説明

記録装置、記録制御プログラム

【課題】 廃液パッドを内蔵したインクカートリッジを備えた記録装置において、廃液パッドの廃液蓄積量が限界量に達する前にそのインクカートリッジのインクを常に最後まで使い切ることを可能にする。
【解決手段】 各インクの残量分の記録実行時に必要なフラッシング廃液量の最小値αを算出する(ステップS1)。ヘッドクリーニング制御時に生ずると予想されるメンテナンス廃液量βを算出し、フラッシング廃液量αとメンテナンス廃液量βとを合算した「予想廃液総量」を閾値に設定する(ステップS2)。閾値がインクカートリッジの廃液パッドの空き容量を超えているか否かを判定し(ステップS3)、空き容量を超えていない場合には(ステップS3でNo)、ヘットクリーニング制御を実行し(ステップS4)、空き容量を超えている場合には、ヘッドクリーニング制御を禁止する(ステップS5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録材の記録面に記録ヘッドからインクを噴射して記録を実行可能な記録実行手段と、記録ヘッドへ供給されるインク及び廃液パッドを内蔵したインクカートリッジと、記録ヘッドから生じた廃液を廃液パッドへ回収可能な廃液回収手段とを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の記録ヘッドから被記録材の記録面にインクを噴射して被記録材への記録を実行する記録装置においては、記録ヘッドから被記録材の記録面以外の部分へインクを噴射等する場合がある。一般的には、ヘッドクリーニング、フラッシング及び縁なし記録等の実行時である。ヘッドクリーニングは、定期的又はユーザ操作によって実行され、記録ヘッドのヘッド面を公知のキャッピング装置のキャップ等で封止した状態で記録ヘッドのヘッド面に多数配設されているインク噴射ノズルからインクを噴射しつつそのインク噴射ノズルのノズル開口部を吸引するものである。このヘッドクリーニングによって、ヘッド面のインク噴射ノズルのノズル詰まりを解消することができる。フラッシングは、インク噴射ノズルのノズル詰まりの予防やメニスカスの不揃いを解消する等の目的で、被記録材への記録実行中等に定期的にキャッピング装置のキャップ内やプラテンに配設されたインク吸収材等へインクを噴射するものである。いわゆる縁なし記録(縁なし印刷)は、被記録材の四辺に余白なく記録を実行するものであり、被記録材の端部近傍においてプラテンに配設されたインク打ち捨て溝等にインクが打ち捨てられながら被記録材への記録が実行される。
【0003】
このように、被記録材の記録面へ噴射される以外に正常な記録装置の機能に基づいて記録ヘッドから生ずる不要なインク(以下、「廃液」という。)は、何らかの方法で回収しなければならないが、一般的なインクジェットプリンタ等の記録装置は、前記のインク吸収材に蓄積されるか、廃液タンク又は廃液パッド(廃インク吸収体、廃インク回収室)を内蔵したインクカートリッジ(例えば、特許文献1を参照)等に蓄積されるように構成されている。しかし、前記のインク吸収材、廃液タンク又は廃液パッドを内蔵したインクカートリッジに蓄積可能な廃液量には限界がある。そのため、廃液が限界まで蓄積された時点で、これらを新品に交換する必要があるが、前記のヘッドクリーニング、フラッシング又は縁なし記録を実行したときに発生する廃液量は、ヘッドクリーニング、フラッシング又は縁なし記録を実行したときの記録ヘッドのノズル制御状態等から略正確に特定することが可能である(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
したがって、発生した廃液量の積算値を記憶保持しつつ、廃液が発生する度に発生した廃液量を積算値に累積加算していくことで、廃インク吸収材、廃液タンク又は廃液パッドを内蔵したインクカートリッジ等に蓄積されている廃液量を略正確に推測することができる。そして、推測した廃液蓄積量が限界量に達した時点で、インク吸収材、廃液タンク又は廃液パッドを内蔵したインクカートリッジ等を交換することになる。インク吸収材の場合には、プラテンのインク打ち捨て溝やプラテンの下側等の記録装置内部に配設されているので、このインク吸収材等を交換するには、ユーザは基本的にメーカに修理依頼をしなければならないのが一般的である。他方、廃液タンク又は廃液パッドを内蔵したインクカートリッジの場合には、一般的にはユーザが新品を購入してユーザ自身の手で簡単に交換することが可能である。
【0005】
【特許文献1】特開2005−41058号公報
【特許文献2】特開平10−202911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年はモバイル用途向けの小型で持ち運びが容易な記録装置が普及しつつある。このような小型の記録装置においては、記録装置に大容積のインク吸収材を実装することができない。そのため、記録装置内部のインク吸収材にのみ廃液を蓄積する構成とした場合、廃液蓄積量がすぐに限界量に達してしまい、ユーザは、頻繁にメーカに修理依頼をしなければならなくなってしまうという課題が生ずる。また、インク吸収材に大量のインク(廃液)が蓄積されていると、記録装置の持ち運びの際等にインク吸収材に蓄積されているインク(廃液)が記録装置外に漏れ出てしまう虞も生ずる。このようなことから、モバイル用途向けの小型の記録装置においては、記録装置内部のインク吸収材の他に前記の廃液パッドを内蔵したインクカートリッジを採用しているものが多い。
