説明

証明写真撮影装置及び証明写真撮影方法

【課題】 被写体の3次元画像データの作成を短時間で行うのを可能にする。
【解決手段】 証明写真撮影装置1の撮影ボックス5の正面、左側面、右側面及び天井面に、4個のカメラ11〜14を配置すると共に、撮影ボックス5の正面に3Dスキャナ15を配置する。そして、3Dスキャナ15により光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態において、カメラ11〜14により被写体を同時撮影すると共に、光の明暗パターンが被写体の表面上に成されていない状態において、カメラ11〜14により被写体となる人を同時撮影する。このようにして得られる2次元画像データに基づいて、被写体の3次元画像データを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮影することにより得られる画像データに基づいて3次元画像データを作成するための画像データを取得可能な証明写真撮影装置及び証明写真撮影方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
証明写真撮影装置としては、1台のカメラだけが用いられるのが一般的である。そして、この証明写真撮影装置において、立体写真が作成されることもある。つまり、1台のカメラを被写体の周囲を移動させて、複数方向から被写体を撮影することにより得られる画像データに基づいて、3次元画像データが得られる。この場合には、カメラを移動させて複数回の撮影を行う必要があるので、被写体の撮影時間が長くなる。また、人が被写体であって、複数回の撮影が行われている途中で被写体が動いた場合には、同じ状態における被写体を複数方向から撮影することができなくなるという問題が発生する。
【0003】
このような問題を解消するためには、複数のカメラを被写体を囲むように配置し、それらのカメラによって被写体を同時に撮影することが考えられる。特許文献1には、被写体を囲む複数のカメラによって被写体を複数方向から撮影することにより得られる2次元画像データに基づいて、3次元画像データを作成することが記載されている。
【特許文献1】特開2003−256786号公報(図34)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単に被写体を複数方向から撮影して得られる2次元画像データに基づいて3次元画像データを作成する場合には、3次元画像データの作成に著しく長時間が必要になる。これは、複数の2次元画像データのそれぞれにおいて、被写体上の同じ位置のデータの再構成が非常に煩雑になるからである。
【0005】
そこで、本発明の目的は、被写体の3次元画像データの作成を短時間で行うことができる証明写真撮影装置及び証明写真撮影方法を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明の証明写真撮影装置は、被写体の周囲に配置された複数の撮影手段と、被写体の表面上の位置を特定するための光の明暗パターンを被写体の表面上に形成するパターン形成手段とを備えており、前記パターン形成手段により光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態での前記複数の撮影手段による被写体の同時撮影、及び、前記パターン形成手段により光の明暗パターンが被写体の表面上に形成されていない状態での前記複数の撮影手段による被写体の同時撮影が行われることによって、被写体の3次元画像データを作成するための画像データが取得されるものである。
【0007】
本発明の証明写真撮影方法は、光の明暗パターンを被写体の表面上に形成するパターン形成ステップと、前記パターン形成ステップで光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態において、複数の撮影手段によって被写体を同時撮影する第1の撮影ステップと、光の明暗パターンが被写体の表面上に形成されていない状態において、複数の撮影手段によって被写体を同時撮影する第2の撮影ステップとを備えている。
【0008】
この構成によると、光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態及び形成されていない状態で、複数の撮影手段によって被写体が同時撮影される。そのため、複数の撮影手段により得られる複数の2次元画像データのそれぞれにおいて、被写体上の同じ位置のデータの再構成が容易になる。従って、被写体の3次元画像データの作成を短時間で行うことが可能になる。
【0009】
本発明の証明写真撮影装置において、前記パターン形成手段は、所定間隔おきに配列された複数のライン状の光の明暗パターンを被写体の表面上に形成してもよい。
【0010】
