説明

記録装置及び記録方法

【課題】 微小液滴を用いる場合でも、濃度ムラやドット形状の乱れが生じにくいようにすること。
【解決手段】 記録部112は、互いに記録するドットの種類が異なる2種類以上の記録素子を有する。ドットパターン記憶部122は、主液滴によるドットの配置を示す複数のドットパターンを各階調に関連付けて予め記憶する。ドットパターン選択部124は、ドットパターン記憶部122から記録データの各画素の階調値に対応するドットパターンを選択して打滴データバッファ118へ展開する際、記録データの各画素毎に、主液滴によるドットの数と副液滴によるドットの数との和が階調値の最大値に対応するドットパターンの最大ドット数以下であるとき、少なくとも、異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の被記録媒体にインクを打滴してドットを記録する記録手段を用い、複数の画素からなる所定の記録データに基づいて被記録媒体に記録を行う記録装置及び記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の被記録媒体に互いに異なる色のインクを打滴するインクジェット記録装置や、所定の被記録媒体に互いに異なる液滴量のインクを打滴するインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
ところで、同一の階調が連続する画像において、インクの着弾位置精度の誤差、或いは、走査精度の誤差(具体的には、被記録媒体の送り精度の誤差や、記録ヘッドのキャリッジによる送り精度の誤差)が原因となり、被記録媒体上に周期的な濃度ムラやスジが現れる場合がある。
【0004】
また、周期的な濃度ムラやスジは、単位面積あたりの被記録媒体上でのドットの被覆率と密接な関係があり、主に低中間階調領域の画像を出力する場合、互いに大きさの異なるドット同士が被記録媒体上で一致する位置に記録されると、ドットの被覆率が低くなり、濃度ムラやスジが目立ちやすくなる。
【0005】
また、同一の走査で、互いに大きさの異なる複数のドット、或いは、互いに色の異なる複数のドットが、被記録媒体上で一致する位置に記録されると、局所的に見れば被記録媒体はインクを吸収しきれず、被記録媒体上でドットの形状が乱れ、画像形成上好ましくないノイズ感を生み出す場合がある。
【0006】
特許文献1には、互いに異なる大きさのドットを所定の被記録媒体に記録する第1の記録素子と第2の記録素子とを有する記録手段を用い、n値(階調値)によって表された記録データに基づいて被記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置において、複数のドットパターンを予め格納する格納手段と、この格納手段に予め格納されている複数のドットパターンの中から記録データの各階調値に対応するドットパターンを選択して所定のバッファへ展開する手段と、前記バッファ内のデータに従って、前記第1の記録素子と前記第2の記録素子により記録を行う制御手段とを有し、前記格納手段は、前記第1の記録素子と前記第2の記録素子とでドット位置が一致しないドットパターンを格納したものが記載されている。
【特許文献1】特開2004―148723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最近のインクジェット記録装置では、1pl程度の微小液滴を打滴できるようになったが、微小液滴の場合には主液滴の大きさに迫るようなサテライト液滴(副液滴)を伴うことが多い。このため、ドットの配置を考える上では、主液滴のドット位置のみではなく、サテライト液滴のドット位置も考慮する必要がある。
【0008】
特許文献1に記載のものは、被記録媒体上での単位面積あたりの小ドット及び大ドットの被覆率を上げるべく、両ドットの位置が一致しないドットパターンを用いる構成となっているが、サテライト液滴の影響が大きい場合、すなわちサテライト液滴により被記録媒体上に記録される単位面積あたりのドットの被覆率が主液滴により被記録媒体上に記録される単位面積あたりのドットの被覆率に近い場合には、濃度ムラやドット形状の乱れを避けることができないという課題がある。
【0009】
このような課題について、図18を用いて説明する。図18において、被記録媒体に大ドットを記録する第1の記録素子に用いる大ドットパターン91と、被記録媒体に小ドットを記録する第2の記録素子に用いる小ドットパターン92とは、互いにドット位置が一致しないドットパターンのセットである。しかし、第1の記録素子により実際に被記録媒体上に記録されるドット93Mの位置を示すドットパターン93と第2の記録素子により被記録媒体上に実際に記録されるドット94M、94Sの位置を示すドットパターン94とを合成して得られる合成ドットパターン95において、第1の記録素子の主液滴により記録されたドット93Mと、第2の記録素子のサテライト液滴により記録されたドット94Sとで、被記録媒体上のドット位置が一致してしまうことになる。
【0010】
以上述べたような主液滴によるドット位置とサテライト液滴によるドット位置との一致の問題は、異なるインク色間でも同様に発生する。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、微小液滴を用いる場合でも、濃度ムラやドット形状の乱れが生じにくいようにすることができる記録装置及び記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所定の被記録媒体にインクを打滴してドットを記録する記録手段を用い、階調値を有する複数の画素からなる記録データに基づいて前記被記録媒体に記録を行う記録装置において、前記階調値に対して前記記録手段の主液滴により前記被記録媒体に記録されるドットの配置を示す複数のドットパターンを各階調に関連付けて予め記憶するドットパターン記憶手段と、前記記録手段の打滴に用いられる打滴データを格納するバッファと、前記記録データの各画素に順次注目し、前記ドットパターン記憶手段に予め記憶されている複数の前記ドットパターンの中から、注目した画素の階調値に対応する前記ドットパターンを選択して、前記バッファへ展開するドットパターン選択手段と、を備え、前記記録手段は、互いに記録するドットの種類が異なる複数種類の記録素子を有し、前記ドットパターン選択手段は、注目した前記画素毎に、前記複数種類の記録素子のうちで特定の2種類以上の記録素子について、主液滴により記録されるドットの数と副液滴により記録されるドットの数との和が前記階調値の最大値に対応する前記ドットパターンの最大ドット数以下の条件であるとき、少なくとも、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンを選択することを特徴とする記録装置を提供する。
【0013】
ここで、本発明の考慮する副液滴は、主液滴に続いて当該主液滴と同一ノズル(液体吐出口)から打滴される最大の副液滴である。
【0014】
この発明によれば、各画素毎に、特定の2種類以上の記録素子について、主液滴により記録されるドットの数と副液滴により記録されるドットの数との和がドットパターンの最大ドット数以下の条件であるとき、少なくとも、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンが選択されるので、副液滴(サテライト液滴)が独立液滴として発生しやすい微小液滴を用いる場合でも、副液滴を含めてドット位置の一致が回避されることになり、濃度ムラやドット形状の乱れが抑止される。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、互いに記録するドットの種類が異なる前記複数種類の記録素子は、インク色およびドットサイズのうちで少なくとも一方が互いに異なる記録素子であることを特徴とする記録装置を提供する。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記ドットパターン選択手段によって選択するドットパターンは、前記特定の2種類以上の記録素子について前記条件のとき、更に、前記特定の2種類以上の記録素子について同じ種類の記録素子間で主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記特定の2種類以上の記録素子について同じ種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンであることを特徴とする記録装置を提供する。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の発明において、前記ドットパターン選択手段によって選択するドットパターンは、前記特定の2種類以上の記録素子について前記条件のとき、更に、前記特定の2種類以上の記録素子について同じ種類の記録素子間で副液滴のドット位置同士が一致しないドットパターンであることを特徴とする記録装置を提供する。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4に記載の発明において、前記ドットパターン選択手段によって選択するドットパターンは、前記特定の2種類以上の記録素子について前記条件のとき、更に、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で副液滴のドット位置同士が一致しないドットパターンであることを特徴とする記録装置を提供する。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の発明において、前記ドットパターン記憶手段に記憶されるドットパターンは、前記特定の2種類以上の記録素子について前記条件のとき、一の種類の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンと、他の種類の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンとで、少なくとも、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンであることを特徴とする記録装置を提供する。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の発明において、前記記録手段は、前記被記録媒体に対する走査速度が互いに異なる複数の記録モードを有し、前記ドットパターン選択手段は、前記記録モードの切り換えによる走査速度の変更に対応して、前記各記録モード毎に異なる前記ドットパターンを選択してドット位置の一致の回避を行うことを特徴とする記録装置を提供する。
