、BD-Jオブジェクトに含まれるアプリケーションの情報に基づきアプリケーションの起動を行う。
図32のフローチャートを用いて、モード管理モジュールがタイトル開始時に行う処理の詳細について説明する。
【0227】
まず対象のタイトルの関連情報が記載されているBD-Jオブジェクトを読み取る(S1701)。
BD-Jオブジェクトに自動的に再生すべきPlayListが存在するかどうかを判断する(S1702)。
再生すべきPlayListが存在しない場合、図29の処理を行う(S1703)。
【0228】
再生すべきPlayListが存在する場合、図31の処理を行う(S1704)。
その後再生すべきPlayListの再生を開始する(S1705)。
最後にBD-Jオブジェクト記載のアプリケーションの実行を開始する(S1706)。アプリケーションは、起動が行われた後合成パラメータを変更することができる。
図32、図31、図29の処理の中で特にS1604およびS1406が重要である。これらのステップがなければ、再生機器では表示モードを適切に決めることができない。
【0229】
不適切な表示モード、つまりBDROMオーサリングが意図していない表示モードが選択されてしまうと、実質再生すべきPlayListが存在するようなオーサリングをすることができず、アプリケーションが実行された後適切な表示モードを明示的に変更した上でPlayListを再生することしかできなくなる。そうすると出画まで数十秒のラグが発生してしまう。これは出画までの数十秒の間、表示画面にユーザが見たい情報が表示されないことを意味し、結果としてユーザに不安感を与えることになる。
【0230】
万が一、S1604とS1406のステップがない状態でも、BDROMのオーサリングとして自動的に再生すべきPlayListが存在するようにした場合は、アプリケーションが実行された後、アプリケーションにより表示モードを明示的に変更する必要があり、プレイリスト開始後に表示モードが切り替わるため再生されたビデオの先頭が意図されていない状態で表示されてしまう、かつ、再生途中での表示モード切替により画面がちかちかしてしまう。
【0231】
上記のように、BD-Jオブジェクトに情報を使うことで、見た目上の課題をおおくクリアすることができる。「合成情報:表示モード」を2Dか3Dかを明示することで、アプリケーションが実行開始される前にHDMI再認証を終わらせ、再生開始を行うことができ、出画までの時間を短縮できる。また、「合成情報:表示モード」を以前の状態を維持するようにすることで、2D・3D両方の表示モードが可能なボーナスコンテンツを再生する再、再認証を発生させることなくスムーズに開始することができる。
【0232】
また、BD-Jオブジェクトにおいて「合成情報:ビデオプレーンの合成モード」をステレオモードONにすることで、出画時点ではビデオを立体的に見せることができる。ステレオモードOFFにすることで、グラフィックスとの干渉を防ぐことができる。
上記のように、BD-Jオブジェクトに合成情報を導入することにより、再認証を防いだり、ビデオとの見た目上の違和感をなくしたりするという効果がある。なお上記は一例であり、BD-Jオブジェクトを使うことによるBD-ROMディスクのオーサリングの可能性は無限である。
【0233】
(変形例)
尚、本発明を上記の実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施形態に限定されないのはもちろんである。
本発明は、コンピュータを動作させるプログラムコードを含むコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0234】
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray Disc)、半導体メモリなど、に記録したものとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0235】
また、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
本発明は、上記実施の形態に記載の再生装置を制御するLSIとしても実施可能である。機能ブロックは、個別に1チップ化されても良いし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0236】
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または、汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0237】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロック及び部材の集積化を行ってもよい。このような技術には、バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
保存データの移行対象たる読み書き可能な記録媒体として、第1実施形態では、記録媒体(例えばSDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)などの半導体メモリ)を用いたが、本発明の特徴は、記録媒体の物理的特性に依存するものではなく、本発明は、他の読み書き可能な記録媒体にも適用できる。例えば、外付けハードディスクなどにデータが記録された場合においても上述と同様の効果を奏することはもちろんのことである。
【0238】
