記録装置及びその制御方法
【課題】被記録媒体の搬送時における蛇行を防止して、被記録媒体に対して正確な位置に記録を行うことのできる記録装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明のプリンターは、長尺状の連続紙を支持するプラテンと、連続紙に対して記録処理を施す記録処理部と、連続紙を間欠的に搬送する第1駆動ローラー及び第1駆動ローラーに連結された第1駆動モーター、並びにプラテンから連続紙を搬出させる第2駆動ローラー及び第2駆動ローラーに連結された第2駆動モーターを含む媒体搬送系と、プラテン上へ搬送される連続紙の搬送方向に交差する一方の端部の形状を矯正する矯正部と、矯正部によって矯正された端部の位置を検出する検出部と、を含む検出系と、搬送方向に交差する方向における連続紙の搬送位置を制御する搬送位置制御系とを備え、矯正部が連続紙の搬送経路を介して対向する一対の第1ガイド部を有する。
【解決手段】本発明のプリンターは、長尺状の連続紙を支持するプラテンと、連続紙に対して記録処理を施す記録処理部と、連続紙を間欠的に搬送する第1駆動ローラー及び第1駆動ローラーに連結された第1駆動モーター、並びにプラテンから連続紙を搬出させる第2駆動ローラー及び第2駆動ローラーに連結された第2駆動モーターを含む媒体搬送系と、プラテン上へ搬送される連続紙の搬送方向に交差する一方の端部の形状を矯正する矯正部と、矯正部によって矯正された端部の位置を検出する検出部と、を含む検出系と、搬送方向に交差する方向における連続紙の搬送位置を制御する搬送位置制御系とを備え、矯正部が連続紙の搬送経路を介して対向する一対の第1ガイド部を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の記録装置では、記録用紙等の被記録媒体に対して記録処理を行う際に、被記録媒体が記録ヘッドに対して一定の姿勢(平行)となるようにプラテンで支持する必要がある。
【0003】
特許文献1には、ラインプリント型の記録ヘッドを備えるプリンターが記載されており、長尺状の記録紙(被記録媒体)に対して、その長手方向(搬送方向)を横断する方向に記録ヘッドが往復移動されることで記録動作が実行されるものである。このプリンターにおいては、プリント幅に対応した単位搬送量だけ記録紙が搬送され、その後、印刷動作が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−313663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、連続紙のような長尺の被記録媒体を間欠的に搬送する印刷方式の場合、連続紙の搬送途中に紙幅方向への蛇行が生じることがある。この場合、連続紙に対して正確な位置に印刷を施すことができなくなってしまう。したがって、搬送時における連続紙の蛇行を防止する搬送位置の制御が必要となる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、被記録媒体の搬送時における蛇行を防止して、被記録媒体に対して正確な位置に記録を行うことのできる記録装置及びその制御方法を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の記録装置は、長尺状の被記録媒体を支持する媒体支持部と、前記被記録媒体に対して記録処理を施す記録処理部と、前記被記録媒体を間欠的に搬送する第1駆動ローラー及び前記第1駆動ローラーに連結された第1駆動モーター、並びに前記媒体支持部から前記被記録媒体を搬出させる第2駆動ローラー及び前記第2駆動ローラーに連結された第2駆動モーターを含む媒体搬送系と、前記媒体支持部上へ搬送される前記被記録媒体の搬送方向に交差する一方の端部の形状を矯正する矯正部と、前記矯正部によって矯正された前記端部の位置を検出する検出部と、を含む検出系と、前記搬送方向に交差する方向における前記被記録媒体の搬送位置を制御する搬送位置制御系と、を備え、前記矯正部が前記被記録媒体の搬送経路を介して対向する一対の第1ガイド部を有していることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、矯正部によって間欠的に搬送される被記録媒体の端部が一対の第1ガイド部どうしの間に挿入されることにより、上記端部が被記録媒体の表裏のいずれにカールした状態であっても端部の形状を平坦化(改善)することができる。また、搬送時における被記録媒体のバタツキ(厚み方向への移動)も効果的に防止することが可能になる。これにより、検出部における被記録媒体の端部の位置を精度良く検出することができ、被記録媒体の搬送方向に交差する方向への蛇行量(変位量)を正確に把握することが可能となる。このため、搬送位置制御系において被記録媒体を所定の搬送位置に戻すことができることとなり、その結果、被記録媒体が正常に搬送されて、被記録媒体に対して正確な位置に印刷を施すことができる。
【0009】
また、前記検出部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する受光センサーおよび投光センサーを有している構成としてもよい。
【0010】
検出部は、一対の第1ガイド部によって矯正された被記録媒体の端部の位置を、投光センサーから投光された光量を受光センサーにて測定することで検出を行う。
このように、一対の第1ガイド部によって矯正された端部の位置を検出することにより、搬送方向に交差する方向への被記録媒体の蛇行量(移動量)を正確に把握することが可能となる。
【0011】
また、前記受光センサーが前記被記録媒体の記録面と対向する位置に配置され、前記投光センサーが前記記録面とは反対の裏面と対向する位置に配置される構成としてもよい。
【0012】
これによれば、メンテナンス時などにおいてユーザーが記録装置の内部を覗き込んだ際に、投光センサーからの投射光がユーザーの目に入ってしまうのを防止することができる。
【0013】
また、前記一対の第1ガイド部が板状部材からなり、前記被記録媒体の搬送面に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端側を対向させているとともに前記被記録媒体の搬送方向に沿って配置されている構成としてもよい。
【0014】
これによれば、被記録媒体の端部の搬送方向に沿う領域を部分的に改善することができるので、検出部において検出する領域のバタツキやカールが防止されて、被記録媒体の端部の位置を正確に検出することが可能となる。
【0015】
また、前記矯正部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する一対の第2ガイド部を有し、前記一対の第2ガイド部が板状部材からなり、前記被記録媒体の搬送面に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端側を対向させているとともに前記被記録媒体の搬送方向に交差する方向に沿って配置されている構成としてもよい。
【0016】
これによれば、被記録媒体の端部における搬送方向に交差する方向に沿う領域を部分的に押さえることができるので、検出部において検出する部分におけるバタツキやカールが防止される。また、第1ガイド部材とともに第2ガイド部を設けることで、被記録媒体の端部の形状をより平坦化(改善)して維持することができるので、端部位置をより精度良く検出することが可能となる。
【0017】
また、前記投光センサー及び前記受光センサーが前記一対の第1ガイド部および前記搬送経路を介して対向配置され、前記一対の第1ガイド部には前記検出部と対向する位置に開口部が設けられている構成としてもよい。
これによれば、一対の第1ガイド部に形成された開口部を介して、投光センサー及び受光センサーにより被記録媒体の端部の位置を検出することができる。
【0018】
本発明の記録装置の制御方法は、長尺状の被記録媒体を支持する媒体支持部と、前記被記録媒体に対して記録処理を施す記録処理部と、前記被記録媒体を間欠的に搬送する第1駆動ローラー及び前記第1駆動ローラーに連結された第1駆動モーター、並びに前記媒体支持部から前記被記録媒体を搬出させる第2駆動ローラー及び前記第2駆動ローラーに連結された第2駆動モーターを含む媒体搬送系と、前記媒体支持部上へ搬送される前記被記録媒体の搬送方向に交差する一方の端部の形状を矯正する矯正部と、前記矯正部によって矯正された前記端部の位置を検出する検出部と、を含む検出系と、前記搬送方向に交差する方向における前記被記録媒体の搬送位置を制御する搬送位置制御系と、を備え、前記矯正部が前記被記録媒体の搬送経路を介して対向する一対の第1ガイド部を有している記録装置の制御方法であって、前記搬送位置制御系は、前記検出部から得られる蛇行量に基づいて前記被記録媒体の前記搬送方向に交差する方向の搬送位置を制御することを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、搬送時における被記録媒体の端部の位置を検出することによって、被記録媒体の搬送方向に交差する方向における蛇行量(移動量)を検出し、この得られた蛇行量に基づいて、被記録媒体の搬送時における搬送位置を矯正する(基準位置へと戻す)制御を行うことにより、被記録媒体に対して正確な位置に印刷を施すことが可能となる。
【0020】
また、前記搬送位置制御系は、前記被記録媒体の搬送中における前記端部の位置に基づいて、前記被記録媒体の搬送位置を制御する方法としてもよい。
【0021】
被記録媒体の搬送が停止されると被記録媒体の端部のカールが大きくなってしまうため、端部の位置を正確に検出することができず、被記録媒体の正確な蛇行量(移動量)を検出することができなくなってしまう。このため、本発明においては、被記録媒体の搬送中における端部の位置の検出結果に基づいて、被記録媒体の搬送位置を制御することとした。これにより、被記録媒体を正常に搬送することが可能となり、被記録媒体に対して所望の位置に印刷を施すことが可能となる。
【0022】
また、前記検出部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する受光センサーおよび投光センサーを有し、前記投光センサーからの投射光の光量を前記受光センサーにおいて測定することによって前記被記録媒体の前記端部の位置を検出する方法としてもよい。
【0023】
これによれば、安価で容易に取り付け可能な投光センサー及び受光センサーからなる検出部を用いることで、被記録媒体の端部の位置を容易に検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態のプリンターの概略構成を示す図。
【図2】プリンターにおいて印刷を実行する印刷領域の平面図。
【図3】検出機構の構成を示す図であって、(a)は連続紙の搬送方向から見た側面図、(b)は、連続紙の搬送方向に交差する方向から見た断面図。
【図4】プリンター11の機能ブロック図。
【図5】搬送及び印刷処理に関する処理ルーチンを示すフローチャート。
【図6】搬送動作に関する処理ルーチンを示すフローチャート、また、ステップS11の詳細を示すフローチャート。
【図7】測定開始位置からの連続紙(の端部)の移動距離と受光量との関係を示すグラフ。
【図8】検出部における紙端の検出状態を示す図。
【図9】プリンターによる印刷動作の説明図。
【図10】検出機構の全体構成を示す図であって、(a)は連続紙の搬送方向から見た側面図、(b)は、連続紙の搬送方向を交差する方向から見た側面図。
【図11】ガイド部の構成を示す図。
【図12】ガイド部の構成を示す図。
【図13】検出機構の変形例を示す図。
【図14】検出機構の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて記録装置の実施の形態について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0026】
図1は、本実施形態のプリンターの概略構成を示す図である。図2は、プリンターにおいて印刷を実行する印刷領域の平面図である。図3は、検出機構の構成を示す図であって、(a)は連続紙の搬送方向から見た側面図、(b)は、連続紙の搬送方向に交差する方向から見た断面図である。
【0027】
プリンター(記録装置)11は、印刷方式として、複数の記録ヘッド36から連続紙(被記録媒体)12上に液体を噴射するインクジェット方式を採用したものであり、ロール状に巻回された長尺状の連続紙12を順次繰り出しつつ印刷処理を行い、印刷後の連続紙12を再びロール状に巻回する。
なお、本実施形態では、水平面内における連続紙12の幅方向をX方向、X方向と直交する連続紙12の搬送方向をY方向、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を設定している。
【0028】
プリンター11は、印刷処理を実行する本体部14と、本体部14に対して連続紙12を供給する繰り出し部13と、本体部14から排出される連続紙12を巻き取る巻き取り部15とを備えている。
【0029】
本体部14は本体ケース16を備えており、繰り出し部13は本体ケース16の搬送方向上流側(−Y側)に設置され、巻き取り部15は本体ケース16の搬送方向下流側(+Y側)に設置されている。本体ケース16の搬送方向上流側(−Y側)の側壁16Aに設けられた媒体供給部16aに繰り出し部13が接続される一方、搬送方向下流側(+Y側)の側壁16Bに設けられた媒体排出部16bに巻き取り部15が接続されている。
【0030】
繰り出し部13は、本体ケース16の側壁16Aの下部に取り付けられた支持板17と、支持板17に設けられた巻き軸18と、本体ケース16の媒体供給部16aに接続された繰り出し台19と、繰り出し台19の先端に設けられた中継ローラー20とを備えている。巻き軸18にロール状に巻回された連続紙12が回転可能に支持されている。巻き軸18から繰り出された連続紙12は中継ローラー20に巻き掛けられて繰り出し台19の上面に転換され、繰り出し台19の上面に沿って媒体供給部16aへ搬送される。
【0031】
巻き取り部15は、巻き取りフレーム41と、巻き取りフレーム41に設けられた中継ローラー42及び巻き取り駆動軸43とを備えている。媒体排出部16bから排出される連続紙12は中継ローラー42に巻き掛けられて巻き取り駆動軸43に案内され、巻き取り駆動軸43の回転駆動によりロール状に巻き取られる。
