説明

許容可能なアセトアルデヒド生成率を持つ高固有粘度融液相ポリエステルポリマー

a) アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の存在下に、溶融されたポリエステルポリマー組成物を重縮合させ;b) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.となるまで、この溶融ポリエステルポリマー組成物の重縮合を継続し;そしてc) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.に到達した後、ポリマー融液に触媒安定剤または不活性化剤を添加し;そしてd) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.に到達した後、融液を、有機アセトアルデヒド捕捉剤を含有しない固体ポリエステルポリマー粒子に固化する、ステップを含む、固体ポリエステルポリマー粒子の製造方法。さらなる態様では、融液相重縮合プロセス由来のポリエステルを固化した後、e) 粒子のIt.V.を0.03dL/g以上増大させることなく、粒子中の残留アセトアルデヒド量を固体状態において10ppmまたはそれ以下のレベルに低下させる。融液相製造に続く固化後に溶融された際の20ppmまたはそれ以下のAA(アセトアルデヒド)生成率、および融液相製造後に10ppmまたはそれ以下にまで低減された遊離(フリー)AAレベルを有するような粒子が溶融加工ゾーンに導入され、許容可能なレベルの残留AAを有する瓶の予備成形品のような物品が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本発明は、融液相で得られる高い固有粘度を有するポリエステルポリマー、より詳細には、アセトアルデヒド捕捉剤を添加することなく溶融加工後に許容可能なアセトアルデヒド含有量を有する、融液相においてアンチモン触媒により重縮合させた、高固有粘度ポリエステルポリマーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2. 発明の背景
融液相製造工程で製造されるポリエステルポリマーはアセトアルデヒドを含有し、その後に再溶融されたこのようなポリマーはさらなる量のアセトアルデヒドを生成する。アセトアルデヒドは、炭酸入りソフトドリンクや水の包装で問題となる顕著な味を付与するため、望ましくない。アセトアルデヒドの形成は二段階反応である。第一段階では、ポリエステル鎖の熱分解がアセトアルデヒド前駆体の創成を導く。第二段階では、アセトアルデヒド前駆体が反応してアセトアルデヒドを形成する。予備成形品および瓶におけるアセトアルデヒド(「AA」)の存在は、二つの起源にさかのぼることができる。AAの第一の起源は、ポリマー製造のための融液相工程で生成される。この種類のAAは、残留または遊離AAと呼ばれ、ポリエステルポリマー製造のための融液相で両方のAA反応工程を受けた、ポリエステルポリマーペレット上または中に存在する実際の測定可能なAA量である。しかしながら、ポリマー製造のための融液相工程では、熱分解されたポリエステル鎖(第一段階)がAA前駆体、例えばビニル末端基を有する化学種を生成し、これらのAA前駆体の全てが第二の反応段階へと進んで融液相製造工程でAAを形成する訳ではない。ところが、後により詳細に説明するこれらのAA前駆体は、後に成形品を製造するためにポリエステルポリマーペレットを再溶融する際、反応してAAを形成する可能性がある。
【0003】
他のパラメータが全て等しいとすると、融液相製造で生成されるAA量および融液相製造で作られるAA前駆体の数は、ポリマーのIV(または分子量)が増大するにつれて劇的に増加する。AAおよびAA前駆体が許容不可能なレベルにまで形成されるのを防ぐため、ポリマーが融液相で低いIVとなるようポリマーの重縮合を限定的に継続し、固化し、その後、低酸素条件およびポリマーの溶融を防止するに充分な低温のもとで、固体状態でさらに重合させる。
【0004】
AAの第二の起源は、瓶の予備成形品を製造するためコンバーターにより溶融加工ゾーン(例えば、押出成形機または射出成形機)でポリエステル固体を溶融する際に生成される、さらなる量のAAである。固体中に存在するAA前駆体は溶融条件下でAAに変換され、溶融加工ゾーンに供給された固体ポリエステル粒子中に元々存在した量よりも多くのAAを生成する(第二AA反応段階)。さらに、加工ゾーンにおけるさらなる溶融過程がポリエステル鎖のさらなる熱分解をもたらし(第一のAA反応段階より多く);であるが故に、さらなるAA前駆体が形成され反応してAAを形成し得る(第二のAA段階より多く)。この現象はAA生成率として知られる。したがって、ペレット中に存在する残留または遊離AA量を5ppmもしくはこれ以下、または3ppmもしくはこれ以下に低下させ、にもかかわらず、より高い13ppmのAAレベルを含有する予備成形品が、バレル温度285℃、溶融滞留時間約108秒の射出成形機で製造されるという事があり得る。予備成形品をブローして瓶にする場合、この高いAAレベルは、その瓶に入っている飲料の味に望ましくない影響を及ぼし得る。
【0005】
高いAA生成率を産む残留AAおよびAA前駆体の形成には幾つかの理由がある。一つの理由は、もし融液相に使用される重縮合触媒が、固体ポリエステルポリマー中で充分安定化および/または不活性化していないと、溶融加工ゾーンで再溶融されている間に、ポリマー中に存在するAA前駆体の変換を触媒し続けて、溶融加工中にAAが形成されるということである。故に、重縮合触媒の充分な安定化および/または不活性化は、たとえ融液中にAA前駆体が存在したとしても、溶融加工中に生成されるAAの量を低下させる(AA生成率を低下させる)。触媒の安定化および/または不活性化は、その後の溶融加工段階で生成されるAAを確かに減少させるが、にもかかわらず、さらなる熱分解を惹起する、ポリマーを溶融するためにかけられる熱のため、そして幾らかのAA前駆体種をAAへと変換し続けるかも知れない低レベルの触媒活性のため、若干のAAが生成される。さらに、触媒金属の不活性化され易さは金属毎に異なる。例えば、Sb金属型触媒は、より高レベルの不活性化のために、より強い酸を必要とする。
【0006】
残留AAおよびAA前駆体形成のもう一つの理由は、融液相のポリエステルポリマーの熱分解であって、これは、ポリマーのIVが高温で増大するため、より蔓延する。分子量を上げるために固体状態の重合を利用しない場合、必要な性質を持つ予備成形品から瓶をブローするのに要する分子量を得るためには、より長い融液相滞留時間が必要となり得る。この延長された融液相への暴露は熱分解の程度を増大させ、故に、許容可能な遊離AAおよび/またはその後の成形の最中に許容可能なAA生成率を持つPETを融液相のみで製造することは、分子構築の一部が固相工程で起こる従来のシナリオよりは遙かに困難である。より少ないAA前駆体を生成する、より短い融液相工程に加えて、従来の方法は、固化気体が遊離AAの殆どを一掃するという、さらなる利点を有する。
【0007】
融液相製造において生成するAAおよびAA前駆体の存在を制御する問題は、米国特許第6559271 B2号に相当するEP1188783A2で論じられた。この特許は、重縮合工程全体の反応温度を280℃以下に維持することによって、そして融液相製造におけるポリマーの滞留時間を制限するために高活性チタン触媒を低用量で使用することによって、そして、融液相製造に過剰のAA捕捉剤を添加することによって、AAおよびAA前駆体の量を制限できることを提唱している。低反応温度で高活性触媒を使用することが特に重要であったことに留意すると、Sb触媒の使用は反応性と選択性の間の妥協であることがわかり、一方、Tiのような高活性触媒は、低用量および低反応温度でのより良い妥協であることがわかった。融液相製造においてAA前駆体から生成されるAAの生成を制御するために、この特許は、重縮合の終了近くまたは終了後に燐化合物で触媒を不活性化し、その結果、当該触媒が、0.63dL/gおよびこれ以上の固有粘度(It.V.)にまで分子量増大を促進させることを教示している。最後に、添加されるAA捕捉剤または結合剤の量は、融液相製造で生成された残留または遊離AAのみならず、その後の溶融加工工程で生成されるAAをも結合させるよう、過剰としなければならない。
【0008】
アセトアルデヒド捕捉剤を使用するアプローチに伴う問題は、それらが添加される時期にかかわらず高価であるという点である。融液相製造へのアセトアルデヒド捕捉剤添加の問題点は、融液相製造中に存在する遊離アセトアルデヒドに捕捉剤の一部が消費され、それにより、その後に形成されるアセトアルデヒドと結合するために過剰量の捕捉剤を添加する必要があるという事である。融液相製造に添加されるアセトアルデヒド捕捉剤の量が増加するにつれて、費用と、捕捉剤がポリマーに与える黄色味の度合いが増してゆく(特に、アミン基を含む種類の捕捉剤を使用した場合)。さらに、特に、加熱過程の一方が、高真空、高温、および高粘度条件(融液相ポリ重合の場合のように)下にある場合(その場合、幾つかのタイプの捕捉剤の熱安定性が損なわれ、捕捉剤の揮発性に起因する損失があり得る)、捕捉剤の有効性は、ポリエステルが溶融される2回の加熱過程を受けることによっても損なわれる。幾つかの捕捉剤では、捕捉剤によって付与される黄色味の量は、溶融加熱過程の回数が増すにつれて増大し得る。したがって、融液相に添加されるアセトアルデヒド捕捉剤を含有せず、それでいて、その後溶融加工ゾーンに供給された時に低いAA生成率および低い残留アセトアルデヒドレベルを有する、固体高IVポリエステルポリマー粒子を生成することが望ましい。
【0009】
米国特許第5898058号は、多数の常套的重縮合触媒(例示および/または特許請求されている、Sb触媒と、Co、Zn、Mg、MnまたはCa型触媒のうちの一つとの組み合わせ)のうち任意の一つを使用することを推奨しており、この触媒は後に不活性化される。この特許は、従来のアンチモン重縮合触媒はポリマー分解の触媒または促進を開始し、アセトアルデヒド形成およびポリマーの黄色化を導くということを記載している。いったん重縮合反応が本質的に完結に到達すると、さらなる反応は、触媒がポリマーを分解しアセトアルデヒドおよび黄色味を形成させるようにする。この特許は、固体状態重合による、約0.64および0.62dL/gのIt.V.、または0.60dL/gのIt.V.(これは0.81dL/gまで増大させた)でのポリエステル前駆体の製造を開示している。この特許は、固体状態重合技術が、ポリエステルのIt.V.をこのような高いレベルに上昇させるのに有用であることを記載している。
【0010】
高温では分解反応がアセトアルデヒドおよびアセトアルデヒド前駆体の形成を導き、融液の粘度が増大すると共に融液からAAを除去することがより困難になることから、融液相での高IVポリエステルポリマーの製造は困難である。したがって、融液の分子量増大は、かつて適度に低い数値(例えば、約0.63またはそれ以下のIt.V.)に限定され、その後、固体状態でポリマーの分子量を増大させてきた。
【0011】
しかしながら、この工程に伴う重大な設備および変換のコストを回避するために、固体状態重合工程を排除して融液相において完全に所望の高IVを得ることが望ましい。さらに、融液相で生成された高I.V.固体粒子は、物品を形成させる溶融加工中にAAと結合する物質の存在が無い適用のために許容可能なAA生成率を持つべきである。好ましくは、その後の溶融加工ゾーンに供給される固体は、融液相製造工程に過剰のアセトアルデヒド捕捉剤を添加する必要の無い適用のために、許容可能な残留アセトアルデヒド含有量を有するべきである。
【発明の開示】
【0012】
3. 発明の要約
適用のために許容可能なアセトアルデヒド生成率を有し、好ましくは適用のために許容可能な残留アセトアルデヒドを含有する予備成形品を製造するための、後の溶融加工ゾーンへの供給物として好適な粒子を提供しつつ、融液相にAA捕捉剤を添加せずに高IVポリエステルポリマーを製造するための単純且つ強固な方法がここに提供される。少なくとも0.68dL/gのIt.V.を有するポリマー融液に安定剤および/またはSb触媒不活性化剤、好ましくは燐含有化合物を添加し;その後、融液を、有機アセトアルデヒド捕捉剤を含有しない固体ポリエステルポリマー粒子または成形品へと固化することを含む、固体ポリエステルポリマー製造のための方法がここに提供される。
【0013】
固体ポリエステルポリマー粒子を製造するための方法もまた提供され、その方法は、
a) アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の存在下に、溶融されたポリエステルポリマー組成物を重縮合させ;
b) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.となるまで、この溶融ポリエステルポリマー組成物の重縮合を継続し;そして
c) 0.68dL/gまたはそれ以上、好ましくは0.70dL/gまたはそれ以上、より好ましくは0.72dL/gまたはそれ以上のIt.V.に到達した後、ポリマー融液に安定剤および/またはSb触媒不活性化剤、好ましくは燐含有化合物を添加し;そして
d) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.に到達した後、融液を、有機アセトアルデヒド捕捉剤を含有しない固体ポリエステルポリマー粒子に固化する、
ステップ(工程)を含む。
【0014】
工程c) の不活性化剤/安定剤の添加を省略した粒子に比較して、このプロセスによって製造された粒子は、少なくとも0.68dL/gのIt.V.に製造された場合に、好ましくは少なくとも10%またはそれ以上、好ましくは少なくとも20%またはそれ以上、より好ましくは少なくとも30%またはそれ以上、そして最も好ましくは少なくとも40%またはそれ以上のAA生成率の低下がある。AA生成率の低下は、安定剤/不活性化剤の添加を全て省略し、その他は全て同じである粒子のAA生成率から、工程c) による粒子のAA生成率を差し引き、その差を、工程c) を省略したAA生成率で除し、100を掛けることによって算出する。
【0015】
好ましくは、融液相重縮合工程由来のポリエステルを固化した後のさらなる加工工程もまた提供され、その工程では、
e) 粒子のIt.V.を0.03dL/g以上増大させることなく、固体粒子中の残留アセトアルデヒド量を固体状態において10ppmまたはそれ以下のレベルに低下させる。
【0016】
さらに、
(i) 融液相重合で得られた少なくとも0.68dL/gのIt.V.、
少なくとも20%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、
少なくとも20%または少なくとも30%またはそれ以上のアセトアルデヒド生成率低下、または295℃で5分間測定したAA生成率が18ppm未満であり、そして
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有する固体ポリエステルポリマー粒子を溶融加工ゾーンに導入し、この粒子を溶融して、溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物から、シート、ストランド、ファイバー、または成形部品を含む物品を形成させる、
ステップを含む、物品の製造方法が提供される。
【0017】
射出成形温度が285℃で溶融滞留時間が108秒である時、このプロセスで製造した粒子から作られたperformは、9ppmまたはこれ以下の遊離AAを含有する。或いは、このプロセスで製造した粒子から作られた予備成形品は、少なくとも10%またはそれ以上、好ましくは少なくとも20%またはそれ以上、より好ましくは少なくとも30%またはそれ以上、そして最も好ましくは少なくとも40%またはそれ以上のperform AAの低下がある。perform AAの低下は、Sb安定剤および/または不活性化剤の添加が無く、その他は全て同じである粒子から製造されたperformのperform AAから、工程c) による粒子から製造されたperformのperform AAを差し引き、その差を、工程c) を省略したperform AAで除し、100を掛けることによって算出する。
【0018】
本発明は、高価で色素の形成に寄与する過剰のアセトアルデヒド捕捉剤を融液相に添加することを回避しつつ、融液相において高IVポリマーを製造できる利点を有する。過剰のアセトアルデヒド捕捉剤を添加する事またはIt.V.を低レベルに減ずる事によって融液相製造におけるアセトアルデヒドの形成を制御する代わりに、融液相製造で形成される残留AAを、好ましくはポリマーの固体状態重合を利用せずに固体粒子中で減少させつつ、低いアセトアルデヒド生成率を持つポリエステルポリマー固体を融液相製造で製造する。好ましいプロセスは、アセトアルデヒド捕捉剤を伴わない融液相製造で得られる高IVを有する固体粒子を提供し、そしてこれは、予備成形品またはその他の物品を製造するための、その後の溶融加工ゾーンへの供給物として好適である。
【0019】
好ましい態様において、その他の達成可能な利点は、固体状態重合を回避する柔軟性を可能にし、その結果、高レベルの燐を添加して、固体状態重合率への影響を懸念することなく安定化および/または触媒不活性化を促進でき、さらに、良好な輝度(高いL*色)および許容可能な黄色味(低いb*色)を持つ物品の製造に好適なポリマー組成物を生成できるアンチモン含有触媒の使用を可能にする、強固且つ単純なプロセスを利用する事である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
4. 発明の詳細な説明
本発明は、以下に記載の発明の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解できる。
明細書および添付の請求項で使用する単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確にそうでないと述べていない限り、複数の指示対象を包含するという事にもまた留意すべきである。例えば、「ポリマー」、「予備成形品」、「物品」、「容器」、もしくは「瓶」の加工または製造への言及は、複数のポリマー、予備成形品、物品、容器もしくは瓶の加工または製造を包含することを意図している。「1個の」成分または「1個の」ポリマーを含有する組成物への言及は、名称を挙げたものに加えて各々他の成分または他のポリマーを包含することを意図している。
【0021】
「含む」または「含有する」は、少なくとも名称を挙げた化合物、元素、粒子、または方法工程などが、その組成物または物品または方法の中に存在しなければならないことを意味するが、請求項で明確に除外していない限り、たとえ他の化合物、材料、粒子、方法工程などが名称を挙げたものと同じ機能を有していたとしても、そのような他の化合物、触媒、材料、粒子、方法工程などの存在を排除するものではない。
【0022】
1またはそれ以上の方法工程への言及が、一諸に列挙された工程の前もしくは後のさらなる方法工程、または明確に指定されたそれら工程間に挿入された方法工程の存在を排除するものでないということもまた、理解されねばならない。さらに、プロセス工程の記載は、個別の行動または工程を特定する簡便な手段であり、別途記載のない限り、列挙されたプロセス工程を任意の順序に配列することができる。範囲の表現は、その範囲内の全ての整数および分数を包含する。プロセス中の、または反応混合物の、または融液のもしくは融液に適用される、またはポリマーのもしくはポリマーに適用される温度または温度範囲の表現は、いかなる場合でも、適用される温度、融液もしくはポリマーの実際の温度、またはその両方が、明記された温度または明記された範囲内にあるならば、その制限が満足されていることを意味する。
【0023】
本明細書全編を通じて、記載されているIt.V.値は、60%(重量)フェノールおよび40%(重量)1,1,2,2-テトラクロロエタン中25℃で測定された固有(内部・インヘレント)粘度から算出し、dL/g単位で開示する。ポリマー試料は0.25g/50mLの濃度で溶媒に溶解する。ポリマー溶液の粘度はViscotek Modified Differential Viscometerを用いて測定する。差動式粘度計の作動原理の説明はASTM D 5225に見いだすことができる。固有(内部・インヘレント)粘度は、測定された溶液の粘度から算出する。以下の等式が溶液の粘度測定値およびその後のIh.V.ならびにIh.V.からIt.V.への計算を表す。
【0024】
【数1】