【0021】
この発明によれば、走査速度が変わっても、濃度ムラやドット形状の乱れが抑止されることになる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか1項に記載の発明において、前記記録手段は、前記被記録媒体に高画質で画像を形成する高画質記録モードとそれ以外の記録モードとを有し、前記ドットパターン選択手段は、少なくとも前記高画質記録モードであるとき、ドット位置の一致の回避を行うことを特徴とする記録装置を提供する。
【0023】
この発明によれば、少なくとも高画質が求められる高画質記録モードにおいて、濃度ムラやドット形状の乱れが抑止されることになる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項1、2、3、4、6、7、8の何れか1項に記載の発明において、前記記録手段は、主液滴により前記被記録媒体に記録されるドットの大きさが互いに異なる第1の種類の記録素子および第2の種類の記録素子を有し、前記第1の種類の記録素子の主液滴によるドットは、前記第2の種類の記録素子の主液滴によるドットよりも小さく、前記ドットパターン選択手段は、前記第1の種類の記録素子および前記第2の種類の記録素子について前記条件のとき、前記第1の種類の記録素子の主液滴のドット位置と、前記第1の種類の記録素子の副液滴のドット位置と、前記第2の種類の記録素子の主液滴のドット位置とが、互いに一致しないドットパターンを選択することを特徴とする記録装置を提供する。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記記録手段は、インク色が互いに異なる第1の種類の記録素子および第2の種類の記録素子を有し、前記ドットパターン選択手段は、前記第1の種類の記録素子および前記第2の種類の記録素子について前記条件のとき、前記第1の種類の記録素子の主液滴のドット位置と、前記第1の種類の記録素子の副液滴のドット位置と、前記第2の種類の記録素子の主液滴のドット位置と、前記第2の種類の記録素子の副液滴のドット位置とが、互いに一致しないドットパターンを選択することを特徴とする記録装置を提供する。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記記録手段は、シアン色のインクを打滴する第1の種類の記録素子と、マゼンタ色のインクを打滴する第2の種類の記録素子と、イエロー色のインクを打滴する第3の種類の記録素子とを有し、前記ドットパターン選択手段は、前記第1の種類の記録素子および前記第2の種類の記録素子について前記条件のとき、前記第1の種類の記録素子の主液滴のドット位置と、第1の種類の記録素子の副液滴のドット位置と、前記第2の種類の記録素子の主液滴のドット位置と、前記第2の種類の記録素子の副液滴のドット位置とが、互いに一致しないドットパターンを選択することを特徴とする記録装置を提供する。
【0027】
この発明によれば、視認性の高いブルーの濃度ムラやドット形状の乱れを回避できることになる。
【0028】
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか1項に記載の発明において、前記記録手段は、インク色とドットサイズとの組み合わせが互いに異なる複数種類の記録素子を有し、前記ドットパターン選択手段は、2色以上のインク色について前記条件のとき、少なくとも、前記2色以上のインク色について主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記2色以上のインク色について副液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記2色以上のインク色について主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンを選択することを特徴とする記録装置を提供する。
【0029】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、ドット位置の一致を回避する前記2色のインク色は、マゼンタ色およびシアン色であることを特徴とする記録装置を提供する。
【0030】
この発明によれば、視認性の高いブルーの濃度ムラやドット形状の乱れを回避できることになる。
【0031】
請求項14に記載の発明は、所定の被記録媒体にインクを打滴してドットを記録する記録手段を用い、階調値を有する複数の画素からなる記録データに基づいて前記被記録媒体に記録を行う記録方法において、前記階調値に対して前記記録素子の主液滴により前記被記録媒体に記録されるドットの配置を示す複数のドットパターンを各階調に関連付けて予め所定の記憶手段に記憶させておき、前記記録データの各画素に順次注目し、前記記憶手段に予め記憶されている複数の前記ドットパターンの中から、注目した画素の階調値に対応する前記ドットパターンを選択するドットパターン選択工程と、選択した前記ドットパターンを所定のバッファへ展開する工程と、前記バッファへ展開された複数の前記ドットパターンからなる打滴データを用いて、前記記録手段により前記被記録媒体に記録を行う工程と、を備え、前記記録手段は、互いに記録するドットの種類が異なる複数種類の記録素子を有し、前記ドットパターン選択工程において、注目した前記画素毎に、前記複数種類の記録素子のうちで特定の2種類以上の記録素子について、主液滴により記録されるドットの数と副液滴により記録されるドットの数との和が前記階調値の最大値に対応する前記ドットパターンの最大ドット数以下の条件であるとき、少なくとも、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンを選択することを特徴とする画像形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、微小液滴を用いる場合でも、濃度ムラやドット形状の乱れが生じにくいようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を用い、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明に係る記録装置の一例としてのインクジェット記録装置10の全体構成を示す要部ブロック図である。
【0035】
図1において、インクジェット記録装置10は、紙などの所定の被記録媒体にインクを打滴してドットを記録する記録部112と、記録部112を被記録媒体に対して所定の走査方向(主走査方向及び副走査方向のうち少なくとも一方)において走査させる走査部114と、記録部112を駆動してインクを打滴させる記録駆動部116と、記録部112の打滴に用いられる記録エリア全域の打滴データを格納する打滴データバッファ118と、打滴データバッファ118に格納された記録エリア全域の打滴データから記録部112の一走査(一主走査及び一副走査のうち少なくとも一方)毎の打滴データを生成するマスク処理を行うマスク処理部119を備える。
【0036】
記録部112は、互いに記録するドットの種類が異なる複数種類の記録素子を有する。具体的には、記録部112は、打滴するインクの色が互いに異なる複数種類の記録素子を有する。例えば、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各インク色毎に記録素子を有する。さらに、SC(ソフトシアン)、SM(ソフトマゼンタ)の各インク色の記録素子を設けてもよい。また、記録部112は、主液滴により被記録媒体に記録されるドット(以下「主ドット」と称する)のサイズが互いに異なる複数種類の記録素子を有する場合もある。例えば、所定の大きさの主ドットを記録する大ドット記録素子と、大ドット記録素子よりも小さい主ドットを記録する小ドット記録素子を有する。
【0037】
また、インクジェット記録装置10は、ホスト装置300から取得した原画像データを格納する画像データバッファ102と、ホスト装置300から取得した制御情報を格納する制御情報バッファ104と、ホスト装置300から取得した原画像データを、記録部112の各記録素子毎の階調値をそれぞれ有する複数の画素からなる画像データ(以下「記録データ」と称する)に変換する画像データ処理部106を備える。
【0038】
画像データ処理部106によって取得される記録データは、複数の画素によって構成されており、各画素は、記録素子の種類毎に量子化された(具体的には、各インク色毎に量子化された、及び/又は、各ドットサイズ毎に量子化された)、複数の階調値を有する。例えば、ひとつの画素は、Cインクドットの階調値、Mインクドットの階調値、Yインクドットの階調値、および、Kインクドットの階調値、の4つの階調値を有する。また、例えば、ひとつの画素は、大ドットの階調値、および、小ドット、の2つの階調値を有する。また、例えば、ひとつの画素は、Cインク且つ大ドットの階調値、Cインク且つ小ドットの階調値、Mインク且つ大ドットの階調値、Mインク且つ小ドットの階調値、Yインク且つ大ドットの階調値、Yインク且つ小ドットの階調値、Kインク且つ大ドットの階調値、Kインク且つ小ドットの階調値、の8つの階調値を有する。
【0039】
階調値は、n値ともいい、n個(nは3以上の整数である)のレベル(階調)にレベル分けされている。例えばn=9(9階調)の場合、階調値は9個のレベル(レベル0〜8)にレベル分けられている。ひとつの階調値は、n個のレベルのうち何れかのレベル(階調)を示す。
【0040】
制御データは、高画質記録モード、高速記録モードなどの記録モードを指示する記録モード指示データを含む。
