説明

記録媒体判定装置、画像形成装置及び記録媒体判定方法

【課題】記録媒体が記録媒体供給装置内にあるときにさらに精度よく記録媒体の種類を判定することが可能な記録媒体判定装置、画像形成装置及び記録媒体判定方法を提供する。
【解決手段】記録媒体判定装置は、光を記録媒体の束の第1の面の撮像範囲に対応する範囲に対して均一な光量の光を照射する光照射部と、記録媒体の束の第1の面とは異なる第2の面から出る光を撮像する光検知部と、光検知部の出力に基づいて記録媒体の種類を判定する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、記録媒体判定装置、画像形成装置及び記録媒体判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、MFP、又はプリンタ等の画像形成装置は、記録媒体に画像形成する。この記録媒体には、例えば厚紙、普通紙、OHPフィルムなど複数の種類の記録媒体が含まれる。
【0003】
高品質な画像形成を行うために、画像形成装置は記録媒体の種類に応じて画像形成方法、定着方法の条件を最適化する。従って、記録媒体の種類に関する情報、例えば記録媒体の種類、厚さ、密度などの情報が必要となる。
【0004】
従来の画像形成装置は、記録媒体の搬送路に配置される記録媒体供給装置と、画像形成部との間に、記録媒体の種類を判定する光センサや厚さセンサなどのセンサを備える。この種の画像形成装置は、記録媒体が記録媒体供給装置から供給され、搬送される途中にて記録媒体の種類を判定する。
【0005】
しかし、画像形成装置によっては、記録媒体が記録媒体供給装置から供給されてから記録媒体の種類を判定するのでは、画像形成方法、定着方法の条件の最適化が間に合わない場合がある。
【0006】
この点に関し、記録媒体供給装置に積載された記録媒体の束に光を当て、この積載された記録媒体同士の間から漏れ出る光をエリアセンサによって撮像し、得られた画像のコントラストと、光強度の変化、すなわち光の照射方向の記録媒体内での減衰率とによって、記録媒体の厚さと密度を測定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−196207号公報
【特許文献2】特開2009−96638号公報
【特許文献3】特開2010−189137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、記録媒体に向かって光を照射する光源が砲弾型LEDのような点発光型のものを使用する場合、エリアセンサの検知領域内において光の強度のむらが発生する。この光の強度のむらよって、記録媒体の種類の判定精度に限界が生じていた。
【0009】
従って、記録媒体が記録媒体供給装置内にあるときに、さらに精度よく記録媒体の種類を判定することが可能な記録媒体判定装置、画像形成装置及び記録媒体判定方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は、記録媒体を供給する記録媒体供給装置と、記録媒体供給装置から供給される記録媒体を搬送する記録媒体搬送機構と、記録媒体に画像形成する画像形成部と、記録媒体の束の第1の面に対して光を照射する光照射部と、光照射部により撮像範囲に対応する範囲に照射されて記録媒体の束の第1の面とは異なる第2の面から出る光を撮像する光検知部と、光検知部の出力に基づいて記録媒体の種類を判定する制御部と、を備える画像形成装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】記録媒体判定装置を含む画像形成装置の側面図である。
【図2】第1の実施形態にかかる記録媒体判定装置の配置及び構成を示す図である。
【図3】記録媒体判定装置の平面図である。
【図4】光照射部の側面断面図である。
【図5】記録媒体判定装置を有する画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図6】記録媒体判定装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】種類情報DBのデータ構成を示す図である。
【図8】定着パラメータDBのデータ構成を示す図である。
【図9】光照射部から照射された光が記録媒体の束の内部を透過する様子を示す側面図である。
【図10】光照射部から照射された光が記録媒体の束の内部を透過する様子を光検知部から見た図である。
【図11】従来技術における照射された光が記録媒体の束の内部を透過する様子を示す側面図である。
【図12】従来技術における照射された光が記録媒体の束の内部を透過する様子を光検知部から見た図である。