【0025】
固有(内部・インヘレント)粘度は、ポリマーの比粘度の、無限希釈における極限値である。それは以下の等式で定義される:
【0026】
【数2】

【0027】
機器の較正は標準レファランス材料のトリプリケート試験を含み、次いで適切な数学的等式を適用して「許容された」Ih.V.値を求める。較正に用いた3つの数値は0.010の範囲内にあり、そうでない場合は問題を是正し、この範囲内で3つの連続した結果が得られるまで標準の試験を反復する。
【0028】
較正係数 = レファランス材料の許容されたIh.V./トリプリケート測定値の平均
各試料の未補正インヘレント粘度(ηinh)を、以下の等式を用いてViscotek Model Y501 Relative Viscometerから算出する:
【0029】
【数3】

【0030】
標準レファランス材料を用いた較正に基づく補正されたIh.V.を以下のように算出する:
補正されたIh.V. = 算出されたIh.V. x 較正係数
【0031】
固有粘度(It.V.またはηinh)は、Billmeyer式を用いて以下のように見積もることができる:
【数4】

【0032】
固有粘度推定(Billmeyerの関係)の参考文献はJ. Polymer Sci., 4, pp.83-86(1949)である。
【0033】
L*またはb*色は、粉砕して粉末にした標本から、または以下に説明する円板から、もしくは予備成形品から、もしくは瓶の側壁から製造した標本から測定できる。標本は、これら試験方法のうち任意の一つによって標本を測定して得られたL*またはb*値が添付の請求項に記載の範囲内にあるならば、添付の請求項に明記されたL*またはb*色の範囲内にあると考えられる。例えば、一つの試験方法で測定すると明記されたb*範囲外にあるが別の試験方法で測定すると明記されたb*範囲内にあるb*色値は、試験方法のうちの一つによって明記されたb*色範囲を満足するため、明記された範囲内のポリマーであるとみなす。
【0034】
L*およびb*色値の測定は、以下の方法のうち任意の一つに従って調製された標本に対して実施する。或いは、色値は、3mm篩を通過する粉末にまで粉砕したポリエステルポリマーに対して測定する。
【0035】
粉末化した試料については、色の測定を、散乱/8°(照射/視野角)球面の光学的形状を使用するHunterLab UltraScan XE(Hunter Associates Laboratory, Inc., Reston VA)を用いて反射率(鏡面包含)で実施した。D65光源および10°観測者でのCIELABスケールを用いて結果を報告した。分光光度計は定期的に標準化し、UV対照を使用し、そして、HunterLabの推奨に従って較正状態を維持した。所望によりガラスのポート板を反射率ポートに取り付けて、球面の汚染を最小化する。粉末を光学ガラスセルに入れる。光学等級ガラスをセル正面から0.062”だけ後退させ、このガラス自身は0.092”厚さである。試料の領域は、深さ0.71”、幅1.92”、高さ2.35”である。実験用Mini-Vortexer(VWR International, West Chester, PA)を用いて試料を20秒間振動させることにより、粉末を落ち着かせる。このガラスを反射率ポートに対して光り続けるようにし、黒色の不透明なカバーで覆う。1個のセル充填を評価し、このセルを取り除いて、各試料を3回反復測定するために取り替える。報告される値はトリプリケートの平均値とすべきである。
【0036】
本発明は、以下のステップ:
a) アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の存在下に、溶融されたポリエステルポリマー組成物を重縮合させ;
b) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.となるまで、この溶融ポリエステルポリマー組成物の重縮合を継続し;そして
c) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.に到達した後、ポリマー融液にSb触媒安定剤および/または不活性化剤、好ましくは燐含有化合物を添加し;そして
d) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.に到達した後、融液を、有機アセトアルデヒド捕捉剤を含有しない固体ポリエステルポリマー粒子に固化し、
所望により、そして好ましくは、
e) 固体粒子中の残留アセトアルデヒドレベルを、粒子のIt.V.を0.03dL/g以上増大させることなく、固体状態において10ppmまたはそれ以下のレベルに低下させる、
を含む、固体ポリエステルポリマー粒子の生産方法に関するものである。
【0037】
本発明の「ポリエステルポリマー」は、任意の熱可塑性ポリエステルポリマーである。熱可塑性ポリマーは、液(融液)相の間は感知されるほどの規則的構造が無く、再溶融および再成形して成形品にすることができ、そして液晶ポリマーおよび熱硬化性ポリマーは、容器を製造するために金型の中でパッケージングまたは延伸するといった事を目的とする用途には不適当であるという点で、本発明に係るポリエステル熱可塑性ポリマーは、液晶ポリマーおよび熱硬化性ポリマーと区別できる。ポリエステルポリマーは、アルキレンテレフタレートまたはアルキレンナフタレート反復単位をこのポリマー鎖に含むのが望ましい。より好ましいのは、ポリエステルポリマー中、カルボン酸成分の残基100モル%およびヒドロキシ成分の残基100モル%を基準として、
(i) 少なくとも80モル%のテレフタル酸、テレフタル酸の誘導体、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸の誘導体、またはその混合物の残基を含むカルボン酸成分、および
(ii) 少なくとも80モル%のエチレングリコールまたはプロパンジオールの残基を含むヒドロキシ成分、
を含むポリエステルポリマーである。
【0038】
典型的には、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルは、エチレングリコールのようなジオールを、遊離酸としてのジカルボン酸またはそのC1-C4ジアルキルエステルと反応させてエステルモノマーおよび/またはオリゴマーを生成し、次いでこれらを重縮合してポリエステルを生成することによって製造する。カルボン酸基(群) またはその誘導体(群)を含む1以上の化合物をこのプロセスの間に反応させることができる。当該ポリエステル生成物の一部となるカルボン酸基(群)またはその誘導体(群)を含むプロセスに参加する全ての化合物が、「カルボン酸成分」を含む。生成物中にあるカルボン酸基(群)またはその誘導体(群)を含む全ての化合物のモル%の合計は100となる。当該ポリエステル生成物中にあるカルボン酸基(群)またはその誘導体(群)を含む化合物(群)の「残基」とは、その化合物がヒドロキシ基(群)を含む化合物(群)と縮合し、さらに重縮合して様々な長さのポリエステルポリマー鎖を形成した後にそのポリエステル生成物中に残る当該化合物(群)の部分を指す。
【0039】
ヒドロキシ基(群)を含む1以上の化合物またはその誘導体が、ポリエステルポリマー生成物(群)の一部となることができる。当該ポリエステル生成物(群)の一部となるヒドロキシ基(群)またはその誘導体(群)を含むプロセスに参加する全ての化合物が、「ヒドロキシ成分」を含む。当該ポリエステル生成物(群)の一部となるヒドロキシ基(群) またはその誘導体(群) を含む全ての化合物のモル%の合計は100となる。当該ポリエステル生成物の一部となるヒドロキシ官能性化合物(群)またはその誘導体の「残基」とは、その化合物(群)がカルボン酸基(群) またはその誘導体(群)を含む化合物と縮合し、さらに重縮合して様々な長さのポリエステルポリマー鎖を形成した後にそのポリエステル生成物中に残る当該化合物(群)の部分を指す。
【0040】
生成物(群)中のヒドロキシ残基およびカルボン酸残基のモル%はプロトンNMRによって決定できる。
好ましい態様では、このポリエステルポリマーは、ポリエステルポリマー中、カルボン酸成分の残基100モル%およびヒドロキシ成分の残基100モル%を基準として、
(a) 少なくとも90モル%、または少なくとも92モル%、または少なくとも96モル%のテレフタル酸、テレフタル酸の誘導体、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸の誘導体、またはその混合物の残基を含むカルボン酸成分、および
(ii) 少なくとも90モル%、または少なくとも92モル%、または少なくとも96モル%のエチレングリコールの残基を含むヒドロキシ成分、
を含む。
【0041】
ポリエステルポリマー製造の最中のカルボン酸成分とヒドロキシ成分の反応は、上記のモルパーセンテージに限定されるものではない。何故なら所望により、大過剰、例えば使用するカルボン酸成分100モル%に対しておよそ200モル%までのヒドロキシ成分を利用することができるためである。しかしながらこの反応により製造されたポリエステルポリマーは、上記の量の芳香族ジカルボン酸残基およびエチレングリコール残基を含む。
【0042】
テレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸の誘導体は、C1-C4ジアルキルテレフタレートおよびC1-C4ジアルキルナフタレート、例えばジメチルテレフタレートおよびジメチルナフタレートを包含する。
【0043】
ポリマー中の各成分の総モル数を基準として、40モル%まで、または20モル%まで、または10モル%まで、または8モル%まで、または4モル%までの量の重合調整剤を存在させることができる。好ましくはモノ、トリおよびさらに高い官能性の重合調整剤を、約8モル%まで、または4モル%までの量で存在させる。
【0044】
テレフタル酸、テレフタル酸の誘導体、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸の誘導体、またはその混合物の二酸成分に加えて、このポリエステルのカルボン酸成分(群)は、1またはそれ以上のさらなる修飾カルボン酸化合物を含み得る。このようなさらなる修飾カルボン酸化合物には、モノカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物、およびより多数のカルボン酸基を持つ化合物がある。例には、好ましくは8ないし14個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、好ましくは4ないし12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、または好ましくは8ないし12個の炭素原子を有する脂環式ジカルボン酸が包含される。酸成分(群)として有用な修飾ジカルボン酸のより具体的な例は、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、シクロヘキサンジ酢酸、ジフェニル-4,4’-ジカルボン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などであり、イソフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、およびシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸が最も好ましい。対応する酸無水物、エステル、およびこれらの酸の酸塩化物が「カルボン酸」という語に包含されることを理解すべきである。トリカルボキシ化合物分岐剤およびより多数のカルボン酸基を持つ化合物が、モノカルボン酸鎖ターミネーターと共に、このポリエステルを修飾することも可能である。
【0045】
エチレングリコールを含むヒドロキシ成分に加えて、このポリエステルのヒドロキシ成分は、さらなる修飾モノオール、ジオール、またはさらに多数のヒドロキシ基を持つ化合物を包含できる。修飾ヒドロキシ化合物の例には、好ましくは6ないし20個の炭素原子を有する脂環式ジオールおよび/または好ましくは3ないし20個の炭素原子を有する脂肪族ジオールがある。このようなジオールのより具体的な例は、ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;1,4-シクロヘキサンジメタノール;プロパン-1,3-ジオール;ブタン-1,4-ジオール;ペンタン-1,5-ジオール;ヘキサン-1,6-ジオール;3-メチルペンタンジオール-(2,4);2-メチルペンタンジオール-(1,4);2,2,4-トリメチルペンタン-ジオール-(1,3);2,5-エチルヘキサンジオール-(1,3);2,2-ジエチルプロパン-ジオール-(1,3);ヘキサンジオール-(1,3);1,4-ジ-(ヒドロキシエトキシ)-ベンゼン;2,2-ビス-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-プロパン;2,4-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチル-シクロブタン;2,2-ビス-(3-ヒドロキシエトキシフェニル)-プロパン;および2,2-ビス-(4-ヒドロキシプロポキシフェニル)-プロパンを包含する。修飾因子として、このポリエステルポリマーは、好ましくはイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジメタノール、およびジエチレングリコールのような成分を含み得る。
【0046】
ポリエステルペレット組成物は、ポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレートならびにその他の熱可塑性ポリマー、例えばポリカーボネート(PC)およびポリアミドの混合物を含み得る。このポリエステル組成物は、全ての熱可塑性ポリマー(増量剤、無機化合物もしくは粒子、ファイバー、衝撃改質剤、または不連続相を形成し得るその他のポリマーを除く)の重量を基準とした時に、多量のポリエステルポリマー、より好ましくは少なくとも80wt%、または少なくとも95wt%、そして最も好ましくは100wt%の量のポリエステルポリマーを含むのが好ましい。このポリエステルポリマーは、増量剤、ファイバー、もしくは衝撃改質剤、または不連続相を形成するその他のポリマーを含まないことが好ましい。
【0047】
このポリエステル組成物は、エステル化および重縮合を実現するに充分な、当分野で既知の重合方法によって製造できる。ポリエステル融液相製造プロセスは、エステル化ゾーンにおけるジカルボン酸とジオールの直接縮合(所望によりエステル化触媒の存在下で)、その後の、アンチモン種を含む重縮合触媒組成物存在下でのプレポリマーおよび仕上げゾーンにおける重縮合;またはエステル交換ゾーンにおける、通常はエステル交換触媒存在下でのエステル交換と、その後の、アンチモン種を含む重縮合触媒組成物存在下でのプレ重合および仕上げを包含する。
【0048】
さらに説明すると、1またはそれ以上のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸、またはそのエステル形成誘導体、および1またはそれ以上のジオールの混合物を、約200℃および300℃の間の温度および約1psigないし約70psigの間の超大気圧圧力で稼働するエステル化反応機に持続的に供給する。反応物質の滞留時間は、典型的には約1ないし5時間の範囲である。通常、ジカルボン酸(群)は高圧および約240℃ないし約285℃の温度でジオール(群)と直接エステル化する。
【0049】
エステル化反応は、少なくとも70%の酸またはエステル基の変換が達成されるまで継続するが、より典型的には、少なくとも85%の酸またはエステル基の変換が達成され所望のオリゴマー混合物(または別途「モノマー」とも言う)が生成するまで継続する。オリゴマー混合物を製造する反応は、典型的には直接エステル化プロセスでは触媒されず、エステル交換プロセスで触媒される。アンチモン含有触媒は、所望により原材料と共にエステル化ゾーンに添加してもよい。ジアルキルテレフタレートおよびジオール間のエステル交換反応に使用できる典型的なエステル交換触媒は、チタンアルコキシドおよびジブチルスズジラウラート、亜鉛化合物、マンガン化合物(それぞれ単独で、または相互に組み合わせて使用)を包含する。当業者に周知のその他任意の触媒材料が好適である。しかしながら最も好ましい態様では、エステル交換反応はチタン化合物の不在下に進行する。重縮合反応の最中に存在するチタン型触媒は、融液をより黄色にすることによってb*に悪影響を及ぼす。エステル交換反応完了後、且つ重縮合開始前に安定剤でチタン型触媒を不活性化することは可能であるが、最も好ましい態様では、チタン含有化合物を添加せずに直接エステル化またはエステル交換反応を実施することによって、融液のb*色に及ぼすチタン型触媒の悪影響の可能性を排除することが望ましい。好適な代替的エステル交換触媒は、亜鉛化合物、マンガン化合物、またはその混合物である。
【0050】
エステル化ゾーン(直接エステル化およびエステル交換プロセスを包含する)で形成されたオリゴマー混合物は、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)モノマー、低分子量オリゴマー、DEG、および、エステル化ゾーンで除去されなかった縮合副産物としての微量の水、ならびに原材料由来のそして/またはことによると触媒された副反応により形成されたその他の微量不純物、ならびに所望により添加されたその他の化合物、例えばトナーおよび安定剤を含む。BHETおよびオリゴマー種の相対量は、そのプロセスが直接エステル化であるか(この場合、オリゴマー種の量が相当量であって、主たる成分として存在することさえある)、エステル交換プロセスであるか(この場合、BHETの相対量がオリゴマー種を凌駕する)によって変わる。平衡を所望生成物の方向に傾けるため、エステル化反応の進行に従って水を除去する。エステル化ゾーンは典型的にはモノマーおよびもしあるとすればオリゴマー種を連続的に1またはそれ以上の一連の反応機で生成する。或いは、オリゴマー混合物中のモノマーおよびオリゴマー種は、1またはそれ以上のバッチ反応機で生成され得る。しかしながら、PENを製造するプロセスでは、反応混合物はモノマー種ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,6-ナフタレートおよびその対応オリゴマーを含有するであろう。この段階では、It.V.は通常測定不能であるか、0.1未満である。溶融されたオリゴマー混合物の平均重合度は、典型的には15未満、しばしば7.0未満である。
【0051】
オリゴマー混合物が、酸またはエステル基の所望変換パーセントになったならば、これをエステル化ゾーンまたは反応機から重縮合ゾーンに移す。重縮合反応の開始は一般に、エステル化ゾーンの稼働温度よりも高い実際稼働温度、またはエステル化ゾーンに比較して遙かに低い圧力、またはその両者を特徴とする。場合によっては、重縮合反応は、エステル化ゾーンにおける実際稼働温度および圧力よりも高い実際稼働温度および低い(通常、大気圧以下)圧力を特徴とする。典型的な重縮合反応は、約260℃ないし300℃の範囲の温度、および約350mmHgないし0.2mmHgの間の大気圧より低い圧力で起こる。反応体の滞留時間は典型的には約2ないし約6時間の範囲である。重縮合反応では、オリゴマーエステル種の縮合によって、そして分子量増加の過程でかなりの量のグリコールが生じる。
【0052】
重縮合ゾーンは典型的にはプレポリマーゾーンおよび仕上げゾーンから成るが、重縮合ゾーン内部に分割したゾーンがなければならない訳ではない。重縮合反応はプレ重合ゾーンにおいて融液相で開始および継続し、仕上げゾーンにおいて融液相で終了し、その後、この融液が固化して、一般にチップ、ペレット、またはその他任意の形状のポリエステルポリマー融液相生成物を形成する。
【0053】
各々のゾーンは、異なった条件で稼働する一連の、1またはそれ以上の別個の反応容器を含むことができ、または、ゾーンは、単一の反応機において異なった条件で稼働する1またはそれ以上の下位ステージを用いて、1個の反応容器に合併することができる。即ち、プレポリマーステージは、連続して稼働する1またはそれ以上の反応機、1またはそれ以上のバッチ反応機、または単一反応容器中で行われる1またはそれ以上の反応工程または下位ステージの使用を含むことができる。プレ重合ゾーンにおける融液の滞留時間に比較した仕上げゾーンにおける融液の滞留時間に制限はない。例えば、幾つかの反応機の設計において、プレ重合ゾーンは、反応時間の点で重縮合の前半を構成し、仕上げゾーンは重縮合の後半を構成する。他の反応機の設計は、仕上げゾーン対プレ重合ゾーンの滞留時間を約1.5:1の比またはこれ以上に調節できる。多くの設計においてプレ重合ゾーンおよび仕上げゾーンの一般的な差異は、後者のゾーンはしばしばプレ重合ゾーンでの稼働条件よりも高い温度および/または低い圧力で稼働することである。一般に、プレ重合および仕上げゾーンは各々1個のまたは連続する1以上の反応容器を含み、プレ重合および仕上げ反応機は、ポリエステルポリマー製造のための連続プロセスの一部として連続して配列されている。
【0054】
産業界で低ポリメライザーとも称されるプレ重合ゾーンでは、オリゴマー混合物中の低分子量モノマーおよびオリゴマーが重縮合によって重合し、アンチモン含有触媒の存在下でポリエチレンテレフタレートポリエステル(またはPENポリエステル)が形成される。Sb種を含む触媒組成物は、例えば重縮合の開始直前に、または重縮合中に、エステル化または重縮合ゾーンに添加するか、またはエステル化もしくはエステル交換開始前に、またはエステル化もしくはエステル交換反応中もしくはその完了時に、エステル化ゾーンに添加できる。オリゴマー混合物製造のためのエステル化ステージでアンチモン触媒を添加しない場合、添加は、エステル化後且つ重縮合前もしくは最中、好ましくはエステル化および重縮合の間もしくは重縮合初期、例えばプレ重合工程(重縮合の第一ステージ)で行って、モノマー間および低分子量オリゴマー間および互いの間の反応を触媒して、分子量を増大させ、副産物としてのジオール(群)を分離除去する。アンチモン含有触媒をエステル化ゾーンに添加する場合、典型的にはこれをジオール(群)と混合し、エステル化反応機(群)および/または、第一エステル化反応機に供給されるテレフタル酸およびグリコールのペーストの入ったペーストタンクに供給する。
【0055】
別の態様では、アンチモン含有触媒を、融液のIt.V.が0.30dL/gを超える前に融液相に添加することができる。融液のIt.V.が0.30dL/gを超える前にアンチモン含有触媒を添加することにより、異常に長い反応時間を回避する。好ましくは、融液のIt.V.が0.2dL/gを超える前にアンチモン含有触媒を添加する。
【0056】
溶融されたポリエステルポリマーを、アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の存在下で重縮合させる。「アンチモン(antimony)」、またはその他任意の無機触媒に言及する場合、アンチモンまたはその他の無機触媒原子は任意の酸化状態で存在する。「元素アンチモン」または元素状態のその他任意の無機触媒に言及する場合、その酸化状態はゼロである。
【0057】
X線蛍光(XRF)は、ポリマー中の触媒レベルの報告に用いられる分析技術である。慣例によりXRF技術は「元素分析」と称する。実際には、XRF試験は無機含有種の酸化状態に影響を受けず、故にこれは異なる酸化状態を差別化できない。述べられた測定アンチモンの量は、ポリマー中におけるその酸化状態に関わりなくアンチモンの総含有量を反映する。ポリエステル中の測定されたアンチモンレベルは、添加されたアンチモン化合物のレベルではなくポリマーの重量を基準にしたSb原子の量としてppmで報告される。添加される好ましいアンチモン触媒の量は、ポリエステルの重量を基準として少なくとも約100、または少なくとも180、または少なくとも200ppmのアンチモンレベルを提供するために有効な量である。実用的には、得られるポリエステル重量の約500ppmまでのアンチモンが必要とされる。好ましいアンチモンの範囲は、ポリエステル重量を基準として150ないし300ppm未満、そして最も好ましいアンチモンの範囲は175ppmないし275ppm Sbである。
【0058】
融液相に添加される好適なアンチモン含有触媒は、重縮合反応を触媒するために有効なアンチモン含有触媒である。これらには、当分野で認められているアンチモン(III)およびアンチモン(V)化合物、特にジオール可溶性アンチモン(III)およびアンチモン(V)化合物があり、アンチモン(III)が最も一般的に使用されるが、これらに限定される訳ではない。その他の好適な化合物には、ジオールと反応するアンチモン化合物(但し、必ずしも反応前にジオールに可溶性である訳ではない)があり、このような化合物の例は酸化アンチモン(III)である。好適なアンチモン触媒の具体例は、酸化アンチモン(III)および酢酸アンチモン(III)、グリコール酸アンチモン(III)、アンチモン(III)エチレングリコシドおよびこれらの混合物を包含し、酸化アンチモン(III)が好ましい。
【0059】
アンチモンで触媒されたポリマーから作られた最終物品は、通常、より反応性のチタン触媒で触媒されたポリマーよりも輝度が高い(より高いL*色)、または黄色味が少ない(より低いb*色)ため、アンチモン型触媒の使用は有利である。さらに、本発明に係るアンチモン触媒により進行する融液相重縮合反応は、広範囲の操作温度および触媒濃度で進行させることができ、結晶化した時に+5以下(着色料またはトナーを添加せずに測定)という許容可能なベースポリエステルポリマーのb*色を維持し、そして所望によりトナーまたは着色料を添加した場合には、少なくとも70、または少なくとも76、または少なくとも79のL*輝度を維持しつつ、3.0以下のb*値を獲得するアモルファスペレットを生成することができる。したがって本発明方法は、チタン触媒の場合のように、許容可能なb*色を維持するために低い触媒濃度および低い重縮合温度に限定されることがない。
