説明

記録媒体チェンジャシステム

【課題】第1記録媒体を格納するカートリッジが、その第1記録媒体についての管理情報を有しない記録媒体チェンジャシステムに装着された場合、その記録媒体チェンジャシステムではカートリッジに格納された第1記録媒体に対して記録再生動作を迅速に行うことができない。
【解決手段】カートリッジに格納される第1記録媒体の管理情報を、第1記録媒体とともにカートリッジに格納される第2記録媒体に記録する。第2記録媒体の管理情報を、カートリッジに設けられた第3記録媒体に記録する。記録媒体チェンジャシステムの管理ソフトは、第3記録媒体に記録された第2記録媒体の管理情報に基づいて、第2記録媒体にアクセスし、第2記録媒体に記録された第1記録媒体の管理情報によって第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光ディスクのような記録媒体を複数収容するためのカートリッジから記録媒体を取り出して情報の記録再生を実行する記録媒体チェンジャシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ディスクの分野では、光ディスクの記録密度を増大することが求められている。光ディスクの更なる高密度化を図るためには、面密度を高めるだけでなく、体積あたりの記録密度を高めることも必要とされる。一定の体積空間の中で記録密度を高めるためには光ディスク記録層の多層化を進めることも一つの方法である。例えば、DVDでは片面2層化が規格化され、HD DVD(登録商標)やBlu−Ray(登録商標)と称される青色レーザ記録ディスクでも実用化されている。この場合、機械特性を考慮して0.6mmの厚みの基板が使用されているが、機械特性を確保することができれば、一層薄い光ディスクを実現することも可能となる。また光ディスクにおいては、ゴミや汚れ等から保護するために、慎重な取扱が要求される。そこで、光ディスクを取り扱うために、これを保護する筐体、すなわちカートリッジが用いられることがある。
【0003】
一般に、1つのカートリッジには、1枚の光ディスクが格納されるが、1つのカートリッジに対して複数枚の光ディスクを格納することができれば、カートリッジ単位でまとめて扱うことにより、大容量記録媒体としての利用が期待できる。このようなカートリッジは、例えば、可換媒体としてバックアップやアーカイブといった用途に用いられる。特許文献1には、2個以上の可搬型記録媒体に対して同時に記録再生を行う2台以上の記録再生装置を持つアレイ装置において、可搬型記録媒体を記録再生装置に装填あるいは排出する際に、2個以上の可搬型記録媒体を一つの容器に納める構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−334539
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなカートリッジに格納される複数の光ディスクの情報に素早くアクセスするためには、そのカートリッジが装着される記録媒体チェンジャシステムにおいて、光ディスクにアクセスする前にそのカートリッジに格納される複数の光ディスクの管理情報が管理されている必要がある。一方で、リムーバブル媒体の特徴として、カートリッジが装着されていた記録媒体チェンジャシステムの故障や、ユーザの都合等により、他の記録媒体チェンジャシステムにおいてそのカートリッジを利用する必要が生じることがある。この場合、そのカートリッジに格納されている複数の光ディスクの管理情報が、他の記録媒体チェンジャシステムにおいて管理されている必要があり、管理されていたとしても最新の情報ではないとすると、他の記録媒体チェンジャシステムにおいては、そのカートリッジに格納されている複数の光ディスクにアクセスできないという問題が生じる。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、カートリッジに格納されている複数の光ディスクの管理情報を持たない、又は最新の管理情報を持たない記録媒体チェンジャシステムにおいても、そのカートリッジに格納された複数の光ディスクの記録再生を迅速に行うことが可能な記録媒体チェンジャシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、記録媒体に情報の記録又は再生を行う手段と、記録又は再生される記録媒体を交換する交換機構とを有するチェンジャ装置と、チェンジャ装置を制御する制御手段とからなる記録媒体チェンジャシステムであって、チェンジャ装置は、第1記録媒体と、第1記録媒体の管理情報が記録される第2記録媒体と、第1記録媒体及び第2記録媒体を格納するカートリッジと、カートリッジに設けられ、カートリッジの管理情報、第2記録媒体識別情報を含む第2記録媒体の管理情報が記録された第3記録媒体とを備え、制御手段は、カートリッジ及び第1記録媒体の管理情報が記録される第4記録媒体と、第3記録媒体に記録されているカートリッジの管理情報及び第2記録媒体の管理情報を用いて、第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報によって更新する更新手段とを備えることを特徴とする記録媒体チェンジャシステムが提供される。
【0008】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、カートリッジに格納されている第1記録媒体の管理情報は、第4記録媒体だけではなく、そのカートリッジに格納されている第2記録媒体にも同一内容が記録される。また、第2記録媒体識別情報に関連した第2記録媒体の管理情報が第3記録媒体に記録されているので、記録媒体チェンジャシステムは、第3記録媒体に記録されている第2記録媒体の管理情報を読み取ることにより、第2記録媒体に容易にアクセスすることができる。さらに、記録媒体チェンジャシステムは、第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を反映して更新することができる。ここで「第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報」には、第1記録媒体の管理情報が含まれていない場合、つまり第4記録媒体に第1記録媒体の管理情報が存在しない場合も含まれる。したがって、「第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報によって更新する」とは、第4記録媒体に第1記録媒体の管理情報が存在しない場合、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を、そのまま第4記録媒体に記録すること、及び第4記録媒体に第1記録媒体の管理情報が存在する場合、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報で、第4記録媒体に存在する第1記録媒体の管理情報を更新することを意味する。したがって、そのカートリッジが、そのカートリッジに含まれる第1記録媒体の管理情報を持たないか、若しくは持っている第1記録媒体の管理情報が最新の情報ではない記録媒体チェンジャシステムにおいて利用される場合であっても、その記録媒体チェンジャシステムは、そのカートリッジに設けられた第3記録媒体から第2記録媒体の管理情報を取得し、第2記録媒体にアクセスすることができる。さらに、第2記録媒体から第1記録媒体の管理情報を読み出して、その記録媒体チェンジャシステムに備えられた第4記録媒体に記録することができる。これにより、カートリッジに含まれる第1記録媒体の管理情報を持っていないか、若しくは持っている第1記録媒体の管理情報が最新の情報ではない記録媒体チェンジャシステムにおいても、そのカートリッジに格納される第1記録媒体において記録又は再生を実行することが可能となる。