【0032】
本体部14の本体ケース16内には、板状の基台21が水平に設置され、基台21により本体ケース内が2つの空間に区画されている。基台21より上側の空間が連続紙12に印刷処理を施す印刷室22である。印刷室22には、基台21上に固定されたプラテン(媒体支持部)28と、プラテン28の上方に設けられた記録ヘッド(記録処理部)36と、記録ヘッド36を支持するキャリッジ35aと、キャリッジ35aを支持する2本のガイド軸35(図2参照)と、バルブユニット37とが設けられている。2本のガイド軸35は搬送方向(Y方向)に沿って互いに平行に配置され、キャリッジ35aが搬送方向に往復移動可能に構成されている。
【0033】
プラテン28は、図1および図2に示すように、上面が開口した箱状の支持台28aと、支持台28aの開口に取り付けられた載置板28bと、を有する。支持台28aは基台21上に固定されており、支持台28aと載置板28bとにより囲まれた内部が負圧室31とされている。載置板28bの支持面(媒体支持面)PL(図2)に連続紙12が載置される。
【0034】
載置板28bには、吸引ファン(吸引装置)29が接続されている。吸引ファン29により負圧室31内を吸引することで、載置板28bに形成された多数の吸引孔(図示略)を介して連続紙12に吸引力を作用させ、連続紙12を載置板28bの支持面PLに吸着させて平坦化することができる。
【0035】
プラテン28には、負圧室31内の圧力を検出する圧力検出センサー32(図4)が接続されている。圧力検出センサー32は、負圧室31内の空気圧を測定し、その検出結果を吸引ファンモータードライバー54(図2)へと出力する。
【0036】
プラテン28の搬送方向上流側(−Y側)には、複数の搬送ローラーを含む供給搬送系(媒体搬送系)が設けられている。供給搬送系は、プラテン28近傍の印刷室22内に設けられた第1搬送ローラー対25と、本体ケース16の下段側の空間に設けられた中継ローラー24と、媒体供給部16a近傍に設けられた中継ローラー23とを含む。
本実施形態における供給搬送系は、プラテン28上に連続紙12を所定の長さごとに間欠的に搬送する。
【0037】
また、本実施形態は、第1搬送ローラー対25と中継ローラー23との間に、ダンサーローラー系(バランサー)、蛇行制御系(搬送位置制御系)、および検出系を含む。
ダンサーローラー系は、連続紙12の搬送経路上に並ぶ一対の中継ローラー27,27と、これら中継ローラー27,27どうしの間に配置されるダンサーローラー61と、ダンサーローラー61に接続された変位検出部62と、を備える。
【0038】
ダンサーローラー61は、その軸部が半径方向へと揺動することで、ダンサーローラー61の前後における搬送速度変化によって連続紙12のテンションに変動が生じないように対応するものである。変位検出部62は、ダンサーローラー61の図中の矢印で示す方向への上下変動を検出するものである。
【0039】
蛇行制御系は、間欠的に搬送される連続紙12をニップする傾動ローラー対63を有する。これら傾動ローラー63a,63bは互いに対向する軸方向一端側を搬送方向上流側へ、他端側を搬送方向下流側へとそれぞれ傾動あるいは揺動させることにより、搬送方向に交差する方向への連続紙12の蛇行を防止するよう連続紙12の搬送位置を制御する。
本実施形態においては、連続紙12の端部12bの位置が基準搬送範囲からずれていた場合、所定位置へ戻すように制御する。
【0040】
検出系(検出機構70)は、非記録領域に設けられ、プラテン28上へ搬送される連続紙12の搬送方向に交差する一方の端部12bの形状を矯正する矯正部75(図3)と、矯正部75によって矯正された端部12bの位置を検出する検出部71(図3)と、を含む。検出部71において端部12bの搬送位置を検出することによって連続紙12の搬送位置、すなわち蛇行量を検出することが可能である。上記蛇行制御系は、検出部71から得られた蛇行量に基づいて、搬送方向に交差する方向における連続紙12の搬送位置を制御することとなっている。
【0041】
検出部71は、図3(a),(b)に示すように、センサ取付部72と、センサ取付部72に取り付けられた投光センサー73と受光センサー74とを有する。投光センサー73と受光センサー74とは連続紙12の搬送経路を介して互いに所定の間隔をおいて対向配置されている。具体的には、投光センサー73が連続紙12の表面(記録面)と対向する側に配置され、受光センサー74が記録面とは反対の裏面と対向する側に配置されており、投光センサー73からの光が上方へと漏れることを防止した構成となっている。
このような構成とすることで、プリンター11への連続紙12のセット時やメンテナンス時などにおいてユーザーがプリンター11内、特に連続紙12上を覗き込んだ場合に、投光センサー73から射出された光がユーザーの目に入ることを阻止できるようになっている。
【0042】
本実施形態における投光センサー73と受光センサー74との配置間隔L1は8mmに設定されているが、これに限ったものではない。
【0043】
第1搬送ローラー対25は、第1駆動ローラー25aと、第1従動ローラー25bとからなる。第1駆動ローラー25aには、図2に示すように、第1搬送モーター(第1駆動モーター)26と、第1エンコーダ26Eとが連結されている。
【0044】
供給搬送系において、繰り出し部13から媒体供給部16aを介して本体ケース16内に搬入された連続紙12は、中継ローラー23、24を経由して第1駆動ローラー25aに下方から巻き掛けられ、第1搬送ローラー対25にニップされる。そして、第1搬送モーター26により駆動される第1駆動ローラー25aの回転に伴って、第1搬送ローラー対25からプラテン28の支持面PL上に水平に繰り出される。
【0045】
一方、プラテン28の搬送方向下流側(+Y側)には、複数の搬送ローラーを含む排出搬送系(媒体搬送系)が設けられている。排出搬送系は、プラテン28に対して第1搬送ローラー対25と反対側に設けられた第2搬送ローラー対33と、本体ケース16の下段側の空間に設けられた反転ローラー38及び中継ローラー39と、媒体排出部16bの近傍に設けられた送り出しローラー40とを含む。
【0046】
第2搬送ローラー対33は、第2駆動ローラー33aと、第2従動ローラー33bとからなる。第2駆動ローラー33aには、図2に示すように、第2搬送モーター(第2駆動モーター)34と、第2エンコーダ34Eとが連結されている。なお、第2従動ローラー33bは、連続紙12の印刷面側(上面側)に配置されるため、印刷された画像の損傷を回避するために、連続紙12の幅方向(X方向)の端縁部にのみ当接する構成としてもよい。
【0047】
排出搬送系において、連続紙12をニップした第2搬送ローラー対33は、第2搬送モーター34により駆動される第2駆動ローラー33aの回転に伴ってプラテン28上から連続紙12を搬出する。第2搬送ローラー対33から繰り出された連続紙12は、反転ローラー38及び中継ローラー39を経由して送り出しローラー40へ搬送され、送り出しローラー40により媒体排出部16bを介して巻き取り部15へ繰り出される。
【0048】
本実施形態の場合、複数の記録ヘッド36は、ヘッド取付板36aを介してキャリッジ35aに取り付けられている。ヘッド取付板36aはキャリッジ35a上で媒体幅方向(X方向)に移動可能に構成されている。ヘッド取付板36aはキャリッジ35aに接続されたヘッド位置制御部35bにより位置制御可能であり、ヘッド取付板36aを媒体幅方向(X方向)に移動させることで、複数の記録ヘッド36を一体的に改行動作させることができる。記録ヘッド36は、ヘッド取付板36a上において、隣り合う記録ヘッド36が媒体搬送方向(Y方向)で互い違いに2段になるように、媒体幅方向に一定間隔に並べて配置されている。
【0049】
なお、ヘッド位置制御部35bは、記録ヘッド36の媒体幅方向(X方向)の位置制御とともに、キャリッジ35aの媒体搬送方向(Y方向;ヘッド走査方向)の位置制御を行い、連続紙12上の所望の位置に記録ヘッド36を配置することができる。
【0050】
複数の記録ヘッド36は、それぞれ図示しないインク供給チューブを介してバルブユニット37と接続されている。バルブユニット37は印刷室22内における本体ケース16の内壁に設けられており、図示しないインクタンク(インク貯留部)と接続されている。
バルブユニット37は、インクタンクから供給されるインクを一時貯留しつつ記録ヘッド36に供給する。
【0051】
記録ヘッド36の下面(ノズル形成面)には、多数のインク吐出ノズルが媒体幅方向(X方向)に列設されている。記録ヘッド36はバルブユニット37から供給されるインクをインク吐出ノズルからプラテン28上の連続紙12に向けて噴射し、印刷を行う。
なお、記録ヘッド36は、複数のインク吐出ノズル列を有していてもよい。この場合には、4色や6色のカラー印刷を行う際に、それぞれのインク吐出ノズル列に色種毎にインクを割り当てれば、1つの記録ヘッド36で複数色のインクの噴射が可能となる。
【0052】
印刷室22において、プラテン28上の領域が、インク吐出ノズルからのインク噴射により連続紙12に対して印刷が行われる印刷領域Rである。連続紙12は、上述した供給搬送系及び排出搬送系により間欠的に搬送される。具体的には、印刷領域Rに相当する長さの連続紙12が印刷を行う毎にプラテン28上にロードされ、印刷処理後に排出搬送系へ送出される。
【0053】
印刷室22内に延在するガイド軸35は、図1及び図2に示すように、印刷領域Rよりも媒体搬送方向の外側にまで延びている。これにより、キャリッジ35aは印刷領域Rの外側の領域まで移動可能とされている。印刷領域Rの媒体搬送方向上流側(−Y側)に第1メンテナンス領域R1が設けられ、媒体搬送方向下流側(+Y側)に第2メンテナンス領域R2が設けられている。
【0054】
第1メンテナンス領域R1には、メンテナンスユニット60が設けられている。メンテナンスユニット60は、例えば、個々の記録ヘッド36に対応して設けられたキャップ部材及びワイピング部材と、キャップ部材に接続されキャップ部材内部を吸引する吸引装置とを備えた構成である。
【0055】
第2メンテナンス領域R2には、メンテナンスユニットなどは設けられておらず、作業者の手や腕を挿入可能な作業空間とされている。第2メンテナンス領域R2にキャリッジ35aを配置することで上記作業空間内に記録ヘッド36のノズル形成面を露出させることができ、作業者によるノズル形成面の清拭や記録ヘッド36の交換作業などが可能となる。
【0056】
なお、印刷処理後の連続紙12は、排出搬送系内を搬送される間に自然乾燥されるが、インクを強制的に乾燥させ連続紙12に固着させるための加熱装置を備えた構成としてもよい。例えば、プラテン28に載置板28bを加熱するプラテンヒーターを備えた構成としてもよく、排出搬送系内に加熱装置内を設けた構成としてもよい。
【0057】
なお、プリンター11の本体ケース16には、連続紙12の搬送方向に交差する方向における一方の壁部側に例えば開放扉(不図示)が設けられており、メンテナンス作業時にはこの扉を開放して内部を操作できるように構成されている。よって、上記した検出部71は、本体ケース16内において上記したような開放扉が設けられた側ではなく本体ケース16の奥側、つまり、連続紙12の搬送方向に交差する方向における他方の端部12b側に配置されていることが好ましい。
【0058】
プリンター11は、紙幅の異なる多種の連続紙12に対応可能な片寄せ印刷方式が採用されている。このため、連続紙12の両端位置を検出する必要はなく、一方の端部12bの位置を検出できればよい。
検出部71は、基準搬送位置にある連続紙12の端部12b(端縁部)から幅方向内側へ5mmの位置に配置されている。
【0059】
次に、図3を参照し、検出機構70の構成を詳細に説明する。
図3(a)、(b)に示すように、矯正部75は、連続紙12の搬送経路を介して互いに所定の間隔をおいて対向する一対のガイド部(第1ガイド部)76,76を有する。これら一対のガイド部76,76は、板状部材からなり、連続紙12の搬送面(記録面)に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端76a,76a側を対向させて配置されている。各ガイド部76,76は、先端76a側が取付板部76bに対して湾曲(屈曲)形成されており、それぞれの先端76a,76aを検出部71側へ向けた状態でセンサ取付部72の壁面72aに取り付けられている。これにより、ガイド部76,76が搬送経路に沿って配置されるとともに、各々の先端76a,76aが連続紙12の端部12b側へ向けられた状態となる。
【0060】
各ガイド部76,76は、互いに連続紙12の厚み以上の距離をおいて対向配置されている。本実施形態における連続紙12の厚みは340μmである。このため、投光センサー73と受光センサー74との配置間隔L2は1mmに設定されているが、配置間隔L2はこれに限らず、連続紙12の厚み(種類)に応じて適宜設定されるものである。
【0061】
また、各ガイド部76,76の幅(連続紙12の搬送方向に沿う幅)は、検出部71における検出範囲よりも長さを有していることが好ましい。これにより、ガイド部76,76によって押さえられていない部分におけるカール状態の影響が検出部分に及ぶことが防止される。
【0062】
次に、図4はプリンター11の機能ブロック図である。
図4に示すように、プリンター11は、装置全体の駆動状態を制御するコントローラー44を備えている。コントローラー44は、中央処理装置となるCPU45、ROM46、及びRAM47を備えている。ROM46には、図5及び図6にフローチャートで示される印刷処理及び搬送処理に関する処理ルーチンのプログラム等が記憶されている。また、RAM47は、CPU45における演算結果の一時記憶領域や、外部入力装置48から入力される印刷データ等の一時記憶領域として使用される。
【0063】
コントローラー44には、ヘッドドライバー49、第1搬送モータードライバー(第1モーター制御部)50、第2搬送モータードライバー(第2モーター制御部)52、及び吸引ファンモータードライバー54、トルク検出センサー53、圧力検出センサー32、外部入力装置48、検出部(紙端検出部)71及び変位検出部62が接続されている。