【0041】
また、インクジェット記録装置10は、複数のドットパターンをドットパターンテーブルとして予め記憶するドットパターン記憶部122と、記録データから打滴データを生成する際に、記録データの各画素に順次注目し、ドットパターン記憶部122に予め記憶されている複数のドットパターンの中から、注目した画素の階調値に対応するドットパターンを選択して、打滴データバッファ118へ展開するドットパターン選択部124を備える。
【0042】
ドットパターン記憶部122に記憶された各ドットパターンは、各階調値に対応して記録部112の記録素子の主液滴により被記録媒体に記録されるドット(主ドット)の配置を示す。言い換えると、各ドットパターンは、記録データの各画素のひとつの階調値に対応する複数のドット位置(例えば、4×4ドット)における、各ドット位置毎の主ドットの有無を示す。また、複数のドットパターンは、各階調(例えば、レベル0〜8の各レベルごと)にそれぞれ関連付けられて、ドットパターンテーブルとして、ドットパターン記憶部122に記憶されている。なお、記録素子の主液滴の打滴に伴って生じる副液滴(サテライト液滴)により被記録媒体上に記録されるドット(以下「副ドット」と称する)の有無は、ドットパターンには含まれていない。
【0043】
なお、本発明の考慮する副液滴は、主液滴に続いて当該主液滴と同一ノズルから打滴される最大の液滴(ここではひとつ目の副液滴)である。
【0044】
ドットパターン選択部124は、注目した画素毎に、全ての種類(例えば、Cインクドットの記録素子、Mインクドットの記録素子、Yインクドットの記録素子、および、Kインクドットの記録素子、の4種類)のうちで少なくとも2種類の特定の記録素子(例えば、Cインクドットの記録素子、および、Mインクドットの記録素子)について、主ドットの数と副ドットの数との和が階調値の最大値に対応するドットパターンの最大ドット数以下の条件であるとき、前記特定の種類の記録素子について異なる種類の記録素子間(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)で、少なくとも、主ドットの位置同士が一致せず、且つ、主ドットの位置と副ドットの位置とが一致しないドットパターンを選択する。例えば、n=9(9階調)の場合、1画素毎の主ドットの数と副ドットの数との和が、階調値の最大値(レベル8)に対応する最大ドット数(8個)以下であるとき、特定の種類の記録素子間(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)で、主ドットの位置同士が一致せず、且つ、主ドットの位置と副ドットの位置とが一致しないドットパターンが選択される。
【0045】
ここで、特定の種類の記録素子(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)について前記条件のとき、ドットパターン選択部124によって選択されるドットパターンは、更に、前記特定の種類の記録素子について同じ種類の記録素子間で主ドットの位置同士が一致しないドットパターンである。
【0046】
また、特定の種類の記録素子(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)について前記条件のとき、ドットパターン選択部124によって選択されるドットパターンは、更に、前記特定の種類の記録素子について同じ種類の記録素子間で主ドットの位置と副ドットの位置とが一致しないドットパターンである。
【0047】
また、特定の種類の記録素子(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)について前記条件のとき、ドットパターン選択部124によって選択されるドットパターンは、更に、前記特定の種類の記録素子について同じ種類の記録素子間で副ドットの位置同士が一致しないドットパターンである。
【0048】
また、特定の種類の記録素子(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)について前記条件のとき、ドットパターン選択部124によって選択されるドットパターンは、更に、前記特定の種類の記録素子について異なる種類の記録素子間で副ドットの位置同士が一致しないドットパターンであることが、好ましい。
【0049】
図2は、図1のインクジェット記録装置10の具体的なハードウエア構成の一例を示す要部ブロック図である。
【0050】
図2において、外部インターフェース202は、インクジェット記録装置10の外部から原画像データ及び制御情報が入力信号として入力されるインターフェースである。具体的には、有線又は無線で図1のホスト装置300と通信する通信インターフェースが挙げられる。ユーザインタフェース204は、ユーザから各種の指示が入力されるインターフェースである。例えば、LCD(液晶ディスプレイ)及び操作ボタンを有する操作パネルが挙げられる。
【0051】
MPU(Micro Processing Unit)212は、マイクロコンピュータとして、所定のプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)214は、各種の可変データを記憶する。ROM(Read Only Memory)216は、MPU212によって実行されるプログラム及び固定データを記憶する。
【0052】
記録ヘッド50は、互いに記録するドットの種類が異なる複数種類の記録素子を有し、被記録媒体に向けてインクを打滴する。なお、記録ヘッド50の例については後に詳説する。ヘッドドライバ222は、記録ヘッド50を駆動するドライバ回路からなる。
【0053】
主走査モータ232は、被記録媒体の搬送方向と直交する方向(主走査方向)において、記録ヘッド50を被記録媒体に対して相対的に移動(走査)させるモータである。主走査モータドライバ234は、主走査モータ232を駆動する回路である。副走査モータ236は、被記録媒体の搬送方向(副走査方向)において、記録ヘッド50を被記録媒体に対して相対的に移動(走査)させるモータである。副走査モータドライバ238は、副走査モータ236を駆動する回路である。
【0054】
なお、図2に示すインクジェット記録装置10は、主走査方向及び副走査方向の両走査方向において記録ヘッド50を記録媒体に対して走査させるマルチパス型であるが、本発明はこのようなマルチパス型に限定されず、副走査方向のみにおいて記録ヘッド50を記録媒体に対して走査させるシングルパス型であってもよい。
【0055】
図2に示すインクジェット記録装置10のハードウエア構成と図1に示す構成との対応関係について簡単に説明すると、MPU212によって図1の画像データ処理部106、ドットパターン選択部124及びマスク処理部119が構成されており、RAM214によって図1の画像データバッファ102、制御情報バッファ104及び打滴データバッファ118が構成されており、ROM216によって図1のドットパターン記憶部122が構成されており、記録ヘッド50によって図1の記録部112が構成されており、ヘッドドライバ222によって図1の記録駆動部116が構成されており、主走査モータ232、主走査モータドライバ234、副走査モータ236及び副走査モータドライバ238によって図1の走査部114が構成されている。
【0056】
図3は、図1のドットパターン記憶部122に記憶された、複数のドットパターンからなるドットパターンテーブルの一例を示す。
【0057】
図3において、各ドットパターンのサイズは2ドット×4ドットであり、階調値は4ビットでn=9(レベル0〜8)である。
【0058】
ドットパターン記憶部122には、階調値の各レベル(レベル0〜8)にそれぞれ関連付けられて、各レベル(階調)で選択可能な複数のドットパターンが予め記憶されている。なお、レベル3、4、5、6、7のドットパターンは、図示の便宜上、省略されている。
【0059】
本例では、階調値の各レベルと、被記録媒体に記録される主ドットの数とを等しくしてある。例えば、1画素に対して、レベル0では0個、レベル1では1個、レベル2では2個、レベル8では8個の主ドットが、被記録媒体に記録される。同様に、レベル3〜7も主ドットの数に等しい。
【0060】
また、ドットパターン記憶部122には、互いにドットの種類が異なる複数種類の記録素子にそれぞれ関連付けられて、各種類の記録素子に対して選択可能な複数のドットパターンが予め記憶されている。なお、第1の種類の記録素子及び第2の種類の記録素子以外の種類の記録素子(第3〜8の記録素子)に関連付けられたドットパターンは、図示の便宜上、省略されている。
【0061】
例えば、第1の種類の記録素子は、シアン色インクを打滴する素子(Cインクドットの記録素子)であり、第2の種類の記録素子は、マゼンタ色インクを打滴する素子(Mインクドットの記録素子)である。
【0062】
また、例えば、第1の種類の記録素子は、主液滴により被記録媒体に大ドットを記録する素子(大ドットの記録素子)であり、第2の種類の記録素子は、主液滴により被記録媒体に小ドットを記録する素子(小ドットの記録素子)である。
【0063】
また、ドットパターン記憶部122には、高画質記録モードと高速記録モードとにそれぞれ関連付けられて、各記録モードで選択可能な複数のドットパターンが予め記憶されている。
【0064】
なお、本例では、第1の種類の記録素子に対して両記録モードで共通のドットパターンが記憶されており、第2の種類の記録素子に対して各記録モード別にドットパターンが記録されている。
【0065】
また、ドットパターン記憶部122には、識別番号(No.)が異なるドットパターンが登録されている。
【0066】
本例では、記録素子、記録モード及び階調値の3つの条件が同一であったときに選択可能なドットパターンが、それぞれ2つずつ、ドットパターン記憶部122に記憶されている。
【0067】
