説明

訪問者報知サービスの提供方法、及び訪問者報知システム

【課題】より早い時点で開口部装置に近づく訪問者を利用者に報知するとともに、その際には訪問者の顔を検出することが可能な訪問者報知サービスの提供方法を提供する。
【解決手段】開口部装置に配置された動画カメラが、開口部装置の室外側を含む撮像範囲の映像信号を生成し、情報処理手段に送信する過程S11と、情報処理手段が、動画カメラからの映像信号を受信して該映像信号に含まれる人間の顔の位置及び範囲を検出する過程S12と、情報処理手段が、検出した顔の範囲が所定の大きさ以上になったときに映像信号に基づいて静止画信号を生成する過程S14と、情報処理手段が、利用者の利用者端末装置に静止画信号を電気通信回線により送信するとともに、サーバーにはサービスの提供があった旨の情報を含む利用信号を電気通信回線により送信する過程S17と、サーバーが利用信号に基づいて利用者の利用履歴を蓄積して記憶する過程S20と、を含むものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部装置に近づいた訪問者を利用者に報知する訪問者報知サービスの提供方法、及び訪問者報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅への不法侵入による盗難等の犯罪行為の増加にともない、このような犯罪行為を未然に防ぐための自衛策として様々な防犯システムが提供されている。例えば特許文献1には、玄関ドアが操作されることをきっかけに、録画装置、警報、通報装置の作動等が行われる出入口ドア防犯装置が開示されている。また、警備会社等と契約することにより各種設備を住宅に設置し、異常が検知されたときには警備会社から警備員が派遣されるというシステムも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−140288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら特許文献1に記載の出入口ドア防犯装置や警備会社との契約による警備員の派遣等により一定以上の防犯効果は奏する。しかしながら次のような問題もあった。すなわち、特許文献1に記載の防犯装置や公知の防犯システムでは、カメラ等により不審者の姿を取得し、これを所定の場所に送信することができるものもあるが、必ずしも不審者の顔を撮像できているとは限らなかった。不審者を特定するためにはその顔が記録されていることが好ましいことは明らかである。また、従来の防犯装置やシステムは、ドアを開けること等をシステム作動のきっかけとしていたが、もう少し早い時点で不審者を認識できることが好ましい。
【0005】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、より早い時点で開口部装置に近づく訪問者を利用者に報知するとともに、その際には訪問者の顔を検出することが可能な訪問者報知サービスの提供方法を提供することを課題とする。また、そのための訪問者報知システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、建物の開口部装置(11、51)に近づいた訪問者を利用者に報知するサービスの提供方法であって、開口部装置に配置された動画カメラ(12)が、開口部装置の室外側を含む撮像範囲の映像信号を生成し、情報処理手段(20、60、70)に送信する過程(S11)と、情報処理手段が、動画カメラからの映像信号を受信して該映像信号に含まれる人間の顔の位置及び範囲を検出する過程(S12)と、情報処理手段が、検出した顔の範囲が所定の大きさ以上になったときに映像信号に基づいて静止画信号を生成する過程(S14)と、情報処理手段が、利用者の利用者端末装置(30、80)に静止画信号を電気通信回線により送信する(S16)とともに、サーバー(31、81)にはサービスの提供があった旨の情報を含む利用信号を電気通信回線により送信する過程(S17)と、サーバーが、利用信号に基づいて利用者の利用履歴を蓄積して記憶する過程(S20)と、を含む訪問者報知サービスの提供方法(S10、S50)である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の訪問者報知サービスの提供方法(S50)において、さらに、情報処理手段(60、70)が、利用者端末装置からの信号に基づいて、利用者端末装置からの音声信号、又は情報処理手段に予め保存されていた音声信号を開口部装置(51)に具備されたスピーカー(52)に送信する過程(S52)と、スピーカーが、音声信号による音声を出力する過程(S53)と、を含む。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の訪問者報知サービスの提供方法(S10、S50)において、さらに、サーバー(31、81)が、該サーバーに記憶された利用者との契約情報及び利用信号に基づいて課金の可否を判断する過程(S18、S55)と、判断に基づいて課金を行う過程(S19、S56)と、を含む。