【0064】
ヘッドドライバー49には、複数の記録ヘッド36、及びヘッド位置制御部35bが接続されている。コントローラー44は、印刷処理において、外部入力装置48から入力された印刷データをRAM47から読み出し、読み出した印刷データをヘッドドライバー49に送信する。ヘッドドライバー49は、コントローラー44から受信した印刷データに基づいて記録ヘッド36及びヘッド位置制御部35bを駆動し、記録ヘッド36の連続紙12上の位置を制御しつつ記録ヘッド36のインク吐出ノズルからインク滴を噴射させ、連続紙12上に画像を形成する。
【0065】
第1搬送モータードライバー50は、第1搬送モーター26に連結された第1エンコーダ26Eから出力されるカウント信号に基づいて第1搬送モーター26の回転量を検出し、第1搬送モーター26の回転量をフィードバック制御する。すなわち、第1搬送モータードライバー50は、コントローラー44から入力された所定の搬送長さに達するまで、第1搬送モーター26により第1駆動ローラー25aを回転駆動し、第1搬送ローラー対25から連続紙12をプラテン28上に繰り出す。
【0066】
一方、第2搬送モータードライバー52は、コントローラー44から入力される制御信号に基づいて、第2搬送モーター34をトルク制御により駆動する。本実施形態では、コントローラー44に第2搬送モーター34のトルクを検出するトルク検出センサー53が接続されており、コントローラー44は、トルク検出センサー53から出力される第2搬送モーター34のトルクの検出結果に基づいて、第2搬送モータードライバー52を介して第2搬送モーター34のトルクをフィードバック制御する。これにより、第2搬送モーター34のトルクに基づいた所定の張力が、第2駆動ローラー33aを介して連続紙12に付与される。
【0067】
なお、一般に、モーターは、トルクと電流とがほぼ比例関係を持つため、モーターの回転速度が一定であれば、モーターの負荷に応じて電流の大きさが決定する。すなわち、ローラーにかかる負荷に応じて、モーターの駆動に必要な電流の大きさが決定される。したがって、モーターを流れる電流の大きさを検出することにより、モーターに荷重される負荷の大きさを検出することができる。
【0068】
吸引ファンモータードライバー54は、コントローラー44から入力される制御信号に基づいて、吸引ファン29の回転軸に連結された吸引ファンモーター30を駆動制御する。吸引ファンモーター30の駆動力により吸引ファン29を所定の速度で回転させることで、回転速度に基づいた所定の吸引力で負圧室31内を減圧することができる。その結果、連続紙12に対して、負圧室31内の負圧が載置板28bに設けられた多数の吸入孔(図示略)を介してプラテン28の支持面PLに対する吸着力として作用する。
【0069】
次に、図5及び図6を参照して本実施形態のプリンター11における搬送制御及び印刷制御について説明する。図5は、搬送及び印刷処理に関する処理ルーチンを示すフローチャートである。図6は、搬送動作に関する処理ルーチンを示すフローチャートである。
コントローラー44は、搬送処理及び印刷処理に関する処理ルーチンのプログラムをROM46から読み出して実行することにより、プリンター11における搬送制御及び印刷制御を行う。
なお、図示は省略したが、コントローラー44が搬送処理及び印刷処理に関する処理ルーチンのプログラムを実行する際には、連続紙12への印刷に用いられる印刷データが外部入力装置48からRAM47に対して入力され、かかる印刷データがヘッドドライバー49を介して記録ヘッド36に供給される。
【0070】
まず、ステップS10において、コントローラー44は、吸引ファンモータードライバー54に対して制御信号を送信する。すると、吸引ファンモーター30の回転駆動に伴って吸引ファン29が回転駆動を開始することにより、負圧室31内に負圧が生成される。その結果、プラテン28の支持面PL上の連続紙12に、負圧室31内から載置板28bに形成された貫通孔(不図示)を介して吸着力が作用する。なお、この場合、連続紙12は、吸引ファン29の吸引力とほぼ等しい吸着力でプラテン28の支持面PL上に吸着される。
【0071】
続いて、コントローラー44は、負圧室31内に設けられた圧力検出センサー32からの検出信号に基づいて、負圧室31内の圧力を確認する。コントローラー44は、負圧室31内の圧力が吸引ファン29の所定の圧力値となるまで負圧室31の圧力確認を繰り返し実行する。そして、負圧室31が所定の圧力値に達したことが確認されると、吸引ファン29による減圧が完了したと判断し、本処理をステップS11に移行する。
【0072】
図6は、ステップS11の詳細を示すフローチャートである。
ステップS11では、図6に示すステップS20〜S25からなる処理ルーチンにより、連続紙12の搬送動作がなされる。図6では、連続紙12の搬送状態を中心に述べる。
図6に示すように、ステップS20において、連続紙12の搬送を開始する。具体的に、コントローラー44は、第1搬送モーター26の回転量を設定することにより、第1駆動ローラー25aによる連続紙12の搬送量(送り長さ)を設定する。第1搬送モーター26の回転量は、第1搬送モーター26の回転駆動に伴って第1駆動ローラー25aが回転駆動された場合に、第1駆動ローラー25aによる連続紙12の搬送量がプラテン28の図1左端(搬送方向下流側端部)から右端(搬送方向上流側端部)までの印刷領域Rに対応する長さとなるように設定される。第1搬送モーター26の回転量は、第1エンコーダ26E(図2)のカウント数として第1搬送モータードライバー50(図2)に入力される。
【0073】
また、コントローラー44は、本ステップS20において、第2搬送モーター34の回転量を設定する。第2搬送モーター34の回転量は、第2駆動ローラー33aからプラテン28上の連続紙12に作用する張力の大きさが、搬送時における連続紙12のばたつきを十分に抑制することができる程度の大きさとなるように設定される。第2搬送モーター34の回転量は、第2エンコーダ34E(図2)のカウント数として第2搬送モータードライバー52(図2)に入力される。
【0074】
そして、第1搬送モーター26及び第2搬送モーター34が駆動されて、第1駆動ローラー25a及び第2駆動ローラー33aによる連続紙12の搬送が開始される。巻き軸18側から繰り出された連続紙12が、搬送経路上に配置された中継ローラー20,23,24、ダンサーローラー系、蛇行制御系を介して検出機構70へ到達すると、搬送経路を介して対向配置された一対のガイド部76,76の先端76a,76aどうしの間を通過する。この際、いずれか一方のガイド部76によってカールした端部12bが押さえられて平坦な状態となる。
【0075】
本ステップにおいては、連続紙12の搬送と同時に、検出部71による連続紙12の端部12bの位置検出も開始される。上述したように、ガイド部76,76によって平坦な状態とされた端部12bの位置を検出部71において検出する。具体的には、投光センサー73と受光センサー74との間を連続紙12の端部12bが通過する際に、投光センサー73から射出された光の光量を受光センサー74において測定することによって、端部12bの位置を検出する。
【0076】
図7は、受光量4000のときの位置を測定開始位置として、当該測定開始位置からの連続紙(の端部)の移動距離と受光量との関係を示すグラフであり、図8は、検出部における紙端の検出状態を示す図である。
【0077】
図7では、検出部としてオムロン社製の光センサーを用いた。
アンプユニット…E3X−DA6TW−S(設定モード:高精度設定)
ダイバーヘッド…E32−T12R(透過系)
【0078】
また、検査対象として、複数種類の連続紙12(日本製フィルムP1、EU製フィルムP2、US製フィルムP3、US製フィルムP4)を用い、それぞれ複数回(3回)ずつ位置検出を行った。ここで、受光量が4000の場合というのは、検出部71によって連続紙12の端部12bが検出されていない状態である。つまり、連続紙12の端部12bが検出部71における検出範囲よりも外側のガイド部76,76寄りに位置している。
【0079】
図7に示すように、各連続紙12において測定開始位置からの移動距離が300μm程度まで線形性が見られる。線形の範囲内での光量範囲は約1000〜4000である。
連続紙12の端部12bの移動距離と受光センサー74における受光量とは比例関係にあり、連続紙12の端部12bが検出部71内(図8中の+Z方向)に進入してくると投光センサー73から射出される光が連続紙12によって遮られるため、受光センサー74において検出される受光量が4000から減少することになる。
【0080】
ステップS21では、検出部71における受光量が基準範囲内か否かを判断する。
ここでは、図7に示した線形範囲内における中間の光量2250を中心として、検出された光量が±450(光量:2700〜1800)の基準範囲内にあるときは、搬送位置制御系による連続紙12の蛇行抑制制御を行わない。
【0081】
しかしながら、受光量が基準範囲外(No)の場合はステップS22へ移行して、搬送位置制御系による連続紙12の搬送位置の修正を行う。具体的に、受光量が2700以上で基準範囲を超える場合は、端部12bの位置が図8中の+Z方向へ移動するように連続紙12の搬送位置を制御する。また、受光量が1800以下で基準範囲を下回る場合は、端部12bの位置が図8中の−Z方向へ移動するように連続紙12の搬送位置の制御を行う。
【0082】
そして、ステップS21へと戻り、検出部71における受光量が基準範囲内(Yes)であることが確認されると、ステップS23において、連続紙12の搬送量が所定量か否かを判断する。連続紙12の搬送量が所定量(Yes)である場合、ステップS24において第1搬送モーター26及び第2搬送モーター34が減速され、第1駆動ローラー25a及び第2駆動ローラー33aによる連続紙12の搬送が停止される。
【0083】
連続紙12は、上述した供給搬送系及び排出搬送系により間欠的に搬送される。具体的には、印刷領域R(図2)に相当する長さの連続紙12が印刷を行う毎にプラテン28上にロードされる。このように、本ステップにおいては、連続紙12を印刷領域Rに相当する長さ(具体的には、36インチ)分だけ間欠的に搬送するようにしている。
【0084】
次に、図5に示すステップS12へと移行して印刷処理を開始する。
ステップS12において、コントローラー44は、連続紙12に対する印刷処理を実行する。具体的に、コントローラー44は、連続紙12に対する印刷データをRAM47から読み出し、読み出した印刷データをヘッドドライバー49に送信する。ヘッドドライバー49は、プラテン28の支持面PL上に支持された連続紙12に対して記録ヘッド36のインク吐出ノズルからインクを噴射させることにより連続紙12に対する印刷動作を開始する。
【0085】
ここで、図9は、プリンター11による印刷動作の説明図である。図9には、印刷領域Rに配置された連続紙12の一部分と、キャリッジ35a、2本のガイド軸35、及び第1メンテナンス領域R1、第2メンテナンス領域R2の平面図が示されている。
本実施形態のプリンター11では、図9に示すように、媒体搬送方向(Y方向;ガイド軸延在方向)にキャリッジ35aを走査しながら、記録ヘッド36からインクを噴射し、連続紙12上に画像を形成する動作を、記録ヘッド36を改行しながら4回繰り返すことで、印刷領域Rの連続紙12の全面に対する印刷が行われる。
【0086】
より詳しくは、図9の走査(1)、走査(3)では、媒体搬送方向上流側(−Y側)の端部からキャリッジ35aを下流側(+Y方向)に向かって走査しつつ記録ヘッド36からインクを噴射し、走査(2)、走査(4)では、キャリッジ35aを媒体搬送方向下流側から上流側へ向かって図示−Y方向に走査しながらインクを噴射する。走査(1)〜走査(4)のそれぞれの間では、記録ヘッド36の改行動作が行われる。複数の記録ヘッド36はヘッド取付板36aを介してキャリッジ35aに取り付けられており、ヘッド取付板36aを媒体幅方向(X方向)に移動させることで、連続紙12上における記録ヘッド36の走査領域を変更する。
【0087】
ステップS12の印刷動作が完了したならば、次に、ステップS13において、コントローラー44は、連続紙12に対する印刷処理を継続するか否かを判断する。連続紙12に対する印刷処理を継続する場合には、本処理をステップS11に移行して、ステップS11からステップS12までの処理を再帰的に実行する。一方、連続紙12に対する印刷処理を終了する場合には、連続紙12に対する搬送処理及び印刷処理に関する処理ルーチンのプログラムを終了する。
【0088】
本実施形態のプリンター11は、プラテン28上に配置された連続紙12に対して記録ヘッド36を連続紙12の搬送方向にスキャンしながら印刷処理を行う方式のため、連続紙12を間欠的に搬送している。連続紙を搬送しながら印刷を行う方式の場合、連続紙12に対して常に一定のテンションがかかった状態で搬送されるため、連続紙12の蛇行、つまり、搬送方向に交差する方向への変動(移動)が生じにくい。
【0089】
しかしながら、本実施形態のプリンター11のように連続紙12を間欠的に搬送する場合、停止時と搬送時とで連続紙12にかかるテンションが一定ではないので蛇行が生じやすい。また、ダンサーローラー61の位置によって連続紙12に対するテンションが変化することで、連続紙12の搬送方向に交差する方向への蛇行や上下方向(厚み方向)へのバタツキが発生することがある。搬送時において連続紙12の蛇行やバタツキが発生すると、連続紙12に対して正確な位置に印刷を施すことができない。このため、連続紙12の搬送位置の変動を減らすための制御が必要となる。連続紙12の搬送位置の変動を抑制するためには、搬送方向における連続紙12の紙端の位置を正確に検出する必要があるが、連続紙12の種類や搬送時の状態などによって端部12bにカールが生じている場合には、紙端の位置を正確に把握することが困難となってしまう。
【0090】
本実施形態の連続紙12としてラベル印刷用紙が挙げられる。連続紙12に、後に切り抜いてラベルとして用いる多数の単位画像を印刷することにより、例えば、生鮮食品のラップフィルム上に貼り付けられるラベルを作製することがある。ラベル印刷用紙は、台紙、接着層、剥離シートの3層構造となっているのが一般的である。このようなラベル印刷用紙の種類(材質、厚み等)によっては紙端の位置が一様ではなく、表面(台紙)側にカールするもの、裏面(剥離シート)側にカールするものなど様々である。