ドットパターン選択部124は、記録素子、記録モード及び階調値の3つの条件が同一であったとき、識別番号1のドットパターン及び識別番号2のドットパターンのうちで何れかのドットパターンを、等確率(1/2の確率)で選択する。なお、ドットパターン選択部124は、原則として、記録素子及び記録モードが同じであって、かつ、同じレベルの階調値が連続しているとき、識別番号1のドットパターン及び識別番号2のドットパターンを交互に選択する。
【0068】
また、ドットパターン記憶部122には、記録データの各画素毎に、互いに記録するドットの種類が異なる複数種類の記録素子のうちで少なくとも2種類の特定の種類の記録素子(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)について、主液滴により記録されるドットの数と副液滴により記録されるドットの数との和が、階調値の最大値に対応するドットパターンの最大ドット数以下の条件であるとき、前記特定の種類の記録素子について異なる種類の記録素子間で、一の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンと、他の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンとで、主ドットの位置同士が一致せず、且つ、主ドットの位置と副ドットの位置とが一致しないドットパターンが記憶されている。
【0069】
ここで、ドットパターン記憶部122に記憶されているドットパターンは、特定の種類の記録素子(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)について前記条件のとき、前記特定の種類の記録素子について同じ種類の記録素子間で、一の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンと、他の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンとで、更に、主ドットの位置同士が一致しないドットパターンである。
【0070】
また、ドットパターン記憶部122に記憶されているドットパターンは、特定の種類の記録素子(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)について前記条件のとき、前記特定の種類の記録素子について同じ種類の記録素子間で、一の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンと、他の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンとで、更に、主ドットの位置と副ドットの位置とが一致しないドットパターンである。
【0071】
また、ドットパターン記憶部122に記憶されているドットパターンは、特定の種類の記録素子(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)について前記条件のとき、前記特定の種類の記録素子について同じ種類の記録素子間で、一の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンと、他の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンとで、更に、副ドットの位置同士が一致しないドットパターンである。
【0072】
また、ドットパターン記憶部122に記憶されているドットパターンは、特定の種類の記録素子(例えば、Cインクドットの記録素子とMインクドットの記録素子との間)について前記条件のとき、前記特定の種類の記録素子について異なる種類の記録素子間で、一の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンと、他の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンとで、更に、副ドットの位置同士が一致しないドットパターンであることが、好ましい。
【0073】
ドットパターン選択部124は、図3のドットパターンテーブルに基づいて、各種のドットパターン選択処理を行う。
【0074】
第1に、第1の種類の記録素子が小ドット記録用であり、第2の種類の記録素子が大ドット記録用であって、大ドット記録時の副液滴の発生が無視できるほど少ない場合、あるいは、大ドット記録時の副液滴の飛翔速度が速く主液滴とほぼ同一位置に着弾する場合には、ドットパターン選択部124は、注目した各画素毎について、第1の種類の記録素子および第2の記録素子の主ドットの数と副ドットの数との和がドットパターンの最大ドット数(ここでは「8」)以下であるとき、第1の種類の記録素子と第2の種類の記録素子との間での副ドットの位置同士の一致は無視して、第1の種類の記録素子の主ドット位置、第1の種類の記録素子の副ドットの位置、および、第2の種類の記録素子の主ドットの位置が、互いに一致しないドットパターンを選択する。
【0075】
なお、本発明はこのような場合に特に限定されない。第1の種類の記録素子が小ドット記録用であり、第2の種類の記録素子が大ドット記録用であって、大ドット記録時の副液滴の発生が無視できない程度であり、且つ、大ドット記録時の副液滴の飛翔速度が遅く主液滴とは異なる位置に着弾する場合には、ドットパターン選択部124が、注目した各画素毎に、第1の種類の記録素子および第2の記録素子の主ドットの数と副ドットの数との和がドットパターンの最大ドット数(ここでは「8」)以下であるとき、第1の種類の記録素子の主ドットの位置、第1の種類の記録素子の副ドットの位置、第2の種類の記録素子の主ドットの位置、および、第2の種類の記録素子の副ドットの位置が、互いに一致しないドットパターンを選択するようにしてもよい。
【0076】
第2に、第1の種類の記録素子がC(シアン色)インクドット記録用であり、第2の種類の記録素子がM(マゼンタ色)インクドット記録用であり、第3の種類の記録素子がY(イエロー色)インクドット記録用である場合、ドットパターン選択部124は、注目した各画素毎に、第1の種類の記録素子および第2の種類の記録素子の主ドットの数と副ドットの数との和がドットパターンの最大ドット数(ここでは「8」以下)であるとき、第1の種類の記録素子の主ドットの位置、第1の種類の記録素子の副ドットの位置、第2の種類の記録素子の主ドットの位置、および、第2の種類の記録素子の副ドットの位置が、互いに一致しないドットパターンを選択する。なお、Y(イエロー)インクドット記録用の第3の種類の記録素子が存在するが、YインクドットとCインクドットとの位置の一致、及び、YインクドットとMインクドットとの位置の一致は、視認性において問題が小さいので無視する。
【0077】
第3に、インク色と主ドットのサイズとの組み合わせが互いに異なる複数種類の記録素子を有する場合について説明する。例えば、第1の種類の記録素子がCインク且つ大ドット記録用であり、第2の種類の記録素子がCインク且つ小ドット記録用であり、第3の種類の記録素子がMインク且つ大ドット記録用であり、第4の種類の記録素子がMインク且つ小ドット記録用であり、第5の種類の記録素子がYインク且つ大ドット記録用であり、第6の種類の記録素子がYインク且つ小ドット記録用である。ドットパターン選択部124は、注目した各画素毎に、第1、第2の記録素子(Cインクドット用の記録素子)及び第3、第4の記録素子(Mインクドット用の記録素子)について、すなわちシアン色及びマゼンタ色の特定の2色のインクに係る特定種類の記録素子(第1、第2、第3および第4の記録素子)の主ドットの数と副ドットの数との和がドットパターンの最大ドット数(ここでは「8」)以下であるとき、前記特定の2色のインクに係る特定種類の記録素子(第1、第2、第3および第4の記録素子)で、主ドットの位置同士が一致せず、且つ、副ドットの位置同士が一致せず、且つ、主ドットの位置と副ドットの位置とが、互いに一致しないドットパターンを選択する。
【0078】
また、高画質記録モードでは前述のドット位置の一致の回避を行う一方で、高速記録モードではドット位置の一致を無視するようにしてもよい。
【0079】
なお、図3に2×4ドットのドットパターンを示したのは説明の便宜上であり、例えば4ドット×4ドットのドットパターンであってもよい。
【0080】
図4は、図1の記録部112の一例を示す全体構成図である。
【0081】
図4において、記録部112は、主走査方向Mに沿って往復移動するシャトル型(シリアル型)の記録ヘッド50によって構成されている。本例では、シアン(C)色のインクを打滴する記録ヘッド50Cと、マゼンタ(M)色のインクを打滴する記録ヘッド50Mと、イエロー(Y)色のインクを打滴する記録ヘッド50Yと、黒(K)色のインクを打滴する記録ヘッド50Kによって、記録部112が構成されている。
【0082】
また、キャリッジ60は、主走査方向Mに沿って設けられたガイド62に案内されて、記録ヘッド50を主走査方向において移動させる。これにより、記録ヘッド50が主走査方向Mにおいて記録媒体16に対し走査される。
【0083】
また、記録媒体16は、図示を省略した搬送機構により、副走査方向Sにおいて搬送される。これにより、記録ヘッド50が副走査方向Sにおいて記録媒体16に対し走査される。
【0084】
図5は、図4の記録ヘッド50を被記録媒体16側から見た平面図である。
【0085】
図5において、記録ヘッド50は、各インク色毎の記録ヘッド50K、50C、50M、50Yに分割されて構成されているとともに、大ドット記録ヘッド50KL、50CL、50ML、50YLと小ドット記録ヘッド50KS、50CS、50MS、50YSに分割されて構成されている。
【0086】
大ドット記録ヘッド50KL、50CL、50ML、50YLは、大ドット用の所定の径を有するノズル51Lが副走査方向Sに沿って配列されている。小ドット記録ヘッド50KS、50CS、50MS、50YSは、大ドット用のノズル51Lよりも小さい径を有する小ドット用のノズル51Sが副走査方向Sに沿って配列されている。
【0087】
図5の6A−6A線に沿った断面を図6(A)に示し、図5の6B−6B線に沿った断面を図6(B)に示す。
【0088】