【0009】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、第3記録媒体に記録されるカートリッジの管理情報は、第3記録媒体が設けられているカートリッジの識別情報と、そのカートリッジの更新履歴情報とを含んでもよく、第4記録媒体に記録されるカートリッジの管理情報は、記録媒体チェンジャシステムにおいて管理されるカートリッジの識別情報と、そのカートリッジの更新履歴情報とを含んでもよい。この場合、第3記録媒体にはカートリッジの識別情報が記録されており、記録媒体チェンジャシステムにおいて管理されているカートリッジの識別情報は、第4記録媒体に記録されている。したがって、記録媒体チェンジャシステムは、第3記録媒体に記録されているカートリッジの識別情報が、第4記録媒体に記録されているカートリッジ識別情報に含まれているか参照することにより、そのカートリッジが、記録媒体チェンジャシステムにおいて管理されているカートリッジであるか否かを判断することができる。さらに、そのカートリッジが記録媒体チェンジャシステムにおいて管理されているカートリッジであると判断された場合、第3記録媒体に記録されているカートリッジの更新履歴情報と、第4記録媒体に記録されているカートリッジの更新履歴情報とを比較することにより、第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報と、そのカートリッジの第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報とが同じかあるいはいずれが新しいかを判断することができる。
【0010】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、前記チェンジャ装置は、第1記録媒体及び第2記録媒体に記録又は再生を行う第1記録再生手段と、第3記録媒体に記録又は再生を行う第3記録再生手段とを備えてもよく、前記制御手段は、第4記録媒体に記録又は再生を行う第4記録再生手段を備えてもよい。この場合、記録媒体チェンジャシステムは、第1記録媒体、第3記録媒体、及び第4記録媒体に記録又は再生を行うことが可能となる。また、前記更新手段は、第3記録媒体に記録されているカートリッジの管理情報と、第4記録媒体に記録されているカートリッジの管理情報を比較する比較手段をさらに備えてもよい。この場合、比較手段により、第3記録媒体に記録されているカートリッジの管理情報と、第4記録媒体に記録されているカートリッジの管理情報とを比較し、そのカートリッジが記録媒体チェンジャシステムにおいて管理されているカートリッジか否かを判断することができる。さらに、第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報と、そのカートリッジの第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報とが同じかあるいはいずれが新しいかを判断することができる。
【0011】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、前記比較手段により、第3記録媒体に記録されているカートリッジの識別情報と、第4記録媒体に記録されているカートリッジの識別情報とが異なると判断された場合、第4記録再生手段は、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を第4記録媒体に記録してもよい。この場合、そのカートリッジの識別情報が、第4記録媒体に記録されているカートリッジ識別情報と一致しなかったこととなり、そのカートリッジは記録媒体チェンジャシステムにおいて、管理されていないカートリッジであると判断される。つまり、そのカートリッジに含まれる第1記録媒体の管理情報は、記録媒体チェンジャシステムの第4記録媒体には記録されていないため、第2記録媒体に記録された第1記録媒体の管理情報が第4記録媒体に記録される。これにより、そのカートリッジに含まれる第1記録媒体の管理情報を有しない記録媒体チェンジャシステムにおいても、第4記録媒体に記録された第1記録媒体の管理情報に基づいて、第1記録媒体に記録再生を実行することができる。
【0012】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、前記比較手段により、第4記録媒体に記録されているカートリッジの更新履歴情報が、第3記録媒体に記録されているカートリッジの更新履歴情報よりも古いと判断された場合、第4記録再生手段は第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報によって書き換えてもよい。この場合、そのカートリッジに含まれる第1記録媒体の管理情報は、記録媒体チェンジャシステムの第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報よりも新しいため、第2記録媒体に記録された第1記録媒体の管理情報によって、第4記録媒体が更新される。これにより、そのカートリッジに含まれる第1記録媒体の古い管理情報しか有しない記録媒体チェンジャシステムにおいても、第4記録媒体において更新された第1記録媒体の管理情報に基づいて、第1記録媒体に記録再生を実行することができる。
【0013】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、第1記録再生手段によって第1記録媒体に記録が行われると、第4記録再生手段が、第4記録媒体に対しカートリッジの更新履歴情報及び第1記録媒体の管理情報を記録するとともに、第1記録再生手段が、第2記録媒体に対し第1記録媒体の管理情報を記録してもよい。この場合、記録媒体チェンジャシステムの第4記録媒体には、最新の第1記録媒体の管理情報が記録されるので、その記録媒体チェンジャシステムは、次回も第4記録媒体に記録された管理情報を用いることができる。また、第2記録媒体にも最新の第1記録媒体の管理情報が記録されるため、その第2記録媒体が格納されたカートリッジが、他の記録媒体チェンジャシステムにおいて利用される場合でも、他の記録媒体チェンジャシステムは、第2記録媒体に記録された最新の第1記録媒体の管理情報を使って、そのカートリッジに格納される複数の第1記録媒体に記録再生を実行することができる。
【0014】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、第3記録媒体に記録される第2記録媒体の管理情報は、第2記録媒体の識別情報と、第2記録媒体における管理情報のアドレスを含んでもよく、第3記録再生手段は第3記録媒体に対し、第1記録媒体の管理情報が記録された第2記録媒体の識別情報、第2記録媒体における管理情報のアドレス、及びカートリッジの更新履歴情報を記録してもよい。この場合、記録媒体チェンジャシステムは第3記録再生手段により、第3記録媒体に記録された第2記録媒体の識別情報や第2記録媒体における管理情報のアドレスを再生することができるので、効率的に第2記録媒体にアクセスし、管理情報を取得することができる。