【図13】従来技術及び本実施形態における光検知部による撮像画像の例を示す図である。
【図14】図13の画像における光強度分布に対しZ方向の平均値を求めることにより得られるX方向の断面強度分布を表したグラフである。
【図15】図13の画像における光強度分布に対しX方向の平均値を求めることにより得られるZ方向の断面強度分布を表したグラフである。
【図16】第2の実施形態にかかる記録媒体判定装置の配置及び構成を示す図である。
【図17】点発光光源の配置を示す図である。
【図18】第3の実施形態にかかる記録媒体判定装置の配置及び構成を示す図である。
【図19】光ファイバの固定装置付近の断面図である。
【図20】光ファイバの固定装置を記録媒体の方向から見た図である。
【図21】光ファイバの固定装置の配置を示す図である
【図22】光照射部を給紙ユニットの底面に配置した例を示す図である。
【図23】遮光部に遮光壁を用いた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、記録媒体判定装置、画像形成装置及び記録媒体判定方法の一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ここで、画像形成装置はコピー機、MFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)、プリンタを含む。
【0013】
本実施形態の画像形成装置は、記録媒体を供給する記録媒体供給装置と、記録媒体供給装置から供給される記録媒体を搬送する記録媒体搬送機構と、記録媒体に画像形成する画像形成部と、記録媒体の束の第1の面に対して光を照射する光照射部と、光照射部により撮像範囲に対応する範囲に照射されて記録媒体の束の第1の面とは異なる第2の面から出る光を撮像する光検知部と、光検知部の出力に基づいて記録媒体の種類を判定する制御部と、を備える。
【0014】
(画像形成装置の概要)
図1は、本実施形態の記録媒体判定装置を含む画像形成装置1の側面図である。図1に示すように、画像形成装置1は、自動原稿送り装置11と、画像読取部12と、画像形成部13と、転写部14と、記録媒体搬送機構19と、給紙ユニット15と、を含む。
【0015】
画像形成装置1は、自動原稿送り装置11を本体上部に開閉可能に有する。自動原稿送り装置11は、原稿を一枚ずつ給紙トレイから取り出し、排紙トレイまで搬送する原稿搬送機構を備える。
【0016】
自動原稿送り装置11は、原稿搬送機構により原稿を一枚ずつ画像読取部12の原稿読取部に搬送する。また、自動原稿送り装置11を開けて画像読取部12の原稿台の上に原稿を載置することも可能である。
【0017】
画像読取部12は、原稿に光を露光する露光ランプと第1の反射ミラーを備えるキャリッジと、画像形成装置1の本体フレームに係止された複数の第2の反射ミラーと、レンズブロックと、画像読取センサのCCD(Charge Coupled Device)と、を備える。
【0018】
キャリッジは原稿読取部に静止して、あるいは原稿台の下を往復移動して、原稿が反射した露光ランプの光を第1の反射ミラーによって第2の反射ミラーに反射させる。複数の第2の反射ミラーは第1の反射ミラーの反射光をレンズブロックに反射させる。レンズブロックはこの反射光をCCDに出力する。CCDは入射光を電気信号に変換して画像信号として画像形成部13に出力する。
【0019】
画像形成部13は、電子式画像形成部であってもインクジェット式画像形成部であってもよい。
【0020】
電子式画像形成部の場合、画像形成部13は、静電潜像形成部を備える。静電潜像形成部は、画像処理部の指示に基づいてレーザー光を照射するレーザー光照射装置と、電圧を印加され、さらにレーザー光を照射されることにより静電潜像を担持する静電潜像担持体である感光体ドラムと、静電潜像担持体に現像材を供給する現像材供給装置と、を備える。
【0021】
静電潜像担持体上の静電潜像は現像材を供給されることにより現像材像を形成する。
【0022】
カラー印刷を行う画像形成装置の場合は、イエローY、マゼンダM、シアンC、黒Kの色ごとに静電潜像形成部を備える。
【0023】
画像形成部13は、現像材像を転写され、現像材像を担持する転写ベルト14Bと、転写ベルト14B上の現像材像を記録媒体に転写する転写装置14Aと、記録媒体上の現像材像を記録媒体に加熱、加圧して定着させる定着装置17と、を備える。
【0024】
転写装置14Aは、制御部の指示に基づいて転写電圧を変化させる。転写電圧が強いとより多くの現像材が記録媒体に転写され、弱いとより少ない現像材しか記録媒体に転写されない。
【0025】
インクジェット式画像形成部の場合、画像形成部13はインク供給装置と、供給されたインクを噴射するインクジェットヘッドを有する。