【0060】
一つの態様では、本発明方法により得られる結晶化ポリエステルポリマーは、少なくとも70、または少なくとも73、または少なくとも76、または少なくとも79のL*を有する。
【0061】
所望によりアンチモン種と共に存在し得るその他の触媒には、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、ゲルマニウム、およびその他の既知金属を含有する結晶がある。しかしながら好ましい態様では、この重縮合触媒組成物は本質的にアンチモン種で構成される。即ち、同じ反応条件下でSb以外の金属の不在下で製造された組成物に比較して、アンチモンと組み合わされた他の金属種の量が、使用された反応条件下で固体ポリエステルポリマー粒子のb*を0.5 CIELAB単位以上増大させることはない。より好ましくは、チタンはポリエステルにおいて着色の増大および分解を導く高活性触媒金属であるため、重縮合融液中に存在する活性チタンの量は5ppm未満、好ましくは3ppm未満、より好ましくは1ppm未満とすべきであり、最も好ましくは重縮合融液にチタン触媒を添加しない。エステル交換反応を進行させるためにエステル化ゾーンに添加するチタンの量は、触媒中のチタン元素に対して少なくとも2:1モル化学量論的量の安定剤中の燐元素を添加することにより決定される充分な安定剤を融液の重縮合開始前に添加する限り、5ppmの限界に算入されない。燐およびチタン元素についての計算は、ポリマーにおけるこれらの無機種の実際の酸化状態を意味する訳ではない。好ましい方法の利点の一つは、1以上の触媒を使用する必要なく、許容可能な速度で直接エステル化によるポリエステルポリマーを製造する単純さにある。したがって、さらに好ましい態様では、アンチモン種のみから成る重縮合触媒組成物の存在下で重縮合が起こる。即ち、融液における重縮合反応を活発に触媒するための、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、亜鉛、マンガン、またはマグネシウムといった他の金属触媒化合物が融液相製造プロセスに添加されない。さらに好ましい態様では、コバルトを包含する他の金属化合物が添加されない。但しコバルトまたはマンガンのような1またはそれ以上の金属は、金属で触媒された液相酸化プロセスで製造されたテレフタル酸組成物に伴う不純物として存在するため、融液中に低レベルで存在することが多い。しかし、最も好ましい態様では、これらの金属は融液相製造プロセスには添加されない。
【0062】
プレポリマー重縮合ステージは一般に、1またはそれ以上の連続した容器を使用し、約230℃ないし305℃の温度で約5分間ないし4時間稼働させる。このステージの最中に、モノマーおよびオリゴマーのIt.V.は一般に最大約0.45dL/gしか増加しない。4ないし200トルの減圧をかけて融液から重縮合物を駆逐し、ジオール副生成物をプレポリマー融液から除去する。その際、ポリマー融液が時に攪拌されて、ポリマー融液からのジオールの漏出を促進する。ポリマー融液が連続する容器に供給されるに従い、ポリマー融液の分子量、したがって融液粘度(これは固有粘度に関連する)が増大する。各容器の圧力は一般に低下して、連続容器の各々または容器内の連続ゾーンの各々における重合度がより大きくなる。グリコール、水、アルコール、アルデヒド、およびその他の反応生成物の除去を容易にするため、反応機を典型的には減圧で稼働させるか、不活性気体でパージする。不活性気体は、反応条件において望ましくない反応または生成物の性質を惹起しない任意の気体である。好適な気体はアルゴン、ヘリウムおよび窒素を包含するがこれらに限定されない。
【0063】
プレ重合ゾーンで所望のIt.V.、一般的には0.45dL/gより低い、または0.3dL/gより低い、または約0.2dL/gより低いIt.V.が得られたならば、プレポリマーをプレポリマーゾーンから仕上げゾーンに供給するが、ここでは一般的に、250ないし310℃、より一般的には270ないし300℃の範囲の値という、プレ重合ゾーンにある時より高い温度に上げた(但しその必要がある訳ではない)1またはそれ以上の仕上げ容器中で、融液のIt.V.が少なくとも約0.68dL/g、または少なくとも0.70dL/g、または少なくとも0.72dL/g、または少なくとも0.75dL/gの範囲且つ最大約1.2dL/gに増大するまで、重縮合の第二ステージを継続する。
【0064】
或る態様では、ポリマーに適用される温度または重縮合ゾーンの少なくとも一部にあるポリマー融液の温度は、280°より高く最大約290℃である。別の態様では、仕上げゾーンの温度は、従来の慣行とは逆に、AA前駆体形成速度の急激な増大を避けるため、280℃より低い。ジオールおよび/またはその他の副生成物をさらに駆逐しポリマー融液の分子量を増大させるため、産業界で一般に「高ポリメライザー」、「フィニッシャー」、または「重縮合機」として知られる最終容器もまた、通常はプレ重合ゾーンで使用されるより低い圧力で稼働させる。仕上げゾーンの圧力は約0.2ないし20mmHg、または0.2ないし10mmHg、または0.2ないし2mmHgの範囲内であってよい。仕上げゾーンは典型的にはプレポリマーゾーンと同じ基礎化学を含むが、分子のサイズ、したがって粘度が異なるという事実は、反応条件もまた異なるということを意味する。しかしながら、プレポリマー反応機と同様、仕上げ容器(群)の各々は減圧下または不活性気体下で稼働させ、典型的にはそれぞれを、ジオールおよび/またはその他の副生成物の除去を容易にするため、機械的に攪拌する(但しその必要がある訳ではない)。
【0065】
本発明方法では、重縮合の仕上げゾーンにおけるポリマー融液の滞留時間は、そのポリマーが少なくとも0.68dL/gのIt.V.を持つようにさせるのに充分な時間である。0.40dL/gから少なくとも0.68dL/gないし0.80dL/gの範囲のIt.V.までにかかる融液の反応時間は150分間もしくはそれ以下、または100分間もしくはそれ以下、または80分間もしくはそれ以下、または50分間もしくはそれ以下である。好ましくはこの範囲内で適用される圧力は、約2mmHgまたはそれ以下、且つ約0.05mmHgまたはそれ以上である。上記の方法は融液相方法の例であって、本発明がこの例示的方法に限定される訳でないことは明白である。例えば、或る具体的なIt.V.値における種々の稼働条件に対して言及がなされているが、述べられたIt.V.値の中または外で様々な方法条件を実施でき、または、述べられた稼働条件を、記載された以外の融液のIt.V.点に適用することができる。さらに、融液のIt.V.を測定または予測する代わりに、反応時間に基づいて方法条件を調節することもできる。この方法はまた、連続的もしくは並行的なタンク反応機の使用、または各ゾーンで異なる容器を使用することに限定される訳ではない。重縮合反応は、1個の重縮合反応機の中で、またはバッチ、セミバッチ、もしくは連続プロセス中の、連続する複数の反応機の中で、時間と共に僅かに変化する稼働条件の連続体上で起こるため、重縮合反応をプレポリマーゾーンと仕上げゾーンとに分割する必要がある訳でもない。
【0066】
この方法の工程c)では、安定剤または触媒不活性化剤をポリマー融液に添加する。触媒不活性化剤とは、Sb触媒活性を少なくとも部分的に不活性化するのに有効な化合物を意味する。或る化合物は、所定のレベルでそれを添加することにより、粒子を溶融する際のAA生成率またはperform中の残留AAレベルが、添加しない場合に比較して低下する場合、そして/または、単に所定レベルにある化合物の機能性の試験として、a) 固化の速度が添加しない場合に比較して低下する、またはb) 早期に添加した場合、融液相重縮合の速度が、添加しない場合に比較して低下する、という場合には、Sb触媒活性を少なくとも部分的に不活性化するのに有効である。その後の融液加工工程でアンチモンの活性を制限するため、安定剤または触媒不活性化剤を製造過程の後期にポリマー融液に加えるが、そうしないとポリマー中に存在するアセトアルデヒド前駆体からアセトアルデヒドへの変換が触媒されてしまう。未処置の場合、このポリマーは、押出しまたは射出成形中に高いアセトアルデヒド生成率を有し、当該ポリマーから製造される予備成形品および瓶中に許容できない量のアセトアルデヒドを生成するであろう。安定剤または不活性化剤はまた、融液相重縮合終了付近および再溶融中、例えば物品への溶融加工時に、ポリマー融液を熱的に安定化するのを助け、これらが無いと、より多くの反応が起こって粘性の高い融液中のポリマー鎖が開裂するであろう。
【0067】
安定剤/不活性化剤化合物は、最も好ましい態様では、ポリマーが少なくとも0.68dL/gのIt.V.を獲得した後の任意の時点で融液相プロセス中に添加される。融液相では、好ましくは、ポリマー融液が所望の最終It.V.または予備成形品製造に用いられるIt.V.の+/−0.05dL/g以内となった時点でこれを添加する。これは典型的には仕上げ機中での重縮合プロセス完了時、または仕上げ機の後であってペレット化の前に行う。安定剤/不活性化剤化合物を添加した後、融液が重合を継続し、分子量を多少増大させ得る事が認められるが、通常は0.05dL/g単位以上は上がらない。いずれにせよ、安定剤/不活性化剤の全量を、好ましくはポリマー融液が固化する前にポリマー融液に添加する。
【0068】
エステル交換反応では、エステル交換反応完了時であって重縮合前に、エステル交換触媒の不活性化後に添加されるアンチモン含有触媒の触媒活性を著しく損なわず、エステル交換触媒を不活性化するに充分なモル量の触媒不活性化剤を添加できる。しかしながら、エステル交換触媒が、得られるポリエステルポリマー融液相生成物の色または熱安定性を過度に損なわないならば、アンチモン含有触媒の添加に先立ってエステル交換触媒を不活性化する必要はない。しかしながらチタン含有触媒は、重縮合開始前にできる限り不活性化するのが望ましく、好ましくは、その後追加量を重縮合ゾーンに添加することはしない。直接エステル化の場合、そしてチタン含有化合物の不在下では、所望のIt.V.が得られた後に安定剤を添加できる。
【0069】
安定剤/不活性化剤は好ましくは燐含有化合物である。この燐化合物を、好ましくはIt.V.が少なくとも0.68dL/gに達した時にポリマー融液に添加する。この燐化合物は1またはそれ以上の燐原子を含む。酸性燐化合物が好ましい。酸性燐化合物とは、少なくとも1個のオキシ燐酸基、即ち、1個の酸素と二重結合し、少なくとも1個のヒドロキシまたはOH基と単結合した少なくとも1個の燐原子を有するとして定義される。安定剤の具体例には、酸性燐化合物、例えば燐酸(オルト燐酸とも言う)、ピロ燐酸、ポリ燐酸、ならびに各々それらの酸性塩および酸性エステルおよび酸性誘導体があり、酸性リン酸エステル、例えば燐酸モノおよびジエステル、例えば燐酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくは2-エチル-1-ヘキサノールのモノおよびジエステルの混合物または各々の混合物;またはピロ燐酸またはポリ燐酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくは2-エチルヘキサノールの酸性燐酸エステル、または各々の混合物;または燐酸、ピロ燐酸またはポリ燐酸を含むまたは含まないそれらの混合物を包含する。酸性燐化合物でない安定剤の具体例には、オリゴマー型燐酸トリエステル、燐酸(トリス)エチレングリコール、燐酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、または各々の混合物のトリエステルがある。
【0070】
幾つかの種類の燐化合物は大量使用を回避すべきであり、好ましくは全く回避すべきである。その燐化合物の種類は、アンチモン触媒をアンチモン元素に、即ち酸化状態ゼロに還元する化合物である。このような燐化合物の例には亜燐酸(ホスホン酸とも言う)および亜燐酸塩がある。元素のSbは、ポリマーに一定レベルの再加熱能力を与えるのに有用であるが、予備成形品の形状のポリマーの再加熱に要する以上の量の元素Sbは望ましくない。大量の元素アンチモンはポリマーを灰色化し、ポリマーから作られる予備成形品および瓶の輝度を低下させる。Sbを安定化/不活性化させるために添加される燐化合物の量は、典型的には再加熱に要する手段を提供するに必要な燐の量より遙かに多いため、使用するとしても、Sbを元素状態のSbに還元する燐化合物を、他の非還元性燐化合物との混合物として、そして、予備成形品に必要レベルの再加熱を供給するのに要する化学量論的量で使用し、それ以上は使用しないのが望ましい。
【0071】
さらに、本発明者等は、燐酸トリエステルがアンチモン(「Sb」)触媒の安定化/不活性化について、酸性燐化合物、例えば燐酸ほどには有効でないことを見いだした。
しかしながら幾つかの場合には、燐酸トリエステルが燐酸よりも好ましい。例えば、大量の燐酸は、装置が適切な金属、例えばチタンまたはHastalloyを持たない場合、ホッパー、ポンプ、および反応容器の腐食を促進することがある。
【0072】
この方法で使用される、アンチモン原子に比べて遅くに添加される燐の量に制限は無いが、アンチモン金属の量と融液中に存在する他の金属の量には配慮する。アンチモンのモルに対する燐のモル比は、少なくとも0.15:1、または少なくとも0.3:1、または少なくとも0.5:1、または少なくとも0.7:1、または少なくとも1:1であって、且つ最大約3.0:1、好ましくは最大2.5:1、または最大2:1、または最大1.5:1、または最大1.2:1であるのが望ましい。範囲の下限は、より活性の高い添加剤、即ち酸性燐化合物によって定められる。燐の供給源が燐酸トリエステルである場合、大きな利益をもたらすためには、燐対アンチモンのモル比を少なくとも0.5:1とする。範囲の上限は85%燐酸によって定められる。この添加剤によってAAの減少とIt.V.の低下の均衡をとらねばならない。実際的な見地から、It.V.の低下は生成率に負の影響を有する。加えて、低いIt.V.はより多くのヒドロキシエチル末端基のあることを意味し、それが若干のAA前駆体と反応してAAを形成するため、或る時点でIt.V.の低下がAAの有益性を妨害し始めるかも知れない。前述のように、85%燐酸の後期添加によるIt.V.低下は、純粋な燐酸トリエステルによるIt.V.の低下よりも大きい。故に、純粋な燐酸トリエステルの上限は、既に述べた値を超えるかも知れない。このプロセスの初期に供給される燐のレベルをできるだけ低く維持することも重要である。燐化合物の後期添加の直前の時点では、ポリマー中の燐対アンチモンのモル比は0.17:1またはそれ以下であるのが好ましい。この選好性は最大のAA利益を与える。燐化合物の後期添加直前時点におけるポリマー中の燐対アンチモンの高いモル比は、なおAAを低下させる結果となり得るが、後期の燐レベル増大に伴うAAの低下速度は遅く、AAの最大減少は小さい。そうは言っても、上述の燐対アンチモンモル比の範囲は、燐化合物の後期添加直前のポリマー中の燐対アンチモンのモル比が0.17:1またはそれ以下である場合に公式化されている。
【0073】
0.68dL/gの最小It.V.と共に所望のIt.V.を得、アンチモン触媒を安定化/不活性化するために燐化合物をポリマー融液に添加したならば、融液相反応機中の溶融ポリエステルポリマーを融液相生成物として排出し、ポリマー融液にアセトアルデヒド捕捉剤を加えずに固化させる。アセトアルデヒド捕捉剤は高価であり、しかもポリエステルポリマーのb*色を増大させる原因、または黄色の色調を帯びた後、特にAAおよび捕捉剤の反応生成物が着色している場合にL*色を低下させる原因となり得るため、アセトアルデヒド捕捉剤添加を回避することが望ましい。AA捕捉剤に熱安定性または揮発性の問題があると、所定量の捕捉剤がAAを減少させる有効性は、捕捉剤が重縮合ゾーンの仕上げ機に添加される時(この時、高熱と高真空がかけられる)に悪影響を被る。
【0074】
アセトアルデヒド捕捉剤は、物理的力または化学反応によってアセトアルデヒドと相互作用してアセトアルデヒドと結合し、これがポリエステルポリマーから放出されるのを防ぐ化合物またはポリマーである。アセトアルデヒド前駆体の形成やその後この前駆体が反応してAAを形成することを防ぐのではなく、捕捉剤はアセトアルデヒドに結合することによって作用する。
【0075】
アセトアルデヒド捕捉剤は当業者にとって既知である。例として、米国特許第5266413号、同第5258233号および同第48837115号に開示されたようなポリアミド;米国出願第595460号(1996年2月5日出願)に開示されたようなポリエステルアミド;日本国特許出願昭62-182065(1987)に開示されたようなナイロン-6およびその他の脂肪族ポリアミド;エチレンジアミン四酢酸(米国特許第4357461号)、アルコキシ化ポリオール類(米国特許第5250333号)、ビス(4-[bgr]-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン(米国特許第4330661号)、ゼオライト化合物(米国特許第5104965号)、5-ヒドロキシイソフタル酸(米国特許第4093593号)、超臨界二酸化炭素(米国特許第5049647号および同第4764323号)およびプロトン酸触媒(米国特許第4447595号および同第4424337号)があるが、最もよく知られたアセトアルデヒド捕捉剤は、ホモおよびコポリアミド類、例えばポリ(カプロラクタム)、ポリ(ヘキサメチレン-アジパミド)、ポリ(m-キシリレン-アジパミド)、および、活性メチレン基を有するその他の化合物またはポリマーである。
【0076】
融液相生成物を加工して所望の形態、例えばアモルファス粒子とする。本ポリエステルポリマー粒子の形状には制限が無く、寸法に制限がない規則的または不規則な形状のばらばらの粒子を包含でき、星、球、回転楕円体、球様、円筒形ペレット、常套的ペレット、トローチ、およびその他任意の形状が包含されるが、粒子はシート、フィルム、予備成形品、ストランドまたはファイバーとは区別される。
【0077】
粒子の数平均重量(数平均分子量と混同されるべきでない)には特に制限はない。望ましくは、この粒子は、100粒子あたり少なくとも0.10g、より好ましくは100粒子あたり1.0g以上、且つ100粒子当たり約100gまでの数平均重量を有する。
【0078】
融液相プロセスから得たポリエステルポリマーを固化する方法には制限がない。例えば、融液相から得た溶融ポリエステルポリマーは、金型中を通過させたり、または単に切断したり、または溶融ポリマーを金型中を通過させた後切断することができる。溶融ポリエステルポリマーを金型を通過させるには、推進力として歯車ポンプを使用できる。歯車ポンプを使用する代わりに、溶融ポリエステルポリマーを単軸または二軸スクリュー押出し機中に供給し、金型を通過させて押し出すこともできる(押出しノズルは所望により190℃またはそれ以上であってよい)。金型を通過させたならば、このポリエステルポリマーを引いてストランドとし、冷却した液体に接触させ、切断してペレットとするか、またはポリマーを、所望により水中で、金型ヘッドの所でペレット化できる。ポリエステルポリマー融液は、所望により、切断前に所定サイズより大きな粒子状物質を取り除くため濾過する。ダイス化、ストランドペレット化およびストランド(強制運搬)ペレット化、トローチ製造機、ウォーターリングペレタイザー、加熱面ペレタイザー、水中ペレタイザーおよび遠心ペレタイザーを包含する(但しこれらに限定されない)常套的な任意の熱ペレット化またはダイス化法および装置が使用できる。
【0079】
このポリエステルポリマーは結晶化できる物質である。ポリエステルポリマーの結晶化に使用する方法および装置には制限が無く、気体または液体中での熱結晶化を包含する。この結晶化は、機械的に攪拌した容器;流動床;流体の運動により攪拌される床;非攪拌容器またはパイプ;当該ポリエステルポリマーのTgより高い温度、好ましくは140℃ないし190℃の液体媒質中での結晶化;または当分野で既知のその他任意の手段によって起こり得る。ポリマーを、そのTg(ガラスからの)より低いポリマー温度で晶析装置に供給することも、またTgより高いポリマー温度で晶析装置に供給することもできる。例えば、融液相重合反応機から得られた溶融ポリマーを、金型プレートを通過させ、水中で切断し、その後直ちに水中熱結晶化反応機に供給すると、そこでポリマーは水中で結晶化する。或いは、溶融ポリマーを切断し、そのTgより低温に冷却し、その後水中熱結晶化装置またはその他任意の適当な結晶化装置に送る。または、溶融ポリマーを常法で切断し、Tgより低温に冷却し、所望により保存し、その後結晶化することもできる。
【0080】
好ましい固化技術は、ポリマーが切断され少なくとも20%の結晶化度で結晶化されるまでは、融液相製造のポリマーに与えられた熱エネルギーをTgより低く低下させないことにより、切断と結晶化を一体化する。或る一体化固化技術では、溶融ポリエステルポリマーを金型を通過させ、高温および大気圧より高い圧力の下に水中の金型プレートの所で切断し、熱湯で切断機から洗い流し、そのポリマーのTgより高温、好ましくは約130ないし180℃の熱湯中で粒子を熱結晶化させるための滞留時間を与えるために幾つかのパイプを通す。その後、結晶化した粒子から水を分離し、粒子を乾燥する。別の一体化された固化技術では、溶融ポリエステルポリマーを水中で切断し、この粒子を切断後直ちに液体の水から分離し、粒子を乾燥し、そしてこの粒子がまだ熱いうちに、且つ粒子の温度が当該ポリマーのTgより低くならないうちに、そして望ましくは粒子温度が140℃より高いうちに、粒子を乾燥機から表面または容器へと導くが、これは、熱媒体または加圧手段を外部から適用せずに粒子を結晶化するための潜熱を粒子内部に生じさせるに充分な床高を持つ移動床をその粒子に形成させる。このような表面または容器は、少なくとも部分的に被包された振動コンベヤー、例えばBrookman Kreyenborg GmbHから入手可能なものが望ましい。
【0081】
結晶化度は所望により少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%である。融液相生成物は、好ましくは実質上チタン残留物を含まず、直接エステル化プロセスでは、好ましくはアンチモン含有化合物(群)のみから成る重縮合触媒を融液相に添加することによって製造する。したがって、固体状態で分子量を増大させる必要なく、許容可能な色を持つ融液相で製造されたポリエステルポリマーを単離しコンバーターに供給することができる。融液相で高It.V.生成物を製造することにより、固化工程を完全に回避できる。固化は一般的に、固体状態のペレットの分子量(およびIt.V.)を、通常少なくとも0.05It.V.単位、より典型的には0.1ないし0.5It.V.単位増大させるために利用される。
【0082】
さらに、ポリマーを着色させる或る種の物質を融液に添加することができる。或る態様では、得られるポリエステルポリマー融液相生成物のb*を低下させるため、融液に青味付けトナーを添加する。このような青味付け剤には、青色の無機および有機トナーが包含される。加えて、a*色を調節するため、赤色トナーを使用することもできる。有機トナー、例えば青色および赤色の有機トナー、例えば米国特許第5372864および同第5384377号(これらを引用によりその全内容を本明細書の一部とする)に記載のようなトナーを使用できる。有機トナーはプレミックス組成物として供給できる。プレミックス組成物は、赤色および青色化合物の純粋な混合物であってもよいし、またはこの組成物をそのポリエステル原料のうちの一つ、例えばエチレングリコールに溶解またはスラリー化してもよい。
【0083】
in situで生成する還元されたアンチモンと組み合わせて、またはin situで生成する還元されたアンチモンの代替物として使用される再加熱添加物(再加熱添加物とは、再加熱助剤をin situで生成させるのに対して、融液に添加される化合物とみなされる)の例は、活性炭、カーボンブラック、アンチモン金属、錫、銅、銀、金、パラジウム、白金、黒色酸化鉄など、および、米国特許6197851号(引用により本明細書の一部とする)に開示されたもの(但しこれに限定される訳ではない)を包含する近赤外線吸収色素を包含する。
【0084】
好ましくは黒色である酸化鉄は、ごく微細に粉砕した形態、例えば約0.01ないし約200μm、好ましくは約0.1ないし約10.0μm、そして最も好ましくは約0.2ないし約5.0μmで使用する。黒色酸化鉄の好適な形態には、磁鉄鉱および磁赤鉄鉱があるがこれらに限定されない。赤色酸化鉄もまた使用できる。このような酸化物は、例えばPigment Handbook, Vol.1, 著作権1973, John Wiley & Sons, Inc.の323-349頁に記載されている。
【0085】
本発明に係る組成物にその他の成分を加えてポリエステルポリマーの性能特性を向上させることができる。例えば、結晶化助剤、衝撃改質剤、表面潤滑剤、デネスティング剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、着色剤、核形成剤、アセトアルデヒド結合化合物、その他の再加熱促進速度向上剤、粘着性瓶添加剤、例えばタルク、および増量剤などが包含される。
【0086】
本発明に係る組成物は所望により1またはそれ以上のUV吸収化合物をさらに含有できる。一例として、コモノマー、側鎖、または末端基のいずれかとしてポリエステル分子に共有結合するUV吸収化合物がある。好適なUV吸収化合物は、ポリエステル加工温度において熱安定性であり、約320nmないし約380nmの範囲を吸収し、当該ポリマーから抽出困難または抽出できない。このUV吸収化合物は好ましくは、瓶壁の厚さ12mil(305ミクロン)を通過する波長370nmのUV光の透過率が約20%未満、より好ましくは約10%未満である。好適な化学反応性UV吸収化合物には、式:
【化1】