【0015】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、第1記録媒体は光ディスクであり得る。
【0016】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、第1記録媒体の管理情報は、複数の第1記録媒体に記録されているファイルを識別するためのファイルID、ファイル名、当該ファイルが記録されている第1記録媒体の識別情報と当該第1記録媒体におけるアドレス、当該第1記録媒体が格納されているカートリッジ識別情報、及び当該ファイルの履歴情報を含んでもよい。この場合、ファイル名と、当該ファイルが記録されている第1記録媒体の識別情報、当該第1記録媒体におけるアドレス、及び当該第1記録媒体が格納されているカートリッジ識別情報とが対応づけられている。したがって、記録媒体チェンジャシステムは、これらの管理情報を参照することにより、ユーザが指定したファイルに対応する第1記録媒体の記録再生を実行することができる。
【0017】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、第3記録媒体は非接触で記録再生可能な半導体素子であり、第3記録再生手段は前記半導体素子と通信可能な通信手段をさらに備えてもよい。この場合、カートリッジに設けられた第3記録媒体と第3記録再生手段とを電気的に接続する必要がないため、カートリッジを記録媒体チェンジャシステムに対して自由に脱着することができる。
【0018】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、第3記録媒体は書き換え可能な記録媒体であってもよい。
【0019】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、カートリッジには複数の第1記録媒体が格納されてもよい。この場合、複数枚の第1記録媒体を、カートリッジ単位で扱うことにより、大容量記録媒体として利用することができる。
【0020】
本発明の記録媒体チェンジャシステムにおいて、前記カートリッジが複数装着されてもよい。この場合、記録媒体チェンジャシステム自体の記憶容量を大幅に増大させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第4記録媒体に第1記録媒体の管理情報が記録されていないか、若しくは記録されている第1記録媒体の管理情報が最新の情報でない場合であっても、記録媒体チェンジャシステムは、第3記録媒体に記録されている第2記録媒体の管理情報に基づいて第2記録媒体にアクセスし、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報によって、第4記録媒体を更新する。この結果、記録媒体チェンジャシステムは第4記録媒体において更新された複数の第1記録媒体の管理情報に基づいて、第1記録媒体に記録又は再生を実行することができる。したがって、カートリッジに格納されている第1記録媒体の管理情報を持たないか、若しくは持っている第1記録媒体の管理情報が最新の情報ではない記録媒体チェンジャシステムにおいても、そのカートリッジに格納された第1記録媒体の記録再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、添付図面を参照して、本発明による実施形態について説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明の本質的な範囲を逸脱しない限り、構成の変形・追加・代用が可能であることはもちろんである。
【0023】
まず、本発明の記録媒体チェンジャシステム1の全体構成について、図1の概略構成図を参照して説明する。記録媒体チェンジャシステム1は、コントローラ5(制御手段)を備えるホストPC2と、チェンジャ装置3とが、汎用インターフェース4を介して接続されることによって構成される。汎用インターフェース4としては例えばUSBやSCSI等が挙げられる。汎用インターフェース4を用いているため、チェンジャ装置3はコントローラ5を備えた任意のホストPC2に対して接続することができる。
【0024】
ホストPC2に備えられるコントローラ5は、ハードディスク装置(以下、HDDという)6とファイル管理ソフト7(更新手段)とを備え、汎用インターフェース4を介してチェンジャ装置3を制御する。HDD6は、後述する光ディスク11の管理情報等を格納するための記録媒体(第4記録媒体)と、その記録媒体に情報を記録し、記録した情報を再生するドライブユニット(第4記録再生手段)とを備える。HDD6の記録媒体には、ファイル管理ソフト7からの命令によりドライブユニットにより情報が記録され、記録された情報はファイル管理ソフト7からの命令にしたがい、ドライブユニットによって読み出される。後述するようにチェンジャ装置3には複数のカートリッジ10が装着され得るので、HDD6は、複数のカートリッジ10を識別するためのカートリッジ管理テーブルを有する(図10(B)参照)。HDD6は、カートリッジ管理テーブルの情報を更新することにより、チェンジャ装置3に格納されている複数のカートリッジ10を識別するためのカートリッジ識別情報及びそのカートリッジ10に格納される光ディスク11に情報の記録が行われた日時を示すカートリッジの更新履歴情報(カートリッジの管理情報)を管理している。一方、ファイル管理ソフト7は、HDD6に情報の書き込み、読み出し命令を行うとともに、読み出された情報に基づいてチェンジャ装置3を制御するためのプログラムである。ファイル管理ソフト7は、図示しない比較プログラム(比較手段)をさらに備える。比較プログラムは、HDD6のカートリッジ管理テーブルにて管理されているカートリッジIDと、後述する記憶素子12(第3記録媒体)に記録されているカートリッジ識別情報、及びカートリッジ管理テーブルにて管理されているカートリッジの更新履歴情報と、記憶素子12に記録されているカートリッジの更新履歴情報とを比較する。
【0025】
次にチェンジャ装置3の構成について、図2を参照して説明する。チェンジャ装置3は、コントローラ5の制御によって、特定のカートリッジ10に格納された所定の光ディスク11を選択して、その記録再生を実行するための装置であり、主に、複数の光ディスク11を収容するカートリッジ10、チェンジャ機構9(交換機構)、光ディスク駆動装置8(第1記録再生手段)、及びRFIDリーダライタ23(第3記録再生手段)を備える。さらに、チェンジャ装置3は、情報処理を行うためのデータハンドリング部31、Index管理メモリ32、及びCash管理メモリ33を備える(図9参照)。Index管理メモリ32は、チェンジャ装置3内にあるカートリッジ10の属性等を含む管理情報を集合的に管理するためのメモリである。Cash管理メモリ33は、光ディスク駆動装置8で情報を記録・再生する際に、情報処理速度を速めるために使用されるメモリである。