【0026】
インクジェットヘッドは、極性の異なるピエゾ素子が張り合わされ、このピエゾ素子が櫛の歯状に配置される。このピエゾ素子にはそれぞれ電極が配置される。さらに、ピエゾ素子の上端にはインクを噴射する噴射口を有するシーリングが配置される。
【0027】
ピエゾ素子には電極により電圧が印加される。電圧が印加されるとピエゾ素子は変形し、この変形によりインクを吸引し、噴射口から記録媒体に向けて吐出する。
【0028】
印加する電圧強弱、印加デューティー、及び記録媒体の送り速度により、形成される画像の濃淡が生じる。
【0029】
記録媒体搬送機構19は給紙ユニット15側の最上流に記録媒体を一枚ずつ取り出すピックアップ機構15Aを備える。
【0030】
ピックアップ機構15Aは、給紙ユニット15から一枚ずつ記録媒体を取り出して記録媒体搬送機構19に引き渡す。記録媒体搬送機構19は記録媒体を転写部14に搬送する。
【0031】
なお、画像形成装置1の他の実施形態においては、現像材像を感光体ドラムから直接記録媒体に転写する。この場合、転写ローラ14Aは感光体ドラムに対向して配置される。
【0032】
排紙口から排出された記録媒体Pは、記録媒体を担持する担持部である排紙トレイ16の上に積載される。
【0033】
さらに、画像形成装置1は給紙ユニット15に記録媒体判定装置100を備える。記録媒体判定装置100は、記録媒体の束に第1の面から光を照射する光照射部102と、記録媒体の束の第1の面とは異なる第2の面から放出される光を検知する光検知部103と、光検知部103が出力した信号に基づいて記録媒体の種類を判定する制御部101と、を備える。
【0034】
光照射部102及び光検知部103は、給紙ユニット15が複数ある場合には給紙ユニット15それぞれに配置される。
【0035】
光照射部102は、例えば給紙ユニット15の上方に配置される。記録媒体カセットが装着されると記録媒体は上方に持ち上げられ、ピックアップローラに当接される。光照射部102はこの持ち上げられた記録媒体の束の最上面に当接し、この記録媒体の束の最上面から記録媒体の束の内部に向けて光を照射するように配置される。
【0036】
光照射部102は、給紙ユニット15の底面部に配置されてもよい。この場合、光照射部102は記録媒体の束の最下面に当接し、この記録媒体の束の最下面から記録媒体の束の内部に向けて光を照射するように配置される。
【0037】
光検知部103は、例えば記録媒体の束の側面に向けて配置される。光検知部103は、例えばCMOSイメージセンサを2次元に配列させたエリアセンサを用いることができる。光検知部103は、光照射部102が照射する光の波長を検知することが可能なセンサを用いることができる。
【0038】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態にかかる記録媒体判定装置100の配置及び構成を示す図である。図2に示すように、光照射部102は記録媒体Pの束210の第1の面である最上面210Aに当接して配置される。
【0039】
光照射部102は、光を照射する光源102Bと、光源102Bが照射した光の記録媒体Pの束210に対する照射範囲を規制する遮光部102Aと、を備える。
【0040】
遮光部102Aは、底面を貫通する内空間を有し、この内空間の内部に光源102Bを備える。
【0041】
遮光部102Aは、底面に光を通過させるスリット102Cを備える。光源102Bから照射された光は遮光部102Aの内部を反射してスリット102Cから照射され、記録媒体Pの束210の照射範囲201に達する。
【0042】
この照射範囲201に達した光は、記録媒体Pの束210の内部に入り込み、記録媒体によって透過、反射、及び減衰されながら、記録媒体Pの束210の第1の面とは異なる第2の面である側面210Bからこの光の一部が矢印X2の方向に射出する。
【0043】
光検知部103は、この射出した光のうち、検知範囲202の部分の光をレンズ103Aによって集光して検知する。
【0044】
光検知部103は、検知した光を電気信号に変換して制御部101に出力する。制御部101は、光検知部103の出力に基づいて記録媒体の種類、厚さ、密度などの諸元を判定し、メイン制御部500に出力する。
【0045】
メイン制御部500は、制御部101の出力に基づいて画像形成方法を最適化する。
【0046】
図3は、記録媒体判定装置100の平面図である。図3に示すように、スリット102Cの光検知部103の撮像面に平行な方向の長さW1は、光検知部103の検知範囲202の水平方向の幅W4より長い。
【0047】