【0091】
本実施形態のプリンター11は、連続紙12の端部12bの位置を検出する検出部71と、連続紙12の端部12bを押さえる矯正部75とを備えている。
矯正部75は、上記したような様々な種類の連続紙12に対応可能なものである。一対のガイド部76,76の先端76a,76a同士の間を連続紙12が通過する際、いずれか一方のガイド部76によってカールした端部12bが押さえられて平坦な状態となる。この状態の端部12bの位置を検出部71において検出することで、搬送経路上における連続紙12の紙端の位置、すなわち搬送位置を精度良く検出することが可能となっている。
【0092】
傾動ローラー対63を有する蛇行制御系は、検出部71からの検出結果に基づいて連続紙12の搬送位置の制御を行う。これにより、間欠的に搬送される連続紙12の蛇行が防止されて、連続紙12に対して正確な位置に印刷処理を施すことが可能になる。
【0093】
本実施形態では、検出部71により印刷処理実行中における連続紙12の端部12bの位置を随時検出しているが、検出部71によって測定された受光量が基準範囲内か否かを判断するにあたっては(ステップS21)、搬送中の検出結果のみを採用する。
印刷処理中、連続紙12が停止した状態が続くと端部12bのカールがさらに進み、検出部71における受光量が変化してしまう。このような場合は、正確な端部12bの位置を検出することができなくなってしまう。したがって、本実施形態では、連続紙12の搬送時のみの検出結果を採用することとした。
【0094】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について検出機構の構成を中心に説明する。
図10は、検出機構の全体構成を示す図であって、(a)は連続紙の搬送方向から見た側面図、(b)は、連続紙の搬送方向を交差する方向から見た側面図である。図11及び図12は、ガイド部の構成を示す図である。
図10に示すように、第2実施形態における検出機構(検出系)80は、検出部71と、連続紙12の端部12bを押さえる矯正部75、81とを含む。検出部71と矯正部75は先に述べた第1実施形態における構成と同様のため、同一符号を付し、説明を省略する。
【0095】
先の実施形態においては、矯正部75のみで連続紙12の端部12bを押さえていた。矯正部75は、一対のガイド部76,76がその幅方向(面方向)を連続紙12の搬送方向に沿わせた姿勢で設けられていることから、紙端の搬送方向に沿う領域、すなわち、連続12の長さ方向を部分的に押さえるようになっている。一対のガイド部76,76は、基準搬送位置における連続紙12の端縁から5mm程度内側に入ったとことに位置しているため、ガイド部76,76によって押さえられる部分から端縁までのカール状態が残ってしまうことがある。
そこで、本実施形態では、矯正部75よりも紙幅方向外側(端縁側)に、もう一つの矯正部81を設けた。
【0096】
上述したように、矯正部81は、矯正部75よりも紙幅方向外側の端縁側を押さえるためのもので、板状部材からなる一対のガイド部(第2ガイド部)82,83を有して構成されている。
これら一対のガイド部82,83は、板状部材からなり、連続紙12の搬送経路を介して互いに所定の間隔をおいて対向配置されている。具体的には、矯正部75のガイド部76,76どうしの配置間隔と略等しい間隔をおいて配置されており、連続紙12の搬送面に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端81a,81a側が対向している。
【0097】
図11及び図12に示すように、ガイド部82,83は左右対称の形状をなし、L字状に屈曲形成された取付板部81Aと、取付板部81Aの第1板部81cの幅方向(短辺方向)一方の側部から第1板部81cに対して傾斜した姿勢で延出する傾斜部81bと、第1板部81cの長辺方向一方の端部から第1板部81cに対して傾斜した姿勢で延出する先端81aとをそれぞれ有する。
【0098】
取付板部81Aの第1板部(基材)81cおよび第2板部(基材)81dの中央部分には、それぞれ厚さ方向を貫通するとともに、所定の開口面積を有する開口部84が形成されている。開口部84は、検出部71による端部位置検出領域よりも大きい開口面積で形成されている。ここで、検出部71による端部位置検出領域とは、投光センサー73から連続紙12に向けて照射される光の照射領域である。
【0099】
なお、開口部84の開口面積については、投光センサー73からの投射光が開口部84が形成された第1板部81c及び第2板部81dにおいて遮られない面積に設定する。
【0100】
このようなガイド部82,83は、図10に示すように、取付板部81Aをセンサ取付部72の側壁72b,72cにそれぞれ沿わせた状態で取り付けられ、先端81a,81aがそれぞれ矯正部75側(搬送方向下流側)へ向けられた状態となっている。本実施形態において連続紙12は、図10(b)のX方向に沿う矢印で示す方向へと搬送される。
【0101】
本実施形態においては、矯正部75よりも矯正部81の方が搬送方向上流側に位置している。このため、上記のように取り付けることにより、搬送されてきた連続紙12の始端側が先端81a,81aの傾斜面によってガイド部82,83どうしの間へと案内されることになるので、連続紙12がガイド部82,83間に挿入されやすくなる。また、連続紙12の端部12bのカールはガイド部82,83によって矯正されるため、搬送方向下流側に位置するガイド部76,76間にも端部12bが挿入されやすくなる。
【0102】
このように、2つの矯正部75,81によって連続紙12の端部12bにおけるカール形状がより一層解消されて、検出機構80に達した連続紙12の幅方向全体の平坦性が確保される。さらに、矯正部75,81によって連続紙12の搬送時におけるバタツキも抑えられるので、検出部71による端部12bの位置検出精度が向上して、連続紙12の蛇行量(移動量)をより正確に把握することができるようになる。これにより、連続紙12の蛇行が効率よく防止されて正常な搬送を維持することが可能になる。したがって、連続紙12に対して高精度な印刷を施すことができる。
【0103】
図13及び図14は、検出機構の変形例を示す図である。
上記した第2実施形態にあっては、矯正部75よりも搬送方向上流側に矯正部81を設置する構成について述べたが、図13に示すように、矯正部75よりも搬送方向下流側に矯正部81を設置する構成としてもよい。この場合、ガイド部82,83の先端81a,81aが搬送方向下流側に向かって湾曲していることが好ましい。これにより、連続紙12がガイド部82,83の先端どうしの間にスムーズに挿入されることとなる。
【0104】
また、図14に示すように、一対のガイド部82,83を、第1板部81c,81cどうしが対向するように配置させても良い。この構成においては、搬送経路を介して配置された投光センサー73及び受光センサー74が一対のガイド部82,83よりも外側(搬送経路よりも遠ざかる位置)でこれらと対向する位置に配置されている。
これにより、連続紙12の端部12bが面対向する第1板部81c、81cどうしの間に挟み込まれることとなり、端部12bを広い面積で押えることが可能となる。よって、紙端のカールやバタツキをより効果的に抑えることができる。
なお、検出部71による紙端位置の検出は、第1板部81c,81cに設けられた開口部84,84を通じて行われる。
【0105】
また、この構成の場合、搬送方向上流側に傾斜部84b,84bを向けた状態で設置し、傾斜部84b、84bの傾斜面によって連続紙12の始端側がガイド部82,83間に挿入されやすいようにしておくことが好ましい。
【0106】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0107】
上述の実施形態においては、記録装置として、インク等の液体を噴射する記録装置を例にして説明したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする記録装置に適用することができる。記録装置が噴射可能な液体は、機能材料の粒子が分散又は溶解されている液状体、ジェル状の流状体を含む。
【0108】
また、上述した実施形態において、記録装置から噴射される液体としては、インクのみならず、特定の用途に対応する液体を適用可能である。記録装置に、その特定の用途に対応する液体を噴射可能な噴射ヘッドを設け、その噴射ヘッドから特定の用途に対応する液体を噴射して、その液体を所定の物体に付着させることによって、所定のデバイスを製造可能である。例えば、記録装置は、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、及び面発光ディスプレイ(FED)の製造等に用いられる電極材、色材等の材料を所定の分散媒(溶媒)に分散(溶解)した液体(液状体)を噴射する記録装置に適用可能である。
【0109】
また、記録装置としては、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する記録装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する記録装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する記録装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する記録装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する記録装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の記録装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
11…プリンター(記録装置)、12…連続紙(被記録媒体)、12b…端部、25a…第1駆動ローラー、28…プラテン(媒体支持部)、33a…第2駆動ローラー、36…記録ヘッド(記録処理部)、54…吸引ファンモータードライバー(制御部)、70,80…検出機構(検出系)、71…検出部、73…投光センサー、74…受光センサー、75,81…矯正部、76…第1ガイド部、82…第2ガイド部、76a,81a…先端、PL…支持面
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の記録装置では、記録用紙等の被記録媒体に対して記録処理を行う際に、被記録媒体が記録ヘッドに対して一定の姿勢(平行)となるようにプラテンで支持する必要がある。
【0003】
特許文献1には、ラインプリント型の記録ヘッドを備えるプリンターが記載されており、長尺状の記録紙(被記録媒体)に対して、その長手方向(搬送方向)を横断する方向に記録ヘッドが往復移動されることで記録動作が実行されるものである。このプリンターにおいては、プリント幅に対応した単位搬送量だけ記録紙が搬送され、その後、印刷動作が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−313663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、連続紙のような長尺の被記録媒体を間欠的に搬送する印刷方式の場合、連続紙の搬送途中に紙幅方向への蛇行が生じることがある。この場合、連続紙に対して正確な位置に印刷を施すことができなくなってしまう。したがって、搬送時における連続紙の蛇行を防止する搬送位置の制御が必要となる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、被記録媒体の搬送時における蛇行を防止して、被記録媒体に対して正確な位置に記録を行うことのできる記録装置及びその制御方法を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の記録装置は、長尺状の被記録媒体を支持する媒体支持部と、前記被記録媒体に対して記録処理を施す記録処理部と、前記被記録媒体を間欠的に搬送する第1駆動ローラー及び前記第1駆動ローラーに連結された第1駆動モーター、並びに前記媒体支持部から前記被記録媒体を搬出させる第2駆動ローラー及び前記第2駆動ローラーに連結された第2駆動モーターを含む媒体搬送系と、前記媒体支持部上へ搬送される前記被記録媒体の搬送方向に交差する一方の端部の形状を矯正する矯正部と、前記矯正部によって矯正された前記端部の位置を検出する検出部と、を含む検出系と、前記搬送方向に交差する方向における前記被記録媒体の搬送位置を制御する搬送位置制御系と、を備え、前記矯正部が前記被記録媒体の搬送経路を介して対向する一対の第1ガイド部を有していることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、矯正部によって間欠的に搬送される被記録媒体の端部が一対の第1ガイド部どうしの間に挿入されることにより、上記端部が被記録媒体の表裏のいずれにカールした状態であっても端部の形状を平坦化(改善)することができる。また、搬送時における被記録媒体のバタツキ(厚み方向への移動)も効果的に防止することが可能になる。これにより、検出部における被記録媒体の端部の位置を精度良く検出することができ、被記録媒体の搬送方向に交差する方向への蛇行量(変位量)を正確に把握することが可能となる。このため、搬送位置制御系において被記録媒体を所定の搬送位置に戻すことができることとなり、その結果、被記録媒体が正常に搬送されて、被記録媒体に対して正確な位置に印刷を施すことができる。
【0009】
また、前記検出部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する受光センサーおよび投光センサーを有している構成としてもよい。
【0010】
検出部は、一対の第1ガイド部によって矯正された被記録媒体の端部の位置を、投光センサーから投光された光量を受光センサーにて測定することで検出を行う。
このように、一対の第1ガイド部によって矯正された端部の位置を検出することにより、搬送方向に交差する方向への被記録媒体の蛇行量(移動量)を正確に把握することが可能となる。
【0011】