図6(A)及び(B)において、大ドット記録素子54L及び小ドット記録素子54Sは、それぞれ、ノズル51L、51Sと、インクが充填される圧力室52L、52Sと、圧力室52L、52S内に気泡を発生させることにより圧力室52L、52S内の圧力を変化させるヒータ58L、58Sによって構成されている。
【0089】
小ドット記録素子54Sのノズル51Sから打滴される主液滴の液滴量は、大ドット記録素子54Lのノズル51Lから打滴される主液滴の液滴量よりも小さい。これらの互いに異なる液滴量の主液滴を打滴するノズル51L、51Sをそれぞれ有する記録素子54L、54Sにより、互いにサイズの異なるドットを被記録媒体に記録し得る。
【0090】
なお、図6には、インクを打滴するための圧力を発生する手段として、ヒータを用いた場合を例に示したが、本発明において圧力発生手段はヒータに特に限定されない。例えば、圧力発生手段として、圧電素子を用いてもよい。
【0091】
図7は、図1の記録部112の他の例を示す全体構成図である。
【0092】
図7において、記録部112は、いわゆるフルライン型の記録ヘッド50によって構成されている。本例では、シアン(C)色のインクを打滴する記録ヘッド50Cと、マゼンタ(M)色のインクを打滴する記録ヘッド50Mと、イエロー(Y)色のインクを打滴する記録ヘッド50Yと、黒(K)色のインクを打滴する記録ヘッド50Kによって、記録部112が構成されている。
【0093】
1対のローラ31、32にはベルト33が掛け渡されており、これらによって被記録媒体16は副走査方向Sに沿って搬送される。
【0094】
各記録ヘッド50K、50C、50M、50Yは、被記録媒体16の搬送方向(副走査方向S)とは直交する方向(主走査方向M)に沿って配設されている。
【0095】
図8は、図7に示すひとつの記録ヘッド50の全体構成を示す平面透視図である。
【0096】
図8において、記録ヘッド50は、被記録媒体16の搬送方向(副走査方向S)と直交する方向(主走査方向M)において、被記録媒体16の幅Wmに対応する長さにわたり、被記録媒体16に向けてインクを打滴する多数のノズル51(液体吐出口)を2次元的に配列させた構造を有している。
【0097】
記録ヘッド50は、液体を吐出するノズル51、ノズル51に連通する圧力室52、圧力室52へ液体を供給するための液体供給口53などを含んでなる複数の記録素子54が、主走査方向M及び主走査方向Mに対して所定の鋭角θ(0度<θ<90度)をなす斜め方向の2方向に沿って配列されている。なお、図8では、図示の便宜上、一部の記録素子54のみ描いている。
【0098】
ノズル51は、具体的には、主走査方向Mに対して所定の鋭角θをなす斜め方向において、一定のピッチdで配列されており、これにより、主走査方向Mに沿った一直線上にd×cosθの間隔で配列されたものと等価に取り扱うことができる。
【0099】
なお、インクを打滴するための圧力を発生する手段の例としては、ヒータ、圧電素子などが挙げられる。
【0100】
図9は、インクジェット記録装置10における記録処理の一例の流れの概略を示すフローチャートである。この記録処理は、図1の画像データ処理部106、ドットパターン選択部124、マスク処理部119などを構成している図2のMPU212によって、所定のプログラムに従い、実行される。
【0101】
まず、図1の画像データバッファ102から原画像データを取得する(ステップS2)。ここで、原画像データは、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色毎の8ビットデータによって構成されているものとする。
【0102】
次に、原画像データを、マッピング用の3D−LUT(3次元ルックアップテーブル)を用い、インクジェット記録装置10で色再現可能な領域へマッピングする(ステップS4)。
【0103】
次に、マッピングされた画像データを、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各インク色と、大ドット、小ドットの各ドットサイズとにそれぞれ分解された画像データに変換する(ステップS6)。なお、SC(ソフトシアン)、SM(ソフトマゼンタ)などのライト系インクを用いる場合には、これらのインク色の画像データも得られる。インク色分解には、インク色分解用の3D−LUT(3次元ルックアップテーブル)が用いられる。
【0104】
次に、デジタルハーフトーニングとして誤差拡散を行う(ステップS8)。これにより、4ビット、9階調の階調値を有する画素によって構成される記録データが取得される。
【0105】
例えば、図5に示す記録部112の場合、記録データの各画素は、Kインクで大ドット記録用の階調値、Kインクで小ドット記録用の階調値、Cインクで大ドット記録用の階調値、Cインクで小ドット記録用の階調値、Mインクで大ドット記録用の階調値、Mインクで小ドット記録用の階調値、Yインクで大ドット記録用の階調値、および、Yインクで小ドット記録用の階調値を有する。すなわち、記録データの各画素は、インク色とドットサイズとの組み合わせが互いに異なる各記録素子毎の階調値を有する。
【0106】
次に、記録データの各画素に順次注目し、注目した画素の各階調値にそれぞれ対応するドットパターンを、図1のドットパターン記憶部122に記憶されている複数のドットパターンの中から選択して、図1の打滴データバッファ118へ展開する(ステップS10)。これにより、打滴データバッファ118には、記録エリア全域の打滴データが格納される。
【0107】
例えば、図5に示す記録部112の場合、Kインク且つ大ドット記録用の打滴データ、Kインク且つ小ドット記録用の打滴データ、Cインク且つ大ドット記録用の打滴データ、Cインク且つ小ドット記録用の打滴データ、Mインク且つ大ドット記録用の打滴データ、Mインク且つ小ドット記録用の打滴データ、Yインク且つ大ドット記録用の打滴データ、および、Yインク且つ小ドット記録用の打滴データが得られる。すなわち、インク色とドットサイズとの組み合わせが互いに異なる各記録素子毎の打滴データが得られる。
【0108】
次に、記録エリア全域の打滴データから、マスクを用いて、記録ヘッド50の1走査毎の打滴データを抽出する(ステップS12)。なお、マルチパスの場合には、それぞれの走査に対応したマスクを用いて、1走査毎の打滴データを抽出する。
【0109】
そして、1走査毎の打滴データを用いて、図1の記録駆動部116により記録ヘッド50を駆動して、被記録媒体16上に画像を形成する(ステップS14)。
【0110】
図10は、図9のステップS10の処理内容を示すフローチャートである。
【0111】
なお、記録部112がインク色(K、C、M、Yの4色)とドットサイズ(大サイズ、小サイズの2サイズ)とが互いに異なる8種類の記録素子を有している場合を例に説明する。
【0112】
まず、記録データの各画素に順次注目し、注目した画素の階調値を抽出する(ステップS102)。インク色とドットサイズとの組み合わせが互いに異なる8種類の記録素子用の階調値(すなわち8つの階調値)がそれぞれ抽出される。
【0113】
次に、注目した画素の各階調値に対応するドットパターンを、図1のドットパターン記憶部122に記憶されている複数のドットパターンの中から選択する(ステップS104)。ここで、インク色とドットサイズとの組み合わせが互いに異なる8種類の記録素子用のドットパターン(すなわち8つのドットパターン)がそれぞれ選択される。
【0114】
ここで、注目した画素毎に、特定の記録素子(具体的には、Cインク且つ大ドット記録用、Cインク且つ小ドット記録用、Mインク且つ大ドット記録用、Mインク且つ小ドット記録用の4種類の記録素子)の主液滴により記録されるドットの数と副液滴により記録されるドットの数との和が、階調値の最大値(例えば8)に対応するドットパターンの最大ドット数(例えば8)以下であるとき、特定の記録素子(具体的には、Cインク且つ大ドット記録用、Cインク且つ小ドット記録用、Mインク且つ大ドット記録用、Mインク且つ小ドット記録用の4種類の記録素子)の間で、主ドットの位置同士が一致せず、主ドットの位置と副ドットの位置とが、互いに一致しないドットパターンが選択される。
【0115】
ここで、選択されるドットパターンは、更に、特定の種類の記録素子(具体的には、Cインク且つ大ドット記録用、Cインク且つ小ドット記録用、Mインク且つ大ドット記録用、Mインク且つ小ドット記録用の4種類の記録素子)について、同じ種類の記録素子間で主ドットの位置同士が一致しないドットパターンである。また、選択されるドットパターンは、更に、前記特定の種類の記録素子について同じ種類の記録素子間で主ドットの位置と副ドットの位置とが一致しないドットパターンである。また、選択されるドットパターンは、更に、前記特定の種類の記録素子について同じ種類の記録素子間で副ドットの位置同士が一致しないドットパターンである。また、選択されるドットパターンは、更に、前記特定の種類の記録素子について異なる種類の記録素子間で副ドットの位置同士が一致しないドットパターンであることが、好ましい。
【0116】
次に、選択したドットパターンを図1の打滴データバッファ118に展開する(ステップS106)。
【0117】
記録データ内の全画素について処理が完了したか否か判定し(ステップS108)、完了するまで、ステップS102〜106を繰り返す。
【0118】
以下では、2つの実施例に分けて、ドットパターンの選択処理について詳細に説明する。
【0119】
(実施例1)
本実施例において、記録ヘッド50は、走査速度が互いに異なる高画質記録モードと高速記録モードとを有し、記録モードが切り換わると走査速度が切り換わる。
【0120】
また、本実施例において、記録ヘッド50は、主液滴により被記録媒体上に記録されるドット(主ドット)の大きさが互いに異なる大ドット記録素子および小ドット記録素子を有する。ここで、大ドットの記録素子は副液滴の発生が無視できるほど少ないか、あるいは大ドット記録時の副液滴の飛翔速度が速く主液滴とほぼ同一位置に着弾するので、ドットパターンを検討する上では、副液滴を無視できるのに対し、小ドットの記録素子は主液滴に近いサイズの副液滴が主液滴から離れた位置に着弾するので副液滴の発生を無視することができない。