【0010】
請求項4に記載の発明は、建物の開口部装置(11、51)に近づいた訪問者を利用者に報知するシステムであって、建物の開口部に配置される開口部装置と、開口部装置に備えられ、該開口部装置の室外側を撮像範囲に含み、撮像範囲の映像信号を生成する動画カメラ(12)と、動画カメラからの映像信号を受信するとともに、信号を電気通信回線を通じて送信可能な情報処理手段(20、60、70)と、情報処理手段から送信された信号を電気通信回線を通じて受信するサーバー(31、81)と、を含み、情報処理手段は、動画カメラからの映像信号を受信して該映像信号に含まれる人間の顔の位置及び範囲を検出する顔検出手段(23)と、検出した顔の範囲が所定の大きさ以上になったときに映像信号に基づいて静止画信号を生成する静止画作成手段(24)と、静止画信号及び/又はシステムを利用した旨の情報を含む利用信号を送付すべき宛先が記憶された宛先記憶手段(25)と、宛先記憶手段の宛先に基づいて静止画信号を利用者端末装置に電気通信回線を通じて送信可能とするとともに、利用信号を電気通信回線を通じてサーバーに送信可能とする情報送信手段(26)と、を備え、サーバーは情報処理手段から送信された利用信号に基づいて利用者の利用履歴を蓄積して記憶する手段を有している、訪問者報知システム(10、50、50’)である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の訪問者報知システム(50、50’)において、開口部装置(51)には、さらに室外側に音声を出力可能なスピーカー(52)が設けられ、情報処理手段(60、70)は、さらに、電気通信回線を通じて送信される利用者端末装置からの信号を受信する受信手段(61)と、利用者端末装置からの信号に基づいて利用者の音声信号、又は情報処理手段に備えられた音声信号記憶手段(71)に予め記憶させておいた音声信号をスピーカーに送信する送信手段(62)と、を備え、利用者の音声信号又は予め記憶された音声信号がスピーカーから出力可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の訪問者報知システム(10、50、50’)において、サーバー(31、81)にはさらに、利用者との契約情報が記憶された契約情報記憶手段と、契約情報及び利用信号に基づいて課金をする課金手段と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より早い時点で開口部装置に近づく訪問者を利用者に報知するとともに、その際には訪問者の顔を検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第一実施形態に係る訪問者報知システムの概要を説明する図である。
【図2】図1に示した訪問者報知システムの構成を示すブロック図である。
【図3】1つの実施形態に係る訪問者報知サービスの提供方法の流れを示す図である。
【図4】第二実施形態に係る訪問者報知システムの概要を説明する図である。
【図5】図4に示した訪問者報知システムの構成を示すブロック図である。
【図6】他の実施形態に係る訪問者検知サービスの提供方法の流れを示す図である。
【図7】第二実施形態の変形例に係る訪問者報知システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0016】
図1は、第一実施形態に係る訪問者報知システム10の概要を説明する図、図2は訪問者報知システム10の構成を示すブロック図である。
【0017】
訪問者報知システム10は、開口部装置11、開口部装置11に備えられた動画カメラ12、情報処理手段20、利用者端末装置30、及びサーバー31を備えている。
【0018】
開口部装置11は、建物の開口部に備えられた装置であり、本実施形態では玄関ドアである。ただし、本発明に適用される開口部装置は玄関ドアに限定されることはなく、窓等のあらゆる開口部装置を適用できる。
【0019】