[式中、
Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキルもしくはアルケニル、またはポリオキシアルキレン鎖、例えばポリオキシエチレンもしくはポリオキシプロピレンポリマー(各々所望によりポリマー鎖中に幾つかのオキシプロピレンまたはオキシエチレン単位をブロックまたはランダムコポリマーとして持っていてもよい)、500ないし10000の範囲の数平均分子量を有するポリオキシアルキレン鎖であり;
R1は、水素、またはアルキル、アリール、またはシクロアルキルのような基(これらの基は全て置換されていてもよい)であり;
R2は、当該ポリエステルとの縮合を妨害しない任意の基、例えば水素、アルキル、置換アルキル、アリル、シクロアルキルまたはアリールであり;
R3は、水素、または、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシおよびハロゲンから選ばれる1-3個の置換基であり、そして、
Pは、シアノ、または、カルバミル、アリール、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロ環、アルカノイル、またはアロイルのような基(これらの基は全て置換されていてもよい)である]
で示される置換メチン化合物がある。
【0087】
好ましいメチン化合物は、R2が水素、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、シアノアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキルまたはアリールであり;Rが水素;シクロアルキル;1または2個のアルキル、アルコキシまたはハロゲンで置換されたシクロアルキル;フェニル;アルキル、アルコキシ、ハロゲン、アルカノイルアミノ、またはシアノから選ばれる1-3個の置換基で置換されたフェニル;直鎖または分岐鎖低級アルケニル;直鎖または分岐鎖アルキル、および、以下より選ばれる1-3個の置換基で置換された直鎖または分岐鎖アルキル:ハロゲン;シアノ;スクシンイミド;グルタルイミド;フタルイミド;フタルイミジノ;2-ピロリドノ;シクロヘキシル;フェニル;アルキル、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、またはアルキルスルファモイルで置換されたフェニル;ビニルスルホニル;アクリルアミド;スルファミル;ベンゾイルスルホニックイミド;アルキルスルホンアミド;フェニルスルホンアミド;アルケニルカルボニルアミノ;式:
【化2】