【0007】
このような構成の記録装置においては、縁なし記録実行時に生ずる廃液はインク吸収材に蓄積されるが、ヘッドクリーニングやフラッシング等でキャッピング装置のキャップ内に生ずる廃液は、キャッピング装置の吸引手段等を利用してインクカートリッジ内の廃液パッドに回収されて蓄積されるように構成されるのが通常である。つまり、メーカへ修理依頼をしなければ交換できないインク吸収材に蓄積する廃液は、縁なし記録実行時に生ずる廃液のみに止めて、可能な限り、ユーザ自身で容易に交換可能なインクカートリッジ内の廃液パッドに廃液を蓄積する。それによって、メーカへ修理依頼をしなければ交換できないインク吸収材の交換頻度を最小限にすることができる。
【0008】
しかしながら、それによってインクカートリッジ内の廃液パッドにはより多くの廃液が蓄積されることとなる。そのため、特に廃液パッドとともにブラックインク及び複数のカラーインクを内蔵した一体型のインクカートリッジ(例えば、特許文献1を参照)を備えた記録装置においては、例えば廃液が比較的多く生ずるヘッドクリーニングを頻繁に実行する等、ユーザの使用状況によっては、インク切れが生ずる前に廃液パッドの廃液蓄積量が限界量に達してしまう可能性がある。そうなると、インクカートリッジ内に充分なインクが残っているにも関わらず、そのインクカートリッジを丸ごと交換しなければならないこととなるため、不経済であるとともにインクカートリッジのインクを最後まで使い切ることを望むユーザの要望に応えることができないという課題が生ずる。かと言って、単純に廃液パッドの容量を大きくしてしまうと、インクカートリッジが大型化し、それによって記録装置も大型化してしまうこととなるため、効率的ではなく、そもそも小型の記録装置であることからすれば現実的な解決策とはならない。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、廃液パッドを内蔵したインクカートリッジを備えた記録装置において、廃液パッドの廃液蓄積量が限界量に達する前にそのインクカートリッジのインクを常に最後まで使い切ることを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、被記録材の記録面に記録ヘッドからインクを噴射して記録を実行可能な記録実行手段と、前記記録ヘッドへ供給されるインク及び廃液パッドを内蔵したインクカートリッジと、前記記録ヘッドから生じた廃液を前記廃液パッドへ回収可能な廃液回収手段と、前記記録実行手段及び前記廃液回収手段の制御を実行する記録制御装置とを備えた記録装置であって、前記記録制御装置は、前記インクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシング廃液量と、前記廃液回収手段による前記記録ヘッドのメンテナンス制御時に生ずると予想されるメンテナンス廃液量とを合算した予想廃液総量が、当該インクカートリッジの廃液パッドの空き容量を超えている間は、前記メンテナンス制御を禁止する、ことを特徴とした記録装置である。
【0011】
前記のフラッシング廃液量は、インクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシングによる廃液量であり、すなわち、インクカートリッジに残っているインクを使い切るまで被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシングによる廃液量である。このフラッシング時に生ずる廃液は、廃液回収手段によってインクカートリッジの廃液パッドへ回収される。したがって、この時インクカートリッジの廃液パッドの空き容量がこのフラッシング廃液量より少ない状態になってしまうと、インクカートリッジに残っているインクを使い切るまで被記録材への記録を実行する前に、記録実行中のフラッシング時に生ずる廃液によって、そのインクカートリッジの廃液パッド内の廃液蓄積量が限界量に達してしまう。廃液パッド内の廃液蓄積量が限界量に達すると、それ以上廃液を蓄積することができなくなり、外部に廃液が漏れ出る虞が生ずる。そのため、そのインクカートリッジで被記録材への記録をそれ以上続行することができなくなり、そのインクカートリッジに残っているインクを最後まで使い切ることができなくなってしまうことになる。
【0012】
また、前記のメンテナンス廃液量は、廃液回収手段による記録ヘッドのメンテナンス制御時に生ずると予想される廃液量であり、すなわち、ヘッドクリーニング等の記録ヘッドのメンテナンス制御を実行したときに生ずると予想される廃液量である。この記録ヘッドのメンテナンス制御時に生ずる廃液は、フラッシング時に生ずる廃液と同様に、廃液回収手段によってインクカートリッジの廃液パッドへ回収される。