本発明の証明写真撮影方法において、前記パターン形成ステップでは、所定間隔おきに配列された複数のライン状の光の明暗パターンが被写体の表面上に形成されてもよい。
【0011】
この構成によると、複数の撮影手段により得られる複数の2次元画像データのそれぞれにおいて、被写体上の同じ位置のデータの再構成が特に容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る証明写真撮影装置の概略構成を示す図である。
【0013】
図1に示す証明写真撮影装置1は、箱型の撮影ボックス5を有している。撮影ボックス5の内部には、被写体となる人が座る椅子6と、被写体を撮影するための4個のカメラ11〜14と、3Dスキャナ15とが設けられている。カメラ11〜14は、CCDカメラであり、カメラ11は撮影ボックス5の正面に配置され、カメラ12は撮影ボックス5の左側面に配置され、カメラ13は撮影ボックス5の右側面に配置され、カメラ14は撮影ボックス5の天井面に配置されている。
【0014】
カメラ11〜14では、図2に示すように、被写体を互いに異なる角度から撮影することができる。ここで、図2では、カメラ11〜13の被写体に対する撮影方向が矢印で図示されており、天井面に配置されたカメラ14の被写体に対する位置が黒丸で図示されている。つまり、カメラ11は被写体を正面から撮影し、カメラ12は被写体を左斜め前方から撮影し、カメラ13は被写体を右斜め前方から撮影し、カメラ14は被写体を上斜め前方から撮影する。
【0015】
3Dスキャナ15は、撮影ボックス5の正面に配置されている。3Dスキャナ15は、上下方向に延在し且つ可視光を射出する射出部16を有している。3Dスキャナ15は、被写体に向かって、射出部16から可視光を射出することによって、光の明暗パターンを被写体の表面上に形成することができる。
【0016】
ここで、図3には、3Dスキャナ15により光の明暗パターンが被写体の表面上に形成されていない状態において、カメラ11〜14により被写体となる人が撮影された場合の撮影画像が図示されている。図3(a)はカメラ11の撮影画像であり、図3(b)はカメラ12の撮影画像であり、図3(c)はカメラ13の撮影画像であり、図3(d)はカメラ14の撮影画像である。
【0017】
また、図4には、3Dスキャナ15により光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態において、カメラ11〜14により被写体となる人が撮影された場合の撮影画像が図示されている。図4(a)はカメラ11の撮影画像であり、図4(b)はカメラ12の撮影画像であり、図4(c)はカメラ13の撮影画像であり、図4(d)はカメラ14の撮影画像である。
【0018】
本実施の形態では、3Dスキャナ15は、図4に示すように、射出部16から光を射出することによって、所定間隔おきに配列された上下方向に延在する複数のライン状の光の明暗パターンを被写体の表面上に形成する。図4では、明暗パターンのなかで光のラインが実線で図示されている。つまり、図4の実線間の白い部分は実際には暗いラインとなる。
【0019】
そして、複数の光のラインは、互いに異なる波長の可視光で形成されている。そのため、3Dスキャナ15により光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態において、カメラ11〜14の撮影画像では、複数の光のラインは互いに異なる色に見えるように撮影される。従って、複数の光のラインは容易に識別可能である。
【0020】
このように、証明写真撮影装置1では、3Dスキャナ15により光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態において、カメラ11〜14により被写体の同時撮影が行われ、その後、3Dスキャナ15により光の明暗パターンが被写体の表面上に形成されていない状態において、カメラ11〜14により被写体の同時撮影が行われる。従って、図3及び図4に示すように、カメラ11〜14により互いに異なる角度から撮影された被写体の撮影画像が取得される。そして、図3及び図4に示す複数の2次元画像データに基づいて、被写体の3次元画像データが作成される。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態に係る証明写真撮影装置1では、光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態及び形成されていない状態で、カメラ11〜14によって被写体が同時撮影されることにより、3次元画像データを作成するための2次元画像データが取得される。そのため、カメラ11〜14により得られる複数の2次元画像データのそれぞれにおいて、被写体上の同じ位置のデータの再構成が容易になる。従って、被写体の3次元画像データの作成を短時間で行うことが可能になる。また、カメラ11〜14での被写体の撮影は同時に行われるので、被写体が人のように動くものである場合でも、ぶれなく撮影可能である。