[式中、Yは、-NH-、-N-アルキル、-O-、-S-、または-CH2O-;-S-R14;SO2CH2CH2SR14[式中、R14は、アルキル、フェニル、および、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルカノイルアミノ、もしくはシアノで置換されたフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリルである]である]で示される基;
【0088】
または、式:
【化3】

で示される基、-NHXR16、-CONR15R15、および-SO2NR15R15[式中、R15は、H、アリール、アルキル、および、ハロゲン、フェノキシ、アリール、-CN、シクロアルキル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、またはアルコキシで置換されたアルキルから選ばれ;Xは、-CO-、-COO-、または-SO2-であり、そして、R16は、アルキル、および、ハロゲン、フェノキシ、アリール、シアノ、シクロアルキル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、およびアルコキシで置換されたアルキルから選ばれ;そしてXが-CO-である時、R16は、水素、アミノ、アルケニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アリール、またはフリル;アルコキシ;シアノもしくはアルコキシで置換されたアルコキシ;フェノキシ;または、アルキル、アルコキシ、もしくはハロゲン置換基から選ばれる1-3個の置換基で置換されたフェノキシであってもよい]であり;そして
【0089】
Pが、シアノ、カルバミル、N-アルキルカルバミル、N-アルキル-N-アリールカルバミル、N,N-ジアルキルカルバミル、N,N-アルキルアリールカルバミル、N-アリールカルバミル、N-シクロヘキシルカルバミル、アリール、2-ベンズオキサゾリル、2-ベンゾチアゾリル、2-ベンズイミダゾリル、1,3,4-チアジアゾール-2-イル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、アルキルスルホニル、アリールスルホニルまたはアシルである、
上記式で示される化合物である。
【0090】
上の定義の全てにおいて、アルキルまたは二価脂肪族部分または種々の基の一部は、1-10個の炭素、好ましくは1-6個の炭素の直鎖または分岐鎖を含む。好ましいUV吸収化合物は、RおよびR1が水素であり、R3が水素またはアルコキシであり、R2がアルキルまたは置換アルキルであり、そしてPがシアノである化合物を包含する。この態様では、置換アルキルの好ましいクラスはヒドロキシ置換アルキルである。最も好ましいポリエステル組成物は、化合物:
【化4】

