説明

記録装置及びその制御方法

【課題】 複数の記録媒体に対する記録制御が可能な記録装置の操作性を向上させるとともに、記録情報の管理も容易にする。
【解決手段】 イメージマウント装置114は、メモリカード113に対して情報を記録する旨の指示があった場合、ディスク装置110内に記録領域を構築し、ファイル読み書き装置111は、前記指示により記録対象となる情報を前記記録領域に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録媒体に対する記録制御手段を備えた記録装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光学ディスクやメモリカードといったメディアの容量が増大し、このようなランダムアクセスが可能なメディアに、静止画やビデオのような映像を記録する装置が普及しつつある。静止画撮影装置ではディジタルカメラが一般化し、ビデオ撮影装置としては、DVD(Digital Versatile Disk)ビデオカメラが実用化されている。
【0003】
双方の基本機能は、静止画とビデオ映像と異なっているとはいえ、ともに静止画およびビデオ撮影が可能になってきており、双方の機能が集約されつつある。
【0004】
また、この種のビデオカメラにおいて、ディスク媒体に加えて、メモリカードスロットを備え、メモリカードに対して静止画像などを記録可能なものも登場している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−333480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来は、複数の記録メディアを具備した撮像装置においては、撮影以前に、記録先のメディアを予め指定してから記録する必要性があった。また、複数のメディアへの記録機能を有すると、記録されたファイルも複数のメディアに分散し、ファイル管理が煩雑になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数の記録デバイスに対する記録制御が可能な記録装置の操作性を向上させるとともに、記録情報の管理も容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の記録装置は、第1の記録デバイスに対する情報の記録制御を行う第1の記録制御手段と、第2の記録デバイスに対する情報の記録制御を行う第2の記録制御手段と、前記第1の記録デバイス内に前記第2の記録デバイスに対応した記録領域を構築するマウント手段とを有し、前記第1の記録制御手段は、前記第2の記録デバイスに対する前記情報の記録指示に応じて、前記情報を前記第1の記録デバイスにおける前記記録領域に記録することを特徴とする。
【0009】
本発明の記録装置の制御方法は、第1の記録デバイスに対する情報の記録制御を行う第1の記録制御手段と、第2の記録デバイスに対する情報の記録制御を行う第2の記録制御手段とを有する記録装置の制御方法であって、前記第2の記録デバイスに対して情報を記録する旨の指示があった場合、前記第1の記録デバイス内に記録領域を構築し、前記第2の記録制御手段により、前記指示により記録対象となる情報を前記記録領域に記録することを特徴とする。
【0010】
本発明のプログラムは、前記記録装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第2の記録デバイスに対して情報の記録指示があった場合、その情報を記録するための第1の記録デバイス内に記録領域を構築するように構成したので、複数の記録媒体に対する記録制御が可能な記録装置において、ユーザは当該情報の記録先となる第2の記録デバイスの装着状態等を気にすることがなくなり操作性が向上するとともに、第1の記録デバイス内で記録情報が一元的に管理されるため、記録情報の管理も容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る記録装置の構成を示す図である。
101は、映像入力装置であり、レンズやイメージセンサといった部品より構成される。102は映像処理装置であり、入力された映像に、A/D変換や、色変換、あるいは空間フィルタといった処理を行う。103は映像符号化復号化装置であり、取得したディジタル映像データの圧縮伸張を行う。一般的に、静止画用途では、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、動画用途では、MPEG(Moving Picture Experts Group)などの標準フォーマットが広く使用されている。
【0015】
105は音声(オーディオ)入力装置であり、マイクロフォンが具備される。107は音声処理装置であり、音声データをA/D変換し、帯域制限フィルタなどの処理が行われる。108は音声符号化復号化装置であり、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)やMPEGオーディオなどのフォーマットが採用されている。109は多重化装置であり、符号化されたビデオおよび音声の多重化あるいは同期処理が行われ、最終的な記録ファイルが生成される。
【0016】
110は記録メディア1であり、たとえばDVD−RAMなどのランダムアクセスが可能なディスクメディアを含むディスク装置である。111は、ファイル読み書き装置であり、記録メディア1用の読み書き制御装置である。113は記録メディア2であり、例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)、SDカード、メモリスティックなどの半導体メモリを用いた記録メディアである。112はファイル読み書き装置であり、記録メディア2用の読み書き制御装置である。
【0017】
116はユーザインタフェースであり、各種システム情報やモードの設定、あるいは撮影タイミングの制御などを司る。一方、このような構成で記録されたメディアデータは、以下のような手順にて表示、再生が行われる。
【0018】
ユーザインタフェースにて、装置を撮影(記録)モードから再生モードに変更する。再生元の記録メディアを、記録メディア1或いは記録メディア2から選択する。ユーザの選択によりどちらかのメディアから読み出されたデータは、多重化装置109で逆多重化され、映像符号化復号化装置103及び音声符号化復号化装置108にて夫々ビデオデータ及びオーディオデータの復号処理が行われる。104は映像表示装置であり、復号化されたビデオ(あるいは静止画)映像を表示する。106は(スピーカ等の)音声再生装置であり、オーディオ再生を行う。