また、前記受光センサーが前記被記録媒体の記録面と対向する位置に配置され、前記投光センサーが前記記録面とは反対の裏面と対向する位置に配置される構成としてもよい。
【0012】
これによれば、メンテナンス時などにおいてユーザーが記録装置の内部を覗き込んだ際に、投光センサーからの投射光がユーザーの目に入ってしまうのを防止することができる。
【0013】
また、前記一対の第1ガイド部が板状部材からなり、前記被記録媒体の搬送面に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端側を対向させているとともに前記被記録媒体の搬送方向に沿って配置されている構成としてもよい。
【0014】
これによれば、被記録媒体の端部の搬送方向に沿う領域を部分的に改善することができるので、検出部において検出する領域のバタツキやカールが防止されて、被記録媒体の端部の位置を正確に検出することが可能となる。
【0015】
また、前記矯正部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する一対の第2ガイド部を有し、前記一対の第2ガイド部が板状部材からなり、前記被記録媒体の搬送面に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端側を対向させているとともに前記被記録媒体の搬送方向に交差する方向に沿って配置されている構成としてもよい。
【0016】
これによれば、被記録媒体の端部における搬送方向に交差する方向に沿う領域を部分的に押さえることができるので、検出部において検出する部分におけるバタツキやカールが防止される。また、第1ガイド部材とともに第2ガイド部を設けることで、被記録媒体の端部の形状をより平坦化(改善)して維持することができるので、端部位置をより精度良く検出することが可能となる。
【0017】
また、前記投光センサー及び前記受光センサーが前記一対の第1ガイド部および前記搬送経路を介して対向配置され、前記一対の第1ガイド部には前記検出部と対向する位置に開口部が設けられている構成としてもよい。
これによれば、一対の第1ガイド部に形成された開口部を介して、投光センサー及び受光センサーにより被記録媒体の端部の位置を検出することができる。
【0018】
本発明の記録装置の制御方法は、長尺状の被記録媒体を支持する媒体支持部と、前記被記録媒体に対して記録処理を施す記録処理部と、前記被記録媒体を間欠的に搬送する第1駆動ローラー及び前記第1駆動ローラーに連結された第1駆動モーター、並びに前記媒体支持部から前記被記録媒体を搬出させる第2駆動ローラー及び前記第2駆動ローラーに連結された第2駆動モーターを含む媒体搬送系と、前記媒体支持部上へ搬送される前記被記録媒体の搬送方向に交差する一方の端部の形状を矯正する矯正部と、前記矯正部によって矯正された前記端部の位置を検出する検出部と、を含む検出系と、前記搬送方向に交差する方向における前記被記録媒体の搬送位置を制御する搬送位置制御系と、を備え、前記矯正部が前記被記録媒体の搬送経路を介して対向する一対の第1ガイド部を有している記録装置の制御方法であって、前記搬送位置制御系は、前記検出部から得られる蛇行量に基づいて前記被記録媒体の前記搬送方向に交差する方向の搬送位置を制御することを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、搬送時における被記録媒体の端部の位置を検出することによって、被記録媒体の搬送方向に交差する方向における蛇行量(移動量)を検出し、この得られた蛇行量に基づいて、被記録媒体の搬送時における搬送位置を矯正する(基準位置へと戻す)制御を行うことにより、被記録媒体に対して正確な位置に印刷を施すことが可能となる。
【0020】
また、前記搬送位置制御系は、前記被記録媒体の搬送中における前記端部の位置に基づいて、前記被記録媒体の搬送位置を制御する方法としてもよい。
【0021】
被記録媒体の搬送が停止されると被記録媒体の端部のカールが大きくなってしまうため、端部の位置を正確に検出することができず、被記録媒体の正確な蛇行量(移動量)を検出することができなくなってしまう。このため、本発明においては、被記録媒体の搬送中における端部の位置の検出結果に基づいて、被記録媒体の搬送位置を制御することとした。これにより、被記録媒体を正常に搬送することが可能となり、被記録媒体に対して所望の位置に印刷を施すことが可能となる。
【0022】
また、前記検出部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する受光センサーおよび投光センサーを有し、前記投光センサーからの投射光の光量を前記受光センサーにおいて測定することによって前記被記録媒体の前記端部の位置を検出する方法としてもよい。
【0023】
これによれば、安価で容易に取り付け可能な投光センサー及び受光センサーからなる検出部を用いることで、被記録媒体の端部の位置を容易に検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態のプリンターの概略構成を示す図。
【図2】プリンターにおいて印刷を実行する印刷領域の平面図。
【図3】検出機構の構成を示す図であって、(a)は連続紙の搬送方向から見た側面図、(b)は、連続紙の搬送方向に交差する方向から見た断面図。
【図4】プリンター11の機能ブロック図。
【図5】搬送及び印刷処理に関する処理ルーチンを示すフローチャート。
【図6】搬送動作に関する処理ルーチンを示すフローチャート、また、ステップS11の詳細を示すフローチャート。
【図7】測定開始位置からの連続紙(の端部)の移動距離と受光量との関係を示すグラフ。
【図8】検出部における紙端の検出状態を示す図。
【図9】プリンターによる印刷動作の説明図。
【図10】検出機構の全体構成を示す図であって、(a)は連続紙の搬送方向から見た側面図、(b)は、連続紙の搬送方向を交差する方向から見た側面図。
【図11】ガイド部の構成を示す図。
【図12】ガイド部の構成を示す図。
【図13】検出機構の変形例を示す図。
【図14】検出機構の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて記録装置の実施の形態について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0026】
図1は、本実施形態のプリンターの概略構成を示す図である。図2は、プリンターにおいて印刷を実行する印刷領域の平面図である。図3は、検出機構の構成を示す図であって、(a)は連続紙の搬送方向から見た側面図、(b)は、連続紙の搬送方向に交差する方向から見た断面図である。
【0027】
プリンター(記録装置)11は、印刷方式として、複数の記録ヘッド36から連続紙(被記録媒体)12上に液体を噴射するインクジェット方式を採用したものであり、ロール状に巻回された長尺状の連続紙12を順次繰り出しつつ印刷処理を行い、印刷後の連続紙12を再びロール状に巻回する。
なお、本実施形態では、水平面内における連続紙12の幅方向をX方向、X方向と直交する連続紙12の搬送方向をY方向、鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を設定している。
【0028】
プリンター11は、印刷処理を実行する本体部14と、本体部14に対して連続紙12を供給する繰り出し部13と、本体部14から排出される連続紙12を巻き取る巻き取り部15とを備えている。
【0029】
本体部14は本体ケース16を備えており、繰り出し部13は本体ケース16の搬送方向上流側(−Y側)に設置され、巻き取り部15は本体ケース16の搬送方向下流側(+Y側)に設置されている。本体ケース16の搬送方向上流側(−Y側)の側壁16Aに設けられた媒体供給部16aに繰り出し部13が接続される一方、搬送方向下流側(+Y側)の側壁16Bに設けられた媒体排出部16bに巻き取り部15が接続されている。
【0030】
繰り出し部13は、本体ケース16の側壁16Aの下部に取り付けられた支持板17と、支持板17に設けられた巻き軸18と、本体ケース16の媒体供給部16aに接続された繰り出し台19と、繰り出し台19の先端に設けられた中継ローラー20とを備えている。巻き軸18にロール状に巻回された連続紙12が回転可能に支持されている。巻き軸18から繰り出された連続紙12は中継ローラー20に巻き掛けられて繰り出し台19の上面に転換され、繰り出し台19の上面に沿って媒体供給部16aへ搬送される。
【0031】
巻き取り部15は、巻き取りフレーム41と、巻き取りフレーム41に設けられた中継ローラー42及び巻き取り駆動軸43とを備えている。媒体排出部16bから排出される連続紙12は中継ローラー42に巻き掛けられて巻き取り駆動軸43に案内され、巻き取り駆動軸43の回転駆動によりロール状に巻き取られる。
【0032】
本体部14の本体ケース16内には、板状の基台21が水平に設置され、基台21により本体ケース内が2つの空間に区画されている。基台21より上側の空間が連続紙12に印刷処理を施す印刷室22である。印刷室22には、基台21上に固定されたプラテン(媒体支持部)28と、プラテン28の上方に設けられた記録ヘッド(記録処理部)36と、記録ヘッド36を支持するキャリッジ35aと、キャリッジ35aを支持する2本のガイド軸35(図2参照)と、バルブユニット37とが設けられている。2本のガイド軸35は搬送方向(Y方向)に沿って互いに平行に配置され、キャリッジ35aが搬送方向に往復移動可能に構成されている。
【0033】
プラテン28は、図1および図2に示すように、上面が開口した箱状の支持台28aと、支持台28aの開口に取り付けられた載置板28bと、を有する。支持台28aは基台21上に固定されており、支持台28aと載置板28bとにより囲まれた内部が負圧室31とされている。載置板28bの支持面(媒体支持面)PL(図2)に連続紙12が載置される。
【0034】
載置板28bには、吸引ファン(吸引装置)29が接続されている。吸引ファン29により負圧室31内を吸引することで、載置板28bに形成された多数の吸引孔(図示略)を介して連続紙12に吸引力を作用させ、連続紙12を載置板28bの支持面PLに吸着させて平坦化することができる。
【0035】
プラテン28には、負圧室31内の圧力を検出する圧力検出センサー32(図4)が接続されている。圧力検出センサー32は、負圧室31内の空気圧を測定し、その検出結果を吸引ファンモータードライバー54(図2)へと出力する。
【0036】
プラテン28の搬送方向上流側(−Y側)には、複数の搬送ローラーを含む供給搬送系(媒体搬送系)が設けられている。供給搬送系は、プラテン28近傍の印刷室22内に設けられた第1搬送ローラー対25と、本体ケース16の下段側の空間に設けられた中継ローラー24と、媒体供給部16a近傍に設けられた中継ローラー23とを含む。
本実施形態における供給搬送系は、プラテン28上に連続紙12を所定の長さごとに間欠的に搬送する。
【0037】
また、本実施形態は、第1搬送ローラー対25と中継ローラー23との間に、ダンサーローラー系(バランサー)、蛇行制御系(搬送位置制御系)、および検出系を含む。
ダンサーローラー系は、連続紙12の搬送経路上に並ぶ一対の中継ローラー27,27と、これら中継ローラー27,27どうしの間に配置されるダンサーローラー61と、ダンサーローラー61に接続された変位検出部62と、を備える。
【0038】
ダンサーローラー61は、その軸部が半径方向へと揺動することで、ダンサーローラー61の前後における搬送速度変化によって連続紙12のテンションに変動が生じないように対応するものである。変位検出部62は、ダンサーローラー61の図中の矢印で示す方向への上下変動を検出するものである。
【0039】
蛇行制御系は、間欠的に搬送される連続紙12をニップする傾動ローラー対63を有する。これら傾動ローラー63a,63bは互いに対向する軸方向一端側を搬送方向上流側へ、他端側を搬送方向下流側へとそれぞれ傾動あるいは揺動させることにより、搬送方向に交差する方向への連続紙12の蛇行を防止するよう連続紙12の搬送位置を制御する。
本実施形態においては、連続紙12の端部12bの位置が基準搬送範囲からずれていた場合、所定位置へ戻すように制御する。
【0040】
検出系(検出機構70)は、非記録領域に設けられ、プラテン28上へ搬送される連続紙12の搬送方向に交差する一方の端部12bの形状を矯正する矯正部75(図3)と、矯正部75によって矯正された端部12bの位置を検出する検出部71(図3)と、を含む。検出部71において端部12bの搬送位置を検出することによって連続紙12の搬送位置、すなわち蛇行量を検出することが可能である。上記蛇行制御系は、検出部71から得られた蛇行量に基づいて、搬送方向に交差する方向における連続紙12の搬送位置を制御することとなっている。
【0041】
検出部71は、図3(a),(b)に示すように、センサ取付部72と、センサ取付部72に取り付けられた投光センサー73と受光センサー74とを有する。投光センサー73と受光センサー74とは連続紙12の搬送経路を介して互いに所定の間隔をおいて対向配置されている。具体的には、投光センサー73が連続紙12の表面(記録面)と対向する側に配置され、受光センサー74が記録面とは反対の裏面と対向する側に配置されており、投光センサー73からの光が上方へと漏れることを防止した構成となっている。
このような構成とすることで、プリンター11への連続紙12のセット時やメンテナンス時などにおいてユーザーがプリンター11内、特に連続紙12上を覗き込んだ場合に、投光センサー73から射出された光がユーザーの目に入ることを阻止できるようになっている。
【0042】
本実施形態における投光センサー73と受光センサー74との配置間隔L1は8mmに設定されているが、これに限ったものではない。
【0043】
第1搬送ローラー対25は、第1駆動ローラー25aと、第1従動ローラー25bとからなる。第1駆動ローラー25aには、図2に示すように、第1搬送モーター(第1駆動モーター)26と、第1エンコーダ26Eとが連結されている。
【0044】