【0022】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、所定間隔おきに配列された上下方向に延在する複数のライン状の光の明暗パターンが被写体の表面上に形成されているが、被写体の表面上に形成される光の明暗パターンは、被写体上の同じ位置のデータの再構成が容易になる範囲であれば変更してもよい。従って、光の明暗パターンは、例えば所定間隔おきに配列された水平方向に延在する複数のライン状の光の明暗パターンであってもよいし、所定間隔おきに配列された上下方向及び水平方向にそれぞれ延在する格子状の光の明暗パターンであってもよい。また、光の明暗パターンは、所定間隔おきに配列されている必要はないし、ライン状以外の光の明暗パターンであってもよい。
【0023】
また、上述の実施の形態では、カメラ11〜14は撮影ボックス5の正面、左側面、右側面及び天井面に配置されており、被写体が正面、左斜め前方、右斜め前方及び上斜め前方から撮影されているが、カメラの数及び配置(被写体の撮影方向)は変更してもよい。従って、例えば撮影ボックス5の正面、左側面、右側面、天井面、背面及び底面の少なくとも2面にカメラが1個ずつ配置されていてもよいし、撮影ボックス5の正面、左側面、右側面、天井面、背面及び底面のいずれかの面にカメラが複数配置されていてもよい。また、被写体は正面、左斜め前方、右斜め前方及び上斜め前方以外の方向から撮影されてもよく、例えば背面、左斜め後方、右斜め後方、上斜め後方などから被写体が撮影されてもよい。
【0024】
また、上述の実施の形態では、3Dスキャナ15は、互いに異なる波長の可視光により互いに異なる色に見える複数の光のラインを形成しているが、同じ波長の可視光により同じ色に見える複数の光のラインが形成されてもよい。また、3Dスキャナは、赤外光を射出することにより光の明暗パターンを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る証明写真撮影装置の概略構成を示す図である。
【図2】複数のカメラの被写体に対する撮影方向を示す図である。
【図3】光の明暗パターンが被写体の表面上に形成されていない状態において、複数のカメラにより被写体となる人が撮影された場合の撮影画像を示す図である。
【図4】光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態において、複数のカメラにより被写体となる人が撮影された場合の撮影画像を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 証明写真撮影装置
11〜14 カメラ(撮影手段)
15 3Dスキャナ(パターン形成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の周囲に配置された複数の撮影手段と、
被写体の表面上の位置を特定するための光の明暗パターンを被写体の表面上に形成するパターン形成手段とを備えており、
前記パターン形成手段により光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態での前記複数の撮影手段による被写体の同時撮影、及び、前記パターン形成手段により光の明暗パターンが被写体の表面上に形成されていない状態での前記複数の撮影手段による被写体の同時撮影が行われることによって、被写体の3次元画像データを作成するための画像データが取得されることを特徴とする証明写真撮影装置。
【請求項2】
前記パターン形成手段は、所定間隔おきに配列された複数のライン状の光の明暗パターンを被写体の表面上に形成することを特徴とする請求項1に記載の証明写真撮影装置。
【請求項3】
光の明暗パターンを被写体の表面上に形成するパターン形成ステップと、
前記パターン形成ステップで光の明暗パターンが被写体の表面上に形成された状態において、複数の撮影手段によって被写体を同時撮影する第1の撮影ステップと、
光の明暗パターンが被写体の表面上に形成されていない状態において、複数の撮影手段によって被写体を同時撮影する第2の撮影ステップとを備えていることを特徴とする証明写真撮影方法。
【請求項4】
前記パターン形成ステップでは、所定間隔おきに配列された複数のライン状の光の明暗パターンが被写体の表面上に形成されることを特徴とする請求項3に記載の証明写真撮影装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−33264(P2007−33264A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−217738(P2005−217738)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】