【0019】
114は、イメージマウント装置であり、ディスク装置110内にメモリカード113の容量に応じて必要な容量を確保し、メモリカード113が挿入された時点で、システムにカードイメージ(以下、仮想エリアと称す)をマウント(構築)する機能を具備する。117は、メディア同期装置である。
【0020】
メディア同期装置117の詳細を図2に示す。201はメディア挿入判定装置であり、メモリカード113が挿入されたかどうかの判定を行う。205はメディアID検出装置であり、各メディアに個別のIDが記されている場合はそれを検出する。206はメディアID比較装置であり、前記検出されたメディアIDを基に、既に仮想エリアがマウントされているメディアと比較し、挿入されたメモリカード113が新規メディアかどうかの判定を行う。202はメディアID登録装置であり、仮想エリアが一度マウントされたメディアのIDをディスク内に保存する。203は、差分ファイル検出装置であり、2つのメディア間の差分ファイルを取得する。204は、差分ファイルコピー装置であり、ディスク装置110からメモリカード113に、あるいはメモリカード113からディスク装置110へ差分ファイルをコピーする。
【0021】
図5に、このような機能を具備した録画装置のモード選択スイッチの例を記す。図6の例では、STOP, Video/Disk, Photo/Disk, Photo/Card, Playと5つのモードを持っており、各々、『停止(電源オフ)』、『ビデオをディスクに記録』、『静止画をディスクに記録』、『静止画をカードに記録』、『再生』の機能を有している。『再生』機能を実行する場合には、再生するソースとしてディスク装置110かメモリカード113かの選択機能をユーザインタフェースに追加することで可能となる。
【0022】
以上のような機能を具備する録画装置の処理フローを図3に示す。
ステップS302はカード挿入検出フェーズであり、もしメモリカード113が挿入されたと判定された場合にはステップS304においてカードIDの取得を行う。続くステップS305においては、既に仮想エリアがマウントされたメモリカードのカードIDをディスク装置110から読み出す。ここで読み出されるカードIDは一つでもよいし、複数であってもよい。
【0023】
ステップS306においては、挿入されたメモリカード113のカードIDとステップS305で取得されたカードIDとの比較を行い、既に仮想エリアがマウントされているものと同じかどうかを判定する。もし同一のカードIDが発見された場合は、ステップS307において、ディスク装置110において、このカードに対する仮想エリアに記憶されている全てのファイルと、挿入されたカードに記録されている全てのファイルとを比較し、ディスク装置110に記録されているがカード113には記録されていないファイルを全て検出する。そして、S308においてこの検出されたファイルをカード113にコピーする旨を表示し、S315で、検出した差分ファイルと同じファイル名のファイルが既にコピー先のカード113に記録されているか否かを検出する。このとき、もし同一ファイル名が存在すれば、ステップS316で必要に応じて双方のファイルの概要(サムネールや更新日付など)を表示し、コピーの有無を選択させる。コピー不要の場合にはそのファイルのコピーは禁止する。そして、S309において検出した差分ファイルをディスク装置110からカード113にコピーする。
【0024】
一方、挿入されたメモリカード113のカードIDとステップS305で取得されたカードIDとが一致せず、挿入されたメモリカード113のカードIDが新規IDと判断された場合には、ステップS310においてディスク装置110上に仮想エリアをマウントし、ステップS312で、メモリカード113内のファイルの存在を確認し、全てをディスク装置110上にコピーする。またこのとき、ステップS311において、当該メモリカード113から取得したカードIDをメディアID登録装置202に保存する。以上のような処理を経ることで、ディスク装置110上にメモリカード113の内容と同じ仮想エリアを構築することができる。
【0025】
このようにディスク装置110上に仮想エリアがマウントされた状態においては、録画機能として、『カードに静止画を記録する』機能を実行すると、実際には物理的にメモリカード113には書き込みは行わず、ディスク装置110上のマウントされた仮想エリアに書き込みが行われる。この時点以降では、メモリカード113自体はアンマウントし、録画装置から外してしまうことも、別のカードを再度マウントすることも可能になる。
【0026】
このような構成をとることにより、ユーザの観点からみると、撮影時点においては(特に静止画において)敢えて撮影メディアを意識することなく撮影することが可能になる。換言すれば、例えメモリカード113が録画装置に挿入されていなくても、仮想エリアに静止画などを記録することが可能になり、かつ、メモリカード113へのファイルの再コピーも簡潔に行うことが可能になる。
【0027】
また、例えば、静止画は常にマウントされた仮想エリアに書き込むように作用させることによって、操作パネルスイッチに記録先(ディスク装置110か或いはメモリカード113か)を指定することも不要になる。なお、本実施形態では、静止画の記録先をディスク装置110内の仮想エリアとしたが、メモリカード113に記録可能なビデオ方式であれば、ディスク装置110内の仮想エリアにビデオファイルを記録することも可能である。
【0028】
また、一般的にフラッシュメモリなどを用いたカードデバイスよりも、ディスク装置の方が読み書きが高速な場合も多い。従って、本実施形態のような構成をとることにより、例えば、静止画の連続撮影機能を強化する(秒間あたりの撮影枚数を増やす)ことも可能になる。
【0029】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は、本実施形態に係る録画装置の構成を示す図である。本実施形態に係る録画装置の構成は、図1に示す構成にカードID書き込み装置418が追加された構成である。尚、図4においては、図1と同様の構成については同じ符号を付してある。
【0030】
上記第1の実施形態においては、各メモリカード113に固有のIDが予め記録されていることが前提であったが、必ずしも全ての種類のメモリカード113にIDが記録されているとは限らない。このような場合は、新規カードが挿入された場合は、仮想エリアをマウントした後、録画装置側が指定する特定のIDをメモリカード113側にID管理ファイルとして書き込む。このIDは、機器毎に及び新規カード挿入毎に異なるIDを設定することが望ましい。