【0013】
このようなことから、前記のフラッシング廃液量とメンテナンス廃液量とを合算した予想廃液総量が、インクカートリッジの廃液パッドの空き容量を超えている場合には、そのまま記録ヘッドのメンテナンス制御を実行すると、インクカートリッジの廃液パッドの空き容量が前記のフラッシング廃液量より少ない状態になってしまう。そうすると、前記の通り、インクカートリッジに残っているインクを使い切るまで被記録材への記録を実行する前に、そのインクカートリッジの廃液パッド内の廃液蓄積量が限界量に達してしまうため、インクカートリッジに残っているインクを最後まで使い切ることができなくなってしまう。
【0014】
そこで、フラッシング廃液量とメンテナンス廃液量とを合算した予想廃液総量が、そのインクカートリッジの廃液パッドの空き容量を超えている間は、ヘッドクリーニング等の記録ヘッドのメンテナンス制御を禁止する。それによって、インクカートリッジに残っているインクを使い切る前に、そのインクカートリッジの廃液パッド内の廃液蓄積量が限界量を超えてしまうことを防止することができる。
【0015】
これにより、本発明の第1の態様に記載の記録装置によれば、インクカートリッジに残っているインクを使い切る前に、そのインクカートリッジの廃液パッド内の廃液が廃液蓄積限界量を超えてしまうことを防止することができるので、廃液パッドを内蔵したインクカートリッジを備えた記録装置において、廃液パッドの廃液蓄積量が限界量に達する前にそのインクカートリッジのインクを常に最後まで使い切ることができるという作用効果が得られる。
【0016】
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様において、前記記録制御装置は、前記インクカートリッジのインク残量を予め統計的に算出した一の被記録材当たりの記録実行時に生ずるインク消費量で除算して得た最大記録実行枚数に、予め統計的に算出した一の被記録材当たりのフラッシング廃液量を乗算して、前記インクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシング廃液量を算出する、ことを特徴とした記録装置である。
このように、一の被記録材当たりの記録実行時に生ずるインク消費量(被記録材へ噴射されるインク量)及びフラッシング廃液量の平均値等を予め実験等により統計的に算出する。そして、インクカートリッジのインク残量と一の被記録材当たりのインク消費量とから算出した最大記録実行枚数に、一の被記録材当たりのフラッシング廃液量を乗算することで、そのインクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシング廃液量を算出することができる。
【0017】
本発明の第3の態様は、前述した第1の態様において、前記記録制御装置は、前記インクカートリッジのインク残量を直前の記録実行時に生じた一の被記録材当たりのインク消費量で除算して得た最大記録実行枚数に、予め統計的に算出した一の被記録材当たりのフラッシング廃液量を乗算して、前記インクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシング廃液量を算出する、ことを特徴とした記録装置である。
このように、直前の記録実行時に生じた一の被記録材当たりのインク消費量から最大記録実行枚数を算出することもできる。そして、その最大記録実行枚数に一の被記録材当たりのフラッシング廃液量の平均値等を乗算することで、そのインクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシング廃液量を算出することができる。
【0018】
本発明の第4の態様は、前述した第1の態様〜第3の態様のいずれかにおいて、前記記録制御装置は、前記インクカートリッジのインク残量が、前記記録ヘッドのメンテナンス制御時に生ずると予想されるメンテナンス廃液量未満である間は、当該メンテナンス制御を禁止する、ことを特徴とした記録装置である。
記録ヘッドのメンテナンス制御の一例としては、例えば、記録ヘッドのノズル詰まりを解消するためのヘッドクリーニング制御が挙げられるが、この記録ヘッドのヘッドクリーニングは、ノズルからインクを噴射しつつヘッド面のノズル開口部を封止した状態で吸引するため、一定量のインクが廃液となって消費される。そのため、インクカートリッジのインク残量が、記録ヘッドのメンテナンス制御時に生ずると予想されるメンテナンス廃液量未満である状態から記録ヘッドのメンテナンス制御を実行してしまうと、メンテナンスに必要なインクが不足してメンテナンスを正常に実行できない可能性が生ずる。そこで、そのような状態である場合には、記録ヘッドのメンテナンス制御を禁止することによって、記録ヘッドのメンテナンスが正常に実行できない虞を低減させることができる。
【0019】