第1の実施形態では、BD-ROMを再生する再生機能を有する再生装置について説明したが、本発明は、再生機能のみを有するものではなく記録機能をも有する再生装置にも適用できることはもちろんのことである。
上記実施形態、及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0239】
本発明は、立体視ビデオストリームを再生する再生装置200において、立体視ビデオストリーム上に字幕やグラフィックスを重ね合わせて表示する技術に関し、特に、立体視ビデオストリームだけでなく字幕やグラフィックも合わせて立体的に出力し、重ね合わせる立体視ビデオ再生装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0240】
100 記録媒体
200 再生装置
300 操作装置
400 表示装置
500 眼鏡
600 伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インデックステーブルと、動作モードオブジェクトと、バイトコードアプリケーションと、デジタルストリームとが記録されている記録媒体であって、
前記インデックステーブルは、タイトルと、タイトルに対応する動作モードオブジェクトとを示し、
前記動作モードオブジェクトは、アプリケーション管理テーブルと、表示レート初期化情報とを含み、
前記アプリケーション管理テーブルは、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルとして選択された際、起動すべきバイトコードアプリケーションを再生装置に指示する情報であり、
前記デジタルストリームは、複数のピクチャデータから構成されるビデオストリームを含み、
前記表示レート初期化情報は、動作モードオブジェクトに対応するタイトルがカレントタイトルとして選択された際、再生装置に接続された表示装置における表示レートをどのように初期化すべきかを示し、プログレッシブ形式におけるピクチャデータの表示周波数を含む
ことを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
前記動作モードオブジェクトは更に、解像度情報を含み、
前記解像度情報にて示される解像度には、1920×1080、又は、1280×720があり、
前記バイトコードアプリケーションによるグラフィカルユーザインターフェイスの表示は、解像度情報による解像度でなされる
ことを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】
前記デジタルストリームに含まれているビデオストリームには、ベースビュービデオストリームと、ディペンデントビュービデオストリームとがあり、
ベースビュービデオストリーム及びディペンデントビュービデオストリームのそれぞれは、複数のビューコンポーネントから構成され、ベースビュービデオストリームにおけるビューコンポーネントは、ディペンデントビュービデオストリームにおけるビューコンポーネントと共に再生されることで立体視効果を実現するものであり、
前記表示レート初期化情報に示される表示周波数は、ベースビュービデオストリームを構成する複数のビューコンポーネント、及び、ディペンデントビュービデオストリームを構成する複数のビューコンポーネントの表示時に適用される
ことを特徴とする請求項記載の記録媒体。
【請求項4】
前記記録媒体には、3Dプレイリスト情報が記録されており、
前記3Dプレイリスト情報は、メインパス情報と、サブパス情報とを含み、メインパス情報は、ベースビュービデオストリームの時間軸におけるインタイム及びアウトタイムの組みを指定することで、再生区間を定義する情報であり、
前記サブパス情報は、ディペンデントビュービデオストリームの時間軸におけるインタイム及びアウトタイムの組みを指定することで再生区間を定義する情報であり、
前記アプリケーション管理テーブルで起動されるアプリケーションは、プレイリスト情報を対象にしたプレーヤインスタンスを生成することで、3Dプレイリスト情報を用いたビデオストリームの再生を再生装置に実行させる
ことを特徴とする請求項記載の記録媒体。
【請求項5】
インデックステーブル、動作モードオブジェクト、バイトコードアプリケーション、デジタルストリームが記録された記録媒体からアプリケーションを読み出して、バイトコードアプリケーションに基づき再生制御を行う再生装置であって、
インデックステーブルに記載されている複数のタイトルのうち、何れか1つをカレントタイトルとして選択するマネージャと、
カレントタイトルが選択された場合、当該カレントタイトルに対応する動作モードオブジェクトにおけるアプリケーション管理テーブルに基づき、バイトコードアプリケーションの起動を行うプラットフォーム部と、
カレントタイトルとして選択された際、当該カレントタイトルに対応する動作モードオブジェクトにおける前記表示レート初期化情報を用いて、表示装置における表示レートを初期化する表示制御部と、
記録媒体からデジタルストリームを読み出す読出手段と、
読み出されたデジタルストリームから、ビデオストリームを分離する多重分離手段と、
ビデオストリームをデコードするデコーダとを備え、
前記表示レートは、表示周波数を含み、当該表示周波数は、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータを、プログレッシブ形式で表示出力する際に、表示装置に適用される
ことを特徴とする再生装置。
【請求項6】