動画カメラ12は室外側が撮影範囲となるように、開口部装置11の枠部に埋め込まれて設置された動画撮影可能なカメラである。動画カメラ12は図2からわかるように、例えばCCD素子等の撮像素子を具備する撮像手段13と、得られた映像信号を情報処理手段20に送信する映像信号送信手段14と、を備えている。このように動画カメラ12を開口部装置11に備えることにより、建物の壁等に別途動画カメラを取り付ける必要がなく、開口部装置の設置時から訪問者報知システム10を適用することが決まっている場合には、開口部装置11の設置により動画カメラ12の設置も完了する。また既存の開口部装置に後から動画カメラ12を設置する場合にも開口部装置は比較的加工がしやすいので設置も容易である。
ここで撮像手段13は、映像情報を電気信号に変換し、映像信号を生成する機器であり、いわゆるCCDカメラやCMOSカメラ等を挙げることができ、公知のものを用いることが可能である。また、撮像手段13の撮像範囲は特に限定されるものではないが、少なくとも開口部装置11より屋外側の開口部装置11の正面が含まれることが好ましい。また、映像信号送信手段14は撮像手段13により得られた映像信号を順次情報処理手段20に送信することができればよいので公知の送信機器を用いることが可能である。
【0020】
情報処理手段20は、映像信号受信手段21、画像処理手段22、宛先記憶手段25、情報送信手段26を備えている。
映像信号受信手段21は、動画カメラ12の映像信号送信手段14から送られてくる映像信号を受信する。ここで、映像信号送信手段14と映像信号受信手段21とは、有線又は無線通信により(A)通信可能とされている。
【0021】
画像処理手段22は、顔検出手段23及び静止画作成手段24を含んでいる。
【0022】
顔検出手段23は、受信した映像信号を処理し、人間の顔の位置及び範囲を検出する手段である。顔検出手段23では検出された人間が誰であるかを特定する必要はなく、人間の顔の概ねの輪郭を特定することができればよい。具体的な方法は特に限定されることなく公知の方法を用いることができるが、より早い処理が可能である方法が好ましい。これにより訪問者があってからの時間的遅れを抑制して情報を概ねリアルタイムで報知することができる。かかる観点から例えば、顔の明暗の特徴を単純化した白黒の図形に置き換えることにより、顔以外の部分を緩い判断基準で早く除外し、映像(画像)全体から顔の特徴に当てはまる場所を絞り込む方法を挙げることができる。(例えば、P.Viola,M.Jones,"Rapid Object Detection using a Boosted Cascade of Simple Features",In Proc. IEEE Conf. on Computer Vision and Pattern Recognition, Kauai, USA, 2001)。これにより高速で、顔である部分の検出をおこなうことが可能である。
【0023】
静止画作成手段24は、顔検出手段23により検出した人間の顔の大きさが所定の大きさ以上になったときに、当該映像信号に基づいて静止画信号を生成する手段である。静止画作成手段24では、静止画の作成が指示されたときの動画フレームを抽出して静止画信号を生成することにより静止画を作成する。
【0024】
画像処理手段22は、撮像範囲に含まれる人間の顔の位置及び範囲を連続して追跡し、その大きさが一定以上となったときに静止画信号を生成する。顔の範囲が一定の大きさ以上になるということは、その人間が動画カメラ、すなわち開口部装置の近い位置に存在することを意味し、訪問者である可能性が高い。従ってこの時点で静止画信号を生成すれば、早い時点で訪問者の検出をすることができる。また、静止画信号の生成は顔が一定の大きさ以上になることが前提となっているので、後述するように静止画を見た利用者は的確に訪問者が面識のある者か否かを判断することができる。さらに画像処理手段22では、顔の位置及び範囲を特定するのみであり、撮影された者が誰であるかも識別する必要はないので、信号処理が簡易であり、該手段の動作の迅速性や確実性を高いものにすることが可能である。
【0025】
宛先記憶手段25は、静止画信号や訪問者報知システム10の利用履歴を含む利用信号を送信すべきアドレス(利用者やサーバーのアドレス)等が保存されている手段である。本実施形態では記憶されているデータとして利用者端末装置のメールアドレス及びサーバーへの送信アドレスを挙げることができる。