【0121】
なお、以下の説明を簡略に行うため、図11(A)に示す簡略化した記録ヘッド501を考える。この記録ヘッド501は、小口径のノズル51Sを有する小ドット記録素子54Sと、大口径のノズル51Lを有する大ドット記録素子54Lとを、少なくとも各1個ずつ有する。これらの記録素子54S、54Lは、主走査方向Mに沿って並んで設けられている。
【0122】
被記録媒体上に形成される画像の解像度は、例えば、副走査方向が1200dpi、主走査方向が1200dpiである。また、本実施例において、ドットパターンは2ドット×4ドット、階調値は4ビットからなる9階調(レベル0〜8)であり、階調値のレベルとドットパターンの主ドットの個数とは等しい。
【0123】
図12(A)、(B)、(C)は、図1のドットパターン記憶部122に予め記憶されている複数のドットパターンの例を示す。いずれの図も、説明の便宜上、レベル1に対応するドットパターンと、レベル2に対応するドットパターンのみ示している。実際には、レベル0及び3〜8に対応するドットパターンも、ドットパターン記憶部122に記憶されている。
【0124】
図12(A)に示すドットパターンは、小ドット記録素子54Sの主液滴により被記録媒体上に記録される主ドット(主・小ドット)の有無を示すドットパターンである。図12(B)及び(C)に示すドットパターンは、大ドット記録素子54Lの主液滴により被記録媒体上に記録される主ドット(主・大ドット)の有無を示すドットパターンである。
【0125】
なお、図12(B)示すドットパターンは高画質記録モード用であり、図12(C)に示すドットパターンは高速記録モード用である。大ドット記録素子54L用のドットパターンとして、図12(B)に示すドットパターンを選択するか、あるいは、図12(C)に示すドットパターンを選択するかは、記録ヘッド501の記録モード(具体的には記録ヘッド501の走査速度)によって異なる。
【0126】
まず、記録モードが高画質記録モードである場合について、ドットパターンの選択処理を説明する。ここで、注目している画素の階調値がレベル2であるものとする。
【0127】
まず、ドットパターン選択部124は、ドットパターン記憶部122に記憶されている図12(A)に示す複数の小ドット記録素子54S用のドットパターンのうちで、レベル2に関連付けられたドットパターンをひとつ選択する。ドットパターン記憶部122には、レベル2の小ドット記録素子54S用のドットパターンとして、識別番号が異なる複数のドットパターンが記憶されており、これらのうちで何れのドットパターンを選択するかについては、交互に選択するなどの方法がある。
【0128】
図13(A)は、ドットパターン選択部124により選択された小ドット記録素子54S用のドットパターン(すなわち小ドット記録素子54Sの主液滴により記録される主ドット81Mのドットパターンである)と、小ドット記録素子54Sの副液滴により記録される副ドット81Sのドットパターンとが合成された合成ドットパターンを示す。
【0129】
図13(A)において、副ドット81Sは、矢印で示す走査方向において、主ドット81Mの先のひとつ隣に位置する。詳細には、合成ドットパターンの第1行(図の上段の行)では図の左方向へ記録ヘッド501が走査するので、副ドット81Sは主ドット81Mのひとつ左隣に位置し、合成ドットパターンの第2行(図の下段の行)では図の右方向へ記録ヘッド501が走査するので、副ドット81Sは主ドット81Mのひとつ右隣に位置する。
【0130】
次に、ドットパターン選択部124は、ドットパターン記憶部122に記憶されている図12(B)に示す高画質記録モード用かつ大ドット記録素子54L用の複数のドットパターンのうちで、レベル2に関連付けられたドットパターンをひとつ選択する。
【0131】
本実施例において、ドットパターン選択部124は、図13(A)に示す小ドット記録素子54Sの主ドット81M及び副ドット81Sの合成ドットパターンと、これから選択しようとする大ドット記録素子54L用のドットパターンとで、全てのドット位置(8つのドット位置)が一致しないように、大ドット記録素子54L用のドットパターン(図13(B)に示す)を選択する。
【0132】
本実施例では、図13(C)に示すように、小ドット記録素子54Sから打滴される主液滴により記録される主ドット81M(主・小ドット)の位置と、小ドット記録素子54Sから打滴される副液滴により記録される副ドット81S(副・小ドット)の位置と、大ドット記録素子54Lから打滴される主液滴により記録される主ドット82M(主・大ドット)の位置とが、一致しない。
【0133】
次に、記録モードが高速記録モードである場合について、ドットパターンの選択処理を説明する。なお、高速記録モードでは高画質記録モードと比較して走査速度が2倍である。また、注目している画素の階調値がレベル2であるものとする。
【0134】
まず、ドットパターン選択部124は、ドットパターン記憶部122に記憶されている図12(A)に示す複数の小ドット記録素子54S用のドットパターンのうちで、レベル2に関連付けられたドットパターンをひとつ選択する。ここまでは、高画質記録モードの場合と同じである。
【0135】
図14(A)は、ドットパターン選択部124により選択された小ドット記録素子54S用のドットパターン(すなわち小ドット記録素子54Sの主液滴により記録される主ドット81Mのドットパターンである)と、小ドット記録素子54Sの副液滴により記録される副ドット81Sのドットパターンとが合成された合成ドットパターンを示す。
【0136】
なお、高速記録モードでは高画質記録モードと比較して走査速度が2倍なので、図14(A)において、副ドット81Sは、矢印で示す走査方向において、主ドット81Mの先のふたつ隣に位置する。詳細には、合成ドットパターンの第1行(図の上段の行)では図の左方向へ記録ヘッド501が走査するので、副ドット81Sは主ドット81Mのふたつ左隣に位置し、合成ドットパターンの第2行(図の下段の行)では図の右方向へ記録ヘッド501が走査するので、副ドット81Sは主ドット81Mのふたつ右隣に位置する。
【0137】
次に、ドットパターン選択部124は、ドットパターン記憶部122に記憶されている図12(C)に示す高速記録モード用かつ大ドット記録素子54L用の複数のドットパターンのうちで、レベル2に関連付けられたドットパターンをひとつ選択する。
【0138】
本実施例において、ドットパターン選択部124は、図14(A)に示す小ドット記録素子54S用の主ドット81M及び副ドット81Sの合成ドットパターンと、これから選択しようとする大ドット記録素子54L用のドットパターンとで、全てのドット位置(8つのドット位置)が一致しないように、大ドット記録素子54L用のドットパターン(図14(B)に示す)を選択する。
【0139】
本実施例では、図14(C)に示すように、小ドット記録素子54Sから打滴される主液滴により記録される主ドット81M(主・小ドット)の位置と、小ドット記録素子54Sから打滴される副液滴により記録される副ドット81S(副・小ドット)の位置と、大ドット記録素子54Lから打滴される主液滴により記録される主ドット82M(主・大ドット)の位置とが、一致しない。
【0140】
(実施例2)
本実施例において、記録ヘッド50は、走査速度が互いに異なる高画質記録モードと高速記録モードとを有し、記録モードが切り換わると走査速度が切り換わる。
【0141】
また、本実施例において、記録ヘッド50は、打滴するインク色が互いに異なる複数の記録素子を有する。具体的には、シアン(C)色のインクを打滴するCインク記録素子と、マゼンタ(M)色のインクを打滴するMインク記録素子と、イエロー(Y)色のインクを打滴するYインク記録素子を有する。ここで、Cインク記録素子、Mインク記録素子及びYインク記録素子はいずれも主液滴とともに副液滴を発生させてしまう。なお、CドットとMドットとのドット位置の一致は視認性に与える影響が大きいので考慮する一方で、CドットとYドットとのドット位置の一致、及び、MドットとYドットとのドット位置の一致は視認性に与える影響が少ないので無視する。
【0142】
なお、以下の説明を簡略に行うため、図11(B)に示す簡略化した記録ヘッド502を考える。この記録ヘッド502は、同じ口径のノズル51Lをそれぞれ有する、Cインク記録素子54C、Mインク記録素子54M、および、Yインク記録素子54Yを、少なくとも各1個ずつ有する。これらの記録素子54M、54C、54Yは、主走査方向Mに沿って並んで設けられている。
【0143】
被記録媒体上に形成される画像の解像度は、例えば、副走査方向が1200dpi、主走査方向が1200dpiである。また、本実施例において、実施例1と同様に、ドットパターンは2ドット×4ドット、階調値は4ビットからなる9階調(レベル0〜8)であり、階調値のレベルとドットパターンの主ドットの個数とは等しい。
【0144】
図15(A)、(B)、(C)は、図1のドットパターン記憶部122に予め記憶されている複数のドットパターンの例を示す。いずれの図も、説明の便宜上、レベル1に対応するドットパターンと、レベル2に対応するドットパターンのみ示している。実際には、レベル0及び3〜8に対応するドットパターンも、ドットパターン記憶部122に記憶されている。
【0145】
図15(A)に示すドットパターンは、Cインク記録素子54Cの主液滴により記録される主ドット(主・Cドット)の有無を示すドットパターンである。図15(B)及び(C)に示すドットパターンは、Mインク記録素子54Mの主液滴により被記録媒体上に記録される主ドット(主・Mドット)の有無を示すドットパターンである。Yインク記録素子54Yの主液滴により記録される主ドットの有無を示すドットパターンは、図示を省略した。
【0146】
なお、図15(B)示すドットパターンは高画質記録モードであり、図15(C)に示すドットパターンは、高速記録モード用である。Mインク記録素子54M用のドットパターンとして、図15(B)に示すドットパターンを選択するか、あるいは、図15(C)に示すドットパターンを選択するかは、記録ヘッド502の記録モード(具体的には記録ヘッドの走査速度)によって異なる。