光照射部102は、検知範囲202の水平方向の範囲が、照射範囲201の水平方向の範囲内に全て入るように配置される。
【0048】
光源102Bは、直線状に形成される蛍光ランプのように、ライン状の光源であることが望ましい。光源102Bは照射光に近赤外光を含んでいることが望ましい。記録媒体による減衰がほかの波長より緩やかであるからである。
【0049】
このライン状の光源102Bは、記録媒体Pの検知範囲202側の辺と平行に配置される。従って、光源102Bは照射範囲201に光の強度のむらを生じさせない。
【0050】
ライン状の光源102Bは、光検知部103の検知範囲202の水平方向の幅W4に光が均一、すなわち第1の閾値以上第2の閾値以下の光強度があるように配置される。
【0051】
本実施形態においては、例えば、長さW1は10mm、長さW4は5mm、スリット102Cの幅W2は4mm、スリット102Cの内側と記録媒体Pの検知範囲202側の辺との距離W3は1mmとすることができる。
【0052】
図4は、光照射部102の側面断面図である。図4に示すように、光源102Bを記録媒体Pから高さH1の位置に有する。高さH1は0mm以上10mm以下が望ましい。本実施形態においては5mmである。
【0053】
光源102Bから照射された光は、矢印X3に示すように遮光部102Aの内部を反射して記録媒体Pに達する。
【0054】
図5は、記録媒体判定装置100を有する画像形成装置1の構成を示すブロック図である。図5に示すように、画像形成装置1は、画像形成装置1を統括制御する主制御部であるメインCPU501と、表示入力装置であるコントロールパネル503と、記憶装置であるROM・RAM502と、画像処理を行う画像処理部504と、を備える。
【0055】
メインCPU501は、画像形成装置1が有するプリントCPU505と、スキャンCPU508と、駆動コントローラ511と、記録媒体判定装置100と、に接続し、制御する。
【0056】
プリントCPU505は、画像形成を行うプリントエンジン506と、転写装置、及び定着装置17を含むプロセスユニット507と、に接続し、制御する。
【0057】
スキャンCPU508は、CCD150を駆動させるCCD駆動回路509を制御する。CCD150の出力は画像形成部に出力される。
【0058】
駆動コントローラ511は、記録媒体を搬送する駆動装置を制御する。
【0059】
図6は、記録媒体判定装置100の制御部101の構成を示すブロック図である。図6に示すように、制御部101は、光検知部103からの出力を入力する光検出部601と、光検知部103の露出を調整する信号を光検知部103に出力する露出調整部603と、光検出部601の出力に基づいて記録媒体の厚さを算出する厚さ算出部604と、記録媒体の種類に関する情報を格納する種類情報データベース(以下、データベースをDBという。)606と、光検出部601の出力及び種類情報DB606から読み出した記録媒体の種類に関する情報に基づいて記録媒体の密度を算出する密度算出部602と、密度算出部602及び厚さ算出部604の出力及び種類情報DB606から読み出した記録媒体の種類に関する情報に基づいて記録媒体の種類を判定する種類判定部605と、定着装置17の動作パラメータを格納する定着パラメータDB608と、種類判定部605の出力及び定着パラメータDB608から読み出した動作パラメータに基づいて定着装置17の動作パラメータを選択し、メインCPU501に出力する定着パラメータ選択部607と、を備える。
【0060】
図7は、種類情報DB606のデータ構成を示す図である。図7に示すように、種類情報DB606は、記録媒体の種類を示す「種類」と、記録媒体の厚さを示す「厚さ」と、記録媒体の密度を示す「密度」と、「透過光減衰率」と、を格納する。図7においてA11乃至C42はそれぞれ定数を示す。
【0061】
図8は、定着パラメータDB608のデータ構成を示す図である。図8に示すように、定着パラメータDB608は、記録媒体の種類を示す「種類」と、定着温度の目標値である「定着目標温度」と、記録媒体の搬送速度を示す「搬送速度」と、を格納する。図8においてD11乃至E32はそれぞれ定数を示す。
【0062】
光検出部601は、光検知部103の出力に基づいて光強度の断面強度分布を算出する。具体的には、光検知部103は光を検出する受光素子を矩形に2次元配列して有する。光検出部601は、光検知部103が撮像した画像データの光強度を用紙の印刷面と平行な方向に順次加算し、加算結果を画素数によって除算することにより光強度の平均値を算出する。光強度の平均値を算出するのはノイズの影響を低減させるためである。
【0063】
光検出部601は光強度の平均値を用紙束の積載方向に順次算出することにより光強度の断面強度分布を算出する。