情報送信手段26は、静止画信号や利用信号を利用者端末装置30やサーバー31に送信する。ここで情報処理手段20は、情報送信手段26により電気通信回線としてのインターネット(B、C)を介して利用者端末装置30及びサーバー31と通信可能とされている。ただし電気通信回線は必ずしもインターネットである必要はなく、携帯電話回線を含む電話回線等であってもよい。
【0026】
このような情報処理手段20を形成する具体的な態様の例としては、コンピュータを挙げることができる。コンピュータに備えられる受信手段及び送信手段を情報処理手段20の映像信号受信手段21及び情報送信手段26として用い、コンピュータに備えられる記憶装置を宛先記憶手段25、顔検出手段23のためのプログラム、及び静止画作成手段24のためのプログラム等の記憶手段として用いることが可能である。そして画像処理手段22の作動、及び情報処理手段20のその他の作動については、コンピュータに備えられる中央演算子(CPU)が記憶装置に記憶された各種プログラムを実行することによりおこなわれる。
【0027】
利用者端末装置30は、訪問者報知システム10の利用者が所持する端末装置であり、情報処理手段20の情報送信手段26から送信される信号を受信してその内容を閲覧することができる装置である。すなわち、情報処理手段20から利用者端末装置30に送信されるデータには少なくとも静止画信号が含まれており、当該利用者端末装置30は静止画を見ることができるように表示手段を有して構成されている。利用者端末装置30としては特に限定されることはないが、携帯電話等の各種携帯端末やパーソナルコンピュータを利用することができる。
【0028】
サーバー31は、情報処理手段20の情報送信手段26から送信される信号を受信して、訪問者報知システム10の利用履歴の蓄積や課金を管理する機器である。従って、情報処理手段20からサーバー31に送信される情報には、少なくとも静止画が利用者端末装置30に送信されたという利用信号を含む。ただし、これに限定されることなく静止画信号やその他の情報が含まれてもよい。ここで本実施形態ではサーバー31は訪問者報知システム10の提供者が所有し、利用者の各種管理をおこなうことができるように構成されている。
従ってサーバー31には利用信号を受信する手段、利用者との契約情報がデータベースとして記憶された契約情報記憶手段、契約情報と利用信号に基づいて課金を判断する課金判断手段、必要であれば課金する課金手段、及びサーバーとして機能するために必要な機器を具備している。このようなサーバーには公知のサーバーコンピュータを適用することができる。すなわち、サーバーコンピュータの受信手段を利用信号を受信する手段、サーバーコンピュータの記憶手段を契約情報記憶手段や課金のためのプログラムを記憶する手段として用いることができ、課金の判断手段及び課金手段としてプログラムに基づいて演算する中央演算子(CPU)が用いられる。
【0029】
以上のような訪問者報知システム10によれば、利用者端末装置には所定の大きさで表れた顔の静止画が送付されるので、利用者がその顔を判別しやすい。従って、利用者は開口部装置の近くにいる人物を早い時点で認識し、特定しやすい。例えばその人物が家族であれば、家族が帰宅したことを把握することができる。一方、不審者であればそれをいち早く把握することができ、しかるべき対応をとることによって犯罪を未然に防ぐことが可能である。また、訪問者報知システム10をひとり暮らしの高齢者が住む住宅に用い、利用者端末装置30を家族が所持すれば、その高齢者の安否確認をすることもできる。
また、顔検出に際しては画像処理手段22で人物の特定までする必要がないので、処理時間を短いものとすることができ、訪問に対する情報を早く利用者端末装置30に提供することが可能である。
従来における防犯システムでは、動体を感知する機能はあるが、必ずしも顔を検出できるとは限らず、画像情報が利用者に提供されても人物を判断することが困難である場合があった。また、防犯システムを警備会社等に委託すると大がかりなものとなる傾向にあった。これに対して訪問者報知システム10によれば、顔を検出するので利用者が人物を判断することが容易になるとともに、これが非常に簡易なシステムにより構成されている。
【0030】
本実施形態では、生成した静止画信号の全てを情報送信手段により利用者端末装置及びサーバーに送る例を説明したがこれに限定されるものでない。例えば、静止画信号が生成された後、開口部装置の開放が行われたことを確認して静止画を送信する態様を挙げることができる。これによれば、家の中に侵入した者に限って情報を得ることができ、単なる勧誘等の情報を排除し、送信される情報を絞ることもできる。その際には開口部装置に開放を知らせるスイッチを備え、その開放信号を情報処理手段20に送信するように構成すればよい。