で示される反応残留物約10ないし約700ppmを含む。
【0091】
これらの化合物、それらの製造方法およびポリエステルへの組み込み方法が、米国特許4617374号にさらに開示されており、その内容を引用により本明細書の一部とする。UV吸収化合物(群)は、約1ないし約5000ppm(重量)、好ましくは約2ppmないし約1500ppm、より好ましくは約10および約500ppm(重量)の間の量で存在させることができる。UV吸収化合物の二量体もまた使用できる。2またはそれ以上のUV吸収化合物の混合物も使用できる。さらに、UV吸収化合物は、ポリマーのバックボーンと反応、またはポリマーバックボーン中に共重合するため、得られるポリマーは、プレートアウトおよび/または蒸発などによるUV吸収化合物の喪失の減少といったような改善された加工可能性を示す。
【0092】
融液相プロセスで生成された固体粒子は、好ましくは、295℃で5分間測定した時に20ppmもしくはそれ以下、または18ppmもしくはそれ以下、または16ppmもしくはそれ以下のアセトアルデヒド生成率を有する。本発明方法は、成形品を製造するために粒子を295℃で5分間溶融する必要がない。プロセス条件には特に制限がない。工程c)で安定剤および不活性化剤の添加を省略して製造された粒子と比較して、このプロセスで製造された粒子は、好ましくは少なくとも10%またはそれ以上、好ましくは少なくとも20%またはそれ以上、より好ましくは少なくとも30%またはそれ以上、そして最も好ましくは少なくとも40%またはそれ以上のAA生成率低下を有する。AA生成率の低下は、工程c)を省略し他は同じである粒子のAA生成率から、工程c)を実施した粒子のAA生成率を差し引き、その差を、工程c)を省略したAA生成率で除し、100を掛けることによって算出する。
【0093】
別の態様では、バレル温度285℃、滞留時間108秒で成形した予備成形品について測定した時、20oz.予備成形品のAAのレベルは11ppmもしくはそれ以下、または9ppmもしくはそれ以下、または7ppmもしくはそれ以下である。
【0094】
さらに別の態様では、溶融ゾーンに供給される固体粒子上の遊離AAは、
10ppmもしくはそれ以下、または7ppmもしくはそれ以下、または5ppmもしくはそれ以下、または3ppmもしくはそれ以下である。
【0095】
アセトアルデヒド生成率は固体粒子について測定でき、遊離AAは固体粒子または予備成形品について測定できる。以下の方法を用いて固体粒子上のアセトアルデヒド生成を測定する。
【0096】
ポリエステルポリマー組成物中の遊離AAレベルの測定に利用される方法は、試験方法ASTM#F2013-00である。この試験方法は、粒子、粉末、予備成形品、瓶、およびポリエステルポリマー組成物がとり得るその他任意の形態中の遊離アセトアルデヒドレベルを測定するのに利用できる。残留または遊離アセトアルデヒドを測定する目的のためには、試料を下記の方法に従って試験する。しかしながらアセトアルデヒド生成を測定する目的のためには、生成されたアセトアルデヒドのレベルを決定するため、試料を第二の溶融過程に付さねばならない。試料が、先行する融液相重縮合工程に加えて溶融工程を受けねばならない粒子または粉末である場合には、その試料をまず下記の「試料調製法」に従って処理し、その後、分析のためASTM#F2013-00試験方法にかける。
【0097】
試料の遊離アセトアルデヒドレベル測定のための試験方法は、予備成形品、ペレット、粉末、またはその他の形態の如何に拘わらず、ASTM#F2013-00試験方法である。試料を1.0メッシュ篩を取り付けたWiley Millで極低温粉砕する。最終粉砕材料は800μm未満の粒子径である。試料の一部(0.20g)を20mLヘッドスペースバイアルに秤取し、密封し、150℃で60分間加熱する。加熱後、密封されたPETポリマー試料の上にある気体をキャピラリーGCカラムに注入する。アセトアルデヒドを分離し、試料中に存在するアセトアルデヒドのppmを算出する。算出されたアセトアルデヒドの量は、試料中に存在する遊離または残留アセトアルデヒドの量を表わす。
【0098】
アセトアルデヒド生成率を得るためには上に記載のASTM#F2013-00試験方法もまた使用されるが但し、ASTM#F2013-00試験方法で試料を試験する前に、先の融液相重縮合に加えて溶融過程を施す。予備成形品についてアセトアルデヒド生成率を測定するためには、予備成形品をさらなる溶融過程に付すことなくこの上記ASTM#F2013-00法を利用することで充分である。何故なら、予備成形品を製造するため、射出成形前にペレットを押出し機内で溶融するためである。溶融押出しまたは射出成形により、ポリマー融液中のAA前駆体はアセトアルデヒドに変換する機会を得る。試料が、その後に溶融過程を経ない粒子または粉末である場合は、その試料を「試料調製法」に従って調製し、次いでASTM#F2013-00試験にかける。「試料調製」:アセトアルデヒド生成率を測定する目的のためには、そして試料が融液相重縮合後に溶融過程を経ない場合には、試料をASTM#F2013-00試験に付する前に、この方法に従って試料を調製する。3mm篩を通過するまでに粉砕したポリマー粉末の試料を、4 SCFH窒素パージを用いて115℃の乾熱器中、減圧下に(25-30 in Hg)少なくとも48時間加熱する。水分除去のためだけであれば一夜の乾燥で充分であるが、この長時間の乾熱器処理は、融液相のみの合成(melt-phase-only synthesis)の後であってAA生成試験前の高IV粉末中に存在する残留AAを、約1ppmまたはそれ以下となるよう脱着させる役割をも担っている。大きな粒子サイズであると、ペレットから残留AAを約1ppmまたはそれ以下となるよう脱着させるには、より長時間かかるであろう(より長い拡散経路)。残留アセトアルデヒドを所望レベルに低下させるに充分な時間、ペレットに熱不活性気体を通過させる、といった、遊離アセトアルデヒドレベルを約1ppmまたはそれ以下に低下させる任意の適当なアセトアルデヒド液化技術をペレットに使用することができる。アセトアルデヒド液化温度は170℃を超えてはならない。次いでこの試料を、予熱したTinius Olsen押出式可塑度計に鋼棒を用いて詰める。オリフィスダイをASTM D 1238に従い較正する。少量の材料を底からパージし、栓をする。ピストンロッドアセンブリをバレル上部に入れる。225gのおもりをピストンロッドの上に置き、ロッドをバレル内部に押し下げる。ポリマーを5分間295℃に維持する。次にオリフィスプラグをバレルの底から取り除く。大きな加重とオペレーターの圧力により、押出し物をバレルから氷水浴中に押し出す。この押出し物を叩くようにして水気を取り、袋に封入し、ASTM#F2013-00試験を行うまで冷凍庫に入れておく。
【0099】
或いは、CEAST Model 7017 Modular Melt Flow機器を使用する。AA生成プログラムを開始するがそれは、295℃の温度を維持し、溶融したPET材料を、機器のファームウェアに規定されている一定の流速で5分以内に押し出すものである。押出し物がバレルから氷水浴中に押し出されたならば試料を集め、叩くようにして水分を取り、袋に封入し、ASTM#F2013-00試験を行うまで冷凍庫に入れておく。
【0100】
Ceast Model 7027 Modular Melt Flowまたは類似の押出し可塑度計を用いてポリエステル樹脂にアセトアルデヒドを生成させることができる。この機器の自動化機能は、押出しバレル内部のポリマーに一貫した接触時間を保たせることにより、試験の変動性を低下させる。この特別な機器モデルは、試験操作の開始時に樹脂の自動充填を組み込んである。この機器は、ピストンがバレルの底から指定の高さになるまで材料をバレルから押し出す、モーター付きプラットフォームを装備している。このプラットフォームがピストンロッドを所定位置に保持し、樹脂が加熱されてアセトアルデヒドを生成するようにさせる。指定の保持時間終了時に、プラットフォームは一定速度で移動しつつ樹脂の残量をバレルから押し出す。これらの工程は、最終押出し工程にかけて材料の充填に帰因する結果の変動の可能性を排除する。ポリマーロードの変動性はバレルの設計によって低下するが、自動化はされない。
【0101】
アセトアルデヒドは上記の方法で265℃ないし305℃の範囲で生成できる。最も一貫した結果は285℃および295℃の間で得られる。樹脂をバレル内に保持する時間が2および15分間の間である時に良好な結果が示される。5ないし10分間の範囲で最良の再現性および材料識別性が示される。本発明で記載されるAA生成数には295℃および5分間を採用した。
【0102】
このアセトアルデヒド生成および試験法を利用することにより、瓶の予備成形品といったような大量の評価用材料を必要とせずにポリエステル樹脂をアセトアルデヒド生成についてスクリーニングする事が可能となる。僅か10グラムの材料をこの方法に使用して、それを実験試料の試験に理想的なものとすることができる。
【0103】
本発明では、融液相のみの合成によるポリエステルポリマー粒子を、低残留アセトアルデヒドおよび低アセトアルデヒド生成率を有するその後の融液相加工工程(例えば押出し/射出成形)に対して供給することが今や可能である。好都合なことに、ポリエステル粒子の融液相生成は、もはや残留アセトアルデヒドが低レベルであるポリエステルポリマー粒子の産生に限定または制御されねばならないことはない。そうではなく、今や残留アセトアルデヒドが高レベルでアセトアルデヒド生成が低いポリエステルポリマー粒子を、ポリエステルポリマーの融液相生成から得ることができる。この方法により、アセトアルデヒド捕捉剤の添加が不必要または望ましくない、広いプロセシングウインドウを持つ強力な融液相生成方法が実現可能となり、それによって従来のSb触媒組成物の使用が可能となり、そのポリエステルポリマーが高It.V.へと向上することが可能となる。アセトアルデヒド前駆体の変換がその後の溶融加工中に起こらないようSb触媒を不活性化することによって、そして残留アセトアルデヒドの融液相重縮合後排除によって、予備成形品の製造に適した粒子を射出成形機に供給することができる。
【0104】
したがって別の態様では、融液相製造工程から粒子が得られたならば、その粒子に存在する残留アセトアルデヒドを常套的手段で、または下記のような好ましい手段で低下させる。固体粒子中の残留アセトアルデヒド量は、高価で著しい分子量の上昇を導く固体状態重合プロセス以外の技術によって低下する。固体粒子中の残留アセトアルデヒドを、粒子のIt.V.を0.03dL/g以上増大させずに固体状態で10ppmまたはそれ以下のレベルに低下させるのが望ましい。この、より好ましい態様では、それらのアセトアルデヒドレベルを低下させるために粒子を再溶融および液化させず、粒子を、It.V.を0.03dL/g以上上昇させる結果となる固体状態重合技術に付すこともない。より好ましくは、固体粒子中の残留アセトアルデヒドレベルは5ppmまたはそれ以下のレベルに低下する。最も好ましくは、固体粒子中の残留アセトアルデヒドレベルは2ppmまたはそれ以下のレベルに低下する。
【0105】
固体状態重合技術以外の、そして好ましくは再溶融/液化による以外の、粒子内のアセトアルデヒドを低下させるいかなる常套的技術も好適である。例えば、AA生成率試験のための試料調製の一部として前記した減圧法;但し、より大スケールでは乾熱器の代わりに容器を用いる。
【0106】
分子量を0.03dL/gを超えて増大させずに固体粒子中のアセトアルデヒドレベルを低下させるもう一つの技術を、本明細書ではアセトアルデヒド揮散と称する。この方法では、粒子を容器内に導入して容器内部に粒子の層を形成させ、この層を、1時間あたり粒子1ポンドに付き0.15SCFMを超えない流速で導入した気体流に接触させ、低下した量の残留アセトアルデヒドを有する完成した粒子を容器から回収することによってその粒子の残留アセトアルデヒドを低下させる。
【0107】
気体揮散操作においては、気体、例えば空気または不活性気体、例えば窒素を、連続またはバッチプロセス、好ましくは連続プロセスで、容器内の粒子流に対して並流または向流のいずれか、好ましくは向流で、ポリエステルポリマー粒子に接触させる。AA揮散容器中に導入される気体の温度は特に制限されず、周囲温度ないし180℃の範囲であってよいが、好ましくは周囲温度ないし70℃、または約50℃まで、または約40℃まで、そしてより好ましくはほぼ周囲温度である。揮散容器を出る気体の温度は、この容器に導入されるペレットの温度に近い。即ち、粒子が100℃で導入される場合、気体の出口温度は約100℃±20℃となろう。容器を出る気体の温度は、その粒子の分子量が固体状態で0.03dL/g以上増大する温度を超えてはならない。粒子の滞留時間は気体温度および粒子の体積/気体比に依存するが、一般に滞留時間は1時間ないし30時間の範囲である。気体の組成は特に制限されず、窒素、二酸化炭素、または周囲空気を包含する。この気体の機能はペレットを乾燥することではなくペレットから残留AAを揮散させることであるから、この気体を乾燥する必要はない。しかしながら所望ならば気体を乾燥してもよい。
【0108】
アセトアルデヒドの気体揮散は物品を作るために押出し機への供給を行う乾燥機中でも起こるが、乾燥機で使用される気流を減少させるため、そして/または押出し機から作られる物品の品質を改善するために、残留アセトアルデヒドが既に10ppmまたはそれ以下であるポリマー粒子を乾燥機に供給することが好ましい。さらに、AA揮散工程では、AAを粒子から揮散させるのに乾燥気体を必要としないが、一方乾燥工程では、主として粒子中もしくは粒子上の水分を低下させるため(AA除去という二次的利点もある)、乾燥空気の気流を粒子全体に循環させる。したがってAA揮散工程では、揮散媒体として周囲空気を利用でき、且つそれが好ましい。
【0109】
したがって或る態様では、少なくとも0.68dL/gのIt.V.および20%ないし55%の範囲内の結晶化度および10ppmまたはそれ以上の残留アセトアルデヒドレベルを持つ本発明に係る粒子を、AA揮散効率を増大させ、重力によって容器の底端方向に流動するペレットの層を形成させるため、好ましくは容器の上端から、熱い粒子(例えば100℃ないし180℃)として容器に供給し、一方、向流の気体、例えば周囲空気をこの層を通って循環させ(この気体は周囲条件ないし70℃、または周囲条件ないし40℃の範囲の温度で容器内に導入する)、それにより、容器内に導入された粒子上の残留AAレベルを低下させる。この粒子は、向流気体中に導入されてから約5ないし30時間以内に容器から回収する。容器は加圧できるが、気流から発生した圧力による場合を除いて加圧されないのが好ましい。容器は約0-5psig、または周囲圧力で操作するのが望ましい。
【0110】
揮散させた粒子上に存在する残留アセトアルデヒドレベルは10ppmもしくはそれ以下、または7ppmもしくはそれ以下、または5ppmもしくはそれ以下、または3ppmもしくはそれ以下、または2ppmもしくはそれ以下、または1.5ppmもしくはそれ以下である。融液相重縮合から得られた供給される粒子上の残留アセトアルデヒドレベルは一般に10ppmもしくはそれ以上、または20ppmもしくはそれ以上、または25ppmもしくはそれ以上、または30ppmもしくはそれ以上である。別の態様では、揮散容器に入るペレットおよびこの容器から出るペレットの残留アセトアルデヒドレベルの相違は、少なくとも5ppm、または少なくとも10ppm、または少なくとも20ppm、または少なくとも30ppmである。
【0111】
気体は常套的手段、例えばブロワー、ファン、ポンプなどによって容器内に導入できる。気体は容器を通って粒子流に対し並流で、または向流で、または交差して流動させることができる。粒子層を通る好ましい気流は、層を通り粒子流に対して向流である。気体は。容器に供給される粒子に比較して容器を出る粒子のアセトアルデヒドレベルを低下させるのに有効な、容器上の所望の任意の点で導入することができる。好ましくは、気体導入点は、容器内の層高下半分まで、より好ましくは層高の下1/4までに対して行う。気体は粒子層の少なくとも一部、好ましくは層の少なくとも50容量%、より好ましくは粒子層体積の少なくとも75%を通って流れる。本発明における使用のためには任意の気体、例えば空気、二酸化炭素、および窒素が好適である。幾つかの気体は、入手し易さおよび低コストのため、他より好ましい。例えば、窒素よりは空気の使用が著しい操作コストの改善を導くであろう。窒素は、多くのポリエステルポリマーと周囲空気中の酸素との間に起こるペレットの変色を導く酸化反応に対して不活性であるため、例えば予熱機または固体状態反応機のように180℃を超える温度の粒子層を熱気流が通過する操作では、窒素気体の使用が必要であると考えられていた。しかしながら、容器を出る気体が190℃を超えないよう工程温度を低く保つことにより、粒子の変色は最小限になる。或る態様では、この気体は90容量%未満の窒素、または85容量%未満の窒素、または80容量%未満の窒素を含有する。別の態様では、この気体は17.5容量%またはそれ以上の量の酸素を含有する。周囲組成(容器が位置するプラント場所における空気の組成)の空気、または分離もしくは精製されていない空気の使用が好ましい。望ましくは、周囲空気を気体入り口から供給する。所望ならば空気を乾燥することができるが、目的は粒子からアセトアルデヒドを除去することであるから、空気の乾燥は必ずしも必要ではない。
【0112】
粒子を収容し、気体および粒子を容器中にそして容器から供給させるための容器はいかなるものでも適当である。例えば、少なくとも気体のための入り口、およびポリエステルポリマー粒子のための入り口、気体のための出口、および完成粒子のための出口を有する容器が提供される。容器は好ましくは熱を保持するため断熱されている。望ましくは気体入り口および完成粒子出口は、気体出口および粒子入り口より下方に位置し、好ましくは気体出口および粒子入口は容器上方に、そして気体入り口および完成粒子出口は容器の底の方にある。気体は望ましくは容器内の層高の下方約1/2、またはより望ましくは約1/4の所で層に導入する。粒子は好ましくは容器の最上部に導入し、重力により容器の底へと移動し、一方気体は好ましくはこの粒子流の向きに対して向流に流れる。粒子は容器内に堆積して粒子の層を形成し、重力により容器の縦径に沿って徐々に降下して、容器の底にある完成粒子出口に至る。層高に制限はないが、一つの連続工程で実質上一定の高さであるのが好ましく、揮散ゾーン内部にある粒子を内包する容器高さの少なくとも75%である。この容器は好ましくは少なくとも2、または少なくとも4、または少なくとも6の縦横比を持つ。この工程はバッチまたは半バッチ方式(この場合、粒子は流動しないため、気流は粒子層を通って任意の向きに通過できる)で実施できるが、好ましくはこの工程は連続的であり、その場合、粒子を容器に供給するのに従い、粒子の流れは粒子入り口から完成粒子出口まで連続的に流動する。
【0113】
容器内に導入され粒子層の少なくとも一部を通過する気体の適当な流速は、容器を出る粒子上の残留アセトアルデヒド量を、容器に導入する粒子のそれと比較して低下させるに充分な速さである。例えば、1時間に容器にチャージされる粒子1ポンド当たり、その容器に導入される気体の適当な流速は、少なくとも0.0001標準立方フィート毎分(SCFM)、または少なくとも0.001SCFM、または少なくとも0.005SCFMである。高い流速もまた適当であるが必ずしもその必要がある訳ではなく、気体ポンプ、ファン、またはブロワーによる不必要なエネルギー消費を回避するため、気体の流速は充分低く維持すべきである。さらに、粒子を過度に冷却または乾燥するのは望ましくなく、何故なら、これらの目的のいずれかまたは両方の達成は、典型的には高い気体流速の使用を必要とするためである。気体流速は好ましくは1時間にチャージされる粒子1ポンドにつき0.15SCFMより高くなく、または0.10SCFMより高くなく、または0.05SCFMより高くなく、または0.01SCFMより高くない。
【0114】
製造コストを低く維持しつつ、酸化反応、変色を最小とし、粒子のIt.V.を維持し、そしてアセトアルデヒドを除去する最適な工程条件は、気体を周囲温度で導入し、粒子を150℃ないし170℃の範囲、1 lb/hrのPETにつき0.002SCFMないし0.009SCFMの範囲の空気流速で垂直円筒形容器に供給することである。容器のサイズは、ペレットの滞留時間が平均して約10ないし24時間であるようなサイズである。
【0115】
本発明に係る粒子は直接または間接的にバルクとして搬送用コンテナに梱包し、次いでこれを顧客または販売業者へと搬送する。粒子を搬送用コンテナに梱包する前のいかなる時点でも粒子を固体状態重合させずに、結晶化した粒子を本明細書に記載の任意の工程態様に付すのが好ましい。この粒子を、記載した任意の工程の中間に、固体状態重合を除く多数のさらなる加工工程に付すことができる。
【0116】
搬送用コンテナは、陸上、海上または航空輸送のために用いられるコンテナである。例には、鉄道車両、半トレーラーコンテナ、ゲイロードボックス、船殻、または完成したポリエステル粒子を顧客に輸送するのに用いられるその他任意のコンテナがある。顧客は典型的には、その粒子を予備成形品またはその他の成形品に変換する変換業者である。
【0117】
搬送用コンテナにはバルクのポリエステルポリマー粒子が入っている。1個の積み荷は少なくとも3立方メートルの体積を占める。好ましい態様では、搬送用コンテナの積み荷は少なくとも5立方メートル、または少なくとも10立方メートルの体積を占める。
【0118】
或る態様では、
融液相重合製造で得られた、少なくとも0.68、または0.70、または72dL/gのIt.V.、
少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン原子、
燐原子、
20ppm未満、または18ppmもしくはそれ以下、または16ppmもしくはそれ以下のアセトアルデヒド生成率、または、Sb安定剤および不活性化剤を添加しない組成物に比較して少なくとも20%または少なくとも30%もしくはそれ以上のアセトアルデヒド生成率またはperform AAの低下、
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を含み、固体状態重合されていない、完成されたポリエステルポリマー粒子が提供される。
【0119】
これらの粒子は、好ましくは3もしくはそれ以下のb*、および70もしくはそれ以上、または73もしくはそれ以上、または76もしくはそれ以上、または79もしくはそれ以上のL*を有する。
【0120】
「完成された(仕上げられた)」粒子とは、粒子製造者が行うさらなる加工工程無しに、粒子製造者により、成形機に連結したホッパー乾燥機または粒子を物品に変換するのに用いられる成形機に直接供給できる準備の整った粒子を製造するのに必要とされるすべての加工条件に付された粒子を意味する。
【0121】
所望ならば、固体の形態のアセトアルデヒド捕捉剤を、融液相から得られるポリエステル粒子との固体/固体混合物として合することができる。このアセトアルデヒド捕捉剤固体は、その後の溶融加工ゾーンへの導入に先立ちポリエステルポリマーペレットと合することができる。或いは、アセトアルデヒド捕捉剤固体を別個のポリエステルポリマー粒子のフィードと共に、物品を作るための溶融加工ゾーンに別々に供給することもできる。アセトアルデヒド捕捉剤固体は純粋な捕捉剤の形態であっても、ポリエステル固体中のアセトアルデヒド捕捉剤濃縮物の形態であってもよいが、この場合、濃縮物中のアセトアルデヒド捕捉剤の濃度は約0.5wt.%ないし50wt.%の範囲である。
【0122】
物品は、当業者の知悉する任意の常套的技術により融液相生成物から形成させることができる。例えば、所望により固体状態重合させた、少なくとも20%の結晶化度まで結晶化させた融液相生成物を、溶融押出し用機械に供給し、融液を、飲料や食品の容器へと延伸ブロー成形するのに適した予備成形品のような形状に射出成形し、または、単に押し出してシートのような他の形態に射出成形する。物品を形成するために適した工程が知られており、それらは、押出し、押出しブロー成形、メルトキャスティング、射出成形、melt to mold工程、延伸ブロー成形(SBM)、熱成形などを包含する。本発明に係る融液相生成物およびポリエステルポリマー組成物から形成することのできる成形物品の種類の例には、シート;フィルム;包装および容器、例えば予備成形品、瓶、ジャー、およびトレイ;棒;管;蓋;ならびにフィラメントおよびファイバーがある。水や炭酸飲料を入れるのに適したポリエチレンテレフタレートから製造した飲料瓶、および瓶に熱い状態で充填される飲料を入れるのに適した熱硬化飲料瓶は、本発明に係る結晶化したペレットから製造される瓶のタイプの例である。トレイの例は、オーブンにも電子レンジにも使用可能(dual ovenable)なトレイおよびその他のCPETトレイである。
【0123】
本発明の別の態様では、
(i) 融液相重合で得られた、少なくとも0.68dL/gのIt.V.、
少なくとも20%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、
295℃5分間において20ppm未満または18ppmもしくはそれ以下、または16ppmもしくはそれ以下のアセトアルデヒド生成率、
または、Sb安定剤および不活性化剤を添加しない組成物に比較して少なくとも20%または少なくとも30%のアセトアルデヒド生成率またはperform AAの低下、
および、有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有する固体ポリエステルポリマー粒子を溶融加工ゾーンに導入し、この粒子を溶融して溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物からシート、ストランド、ファイバー、または成形部品を含む物品を形成する、
ステップを含む、物品を製造する工程が提供される。
【0124】
この態様では、融液相で製造されるSb触媒されたポリエステルポリマー粒子が、高It.V.とされ、溶融加工ゾーンに供給される粒子中にアセトアルデヒド捕捉剤を存在させずに、低い残留アセトアルデヒドおよび低いアセトアルデヒド生成率を持つことにより、溶融加工ゾーンへの好適な供給物として提供される。この場合、粒子に溶融過程を付与するために上記の「試料調製」技術を用いて、アセトアルデヒドの生成を粒子供給物について測定する。この態様では、融液相製造工程で生成される粒子の気体を揮散させることにより、残留アセトアルデヒドを10ppm未満に低下させることができる。さらに、融液相に添加される触媒安定剤/不活性化剤は、ポリマー中のSb触媒残留物がアセトアルデヒド前駆体をアセトアルデヒドに変換するのを阻害する。この態様では、溶融加工ゾーンに供給された粒子が固体状態重合しないのが好ましい。融液相のみの合成(melt-phase-only synthesis)で製造されたポリエステル粒子は、分子量勾配を集中させる小さな表面積を持ち、従来のポリエステルよりも溶融加工中のIt.V.の喪失が少ない。例えば、瓶および/または予備成形品、特に飲料瓶、例えば炭酸入りソフトドリンクまたは水の瓶が本発明に係る粒子から製造され、当該粒子のIt.V.と予備成形品および/または瓶のIt.V.の間の相違は、0.04dL/g以下、好ましくは0.03dL/g以下、そして最も好ましくは0.02dL/g以下である。
【0125】
別の態様では、成形された物品は、好ましくは有機アセトアルデヒド捕捉剤を欠失する。好ましくは溶融加工工程で固体ポリエステル粒子に添加される成分は、有機アセトアルデヒド捕捉剤を含まない。
【0126】
別の態様では、
(i) 融液相重合で得られた、少なくとも0.68dL/gのIt.V.、
少なくとも20%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、および
アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有する固体ポリエステルポリマー粒子を溶融加工ゾーンに導入し、この粒子を溶融して溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物からシート、ストランド、ファイバー、または成形部品を含む物品を形成する(ここで、この物品、例えばperformまたは瓶は、約10ppmもしくはそれ以下、または8ppmもしくはそれ以下のアセトアルデヒドを有する)、
ステップを含む、物品を製造する工程が提供される。
【0127】
成形された物品のAAの量は、射出成形温度設定285℃、融液滞留時間約108秒で、ASTM F2013-00により測定できる。或いは、本発明に係る粒子から製造した予備成形品は、Sb安定剤および不活性化剤添加のない組成物から製造された予備成形品と比較して、少なくとも20%または少なくとも30%もしくはそれ以上のperform AAの低下を有する。
【0128】
この態様では、残留アセトアルデヒドレベルを、物品、例えば予備成形品について測定する。この場合、粒子が射出成形機内で再溶融されているため、予備成形品試料に加熱過程を付与する必要はない。乾燥後であって射出成形前に粒子中に存在する残留アセトアルデヒド量は、performで得られる残留アセトアルデヒド値から差し引くべきである。
【0129】
溶融加工押出し機では、ペレットの性能特性を向上させるため、押出し機に他の成分を添加できる。これらの成分は、バルクポリエステルペレットにそのまま、または液体担体中に添加してよく、或いはバルクポリエステル中に投入されるポリエステルポリマー中に少なくとも約0.5wt%の当該成分を含有する固体ポリエステル濃縮物としてバルクポリエステルペレットに添加することができる。好適な成分の種類は、結晶化助剤、衝撃改質剤、表面潤滑剤、デネスティング剤、化合物、抗酸化剤、紫外線吸収剤、着色剤、核形成剤、再加熱速度促進剤、粘着性瓶添加剤、例えばタルク、および増量剤などを包含する。これら全ての添加物およびその他多くの物質ならびにそれらの使用は当分野で周知であり、広範囲にわたる議論を必要としない。
【0130】
さらに別の態様では、融液相重合工程で製造されたアモルファス粒子は好ましくは固体状態重合ではなく結晶化されるため、燐化合物とポリエステルポリマー粒子を溶融混合して、ランダムに分散した燐化合物を含有するポリエステルポリマー粒子の固体濃縮物を形成させ、その後この濃縮物を、ポリエステル粒子の供給流と共に物品を製造するための溶融加工ゾーンに供給するか;または、燐化合物の流れを直接溶融加工ゾーンに追加して、物品を、それのみの流れとして、またはポリエステルポリマー粒子の流れと一諸にスラリーもしくは分散液として製造するか、いずれかによって、所望により燐化合物もまたポリエステルポリマー粒子に添加できる。
【0131】
本発明に係る工程により得られるポリエステルポリマーから製造された瓶の予備成形品は、少なくとも50、または少なくとも60、または少なくとも65、または少なくとも70のL*を有する。さらに、本発明に係る工程により得られるポリエステルポリマーから製造された瓶の予備成形品は、少なくとも50、または少なくとも60、または少なくとも65、または少なくとも70のL*輝度を維持しつつ、3.0以下のb*値を有する。
【0132】
固体状態であるSb触媒されたポリエステルは、事実上融液相のみで製造されたものより低いAA生成率を有するが、固体状態ペレットのAA生成率には、特に水の瓶のような適用のためには、なお改善の余地がある。別の態様では、固体状態ペレットを、押出し機内で、または静的ミキサーもしくはその他何らかの混合装置で酸性燐化合物と溶融混合する。酸性燐化合物で処理された固体状態ポリマーのAA生成率は、添加物なしで同じ混合工程を経た同じ固体状態樹脂よりも低い。
【0133】
酸性燐化合物を導入する混合装置は射出成形プロセスの一部であってよく、または射出成形に先立つ別個の工程であってもよい。この酸性燐化合物は、そのまま、または液体担体に入れて、またはポリマー濃縮物によって導入できる。ポリマー担体中での触媒との反応は効率が低いため、そのまままたは液体担体に入れての導入がより好ましい。酸性燐化合物が液体であってそのまま添加される場合、押出し機に入れる前に周囲条件で混合機を用いてペレットをこの液体添加物で被覆できる。ポリマー濃縮物の手段を使うならば、濃縮物ペレットを周囲条件で固体状態ペレットと乾燥混合し、「塩胡椒」型混合物を作る。これらと同じ注釈およびアプローチを、酸性燐化合物と融液相のみで製造されたペレットとの溶融混合にも適用する。
【0134】
このプロセスに用いられるアンチモン原子と比較した、後で添加される燐の量に制限はないが、アンチモン金属および融液中に存在する他の金属の量には考慮する。アンチモンモルに対する燐のモル比は、少なくとも0.15:1、または少なくとも0.3:1、または少なくとも0.5:1、または少なくとも0.7:1、または少なくとも1:1、且つ約3.0:1まで、好ましくは2.5:1まで、または2:1まで、または1.5:1まで、または1.2:1までが望ましい。
【0135】
実施例8によると、酸性燐化合物とSb触媒間の反応は迅速である。AA生成結果は溶融滞留時間が約1分間の場合と約3.3分間の場合では同様である。溶融混合工程の時間が短いため、よりゆっくり反応する燐酸トリエステルより酸性燐化合物が好ましい。
【0136】
実施例5、6、および8は、この態様の、低いAA生成率および低い残留AAを例示している。ペレット中の燐レベルが溶融混合前に低かったため、これらの実施例で使用された固体状態ポリエステルは良好に働いた。燐化合物の後期添加直前の時点で、ポリマー中の燐対アンチモンのモル比が0.17:1またはこれ以下であるのが好ましい。実際、固体状態ペレットが酸性燐化合物との混合前に燐を含有している必要はない。この0.17またはそれ以下というP:Sbモル比の選択は、最大のAA利点を与える。燐化合物の後期添加直前時点でポリマー中の燐対アンチモンモル比が高い事は、依然としてAAを低下させる結果となるが、しかし、後期燐レベル増大に伴うAAの低下速度は遅く、AAの最大減少は小さい。ペレット中の低Pレベルに関するこれらの注釈は、融液相のみで製造されたポリエステルペレットとの混合にも適用される。
【0137】
AA生成率低下に加えて、燐の溶融混合は固体化速度を低下させる。低い固体化速度は部分的触媒不活性化のメカニズムを支持する。固体化速度の低下の程度はP/Sbモル比に依存し、この場合、モル比が増大すると共に速度の低下は大きくなる。H3PO4無しの試料は0.76 Ih Vに達するのに約1.6時間かかったが、一方H3PO4由来のPを90ppm含む試料は、0.76 Ih Vに達するのに約8時間かかった。
【0138】
本発明をその態様の実施例によってさらに説明するが、これらの実施例は例示の目的でのみ記載するものであって、本発明の範囲を限定する意図はない。
【実施例】
【0139】
実施例
本発明の実施例中にある高IVポリエステルの殆どは、融液相のみで製造された。即ち、IhVまたはItVによって示されるこのポリエステル融液相生成物の分子量は、固体状態では増大しなかった。例外は、実施例5、6、および8のように溶融加工工程中に安定化/不活性化化合物の添加を含む実施例であって、これらの場合、固化されている市販のPETを溶融加工工程への供給に使用した。
【0140】
炭酸入りソフトドリンクの瓶を製造するために販売されている、Eastman Chemical Companyより入手可能なCB-12のような市販のポリエステルを、AA生成試験を実施するたびに実験試料に供する。典型的な加工条件下で製造され固体状態重合されたポリマーであるCB-12から製造された予備成形品中のAAレベルは許容可能であると思われる。この市販ポリエステルについてのAA生成結果をベンチマークと考える:市販のCB-12ペレットのAA生成値に等しいまたはこれより低いAA生成率が、試験が行われた時点での炭酸入りソフトドリンクへの適用のために許容可能な予備成形品AAのレベルを示す。
【0141】
比較例1
重縮合に使用する出発オリゴマー混合物は、テレフタル酸、エチレングリコール、約35% cis/65% trans 1,4-シクロヘキサンジメタノール約1.4モルパーセント、およびエステル化中に生成されるジエチレングリコール2.7モルパーセントから製造した。酸基の変換は、滴定法のみでは約93.5%、そしてNMR/滴定カルボキシ末端基法では92.9ないし95.9%であった。オリゴマー混合物のMnは約843g/mole、そしてMWは約1928g/moleであった。
【0142】
重縮合のために、粉砕したオリゴマー(103g)を1/2リットル単頚丸底フラスコに秤取した。このフラスコに添加した触媒溶液はエチレングリコール中の三酢酸アンチモンである。316Lステンレススチールパドルスターラーおよびガラスポリマーヘッドをフラスコに取り付けた。枝管およびパージ用ホースにポリマーヘッドを取り付けた後、2回の窒素パージを完了する。
【0143】
重合反応機は、以下のアレイを実行するためにプログラムされたCAMILE(登録商標)自動システムの制御下に稼働させる。
【0144】
【表1】