【0064】
密度算出部602は、光検出部601の断面強度分布から透過光減衰率を算出し、この透過光減衰率に基づいて種類情報DB606から記録媒体の密度を読み出す。具体的には、密度算出部602は、断面強度分布のピークとピークの谷間の極小値を取得し、この極小値を通過する曲線f(x)=exp(−ax)を判定する。密度算出部602は判定されたf(x)の定数aを透過光減衰率とし、この透過光減衰率に基づいて種類情報DB606を検索して対応する記録媒体の種類を判定する。なお,f(x)の式は透過光減衰率を求める目的を達成するものであれば、どのような式のものを用いてもよい。
【0065】
密度算出部602は、光検知部103の出力に基づいて光照射部102の光源102Bが照射する光量が最適であるかを判定する。密度算出部602は、例えば、光検知部103の出力が256段階によってあらわされるとき、上限値である250を超える画素数が画素全体の10%を超える場合、露出オーバーと判定し、下限値である10を下回る画素数が画素全体の20%を超える場合、光源102Bは露出アンダーと判定する。
【0066】
密度算出部602は、光源102Bが露出オーバーと判定したとき光検知部103のシャッタースピードを速くする旨の信号を、光源102Bが露出アンダーと判定したとき光検知部103のシャッタースピードを遅くする旨の信号を、露出調整部603に出力する。
【0067】
厚さ算出部604は、光検出部601の断面強度分布の隣接するピークとピークの間の画素数を算出し、この画素数と予め求めておいた1画素あたりの大きさから記録媒体の厚さを算出する。
【0068】
種類判定部605は、密度算出部602から入力した密度と、厚さ算出部604から入力した厚さと、に基づいて種類情報DB606から記録媒体の種類を読み出し、定着パラメータ選択部607に出力する。このとき、種類判定部605は、密度と厚さのどちらか一方のデータしか得られなくても、最も可能性が高いと推察される記録媒体の種類を読み出すようにしてもよい。
【0069】
定着パラメータ選択部607は、記録媒体の種類に基づいて定着パラメータDB608から定着目標温度及び搬送速度を読み出し、メインCPU501に出力する。
【0070】
なお、定着パラメータDB608は密度に関する情報をさらに格納し、定着パラメータ選択部607は記録媒体の種類及び密度に基づいて定着パラメータDB608から定着目標温度及び搬送速度を読み出し、メインCPU501に出力してもよい。
【0071】
定着パラメータDB608は転写バイアスに関する情報を格納し、定着パラメータ選択部607は記録媒体の種類及び密度に基づいて定着パラメータDB608から転写バイアスに関する情報を読み出し、メインCPU501に出力してもよい。
【0072】
図9は、光照射部102から照射された光が記録媒体の束210の内部を透過する様子を示す側面図である。図10は、光照射部102から照射された光が記録媒体の束210の内部を透過する様子を光検知部103から見た図である。
【0073】
図9に示すように、光源102Bは底面に光を通過させるスリット102Cを備える遮光部102Aの内部に収納される。従って、光源102Bから照射された光は光検知部103に直接入射しない。
【0074】
透過光901は、積層された記録媒体Pによって減衰されながら透過し、記録媒体Pの内部を通った光は側面から出て光検知部103に達する。また、隣接する記録媒体Pの間においては、透過光901は反射を繰り返して光検知部103に達する。
【0075】
従って、隣接する記録媒体Pの間から出た光の強度は、記録媒体Pの内部を通って出た光の強度より強い。よって、断面強度分布の隣接するピークとピークの間の距離が記録媒体の厚さに対応することとなる。
【0076】
図10に示すように、スリット102Cの光検知部103の検知範囲202に平行な方向の長さW1は、光検知部103の検知範囲202の水平方向の幅W4より長い。
【0077】
光照射部102は、検知範囲202の水平方向の範囲W4が照射範囲201の水平方向の範囲内に全て入るように配置される。
【0078】
従って、記録媒体Pの間から出る透過光901の水平方向の幅は、光検知部103の検知範囲202の水平方向の幅W4より長い。よって、水平方向の光強度のむらが発生しない。
【0079】
図11は、従来技術における照射された光が記録媒体の束210の内部を透過する様子を示す側面図である。図12は、従来技術における照射された光が記録媒体の束210の内部を透過する様子を光検知部103から見た図である。
【0080】
図11に示すように、従来技術においては光源1101に単一の発光ダイオードなどの点発光体を用いていた。従って、透過光1102は記録媒体Pによる減衰が急激であった。