【0031】
次に訪問者報知システム10の動作について説明し、これにより1つの実施形態にかかる訪問者報知サービスの提供方法S10について説明する。図3に訪問者報知サービスの提供方法S10の流れを示した。
【0032】
訪問者報知システム10はその起動時から動画カメラ12により撮像がおこなわれ、得られた映像信号は順次映像信号送信手段14により情報処理手段20に送信される(過程S11)。映像信号を受信した情報処理手段20では、当該映像信号が画像処理手段22に取り込まれ、顔検出手段23により撮像範囲内に含まれる人間の顔検出をおこなう(過程S12)。過程S12で顔検出がされると静止画作成手段24は静止画信号を生成するかを判断する(過程S13)。静止画信号を生成するか否かは、顔検出手段23により検出された顔の範囲が所定の大きさに達したか否かで判断する。顔の範囲が予め決められた範囲より小さければ「No」が選択され静止画信号を生成しない。一方、顔の範囲が予め決められた範囲よりも大きければ「Yes」が選択されて静止画信号が生成される(過程S14)。
【0033】
過程S14で静止画信号が生成されると、当該静止画信号が情報送信手段26に送られる。その際に情報送信手段26は、情報の送付先を宛先記憶手段25から抽出し(過程S15)、当該送付先に情報を送付する。具体的には、第一に情報送信手段26は利用者端末装置30に静止画信号を送付する(過程S16)。これにより利用者は訪問者が開口部装置11の近くにいること、及びその顔を認識することができる。第二に情報送信手段26はサーバー31に利用信号を送信する(過程S17)。
【0034】
利用信号を受信したサーバー31は、当該利用に対して課金が必要かを判断する(過程S18)。課金の判断は、契約情報記憶手段に記憶された利用者との契約情報と利用信号とに基づいて課金判断手段によりおこなわれる。当該利用に対して課金が必要であれば「Yes」が選択され、課金手段により所定の額の課金が行われ(過程S19)、利用履歴の蓄積がされる(過程S20)。一方、当該利用に対して課金が不要であれば課金をすることなく利用履歴が蓄積される(過程S20)。
【0035】
このような訪問者報知サービスの提供方法S10により、上記したように利用者に訪問者の情報を迅速に提供することができる。また、訪問者報知システム10、訪問者報知サービスの提供方法S10の提供者も利用者の利用状況や課金に関する処理を自動に行うことができ、利便性が高い。
【0036】
図4は、第二実施形態に係る訪問者報知システム50の概要を説明する図、図5は訪問者報知システム50の構成を示すブロック図である。
【0037】
訪問者報知システム50は、開口部装置51、開口部装置51に備えられた動画カメラ12、開口部装置51に備えられたスピーカー52、情報処理手段60、利用者端末装置80、及びサーバー81を備えている。
【0038】
開口部装置51は上記した開口部装置11と同様、建物の開口部に備えられた装置であり、本実施形態では玄関ドアである。ただし、本発明に適用される開口部装置は玄関ドアに限定されることはなく、窓等のあらゆる開口部装置を用いることができる。
【0039】
動画カメラ12は、第一実施形態で説明した動画カメラ12と同様なのでここでは同じ符号を付して説明を省略する。
スピーカー52は、室外へ向かって音声を出力することができるように開口部装置51の枠部に埋め込まれて設置されたスピーカーである。スピーカー52は図5からわかるように、実際に音声を出力する部位である音声出力手段53と、音声出力手段53から出力すべき音声信号を情報処理手段60から受信する音声受信手段54と、を備えている。音声出力手段53は、音声信号を実際の音声に変換する機器であり、いわゆるスピーカーの出力部である。従ってこれには公知のものを用いることができる。また、音声受信手段54は情報処理手段60から送信された音声信号を受信し、音声出力手段53に伝送することができればよいので公知の受信機器を用いることが可能である。
【0040】
動画カメラ12及びスピーカー52は図4からわかるように開口部装置51の枠に埋め込まれるように取り付けられ開口部装置51と一体となっている。このように動画カメラ12、及びスピーカー52を開口部装置51に備えることにより、建物の壁等に別途動画カメラ及びスピーカーを取り付ける必要がなく、開口部装置の設置時から訪問者報知システム50を適用することが決まっている場合には、開口部装置51の設置により動画カメラ12、スピーカー52の設置も完了する。また既存の開口部装置に後から動画カメラ12、及びスピーカー52を設置する場合にも開口部装置は比較的加工がしやすいので設置も容易である。