【0026】
図1では説明上、カートリッジ10は1つしか示していないが、実際には、図2に示すように、チェンジャ装置3には複数のカートリッジ10が装着され得る。さらに、1つのカートリッジ10には、複数の光ディスク11(第1記録媒体)がそれぞれ、ディスク支持板11b上に支持されて格納される。
【0027】
チェンジャ装置3には、複数のカートリッジが積層されている方向(以下、上下方向という)に延在するガイドGが設けられている。チェンジャ機構9は、ガイドGにその一端が摺動可能に取り付けられたクランプ移動台9c、クランプ移動台9cの下面に設けられた電磁石9b、及び電磁石9bの下面に設けられたキャップ9aを含む。電磁石9b、及びキャップ9aはクランプ移動台9cとともに、ガイドGに沿って上下方向に移動する。チェンジャ機構9はさらに、ガイドGに上下方向に摺動可能に取り付けられたローディング機構9dを備える。ローディング機構9dは、例えば、その一端にディスク支持板11bに引掛けるためのフックを有し、上下方向と直交する方向に伸縮するアーム(不図示)と、アームを伸縮させるためのモータ(不図示)とを備えてもよい。アームのフックをディスク支持板11bに引掛けた状態で、モータによりアームを伸縮させることにより、カートリッジ10に格納されるディスク支持板11bを取り出し位置Pまで移動し、取り出し位置Pまで移動したディスク支持板11bをカートリッジ10に格納する。光ディスク駆動装置8は、チェンジャ機構9によってロードされた光ディスク11の記録再生を実行するための装置である。光ディスク駆動装置8は主に、その一端がガイドGに上下方向に摺動可能に取り付けられた移動台8d、移動台8dの上面に設けられた光ピックアップ8c、及びスピンドル8b、並びにスピンドル8bに同軸上に固定されたターンテーブル8aから構成される。ターンテーブル8a、スピンドル8b、及び光ピックアップ8cは、移動台8dとともに、ガイドGに沿って上下方向に移動する。ターンテーブル8a上には記録再生される光ディスク11が保持される。ターンテーブル8aは、スピンドル8bの回転により回転され、ターンテーブル8aに保持された光ディスク11は、光ピックアップ8cにより情報の記録再生が行われる。チェンジャ機構9、及び光ディスク駆動装置8が、ガイドGに沿って上下方向に移動することにより、チェンジャ装置3に積層された複数のカートリッジ10のうち、最下段に配置されたカートリッジ10Xの最下段に格納された光ディスク11xから、最上段に配置されたカートリッジ10Yの最上段に格納された光ディスク11yまでの光ディスク11について、記録再生することができる。
【0028】
次に、チェンジャ機構9、及び光ディスク駆動装置8の動作について説明する。コントローラ5から所定の光ディスク11の記録再生命令があった場合、チェンジャ機構9、及び光ディスク駆動装置8は、ガイドGに沿って上下方向に移動し、所定の光ディスク11をカートリッジ10から取り出せる位置で停止する。チェンジャ機構9、及び光ディスク駆動装置8が停止すると、ローディング機構9dは、所定の光ディスク11が保持されたディスク支持板11bを、所定の光ディスク11とともに取り出し位置Pまで移動する。次に、クランプ移動台9cを下方向に移動し、取り出し位置Pまで移動した光ディスク11に、キャップ9aを接触させる。さらに電磁石9bにより光ディスク11をキャップ9aに吸引した状態で、クランプ移動台9cを上方向に移動することにより、光ディスク11をディスク支持板11bから剥離する。光ディスク11が剥離されたディスク支持板11bは、ローディング機構9dによってもとのカートリッジ10に格納される。その後、光ディスク11をキャップ9aに吸引した状態で、光ディスク11が光ディスク駆動装置8のターンテーブル8a上に載る位置まで、クランプ移動台9cを下方向に移動する。光ディスク11がターンテーブル8a上に載った時点で、電磁石9bによる吸引を停止し、クランプ移動台9cを上方向に移動する。上記の一連の動作により、所定の光ディスク11が光ディスク駆動装置8にロードされる。光ディスク駆動装置8のターンテーブル8a上に保持された所定の光ディスク11は、スピンドル8bの駆動によって回転するターンテーブル8aとともに回転し、光ピックアップ8cによって情報の記録又は再生が行われる。
【0029】
図3は、本実施形態のチェンジャ装置3に用いられるカートリッジ10の外観構成を示す図である。図3に示されるように、カートリッジ10は、複数の光ディスク11(第1記録媒体)を格納する格納部10aを有し、その側面10bには後述する管理領域特定情報等を記録するための記憶素子12(第3記録媒体)を備える。
【0030】
カートリッジ10に格納される複数の光ディスク11のうち、特定の光ディスク11a(第2記録媒体)の少なくとも一部の領域は、そのカートリッジ10に格納される複数の光ディスク11の管理情報(第1記録媒体の管理情報)を管理するための管理領域として使用される。その他の領域は通常のデータ記録領域として使用し得る。複数の光ディスク11の管理情報には、図10(C)に例示したように、光ディスクに記録されているファイルを識別するためのファイル識別情報、ファイル名、そのファイルが記録されているカートリッジのカートリッジ識別情報、ファイルサイズ、ファイルに含まれる情報が記録されている記録領域(アドレス)情報、及びファイルの更新日時を示す更新履歴情報が含まれる。複数の光ディスク11の管理情報は、チェンジャ装置3を制御するコントローラ5のHDD6にも記録されていることが望ましい。コントローラ5のファイル管理ソフト7は、HDD6に記録されている管理情報に基づいて、光ディスク11の記録再生命令を行うからである。光ディスク11は、特にアーカイブファイルとして保存性、改竄防止効果のあるライトワンス型光ディスク、例えばCD−Rを用い得るが、DVD−Rのような記録書き換え型媒体やCDのようなROM媒体でもよい。
【0031】
カートリッジ側面10bに備えられる記憶素子12(第3記録媒体)としては、この実施形態では、RFID素子を用いている。RFID素子12は電磁気的な結合により後述するRFIDリーダライタ23と通信するものであり、RFIDリーダライタ23のアンテナ15と接触しなくても記録または再生動作が可能である。RFID素子12は、主に、ICチップ12a、制御部12b、及びアンテナ12cから構成される(図4参照)。ICチップ12aは実際の記憶領域として機能し、制御部12bは、RFIDリーダライタ23との通信内容の符号化、復号化を行う。アンテナ12cは、ICチップ12aに電源を供給するとともに、情報の送受信用のアンテナとして機能する。RFID素子12は、接触型の識別装置と比較して信頼性の点で有利であり、また物理的カートリッジ10に埋め込むことが可能なためカートリッジ10と一体とした管理が可能になる。本実施形態のカートリッジ10は図2に示したように、チェンジャ装置3に複数積み重ねられて装着される。そのため、RFID素子12は、上下方向に重なる別のカートリッジ10に設置されたRFID素子12とのクロストークを避けるため、通信範囲を限定して動作させることが望ましい。クロストークが生じない位置であれば、RFID素子12は、例えばカートリッジ10の側面10bで角に近い位置、或いはカートリッジ上面等さまざまな位置に設置することができる。RFID素子12としては、例えば日立マクセル製のコイルオンチップ(登録商標)を用いることができる。