【0081】
また、図12に示すように、記録媒体Pの間から出る透過光1102の水平方向の幅は、光検知部103の検知範囲202の水平方向の幅W4より短い。よって、水平方向の光強度のむらが発生する。
【0082】
図13は、従来技術及び本実施形態における光検知部103による撮像画像の例を示す図である。図13において、写真1301は従来技術における撮像画像の例であり、写真1302は本実施形態における撮像画像の例である。
【0083】
図13に示すように、本実施形態における撮像画像の方が、コントラストがはっきりしている。
【0084】
図14は、図13の画像における光強度分布に対しZ方向の平均値を求めることにより得られるX方向の断面強度分布を表したグラフである。図14において、記録媒体束の中心0の部分に光源の中心が来るように光源が配置されている。縦軸は相対光強度を、横軸は記録媒体束中心位置からの距離を、グラフ1401は従来技術を、グラフ1402は本実施形態を示す。
【0085】
図14に示すように、従来技術においては記録媒体束の中心から離れるに従って急速に光強度が減衰する。本実施形態においては記録媒体束の中心から離れても光強度が維持されている。
【0086】
図15は、図13の画像における光強度分布に対しX方向の平均値を求めることにより得られるZ方向の断面強度分布を表したグラフである。図15において、縦軸は相対光強度を、横軸は記録媒体束最上面からの距離を、グラフ1501は従来技術を、グラフ1502は本実施形態を示す。
【0087】
図15に示すように、本実施形態の方がピークが際立って立ち上がっており、コントラストがはっきり表れている。従って、記録媒体の厚さであるピークK1とピークK2との距離T1を精度よく測定することが可能となる。
【0088】
ここで、数式にてシミュレーションして検証する。記録媒体端部の幅方向をx軸、記録媒体深さ方向をz軸、記録媒体端面から離れる方向をy軸とし、記録媒体端部の辺からの光照射位置までの距離をd、記録媒体による透過光の減衰係数をaとすると、従来技術の透過光の光量分布Iは(1)式のように、本実施形態の透過光の光量分布Iは(2)式のようになる。
【数1】

【0089】
(1)式はxに依存する分布であるが、(2)式はxに依存していない。従って、本実施形態においては水平方向であるx軸方向の光量のむらがないこととなる。
【0090】
以上述べたように、本実施形態の記録媒体判定装置100は、光を記録媒体Pの束210の第1の面の撮像範囲に対応する範囲に対して均一な光量の光を照射する光照射部102と、記録媒体Pの束210の第1の面とは異なる第2の面から出る光を撮像する光検知部103と、光検知部103の出力に基づいて記録媒体の種類を判定する制御部と、を備える。光照射部102はライン状の光源102Bを記録媒体Pの束210の撮像面の辺に平行に有する。
【0091】
従って、光検知部103の撮像画像は水平方向に対してむらがなくなり、記録媒体が記録媒体供給装置内にあるときにさらに精度よく記録媒体の種類を判定することが可能となるという効果がある。
【0092】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る記録媒体判定装置100の構成は光照射部102の光源の他は第1の実施形態の構成と同じである。
【0093】
図16は、第2の実施形態にかかる記録媒体判定装置100の配置及び構成を示す図である。図16に示すように、記録媒体判定装置100はライン状の光源の代わりに複数の点発光光源102Dを有する。
【0094】
点発光光源102Dは白熱灯、LED、近赤外LED、有機ELから1種類以上選ぶことができる。点発光光源102Dは近赤外光を含んでいることが望ましい。近赤外光は記録媒体による減衰が緩やかであるからである。
【0095】
図17は、点発光光源102Dの配置を示す図である。図17において、グラフ1701は第1の点発光光源102D1から照射された光の強度を、グラフ1702は第2の点発光光源102D2から照射された光の強度を、示す。
【0096】
図17に示すように、第1の点発光光源102D1と第2の点発光光源102D2とは、光の照射領域が重複するように配置される。具体的には、第1の点発光光源102D1と第2の点発光光源102D2とは、記録媒体Pの束210の光検知部103の撮像面の辺に平行に配置される。
【0097】
第1の点発光光源102D1と第2の点発光光源102D2とは、光検知部103の撮像範囲W4の範囲内において均一に、すなわち第1の閾値1703以上第2の閾値1704以下の光強度があるように配置される。
【0098】