供給搬送系において、繰り出し部13から媒体供給部16aを介して本体ケース16内に搬入された連続紙12は、中継ローラー23、24を経由して第1駆動ローラー25aに下方から巻き掛けられ、第1搬送ローラー対25にニップされる。そして、第1搬送モーター26により駆動される第1駆動ローラー25aの回転に伴って、第1搬送ローラー対25からプラテン28の支持面PL上に水平に繰り出される。
【0045】
一方、プラテン28の搬送方向下流側(+Y側)には、複数の搬送ローラーを含む排出搬送系(媒体搬送系)が設けられている。排出搬送系は、プラテン28に対して第1搬送ローラー対25と反対側に設けられた第2搬送ローラー対33と、本体ケース16の下段側の空間に設けられた反転ローラー38及び中継ローラー39と、媒体排出部16bの近傍に設けられた送り出しローラー40とを含む。
【0046】
第2搬送ローラー対33は、第2駆動ローラー33aと、第2従動ローラー33bとからなる。第2駆動ローラー33aには、図2に示すように、第2搬送モーター(第2駆動モーター)34と、第2エンコーダ34Eとが連結されている。なお、第2従動ローラー33bは、連続紙12の印刷面側(上面側)に配置されるため、印刷された画像の損傷を回避するために、連続紙12の幅方向(X方向)の端縁部にのみ当接する構成としてもよい。
【0047】
排出搬送系において、連続紙12をニップした第2搬送ローラー対33は、第2搬送モーター34により駆動される第2駆動ローラー33aの回転に伴ってプラテン28上から連続紙12を搬出する。第2搬送ローラー対33から繰り出された連続紙12は、反転ローラー38及び中継ローラー39を経由して送り出しローラー40へ搬送され、送り出しローラー40により媒体排出部16bを介して巻き取り部15へ繰り出される。
【0048】
本実施形態の場合、複数の記録ヘッド36は、ヘッド取付板36aを介してキャリッジ35aに取り付けられている。ヘッド取付板36aはキャリッジ35a上で媒体幅方向(X方向)に移動可能に構成されている。ヘッド取付板36aはキャリッジ35aに接続されたヘッド位置制御部35bにより位置制御可能であり、ヘッド取付板36aを媒体幅方向(X方向)に移動させることで、複数の記録ヘッド36を一体的に改行動作させることができる。記録ヘッド36は、ヘッド取付板36a上において、隣り合う記録ヘッド36が媒体搬送方向(Y方向)で互い違いに2段になるように、媒体幅方向に一定間隔に並べて配置されている。
【0049】
なお、ヘッド位置制御部35bは、記録ヘッド36の媒体幅方向(X方向)の位置制御とともに、キャリッジ35aの媒体搬送方向(Y方向;ヘッド走査方向)の位置制御を行い、連続紙12上の所望の位置に記録ヘッド36を配置することができる。
【0050】
複数の記録ヘッド36は、それぞれ図示しないインク供給チューブを介してバルブユニット37と接続されている。バルブユニット37は印刷室22内における本体ケース16の内壁に設けられており、図示しないインクタンク(インク貯留部)と接続されている。
バルブユニット37は、インクタンクから供給されるインクを一時貯留しつつ記録ヘッド36に供給する。
【0051】
記録ヘッド36の下面(ノズル形成面)には、多数のインク吐出ノズルが媒体幅方向(X方向)に列設されている。記録ヘッド36はバルブユニット37から供給されるインクをインク吐出ノズルからプラテン28上の連続紙12に向けて噴射し、印刷を行う。
なお、記録ヘッド36は、複数のインク吐出ノズル列を有していてもよい。この場合には、4色や6色のカラー印刷を行う際に、それぞれのインク吐出ノズル列に色種毎にインクを割り当てれば、1つの記録ヘッド36で複数色のインクの噴射が可能となる。
【0052】
印刷室22において、プラテン28上の領域が、インク吐出ノズルからのインク噴射により連続紙12に対して印刷が行われる印刷領域Rである。連続紙12は、上述した供給搬送系及び排出搬送系により間欠的に搬送される。具体的には、印刷領域Rに相当する長さの連続紙12が印刷を行う毎にプラテン28上にロードされ、印刷処理後に排出搬送系へ送出される。
【0053】
印刷室22内に延在するガイド軸35は、図1及び図2に示すように、印刷領域Rよりも媒体搬送方向の外側にまで延びている。これにより、キャリッジ35aは印刷領域Rの外側の領域まで移動可能とされている。印刷領域Rの媒体搬送方向上流側(−Y側)に第1メンテナンス領域R1が設けられ、媒体搬送方向下流側(+Y側)に第2メンテナンス領域R2が設けられている。
【0054】
第1メンテナンス領域R1には、メンテナンスユニット60が設けられている。メンテナンスユニット60は、例えば、個々の記録ヘッド36に対応して設けられたキャップ部材及びワイピング部材と、キャップ部材に接続されキャップ部材内部を吸引する吸引装置とを備えた構成である。
【0055】
第2メンテナンス領域R2には、メンテナンスユニットなどは設けられておらず、作業者の手や腕を挿入可能な作業空間とされている。第2メンテナンス領域R2にキャリッジ35aを配置することで上記作業空間内に記録ヘッド36のノズル形成面を露出させることができ、作業者によるノズル形成面の清拭や記録ヘッド36の交換作業などが可能となる。
【0056】
なお、印刷処理後の連続紙12は、排出搬送系内を搬送される間に自然乾燥されるが、インクを強制的に乾燥させ連続紙12に固着させるための加熱装置を備えた構成としてもよい。例えば、プラテン28に載置板28bを加熱するプラテンヒーターを備えた構成としてもよく、排出搬送系内に加熱装置内を設けた構成としてもよい。
【0057】
なお、プリンター11の本体ケース16には、連続紙12の搬送方向に交差する方向における一方の壁部側に例えば開放扉(不図示)が設けられており、メンテナンス作業時にはこの扉を開放して内部を操作できるように構成されている。よって、上記した検出部71は、本体ケース16内において上記したような開放扉が設けられた側ではなく本体ケース16の奥側、つまり、連続紙12の搬送方向に交差する方向における他方の端部12b側に配置されていることが好ましい。
【0058】
プリンター11は、紙幅の異なる多種の連続紙12に対応可能な片寄せ印刷方式が採用されている。このため、連続紙12の両端位置を検出する必要はなく、一方の端部12bの位置を検出できればよい。
検出部71は、基準搬送位置にある連続紙12の端部12b(端縁部)から幅方向内側へ5mmの位置に配置されている。
【0059】
次に、図3を参照し、検出機構70の構成を詳細に説明する。
図3(a)、(b)に示すように、矯正部75は、連続紙12の搬送経路を介して互いに所定の間隔をおいて対向する一対のガイド部(第1ガイド部)76,76を有する。これら一対のガイド部76,76は、板状部材からなり、連続紙12の搬送面(記録面)に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端76a,76a側を対向させて配置されている。各ガイド部76,76は、先端76a側が取付板部76bに対して湾曲(屈曲)形成されており、それぞれの先端76a,76aを検出部71側へ向けた状態でセンサ取付部72の壁面72aに取り付けられている。これにより、ガイド部76,76が搬送経路に沿って配置されるとともに、各々の先端76a,76aが連続紙12の端部12b側へ向けられた状態となる。
【0060】
各ガイド部76,76は、互いに連続紙12の厚み以上の距離をおいて対向配置されている。本実施形態における連続紙12の厚みは340μmである。このため、投光センサー73と受光センサー74との配置間隔L2は1mmに設定されているが、配置間隔L2はこれに限らず、連続紙12の厚み(種類)に応じて適宜設定されるものである。
【0061】
また、各ガイド部76,76の幅(連続紙12の搬送方向に沿う幅)は、検出部71における検出範囲よりも長さを有していることが好ましい。これにより、ガイド部76,76によって押さえられていない部分におけるカール状態の影響が検出部分に及ぶことが防止される。
【0062】
次に、図4はプリンター11の機能ブロック図である。
図4に示すように、プリンター11は、装置全体の駆動状態を制御するコントローラー44を備えている。コントローラー44は、中央処理装置となるCPU45、ROM46、及びRAM47を備えている。ROM46には、図5及び図6にフローチャートで示される印刷処理及び搬送処理に関する処理ルーチンのプログラム等が記憶されている。また、RAM47は、CPU45における演算結果の一時記憶領域や、外部入力装置48から入力される印刷データ等の一時記憶領域として使用される。
【0063】
コントローラー44には、ヘッドドライバー49、第1搬送モータードライバー(第1モーター制御部)50、第2搬送モータードライバー(第2モーター制御部)52、及び吸引ファンモータードライバー54、トルク検出センサー53、圧力検出センサー32、外部入力装置48、検出部(紙端検出部)71及び変位検出部62が接続されている。
【0064】
ヘッドドライバー49には、複数の記録ヘッド36、及びヘッド位置制御部35bが接続されている。コントローラー44は、印刷処理において、外部入力装置48から入力された印刷データをRAM47から読み出し、読み出した印刷データをヘッドドライバー49に送信する。ヘッドドライバー49は、コントローラー44から受信した印刷データに基づいて記録ヘッド36及びヘッド位置制御部35bを駆動し、記録ヘッド36の連続紙12上の位置を制御しつつ記録ヘッド36のインク吐出ノズルからインク滴を噴射させ、連続紙12上に画像を形成する。
【0065】
第1搬送モータードライバー50は、第1搬送モーター26に連結された第1エンコーダ26Eから出力されるカウント信号に基づいて第1搬送モーター26の回転量を検出し、第1搬送モーター26の回転量をフィードバック制御する。すなわち、第1搬送モータードライバー50は、コントローラー44から入力された所定の搬送長さに達するまで、第1搬送モーター26により第1駆動ローラー25aを回転駆動し、第1搬送ローラー対25から連続紙12をプラテン28上に繰り出す。
【0066】
一方、第2搬送モータードライバー52は、コントローラー44から入力される制御信号に基づいて、第2搬送モーター34をトルク制御により駆動する。本実施形態では、コントローラー44に第2搬送モーター34のトルクを検出するトルク検出センサー53が接続されており、コントローラー44は、トルク検出センサー53から出力される第2搬送モーター34のトルクの検出結果に基づいて、第2搬送モータードライバー52を介して第2搬送モーター34のトルクをフィードバック制御する。これにより、第2搬送モーター34のトルクに基づいた所定の張力が、第2駆動ローラー33aを介して連続紙12に付与される。
【0067】
なお、一般に、モーターは、トルクと電流とがほぼ比例関係を持つため、モーターの回転速度が一定であれば、モーターの負荷に応じて電流の大きさが決定する。すなわち、ローラーにかかる負荷に応じて、モーターの駆動に必要な電流の大きさが決定される。したがって、モーターを流れる電流の大きさを検出することにより、モーターに荷重される負荷の大きさを検出することができる。
【0068】
吸引ファンモータードライバー54は、コントローラー44から入力される制御信号に基づいて、吸引ファン29の回転軸に連結された吸引ファンモーター30を駆動制御する。吸引ファンモーター30の駆動力により吸引ファン29を所定の速度で回転させることで、回転速度に基づいた所定の吸引力で負圧室31内を減圧することができる。その結果、連続紙12に対して、負圧室31内の負圧が載置板28bに設けられた多数の吸入孔(図示略)を介してプラテン28の支持面PLに対する吸着力として作用する。
【0069】
次に、図5及び図6を参照して本実施形態のプリンター11における搬送制御及び印刷制御について説明する。図5は、搬送及び印刷処理に関する処理ルーチンを示すフローチャートである。図6は、搬送動作に関する処理ルーチンを示すフローチャートである。
コントローラー44は、搬送処理及び印刷処理に関する処理ルーチンのプログラムをROM46から読み出して実行することにより、プリンター11における搬送制御及び印刷制御を行う。
なお、図示は省略したが、コントローラー44が搬送処理及び印刷処理に関する処理ルーチンのプログラムを実行する際には、連続紙12への印刷に用いられる印刷データが外部入力装置48からRAM47に対して入力され、かかる印刷データがヘッドドライバー49を介して記録ヘッド36に供給される。
【0070】
まず、ステップS10において、コントローラー44は、吸引ファンモータードライバー54に対して制御信号を送信する。すると、吸引ファンモーター30の回転駆動に伴って吸引ファン29が回転駆動を開始することにより、負圧室31内に負圧が生成される。その結果、プラテン28の支持面PL上の連続紙12に、負圧室31内から載置板28bに形成された貫通孔(不図示)を介して吸着力が作用する。なお、この場合、連続紙12は、吸引ファン29の吸引力とほぼ等しい吸着力でプラテン28の支持面PL上に吸着される。
【0071】
続いて、コントローラー44は、負圧室31内に設けられた圧力検出センサー32からの検出信号に基づいて、負圧室31内の圧力を確認する。コントローラー44は、負圧室31内の圧力が吸引ファン29の所定の圧力値となるまで負圧室31の圧力確認を繰り返し実行する。そして、負圧室31が所定の圧力値に達したことが確認されると、吸引ファン29による減圧が完了したと判断し、本処理をステップS11に移行する。
【0072】
図6は、ステップS11の詳細を示すフローチャートである。
ステップS11では、図6に示すステップS20〜S25からなる処理ルーチンにより、連続紙12の搬送動作がなされる。図6では、連続紙12の搬送状態を中心に述べる。
図6に示すように、ステップS20において、連続紙12の搬送を開始する。具体的に、コントローラー44は、第1搬送モーター26の回転量を設定することにより、第1駆動ローラー25aによる連続紙12の搬送量(送り長さ)を設定する。第1搬送モーター26の回転量は、第1搬送モーター26の回転駆動に伴って第1駆動ローラー25aが回転駆動された場合に、第1駆動ローラー25aによる連続紙12の搬送量がプラテン28の図1左端(搬送方向下流側端部)から右端(搬送方向上流側端部)までの印刷領域Rに対応する長さとなるように設定される。第1搬送モーター26の回転量は、第1エンコーダ26E(図2)のカウント数として第1搬送モータードライバー50(図2)に入力される。