【0032】
RFID素子12には、図10(A)に示すように、そのRFID素子12が設置されているカートリッジ10のカートリッジ識別情報及びRFID素子12に情報が最後に書き込まれた日時を示す更新履歴情報(カートリッジの管理情報)、並びにカートリッジ10の特定の光ディスク11aにおいて光ディスク11の管理情報が記録される領域を特定するための情報である管理領域特定情報(第2記録媒体の管理情報)が記録されている。管理領域特定情報とは、具体的には、光ディスク11の管理情報が記録されている特定の光ディスク11aの識別情報(第2記録媒体識別情報)及び特定の光ディスク11aにおいて光ディスク11の管理情報が記録されている管理領域の情報である。これらの情報は、コントローラ5のファイル管理ソフト7がチェンジャ装置3を通じて特定の光ディスク11aの管理領域にアクセスするために使用される。
【0033】
RFID素子12に記録されたカートリッジIDは、チェンジャ装置3にカートリッジ10が装着されると、後述するRFIDリーダライタ23によって読み出され、ファイル管理ソフト7によってHDD6のカートリッジ管理テーブルで管理されているカートリッジIDと比較される。つまり、そのカートリッジ10に格納されている複数の光ディスク11の管理情報が、HDD6に存在するか(そのカートリッジ10が記録媒体チェンジャシステム1の管理対象であるか)を確認するために、ファイル管理ソフト7によって使用される。そしてHDD6のカートリッジ管理テーブルで管理されているカートリッジIDと、RFID素子12に記録されたカートリッジIDとが一致した場合、RFID素子12に記録された更新履歴情報はRFIDリーダライタ23によって読み出され、ファイル管理ソフト7によって、HDD6に記録されている当該カートリッジの管理情報と比較される。すなわち、HDD6に記録された管理情報を更新する必要があるかをファイル管理ソフト7が判断するために使用される。これらの情報が一致しないか、あるいはHDD6に当該カートリッジ10の管理情報が存在しなかった場合、RFID素子12の管理領域特定情報がRFIDリーダライタ23によって読み出される。ファイル管理ソフト7は、管理領域特定情報に基づいて、光ディスク11aの管理領域にアクセスし、管理領域に記録されている管理情報を読み出すとともに、そのファイル管理情報をHDD6に記録する(HDD6に記録されているファイル管理情報を更新する)。
【0034】
次に、RFID素子12に対して情報の読み取り/書き込みを行うRFIDリーダライタ(第3記録再生手段)23の概略構成について、図4を参照して説明する。RFIDリーダライタ23は、主に、RFID素子12と通信するアンテナ15と、制御部20とを備える。アンテナ15はRFID素子12に電源を供給するとともに情報の送受信を行う。制御部20は、RFID素子12との通信内容の符号化、復号化や、ホストPC2との通信を制御する。
【0035】
制御部20は、図示しないアンテナ電源回路と検波回路とをさらに含む。RFIDリーダライタ23は、RFID素子12に記録されている情報を読み出すとき、或いは情報を書き込むとき、アンテナ電源回路によってアンテナ15に電流を供給するとともに、アンテナ15から情報を含む電波を発信する。RFID素子のアンテナ12cは、アンテナ15からの電波を受信し、アンテナ12cの共振作用により起電力が発生する。発生した電力はICチップ12aに供給される。またアンテナ12cが受信した情報は、制御部12bによって復号化され、ICチップ12aに対して必要な処理が行われる。処理結果は、制御部12bによって符号化され、アンテナ12cから電波として送信される。RFIDリーダライタ23のアンテナ15が、RFID素子12のアンテナ12cから送信された電波を受信すると、制御部20は復号化を行い、ホストPC2に送信する。
【0036】
次に、RFID素子12に記録された情報を読み取るためのアンテナ15の設置例について、図5を参照して説明する。図5において、RFIDリーダライタのアンテナ15は、チェンジャ装置3のカートリッジ設置フレーム13に固定されている。そして、アンテナ15は、同軸ケーブル等のケーブル16によりRFIDリーダライタ23の制御部20と接続される。複数のカートリッジ10がカートリッジ設置フレーム13に設置されたときに、各カートリッジ10のRFID素子12と通信するアンテナ15はそれぞれ、RFID素子12と対向し、且つ他のカートリッジ10のRFID素子12とクロストークが生じない位置に配置されている必要がある。
【0037】
次に、記録媒体チェンジャシステム1において行われるデータ処理の概要について、図9を参照して説明する。図9は、図1、及び図2に示した記録媒体チェンジャシステム1におけるデータの流れを概念的に示すブロック図である。例えば、ユーザにより光ディスク11に記録するデータが、ホストPC2に入力されると、ホストPC2のコントローラ5はそのデータを、汎用インターフェイス4を介して、チェンジャ装置3のデータハンドリング部31に送信する。データハンドリング部31は受信したデータを光ディスク11に対して記録するよう、光ディスク駆動装置を制御し、光ディスク駆動装置8によってそのデータが、光ディスク11に記録される。情報の再生においては、光ディスク駆動装置8で再生された光ディスク11のデータは、データハンドリング部31に転送され、汎用インターフェイス4を介してホストPC2のコントローラ5に送信される。なお、光ディスク駆動装置8でデータを記録・再生する際に、Cash管理メモリ33を用いるとデータ処理速度を速めることができる。
【0038】
次に、RFID素子12に対してデータを記録する際の処理について説明する。例えば、あるカートリッジ10に格納される特定の光ディスク11に対して管理情報の更新を行った場合、そのカートリッジ10に設けられているRFID素子12に対して、更新履歴を記録する必要が生じる。RFID素子12に記録するべきデータがホストPC2のコントローラ5から、汎用インターフェイス4を介してチェンジャ装置3のデータハンドリング部31に送信されると、データハンドリング部31は、そのデータをIndex管理メモリ32に記録する。Index管理メモリ32にデータが記録されると、RFIDリーダライタ23はそのデータを読み出し、RFID素子12に対して記録する。またこれとは反対に、RFIDリーダライタ23によってRFID素子12から読み出されたデータは、RFIDリーダライタ23によってIndex管理メモリ32に記録される。Index管理メモリ32に記録されたデータは、データハンドリング部31によって読み出され、汎用インターフェイス4を介してホストPC2のコントローラ5に送信される。
【0039】
次に、図11に示す記録媒体チェンジャシステム1において利用されていたカートリッジ10が、例えばホストPC2の故障や、ユーザの都合等により、他の記録媒体チェンジャシステム1’において利用される場合の、記録媒体チェンジャシステム1’の動作例を、図6〜8のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