前記動作モードオブジェクトは更に、解像度情報を含み、
前記解像度情報にて示される解像度には、1920×1080、又は、1280×720があり、
前記バイトコードアプリケーションによるグラフィカルユーザインターフェイスの表示は、解像度情報による解像度でなされる
ことを特徴とする請求項記載の再生装置。
【請求項7】
前記デジタルストリームに含まれているビデオストリームには、ベースビュービデオストリームと、ディペンデントビュービデオストリームとがあり、
ベースビュービデオストリーム及びディペンデントビュービデオストリームのそれぞれは、複数のビューコンポーネントから構成され、ベースビュービデオストリームにおけるビューコンポーネントは、ディペンデントビュービデオストリームにおけるビューコンポーネントと共に再生されることで立体視効果を実現するものであり、
前記表示レート初期化情報に示される表示周波数は、ベースビュービデオストリームを構成する複数のビューコンポーネント、及び、ディペンデントビュービデオストリームを構成する複数のビューコンポーネントの表示時に適用される
ことを特徴とする請求項記載の再生装置。
【請求項8】
前記記録媒体には、3Dプレイリスト情報が記録されており、
前記3Dプレイリスト情報は、メインパス情報と、サブパス情報とを含み、メインパス情報は、ベースビュービデオストリームの時間軸におけるインタイム及びアウトタイムの組みを指定することで、再生区間を定義する情報であり、
前記サブパス情報は、ディペンデントビュービデオストリームの時間軸におけるインタイム及びアウトタイムの組みを指定することで再生区間を定義する情報であり、
前記アプリケーション管理テーブルで起動されるアプリケーションは、プレイリスト情報を対象にしたプレーヤインスタンスを生成することで、3Dプレイリスト情報を用いたビデオストリームの再生を再生装置に実行させる
ことを特徴とする請求項記載の再生装置。
【請求項9】
前記再生装置は、デコーダによるデコードで得られた非圧縮・平文形式のピクチャデータを、所定のデジタルインターフェイスを通じて、表示装置に出力する
ことを特徴とする請求項記載の再生装置。
【請求項10】
インデックステーブル、動作モードオブジェクト、アプリケーション、デジタルストリームが記録された記録媒体からアプリケーションを読み出して、アプリケーションに基づき再生制御を行う再生方法であって、
インデックステーブルに記載されている複数のタイトルのうち、何れか1つをカレントタイトルとして選択する選択ステップと、
カレントタイトルが選択された場合、当該カレントタイトルに対応する動作モードオブジェクトにおけるアプリケーション管理テーブルに基づき、アプリケーションの起動を行う起動ステップと、
カレントタイトルとして選択された際、当該カレントタイトルに対応する動作モードオブジェクトにおける前記表示レート初期化情報を用いて、表示装置における表示レートを初期化する表示制御ステップと、
記録媒体からデジタルストリームを読み出す読出ステップと、
読み出されたデジタルストリームから、ビデオストリームを分離する多重分離ステップと、
ビデオストリームをデコードするデコードステップとを有し、
前記表示レートは、表示周波数を含み、当該表示周波数は、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータを、プログレッシブ形式で表示出力する際に、表示装置に適用される
ことを特徴とする再生方法。
【請求項11】
インデックステーブル、動作モードオブジェクト、アプリケーション、デジタルストリームが記録された記録媒体からアプリケーションを読み出して、アプリケーションに基づく再生制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
インデックステーブルに記載されている複数のタイトルのうち、何れか1つをカレントタイトルとして選択する選択ステップと、
カレントタイトルが選択された場合、当該カレントタイトルに対応する動作モードオブジェクトにおけるアプリケーション管理テーブルに基づき、アプリケーションの起動を行う起動ステップと、
カレントタイトルとして選択された際、当該カレントタイトルに対応する動作モードオブジェクトにおける前記表示レート初期化情報を用いて、表示装置における表示レートを初期化する表示制御ステップと、
記録媒体からデジタルストリームを読み出す読出ステップと、
読み出されたデジタルストリームから、ビデオストリームを分離する多重分離ステップと、
ビデオストリームをデコードするデコードステップとをコンピュータに実行させ
前記表示レートは、表示周波数を含み、当該表示周波数は、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータを、プログレッシブ形式で表示出力する際に、コンピュータと接続した表示装置に適用される
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−239406(P2011−239406A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114738(P2011−114738)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【分割の表示】特願2011−515867(P2011−515867)の分割
【原出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】