【0041】
情報処理手段60は、映像信号受信手段21、画像処理手段22、宛先記憶手段25、情報送信手段26、音声利用受信手段61、及び音声信号送信手段62を備えている。ここで情報処理手段60のうち、映像信号受信手段21、画像処理手段22、宛先記憶手段25、及び情報送信手段26は、上記した第一実施形態の訪問者報知システム10と同様なので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0042】
音声利用受信手段61は、利用者端末装置80から送られてくる音声信号を受信する手段である。ここで、利用者端末装置80と音声利用受信手段61とは、電気通信回線としてのインターネット(D)を介して通信可能とされている。ただし電気通信回線は必ずしもインターネットである必要はなく、携帯電話回線を含む電話回線等であってもよい。
【0043】
音声信号送信手段62は、音声利用受信手段61から音声信号を受け、当該音声信号をスピーカー52に送信する手段である。ここで受信手段61とスピーカー52とは有線、又は無線により通信可能(E)とされている。
【0044】
また、音声利用受信手段61は情報送信手段26とも接続されており、情報送信手段26は音声信号の利用信号をサーバー81に送信する。
【0045】
すなわち、本実施形態の訪問者報知システム50は、上記した訪問者報知システム10の機能に加え、利用者端末装置80からの音声信号を情報処理手段60を介してスピーカー52から音声として出力することができる。これによれば、静止画を受け取った利用者が訪問者に声をかけることが可能となる。すなわち、訪問者が不審者であれば声をかけることにより当該不審者を退散させることができ、犯罪を未然に防ぐことも可能となる。
【0046】
このような情報処理手段60を形成する具体的な態様の例としては、コンピュータを挙げることができる。コンピュータに備えられる受信手段及び送信手段を情報処理手段60の映像信号受信手段21、音声利用受信手段61、情報送信手段26、及び音声信号送信手段62として用い、コンピュータに備えられる記憶装置を宛先記憶手段25、顔検出手段23のためのプログラム、及び静止画作成手段24のためのプログラム等の記憶手段として用いることが可能である。そして画像処理手段22の作動や、その他情報処理手段60の作動については、コンピュータに備えられる中央演算子(CPU)が記憶装置に記憶された各種プログラムを実行することによりおこなわれる。
【0047】
利用者端末装置80は、訪問者報知システム50の利用者が所持する端末装置であり、情報処理手段60の情報送信手段26からの信号を受信してその内容を閲覧することができるとともに、利用者の音声を音声信号に変換し、情報処理手段60に送信することができる機器である。すなわち、情報処理手段60から利用者端末装置80に送信される信号には少なくとも静止画信号が含まれており、当該利用者端末装置80は当該静止画を見ることができるように表示手段を有して構成されている。さらに、情報処理手段60に送信するデータには少なくとも音声信号が含まれており、利用者端末装置80は音声信号を生成することができるようにマイク等の音声信号変換手段を有して構成されている。このような利用者端末装置80としては特に限定されることはないが、携帯電話等の各種携帯端末やパーソナルコンピュータ等を利用することができる。
【0048】
サーバー81は、情報処理手段60の情報送信手段26からの利用信号を受信して、訪問者報知システム50の利用履歴の蓄積や課金情報を管理する機器である。従って、情報処理手段60からサーバー81に送信される情報には、少なくとも静止画が利用者端末80に送信されたという利用信号、及び音声信号をスピーカー52から出力したという利用信号を含む。ただし、これに限定されることはなく静止画信号、音声信号等やその他の情報が含まれてもよい。ここで本実施形態ではサーバー81は訪問者報知システム50の提供者が所有し、利用者の各種管理をおこなうことができるように構成されている。
従ってサーバー81には利用信号を受信する手段、利用者との契約情報がデータベースとして記憶された契約情報記憶手段、契約情報と利用信号に基づいて課金を判断する課金判断手段、必要であれば課金する課金手段、及びサーバーとして機能するために必要な機器を具備している。このようなサーバーには公知のサーバーコンピュータを適用することができる。すなわち、サーバーコンピュータの受信手段を利用信号を受信する手段、サーバーコンピュータの記憶手段を契約情報記憶手段や課金のためのプログラムを記憶する手段として用いることができ、課金の判断手段及び課金手段としてプログラムに基づいて演算する中央演算子(CPU)が用いられる。