本発明の第5の態様は、被記録材の記録面に記録ヘッドからインクを噴射して記録を実行可能な記録実行手段と、前記記録ヘッドへ供給されるインク及び廃液パッドを内蔵したインクカートリッジと、前記記録ヘッドから生じた廃液を前記廃液パッドへ回収可能な廃液回収手段とを備えた記録装置において、前記記録実行手段及び前記廃液回収手段の制御をコンピュータに実行させるための記録制御プログラムであって、前記インクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシング廃液量を算出する手順と、前記廃液回収手段による前記記録ヘッドのメンテナンス制御時に生ずると予想されるメンテナンス廃液量を算出する手順と、前記フラッシング廃液量と前記メンテナンス廃液量とを合算した予想廃液総量を算出する手順と、当該予想廃液総量が当該インクカートリッジの廃液パッドの空き容量を超えている間は、前記メンテナンス制御を禁止する手順を有している、ことを特徴とした記録制御プログラムである。
本発明の第5の態様に記載の記録制御プログラムによれば、この記録制御プログラムを実行可能なコンピュータを備えた任意の記録装置に、前述した第1の態様に記載の発明と同様の作用効果をもたらすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明に係る「記録装置」の一例としてのインクジェット式記録装置の概略構成について説明する。
【0021】
図1は、本発明に係るインクジェット式記録装置の要部平面図であり、図2はその側面図である。図3は、本発明に係るインクジェット式記録装置の概略のブロック図である。
インクジェット式記録装置50には、「被記録材」としての記録紙Pへの記録を実行可能な「記録実行手段」を構成する手段として、記録紙Pに対して主走査方向Xへ移動可能にキャリッジガイド軸51に軸支されたキャリッジ61が設けられている。キャリッジ61には、「被記録材」としての記録紙Pの記録面にインクを噴射して記録を行うための記録ヘッド62と主走査方向Xの記録紙Pの端部を検出するためのPWセンサ34とが搭載されている。キャリッジ61は、CRモータ63(図3)の回転駆動力が、無端ベルトによるベルト伝達機構(図示せず)によって伝達されて主走査方向Xに往復動する。このキャリッジ61を主走査方向Xへ往復動させることで、記録紙Pに対して記録ヘッド62を主走査方向Xに走査させることができる。記録ヘッド62のヘッド面と対向する位置には、記録紙Pを摺接支持しつつ記録紙Pの記録面と記録ヘッド62のヘッド面との間隔を所定間隔に規定するプラテン52が設けられている。
【0022】
キャリッジ61の主走査方向Xへの往復動領域の一端側の外側には、「廃液回収手段」としての公知のキャッピング装置59が設けられている。記録を実行しない待機状態においては、キャリッジ61がキャッピング装置59の上まで移動して停止し、キャッピング装置59に配設されているキャップCPによって記録ヘッド62のヘッド面が封止される。このキャリッジ61の停止位置は、ホームポジションHPとして規定される。
【0023】
また、インクジェット式記録装置50には、記録紙Pへの記録を実行可能な「記録実行手段」を構成する「被記録材搬送手段」として、記録紙Pを副走査方向Yに搬送する搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54が設けられている。搬送駆動ローラ53は、「被記録材搬送用モータ」としてのPFモータ58(図3)の回転駆動力が歯車伝達されて回転する。搬送従動ローラ54は、複数設けられており、従動回転可能に軸支された状態で搬送駆動ローラ53に押圧付勢されている。搬送従動ローラ54の押圧付勢力で高摩擦抵抗被膜が施された搬送駆動ローラ53の外周面に押しつけられた記録紙Pは、その摩擦抵抗によって搬送駆動ローラ53の外周面に密着する。その状態で搬送駆動ローラ53を搬送方向へ回転させることによって、記録紙Pは、搬送従動ローラ54が従動回転しつつ副走査方向Yに搬送され、それによって、記録ヘッド62を記録紙Pに対して副走査方向Yに走査させることができる。
【0024】
給紙トレイ57の近傍には、給紙トレイ57に積重されている記録紙Pの最上位の記録紙Pを「被記録材搬送手段」へ自動給送する「自動給送手段」としてのASF(オート・シート・フィーダ)が設けられている。ASFは、給紙トレイ57に設けられた給紙ローラ57b及び図示してない分離パッドを有する公知の自動給紙機構である。給紙ローラ57bは、給紙トレイ57の一方側に配置されている。記録紙ガイド57aは、記録紙Pの幅に合わせて幅方向に摺動可能に給紙トレイ57に設けられている。そして、PFモータ58(図3)の回転駆動力が歯車伝達されて回転する給紙ローラ57bの回転駆動力によって、給紙トレイ57に置かれた記録紙Pが給紙される。その際に、分離パッドの摩擦抵抗によって、複数の記録紙Pが一度に給紙されることなく最上位の記録紙Pのみが正確に分離されて一枚ずつ自動給紙されるように構成されている。給紙ローラ57bと搬送駆動ローラ53との間には、搬送される記録紙Pの先端及び後端を検出する公知の紙検出器33が配設されている。