まず、ある記録媒体チェンジャシステム1において利用されており、情報が既に記録されている複数の光ディスク11を格納したカートリッジ10が、ユーザによって、他の記録媒体チェンジャシステム1’のチェンジャ装置3’に装着される(ステップS601)。すると、カートリッジ10の側面10bに設置されたRFID素子12とRFIDリーダライタ23’が通信を開始し、カートリッジ10がチェンジャ装置3’に装着されたことがコントローラ5’に認識される(ステップS602)。
【0041】
コントローラ5’はカートリッジ10が装着されたことを認識すると、RFIDリーダライタ23’に対し、RFID素子12に記録されているカートリッジ識別情報の取得命令を生成する。RFIDリーダライタ23’はコントローラ5’からの命令に従い、RFID素子12に記録されているカートリッジ識別情報を取得する。コントローラ5’は、RFIDリーダライタ23’によって取得されたカートリッジ識別情報を再生し(ステップS603)、カートリッジ識別情報が、HDD6’のカートリッジ管理テーブルに存在するか否かについて、カートリッジ管理テーブルを検索する(ステップS604)。
【0042】
カートリッジ識別情報が、HDD6’のカートリッジ管理テーブルに存在しないと判断された場合は、カートリッジ10に格納されている複数の光ディスクの管理情報が、HDD6’に存在しないことになる。この場合は、カートリッジ10の特定の光ディスク11aに記録されている光ディスク11の管理情報を、コントローラ5’のHDD6’に記録するための動作が行われ、その後HDD6’に記録された管理情報を用いて光ディスク11の記録再生動作が行われる。これらの動作については後述する。
【0043】
一方、カートリッジ識別情報が、HDD6’のカートリッジ管理テーブルに存在すると判断された場合、カートリッジ10の中の複数の光ディスクの管理情報は、HDD6’に存在することになる。この場合、コントローラ5’は、HDD6’に存在する管理情報をそのまま使用することができるか否か、すなわち、HDD6’に存在する管理情報を、カートリッジ10の特定の光ディスク11aに記録されている管理情報で更新する必要があるか否かを判断する。具体的には、コントローラ5’は、RFIDリーダライタ23’に対し、RFID素子12に記録されている履歴情報の取得命令を生成する。RFIDリーダライタ23’はコントローラ5’からの命令に従い、RFID素子12に記録されている履歴情報を取得する。コントローラ5’は、RFIDリーダライタ23’によって取得された履歴情報を再生し(ステップS605)、履歴情報が、カートリッジ管理テーブルに存在するカートリッジ識別情報に対応する履歴情報と一致するか判断する(ステップS606)。
【0044】
RFIDリーダライタ23’によって取得された履歴情報が、HDD6’のカートリッジ管理テーブルに記録されている履歴情報と一致する場合、HDD6’に記録されている光ディスクの管理情報と、カートリッジ10の特定の光ディスク11aに記録されている管理情報とは一致していることになる。したがって、この場合、光ディスク11の記録再生動作はHDD6’に記録されている管理情報に基づいて実行される。記録再生動作については後述する。一方、RFIDリーダライタ23’によって取得された履歴情報が、HDD6’のカートリッジ管理テーブルに記録されている履歴情報と一致しない場合、コントローラ5’はRFIDリーダライタ23’によって取得された履歴情報と、HDD6’のカートリッジ管理テーブルの履歴情報のうち、どちらが新しいか判断する(ステップS607)。
【0045】
HDD6’のカートリッジ管理テーブルの履歴情報が、RFIDリーダライタ23’によって取得された履歴情報よりも新しい場合は、HDD6’には、カートリッジ10の特定の光ディスク11aに記録されている管理情報よりも新しい管理情報が記録されていることになる。したがって、この場合、光ディスク11の記録再生動作はHDD6’に記録されている管理情報に基づいて実行される。
【0046】
一方、HDD6’のカートリッジ管理テーブルの履歴情報が、RFIDリーダライタ23’によって取得された履歴情報よりも古い(以前に更新されている)場合は、HDD6’には、カートリッジ10の特定の光ディスク11aに記録されている管理情報よりも古い管理情報が記録されていることになる。この場合、カートリッジ10の特定の光ディスク11aに記録されている光ディスク11の管理情報を、HDD6’に記録するための動作が行われ、その後HDD6’に記録された管理情報を用いて光ディスク11の記録再生動作が行われる。
【0047】
ステップS604に戻って、カートリッジ識別情報がHDD6’のカートリッジ管理テーブルに存在しなかった場合、また、ステップS607において、HDD6’のカートリッジ管理テーブルの履歴情報がRFIDリーダライタ23’によって取得された履歴情報よりも古い場合は、カートリッジ10の特定の光ディスク11aに記録されている光ディスク11の管理情報を、HDD6’に記録するための動作が行われる。この動作について、図7を参照して説明する。
【0048】
まずコントローラ5’は、RFIDリーダライタ23’に対し、カートリッジ10に設置されたRFID素子12に記録されている管理領域特定情報の取得命令を生成する。RFIDリーダライタ23’は、コントローラ5’からの命令に従い、RFID素子12に記録されている管理領域特定情報を取得する。コントローラ5’は、RFIDリーダライタ23’によって取得された管理領域特定情報を再生する(ステップS611)。管理領域特定情報には、複数の光ディスクの管理情報が記録されている特定の光ディスク11aの識別情報と、管理情報が記録された記録領域情報(アドレス情報)が含まれる。
【0049】
続いてコントローラ5’は、チェンジャ装置3’のチェンジャ機構9’に対し、カートリッジ10を選択するとともに、カートリッジ10から特定の光ディスク11aを選択し、光ディスク駆動装置8’にロードするよう命令する。さらに、コントローラ5’は、光ディスク駆動装置8’に対して、特定の光ディスク11aに記録された管理情報の再生命令を生成する。チェンジャ機構9’は、コントローラからの命令に従い、当該カートリッジ10を選択するとともに、当該カートリッジ10から特定の光ディスク11aを選択し、光ディスク駆動装置8’にロードする。光ディスク駆動装置8’は、特定の光ディスク11aがロードされると、コントローラ5’からの命令に従い、特定の光ディスク11aに記録された管理情報を再生する(ステップS612)。ステップS612で再生された管理情報は、HDD6’に記録される(ステップS613)。
【0050】
次に、HDD6’に記録された管理情報を用いて光ディスク11の記録再生が行われる際の動作例を、図8を参照して説明する。具体的には、ステップS606において、RFIDリーダライタ23’によって取得された履歴情報がHDD6’のカートリッジ管理テーブルに記録されている履歴情報と一致すると判断された後、ステップS607において、HDD6’のカートリッジ管理テーブルの履歴情報がRFIDリーダライタ23’によって取得された履歴情報よりも新しいと判断された後、及びステップS613においてコントローラ5’のHDD6’に管理情報が記録された後に、ユーザからの指示に従い、光ディスクに対して記録再生を行う際の動作例である。
【0051】