【0049】
以上のような訪問者報知システム50によれば、上記した訪問者報知システム10による効果に加え、訪問者に本システムを介して直接声をかけることができる。従って、利用者に不審者が報知された場合に声をかけることにより不審者を退散させて犯罪を未然に防ぐことも可能である。
【0050】
次に訪問者報知システム50の動作について説明し、これにより他の実施形態にかかる訪問者報知サービスの提供方法S50について説明する。図6に訪問者報知サービスの提供方法S50の流れを示した。ここで、図6からわかるように、過程S11〜過程S20については静止画に関する流れであり、上記した訪問者報知サービスの提供方法S10と同様なので、同じ符号を付すとともに説明を省略する。以下、図6に示した過程S51〜過程S57について説明する。
【0051】
過程S16により静止画が送付された後、利用者端末装置80から音声信号が送信されたときには、情報処理手段60の音声利用受信手段61により当該音声信号が受信される(過程S51)。次に音声利用受信手段61は音声信号を音声信号送信手段62に送るとともに、情報送信手段26に音声信号を受信した旨の利用信号を送信する。
【0052】
音声利用受信手段61から音声信号を受信した音声信号送信手段62は、スピーカー52にその音声信号を送信し(過程S52)、スピーカー52は音声を出力する(S53)。これにより訪問者に対して声をかけることができる。
【0053】
一方、音声利用受信手段61から利用信号を受信した情報送信手段26は、サーバー81に利用信号を送信する(過程S54)。利用信号を受信したサーバー81は、当該利用に対して課金が必要かを判断する(過程S55)。課金の判断は、利用者と提供者との契約に基づいて作成され、サーバー内81の記憶手段に記憶された利用者データベースの内容に沿って行われる。当該利用に対して課金が必要であれば「Yes」が選択され、所定の額の課金が行われ(過程S56)、利用履歴の蓄積がされる(過程S57)。当該利用に対して課金が不要であれば過程S55で「No」が選択されて課金をすることなく利用履歴が蓄積される(過程S57)。
【0054】
本実施形態では、利用者の音声を音声信号に変換してスピーカー52から出力する態様を説明したが、利用者端末装置からの指令信号に基づいて予め録音されていた音声信号をスピーカー52から出力する態様であってもよい。かかる変形例の訪問者報知システム50’の構成を図7に示した。訪問者報知システム50’には、図7からわかるように、情報処理手段70において音声利用受信手段61と音声信号送信手段62との間に音声信号記憶手段71が備えられている。音声信号記憶手段71にはスピーカー52から出力すべき音声信号が予め保存されている。
訪問者報知システム50’では、このような構成を具備することにより、音声利用受信手段61が利用者端末装置80から音声信号の利用の指令を受けた後、その旨を音声信号送信手段62に送り、音声信号送信手段62は音声信号記憶手段71から保存されている音声信号を抽出してスピーカー52に送信する。訪問者報知システム50’のその他の動作については訪問者報知システム50と同様である。
このような訪問者報知システム50’、及びこれを用いた訪問者報知サービスの提供方法により、利用者が話す必要なく訪問者に声をかけることができる。
【0055】
以上説明した訪問者報知システム10、50、50’では、特に不審者が検出された場合に、警視庁による「メールけいしちょう」に不審者情報を提供するように構成してもよい。これによれば地域の防犯にも役立てることができる。
【0056】
また、各実施形態の訪問者報知システム10、50、50’では、さらに、何らかの理由により訪問者自体の有無は検知したものの、顔の輪郭を特定することができなかった場合に、その旨の情報、又は顔の輪郭を特定しないままの画像を利用者に送付するように構成してもよい。
その他、顔の輪郭を特定することができなかった場合には、例えば開口部装置が開放されたことを条件に、その旨の情報、又は顔の輪郭を特定しないままの画像を利用者に送付するように構成してもよい。
これらによれば、何らかの理由で顔の輪郭を特定することができなかった場合でも訪問者があったこと自体は利用者に報知することができ、利便性のさらなる向上が図られる。
【符号の説明】
【0057】
10 訪問者報知システム