【0025】
一方、記録紙Pを副走査方向Yへ搬送可能な「被記録材搬送手段」及び記録実行後の記録紙Pを排紙する手段として、排紙駆動ローラ55と排紙従動ローラ56とが設けられている。排紙駆動ローラ55は、PFモータ58(図3)の回転駆動力が歯車伝達されて回転し、記録実行後の記録紙Pは、排紙駆動ローラ55の回転によって副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ56は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖った歯付きローラになっている。複数の排紙従動ローラ56は、それぞれ個々に排紙駆動ローラ55に付勢され、記録紙Pが排紙駆動ローラ55の回転により排紙される際に記録紙Pに接して記録紙Pの排紙に伴い従動回転する。
【0026】
そして、給紙ローラ57b、搬送駆動ローラ53及び排紙駆動ローラ55を回転駆動するPFモータ58(図3)及びキャリッジ61を主走査方向Xに駆動するCRモータ63(図3)は、「記録制御装置」としての記録制御部100により駆動制御される。また、記録ヘッド62も同様に、記録制御部100により駆動制御されて記録紙Pの表面にインクを噴射する。記録制御部100は、キャリッジ61を主走査方向Xへ往復動させながら記録ヘッド62から記録紙Pへインクを噴射してドットを形成する動作と、記録紙Pを副走査方向Yへ所定の搬送量で搬送する動作とを交互に繰り返しながら記録紙Pへの記録制御を実行する。
【0027】
引き続き図1〜図3を参照しながら記録制御部100について説明する。
記録制御部100は、ROM101、RAM102、ASIC(特定用途向け集積回路)103、MPU104、不揮発性メモリ105、PFモータドライバ106、CRモータドライバ107及びヘッドドライバ108を備えている。MPU104には、ASIC103を介して、ロータリエンコーダ31、リニアエンコーダ32、紙検出器33、PWセンサ34及びインクジェット式記録装置50の電源をON/OFFするための電源スイッチ35の出力信号が入力される。
【0028】
公知のロータリエンコーダ31は、搬送駆動ローラ53の回転量を検出するべくPFモータ58の回転周期に連動した周期のパルス信号を出力するように配設されている。ロータリエンコーダ31は、搬送駆動ローラ53の回転に連動して回転するロータリスケール311と、ロータリスケール311の外周に沿って等間隔に形成されているスリットを検出するロータリスケールセンサ312とを有している(図2)。搬送駆動ローラ53の回転に伴い変化するロータリスケールセンサ312の出力信号は、ASIC103を介してMPU104へ出力される。
公知のリニアエンコーダ32は、キャリッジ61の移動量を検出するべくCRモータ63の回転周期に連動した周期のパルス信号を出力するように配設されている。リニアエンコーダ32は、キャリッジ61の近傍に主走査方向Xと略平行に配置されたリニアスケール321と、リニアスケール321に等間隔に形成されているスリットを検出するキャリッジ61に搭載されたリニアスケールセンサ322とを有している(図2)。キャリッジ61の主走査方向Xの移動量に応じたパルス数でパルス周期が移動速度に伴い変化するリニアスケールセンサ322の出力信号は、ASIC103を介してMPU104へ出力される。
【0029】
記録制御部100のシステムバスには、ROM101、RAM102、ASIC103、MPU104及び不揮発性メモリ105が接続されている。MPU104は、インクジェット式記録装置50の記録制御を実行するための演算処理やその他必要な演算処理を行う。ROM101には、MPU104によるインクジェット式記録装置50の制御に必要な記録制御プログラム(ファームウェア)等が格納されており、記録制御プログラムの処理に必要な各種データ等は不揮発性メモリ105に記憶されている。RAM102は、MPU104の作業領域や記録データ等の格納領域として用いられる。
【0030】
ASIC103は、DCモータであるPFモータ58の速度制御を行う制御回路及びCRモータ63の速度制御を行う制御回路並びに記録ヘッド62の駆動制御を行う制御回路(図示せず)を有している。MPU104から送られてくる制御命令、ロータリエンコーダ31の出力信号及びリニアエンコーダ32の出力信号に基づいて、PFモータ58及びCRモータ63の速度制御を行う為の各種演算を行い、その演算結果に基づくモータ制御信号をPFモータドライバ106及びCRモータドライバ107へ送出する。ASIC103は、MPU104から送出される記録データ等に基づいて、記録ヘッド62の制御信号を演算生成してヘッドドライバ108へ送出して記録ヘッド62を駆動制御する。ASIC103は、インクジェット式記録装置50の本体に設けられたUSBコネクタ(図示せず)を介して接続されるデジタルカメラ301等とのUSBインタフェースを実現して、デジタルカメラ301等からデジタル画像ファイルを入力する機能を実現するUSBIF111を有している。
【0031】