まずユーザが、ホストPC2’の図示しないユーザインタフェースから、記録再生の対象となるファイルを指定する(ステップS621)。するとファイル管理ソフト7’は、HDD6’の管理情報から、当該指定されたファイルが格納されているカートリッジ識別情報、光ディスク識別情報、及び当該光ディスクにおける記録領域(アドレス)情報を読み出す(ステップS622)。
【0052】
ファイル管理ソフト7’は、チェンジャ装置3’のチェンジャ機構9’に対し、ステップS622で読み出したカートリッジ識別情報に該当するカートリッジ10から、ステップS622で読み出した光ディスク識別情報に該当する光ディスク11を選択し、光ディスク駆動装置8’にロードするよう命令する。さらに、ファイル管理ソフト7’は、光ディスク駆動装置8’に対して、ステップS622で読み出した光ディスク11の記録領域に記録されている情報の再生命令を生成する(ステップS623)。
【0053】
チェンジャ機構9’は、ファイル管理ソフト7’からの命令に従い、指定されたカートリッジ10から指定された光ディスク11を選択し、光ディスク駆動装置8’にロードする。光ディスク駆動装置は光ディスク11がロードされると、ファイル管理ソフト7’からの命令に従い、選択された光ディスク11の指定された記録領域に存在するファイルに記録再生を実行する(ステップS624)。記録再生は、ユーザが図示しないユーザインタフェースを介して、記録媒体チェンジャシステム1’に対して記録再生の終了指示を入力するまで実行される。
【0054】
ユーザにより、記録再生の終了指示が入力されると(ステップS625)、ファイル管理ソフト7’は、HDD6’の管理情報を更新するとともに、カートリッジ管理テーブルの履歴情報を更新する(ステップS626)。さらに、ファイル管理ソフト7’は、ステップS624で記録再生動作が行われたファイルに対応する記録領域や履歴情報を、カートリッジ10の特定の光ディスク11aの所定の領域に記録するよう、光ディスク駆動装置8’に対して命令する。光ディスク駆動装置8’はファイル管理ソフト7’からの命令に従い、当該カートリッジ10の特定の光ディスク11aの所定の領域に、ステップS624で記録再生動作が行われたファイルに対応する記録領域や履歴情報を記録する(ステップS627)。
【0055】
そしてファイル管理ソフト7’は、RFIDリーダライタ23’に対し、ステップS627において管理情報を記録した特定の光ディスク11aの識別情報、及び管理情報が記録された記録領域(アドレス)情報をRFID素子12に記録するよう命令する。RFIDリーダライタ23’はファイル管理ソフト7’からの命令に従い、RFID素子12に対して、管理情報が記録された光ディスク11aの識別情報、及び光ディスク11aにおいて管理情報が記録されている記録領域情報を記録する(ステップS628)。
【0056】
ステップS626からS628を実行することにより、HDD6’に記録されている管理情報と、カートリッジ10に格納された特定の光ディスク11aの所定の領域に記録されている管理情報とは、最新の状態で一致する(同期をとることができる)。したがって、次回、当該カートリッジ10の光ディスク11に記録されているファイルの記録再生を行う際は、コントローラ5’はHDD6’に記録されている管理情報がそのまま用いられることになる。また、当該カートリッジ10の特定の光ディスク11aには最新の管理情報が記録されているので、当該カートリッジ10が当該記録媒体チェンジャシステム1’から取り外され、元の記録媒体チェンジャシステム1に装着される場合にも、元の記録媒体チェンジャシステム1は、ステップS611からS613を実行することにより、HDD6に最新の管理情報を記録することができる。
【0057】
以上説明した動作により、HDD6’に複数の光ディスク11の管理情報が記録されていないか、若しくは記録されている管理情報が古い場合であっても、RFID素子12に記録されている管理領域特定情報に基づいて管理領域にアクセスし、管理領域に記録されている管理情報によって、HDD6’を更新することができる。この結果、ファイル管理ソフト7’はHDD6’において更新された管理情報に基づいて、複数の光ディスクに読み出し、書き込み命令を生成することができる。したがって、カートリッジ10に格納されている複数の光ディスク11の管理情報を持たないか、又は古い管理情報しか持たない記録媒体チェンジャシステム1に当該カートリッジ10が装着された場合においても、当該カートリッジ10に格納された複数の光ディスク11の記録再生を行うことができる。
【0058】
なお、本実施形態において、記録媒体チェンジャシステム1のチェンジャ装置3には、光ディスク駆動装置が1つのみ設けられている構成例を示したが、これに限らず、1つのチェンジャ装置3に複数の光ディスク駆動装置が備えられ、異なる光ディスクを同時に駆動できるように構成されていてもよい。またステップS607において、コントローラ5’はRFIDリーダライタ23’によって取得された更新履歴情報と、HDD6’のカートリッジ管理テーブルの更新履歴情報のうち、どちらが新しいか判断する例を示したが、HDD6’のカートリッジ管理テーブルの更新履歴が、RFIDリーダライタ23’によって取得された更新履歴よりも所定期間以上古いと判断された場合に、HDD6’における複数の光ディスク11の管理情報を更新してもよい。本実施形態において、光ディスク11の管理情報が記録される特定の光ディスク11aは、その光ディスク11と同じ種類の記録媒体である必要はない。例えば、特定の光ディスク11aにはライトワンス型媒体を用い、その他の光ディスク11には書き換え型媒体を用いてもよい。光ディスク11の管理情報には、ユーザ情報が含まれてもよい。また、本実施形態では、RFID素子12とRFIDリーダライタ23との間で無線通信を行い、情報の記録再生を行う例を示したが、無線通信手段はこれに限られず、例えば赤外線通信等を用いてもよい。
【0059】
以上、本発明を記録媒体チェンジャシステムに適用した例について説明してきたが、複数の光ディスクに記録される情報の内容は、どのような内容であってもよい。例えば、動画データや音楽データであってもよく、ホストPC等のバックアップデータであってもよい。本発明は記録媒体チェンジャシステムに限らず、可換記録媒体と、その可換記録媒体に記録された情報を再生するホストコンピュータ等のHDDとの間で、同期をとる必要があるシステムであれば、どのようなシステムにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の記録媒体チェンジャシステムの概略構成図である。
【図2】本発明のチェンジャ装置の概略構成図である。
【図3】本発明のカートリッジの外観構成図である。
【図4】RFID素子、及びRFIDリーダライタの概略構成を示すブロック図である。
【図5】RFID素子に含まれる管理情報を読み取るためのアンテナの設置例を示す図である。
【図6】ある記録媒体チェンジャシステムで利用されていたカートリッジが、他の記録媒体チェンジャシステムにおいて利用される場合の、他の記録媒体チェンジャシステムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6のフローチャートの続きを示すフローチャートである。
【図8】図6及び図7のフローチャートの続きを示すフローチャートである。