【0073】
また、コントローラー44は、本ステップS20において、第2搬送モーター34の回転量を設定する。第2搬送モーター34の回転量は、第2駆動ローラー33aからプラテン28上の連続紙12に作用する張力の大きさが、搬送時における連続紙12のばたつきを十分に抑制することができる程度の大きさとなるように設定される。第2搬送モーター34の回転量は、第2エンコーダ34E(図2)のカウント数として第2搬送モータードライバー52(図2)に入力される。
【0074】
そして、第1搬送モーター26及び第2搬送モーター34が駆動されて、第1駆動ローラー25a及び第2駆動ローラー33aによる連続紙12の搬送が開始される。巻き軸18側から繰り出された連続紙12が、搬送経路上に配置された中継ローラー20,23,24、ダンサーローラー系、蛇行制御系を介して検出機構70へ到達すると、搬送経路を介して対向配置された一対のガイド部76,76の先端76a,76aどうしの間を通過する。この際、いずれか一方のガイド部76によってカールした端部12bが押さえられて平坦な状態となる。
【0075】
本ステップにおいては、連続紙12の搬送と同時に、検出部71による連続紙12の端部12bの位置検出も開始される。上述したように、ガイド部76,76によって平坦な状態とされた端部12bの位置を検出部71において検出する。具体的には、投光センサー73と受光センサー74との間を連続紙12の端部12bが通過する際に、投光センサー73から射出された光の光量を受光センサー74において測定することによって、端部12bの位置を検出する。
【0076】
図7は、受光量4000のときの位置を測定開始位置として、当該測定開始位置からの連続紙(の端部)の移動距離と受光量との関係を示すグラフであり、図8は、検出部における紙端の検出状態を示す図である。
【0077】
図7では、検出部としてオムロン社製の光センサーを用いた。
アンプユニット…E3X−DA6TW−S(設定モード:高精度設定)
ダイバーヘッド…E32−T12R(透過系)
【0078】
また、検査対象として、複数種類の連続紙12(日本製フィルムP1、EU製フィルムP2、US製フィルムP3、US製フィルムP4)を用い、それぞれ複数回(3回)ずつ位置検出を行った。ここで、受光量が4000の場合というのは、検出部71によって連続紙12の端部12bが検出されていない状態である。つまり、連続紙12の端部12bが検出部71における検出範囲よりも外側のガイド部76,76寄りに位置している。
【0079】
図7に示すように、各連続紙12において測定開始位置からの移動距離が300μm程度まで線形性が見られる。線形の範囲内での光量範囲は約1000〜4000である。
連続紙12の端部12bの移動距離と受光センサー74における受光量とは比例関係にあり、連続紙12の端部12bが検出部71内(図8中の+Z方向)に進入してくると投光センサー73から射出される光が連続紙12によって遮られるため、受光センサー74において検出される受光量が4000から減少することになる。
【0080】
ステップS21では、検出部71における受光量が基準範囲内か否かを判断する。
ここでは、図7に示した線形範囲内における中間の光量2250を中心として、検出された光量が±450(光量:2700〜1800)の基準範囲内にあるときは、搬送位置制御系による連続紙12の蛇行抑制制御を行わない。
【0081】
しかしながら、受光量が基準範囲外(No)の場合はステップS22へ移行して、搬送位置制御系による連続紙12の搬送位置の修正を行う。具体的に、受光量が2700以上で基準範囲を超える場合は、端部12bの位置が図8中の+Z方向へ移動するように連続紙12の搬送位置を制御する。また、受光量が1800以下で基準範囲を下回る場合は、端部12bの位置が図8中の−Z方向へ移動するように連続紙12の搬送位置の制御を行う。
【0082】
そして、ステップS21へと戻り、検出部71における受光量が基準範囲内(Yes)であることが確認されると、ステップS23において、連続紙12の搬送量が所定量か否かを判断する。連続紙12の搬送量が所定量(Yes)である場合、ステップS24において第1搬送モーター26及び第2搬送モーター34が減速され、第1駆動ローラー25a及び第2駆動ローラー33aによる連続紙12の搬送が停止される。
【0083】
連続紙12は、上述した供給搬送系及び排出搬送系により間欠的に搬送される。具体的には、印刷領域R(図2)に相当する長さの連続紙12が印刷を行う毎にプラテン28上にロードされる。このように、本ステップにおいては、連続紙12を印刷領域Rに相当する長さ(具体的には、36インチ)分だけ間欠的に搬送するようにしている。
【0084】
次に、図5に示すステップS12へと移行して印刷処理を開始する。
ステップS12において、コントローラー44は、連続紙12に対する印刷処理を実行する。具体的に、コントローラー44は、連続紙12に対する印刷データをRAM47から読み出し、読み出した印刷データをヘッドドライバー49に送信する。ヘッドドライバー49は、プラテン28の支持面PL上に支持された連続紙12に対して記録ヘッド36のインク吐出ノズルからインクを噴射させることにより連続紙12に対する印刷動作を開始する。
【0085】
ここで、図9は、プリンター11による印刷動作の説明図である。図9には、印刷領域Rに配置された連続紙12の一部分と、キャリッジ35a、2本のガイド軸35、及び第1メンテナンス領域R1、第2メンテナンス領域R2の平面図が示されている。
本実施形態のプリンター11では、図9に示すように、媒体搬送方向(Y方向;ガイド軸延在方向)にキャリッジ35aを走査しながら、記録ヘッド36からインクを噴射し、連続紙12上に画像を形成する動作を、記録ヘッド36を改行しながら4回繰り返すことで、印刷領域Rの連続紙12の全面に対する印刷が行われる。
【0086】
より詳しくは、図9の走査(1)、走査(3)では、媒体搬送方向上流側(−Y側)の端部からキャリッジ35aを下流側(+Y方向)に向かって走査しつつ記録ヘッド36からインクを噴射し、走査(2)、走査(4)では、キャリッジ35aを媒体搬送方向下流側から上流側へ向かって図示−Y方向に走査しながらインクを噴射する。走査(1)〜走査(4)のそれぞれの間では、記録ヘッド36の改行動作が行われる。複数の記録ヘッド36はヘッド取付板36aを介してキャリッジ35aに取り付けられており、ヘッド取付板36aを媒体幅方向(X方向)に移動させることで、連続紙12上における記録ヘッド36の走査領域を変更する。
【0087】
ステップS12の印刷動作が完了したならば、次に、ステップS13において、コントローラー44は、連続紙12に対する印刷処理を継続するか否かを判断する。連続紙12に対する印刷処理を継続する場合には、本処理をステップS11に移行して、ステップS11からステップS12までの処理を再帰的に実行する。一方、連続紙12に対する印刷処理を終了する場合には、連続紙12に対する搬送処理及び印刷処理に関する処理ルーチンのプログラムを終了する。
【0088】
本実施形態のプリンター11は、プラテン28上に配置された連続紙12に対して記録ヘッド36を連続紙12の搬送方向にスキャンしながら印刷処理を行う方式のため、連続紙12を間欠的に搬送している。連続紙を搬送しながら印刷を行う方式の場合、連続紙12に対して常に一定のテンションがかかった状態で搬送されるため、連続紙12の蛇行、つまり、搬送方向に交差する方向への変動(移動)が生じにくい。
【0089】
しかしながら、本実施形態のプリンター11のように連続紙12を間欠的に搬送する場合、停止時と搬送時とで連続紙12にかかるテンションが一定ではないので蛇行が生じやすい。また、ダンサーローラー61の位置によって連続紙12に対するテンションが変化することで、連続紙12の搬送方向に交差する方向への蛇行や上下方向(厚み方向)へのバタツキが発生することがある。搬送時において連続紙12の蛇行やバタツキが発生すると、連続紙12に対して正確な位置に印刷を施すことができない。このため、連続紙12の搬送位置の変動を減らすための制御が必要となる。連続紙12の搬送位置の変動を抑制するためには、搬送方向における連続紙12の紙端の位置を正確に検出する必要があるが、連続紙12の種類や搬送時の状態などによって端部12bにカールが生じている場合には、紙端の位置を正確に把握することが困難となってしまう。
【0090】
本実施形態の連続紙12としてラベル印刷用紙が挙げられる。連続紙12に、後に切り抜いてラベルとして用いる多数の単位画像を印刷することにより、例えば、生鮮食品のラップフィルム上に貼り付けられるラベルを作製することがある。ラベル印刷用紙は、台紙、接着層、剥離シートの3層構造となっているのが一般的である。このようなラベル印刷用紙の種類(材質、厚み等)によっては紙端の位置が一様ではなく、表面(台紙)側にカールするもの、裏面(剥離シート)側にカールするものなど様々である。
【0091】
本実施形態のプリンター11は、連続紙12の端部12bの位置を検出する検出部71と、連続紙12の端部12bを押さえる矯正部75とを備えている。
矯正部75は、上記したような様々な種類の連続紙12に対応可能なものである。一対のガイド部76,76の先端76a,76a同士の間を連続紙12が通過する際、いずれか一方のガイド部76によってカールした端部12bが押さえられて平坦な状態となる。この状態の端部12bの位置を検出部71において検出することで、搬送経路上における連続紙12の紙端の位置、すなわち搬送位置を精度良く検出することが可能となっている。
【0092】
傾動ローラー対63を有する蛇行制御系は、検出部71からの検出結果に基づいて連続紙12の搬送位置の制御を行う。これにより、間欠的に搬送される連続紙12の蛇行が防止されて、連続紙12に対して正確な位置に印刷処理を施すことが可能になる。
【0093】
本実施形態では、検出部71により印刷処理実行中における連続紙12の端部12bの位置を随時検出しているが、検出部71によって測定された受光量が基準範囲内か否かを判断するにあたっては(ステップS21)、搬送中の検出結果のみを採用する。
印刷処理中、連続紙12が停止した状態が続くと端部12bのカールがさらに進み、検出部71における受光量が変化してしまう。このような場合は、正確な端部12bの位置を検出することができなくなってしまう。したがって、本実施形態では、連続紙12の搬送時のみの検出結果を採用することとした。
【0094】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について検出機構の構成を中心に説明する。
図10は、検出機構の全体構成を示す図であって、(a)は連続紙の搬送方向から見た側面図、(b)は、連続紙の搬送方向を交差する方向から見た側面図である。図11及び図12は、ガイド部の構成を示す図である。
図10に示すように、第2実施形態における検出機構(検出系)80は、検出部71と、連続紙12の端部12bを押さえる矯正部75、81とを含む。検出部71と矯正部75は先に述べた第1実施形態における構成と同様のため、同一符号を付し、説明を省略する。
【0095】
先の実施形態においては、矯正部75のみで連続紙12の端部12bを押さえていた。矯正部75は、一対のガイド部76,76がその幅方向(面方向)を連続紙12の搬送方向に沿わせた姿勢で設けられていることから、紙端の搬送方向に沿う領域、すなわち、連続12の長さ方向を部分的に押さえるようになっている。一対のガイド部76,76は、基準搬送位置における連続紙12の端縁から5mm程度内側に入ったとことに位置しているため、ガイド部76,76によって押さえられる部分から端縁までのカール状態が残ってしまうことがある。
そこで、本実施形態では、矯正部75よりも紙幅方向外側(端縁側)に、もう一つの矯正部81を設けた。
【0096】
上述したように、矯正部81は、矯正部75よりも紙幅方向外側の端縁側を押さえるためのもので、板状部材からなる一対のガイド部(第2ガイド部)82,83を有して構成されている。
これら一対のガイド部82,83は、板状部材からなり、連続紙12の搬送経路を介して互いに所定の間隔をおいて対向配置されている。具体的には、矯正部75のガイド部76,76どうしの配置間隔と略等しい間隔をおいて配置されており、連続紙12の搬送面に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端81a,81a側が対向している。
【0097】
図11及び図12に示すように、ガイド部82,83は左右対称の形状をなし、L字状に屈曲形成された取付板部81Aと、取付板部81Aの第1板部81cの幅方向(短辺方向)一方の側部から第1板部81cに対して傾斜した姿勢で延出する傾斜部81bと、第1板部81cの長辺方向一方の端部から第1板部81cに対して傾斜した姿勢で延出する先端81aとをそれぞれ有する。
【0098】
取付板部81Aの第1板部(基材)81cおよび第2板部(基材)81dの中央部分には、それぞれ厚さ方向を貫通するとともに、所定の開口面積を有する開口部84が形成されている。開口部84は、検出部71による端部位置検出領域よりも大きい開口面積で形成されている。ここで、検出部71による端部位置検出領域とは、投光センサー73から連続紙12に向けて照射される光の照射領域である。
【0099】
なお、開口部84の開口面積については、投光センサー73からの投射光が開口部84が形成された第1板部81c及び第2板部81dにおいて遮られない面積に設定する。
【0100】
このようなガイド部82,83は、図10に示すように、取付板部81Aをセンサ取付部72の側壁72b,72cにそれぞれ沿わせた状態で取り付けられ、先端81a,81aがそれぞれ矯正部75側(搬送方向下流側)へ向けられた状態となっている。本実施形態において連続紙12は、図10(b)のX方向に沿う矢印で示す方向へと搬送される。
【0101】
本実施形態においては、矯正部75よりも矯正部81の方が搬送方向上流側に位置している。このため、上記のように取り付けることにより、搬送されてきた連続紙12の始端側が先端81a,81aの傾斜面によってガイド部82,83どうしの間へと案内されることになるので、連続紙12がガイド部82,83間に挿入されやすくなる。また、連続紙12の端部12bのカールはガイド部82,83によって矯正されるため、搬送方向下流側に位置するガイド部76,76間にも端部12bが挿入されやすくなる。