11 開口部装置
12 動画カメラ
20 情報処理手段
23 顔検出手段
24 静止画作成手段
30 利用者端末装置
31 サーバー
50 訪問者報知システム
52 スピーカー
60 情報処理手段
80 利用者端末装置
81 サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部装置に近づいた訪問者を利用者に報知するサービスの提供方法であって、
前記開口部装置に配置された動画カメラが、前記開口部装置の室外側を含む撮像範囲の映像信号を生成し、情報処理手段に送信する過程と、
前記情報処理手段が、前記動画カメラからの前記映像信号を受信して該映像信号に含まれる人間の顔の位置及び範囲を検出する過程と、
前記情報処理手段が、前記検出した顔の範囲が所定の大きさ以上になったときに前記映像信号に基づいて静止画信号を生成する過程と、
前記情報処理手段が、前記利用者の利用者端末装置に前記静止画信号を電気通信回線により送信するとともに、サーバーには前記サービスの提供があった旨の情報を含む利用信号を電気通信回線により送信する過程と、
前記サーバーが、前記利用信号に基づいて前記利用者の利用履歴を蓄積して記憶する過程と、を含む
訪問者報知サービスの提供方法。
【請求項2】
前記情報処理手段が前記利用者端末装置からの信号に基づいて、前記利用者端末装置からの音声信号、又は前記情報処理手段に予め保存されていた音声信号を前記開口部装置に具備されたスピーカーに送信する過程と、
前記スピーカーが前記音声信号による音声を出力する過程と、をさらに含む請求項1に記載の訪問者報知サービスの提供方法。
【請求項3】
前記サーバーが、該サーバーに記憶された前記利用者との契約情報及び前記利用信号に基づいて課金の可否を判断する過程と、
前記判断に基づいて課金を行う過程と、をさらに含む請求項1又は2に記載の訪問者報知サービスの提供方法。
【請求項4】
建物の開口部装置に近づいた訪問者を利用者に報知するシステムであって、
建物の開口部に配置される開口部装置と、
前記開口部装置に備えられ、該開口部装置の室外側を撮像範囲に含み、前記撮像範囲の映像信号を生成する動画カメラと、
前記動画カメラからの前記映像信号を受信するとともに、信号を電気通信回線を通じて送信可能な情報処理手段と、
前記情報処理手段から送信された信号を電気通信回線を通じて受信するサーバーと、を含み、
前記情報処理手段は、
前記動画カメラからの前記映像信号を受信して該映像信号に含まれる人間の顔の位置及び範囲を検出する顔検出手段と、
前記検出した顔の範囲が所定の大きさ以上になったときに前記映像信号に基づいて静止画信号を生成する静止画作成手段と、
前記静止画信号及び/又は前記システムを利用した旨の情報を含む利用信号を送付すべき宛先が記憶された宛先記憶手段と、
前記宛先記憶手段の宛先に基づいて前記静止画信号を前記利用者端末装置に電気通信回線を通じて送信可能とするとともに、前記利用信号を電気通信回線を通じて前記サーバーに送信可能とする情報送信手段と、を備え、
前記サーバーは、前記情報処理手段から送信された前記利用信号に基づいて前記利用者の利用履歴を蓄積して記憶する手段を有している、
訪問者報知システム。
【請求項5】
前記開口部装置には、さらに室外側に音声を出力可能なスピーカーが設けられ、
前記情報処理手段は、さらに、電気通信回線を通じて送信される前記利用者端末装置からの信号を受信する受信手段と、
前記利用者端末装置からの信号に基づいて前記利用者の音声信号、又は前記情報処理手段に備えられた音声信号記憶手段に予め記憶させておいた音声信号を前記スピーカーに送信する送信手段と、を備え、
前記利用者の音声信号又は前記予め記憶された音声信号が、前記スピーカーから出力可能であることを特徴とする請求項4に記載の訪問者報知システム。
【請求項6】
前記サーバーにはさらに、
前記利用者との契約情報が記憶された契約情報記憶手段と、
前記契約情報及び前記利用信号に基づいて課金をする課金手段と、を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の訪問者報知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−30116(P2013−30116A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167403(P2011−167403)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】