第1の点発光光源102D1と第2の点発光光源102D2とは、同じ光量を照射する場合には、記録媒体Pの最上面からの距離が互いに等しい。
【0099】
以上述べたように、本実施形態の記録媒体判定装置100は、光を記録媒体Pの束210の第1の面の撮像範囲に対応する範囲に対して均一な光量を複数の点発光光源102Dにより照射する光照射部102と、記録媒体Pの束210の第1の面とは異なる第2の面から出る光を撮像する光検知部103と、光検知部103の出力に基づいて記録媒体の種類を判定する制御部と、を備える。
【0100】
従って、記録媒体判定装置100をより安価に製造することができるという効果がある。
【0101】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る記録媒体判定装置100の構成は光照射部102の光源の他は第1の実施形態の構成と同じである。
【0102】
図18は、第3の実施形態にかかる記録媒体判定装置100の配置及び構成を示す図である。図18に示すように、記録媒体判定装置100はライン状の光源の代わりに、レーザー光源102Eと、レーザー光源102Eが発光した光を導く光ファイバ102Fと、光ファイバ102Fを直線状に配置して固定する固定装置102Gと、を備える。
【0103】
図19は、光ファイバの固定装置102G付近の断面図である。図20は、光ファイバの固定装置102Gを記録媒体Pの方向から見た図である。
【0104】
図19乃至図20に示すように、レーザー光は直線状に配置された光ファイバ102Fから記録媒体Pの束210に向けて照射される。
【0105】
図21は、光ファイバの固定装置102Gの配置を示す図である。図21において、グラフ1901は光ファイバ102Fから照射された光の強度を示す。
【0106】
図21に示すように、各光ファイバ102Fの先端は固定装置102Gにより光の照射領域が重複するように配置される。具体的には、各光ファイバ102Fの先端を結ぶ直線は、記録媒体Pの束210の光検知部103の撮像面の辺に平行になるように配置される。
【0107】
各光ファイバ102Fの先端は、光検知部103の撮像範囲W4の範囲内において均一に、すなわち第1の閾値1703以上第2の閾値1704以下の光強度があるように配置される。
【0108】
各光ファイバ102Fは、同じ光量を照射する場合には、記録媒体Pの最上面からの距離が互いに等しい。
【0109】
以上述べたように、本実施形態の記録媒体判定装置100は、光を記録媒体Pの束210の第1の面の撮像範囲に対応する範囲に対して均一な光量を光ファイバ102Fにより照射する光照射部102と、記録媒体Pの束210の第1の面とは異なる第2の面から出る光を撮像する光検知部103と、光検知部103の出力に基づいて記録媒体の種類を判定する制御部と、を備える。光照射部102はライン状の光源102Bを記録媒体Pの束210の撮像面の辺に平行に有する。
【0110】
従って、照射される光の範囲の輪郭がより鮮明となり、さらに精度よく記録媒体の種類を判定することが可能となるという効果がある。
【0111】
(その他の実施形態)
図22は、光照射部102を給紙ユニット15の底面に配置した例を示す図である。図22に示すように、光照射部102を給紙ユニット15の底面に配置することもできる。この場合、給紙ユニット15の筐体を遮光部102Aと兼ねることも可能となる。
【0112】
図23は、遮光部102Aに遮光壁102Hを用いた例を示す図である。図23に示すように、遮光部102Aは板状であってもよい。この場合、遮光壁102Hは光源102Bの光が直接光検知部103に到達しない位置に配置される。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0114】
101:制御部
102:光照射部
102A:遮光部
102B:光源
102C:スリット
103:光検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の束の第1の面に対して光を照射する光照射部と、
前記光照射部により撮像範囲に対応する範囲に照射されて前記記録媒体の束の前記第1の面とは異なる第2の面から出る光を撮像する光検知部と、
前記光検知部の出力に基づいて前記記録媒体の種類を判定する制御部と、
を備える記録媒体判定装置。
【請求項2】
前記光照射部は、
前記記録媒体の束の第1の面の前記撮像範囲に対応する範囲内に光強度が第1の閾値以上第2の閾値以下である光を照射する請求項1記載の記録媒体判定装置。
【請求項3】
前記光照射部は、
ライン状の光源と、
前記ライン状の光源から照射される光を前記光検知部に直接入射しないように規制し、底部に前記記録媒体の束に光を照射するスリットを有する遮光部と、