【0102】
このように、2つの矯正部75,81によって連続紙12の端部12bにおけるカール形状がより一層解消されて、検出機構80に達した連続紙12の幅方向全体の平坦性が確保される。さらに、矯正部75,81によって連続紙12の搬送時におけるバタツキも抑えられるので、検出部71による端部12bの位置検出精度が向上して、連続紙12の蛇行量(移動量)をより正確に把握することができるようになる。これにより、連続紙12の蛇行が効率よく防止されて正常な搬送を維持することが可能になる。したがって、連続紙12に対して高精度な印刷を施すことができる。
【0103】
図13及び図14は、検出機構の変形例を示す図である。
上記した第2実施形態にあっては、矯正部75よりも搬送方向上流側に矯正部81を設置する構成について述べたが、図13に示すように、矯正部75よりも搬送方向下流側に矯正部81を設置する構成としてもよい。この場合、ガイド部82,83の先端81a,81aが搬送方向下流側に向かって湾曲していることが好ましい。これにより、連続紙12がガイド部82,83の先端どうしの間にスムーズに挿入されることとなる。
【0104】
また、図14に示すように、一対のガイド部82,83を、第1板部81c,81cどうしが対向するように配置させても良い。この構成においては、搬送経路を介して配置された投光センサー73及び受光センサー74が一対のガイド部82,83よりも外側(搬送経路よりも遠ざかる位置)でこれらと対向する位置に配置されている。
これにより、連続紙12の端部12bが面対向する第1板部81c、81cどうしの間に挟み込まれることとなり、端部12bを広い面積で押えることが可能となる。よって、紙端のカールやバタツキをより効果的に抑えることができる。
なお、検出部71による紙端位置の検出は、第1板部81c,81cに設けられた開口部84,84を通じて行われる。
【0105】
また、この構成の場合、搬送方向上流側に傾斜部84b,84bを向けた状態で設置し、傾斜部84b、84bの傾斜面によって連続紙12の始端側がガイド部82,83間に挿入されやすいようにしておくことが好ましい。
【0106】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0107】
上述の実施形態においては、記録装置として、インク等の液体を噴射する記録装置を例にして説明したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする記録装置に適用することができる。記録装置が噴射可能な液体は、機能材料の粒子が分散又は溶解されている液状体、ジェル状の流状体を含む。
【0108】
また、上述した実施形態において、記録装置から噴射される液体としては、インクのみならず、特定の用途に対応する液体を適用可能である。記録装置に、その特定の用途に対応する液体を噴射可能な噴射ヘッドを設け、その噴射ヘッドから特定の用途に対応する液体を噴射して、その液体を所定の物体に付着させることによって、所定のデバイスを製造可能である。例えば、記録装置は、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、及び面発光ディスプレイ(FED)の製造等に用いられる電極材、色材等の材料を所定の分散媒(溶媒)に分散(溶解)した液体(液状体)を噴射する記録装置に適用可能である。
【0109】
また、記録装置としては、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する記録装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する記録装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する記録装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する記録装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する記録装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の記録装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0110】
11…プリンター(記録装置)、12…連続紙(被記録媒体)、12b…端部、25a…第1駆動ローラー、28…プラテン(媒体支持部)、33a…第2駆動ローラー、36…記録ヘッド(記録処理部)、54…吸引ファンモータードライバー(制御部)、70,80…検出機構(検出系)、71…検出部、73…投光センサー、74…受光センサー、75,81…矯正部、76…第1ガイド部、82…第2ガイド部、76a,81a…先端、PL…支持面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の被記録媒体を支持する媒体支持部と、
前記被記録媒体に対して記録処理を施す記録処理部と、
前記被記録媒体を間欠的に搬送する第1駆動ローラー及び前記第1駆動ローラーに連結された第1駆動モーター、並びに前記媒体支持部から前記被記録媒体を搬出させる第2駆動ローラー及び前記第2駆動ローラーに連結された第2駆動モーターを含む媒体搬送系と、
前記媒体支持部上へ搬送される前記被記録媒体の搬送方向に交差する一方の端部の形状を矯正する矯正部と、前記矯正部によって矯正された前記端部の位置を検出する検出部と、を含む検出系と、
前記搬送方向に交差する方向における前記被記録媒体の搬送位置を制御する搬送位置制御系と、を備え、
前記矯正部が前記被記録媒体の搬送経路を介して対向する一対の第1ガイド部を有していることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する受光センサーおよび投光センサーを有している
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記受光センサーが前記被記録媒体の記録面と対向する位置に配置され、
前記投光センサーが前記記録面とは反対の裏面と対向する位置に配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記一対の第1ガイド部が板状部材からなり、前記被記録媒体の搬送面に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端側を対向させているとともに前記被記録媒体の搬送方向に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記矯正部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する一対の第2ガイド部を有し、
前記一対の第2ガイド部が板状部材からなり、前記被記録媒体の搬送面に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端側を対向させているとともに前記被記録媒体の搬送方向に交差する方向に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記投光センサー及び前記受光センサーが前記一対の第1ガイド部および前記搬送経路を介して対向配置され、
前記一対の第1ガイド部には前記検出部と対向する位置に開口部が設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の記録装置。
【請求項7】
長尺状の被記録媒体を支持する媒体支持部と、前記被記録媒体に対して記録処理を施す記録処理部と、前記被記録媒体を間欠的に搬送する第1駆動ローラー及び前記第1駆動ローラーに連結された第1駆動モーター、並びに前記媒体支持部から前記被記録媒体を搬出させる第2駆動ローラー及び前記第2駆動ローラーに連結された第2駆動モーターを含む媒体搬送系と、前記媒体支持部上へ搬送される前記被記録媒体の搬送方向に交差する一方の端部の形状を矯正する矯正部と、前記矯正部によって矯正された前記端部の位置を検出する検出部と、を含む検出系と、前記搬送方向に交差する方向における前記被記録媒体の搬送位置を制御する搬送位置制御系と、を備え、前記矯正部が前記被記録媒体の搬送経路を介して対向する一対の第1ガイド部を有している記録装置の制御方法であって、
前記搬送位置制御系は、前記検出部から得られる蛇行量に基づいて前記被記録媒体の前記搬送方向に交差する方向の搬送位置を制御する
ことを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項8】
前記搬送位置制御系は、前記被記録媒体の搬送中における前記端部の位置に基づいて、前記被記録媒体の搬送位置を制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の記録装置の制御方法。
【請求項9】
前記検出部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する受光センサーおよび投光センサーを有し、前記投光センサーからの投射光の光量を前記受光センサーにおいて測定することによって前記被記録媒体の前記端部の位置を検出する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の記録装置の制御方法。
【請求項1】
長尺状の被記録媒体を支持する媒体支持部と、
前記被記録媒体に対して記録処理を施す記録処理部と、
前記被記録媒体を間欠的に搬送する第1駆動ローラー及び前記第1駆動ローラーに連結された第1駆動モーター、並びに前記媒体支持部から前記被記録媒体を搬出させる第2駆動ローラー及び前記第2駆動ローラーに連結された第2駆動モーターを含む媒体搬送系と、
前記媒体支持部上へ搬送される前記被記録媒体の搬送方向に交差する一方の端部の形状を矯正する矯正部と、前記矯正部によって矯正された前記端部の位置を検出する検出部と、を含む検出系と、
前記搬送方向に交差する方向における前記被記録媒体の搬送位置を制御する搬送位置制御系と、を備え、
前記矯正部が前記被記録媒体の搬送経路を介して対向する一対の第1ガイド部を有していることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する受光センサーおよび投光センサーを有している
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記受光センサーが前記被記録媒体の記録面と対向する位置に配置され、
前記投光センサーが前記記録面とは反対の裏面と対向する位置に配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記一対の第1ガイド部が板状部材からなり、前記被記録媒体の搬送面に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端側を対向させているとともに前記被記録媒体の搬送方向に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記矯正部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する一対の第2ガイド部を有し、
前記一対の第2ガイド部が板状部材からなり、前記被記録媒体の搬送面に対して垂直に起立した姿勢で互いの先端側を対向させているとともに前記被記録媒体の搬送方向に交差する方向に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記投光センサー及び前記受光センサーが前記一対の第1ガイド部および前記搬送経路を介して対向配置され、
前記一対の第1ガイド部には前記検出部と対向する位置に開口部が設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の記録装置。
【請求項7】
長尺状の被記録媒体を支持する媒体支持部と、前記被記録媒体に対して記録処理を施す記録処理部と、前記被記録媒体を間欠的に搬送する第1駆動ローラー及び前記第1駆動ローラーに連結された第1駆動モーター、並びに前記媒体支持部から前記被記録媒体を搬出させる第2駆動ローラー及び前記第2駆動ローラーに連結された第2駆動モーターを含む媒体搬送系と、前記媒体支持部上へ搬送される前記被記録媒体の搬送方向に交差する一方の端部の形状を矯正する矯正部と、前記矯正部によって矯正された前記端部の位置を検出する検出部と、を含む検出系と、前記搬送方向に交差する方向における前記被記録媒体の搬送位置を制御する搬送位置制御系と、を備え、前記矯正部が前記被記録媒体の搬送経路を介して対向する一対の第1ガイド部を有している記録装置の制御方法であって、
前記搬送位置制御系は、前記検出部から得られる蛇行量に基づいて前記被記録媒体の前記搬送方向に交差する方向の搬送位置を制御する
ことを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項8】
前記搬送位置制御系は、前記被記録媒体の搬送中における前記端部の位置に基づいて、前記被記録媒体の搬送位置を制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の記録装置の制御方法。
【請求項9】
前記検出部は、前記被記録媒体の前記搬送経路を介して対向する受光センサーおよび投光センサーを有し、前記投光センサーからの投射光の光量を前記受光センサーにおいて測定することによって前記被記録媒体の前記端部の位置を検出する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の記録装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−62135(P2012−62135A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205623(P2010−205623)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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