【0147】
まず、記録モードが高画質記録モードである場合について、ドットパターンの選択処理を説明する。ここで、注目している画素の階調値がレベル2であるものとする。
【0148】
まず、ドットパターン選択部124は、ドットパターン記憶部122に記憶されている図15(A)に示す複数のCインク記録素子54C用のドットパターンのうちで、レベル2に関連付けられたドットパターンをひとつ選択する。なお、ドットパターン記憶部122には、レベル2のCインク記録素子54C用のドットパターンとして、識別番号が異なる複数のドットパターンが記憶されており、これらのうちで何れのドットパターンを選択するかは、交互に選択するなどの方法がある。
【0149】
図16(A)は、ドットパターン選択部124により選択されたCインク記録素子54C用のドットパターン(すなわちCインク記録素子54Cの主液滴により記録される主ドット81Mのドットパターンである)と、Cインク記録素子54Cの副液滴により記録される副ドット81Sのドットパターンとが合成された合成ドットパターンを示す。
【0150】
図16(A)において、副ドット81Sは、矢印で示す走査方向において、主ドット81Mの先のひとつ隣に位置する。詳細には、合成ドットパターンの第1行(図の上段の行)では図の左方向へ記録ヘッド502が走査するので、副ドット81Sは主ドット81Mのひとつ左隣に位置し、合成ドットパターンの第2行(図の下段の行)では図の右方向へ記録ヘッド502が走査するので、副ドット81Sは主ドット81Mのひとつ右隣に位置する。
【0151】
次に、ドットパターン選択部124は、ドットパターン記憶部122に記憶されている図15(B)に示す高画質記録モード用かつMインク記録素子54M用の複数のドットパターンのうちで、レベル2に関連付けられたドットパターンをひとつ選択する。
【0152】
図16(B)は、ドットパターン選択部124により選択されたMインク記録素子54M用のドットパターン(すなわちMインク記録素子54Mの主液滴により記録される主ドット82Mのドットパターンである)と、Mインク記録素子54Mの副液滴により記録される副ドット82Sのドットパターンとが合成された合成ドットパターンを示す。
【0153】
本実施例において、ドットパターン選択部124は、図16(A)に示すCインク記録素子54Cの主ドット81Mおよび副ドット81Sの合成ドットパターンと、図16(B)に示すMインク記録素子54Mの主ドット82Mおよび副ドット82Sの合成ドットパターンとで、全てのドット位置(8つのドット位置)が一致しないように、Mインク記録素子54M用のドットパターンを選択する。
【0154】
本実施例では、図16(C)に示すように、Cインク記録素子54Cから打滴される主液滴により記録される主ドット81M(主・Cドット)の位置と、Cインク記録素子54から打滴される副液滴により記録される副ドット81S(副・Cドット)の位置と、Mインク記録素子54Mから打滴される主液滴により記録される主ドット82M(主・Mドット)の位置と、Mインク記録素子54Mから打滴される副液滴により記録される副ドット82S(副・Mドット)の位置とが、一致しない。
【0155】
次に、記録モードが高速記録モードである場合について、ドットパターンの選択処理を以下説明する。なお、高速記録モードでは高画質記録モードと比較して走査速度が2倍である。また、注目している画素の階調値はレベル2であるものとする。
【0156】
まず、ドットパターン選択部124は、ドットパターン記憶部122に記憶されている図15(A)に示す複数のCインク記録素子54C用のドットパターンのうちで、レベル2に関連付けられたドットパターンをひとつ選択する。ここまでは、高画質記録モードのである場合と同じである。
【0157】
図17(A)は、ドットパターン選択部124により選択されたCインク記録素子54C用のドットパターン(すなわちCインク記録素子54Cの主液滴により記録される主ドット81Mのドットパターンである)と、Cインク記録素子54Cの副液滴により記録される副ドット81Sのドットパターンとが合成された合成ドットパターンを示す。
【0158】
なお、高速記録モードでは高画質記録モードと比較して走査速度が2倍なので、図17(A)において、副ドット81Sは、矢印で示す走査方向において、主ドット81Mのふたつ隣に位置する。詳細には、合成ドットパターンの第1行(図の上段の行)では図の左方向へ記録ヘッド502が走査するので、副ドット81Sは主ドット81Mのふたつ左隣に位置し、合成ドットパターンの第2行(図の下段の行)では図の右方向へ記録ヘッド502が走査するので、副ドット81Sは主ドット81Mのふたつ右隣に位置する。
【0159】
次に、ドットパターン選択部124は、ドットパターン記憶部122に記憶されている図15(C)に示す高速記録モード用かつMドット用の複数のドットパターンのうちで、レベル2に関連付けられたドットパターンをひとつ選択する。
【0160】
図17(B)は、ドットパターン選択部124により選択されたMインク記録素子54Mのドットパターン(すなわちMインク記録素子54Mの主液滴により記録される主ドット82Mのドットパターンである)と、Mインク記録素子54Mの副液滴により記録される副ドット82Sのドットパターンが合成された合成ドットパターンを示す。
【0161】
本実施例では、図17(C)に示すように、Cインク記録素子54Cから打滴される主液滴により記録される主ドット81M(主・Cドット)の位置と、Cインク記録素子54Cから打滴される副液滴により記録される副ドット81S(副・Cドット)の位置と、Mインク記録素子54Mから打滴される主液滴により記録される主ドット82M(主・Mドット)の位置と、Mインク記録素子54Mから打滴される副液滴により記録される副ドット82S(副・Mドット)の位置とが、一致しない。
【0162】
なお、実施例1では、ドットサイズが互いに異なる小ドット記録素子54Sおよび大ドット記録素子54Lについて、主液滴のドット位置と副液滴のドット位置との一致を回避する場合について説明し、実施例2では、インク色が互いに異なるCインク記録素子54C、Mインク記録素子54MおよびYインク記録素子54YのうちでCインク記録素子54CおよびMインク記録素子54Mについて、主液滴のドット位置と副液滴のドット位置との一致を回避する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0163】
例えば、記録部112が、インク色(Cインク、Mインク、Yインク、Kインク)とドットサイズ(大ドット、小ドット)との組み合わせが互いに異なる8種類の記録素子を有し、2色のインク(CインクおよびMインク)について、異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置との一致を回避するようにしてもよい。詳細には、ドットパターン選択部124は、記録データの各画素に順次注目し、注目した画素毎に、特定の4種類の記録素子(Cインク且つ大ドット用の記録素子、Cインク且つ小ドット用の記録素子、Mインク且つ大ドット用の記録素子、および、Mインク且つ小ドット用の記録素子)の主ドットの数と副ドットの数との和が階調値の最大値に対応するドットパターンの最大ドット数以下であるとき、ドットの種類が異なる特定の前記4種類の記録素子間で、主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、副液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンを選択するように構成してもよい。このような場合、ドットパターン記憶部122に記憶されるドットパターンは、記録データの各画素毎に、特定の前記4種類の記録素子の主ドットの数と副ドットの数との和が階調値の最大値に対応するドットパターンの最大ドット数以下であるとき、特定の前記4種類の記録素子において、一の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンと、他の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンとで、主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、副液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンである。
【0164】
なお、本発明は、本明細書において説明した例や図面に図示された例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明に係る記録装置の一例としてのインクジェット記録装置の全体構成を示す要部ブロック図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置の具体的なハードウエア構成の一例を示す要部ブロック図である。
【図3】ドットパターンテーブルの一例を示す説明図である。
【図4】図1の記録部の一例を示す全体構成図である。
【図5】図4の記録部を被記録媒体側から見た平面図である。
【図6】(A)は図5の6A―6A線に沿った断面図、(B)は図5の6B―6B線に沿った断面図である。
【図7】図1の記録部の他の例を示す全体構成図である。
【図8】図7の記録部を構成するひとつの記録ヘッドの平面透視図である。
【図9】記録処理の一例の流れの概略を示すフローチャートである。
【図10】図9のドットパターン選択を行うステップの詳細を示すフローチャートである。
【図11】実施例の説明のための簡略化した記録ヘッドを示す図である。
【図12】実施例1におけるドットパターンを示す図である。
【図13】実施例1における高画質記録モードの合成ドットパターンを示す図である。
【図14】実施例1における高速記録モードの合成ドットパターンを示す図である。
【図15】実施例2におけるドットパターンを示す図である。
【図16】実施例2における高画質記録モードの合成ドットパターンを示す図である。