つづいて、本発明に係るインクジェット式記録装置50における記録制御部100の記録ヘッド62のヘッドクリーニング制御について説明する。
【0032】
図4は、記録ヘッド62へのインク供給経路及び廃液の回収経路を模式的に図示したものである。
記録ヘッド62には、インクジェット式記録装置50に着脱可能に配設されたインクカートリッジ70からインクが供給される。インクカートリッジ70は、イエローインク収容部7Y、マゼンダインク収容部7M、シアンインク収容部7C及びブラックインク収容部7Kを有している。イエローインク収容部7Yに充填されているイエローインクはインクチューブYCを経由して、マゼンダインク収容部7Mに充填されているマゼンダインクはインクチューブMCを経由して、シアンインク収容部7Cに充填されているシアンインクはインクチューブCCを経由して、ブラックインク収容部7Kに充填されているブラックインクはインクチューブKCを経由して、それぞれ記録ヘッド62のインク噴射ノズルへ供給される。また、インクカートリッジ70は、廃液パッド71を有しており、廃液パッド71は、廃液チューブ81を介してキャッピング装置59のキャップCP内と連結されている。
【0033】
記録ヘッド62から生じた廃液を廃液パッド71へ回収可能な「廃液回収手段」としてのキャッピング装置59は、ヘッドクリーニングやフラッシング等によりキャップCP内に生じた廃液を廃液パッド71へ送出するためのポンプユニットPUを有しており、ポンプユニットPUは、PFモータ58の回転駆動力により駆動される。また、キャッピング装置59は、記録ヘッド62のヘッド面をキャップCPで封止することができるとともに、キャップCPで封止した状態の記録ヘッド62のヘッド面をポンプユニットPUの吸引力で吸引してヘッドクリーニングを行うことが可能な構成を有している。ヘッドクリーニング時に生じたキャップCP内の廃液は、廃液チューブ81を介して廃液パッド71へ回収されることとなる。プラテン52には、公知の縁なし記録(縁なし印刷)の実行時に記録紙Pの外側に打ち捨てられるインク(廃液)を吸収して蓄積するインク吸収材64が設けられている。
【0034】
図5は、記録紙Pへ縁なし記録を実行している状態を模式的に図示したものである。図6は、ホームポジションでフラッシングを実行している状態を模式的に図示したものであり、図7は、ホームポジションで記録ヘッド62のヘッドクリーニングを実行している状態を模式的に図示したものである。
キャリッジ61を主走査方向Xへ往復動させながら記録ヘッド62からプラテン52上の記録紙Pの記録面へインクを噴射して縁なし記録を実行している間は、記録紙Pの大きさに合わせてプラテン52に形成されているインク打ち捨て溝521に、記録ヘッド62から噴射されたインクの一部が打ち捨てられながら記録が実行される。このインク打ち捨て溝521に打ち捨てられたインクは、廃液としてインク吸収材64に吸収され蓄積される(図5)。尚、イエローインク収容部7Y、マゼンダインク収容部7M、シアンインク収容部7C及びブラックインク収容部7Kに図示されている斜線部分は、各インクの残量を意味しており、廃液パッド71に図示されている斜線部分は、廃液の蓄積量を意味しており、以下同様である。
【0035】
記録紙Pへの記録実行中には、定期的にフラッシングが実行されるが、本発明に係るインクジェット式記録装置50においては、キャッピング装置59上のホームポジションHP(図1)にフラッシング領域が設定されている。フラッシング実行時には、記録ヘッド62からキャッピング装置59のキャップCP内にインクが噴射され、キャップCP内のインク(廃液)は、PFモータ58の回転駆動力で駆動されるポンプユニットPUによって廃液パッド71へ廃液チューブ81を介して回収されて蓄積される(図6)。
【0036】
また、記録紙Pへ記録を実行しない時は、記録ヘッド62がホームポジションHPに位置するようにキャリッジ61を移動させ、その状態からキャップCPを上方へ移動させて記録ヘッド62をキャップCPで封止することによって、記録ヘッド62のヘッド面に配設されているインク噴射ノズルのノズル開口が乾燥してノズル詰まりが生ずることが防止される。そして、その状態で記録ヘッド62の全インク噴射ノズルからインクを噴射しながらポンプユニットPUを動作させてヘッド面を吸引することによって、記録ヘッド62のインク噴射ノズルのノズル詰まりを解消するヘッドクリーニングを実行することができる。キャップCP内のインク(廃液)は、PFモータ58の回転駆動力で駆動されるポンプユニットPUによって廃液パッド71へ廃液チューブ81を介して回収されて蓄積される(図7)。
【0037】