を備える請求項1記載の記録媒体判定装置。
【請求項4】
前記ライン状の光源は、
前記記録媒体の前記第2の側面の水平な辺に平行である請求項3記載の記録媒体判定装置。
【請求項5】
前記光照射部は、
複数の点発光光源と、
前記点発光光源から照射される光を前記光検知部に直接入射しないように規制し、底部に前記記録媒体の束に光を照射するスリットを有する遮光部と、
を備える請求項1記載の記録媒体判定装置。
【請求項6】
前記点発光光源は、
前記第1の面からの距離がそれぞれ等しい請求項5記載の記録媒体判定装置。
【請求項7】
前記光照射部は、
レーザー光発光光源と、
前記レーザー光発光光源が発光したレーザー光を導く光ファイバと、
前記光ファイバを直線状に固定する固定装置と、
を備える請求項1記載の記録媒体判定装置。
【請求項8】
前記光ファイバの固定装置側先端は、
前記第1の面からの距離がそれぞれ等しい請求項7記載の記録媒体判定装置。
【請求項9】
記録媒体を供給する記録媒体供給装置と、
前記記録媒体供給装置から供給される前記記録媒体を搬送する記録媒体搬送機構と、
前記記録媒体に画像形成する画像形成部と、
前記記録媒体の束の第1の面に対して光を照射する光照射部と、
前記光照射部により撮像範囲に対応する範囲に照射されて前記記録媒体の束の前記第1の面とは異なる第2の面から出る光を撮像する光検知部と、
前記光検知部の出力に基づいて前記記録媒体の種類を判定する制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項10】
前記光照射部は、
前記記録媒体の束の第1の面の前記撮像範囲に対応する範囲内に光強度が第1の閾値以上第2の閾値以下である光を照射する請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記光照射部は、
ライン状の光源と、
前記ライン状の光源から照射される光を前記光検知部に直接入射しないように規制し、底部に前記記録媒体の束に光を照射するスリットを有する遮光部と、
を備える請求項9記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記ライン状の光源は、
前記記録媒体の前記第2の側面の水平な辺に平行である請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記光照射部は、
複数の点発光光源と、
前記点発光光源から照射される光を前記光検知部に直接入射しないように規制し、底部に前記記録媒体の束に光を照射するスリットを有する遮光部と、
を備える請求項9記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記点発光光源は、
前記第1の面からの距離がそれぞれ等しい請求項13記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記光照射部は、
レーザー光発光光源と、
前記レーザー光発光光源が発光したレーザー光を導く光ファイバと、
前記光ファイバを直線状に固定する固定装置と、
を備える請求項9記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記光ファイバの固定装置側先端は、
前記第1の面からの距離がそれぞれ等しい請求項15記載の画像形成装置。
【請求項17】
光照射部により記録媒体の束の第1の面に対して光を照射し、
光検知部により撮像範囲に対応する範囲に照射されて前記記録媒体の束の前記第1の面とは異なる第2の面から出る前記光を撮像し、
撮像された画像データに基づいて前記記録媒体の種類を判定する、
記録媒体判定方法。
【請求項18】
前記記録媒体の束の第1の面の前記撮像範囲に対応する範囲内に光強度が第1の閾値以上第2の閾値以下である光を照射する請求項17記載の記録媒体判定方法。
【請求項19】
前記照射される前記光を遮光部によって光検知部に直接入射しないように規制し、
前記遮光部のスリットから前記第1の面に光を照射する請求項18記載の記録媒体判定方法。
【請求項20】
前記第1の面からの距離がそれぞれ等しい複数の点発光光源により前記光を照射する請求項19記載の記録媒体判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−218881(P2012−218881A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86311(P2011−86311)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】