【図17】実施例2における高速記録モードの合成ドットパターンを示す図である。
【図18】従来技術における課題の説明に用いる説明図である。
【符号の説明】
【0166】
10…インクジェット記録装置、50(50K、50C、50M、50Y)…記録ヘッド、51(51S、51L)…ノズル、54(54S、54L)…記録素子、112…記録部(記録手段)、114…走査部、118…打滴データバッファ、122…ドットパターン記憶部、124…ドットパターン選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の被記録媒体にインクを打滴してドットを記録する記録手段を用い、階調値を有する複数の画素からなる記録データに基づいて前記被記録媒体に記録を行う記録装置において、
前記階調値に対して前記記録手段の主液滴により前記被記録媒体に記録されるドットの配置を示す複数のドットパターンを各階調に関連付けて予め記憶するドットパターン記憶手段と、
前記記録手段の打滴に用いられる打滴データを格納するバッファと、
前記記録データの各画素に順次注目し、前記ドットパターン記憶手段に予め記憶されている複数の前記ドットパターンの中から、注目した画素の階調値に対応する前記ドットパターンを選択して、前記バッファへ展開するドットパターン選択手段と、
を備え、
前記記録手段は、互いに記録するドットの種類が異なる複数種類の記録素子を有し、
前記ドットパターン選択手段は、注目した前記画素毎に、前記複数種類の記録素子のうちで特定の2種類以上の記録素子について、主液滴により記録されるドットの数と副液滴により記録されるドットの数との和が前記階調値の最大値に対応する前記ドットパターンの最大ドット数以下の条件であるとき、少なくとも、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンを選択することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
互いに記録するドットの種類が異なる前記複数種類の記録素子は、インク色およびドットサイズのうちで少なくとも一方が互いに異なる記録素子であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記ドットパターン選択手段によって選択するドットパターンは、前記特定の2種類以上の記録素子について前記条件のとき、更に、前記特定の2種類以上の記録素子について同じ種類の記録素子間で主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記特定の2種類以上の記録素子について同じ種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンであることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記ドットパターン選択手段によって選択するドットパターンは、前記特定の2種類以上の記録素子について前記条件のとき、更に、前記特定の2種類以上の記録素子について同じ種類の記録素子間で副液滴のドット位置同士が一致しないドットパターンであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記ドットパターン選択手段によって選択するドットパターンは、前記特定の2種類以上の記録素子について前記条件のとき、更に、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で副液滴のドット位置同士が一致しないドットパターンであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記ドットパターン記憶手段に記憶されるドットパターンは、前記特定の2種類以上の記録素子について前記条件のとき、一の種類の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンと、他の種類の記録素子に用いられる階調値のそれぞれの階調に対応したドットパターンとで、少なくとも、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録手段は、前記被記録媒体に対する走査速度が互いに異なる複数の記録モードを有し、
前記ドットパターン選択手段は、前記記録モードの切り換えによる走査速度の変更に対応して、前記各記録モード毎に異なる前記ドットパターンを選択してドット位置の一致の回避を行うことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記記録手段は、前記被記録媒体に高画質で画像を形成する高画質記録モードとそれ以外の記録モードとを有し、
前記ドットパターン選択手段は、少なくとも前記高画質記録モードであるとき、ドット位置の一致の回避を行うことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録手段は、主液滴により前記被記録媒体に記録されるドットの大きさが互いに異なる第1の種類の記録素子および第2の種類の記録素子を有し、
前記第1の種類の記録素子の主液滴によるドットは、前記第2の種類の記録素子の主液滴によるドットよりも小さく、
前記ドットパターン選択手段は、前記第1の種類の記録素子および前記第2の種類の記録素子について前記条件のとき、前記第1の種類の記録素子の主液滴のドット位置と、前記第1の種類の記録素子の副液滴のドット位置と、前記第2の種類の記録素子の主液滴のドット位置とが、互いに一致しないドットパターンを選択することを特徴とする請求項1、2、3、4、6、7、8の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録手段は、インク色が互いに異なる第1の種類の記録素子および第2の種類の記録素子を有し、
前記ドットパターン選択手段は、前記第1の種類の記録素子および前記第2の種類の記録素子について前記条件のとき、前記第1の種類の記録素子の主液滴のドット位置と、前記第1の種類の記録素子の副液滴のドット位置と、前記第2の種類の記録素子の主液滴のドット位置と、前記第2の種類の記録素子の副液滴のドット位置とが、互いに一致しないドットパターンを選択することを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項11】
前記記録手段は、シアン色のインクを打滴する第1の種類の記録素子と、マゼンタ色のインクを打滴する第2の種類の記録素子と、イエロー色のインクを打滴する第3の種類の記録素子とを有し、
前記ドットパターン選択手段は、前記第1の種類の記録素子および前記第2の種類の記録素子について前記条件のとき、前記第1の種類の記録素子の主液滴のドット位置と、第1の種類の記録素子の副液滴のドット位置と、前記第2の種類の記録素子の主液滴のドット位置と、前記第2の種類の記録素子の副液滴のドット位置とが、互いに一致しないドットパターンを選択することを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記記録手段は、インク色とドットサイズとの組み合わせが互いに異なる複数種類の記録素子を有し、
前記ドットパターン選択手段は、2色以上のインク色について前記条件のとき、少なくとも、前記2色以上のインク色について主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記2色以上のインク色について副液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記2色以上のインク色について主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンを選択することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項13】
ドット位置の一致を回避する前記2色のインク色は、マゼンタ色およびシアン色であることを特徴とする請求項12に記載の記録装置。
【請求項14】
所定の被記録媒体にインクを打滴してドットを記録する記録手段を用い、階調値を有する複数の画素からなる記録データに基づいて前記被記録媒体に記録を行う記録方法において、
前記階調値に対して前記記録素子の主液滴により前記被記録媒体に記録されるドットの配置を示す複数のドットパターンを各階調に関連付けて予め所定の記憶手段に記憶させておき、
前記記録データの各画素に順次注目し、前記記憶手段に予め記憶されている複数の前記ドットパターンの中から、注目した画素の階調値に対応する前記ドットパターンを選択するドットパターン選択工程と、
選択した前記ドットパターンを所定のバッファへ展開する工程と、
前記バッファへ展開された複数の前記ドットパターンからなる打滴データを用いて、前記記録手段により前記被記録媒体に記録を行う工程と、
を備え、
前記記録手段は、互いに記録するドットの種類が異なる複数種類の記録素子を有し、
前記ドットパターン選択工程において、注目した前記画素毎に、前記複数種類の記録素子のうちで特定の2種類以上の記録素子について、主液滴により記録されるドットの数と副液滴により記録されるドットの数との和が前記階調値の最大値に対応する前記ドットパターンの最大ドット数以下の条件であるとき、少なくとも、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置同士が一致せず、且つ、前記特定の2種類以上の記録素子について異なる種類の記録素子間で主液滴のドット位置と副液滴のドット位置とが一致しないドットパターンを選択することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−74017(P2008−74017A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257795(P2006−257795)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】