【0031】
そして、次回にそのメモリカード113が再挿入された時点で、ID管理ファイルを検索し、登録されたIDと比較することが可能となる。このようなケースでは、ユーザにより外部装置(例えばパーソナルコンピュータ)でID管理ファイルが変更・削除される可能性もあるが、その場合は、異なった仮想エリアをマウントするか、或いは、メモリカード113の記録ファイルと、既にディスク装置110内において登録されるファイルとを比較して、同一メディアであるかどうかを判定させることも可能である。
【0032】
本実施形態によれば、複数の記録メディアを具備した映像記録装置において、記録するメディアを気にすることなく撮影することが可能になる。また、複数のカードメディアの管理も記録装置上で可能にすることができる。
【0033】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0034】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0035】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0036】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0037】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る記録装置の構成を示す図である。
【図2】メディア同期装置の詳細を示す図である。
【図3】録画装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る録画装置の構成を示す図である。
【図5】録画装置のモード選択スイッチの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
101;映像入力装置
102:映像処理装置
103:映像符号化復号化装置
104:映像出力装置
105:音声入力装置
106:音声出力装置
107:音声処理装置
108:音声符号化復号化装置
109:多重化装置
110:ディスク装置
111、112:ファイル読み書き装置
113:メモリカード
114:イメージマウント装置
115:イメージ作成装置
116:ユーザインタフェース
117:メディア同期装置
201:メディア挿入判定装置
202:メディアID登録装置
203:差分ファイル検出装置
204:差分ファイルコピー装置
205:メディアID検出装置
206:メディアID比較装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録デバイスに対する情報の記録制御を行う第1の記録制御手段と、
第2の記録デバイスに対する情報の記録制御を行う第2の記録制御手段と、
前記第1の記録デバイス内に前記第2の記録デバイスに対応した記録領域を構築するマウント手段とを有し、
前記第1の記録制御手段は、前記第2の記録デバイスに対する前記情報の記録指示に応じて、前記情報を前記第1の記録デバイスにおける前記記録領域に記録することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第2の記録デバイスの識別情報を前記第2の記録デバイスから取得する識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段により取得された前記識別情報を、前記第1の記録デバイス内において前記記録領域内の情報に対応付けて登録する識別情報登録手段とを更に有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第1の記録デバイス内において登録される識別情報と、前記第2の記録デバイスの識別情報とを比較する識別情報比較手段を更に有し、
前記識別情報比較手段による比較の結果、双方の識別情報が一致しない場合、前記識別情報登録手段は更に、前記取得された第2の記録デバイス手段に対する記録領域を新たに前記第1の記録デバイス内に構築すると共に、新たに前記第2の記録デバイスに対応した識別情報を前記新たに構築した記録領域内の情報に対応付けて登録することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記第1の記録デバイス内において登録される識別情報と、前記第2の記録デバイスの識別情報とを比較する識別情報比較手段を更に有し、
前記識別情報比較手段による比較の結果、前記第1の記録デバイス内において登録される識別情報のうち、前記第1の記録デバイスの識別情報と一致する識別情報が存在する場合、前記第1の記録制御手段又は前記第2の記録制御手段は、当該識別情報に対応する記録領域内の情報と前記第2の記録デバイスに記録される情報との差分情報を前記第2の記録デバイスに記録することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第2の記録デバイス内に識別情報が登録されていない場合、前記第2の記録デバイスの識別情報を生成する識別情報生成手段を更に有し、
前記識別情報登録手段は、前記識別情報生成手段により生成される識別情報を、前記第1の記録デバイス内において前記記録領域内の情報に対応付けて登録することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
第1の記録デバイスに対する情報の記録制御を行う第1の記録制御手段と、第2の記録デバイスに対する情報の記録制御を行う第2の記録制御手段とを有する記録装置の制御方法であって、
前記第2の記録デバイスに対して情報を記録する旨の指示があった場合、前記第1の記録デバイス内に記録領域を構築し、前記第2の記録制御手段により、前記指示により記録対象となる情報を前記記録領域に記録することを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の記録装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−59098(P2006−59098A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239691(P2004−239691)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】