記録制御部100は、インクカートリッジ70の廃液パッド71及びインク吸収材64の廃液蓄積量の限界量を閾値として不揮発性メモリ105(図3)に予め記憶している。記録制御部100は、縁なし記録、ヘッドクリーニング及びフラッシングの実行時に生ずる廃液量を、記録ヘッド62のノズル制御信号等から推測し、廃液パッド71に発生した廃液量の積算値及びインク吸収材64に発生した廃液量の積算値をそれぞれ個別に記憶保持するとともに、廃液が発生する度に発生した廃液量を廃液発生場所(廃液パッド71又はインク吸収材64)に応じて、それぞれの積算値に個別に累積加算していく。そして、記録制御部100は、廃液パッド71とインク吸収材64とのそれぞれについて、廃液量の積算値と予め記憶しているそれぞれの廃液蓄積限界量の閾値とを比較し、閾値を超えた時点で廃液蓄積限界量の廃液が蓄積されたと判定する。記録制御部100は、廃液パッド71の廃液蓄積量に応じて以下のようなヘッドクリーニング制御を実行する。
【0038】
図8は、記録制御部100が実行するヘッドクリーニング制御手順を示したフローチャートである。当該手順は、記録ヘッド62のヘッドクリーニング制御を行う所定のタイミングで実行される手順である。
まず、各インク(イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)の残量分の記録実行時に必要なフラッシング廃液量の最小値αを算出する(ステップS1)。具体的には、インクカートリッジ70の各インクのインク残量ごとに最大限実行可能な記録紙Pへの記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシングによる廃液量をインク色ごとにそれぞれ算出する。より具体的には、例えば、まず、インクカートリッジ70の各インクの残量を予め統計的に算出した一の記録紙P当たりの記録実行時に生ずる各インクの消費量の平均値でそれぞれ除算して最大記録実行枚数を算出する。或いは、直前の記録実行時に生じた一の記録紙P当たりの各インク消費量から各インクのインク残量ごとに最大記録実行枚数を算出することもできる。そして、それぞれの最大記録実行枚数に予め統計的に算出した一の記録紙P当たりのフラッシング廃液量の平均値を乗算して、その時点におけるインクカートリッジ70のインク残量で最大限実行可能な記録紙Pへの記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシングによる廃液量をインク色ごとに算出し、その最小値をフラッシング廃液量αとする。
【0039】
つづいて、キャッピング装置59による記録ヘッド62のヘッドクリーニング制御時に生ずると予想されるメンテナンス廃液量βをその時のヘッドクリーニングのレベルに応じて算出し、フラッシング廃液量αとメンテナンス廃液量βとを合算した「予想廃液総量」を閾値に設定する(ステップS2)。つづいて、設定した閾値(予想廃液総量)がその時点におけるインクカートリッジ70の廃液パッド71の空き容量を超えているか否かを判定する(ステップS3)。閾値(予想廃液総量)がその時点におけるインクカートリッジ70の廃液パッド71の空き容量を超えていない場合には(ステップS3でNo)、ヘッドクリーニング制御を実行しても廃液パッド71の廃液蓄積量の限界量に達する前にインクカートリッジ70のインクのいずれかを使い切ることができるので、そのままヘットクリーニング制御を実行する(ステップS4)。一方、閾値(予想廃液総量)がその時点におけるインクカートリッジ70の廃液パッド71の空き容量を超えている場合には、ヘッドクリーニング制御を実行すると、インクカートリッジ70のインクのいずれかを使い切る前に廃液パッド71の廃液が廃液蓄積量の限界量に達してしまうので、ヘッドクリーニング制御を禁止する(ステップS5)。
【0040】
このように、フラッシング廃液量αとメンテナンス廃液量βとを合算した閾値(予想廃液総量)が、そのインクカートリッジ70の廃液パッド71の空き容量を超えている間は、ヘッドクリーニング等の記録ヘッド62のメンテナンス制御を禁止する。それによって、インクカートリッジ70に残っているインクを使い切る前に、そのインクカートリッジ70の廃液パッド71の廃液蓄積量が限界量を超えてしまうことを防止することができる。したがって、廃液パッド71を内蔵したインクカートリッジ70を備えたインクジェット式記録装置50等の記録装置において、廃液パッド71の廃液蓄積量が限界量に達する前にそのインクカートリッジ70のインクを常に最後まで使い切ることができる。
【0041】
また、ヘッドクリーニング等の記録ヘッド62のメンテナンス制御を禁止することによって、記録ヘッド62のノズル詰まり等が生ずる可能性があるが、記録ヘッド62のメンテナンス制御の禁止中に記録ヘッド62のノズル詰まり等が生じた場合には、例えば、一旦新しいインクカートリッジ70に交換してヘッドクリーニングを実行してから、再び元のインクカートリッジ70に交換する等の簡単な操作で容易に対処することが可能である。
【0042】
さらに、記録ヘッド62のヘッドクリーニング制御に際しては、インクカートリッジ70のインク残量が記録ヘッド62のヘッドクリーニング制御時に生ずると予想される廃液量未満である場合には、ヘッドクリーニング制御を禁止するのが好ましい。それによって、記録ヘッド62のヘッドクリーニングに必要なインクが不足してヘッドクリーニングを正常に実行できない虞を低減させることができる。