【図9】記録媒体チェンジャシステム1において行われるデータ処理の概要を説明するためのブロック図である。
【図10】図10(A)はRFID素子に記録される情報の項目例を示す図である。図10(B)はホストPCのHDDで管理されているカートリッジ管理情報の項目例を示す図である。図10(C)は光ディスクの管理領域及びホストPCのHDDに記録される管理情報の項目例を示す図である。
【図11】ある記録媒体チェンジャシステムで利用されていたカートリッジが、他の記録媒体チェンジャシステムにおいて利用される場合を説明するための図である。
【符号の説明】
【0061】
1 記録媒体チェンジャシステム 2 ホストPC 3 チェンジャ装置 5 コントローラ 6 HDD 7 ファイル管理ソフト 8光ディスク駆動装置 9 チェンジャ機構 10 カートリッジ 11 光ディスク 11a 特定の光ディスク(管理情報が記録された光ディスク) 12 RFID素子 23 RFIDリーダライタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に情報の記録又は再生を行う手段と、記録又は再生される記録媒体を交換する交換機構とを有するチェンジャ装置と、チェンジャ装置を制御する制御手段とからなる記録媒体チェンジャシステムにおいて、
チェンジャ装置は、第1記録媒体と、
第1記録媒体の管理情報が記録される第2記録媒体と、
第1記録媒体及び第2記録媒体を格納するカートリッジと、
カートリッジに設けられ、カートリッジの管理情報、第2記録媒体識別情報を含む第2記録媒体の管理情報が記録された第3記録媒体とを備え、
制御手段は、カートリッジ及び第1記録媒体の管理情報が記録される第4記録媒体と、
第3記録媒体に記録されているカートリッジの管理情報及び第2記録媒体の管理情報を用いて、第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報によって更新する更新手段とを備えることを特徴とする記録媒体チェンジャシステム。
【請求項2】
第3記録媒体に記録されるカートリッジの管理情報は、第3記録媒体が設けられているカートリッジの識別情報と、そのカートリッジの更新履歴情報とを含み、第4記録媒体に記録されるカートリッジの管理情報は、記録媒体チェンジャシステムにおいて管理されるカートリッジの識別情報と、そのカートリッジの更新履歴情報とを含む請求項1に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項3】
前記チェンジャ装置は、第1記録媒体及び第2記録媒体に記録再生を行う第1記録再生手段と、第3記録媒体に記録再生を行う第3記録再生手段とを備え、前記制御手段は、第4記録媒体に記録再生を行う第4記録再生手段を備える請求項1又は2に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項4】
前記更新手段は、第3記録媒体に記録されているカートリッジの管理情報と、第4記録媒体に記録されているカートリッジの管理情報とを比較する比較手段をさらに備える請求項1〜3の何れか一項に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項5】
前記比較手段により、第3記録媒体に記録されているカートリッジの識別情報と、第4記録媒体に記録されているカートリッジの識別情報とが異なると判断された場合、第4記録再生手段は、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を第4記録媒体に記録する請求項4に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項6】
前記比較手段により、第4記録媒体に記録されているカートリッジの更新履歴情報が、第3記録媒体に記録されているカートリッジの更新履歴情報よりも古いと判断された場合、第4記録再生手段は第4記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報を、第2記録媒体に記録されている第1記録媒体の管理情報によって書き換える請求項4に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項7】
第1記録再生手段によって第1記録媒体に記録が行われると、第4記録再生手段が、第4記録媒体に対しカートリッジの更新履歴情報及び第1記録媒体の管理情報を記録するとともに、第1記録再生手段が、第2記録媒体に対し第1記録媒体の管理情報を記録する請求項3に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項8】
第3記録媒体に記録される第2記録媒体の管理情報は、第2記録媒体の識別情報と、第2記録媒体における管理情報のアドレスを含み、第3記録再生手段は第3記録媒体に対し、第1記録媒体の管理情報が記録された第2記録媒体の識別情報、第2記録媒体における管理情報のアドレス、及びカートリッジの更新履歴情報を記録する請求項3に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項9】
第1記録媒体は光ディスクである請求項1〜8の何れか一項に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項10】
第1記録媒体の管理情報は、第1記録媒体に記録されているファイルを識別するためのファイルID、ファイル名、当該ファイルが記録されている第1記録媒体の識別情報と当該第1記録媒体におけるアドレス、当該第1記録媒体が格納されているカートリッジ識別情報、及び当該ファイルの履歴情報を含む請求項1〜9の何れか一項に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項11】
第3記録媒体は非接触で記録再生可能な半導体素子であり、第3記録再生手段は前記半導体素子と通信可能な通信手段をさらに備える請求項1〜10の何れか一項に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項12】
第3記録媒体は書き換え可能な記録媒体である請求項1〜11の何れか一項に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項13】
前記カートリッジには複数の第1記録媒体が格納される請求項1〜12の何れか一項に記載の記録媒体チェンジャシステム。
【請求項14】
前記カートリッジが複数装着される請求項1〜13の何れか一項に記載の記録媒体チェンジャシステム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−299883(P2008−299883A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141219(P2007−141219)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【特許番号】特許第4160626号(P4160626)
【特許公報発行日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】