【0145】
Belmont metalの溶融槽を上げてフラスコを囲み、CAMILE(登録商標)アレイを実行する。このアレイにおいて、「傾斜」とは、明記した段階時間中における真空、温度、または攪拌速度の直線的変化として定義する。撹拌システムは段階4および5の間に自動較正される。仕上げ段階(10)は、スターラーのトルクに従って終了する。平均反応時間は約58分間であり;故に、これが以下の実施例において用いられる仕上げ時間となる。ポリマーを約15分間冷却し、ガラスフラスコから分離し、約10分間冷却し、直ちに液体窒素中に入れる。このポリマーを3mm篩を通過するよう極低温粉砕する。残留または遊離(フリー)AA試料を冷凍保存する。
【0146】
表1に分析結果を示す。遊離(フリー)AA、AA生成、L*およびb*を決定する測定技術は上に記載のとおりであった。L*およびb*を粉末について測定した。
【0147】
【表2】

【0148】
表1のランでは燐化合物を添加しなかった。表1の結果から、Sb触媒された高IV融液相PETポリエステルが、市販の固化されたPET(CB-12)より高い遊離(フリー)AAおよび高いAA生成率を持つことがわかる。
【0149】
実施例2
この実施例では、融液相製造工程中に燐安定剤を添加する。実施例1に記載のオリゴマーをこの実施例で使用した。ポリエステルポリマーに燐熱安定剤を加える。およそ0.80IhVに相当するトルクにおいてポリマーのランを終了した場合、実施例1によれば反応時間は約58分間であった。58分間の重合時間の後、減圧を止め、燐化合物を加え、減圧を再開して混合を強化した。
【0150】
この実施例では、燐化合物は、燐酸またはオリゴマー燐酸トリエステル(OPT)のいずれかである。ItV損失の可能性を最小限とするため、濃縮形態の燐化合物を使用した。濃縮形態の燐化合物を使用することにより、ポリマーを加水分解またはグリコール化し得る、存在する溶媒量が減少する。燐酸は85重量%水溶液として添加した。オリゴマー燐酸トリエステルは9wt/wt%燐酸溶液として直接加えた。
【0151】
以下のアレイは、燐化合物を後で添加するランのための加工条件を示す。燐化合物は段階12で添加した。各々の燐標的に対し、以下のアレイ毎に2回のポリマーラン(燐酸添加に対して1回、そしてオリゴマー燐酸トリエステル添加に対して1回)を行った。
【0152】
【表3】

【0153】
【表4】

【0154】
表2からわかるように、燐酸(H3PO4)およびオリゴマー燐酸トリエステル(OPT)はいずれも遊離(フリー)AAおよびAA生成率を低下させる。高い燐レベルにおいて、燐酸はOPTよりもAA生成率の低下に関してより有効であった。触媒が充分安定化/不活性化されることを確実とするため、高い燐レベルでAA生成率を低下させる柔軟性を維持することが望ましい。選ばれる燐レベルは、AA生成率に必要な%低下と発生するIt.V.喪失の間の均衡値である。
【0155】
比較例3
重合または重縮合に使用する出発オリゴマー混合物は、テレフタル酸、エチレングリコール、約35% cis/65% trans 1,4-シクロヘキサンジメタノール約1.2モルパーセント、およびエステル化中に生成されるジエチレングリコール約2.8モルパーセントから製造した。酸基の変換は、滴定法のみでは約94.5%、そしてNMR/滴定カルボキシ末端基法では94.6%であった。
実施例1に記載した方法およびCamileアレイをここでも同様に使用した。表3に分析結果を示す。
【0156】
【表5】

【0157】
平均反応時間は約80分間であり、よってこれが以下の実施例で使用する仕上げ時間となる。
【0158】
実施例4
この実施例では、融液相製造工程中に燐安定剤を添加する。実施例3に記載のオリゴマーをここでも同様に使用した。ポリエステルポリマーに燐熱安定剤を加える。およそ0.80IhVに相当するトルクにおいてポリマーのランを終了した場合、実施例3によれば反応時間は約80分間であった。80分間の重合時間の後、減圧を止め、燐化合物を加え、減圧を再開して混合を強化した。段階10の時間以外は実施例2に記載の方法およびアレイをここで使用した。表4に分析結果を示す。
【0159】
【表6】

【0160】
表4のさらなるデータが表2の予備データを裏付ける。表4からわかるように、燐酸(H3PO4)およびオリゴマー燐酸トリエステル(OPT)はいずれも遊離(フリー)AAおよびAA生成率を低下させる。高いおよび低い燐レベルにおいて、燐酸はOPTよりもAA生成率低下に関してより有効であった。触媒が充分安定化/不活性化されることを確実とするため、高い燐レベルでAA生成率を低下させる柔軟性を維持することが望ましい。選ばれる燐レベルは、AA生成率に必要な%低下と発生するIt.V.喪失の間の均衡値である。
【0161】
試料20の遊離(フリー)AAは低下した。試料5グラムを完全真空下に(約29 in Hg)約48.5時間115℃の乾熱器に入れた。この試料をデシケーター中で30分間冷却し、その後試験まで冷凍した。
【0162】
【表7】

【0163】
試料#20が製造され、粉砕され周囲条件で保存された後、時間が経過した。故に、非処置試料中の遊離(フリー)AAは、揮発性化合物の正常な減少のため、最初の測定値よりも低かった。乾熱器による処理は、試料#20の遊離AAを約1ppmに低下させた。
【0164】
実施例5
この実施例では、燐安定剤を溶融加工工程(固体ポリエステルポリマーの溶融)中に添加する。市販のPETを、約35% cis/65% trans 1,4-シクロヘキサンジメタノール1.5モル、およびジエチレングリコール約2.8モルパーセントで改変した。これはSb約250ppmおよびP約8ppmを含有していた。このPETを乾燥剤床を持つ空気乾燥機中、120℃で一夜乾燥した。前と同様、燐化合物は燐酸またはオリゴマー燐酸トリエステル(OPT)のいずれかである。PETペレット4500グラムをHenschel混合機中で約30秒間この液体燐化合物と混合した。次いで、燐化合物で被覆されたペレットを、約3.3分間の融液滞留時間を与えると計算された、バレル温度275℃、スクリュー速度20rpmの単スクリュー押出し機に供給した。押し出されたストランドを水浴を通過させペレットにした。遊離(フリー)AA試料を直ちにドライアイス上に保存し、次いで冷凍庫に移した。CB-12対照は押出しを行わなかった。
表5に分析結果を示す。
【0165】
【表8】

【0166】
表5において、第一の対照は、押出し機を通さなかった出発ペレットである。表5の結果によれば、H3PO4は、特に短い滞留時間の場合、両タイプのAAの低下についてOPTよりも遙かに有効である。
【0167】
実施例6
ガラスフラスコ中での予備成形ポリマーと添加剤の溶融混合は、押出し機がそうであるように(より少ない剪断およびより長い時間をかける)、ポリマー内部への添加剤の均一な分散を達成する。実施例5に記載されたのと同じ市販ポリマーをこの実施例に使用する。ペレットを、2mm篩を通過するよう粉砕し、このポリエステル粉末100グラムを500mL丸底フラスコに秤取する。この粉末を真空乾燥器中、完全真空(25-30 in Hg)、120℃で一夜(約16時間)乾燥する。フラスコをデシケーター中で室温まで冷却した後、触媒不活性化添加剤または安定剤を秤量してフラスコに入れる。添加剤は燐酸(H3PO4)である。スターラーを付けたポリマーヘッドを取り付け、フラスコを窒素で2回パージする。Belmont metalの溶融槽を上げてフラスコを囲み、以下のCAMILE(登録商標)アレイを実行する。
【0168】
【表9】

【0169】
常に中等度の窒素パージを用いた。段階2および3の最中にスターラーを手でゆっくりと回す。アレイの終了後、ポリマーを約15分間冷却し、ガラスフラスコから分離し、約10分間冷却し、直ちに液体窒素中に投入する。ポリマーを3mm篩を通過するよう極低温粉砕する。残留または遊離(フリー)AA試料を凍結保存する。表6に分析結果を示し、これを実施例7と比較する。
【0170】
【表10】

【0171】
実施例7
実施例1に記載したのと同じオリゴマー混合物をここでも使用した。ランを約250ppm Sbによって触媒した。青色および赤色の有機トナーを添加する。実施例2に記載のCAMILEアレイをこの実施例で同様に使用する。燐酸を段階12で添加する。表7に分析結果を示す。
【0172】
【表11】