【0043】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るインクジェット式記録装置の概略の平面図である。
【図2】本発明に係るインクジェット式記録装置の概略の側面図である。
【図3】本発明に係るインクジェット式記録装置の概略のブロック図である。
【図4】インク供給経路及び廃液の回収経路を模式的に図示したものである。
【図5】記録紙へ縁なし記録を実行している状態を模式的に図示したものである。
【図6】フラッシングを実行している状態を模式的に図示したものである。
【図7】ヘッドクリーニングを実行している状態を模式的に図示したものである。
【図8】ヘッドクリーニング制御手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
50 インクジェット式記録装置、51 キャリッジガイド軸、52 プラテン、53 搬送駆動ローラ、54 搬送従動ローラ、55 排紙駆動ローラ、56 排紙従動ローラ、58 PFモータ、59 キャッピング装置、61 キャリッジ、62 記録ヘッド、64 インク吸収材、70 インクカートリッジ、71 廃液パッド、100 記録制御部、101 ROM、102 RAM、103 ASIC、104 MPU、105 不揮発性メモリ、CP キャップ、P 記録紙、X 主走査方向、Y 副走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材の記録面に記録ヘッドからインクを噴射して記録を実行可能な記録実行手段と、前記記録ヘッドへ供給されるインク及び廃液パッドを内蔵したインクカートリッジと、前記記録ヘッドから生じた廃液を前記廃液パッドへ回収可能な廃液回収手段と、前記記録実行手段及び前記廃液回収手段の制御を実行する記録制御装置とを備えた記録装置であって、
前記記録制御装置は、前記インクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシング廃液量と、前記廃液回収手段による前記記録ヘッドのメンテナンス制御時に生ずると予想されるメンテナンス廃液量とを合算した予想廃液総量が、当該インクカートリッジの廃液パッドの空き容量を超えている間は、前記メンテナンス制御を禁止する、ことを特徴とした記録装置。
【請求項2】
請求項1において、前記記録制御装置は、前記インクカートリッジのインク残量を予め統計的に算出した一の被記録材当たりの記録実行時に生ずるインク消費量で除算して得た最大記録実行枚数に、予め統計的に算出した一の被記録材当たりのフラッシング廃液量を乗算して、前記インクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシング廃液量を算出する、ことを特徴とした記録装置。
【請求項3】
請求項1において、前記記録制御装置は、前記インクカートリッジのインク残量を直前の記録実行時に生じた一の被記録材当たりのインク消費量で除算して得た最大記録実行枚数に、予め統計的に算出した一の被記録材当たりのフラッシング廃液量を乗算して、前記インクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシング廃液量を算出する、ことを特徴とした記録装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、前記記録制御装置は、前記インクカートリッジのインク残量が、前記記録ヘッドのメンテナンス制御時に生ずると予想されるメンテナンス廃液量未満である間は、当該メンテナンス制御を禁止する、ことを特徴とした記録装置。
【請求項5】
被記録材の記録面に記録ヘッドからインクを噴射して記録を実行可能な記録実行手段と、前記記録ヘッドへ供給されるインク及び廃液パッドを内蔵したインクカートリッジと、前記記録ヘッドから生じた廃液を前記廃液パッドへ回収可能な廃液回収手段とを備えた記録装置において、前記記録実行手段及び前記廃液回収手段の制御をコンピュータに実行させるための記録制御プログラムであって、
前記インクカートリッジのインク残量で最大限実行可能な被記録材への記録を実行したときに生ずると予想されるフラッシング廃液量を算出する手順と、
前記廃液回収手段による前記記録ヘッドのメンテナンス制御時に生ずると予想されるメンテナンス廃液量を算出する手順と、
前記フラッシング廃液量と前記メンテナンス廃液量とを合算した予想廃液総量を算出する手順と、
当該予想廃液総量が当該インクカートリッジの廃液パッドの空き容量を超えている間は、前記メンテナンス制御を禁止する手順を有している、ことを特徴とした記録制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−283655(P2007−283655A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114138(P2006−114138)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】