【0173】
実施例8
乾燥条件以外は実施例5で使用したのと同じポリエステルおよび方法を使用する。最初にPETを150℃で一夜乾燥し、次いでこの乾燥機を6 AMに60℃に下げたが、PETには依然として少なくとも約150ppmの水分があった。乾燥機を、仕事時間の大半の間150℃に上げ、水分レベルが約50ppmに下がったので、一夜60℃に下げた。水分レベルが午前中に約170ppmであったため、PETを別の乾燥機に移し、1時間半165℃で乾燥し、その後設定温度を60℃とした。
【0174】
Bおよび/またはCで終わる試料番号は、番号部分で示される1回の押出しが複数の試料を単離したことを示す。文字なしの試料は最初のカットである。第二のカットは「B」と表示する。区別されなかった第二および第三の試料は「BC」と表示した。第一の数字は押出しに割り当てられた数を示し、スラッシュの後の第二の#は、この数字の下に分析試験が行われたことを示す。遊離(フリー)AAは押出し毎に1回だけ試験した。第1列は、押出し直前に乾燥機から取り出した試料を示す(この試料は押出ししなかった)。
【0175】
この実施例では、押出し機内での時間を変えている。この表は、添加剤の群の中で、速いスクリュー速度または最も短い時間を最初に並べている。オリゴマー燐酸トリエステル被覆ペレットおよび燐酸被覆ペレットを用いた押出しに加えて、ポリ燐酸被覆ペレットおよび水被覆ペレットを用いた押出しがある。使用した水の重量は、使用した85%燐酸の重量の15%であり、即ち、その量の水が85%燐酸で被覆されたペレットの押出し物中にあると予想される。
【0176】
【表12】

【0177】
添加剤がない対照によれば、押出し機内の滞留時間が増すと、IV喪失、遊離AAおよびAA生成率が増大する。ペレットのサイズは押出し機内の時間が減るにつれて増大する。ポリマーの輝度は滞留時間が増すにつれて増大する。
【0178】
これらの押出しは、酸性燐酸化合物とアンチモン触媒の間の反応が迅速であることを示している。AA生成の結果は、1分間の押出しと3.3分間の押出しではほぼ同じである。燐酸は、AA生成率の低下ならびに輝度および自然な色を維持するという点で最良の添加剤である。ポリ燐酸は燐酸と殆ど同じようにAA生成率を低下させるが、ポリ燐酸の添加は燐酸添加よりもPETを暗色且つより黄色味を帯びさせる。
【0179】
オリゴマー燐酸トリエステル(OPT)は、押出し時間が長いとAA生成率を幾分低下させるが、酸性燐化合物ほど効果的ではない。15%水分のみの場合よりも85%燐酸では、IV喪失およびAA生成率低下がより大きい。
【0180】
実施例9
重縮合に使用した出発オリゴマー混合物は、テレフタル酸、エチレングリコール、約35% cis/65% trans 1,4-シクロヘキサンジメタノール約2.8モルパーセント、およびエステル化中に生成されたジエチレングリコール約2.8モルパーセントから製造した。酸基の変換は、NMRのみでは約93.7%、そしてNMR/滴定カルボキシ末端基法では94.8%であった。オリゴマー混合物のMnは約768g/mole、そしてMWは約1950g/moleであった。
【0181】
使用したアレイは、全ての段階で温度が275℃であり、段階10で時間が121.2分である事以外は、実施例2に示したものと同様である。表14中の「TBP」は燐酸トリブチルを示し、目標は300ppmであった。表14中の「水」のランは、300ppmの燐を目標とした量の85%燐酸が存在するように加えられた量の水を有していた。
【0182】
【表13】

【0183】
表9によれば、燐酸由来の約90ppmの燐は、燐酸由来の約200または300ppmの燐よりも低いAA生成率を与える。高いレベルの燐酸では、より大きなIt.V.の喪失がある。実施例4、試料#38から、燐酸由来の150ppmの燐は、AA生成率を低下させる良い仕事を行っている。
【0184】
実施例10
実施例8で製造された試料11および17は220℃および0.5mmHgで固化されている。固化に先立ちペレットを-6/+8メッシュとなるよう篩過する。
【0185】
【表14】

【0186】
固化速度は酸性燐化合物の後期添加と共に低下する。固化速度の低下程度は、P:Sbモル比に依存する。H3PO4無しの試料は0.76 Ih Vに到達するのに約1.6時間かかったが、H3PO4由来のP 90ppmを伴う試料では0.76 Ih Vに到達するのに約8時間かかった。
【0187】
実施例11
段階5、6および7での真空設定点が0.5mmHgである以外は実施例6に記載の方法および詳細に従い、溶融混合を行った。実施例6で使用したポリマーをここで使用し、触媒系230ppm Sbおよび8ppm Pで識別する。さらに、別の市販固体状態PETも使用した。これは同じ目標組成を有するが、触媒系230ppm Sbおよび55ppm Pによる同定によれば、その燐レベルはより高かった。
【0188】
【表15】

【0189】
表11において、添加剤由来の燐の量を求めるために、燐添加剤添加前のポリマー中の燐の量(添加剤無しのランを参照されたい)を、XRF P(ppm)値の数から差し引く。理解できるように、出発ポリマーが少ない燐を含む時、燐化合物の後期添加はAA生成率低下の点でより効果的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
a) アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の存在下に、溶融されたポリエステルポリマー組成物を重縮合させ;
b) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.となるまで、この溶融ポリエステルポリマー組成物の重縮合を継続し;そして
c) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.に到達した後、ポリマー融液にアンチモン触媒安定剤または不活性化剤を添加し;そして
d) 0.68dL/gまたはそれ以上のIt.V.に到達した後、融液を、有機アセトアルデヒド捕捉剤を含有しない固体ポリエステルポリマー粒子に固化する、
を含む、固体ポリエステルポリマー粒子の製造方法。
【請求項2】
固体粒子が20ppmまたはそれ以下のアセトアルデヒド生成率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
固体粒子が16ppmまたはそれ以下のアセトアルデヒド生成率を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
重縮合触媒がアンチモン種から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポリマー融液中のアンチモンの量が150ppmないし300ppmの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
重縮合融液が活性チタン種を欠く、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも0.70dL/gのIt.V.となるまで重縮合が継続される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも0.72dL/gのIt.V.となるまで重縮合が継続される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも0.76dL/gのIt.V.となるまで重縮合が継続される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも0.80dL/gのIt.V.となるまで重縮合が継続される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
触媒安定剤または不活性化剤が、ポリマー融液の分子量上昇が実質上完了した時に添加される燐化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
触媒安定剤または不活性化剤が酸性燐化合物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
酸性燐化合物が、燐酸;ピロ燐酸;ポリ燐酸;または燐酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくは2-エチル-1-ヘキサノールのモノもしくはジエステル;ピロ燐酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくは2-エチルヘキサノールの酸性燐酸エステル;ポリ燐酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールもしくは2-エチルヘキサノールの酸性リン酸エステル;または各々の混合物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
触媒安定剤または不活性化剤が燐酸を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
触媒不活性化剤が、Sbに対する燐の化学量論的モル比が少なくとも0.5:1で存在する燐化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
化学量論的比が少なくとも0.7:1である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
化学量論的比が1:1ないし2.5:1の範囲である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
重縮合の少なくとも一部が280℃より高い温度で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
有機着色剤がポリマー融液に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
結晶性粒子のL*色が少なくとも73である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記粒子から得られた予備成形品を含み、この予備成形品が少なくとも70のL*を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
結晶性粒子のb*色が3.0またはそれ以下であり、L*が76またはそれ以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
以下のステップ:
e) 粒子のIt.V.を0.03dL/g以上増大させることなく、固体粒子中の残留アセトアルデヒド量を固体状態において10ppmまたはそれ以下のレベルに低下させる、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
固体粒子中の残留アセトアルデヒドレベルを、固体状態で5ppmまたはそれ以下に低下させる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
固体粒子中の残留アセトアルデヒドを、固体状態で2ppmまたはそれ以下に低下させる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
粒子を容器内に導入して容器内部に粒子の層を形成させ、この層を、1時間あたり粒子1ポンドに付き0.15SCFMを超えない流速で導入した気体流に接触させ、低下した量の残留アセトアルデヒドを有する完成した粒子を容器から回収することによってその粒子の残留アセトアルデヒドを低下させる、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
気体を70℃より低い温度で導入する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
導入される気体が空気である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記低減工程前の粒子中の残留アセトアルデヒドレベルが少なくとも10ppmである、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記低減工程前の粒子中の残留アセトアルデヒドレベルが少なくとも20ppmである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
該方法が、固体粒子のアセトアルデヒド生成率を少なくとも10%またはそれ以上低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
該方法が、固体粒子のアセトアルデヒド生成率を少なくとも30%またはそれ以上低下させる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
該方法が、固体粒子のアセトアルデヒド生成率を少なくとも40%またはそれ以上低下させる、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
以下のステップ:
(i) 融液相重合で得られた少なくとも0.68dL/gのIt.V.、
少なくとも20%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、
20ppmより低いアセトアルデヒド生成率、および
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有する固体ポリエステルポリマー粒子を溶融加工ゾーンに導入し、この粒子を溶融して、溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物から、シート、ストランド、ファイバー、または成形部品を含む物品を形成させる、
を含む、物品の製造方法。
【請求項35】
物品が瓶の予備成形品である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
瓶の予備成形品が10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
瓶の予備成形品が8ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
溶融加工ゾーンに供給される粒子が固体状態重合されていない、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
以下のステップ:
(i) 融液相重合で得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.、
少なくとも30%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、
20ppmより低いアセトアルデヒド生成率、
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
燐含有触媒不活性化剤/安定剤、
を有し、固体状態重合されていない粒子を溶融加工ゾーンに導入し、この粒子を溶融して、溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物から、瓶の予備成形品を形成させる、
を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
溶融加工ゾーンに供給される粒子の残留アセトアルデヒド含有量が7ppmまたはそれ以下である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
燐含有触媒不活性化剤/安定剤が酸性燐化合物から誘導される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
瓶の予備成形品が10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
瓶の予備成形品が8ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
粒子がSb以外の触媒金属を実質的に含まない、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
粒子がいかなるアセトアルデヒド捕捉剤をも含まない、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
粒子が少なくとも0.76dL/gのIt.V.を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
粒子が少なくとも0.8dL/gのIt.V.を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
以下のステップ:
(i) 融液相重合で得られた少なくとも0.68dL/gのIt.V.、
少なくとも25%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有する固体ポリエステルポリマー粒子を溶融加工ゾーンに導入し、この粒子を溶融して、溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物から、シート、ストランド、ファイバー、または成形部品を含む物品を形成させる(ここでこの物品は、20ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する)、
を含む、物品の製造方法。
【請求項49】
物品が、14またはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する瓶の予備成形品または延伸ブロー成形瓶を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
物品が10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
物品が瓶の予備成形品である、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
溶融加工ゾーンに供給される粒子が固体状態重合されていない、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
以下のステップ:
(i) 融液相重合で得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.、
少なくとも30%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、
20ppmより低いアセトアルデヒド生成率、
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
燐の含有、
を有し、固体状態重合されていない粒子を溶融加工ゾーンに導入し、この粒子を溶融して、溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物から瓶の予備成形品を形成させる、
を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
瓶の予備成形品が10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
融液相重合製造で得られた少なくとも0.68dL/gのIt.V.、
少なくとも20%の結晶化度、
アンチモン原子、
燐原子、
20ppmより低いアセトアルデヒド生成率、
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有し、固体状態重合されていない、完成されたポリエステルポリマー粒子。
【請求項56】
粒子が10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベルを有する、請求項55に記載の完成された粒子。
【請求項57】
完成された粒子がバルクの粒子を含む、請求項55に記載の完成された粒子。
【請求項58】
バルクが搬送用コンテナに入っている、請求項57に記載の完成された粒子。
【請求項59】
バルクが少なくとも10立方メートルの体積を占める、請求項58に記載の完成された粒子。
【請求項60】
粒子が、融液相で得られた少なくとも0.72dL/gのIt.V.および少なくとも30%の結晶化度を有する、請求項58に記載の完成された粒子。
【請求項61】
粒子が3またはそれ以下のb*および70またはそれ以上のL*を有する、請求項55に記載の完成された粒子。
【請求項62】
L*が76またはそれ以上である、請求項55に記載の完成された粒子。
【請求項63】
アンチモン原子含有量が150ppmないし300ppmの範囲である、請求項55に記載の完成された粒子。
【請求項64】
粒子が活性チタン種を含まない、請求項55に記載の完成された粒子。
【請求項65】
融液相製造で製造された粒子のIt.V.が少なくとも0.70dL/gである、請求項55に記載の完成された粒子。
【請求項66】
燐原子が酸性燐化合物から得られる、請求項55に記載の完成された粒子。
【請求項67】
燐原子が燐酸から得られる、請求項66に記載の完成された粒子。
【請求項68】
アンチモン原子に対する燐原子のモル比が少なくとも1:1である、請求項66に記載の完成された粒子。
【請求項69】
残留アセトアルデヒドのレベルが7ppmまたはそれ以下である、請求項55に記載の完成された粒子。
【請求項70】
融液相重合製造で得られた少なくとも0.68dL/gのIt.V.、
少なくとも20%の結晶化度、
アンチモン原子、
燐原子、
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有し、固体状態重合されていない、完成されたポリエステルポリマー粒子。
【請求項71】
粒子が10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベルを有する、請求項70に記載の完成された粒子。
【請求項72】
完成された粒子がバルクの粒子を含む、請求項70に記載の完成された粒子。
【請求項73】
バルクが搬送用コンテナに入っている、請求項70に記載の完成された粒子。
【請求項74】
バルクが少なくとも10立方メートルの体積を占める、請求項73に記載の完成された粒子。
【請求項75】
粒子が、少なくとも0.72dL/gのIt.V.および少なくとも30%の結晶化度を有する、請求項73に記載の完成された粒子。
【請求項76】
粒子が3またはそれ以下のb*および76またはそれ以上のL*を有する、請求項70に記載の完成された粒子。
【請求項77】
L*が73またはそれ以上である、請求項70に記載の完成された粒子。
【請求項78】
アンチモン原子含有量が150ppmないし300ppmの範囲である、請求項70に記載の完成された粒子。
【請求項79】
粒子が活性チタン種を含まない、請求項70に記載の完成された粒子。
【請求項80】
融液相製造で製造された粒子のIt.V.が少なくとも0.70dL/gである、請求項70に記載の完成された粒子。
【請求項81】
燐原子が酸性燐化合物から得られる、請求項70に記載の完成された粒子。
【請求項82】
燐原子が燐酸から得られる、請求項81に記載の完成された粒子。
【請求項83】
アンチモン原子に対する燐原子のモル比が少なくとも1:1である、請求項81に記載の完成された粒子。
【請求項84】
残留アセトアルデヒドのレベルが7ppmまたはそれ以下である、請求項70に記載の完成された粒子。
【請求項85】
以下のステップ:
(i) 燐含有化合物を含む気流、および、
融液相重合で得られた、少なくとも0.72dL/gのIt.V.、
少なくとも20%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有し、固体状態重合されていない固体ポリエステル粒子を含む気流を溶融加工ゾーンに導入し、
この粒子を溶融して溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物から瓶の予備成形品を形成する、
を含む方法。
【請求項86】
瓶の予備成形品が10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
瓶の予備成形品が8ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
以下のステップ:
(i) ランダムに分散させた燐含有化合物を含有するポリエステル粒子の気流、および、
融液相重合で得られた、少なくとも0.72dL/gのIt.V.、
少なくとも20%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有し、固体状態重合されていない固体ポリエステル粒子を含む気流を溶融加工ゾーンに導入し、
この粒子を溶融して溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物から瓶の予備成形品を形成する、
を含む方法。
【請求項89】
瓶の予備成形品が10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
瓶の予備成形品が8ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項85に記載の方法。
【請求項91】
以下のステップ:
(i) 燐含有化合物を含む気流、および、
少なくとも0.72dL/gのIt.V.、
少なくとも30%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有する固体状態重合された固体ポリエステル粒子を含む気流を溶融加工ゾーンに導入し、
この粒子を溶融して溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物から瓶の予備成形品を形成する、
を含む方法。
【請求項92】
瓶の予備成形品が10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
瓶の予備成形品が8ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
以下のステップ:
(i) ランダムに分散させた燐含有化合物を含有するポリエステル粒子の気流、および、
少なくとも0.72dL/gのIt.V.、
少なくとも20%の結晶化度、
10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル、
アンチモン種を含む重縮合触媒組成物の残留物、
有機アセトアルデヒド捕捉剤の欠失、
を有する固体状態重合された固体ポリエステル粒子を含む気流を溶融加工ゾーンに導入し、
この粒子を溶融して溶融ポリエステルポリマー組成物を形成させ;そして
(ii) この溶融ポリマー組成物から瓶の予備成形品を形成する、
を含む方法。
【請求項95】
瓶の予備成形品が10ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
瓶の予備成形品が8ppmまたはそれ以下の残留アセトアルデヒド含有量を有する、請求項94に記載の方法。

【公表番号】特表2008−544045(P2008−544045A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517077(P2008−517077)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/023207
【国際公開番号】WO2006/138406
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】